JPWO2020179497A1 - 液体吐出装置およびインクジェットプリンタ - Google Patents

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Abstract

本発明に係る液体吐出装置の駆動信号Wは、吐出波形部Weと、平坦部Wfと、収縮波形部Wcとを有する。吐出波形部Weは、アクチュエータ26の電位を変化させることによって圧力室23を膨張させる膨張部We1と、アクチュエータ26の電位を変化させることによって圧力室23を収縮させる収縮部We2とを備えている。平坦部Wfは、吐出波形部Weの後に生成され、アクチュエータ26の電位が一定である。収縮波形部Wcは、平坦部Wfの後に生成され、アクチュエータ26の電位を変化させることによって圧力室23を収縮させる。

Description

本発明は、液体吐出装置、および、それを備えたインクジェットプリンタに関する。
従来から、液体が貯留された圧力室と、圧力室の一部を区画する振動板と、振動板に連結されたアクチュエータと、圧力室に連通するノズルと、アクチュエータに駆動信号を供給することによりアクチュエータを駆動する制御装置とを備えた液体吐出装置が知られている。このような液体吐出装置は、例えば、液体としてインクを吐出するインクジェットプリンタなどに設けられている。
上記液体吐出装置を備えたインクジェットプリンタでは、制御装置がアクチュエータに駆動信号を供給すると、アクチュエータが変形し、それに伴って振動板が変形する。これにより、圧力室の容積が増加または減少し、圧力室内のインクの圧力が変化する。この圧力の変化に伴い、ノズルからインクが吐出される。吐出されたインクはインク滴となって飛翔し、記録紙などの記録媒体に着弾する。その結果、記録媒体上に1つのドットが形成される。そして、このようなドットを記録媒体上に多数形成することにより、画像などが形成される。例えば、特許文献1には、サイズの異なる3つ以上のドットを形成できる駆動信号を生成する駆動信号生成回路を備えた液体吐出装置、およびインクジェットプリンタが開示されている。
特開2017−159463号公報
インクジェットプリンタ等に搭載された液体吐出装置では、吐出する液体の延伸性が高いと、サテライト滴や、液体のミストが発生しやすい。延伸性が高い液体の場合、ノズルから押し出された液体の液柱は容易に切れず、ノズルから離脱しないまま進行方向に長く伸びる。そのため、液柱のうち液体のメニスカスに近い部分(サテライト)が細く、かつ、長くなる。サテライトは、主滴からメニスカスへと繋がる尾引き部分である。このようにサテライトが細く長いと、液柱が切れたとき、サテライトは多数のサテライト滴となって飛翔する。サテライト滴は、主滴とは離れた位置に着弾することが多く、印刷品質を低下させる。また、延伸性の高い液体のサテライトの速度は、延伸性の低い液体のサテライト速度と比べると一般的に遅い。サテライト滴の速度が遅いと、気流や空気抵抗などの影響によってサテライト滴の運動エネルギーが失われる。そうすると、サテライト滴は、空気中を浮遊するミストとなって、例えば、液体吐出装置の各部を汚すことがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、延伸性の高い液体を吐出する場合でもサテライト滴を抑制できる液体吐出装置を提供することである。また、そのような液体吐出装置を備えたインクジェットプリンタを提供することである。
ここに開示する液体吐出装置は、内部に液体が貯留される圧力室が形成されたケースと、前記ケースに設けられ、前記圧力室の一部を区画する振動板と、前記振動板に連結され、電気信号が供給されると変形するアクチュエータと、前記ケースに形成され、前記圧力室と連通するノズルと、前記アクチュエータを駆動させる駆動信号を駆動周期毎に生成する駆動信号生成回路と、前記駆動信号生成回路が生成する前記駆動信号の一部または全部を前記アクチュエータに供給する駆動信号供給回路とを備えている。
前記駆動信号は、吐出波形部と、平坦部と、収縮波形部とを有している。前記吐出波形部は、前記アクチュエータの電位を変化させることによって前記圧力室を膨張させる膨張部と、前記アクチュエータの電位を変化させることによって前記圧力室を収縮させる収縮部とを備えている。前記平坦部は、前記吐出波形部の後に生成され、前記アクチュエータの電位が一定である。前記収縮波形部は、前記平坦部の後に生成され、前記アクチュエータの電位を変化させることによって前記圧力室を収縮させる。
上記液体吐出装置によれば、収縮波形部がアクチュエータに供給されることにより圧力室が収縮すると、ノズルに形成されたインクのメニスカスがノズルの出口側に移動する。インクのメニスカスの位置がノズルの出口側にシフトすると、インク吐出により形成される液柱の一部をメニスカスが吸収し、サテライトの細い部分が短くなる。そこで、インクの液柱は、メニスカスの近くに生じる細く短い部分で切れる。その結果、サテライト滴が減少する。
一実施形態に係るプリンタの斜視図である。 インクジェットプリンタの主要部を表す正面図である。 吐出ヘッドのノズル近傍の部分断面図である。 制御装置の一部のブロック図である。 従来のインクジェットプリンタにおける駆動信号の波形の一部を示す波形図である。 一実施形態に係る駆動信号の波形の一部を示す波形図である。 従来の駆動信号をアクチュエータに供給した場合のインクの挙動を示す模式図である。 一実施形態に係る駆動信号をアクチュエータに供給した場合のインクの挙動を示す模式図である。 一変形例に係る駆動信号の波形の一部を示す波形図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置およびそれを備えたインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ10の斜視図である。図2は、インクジェットプリンタ10の主要部を表す正面図である。図1および図2において、符号LおよびRは、それぞれ左および右を示している。符号FおよびRrは、それぞれ前および後を示している。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、インクジェットプリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
インクジェットプリンタ10は、記録媒体5に印刷を行うためのものである。記録媒体5は、インクが吐出される対象物である。なお、記録媒体5には、普通紙などの紙類はもちろんのこと、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)やポリエステルなどの樹脂材料、アルミニウム、鉄、木材などの各種の材料からなる記録媒体が含まれる。
インクジェットプリンタ10は、ケーシング2と、ケーシング2内に配置されたガイドレール3とを備えている。ガイドレール3は、左右方向に延びている。ガイドレール3には、インクを吐出する吐出ヘッド15が設けられたキャリッジ1が係合している。キャリッジ1は、キャリッジ移動機構8によって、ガイドレール3に沿って左右方向(走査方向)に往復移動する。キャリッジ移動機構8は、ガイドレール3の左端側および右端側に配置されたプーリ19b、19aを有している。プーリ19aにはキャリッジモータ8aが連結されている。なお、キャリッジモータ8aはプーリ19bに連結されていてもよい。プーリ19aは、キャリッジモータ8aによって駆動される。両プーリ19a、19bには、それぞれ無端状のベルト6が巻き掛けられている。キャリッジ1はベルト6に固定されている。プーリ19a,19bが回転してベルト6が走行すると、キャリッジ1が左右方向に移動する。
インクジェットプリンタ10は、大判のインクジェットプリンタであり、例えば家庭用の卓上型プリンタと比べて大きい。解像度との兼ね合いもあるが、スループットを向上する観点からは、キャリッジ1の走査速度が速めに設定されることがある。例えば通常の走査速度は、概ね800mm/s程度に設定され、インク滴を吐出するための駆動信号の駆動周波数は18kHz程度である。また、例えば高速動作時には、駆動周波数が14kHz程度で、走査速度が概ね1000mm/s以上、例えば1100〜1200mm/sに設定される。ただし、上記走査速度および駆動周波数は単なる例示であり、特定の値に限定される訳ではない。
記録媒体5は、紙送り機構(図示せず)によって、紙送り方向に搬送される。ここでは、紙送り方向は前後方向のことである。ケーシング2内には、記録媒体5を支持するプラテン4が設けられている。プラテン4にはグリッドローラ(図示せず)が設けられている。グリッドローラの上方にはピンチローラ(図示せず)が設けられている。グリッドローラはフィードモータ(図示せず)に連結されている。グリッドローラはフィードモータによって駆動され、回転する。グリッドローラとピンチローラとの間に記録媒体5が挟まれた状態でグリッドローラが回転すると、記録媒体5は前後方向に搬送される。
インクジェットプリンタ10は、複数のインクカートリッジ11を備えている。それら複数のインクカートリッジ11には、色の異なるインクが貯留されている。例えば、インクジェットプリンタ10は、それぞれシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、ホワイトインクを貯留する5つのインクカートリッジ11を備えている。
吐出ヘッド15は、各色のインク毎に設けられている。各色の吐出ヘッド15とインクカートリッジ11とは、インク供給路12により接続されている。インク供給路12は、インクカートリッジ11から吐出ヘッド15へインクを供給するインク流路である。インク供給路12は、例えば可撓性を有するチューブにより構成されている。インク供給路12には、送液ポンプ13が設けられている。ただし、送液ポンプ13は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。インク供給路12の一部は、ケーブル類保護案内装置により覆われている。
吐出ヘッド15は、記録媒体5に向かってインクを吐出し、記録媒体5上にインクのドットを形成するものである。このドットが多数並べられることにより、記録媒体5上に画像などが形成される。吐出ヘッド15は、記録媒体5と対向する側の面(本実施形態では吐出ヘッド15の下面)に、インクを吐出するための複数のノズル25(図3参照)を備えている。
図3は、吐出ヘッド15の1つのノズル25近傍における部分断面図である。吐出ヘッド15は、開口21aを有する中空のケース21と、開口21aを塞ぐようにケース21に取り付けられた振動板22とを備えている。振動板22はケース21と共に、インクが貯留される圧力室23を区画している。振動板22は、圧力室23の一部を仕切っている。振動板22は、圧力室23の内側および外側に弾性変形可能なものである。振動板22は、圧力室23の容積を増加および減少させるように変形可能に構成されている。振動板22は、典型的には樹脂フィルムまたは金属箔である。
ケース21には、インクが流入するインク流入口24が形成されている。なお、インク流入口24は圧力室23とつながっていればよく、インク流入口24の位置は何ら限定されない。圧力室23には、インク流入口24を通じてインクカートリッジ11からインクが供給され、インクが貯留される。ノズル25は、ケース21の下面21bに形成されている。
振動板22の圧力室23側と反対側の面には、アクチュエータ26が当接している。アクチュエータ26は、ここでは、圧電素子である。アクチュエータ26の一部は、固定部材29に固定されている。アクチュエータ26は、フレキシブルケーブル27を介して制御装置100に接続されている。アクチュエータ26には、フレキシブルケーブル27を介して信号が供給される。本実施形態において、アクチュエータ26は、圧電材料と導電層とを交互に積層した積層体である。アクチュエータ26は、制御装置100から信号を受けると膨張または収縮し、振動板22を圧力室23の外側または内側に弾性変形させるように機能する。ここでは、縦振動モードのピエゾ素子(PZT)を採用している。縦振動モードのPZTは、上記積層方向に伸縮自在であり、例えば放電すると収縮し、充電すると伸長するようになっている。ただし、アクチュエータ26の形式は特に限定されない。
このような構成の吐出ヘッド15では、例えばアクチュエータ26の電位を基準電位から下降させることによって、アクチュエータ26が収縮する。すると、これに追従して振動板22が初期位置から圧力室23の外側に弾性変形し、圧力室23が膨張する。なお、圧力室23が膨張するとは、振動板22の変形により圧力室23の容積が大きくなることをいう。次いで、アクチュエータ26の電位を上昇させることによって、アクチュエータ26が積層方向に伸長する。これにより、振動板22が圧力室23の内側に弾性変形し、圧力室23が収縮する。なお、圧力室23が収縮するとは、振動板22の変形により圧力室23の容積が小さくなることをいう。このような圧力室23の膨張および収縮により、圧力室23内の圧力が変動する。この圧力室23内の圧力変動によって、圧力室23内のインクが加圧され、ノズル25から吐出される。その後、アクチュエータ26の電位を基準電位に戻すことにより、振動板22が初期位置に復帰して、圧力室23が膨張する。このとき、インク流入口24から圧力室23内にインクが流入する。
制御装置100は、キャリッジ移動機構8のキャリッジモータ8aと、紙送り機構のフィードモータと、送液ポンプ13と、吐出ヘッド15とに対して、通信可能に接続されている。制御装置100は、これらの動作を制御する。制御装置100は、典型的にはコンピュータである。制御装置100は、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器からの印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置とを備えている。
図4は、制御装置100の一部のブロック図である。図4に示すように、制御装置100は、吐出ヘッド15を駆動するための駆動信号を駆動周期ごとに生成する駆動信号生成回路110と、駆動信号生成回路110が生成する駆動信号の一部または全部を吐出ヘッド15の各アクチュエータ26に供給する駆動信号供給回路120とを備えている。駆動信号生成回路110および駆動信号供給回路120のハードウェア構成は何ら限定されない。駆動信号生成回路110および駆動信号供給回路120のハードウェア構成には、種々の公知の構成を利用することができる。よって、ここでは、その説明は省略する。
駆動信号生成回路110は、信号生成部111と、記憶部112と、第1演算部113と、第2演算部114とを備えている。信号生成部111は、駆動信号を生成する。記憶部112、第1演算部113、および第2演算部114は、信号生成部111が駆動信号を生成するに当たって必要な演算を行うとともに、上記演算に必要なパラメータを記憶している。記憶部112は、駆動信号の吐出波形部We(後述、図6参照)が生成されてからインクの一部がノズル25から離脱するまでの標準時間ΔTt(以下では、標準離脱時間ΔTtと称する。図6参照)を記憶している。「インクの一部がノズル25から離脱する」とは、ここでは、ノズル25から押し出されて延びたインクの液柱が切れ、飛翔するインク滴が形成されることを意味する。第1演算部113は、標準離脱時間ΔTtに基づいて、インクの一部がノズル25から離脱する液柱離脱点T1(同じく図6参照)を演算する。第2演算部114は、液柱離脱点T1から第1の時間(以下では、遅延時間ΔTdと称する。図6参照)だけ前の収縮基準点T2(図6参照)を演算する。駆動信号生成回路110は、これらの演算結果を使って、駆動信号を生成する。駆動信号および演算の詳細については後述する。
以下では、駆動信号生成回路110が生成する駆動信号について、従来技術と比較しながら説明する。また、駆動信号がアクチュエータ26に供給されることによるインクの挙動について、従来技術と比較しながら説明する。
図5は、従来のインクジェットプリンタにおける駆動信号Wrの波形の一部を示す波形図である。図6は、本実施形態に係る駆動信号Wの波形の一部を示す波形図である。以下の説明では、従来のインクジェットプリンタにおける駆動信号Wrと本実施形態に係る駆動信号Wとの間で共通する部分には、共通の符号を使用することとする。図5および図6の横軸は、時間である。横軸の時間「0」は、駆動信号WおよびWrの開始時間を表している。図5および図6の縦軸は、電位である。縦軸の電位E0は、基準電位を表している。駆動信号WまたはWrにおける電位とは、ここでは、基準電位E0を基準とする電位である。
図5および図6では、1駆動周期の駆動信号WおよびWrのうち、インクの小滴を形成する部分だけを図示している。駆動信号生成回路110が生成する駆動信号には、サイズの異なるインク滴を形成するための複数の波形が含まれている。駆動信号供給回路120は、それら複数の波形のうち1つまたは2つ以上の波形を選択し、供給信号としてアクチュエータ26に供給する。アクチュエータ26に供給する波形を適宜選択することにより、1駆動周期中に吐出ヘッド15のノズル25から吐出されるインクの液量を変更することができる。これにより、記録媒体5上に形成されるインク滴の寸法を変更することができる。ここに開示する技術は、いずれのサイズのインク滴に係る波形にも適用可能なものであるが、ここでは、最も小さい小滴を形成する波形に適用された場合について説明する。図5および図6においては、小滴を形成する波形の前または後に生成される他のサイズのインク滴に係る波形は、図示を省略している。
また、図7は、従来の駆動信号Wrをアクチュエータ26に供給した場合のインクの挙動を示す模式図である。図8は、本実施形態に係る駆動信号Wをアクチュエータ26に供給した場合のインクの挙動を示す模式図である。図7および図8は、樹脂を含み延伸性の高いインクを吐出した場合のインクの挙動を示している。延伸性とは、インクの硬化後の伸びやすさ(切れにくさ)のことである。一般的に、インクの延伸性は、インクの素材に樹脂を含むことで生じる。本実施形態における「延伸性の高いインク」とは、延伸性の高い樹脂を含ませることにより延伸性を高めたインクである。本実施形態に係るインクには、少なくとも溶剤と、顔料と、延伸性の高い樹脂とが含まれている。延伸性の高いインクは、記録媒体5に着弾し硬化した後も伸びやすく、記録媒体5を変形させても割れにくい。延伸性の高いインクは、それによって画像を印刷した記録媒体5を立体物、特に記録媒体5を貼り付ける面に凹凸を有する立体物に貼り付けるような場合に、インク(画像)が割れにくいという優れた特性を有している。
インクの延伸性は、例えば、JIS K 7162に規定される引っ張り破断歪みによって定義できる。引っ張り破断歪みは、その材料で作成した所定の形状の試験片に対して引っ張り試験を行ったときに、破断するまでに試験片が延びた割合を言う。延伸性の高いインクの引っ張り破断歪みは、例えば、305%〜440%の値を示す。延伸性の低いインクの引っ張り破断歪みは、例えば、2%〜61%の値を示す。
図6に示すように、本実施形態に係る駆動信号Wは、吐出波形部Weと、平坦部Wfと、収縮波形部Wcとを有している。吐出波形部Weは、圧力室23を膨張および収縮させることによってインクを吐出する波形部である。吐出波形部Weは、圧力室23を膨張させる膨張部We1と、圧力室23を収縮させる収縮部We2とを備えている。圧力室23は、アクチュエータ26の電位を変化させることによって膨張または収縮する。詳しくは、駆動信号Wの電位を降下させると、圧力室23は膨張する。駆動信号Wの電位を上昇させると、圧力室23は収縮する。吐出波形部Weがアクチュエータ26に供給されると、圧力室23は、膨張してから収縮する。圧力室23が膨張することにより圧力室23にインクが供給され、圧力室23が収縮することによりインクがノズル25から吐出される。
膨張部We1においては、電位は、基準電位E0から電位Ee1まで降下される。電位Ee1は、基準電位E0よりも低い。膨張部We1の時間は、ΔTe1である。その後、電位はEe1に維持され、収縮部We2において、電位Ee2まで上昇される。電位Ee2は、基準電位E0よりも高い。収縮部We2の時間は、ΔTe2である。時間ΔTe2は、時間ΔTe1よりも長い。1つの好適な例では、時間ΔTe2は、時間ΔTe1の1.2倍〜2倍である。さらに、本実施形態では、収縮部We2における電位の変化率は、膨張部We1における電位の変化率よりも小さくなるように設定されている。基準電位E0と電位Ee1との電位差をΔE1とし、電位Ee1と電位Ee2との電位差をΔE2とするとき、ΔE2/ΔTe2の絶対値は、ΔE1/ΔTe1の絶対値よりも小さい。言い換えれば、圧力室23の収縮は、その前の膨張よりも緩やかに行われる。その後、電位は電位Ee2に維持され、さらにその後、第2の電位降下部において基準電位E0まで降下される。
膨張部We1の中間点から収縮部We2の中間点までの時間は、ヘルムホルツ固有振動周期Tcの半分であるTc/2に設定されている。ヘルムホルツ固有振動周期Tcの半分Tc/2は、アクチュエータ26が駆動してから圧力室23が反応するまでの遅延時間である。膨張部We1の中間点から収縮部We2の中間点までの時間をTc/2とすることにより、圧力室23の共振が抑制されている。同様に、収縮部We2の中間点から、第2の電位降下部の中間点までの時間も、ヘルムホルツ固有振動周期Tcの半分であるTc/2に設定されている。
吐出波形部Weの後には、平坦部Wfが生成される。平坦部Wfは、アクチュエータ26に印加する電位が一定な部分である。詳しくは、平坦部Wfの電位は、基準電位E0に固定されている。
平坦部Wfの後には、収縮波形部Wcが生成される。収縮波形部Wcは、圧力室23を収縮させる波形部である。収縮波形部Wcは、アクチュエータ26の電位を変化させる(ここでは、上昇させる)ことによって、圧力室23を収縮させる。収縮波形部Wcは、第1要素Wc1と、第2要素Wc2と、第3要素Wc3とを備え、台形形に構成されている。第1要素Wc1は、収縮波形部Wcの始点Tc1から始まり、電位を基準電位E0からEcまで上昇させる。第2要素Wc2は、第1要素Wc1に続いており、電位をEcに維持している。第3要素Wc3は、電位をEcから降下させ、基準電位E0とする。第3要素Wc3の終点は、収縮波形部Wcの終点Tc3である。また、収縮波形部Wcの終点Tc3は、小滴に係る波形部の終点である。第1要素Wc1の中間点と第3要素Wc3の中間点との間の時間は、ヘルムホルツ固有振動周期Tcの半分Tc/2である。
収縮波形部Wcの電位Ecは、吐出波形部Weの膨張部We1の始点と終点との間の電位差ΔE1と、収縮部We2の始点と終点との間の電位差ΔE2との和の半分よりも小さく設定されている。電位差ΔE1はマイナスの値であり、電位差ΔE2はプラスの値である。上記ΔE1とΔE2との和は、符号(プラスまたはマイナス)も含めた和である。
また、収縮波形部Wcの電位Ecは、膨張部We1の始点と終点との間の電位差ΔE1と、収縮部We2の始点と終点との間の電位差ΔE2との和の8分の1よりも大きく設定されている。上記和も、符号(プラスまたはマイナス)を含めた和である。
さらに、収縮波形部Wcの電位Ecの絶対値は、膨張部We1の始点と終点との間の電位差ΔE1の絶対値よりも小さく設定されている。電位Ecはプラスの電位であり、電位差ΔE1はマイナスの電位差である。電位Ecの符号と電位差ΔE1の符号は逆である。しかし、両者の絶対値を比較すると、電位Ecの絶対値は、電位差ΔE1の絶対値よりも小さい。
小滴に係る波形の終点Tc3よりも後には、インクの一部がノズル25から離脱してインク滴を形成すると推定される点(液柱離脱点T1)が設定されている。駆動信号生成回路110の記憶部112は、駆動信号Wの吐出波形部Weが生成されてからインクの一部がノズル25から離脱してインク滴を形成するまでの標準時間(標準離脱時間ΔTt)を記憶している。標準離脱時間ΔTtは、吐出ヘッド15の構成と、吐出波形部Weの波形とにより、多少の誤差を除いて定まっている。標準離脱時間ΔTtは、ここでは、吐出波形部Weが生成されてから実際にインク滴が形成されるまでの時間を複数回測定した結果に基づいて定められている。標準離脱時間ΔTtは、例えば、上記複数の測定結果の平均値や中間値等であるとよい。液柱離脱点T1は、駆動信号の吐出波形部Weが生成される時点(ここでは、図6の時間ゼロ)に標準離脱時間ΔTtを加算することによって求められる。
液柱離脱点T1よりも遅延時間ΔTdだけ前には、収縮基準点T2が設定されている。収縮基準点T2は、収縮波形部Wcの位置を定めるための点である。ΔTdは、Tc/2+Ta/2に設定されている。Taは、アクチュエータ26の固有振動周期である。アクチュエータ26の固有振動周期Taの半分Ta/2は、アクチュエータ26に電圧が印加されてからアクチュエータ26が反応するまでの遅延時間である。そこで、ΔTdは、アクチュエータ26の遅延時間と圧力室23の遅延時間を合わせたもの、すなわち、アクチュエータ26に電圧が印加されてから圧力室23が反応するまでの遅延時間に相当する。
図6に示すように、収縮波形部Wcは、その始点Tc1と終点Tc3との中点Tc2が収縮基準点T2に一致するように生成されている。収縮波形部Wcの始点Tc1から中点Tc2までの時間と、中点Tc2から終点Tc3までの時間は、同じ時間に設定されている。収縮波形部Wcの始点Tc1は、中点Tc2が定まることにより定まる。平坦部Wfの継続時間は、吐出波形部Weの終点から収縮波形部Wcの始点Tc1までの時間である。
図5に示すように、従来のインクジェットプリンタの駆動信号Wrには、収縮波形部Wcおよび平坦部Wfが設定されていない。言い換えれば、従来のインクジェットプリンタの駆動信号Wrには、吐出波形部Weのみが存在する。吐出波形部Weの終点において、駆動信号Wrの小滴に係る波形部は終わっている。また、従来のインクジェットプリンタの駆動信号Wrでは、吐出波形部Weの膨張部We1の勾配と収縮部We2の勾配とは等しい。
従来のインクジェットプリンタの駆動信号Wrによって延伸性の高いインクを吐出すると、インクは図7に示したような挙動を示す。延伸性の低いインクを吐出する場合には、インクは吐出波形部Weの終点付近でノズル25から離脱し、インク滴を形成する。しかし、図7に示すように、延伸性が高いインクの場合、インクの液柱Lcは容易に切れず、ノズル25から離脱しないまま下方に長く伸びる。そのため、液柱LcのうちインクのメニスカスMに近い部分の液柱(サテライトS)が細く、かつ、長くなる。サテライトSは、主滴DmからメニスカスMへと繋がる尾引き部分である。このようにサテライトSが細く長いと、液柱Lcが切れたときにサテライトSは、多数のサテライト滴Dsとなって飛翔する。サテライト滴Dsは、記録媒体5上の主滴Dmとは離れた位置に着弾することが多く、印刷品質を低下させる。
また、延伸性の高いインクのサテライトSの速度は、延伸性の低いインクのサテライト速度と比べると遅い。従って、サテライト滴Dsの速度も遅い。サテライト滴Dsの速度が遅いと、気流や空気抵抗などの影響によってサテライト滴Dsの運動エネルギーが失われる。そうすると、サテライト滴Dsは、空気中を浮遊するインクミストとなって記録媒体5やインクジェットプリンタ10の各部を汚すことがある。
このように、延伸性の高いインクは、吐出時のサテライトが細く長く、サテライト速度が遅い。そこで、従来のインクジェットプリンタの駆動信号Wrによって延伸性の高いインクを吐出すると、上記したような問題が発生しやすい。
本実施形態に係るインクジェットプリンタ10は、上記したような問題に対し、高い延伸性を有するインクを吐出する場合であってもサテライト滴Dsやインクミストを低減できるように考案されている。本実施形態に係るインクジェットプリンタ10によって延伸性の高いインクを吐出すると、インクは図8に示したような挙動を示す。
本実施形態に係る駆動信号Wは、収縮波形部Wcを有している。収縮波形部Wcがアクチュエータ26に供給されることにより圧力室23が収縮すると、図8に示すように、ノズル25に形成されたインクのメニスカスMがノズル25の出口側に移動される。インクのメニスカスMの位置がノズル25の出口側にシフトすると、メニスカスMがサテライトSの一部を吸収し、サテライトSの細い部分が短くなる。サテライトSの細く短い部分は、液柱Lcの中で急激に細くなった「くびれ」となり、インクの液柱Lcは、この「くびれ」部分で切れる。その結果、サテライト滴が減少する。また、サテライトSの一部がノズル25内のインクに吸収された結果、サテライト速度も速くなる。そこで、サテライト滴が発生した場合でも、発生したサテライト滴の速度が速いため、インクミストも減少する。
図8に示すように、本実施形態では、収縮波形部Wcは、ノズル25に形成されたインクのメニスカスMを、液柱離脱点T1において、ノズル25の出口側に移動させるように生成されている。インクのメニスカスMがノズル25の出口側にシフトしている時間帯R1は、液柱離脱点T1を含んでいる。本願発明者の知見によれば、インクのメニスカスMがシフトしている時間帯R1が液柱離脱点T1を含む場合、収縮波形部Wcは、延伸性の高いインクのサテライト滴の発生を抑制することに関して高い効果を発揮する。
特に、本実施形態に係る駆動信号Wは、インクのメニスカスMがノズル25の出口側にシフトしている時間帯R1の中点を液柱離脱点T1に一致させるように構成されている。インクのメニスカスMは、アクチュエータ26に収縮波形部Wcが供給されてから、遅延時間ΔTdだけ遅れて移動を開始する。そこで、収縮波形部Wcの中点Tc2が液柱離脱点T1よりも遅延時間ΔTdだけ前に設定されていれば、理論上、メニスカスMがノズル25の出口側にシフトしている時間帯R1の中点は、液柱離脱点T1と一致する。本願発明者の知見によれば、かかる駆動信号Wを設定した場合に、収縮波形部Wcは、延伸性の高いインクのサテライト滴の発生を抑制することに関して特に高い効果を発揮する。
ただし、収縮波形部Wcは、必ずしも、中点Tc2を収縮基準点T2と一致させるように設定されなくてもよい。例えば、収縮波形部Wcは、収縮波形部Wcの始点Tc1が収縮基準点T2よりも前であり、かつ、終点Tc3が収縮基準点T2よりも後となるように設定されていてもよい。言い換えれば、収縮基準点T2が収縮波形部Wcの継続時間内に含まれるように設定されていてもよい。かかる構成によっても、メニスカスMがノズル25の出口側にシフトしている時間帯に液柱離脱点T1が含まれ、収縮波形部Wcは、高い効果を発揮する。なお、最も遅い場合、収縮波形部Wcは、その始点Tc1が収縮基準点T2と一致するように、すなわち、収縮基準点T2から電圧の印加を開始するように設定されていてもよい。
さらに、図6に示すように、本実施形態では、吐出波形部Weの膨張部We1における電位の変化率(ΔE1/ΔTe1の絶対値)よりも収縮部We2における電位の変化率(ΔE2/ΔTe2の絶対値)の方が小さく設定されている。吐出波形部Weにおける圧力室23の収縮は、その前の膨張よりも緩やかに行われる。インクの液柱Lcの太さは、インクが緩やかにノズル25から押し出されると太くなる傾向にある(図7および図8参照)。よって、膨張部We1における電位の変化率よりも収縮部We2における電位の変化率を小さくすることにより、インクの液柱Lcの太さを従来の駆動信号Wrの場合よりも太くすることができる。液柱Lcが太いと、液柱Lcが伸びたとき、液柱Lcが細い場合に比べて、サテライトS部分がより短くなる。よって、よりサテライト滴を低減することができる。
本実施形態では、収縮波形部Wcの電位Ecは、メニスカスMをノズル25の出口側に移動させ、かつ、少なくともインクの一部がノズル25から離脱するまでメニスカスMを凹状態に保つ電位に設定されている。収縮波形部Wcの電位Ecは、インクの吐出動作中、特に、インク吐出動作の開始からインクの液柱Lcが離脱するまでの間、メニスカスMを凹状態に保つように設定されている。かかる電位Ecによれば、インクのメニスカスMは、ノズル25の出口側に移動しつつも、インクの一部がノズル25から離脱してインク滴を形成するまでの間は凹状態を維持できる。言い換えれば、メニスカスMは、ノズル25の外部に向かって凸にならない。メニスカスMが凸状態になると、インクの誤吐出などのおそれがあり、好ましくない。かかる電位Ecの設定によれば、収縮波形部Wcの効果を発揮させつつ、メニスカスMが凸状態になることを抑制することができる。
具体的には、本実施形態では、収縮波形部の電位Ecは、膨張部We1の始点と終点との間の電位差ΔE1と、収縮部We2の始点と終点との間の電位差ΔE2との和の8分の1よりも大きく設定されている。本願発明者の知見によれば、電位Ecをかかる電位以上に設定すれば、収縮波形部Wcの効果が十分に現れる。
また、本実施形態では、収縮波形部Wcの電位Ecは、吐出波形部Weの膨張部We1の始点と終点との間の電位差ΔE1と、収縮部We2の始点と終点との間の電位差ΔE2との和の半分よりも小さく設定されている。また、収縮波形部Wcの電位Ecの絶対値は、吐出波形部Weの膨張部We1の始点と終点との間の電位差ΔE1の絶対値よりも小さく設定されている。本願発明者の知見によれば、電位Ecをこれらの電位以下に設定すれば、インクのメニスカスMは、ノズル25の出口側に移動しつつも凹状態を維持できる。よって、かかる電位Ecの設定によれば、メニスカスMが凸状態になることを抑制することができる。
上記した駆動信号Wが特に効果を発揮するのは、インクが高い延伸性を有する場合である。具体的には、インクが樹脂を含み、硬化後のインクの引っ張り破断歪みが305%以上であると特に効果的である。そのようなインクを従来の駆動信号Wrで吐出すると、画像が識別できなくなるほどのインクミストが発生する場合があることを本願発明者は確認している。
なお、図6に図示され、上記で説明された駆動信号Wは、1つの好適な例示であり、これに限定されるわけではない。例えば、駆動信号Wは、他の用途に係る波形部、例えば微振動に係るパルスを平坦部Wfに含んでいてもよい。小滴の形成と同時に使用しないパルスであれば、駆動信号供給回路120によって選択的にアクチュエータ26に供給することができる。また、例えば、吐出波形部Weは、圧力室23を膨張させた後に収縮させるのではなく、収縮させた後に膨張させてもよい。
(変形例)
上記したプリンタは、いくつかの変形例で実施することもできる。1つの好適な変形例では、収縮基準点を上記実施形態よりもさらに、n×Tc(nは自然数)だけ前に設定する。液柱離脱点を基準とすると、本変形例に係る収縮基準点は、液柱離脱点よりも(n+1/2)Tc+Ta/2だけ前に設定される。最初の実施形態は、上記式において「n=0」の場合である。n=0の場合、駆動信号は長くなるものの、サテライト滴を抑える効果は高い。以下の説明では、最初の実施形態と共通の概念や部材には、最初の実施形態と同じ符号を使用する。
図9は、本変形例に係る駆動信号Wmの波形の一部を示す波形図である。図9では、図6と同様に小滴に係る波形部以外の図示を省略している。図9に示すように、本実施形態では、収縮基準点T3は、液柱離脱点T1よりも3/2Tc+Ta/2だけ前に設定されている。本変形例では、nは「1」である。収縮基準点を最初の実施形態におけるT2(図6参照)よりもTcの自然数倍だけ前にずらしていっても、圧力室23の共振の程度は最初の実施形態と同等である。そこで、nを1以上に設定することによって、圧力室23の共振の影響度合いを変化させることなく、収縮波形部Wcの終点Tc3を前にずらすことができる。言い換えれば、小滴に係る波形部を短くすることができる。従って、他のサイズのインク滴に係る波形部を含む駆動信号全体も短くなる。そこで、駆動信号を高周波化することができ、印刷のスループットを向上させることができる。
駆動信号Wmのように、n=1以上に設定すると、n=0に設定した場合と比べて、好適な収縮波形部Wcの電位が電位Ecよりも高いEcmに上昇する。nが1以上の場合には、インクのメニスカスMがノズル25の出口側にシフトする時間帯は、液柱離脱点T1を含んでいない。よって、インク振動の減衰を加味して、収縮波形部Wcの電位Ecmは、n=0の場合の収縮波形部Wcの電位Ecよりも高く設定される。
本願発明者の知見によれば、多くの場合、n=1において、駆動信号Wmの長さの短縮によるスループットの向上と、サテライト滴およびインクミストを抑える効果とがバランスよく両立される。
しかしながら、好適なnは0または1に限られず、例えば、nは、吐出波形部Weと収縮波形部Wcとが重ならない限りにおいて最も大きい整数に設定されてもよい。かかる駆動波形によれば、駆動信号の周期に係るプリンタのスループットを最大にすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
上記した実施形態では、アクチュエータは縦振動モードの圧電素子であったが、これには限定されない。アクチュエータは横振動モードの圧電素子であってもよい。また、アクチュエータは、圧電素子に限らず、例えば磁歪素子等であってもよい。
上記した実施形態では、液体はインクであったが、これには限定されない。液体吐出装置が吐出する液体は、例えば樹脂材料や、溶質と溶媒とを含む各種液状組成物(例えば洗浄液)などであってもよい。
上記した実施形態では、液体吐出装置がインクジェットプリンタに搭載される吐出ヘッドおよびその制御装置であったが、これには限定されない。液体吐出装置は、例えば、インクジェット方式を採用する種々の製造装置や、マイクロピペットなどの計測器具などに搭載することができ、各種用途で使用可能である。
10 インクジェットプリンタ
15 吐出ヘッド
21 ケース
22 振動板
23 圧力室
25 ノズル
26 アクチュエータ
110 駆動信号生成回路
111 信号生成部
112 記憶部
113 第1演算部
114 第2演算部
120 駆動信号供給回路
W 駆動信号
Wm 駆動信号(変形例)
We 吐出波形部
We1 膨張部
We2 収縮部
Wf 平坦部
Wc 収縮波形部
ΔTt 標準離脱時間(標準時間)
T1 液柱離脱点
T2 収縮基準点
T3 収縮基準点(変形例)
ΔTd 遅延時間(第1時間)
Tc ヘルムホルツ固有振動周期
Ta アクチュエータの固有振動周期
M メニスカス
S サテライト
Ds サテライト滴

Claims (14)

  1. 内部に液体が貯留される圧力室が形成されたケースと、
    前記ケースに設けられ、前記圧力室の一部を区画する振動板と、
    前記振動板に連結され、電気信号が供給されると変形するアクチュエータと、
    前記ケースに形成され、前記圧力室と連通するノズルと、
    前記アクチュエータを駆動させる駆動信号を駆動周期毎に生成する駆動信号生成回路と、
    前記駆動信号生成回路が生成する前記駆動信号の一部または全部を前記アクチュエータに供給する駆動信号供給回路と、
    を備え、
    前記駆動信号は、
    前記アクチュエータの電位を変化させることによって前記圧力室を膨張させる膨張部と、前記アクチュエータの電位を変化させることによって前記圧力室を収縮させる収縮部とを備えた吐出波形部と、
    前記吐出波形部の後に生成され、前記アクチュエータの電位が一定な平坦部と、
    前記平坦部の後に生成され、前記アクチュエータの電位を変化させることによって前記圧力室を収縮させる収縮波形部と、
    を有している、液体吐出装置。
  2. 前記駆動信号生成回路は、
    前記吐出波形部が生成されてから前記液体の一部が前記ノズルから離脱するまでの標準時間を記憶する記憶部と、
    前記標準時間に基づいて、前記液体の一部が前記ノズルから離脱する液柱離脱点を演算する第1演算部と、
    前記液柱離脱点から第1時間だけ前の収縮基準点を演算する第2演算部と、
    を備え、
    前記収縮波形部の始点は、前記収縮基準点と一致するか、または前記収縮基準点よりも前であり、
    前記収縮波形部の終点は、前記収縮基準点よりも後であり、
    前記第1時間は、Tcをヘルムホルツ固有振動周期とし、Taをアクチュエータの固有振動周期とし、nをゼロ以上の整数としたとき、(n+1/2)Tc+Ta/2に設定されている、
    請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記収縮波形部は、前記始点と前記終点との中点が前記収縮基準点に一致するように生成されている、
    請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記nは、ゼロに設定されている、
    請求項2または3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記nは、1に設定されている、
    請求項2または3に記載の液体吐出装置。
  6. 前記nは、前記吐出波形部と前記収縮波形部とが重ならない限りにおいて最も大きい整数に設定されている、
    請求項2または3に記載の液体吐出装置。
  7. 前記収縮波形部の電位の絶対値は、前記吐出波形部の前記膨張部の電位の絶対値よりも小さく設定されている、
    請求項1〜6のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
  8. 前記収縮波形部の電位は、前記膨張部の始点と終点との間の電位差と、前記収縮部の始点と終点との間の電位差との和の半分よりも小さく設定されている、
    請求項1〜7のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
  9. 前記収縮波形部の電位は、前記膨張部の始点と終点との間の電位差と、前記収縮部の始点と終点との間の電位差との和の8分の1よりも大きく設定されている、
    請求項1〜8のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
  10. 前記吐出波形部は、前記膨張部における電位の変化率よりも前記収縮部における電位の変化率の方が小さく設定されている、
    請求項1〜9のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
  11. 前記収縮波形部の電位は、前記ノズルに形成された前記液体のメニスカスを前記ノズルの出口側に移動させ、かつ、少なくとも前記液体の一部が前記ノズルから離脱するまでは前記メニスカスを凹状態に保つような電位に設定されている、
    請求項1〜10のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
  12. 前記駆動信号生成回路は、
    前記吐出波形部が生成されてから前記液体の一部が前記ノズルから離脱するまでの標準時間を記憶する記憶部と、
    前記標準時間に基づいて、前記液体の一部が前記ノズルから離脱する液柱離脱点を演算する第1演算部と、
    を備え、
    前記収縮波形部は、前記ノズルに形成された前記液体のメニスカスを前記液柱離脱点において前記ノズルの出口側に移動させるように生成される、
    請求項1〜11のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
  13. 前記液体は、溶剤と樹脂とを含み、硬化後の引っ張り破断歪みが305%以上である、
    請求項1〜12のいずれか一つに記載の液体吐出装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか一つに記載の液体吐出装置を備え、前記液体はインクである、インクジェットプリンタ。
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