JPWO2020175375A1 - 中空糸膜、中空糸膜の製造方法、中空糸膜モジュール、膜分離装置および膜分離方法 - Google Patents

中空糸膜、中空糸膜の製造方法、中空糸膜モジュール、膜分離装置および膜分離方法 Download PDF

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Abstract

中空糸型の半透膜である中空糸膜であって、所定の膜分離方法に96時間使用された後の中空糸膜の内径の収縮率が、使用開始時の内径に対して0.1%以上9%未満であり、所定の膜分離方法は、中空糸膜と、中空糸膜で仕切られた第1室および第2室と、を有する中空糸膜モジュールを用いて、第1液を第1圧力で第1室に流し、第2液を第1圧力よりも低い第2圧力で第2室に流すことで、第1室内の第1液に含まれる水を中空糸膜を介して第2室内の第2液に移行させ、第1室から濃縮された第1液である濃縮液を排出し、第2室から希釈された第2液である希釈液を排出し、中空糸膜の外側の空間が第1室であり、中空糸膜の内側の空間が第2室であり、第1圧力が5.0MPaであり、第2圧力が一定であり、第1液と第2液の浸透圧差が0MPaである、中空糸膜。

Description

本発明は、中空糸膜、中空糸膜の製造方法、中空糸膜モジュール、膜分離装置および膜分離方法に関する。
例えば、海水から淡水を生産する場合、RO法が用いられる。RO法では、高圧ポンプによって浸透圧より高い所定の圧力に昇圧された海水を逆浸透(RO:Reverse Osmosis)モジュールに供給し、RO膜を通過させることで、海水中の塩分等を除去して淡水を取り出す。残りの海水は、濃縮塩水(ブライン)としてROモジュールから排出される。
近年、海水淡水化プラントのブライン(濃縮海水)に関する規制が強化され、ブラインを如何に処理するかを考える必要がある。その手法の一つとして、ブラインを減容するために、ブラインコンセントレーション(BC)法を用いることが検討されている。BC法は、このようなブラインや排水の減容、ZLD(Zero Liquid Discharge)、対象溶液中からの有価物の回収などへの適用が期待されている。
BC法は、RO法よりも必要なエネルギーが少ない方法である。BC法としては、例えば、特許文献1(特開2018−1111号公報)に、中空糸膜モジュールの一方の第1室に対象溶液の一部を流し、他方の第2室に対象溶液の他の一部を流して、第1室内の対象溶液を加圧することで、第1室内の対象溶液に含まれる水を中空糸膜を介して第2室内に移行させ、第1室内の対象溶液を濃縮し、第2室内の対象溶液を希釈する膜分離方法が開示されている。
RO法のように、対象溶液が加圧される中空糸膜の一方側(高圧側)だけに浸透圧を有する対象溶液を供給する場合、中空糸膜の他方側は基本的に浸透圧を有さない水だけであるため、中空糸膜の両側間の浸透圧差が大きく、これにより生じる圧力に打ち勝つ高い圧力で対象溶液を加圧する必要がある。そして、加圧の圧力は、中空糸膜の運転圧力(限界圧力)や使用するポンプの最大圧力によって制限されるため、RO法では、対象溶液の浸透圧が中空糸膜の運転圧力やポンプの最大圧力等を超えるような高濃度まで、対象溶液を濃縮することはできない。
これに対して、BC法では、中空糸膜の他方側(低圧側)にも対象溶液を流すことで、中空糸膜の両側間の浸透圧差を低減し、高圧側の対象溶液への加圧の圧力を低減することができる。このため、BC法を用いることで、対象溶液の浸透圧が中空糸膜の運転圧力やポンプの最大圧力等を超えるような高濃度まで、対象溶液を濃縮することが可能となる。したがって、BC法によれば、ブラインのような高濃度溶液の濃縮(膜分離)が可能である。
一方、特許文献2〜6には、原料溶液をノズルから空中走行部を経て凝固液中に吐出して凝固させ、凝固物を凝固液中から順次曳き出すことにより、中空糸膜を得る工程(紡糸工程)と、紡糸工程で得られた中空糸膜を水洗した後に、熱水処理および塩漬処理の少なくともいずれかに供する工程(後処理工程)と、を含む中空糸膜の製造方法が開示されている。
特開2018−1111号公報 国際公開第2012/026373号 国際公開第2013/118859号 国際公開第2013/125681号 特開2013−198893号公報 国際公開第2017/122673号
BC法では、RO法とは異なり、中空糸膜の内側と外側の両方に液を積極的に送り込む必要があるため、BC法に用いられる中空糸膜は、RO法に用いられる通常の中空糸膜(RO膜)より内径(ID)を大きくして、中空糸膜の内側の圧力損失を低下させることが望ましい。しかし、本発明者らは、通常のRO膜より内径(ID)が大きい中空糸膜は、BC法による膜分離に用いられたときに、中空糸膜の内径が経時的に減少することを見出した。
中空糸膜の内径が経時的に減少すると、中空糸膜の内側へ通水するための運転エネルギーが経時的に増大するという問題がある。また、BC法を用いた処理は、他の処理と組み合わせたシステムの一部として用いられることが多いため、中空糸膜の内径が経時的に減少すると、システム全体の制御が困難になるという問題もある。
したがって、本発明は、中空糸膜がBC法による膜分離に用いられたときに、中空糸膜の内径の経時的な減少を抑制することを目的とする。
(1) 中空糸型の半透膜である中空糸膜であって、
所定の膜分離方法に96時間使用された後の前記中空糸膜の内径の収縮率が、使用開始時の内径に対して0.1%以上9%未満であり、
前記所定の膜分離方法は、前記中空糸膜と、前記中空糸膜で仕切られた第1室および第2室と、を有する中空糸膜モジュールを用いて、第1液を第1圧力で前記第1室に流し、第2液を前記第1圧力よりも低い第2圧力で前記第2室に流すことで、前記第1室内の前記第1液に含まれる溶媒を前記中空糸膜を介して前記第2室内の前記第2液に移行させ、前記第1室から濃縮された前記第1液である濃縮液を排出し、前記第2室から希釈された前記第2液である希釈液を排出し、
前記中空糸膜の外側の空間が前記第1室であり、前記中空糸膜の内側の空間が前記第2室であり、
前記第1圧力が5.0MPaであり、前記第2圧力が一定であり、
前記第1液と前記第2液の浸透圧差が0MPaである、中空糸膜。
(2) 前記中空糸膜の内径が40μm以上200μm以下である、(1)に記載の中空糸膜。
(3) 前記中空糸膜のラマン値が72%以上90%以下である、(1)または(2)に記載の中空糸膜。
(4) 前記中空糸膜の断面内形が三角形状である、(1)〜(3)のいずれかに記載の中空糸膜。
(5) セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアミド系樹脂の少なくともいずれかを含む材料から構成される、(1)〜(4)のいずれかに記載の中空糸膜。
(6) 前記中空糸膜と、前記中空糸膜で仕切られた第1室および第2室と、を有する中空糸膜モジュールを用いて、第1液を第1圧力で前記第1室に流し、第2液を前記第1圧力よりも低い第2圧力で前記第2室に流すことで、前記第1室内の前記第1液に含まれる溶媒を前記中空糸膜を介して前記第2室内の前記第2液に移行させ、前記第1室から濃縮された前記第1液である濃縮液を排出し、前記第2室から希釈された前記第2液である希釈液を排出し、前記第1液と前記第2液の浸透圧差が4MPa以下である、膜分離方法に用いられる、(1)〜(5)のいずれかに記載の中空糸膜。
(7) 原料溶液をノズルから空中走行部を経て凝固液中に吐出して、前記原料溶液の凝固物を前記凝固液中から曳き出すことにより、中空糸型の半透膜である中空糸膜を得る、紡糸工程と、
前記紡糸工程で得られた中空糸膜を水洗した後に、熱水処理および塩漬処理に供する、後処理工程と、
を含む中空糸膜の製造方法であって、
前記原料溶液は溶媒および非溶媒を含み、前記原料溶液中の溶媒/非溶媒の質量比が50/50〜70/30であり、
前記紡糸工程において、前記ノズルの出口における原料溶液の吐出速度に対する曳き出し速度の比率である延伸倍率が2.1〜5.0であり、
前記塩漬処理の温度が70℃以上95℃以下である、製造方法。
(8) (7)に記載の製造方法により製造される中空糸膜。
(9) (1)〜(6)および(8)のいずれかに記載の中空糸膜と、前記中空糸膜で仕切られた第1室および第2室と、を有する、中空糸膜モジュール。
(10) (9)に記載の中空糸膜モジュールを備える膜分離装置であって、
前記第1液を第1圧力で前記第1室に流し、前記第2液を前記第1圧力よりも低い第2圧力で前記第2室に流すことで、前記第1室内の前記第1液に含まれる溶媒を前記中空糸膜を介して前記第2室内の前記第2液に移行させ、前記第1室から濃縮された前記第1液である濃縮液を排出し、前記第2室から希釈された前記第2液である希釈液を排出し、
前記第1液と前記第2液の浸透圧差が4MPa以下である、膜分離装置。
(11) (9)に記載の中空糸膜モジュールを用いる膜分離方法であって、
前記第1液を第1圧力で前記第1室に流し、前記第2液を前記第1圧力よりも低い第2圧力で前記第2室に流すことで、前記第1室内の前記第1液に含まれる溶媒を前記中空糸膜を介して前記第2室内の前記第2液に移行させ、前記第1室から濃縮された前記第1液である濃縮液を排出し、前記第2室から希釈された前記第2液である希釈液を排出し、
前記第1液と前記第2液の浸透圧差が4MPa以下である、膜分離方法。
本発明によれば、中空糸膜がBC法による膜分離に用いられたときに、中空糸膜の内径の経時的な減少を抑制することができる。
中空糸膜の内径の経時的な減少を抑制することで、中空糸膜の内側へ通水するための運転エネルギーの増大を抑えることができる。また、BC法を用いた処理が、他の処理と組み合わせたシステムの一部として用いられる場合において、中空糸膜の内径の経時的な減少を抑制することで、システム全体の制御が容易になる。
実施形態1の膜分離装置を示す模式図である。 中空糸膜モジュールを示す模式図である。 中空糸膜モジュールを示す概略断面図である。 実施例1、2および比較例2の中空糸膜について、BC試験開始からの経過時間と中空糸膜内の平均流量の変化比率との関係を示すグラフである。 実施例において、中空糸膜の内径の収縮率の測定に用いたBC試験の概要を説明するための模式図である。 中空糸膜の製造方法の一例を説明するための模式図である。 ラマン値の測定方法を説明するための模式図である。 ラマン値の測定方法を説明するための模式図である。 ラマン値の測定方法を説明するための模式図である。 ラマン分光法による分析結果の一例を示すグラフである。 中空糸膜の最薄膜厚/最厚膜厚の算出方法を説明するための模式図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
以下では、まず、本発明の膜分離装置の実施形態について説明し、後に、膜分離装置に用いられる中空糸膜モジュールおよび中空糸膜について説明する。
<膜分離装置>
図1を参照して、本実施形態の膜分離装置は、中空糸膜モジュール1を備える。中空糸膜モジュール1は、中空糸膜10と、中空糸膜10で仕切られた第1室11および第2室12と、を有する。
本実施形態の膜分離装置は、第1液を第1圧力で第1室11に流し、第2液を第1圧力よりも低い第2圧力で第2室12に流すことで、第1室11内の第1液に含まれる溶媒を中空糸膜を介して第2室12内の第2液に移行させ、第1室11から濃縮液(濃縮された第1液)を排出し、第2室12から希釈液(希釈された第2液)を排出する。このようにして、第1液を濃縮すると共に、第2液を希釈することができる。
なお、図1では簡略化のために中空糸膜10が平膜のように描かれているが、本実施形態で用いられる中空糸膜は、後述する図2および図3に示されるような中空糸型の半透膜(中空糸膜10)である。中空糸膜は、スパイラル型の半透膜などに比べて、膜モジュールの容積当たりの膜面積を大きくすることができ、膜モジュールの容積当たりの膜透過流量を高めることができる点で有利である。中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜を含み、複数の中空糸膜の各々は両端に開口部を有することが好ましい。
中空糸膜モジュール1において、第1室11は中空糸膜の外側であり、第2室12は中空糸膜の内側であることが好ましい。すなわち、中空糸膜の外側の溶液が内側の溶液よりも加圧されることが好ましい。中空糸膜の内側(中空部)を流れる溶液を加圧しても、圧力損失が大きくなり加圧が十分に行われ難い場合があるほか、中空糸膜自体の構造が、外圧に対して構造を保持しやすく、高い内圧を付与すると膜が破裂する可能性があるからである。しかしながら、圧力損失が小さい、つまり大きな内径を持ち、内圧に対する耐圧が大きい中空糸膜を使用する場合は、第1室11を中空糸膜の内側としても、特に問題はない。ただし、上述の中空糸膜の内径収縮率を測定するときに用いられる中空糸膜モジュールは、第1室11が中空糸膜の外側であり、第2室12が中空糸膜の内側である。
第1液と第2液の浸透圧差は、4MPa以下である。第1液と第2液の浸透圧差は、下記式で示される。
[浸透圧差]=[第1液の浸透圧]−[第2液の浸透圧]
上記式において、「第1液の浸透圧」とは、中空糸膜モジュール1の第1室11に供給される直前の第1液の浸透圧であり、「第2液の浸透圧」とは、中空糸膜モジュール1の第2室12に供給される直前の第2液の浸透圧である。
上記浸透圧差が4MPa以下であるとの規定は、浸透圧差が負(マイナス)の値である場合を含むことを意味する。浸透圧差は、好ましくは3.5MPa以下である。
第1室11に流される第1液の所定の圧力(第1圧力)は、特に制限されないが、好ましくは3〜10MPaであり、より好ましくは5〜8.5MPaである。
なお、上記「浸透圧差」が下記式で示される「第1液と第2液の圧力差」よりも小さければ、理論上、BC法による膜分離は実施可能である。「第1液と第2液の圧力差」に対する「浸透圧差」の比率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは30%以下である。なお、「50%以下」および「30%以下」との規定は、浸透圧差の比率が負(マイナス)の値である場合を含む。
[第1液と第2液の圧力差]=[第1液の圧力]−[第2液の圧力]
このように、ブラインコンセントレーション(BC)においては、RO法のように対象液(高浸透圧液)と淡水との間の高い浸透圧差に逆らって逆浸透を起こさせるための高い圧力が必要なく、比較的低圧の加圧によって、対象液の膜分離を実施することができる(第1液を濃縮し、第2液を希釈することができる)。また、BCを用いることで、RO法よりも高濃度の対象液をさらに濃縮することも可能となる。
なお、浸透圧差は0MPaであってもよい。また、第1液と第2液は同じ液であってもよく、異なる液であってもよい。また、第1液と第2液の濃度は、有効な浸透圧を示す最低濃度以上飽和濃度以下である。好ましくは3.5%以上飽和濃度以下であり、より好ましくは5%以上飽和濃度以下である。
膜分離装置は、圧力低下装置として、例えば、高圧ポンプ31によって所定の圧力に昇圧された対象液を中空糸膜モジュール1の第1室11と第2室12とに分けて流すことのできる分流弁4などを備えていてもよい(図1)。なお、分流弁4(圧力低下装置)は、第2室12に流される対象液を所定の圧力より低い圧力に減圧する機能を有している。
このような圧力低下装置を用いることで、例えば、第1液と第2液が同じ液(対象液)である場合に、同じ流路から供給される対象液の一部を第1液として所定の圧力で第1室11に供給しつつ、対象液の他の一部を第2液として、圧力低下装置を通過させることによって、所定の圧力より低い圧力で第2室12に流すことができ、該圧力低下装置の上流側の対象液の流路が1本で済むという利点がある。
第1液および第2液は、浸透圧を有する液体である。当該液体は、溶質が溶媒に溶解した溶液であってもよく、不溶性物質が分散した分散液であってもよい。溶質としては、無機または有機の塩類、酸、アルカリ、アルコール、糖類、蛋白質などの可溶性物質が含まれる。溶媒としては、これらの溶質または不溶性物質を溶解または分散させて浸透圧を示す溶液を形成できる物質が挙げられる。このような溶媒は、典型的には水であるが、アルコールなどの水以外の液体であってもよい。第1液および第2液としては、例えば、海水、河川水、汽水、排水、有機溶剤、食品、飲料などが挙げられる。排水としては、例えば、工業排水、生活排水、油田またはガス田の排水(随伴水)などが挙げられる。
また、本実施形態の膜分離装置が造水システムに用いられる場合、膜分離装置に供給される第1液および第2液は、逆浸透工程で排出される濃縮塩水(ブライン)であってもよい。
なお、膜分離装置は、図1に示されるように1つの中空糸膜モジュール1を用いた1段の装置であってもよく、複数の中空糸膜モジュールを用いた多段の装置であってもよい。
また、第1液および第2液は、液中に含まれる微粒子、微生物等を除去するための前処理が施されたものであってもよい。前処理としては、海水淡水化技術に用いられる種々公知の前処理を実施することができ、例えば、ナノろ過膜(NF膜:Nanofiltration Membrane)、限外ろ過膜(UF膜:Ultrafiltration Membrane)、精密ろ過膜(MF膜:Microfiltration Membrane)等を用いたろ過、次亜塩素酸ナトリウムの添加、凝集剤添加などが挙げられる。
例えば、図1に示される膜分離装置において、高圧ポンプ31の上流側には、図示しない前処理装置を備えていてもよい。前処理装置は、ポンプ30で取水した原液(対象液)を砂濾過やUF膜、MF膜、カートリッジフィルターなどによって処理する装置である。前処理装置により、原液から濁質を除去し、中空糸膜モジュール1等を含む膜分離装置に適合する水質の原液を得ることができる。必要により、pHの調整手段や塩素添加装置などを付け加えることも可能である。
<中空糸膜モジュール>
以下、本実施形態に用いられる中空糸膜モジュールの一例について説明する。
図2および図3を参照して、中空糸膜モジュール1は、中心に配置された複数の孔21を有する芯管(多孔分配管)2と、その周囲に配置された複数の中空糸膜10と、芯管2および複数の中空糸膜10をそれらの両端で固定する2つの樹脂壁61とを備える。なお、複数の中空糸膜10はその両端に開口部を有している。これらの部材を含む中空糸膜エレメントは、2つの保持部材62にO−リング62aが介在した液密状態で保持され、圧力容器7内に収容されている。
また、中空糸膜モジュール1は、4つのポート(第1液供給口100a、第1液排出口100b、第2液供給口101aおよび第2液排出口101b)を有している。第1液供給口100aは、芯管2の内部に連通し、さらに芯管2の孔21を介して中空糸膜10の外側100に連通している。第1液排出口100bは、中空糸膜10の外側100に連通している。第2液供給口101aおよび第2液排出口101bは、中空糸膜10の開口部(第1開口部10aおよび第2開口部10b)を介して複数の中空糸膜10の内部に連通している。
第1液は、第1液供給口100aを介して、芯管2内に供給され、孔21を介して中空糸膜10の外側100に流される。中空糸膜10の外側100を通過した第1液は、第1液排出口100bから取り出される。
第2液は、第2液供給口101aを介して、中空糸膜10の第1開口部10aより中空糸膜10の内部(中空部)に供給される。中空糸膜10の内部を流れて通過した第2液は、中空糸膜10の第2開口部10bを介して、第2液排出口101bから取り出される。
なお、本実施形態では、第1液を中空糸膜10の外側100に流すと共に第2液を中空糸膜10の中空部内に流す場合について説明した。中空糸膜の内側(中空部)を流れる流体(第1液)を加圧する場合、圧力損失が大きく、第1液を十分に加圧することが難しいため、通常は、上記のように第1液を中空糸膜10の外側100に流すことが好ましい。
ただし、第1液中に含まれる溶媒が、中空糸膜10を透過して第2液中に移動すればよいため、第1液を中空糸膜10の外側100に流すと共に第2液を中空糸膜10の中空部内に流してもよく、反対に、第2液を中空糸膜10の外側100に流すと共に第1液を中空糸膜10の中空部内に流してもよい。言い換えれば、中空糸膜モジュール1において、中空糸膜10の内部が第1室であり中空糸膜10の外部が第2室であってもよく、反対に、中空糸膜10の外部が第1室であり中空糸膜10の内部が第2室であってもよい。
芯管2は、複数の孔21を有する管状体であれば特に限定されない。孔21は、放射状に各方向に設けられていることが好ましい。また、芯管2は、中空糸膜モジュール1の略中心部に配置されていることが好ましい。
図3において、第1液供給口100a、第1液排出口100b、第2液供給口101aおよび第2液排出口101bは、壁部材13,14に設けられているが、このような形態に限定されず適宜変更することができる。例えば、第1液供給口100a、第1液排出口100b、第2液供給口101aおよび第2液排出口101bの少なくともいずれかが、圧力容器7の外周部に設けられていてもよい。
中空糸膜モジュールの形態としては、特に限定されないが、図2および図3に示されるような中空糸膜をストレートに配置したモジュールや、中空糸膜を芯管に巻きつけたクロスワインド型モジュールなどが挙げられる。
<中空糸膜>
本実施形態の中空糸膜は、中空糸型の半透膜である。
(中空糸膜の内径の収縮率)
本実施形態の中空糸膜は、後述する所定の膜分離方法に96時間使用された後の中空糸膜の内径の収縮率(減少率)が、使用開始時の内径に対して0.1%以上9%未満である。
所定の膜分離方法は、中空糸膜と、中空糸膜で仕切られた第1室および第2室と、を有する中空糸膜モジュールを用いて、第1液を第1圧力で第1室に流し、第2液を第1圧力よりも低い第2圧力で第2室に流すことで、第1室内の第1液に含まれる溶媒を中空糸膜を介して第2室内の第2液に移行させ、第1室から濃縮された第1液である濃縮液を排出し、第2室から希釈された第2液である希釈液を排出する。
中空糸膜の外側の空間が第1室であり、中空糸膜の内側の空間が第2室である。
第1圧力(外圧)が5.0MPaであり、第2圧力(内圧)が一定(中空糸膜内側の圧力損失が一定)である。
第1液と第2液の浸透圧差は0MPaである。
中空糸膜を上記の膜分離方法に継続して使用し、使用開始から96時間経過後に、中空糸膜内側の流入口における流量と流出口における流量とを測定し、中空糸膜内側の流入口における流量と流出口における流量との平均値(中空糸膜内平均流量)を算出する。また、この96時間経過後の中空糸膜内平均流量について、使用開始時の中空糸膜内平均流量からの減少量の使用開始時の中空糸膜内平均流量に対する比率(中空糸膜内平均流量の減少率)を求める。
下記のHagen-poiseuille式より、流量は中空糸膜の内径の4乗に比例するため、その関係を用いて、中空糸膜内側の平均流量の減少率から、中空糸膜内径の収縮率を算出することができる。なお、中空糸膜内側の圧力損失が一定であるため、圧力損失は考慮する必要がない。
Figure 2020175375
上記式中、Pは圧力損失であり、zは微小区間距離である。μは流体(第2液)の粘性係数であり、Qは中空糸膜内平均流量であり、dは中空糸膜の内径である。
中空糸膜の内径は、好ましくは40μm以上200μm以下であり、より好ましくは75μm以上180μm以下である。
中空糸膜(膜全体)の厚みは、好ましくは40〜200μmであり、より好ましくは50〜170μmである。なお、膜厚は(外径−内径)/2で算出できる。また、中空糸膜の中空率は、好ましくは10〜50%であり、より好ましくは12〜40%である。なお、中空率は、中空糸膜の横断面における中空部の面積の割合であり、「中空部断面積/(膜部断面積+中空部断面積)×100(%)」で表される。
中空糸膜の平均孔径(膜全体の微細孔の平均孔径)は、2nm以下であることが好ましい。平均孔径の測定方法としては、例えば、示差走査熱量測定(DSC)法が挙げられる。
(ラマン値)
本発明において、中空糸膜のラマン値とは、水で膨潤した状態の前記中空糸膜の横断面の膜厚方向の複数の点に対して、ラマン分光法により取得される複数のラマンスペクトルの各々における最大ピークのピーク強度において、ピーク強度の最大値に対する最小値の比率を意味する。なお、ラマン値は、中空糸膜の膜厚方向の密度分布の指標となる値であり、ラマン値が高い程、膜厚方向の密度分布の均一性が高いことを示す。
中空糸膜のラマン値は、好ましくは72%以上90%以下である。ラマン値がこの範囲である場合、中空糸膜がBC法による膜分離に用いられたときに、中空糸膜の内径の経時的な減少を抑制する効果をより確実に得ることができる。
ラマン分光法(顕微ラマン分光装置)は、測定試料に対して、スポット状に集光したレーザー光を照射することにより発生するラマン散乱光を検出し、分光してラマンスペクトルを得る方法(装置)である(図7参照)。ラマンスペクトルは、試料に対して固有であり、ある試料に対するラマンスペクトルにおける最大ピーク(試料の主構成材料に固有のピーク)の強度は、試料の構成材料の密度に相関する。したがって、このようなピーク強度を測定することで、試料中の構成材料の密度の分布状態を解析することが可能である。
なお、試料の構成材料の密度分布状態を精度よく測定するため、レーザーラマン顕微鏡の対物レンズとして、空間分解能が2μm以下であるような対物レンズを用いる。測定時におけるレーザーラマン顕微鏡のレーザー光源の強度は、測定中に試料の劣化が起きない程度に弱く、数秒〜数十分の露光時間でラマンスペクトルが得られる範囲で任意に設定することができる。
具体的には、まず、中空糸膜を氷包埋し、ミクロトームで断面を作製する。作製した断面試料を水に浸漬し(水に膨潤させた状態にし)、断面が水面からわずかに出た状態にする(図7参照)。その断面について、顕微ラマン分光装置(レーザーラマン顕微鏡)を用いて、マッピング(スポット状に集光したレーザー光を走査することで、設定した範囲のラマンスペクトルを測定する手法)又はイメージング測定(ライン状に集光したレーザー光を走査することで、設定した範囲のラマンスペクトルを測定する手法)により(参考文献:日本分光学会(2009、第1刷)『顕微分光法 ナノ・マイクロの世界を見る分光法』(分光測定入門シリーズ第10巻)講談社サイエンティフィク)、ラマンスペクトル(ラマンスペクトルにおける最大ピークのピーク強度)を測定する。測定は、中空糸膜の断面における膜厚方向の複数の箇所について実施される。
ラマン値の算出のために測定されるラマンスペクトルの各々における最大ピークは、例えば、波長2935cm−1付近のCH(炭素−水素結合)の伸縮振動に相当するピークなど、最も強度の高いピークである(図9参照)。ピーク強度は、選択したピークのピーク面積またはピーク高さから算出することができる。
実際の測定では、まず、中空糸膜の断面を顕微鏡で観察しながら、中空糸膜の膜部分(図8の実線の部分)を含む膜厚方向の所定範囲(図8の破線矢印の部分)について、1μmの間隔で、内側から外側(図8の左側から右側)に向かって、あるいは外側から内側(図8の右側から左側)に向かって、複数のラマンスペクトルの各々における最大ピーク(波長2935cm−1付近のピーク)のピーク強度が測定される。その後で、測定された複数のピーク強度のデータから、中空糸の膜部分(図8の実線矢印の部分)に関するデータのみが取り出される。
例えば、まず、測定された全てのピーク強度のうちの最大値を100として、他のピーク強度の比率(ピーク強度比)が算出される。図10に、ピーク強度比のグラフの一例を示す。図10において、X軸は膜断面における膜厚方向(図8の矢印の方向)の位置を示し、Y軸はピーク強度比を示す。なお、図10に示されるピーク強度比は、中空糸膜を構成するポリマー(CTA)に由来する2935cm−1付近のピーク(図9参照)の強度比であり、そのピーク強度比はポリマー密度と相関する。
ここで、図10において、ピーク強度比の最大値(100%)を含み、1μm間隔で測定された隣の点同士の値(ピーク強度比)の変化率が5%(絶対値)以内の部分が膜部分(図8の実線矢印で示される部分)であり、5%を超える点から外側(図10で点ハッチングされた部分)は膜以外の部分であると判断して、膜以外の部分のデータは削除される。
このようにして得られた膜部分のピーク強度(ピーク強度比)のうちの最小値を決定し、ピーク強度の最大値に対する最小値の比率(最小値のピーク強度比:図10参照)がラマン値として求められる。
(断面内形)
中空糸膜の断面内形は、好ましくは三角形状である。この場合、長期使用における中空糸膜の潰れが抑制され、中空糸膜の強度が高くなるという利点がある。三角形状とは、三角形に近い形状であることを意味し、おにぎり形(おむすび形)やルーローの三角形のような辺が直線でないものや角のない形も含む概念である(特許文献6:国際公開第2017/122673号参照)。
なお、三角形の辺付近の膜厚(最厚膜厚)に対する三角形の頂点付近の膜厚(最薄膜厚)の比率(最薄膜厚/最厚膜厚)は、好ましくは0.65〜0.90である。当該比率が0.65未満の場合は、最薄膜厚が薄すぎて変形しやすく(潰れ易く)なる可能性がある。一方、当該比率が0.90より大きい場合は、膜断面の内形が円形に近づくため長期使用における潰れを抑制する効果が得られ難くなる。
最薄膜厚/最厚膜厚(最厚膜厚に対する最薄膜厚の比率)の算出方法について、中空糸膜の断面を表わす図11を用いて説明する。図11の中空糸膜の断面において三角形状の三つの頂点をそれぞれa、b、cとし、3点を直線で結んだ三角形の三つの辺をab、bc、caとする。点aから辺bcに向かって垂線adを引き、垂線adの延長上での中空糸膜断面外周との交点をg、およびjとする。点bおよび点cからもそれぞれ辺ca、辺bcに垂線を引き、図11に示されるように点e、点h、点k、点f、点i、点lを定める。なお、図11において、中空糸膜の断面外形は略円形であり、中空部は(三角)おむすび形である。図11に示すように最薄膜厚aj、bk、clと、それぞれに向かい合う最厚膜厚dg、eh、fiとについて、中空糸膜の断面写真によって測定し、その測定値から最薄膜厚/最厚膜厚の比(3つの値の各々、またはそれらの平均値)を算出することができる。
(材料)
中空糸膜を構成する材料としては、特に限定されないが、セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアミド系樹脂の少なくともいずれかを含む材料であることが好ましく、セルロース系樹脂およびポリスルホン系樹脂の少なくともいずれかを含む材料であることがより好ましい。
セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロース系樹脂である。酢酸セルロース系樹脂は、殺菌剤である塩素に対する耐性があり、微生物の増殖を抑制できる特徴を有している。酢酸セルロース系樹脂は、好ましくは酢酸セルロースであり、耐久性の点から、より好ましくは三酢酸セルロースである。
ポリスルホン系樹脂は、好ましくはポリエーテルスルホン系樹脂である。ポリエーテルスルホン系樹脂は、好ましくはスルホン化ポリエーテルスルホンである。
中空糸膜としては、単層構造の膜が挙げられる。ここで、中空糸膜の膜厚方向の構造均質性が高いことが好ましい。中空糸膜の膜厚方向の構造均質性の指標としては、例えば、上述した中空糸膜のラマン値が所定値以上の範囲にあることや、倍率5000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて中空糸膜の横断面を膜厚方向に向かって連続的に観察した際に構造の変化が少ないことが挙げられる。
<中空糸膜の製造方法>
本発明は、上記の中空糸膜を得るための中空糸膜の製造方法にも関する。
図6を参照して、本実施形態の中空糸膜の製造方法は、少なくとも紡糸工程と後処理工程とを含む。
〔紡糸工程〕
紡糸工程では、原料溶液80をノズル81から空中走行部を経て凝固液91中に吐出して、原料溶液の凝固物を凝固液中から曳き出すことにより、中空糸型の半透膜である中空糸膜が得られる。中空糸膜の曳き出し等は、例えば、ローラー82,83,84,85により行われる。なお、曳き出し速度は、ローラー83の表面速度である。
原料溶液は、中空糸膜の原材料(上述の中空糸膜を構成する材料)と、溶媒および非溶媒と、を含む。原料溶液中の溶媒/非溶媒の質量比は、好ましくは50/50〜70/30である。なお、溶媒は、原材料を溶解可能な液体であり、非溶媒は、原材料が溶解しない液体である。
凝固液の濃度〔(S+水以外のNS)/凝固液の質量比率〕は、好ましくは10%〜60%であり、より好ましくは20%〜50%である。また、凝固液の温度は、好ましくは10〜30℃であり、より好ましくは10〜25℃である。
紡糸工程において、延伸倍率(ドラフト比)は、2.1〜5.0であり、好ましくは2.2〜4.0である。なお、延伸倍率は、ノズルの出口における原料溶液の吐出速度(ノズルから吐出される原料溶液の線速度)(V)に対する曳き出し速度(曳き出される原料溶液の凝固物の線速度)(V)の比率(V/V)である。なお、特許文献2〜6には、紡糸工程における延伸倍率は記載されていない。
〔後処理工程〕
後処理工程では、紡糸工程で得られた中空糸膜86が水洗された後に、熱水処理および塩漬処理に供される。
(熱水処理)
熱水処理では、中空糸膜86が熱水92に浸漬される。熱水処理における熱水92の温度(熱水処理の温度)は、好ましくは86℃以上100℃未満であり、より好ましくは90〜99.5℃であり、さらに好ましくは95〜99℃である。このように、従来よりも高い温度での熱水処理を行うことにより、中空糸膜の緻密化が進みやすくなるため、中空糸膜の内径の経時的な減少を抑制することができる。なお、熱水処理は、無緊張状態の中空糸膜86に対して行われることが好ましい。
熱水処理の時間は、好ましくは5〜120分間であり、より好ましくは10〜40分間である。
(塩漬処理)
塩漬処理では、熱水処理後の中空糸膜86が塩水93に浸漬される。塩水93は、塩化物イオンを含む水溶液である。塩水93としては、例えば、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化リチウム等の水溶液が挙げられる。塩水93の濃度は、好ましくは0.5〜20質量%であり、より好ましくは1.0〜10質量%である。塩水93の温度(塩漬処理の温度)は、好ましくは70℃以上95℃以下であり、より好ましくは75℃以上90℃以下である。
塩漬処理の時間は、好ましくは1〜60分間であり、より好ましくは5〜30分間である。なお、塩漬処理は、無緊張状態の中空糸膜86に対して行われることが好ましい。
中空糸膜のID収縮率を抑える効果は、中空糸膜の膜厚方向の構造均質性を高めることにより達成されると考えられる。その主要な具体的手段として、原料溶液のS/NS比(溶媒/非溶媒比)、ドラフト比、塩漬処理(および熱水処理)の条件の変更が挙げられる。従来よりも原料溶液のS/NS比を小さくする(NSの割合を高める)ことにより脱溶媒速度が遅くなり、析出したポリマーの核成長が均一になることで膜のポリマー密度が膜厚方向で均質化すると考えられる。また、ドラフト比を従来よりも大きくすることにより膜を構成するポリマー分子の一部が配向し、膜の強度が高まると考えられる。また、熱水処理に続く塩漬処理によって、膜中より脱水されることで細孔が収縮し、ポリマー密度の均質化と高強度化が進むと考えられる。
<膜分離方法>
本発明は、上記の中空糸膜モジュール1を用いる膜分離方法にも関する。本実施形態の膜分離方法により、第1液から濃縮液(濃縮された第1液)が得られると共に、第2液から希釈液(希釈された第2液)が得られる。
本実施形態の膜分離方法では、中空糸膜モジュール1に対して、第1液を所定の圧力で第1室11に流し、第2液を所定の圧力よりも低い圧力で第2室12に流すことで、第1室11内の第1液に含まれる溶媒を中空糸膜を介して第2室12内の第2液に移行させ、第1室11から濃縮液を排出し、第2室12から希釈液を排出する。ここで、第1液と第2液の浸透圧差は4MPa以下である。
尚、本実施形態の膜分離方法において、第1室11は中空糸膜の外側であり、第2室12は中空糸膜の内側であることが好ましいが、第1室11が中空糸膜の内側であり、第2室12が中空糸膜の外側であってもよい。
また、本発明は、上記膜分離方法に用いられる上述の中空糸膜にも関する。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
実施形態で説明した中空糸膜の製造方法により、以下の条件で実施例1の中空糸膜が製造された。
[原料溶液の組成]
ポリマー:三酢酸セルロース(CTA)(6%粘度:95mPa・s、ダイセル社製) ただし、比較例3のみ低粘度のCTA(6%粘度:56mPa・s、ダイセル社製)
ポリマー含有量:表1に示すとおり
溶媒:N−メチルピロリドン(NMP)
非溶媒:エチレングリコール(EG)
(溶媒/非溶媒(S/NS)比:表1に示すとおり)
安息香酸:表1に示すとおり
なお、上記のCTAの6%粘度は以下のようにして測定された値である。
混合溶剤[塩化メチレン:メタノール=91:9(重量比)]61.67gを三角フラスコに採取し、105±5℃で2時間乾燥した試料3.00gを投入し、密栓した。その後、横振り振盪機で約1.5時間振盪し、さらに回転振盪機で約1時間振盪して、完全に溶解させた。次に、得られた6wt/vol%溶液の温度を恒温槽で25±1℃に調整し、オストワルト粘度計を用いて計時用標線間の流下時間を測定し、下記式から粘度を求めた。
6%粘度(mPa・s)=流下時間(sec)/粘度計係数
なお、粘度計係数は、粘度計校正用標準液を用いて、上記と同様の操作で流下時間(sec)を測定し、下記式から求めた。
粘度計係数=[標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(1.235g/cm)]/[標準液の密度(g/cm)×標準液の流下時間(sec)]
[紡糸工程の条件]
原料溶液の溶解温度:185℃
原料溶液の吐出温度:151℃
吐出用のノズル:3分割ノズル(ノズルの断面積:0.05mm
〔ノズルの断面積とは、ノズルの先端部分における原料溶液吐出孔の断面積である。〕
空中走行部(AG)滞留時間:0.05秒
〔 AG滞留時間=AG長/{(吐出線速度+曳き出し速度)/2} 〕
紡糸工程の延伸倍率:表1に示すとおり
凝固液の組成
溶媒(S):NMP
水以外の非溶媒(NS):EG

凝固液の濃度〔S+水以外のNS)/凝固液の質量比率〕:表1に示すとおり。
凝固液中の溶媒/水以外の非溶媒(S/水以外のNS)の質量比:表1に示す原料溶液のS/NSと同じ。
凝固液の温度:表1に示すとおり
曳き出し速度:40m/分
なお、吐出用のノズルとして3分割ノズルを用いることにより、中空糸膜の断面内形が図11に示されるようなおにぎり形である中空糸膜が得られた。
[後処理工程の条件]
熱水処理の条件:表1に示すとおり
塩漬(塩アニール)処理の条件:表1に示すとおり
〔実施例2〕
表1に示されるように、S/NS比が変更された。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2の中空糸膜が製造された。
〔実施例3〜6〕
表1に示されるように、塩漬処理の条件(食塩水濃度、温度)が変更された。それ以外は実施例2と同様にして、実施例3〜6の中空糸膜が製造された。
〔実施例7〕
表1に示されるように、S/NS比が変更された。それ以外は実施例2と同様にして、実施例7の中空糸膜が製造された。
〔実施例8〕
表1に示されるように、紡糸工程の延伸倍率(AG滞留時間)が変更された。それ以外は実施例2と同様にして、実施例8の中空糸膜が製造された。なお、延伸倍率の変更は、ノズル開口部の断面積を0.05mmから0.07mmに変更する(ノズルの外径およびスリット幅を大きくすることにより、ノズルの開口部(原料溶液吐出孔)の断面積を大きくする)ことによって行った。
〔実施例9〕
表1に示されるように、原料溶液のS/NS比、凝固条件、熱水処理条件および塩漬処理条件が変更された。それ以外は、実施例8と同様にして、実施例9の中空糸膜が製造された。
〔実施例10〕
表1に示されるように、原料溶液のポリマー濃度、凝固条件が変更された。それ以外は、実施例9と同様にして、実施例10の中空糸膜が製造された。
〔比較例1〕
塩漬処理が行われなかった点以外は実施例1と同様にして、比較例1の中空糸膜が製造された。
〔比較例2〕
表1に示されるように、紡糸工程の延伸倍率が変更された。それ以外は実施例1と同様にして、比較例2の中空糸膜が製造された。なお、延伸倍率の変更は、ノズルの断面積を0.05mmから0.04mmに変更する(ノズルの外径およびスリット幅を小さくすることにより、ノズルの開口部(原料溶液吐出孔)の断面積を小さくする)ことによって行った。
〔比較例3〕
表1に示されるように、S/NS比が変更された。また、低粘度CTAを用いた。それ以外は比較例1と同様にして、比較例3の中空糸膜が製造された。
〔比較例4〕
表1に示されるように、S/NS、凝固条件、延伸倍率および熱水処理の条件が変更された。それ以外は比較例1と同様にして、比較例4の中空糸膜が製造された。
〔比較例5〕
表1に示されるように、S/NS比および熱水処理の条件が変更された。それ以外は、比較例4と同様にして、比較例5の中空糸膜が製造された。
〔比較例6〕
表1に示されるように、S/NS比、熱水処理および塩漬処理の条件が変更された。それ以外は比較例5と同様にして、比較例6の中空糸膜が製造された。
<ラマン値の測定>
実施例1〜10および比較例1〜6の中空糸膜について、ラマン値を測定した。ラマン値は、実施形態で説明した測定法によって以下の条件で測定された。ラマン値の測定結果を表1に示す。
(ラマン値の測定条件)
中空糸膜1本を氷包埋し、ミクロトームで断面を作製した。作製した断面試料を水に浸漬し、断面が水面からわずかに出た状態で、顕微ラマン分光装置(ナノフォトン社製レーザーラマン顕微鏡:RAMAN−11)を用いて、レーザー波長532nm、レーザー強度約2.2mW、アパーチャー径100μm、露光時間8秒、露光回数1回、回折格子600gr/mm、対物レンズ50倍/NA0.55、走査間隔1.0μmの条件でマッピング分析(ラマンスペクトルの測定)を行った。なお、ラマン値の測定は、膜断面のどの部分(膜厚の薄い部分または厚い部分)で測定してもよいが、最も厚い部分(おにぎりの辺の中央部分)について測定した。
ラマンスペクトルにおける2935cm−1付近のピークの強度を、顕微ラマン分光装置に付属のピーク面積算出ソフトを用いて算出した。2800〜3100cm−1をベースラインとし、ピークの頂点を中心とし、ピークの幅を22.2cm−1に固定し、ローレンツ関数を用いてフィッティングをおこない、算出されたピーク面積を信号強度(ピーク強度)とした(図9参照)。
<形状に関するパラメータの測定>
実施例1〜10および比較例1〜6の中空糸膜(塩漬処理後の状態。ただし、塩漬処理を行わなかった場合は熱水処理後の状態)について、外径(OD)、内径(ID)および中空率(H)を以下のようにして測定した。その結果、実施例1〜10および比較例1〜6の中空糸膜のODは200μmであり、IDは90μmであり、Hは20.3%であった。
(内径、外径の測定)
中空糸膜の内径、外径および膜厚は、中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられた直径3mmの孔に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面に沿ってカミソリにより中空糸膜をカットし、中空糸膜断面サンプルを得た後、投影機(Nikon PROFILE PROJECTOR V−12)を用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定することにより得られる。外径については、中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、算術平均値を中空糸膜断面1個の外径とした。また、内径については、おにぎりに外接する長方形の長辺と短辺の長さを測定し、算術平均値を中空糸膜断面1個の内径とした。最大および最小を含む10断面について同様に測定を行い、平均値を内径および外径とした。
(中空率の測定方法)
中空糸膜断面サンプルの写真撮影をマイクロスコープKEYENCE VHX−1000を用いて行い、上記マイクロスコープの面積測定機能により中空糸膜の中空部の断面積(中空部断面積)と、中空糸膜の膜部の断面積(中空部断面積)を求め、次式より中空率を算出した。
中空率(%)=中空部断面積/(膜部断面積+中空部断面積)×100
<内径収縮率の測定>
実施例1〜10および比較例1〜6の中空糸膜について、以下のようにして内径収縮率を測定した。内径収縮率の測定結果は表1に示される。
まず、図5に示されるような有効長24.5±0.5cmのSUS管に、充填率が25.0±1.0%となるように複数の中空糸膜を束ねて充填し、該中空糸膜束とSUS管の端部を樹脂により接着し、接着樹脂端部を切削して中空糸膜の中空部を開口させることにより、中空糸膜モジュール1が作製された。
作製された中空糸膜モジュール1について、リークがないことを確認した。具体的には、中空糸膜モジュール1を水中に沈め、中空糸膜外側を一方の開口部から空気で加圧し、中空糸膜外側の他方の開口部を封止する。開口部よりエアーが出ていなければ、リーク無しと判断した。
また、作製された中空糸膜モジュール1について、性能(RO性能)確認試験を行った。具体的には、中空糸膜モジュール1を用いてRO試験(中空糸膜外側の圧力:5.0MPa,中空糸膜外側の流入口101aにおける試験液のNaCl濃度:35000mg/L,対象溶液の温度:25℃,回収率(RR):10%)を行い、透過水量(FR)および塩除去率(Rj)が、中空糸膜(HF)の性能基準から逸脱していないことを確認した。例えば、通常の逆浸透膜を基準と考えた場合、FRは好ましくは45L/m/日以上である。また、Rjは好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上である。
上記のようにして性能に問題ないことが確認された中空糸膜モジュール1(図5に示されるようなSUS製の容器内に中空糸膜が収容されたモジュール)を使用して、実施形態で説明された所定の膜分離方法を実施するBC試験を行った。
中空糸膜の内側および外側への送液には、液体クロマトグラフィー用のポンプ32,33を使用した。中空糸膜内側の流入口(第2液流入口101a)における圧力が0.1MPaとなり、中空糸膜外側の流入口(第1液供給口100a)における流量が40mL/min、圧力が5.0MPaとなるように、ポンプ32,33の運転条件を設定した。
ポンプ32,33の運転開始時は、第1液および第2液(第1液および第2液は同じ液であり、それらの浸透圧差は0MPaである)として供給されるタンク34内の液の濃度は10質量%に調整し、ポンプの運転開始から10分後までにタンク34に濃塩水を添加し、タンク34内の液の濃度を15質量%とした。15質量%に達した時点を0時間(BC試験開始時)とし、連続的にBC試験を実施した。BC試験の実施中、中空糸膜内側の流入口(第2液流入口101a)における圧力は0.1MPaに維持され、中空糸膜外側の流出口(第1液排出口100b)における圧力は0.00MPaとなるように維持された。また、タンク34内の液の温度は25±1℃に維持した。温度変化が大きくなると流量変化が生じるため好ましくない。
なお、図5に示されるように、中空糸膜外側の流入口100aに供給される第1液と中空糸膜内側の流入口101aに供給される第2液はタンク34から供給される同じ液であり、中空糸膜モジュール1で濃縮された第1液と希釈された第2液とはタンク34で混合され、再度同じ液として中空糸膜外側の流入口100aと中空糸膜内側の流入口101aとに供給される。
BC試験開始から1、24、48、72および96時間経過後における中空糸膜の内径収縮率を測定した。具体的には、各時間において、中空糸膜内側の流入口101aにおける流量と流出口101bにおける流量とを測定し、中空糸膜内側の流入口101aにおける流量と流出口101bにおける流量との平均値(中空糸膜内平均流量)を算出する。
次に、BC試験開始から1時間後の中空糸膜内平均流量に対する各時間の中空糸膜内平均流量の比率を中空糸膜内平均流量の減少率として算出した。図4に、実施例1、2および比較例2の中空糸膜について、BC試験開始からの経過時間と中空糸膜内の平均流量の変化比率との関係をグラフで示す。なお、BC試験開始から1時間後の中空糸膜の内径を減少率の基準としたのは、1時間経過した場合、膜内の濃度分布等が十分に安定していると考えられるからであり、便宜上、BC試験開始から1時間後の中空糸膜の内径を中空糸膜の使用開始時の内径とみなしたからである。
実施形態で説明したように、Hagen-poiseuille式より、中空糸膜内平均流量の減少率から、内径(ID)収縮率を算出した。
なお、比較例4〜6の中空糸膜については、5.0MPaの耐圧性を有していないため、BC試験を実施することができなかった。
表1には、参考として、240時間経過後の中空糸(膜)の内側および外側の流入口での流量および圧力と、中空糸(膜)内側の送液に必要なエネルギー(比較例1に対する比率)を併せて示す。
Figure 2020175375
表1および図4に示される結果から、比較例の中空糸膜を用いた場合、同一圧力下における中空糸膜内平均流量は、BC試験により経時的に低下し、中空糸膜の内径が経時的に減少することが分かる。ここで、比較例について、96時間使用された後の中空糸膜の内径の収縮率は、使用開始時の内径に対して9%以上であった。
これに対して、実施例の中空糸膜を用いた場合、同一圧力下における中空糸膜内平均流量の経時的な低下は比較例よりも少なく、中空糸膜の内径の経時的な減少が抑制されていることが分かる。そして、実施例について、96時間使用された後の中空糸膜の内径の収縮率は、使用開始時の内径に対して9%未満であり、比較例に対して中空糸膜の内径の経時的な収縮が抑制されていることが分かる。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 中空糸膜モジュール、10 中空糸膜、10a 第1開口部、10b 第2開口部、11 第1室、12 第2室、13,14 壁部材、100 中空糸膜の外側、100a 第1液供給口、100b 第1液排出口、101a 第2液供給口、101b 第2液排出口、2 芯管、21 孔、30,32,33 ポンプ、31 高圧ポンプ、34 タンク、4 分流弁、62 保持部材、62a O−リング、61 樹脂壁、7 圧力容器、80 原料溶液、81 ノズル、82,83,84,85 ローラー、86 中空糸膜、91 凝固液、92 熱水、93 塩水。

Claims (11)

  1. 中空糸型の半透膜である中空糸膜であって、
    所定の膜分離方法に96時間使用された後の前記中空糸膜の内径の収縮率が、使用開始時の内径に対して0.1%以上9%未満であり、
    前記所定の膜分離方法は、前記中空糸膜と、前記中空糸膜で仕切られた第1室および第2室と、を有する中空糸膜モジュールを用いて、第1液を第1圧力で前記第1室に流し、第2液を前記第1圧力よりも低い第2圧力で前記第2室に流すことで、前記第1室内の前記第1液に含まれる溶媒を前記中空糸膜を介して前記第2室内の前記第2液に移行させ、前記第1室から濃縮された前記第1液である濃縮液を排出し、前記第2室から希釈された前記第2液である希釈液を排出し、
    前記中空糸膜の外側の空間が前記第1室であり、前記中空糸膜の内側の空間が前記第2室であり、
    前記第1圧力が5.0MPaであり、前記第2圧力が一定であり、
    前記第1液と前記第2液の浸透圧差が0MPaである、中空糸膜。
  2. 前記中空糸膜の内径が40μm以上200μm以下である、請求項1に記載の中空糸膜。
  3. 前記中空糸膜のラマン値が72%以上90%以下である、請求項1または2に記載の中空糸膜。
  4. 前記中空糸膜の断面内形が三角形状である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空糸膜。
  5. セルロース系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびポリアミド系樹脂の少なくともいずれかを含む材料から構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空糸膜。
  6. 前記中空糸膜と、前記中空糸膜で仕切られた第1室および第2室と、を有する中空糸膜モジュールを用いて、第1液を第1圧力で前記第1室に流し、第2液を前記第1圧力よりも低い第2圧力で前記第2室に流すことで、前記第1室内の前記第1液に含まれる溶媒を前記中空糸膜を介して前記第2室内の前記第2液に移行させ、前記第1室から濃縮された前記第1液である濃縮液を排出し、前記第2室から希釈された前記第2液である希釈液を排出し、前記第1液と前記第2液の浸透圧差が4MPa以下である、膜分離方法に用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空糸膜。
  7. 原料溶液をノズルから空中走行部を経て凝固液中に吐出して、前記原料溶液の凝固物を前記凝固液中から曳き出すことにより、中空糸型の半透膜である中空糸膜を得る、紡糸工程と、
    前記紡糸工程で得られた中空糸膜を水洗した後に、熱水処理および塩漬処理に供する、後処理工程と、
    を含む中空糸膜の製造方法であって、
    前記原料溶液は溶媒および非溶媒を含み、前記原料溶液中の溶媒/非溶媒の質量比が50/50〜70/30であり、
    前記紡糸工程において、前記ノズルの出口における原料溶液の吐出速度に対する曳き出し速度の比率である延伸倍率が2.1〜5.0であり、
    前記塩漬処理の温度が70℃以上95℃以下である、製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により製造される中空糸膜。
  9. 請求項1〜6および8のいずれか1項に記載の中空糸膜と、前記中空糸膜で仕切られた第1室および第2室と、を有する、中空糸膜モジュール。
  10. 請求項9に記載の中空糸膜モジュールを備える膜分離装置であって、
    前記第1液を第1圧力で前記第1室に流し、前記第2液を前記第1圧力よりも低い第2圧力で前記第2室に流すことで、前記第1室内の前記第1液に含まれる溶媒を前記中空糸膜を介して前記第2室内の前記第2液に移行させ、前記第1室から濃縮された前記第1液である濃縮液を排出し、前記第2室から希釈された前記第2液である希釈液を排出し、
    前記中空糸膜の外側の空間が前記第1室であり、前記中空糸膜の内側の空間が前記第2室であり、
    前記第1液と前記第2液の浸透圧差が4MPa以下である、膜分離装置。
  11. 請求項9に記載の中空糸膜モジュールを用いる膜分離方法であって、
    前記第1液を第1圧力で前記第1室に流し、前記第2液を前記第1圧力よりも低い第2圧力で前記第2室に流すことで、前記第1室内の前記第1液に含まれる溶媒を前記中空糸膜を介して前記第2室内の前記第2液に移行させ、前記第1室から濃縮された前記第1液である濃縮液を排出し、前記第2室から希釈された前記第2液である希釈液を排出し、
    前記中空糸膜の外側の空間が前記第1室であり、前記中空糸膜の内側の空間が前記第2室であり、
    前記第1液と前記第2液の浸透圧差が4MPa以下である、膜分離方法。
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