JPWO2020149380A1 - プレス成形品の製造方法、及びプレスライン - Google Patents

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Abstract

プレス成形品の製造方法は、板材Bの板厚を取得すること、ダイ6、パンチ7、ダイ6及びパンチ7の両方に対して相対移動可能な可動金型により板材Bをプレス成形品にプレス成形することを、含む。プレス成形では、板材Bの板厚に基づき、可動金型のダイ6又はパンチ7に対する初期位置を制御する。

Description

本発明は、プレス成形品の製造方法、及びプレスラインに関する。
プレス成形において、金型の一部を可動とし、プレス成形品の寸法精度を向上させる技術がある。例えば、特許第6179696号公報(特許文献1)には、ダイパッドを備えたダイと、ダイと対向して配置され且つインナパッドを備えたパンチと、を含んで構成されたプレス装置が開示されている。
特許第6179696号公報
プレス成形では、予め設定されたプレス条件で同一の製造ロット内の全ての板材をプレス成形される。すなわち、最初のプレス成形品の形状の狙い形状からのずれが公差内に入っていれば、最初のプレス成形品のプレス条件と同じプレス条件で後続のプレス成形も行われる。
発明者らは、複数の板材の特性にばらつきがある場合、最初にプレス成形したプレス成形品の形状が所望の形状であったとしても、後にプレス成形するプレス成形品が所望の形状にならない場合があることに気づいた。
そこで、本発明は、複数のプレス成形品の形状の狙い形状からのずれ又はばらつきを小さくできるプレス成形品の製造方法、及びプレスラインを提供することを目的とする。
本発明の実施形態におけるプレス成形品の製造方法は、1又は複数のプレス対象の板材の板厚を、板材ごとに個別に取得することと、ダイと、パンチと、前記ダイ及び前記パンチの両方に対して相対位置を変更可能な可動金型により前記板材をプレス成形品にプレス成形することを、含む。前記プレス成形では、前記板材の板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御する。
本発明の実施形態によれば、複数のプレス成形品の形状の狙い形状からのずれ又はばらつきを小さくできる。
本実施形態におけるプレスラインの構成例を示す図である。 可動金型を有するプレス装置の構成例を示す斜視図である。 パンチと板材の配置例を示す図である。 板材に厚肉部と薄肉部が含まれる場合の板厚の測定位置とパンチ側インナパッドの配置例を示す図である。 プレス成形の例を示す図である。 プレス成形の例を示す図である。 プレス成形の例を示す図である。 プレス成形の例を示す図である。 プレス成形品の一例を示す断面図である。 コントローラーの動作例を示すフロー図である。 可動部の突出し量とプレス成形品の形状との相関関係の一例を示すグラフである。 可動部の適切突出し量と板厚との関係の一例を示すグラフである。 板厚に基づくフィードフォワード制御をしない場合の、板厚、突出し量、及びフランジの位置精度を示すグラフである。 板厚に基づくフィードフォワード制御をした場合の、板厚、突出し量、及びフランジの位置精度を示すグラフである。
発明者らは、複数の板材の板厚が微妙に異なる場合に、それらの複数の板材をプレス成形してできる複数のプレス成形品の形状も微妙に異なる場合があることを認識した。そこで、複数の板材の板厚のばらつきに起因するプレス成形品の形状のばらつきを抑える方法を検討した。鋭意検討の結果、板材の板厚に基づいて、可動金型のダイ又はパンチに対する相対位置を制御することで、板厚のばらつきに起因するプレス成形品の形状のばらつきを抑えられることに想到した。この知見に基づき、下記の実施形態に想到した。
(方法1)
本発明の実施形態におけるプレス成形品の製造方法は、1又は複数のプレス対象の板材の板厚を、板材ごとに個別に取得することと、ダイと、パンチと、前記ダイ及び前記パンチの両方に対して相対位置を変更可能な可動金型により前記板材をプレス成形品にプレス成形することを、含む。前記プレス成形では、前記板材の板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御する。
上記製造方法によれば、板材の板厚に応じて、プレス成形時の可動金型のダイ又はパンチに対する初期位置が制御される。この初期位置の制御によって、プレス成形品の形状が板材の板厚に応じて調整される。そのため、複数の板材の板厚のばらつきに起因する複数のプレス成形品の形状の狙い形状からのずれ又はばらつきを抑制することができる。なお、プレス対象の板材は、例えば、平らな板であるブランクであってもよいし、又はブランクを成形した中間成形品であってもよい。
一例として、パンチは、ダイに向かって突出する凸部を含む。ダイは、パンチの凸部に対応する凹部を含む。可動金型は、例えば、パンチの凸部及びダイの凹部の少なくとも一方に設けられる。可動金型の一例である第1インナパッドは、パンチの凸部の頂部に設けられる。第1インナパッドは、パンチの頂部からダイに向かって突出可能、且つパンチの頂部に収納可能に設けられる。可動金型の一例であるダイパッドは、ダイの凹部の底部に設けられる。ダイパッドは、ダイの凹部の底部からパンチに向かって突出可能に設けられる。
可動金型の初期位置は、複数のプレス成形の各々の初期における可動金型のダイ又はパンチに対する相対位置である。各プレス成形において、初期位置にある可動金型が板材に接した状態からダイとパンチを相対的に近づけることで、プレス成形が行われる。可動金型の初期位置は、ダイとパンチを相対的に近づける動作の前の可動金型の位置である。
例えば、可動金型は、プレス成形中に、プレス成形品(完成品)の製品となる部分に接してもよい。この場合、可動金型は、プレス成形品(完成品)の製品の形状をコントロールすることになる。可動金型の初期位置により、プレス成形品の製品の部分の微妙な形状をコントロールできる。
可動金型は、1回のプレス成形中に、ダイ又はパンチに対して相対移動するものであってもよい。このタイプの可能金型の例として、パンチパッド(インナパッド)、ダイパッド、ブランクホルダ等が挙げられる。或いは、可動金型は、1回のプレス成形中にダイ又はパンチに対する相対位置が固定されるものであってもよい。すなわち、可動金型は、1回のプレス成形中に、ダイ又はパンチに対して移動しない(動作しない)ものであってもよい。なお、1回のプレス成形は、1つのプレス成形品を作るために1組のダイ、パンチ及び可動金型のセットによって行われるプレス成形である。
(方法2)
上記方法1において、前記プレス成形は、複数の板材を連続してプレス成形することを含んでもよい。連続する複数のプレス成形の少なくとも1回において、前記板材の板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御してもよい。これにより、連続する複数のプレス成形で作製される複数のプレス成形品において、板厚のばらつきに起因するプレス成形品の形状のばらつきを抑えることができる。
(方法3)
上記方法1又は2において、前記板厚の取得は、1枚の板材の複数の位置における板厚を取得することを含んでもよい。前記1枚の板厚のプレス成形において、前記1枚の板材の複数の位置における板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御してもよい。これにより、1枚の板材における板厚の違いを、可動金型の初期位置に反映させることができる。そのため、1枚の板における板厚の違いに起因するプレス成形品の狙い形状からのずれやばらつきを抑えることができる。
(方法4)
上記方法3において、前記可動金型は、互いに独立して位置を変更可能な複数の可動金型部を含んでもよい。前記板厚の取得は、1枚の板材の前記複数の可動金型部に対応する複数の位置における板厚を取得することを含んでもよい。前記1枚の板厚のプレス成形において、前記複数の可動金型部の各々の前記初期位置を、前記1枚の板材の複数の位置のうち対応する位置の板厚に基づいて制御してもよい。これにより、板厚を取得した位置に対応する可動金型部の初期位置をその板厚に基づいて制御することができる。そのため、1枚の板における板厚の違いをより細かく可動金型へ反映させることができる。
(方法5)
上記方法1〜4のいずれかにおいて、前記プレス成形において、前記板材の前記板厚を測定した箇所と前記ダイが摺動するようにしてもよい。板材の中で、プレス成形でダイと摺動する部分の板厚は、プレス成形品の形状に影響しやすいことを発明者らは見いだした。上記方法2では、板材のダイと摺動する部分の板厚を測定し、測定された板厚に基づき可動金型の初期位置を制御することができる。これにより、プレス成形品の形状に影響しやすい箇所の板厚に基づいて可動金型の初期位置が制御される。そのため、複数のプレス成形品の形状のばらつきをより抑制することができる。
(方法6)
上記方法5において、前記可動金型は、前記パンチの頂部に設けられた第1インナパッドを含んでもよい。前記プレス成形において、前記パンチのパンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第1インナパッドを含む断面内に、前記板材の板厚を測定した箇所があるようにしてもよい。
上記方法5により、よりプレス成形品の形状に影響を及ぼしやすい板材の箇所の板厚に基づいて、第1インナパッドのパンチからの出し代を制御できる。そのため、複数のプレス成形品の形状のばらつきをより抑制することができる。
(方法7)
上記方法5において、前記可動金型は、前記パンチの頂部に設けられた第1インナパッド及び第2インナパッドを含んでもよい。前記板材は厚肉部と厚肉部より板厚が薄い薄肉部を備えた差厚金属板であってもよい。前記板材の板厚の取得は、前記厚肉部の板厚と前記薄肉部の板厚の取得を含んでもよい。前記プレス成形において、前記パンチのパンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第1インナパッドを含む断面内に、前記厚肉部の板厚を取得した箇所があり、前記プレス成形において、前記パンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第2インナパッドを含む断面内に、前記薄肉部の板厚を取得した箇所があるようにしてもよい。この場合、前記プレス成形では、前記厚肉部の板厚に基づき、前記第1インナパッドの前記パンチに対する初期位置を制御し、前記薄肉部の板厚に基づき、前記第2インナパッドの前記パンチに対する初期位置を制御することができる。
上記方法4により、厚肉部と薄肉部を有する板材のプレス成形において、よりプレス成形品の形状に影響を及ぼしやすい板材の箇所の板厚に基づいて、第1インナパッド及び第2インナパッドのパンチに対する初期位置を制御できる。
(方法8)
上記方法5において、前記可動金型は、前記パンチの頂部に設けられた第1インナパッド及び第2インナパッドを含んでもよい。前記板材は、高強度部と、前記高強度部より強度が低い低強度部とを含んでもよい。前記板材の板厚の取得は、前記高強度部の板厚と前記低強度部の板厚の取得を含んでもよい。前記プレス成形において、前記パンチのパンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第1インナパッドを含む断面内に、前記高強度部の板厚を取得した箇所があり、前記プレス成形において、前記パンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第2インナパッドを含む断面内に、前記低強度部の板厚を取得した箇所があってもよい。この場合、前記プレス成形では、前記高強度部の板厚に基づき、前記第1インナパッドの前記パンチに対する初期位置を制御し、前記低強度部の板厚に基づき、前記第2インナパッドの前記パンチに対する初期位置を制御することができる。
上記方法5により、高強度部と低強度部を有する板材のプレス成形において、よりプレス成形品の形状に影響を及ぼしやすい板材の箇所の板厚に基づいて、第1インナパッド及び第2インナパッドのパンチに対する初期位置を制御できる。
(方法9)
上記方法1〜8のいずれかにおいて、前記プレス成形は、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する相対位置を前記初期位置に固定した状態で、前記ダイ及び前記パンチを相対的に近づけて前記板材をプレス成形する第1プレス工程と、前記可動金型を前記ダイ又は前記パンチに収納しながら、前記ダイ及び前記パンチを相対的に近づけて前記板材をプレス成形する第2プレス工程と、を含んでもよい。前記プレス成形では、前記板材の前記板厚に基づき、前記可動金型の前記初期位置を制御してもよい。
発明者らは、可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する相対位置を初期位置に固定して、ダイ及びパンチを相対的に近づけて板材をプレス成形する第1プレス工程における可動金型の初期位置が、プレス成形品の形状により影響を及ぼすことを見いだした。上記方法9では、この第1プレス工程における可動金型の初期位置を、板材の板厚に応じて制御できる。これにより、複数のプレス成形品の形状のばらつきをより抑制することができる。
上記方法9において、前記第1プレス工程及び第2プレス工程の少なくとも一方において、前記板材の前記板厚を取得した箇所と前記ダイが摺動するようにしてもよい。これにより、プレス成形品の形状に影響しやすい箇所の板厚に基づいて可動金型の初期位置が制御される。
上記方法1〜9のいずれかにおいて、板材の板厚に基づいて制御される可動金型の初期位置は、例えば、パンチの頂部に設けられた第1インナパッド及び/又は第2インナパッドのパンチからの出し代としてもよい。この出し代は、例えば、第1インナパッド及び/又は第2インナパッドのパンチに対する突出し量としてもよい。これにより、複数のプレス成形品の形状のばらつきを効率よく抑制することができる。
(方法10)
上記方法1〜9のいずれかにおいて、前記板材で最も強度が高い部分の引張強さは、980MPa以上であってもよい。板材が、980MPa以上の高強度である場合、板厚のばらつきが、低強度の場合に比べて大きくなる可能性があることが発明者らによって見出されている。980MPa以上の強度を持つ板材に上記方法1〜9のいずれかを適用することより、このような高強度の板材のプレス成形において、プレス成形品の狙い形状からのずれ又はばらつきを抑えることができる。板材は、金属板とすることができる。一例として、板材は鋼板であってもよい。
本発明の他の実施形態におけるプレス成形品の製造方法は、プレス対象の板材の板厚を測定することと、ダイと頂部に第1インナパッドを備えたパンチにより前記板材をプレス成形品にプレス成形することを、含む。前記プレス成形では、前記板材の板厚に基づき、前記第1インナパッドの前記パンチからの出し代を制御する。
(構成1)
本発明の実施形態におけるプレスラインは、1又は複数のプレス対象の板材の板厚を、板材ごとに個別に取得する板厚取得装置と、ダイとパンチと前記パンチ及び前記ダイの両方に対して相対移動可能な可動金型を備えたプレス装置と、前記プレス装置を制御するコントローラーとを備える。前記コントローラーは、前記ダイ、前記パンチ及び前記金型による前記板材のプレス成形において、前記板厚取得装置が取得した前記板材の板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御する。
上記構成1によれば、個々の板材の板厚に応じて、個々の板材のプレス成形時の可動金型のダイ又はパンチに対する初期位置が制御される。この初期位置の制御によって、プレス成形品の形状が板材の板厚に応じて調整される。そのため、複数の板材の板厚のばらつきに起因する複数のプレス成形品の形状の狙い形状からのずれ又はばらつきを抑制することができる。
(構成2)
上記構成1において、前記板厚取得部は、前記板材の板厚を測定する板厚測定装置であってもよい。これにより、プレス対象の板材の個別の板厚を効率よく取得することができる。
(構成3)
上記構成2において、前記板厚測定装置による前記板厚の測定箇所は、前記パンチのパンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記可動金型を含む面内にあるようにしてもよい。これにより、板厚を測定した箇所に対応する可動金型の初期位置を制御できる。
(構成4)
本発明の実施形態におけるプレスラインは、ダイと、パンチと、前記ダイ及び前記パンチの両方に対して相対移動可能な可動金型を備えたプレス装置と、板厚測定装置と、前記板厚測定装置から前記プレス装置へプレス対象の板材を搬送可能な搬送装置と、前記板厚測定装置と前記プレス装置に接続されたコントローラーとを備える。前記搬送装置の搬送方向と平行な線上に、前記可動金型と、前記板厚測定装置とが配置されている。
上記構成4において、搬送方向に平行な線上に、可動金型と、前記板厚測定装置とが配置されていることは、板厚測定装置によって測定される板材の位置と、可動金型とが搬送方向に平行な線上に並んでいるということである。この構成により、プレス装置によるプレス成形で可動金型が接する板材の部分から搬送方向に広がる板材の領域における板厚が測定できる。コントローラーは、板厚測定装置とプレス装置に接続されるため、板厚測定装置で測定された板厚を用いて、プレス装置のプレス成形における可動金型のダイ又はパンチに対する初期位置を制御できる。プレス成形品の形状に影響を及ぼしやすい板材の箇所の板厚に基づいて、プレス成形における可動金型の初期位置を制御できる。そのため、複数の板材の板厚のばらつきに起因する複数のプレス成形品の形状の狙い形状からのずれ又はばらつきを抑制することができる。
板厚測定装置は、プレス装置の上流で搬送される板材の板厚を測定可能に構成される。コントローラーは、板厚測定装置で測定された板材の板厚に基づいて、当該板材をプレス成形する際の可動金型のダイ又はパンチに対する初期位置を制御する。例えば、コントローラーは、可動金型のダイ又はパンチに対する相対位置(例えば、突出し量)を初期位置に固定した状態でダイ及びパンチを相対的に近づけて板材をプレス成形する際の、上記初期位置を、板厚に基づいて決定してもよい。
コントローラーは、プロセッサ及び記憶装置を有してもよい。プロセッサは、記憶装置に格納されたプログラムを実行する。プログラムは、板厚測定装置で測定された板材の板厚に基づいて、当該板材をプレス成形する際の可動金型のダイ又はパンチに対する初期位置を制御する処理をプロセッサに実行させるプログラムであってもよい。
(構成5)
上記構成4において、前記板厚測定装置は、第1の箇所と第2の箇所の板厚を測定可能であってもよい。前記可動金型は、前記パンチの頂部に設けられた第1インナパッド及び第2インナパッドを含んでもよい。前記第1インナパッドと前記第1の箇所は、前記搬送装置の搬送方向と平行な線上に配置されていてもよい。前記第2インナパッドと前記第2の箇所は、前記搬送装置の搬送方向と平行な線上に配置されていてもよい。
上記構成5では、複数の板厚測定装置によって測定される板材の第1の箇所と第1インナパッドが、搬送方向に平行な線上に並び、第2の箇所と第2インナパッドが搬送方向に平行な線上に並ぶ。これにより、複数の板材の測定位置それぞれに対応する第1インナパッド及び第2インナパッドを各測定位置の板厚に応じて制御することが可能になる。
[実施形態]
(プレスライン)
図1は、本実施形態におけるプレスライン100の構成例を示す図である。図1に示すプレスライン100は、搬送装置4と、中間成形用プレス装置3と、プレス装置5と、板厚測定装置10と、コントローラー11を備える。板厚測定装置10は、プレス装置5の上流に配置される。板厚測定装置10は、プレス装置5でプレスされる対象の板材Bの板厚を測定する。搬送装置4は、ブランクAを中間成形用プレス装置3へ搬送する。また、搬送装置4は、板厚測定装置10からプレス装置5へ板材Bを搬送する。すなわち、搬送装置4は、板厚測定装置10が板材の板厚を測定する位置からプレス装置5へ板材を搬送する。
搬送装置4は、例えば、プレス装置5へ至る搬送路を有するコンベアであってもよい。この場合、搬送装置4の搬送路は、板厚測定装置10の測定領域を通るよう配置される。なお、搬送装置4は、コンベアに限られない。例えば、搬送装置4は、多関節ロボットで構成されたマニピュレータであってもよい。この場合、マニピュレータは、プレス装置5の上流に配置された材料テーブル、あるいは金型上に載置された板材をプレス装置5へ搬送する。板厚測定装置10は、材料テーブル上、あるいはマニピュレータで搬送中の板材の板厚を測定可能に配置される。なお、搬送装置4は、無人運転又は有人運転のフォークリフトであってもよい。
板厚測定装置10が板材1の板厚を測定する場所は、図1に示す例に限られない。板厚測定装置10は、プレス装置5でプレス成形される前の板材の板厚を測定する。例えば、搬送装置4の他、中間成形用プレス装置3又はプレス装置5において、板材の板厚が測定されてもよい。
プレス装置5は、板材Bをプレス成形してプレス成形品Cにする。プレス装置5は、金型として、ダイ6、パンチ7、ダイ側パッド8、パンチ側インナパッド9を有する。ダイ側パッド8、パンチ側インナパッド9は、ダイ6及びパンチ7の両方に対して相対位置を変化させることができる。プレス装置5は、ダイ6とパンチ7の間に板材Bを配置して、ダイ6とパンチ7の両方から板材Bを押すことで、板材Bをプレス成形する。
具体的には、プレス装置5は、ダイ6とパンチ7との相対的な移動によってダイ6の内側にパンチ7を押し込みながら、ダイ6とパンチ7との間で板材Bをプレス成形する。1つのプレス成形品を作るためのプレス成形工程には、パンチ側インナパッド9が板材Bに接し且つパンチ側インナパッドとパンチ7との相対位置を設定位置(初期位置)に固定した状態で、ダイ6とパンチ7を相対的に近づけて、ダイ6とパンチ7とにより板材Bを押す工程(第1プレス工程)が含まれる。さらに、このプレス成形工程には、パンチ側インナパッド9をパンチ7に収納しながら、ダイ6及びパンチ7を相対的に近づけて板材をプレス成形する工程(第2プレス工程)が含まれる。
板厚測定装置10は、プレス対象の板材の板厚を測定する。プレス対象の板材は、例えば、プレス装置5によるプレス成形前のブランク、あるいは中間成形品である。図1は、中間成形品Bの板厚を測定する例を示す。図1において、例えば、中間成形用プレス装置3を省略してもよい。この場合、板厚測定装置10は、ブランクAの板厚を測定する。
板厚測定装置10は、例えば、板材の側面から光学センサを用いて、板材の板厚を測定する構成であってもよい。また、板厚測定装置10は、例えば、レーザー変位計を板材の表裏の両面から形状を計測することで、板材の板厚を測定する構成であってもよい。板厚測定装置10は、例えば、板材の表面の法線方向の厚みを、板材の板厚として測定してもよい。板厚測定装置10の測定態様は、特定のものに限定されない。上記例の他、例えば、板材の表裏の両面から渦電流計からの距離を測定することで、間接的に板厚を測定することもできる。
コントローラー11は、プレス装置5及び板厚測定装置10と接続される。ここで、コントローラー11とプレス装置5及び板厚測定装置10との接続は、有線であっても無線であってもよい。コントローラー11は、プレス装置5及び板厚測定装置10と通信可能である。なお、コントローラー11は、プレス装置5又は板厚測定装置10に内蔵されてもよいし、これらとは独立した機器であってもよい。
コントローラー11は、例えば、プロセッサ11a及び記憶装置11b(メモリ)を備えるコンピュータで構成することができる。プロセッサ11aが、記憶装置11bに格納されたプログラムを実行することにより、コントローラー11の以下の機能を実現することができる。コントローラー11は、板厚測定装置10で計測された板材の板厚に関するデータを用いて、プレス成形におけるダイ側パッド8、パンチ側インナパッド9のダイ6又はパンチ7に対する相対位置を制御する。具体的には、コントローラー11は、板厚測定装置10で計測された板材の板厚に関するデータに基づき、ダイ側パッド8、パンチ側インナパッド9のダイ6又はパンチ7に対する相対位置を設定する。
ここで、コントローラー11により設定される相対位置は、例えば、パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代を設定量に固定した状態でダイ6及びパンチ7を相対的に近づけてプレス成形する際(上記第1プレス工程)の上記設定量(すなわち、初期位置)とすることができる。すなわち、この第1プレス工程における設定量が、コントローラー11により制御される。
コントローラー11は、例えば、予め記憶装置11bに記録された板厚と可動金型のダイ又はパンチに対する初期位置(例えば、パンチ側インナパッドのパンチからの出し代)との対応を示す対応データを用いて、測定された板厚に応じた可動金型の初期位置(パンチ側インナパッドのパンチからの出し代)の制御を決定することができる。対応データは、プレス成形時(例えば、第1プレス工程における)の可動金型の初期位置(パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代)と、板材の板厚との対応関係を示すデータである。具体的には、対応データは、測定により得られる板材の板厚を示す値と、プレス成形における可動金型の初期位置(パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代)を制御する値との対応関係を示すデータであってもよい。対応データのデータ形式は、特に限定されない。対応データは、板材の板厚を示す値と、可動金型(パンチ側インナパッド9)を制御するための値とを対応付けるデータ(例えば、テーブルデータ、マップデータ等)であってもよい。又は、対応データは、板材の板厚を示す値を用いて、可動金型の初期位置(パンチ側インナパッドのパンチからの出し代)を制御するための値を算出するプロセッサの処理手順を示すデータ(例えば、関数、プログラム又はこれらのパラメータ等)であってもよい。対応データは、例えば、過去に測定された複数の板材の板厚とそれらの板材をプレス成形した時の可動金型の初期位置と、プレス成形により得られたプレス成形品の形状とに基づいて、作成することができる。
例えば、コントローラー11は、板厚測定装置10から、板材の板厚を示すデータを取得する。コントローラー11は、対応データを用いて、板材の板厚を示す値を、可動金型のダイ又はパンチに対する初期位置(パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代)を示す制御値に変換する。コントローラー11は、プレス成形時の可動金型の初期位置(パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代)が、制御値の示す出し代になるようにプレス装置5を制御する。
プレス装置5は、例えば、製造ロットに含まれる複数の板材Bに対して、プレス成形を繰り返し、複数のプレス成形品を製造する。複数の板材それぞれのプレス成形において、コントローラー11が、可動金型の初期位置(パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代)を設定してもよい。コントローラー11は、ある1つの板材Bのプレス成形における可動金型の初期位置(パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代)を設定するのに、その板材Bの板厚を示すデータを用いる。これにより、板材の板厚に応じた、可動金型の初期位置(パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代)のフィードフォワード制御が可能になる。
(プレス装置及び板厚測定装置の構成例)
図2は、可動金型を有するプレス装置5の構成例を示す斜視図である。図2に示す例では、可動金型は、凹部を有するダイ6と、ダイ6の凹部に対応する凸部を有するパンチ7と、ダイ6及びパンチ7に対して相対的に移動可能なダイ側パッド8及びパンチ側インナパッド9を含む。ダイ側パッド8は、ダイ6の凹部の一部を形成し、ダイ6の凹部に対して、パンチ7側へ突出可能である。パンチ側インナパッド9は、パンチ7の凸部の一部を形成し、パンチ7の凸部に対してダイ6側へ突出可能である。
板材Bは、ダイ6とパンチ7の間に搬送される。板材Bの搬送方向Fは、パンチ7の凸部の稜線7bの延在方向に対して略垂直である。このパンチ7の凸部の稜線7bは、プレス成形時に板材Bに接する。パンチ7の凸部の稜線7bは、パンチ肩の稜線である。図2に示す例では、パンチ側インナパッド9は複数設けられる。複数のパンチ側インナパッド9は、板材の搬送方向に垂直な方向に互いに間隔をあけて配置される。言い換えれば、複数のパンチ側インナパッド9は、パンチ7の凸部の稜線7bの延在方向に互いに間隔をあけて配置される。パンチ側インナパッド9の稜線9bの方向は、パンチ7の凸部の稜線7bの方向と同じである。本例では、パンチ側インナパッド9は、パンチ7の搬送方向に垂直な方向の全体ではなく一部に設けられる。複数のパンチ側インナパッド9のうち任意の2つは、第1インナパッド及び第2インナパッドの一例である。さらに、第1インナパッド及び第2インナパッドは、複数の可動金型部の一例である。
ダイ側パッド8は、複数設けられる。複数のダイ側パッド8は、複数のパンチ側インナパッド9に対応する位置にそれぞれ設けられる。複数のダイ側パッド8は、板材の搬送方向に垂直な方向に互いに間隔をあけて配置される。ダイ側パッド8は、ダイ6の搬送方向に垂直な方向の全体ではなく一部に設けられる。
図2に示す例では、パンチ側インナパッド9と板厚測定装置10は、板材の搬送方向Fと平行な線L1上に配置される。すなわち、板厚測定装置10の測定位置Pと、パンチ側インナパッド9が、搬送方向Fと平行な線L1上に配置される。図3Aは、パンチ7と板材Bの上から見た配置例を示す図である。図3Aに示すように、パンチ側インナパッド9を搬送方向の上流に延長した領域に、板厚測定装置10の測定位置Pが配置される。換言すると、板材が可動金型に引き込まれる方向に可動部(パンチ側インナパッド)9と板材Bの板厚測定位置Pが並んでいる。
図2に示す構成においては、パンチ7のパンチ肩の稜線7bに垂直であり且つパンチ側インナパッド9の各々を含む断面内に、それぞれ、板材Bの板厚を測定した箇所がある。パンチ7のパンチ肩の稜線7bは、プレス時に、板材が接するパンチ肩により形成される稜線である。図2に示す例では、パンチ7のパンチ肩の稜線7bは、板材Bの搬送方向に延びている。パンチ肩の稜線7bの延在方向は、ダイ6のダイ肩(ダイの凹部の縁)の稜線の延在方向と略平行である。以下の説明では、パンチ肩の稜線7bに垂直な断面を、ダイ肩の稜線に垂直な断面に置き換えてもよい。
図2に示す例では、複数のパンチ側インナパッド9に対応する複数の板厚測定装置10が設けられる。複数のパンチ側インナパッド9と複数の板厚測定装置10による板厚の測定箇所はそれぞれ、搬送方向に平行な線L1上に並んで配置される。図2に示す例では、複数のパンチ側インナパッド9の全てに対応する板厚測定装置10の板厚測定箇所が設けられる。パンチ側インナパッド9の数と板厚測定装置10の板厚測定箇所の数は、同じでなくてもよい。複数のパンチ側インナパッド9の一部に対応して板厚測定装置10の板厚測定箇所が設けられてもよい。また、1台の板厚測定装置10で、複数箇所の板厚を測定する構成であってもよい。
例えば、板材が、厚肉部と薄肉部を有する差厚金属板である場合、板厚測定装置10は、厚肉部及び薄肉部それぞれの板厚を測定するよう構成してもよい。この場合、パンチ肩の稜線7bに垂直且つ複数のパンチ側インナパッド9のそれぞれを含む断面内に、厚肉部の板厚測定箇所及び薄肉部の板厚測定箇所があるように構成してもよい。例えば、図2に示す構成において、複数の板厚測定装置10が、厚肉部を測定するものと、薄肉部を測定するものを含むようにしてもよい。
また、複数のパンチ側インナパッド9のうち一部のパンチ側インナパッド9(第1インナパッドの一例)を含み、パンチ肩の稜線7bに垂直な断面内に、板材Bの厚肉部における測定箇所があり、複数のパンチ側インナパッド9のうち他の一部のパンチ側インナパッド9(第2インナパッドの一例)を含み、パンチ肩の稜線7bに垂直な断面内に、板材Bの薄肉部における測定箇所があるようしてもよい。
図3Bは、板材Bに厚肉部R1と薄肉部R2が含まれる場合の板厚の測定位置と、パンチ側インナパッド9の上から見た配置例を示す図である。図3Bの板材Bで、厚肉部R1の領域をドットで示している。図3Bに示す例では、板材Bの厚肉部R1の板厚測定位置P2と、1つのパンチ側インナパッド92が板材Bの搬送方向Fに並び、板材Bの薄肉部R2の板厚測定位置P1、P3と、他のパンチ側インナパッド91、93が板材Bの搬送方向Fに並ぶ。この場合、コントローラー11は、厚肉部R1の測定位置P2で測定された板厚に基づいて、パンチ側インナパッド92のパンチ7からの出し代(初期位置)を制御する。また、コントローラー11は、薄肉部R2の測定位置P1、P3で測定された板厚それぞれに基づいて、パンチ側インナパッド91、93それぞれのパンチ7からの出し代(初期位置)を制御する。これにより、厚肉部R1及び薄肉部R2の両方に適したパンチ側インナパッド91〜93のパンチ7からの出し代(初期位置)を設定できる。
また、例えば、板材が、高強度部と低強度部を有する金属板である場合、板厚測定装置10は、高強度部及び低強度部それぞれの板厚を測定するよう構成してもよい。この場合、パンチ側インナパッド9を含み、パンチ肩の稜線7bに垂直な断面内に、高強度部の板厚測定箇所及び低強度部の板厚測定箇所があるように構成してもよい。例えば、図2に示す構成において、複数の板厚測定装置10が、高強度部を測定するものと、低強度部を測定するものを含むようにしてもよい。高強度部と低強度部を有する金属板は、例えば、テーラードブランク材、又は、部分的に焼き入れがなされた鋼板であってもよい。
また、複数のパンチ側インナパッド9のうち一部のパンチ側インナパッド9(第1インナパッドの一例)を含み、パンチ肩の稜線7bに垂直な断面内に、板材Bの高強度部における測定箇所があり、複数のパンチ側インナパッド9のうち他の一部のパンチ側インナパッド9(第2インナパッドの一例)を含み、パンチ肩の稜線7bに垂直な断面内に、板材Bの低強度部における測定箇所があるようしてもよい。
板材Bに高強度部と低強度部が含まれる場合の板厚の測定位置と、パンチ側インナパッド9の上から見た配置は、例えば、図3Bにおける、R1を高強度部に、R2を低強度部に置き換えたものと同様にしてもよい。この場合、板材Bの高強度部R1の板厚測定位置P2と、1つのパンチ側インナパッド92が板材Bの搬送方向Fに並び、板材Bの低強度部R2の板厚測定位置P1、P3と、他のパンチ側インナパッド91、93が板材Bの搬送方向Fに並ぶ。この場合、コントローラー11は、高強度部R1の測定位置P2で測定された板厚に基づいて、パンチ側インナパッド92のパンチ7からの出し代(初期位置)を制御する。また、コントローラー11は、低強度部R2の測定位置P1、P3で測定された板厚それぞれに基づいて、パンチ側インナパッド91、93それぞれのパンチ7からの出し代(初期位置)を制御する。これにより、高強度部R1及び低強度部R2の両方に適したパンチ側インナパッド91〜93のパンチ7からの出し代(初期位置)を設定できる。
(プレス成形の例)
次に、可動部を用いたプレス成形の例を説明する。図4A〜図4Dは、プレス成形の例を示す図である。ここでは、一例として、第1インナパッド及び第2インナパッドとして、パンチ側インナパッド9を備えるプレス装置によるプレス成形例を説明する。図4A〜図4Dに示す例では、ダイ側パッド8は、ダイ6の内側に配置されて、板材の加圧方向に移動可能である。ここで、板材の加圧方向は、ダイ6のパンチ7に対する相対移動の方向とする。パンチ側インナパッド9は、パンチ7の加圧面7aよりも外側に突出された状態で配置されて、パンチ7の加圧面7aと同一の高さまで押し込み可能である。
具体的に、ダイ6は、その内側にプレス成形品の形状に対応した凹部6aを有している。パンチ7は、ダイ6の凹部6aに対応した形状の凸部を有する。この凸部の上面が板材Bを加圧する加圧面7aとなる。パンチ側インナパッド9は、例えば、ガススプリング9sやプレス機のクッション機構などの昇降機構を介してパンチ7に対して上下方向(加圧方向)に移動可能とされている。ダイ側パッド8は、例えば、ガススプリング8sなどの昇降機構を介してプレス装置のスライド6dに設置される。スライド6dには、ダイ6が固定されている。ダイ側パッド8は、上下方向に、スライド6dとともに移動可能である。ガススプリング8sによってダイ側パッド8とスライド6dと距離が伸縮可能とされている。ダイ6の凹部6aの底面には、昇降機構を通す孔部(図示略)が設けられている。パンチ側インナパッド9は、パンチ7の加圧面7aに形成された凹部の内側に配置されている。また、パンチ側インナパッド9は、この凹部の内側に配置されたガススプリング9sにより上方に向かって付勢されている。このガススプリング9sの付勢により、パンチ側インナパッド9の上面がパンチ7の加圧面7aよりも外側に突出された状態となっている。ガススプリング9sの伸び縮みにより、パンチ7とパンチ側インナパッド9との距離が変化する。
ダイ側パッド8及びパンチ側インナパッド9は、板材Bに押し当てられた状態で、ダイ6又はパンチ7に対して相対移動可能である。例えば、ダイ側パッド8及びパンチ側インナパッド9が、板材Bを挟んだ状態で静止する間に、ダイ6をパンチ7に近づけることができる。スライド6dすなわちダイ6がパンチ7に近づくように移動する間、板材Bを挟んだダイ側パッド8及びパンチ側インナパッド9が静止する際には、ダイ側パッド8のガススプリング8s(昇降機構)が縮む。ダイ6がパンチ7に近づくよう移動する間に、ダイ側パッド8がパンチ7に近づくよう移動する際には、ダイ側パッド8のガススプリング8s(昇降機構)は、伸び縮みをしない。
プレス装置5は、パンチ7の加圧面7aよりもパンチ側インナパッド9が外側に突出された状態で、パンチ側インナパッド9とダイ側パッド8を板材Bに押し当てながら、ダイ6とパンチ7とを相対的に近づけて板材Bをプレス成形する。成形下死点において、パンチ側インナパッド9がパンチ7の加圧面7aと同一の高さとなるまで板材Bをプレス成形する。
より具体的には、先ず、図4Aに示すように、パンチ7の加圧面7aよりもパンチ側インナパッド9が外側に突出された状態で、ダイ側パッド8を板材Bに押し当てながら、ダイ6及びダイ側パッド8を下降させることによって、ダイ6とパンチ7との間で板材Bをプレス成形する。このとき、パンチ側インナパッド9のパンチ7に対する相対位置すなわちパンチ7の加圧面7aに対するパンチ側インナパッド9の上面の高さ(突出し量)Hは設定値(初期位置の値)に固定される。突出し量Hは、板材Bの測定位置Pで測定された板厚に基づいて設定される。成形される板材Bには、パンチ7の加圧面7aに対するパンチ側インナパッド9の上面の高さ(突出し量)Hに応じて、板材BにたるみBaが生じる。そして、この状態からさらに、図4Bに示すように、板材BのたるみBaを所定量に制御しながら、ダイ6を下降させることによってプレス成形を継続する。図4Cに示すように、成形下死点の手前H(成形下死点から距離Hの位置)まで、ダイ6を下降させる。この時、ダイ側パッド8の加圧機構が縮みながらダイ6が下降する。
図4A〜図4Cに示す工程では、パンチ側インナパッド9からのパンチ7の出し代すなわち突出し量Hが設定値に固定された状態で、ダイ6とパンチ7を相対的に近づける。図4Cに示す段階、すなわちダイ側パッド8がダイ6に対して底付きされることで完全に収納された段階(成形下死点から突出し量Hだけ手前の段階)から、パンチ側インナパッド9の上面とパンチ7の加圧面7aとの距離が縮み始める。図4Cの段階から図4Dの段階に至るまでの間に、パンチ側インナパッド9に対するパンチ7の相対位置が変化する。図4Dに示すように、パンチ側インナパッド9の上面が、パンチ7の加圧面7aと同一の高さとなるまで板材Bをプレス成形する。このとき、板材Bに形成されたたるみBaが、面内圧縮応力を受けながら、パンチ7およびダイ6間の縦壁部に向かって流出される。これにより、ハット形断面形状のプレス成形品を得ることができる。
図4A〜図4Dに示す例では、板材Bに形成されたたるみBaを押し潰しながら縦壁部に向かって流出させることにより、内向き、すなわちスプリングゴーに寄与する曲げ領域が拡大する。これにより、プレス成形される被加工材のスプリングバックとスプリングゴーとをバランスさせることができる。その結果、縦壁の形状不良を少なくすることができる。
また、図4Aから図4Dに至るプレス成形の過程では、ダイ側パッド8とパンチ側インナパッド9の間に挟まれた板材Bの外側の部分Bbは、ダイ6及びパンチ7と摺動しながらプレスされる。このプレス成形でダイ6又はパンチ7と摺動する板材の部分Bbに、板厚測定装置10によって板厚を測定した位置Pが含まれることが好ましい。換言すると、プレス成形する時に、板材が接する可動金型の稜線に垂直且つ稜線を含む断面内に板材の板厚を測定箇所があることが好ましい。これにより、プレス成形品の形状により影響する部分の板厚が測定されるためである。
上記例では、1つの板材Bに対するプレス成形において、パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代を固定した状態(プレス初期設定の状態)で、ダイ6をパンチ7に対して相対的に近づけて板材Bをプレス成形する工程と、パンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代を変化させてダイ6をパンチ7に対して相対的に近づけて板材Bをプレス成形する工程が含まれる。プレス初期設定におけるパンチ側インナパッド9のパンチ7からの出し代、すなわちパンチ側インナパッド9の突出し量Hは、コントローラー11によって制御される。突出し量Hは、パンチ側インナパッドのパンチ7からの出し代の設定量(可動金型の初期位置)の一例である。
コントローラー11は、板材Bの測定位置Pにおいて測定された板厚に基づいて、パンチ側インナパッド9の突出し量Hを決定する。図4A〜図4Dに示す例では、パンチ側インナパッド9の板材Bと接する稜線9bを含み稜線9bに垂直な断面に、測定位置Pが含まれる。これにより、プレス成形品の形状に影響を与えやすい板材Bの部分の板厚に応じて、パンチ側インナパッド9の突出し量Hを制御することができる。
なお、可動部を用いたプレス成形は、上記例に限られない。例えば、プレス装置において、ダイ側パッド8又はパンチ側インナパッド9のいずれかを省略することもできる。また、上記例は、予め曲げ成形された中間素材の板材Bをプレス成形する例であるが、プレス装置は、曲げ成形されていない平板をプレス成形するものであってもよい。
一般的に、曲げ成形では、ダイ側パッドが、板材のパンチ側インナパッドに対する位置ずれ防止のために設定されることが多い。言い換えると、位置ずれしにくい形状では、ダイ側パッドが省略できる場合もある。図4A〜図4Dに示した成形例においても、ダイ側パッド8を省略できる場合がある。図4A〜図4Dに示した成形例において、ダイ側パッド8を省略する場合、成形初期から図4Cに示す段階に至るまで、ダイ側パッド8に相当する部位は、ダイ6の凹み部に収納された状態でダイと一体となった状態となる。成形初期段階から図4Cに示す段階まで、板材Bの断面幅方向の中央部は、ダイ側パッド8がある場合と同様に、パンチ側インナパッド9によって下側から持ち上げられた状態で、プレス成形が進む。図4Cに示す段階の後、パンチ側インナパッド9はダイ6によって下向きに押し込まれることによって下降し、図4Dと同様にプレス成形が完了する。
(プレス成形品の例)
図5は、プレス成形品の一例を示す断面図である。図5に示すプレス成形品12は、例えば、図4A〜図4Dに示すプレス成形により得られる。プレス成形品12は、断面がハット形状である。プレス成形品12は、図5に示す断面に垂直な方向を長手方向とする長尺部材である。プレス成形品12の幅方向に延在する天板12Aと、天板12Aの幅方向両端に隣接する一対の稜線部12Bとを含む。また、プレス成形品12は、稜線部12Bから天板12Aの裏面側(板厚方向一方側)へ延出した一対の縦壁12Cと、一対の縦壁12Cの先端(下端)に隣接する一対の稜線部12Dとを含む。さらに、プレス成形品12は、一対の稜線部12Dから天板12Aの幅方向両側へそれぞれ延出した一対のフランジ12Eを含む。天板12Aと縦壁12Cのなす角度θ2は、90deg. の場合に限られない。角度θ2は、90〜125deg.が例示できる。この範囲の強加工では、特に、スプリングバック等の課題が顕在化するため、上記フィードバック制御が有効になる。角度θ2が90deg.未満の鋭角だとプレス成形品を金型から取り外すのに支障をきたす場合がある。
プレス成形品12において、例えば、天板12Aとフランジ12Eとのなす角度θ1が測定されてもよい。この例においては、天板12Aとフランジ12Eのなす各θ1が、所望の形状を示す所定の基準値θc、この場合0deg. より大きい場合(θ1>θc=0deg. )はスプリングバックとなり、θ1が基準値θcより小さい場合(θ1<θc=0deg. )は、スプリングゴーとなる。なお、スプリングバック又はスプリングゴーの度合いを示す値は、上記例の角度θ1に限られない。例えば、天板12Aとフランジ12Eのなす角度θ2、又は、フランジ12Eの底面の垂直方向の高低差T1等を、スプリングバック又はスプリングゴーの度合いを示す値として、測定してもよい。
(動作例)
図6は、本実施形態におけるコントローラー11の動作例を示すフロー図である。図6に示す例では、まず、コントローラー11は、プレス条件を初期設定する(S1)。プレス条件には、例えば、可動部のダイ又はパンチに対する相対位置が含まれる。一例として、上記のパンチ側インナパッド9の突出し量Hの初期値が設定される。なお、プレス条件は、可動部の相対位置に限られない。
コントローラー11は、予め求めておいた対応データを取得する(S2)。例えば、コントローラー11は、フィードバック処理に用いる対応データを決定し、アクセス可能な状態とする。例えば、コントローラー11のコンピュータがアクセス可能な記録媒体(コントローラー11に内蔵又は外部の記憶装置)に予め記録されたデータの中から、処理に用いる対応データを抽出し、メモリ(記憶装置11b)に格納する。対応データは、プレス成形前に予め作成され、コントローラー11がアクセス可能な記憶媒体に記録される。
ここで、対応データの一例について説明する。図7は、プレス成形品の形状と、パンチ側インナパッド9の突出し量Hとの関係の一例を示すグラフである。図7に示すグラフは、パンチ側インナパッド9の突出し量Hと、スプリングバック/スプリングゴーとの関係を示している。グラフの縦軸の角度差は、図5に示すプレス成形品12の天板12Aとフランジ12Eのなす角θ1と基準値θc、この場合0deg.との差(θ1−θc(ここではθc=0deg.))を示す。基準値θcは、スプリングバック及びスプリングゴーがない場合の天板とフランジ12Eのなす角度とする。角度差がプラスの場合スプリングバックであり、角度差がマイナスの場合スプリングゴーである。図7に示すグラフに示す関係において、パンチ側インナパッドの突出し量の適正値Haは、角度差が0になるときの突出し量となる。
図8は、適正突出し量と板材の板厚との関係の一例を示すグラフである。図8に示すグラフの縦軸は、角度差(θ1−θc)が0になる時の、すなわち、スプリングバッグ及びスプリングゴーがない場合のパンチ側インナパッドの突出し量を示す。図8に示すように、板材の板厚と、パンチ側インナパッドの適正突出し量は互いに相関していることが発明者によって見いだされている。コントローラー11は、このような相関関係を示す対応データを用いることで、測定された板材の板厚に基づいて適正な突出し量を決めることができる。例えば、図8に示すグラフの線を表す式又はグラフにおける各プロットを示すデータを対応データとすることができる。
図6のS3において、板厚測定装置10は、次に可動金型へ搬送される板材Bの板厚を測定する。コントローラー11は、板厚測定装置10から板材の板厚の測定結果を取得する。一例として、図2に示すように、各パンチ側インナパッド9の搬送方向の上流における板材Bの測定位置Pにおいて、板厚が測定される。
コントローラー11は、S3で測定された板材の板厚に基づいて、パンチ側インナパッド9のパンチに対する相対位置(初期位置)、例えば、突出し量Hを設定する(S4)。コントローラー11はプレス装置5を制御して、パンチ側インナパッド9のパンチ7に対する突出し量Hが、板厚に基づき設定された値になるよう制御する。コントローラー11は、突出し量Hを制御しながら、プレス成形を実行する(S5)。S5では、S3で板厚が測定された板材に対して、S4で設定されたパンチ側インナパッド9の出し代(突出し量H)でプレス成形が実行される。
図6のS3〜S5の処理は、1つの製造ロットに含まれる複数の板材について繰り返される。これにより、1つの製造ロットのプレス成形のそれぞれにおいて、板材の板厚に基づくフィードフォワード制御が可能になる。
(板材の材料の例)
本発明を適用可能な板材の材料は特に限定されない。板材の材料としては、例えば、980MPa級高強度鋼板(ハイテン:High Tensile Strength Steel Sheets)の薄板を用いてもよい。近年、プレス成形品の軽量化のため、プレス成形品の高強度化が進んでいる。それに合わせ、プレス成形品の素材の高強度化も進んでいる。素材が高強度化すると所望の形状にプレス成形するのが困難になる。例えば、スプリングパックは一般に素材が高強度化するほど激しくなる。上記実施形態によれば、980MPa以上の引張強さを有する板材を用いた場合であっても、複数のプレス成形品の形状の狙い形状からのずれ又はばらつきを小さくできる。
また、一般的には、例えば引張強さが270MPa級の鋼板と、1.2GPa級の鋼板とでは、板厚のばらつきは通常1.2GPa級の鋼板の方が大きい傾向にある。板厚のばらつきが大きければ、金型形状を調整し、製造ロットの最初にプレス成形したプレス成形品の形状が所望の形状であったとしても、製造ロット内で後にプレス成形するプレス成形品も所望の形状にならない可能性が高くなる。上記実施形態によれば、素材の特性のばらつきが低強度の鋼板にくらべると比較的大きい980MPa以上の引張強さを有する板材を用いた場合であっても、板厚に基づく可動部の相対位置のフィードフォワード制御によって、複数のプレス成形品の形状のばらつきを小さくできる。
(実施例)
図9は、パンチ側インナパッド9の突出し量Hを、板材の板厚に基づいてフィードフォワード制御しなかった場合のフランジの位置精度を測定した結果を示すヒストグラムである。図10は、パンチ側インナパッド9の突出し量Hを、板材の板厚に基づいてフィードフォワード制御した場合のフランジの位置精度を測定した結果を示すヒストグラムである。図9及び図10において、上段のヒストグラムは、1テストロットに含まれる板材の板厚の分布を示す。板材の板厚は、約0.1mmの範囲内で、プレス成形のショット毎にランダムに変化させている。下段のヒストグラムは、1テストロットにおけるフランジ精度の分布を示す。フランジ位置精度は、フランジの高低差(図5に示すT1に相当)である。フランジ位置精度は、目標とする基準位置を0.0としている。板材の材料は、引張強さが1180MPaの鋼板を用いた。
図9に示す結果において、板材の板厚に、約0.1mmの範囲でばらつきがある場合、フランジの位置精度の標準偏差は、0.25mmであった。これに対して、図10に示す結果において、板材の板厚に、約0.1mmの範囲でばらつきがある場合、フランジの位置精度の標準偏差は、0.11mmであった。また、フランジ位置精度の平均値はいずれのケースでも、0.01mm程度であった。これらの結果から、板材の板厚に基づいてパンチ側インナパッド9の突出し量Hを制御するフィードフォワード制御をすることで、プレス成形品の形状の狙い形状からのずれ及びばらつきが抑えられることがわかった。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、板厚に基づいて初期位置を制御する可動金型が、パンチのインナパッドであるが、ダイに設けられたダイ側パッドのダイに対する初期位置が板厚に基づいて制御されてもよい。
上記実施形態では、1枚の板の複数の箇所で測定する例として、1枚の板における厚肉部及び薄肉部、又は、1枚の板における高強度部及び低強度部の領域の板厚を測定している。1枚の板の複数箇所の板厚測定は、上記例に限られない。例えば、板材の測定対象領域内の複数の箇所の板厚を測定し、複数の箇所の板厚に基づく値(例えば、平均値等)を測定対象領域の板厚としてもよい。
上記実施形態では、板厚を取得する板厚取得装置が、板厚測定装置である。板厚取得装置は、プレス対象の複数の板材Bのそれぞれの板厚を示すデータを取得する装置であってもよい。例えば、板厚測定装置が遠隔地にある場合に、板厚取得装置が、板厚測定装置、又は他の通信機器から板厚を示すデータを受信する構成であってもよい。なお、板厚取得装置は、コントローラーに含まれてもよい。すなわち、コントローラーが、外部の装置から板厚を取得する構成であってもよい。個々の板材の板厚を示すデータは、板厚の実測値のデータであることが好ましいが、板厚を示すデータは、実測値のデータに限られない。
4:搬送装置
5:プレス装置
6:ダイ
7:パンチ
8:ダイ側パッド
9:パンチ側インナパッド(第1インナパッド、第2インナパッド)
10:板厚測定装置
11:コントローラー
12:プレス成形品

Claims (15)

  1. 1又は複数のプレス対象の板材の板厚を、板材ごとに個別に取得すること、
    ダイと、パンチと、前記ダイ及び前記パンチの両方に対して相対位置を変更可能な可動金型により前記板材をプレス成形品にプレス成形することを、含み、
    前記プレス成形では、前記板材の板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御する、プレス成形品の製造方法。
  2. 前記プレス成形は、複数の板材を連続してプレス成形することを含み、
    連続する複数のプレス成形の少なくとも1回において、前記板材の板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御する、請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
  3. 前記板厚の取得は、1枚の板材の複数の位置における板厚を取得することを含み、
    前記1枚の板厚のプレス成形において、前記1枚の板材の複数の位置における板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御する、請求項1又は2に記載のプレス成形品の製造方法。
  4. 前記可動金型は、互いに独立して位置を変更可能な複数の可動金型部を含み、
    前記板厚の取得は、1枚の板材の前記複数の可動金型部に対応する複数の位置における板厚を取得することを含み、
    前記1枚の板厚のプレス成形において、前記複数の可動金型部の各々の前記初期位置を、前記1枚の板材の複数の位置のうち対応する位置の板厚に基づいて制御する、請求項3に記載のプレス成形品の製造方法。
  5. 前記プレス成形において、前記板材の前記板厚を測定した箇所と前記ダイが摺動する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法。
  6. 前記可動金型は、前記パンチの頂部に設けられた第1インナパッドを含み、
    前記プレス成形において、前記パンチのパンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第1インナパッドを含む断面内に、前記板材の板厚を測定した箇所がある、請求項5に記載のプレス成形品の製造方法。
  7. 前記可動金型は、前記パンチの頂部に設けられた第1インナパッド及び第2インナパッドを含み、
    前記板材は厚肉部と厚肉部より板厚が薄い薄肉部を備えた差厚金属板であり、
    前記板材の板厚の取得は、前記厚肉部の板厚と前記薄肉部の板厚の取得を含み、
    前記プレス成形において、前記パンチのパンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第1インナパッドを含む断面内に、前記厚肉部の板厚を取得した箇所があり、
    前記プレス成形において、前記パンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第2インナパッドを含む断面内に、前記薄肉部の板厚を取得した箇所があり、
    前記プレス成形では、前記厚肉部の板厚に基づき、前記第1インナパッドの前記パンチに対する初期位置を制御し、前記薄肉部の板厚に基づき、前記第2インナパッドの前記パンチに対する初期位置を制御する、
    請求項5に記載のプレス成形品の製造方法。
  8. 前記可動金型は、前記パンチの頂部に設けられた第1インナパッド及び第2インナパッドを含み、
    前記板材は、高強度部と、前記高強度部より強度が低い低強度部とを含み、
    前記板材の板厚の取得は、前記高強度部の板厚と前記低強度部の板厚の取得を含み、
    前記パンチは第2インナパッドを備え、
    前記プレス成形において、前記パンチのパンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第1インナパッドを含む断面内に、前記高強度部の板厚を取得した箇所があり、
    前記プレス成形において、前記パンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記第2インナパッドを含む断面内に、前記低強度部の板厚を取得した箇所があり、
    前記プレス成形では、前記高強度部の板厚に基づき、前記第1インナパッドの前記パンチに対する初期位置を制御し、前記低強度部の板厚に基づき、前記第2インナパッドの前記パンチに対する初期位値を制御する、
    請求項5に記載のプレス成形品の製造方法。
  9. 前記プレス成形は、
    前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する相対位置を前記初期位置に固定した状態で、前記ダイ及び前記パンチを相対的に近づけて前記板材をプレス成形する第1プレス工程と、
    前記可動金型を前記ダイ又は前記パンチに収納しながら、前記ダイ及び前記パンチを相対的に近づけて前記板材をプレス成形する第2プレス工程と、を含み、
    前記プレス成形では、前記板材の前記板厚に基づき、前記可動金型の前記初期位置を制御する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法。
  10. 前記板材で最も強度が高い部分の引張強さは、980MPa以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプレス成形品の製造方法。
  11. 1又は複数のプレス対象の板材の板厚を、板材ごとに個別に取得する板厚取得装置と、
    ダイとパンチと前記パンチ及び前記ダイの両方に対して相対移動可能な可動金型を備えたプレス装置と、
    前記プレス装置を制御するコントローラーとを備え、
    前記コントローラーは、前記ダイ、前記パンチ及び前記可動金型による前記板材のプレス成形において、前記板厚取得装置が取得した前記板材の板厚に基づき、前記可動金型の前記ダイ又は前記パンチに対する初期位置を制御する、プレスライン。
  12. 前記板厚取得部は、前記板材の板厚を測定する板厚測定装置である、請求項11に記載のプレスライン。
  13. 前記板厚測定装置による前記板厚の測定箇所は、前記パンチのパンチ肩の稜線に垂直であり且つ前記可動金型を含む面内にある、請求項12に記載のプレスライン。
  14. 前記板厚測定装置から前記プレス装置へプレス対象の板材を搬送可能な搬送装置をさらに備え、
    前記搬送装置の搬送方向と平行な線上に、前記可動金型と、前記板厚測定装置とが配置されている、請求項12又は13に記載のプレスライン。
  15. 前記板厚測定装置は、第1の箇所と第2の箇所の板厚を測定可能であり、
    前記可動金型は、前記パンチの頂部に設けられた第1インナパッド及び第2インナパッドを含み、
    前記第1インナパッドと前記第1の箇所は、前記搬送装置の搬送方向と平行な線上に配置されていて、
    前記第2インナパッドと前記第2の箇所は、前記搬送装置の搬送方向と平行な線上に配置されている、請求項14に記載のプレスライン。
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