JP2010131620A - プレス機械とこれの調整方法 - Google Patents

プレス機械とこれの調整方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010131620A
JP2010131620A JP2008308711A JP2008308711A JP2010131620A JP 2010131620 A JP2010131620 A JP 2010131620A JP 2008308711 A JP2008308711 A JP 2008308711A JP 2008308711 A JP2008308711 A JP 2008308711A JP 2010131620 A JP2010131620 A JP 2010131620A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
molding quality
slide
molding
press
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008308711A
Other languages
English (en)
Inventor
Sunao Niitsuma
素直 新妻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IHI Corp filed Critical IHI Corp
Priority to JP2008308711A priority Critical patent/JP2010131620A/ja
Publication of JP2010131620A publication Critical patent/JP2010131620A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Presses And Accessory Devices Thereof (AREA)

Abstract

【課題】プレス成形品の品質を精度よく良好に維持できるようにする。
【解決手段】プレス成形された被加工物1の成形品質値を測定する成形品質測定装置31と、成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、成形品質値を成形品質基準値に近づけるように、スライド3の姿勢を変化させるスライド姿勢調整装置33と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、プレス機械とこれの調整方法に関する。
プレス機械には、上金型、下金型、スライド、ボルスタおよびスライド駆動機構が設けられる。上金型は、スライドの下面に取り付けられ、下金型は、スライドの下方に配置されたボルスタの上面に取り付けられる。スライドがスライド昇降駆動機構により昇降駆動されることで、上金型と下金型で被加工物を上下に挟んでプレス成形が行われる。
プレス成形(絞り成形)を行うとき、図11に示すように、スライド3が下降するにつれて絞り成形が進行し(図11(B)の状態)、スライド3が下死点(図11(C)の状態)に達すると、上金型17と下金型19に挟まれた被加工物1に上金型17と下金型19から加圧力が作用して、プレス成形が終了する。良好な成形品質を得るためには、スライド3の下死点において、上金型17と下金型19から被加工物1に作用する加圧力に偏りがないことが重要である。なお、図11において、符号23はボルスタを示し、符号27aはブランクホルダを示す。
加圧力の偏りは、プレス機械、上金型、下金型などの寸法の微小なずれ(金型を製造する時の寸法公差など)によっても生じる。従って、加圧力の偏りを計算やシミュレーションで予測することは技術的に困難である。
そのため、ボルスタ(または水平面)に対するスライドの平行度を様々に変えてプレス成形を行い、良好な成形品質が得られたときの平行度を量産のための設定値として用いることが理想的である。
特開2006−75864号公報 特許第2722936号
しかし、試験的な絞り成形に費やせる時間・費用は限られているため、試験可能な平行度のバリエーションは少ない。そのため、必ずしも最適とは言えない平行度で量産を行わざるをえない場合が非常に多くなることが予想される。また、金型の発熱に伴う熱膨張や、金型の経年劣化や、金型をプレス機械に出し入れするごとに生じる微小な設置位置のズレ、などの原因により、最適な成形品質が得られる平行度は量産加工中に少しずつ変化する。そのため、量産開始時に設定した平行度の設定値を変えずに量産を続けると、成形品質が低下することがある。
このような問題を解決するための手段が従来には無かった。例えば、本願の先行技術として、特許文献1、2があるが、特許文献1、2は、上述の問題を解決するためのものではない。
特許文献1には、スライドを正確に水平にして駆動する技術が記載されている。
しかし、上述したように寸法の微小なずれ等により、良好な成形品質を得るためのスライドの最適な姿勢は、正確に水平であるとは限らない。
特許文献2では、ダイクッション装置を用いたプレス機械において、ダイクッション装置によるクッション能力を変化させている。即ち、最適な成形品質が得られるクッション能力が量産加工中に少しずつ変化するという問題に対処するために、しわ押さえ部分の温度(もしくは、温度の代わりにプレス加工回数および停止時間)にもとづいてクッション能力を変化させている。
しかし、特許文献2には、成形品質が良好になるクッション能力を決める方法としてトライアンドエラーと記述されており、適正なクッション能力を探し出すために多大なトライ時間を要する可能性がある。また、特許文献2は、スライドの平行度を調節するためのものでもない。
そこで、本発明の目的は、特許文献1、2とは異なる手段を用いて、プレス成形品の品質をより精度よく良好に維持できるようにすることにある。
上記目的を達成するため、本発明によると、被加工物を上下方向に挟んでプレス加工する上金型および下金型と、上金型が下面に固定され昇降運動させられるスライドと、前記スライドを昇降させプレス成型力を発生させるスライド駆動機構と、を備えるプレス機械であって、
前記プレス成形された被加工物の成形品質値を測定する成形品質測定装置と、
前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、前記スライドの姿勢を変化させるスライド姿勢調整装置と、を備える、ことを特徴とするプレス機械が提供される。
上述の本発明のプレス機械では、成形品質測定装置が、前記プレス成形された被加工物の成形品質値を測定し、スライド姿勢調整装置が、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、前記スライドの姿勢を変化させるので、スライドの姿勢を良好な状態に維持できる。よって、プレス成形品(プレス成形された被加工物)の品質を精度よく良好に維持することができる。
例えば、プレス成形品を量産する場合に、量産中に、スライドの姿勢が少しずつ変化することで、プレス成形品の成形品質値が成形品質基準値からずれた場合でも、被加工物の成形品質値を所望の成形品質基準値に近づけるようにスライドの姿勢が調整されるので、量産の全過程を通して、プレス成形品の品質を精度よく良好に維持することができる。
また、試験的なプレス成形において最適なスライドの姿勢が得られていない場合であっても、量産中に、プレス成形品の成形品質値が所望の成形品質基準値に近づくようにスライドの姿勢を調整できるので、良好な品質のプレス成形品を量産することができる。
本発明の好ましい実施形態によると、前記成形品質値は、プレス成形された被加工物における曲面の曲がり具合を示す値と、該被加工物の硬さを示す値との少なくともいずれかである。
このように、プレス成形品の品質の基準となる値として、プレス成形された被加工物における曲面の曲がり具合を示す値を用いることができる。曲面の曲がり具合を示す値は、曲率半径であってよい。好ましくは、被加工物におけるエッジ部(即ち、縁部)の曲がり具合を示す値を、前記成形品質値とする。これにより、エッジ部のシャープさを良好に維持できる。
前記曲がり具合の代わりに、被加工物の硬さを、プレス成形品の品質の基準としてもよい。
本発明の好ましい実施形態によると、前記スライド姿勢調整装置として次の構成を採用できる。
即ち、前記スライド姿勢調整装置は、
変位によりスライドの姿勢を変化させる変位機構と、
該変位機構の設定作動値を記憶する記憶装置と、
前記設定作動値に基づいて前記変位機構を制御することで、前記設定作動値に応じて前記変位機構を変位させる制御装置と、
前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように前記設定作動値を変化させることで、前記スライドの姿勢を変化させる設定作動値変更部と、を有する。
本発明の好ましい実施形態によると、前記変位機構、前記記憶装置、前記制御装置および前記設定作動値変更部は、複数組設けられ、前記複数組の変位機構は、それぞれスライドの複数箇所を変位させることができ、
成形品質測定装置は、前記プレス成形された被加工物における複数の測定箇所毎に被加工物の成形品質値を測定し、
前記各組の設定作動値変更部は、該組に対応する前記測定箇所での前記成形品質値の測定値を所定の成形品質基準値と比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、前記設定作動値を変更する。
このように、前記変位機構、前記記憶装置、前記制御装置および前記設定作動値変更部を複数組設け、成形品質測定装置により複数の測定箇所毎に被加工物の成形品質値を測定し、前記各組の設定作動値変更部は、該組に対応する前記測定箇所での前記成形品質値の測定値を所定の成形品質基準値と比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、前記設定作動値を変更するので、一層精度よく、スライドの姿勢を良好な状態に維持できる。よって、プレス成形品の品質をより高精度に維持することができる。
また、本発明によると、上述したプレス機械の調整方法であって、
前記成形品質値の測定値と前記成形品質基準値とが一致しない場合、
(A)該測定値の前記測定箇所に対応する前記組の前記設定作動値変更部は、前記設定作動値を増加させ、該増加させられた前記設定作動値に基づいた前記制御装置の制御でスライドの姿勢を変化させ、その状態で前記スライドを昇降させてプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該測定箇所における成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定作動値変更部は、該設定作動値をさらに増加させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定作動値を減少させ、または、
(B)該測定値の前記測定箇所に対応する前記組の前記設定作動値変更部は、前記設定作動値を減少させ、該減少させられた前記設定作動値に基づいた前記制御装置の制御でスライドの姿勢を変化させ、その状態で前記スライドを昇降させてプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該測定箇所における成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定作動値変更部は、該設定作動値をさらに減少させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定作動値を増加させる、ことを特徴とするプレス機械の調整方法が提供される。
前記成形品質値の測定値と前記成形品質基準値とが一致しない場合、当該成形品質値を所望の成形品質基準値に近づけるためには、設定作動値を増加させればよいか減少させればよいかが未知である場合において、とりあえず、該測定値の前記測定箇所に対応する前記組の前記設定作動値変更部は、前記変位機構の前記設定作動値を増加(または減少)させ、該増加(または減少)させられた前記設定作動値に基づいた前記制御装置の制御でスライドの姿勢を変化させ、その状態で前記スライドを昇降させてプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該測定箇所における成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定作動値変更部は、該設定作動値をさらに増加(または減少)させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定作動値を減少(増加)させるので、前記設定作動値の調整方向が未知であっても、前記成形品質値の測定値を成形品質基準値に近づけることができる。
上述した本発明によると、プレス成形品の品質をより精度よく良好に維持することができる。
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態によるプレス機械10の構成図である。プレス機械10は、スライド3、スライド駆動機構5、カウンタバランスシリンダ7、下荷重支持部材9(ベッド)、上荷重支持部材11(クラウン)、連結部材15(アプライト)を備える。
スライド3は、上金型17が下面に固定され昇降運動させられる。図1の例では、スライド3は、スライド本体3aと、このスライド本体3aの下面に固定されたスライドプレート3bとを有する。なお、上金型17は、後述のボルスタ23の上面に固定される下金型19との間で被加工物1を挟んでプレス加工を行う。
スライド駆動機構5は、スライド3を昇降させプレス成型力を発生させる。スライド駆動機構5は、1つまたは複数のサーボモータ(図示せず)と、上部のクラウン11内に設けられ上記サーボモータにより回転駆動させられる駆動ギア5aと、駆動ギア5aとスライド3とを連結し駆動ギア5aの回転運動をスライド3の昇降運動に変換する変換機構5b(図1の例では、リンク)とを有する。
カウンタバランスシリンダ7は、スライド3および上金型17の重量とバランスする上向き力をスライド3に付加し、その上下動を容易にするようになっている。
下荷重支持部材9は、プレス加工時(例えば、スライド3が下死点に位置する時)に下金型19から作用する下向き荷重を支持する。図1の例では、下荷重支持部材9は、外部の基礎に固定されたベッドである。ベッド9は、その上面でキャリア21を支持する。キャリア21は、図1の紙面と垂直な方向に移動可能であり、ボルスタ23の外周部を支持する。ボルスタ23の上面に下金型19が取り付けられる。
上荷重支持部材11は、プレス加工時にスライド駆動機構5から作用する上向き荷重を支持する。図1の例では、上荷重支持部材11はクラウンである。
連結部材15は、上荷重支持部材11と下荷重支持部材9とを連結する。図1の例では、連結部材15は、柱状のアプライトであり、複数設けられている。
本実施形態によるプレス機械10は、ダイクッション装置25を備える。ダイクッション装置25は、図1に示すように、可動部27、駆動装置29を備える。
可動部27は、被加工物1が上金型17と下金型19との間でプレス成形されるプレス成形時に、被加工物1を上金型17との間に挟みながら下降する。これにより、プレス成形時にしわ押えがなされる。可動部27は、プレス成形時に被加工物1に接触して被加工物1を上金型17との間に挟むブランクホルダ27aと、ブランクホルダ27aを下方から支持するクッションピン27bと、クッションピン27bを下方から支持するクッションプレート27cと、を有する。なお、ボルスタ23には、クッションピン27bが通る貫通穴が設けられ、クッションピン27bとこれを支持するクッションプレート27cは、ベッド9内の駆動装置29(例えばシリンダ装置)で上下動可能に支持されている。
駆動装置29は、プレス成形時に可動部27にクッション力を付与する。図1の例では、駆動装置29は、設定クッション力を可動部27に与えるように制御される。駆動装置29によるクッション力を可動部27から上金型17に対し作用させる。駆動装置29は、油圧シリンダ装置、空圧シリンダ装置、サーボモータなどを用いたものであってよい。
なお、以下の手順にしたがって1枚の被加工物1(パネル)に対しプレス成形として絞り成形が行われる。
(1)可動部27を上昇させておく。
(2)絞り成形前の被加工物1を、手動もしくはロボット等の搬送装置(図示せず)により、ブランクホルダ27aの上に載せる。
(3)プレス機械10の運転を開始する。上金型17が下降し被加工物1上面に接したら、ダイクッション装置25が設定クッション力に応じたクッション力を発生することにより、上金型17とブランクホルダ27aに挟み込まれた被加工物1に対ししわ押さえが行われる。
(4)被加工物1のしわ押さえを行いつつ、上金型17と可動部27が下降を続け、絞り成形が行われる。
(5)絞り成形終了後、上金型17は上昇する。可動部27も駆動装置29に発生する上向きの力により上昇する。
(6)ブランクホルダ27aの上に載っているプレス成形として絞り成形された被加工物1を手動もしくはロボット等の搬送装置(図示せず)により取り出す。
(7)次の被加工物1に対し上記(1)〜(6)の手順を繰り返すことにより、つぎつぎと被加工物1が絞り成形され量産が行われる。
本発明の実施形態によると、プレス機械10は、前記プレス成形された被加工物1の成形品質値を測定する成形品質測定装置31(後述する)と、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、スライド3の姿勢を変化させるスライド姿勢調整装置33と、を備える。
以下、この構成について詳しく説明する。最初に、スライド姿勢調整装置33について説明し、その後、成形品質測定装置31をスライド姿勢調整装置33と関連させて説明する。
本実施形態では、スライド姿勢調整装置33は、自身が伸縮して変位することによりスライド3の姿勢を変化させる変位機構35(図面では、35と35−1または35−2の両方で示す)と、該変位機構35の設定作動値を記憶する記憶装置37と、(好ましくは、上金型17が被加工物1に荷重を作用させ始めてからスライド3が下死点に到達する時までのプレス成形中において、)前記設定作動値に基づいて変位機構35を制御することで、前記設定作動値に応じて変位機構35を変位させる制御装置39と、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように前記設定作動値を変化させることで、スライド3の姿勢を変化させる設定作動値変更部41と、を有する。
本実施形態では、変位機構35、記憶装置37、制御装置39および設定作動値変更部41は、複数組設けられ、前記複数組の変位機構35は、それぞれスライド3の複数箇所に荷重を作用させる。本実施形態では、5つの組A,B,C,D,Eが設けられる。
図2に、各組の変位機構35を示す。図2は、図1のII−II線断面図であるが、スライド3の付近のみ示している。図2において、5つの変位機構35のうち、左上にある変位機構35は組Aに属し、左下にある変位機構35は組Bに属し、右下にある変位機構35は組Cに属し、右上にある変位機構35は組Dに属し、中央にある変位機構35は組Eに属する。
図3は、複数の組の構成を示すブロック図である。図3に示すように、変位機構35、記憶装置37、制御装置39および設定作動値変更部41からなる各組の構成・動作は、組同士の間で互いに独立していてよい。例えば、複数組の記憶装置37は、互いに独立して、それぞれ、同じ組の変位機構35の設定作動値を記憶する。
本実施形態では、変位機構35はシリンダ装置であり、設定作動値は、シリンダ装置35のストローク位置(変位量)である。この場合、制御装置39は、プレス成形時に、記憶装置37に記憶された設定ストローク位置に基づいて、プレス成形中においてシリンダ装置35のストローク位置が設定ストローク位置になるように、シリンダ装置35の制御対象部35aを制御することで、シリンダ装置35のシリンダ室へ供給する油圧や油流量、または、シリンダ装置35のシリンダ室から外部へ排出する油圧や油流量、または、これら供給油圧・供給油量と排出油圧・排出油量との両方を制御する。制御対象部35aは、シリンダ装置35のシリンダ室へ油圧を供給する油圧回路に設けられた制御弁であってよい。また、制御対象部35aに対する制御の方式として、例えば、フィードバック制御や、フィードバック制御とフィードフォワード制御の組み合わせなどを用いることができる。
なお、シリンダ装置35のシリンダ室へ油圧や油流を供給するための油圧回路のチューブは、例えば、シリンダ装置35とクラウン11との間に掛け渡すように設けてよく、このチューブはスライド3の昇降に追従できるように変形可能であってよい。
また、図1、図2の例では、シリンダ装置35として、組A〜Dのシリンダ装置35−1と、組Eのシリンダ装置35−2とがある。
シリンダ装置35−1とシリンダ装置35−2は、上述のように油圧などの液圧を用いるシリンダ装置であってよく、プレス加工時に、スライド3を下方に押圧し当該押圧位置においてスライド3の鉛直方向位置を調節できる。
組A〜Dのシリンダ装置35−1は、互いに同じ構成であってよいが、スライド3における異なる位置に一端部が連結されている。即ち、組A〜Dのシリンダ装置35−1は、スライド駆動機構5とスライド3を連結し、これにより、シリンダ装置35−1の変位(ストローク位置変化)によりスライド駆動機構5とスライド3との相対位置が変化する。即ち、シリンダ装置35−1とスライド駆動機構5との連結位置と、シリンダ装置35−1とスライド3との連結位置との相対距離が変化する。このような構成において、各シリンダ装置35−1の変位量(ストローク量)を調節することで、水平方向に対するスライド3の傾きが調節可能になっている。図1、図2の例では、4つのシリンダ装置35−1が設けられており、これら各シリンダ装置35−1は、その一端部がそれぞれスライド3の外周部付近に連結され、その他端部がスライド駆動機構5のリンク5bにピンにより回転可能に連結されている。このようなシリンダ装置35−1は、スライド3の傾き調整に有効である
組Eのシリンダ装置35−2は、スライド本体3aに設けられる。即ち、スライド本体3aの内部にシリンダ装置35−2を配置し、シリンダ装置35−2の一端部はスライド本体3aの上部に固定されている。この上部はスライド本体3aと一体的に形成されている。スライド本体3aの下部中央部には開口が設けられ、この開口を通してシリンダ装置35−2の他端部がスライドプレート3bの上面中央部を押圧するようになっている。スライドプレート3bはスライド本体3aの下面に固定されている。このようなシリンダ装置35−2は、後述のスライド3(図1の例では、スライドプレート3b)のたわみの調整に有効である。なお、本願において、スライド3の傾きとたわみをまとめてスライド3の姿勢という。即ち、スライド3の姿勢とは、プレス加工時におけるスライド3の傾きとたわみの一方または両方を意味する。
本実施形態によると、成形品質測定装置31は、前記プレス成形された被加工物1における複数の測定箇所毎に被加工物1の成形品質値を測定する。本実施形態では、第1〜第5の測定箇所は、それぞれ組A〜Eに対応する。
第1〜第5の測定箇所と組A〜Eの関係を図4、図5に基づいて説明する。図4(A)は、図1の4A−4A線から見た平面図に相当し、プレス成形された被加工物1を示す。図4(B)は、図4(A)の側面図である。図4(A)において、各組の変位機構35の影響を受ける(即ち、組A〜Eにそれぞれ対応する)範囲a〜eを破線で区画している。範囲aは、組Aの変位機構35−1の真下およびその近傍であり、範囲bは、組Bの変位機構35−1の真下およびその近傍であり、範囲cは、組Cの変位機構35−1の真下およびその近傍であり、範囲dは、組Dの変位機構35−1の真下およびその近傍であり、範囲eは、組Eの変位機構35−2の真下およびその近傍である。また、第1の測定箇所pAは組Aに対応し範囲a内にあり、第2の測定箇所pBは組Bに対応し範囲b内にあり、第3の測定箇所pCは組Cに対応し範囲c内にあり、第4の測定箇所pDは組Dに対応し範囲d内にあり、第5の測定箇所pEは組Eに対応し範囲e内にある。
プレス成形(絞り成形)の品質を判定するための成形品質値としては、プレス成形された被加工物1における曲面の曲がり具合を示す値を用いることができる。なお、曲がり具合を示す値は、曲率半径であってよい。好ましくは、被加工物1において、エッジ部(即ち、縁部)の曲がり具合を示す値を、前記成形品質値とする。図5は、図4(B)に対応するが、被加工物1のエッジ部1a、1bの一例を示す図である。
前記曲がり具合を示す値の代わりに、被加工物1の局所的な硬さを示す値を前記成形品質値として使用してもよい。
成形品質測定装置31が、前記成形品質値として被加工物1における曲面の曲がり具合を示す値を測定する場合には、成形品質測定装置31は、図6(A)、図6(B)に示す構成のものであってよい。
図6(A)の場合には、成形品質測定装置31は、光源43、スリット部材45、撮像装置47および演算装置49を有する。光源43からの光がスリット部材45のスリット45aを通過することで光の形状がスリット状になる。このスリット状のスリット光を被加工物1の表面に投影する(照らす)。被加工物1の表面に投影されたスリット光43aをCCDカメラ等の撮像装置47で撮影する。演算装置49は、撮像装置47により獲得されたスリット光43aの曲がり具合データに基づいて、被加工物1における曲面の曲がり具合を演算して、曲がり具合を示す値を取得する。
図6(B)の場合には、成形品質測定装置31は、測定子51、リニア変位計53および演算装置55を有する。棒状の測定子51の先端を被加工物1表面に当てた時の測定子51の変位量をリニアスケールやリニアエンコーダなどのリニア変位計53で測定する。次いで、測定子51を被加工物1表面に沿って次の測定位置へ移動させて、同様に測定子51の前記変位量を測定するといった具合に、複数の測定位置(水平方向位置)で測定子51の前記変位量(鉛直方向位置)をリニア変位計53で測定する。演算装置55は、複数の前記測定位置と複数の前記変位量に基づいて、被加工物1の局所的な形状を測定・演算し、この局所的な形状から被加工物1における曲面の曲がり具合を演算して、曲がり具合を示す値を取得する。
なお、測定子51による複数の測定位置(水平方向位置)は、測定子51とリニア変位計53を水平移動させる移動装置(図示せず)から演算装置55に入力される。
一方、成形品質測定装置31が、前記成形品質値として被加工物1における前記局所的な硬さを示す値を測定する場合には、成形品質測定装置31として、ピストンや圧電素子を用いて被加工物1表面を既知の力で押しそのときに生じる微小変形量をリニアエンコーダや容量式の変位センサで測定して当該測定値を前記硬さを示す値として取得するもの、形状・性状が既知の小球を一定速度で被加工物1表面に当て、その跳ね返り量を容量式やレーザー式の変位センサで測定して当該測定値を前記硬さを示す値として取得するものなどがある。
成形品質測定装置31による成形品質値測定は、例えば、所定の設置台(図示せず)に置かれた被加工物1に対して行ってよい。プレス成形された被加工物1は、搬送装置(図示せず)によりプレス機械10から取り出されて前記設置台上に置かれてよい。また、各測定箇所pA、pB、pC、pD、pEの前記成形品質値を測定する各位置へ移動できるように、1台の成形品質測定装置31を水平移動機構に必要に応じ垂直移動機構を組み合わせたものに搭載してよいし、測定箇所の数と同じ台数の成形品質測定装置31を用意し、これらを予め測定箇所に対応する位置に設置してもよい。
図3に戻って、設定作動値変更部41について詳しく説明する。前記各組において、設定作動値変更部41は、該組に対応する前記測定箇所での前記測定値を所定の成形品質基準値crと比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値crに近づけるように、変位機構35の前記設定作動値を変化させる。各組の設定作動値変更部41は、前記比較を行う成形品質判定機41aと、変位機構35の前記設定作動値を変化させる設定値変更器41bとからなる。
成形品質基準値crは、第1〜第5の測定箇所pA、pB、pC、pD、pE毎(即ち、各組毎)に予め求められたものであってよく、これら成形品質基準値crはそれぞれ組A〜Eの成形品質判定機41aに記憶されてよい。この場合、組Aの設定作動値変更部41は、第1の測定箇所pAでの前記測定値を第1の測定箇所pAに対する成形品質基準値crと比較し、両者が一致しない場合には、測定箇所pAの成形品質値を前記成形品質基準値crに近づけるように、変位機構35の前記設定作動値を変化させる。他の組B,C,D,Eにおいても同様の処理を行う。
成形品質基準値crの求め方としては、例えば、成形品質値として被加工物1における曲面の曲がり具合を示す値を使用するならば、プレス成形シミュレーションを行って絞り成形後の被加工物1の形状を求めて、被加工物1の当該形状の各測定箇所pA、pB、pC、pD、pEにおける曲がり具合を示す値を成形品質基準値crとすることができる。
一方、成形品質値として前記硬さを示す値を使用するならば、プレス成形シミュレーションを行って得られる成形途中の局所的な荷重変化から予測される材料の組織変態を考慮した被加工物1の弾性率分布と、プレス成形シミュレーションを行って得られる絞り成形後の被加工物1の形状に対し、有限要素法による構造シミュレーションにより局所的な硬さを予測し、当該予測値を成形品質基準値crとすることができる。
図7(A)は、第1〜第5の測定箇所pA、pB、pC、pD、pE(それぞれ、組A、組B、組C、組D、組Eの変位機構35に対応する)と組A、組B、組C、組D、組Eに対する前記設定作動値との関係の一例を示す図であり、図7(B)は、設定作動値変更部41による調整後の設定作動値の一例を示す。図7(B)において、白丸は、設定作動値変更部41による調整前の設定作動値を示している。即ち、図7(B)において、設定作動値変更部41は、設定作動値を、白丸の値から黒丸の値へ変化させて調整している。
記憶装置37は、例えば、制御装置39に設けられたメモリであってよく、設定作動値変更部41と制御装置39は、コンピュータやプログラマブルロジックコントローラとその上で実行される処理プログラムとの組み合わせにより構成できる。組A、組B、組C、組D、組Eに対する設定作動値変更部41と制御装置39を、それぞれの組ごとに独立したコンピュータやプログラムロジックコントローラで実現してもよいし、1台のコンピュータやプログラムロジックコントローラで実現してもよい。後者の場合、処理プログラムにおいて組A、組B、組C、組D、組Eを区別する。
信号や指令の伝送には、アナログの電圧・電流を電線で伝える方法や、デジタル値をフィールドネットワークを用いて伝える方法がある。
図8、図9は、第1実施形態によるプレス機械10の調整方法を示すフローチャートである。
ステップS1において、被加工物1を1枚プレス成形する。その後、組Aに対するステップSA、組Bに対するステップSB、組Cに対するステップSC、組Dに対するステップSD、組Eに対するステップSEを、この順に行う。
ステップSAでは、次のステップSA1〜SA4を行う。
ステップSA1において、ステップS1でプレス成形した被加工物1における第1の測定箇所pAの成形品質値を成形品質測定装置31により測定する。これにより、第1の測定箇所pAでの成形品質値の測定値を取得する。
ステップSA2において、ステップSA1で取得した測定値と第1の測定箇所pAに対する成形品質基準値crとを、組Aの成形品質判定機41aが比較する。
ステップSA3において、ステップSA2での比較の結果、成形品質値の測定値と成形品質基準値crが一致しない場合には、ステップSA4へ進む。一方、一致する場合には、ステップSBへ進む。
ステップSA4において、組Aの設定値変更器41bは、組Aの変位機構35に対する設定作動値を増加または減少させ、その後、ステップSBへ進む。
ステップSBでは、次のステップSB1〜SB4を行う。
ステップSB1において、ステップS1でプレス成形した被加工物1における第2の測定箇所pBの成形品質値を成形品質測定装置31により測定する。これにより、第2の測定箇所pBでの成形品質値の測定値を取得する。
ステップSB2において、ステップSB1で取得した測定値と第2の測定箇所pBに対する成形品質基準値crとを、組Bの成形品質判定機41aが比較する。
ステップSB3において、ステップSB2での比較の結果、成形品質値の測定値と成形品質基準値crが一致しない場合には、ステップSB4へ進む。一方、一致する場合には、ステップSCへ進む。
ステップSB4において、組Bの設定値変更器41bは、組Bの変位機構35に対する設定作動値を増加または減少させ、その後、ステップSCへ進む。
ステップSCでは、次のステップSC1〜SC4を行う。
ステップSC1において、ステップS1でプレス成形した被加工物1における第3の測定箇所pCの成形品質値を成形品質測定装置31により測定する。これにより、第3の測定箇所pCでの成形品質値の測定値を取得する。
ステップSC2において、ステップSC1で取得した測定値と第3の測定箇所pCに対する成形品質基準値crとを、組Cの成形品質判定機41aが比較する。
ステップSC3において、ステップSC2での比較の結果、成形品質値の測定値と成形品質基準値crが一致しない場合には、ステップSC4へ進む。一方、一致する場合には、ステップSDへ進む。
ステップSC4において、組Cの設定値変更器41bは、組Cの変位機構35に対する設定作動値を増加または減少させ、その後、ステップSDへ進む。
ステップSDでは、次のステップSD1〜SD4を行う。
ステップSD1において、ステップS1でプレス成形した被加工物1における第4の測定箇所pDの成形品質値を成形品質測定装置31により測定する。これにより、第4の測定箇所pDでの成形品質値の測定値を取得する。
ステップSD2において、ステップSD1で取得した測定値と第4の測定箇所pDに対する成形品質基準値crとを、組Dの成形品質判定機41aが比較する。
ステップSD3において、ステップSD2での比較の結果、成形品質値の測定値と成形品質基準値crが一致しない場合には、ステップSD4へ進む。一方、一致する場合には、ステップSEへ進む。
ステップSD4において、組Dの設定値変更器41bは、組Dの変位機構35に対する設定作動値を増加または減少させ、その後、ステップSEへ進む。
ステップSEでは、次のステップSE1〜SE4を行う。
ステップSE1において、ステップS1でプレス成形した被加工物1における第5の測定箇所pEの成形品質値を成形品質測定装置31により測定する。これにより、第5の測定箇所pEでの成形品質値の測定値を取得する。
ステップSE2において、ステップSE1で取得した測定値と第5の測定箇所pEに対する成形品質基準値crとを、組Eの成形品質判定機41aが比較する。
ステップSE3において、ステップSE2での比較の結果、成形品質値の測定値と成形品質基準値crが一致しない場合には、ステップSE4へ進む。一方、一致する場合には、ステップS2へ進む。
ステップSE4において、組Eの設定値変更器41bは、組Eの変位機構35に対する設定作動値を増加または減少させ、その後、ステップS2へ進む。
ステップS2において、同じ金型を用いた同じ品種のプレス成形が終了したかを判断する。終了していない場合には,ステップS1へ戻る。終了した場合には、当該金型を用いたプレス成形を終了する。
図7に示す例では以下のようになっている。
ステップSA1で測定した第1の測定箇所pAにおける成形品質値が、ステップSA2で第1の測定箇所pAに対する成形品質基準値crと比較され、ステップSA3で一致すると判定され、ステップSA4はスキップされる、すなわち、組Aの変位機構35に対する設定作動値は変化しない。
ステップSB1で測定した第2の測定箇所pBにおける成形品質値が、ステップSB2で第2の測定箇所pBに対する成形品質基準値crと比較され、ステップSB3で一致しない(例えば、曲率半径である測定値または前記硬さを示す測定値がcrより小さい)と判定され、ステップSB4において組Bの変位機構35に対する設定作動値(例えば、設定変位量)が減少される。
ステップSC1で測定した第3の測定箇所pCにおける成形品質値が、ステップSC2で第3の測定箇所pCに対する成形品質基準値crと比較され、ステップSC3で一致すると判定され、ステップSC4はスキップされる、すなわち、組Cの変位機構35に対する設定作動値は変化しない。
ステップSD1で測定した第4の測定箇所pDにおける成形品質値が、ステップSD2で第4の測定箇所pDに対する成形品質基準値crと比較され、ステップSD3で一致しない(例えば、曲率半径である測定値または前記硬さを示す測定値がcrより大きい)と判定され、ステップSD4において組Dの変位機構35に対する設定作動値(例えば、設定変位量)が増加される。
ステップSE1で測定した第5の測定箇所pEにおける成形品質値が、ステップSE2で第5の測定箇所pEに対する成形品質基準値crと比較され、ステップSE3で一致しない(例えば、曲率半径である測定値または前記硬さを示す測定値がcrより大きい)と判定され、ステップSE4において組Eの変位機構35に対する設定作動値(例えば、設定変位量)が増加される。
上述した設定作動値の変更方法において、前記成形品質値の測定値と前記成形品質基準値crとが一致しない場合、設定作動値を増加させればよいか減少させればよいか未知の場合には、該測定値の前記測定箇所に対応する前記組の前記設定作動値変更部41は、変位機構35の設定作動値をとりあえず増加(または減少)させ、該増加(または減少)させられた前記設定作動値に基づいた制御装置39による制御の下でスライド3の姿勢を変化させ、その状態でスライド3を昇降させてプレス成形を行い、成形品質測定装置31は、該プレス成形された被加工物1の当該測定箇所における成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値crに近づいていれば、該設定作動値変更部41は、該設定作動値をさらに増加(または減少)させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値crから遠ざかっていれば、該設定作動値を減少(または増加)させる。例えば、組Aについては、第1の測定箇所pAの前記成形品質値の測定値と前記成形品質基準値crとが一致しない場合、組Aにおいて、設定作動値変更部41は、変位機構35の設定作動値を増加(または減少)させ、該増加(または減少)させられた前記設定作動値に基づいた制御装置39による制御の下でスライド3の姿勢を変化させ、その状態でスライド3を昇降させてプレス成形を行い、成形品質測定装置31は、該プレス成形された被加工物1の当該測定箇所pAにおける成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値crに近づいていると設定作動値変更部41が判断すれば、該設定作動値変更部41は、該設定作動値をさらに増加(または減少)させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値crから遠ざかっていると設定作動値変更部41が判断すれば、該設定作動値変更部41は、該設定作動値を減少(または増加)させる。他の組B〜Eにおいても同様である。これにより、前記設定作動値の調整方向が未知であっても、前記成形品質値を成形品質基準値に近づけることができる。
また、設定作動値の増加量または減少量の決め方としては、成形品質値の測定値と成形品質基準値crの差の大きさに応じて決めてもよいし、増加量、減少量を一定の微小量としてもよい。後者の場合、図8、図9に示すフローチャートの処理がくり返し行われることにより、被加工物1を何枚も絞り成形する間に微小量ずつ設定作動値が調整されることにより、適切な設定作動値の値が得られる。
なお、成形品質測定装置31は、上述では、前記各組毎に、成形品質値の1つの測定値を当該組に対応する前記測定箇所での前記測定値としていたが、次のようにしてもよい。即ち、成形品質測定装置31は、前記各組毎に、複数の測定位置で前記成形品質値を反映データとして測定し、該複数の測定位置の前記反映データを反映した値を、該組に対応する測定箇所の前記測定値として前記成形品質基準値crと比較してもよい。複数の測定位置の前記反映データを反映した値は、例えば、複数の測定位置の成形品質値の測定値の中央値、平均値または最低値(最高値)であってよい。また、すべての組A〜Eで前記反映データを使用しなくてもよく、1つ以上の組で前記反映データを使用するようにしてもよい。
上述した本発明の実施形態によるプレス機械10では、成形品質測定装置31が、前記プレス成形された被加工物1の成形品質値を測定し、スライド姿勢調整装置33が、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、スライド3の姿勢を変化させるので、スライド3の姿勢を良好な状態に維持できる。よって、プレス成形品(プレス成形された被加工物1)の品質を精度よく良好に維持することができる。
例えば、プレス成形品を量産する場合に、量産中に、スライド3の姿勢が少しずつ変化することで、プレス成形品の成形品質値が成形品質基準値からずれた場合でも、被加工物1の成形品質値を所望の成形品質基準値に近づけるようにスライド3の姿勢が調整されるので、量産の全過程を通して、プレス成形品の品質を精度よく良好に維持することができる。
また、試験的なプレス成形において最適なスライド3の姿勢が得られていない場合であっても、量産中に、プレス成形品の成形品質値が所望の成形品質基準値に近づくようにスライド3の姿勢を調整できるので、良好な品質のプレス成形品を量産することができる。
上述の実施形態では、変位機構35、記憶装置37、制御装置39および設定作動値変更部41を複数組設け、成形品質測定装置31により複数の測定箇所毎に被加工物1の成形品質値を測定し、前記各組の設定作動値変更部41は、該組に対応する前記測定箇所での前記成形品質値の測定値を所定の成形品質基準値と比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、前記設定作動値を変更するので、一層精度よく、スライド3の姿勢を良好な状態に維持できる。よって、プレス成形品の品質をより高精度に維持することができる。
また、上述の実施形態では、スライド3の傾きとたわみの両方を、成形品質値が所望の成形品質基準値に近づくように調節するので、プレス成形品の品質をさらに高精度に維持することができる。
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
上述の実施形態では、組の数は、5つであったが他の数であってもよい。
所定の設置台(図示せず)に置かれた被加工物1に対して成形品質測定装置31による成形品質値測定を行うかわりに、プレス成形された被加工物1を産業用ロボット等の搬送装置(図示せず)がプレス機械10から取り出して把持した状態のまま、搬送装置の位置を制御して被加工物1を成形品質測定装置31に接近させてもよい。
変位機構35は、シリンダ装置に限定されず、他の機構であってもよい。
例えば、変位機構35は、ナットとスクリューが螺合した機構で、ナットまたはスクリューをサーボモータで回転させることで、変位してスライド3の所定箇所に荷重を作用させるものであってもよい。この場合、変位機構35の制御対象部35aは、サーボモータへ電流を供給するドライバである。即ち、制御装置39は、サーボモータのドライバ35aを介してパルス幅変調やサイリスタチョッパによりサーボモータに供給する電流を制御する。また、この場合において、変位機構35の他の構成は上述の実施形態と同じであってよい。
また、変位機構35は、空圧式のシリンダ装置であってもよい。この場合には、制御対象部35aは圧縮機等から空気シリンダへ圧縮空気を供給するチューブに設けられた制御弁や空気シリンダ内の圧縮空気を大気へ逃がすチューブに設けられた制御弁などであり、制御装置39は制御弁を制御することで空気シリンダ内の圧縮空気の圧力を制御する。また、この場合において、変位機構35の他の構成は上述の実施形態と同じであってよい。
いずれの機構を採用する場合でも、変位機構35に対する制御方式としては、例えば、フィードバック制御や、フィードバック制御とフィードフォワード制御の組み合わせなどがある。
上述の実施形態では、変位機構35の設定作動値は、変位量であったが、本発明はこれに限定されない。即ち、変位機構35の種類にかかわらず、設定作動値は、変位機構35がスライド3に作用させる荷重であってもよい。例えば、変位機構35が油圧シリンダ装置である場合には、設定作動値は、油圧シリンダ装置のシリンダ室内の油圧であってよい。また、変位機構35が上述のようにナットまたはスクリューをサーボモータで回転させるものである場合、設定作動値は、このサーボモータのトルクであってもよい。変位機構35が空圧シリンダ装置である場合には、設定作動値は、空圧シリンダ装置のシリンダ室内の空圧であってよい。これらの場合、前記荷重(例えば、シリンダ室内の前記油圧、前記空圧)または前記トルクの制御を通して間接的に変位機構35の変位量が調整される。
(本発明を複数台のプレス機械10から構成されるプレスラインへ適用する例)
被加工物1のプレス成形に複数のプレス機械10a、10b、10cが必要な場合、図10に例を示すような複数のプレス機械10a〜10c、最上流のプレス機械10aへ被加工物1を供給する搬送装置61a、被加工物1を上流側のプレス機械10aまたは10bから取り出し下流側のプレス機械10bまたは10cへ供給する搬送装置61b,61c、最下流のプレス機械10cから被加工物1を搬出する搬送装置61dから構成されるプレスラインが用いられる。例えば、プレス機械10aのみがダイクッション装置25を有していて絞り成形を行い、プレス機械10b,10cは絞り成形以外のプレス加工(切断、穴あけ、など)を行うので、絞り成形の品質はプレス機械10aのみで決まり、プレス機械10b、10cの影響を受けない。よって、絞り成形成形品質検出(図3に示す成形品質測定装置31による成形品質値測定に相当)は、プレス機械10aとプレス機械10bの間、プレス機械10bとプレス機械10cの間、プレス機械10cの下流のいずれで行ってもよい。また、搬送装置61b、61cまたは61dに成形品質測定装置31を取り付け、搬送装置61b、61cまたは61dが被加工物1を搬送中に前記成形品質値を測定してもよい。
なお、図10の例ではプレス機械が3台、搬送装置は4台であり、各搬送装置61a〜61dはロボットであるが、プレス機械・搬送装置の台数が異なっていてもよく、搬送装置としてロボット以外を使用することも可能である。
量産中に本発明を適用する場合、前記成形品質値の変化はゆっくりしているので、絞り成形後の前記成形品質値の測定は、すべての被加工物1に対して行ってもよいし、抜き取った被加工物1(例えば、100個の被加工物1を絞り成形するごとに1個の被加工物1を抜き取る)に対してのみ前記成形品質値を測定してもよい。
上述の実施形態では、成形品質値の比較結果に対して設定値変更器41bを用いて自動的に設定作動値を調整する方法を示したが、成形品質判定機41aによる判定結果を人間が目視できるよう数値やグラフで表示装置(CRTディスプレイや液晶ディスプレイなど)に表示し、人間が判断して設定作動値を手動で調整するように構成することも可能である。この場合、例えば、記憶装置37に設けられた操作部を人間が操作することで、設定作動値を調整してよい。
本発明はプレス機械10,10aによる量産中に実施すると効果が大きいが、試験的な絞り成形を実施中に実行してもよい。この場合、少ない回数の試験的な絞り成形によって良好な設定作動値が得られるという効果が期待できる。
プレス機械、プレスラインでは金型を交換して多品種生産が行われるが、その場合は金型・品種ごとに設定作動値、成形品質基準値crを用意し、金型・品種を変えたときに、その金型・品種に対応する前記設定作動値、成形品質基準値crを、記憶装置37、成形品質判定機41aに伝送して記憶させればよい。生産中に前記設定作動値は変化するので、Xという金型・品種で生産した後、Yという金型・品種で生産し、再びXという金型・品種で生産する場合、1回目のXの生産終了後、生産中に変化した設定作動値を保存しておき、2回目のXの生産開始時に再び記憶装置37に記憶させることにより、金型の経年劣化を考慮した生産がすぐに再開できる。
上述の実施形態では、スライド駆動機構5は、サーボモータを用いた形式のものであったが、フライホイールなどを用いた他の形式のものであってもよい。例えば、スライド駆動機構5は、フライホイールの回転がクラッチを介して前記駆動ギア5aに伝達されるものであってもよい。
本発明の実施形態によるプレス機械を示す図である。 図1のII−II線断面図である。 複数組の変位機構、記憶装置、制御装置および設定作動値変更部を示すブロック図である。 (A)は、図1の4A−4A線から見た平面図に相当しプレス成形された被加工物を示し、(B)は(A)の側面図である。 図4(B)に対応するが、エッジ部のある被加工物を示す。 成形品質測定装置の構成例を示す。 (A)は、第1〜第5の測定箇所pA、pB、pC、pD、pEと設定作動値との関係を示し、(B)は、調整後の設定作動値の一例を示す。 本発明の実施形態による設定作動値の調整方法を示すフローチャートである。 図8のフローチャートの続きを示す。 本発明が適用可能なプレスラインの例を示す図である。 プレス成形(絞り成形)の説明図である。
符号の説明
1 被加工物、3 スライド、5 スライド駆動機構、5a 駆動ギア、5b 変換機構、7 カウンタバランスシリンダ、9 下荷重支持部材(ベッド)、10 プレス機械、10a〜10c プレス機械、11 上荷重支持部材(クラウン)、15 連結部材(アプライト)、17 上金型、19 下金型、21 キャリア、23 ボルスタ、25 ダイクッション装置、27 可動部、27a ブランクホルダ、27b クッションピン、27c クッションプレート、29 駆動装置、31 成形品質測定装置、33 スライド姿勢調整装置、35 変位機構(シリンダ装置)、35a 制御対象部 37 記憶装置、39 制御装置、41 設定作動値変更部、41a 成形品質判定機、41b 設定値変更器、43 光源、43a 被加工物表面に投影されたスリット光、45 スリット部材、45a スリット、47 撮像装置、49 演算装置、51 測定子、53 リニア変位計、55 演算装置、61a,61b,61c,61d 搬送装置

Claims (5)

  1. 被加工物を上下方向に挟んでプレス加工する上金型および下金型と、上金型が下面に固定され昇降運動させられるスライドと、前記スライドを昇降させプレス成型力を発生させるスライド駆動機構と、を備えるプレス機械であって、
    前記プレス成形された被加工物の成形品質値を測定する成形品質測定装置と、
    前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、前記スライドの姿勢を変化させるスライド姿勢調整装置と、を備える、ことを特徴とするプレス機械。
  2. 前記成形品質値は、プレス成形された被加工物における曲面の曲がり具合を示す値と、該被加工物の硬さを示す値との少なくともいずれかである、ことを特徴とする請求項1に記載のプレス機械。
  3. 前記スライド姿勢調整装置は、
    変位によりスライドの姿勢を変化させる変位機構と、
    該変位機構の設定作動値を記憶する記憶装置と、
    前記設定作動値に基づいて前記変位機構を制御することで、前記設定作動値に応じて前記変位機構を変位させる制御装置と、
    前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように前記設定作動値を変化させることで、前記スライドの姿勢を変化させる設定作動値変更部と、を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のプレス機械。
  4. 前記変位機構、前記記憶装置、前記制御装置および前記設定作動値変更部は、複数組設けられ、前記複数組の変位機構は、それぞれスライドの複数箇所を変位させることができ、
    成形品質測定装置は、前記プレス成形された被加工物における複数の測定箇所毎に被加工物の成形品質値を測定し、
    前記各組の設定作動値変更部は、該組に対応する前記測定箇所での前記成形品質値の測定値を所定の成形品質基準値と比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、前記設定作動値を変更する、ことを特徴とする請求項3に記載のプレス機械。
  5. 請求項4に記載のプレス機械の調整方法であって、
    前記成形品質値の測定値と前記成形品質基準値とが一致しない場合、
    (A)該測定値の前記測定箇所に対応する前記組の前記設定作動値変更部は、前記設定作動値を増加させ、該増加させられた前記設定作動値に基づいた前記制御装置の制御でスライドの姿勢を変化させ、その状態で前記スライドを昇降させてプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該測定箇所における成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定作動値変更部は、該設定作動値をさらに増加させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定作動値を減少させ、または、
    (B)該測定値の前記測定箇所に対応する前記組の前記設定作動値変更部は、前記設定作動値を減少させ、該減少させられた前記設定作動値に基づいた前記制御装置の制御でスライドの姿勢を変化させ、その状態で前記スライドを昇降させてプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該測定箇所における成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定作動値変更部は、該設定作動値をさらに減少させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定作動値を増加させる、ことを特徴とするプレス機械の調整方法。
JP2008308711A 2008-12-03 2008-12-03 プレス機械とこれの調整方法 Pending JP2010131620A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008308711A JP2010131620A (ja) 2008-12-03 2008-12-03 プレス機械とこれの調整方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008308711A JP2010131620A (ja) 2008-12-03 2008-12-03 プレス機械とこれの調整方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010131620A true JP2010131620A (ja) 2010-06-17

Family

ID=42343487

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008308711A Pending JP2010131620A (ja) 2008-12-03 2008-12-03 プレス機械とこれの調整方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010131620A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013177041A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 Toyota Auto Body Co Ltd シートスライドレールの製造方法、および該製造方法に用いられる成形機構

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013177041A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 Toyota Auto Body Co Ltd シートスライドレールの製造方法、および該製造方法に用いられる成形機構

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2165781B1 (en) Press working method with a pinch release step and apparatus performing such method
JP3231536B2 (ja) プレス機械の異常診断方法
CN111822580B (zh) 用于操作精细冲裁系统的方法
KR20090034341A (ko) 프레스 기계의 금형 교환 방법 및 프레스 기계
WO2003068490A1 (fr) Presse
JP5023627B2 (ja) プレス加工装置
EP1741499B1 (en) Force control device for a servo die cushion without force detector
US7152444B2 (en) Press-forming machine
JP3929362B2 (ja) サーボプレス、およびそれを用いた加工方法とその制御方法
KR101605759B1 (ko) 튜브용 벤딩장치
JPWO2020149380A1 (ja) プレス成形品の製造方法、及びプレスライン
JP5257839B2 (ja) ダイクッション装置とこれの調整方法
KR20200083770A (ko) 점진 성형 방법 및 점진 성형 장치
JP2010131620A (ja) プレス機械とこれの調整方法
WO1996023653A1 (fr) Dispositif de correction de la hauteur de la matrice d'une presse
JPH07266100A (ja) プレス加工条件設定方法および装置
JP5007798B2 (ja) プレス機械のダイクッション装置及びダイクッションの動作制御方法
JP2009101396A (ja) プレス機械
JP2860935B2 (ja) プレスのダイハイト補正装置
JP5407129B2 (ja) ダイクッション装置の制御方法及びダイクッション装置
JPH07164091A (ja) 油圧サーボ制御式ボトムノックアウト装置
JP2009274072A (ja) ダイクッション装置
JP2713773B2 (ja) 折曲げ加工機の制御方法
JP2009178726A (ja) プレス機械とその調節方法
JP2005211928A (ja) プレスシステム