JPWO2020136871A1 - レーダ信号処理装置及びレーダ信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
非特許文献1に開示されているSAR信号処理装置は、レーダ装置の進行方向であるアジマス方向に複数の開口を有するアンテナを備えている。
非特許文献1に開示されているSAR信号処理装置は、レーダ装置が移動しているとき、複数の開口のそれぞれから送信パルスを等しい時間間隔で繰り返し放射し、目標に反射された送信パルスを受信パルスとして、複数の開口のそれぞれで受信する。
非特許文献1に開示されているSAR信号処理装置は、複数の開口のそれぞれで受信された受信パルスについての受信信号をドップラー周波数領域の信号に変換する。
そして、非特許文献1に開示されているSAR信号処理装置は、受信信号に生じている信号の折り返しであるアンビギュイティを相殺するリコンストラクション処理を実施する。
図1は、実施の形態1に係るレーダ信号処理装置を示す構成図である。
図2は、実施の形態1に係るレーダ信号処理装置における信号処理部2のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図1において、アンテナ部1は、アジマス方向及びエレベーション方向のそれぞれに複数の開口を有している。
アンテナ部1は、複数の開口のそれぞれから送信パルスを不等時間間隔で繰り返し放射し、目標に反射されたそれぞれの送信パルスを受信パルスとして、複数の開口のそれぞれで繰り返し受信する。
アンテナ部1は、アナログデジタル変換器(以下、「A/D変換器」と称する)を備えており、複数の開口のそれぞれで受信したそれぞれの受信パルスについての受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
アンテナ部1は、デジタルの受信信号を信号処理部2のビーム形成部3に出力する。
信号処理部2は、アンテナ部1から出力されたデジタルの受信信号に対する各種の信号処理を実施することで、SAR画像を再生する。
ビーム形成部3は、アンテナ部1における複数の開口のそれぞれで受信されたそれぞれの受信パルスについての受信信号を用いて、複数のビームを形成する。
ビーム形成部3は、形成した複数のビームのそれぞれを周波数低減部4に出力する。
周波数低減部4は、ビーム形成部3により形成された複数のビームにおけるそれぞれのドップラー周波数を低減する。
周波数低減部4は、ドップラー周波数低減後の複数のビームのそれぞれを等間隔化部5に出力する。
等間隔化部5は、周波数低減部4によりドップラー周波数が低減された複数のビームのそれぞれに含まれている複数の受信パルスの時間間隔を等間隔化する。
等間隔化部5は、時間間隔を等間隔化した複数の受信パルスを含んでいる複数のビームにおけるそれぞれのドップラー周波数を、周波数低減部4により低減される前のドップラー周波数に戻し、ドップラー周波数を戻した複数のビームのそれぞれを変換部6に出力する。
変換部6は、等間隔化部5によりドップラー周波数が戻されたそれぞれのビームをドップラー周波数領域の信号に変換する。
変換部6は、複数のドップラー周波数領域の信号のそれぞれを信号合成部7に出力する。
信号合成部7は、変換部6から出力された複数のドップラー周波数領域の信号を合成し、複数のドップラー周波数領域の信号の合成信号を逆変換部8に出力する。
逆変換部8は、信号合成部7から出力された合成信号を時間領域の信号に変換し、時間領域の信号を画像再生部9に出力する。
画像再生部9は、逆変換部8から出力された時間領域の信号からSAR画像を再生する。
ここで、ビーム形成回路11、周波数低減回路12、等間隔化回路13、変換回路14、信号合成回路15、逆変換回路16及び画像再生回路17のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
レーダ信号処理装置の信号処理部2が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、ビーム形成部3、周波数低減部4、等間隔化部5、変換部6、信号合成部7、逆変換部8及び画像再生部9の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ21に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ22がメモリ21に格納されているプログラムを実行する。
図4は、信号処理部2の処理手順であるレーダ信号処理方法を示すフローチャートである。
図1に示すレーダ信号処理装置は、人工衛星又は飛行機等の移動体に搭載されており、移動体の移動に伴って、移動する。
図1に示すレーダ信号処理装置では、移動体が速度Vpltで等速直線運動しているものとする。
図5は、移動体に搭載されているアンテナ部1が有している複数の開口と、ビーム形成部3により形成される複数のビームとの一例を示す説明図である。
ビーム形成部3により形成される複数のビームは、信号処理部2内で計算上使用する仮想的な空間に形成されるビームであり、実空間に形成されるビームではない。
アジマス方向は、移動体の移動方向xと一致している。エレベーション方向は、図5及び図9において、矢印ELが示す方向である。エレベーション方向は、移動方向xと直交する方向である。
図5において、y軸方向は、グランドレンジ方向であり、z軸方向は、移動体の移動方向x及びy軸方向のそれぞれと直交する方向である。
図5の例では、アンテナ部1が、アジマス方向に2つの開口を有し、エレベーション方向に2つの開口を有している。
ビーム形成部3は、複数の開口によりそれぞれ受信された受信パルスについてのデジタルの受信信号を用いて、デジタルビームフォーミング(DBF:Digital Beam Forming)を実施することで、K(Kは、2以上の整数である)本のビームを形成することができる。ビーム形成部3は、アンテナ部1が有する開口の数が多いほど、ビーム幅が細いビームを形成することが可能である。図5の例では、ビーム形成部3により2つのビームが形成されている。しかし、これは一例に過ぎず、3つ以上のビームが形成されていてもよい。
アンテナ部1は、それぞれの送信パルスを目標に向けて放射したのち、目標に反射されたそれぞれの送信パルスを受信パルスとして、複数の開口のそれぞれで繰り返し受信する。
図6において、PRI(Pulse Repetition Interval)は、パルス繰返し周期である。スタガトリガ方式の観測では、アジマス時刻の経過に伴って、PRIが変化する。
図1に示すレーダ信号処理装置は、アンテナ部1がエレベーション方向に複数の開口を有しているため、2つの受信パルスをそれぞれ受信した際のアジマス時刻の時間幅が一部重なっていても、2つの受信パルスを分離することができる。したがって、図1に示すレーダ信号処理装置では、受信パルスの時間幅がPRIよりも広くても、受信パルスの観測が可能である。2つの受信パルスを分離する処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
エレベーション方向に複数の開口を有するアンテナによるスタガトリガ方式の観測では、パルス繰り返し周波数であるPRF(Pulse Repetition Frequency)を下げることなく、高分解能を維持したまま広域観測が可能であることが知られている。
アンテナ部1は、デジタルの受信信号を信号処理部2のビーム形成部3に出力する。
ビーム形成部3は、形成した複数のビームのそれぞれを周波数低減部4に出力する。
アンテナ部1がアジマス方向に有している開口の個数は、N(Nは、2以上の整数である)個であり、N個の開口における、互いに隣り合う開口間のそれぞれの間隔は、一定である。
また、アンテナ部1がエレベーション方向に有している開口の個数は、M(Mは、2以上の整数である)個であり、M個の開口における、互いに隣り合う開口間のそれぞれの間隔は、一定である。
ビーム形成部3は、例えば、(N×M)個の開口によりそれぞれ受信された受信パルスについてのデジタルの受信信号を用いて、DBFを実施することで、複数のビームを形成することができる。
K本のビームのうち、第k(k=1,・・・,K)番目のビームの指向方向は、エレベーション方向及びアジマス方向に垂直な方向からの角度が、θkであり、N個の開口のうち、第n(n=1,・・・,N)番目の開口によりそれぞれ受信された受信パルスについてのデジタルの受信信号が、sn(τ,η)であるとする。
このとき、第k番目のビームsk(τ,η)は、以下の式(1)に示すように、第k番目のビームの指向方向の角度θkと、受信信号sn(τ,η)とから算出することができる。
式(1)において、τは、レンジ時刻、ηは、アジマス時刻、λは、受信パルスの波長、dは、アジマス方向に並んでいるN個の開口における、互いに隣り合う開口間のそれぞれの間隔である。
図8は、ビーム形成部3により形成された指向方向の角度がθk≠0である第k番目のビームの一例を示す説明図である。
図7及び図8では、2つの開口がアジマス方向に並んでおり、説明の便宜上、図中、左側の開口を第1の開口と表記し、右側の開口を第2の開口と表記している。
ビーム形成部3は、アジマス方向のDBFを実施することで、図7及び図8に示すように、仮想空間の任意の方向にビームを形成することができる。
ビーム形成部3によって仮想空間に形成されるビームのうち、図7に示すビームは、指向方向の角度がθk=0となるように指向されたビームであり、図8に示すビームは、指向方向の角度がθk≠0となるように指向されたビームである。
図7及び図8には、第1の開口により受信された複数の受信パルスを含む第1のビームと、第2の開口により受信された複数の受信パルスを含む第2のビームとを示している。
ビーム形成部3により形成されるビームは、第1及び第2のビームよりもビーム幅が細い。
図9は、ビーム形成部3がエレベーション方向のDBFを実施することで形成したビームを示す説明図である。
図9では、2つの開口がエレベーション方向に並んでおり、説明の便宜上、図中、左下側の開口を第3の開口と表記し、右上側の開口を第4の開口と表記している。
図9には、第3の開口により受信された複数の受信パルスを含む第3のビームと、第4の開口により受信された複数の受信パルスを含む第4のビームとを示している。
ビーム形成部3により形成されるビームは、仮想空間の任意の方向に指向されたビームであり、第3及び第4のビームよりもビーム幅が細い。
しかし、以降の説明では、説明の簡単化のため、ビーム形成部3がアジマス方向のDBFのみを実施して、K本のビームを形成するものとする。
ビーム形成部3は、形成したK本のビームsk(τ,η)(k=1,・・・,K)のそれぞれを周波数低減部4に出力する。
ビーム形成部3により形成された複数のビームを合成する方法として、それぞれのビームをドップラー周波数領域の信号に変換し、複数のドップラー周波数領域の信号を合成する方法を用いることができる。
それぞれのビームをドップラー周波数領域の信号に変換する方法として、それぞれのビームをアジマス方向に離散フーリエ変換する方法を用いることができる。しかし、アジマス方向への離散フーリエ変換は、ビームに含まれている複数の受信パルスの時間間隔が不等間隔では簡単に実施することができない。
周波数低減部4は、ドップラー周波数低減後のK本のビームsdc,k(τ,η)のそれぞれを等間隔化部5に出力する。
図1に示すレーダ信号処理装置が、例えば、観測中にビームを任意の方向に固定して、目標を観測するストリップマップ観測を行う場合を想定する。周波数低減部4は、ストリップマップ観測を行う場合、ビームのドップラー周波数の中心周波数が0Hzで観測されるように、アジマス時間領域でビームsk(τ,η)の位相を操作することで、ドップラー周波数の中心周波数を低減することができる。
図10は、周波数低減部4によるビームのドップラー周波数の低減処理を示す説明図である。
図10の例では、周波数低減部4が、ビームのドップラー周波数の中心周波数が0Hzで観測されるように、ドップラー周波数の中心周波数と一致するビーム指向方向のドップラー周波数fkを低減している。
次に、等間隔化部5は、以下の式(3)に示すように、K本のビームses,k(τ,η)におけるそれぞれのドップラー周波数を、周波数低減部4により低減される前のドップラー周波数に戻す処理を行う(図4のステップST4)。
式(3)において、s’es,k(τ,η)は、等間隔化部5によりドップラー周波数が、周波数低減部4により低減される前のドップラー周波数に戻されたビームである。
等間隔化部5は、ドップラー周波数を戻したK本のビームs’es,k(τ,η)のそれぞれを変換部6に出力する。
図11は、周波数低減部4から出力されたドップラー周波数低減後のビームに含まれている複数の受信パルスの一例を示す説明図である。
周波数低減部4から出力されたドップラー周波数低減後のビームsdc,k(τ,η)に含まれている複数の受信パルスは、図11に示すように、受信されたアジマス時刻が不等時間間隔である。図11において、複数の「●」は、それぞれアンテナ部1により受信された受信パルスを示している。
図12は、ドップラー周波数低減後のビームに含まれている複数の受信パルスから求められる近似曲線の一例を示す説明図である。図12において、複数の「●」は、それぞれアンテナ部1により受信された受信パルスを示している。
図13は、等間隔化部5により時間間隔が等間隔化された複数の受信パルスの一例を示す説明図である。図13において、複数の「*」は、それぞれ等間隔化部5により時間間隔が等間隔化された受信パルスを示している。
複数の受信パルスのアジマス時刻が等間隔になるように、近似曲線上に新たな受信パルスを内挿する処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
変換部6は、K個のドップラー周波数領域の信号のそれぞれを信号合成部7に出力する。
逆変換部8は、時間領域の信号を画像再生部9に出力する。
画像再生部9は、逆変換部8から時間領域の信号を受けると、時間領域の信号からSAR画像を再生する(図4のステップST8)。
時間領域の信号からSAR画像を再生する処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
図14は、複数の開口から不等時間間隔で送信パルスが繰り返し放射されたのち、それぞれの送信パルスが1つの目標に反射されて、複数の開口のそれぞれで複数の受信パルスが受信されたときに、いずれか1つの開口で受信された複数の受信パルスを含んでいる受信信号の位相の一例を示す説明図である。図14において、複数の「×」は、それぞれサンプリング点における受信パルスを示している。
図中、楕円で囲まれている複数の受信パルスは、楕円で囲まれていない複数の受信パルスと比べて、ドップラー周波数が高い受信パルスである。
それぞれの開口で受信される受信パルスのドップラー帯域幅よりも、観測時のPRFの帯域幅が狭い場合、受信パルスのドップラー周波数領域では、信号の折り返しであるアンビギュイティが生じる。
図18より、それぞれの開口で受信される受信パルスのドップラー帯域幅よりも、観測時のPRFの帯域幅が狭い場合、アンビギュイティが生じることが分かる。
図18に示すドップラー周波数領域の信号は、図14に示すビームに含まれている複数の受信パルスに対する時間間隔の等間隔化処理と、等間隔化処理後のビームに対する離散フーリエ変換処理とを実施することで得られる。
図15の例では、ビーム形成部3によって、指向方向が互いに異なる3つのビームが形成されている。図中、楕円で囲まれている複数の受信パルスは、楕円で囲まれていない複数の受信パルスと比べて、ドップラー周波数が高い受信パルスである。楕円で囲まれていない複数の受信パルスは、図15の中央の図に記載されている複数の受信パルスのほか、図15における一番左側の図において、楕円で囲まれている複数の受信パルスよりも、アジマス時刻が早い側の複数の受信パルスも含まれる。また、楕円で囲まれていない複数の受信パルスは、図15における一番右側の図において、楕円で囲まれている複数の受信パルスよりも、アジマス時刻が遅い側の複数の受信パルスも含まれる。
図19の例では、3つのドップラー周波数領域の信号が表記されている。3つのドップラー周波数領域の信号は、それぞれ図15に示す3つのビームと対応している。それぞれのドップラー周波数領域の信号は、図15に示すそれぞれのビームに含まれている複数の受信パルスに対する時間間隔の等間隔化処理と、等間隔化処理後のビームに対する離散フーリエ変換処理とを実施することで得られる。
ビーム形成部3により形成されたビームのドップラー帯域幅は、アンテナ部1が有する開口の数に応じた値となる。ビーム形成部3により形成されたビームのドップラー帯域幅が、観測時のPRFの帯域幅よりも狭くなるように設計すれば、ビーム形成部3によりビームが形成される前にドップラー周波数領域で生じていたアンビギュイティがビーム形成部3によって解消される。ビーム形成部3は、観測時のPRFの帯域幅よりも広いドップラー周波数の範囲に、ビームを形成することが可能である。
図16の例では、周波数低減部4によって、図15に示す3つのビームのドップラー周波数の中心周波数のそれぞれが0Hzにシフトされることで、ドップラー周波数が低減されている。
周波数低減部4が、ドップラー周波数を低減することで、ビームの位相回転速度が、ドップラー周波数の低減前よりも遅くなる。したがって、ドップラー周波数の低減前と比べて、等間隔化部5による複数の受信パルスの等間隔化の精度が向上する。
図20の例では、3つのドップラー周波数領域の信号が表記されている。3つのドップラー周波数領域の信号は、それぞれ図16に示す3つのビームと対応している。それぞれのドップラー周波数領域の信号は、図16に示すそれぞれのビームに含まれている複数の受信パルスに対する時間間隔の等間隔化処理と、等間隔化処理後のビームに対する離散フーリエ変換処理とを実施することで得られる。
周波数低減部4によって、それぞれのビームのドップラー周波数の中心周波数fkが0Hzにシフトされている。
図17の例では、逆変換部8によって、図21に示す合成信号が時間領域に変換された信号に含まれている複数の受信パルスを示している。図中、複数の「◇」は、それぞれサンプリング点における受信パルスを示している。
時間領域の信号に含まれている複数の受信パルスの時間間隔は、等間隔化されている。
信号合成部7によって、図20における図中左側のドップラー周波数領域の信号のドップラー周波数と、図20における図中右側のドップラー周波数領域の信号のドップラー周波数とのそれぞれが、周波数低減部4により低減される前のドップラー周波数に戻される(図19を参照)。
図21の例では、信号合成部7によって、ドップラー周波数が戻された2つのドップラー周波数領域の信号と、図20における図中中央のドップラー周波数領域の信号とが合成されたドップラー周波数領域の信号を表記している。
ドップラー周波数領域では、アンビギュイティが解消されており、合成されたドップラー周波数領域の信号のドップラー帯域幅が、それぞれの開口で受信される受信パルスのドップラー帯域幅と概ね同じになる。
また、合成されたドップラー周波数領域の信号のドップラー帯域幅は、アンビギュイティが解消されている分だけ、図18に示すドップラー周波数領域の信号のドップラー帯域幅よりも広くなっている。
したがって、画像再生部9により再生されるSAR画像は、折り返しがない高分解能な画像となる。
実施の形態1のレーダ信号処理装置では、周波数低減部4が、ビームのドップラー周波数の中心周波数が0Hzで観測されるように、ドップラー周波数の中心周波数を低減している。
実施の形態2では、周波数低減部4が、アジマス時刻の経過に伴う複数のビームにおけるそれぞれの中心周波数の変化を解消することで、複数のビームにおけるそれぞれのドップラー周波数を低減するレーダ信号処理装置について説明する。
実施の形態2に係るレーダ信号処理装置の構成は、実施の形態1に係るレーダ信号処理装置と同様に、図1である。
スポットライト観測又はスライディングスポットライト観測の場合、移動しながら、送信パルスの放射方向を変えるビーム走査を行うことで、送信パルスを同一の領域に照射する。したがって、ビーム形成時のビーム指向方向をアジマス時刻の経過に伴って変化させても良い。この場合、ビーム形成されたビームの中心周波数は、図22に示すように、アジマス時刻の経過に伴って変化する。
周波数低減部4によりドップラー周波数が低減される前のビームは、アジマス時刻の経過に伴って、中心周波数に変化が生じている。
周波数低減部4は、アジマス時刻の経過に伴うビームの中心周波数の変化を解消することで、ビームのドップラー周波数を低減する。
ビームの中心周波数の変化を解消することによるドップラー周波数の低減処理は、以下の式(4)のように表される。
式(4)において、fkは、ビーム指向方向のドップラー周波数のうち、アジマス時刻に伴った変化をしない定数成分、Rrc(η)は、アンテナ部1から放射されたビームの回転中心と、アンテナ部1が有している全ての開口との距離である。
図23は、周波数低減部4によるビームのドップラー周波数の低減処理を示す説明図である。
Claims (7)
- アジマス方向に複数の開口を有しているアンテナ部における前記複数の開口のそれぞれから送信パルスが不等時間間隔で繰り返し放射されることで、目標に反射された前記送信パルスが受信パルスとして、前記複数の開口のそれぞれで受信されると、前記複数の開口のそれぞれで受信された受信パルスを用いて、複数のビームを形成するビーム形成部と、
前記ビーム形成部により形成された複数のビームのそれぞれに含まれている複数の受信パルスの時間間隔を等間隔化する等間隔化部と、
前記等間隔化部により時間間隔が等間隔化された複数の受信パルスを含んでいるそれぞれのビームをドップラー周波数領域の信号に変換し、複数のドップラー周波数領域の信号を出力する変換部と、
前記変換部から出力された複数のドップラー周波数領域の信号を合成し、前記複数のドップラー周波数領域の信号の合成信号を出力する信号合成部と、
前記信号合成部から出力された合成信号を時間領域の信号に変換する逆変換部と、
を備えたレーダ信号処理装置。 - アジマス方向及びエレベーション方向のそれぞれに複数の開口を有しており、前記複数の開口のそれぞれから送信パルスを不等時間間隔で繰り返し放射し、前記目標に反射された前記送信パルスを受信パルスとして、前記複数の開口のそれぞれで受信するアンテナ部を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーダ信号処理装置。
- 前記時間領域の信号から画像を再生する画像再生部を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーダ信号処理装置。
- 前記ビーム形成部により形成された複数のビームにおけるそれぞれのドップラー周波数を低減する周波数低減部を備え、
前記等間隔化部は、前記周波数低減部によりドップラー周波数が低減された複数のビームのそれぞれに含まれている複数の受信パルスの時間間隔を等間隔化したのち、時間間隔を等間隔化した複数の受信パルスを含んでいる複数のビームにおけるそれぞれのドップラー周波数を、前記周波数低減部により低減される前のドップラー周波数に戻し、ドップラー周波数を戻した複数のビームのそれぞれを前記変換部に出力することを特徴とする請求項1記載のレーダ信号処理装置。 - 前記周波数低減部は、前記ビーム形成部により形成された複数のビームにおけるそれぞれの中心周波数をシフトすることで、前記複数のビームにおけるそれぞれのドップラー周波数を低減することを特徴とする請求項4記載のレーダ信号処理装置。
- 前記周波数低減部は、前記ビーム形成部により形成された複数のビームにおけるそれぞれの中心周波数がアジマス時刻の経過に伴って変化していれば、アジマス時刻の経過に伴うそれぞれの中心周波数の変化を解消することで、前記複数のビームにおけるそれぞれのドップラー周波数を低減することを特徴とする請求項4記載のレーダ信号処理装置。
- ビーム形成部が、アジマス方向に複数の開口を有しているアンテナ部における前記複数の開口のそれぞれから送信パルスが不等時間間隔で繰り返し放射されることで、目標に反射された前記送信パルスが受信パルスとして、前記複数の開口のそれぞれで受信されると、前記複数の開口のそれぞれで受信された受信パルスを用いて、複数のビームを形成し、
等間隔化部が、前記ビーム形成部により形成された複数のビームのそれぞれに含まれている複数の受信パルスの時間間隔を等間隔化し、
変換部が、前記等間隔化部により時間間隔が等間隔化された複数の受信パルスを含んでいるそれぞれのビームをドップラー周波数領域の信号に変換して、複数のドップラー周波数領域の信号を出力し、
信号合成部が、前記変換部から出力された複数のドップラー周波数領域の信号を合成して、前記複数のドップラー周波数領域の信号の合成信号を出力し、
逆変換部が、前記信号合成部から出力された合成信号を時間領域の信号に変換する
レーダ信号処理方法。
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