JPWO2020130008A1 - 複合材及びその製造方法、プリプレグ、積層板、プリント配線板並びに半導体パッケージ - Google Patents

複合材及びその製造方法、プリプレグ、積層板、プリント配線板並びに半導体パッケージ Download PDF

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Abstract

ガラスクロスと熱硬化性樹脂組成物とを含有するプリプレグを、200℃以上に加熱する工程を有する複合材の製造方法であって、前記ガラスクロスを構成する経糸と緯糸との平均フィラメント径比(経糸/緯糸)が、1.00超であり、かつ、経糸と緯糸との織密度比(経糸/緯糸)が1.00超である、複合材の製造方法、該製造方法で得られる複合材、該複合材を用いた積層板及びその製造方法、プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに該複合材の製造方法に用いられるプリプレグである。

Description

本発明は、複合材及びその製造方法、プリプレグ、積層板、プリント配線板並びに半導体パッケージに関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化及び多機能化が一段と進み、これに伴い、LSI(Large Scale Integration)、チップ部品等の高集積化が進み、その形態も多ピン化及び小型化へと急速に変化している。このため、電子部品の実装密度を向上するために、多層プリント配線板の微細配線化の開発が進められている。これらの要求に合致する多層プリント配線板の製造手法として、例えば、プリプレグ等を絶縁層として用い、必要な部分のみ、例えばレーザ照射によって形成したビアホール(以下、「レーザービア」ともいう)で接続しながら配線層を形成するビルドアップ方式の多層プリント配線板が、軽量化、小型化及び微細配線化に適した手法として主流になりつつある。
多層プリント配線板では微細な配線ピッチで形成された複数層の配線パターン間の高い電気的接続信頼性及び優れた高周波特性を備えていることが重要であり、また、半導体チップとの高い接続信頼性が要求される。特に、近年、多機能型携帯電話端末等のマザーボードにおいて、薄型化及び配線の高密度化が著しく、その層間接続に供されるレーザビアには、小径化が求められている。
小径なレーザビアで層間接続する場合、基板の寸法安定性が重要な特性の1つとして挙げられる。多層配線化する際、各基板には、複数回の熱量及び積層時の応力が加えられることになる。したがって、基板自体の寸法バラつき、特に、熱履歴等による各基板の寸法変化量のバラつきが大きい場合、積層する毎にレーザビアの位置ずれが発生し、接続信頼性の低下等の不良の原因となり得る。このことから、寸法変化量のバラつきが小さい基板が求められている。
例えば、特許文献1には、多層プリント配線板における層間の合致性を高めることを目的として、予め硬化させた熱硬化性樹脂を含み、第1面と第2面を有する基材からなるコアと、該コアの第1面と第2面のそれぞれに形成した第1の接着剤層と第2の接着剤層とからなることを特徴とするプリプレグが開示されている。
特開2002−103494号公報
しかしながら、特許文献1のプリプレグは、コアとして予め硬化させた熱硬化性樹脂を含むため、配線埋め込み性等に劣るという問題があった。また、特許文献1のプリプレグは、硬化度の異なる複数の層を必要とすることから煩雑な生産工程が必要であり、より簡便な方法で得られる寸法変化量のバラつきが小さいプリプレグが望まれている。
そこで、本発明は、寸法変化量のバラつきが小さい複合材及びその製造方法、該複合材を用いた積層板及びその製造方法、プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに該複合材の製造方法に用いられるプリプレグを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記の本発明によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記[1]〜[13]に関する。
[1]ガラスクロスと熱硬化性樹脂組成物とを含有するプリプレグを、200℃以上に加熱する工程を有する複合材の製造方法であって、
前記ガラスクロスを構成する緯糸と経糸との平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.00超であり、かつ、経糸と緯糸との織密度比(経糸/緯糸)が1.00超である、複合材の製造方法。
[2]前記熱硬化性樹脂組成物が、(A)N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂を含有するものである、上記[1]に記載の複合材の製造方法。
[3]前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、(D)アミノシラン系カップリング剤で処理されたシリカを含有するものである、上記[2]に記載の複合材の製造方法。
[4]前記平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.02〜1.30である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合材の製造方法。
[5]前記織密度比(経糸/緯糸)が、1.10〜1.50である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の複合材の製造方法。
[6]前記ガラスクロスの厚さが、5〜50μmである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の複合材の製造方法。
[7]前記ガラスクロスの目付が、12〜35g/mである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の複合材の製造方法。
[8]2層以上の絶縁層を有する積層板、又は1層以上の絶縁層と1層以上の金属箔とを有する積層板の製造方法であって、
前記絶縁層が複合材であり、
該複合材を、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の複合材の製造方法によって形成する、積層板の製造方法。
[9]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の複合材の製造方法によって製造される複合材。
[10]上記[9]に記載の複合材を含有する積層板。
[11]上記[10]に記載の積層板を用いてなるプリント配線板。
[12]上記[11]に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
[13]ガラスクロスと熱硬化性樹脂組成物とを含有するプリプレグであって、
前記ガラスクロスにおける、緯糸と経糸との平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.00超であり、かつ、経糸と緯糸との織密度比(経糸/緯糸)が1.00超であり、
前記熱硬化性樹脂組成物が、(A)N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、及び(C)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂を含有するものである、プリプレグ。
本発明により、寸法変化量のバラつきが小さい複合材及びその製造方法、該複合材を用いた積層板及びその製造方法、プリント配線板及び半導体パッケージ、並びに該複合材の製造方法に用いられるプリプレグを提供することができる。
寸法変化量のバラつきの評価試験サンプルを示す模式図である。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値及び上限値と任意に組み合わせられる。
また、本明細書に例示する各成分及び材料は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
[複合材及びその製造方法]
本実施形態の複合材の製造方法は、ガラスクロスと熱硬化性樹脂組成物とを含有するプリプレグを、200℃以上に加熱する工程を有する複合材の製造方法であって、
前記ガラスクロスにおける、緯糸と経糸との平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.00超であり、かつ、経糸と緯糸との織密度比(経糸/緯糸)が1.00超である、複合材の製造方法である。
以下、本実施形態の製造方法に使用するガラスクロスを、「ガラスクロス(g)」、プリプレグを、「プリプレグ(p)」と称し、他の物と区別する。
本実施形態の製造方法によると寸法変化量のバラつきが小さい複合材を得ることができる。その理由については定かではないが、次のように推測される。
本実施形態の製造方法に用いるガラスクロス(g)は、平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.00超であり、かつ、経糸と緯糸の織密度比(経糸/緯糸)が1.00超という特徴を有し、これによって、適度な厚みを維持したまま、緯糸方向を強度が高められる。そのことにより、ガラスクロス製造時における経糸方向に付与される張力に起因する応力の発生が抑制され、複合材の製造過程における寸法変化量が均一化したものと推測される。
さらに、寸法変化量の均一化の度合いは、ガラスクロス(g)と熱硬化性樹脂組成物とを組み合わせて、200℃以上の高温硬化をすることによって、顕著に高まる傾向にある。なお、本実施形態における高温硬化による寸法変化量の均一化の度合いは、ガラスクロス(g)以外のガラスクロスを用いた場合よりも大きい。ここで、熱硬化性樹脂は、高温硬化することで均一な硬化収縮が生じ、寸法バラつきも低減する傾向にあると考えられるが、不均一な応力を内在しているガラスクロスは、高温に加熱すると、該応力を開放するために不均一に寸法が変化する。したがって、従来のガラスクロスを用いた場合に高温硬化をしても、熱硬化性樹脂の均一な硬化収縮と、ガラスクロスの不均一な収縮が競合して生じ、均一な寸法変化量が得られなかったと考えられる。一方、本実施形態の製造方法に用いるガラスクロス(g)は不均一な応力の発生が抑制されたものであるため、高温硬化による熱硬化性樹脂による均一な収縮が効果的に発現し、寸法変化量が顕著に均一化したものと推測される。
以下、最初に本実施形態の複合材の製造方法に用いる各部材について説明し、その後、好適な製造条件について説明する。
<プリプレグ(p)>
本実施形態の製造方法に用いられるプリプレグ(p)は、ガラスクロス(g)と熱硬化性樹脂組成物とを含有するものである。
(ガラスクロス(g))
ガラスクロス(g)は、緯糸と経糸との平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.00超であり、かつ、経糸と緯糸の織密度比(経糸/緯糸)が1.00超のものである。
なお、本実施形態において、経糸及び緯糸の平均フィラメント径、織密度、後述するガラスクロスの厚さ等のガラスクロスの物性は、JIS R 3240に準拠して測定することができる。
〔平均フィラメント径比(緯糸/経糸)〕
ガラスクロス(g)における、緯糸と経糸との平均フィラメント径比(緯糸/経糸)は、寸法変化量のバラつきを小さくする観点から、1.00超であり、1.02〜1.30が好ましく、1.05〜1.20がより好ましく、1.10〜1.15がさらに好ましい。
〔平均フィラメント径〕
ガラスクロス(g)における、経糸の平均フィラメント径は、ガラスクロスの強度を良好に保ちつつ、薄型化する観点から、上記平均フィラメント径比(緯糸/経糸)を充足した状態において、2.0〜10μmが好ましく、3.0〜8.0μmがより好ましく、3.5〜6.0μmがさらに好ましく、4.0〜5.0μmが特に好ましい。
ガラスクロス(g)における、緯糸の平均フィラメント径は、ガラスクロスの強度を良好に保ちつつ、薄型化する観点から、上記平均フィラメント径比(緯糸/経糸)を充足した状態において、2.0〜10μmが好ましく、3.0〜8.0μmがより好ましく、4.0〜6.0μmがさらに好ましく、4.5〜5.5μmが特に好ましい。
〔フィラメント本数〕
ガラスクロス(g)の経糸及び緯糸1本当たりのフィラメント本数は、ガラスクロスの強度を良好に保ちつつ、薄型化する観点から、40〜400本が好ましく、50〜300本がより好ましく、60〜200本がさらに好ましく、80〜150本が特に好ましい。
〔織密度比(経糸/緯糸)〕
ガラスクロス(g)における、経糸と緯糸の織密度比(経糸/緯糸)は、寸法変化量のバラつきを小さくする観点から、1.00超であり、1.10〜1.50が好ましく、1.20〜1.35がより好ましく、1.25〜1.30がさらに好ましい。
〔織密度〕
ガラスクロス(g)における、経糸の織密度は、ガラスクロスの強度を良好に保ちつつ、薄型化する観点から、上記織密度比(経糸/緯糸)を充足した状態において、40〜100本/25mmが好ましく、50〜90本/25mmがより好ましく、60〜85本/25mmがさらに好ましく、70〜80本/25mmが特に好ましい。
ガラスクロス(g)における、緯糸の織密度は、ガラスクロスの強度を良好に保ちつつ、薄型化する観点から、上記織密度比(経糸/緯糸)を充足した状態において、40〜90本/25mmが好ましく、45〜80本/25mmがより好ましく、50〜70本/25mmがさらに好ましく、55〜65本/25mmが特に好ましい。
〔ガラスクロス(g)の厚さ〕
ガラスクロス(g)の厚さは、ガラスクロスの強度を良好に保ちつつ、薄型化する観点から、3〜80μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましく、15〜30μmが特に好ましく、20〜28μmが最も好ましい。
〔目付〕
ガラスクロス(g)の目付は、ガラスクロスの強度を良好に保ちつつ、薄型化する観点から、5〜50g/mが好ましく、12〜35g/mがより好ましく、16〜32g/mがさらに好ましく、20〜30g/mが特に好ましく、22〜28g/mが最も好ましい。
ガラスクロスは、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、寸法変化量のバラつき低減、耐熱性、耐湿性、加工性等の面から好適である。
ガラスクロスを構成するフィラメント(単繊維)の種類としては特に限定されず、Eガラス、Sガラス、Cガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、Aガラス、Hガラス、石英ガラス等が挙げられる。
(熱硬化性樹脂組成物)
本実施形態の製造方法に用いるプリプレグ(p)が含有する熱硬化性樹脂組成物は、特に限定されず、所望する特性に応じて従来公知の絶縁樹脂材料の中から適宜選択してもよい。
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有するものであれば特に限定されず、熱硬化性樹脂としては、マレイミド化合物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐熱性、成形性及び電気絶縁性の観点から、マレイミド化合物、エポキシ樹脂が好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、優れた銅箔接着性、低熱膨張性、誘電特性等を得る観点から、(A)N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物を含有するものが好ましく、さらに、(B)エポキシ樹脂、(C)置換ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂、(D)無機充填材、(E)硬化剤、(F)熱可塑性エラストマー及び(G)硬化促進剤からなる群から選択される1種以上を含有するものがより好ましい。
以下、各成分の好適な態様について詳細に説明する。
〔(A)マレイミド化合物〕
(A)マレイミド化合物は、少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a1)(以下、「マレイミド化合物(a1)」ともいう)が好ましい。
マレイミド化合物(a1)としては、複数のマレイミド基のうちの任意の2個のマレイミド基の間に脂肪族炭化水素基を有する(但し、芳香族炭化水素基は存在しない)マレイミド化合物(以下、「脂肪族炭化水素基含有マレイミド」ともいう)、複数のマレイミド基のうちの任意の2個のマレイミド基の間に芳香族炭化水素基を含有するマレイミド化合物(以下、「芳香族炭化水素基含有マレイミド」ともいう)が挙げられる。これらの中でも、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、芳香族炭化水素基含有マレイミドが好ましい。
同様の観点から、マレイミド化合物(a1)は、1分子中に2個〜5個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が好ましく、1分子中に2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物がより好ましく、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)のいずれかで表される芳香族炭化水素基含有マレイミドがさらに好ましく、下記一般式(a1−2)で表される芳香族炭化水素基含有マレイミドが特に好ましい。
(A)マレイミド化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2020130008
上記式中、RA1〜RA3は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示す。XA1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、−S−、−S−S−又はスルホニル基を示す。p、q及びrは、各々独立に、0〜4の整数である。sは、0〜10の整数である。
A1〜RA3が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、好ましくは炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基である。
A1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基である。
A1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
A1としては、上記選択肢の中でも、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましい。より好ましいものは前述の通りである。
p、q及びrは、各々独立に、0〜4の整数であり、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、いずれも、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
sは、0〜10の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは0〜5の整数、より好ましくは0〜3の整数である。
マレイミド化合物(a1)としては、具体的には、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素基含有マレイミド;N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(4−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド等の芳香族炭化水素基含有マレイミドなどが挙げられる。
これらの中でも、反応率が高く、より高耐熱性化できるという観点からは、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましく、安価であるという観点からは、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミドが好ましい。
(A)マレイミド化合物は、上記マレイミド化合物(a1)と、モノアミン化合物(a2)及びジアミン化合物(a3)からなる群から選択される1種以上とを反応させて得られる化合物(以下、「変性マレイミド化合物」ともいう)であることが好ましく、マレイミド化合物(a1)とモノアミン化合物(a2)とジアミン化合物(a3)とを反応させて得られる化合物、マレイミド化合物(a1)とジアミン化合物(a3)とを反応させて得られる化合物がより好ましい。
(モノアミン化合物(a2))
モノアミン化合物(a2)は、アミノ基を1つ有する化合物であれば特に制限はないが、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、酸性置換基を有するモノアミン化合物が好ましく、下記一般式(a2−1)で表されるモノアミン化合物がより好ましい。
Figure 2020130008
上記一般式(a2−1)中、RA4は、水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基から選択される酸性置換基を示す。RA5は、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子を示す。tは1〜5の整数、uは0〜4の整数であり、且つ、1≦t+u≦5を満たす。但し、tが2〜5の整数の場合、複数のRA4は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、uが2〜4の整数の場合、複数のRA5は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
A4が示す酸性置換基としては、溶解性及び反応性の観点から、好ましくは水酸基、カルボキシ基であり、耐熱性も考慮すると、より好ましくは水酸基である。
tは1〜5の整数であり、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
A5が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
A5が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
uは0〜4の整数であり、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。
モノアミン化合物(a2)としては、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点からは、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノールが好ましく、誘電特性、低熱膨張性及び製造コストも考慮すると、p−アミノフェノールがより好ましい。
モノアミン化合物(a2)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ジアミン化合物(a3))
ジアミン化合物(a3)は、アミノ基を2つ有する化合物であれば特に制限はないが、高耐熱性、低比誘電率、高銅箔接着性等の観点から、下記一般式(a3−1)で表されるジアミン化合物、及び後述する分子末端にアミノ基を有する変性シロキサン化合物であることが好ましい。
Figure 2020130008

(式中、XA2は、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基又は−O−を示す。RA6及びRA7は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基を示す。v及びwは、各々独立に、0〜4の整数である。)
A2が示す炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、プロピリデン基等が挙げられる。
A2としては、メチレン基が好ましい。
A6及びRA7が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
v及びwは、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
上記分子末端にアミノ基を有する変性シロキサン化合物としては、下記一般式(a3−2)で表されるジアミン化合物が挙げられる。
Figure 2020130008

(一般式(a3−2)中、RA8〜RA11は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は置換基を有するフェニル基を示す。RA12及びRA13は、各々独立に、2価の有機基を表し、mは2〜100の整数である。)
A8〜RA11が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
置換基を有するフェニル基における置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基等が挙げられる。該炭素数1〜5のアルキル基としては、前記したものと同じものが挙げられる。該炭素数2〜5のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。炭素数2〜5のアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
A12及びRA13が示す2価の有機基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−O−又はこれらが組み合わされた2価の連結基等が挙げられる。該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。該アルケニレン基としては、炭素数2〜10のアルケニレン基が挙げられる。該アルキニレン基としては、炭素数2〜10のアルキニレン基が挙げられる。該アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。
これらの中でも、RA12及びRA13としては、アルキレン基、アリーレン基が好ましい。
mは、好ましくは2〜50の整数、より好ましくは3〜40の整数、さらに好ましくは5〜30の整数である。
ジアミン化合物(a3)としては、具体的には、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2’−ビス(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジブロモ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,6,6’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,6,6’−テトラブロモ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、上記した分子末端にアミノ基を有する変性シロキサン化合物等が挙げられる。これらの中でも、安価であるという観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、分子末端にアミノ基を有する変性シロキサン化合物が好ましい。
ジアミン化合物(a3)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
マレイミド化合物(a1)と、モノアミン化合物(a2)及びジアミン化合物(a3)からなる群から選択される1種以上との反応は、好ましくは有機溶剤の存在下、反応温度70〜200℃で0.1〜10時間反応させることにより実施することが好ましい。反応温度は、より好ましくは70〜160℃、さらに好ましくは70〜130℃、特に好ましくは80〜120℃である。
反応時間は、より好ましくは1〜8時間、さらに好ましくは2〜6時間である。
上記変性マレイミド化合物の製造における、(a1)成分と、(a2)成分及び(a3)成分からなる群から選択される1種との反応において、三者の使用量は、(a2)成分及び(a3)成分からなる群から選択される1種以上が有する−NH基当量(第1級アミノ基当量)の総和と、(a1)成分のマレイミド基当量との関係が、下記式を満たすことが好ましい。
0.1≦〔マレイミド基当量〕/〔−NH基当量の総和〕≦10
〔マレイミド基当量〕/〔−NH基当量の総和〕を0.1以上とすることにより、ゲル化及び耐熱性の低下が抑制され、また、10以下とすることにより、有機溶剤への溶解性、銅箔接着性及び耐熱性が良好となる。
同様の観点から、より好ましくは、
1≦〔マレイミド基当量〕/〔−NH基当量の総和〕≦9 を満たし、より好ましくは、
2≦〔マレイミド基当量〕/〔−NH基当量の総和〕≦8 を満たす。
なお、変性マレイミド化合物が、(a1)成分と(a2)成分と(a3)成分とを反応させて得られる化合物である場合、(a2)成分に由来する構造単位と(a3)成分に由来する構造単位との比率[(a3)成分/(a2)成分](モル比)は、好ましくは0.9〜5.0、より好ましくは1.0〜4.5、さらに好ましくは1.0〜4.0である。
変性マレイミド化合物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは400〜3,500、より好ましくは600〜2,000、さらに好ましくは800〜1,500である。なお、本明細書における重量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(標準ポリスチレン換算)で測定された値であり、より具体的には実施例に記載の方法により測定された値である。
〔(B)エポキシ樹脂〕
(B)エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
(B)エポキシ樹脂は、主骨格の違いによっても種々のエポキシ樹脂に分類され、上記それぞれのタイプのエポキシ樹脂において、さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアルキルフェノール共重合ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;トリアジン骨格含有エポキシ樹脂;フルオレン骨格含有エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂などに分類される。
(B)エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは100〜500g/eq、より好ましくは120〜400g/eq、さらに好ましくは140〜300g/eq、特に好ましくは170〜240g/eqである。
ここで、エポキシ当量は、エポキシ基あたりの樹脂の質量(g/eq)であり、JIS K 7236(2001年)に規定された方法に従って測定することができる。具体的には、株式会社三菱ケミカルアナリテック製の自動滴定装置「GT−200型」を用いて、200mlビーカーにエポキシ樹脂2gを秤量し、メチルエチルケトン90mlを滴下し、超音波洗浄器溶解後、氷酢酸10ml及び臭化セチルトリメチルアンモニウム1.5gを添加し、0.1mol/Lの過塩素酸/酢酸溶液で滴定することにより求められる。
〔(C)共重合樹脂〕
(C)成分は、置換ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂(以下、「(C)共重合樹脂」ともいう)である。
置換ビニル化合物としては、芳香族ビニル化合物、脂肪族ビニル化合物、官能基置換ビニル化合物等が挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン等が挙げられる。脂肪族ビニル化合物としては、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン等が挙げられる。官能基置換ビニル化合物としては、アクリロニトリル;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、芳香族ビニル化合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
(C)成分としては、置換ビニル化合物に由来する構造単位として、下記一般式(C−i)で表される構造単位と、無水マレイン酸に由来する構造単位として、下記式(C−ii)で表される構造単位とを有する共重合樹脂が好ましい。
(C)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2020130008

(式中、RC1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、RC2は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、水酸基又は(メタ)アクリロイル基である。xは、0〜3の整数である。但し、xが2又は3である場合、複数のRC2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
C1及びRC2が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
C2が示す炭素数2〜5のアルケニル基としては、アリル基、クロチル基等が挙げられる。該アルケニル基としては、好ましくは炭素数3又は4のアルケニル基である。
C2が示す炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基等が挙げられる。該アリール基としては、好ましくは炭素数6〜10のアリール基である。xは、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
(C)共重合樹脂中における、置換ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位の含有比率[置換ビニル化合物に由来する構造単位/無水マレイン酸に由来する構造単位](モル比)は、好ましくは1〜9、より好ましくは2〜9、さらに好ましくは3〜8である。上記モル比が上記下限値以上であると、誘電特性の改善効果が十分となる傾向にあり、上記上限値以下であれば、相溶性が良好となる傾向にある。
(C)共重合樹脂中における、置換ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位との合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは実質的に100質量%である。
(C)共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは4,500〜18,000、より好ましくは6,000〜17,000、さらに好ましくは8,000〜16,000、特に好ましくは8,000〜15,000である。
〔(D)無機充填材〕
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、(D)無機充填材を含有していてもよい。
(D)無機充填材としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、石英粉末、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラスなどが挙げられる。ガラスとしては、Eガラス、Tガラス、Dガラス等が好ましく挙げられる。
(D)無機充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、誘電特性、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより、破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカ等に分類される。これらの中でも、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の流動性の観点から、溶融球状シリカが好ましい。
(D)無機充填材の平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜8μm、さらに好ましくは0.5〜2μmである。平均粒子径が0.1μm以上であると、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保つことができ、10μm以下であると、粗大粒子の混入確率を低減し、粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
(D)無機充填材として、アミノシラン系カップリング剤で処理されたシリカを用いると、低熱膨張性が向上すると共に、前記(A)〜(C)成分との密着性が向上することによりシリカの脱落が抑制されるため、過剰なデスミアによるレーザビア形状の変形等を抑制する効果が得られるために好ましい。
アミノシラン系カップリング剤は、アミノ基を1つ有していてもよいし、2つ有していてもよいし、3つ以上有していてもよいが、通常は、アミノ基を1つ又は2つ有する。
アミノ基を1つ有するアミノシラン系カップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−プロピニル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]カルバメート等が挙げられる。
アミノ基を2つ有するアミノシラン系カップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア等が挙げられる。
アミノシラン系カップリング剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔(E)硬化剤〕
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、(E)硬化剤を含有してもよい。(E)硬化剤としては、ジシアンジアミド;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン等の、ジシアンジアミドを除く鎖状脂肪族アミン;イソホロンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等の環状脂肪族アミン;キシレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミンなどが挙げられる。
(E)硬化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔(F)熱可塑性エラストマー〕
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、(F)熱可塑性エラストマーを含有してもよい。
(F)熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー、これらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系エラストマーが好ましい。
(F)熱可塑性エラストマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
但し、本実施形態において、(F)熱可塑性エラストマーの定義には、上記(C)成分を含めないものとする。
(F)熱可塑性エラストマーは、分子末端又は分子鎖中に反応性官能基を有するものが好ましい。反応性官能基としては、エポキシ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアナート基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等が挙げられる。これらの反応性官能基を分子末端又は分子鎖中に有することにより、相溶性が向上し、基板の耐熱性を向上させることが可能となる。これらの反応性官能基の中でも、金属箔との密着性の観点から、カルボキシ基、アミノ基、水酸基が好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン−ブタジエン共重合体;スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー等のスチレン−イソプレン共重合体;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマーなどが挙げられる。スチレン系エラストマーの原料モノマーとしては、スチレンの他に、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。これらの中でも、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体が好ましく、これらの共重合体の二重結合部分を水素添加した水添スチレン−ブタジエン共重合樹脂、水添スチレン−イソプレン共重合樹脂等の水添スチレン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
〔(G)硬化促進剤〕
熱硬化性樹脂組成物は、硬化反応を促進する観点から、さらに、(G)硬化促進剤を含有していてもよい。
(G)硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン等の有機リン系化合物;イミダゾール類及びその誘導体;第二級アミン類、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩等の含窒素化合物;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物;ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸錫、オクチル酸コバルト等の有機金属塩などが挙げられる。これらの中でも、有機リン系化合物が好ましい。
(G)硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(熱硬化性樹脂組成物の各成分の含有量)
熱硬化性樹脂組成物中、各成分の含有量は、特に制限されないが、例えば、以下に記載する範囲とすることができる。
熱硬化性樹脂組成物が(A)成分を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分総量100質量部に対して、好ましくは10〜90質量部、より好ましくは20〜85質量部、さらに好ましくは40〜80質量部である。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、耐熱性、比誘電率、ガラス転移温度及び低熱膨張性に優れる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、流動性及び成形性に優れる傾向にある。
熱硬化性樹脂組成物が(B)成分を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分総量100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部、さらに好ましくは20〜35質量部である。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、耐熱性、ガラス転移温度及び低熱膨張性に優れる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、耐熱性、比誘電率、ガラス転移温度及び低熱膨張性に優れる傾向にある。
熱硬化性樹脂組成物が(C)成分を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分総量100質量部に対して、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは5〜35質量部、さらに好ましくは10〜30量部である。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、耐熱性及び比誘電率に優れる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、耐熱性、銅箔接着性及び低熱膨張性に優れる傾向にある。
熱硬化性樹脂組成物が(D)成分を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分総量100質量部に対して、好ましくは30〜200質量部、より好ましくは40〜150質量部、さらに好ましくは45〜120質量部である。(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、低熱膨張性に優れる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、耐熱性、流動性及び成形性に優れる傾向にある。
熱硬化性樹脂組成物が(E)成分を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1〜3質量部である。(E)成分の含有量が上記下限値以上であると、銅箔接着性及び低熱膨張性に優れる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、耐熱性に優れる傾向にある。
熱硬化性樹脂組成物が(F)成分を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分総量100質量部に対して、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部、さらに好ましくは7〜15質量部である。(F)成分の含有量が、上記下限値以上であると、比誘電率に優れる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、耐熱性及び銅箔接着性に優れる傾向にある。
熱硬化性樹脂組成物が(G)成分を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分総量100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部、さらに好ましくは0.2〜1質量部である。
(その他の成分)
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、密着性向上剤、有機充填材等のその他の成分を含有していてもよい。これらは、各々について、1種を単独で含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよい。
(プリプレグ(p)の製造方法)
本実施形態の製造方法に用いるプリプレグ(p)の製造方法は特に限定されないが、例えば、上記熱硬化性樹脂組成物を、ガラスクロス(g)に含浸又は塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)させて製造することができる。
ガラスクロス(g)に熱硬化性樹脂組成物を含浸又は塗工する際、熱硬化性樹脂組成物は、メチルエチルケトン等の有機溶剤によって希釈されたワニスの状態であってもよい。ワニス中の不揮発分濃度は、例えば、40〜80質量%であり、好ましくは50〜75質量%である。
含浸後の乾燥条件は特に限定されないが、加熱温度は、例えば、120〜200℃、好ましくは140〜180℃であり、加熱時間は、例えば、30秒〜30分間、好ましくは1〜10分間である。
プリプレグ(p)の厚さは、強度を良好に保ちつつ、薄型化する観点から、3〜80μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましく、15〜30μmが特に好ましい。
プリプレグ(p)中における熱硬化性樹脂組成物の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分換算で、50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましく、65〜75質量%がさらに好ましい。なお、本実施形態における固形分とは、水分、後述する溶剤等の揮発する物質以外の組成物中の成分のことをいう。すなわち、固形分は、25℃付近の室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含み、必ずしも固体であることを意味するものではない。
<複合材の製造条件>
本実施形態の複合材の製造方法は、ガラスクロス(g)と熱硬化性樹脂組成物とを含有するプリプレグ(p)を、200℃以上に加熱する工程を有する。
ここで、「200℃以上に加熱する工程」とは、製品温度(すなわち、プリプレグ)が200℃以上になることを意味する。製品温度を200℃以上とするためには、例えば、使用する加熱装置の設定を200℃以上にすればよい。
上記加熱する工程における加熱温度は、生産性を高める観点から、202℃以上がより好ましく、205℃以上がさらに好ましい。また、加熱温度は、均一な硬化反応を生じさせる観点から、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。
上記加熱する工程における加熱時間は、特に限定されないが、生産性及び寸法安定性の観点から、15〜300分間が好ましく、30〜200分間がより好ましく、60〜90分間がさらに好ましい。
上記加熱する工程におけるプレス圧力は、生産性及び寸法安定性の観点から、0.2〜10MPaが好ましく、1〜6MPaがより好ましく、2〜4MPaがさらに好ましい。
上記加熱する工程には、電気絶縁材料用積層板及び多層板の公知の成形手法を適用することができ、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用することができる。
本実施形態の複合材は、本実施形態の複合材の製造方法によって製造される複合材である。すなわち、本実施形態の複合材は、ガラスクロス(g)と熱硬化性樹脂組成物とを含有するプリプレグ(p)を、200℃以上に加熱する工程を経て製造されるものであり、例えば、プリプレグ(p)1層又は2層以上を200℃以上に加熱して得られる硬化物、これらの硬化物を含む積層板などが挙げられる。
[積層板及びその製造方法]
本実施形態の積層板の製造方法は、
2層以上の絶縁層を有する積層板、又は1層以上の絶縁層と1層以上の金属箔とを有する積層板の製造方法であって、
前記絶縁層が複合材であり、
該複合材を、本実施形態の複合材の製造方法によって形成する、積層板の製造方法である。
本実施形態の積層板は、プリプレグ(p)が1枚以上積層されたものであればよく、例えば、次の(1)〜(5)の態様が挙げられる。
(1)プリプレグ(p)1層の一方の面又は両面に金属箔を重ねて積層成形されてなる金属張積層体。
(2)プリプレグ(p)を2層以上重ねて積層成形されてなる積層体。
(3)上記(2)の積層体の一方の面又は両面に金属箔が配された金属張積層体。
(4)上記(3)の金属張積層体をコア基板として、更に、1層以上のプリプレグ(p)を用いて多層化された積層板。
(5)上記(3)以外の金属張積層体をコア基板として、更に、1層以上のプリプレグ(p)を用いて多層化された積層板。
なお、金属箔の金属としては、電気絶縁材料用途で用いられるものであれば特に制限されないが、導電性の観点から、好ましくは、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、又はこれらの金属元素のうちの少なくとも1種を含む合金であることが好ましく、銅、アミルニウムがより好ましく、銅がさらに好ましい。金属箔の厚みに特に制限はなく、プリント配線板の用途等により適宜選択できる。金属箔の厚みは、好ましくは0.5〜150μm、より好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは5〜50μm、特に好ましくは5〜30μmである。
本実施形態の複合材の製造方法においてプリプレグを複数使用する場合、複数のプリプレグは、プリプレグ(p)のみであってもよいし、プリプレグ(p)とプリプレグ(p)以外のプリプレグとを併用してもよいが、寸法安定性の観点からは、プリプレグ(p)のみであることが好ましい。また、複数のプリプレグ(p)の形態及び組成は、同一であっても、異なっていてもよい。
本実施形態の積層板は、1層以上のプリプレグ(p)と、金属箔等を所望の構成となるように重ね合わせ、積層成形することで得られる。積層成形の加熱温度、加熱時間、プレス圧力、使用装置等の諸条件は、上記した複合材の製造条件と同じである。
本実施形態の積層板の厚さは、特に限定されず、積層板の用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、0.03〜1.6mmである。
[プリント配線板]
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の積層板を用いてなるプリント配線板である。
本実施形態のプリント配線板は、例えば、本実施形態の積層板の一態様である銅張積層板の銅箔に対して回路加工を施すことにより製造することができる。回路加工は、例えば、銅箔表面にレジストパターンを形成後、エッチングにより不要部分の銅箔を除去し、レジストパターンを除去後、ドリルにより必要なスルーホールを形成し、再度レジストパターンを形成後、スルーホールに導通させるためのメッキを施し、最後にレジストパターンを除去して行うことができる。得られたプリント配線板の表面にさらに銅張積層板を上記と同様の条件で積層及び回路加工する工程を必要回数繰り返し、多層プリント配線板とすることができる。
[半導体パッケージ]
本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態のプリント配線板に半導体素子を搭載してなるものである。本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態のプリント配線板の所定の位置に、半導体チップ、メモリ等を搭載して製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明をいかなる意味においても制限するものではない。
[寸法変化量のバラつきの評価]
各例で作製した両面銅張積層板について、面内に直径1.0mmの穴開けを図1の通りに実施した。図1に記載のとおり、ガラスクロスの経糸方向Xについての3つの穴間距離(1−7、2−6、3−5)及び緯糸方向Yについての3つの穴間距離(1−3、8−4、7−5)を画像測定機「QV−A808P1L−D」(Mitutoyo社製)を使用して測定し、これを「初期寸法値」とした。
次に、各例で作製した4層銅張積層板について、上記と同様の手順にて、ガラスクロスの経糸方向Xについての上記3つの穴間距離、及び緯糸方向Yについての上記3つの穴間距離を、各々測定し、これを「積層後寸法値」とした。さらに、各穴間距離について、「初期寸法値」−「積層後寸法値」を求め、これを各穴間距離の「寸法変化量S」とした。
そして、経糸方向Xについての3つの穴間距離(1−7、2−6、3−5)の寸法変化量の平均値S(x)ave、最大値S(x)max及び最小値S(x)min、並びに緯糸方向Yについての3つの穴間距離(1−3、8−4、7−5)の寸法変化量の平均値S(y)ave、最大値S(y)max及び最小値S(y)minを、それぞれ求め、経糸方向X及び緯糸方向Yそれぞれについて、最大値と平均値との差(最大値−平均値)、平均値と最小値との差(平均値−最小値)、最大値と最小値との差(最大値−最小値)を寸法バラつき評価の指標とした。
[プリプレグの作製]
製造例1
(プリプレグ1)
プリプレグ1を作製するに当たって、下記に示す各成分を準備した。
(A)成分:下記方法で製造したマレイミド化合物の溶液
温度計、攪拌装置及び還流冷却管付き水分定量器を備えた容積1Lの反応容器に、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、p−アミノフェノールびジメチルアセトアミドを入れ、変性マレイミド化合物として、酸性置換基とN−置換マレイミド基とを有するマレイミド化合物(Mw=1,370)のジメチルアセトアミド溶液を得て、(A)成分として用いた。
なお、上記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した。検量線は、標準ポリスチレン:TSKstandard POLYSTYRENE(Type;A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40)[東ソー株式会社製]を用いて3次式で近似した。GPCの条件は、以下に示す。
装置:(ポンプ:L−6200型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製])、
(検出器:L−3300型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製])、
(カラムオーブン:L−655A−52[株式会社日立ハイテクノロジーズ製])
カラム;TSKgel SuperHZ2000+TSKgel SuperHZ2300(すべて東ソー株式会社製)
カラムサイズ:6.0×40mm(ガードカラム)、7.8×300mm(カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:20mg/5mL
注入量:10μL
流量:0.5mL/分
測定温度:40℃
(B)成分:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製)
(C)成分:スチレン−無水マレイン酸共重合体(スチレン/無水マレイン酸モル比=4、Mw=11,000)
(D)成分:アミノシラン系カップリング剤により処理された溶融シリカ、平均粒子径:1.9μm、比表面積:5.8m/g
(E)成分:ジシアンジアミド
次に、上記(A)成分を45質量部、(B)成分を30質量部、(C)成分を25質量部、(D)成分を、樹脂成分総量〔(A)〜(C)成分の総和〕100質量部に対して50質量部、(E)成分を、上記樹脂成分総量100質量部に対して、2質量部配合し、さらに溶液の不揮発分が67質量%になるようにメチルエチルケトンを追加し、樹脂ワニスを調製した。なお、上記した各成分の配合量は、いずれも固形分の質量部であり、溶液(有機溶剤を除く)又は分散液の場合は固形分換算量である。
得られた各樹脂ワニスを、表1に示すガラスクロス1に含浸させ、160℃で4分間乾燥してプリプレグ1を得た。
製造例2
(プリプレグ2)
製造例1において、ガラスクロスを、表1に示すガラスクロス1からガラスクロス2に変更したこと以外は、製造例1と同様にしてプリプレグ2を作製した。
Figure 2020130008
[積層板の作製]
実施例1、比較例1〜3
(両面銅張積層板の作製)
表2に記載のプリプレグの両面に18μmの銅箔「3EC−VLP−18」(三井金属株式会社製)を重ね、表2に記載の成形条件で加熱加圧成形し、厚さ0.05mmの両面銅張積層板を作製した。
(4層銅張積層板の作製)
上記で作製した両面銅張積層板の両面の銅箔をエッチング除去して得られた樹脂板の両面に、表2に示すプリプレグを1枚ずつ重ね、さらに、該プリプレグに上記した銅箔を1枚ずつ重ねた。その後、表2に記載する成形条件で加熱加圧成形して4層銅張積層板(但し、内層は除去されたもの)を作製した。該4層銅張積層板を用いて、前記方法に従って、寸法変化量のバラつきを測定した。
Figure 2020130008
表2から、本実施形態の製造方法によって製造された実施例1の積層体は、寸法変化のバラつき量が小さいことが分かる。一方、平均フィラメント径比及び織密度比を満たさないガラスクロス2を用いた比較例1及び2の積層板、及び成形温度が200℃未満である比較例3の積層板は、寸法変化のバラつき量が大きかった。
また、平均フィラメント径比及び織密度比を満たさないガラスクロス2を用いた場合、低温条件(比較例1)から、高温条件(比較例2)に変えることで、X方向の寸法変化量のバラつきは(S(x)max−S(x)min)は47ppm低減し、Y方向の寸法変化量のバラつきは(S(y)max−S(y)min)は22ppm低減している。一方、本実施形態の平均フィラメント径比及び織密度比を充足するガラスクロス1を用いた場合、低温条件(比較例3)から、高温条件(実施例1)に変えることで、X方向の寸法変化量のバラつきは(S(x)max−S(x)min)は86ppm低減し、Y方向の寸法変化量のバラつきは(S(y)max−S(y)min)は175ppm低減している。このことから、本実施形態の複合材の製造方法による寸法変化のバラつき量の低減量は、ガラスクロス(g)と、200℃以上の成形条件を組み合わせることで顕著に大きくなることが分かる。
1〜8 穴
X 経糸方向
Y 緯糸方向

Claims (13)

  1. ガラスクロスと熱硬化性樹脂組成物とを含有するプリプレグを、200℃以上に加熱する工程を有する複合材の製造方法であって、
    前記ガラスクロスを構成する緯糸と経糸との平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.00超であり、かつ、経糸と緯糸との織密度比(経糸/緯糸)が1.00超である、複合材の製造方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂組成物が、(A)N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂を含有するものである、請求項1に記載の複合材の製造方法。
  3. 前記熱硬化性樹脂組成物が、さらに、(D)アミノシラン系カップリング剤で処理されたシリカを含有するものである、請求項2に記載の複合材の製造方法。
  4. 前記平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.02〜1.30である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
  5. 前記織密度比(経糸/緯糸)が、1.10〜1.50である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
  6. 前記ガラスクロスの厚さが、5〜50μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
  7. 前記ガラスクロスの目付が、12〜35g/mである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
  8. 2層以上の絶縁層を有する積層板、又は1層以上の絶縁層と1層以上の金属箔とを有する積層板の製造方法であって、
    前記絶縁層が複合材であり、
    該複合材を、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材の製造方法によって形成する、積層板の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合材の製造方法によって製造される複合材。
  10. 請求項9に記載の複合材を含有する積層板。
  11. 請求項10に記載の積層板を用いてなるプリント配線板。
  12. 請求項11に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
  13. ガラスクロスと熱硬化性樹脂組成物とを含有するプリプレグであって、
    前記ガラスクロスにおける、緯糸と経糸との平均フィラメント径比(緯糸/経糸)が、1.00超であり、かつ、経糸と緯糸との織密度比(経糸/緯糸)が1.00超であり、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、(A)N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、及び(C)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂を含有するものである、プリプレグ。
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