[本開示の実施の形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本態様に係るワイヤハーネスは、車載装置に対して着脱可能に装着される回路基板と、前記回路基板に接続された複数の通信線と、前記回路基板に設けられ、前記複数の通信線の間の通信を中継し、且つ、前記通信線及び前記車載装置の間の通信を中継する中継部とを備える。
本態様にあっては、車載装置に対して着脱可能に装着される回路基板と、この回路基板に接続される複数の通信線とをワイヤハーネスが備える。ワイヤハーネスの回路基板には、通信を中継する中継部を設ける。中継部は、ワイヤハーネスの複数の通信線間の通信の中継と、通信線及び車載装置の間の通信の中継とを行う。
通信の中継をワイヤハーネスに設けられた中継部が行うことにより、車載装置は中継に関する処理を行う必要がなくなり、処理負荷を低減できる。また通信の仕様変更等に対しては、ワイヤハーネスを変更することで対応できるため、車載装置の拡張性を向上できる。
(2)前記複数の通信線には、第1通信プロトコルの通信に用いられる通信線と、第2通信プロトコルの通信に用いられる通信線とを含み、前記中継部は、前記第1通信プロトコル及び前記第2通信プロトコルの間のプロトコル変換を行うことが好ましい。
本態様にあっては、複数の通信線には、第1通信プロトコルの通信に用いられる通信線と、第2通信プロトコルの通信に用いられる通信線とを含む。第1通信プロトコル及び第2通信プロトコルには、例えばCAN(Controller Area Network)及びイーサネット(登録商標)等の通信プロトコルが採用され得る。ワイヤハーネスの中継部は、第1通信プロトコル及び第2通信プロトコルの間のプロトコル変換を行う。これにより異なる通信プロトコルに用いられる通信線が混在する場合であっても、ワイヤハーネスの中継部が通信の中継を行うことができる。
(3)前記中継部は、前記第1通信プロトコル又は前記第2通信プロトコルと、第3通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行い、前記車載装置との間で前記第3通信プロトコルを用いた通信を行うことが好ましい。
本態様にあっては、ワイヤハーネスの中継部は、車載装置との間で第3通信プロトコルを用いた通信を行うと共に、第1通信プロトコル又は第2通信プロトコルと第3通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行う。これにより中継部は、車載装置の外部の通信で用いられる通信プロトコルと、車載装置の内部の通信で用いられる通信プロトコルとを変換し、車載装置の内外での通信の中継を行うことができる。
(4)前記車載装置は、車両に搭載されたバッテリから供給される電力の電圧変換回路を備え、前記中継部は、前記車載装置の前記電圧変換回路が電圧値を変換した電力が供給されることが好ましい。
本態様にあっては、車両のバッテリから供給される電力の電圧値を変換する電力変換回路を車載装置が備える。ワイヤハーネスの中継部は、車載装置の電力変換回路から供給される電力により動作する。これによりワイヤハーネスは電力変換回路を備える必要がないため、ワイヤハーネスの小型化等が期待できる。
(5)前記回路基板に設けられ、車両に搭載されたバッテリから供給される電力の電圧値を変換する電圧変換回路を備え、前記中継部は、前記電圧変換回路からの電力が供給され、前記電圧変換回路が電圧値を変換した電力を前記車載装置へ供給することが好ましい。
本態様にあっては、ワイヤハーネスの回路基板には、車両のバッテリから供給される電力の電圧値を変換する電圧変換回路を備える。ワイヤハーネスの中継部へは電圧変換回路から電力が供給され、供給された電力により中継部が動作する。またワイヤハーネスの電圧変換回路が電圧値を変換した電力は、車載装置へ供給される。これにより、車載装置には電力変換回路を設ける必要がないため、車載装置の小型化等が期待できる。
(6)前記通信線に対する通信用の信号の入出力を行う複数の入出力部を備え、前記中継部及び前記複数の入出力部が1つのIC(Integrated Circuit)内に設けられていることが好ましい。
本態様にあっては、通信線に対する通信用の信号の入出力を行う複数の入出力部と、中継部とを1つのIC(Integrated Circuit)内に設け、このICをワイヤハーネスの回路基板に搭載する。これにより、ワイヤハーネスの小型化及び低コスト化等が期待できる。
(7)前記回路基板は、前記車載装置に電気的に接続される端子と、前記中継部を含む中継ICと、前記端子及び前記中継部の間に介在し、前記端子に対する通信用の信号の入出力を行う第1入出力ICと、前記通信線及び前記中継部の間に介在し、前記通信線に対する通信用の信号の入出力を行う第2入出力ICとを有し、前記端子は前記回路基板の一端側に設けられ、前記通信線は前記回路基板の他端側に接続され、前記端子、前記第1入出力IC及び前記中継ICは、直線状に並べて配置されていることが好ましい。
本態様にあっては、端子、第1入出力IC及び中継ICが基板上に直線状に並べて配置される。これにより、端子及び第1入出力ICの間の通信経路、並びに、第1入出力IC及び中継ICの間の通信経路を短くすることができ、通信における遅延の低減等が期待できる。
(8)前記回路基板は、前記車載装置に電気的に接続される端子と、前記中継部を含む中継ICと、前記端子及び前記中継部の間に介在し、前記端子に対する通信用の信号の入出力を行う第1入出力ICと、前記通信線及び前記中継部の間に介在し、前記通信線に対する通信用の信号の入出力を行う第2入出力ICとを有し、前記端子は前記回路基板の一端側に設けられ、前記通信線は前記回路基板の他端側に接続され、前記端子及び前記中継ICが隣接して配置され、前記第1入出力ICは、前記端子又は前記中継ICに隣接して配置されていることが好ましい。
本態様にあっては、端子及び中継ICが隣接して配置され、第1入出力ICが端子又は中継ICに隣接して配置される。これにより、端子及び第1入出力ICの間の通信経路、並びに、第1入出力IC及び中継ICの間の通信経路を短くすることができ、通信における遅延の低減等が期待できる。
(9)前記回路基板は、前記車載装置に電気的に接続される端子と、前記中継部を含む中継ICと、前記端子及び前記中継部の間に介在し、前記端子に対する通信用の信号の入出力を行う第1入出力ICと、前記通信線及び前記中継部の間に介在し、前記通信線に対する通信用の信号の入出力を行う第2入出力ICとを有し、前記端子は前記回路基板の一端側に設けられ、前記通信線は前記回路基板の他端側に接続され、前記第1入出力IC又は前記第2入出力ICは、前記中継ICが搭載された前記回路基板の面とは反対側の面に搭載されていることが好ましい。
本態様にあっては、第1入出力IC又は第2入出力ICが、中継ICが搭載された基板の面とは反対側の面に搭載される。これにより、第1入出力IC、第2入出力IC及び中継IC等が搭載される基板の小型化等が期待できる。
(10)前記通信線の異常を検出する異常検出部を備えることが好ましい。
本態様にあっては、通信線の異常を検出する異常検出部をコネクタが備える。これにより、より通信線に近い箇所での異常検出を行うことができるため、通信線に関する異常をより精度よく検出することが期待できる。
(11)本態様に係る通信中継方法は、複数の通信線が接続され、車載装置に対して着脱可能に装着される回路基板を備えるワイヤハーネスを用い、前記回路基板に設けられた中継部が、前記複数の通信線の間の通信を中継し、前記中継部が、前記通信線及び前記車載装置の間の通信を中継する。
本態様にあっては、態様(1)と同様に、車載装置の処理負荷を低減でき、車載装置の拡張性を向上できる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るワイヤハーネス及び通信中継方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係る車載通信システムの概要を説明するための模式図である。本実施の形態に係る車載通信システムでは、車両1に搭載された高機能ECU2,3、車外通信装置4、複数のECU5、表示装置6、自動運転ECU7、カメラ8、複数のセンサ9及びアンテナ10等の種々の装置が通信線を介して適宜に接続されている。これら複数の装置が通信により情報を交換して協働することにより、車両1の自動運転等の種々の機能が実現される。
図1に例示する車載通信システムでは、高機能ECU2,3が通信線11を介して接続され、高機能ECU3及び車外通信装置4が通信線12を介して接続され、車外通信装置4及び高機能ECU2が通信線13を介して接続されている。即ち、高機能ECU2,3及び車外通信装置4は、リング状に接続されている。高機能ECU2は、通信線14を介して表示装置6が接続されている。また高機能ECU2には2つのバス型の通信線15,16が接続されており、各通信線15,16にはそれぞれ複数のECU5が接続されている。高機能ECU3は通信線17を介して自動運転ECU7が接続されており、自動運転ECU7にはカメラ8が通信線18を介して接続されている。また高機能ECU3には、複数のセンサ9が個別の通信線19を介して接続されている。車外通信装置4は、通信線20を介してアンテナ10が接続されている。
高機能ECU2は、車両1に搭載されたECU5又は表示装置6等の制御処理、並びに、通信線11,13,14,15,16の間の通信の中継処理等を行う。高機能ECU3は、車両1の自動運転に関する制御処理、並びに、通信線11,12,17,19の間の中継処理等を行う。車外通信装置4は、車両1の適所に配置されたアンテナ10を利用して、携帯電話通信網又は無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワークを介した無線通信を行う。高機能ECU2,3は、車外通信装置4を介して車両1の外部に設けられたサーバ装置等との間で通信を行うことができる。
表示装置6は、車両1の運転席近傍に配され、高機能ECU2の制御に基づいて、種々の画像及びメッセージ等を表示する。表示装置6は、例えばカーナビゲーション装置等と共用のものであってよい。ECU5は、例えば車両1のエンジンの動作を制御するECU、ドアのロック/アンロックを制御するECU、ライトの点灯/消灯を制御するECU、エアバッグの動作を制御するECU、及び、ABS(Antilock Brake System)の動作を制御するECU等の種々のECUが含まれ得る。
自動運転ECU7は、カメラ8が撮像した画像及びセンサ9が検知した各種の情報に基づいて、車両1の自動運転(又は運転支援)を実現するECUである。カメラ8は、例えば車両1の前方を撮像し、撮像により得られた画像を自動運転ECU7へ送信する。センサ9は、例えばレーザ光を利用して速度を計測するLiDAR(Light Detection And Ranging)である。車両1には複数のセンサ9が適所に設けられ、センサ9の検知結果がそれぞれ高機能ECU3へ送信される。
本実施の形態に係る車載通信システムは、高機能ECU2を中心とする機能グループと、高機能ECU3を中心とする機能グループとに大別される。高機能ECU3を中心とする機能グループは、自動運転ECU7、カメラ8及びセンサ9等を含み、車両1の自動運転に関する機能を実現する。高機能ECU2を中心とする機能グループは、複数のECU5及び表示装置6等を含み、車両1の自動運転以外の機能を実現する。ただし2つの機能グループ間でも必要な情報の授受は行われ、これは通信線11を介した高機能ECU2,3の通信により行われる。
図2は、本実施の形態に係る高機能ECU2とワイヤハーネスとの接続を説明するための模式図である。本実施の形態に係る高機能ECU2には、図1に示すように複数の通信線11,13,14,15,16が接続される。本実施の形態においてこれら複数の通信線11,13,14,15,16は、束ねられて1本のワイヤハーネス51として高機能ECU2に接続される。ワイヤハーネス51は、通信線11,13,14,15,16の一端にコネクタ52が設けられている。コネクタ52は、高機能ECU2に設けられたコネクタ22に対して、ワイヤハーネス51を着脱可能に接続するためのものである。
高機能ECU2は、例えば筐体の内部に回路基板21が収容され、回路基板21に搭載(固定)されたコネクタ22が筐体の一部から外部へ露出する。コネクタ22は、ワイヤハーネス51を着脱可能に接続するためのものである。高機能ECU2のコネクタ22とワイヤハーネス51のコネクタ52とが接続されることにより、高機能ECU2の回路基板21とワイヤハーネス51の通信線11,13,14,15,16とが電気的に接続される。本実施の形態において、高機能ECU2のコネクタ22は、棒状の金属端子が突出して設けられる態様のコネクタ、いわゆるオスコネクタである。ワイヤハーネス51のコネクタ52は、棒状の金属端子を受け入れる筒状の金属端子を備えるコネクタ、いわゆるメスコネクタである。ただし、オスコネクタ及びメスコネクタの関係は、逆であってもよい。
なお、本実施の形態に係る高機能ECU3についても、図2に示した高機能ECU2の構成と略同じである。高機能ECU3の構成については、図示及び説明を省略する。また本実施の形態においては、複数の通信線11,13,14,15,16を1つのワイヤハーネス51として高機能ECU2のコネクタ22に接続する構成としているが、これに限るものではない。例えば通信線11,13,14と通信線15,16とをそれぞれ別のワイヤハーネスとして束ね、2つのワイヤハーネスを高機能ECU2のコネクタ22に接続する構成であってもよい。即ち高機能ECU2のコネクタ22に接続されるワイヤハーネスは複数であってよく、各ワイヤハーネスは1つ以上の通信線を含むものであればよい。
図3は、本実施の形態に係る高機能ECU2の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る高機能ECU2は、上述のように回路基板21とコネクタ22とを備えている。回路基板21には、制御回路37、電源回路38及び基板端子39等が設けられている。制御回路37は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置、並びに、フラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子を備え、車両1の制御に関する種々の処理を行う回路である。電源回路38は、車両1に搭載されたバッテリ1aから供給される例えば12Vの電力を、3V又は5V等の電力に変換して出力する回路である。制御回路37は、電源回路38が出力する電力により動作する。また電源回路38が出力する電力は、コネクタ22へも供給される。基板端子39は、バッテリ1aからの電力を供給するための電力線が接続される端子であり、電源回路38と電気的に接続されている。
コネクタ22は、ハーネス側端子31、イーサネットPHY(図3においては単にPHYと記す)32、CANトランシーバ(図3においてはTRと記す)33、イーサネット中継部34、CAN中継部35及び車載装置側端子36等を備えている。ハーネス側端子31は、ワイヤハーネス51に含まれる通信線11,13,14,15,16にそれぞれ電気的に接続される金属製の端子である。例えばコネクタ22のハウジング内には、複数のハーネス側端子31が並べて配されている。本実施の形態において、通信線11,13,14,15,16はそれぞれ2本の電線の組で構成されており、これに対応してコネクタ22には10個のハーネス側端子31が設けられている。なお図3の左側に示した10個の白丸の記号がそれぞれハーネス側端子31に相当する。
本実施の形態において、通信線11,13,14はイーサネットの通信プロトコルに従う通信を行うための通信線であり、通信線15,16はCANの通信プロトコルに従う通信を行うための通信線(いわゆるCANバス)である。イーサネットPHY32及びCANトランシーバ33は通信線に対してそれぞれ1つ必要であり、本例では3つのイーサネットPHY32と2つのCANトランシーバ33とがコネクタ22に設けられている。イーサネットPHY32及びCANトランシーバ33は、2つのハーネス側端子31の組にそれぞれ接続されている。
イーサネットPHY32は、対応するハーネス側端子31に接続された通信線11,13,14の電位をサンプリングして取得することによりデータを受信し、受信したデータをイーサネット中継部34へ与える。またイーサネットPHY32は、イーサネット中継部34から与えられた送信用のデータを電気信号としてハーネス側端子31に出力することによって、ハーネス側端子31に接続された通信線11,13,14へのデータの送信を行う。
同様に、CANトランシーバ33は、対応するハーネス側端子31に接続された通信線15,16の電位をサンプリングして取得することによりデータを受信し、受信したデータをCAN中継部35へ与える。またCANトランシーバ33は、CAN中継部35から与えられた送信用のデータを電気信号としてハーネス側端子31に出力することによって、ハーネス側端子31に接続された通信線15,16へのデータの送信を行う。
イーサネット中継部34は、イーサネットPHY32、CAN中継部35及び回路基板21の間でデータを中継する処理を行う。例えばイーサネット中継部34は、イーサネットPHY32から与えられた受信データを、他のイーサネットPHY32、CAN中継部35又は回路基板21へ与える。また例えばイーサネット中継部34は、回路基板21から与えられたデータを、一又は複数のイーサネットPHY32へ与える。また例えばイーサネット中継部34は、CAN中継部35から与えられたデータを、一又は複数のイーサネットPHY32へ与える。イーサネット中継部34は、例えばデータに付されるIDと中継先とを対応付けたテーブルを有しており、このテーブルに従って、与えられたデータを適宜の中継先へ与える。
CAN中継部35は、CANトランシーバ33、イーサネット中継部34及び回路基板21の間でデータを中継する処理を行う。例えばCAN中継部35は、CANトランシーバ33から与えられた受信データを、他のCANトランシーバ33、イーサネット中継部34又は回路基板21へ与える。また例えばCAN中継部35は、回路基板21から与えられたデータを、一又は複数のCANトランシーバ33へ与える。また例えばCAN中継部35は、イーサネット中継部34から与えられたデータを、一又は複数のCANトランシーバ33へ与える。CAN中継部35は、例えばデータに付されるIDと中継先とを対応付けたテーブルを有しており、このテーブルに従って、与えられたデータを適宜の中継先へ与える。
また本実施の形態において、回路基板21とイーサネット中継部34及びCAN中継部35とのデータの授受は、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)の通信プロトコルに従って行われる。SPIの通信プロトコルでは4つの信号の授受により通信が行われるため、イーサネット中継部34及び回路基板21の間と、CAN中継部35及び回路基板21の間とではそれぞれ4つの信号が授受される。コネクタ22が備える複数の車載装置側端子36には、このSPIの信号を授受するための8つの端子が含まれる。なお図3においては複数の車載装置側端子36を白四角の記号で示されている。また複数の車載装置側端子36には、SPIの通信用の端子の他に、回路基板21からの電力供給のための2つの端子が含まれている。
またイーサネット中継部34は、イーサネットPHY32及び回路基板21の間のデータ中継を行うために、イーサネットの通信プロトコルとSPIの通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行う機能を有している。イーサネット中継部34は、イーサネットPHY32から与えられたイーサネットの通信規格に従うデータをプロトコル変換してSPIの通信規格に従うデータとし、このデータを回路基板21へ与える。またイーサネット中継部34は、回路基板21から与えられたSPIの通信プロトコルに従うデータをプロトコル変換してイーサネットの通信規格に従うデータとし、このデータをイーサネットPHY32へ与える。
同様にCAN中継部35は、CANトランシーバ33及び回路基板21の間のデータ中継を行うために、CANの通信プロトコルとSPIの通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行う機能を有している。CAN中継部35は、CANトランシーバ33から与えられたCANの通信規格に従うデータをプロトコル変換してSPIの通信プロトコルに従うデータとし、このデータを回路基板21へ与える。またCAN中継部35は、回路基板21から与えられたSPIの通信プロトコルに従うデータをプロトコル変換してCANの通信プロトコルに従うデータとし、このデータをCANトランシーバ33へ与える。
またイーサネット中継部34及びCAN中継部35の間でデータを授受するため、コネクタ22にはイーサネットの通信プロトコルとCANの通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行う機能が備えられる。本実施の形態においてこのイーサネット−CAN間のプロトコル変換機能は、イーサネット中継部34が備えるものとする。イーサネット中継部34は、イーサネットPHY32から与えられたイーサネットの通信プロトコルに従うデータをCANの通信プロトコルに従うデータに変換してCAN中継部35へ与える。またイーサネット中継部34は、CAN中継部35から与えられたCANの通信プロトコルに従うデータをイーサネットの通信プロトコルに従うデータに変換してイーサネットPHY32へ与える。
ただし、イーサネット−CAN間のプロトコル変換機能は、CAN中継部35が備えてもよく、若しくは、このプロトコル変換を行う機能ブロックをイーサネット中継部34及びCAN中継部35の間に設けてもよい。又は、イーサネットの通信プロトコルとCANの通信プロトコルとの間で直接的にプロトコル変換を行うのではなく、イーサネット及びCANとは異なる中間プロトコルへの変換を行い、イーサネット中継部34及びCAN中継部35の間でこの中間プロトコルでのデータ授受を行ってもよい。即ち、イーサネット中継部34は、イーサネットPHY32から与えられたイーサネットの通信プロトコルに従うデータを中間プロトコルに従うデータに変換してCAN中継部35へ与え、CAN中継部35から与えられた中間プロトコルに従うデータをイーサネットの通信プロトコルに従うデータに変換してイーサネットPHY32へ与える。またCAN中継部35は、CANトランシーバ33から与えられたCANの通信プロトコルに従うデータを中間プロトコルに従うデータに変換してイーサネット中継部34へ与え、イーサネット中継部34から与えられた中間プロトコルに従うデータをCANの通信プロトコルに従うデータに変換してCANトランシーバ33へ与える。中間プロトコルとしては、例えばSPIの通信プロトコルを採用することができる。
本実施の形態に係るコネクタ22では、上述のイーサネットPHY32、CANトランシーバ33、イーサネット中継部34及びCAN中継部35が、通信用IC40として1つのIC内に設けられている。通信用IC40には、回路基板21の電源回路38が出力する電力が供給されており、この電力に基づいて各部の動作が行われる。
図4は、本実施の形態に係るコネクタ22の構成を説明するための模式図である。本実施の形態に係るコネクタ22では、直方体状のハウジング内に、棒状の複数のハーネス側端子31が一列に並べて設けられている。ハーネス側端子31は、ハウジング内に収容されたコネクタ基板41に接続され、コネクタ基板41に設けられた配線パターンを介して、コネクタ基板41に搭載された通信用IC40に電気的に接続されている。コネクタ基板41は、長方形の板状をなす回路基板であり、その一辺側に複数のハーネス側端子31が接続され、反対辺側に複数の車載装置側端子36が接続されている。
車載装置側端子36は、略L字型に屈曲した棒状の端子である。複数の車載装置側端子36は、コネクタ22のハウジングの一面から外部へ突出するように、一列に並べて設けられている。車載装置側端子36は、コネクタ基板41に設けられた配線パターンを介して、通信用IC40に電気的に接続されている。コネクタ22は、例えば回路基板21に形成されたスルーホールに車載装置側端子36の端部が挿入された状態で半田付けされることにより、回路基板21に搭載される。
以上の構成の本実施の形態に係るコネクタ22は、高機能ECU2の回路基板21に搭載され、複数の通信線11,13,14,15,16を束ねたワイヤハーネス51が着脱可能に接続される。コネクタ22には、回路基板21に電気的に接続される複数の車載装置側端子36と、ワイヤハーネス51の通信線11,13,14,15,16が電気的に接続される複数のハーネス側端子31とを備える。またコネクタ22は、これらの車載装置側端子36及びハーネス側端子31の間に介在するイーサネット中継部34及びCAN中継部35を備える。イーサネット中継部34及びCAN中継部35は、ワイヤハーネス51に含まれる複数の通信線11,13,14,15,16の間の通信の中継と、通信線11、13,14,15,16及び回路基板21の間の通信の中継を行う。
通信の中継をコネクタ22が備えるイーサネット中継部34及びCAN中継部35が行うことにより、高機能ECU2の回路基板21に設けられた制御回路37は中継に関する処理を行う必要がなく、処理負荷を低減することができる。また通信の仕様変更等に対しては、高機能ECU2のコネクタ22を変更することで対応できるため、高機能ECU2の拡張性を向上できる。
また本実施の形態に係る車載通信システムでは、ワイヤハーネス51に含まれる複数の通信線11,13,14,15,16には、イーサネットの通信に用いられる通信線11,13,14と、CANの通信に用いられる通信線15,16とを含む。コネクタ22のイーサネット中継部34及びCAN中継部35は、イーサネットの通信プロトコル及びCANの通信プロトコルの間のプロトコル変換を行う。これにより、異なる通信プロトコルに用いられる通信線がワイヤハーネス51に含まれている場合であっても、コネクタ22のイーサネット中継部34及びCAN中継部35が通信の中継を行うことができる。
また本実施の形態に係るコネクタ22のイーサネット中継部34及びCAN中継部35は、高機能ECU2の回路基板21との間でSPIの通信プロトコルを用いた通信を行う。イーサネット中継部34はイーサネットの通信プロトコルとSPIの通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行い、CAN中継部35はCANの通信プロトコルとSPIの通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行う。これによりコネクタ22は、高機能ECU2の外部の通信で用いられる通信プロトコルと、高機能ECU2の内部の通信で用いられる通信プロトコルとを変換し、高機能ECU2の内外での通信の中継を行うことができる。
また本実施の形態に係る高機能ECU2は、車両1のバッテリ1aから供給される電力の電圧値を変換する電源回路38を回路基板21に備える。コネクタ22の複数の車載装置側端子36には、電源回路38が変換した電力を供給するための端子を含む。この端子を介して電源回路38からコネクタ22のイーサネット中継部34及びCAN中継部35等へ電力が供給され、供給された電力により各部が動作する。これにより、コネクタ22は電源回路を備える必要がないため、コネクタ22の小型化等が期待できる。
また本実施の形態に係るコネクタ22は、イーサネット中継部34及びCAN中継部35と、イーサネットPHY32及びCANトランシーバ33とが1つの通信用IC40内に設けられ、この通信用IC40がコネクタ基板41に搭載された構成である。これにより、コネクタ22の小型化及び低コスト化等が期待できる。
なお本実施の形態においては、通信プロトコルとしてイーサネット、CAN及びSPIを採用する例を説明したが、これら以外の通信プロトコルを採用してもよい。例えばイーサネット又はCANの通信プロトコルに代えて、LIN(Local Interconnect Network)又はFlexRay等の通信プロトコルを採用してもよい。またSPIの通信プロトコルに代えて、MII(Media Independent Interface)、RGMII(Reduced Gigabit MII)又はSGMII(Serial Gigabit MII)等の通信プロトコルを採用してもよい。またコネクタ22及び回路基板21の間の通信をイーサネット又はCANの通信プロトコルで行ってもよい。また、コネクタ22及び回路基板21の間の通信及び電力供給を、PoE(Power over Ethernet)のプロトコルにより行ってもよい。
(変形例1)
図5は、実施の形態1の変形例1に係る高機能ECU2の構成を示すブロック図である。変形例1に係るコネクタ22は、イーサネット中継部34を備え、CAN中継部35を備えない構成である。変形例1に係るコネクタ22は、含まれる通信線11,13,14,15,16が全てイーサネットの通信規格の通信に用いられる通信線であるワイヤハーネス51を接続するためのものである。変形例1に係るイーサネット中継部34は、5つの通信線11,13,14,15,16の間の通信の中継と、通信線11,13,14,15,16及び回路基板21の間の通信の中継とを行う。
(変形例2)
図6は、実施の形態1の変形例2に係る高機能ECU2の構成を示すブロック図である。変形例2に係るコネクタ22は、CAN中継部35を備え、イーサネット中継部34を備えない構成である。変形例2に係るコネクタ22は、含まれる通信線11,13,14,15,16が全てCANの通信規格の通信に用いられる通信線であるワイヤハーネス51を接続するためのものである。変形例1に係るCAN中継部35は、5つの通信線11,13,14,15,16の間の通信の中継と、通信線11,13,14,15,16及び回路基板21の間の通信の中継とを行う。
(変形例3)
図7は、実施の形態1の変形例3に係る高機能ECU2の構成を示すブロック図である。変形例3に係る高機能ECU2は、回路基板21に電源回路38を設けず、コネクタ22に電源回路38を設けた構成である。変形例3に係るコネクタ22が備える複数のハーネス側端子31には、車両1のバッテリ1aからの電力が供給される電力線が接続される端子を含む。コネクタ22の電源回路38は、バッテリ1aから供給される例えば12Vの電力を、3V又は5V等の電力に変換して出力する。電源回路38が出力する電力は、コネクタ22の通信用IC40へ供給されると共に、車載装置側端子36を介して回路基板21の制御回路37へ供給される。
以上の構成の変形例3に係るコネクタ22は、複数のハーネス側端子31に、車両1のバッテリ1aから電力を供給する電力線が接続される端子を含む。コネクタ22は、この端子に接続された電力線を介して供給される電力の電圧値を変換する電源回路38を備える。コネクタ22のイーサネット中継部34及びCAN中継部35等を含む通信用IC40へ電源回路38から電力が供給され、供給された電力により通信用IC40が動作する。またコネクタ22の複数の車載装置側端子36には、電源回路38が電圧値を変換した電力が供給される端子を含み、この端子を介して高機能ECU2の回路基板21へ電力が供給される。これにより、高機能ECU2の回路基板21には電源回路38を設ける必要がないため、回路基板21の小型化等が期待できる。
(変形例4)
図8は、実施の形態1の変形例4に係る高機能ECU2の構成を示すブロック図である。変形例4に係る高機能ECU2は、回路基板21に電源回路38が設けられるが、バッテリ1aからの電力線はコネクタ22に接続される構成である。変形例4に係るコネクタ22が備える複数のハーネス側端子31には、車両1のバッテリ1aからの電力線が接続される端子を含む。また変形例4に係るコネクタ22が備える複数の車載装置側端子36には、バッテリ1aからの電力を回路基板21の電源回路38へ供給するための端子と、電源回路38からの電力が供給されるための端子とを含む。
変形例4に係る高機能ECU2では、バッテリ1aから供給される例えば12Vの電力はコネクタ22のハーネス側端子31から車載装置側端子36へと素通しされ、回路基板21の電源回路38へ入力される。電源回路38は、この12Vの電力を3V又は5V等の電力に変換して出力する。電源回路38が出力した電力は、回路基板21の制御回路37へ与えられると共に、コネクタ22の車載装置側端子36へと入力され、コネクタ22内の通信用IC40へ与えられる。
以上の構成の変形例4に係る高機能ECU2は、電源回路38をコネクタ22に設ける必要がないため、コネクタ22の小型化等が期待できる。またバッテリ1aからの電力線はコネクタ22に接続することができ、外部との電線の接続をコネクタ22に集約することができる。
(変形例5)
図9は、実施の形態1の変形例5に係る高機能ECU2の構成を示すブロック図である。なお図9においては、電源回路38及びこれに関連する構成については図示を省略している。変形例5に係る高機能ECU2は、CANトランシーバ33が回路基板21に設けられた構成である。コネクタ22に接続されるワイヤハーネス51には、イーサネットの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線11,13,15が含まれ、CANの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線15,16は含まれない。CANの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線15,16は、回路基板21に設けられた基板端子39に接続される。基板端子39にはCANトランシーバ33が電気的に接続されており、CANトランシーバ33は基板端子に接続された通信線15,16に対する信号の送受信を行う。
変形例5に係るコネクタ22が備える複数のハーネス側端子31には、イーサネットの通信プロトコルに従う通信を行うための通信線11,13,14が接続される端子が含まれ、CANの通信プロトコルに従う通信を行うための通信線15,16が接続される端子は含まれない。コネクタ22が備える複数の車載装置側端子36には、回路基板21に設けられたCANトランシーバ33との間で情報を授受するための端子が含まれる。これによりコネクタ22のCAN中継部35は、回路基板21のCANトランシーバ33との間で送信データ及び受信データ等を授受することができる。また変形例5に係るコネクタ22の通信用IC40は、イーサネットPHY32、イーサネット中継部34及びCAN中継部35を1つのICとしたものである。
(変形例6)
図10は、実施の形態1の変形例6に係る電力供給装置2Aの構成を示すブロック図である。変形例6は、高機能ECU2に代えて、車両1に搭載された種々の負荷1bに対する電力供給を行う電力供給装置2Aに上述の構成を適用した例である。変形例6に係る電力供給装置2Aは、図3に示したものと同様の構成のコネクタ22を回路基板21に搭載している。変形例6に係る電力供給装置2Aの回路基板21は、制御回路37及び電源回路38の他に、スイッチ回路42を備えている。また回路基板21が備える複数の基板端子39には、バッテリ1aからの電力線が接続される端子と、負荷1bへの電力を供給するための電力線が接続される端子とを含む。
スイッチ回路42は、電源回路38からの電力が供給され、この電力の負荷1bに対する供給/非供給を切り替える回路である。スイッチ回路42は、半導体スイッチ又はリレー等のスイッチング素子を複数備え、制御回路37の制御に従って各スイッチング素子の通電/遮断を切り替えることにより、各負荷1bへの電力の供給/非供給を切り替える。制御回路37は、ワイヤハーネス51の通信線11,13,14,15,16を介して送受信されるデータに基づいて、車両1の各負荷1bに対する電力の供給/非供給の切り替えを制御する。
変形例6に係る電力供給装置2Aのように、本実施の形態に係るコネクタ22は、高機能ECU2以外の種々の車載装置に用いることができる。
(変形例7)
図11は、実施の形態1の変形例7に係る電力供給装置2Aの構成を示すブロック図である。変形例7に係る電力供給装置2Aは、図10に示した変形例6に係る電力供給装置2Aに対し、図8に示した変形例4に係るコネクタ22の構成を適用したものに相当する。即ち、変形例7に係る電力供給装置2Aは、コネクタ22のハーネス側端子31に、通信線11,13,14,15,16が接続される端子と、車両1のバッテリ1aからの電力線が接続される端子とを含む。また変形例7に係るコネクタ22が備える複数の車載装置側端子36には、通信用IC40及び回路基板21の制御回路37の間で情報を授受するための端子と、バッテリ1aからの電力を回路基板21の電源回路38へ供給するための端子と、電源回路38からの電力が供給されるための端子とを含む。
即ち変形例7に係る電力供給装置2Aには、バッテリ1aからの電力線が接続されるハーネス側端子31から、コネクタ22の内部、車載装置側端子36及び回路基板21の配線パターン等を経て、回路基板21の電源回路38へ至る電力供給経路が設けられている。また電力供給装置2Aには、回路基板21の電源回路38から、回路基板21の配線パターン等、車載装置側端子36及びコネクタ22の内部を経て通信用IC40へ至る電力供給経路が設けられている。
変形例7に係る電力供給装置2Aでは、バッテリ1aから供給される例えば12Vの電力はコネクタ22のハーネス側端子31から車載装置側端子36へと素通しされ、回路基板21の電源回路38へ入力される。電源回路38は、この12Vの電力を3V又は5V等の電力に変換して出力する。電源回路38が出力した電力は、回路基板21の制御回路37及びスイッチ回路42へ与えられると共に、コネクタ22の車載装置側端子36へと入力され、コネクタ22内の通信用IC40へ与えられる。
以上の構成の変形例7に係る電力供給装置2Aは、バッテリ1aからの電力線をコネクタ22に接続することができ、この電力線と複数の通信線11,13,14,15,16との接続をコネクタ22に集約することができる。
(変形例8)
図12は、実施の形態1の変形例8に係る電力供給装置2Aの構成を示すブロック図である。変形例8に係る電力供給装置2Aは、変形例7に係る電力供給装置2Aに対し、負荷1bへの電力を供給する電力線をコネクタ22に接続可能な構成としたものである。即ち、変形例8に係る電力供給装置2Aは、コネクタ22のハーネス側端子31に、通信線11,13,14,15,16が接続される端子と、車両1のバッテリ1aからの電力線が接続される端子と、車両1の負荷1bへの電力線が接続される端子を含む。また変形例8に係るコネクタ22の車載装置側端子36には、通信用IC40及び回路基板21の制御回路37の間で情報を授受するための端子と、バッテリ1aからの電力を回路基板21の電源回路38へ供給するための端子と、電源回路38からの電力が供給されるための端子と、回路基板21のスイッチ回路42からの電力が供給されるための端子とを含む。
即ち変形例8に係る電力供給装置2Aには、回路基板21の電源回路38から、回路基板21の配線パターン、スイッチ回路42、車載装置側端子36、コネクタ22の内部及びハーネス側端子31を経て負荷1bが接続された電力線へ至る電力経路が設けられている。
以上の構成の変形例8に係る電力供給装置2Aは、複数の通信線11,13,14,15,16と、バッテリ1aからの電力線と、負荷1bへの電力線とをコネクタ22に接続することができ、これら複数の電線の接続をコネクタ22に集約することができる。
(変形例9)
図13は、実施の形態1の変形例9に係る高機能ECU2と通信線11,13,14,15,16との接続を説明するための模式図である。変形例9に係る高機能ECU2のコネクタ22には、複数の通信線11,13,14,15,16を束ねたワイヤハーネス51が接続されるのではなく、複数の通信線11,13,14,15,16が個別に接続される。各通信線11,13,14,15,16にはコネクタ52が個別に設けられている。高機能ECU2のコネクタ22は、これら複数の通信線11,13,14,15,16のコネクタ52が個別に着脱可能に接続される。
変形例9に係る高機能ECU2による通信処理又は中継処理等は、上述の実施の形態1に係る高機能ECU2の処理と同様である。
なお、変形例9においては、高機能ECU2に5つの通信線11,13,14,15,16が個別に接続される構成としたが、これに限るものではない。例えばイーサネットの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線11,13,14を束ねて1つのワイヤハーネスとし、CANの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線15,16を束ねて1つのワイヤハーネスとし、これら2つのワイヤハーネスを高機能ECU2のコネクタ22に接続する構成としてもよい。高機能ECU2のコネクタ22に接続される通信線又はワイヤハーネスの本数、ワイヤハーネスに含まれる通信線の本数等は、車載通信システムの構成に応じて適宜に設定され得る。
(変形例10)
図14は、実施の形態1の変形例10に係る高機能ECU2の構成を示すブロック図である。変形例10に係る高機能ECU2は、回路基板21の制御回路37とコネクタ22のイーサネット中継部34との間で、SPIの通信プロトコルに従う通信ではなく、PoEの通信プロトコルに従う通信を行う。
PoEのプロトコルでは、通信と電力供給とを共通線で行うことが可能である。このため変形例10に係る高機能ECU2では、回路基板21に搭載された電源回路38からコネクタ22の通信用IC40へ直接的に電力が供給されるのではなく、制御回路37から通信用IC40へPoEのプロトコルに従った電力供給が行われる。
変形例10に係る高機能ECU2では、回路基板21の制御回路37とコネクタ22の車載装置側端子36とが、PoEの通信及び電力供給を行うための共通線(回路基板21に設けられた配線パターン等)で電気的に接続されている。コネクタ22は、共通線から電力と通信のための信号とを分離する分離部43を備えている。分離部43は、例えばフィルタ回路等を有しており、PoEの共通線から信号と電力とを分離して出力する。分離部43にて分離された信号はイーサネット中継部34へ入力され、電力は通信用IC40へ供給される。
また変形例10に係る高機能ECU2では、回路基板21の制御回路37とコネクタ22のCAN中継部35とは、直接的な通信を行わない。CAN中継部35は制御回路37へ送信すべきデータをイーサネット中継部34へ送信し、イーサネット中継部34はこのデータを制御回路37へ送信する。また制御回路37はCAN中継部35へ送信すべきデータをイーサネット中継部34へ送信し、イーサネット中継部34はこのデータをCAN中継部35へ送信する。ただし、制御回路37とCAN中継部35とがSPI等の通信プロトコルに従う通信を行う構成であってもよい。
また、例えば高機能ECU2に接続されるイーサネットの通信線11,13,14のうちの一つ又は複数をPoEに対応した通信線とし、この通信線を介して高機能ECU2が車両1に搭載された他の装置からの電力供給を受ける構成としてもよい。この場合に高機能ECU2は、電源回路38を備える必要はなく、PoEの通信線から分離した電力を通信用IC40及び制御回路37等へ供給する。
<実施の形態2>
図15は、実施の形態2に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。上述の実施の形態1に係る車載通信システムは、高機能ECU2のコネクタ22に通信の中継機能を備えている。これに対して実施の形態2に係る車載通信システムは、高機能ECU202のコネクタ222に通信の中継機能を備えず、ワイヤハーネス251のコネクタ252に通信の中継機能を備える。
実施の形態2に係るワイヤハーネス251のコネクタ252は、例えば直方体状のハウジング内に通信用IC40が搭載されたコネクタ基板が収容され、このコネクタ基板に通信線11,13,14,15,16が接続され、コネクタ基板上の通信用IC40と通信線11,13,14,15,16とが電気的に接続された構成である。イーサネットの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線11,13,14は、通信用IC40が備えるイーサネットPHY32にそれぞれ電気的に接続される。CANの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線15,16は、通信用IC40が備えるCANトランシーバ33にそれぞれ電気的に接続される。
またコネクタ252には、高機能ECU202のコネクタ222に設けられたハーネス側端子231に接続される複数の端子253が設けられている。コネクタ252の複数の端子253には、通信用IC40が備えるイーサネット中継部34が高機能ECU202の制御回路37とSPIの通信プロトコルに従う通信を行うための4つの端子と、CAN中継部35が制御回路37とSPIの通信プロトコルに従う通信を行うための4つの端子と、高機能ECU202の電源回路38からの電力が供給される2つの端子とが含まれる。
実施の形態2に係る高機能ECU202のコネクタ222は、ワイヤハーネス251のコネクタ252の端子253に対応するハーネス側端子231を備えている。実施の形態2に係るコネクタ222は、ハーネス側端子231と対応する車載装置側端子とが一体的に設けられ、接続されたワイヤハーネス251のコネクタ252からの信号を直接的に回路基板21へ与え、回路基板21からの信号を直接的にワイヤハーネス251のコネクタ252へ与える。
以上の構成の実施の形態2に係る車載通信システムは、通信の中継機能をワイヤハーネス251のコネクタ252に備える。これにより、例えば通信線の増減又は通信速度の変更等が行われる場合であっても、ワイヤハーネス251を交換することによって、高機能ECU202は特別な変更を加えずに又は微小な変更を加えることで対応することが可能となる。
なお実施の形態2に係る車載通信システムは、実施の形態1の変形例1〜10に示した構成を同様に採用することができる。例えば実施の形態1の変形例1,2と同様に、実施の形態2に係る車載通信システムのワイヤハーネス251のコネクタ252には、イーサネット中継部34又はCAN中継部35のいずれか一方のみを設けてもよい。また例えば実施の形態1の変形例3と同様に、電源回路38をワイヤハーネス251のコネクタ252に設けてもよい。また例えば実施の形態1の変形例4と同様に、バッテリ1aからの電力線をワイヤハーネス251のコネクタ252に接続し、高機能ECU202の回路基板21に電源回路38を設け、バッテリ1aからの電力をコネクタ252及びコネクタ222を介して電源回路38へ与える構成としてもよい。また例えば実施の形態1の変形例5と同様に、高機能ECU202の回路基板21に通信線15,16を接続すると共にCANトランシーバ33を設け、ワイヤハーネス251のコネクタ252に設けられたCAN中継部35と高機能ECU202の回路基板21に設けられたCANトランシーバ33とが情報の授受を行う構成としてもよい。また例えば実施の形態1の変形例6〜8と同様に、高機能ECU202は負荷1bへの電力供給を制御する構成であってもよい。また例えば実施の形態1の変形例10と同様に、通信及び電力供給を共用線で行う構成としてもよい。
(変形例1)
図16は、実施の形態2の変形例1に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。実施の形態2の変形例1に係る車載通信システムは、高機能ECU202が電源回路38を備えず、ワイヤハーネス251がコネクタ252内に電源回路38を備える構成である。変形例1に係るワイヤハーネス251のコネクタ252には、車両1のバッテリ1aからの電力が供給される電力線が接続される。コネクタ252の電源回路38は、バッテリ1aから供給される例えば12Vの電力を、3V又は5V等の電力に変換して出力する。電源回路38が出力する電力は、コネクタ252の通信用IC40へ供給されると共に、コネクタ252の端子253及び高機能ECU202のコネクタ222のハーネス側端子231を介して回路基板21の制御回路37へ供給される。
以上の構成の変形例1に係る車載通信システムは、ワイヤハーネス251のコネクタ252に電源回路38を備える。電源回路38はコネクタ252のイーサネット中継部34及びCAN中継部35等を含む通信用IC40へ電力を供給し、電源回路38から供給された電力により通信用IC40が動作する。コネクタ252の複数の端子253には、電源回路38が電圧値を変換した電力を出力する端子を含む。高機能ECU202のコネクタ222の複数のハーネス側端子231には、ワイヤハーネス251からの電力供給を受けるための端子を含む。ワイヤハーネス251の電源回路38からの電力は、これらの端子を介して高機能ECU202の回路基板21へ供給される。これにより、高機能ECU202の回路基板21には電源回路38を設ける必要がないため、回路基板21の小型化等が期待できる。
(変形例2)
図17は、実施の形態2の変形例2に係る車載通信システムの構成を示す模式図である。変形例2に係る車載通信システムのワイヤハーネス251は、コネクタ252が1つの統合コネクタ252Aと複数の個別コネクタ252B及び252Cとに分離可能な構成である。個別コネクタ252B及び252Cは、ワイヤハーネス251に含まれる通信線11,13,14,15,16毎に1つずつ設けられる。個別コネクタ252Bは、イーサネットの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線11,13,14の先端部に設けられる。個別コネクタ252Cは、CANの通信プロトコルに従う通信に用いられる通信線15,16の先端部に設けられる。
統合コネクタ252Aは、一又は複数の個別コネクタ252B又は252Cを着脱可能に接続することができる。また統合コネクタ252Aは、高機能ECU202のコネクタ222に対して着脱可能に接続することができる。
図18は、実施の形態2の変形例2に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。なお図18においては、高機能ECU202の内部構成は図15と同様であるため、図示を省略している。変形例2に係るワイヤハーネス251のコネクタ252を構成する個別コネクタ252Bは、例えば直方体状のハウジング内に、イーサネットPHY32が搭載されたコネクタ基板を収容した構成である。個別コネクタ252Bは、このコネクタ基板に通信線11,13,14が接続されて、イーサネットPHY32との電気的な接続がなされる。また個別コネクタ252Bには、統合コネクタ252Aとの接続を行うための端子255が設けられている。端子255は、コネクタ基板に接続されて、イーサネットPHY32と電気的に接続されている。
同様に、個別コネクタ252Cは、例えば直方体状のハウジング内に、CANトランシーバ33が搭載されたコネクタ基板を収容した構成である。個別コネクタ252Cは、コネクタ基板に通信線15,16が接続されて、CANトランシーバ33との電気的な接続がなされる。また個別コネクタ252Cには、統合コネクタ252Aとの接続を行うための端子256が設けられている。端子256は、コネクタ基板に接続されて、CANトランシーバ33と電気的に接続されている。なお個別コネクタ252Bと個別コネクタ252Cとは、ハウジング又は端子255,256の形状等が異なっていてもよく、同じであってもよい。
統合コネクタ252Aは、例えば直方体状のハウジング内に、イーサネット中継部34及びCAN中継部35を有する通信用IC240が搭載されたコネクタ基板を収容した構成である。統合コネクタ252Aには、複数の個別コネクタ252B及び252Cとの接続を行うための複数の端子254が設けられている。統合コネクタ252Aの端子254と、個別コネクタ252Bの端子255とが接続されることにより、統合コネクタ252Aのイーサネット中継部34と個別コネクタ252BのイーサネットPHY32とが電気的に接続される。同様に、統合コネクタ252Aの端子254と、個別コネクタ252Cの端子256とが接続されることにより、統合コネクタ252AのCAN中継部35と個別コネクタ252CのCANトランシーバ33とが電気的に接続される。
変形例2に係るワイヤハーネス251は、統合コネクタ252Aに複数の個別コネクタ252B及び252Cが接続された後は、図15に示したワイヤハーネス251と同じものとして扱われる。
(変形例3)
図19は、実施の形態2の変形例3に係る車載通信システムの構成を示す模式図である。変形例3に係る車載通信システムのワイヤハーネス251は、変形例2に係る車載通信システムと同様に、コネクタ252が1つの統合コネクタ252Aと、複数の個別コネクタ252B、252C及び252Dとに分離可能な構成である。
ただし変形例3に係る車載通信システムでは、車両1のバッテリ1aからの電力が供給される電力線257に個別コネクタ252Dが設けられている。電力線257は、通信線11,13,14,15,16と共に、統合コネクタ252Aに接続される。
換言すれば、変形例3に係る車載通信システムは、図16に示した変形例1に係る車載通信システムの構成に、変形例2に係る車載通信システムの統合コネクタ及び個別コネクタの構成を適用したものである。
(変形例4)
図20は、実施の形態2の変形例4に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。実施の形態2の変形例4に係る車載通信システムは、高機能ECU202に代えて、車両1に搭載された種々の負荷1bに対する電力供給を行う電力供給装置202Aに上述の構成を適用した例である。変形例4に係る電力供給装置202Aの回路基板21には、制御回路37及び電源回路38の他に、スイッチ回路42が設けられている。スイッチ回路42は、電源回路38から電圧値を変換した電力が供給され、この電力の負荷1bに対する供給/非供給の切り替えを制御回路37の制御に従って行う回路である。
実施の形態2の変形例4に係るワイヤハーネス251のコネクタ252には、車両1のバッテリ1aからの電力が供給される電力線と、車両1の負荷1bに対する電力を供給する電力線とが接続されている。これらの電力線は、コネクタ252が備える複数の端子253に含まれるいくつかの端子253にそれぞれ電気的に接続されている。また電力供給装置202Aが備えるコネクタ222には、ワイヤハーネス251のコネクタ252に設けられた端子253と接続される複数のハーネス側端子231が設けられている。
ワイヤハーネス251のコネクタ252と電力供給装置202Aのコネクタ222とが接続された場合、コネクタ252の端子253とコネクタ222のハーネス側端子231とが接続される。この状態において、バッテリ1aからの電力が供給される電力線は、電力供給装置202Aの電源回路38に電気的に接続され、負荷1bへの電力を供給する電力線は、電力供給装置202Aのスイッチ回路42に電気的に接続される。
ワイヤハーネス251が電力供給装置202Aに接続された状態において、バッテリ1aからの電力は電源回路38へと供給され、電源回路38によって電圧値が変換される。電源回路38によって電圧値を変換された電力は、回路基板21の制御回路37及びスイッチ回路42へ供給されると共に、コネクタ222のハーネス側端子231及びコネクタ252の端子253を介してワイヤハーネス251の通信用IC40へ供給される。またスイッチ回路42は、電源回路38から与えられた電力を、制御回路37の切替制御に応じて、負荷1bへ供給/非供給する。スイッチ回路42が出力する電力は、コネクタ222のハーネス側端子231及びコネクタ252の端子253と、ワイヤハーネス251に接続された電力線とを介して負荷1bへと供給される。
即ち変形例4に係る電力供給装置202Aには、バッテリ1aに接続された電力線から、ワイヤハーネス251のコネクタ252の内部、コネクタ252の端子253、電力供給装置202Aのコネクタ222のハーネス側端子231、コネクタ222の内部及び回路基板21の配線パターン等を経て、回路基板21の電源回路38へ至る電力供給経路が設けられている。また電力供給装置202Aには、回路基板21の電源回路38から、回路基板21の配線パターン、コネクタ222の内部、コネクタ222のハーネス側端子231、ワイヤハーネス251のコネクタ252の端子253及びコネクタ252の内部等を経て通信用IC40へ至る電力供給経路が設けられている。また電力供給装置202Aには、回路基板21の電源回路38から、回路基板21の配線パターン、スイッチ回路42、コネクタ222の内部、コネクタ222のハーネス側端子231、ワイヤハーネス251のコネクタ252の端子253及びコネクタ252の内部等を経て、負荷1bに接続された電力線へ至る電力供給経路が設けられている。
以上の構成の実施の形態2の変形例4に係る電力供給装置202Aは、複数の通信線11,13,14,15,16と、バッテリ1aからの電力線と、負荷1bへの電力線とをワイヤハーネス251のコネクタ252に集約して接続することができる。
実施の形態2に係る車載通信システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載通信システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
<実施の形態3>
図21は、実施の形態3に係る車載通信システムの構成を説明するための模式図である。実施の形態3に係る車載通信システムでは、複数の通信線を束ねたワイヤハーネス351の端部に回路基板352が設けられている。回路基板352は、長方形の板状であり、長手方向の一側から複数の通信線が延び出ており、他側の端部には端子353が設けられている。実施の形態3に係る車載通信システムの高機能ECU302は直方体状の筐体を備えており、筐体の一面には長方形状の開口が形成されている。この開口は、ワイヤハーネス351の回路基板352を挿入するためのものであり、回路基板352を高機能ECU302に対して着脱可能の装着する基板装着部322に通じている。
実施の形態3に係る車載通信システムでは、コネクタによる接続ではなく、ワイヤハーネス351の回路基板352を高機能ECU302の基板装着部322に装着することで、高機能ECU302とワイヤハーネス351との接続が行われる。
図22は、実施の形態3に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。実施の形態3に係る車載通信システムの構成は、図15に示した実施の形態2に係る車載通信システムの構成と略同じである。実施の形態3に係る車載通信システムは、実施の形態2に係るコネクタ222に代えて、高機能ECU302に基板装着部322を設け、実施の形態2に係るコネクタ252に代えて、ワイヤハーネス351に回路基板352を設けた構成である。
実施の形態3に係るワイヤハーネス351の回路基板352は、イーサネットPHY32、CANトランシーバ33、イーサネット中継部34及びCAN中継部35を有する通信用IC40が搭載されている。通信用IC40のイーサネットPHY32及びCANトランシーバ33は、回路基板352に接続された通信線11,13,14,15,16と電気的に接続されている。回路基板352には、高機能ECU302の基板装着部322との電気的な接続を行うための複数の端子353が設けられている。複数の端子353には、イーサネット中継部34及びCAN中継部35がSPIの通信プロトコルで高機能ECU302の制御回路37とそれぞれ通信を行うための端子と、高機能ECU302の電源回路38からの電力が供給される端子とを含む。複数の端子353は、例えば回路基板352の表面に露出する金属部分として設けられる。
実施の形態3に係る高機能ECU302の基板装着部322は、筐体の開口から挿入されたワイヤハーネス351の回路基板352を保持して固定する機構(図示は省略する)と、回路基板352に設けられた複数の端子353に接続される複数の端子331とを備えている。複数の端子331は、例えば回路基板352の表面に設けられた複数の端子353に当接する金属部品である。複数の端子331は、回路基板21の制御回路37及び電源回路38に電気的に接続されている。
ワイヤハーネス351の回路基板352が高機能ECU302基板装着部322に装着された場合、回路基板352の端子353と基板装着部322の端子331とが接続される。これにより、回路基板352のイーサネット中継部34及びCAN中継部35と高機能ECU302の制御回路37とが通信を行うことが可能となり、高機能ECU302の電源回路38から回路基板352の通信用IC40へ電力が供給される。
以上の構成の実施の形態3に係る車載通信システムは、通信の中継機能をワイヤハーネス351の回路基板352に備える。これにより、例えば通信線の増減又は通信速度の変更等が行われる場合であっても、ワイヤハーネス351を交換することによって、高機能ECU302は特別な変更を加えずに又は微小な変更を加えることで対応することが可能となる。
なお実施の形態3に係る車載通信システムは、実施の形態1の変形例1〜10に示した構成、及び、実施の形態2の変形例1〜4に示した構成を同様に採用することができる。例えば実施の形態1の変形例1,2と同様に、実施の形態3に係る車載通信システムのワイヤハーネス351の回路基板352には、イーサネット中継部34又はCAN中継部35のいずれか一方のみを設けてもよい。また例えば実施の形態1の変形例3及び実施の形態2の変形例1と同様に、電源回路38をワイヤハーネス351の回路基板352に設けてもよい。また例えば実施の形態1の変形例4と同様に、バッテリ1aからの電力線をワイヤハーネス351の回路基板352に接続し、高機能ECU302の回路基板21に電源回路38を設け、バッテリ1aからの電力を回路基板352及び基板装着部322を介して電源回路38へ与える構成としてもよい。また例えば実施の形態1の変形例5と同様に、高機能ECU302の回路基板21に通信線15,16を接続すると共にCANトランシーバ33を設け、ワイヤハーネス351の回路基板352に設けられたCAN中継部35と高機能ECU302の回路基板21に設けられたCANトランシーバ33とが情報の授受を行う構成としてもよい。また例えば実施の形態1の変形例6〜8及び実施の形態2の変形例4と同様に、高機能ECU302は負荷1bへの電力供給を制御する構成であってもよい。また例えば実施の形態1の変形例9及び実施の形態2の変形例2,3と同様に、イーサネットPHY32又はCANトランシーバ33が設けられた個別コネクタを有する通信線11,13,14,15,16をワイヤハーネス351の回路基板352に対して着脱可能に接続し、回路基板352に設けられたイーサネット中継部34及びCAN中継部35が通信線11,13,14,15,16の間の通信を中継する構成としてもよい。また例えば実施の形態1の変形例10と同様に、通信及び電力供給を共用線で行う構成としてもよい。
(変形例1)
図23及び図24は、実施の形態3の変形例1に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。実施の形態3の変形例1に係る車載通信システムは、高機能ECU302が電源回路38を備えず、ワイヤハーネス351が回路基板352に電源回路38を備える構成である。変形例1に係るワイヤハーネス351の回路基板352には、車両1のバッテリ1aからの電力が供給される電力線357が接続される。回路基板352の電源回路38は、バッテリ1aから供給される例えば12Vの電力を、3V又は5V等の電力に変換して出力する。電源回路38が出力する電力は、回路基板352の通信用IC40へ供給されると共に、回路基板352の端子353及び高機能ECU302の基板装着部322の端子331を介して回路基板21の制御回路37へ供給される。
以上の構成の変形例1に係る車載通信システムは、ワイヤハーネス351の回路基板352に電源回路38を備える。電源回路38は回路基板352のイーサネット中継部34及びCAN中継部35等を含む通信用IC40へ電力を供給し、電源回路38から供給された電力により通信用IC40が動作する。回路基板352の複数の端子353には、電源回路38が電圧値を変換した電力を出力する端子を含む。高機能ECU302の基板装着部322の複数の端子331には、ワイヤハーネス351からの電力供給を受けるための端子を含む。ワイヤハーネス351の電源回路38からの電力は、これらの端子を介して高機能ECU302の回路基板21へ供給される。これにより、高機能ECU302の回路基板21には電源回路38を設ける必要がないため、回路基板21の小型化等が期待できる。
実施の形態3に係る車載通信システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載通信システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
<実施の形態4>
図25は、実施の形態4に係る高機能ECU402の構成を説明するための模式図である。実施の形態4に係る高機能ECU402は、例えば直方体状の筐体(図示は省略する)に回路基板421が収容され、この回路基板421にカードスロット460が搭載された構成である。カードスロット460は、通信機能が集約された通信カード470が着脱可能に装着される。図示の例では、カードスロット460の開口部から通信カード470が挿入され、カードスロット460の内部に設けられた保持機構(図示は省略する)が通信カード470を保持することによって、通信カード470がカードスロット460に装着される。
通信カード470はカード型のケーシング470aを有し、ケーシング470aの表面には複数の端子471が設けられている。ケーシング470aは、カードスロット460の開口部へ挿入され、カードスロット460の保持機構に保持されることにより、カードスロット460に着脱可能に装着される。通信カード470がカードスロット460に装着された場合、通信カード470の端子471がカードスロット460の内部に設けられたカード側端子461(図26にて図示する)に接続され、通信カード470と高機能ECU202の回路基板421とが電気的に接続される。
通信カード470のケーシング470aのサイズ及び形状等、並びに、端子471の数及び配置等は、例えばSIM(Subscriber Identity Module)カード又はSD(Secure Digital)カード等の既存のカード型装置と同様のものが採用され得る。これにより、カードスロット460に既存のものを利用することができる。なお、通信カード470がカードスロット460に装着された状態において、通信カード470のケーシング470aの全体がカードスロット460の開口部の内部に挿入され、ケーシング470aの一部が開口部から外へ突出しないことが好ましい。これにより、カードスロット460に装着された通信カード470の破損等を防止することが期待できる。
図26は、実施の形態4に係る高機能ECU402の構成を示すブロック図である。実施の形態4に係る高機能ECU402は、制御回路37及び電源回路38を備える回路基板421に、複数の通信線11,13,14を束ねたワイヤハーネス51を接続するためのコネクタ422と、通信カード470を装着するためのカードスロット460とが搭載されている。コネクタ422には、ワイヤハーネス51の通信線11,13,14が接続される端子、及び、バッテリ1aからの電力線が接続される端子を含む複数のハーネス側端子431が設けられている。カードスロット460には、通信カード470との電気的な接続を行うための複数のカード側端子461が設けられている。複数のカード側端子461には、コネクタ422の通信線11,13,14が接続されるハーネス側端子431に電気的に接続された端子と、制御回路37が通信カード470との間でSPIの通信プロトコルに従う通信を行うための端子と、電源回路38の電力を通信カード470へ供給するための端子とが含まれる。
通信カード470は、イーサネットPHY32及びイーサネット中継部34等を有する通信用IC440と、カードスロット460のカード側端子461に対応する複数の端子471とを備えている。複数の端子471には、カードスロット460のカード側端子461、回路基板421及びコネクタ422のハーネス側端子431を通して、ワイヤハーネス51の通信線11,13,14と通信用IC440のイーサネットPHY32とを電気的に接続する端子(通信側端子)を含む。また複数の端子471には、通信用IC440のイーサネット中継部34が回路基板421の制御回路37との間でSPIの通信プロトコルに従う通信を行うための端子(制御側端子)と、電源回路38から通信用IC440への電力供給のための端子(電源端子)とを含む。
カードスロット460に通信カード470が装着された状態では、通信カード470のイーサネットPHY32と通信線11,13,14とが直接的に接続され、イーサネットPHY32は通信線11,13,14に対する信号の送受信を行うことができる。通信カード470のイーサネット中継部34は、通信線11,13,14間の通信を中継すると共に、通信線11,13,14及び制御回路37の間の通信を中継する。また通信カード470は回路基板421の電源回路38からの電力供給を受け、この電力により通信用IC440が動作する。
以上の構成の実施の形態4に係る高機能ECU402は、通信カード470が装着されることによって、通信線11,13,14の間の通信を中継する中継機能を備えることができる。通信カード470は、高機能ECU202のカードスロット460に対して着脱可能なケーシング470aを備える。ケーシング470aの表面には、高機能ECU202の回路基板421の制御回路37と電気的に接続される端子471と、高機能ECU202のコネクタ422に接続された複数の通信線11,13,14と電気的に接続される複数の端子471とが設けられる。ケーシング470aの内部には、高機能ECU202に接続された複数の通信線11,13,14の間の通信の中継と、通信線11,13,14及び制御回路37の間の通信の中継とを行うイーサネット中継部34が設けられる。通信の中継を高機能ECU202とは別の通信カード470が行う構成とすることにより、高機能ECU202の制御回路37は中継に関する処理を行う必要がなくなり、処理負荷を低減できる。また、例えば通信速度の変更等の仕様変更が必要となった場合に、通信カード470を交換することで仕様変更に対応することができる。
また通信カード470は、複数の端子とイーサネット中継部34との間に、通信線に対する通信用の信号の入出力を行う複数のイーサネットPHY32を備えている。これら複数のイーサネットPHY32とイーサネット中継部34とは1つの通信用IC440内に設けられ、この通信用IC440が通信カード470に備えられる。これにより、通信カード470の小型化及び低コスト化等が期待できる。
なお実施の形態4においては、高機能ECU202に通信の中継機能を付与する装置を通信カード470としたが、これに限るものではない。中継機能を付与する装置は、カード形状以外の形状であってよい。また実施の形態4においては、通信カード470の通信用IC440がイーサネットの通信プロトコルに従う通信を行い、CANの通信プロトコルに従う通信を行わない構成としたが、これに限るものではない。実施の形態1〜3と同様に、通信カード470がイーサネットの通信プロトコルに従う通信と、CANの通信プロトコルに従う通信とを行い、これらのプロトコル間での通信の中継を行う構成としてもよい。また通信カード470は、CANの通信プロトコルに従う通信を行い、イーサネットの通信プロトコルに従う通信を行わない構成であってもよい。
(変形例1)
図27は、実施の形態4の変形例1に係る高機能ECU402の構成を示すブロック図である。実施の形態4の変形例1に係る高機能ECU402は、高機能ECU202の回路基板421に、イーサネットPHY32が設けられている。このため、実施の形態4の変形例1に係る通信カード470は、イーサネットPHY32を有していない。イーサネットPHY32は、コネクタ422に接続された通信線11,13,14に対する信号の送受信を行うと共に、カードスロット460に装着された通信カード470との間で通信に係る情報の授受を行う。即ち、カードスロット460に装着された通信カード470のイーサネット中継部34は、高機能ECU202の回路基板421に設けられたイーサネットPHY32を介して、高機能ECU202のコネクタ422に接続された通信線11,13,14に電気的に接続される。
以上の変形例1に係る高機能ECU402は、コネクタ422に接続された通信線11,13,14に対する通信用の信号の入出力を行う複数のイーサネットPHY32を回路基板421に備えている。高機能ECU402のコネクタ422に接続された複数の通信線11,13,14と、通信カード470のイーサネット中継部34とは、高機能ECU402のイーサネットPHY32を介して電気的に接続される。これにより通信カード470は、複数のイーサネットPHY32を備える必要がないため、更なる小型化及び低コスト化等が期待できる。
(変形例2)
図28は、実施の形態4の変形例2に係る通信カード470の構成を示すブロック図である。なお図28においては、高機能ECU402の構成の図示を省略すると共に、高機能ECU402から通信カード470への電力供給経路の図示を省略している。実施の形態4の変形例2に係る通信カード470は、イーサネットPHY32、CANトランシーバ33、イーサネット中継部34及びCAN中継部35を備えている。変形例2に係る通信カード470は、イーサネット中継部34によるイーサネットの通信の中継と、CAN中継部35によるCANの通信の中継とを行うことができる。また、イーサネット中継部34又はCAN中継部35は、イーサネットの通信プロトコルとCANの通信プロトコルとの変換を行う機能を有しており、イーサネット中継部34及びCAN中継部35の間でデータの授受を行うことにより、イーサネットの通信とCANの通信との間の中継を行うことができる。
また、イーサネット中継部34及びCAN中継部35は、高機能ECU402との間で例えばSPIの通信プロトコルに従った通信をそれぞれ個別に行う。このためイーサネット中継部34は、イーサネットの通信プロトコルと、SPIの通信プロトコルとの変換を行う機能を有している。同様に、CAN中継部35は、CANの通信プロトコルと、SPIの通信プロトコルとの変換を行う機能を有している。
変形例2に係る通信カード470が備える複数の端子471には、イーサネットPHY32に接続され、且つ、通信カード470がカードスロット460に装着された場合に、高機能ECU402のコネクタ422に接続されたイーサネットの通信を行う通信線と電気的に接続される端子(通信側端子)を含む。また複数の端子471には、CANトランシーバ33に接続され、且つ、通信カード470がカードスロット460に装着された場合に、高機能ECU402のコネクタ422に接続されたCANの通信を行う通信線と電気的に接続される端子(通信側端子)を含む。また、複数の端子471には、イーサネット中継部34が高機能ECU402の制御回路37との間でSPIの通信プロトコルに従う通信を行うための端子(制御側端子)と、CAN中継部35が高機能ECU402の制御回路37との間でSPIの通信プロトコルに従う通信を行うための端子(制御側端子)とを含む。
以上の変形例2に係る高機能ECU402は、イーサネットの通信プロトコルの通信に用いられる通信線と、CANの通信プロトコルの通信に用いられる通信線とが接続される。変形例2に係る通信カード470は、イーサネット中継部34及びCAN中継部35を備え、イーサネット及びCANの間の通信プロトコルの変換を行って、イーサネット中継部34及びCAN中継部35の間で情報を授受することにより、イーサネットの通信及びCANの通信の間での中継を行う。これにより、変形例2に係る通信カード470は、異なる通信プロトコルの通信に用いられる通信線が混在する場合であっても、通信の中継を行うことができる。
また通信カード470のイーサネット中継部34及びCAN中継部35は、高機能ECU402の制御回路37との間でSPIの通信プロトコルに従う通信を行う。イーサネット中継部34は、イーサネットの通信プロトコルとSPIの通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行う。同様に、CAN中継部35は、CANの通信プロトコルとSPIの通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行う。これにより通信カード470は、高機能ECU402の外部の通信で用いられるイーサネット及びCANの通信プロトコルと、高機能ECU402の内部の通信で用いられるSPIの通信プロトコルとを変換し、高機能ECU402の内外での通信の中継を行うことができる。
(変形例3)
図29は、実施の形態4の変形例3に係る電力供給装置402Aの構成を示すブロック図である。実施の形態4の変形例3は、実施の形態1の変形例6と同様に、高機能ECU402に代えて、車両1に搭載された種々の負荷1bに対する電力供給を行う電力供給装置402Aに上述の構成を適用した例である。実施の形態4の変形例3に係る電力供給装置402Aは、図26に示したものと同様の構成のカードスロット460を回路基板421に搭載している。また変形例3に係る通信カード470は、図26に示したものと同様の構成であり、図29においては詳細な内部構成の図示を省略している。
実施の形態4の変形例3に係る電力供給装置402Aは、制御回路37及び電源回路38と共に、スイッチ回路42を回路基板421に備えている。また電力供給装置402Aのコネクタ422が備える複数のハーネス側端子431には、通信線11,13,14が接続され、且つ、カードスロット460に装着された通信カード470の端子471に電気的に接続される端子を含む。また複数のハーネス側端子431には、バッテリ1aからの電力線が接続され、且つ、回路基板421に設けられた電源回路38に電気的に接続される端子を含む。また複数のハーネス側端子431には、負荷1bへの電力を供給するための電力線が接続され、且つ、回路基板421に設けられたスイッチ回路42に電気的に接続される端子を含む。
スイッチ回路42は、電源回路38からの電力が供給される。スイッチ回路42は、複数のスイッチング素子を備え、制御回路37の制御に従ってスイッチング素子の通電/遮断を切り替えることにより、各負荷1bへの電力の供給/非供給を切り替える。なお図25においては、制御回路37からスイッチ回路42への制御信号の伝達経路の図示を省略している。
以上の変形例3に係る電力供給装置402Aは、通信の中継機能を付与する通信カード470を着脱可能に装着するカードスロット460を備えている。電力供給装置402Aのコネクタ422には、複数の通信線11,13,14と、車両1のバッテリ1aから電力が供給される電力線と、車両1の負荷1bへの電力を供給する電力線とが接続される。また電力供給装置402Aは、電力線を介してバッテリ1aから供給される電力の電圧値を変換する電源回路38を備え、電源回路38が電圧値を変化した電力を車両1の負荷1bへ供給する。また電源回路38は、回路基板421に設けられた制御回路37と、カードスロット460に装着された通信カード470とに電力を供給する。これらの構成により変形例3に係る電力供給装置402Aは、バッテリ1aから供給される電力の負荷1bへの分配と、通信カード470を用いた通信の中継とを行うことが可能となる。変形例3に係る電力供給装置402Aのように、実施の形態4に係る通信カード470は、高機能ECU402以外の種々の車載装置に用いることができる。
(変形例4)
図30は、実施の形態4の変形例4に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。変形例4に係る車載通信システムでは、高機能ECU402は電源回路38を備えておらず、通信カード470が電源回路38を備えている。
高機能ECU402のコネクタ422には、車両1のバッテリ1aからの電力が供給される電力線が接続される。バッテリ1aからの電力は、コネクタ422のハーネス側端子431、回路基板421の配線パターン、カードスロット460のカード側端子461を介して、通信カード470の端子471から電源回路38へ供給される。
電源回路38が電圧値を変換して出力する電力は、通信用IC440へ供給されると共に、端子471から出力される。通信カード470の端子471から出力される電力は、高機能ECU402のカードスロット460のカード側端子461を介して回路基板421の制御回路37へ与えられる。
なお、変形例4に係る車載通信システムでは、通信カード470に電源回路38を設ける構成としたが、これに限るものではない。例えば、PoEのプロトコルにより通信及び電力供給を共通線で行う構成としてもよい。この場合には、例えば通信線11,13,14のいずれかを介して電力が供給されてよく、高機能ECU402及び通信カード470が共に電源回路38を備えない構成であってよい。
実施の形態4に係る車載通信システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載通信システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
<実施の形態5>
図31は、実施の形態5に係る高機能ECU502の構成を示すブロック図である。実施の形態5に係る高機能ECU502は、図1〜図14に示した実施の形態1に係る高機能ECU2と同様に、中継機能を備えるコネクタ522が回路基板21に搭載される構成である。ただし実施の形態5に係る高機能ECU502では、回路基板21の制御回路37と、コネクタ522との間で、イーサネットの通信プロトコルに従う通信が行われる。なお図31においては、電源回路及び電力供給経路については図示を省略している。
実施の形態5に係るコネクタ522は、5つの通信線11,13〜16を介して通信を行うための5つのイーサネットPHY32と、回路基板21の制御回路37との通信を行うためのイーサネットPHY532とを備えている。また実施の形態5に係るコネクタ522において、6つのイーサネットPHY32,532は、イーサネット中継部34を有する通信用ICの内部に設けられるのではなく、それぞれ個別のICとしてコネクタ522内のコネクタ基板に搭載される。
図32は、実施の形態5に係るコネクタ522のコネクタ基板541の表面のIC配置例を示す模式図である。また図33は、実施の形態5に係るコネクタ522のコネクタ基板541の裏面のIC配置例を示す模式図である。なお、以下においては、コネクタ基板541の表面を図32とし、裏面を図33とするが、これは便宜的に表裏を定めたものであり、表裏の関係は逆であってもよい。また図32及び図33においては、図31において2つ1組で設けられるハーネス側端子31及び車載装置側端子36を、それぞれ1つの矩形ブロックで示している。
コネクタ522のコネクタ基板541は、矩形の板状をなす部材である。コネクタ基板541の一端側の辺(図32及び図33において右側の辺)には、この辺の略中央に、1つの車載装置側端子36が設けられている。コネクタ基板541の他端側の辺(図32及び図33において左側の辺)には、5つのハーネス側端子31が、この辺に沿って、並べて設けられている。ただし、5つのハーネス側端子31はコネクタ基板541の裏面に設けられ、1つの車載装置側端子36はコネクタ基板541の表面に設けられている。
図32に示すように、コネクタ基板541の表面には、通信用IC40、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36が搭載されている。通信用IC40及びイーサネットPHY532はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続され、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。通信用IC40、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36は、コネクタ基板541の上に、一直線に並ぶように配置されている。即ち、イーサネットPHY532は、通信用IC40及び車載装置側端子36の間に位置し、通信用IC40及び車載装置側端子36を結ぶ直線上に配置される。これにより、通信用IC40からイーサネットPHY532を経由して車載装置側端子36へ至る通信経路をより短くすることができ、通信における遅延の低減等が期待できる。
図33に示すように、コネクタ基板541の裏面には、5つのハーネス側端子31及び5つのイーサネットPHY32が搭載されている。各ハーネス側端子31及びイーサネットPHY32は、コネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。またコネクタ基板541の裏面に設けられた5つのイーサネットPHY32と、コネクタ基板541の表面に設けられた通信用IC40とは、コネクタ基板541の内部に表裏を貫いて設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。5つのハーネス側端子31はコネクタ基板541の一辺に沿って並べて設けられている。5つのイーサネットPHY32は、5つのハーネス側端子31から所定の間隔を隔てて、一列に並べて設けられている。また5つのうちのいくつかのイーサネットPHY32の搭載位置は、コネクタ基板541の表面における通信用IC40の搭載位置の反対側(裏側)である。イーサネットPHY32と通信用IC40とを表裏に重なり合うように配置することで、イーサネットPHY32と通信用IC40との距離(配線長)を短くすることができると共に、コネクタ基板541の小型化が期待できる。
以上の構成の実施の形態5に係るコネクタ522は、コネクタ基板541に通信用IC40、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36を一直線に並ぶように配置することで、通信における遅延の低減等が期待できる。またコネクタ522は、コネクタ基板541の表面に通信用IC40を搭載し、搭載位置が重なるようにコネクタ基板541の裏面にイーサネットPHY32を搭載することで、通信における遅延の低減、及び、コネクタ基板541の小型化等が期待できる。
なお実施の形態5においては、通信プロトコルとしてイーサネットを採用した場合のコネクタ522を例に説明したが、通信プロトコルはイーサネットに限らず、CAN又はこれら以外の通信プロトコルが採用されてよく、複数の通信プロトコルが混在してもよい。
また本例では、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36をコネクタ基板541の表面に搭載し、イーサネットPHY32及びハーネス側端子31をコネクタ基板541の裏面に搭載しているが、これに限るものではない。イーサネットPHY532及び車載装置側端子36をコネクタ基板541の裏面に搭載し、イーサネットPHY32及びハーネス側端子31を通信用IC40と共にコネクタ基板541の表面に搭載してもよい。
実施の形態5に係る車載通信システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載通信システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
(変形例1)
図34は、実施の形態5の変形例1に係るコネクタ522のコネクタ基板541のIC配置例を示す模式図である。図32及び図33に示したコネクタ522はコネクタ基板541の表裏にICを搭載した構成であるが、図34に示す変形例1に係るコネクタ522は、コネクタ基板541の表面にICを搭載した構成である。
変形例1に係るコネクタ522は、通信用IC40と、5つのハーネス側端子31と、1つの車載装置側端子36と、5つのイーサネットPHY32と、1つのイーサネットPHY532とを備え、これらがコネクタ基板541の一面(表面)に搭載されて構成されている。コネクタ基板541は、矩形の板状をなす部材である。コネクタ基板541の一端側の辺(図34において右側の辺)には、この辺の略中央に、1つの車載装置側端子36が設けられている。コネクタ基板541の他端側の辺(図34において左側の辺)には、5つのハーネス側端子31が、この辺に沿って、並べて設けられている。
通信用IC40は、コネクタ基板541の中央に搭載されている。通信用IC40及びイーサネットPHY532はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続され、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。通信用IC40、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36は、コネクタ基板541の上に、一直線に並ぶように配置されている。即ち、イーサネットPHY532は、通信用IC40及び車載装置側端子36の間に位置し、通信用IC40及び車載装置側端子36を結ぶ直線上に配置される。これにより、通信用IC40からイーサネットPHY532を経由して車載装置側端子36へ至る通信経路をより短くすることができ、通信における遅延の低減等が期待できる。
各ハーネス側端子31及びイーサネットPHY32はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されており、5つのイーサネットPHY32及び通信用IC40はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。5つのハーネス側端子31はコネクタ基板541の一辺に沿って並べて設けられている。5つのイーサネットPHY32は、5つのハーネス側端子31から所定の間隔を隔てて、一列に並べて設けられている。また5組のハーネス側端子31及びイーサネットPHY32のうちの少なくとも1組については、ハーネス側端子31、イーサネットPHY32及び通信用IC40が、コネクタ基板541の上に、一直線に並ぶように配置されている。即ちこの1組について、イーサネットPHY32は、ハーネス側端子31及び通信用IC40の間に位置し、ハーネス側端子31及び通信用IC40を結ぶ直線上に配置される。これにより、ハーネス側端子31からイーサネットPHY32を経由して通信用IC40へ至る通信経路をより短くすることができ、通信における遅延の低減等が期待できる。
また変形例1に係るコネクタ522は、矩形の板状をなすコネクタ基板541の相対する2つの辺(図34において左右の辺)にハーネス側端子31及び車載装置側端子36をそれぞれ配置している。少なくとも1つのハーネス側端子31及びこれに対応するイーサネットPHY32と、通信用IC40と、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36とは、コネクタ基板541の上に、一直線に並ぶように配置されている。
(変形例2)
図35は、実施の形態5の変形例2に係るコネクタ522のコネクタ基板541のIC配置例を示す模式図である。変形例2に係るコネクタ522は、図34に示した変形例1に係るコネクタ522と同様に、コネクタ基板541の表面にICを搭載した構成である。また変形例2に係るコネクタ522のハーネス側端子31、イーサネットPHY32及び通信用IC40の配置については、変形例1に係るコネクタ522と同様である。
変形例2に係るコネクタ522では、イーサネットPHY532は、通信用IC40及び車載装置側端子36の間に配置されていない。変形例2に係るコネクタ522では、コネクタ基板541において通信用IC40は車載装置側端子36にできるだけ隣接(近接)させて配置される。即ち、通信用IC40及び車載装置側端子36の間隔が、少なくともイーサネットPHY532の配置に必要な間隔よりも狭くなるように、通信用IC40及び車載装置側端子36が近付けて配置されることが好ましい。イーサネットPHY532は、車載装置側端子36が設けられたコネクタ基板541の辺(図35において右側の辺)に沿う方向に、車載装置側端子36と並べて隣接して配置される。即ち、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36の間の間隔が、少なくとも通信用IC40の配置に必要な間隔よりも狭くなるように、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36が近付けて配置されることが好ましい。ただしイーサネットPHY532は、通信用IC40と隣接して配置されてもよい。
通信用IC40及びイーサネットPHY532はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続され、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。また、各ハーネス側端子31及びイーサネットPHY32はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されており、5つのイーサネットPHY32及び通信用IC40はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。
変形例2に係るコネクタ522は、通信用IC40及び車載装置側端子36を隣接させて配置することで、コネクタ基板541の小型化等が期待できる。また通信用IC40及び車載装置側端子36の間に信号授受に介在するイーサネットPHY532を、通信用IC40又は車載装置側端子36と並べて隣接して配置することにより、イーサネットPHY532及び通信用IC40の間の通信経路、又は、イーサネットPHY532及び車載装置側端子36の間の通信経路を短くすることができ、通信における遅延の低減等が期待できる。
(変形例3)
図36は、実施の形態5の変形例3に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。変形例3に係る車載通信システムは、図15〜図20に示した実施の形態2に係る車載通信システムと同様に、コネクタ222を備える高機能ECU502に対して、中継機能を有するコネクタ522を備えるワイヤハーネス521が着脱可能に接続される構成である。ただし実施の形態5の変形例3に係る車載通信システムでは、高機能ECU502の制御回路37と、ワイヤハーネス551のコネクタ552との間で、イーサネットの通信プロトコルに従う通信が行われる。なお図36においては、電源回路及び電力供給経路については図示を省略している。
変形例3に係るワイヤハーネス551のコネクタ552は、5つの通信線11,13〜16を介して通信を行うための5つのイーサネットPHY32と、高機能ECU502との通信を行うためのイーサネットPHY532とを備えている。また変形例3に係るコネクタ552において、6つのイーサネットPHY32,532は、イーサネット中継部34を有する通信用ICの内部に設けられるのではなく、それぞれ個別のICとしてコネクタ552内のコネクタ基板に搭載される。
図37は、実施の形態5の変形例3に係るコネクタ552のコネクタ基板541の表面のIC配置例を示す模式図である。なお、コネクタ基板541の裏面の構成については別途の図示を省略するが、図37には裏面に配置されるIC等について破線でその位置が示されている。また図37においては、図36において2つ1組で設けられる端子253を1つの矩形ブロックで示している。変形例3に係るコネクタ552の構成は、図32及び図33に示した実施の形態5に係るコネクタ522と同様の構成である。
変形例3に係るコネクタ552のコネクタ基板541は、矩形の板状をなす部材である。コネクタ基板541の一端側の辺(図37において左側の辺)には、裏面に複数の通信線11,13〜16が接続されている。コネクタ基板541の表面の他端側の辺(図37において右側の辺)には、この辺の略中央に、端子253が設けられている。
コネクタ基板541の表面には、通信用IC40、イーサネットPHY532及び端子253が搭載されている。通信用IC40及びイーサネットPHY532はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続され、イーサネットPHY532及び端子253はコネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。通信用IC40、イーサネットPHY532及び端子253は、コネクタ基板541の上に、一直線に並ぶように配置されている。即ち、イーサネットPHY532は、通信用IC40及び端子253の間に位置し、通信用IC40及び端子253を結ぶ直線上に配置される。これにより、通信用IC40からイーサネットPHY532を経由して端子253へ至る通信経路をより短くすることができ、通信における遅延の低減等が期待できる。
コネクタ基板541の裏面には、5つのイーサネットPHY32が搭載されている。各イーサネットPHY32は、コネクタ基板541に設けられた配線パターンを介して、コネクタ基板541の裏面に接続された通信線11,13〜16にそれぞれ電気的に接続されている。またコネクタ基板541の裏面に設けられた5つのイーサネットPHY32と、コネクタ基板541の表面に設けられた通信用IC40とは、コネクタ基板541の内部に表裏を貫いて設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。5つのイーサネットPHY32は、一列に並べて設けられている。また5つのうちのいくつかのイーサネットPHY32の搭載位置は、コネクタ基板541の表面における通信用IC40の搭載位置の反対側(裏側)である。イーサネットPHY32と通信用IC40とを表裏に重なり合うように配置することで、イーサネットPHY32と通信用IC40との距離(配線長)を短くすることができると共に、コネクタ基板541の小型化が期待できる。
なお変形例3に係るワイヤハーネス551のコネクタ552は、図32及び図33に示したコネクタ522と同様の構成が採用されているが、これに限るものではない。ワイヤハーネス551のコネクタ552は、図34に示した変形例1に係るコネクタ522、又は、図35に示した変形例2に係るコネクタ522と同様の構成が採用されてもよい。
(変形例4)
図38は、実施の形態5の変形例4に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。変形例4に係る車載通信システムは、図21〜図24に示した実施の形態3に係る車載通信システムと同様に、基板装着部322を備える高機能ECU502に対して、中継機能を有する回路基板352を備えるワイヤハーネス521が着脱可能に装着される構成である。ただし実施の形態5の変形例4に係る車載通信システムでは、高機能ECU502の制御回路37と、ワイヤハーネス551の回路基板352との間で、イーサネットの通信プロトコルに従う通信が行われる。なお図38においては、電源回路及び電力供給経路については図示を省略している。
変形例4に係るワイヤハーネス551の回路基板352は、5つの通信線11,13〜16を介して通信を行うための5つのイーサネットPHY32と、高機能ECU502との通信を行うためのイーサネットPHY532とを備えている。また変形例4に係る回路基板352において、6つのイーサネットPHY32,532は、イーサネット中継部34を有する通信用ICの内部に設けられるのではなく、それぞれ個別のICとして回路基板352に搭載される。
図39は、実施の形態5の変形例4に係るワイヤハーネス551の回路基板352の表面のIC配置例を示す模式図である。なお、回路基板352の裏面の構成については別途の図示を省略するが、図39には裏面に配置されるIC等について破線でその位置が示されている。また図39においては、図38において2つ1組で設けられる端子353を1つの矩形ブロックで示している。変形例4に係る回路基板352の構成は、図32及び図33に示した実施の形態5に係るコネクタ522のコネクタ基板541と同様の構成である。
変形例4に係るワイヤハーネス551の回路基板352は、矩形の板状をなす部材である。回路基板352の表面の一端側の辺(図39において右側の辺)には、この辺の略中央に、端子353が設けられている。回路基板352の他端側の辺(図39において左側の辺)には、裏面に複数の通信線11,13〜16が接続されている。
変形例4に係る回路基板352の表面には、通信用IC40及びイーサネットPHY532が搭載されると共に、端子353が設けられている。通信用IC40及びイーサネットPHY532は回路基板352に設けられた配線パターンを介して電気的に接続され、イーサネットPHY532及び端子353は回路基板352に設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。通信用IC40、イーサネットPHY532及び端子353は、回路基板352の上に、一直線に並ぶように配置されている。即ち、イーサネットPHY532は、通信用IC40及び端子353の間に位置し、通信用IC40及び端子353を結ぶ直線上に配置される。これにより、通信用IC40からイーサネットPHY532を経由して端子353へ至る通信経路をより短くすることができ、通信における遅延の低減等が期待できる。
回路基板352の裏面には、5つのイーサネットPHY32が搭載されている。各イーサネットPHY32は、回路基板352に設けられた配線パターンを介して、回路基板352の裏面に接続された通信線11,13〜16にそれぞれ電気的に接続されている。また回路基板352の裏面に設けられた5つのイーサネットPHY32と、回路基板352の表面に設けられた通信用IC40とは、回路基板352の内部に表裏を貫いて設けられた配線パターンを介して電気的に接続されている。5つのイーサネットPHY32は、一列に並べて設けられている。また5つのうちのいくつかのイーサネットPHY32の搭載位置は、回路基板352の表面における通信用IC40の搭載位置の反対側(裏側)である。イーサネットPHY32と通信用IC40とを表裏に重なり合うように配置することで、イーサネットPHY32と通信用IC40との距離(配線長)を短くすることができると共に、回路基板352の小型化が期待できる。
なお変形例4に係るワイヤハーネス551の回路基板352は、図32及び図33に示したコネクタ522のコネクタ基板541と同様の構成が採用されているが、これに限るものではない。変形例4に係るワイヤハーネス551の回路基板352は、図34に示した変形例1に係るコネクタ522のコネクタ基板541、又は、図35に示した変形例2に係るコネクタ522のコネクタ基板541と同様の構成が採用されてもよい。
<実施の形態6>
図40は、実施の形態6に係る高機能ECU602の構成を示すブロック図である。実施の形態6に係る高機能ECU602は、図3に示した実施の形態1に係る高機能ECU2に対して、通信線11,13〜16に係る異常を検出する機能を追加したものである。なお図40においては、電源回路及び電力供給経路については図示を省略している。
実施の形態6に係る高機能ECU602は、中継機能を備えるコネクタ22が回路基板21に搭載される構成であり、コネクタ22に異常検出を行う異常検出部601が設けられている。なお図40において異常検出部601は、通信用IC40の内部に設けられているが、これに限るものではなく、通信用IC40の外部に別のICとして設けられてもよい。
通信線11,13〜16が接続される5つのハーネス側端子31と、接続された通信線11,13〜16に対する信号の入出力を行う3つのイーサネットPHY32及び2つのCANトランシーバ33との間の通信経路には、それぞれセンサ682が設けられている。センサ682は、通信経路を構成する電線又は配線パターン等を流れる電流を検知するセンサである。電流を検知するセンサ682は、例えばシャント抵抗を用いるCT(Current Transformer)方式のセンサ、ホール素子を用いたセンサ、又は、空芯コイルを用いたロゴスキーコイル方式のセンサ等の様々なセンサが採用され得る。なおセンサ682は、通信経路における電圧値を検知するセンサであってもよい。またセンサ682は、ハーネス側端子31に設けられてもよく、イーサネットPHY32又はCANトランシーバ33の内部に設けられてもよい。
ハーネス側端子31とイーサネットPHY32又はCANトランシーバ33との間にそれぞれ設けられる5つのセンサ682は、検知結果となる電流値に応じた信号を異常検出部681へそれぞれ出力する。異常検出部681は、5つのセンサ682からそれぞれ与えられる信号に基づいて、各通信線11,13〜16における異常を検出する処理を行う。
なお、異常検出部681による異常検出の方法はどのようなものであってもよい。例えば異常検出部681は、センサ682が検知する電流値に基づいて通信経路に係るインピーダンスを算出し、インピーダンス又はその変化が閾値を超えた場合に異常を検出することができる。また例えば異常検出部681は、センサ682が検知する電圧値に基づいて、通信に係る信号の変化に要する時間、即ち信号の立ち上がり又は立ち下がりのなまりを算出し、算出したなまりが閾値を超えた場合に異常を検出することができる。また異常検出部681は、例えば通常の通信が行われている際に異常検出を行ってもよく、また例えば通信が行われていない場合に試験信号の送信をイーサネット中継部34又はCAN中継部35に行わせ、この試験信号の送受信が行われている際に異常検出を行ってもよい。
いずれかの通信線11,13〜16にて異常を検出した場合、異常検出部681は、イーサネット中継部34又はCAN中継部35へ異常検出を通知する。異常検出を通知されたイーサネット中継部34又はCAN中継部35は、制御回路37へ異常検出を通知する。異常検出の通知に応じて制御回路37は、異常が検出された通信線11,13〜16を用いる通信を停止する、又は、異常に関するより詳細な情報の収集及び検証を行う等の処理を実行することができる。
以上の構成の実施の形態6に係る高機能ECU602は、コネクタ22に異常検出部681及びセンサ682が設けられ、異常検出部681がハーネス側端子31に接続される通信線11,13〜16の異常検出を行う。これにより高機能ECU602は、例えば回路基板21に異常検出部681及びセンサ682を設ける構成と比較して、より通信線11,13〜16に近い箇所での異常検出を行うことができるため、通信線11,13〜16に関する異常をより精度よく検出することが期待できる。
実施の形態6に係る車載通信システムのその他の構成は、実施の形態1に係る車載通信システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
(変形例1)
図41は、実施の形態6の変形例1に係るに係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。変形例1に係る車載通信システムは、図15〜図20に示した実施の形態2に係る車載通信システムに対して、通信線11,13〜16に係る異常を検出する機能を追加したものである。なお図41においては、電源回路及び電力供給経路については図示を省略している。
実施の形態6の変形例1に係る車載通信システムは、コネクタ222を備える高機能ECU602に対して、中継機能を有するコネクタ252を備えるワイヤハーネス651が着脱可能に接続される構成である。ワイヤハーネス651のコネクタ252には、通信線11,13〜16に係る異常検出を行う異常検出部681が設けられている。なお図41において異常検出部681は、通信用IC40の内部に設けられているが、これに限るものではなく、通信用IC40の外部に別のICとして設けられてもよい。
変形例1に係るワイヤハーネス651のコネクタ252は、例えばハウジング内に通信用IC40が搭載されたコネクタ基板が収容され、このコネクタ基板に通信線11,13〜16が接続され、コネクタ基板に設けられた配線パターンを介して通信用IC40と通信線11,13〜16とが電気的に接続された構成である。通信線11,13〜16のコネクタ基板における接続箇所からイーサネットPHY32若しくはCANトランシーバ33までの通信経路、又は、コネクタ基板に接続された通信線11,13〜16には、それぞれセンサ682が設けられている。センサ682は、通信経路を構成する電線又は配線パターン等の電流値又は電圧値等を検知するセンサである。
各センサ682は、検知結果を異常検出部681へそれぞれ出力する。異常検出部681は、5つのセンサ682からそれぞれ与えられる検知結果に基づいて、各通信線11,13〜16における異常を検出する処理を行う。いずれかの通信線11,13〜16にて異常を検出した場合、異常検出部681は、イーサネット中継部34又はCAN中継部35へ異常検出を通知する。異常検出を通知されたイーサネット中継部34又はCAN中継部35は、高機能ECU602の制御回路37へ異常検出を通知する。異常検出の通知に応じて制御回路37は、異常が検出された通信線11,13〜16を用いる通信を停止する、又は、異常に関するより詳細な情報の収集及び検証を行う等の処理を実行することができる。
(変形例2)
図42は、実施の形態6の変形例2に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。変形例2に係る車載通信システムは、図21〜図24に示した実施の形態3に係る車載通信システムに対して、通信線11,13〜16に係る異常を検出する機能を追加したものである。なお図42においては、電源回路及び電力供給経路については図示を省略している。
実施の形態6の変形例2に係る車載通信システムは、基板装着部322を備える高機能ECU602に対して、中継機能を有する回路基板352を備えるワイヤハーネス651が着脱可能に装着される構成である。ワイヤハーネス651の回路基板352には、通信線11,13〜16に係る異常検出を行う異常検出部681が設けられている。なお図42において異常検出部681は、通信用IC40の内部に設けられているが、これに限るものではなく、通信用IC40の外部に別のICとして設けられてもよい。
変形例2に係るワイヤハーネス651の回路基板352は、例えば長方形の板状であり、一端側から複数の通信線11,13〜16が延び出ており、他端側には端子353が設けられている。回路基板352に通信線11,13〜16が接続され、回路基板352に設けられた配線パターンを介して通信用IC40と通信線11,13〜16とが電気的に接続される。通信線11,13〜16の回路基板352における接続箇所からイーサネットPHY32若しくはCANトランシーバ33までの通信経路、又は、回路基板352に接続された通信線11,13〜16には、それぞれセンサ682が設けられている。センサ682は、通信経路を構成する電線又は配線パターン等の電流値又は電圧値等を検知するセンサである。
各センサ682は、検知結果を異常検出部681へそれぞれ出力する。異常検出部681は、5つのセンサ682からそれぞれ与えられる検知結果に基づいて、各通信線11,13〜16における異常を検出する処理を行う。いずれかの通信線11,13〜16にて異常を検出した場合、異常検出部681は、イーサネット中継部34又はCAN中継部35へ異常検出を通知する。異常検出を通知されたイーサネット中継部34又はCAN中継部35は、高機能ECU602の制御回路37へ異常検出を通知する。異常検出の通知に応じて制御回路37は、異常が検出された通信線11,13〜16を用いる通信を停止する、又は、異常に関するより詳細な情報の収集及び検証を行う等の処理を実行することができる。
(変形例3)
図43は、実施の形態6の変形例3に係る車載通信システムの構成を示すブロック図である。変形例3に係る車載通信システムは、図25〜図30に示した実施の形態4に係る車載通信システムに対して、通信線11,13,14に係る異常を検出する機能を追加したものである。なお図43においては、電源回路及び電力供給経路については図示を省略している。
実施の形態6の変形例3に係る車載通信システムは、高機能ECU602が備えるカードスロット460に、通信機能が集約された通信カード670を装着することによって、高機能ECU602が通信線11,13,14を介した通信を行うことが可能となる。通信カード670の内部に備えられる回路基板には、通信線11,13,14に係る異常検出を行う異常検出部681が設けられている。なお図43において異常検出部681は、通信用IC440の内部に設けられているが、これに限るものではなく、通信用IC440の外部に別のICとして設けられてもよい。
変形例3に係る通信カード670には、カードスロット460との電気的接続を行うための複数の端子471が設けられている。これら複数の端子471のうちのいくつかは、通信カード670がカードスロット460に装着されることによって、高機能ECU602のコネクタ422に接続された通信線11,13,14と電気的に接続される。変形例3に係る通信カード670には、この通信線11,13,14と電気的に接続される端子471からイーサネットPHY32までの通信経路に、それぞれセンサ682が設けられている。センサ682は、通信経路を構成する配線パターン等の電流値又は電圧値等を検知するセンサである。
各センサ682は、検知結果を異常検出部681へそれぞれ出力する。異常検出部681は、5つのセンサ682からそれぞれ与えられる検知結果に基づいて、各通信線11,13,14における異常を検出する処理を行う。いずれかの通信線11,13,14にて異常を検出した場合、異常検出部681は、イーサネット中継部34へ異常検出を通知する。異常検出を通知されたイーサネット中継部34は、高機能ECU602の制御回路37へ異常検出を通知する。異常検出の通知に応じて制御回路37は、異常が検出された通信線11,13,14を用いる通信を停止する、又は、異常に関するより詳細な情報の収集及び検証を行う等の処理を実行することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(7)前記回路基板は、前記車載装置に電気的に接続される端子と、前記中継部を含む中継ICと、前記端子及び前記中継部の間に介在し、前記端子に対する通信用の信号の入出力を行う第1入出力ICと、前記通信線及び前記中継部の間に介在し、前記通信線に対する通信用の信号の入出力を行う第2入出力ICとを有し、前記端子は前記回路基板の一端側に設けられ、前記通信線は前記回路基板の他端側に接続され、前記端子、前記第1入出力IC及び前記中継ICの3つが直線状に並べて配置されていることが好ましい。