以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。尚、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。本明細書において、下方とは鉛直方向下方を意味し、上方とは鉛直方向上方を意味する。
図1は、一実施形態に係る基板処理装置を示す図である。基板処理装置1は、例えば、基板2を保持する基板保持部10と、基板保持部10を回転させる回転駆動部20と、基板保持部10に保持されている基板2の上面2aに流体を供給する流体供給部30と、基板処理装置1の動作を制御する制御部40とを備える。
基板保持部10は、基板2を水平に保持する。基板2は、例えばシリコンウェハなどの半導体基板である。基板2の上面2aには、図4等に示すように凹凸パターン4が予め形成される。凹凸パターン4は、例えばフォトリソグラフィ法およびエッチング法などによって形成される。凹凸パターン4は、例えば、基板2に形成された膜(例えばシリコン窒化膜)をエッチングすることにより形成される。
基板保持部10は、例えば、円盤状のプレート部11と、プレート部11の外周部に配置される爪部12とを有する。爪部12は、周方向に間隔をおいて複数配置され、基板2の外周縁を保持することにより、基板2をプレート部11から浮かせて保持する。基板保持部10は、図1ではメカニカルチャックであるが、真空チャックまたは静電チャックなどであってもよい。基板保持部10は鉛直に配置される回転軸部14を有し、回転軸部14は軸受15によって回転自在に支持される。
回転駆動部20は、基板保持部10を回転させることにより、基板保持部10に保持されている基板2を回転させる。回転駆動部20は、回転モータ21と、回転モータ21の回転運動を回転軸部14に伝達する伝達機構22とを有する。伝達機構22は、例えばプーリ23とタイミングベルト24とで構成される。なお、伝達機構22は、ギヤなどで構成されてもよい。
流体供給部30は、基板保持部10に保持されている基板2に対し、上方から流体を供給する。流体供給部30は、例えば、液体を吐出するノズル31と、ノズル31から基板2に供給された液体を回収するカップ33と、ノズル31を移動させるノズル移動機構37とを有する。なお、流体供給部30は、液体を吐出するノズル31に加えて、気体を吐出するノズルをさらに有してもよい。
流体供給部30は、ノズル31を1つ以上有する。例えば、流体供給部30は、ノズル31として、図4(a)に示す薬液吐出ノズル31Aと、図4(b)に示すリンス液吐出ノズル31Bと、図4(c)に示す乾燥液吐出ノズル31Cとを有する。
薬液吐出ノズル31Aは、基板保持部10と共に回転する基板2の中心部に、薬液L1を供給する。薬液L1は、遠心力によって基板2の中心部から基板2の外周部に濡れ広がり、液膜LF1を形成する。薬液L1としては、特に限定されないが、例えばDHF(希フッ酸)が用いられる。なお、薬液L1は、半導体基板の洗浄に用いられる一般的なものであればよく、DHFには限定されない。例えば、薬液L1は、SC−1(水酸化アンモニウムと過酸化水素とを含む水溶液)またはSC−2(塩化水素と過酸化水素とを含む水溶液)であってもよい。複数種類の薬液L1が用いられてもよい。
リンス液吐出ノズル31Bは、基板保持部10と共に回転する基板2の中心部に、リンス液L2を供給する。リンス液L2は、薬液L1を置換しながら、遠心力によって基板2の中心部から基板2の外周部に濡れ広がり、液膜LF2を形成する。リンス液L2としては、特に限定されないが、例えばDIW(脱イオン水)などの水が用いられる。
乾燥液吐出ノズル31Cは、基板保持部10と共に回転する基板2の中心部に、乾燥液L3を供給する。乾燥液L3は、リンス液L2を置換しながら、遠心力によって基板2の中心部から基板2の外周部に濡れ広がり、液膜LF3を形成する。乾燥液L3としては、特に限定されないが、例えばIPA(イソプロピルアルコール)などの有機溶媒が用いられる。なお、乾燥液L3は、IPAには限定されない。例えば、乾燥液L3は、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、メタノール、エタノール、アセトン、またはトランス−1,2−ジクロロエチレンであってもよい。
カップ33は、図1に示すように、基板保持部10を取り囲むように配置され、基板保持部10と共に回転している基板2から飛散する液体を捕集する。カップ33の底部には、排液管34と排気管35とが設けられる。排液管34はカップ33内の液体を排出し、排気管35はカップ33内のガスを排出する。
図2は、一実施形態に係るノズル移動機構を示す図である。図2において、黒丸は、基板2の上面2aにおけるノズル31からの液体の供給位置を示す。ノズル移動機構37は、ノズル31を水平に移動させることにより、基板2の上面2aにおけるノズル31からの液体の供給位置を移動させる。ノズル移動機構37は、例えば、ノズル31を保持する旋回アーム38と、旋回アーム38を旋回させる旋回機構39とを有する。旋回機構39は、旋回アーム38を昇降させる機構を兼ねてもよい。
旋回アーム38は、水平に配置され、その先端部に、ノズル31を保持する。旋回機構39は、旋回アーム38の基端部から下方に延びる旋回軸を中心に、旋回アーム38を旋回させる。旋回アーム38は、図2に実線で示す位置と、図2に二点鎖線で示す位置との間で旋回される。この旋回によって、基板2の上面2aにおけるノズル31からの液体の供給位置は、基板2の中心部の真上の位置と、基板2の外周部の真上の位置との間で水平方向に移動される。
なお、ノズル移動機構37は、旋回アーム38と旋回機構39との代わりに、ガイドレールと直動機構とを有してもよい。ガイドレールは水平に配置され、直動機構がガイドレールに沿ってノズル31を移動させる。ノズル移動機構37は、複数のノズル31をまとめて移動させてもよいし、複数のノズル31を独立に移動させてもよい。
制御部40は、例えばコンピュータで構成され、CPU(Central Processing Unit)41と、メモリなどの記憶媒体42とを備える。記憶媒体42には、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部40は、記憶媒体42に記憶されたプログラムをCPU41に実行させることにより、基板処理装置1の動作を制御する。また、制御部40は、入力インターフェース43と、出力インターフェース44とを備える。制御部40は、入力インターフェース43で外部からの信号を受信し、出力インターフェース44で外部に信号を送信する。
かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されていたものであって、その記憶媒体から制御部40の記憶媒体42にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、例えば、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどが挙げられる。なお、プログラムは、インターネットを介してサーバからダウンロードされ、制御部40の記憶媒体42にインストールされてもよい。
図3は、一実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図3に示す工程は、制御部40による制御下で実施され、基板2を替えて繰り返し行われる。図4は、一実施形態に係る基板の上面を露出する工程の前に行われる処理を示す図である。図4(a)は、一実施形態に係る薬液の液膜を示す図である。図4(b)は、一実施形態に係るリンス液の液膜を示す図である。図4(c)は、一実施形態に係る乾燥液の液膜を示す図である。
基板処理方法は、処理前の基板2を基板処理装置1の内部に搬入する工程S101を有する。基板処理装置1は、不図示の搬送装置によって搬入された基板2を、基板保持部10によって保持する。基板保持部10は基板2を水平に保持し、基板2の上面2aには予め凹凸パターン4が形成される。
基板処理方法は、基板2の上面2aに薬液L1を供給することにより、基板2の上面2aを覆う薬液L1の液膜LF1を形成する工程S102を有する。この工程S102では、基板2の中心部の真上に、薬液吐出ノズル31Aが配置される(図4(a)参照)。薬液吐出ノズル31Aは、基板保持部10と共に回転している基板2の中心部に、上方から薬液L1を供給する。供給された薬液L1は、遠心力によって基板2の上面2a全体に濡れ広がり、液膜LF1を形成する。凹凸パターン4の全体を洗浄すべく、液膜LF1の液面の高さが凹凸パターン4の上端の高さよりも高くなるように、基板保持部10の回転数および薬液L1の供給流量が設定される。
基板処理方法は、予め形成された薬液L1の液膜LF1をリンス液L2の液膜LF2に置換する工程S103を有する。この工程S103では、基板2の中心部の真上に、薬液吐出ノズル31Aに代えてリンス液吐出ノズル31Bが配置される(図4(b)参照)。薬液吐出ノズル31Aからの薬液L1の吐出が停止されると共に、リンス液吐出ノズル31Bからのリンス液L2の吐出が開始される。リンス液L2は、基板保持部10と共に回転している基板2の中心部に供給され、遠心力によって基板2の上面2a全体に濡れ広がり、液膜LF2を形成する。これにより、凹凸パターン4に残存する薬液L1がリンス液L2に置換される。薬液L1からリンス液L2への置換中に液面の高さが凹凸パターン4の上端の高さよりも高く維持されるように、基板保持部10の回転数およびリンス液L2の供給流量が設定される。凹凸パターン4が露出しないので、液面の表面張力によるパターン倒壊を抑制できる。
基板処理方法は、予め形成されたリンス液L2の液膜LF2を乾燥液L3の液膜LF3に置換する工程S104を有する。この工程S104では、基板2の中心部の真上に、リンス液吐出ノズル31Bに代えて乾燥液吐出ノズル31Cが配置される(図4(c)参照)。リンス液吐出ノズル31Bからのリンス液L2の吐出が停止されると共に、乾燥液吐出ノズル31Cからの乾燥液L3の吐出が開始される。乾燥液L3は、基板保持部10と共に回転している基板2の中心部に供給され、遠心力によって基板2の上面2a全体に濡れ広がり、液膜LF3を形成する。これにより、凹凸パターン4に残存するリンス液L2が乾燥液L3に置換される。リンス液L2から乾燥液L3への置換中に液面の高さが凹凸パターン4の上端の高さよりも高く維持されるように、基板保持部10の回転数および乾燥液L3の供給流量が設定される。凹凸パターン4が露出しないので、液面の表面張力によるパターン倒壊を抑制できる。
基板処理方法は、基板2の上面2aを、乾燥液L3の液膜LF3から露出する工程S105を有する。乾燥液L3は、例えばIPAを含む。乾燥液L3は、本実施形態ではIPAのみを含むが、IPAに加えて、IPAとは異なる表面張力を有する成分を含んでもよい。その成分としては、IPAと混じり合う成分であれば特に限定されないが、例えばDIWである。DIWは、IPAよりも高い表面張力を有する。
液膜LF3は乾燥液L3を含む。乾燥液L3はリンス液L2よりも小さい表面張力を有する。リンス液L2の液膜LF2を乾燥液L3の液膜LF3に置換した上で、乾燥液L3の液膜LF3から基板2の上面2aの全体を露出する。従って、リンス液L2の液膜LF2を乾燥液L3の液膜LF3に置換することなく、リンス液L2の液膜LF2から基板2の上面2aの全体を露出する場合に比べて、表面張力によるパターン倒れを抑制できる。
基板処理方法は、処理後の基板2を基板処理装置1の外部に搬出する工程S106を有する。先ず、基板保持部10が基板2の保持を解除する。次に、不図示の搬送装置が基板保持部10から基板2を受け取り、受け取った基板2を基板処理装置1の外部に搬出する。その後、今回の処理が終了する。
以下、露出する工程S105の実施例について説明するが、その前に、当該露出する工程の従来形態について図5を参照して説明する。
図5は、従来形態に係る露出する工程を示す図である。図5(a)は、従来形態の露出する工程の開始時の、液膜LF3の状態を示す図である。図5(b)は、従来形態の露出する工程の途中の、液膜LF3の状態を示す図である。
従来形態の露出する工程では、図5に示すように、基板保持部10と共に基板2を回転させながら、乾燥液L3の供給位置を基板2の中心部から基板2の外周部に向けて移動させる。この工程では、基板2を回転させることにより、遠心力を発生させる。遠心力は、基板2の径方向外方に液膜LF3を押す。先ず、図5(a)に示すように、液膜LF3が遠心力に押されるので、液膜LF3が円盤状からドーナツ状になり、基板2の上面2aの中心部が露出する。基板2の上面2aの露出した部分を、基板2の露出部とも呼ぶ。基板2の露出部は、基板2と同心円状に形成される。次いで、図5(b)に示すように、基板2の露出部が、基板2の中心部から基板2の外周部に向けて広がる。その後、基板2の上面2aの全体が、液膜LF3から露出する。
また、従来形態の露出する工程では、基板保持部10と共に基板2を回転させながら、不図示の窒素ガスの供給位置を、基板2の中心部から基板2の外周部に向けて移動させる。窒素ガスの供給位置は、乾燥液L3の供給位置に追従するように移動される。窒素ガスの供給位置は、乾燥液L3の供給位置よりも、基板2の径方向内方に設定される。窒素ガスは、基板2の上面2aに当たると基板2の上面2aに沿って水平に流れ、ドーナツ状の液膜LF3の内周面を径方向外方に押す。
以上説明したように、従来形態の露出する工程では、基板2の露出部を拡大するのに、遠心力、および窒素ガスが液膜LF3を押す力を利用する。利用する力は、横方向の外力Fである。外力Fは、液膜LF3の外部から液膜LF3に作用する。
外力Fは、図5に示すように、基板2の露出部の外周付近に、液面高さの低い薄膜LF4を発生させてしまう。薄膜LF4は、境界層(Boundary Layer)とも呼ばれる。薄膜LF4は、薄膜LF4よりも液面高さの高い厚膜LF5と、基板2の露出部との間に発生する。
薄膜LF4が発生するので、厚膜LF5が外力Fによって横方向に流動する時に、凹凸パターン4の凹部5に乾燥液L3が取り残されやすい。凹部5に取り残された乾燥液L3は、外力Fによって凹部5から排出されないので、蒸発によって凹部5から排出される。
隣り合う複数の凹部5の間で、乾燥液L3の蒸発速度の差が生じることがある。その結果、図5(b)に示すように乾燥液L3の液面の高低差が生じる。乾燥液L3の液面の高低差は、表面張力によるパターン倒壊を発生させてしまう。
そこで、本開示の技術は、横方向の外力Fを利用する代わりに、乾燥液L3の表面張力の差によって発生するマランゴニ(Marangoni)力を利用する。マランゴニ力は、外力Fではなく、乾燥液L3自身の力であるので、境界層と呼ばれる薄膜LF4(図5参照)を発生させない。
図6は、一実施形態に係る露出する工程を示すフローチャートである。本実施形態の露出する工程S105は、液膜LF3の水平方向に隣り合う第1領域と第2領域の間で表面張力差を発生する工程S111と、表面張力差によって第1領域から第2領域に乾燥液L3を排出する工程S112とを有する。排出する工程S112は、第1領域および第2領域の位置を予め定めた方向に変位させながら、繰り返し行われる。
図7は、一実施形態に係る第1領域から第2領域への液体の排出を示す図である。図7において、実線は排出前の液膜LF3の状態を示し、破線は排出後の液膜LF3の状態を示す。
詳しくは後述するが、液膜LF3の水平方向に隣り合う第1領域A1と第2領域A2との間で、乾燥液L3の表面張力の差が発生する。第2領域A2の乾燥液L3の表面張力は、第1領域A1の乾燥液L3の表面張力よりも大きいので、第1領域A1の乾燥液L3を引き寄せようとする。その結果、第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
第2領域A2の乾燥液L3が第1領域A1の乾燥液L3を引き寄せようとする力は、マランゴニ力と呼ばれるものである。マランゴニ力は、乾燥液L3の表面張力の差によって発生する。マランゴニ力は、外力Fではなく、乾燥液L3自身の力であるので、境界層と呼ばれる薄膜LF4(図5参照)を発生させない。
従って、第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される過程で、第1領域A1の凹部5に乾燥液L3が取り残されるのを抑制できる。その結果、隣り合う複数の凹部5の間で、取り残された乾燥液L3の液面の高低差が生じるのを抑制できる。よって、表面張力によるパターン倒壊を抑制できる。また、乾燥液L3が取り残されるのを抑制できるので、乾燥液L3に含まれる不純物が取り残されるのをも抑制できる。
本実施形態の露出する工程S105は、薄膜LF4の発生を抑制すべく、基板2の回転および移動を停止した状態で行われる。なお、薄膜LF4の発生を抑制できる限り、基板2は低速で回転されてもよいし、低速で移動してもよい。また、薄膜LF4の発生を抑制できる限り、窒素ガスなどの気体が基板2の上面2aに吹き付けられてもよい。
図8は、露出する工程の第1実施例を示す図である。図8において、実線は露出する工程S105の開始時の時刻t0の液膜LF3の状態を示し、二点鎖線は時刻t0よりも遅い時刻t1の液膜LF3の状態を示す。図8(a)は、第1実施例の乾燥部を示す側面断面図である。図8(b)は、第1実施例の乾燥部を示す斜視図である。図8(c)は、第1実施例の液膜における温度分布と表面張力分布とを示すグラフである。
第1実施例の基板処理装置1は、基板2の上面2aを液膜LF3から露出する乾燥部50を備える。乾燥部50は、図7に示す第1領域A1と第2領域A2との間で表面張力差を発生する表面張力差発生部51を有する。制御部40は、表面張力差によって第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3を排出することを制御する。
表面張力差発生部51は、第1領域A1と第2領域A2との間で温度差を発生する温度差発生部52を有する。一般的に、液体の液組成が同じ場合、液体の温度が高いほど、液体の表面張力が小さい。そこで、第1領域A1の液組成と第2領域A2の液組成とが同じ場合、第2領域A2の温度に比べて第1領域A1の温度が高温になるように、制御部40が温度差発生部52を制御する。
制御部40は、第1領域A1の温度を第2領域A2の温度より高温にすべく、第1領域A1と第2領域A2とで、単位時間に単位面積に与える加熱量(W/mm2)の差を発生させる。なお、制御部40は、本実施形態では第1領域A1と第2領域A2の両方を加熱するが、第1領域A1のみを加熱してもよいし、第2領域A2のみを冷却してもよい。
温度差発生部52は、基板2の下面2bに接触する加熱板53を有する。加熱板53は、電気を熱に変換する発熱体54を複数有する。複数の発熱体54は、それぞれ、直線状に形成され、乾燥液L3を排出する方向(図8(a)に矢印で示す方向)に並ぶ。乾燥液L3を排出する方向は、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。乾燥液L3を排出する方向に向かうほど、加熱板53の温度が低温に設定される。本実施例では、乾燥液L3を排出する方向が右方向であり、乾燥液L3の排出方向とは反対方向が左方向である。
先ず、時刻t0では、左側から1番目の発熱体54の直上の領域は、左側から2番目の発熱体54の直上の領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。左側から1番目の発熱体54の直上の領域が図7に示す第1領域A1であり、左側から2番目の発熱体54の直上の領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。その結果、基板2の外周部の一端が液膜LF3から露出する。
次に、時刻t1では、左側から2番目の発熱体54の直上の領域は、左側から3番目の発熱体54の直上の領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。左側から2番目の発熱体54の直上の領域が図7に示す第1領域A1であり、左側から3番目の発熱体54の直上の領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。乾燥液L3の排出方向は、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止する。つまり、制御部40は、露出する工程S105において、基板2を回転しない。基板2が回転すると、基板2と共に液膜LF3が回転してしまい、遠心力の作用方向と乾燥液L3の排出方向とが一致しないので、乾燥液L3の排出が乱れてしまうからである。
図9は、露出する工程の第2実施例を示す図である。図9において、実線は露出する工程S105の開始時の時刻t0の液膜LF3の状態を示し、二点鎖線は時刻t0よりも遅い時刻t1の液膜LF3の状態を示す。図9(a)は、第2実施例の乾燥部を示す側面断面図である。図9(b)は、第2実施例の乾燥部を示す斜視図である。図9(c)は、第2実施例の液膜における温度分布と表面張力分布とを示すグラフである。
第2実施例の温度差発生部52は、基板2の下面2bに接触する加熱板53を有する。加熱板53は、電気を熱に変換する発熱体54を複数有する。複数の発熱体54は、それぞれ、同心円状に形成され、乾燥液L3を排出する方向(図9(a)に矢印で示す方向)に並ぶ。乾燥液L3を排出する方向は、基板2の中心部から基板2の外周部に至る方向である。乾燥液L3を排出する方向に向かうほど、加熱板53の温度が低温に設定される。
先ず、時刻t0では、中心から1番目の発熱体54の直上の領域は、中心から2番目の発熱体54の直上の領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。中心から1番目の発熱体54の直上の領域が図7に示す第1領域A1であり、中心から2番目の発熱体54の直上の領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。その結果、基板2の中心部が液膜LF3から露出する。
次に、時刻t1では、中心から2番目の発熱体54の直上の領域は、中心から3番目の発熱体54の直上の領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。中心から2番目の発熱体54の直上の領域が図7に示す第1領域A1であり、中心から3番目の発熱体54の直上の領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。乾燥液L3の排出方向は、基板2の中心部から、基板2の外周部に至る方向である。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止する。つまり、制御部40は、露出する工程S105において、基板2を回転しない。但し、制御部40は、薄膜LF4の発生を制限できる回転数で、基板2を回転してもよい。
なお、加熱板53の温度勾配は、図9の温度勾配とは逆でもよい。この場合、乾燥液L3を排出する方向は、基板2の外周部から基板2の中心部に至る方向である。この場合、基板2の中心部の真上に、図13に示す吸引ノズル60が配置される。吸引ノズル60は、基板2の中心部に集まる乾燥液L3を吸引する。吸引ノズル60を配置することによって、基板2の中心部とその周辺部とで、液面の高低差の発生を抑制できる。従って、液面の高低差による逆流を防止できる。基板2の中心部において、乾燥液L3の流入速度が乾燥液L3の蒸発速度よりも速い場合に有効である。
図10は、露出する工程の第3実施例を示す図である。図10において、実線は露出する工程S105の開始時の時刻t0の液膜LF3の状態を示し、二点鎖線は時刻t0よりも遅い時刻t1の液膜LF3の状態を示す。図10(a)は、第3実施例の乾燥部を示す側面断面図である。図10(b)は、第3実施例の乾燥部を示す斜視図である。図10(c)は、第3実施例の液膜における温度分布と表面張力分布とを示すグラフである。
第3実施例の温度差発生部52は、液膜LF3を上方から加熱する加熱器55を有する。加熱器55は、電気を熱に変換する発熱体を有する。加熱器55はレーザー発振器を有してもよく、その加熱方式は特に限定されない。
加熱器55は、液膜LF3の上方において、液膜LF3に対し平行に移動する。加熱器55の移動方向は、乾燥液L3を排出する方向(図10(a)に矢印で示す方向)である。乾燥液L3を排出する方向は、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。
加熱器55は、棒状に形成され、上方視で液膜LF3を横切るように、液膜LF3に対し平行に配置される。加熱器55の長手方向は、乾燥液L3を排出する方向と直交する方向である。加熱器55の長さは、基板2の直径よりも大きい。
ところで、上方視で、基板2は円形状であるのに対し、加熱器55は棒状である。それゆえ、加熱器55が水平方向に移動するにつれ、上方視で基板2の加熱器55と重なる部分の長さが変化する。
そこで、制御部40は、加熱器55の位置に応じて、加熱器55のエネルギーを放出する範囲の長さを変更してもよい。例えば、制御部40は、加熱器55のエネルギーを放出する範囲の長さを、上方視で基板2の加熱器55と重なる部分の長さと一致させる。
加熱器55は、例えば、加熱器55の長手方向に間隔をおいて並ぶ複数の発熱体を有する。温度差発生部52は、加熱器55の複数の発熱体に対し、独立に電力を供給する電力供給部を有する。制御部40は、電力供給部によって電力を供給する発熱体を変更することにより、加熱器55のエネルギーを放出する範囲の長さを変更する。
なお、加熱器55は、加熱器55の長手方向に平行なラインレーザーを下方に照射する光学系と、ラインレーザーの一部を遮るビームシャッターと、ビームシャッターを移動させる移動機構とを有してもよい。制御部40は、ビームシャッターを移動させることにより、加熱器55のエネルギーを放出する範囲の長さを変更する。
制御部40は、上述の如く、加熱器55の位置に応じて、加熱器55のエネルギーを放出する範囲の長さを変更する。よって、基板2の周辺部材が加熱されるのを防止でき、周辺部材を介して液膜LF3が加熱されるのを抑制できる。従って、液膜LF3の温度制御の精度を向上できる。
第3実施例の温度差発生部52は、基板2の下面2bに接触する冷却板56をさらに有する。冷却板56は、例えば、水などの冷媒が通る流路57を、内部に有する。冷却板56は、加熱器55から液膜LF3を介して基板2に与えられる熱を吸収し、基板2の温度上昇を抑制する。
先ず、時刻t0では、加熱器55は、基板2の外周部の一端の真上に配置される。加熱器55の直下の領域は、その前方の隣接する領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。加熱器55の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、その前方の隣接する領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。その結果、基板2の外周部の一端が液膜LF3から露出する。
次に、時刻t1では、加熱器55は、時刻t0の位置から、乾燥液L3を排出する方向に変位した位置に配置される。加熱器55の直下の領域は、その前方の隣接する領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。加熱器55の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、その前方の隣接する領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。乾燥液L3の排出方向は、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。この間、制御部40は、加熱器55を、乾燥液L3の排出方向に移動する。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止する。つまり、制御部40は、露出する工程S105において、基板2を回転しない。基板2が回転すると、基板2と共に液膜LF3が回転してしまうので、上方視で液膜LF3が棒状の加熱器55の移動方向後方に回り込んでしまうからである。
図11は、露出する工程の第4実施例を示す図である。図11において、実線は露出する工程S105の開始時の時刻t0の液膜LF3の状態を示し、二点鎖線は時刻t0よりも遅い時刻t1の液膜LF3の状態を示す。図11(a)は、第4実施例の乾燥部を示す側面断面図である。図11(b)は、第4実施例の乾燥部を示す斜視図である。図11(c)は、第4実施例の液膜における温度分布と表面張力分布とを示すグラフである。
第4実施例の温度差発生部52は、液膜LF3を上方から加熱する加熱器55の他に、液膜LF3を上方から冷却する冷却器58を有する。冷却器58は、例えば、水などの冷媒が通る流路を、内部に有する。
冷却器58は、加熱器55の移動方向前方に配置され、加熱器55と同じ速さで、加熱器55と同じ方向に移動する。液膜LF3のうち、加熱器55の移動方向前方の部分の温度上昇を抑制できる。
なお、冷却器58は、加熱器55の移動方向前方と、加熱器55の移動方向後方との両方に配置されてもよい。後方の冷却器58も、前方の冷却器58と同様に、加熱器55と同じ速さで、加熱器55と同じ方向に移動する。加熱器55の移動方向後方に広がる、基板2の露出部の温度上昇を抑制できる。
冷却器58は、加熱器55と同様に、棒状に形成され、上方視で液膜LF3を横切るように、液膜LF3に対し平行に配置される。冷却器58の長手方向は、加熱器55の長手方向に対し平行である。加熱器55の長さは、基板2の直径よりも大きい。
ところで、上方視で、基板2は円形状であるのに対し、冷却器58は棒状である。それゆえ、冷却器58が水平方向に移動するにつれ、上方視で基板2の冷却器58と重なる部分の長さが変化する。
そこで、制御部40は、冷却器58の位置に応じて、冷却器58の熱を吸収する範囲の長さを変更してもよい。例えば、制御部40は、冷却器58の熱を吸収する範囲の長さを、上方視で基板2の冷却器58と重なる部分の長さと一致させる。
冷却器58は、例えば、冷却器58の長手方向に間隔をおいて並ぶ複数の流路を有する。温度差発生部52は、冷却器58の複数の流路に対し、独立に冷媒を供給する冷媒供給部を有する。制御部40は、冷媒供給部によって冷媒を供給する流路を変更することにより、冷却器58の熱を吸収する範囲の長さを変更する。
制御部40は、上述の如く、冷却器58の位置に応じて、冷却器58の熱を吸収する範囲の長さを変更する。よって、基板2の周辺部材が冷却されるのを防止でき、周辺部材が液膜LF3の熱を奪うのを抑制できる。従って、液膜LF3の温度制御の精度を向上できる。
次に、温度差発生部52の具体的な動作について説明する。先ず、時刻t0では、加熱器55は、基板2の外周部の一端の真上に配置される。一方、冷却器58は、加熱器55の移動方向前方に配置される。加熱器55の直下の領域は、冷却器58の直下の領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。加熱器55の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、冷却器58の直下の領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。その結果、基板2の外周部の一端が液膜LF3から露出する。
次に、時刻t1では、加熱器55および冷却器58は、時刻t0の位置から、乾燥液L3を排出する方向に変位した位置に配置される。冷却器58は、加熱器55の移動方向前方に配置される。加熱器55の直下の領域は、冷却器58の直下の領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。加熱器55の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、冷却器58の直下の領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。乾燥液L3の排出方向は、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。この間、制御部40は、加熱器55および冷却器58を、乾燥液L3の排出方向に移動する。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止する。つまり、制御部40は、露出する工程S105において、基板2を回転しない。基板2が回転すると、基板2と共に液膜LF3が回転してしまうので、上方視で液膜LF3が棒状の加熱器55の移動方向後方に回り込んでしまうからである。
図12は、露出する工程の第5実施例を示す図である。図12において、実線は露出する工程S105の開始時の時刻t0の液膜LF3の状態を示し、二点鎖線は時刻t0よりも遅い時刻t1の液膜LF3の状態を示す。図12(a)は、第5実施例の乾燥部を示す側面断面図である。図12(b)は、第5実施例の乾燥部を示す斜視図である。図12(c)は、第5実施例の液膜における温度分布と表面張力分布とを示すグラフである。
第5実施例の温度差発生部52は、液膜LF3を上方から加熱する加熱器55を有する。加熱器55は、電気を熱に変換する発熱体を有する。加熱器55はレーザー発振器を有してもよく、その加熱方式は特に限定されない。加熱器55は、液膜LF3の上方において、液膜LF3に対し平行に移動しない。加熱器55は、点状に形成され、基板2の中心部の真上に配置される。
先ず、時刻t0では、加熱器55の直下の領域は、その周辺のリング状の領域に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。加熱器55の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、その周辺のリング状の隣接する領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。その結果、基板2の中心部が液膜LF3から露出する。液膜LF3の形状は、円盤状からドーナツ状に変化する。
次に、時刻t1では、加熱器55は、基板2の中心部の真上に止まり続け、基板2の中心部を局所的に加熱し続ける。加熱器55の熱は、基板2の中心部から基板2の外周部に向けて移動する途中で、液膜LF3の内周部に吸収される。液膜LF3の内周部は、その外側の周辺部に比べて、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。液膜LF3の内周部が図7に示す第1領域A1であり、その外側の周辺部が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。乾燥液L3の排出方向は、基板2の中心部から基板2の外周部に至る方向である。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。この間、加熱器55は、基板2の中心部の真上に止まり、乾燥液L3の排出方向に移動しない。
制御部40は、露出する工程S105において、加熱器55の単位時間当たりの加熱量を制御する。加熱器55の単位時間当たりの加熱量は、一定に設定されてもよいが、本実施例では時間の経過と共に大きくなるように設定される。時間の経過と共に、液膜LF3の内周部の全長が長くなり、熱が分散しやすいからである。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止するが、薄膜LF4の発生を抑制できる回転数で、基板2を回転してもよい。また、制御部40は、基板2を回転すると共に、基板2の径方向外方に加熱器55を移動してもよい。加熱器55は、点状に形成され、基板2の中心部の上方から、基板2の外周部の上方まで移動する。加熱器55の直下の領域が、図7に示す第1領域A1である。加熱器55から液膜LF3の内周部までの熱の移動経路を短縮でき、熱の散逸を抑制できる。
なお、本実施例の乾燥液L3の排出方向は、基板2の中心部から基板2の外周部に至る方向であるが、基板2の外周部から基板2の中心部に至る方向であってもよい。後者の場合、制御部40は、例えば、基板2を回転すると共に、基板2の径方向内方に加熱器55を移動する。加熱器55は、点状に形成され、基板2の外周部の上方から、基板2の中心部の上方まで移動する。加熱器55の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、その内側の隣接する領域が図7に示す第2領域A2である。
なお、温度差発生部52は、点状の加熱器55に加えて、点状の冷却器を有してもよい。冷却器は、加熱器55の移動方向前方(基板2の径方向外方または基板2の径方向内方)に配置され、加熱器55と同じ速さで、加熱器55と同じ方向に移動する。液膜LF3のうち、加熱器55の移動方向前方の部分の温度上昇を抑制できる。
図13は、露出する工程の第6実施例を示す図である。図13において、実線は露出する工程S105の開始時の時刻t0の液膜LF3の状態を示し、二点鎖線は時刻t0よりも遅い時刻t1の液膜LF3の状態を示す。図13(a)は、第6実施例の乾燥部を示す側面断面図である。図13(b)は、第6実施例の乾燥部を示す斜視図である。図13(c)は、第6実施例の液膜における温度分布と表面張力分布とを示すグラフである。
第6実施例の温度差発生部52は、基板2の下面2bに接触する加熱板53を有する。加熱板53は、電気を熱に変換する発熱体54を有する。加熱板53は、基板2の下面2bを全体的に均一に加熱する。
先ず、時刻t0では、液膜LF3の外周部は、その内側のリング状の隣接部に比べ、液膜LF3の厚さが薄いので、単位体積当たりの熱量が大きい。従って、液膜LF3の外周部は、その内側のリング状の隣接部に比べ、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。液膜LF3の外周部が図7に示す第1領域A1であり、その内側のリング状の隣接部が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。その結果、基板2の外周部が周方向全体に亘って液膜LF3から露出する。液膜LF3は、同心円状に小さくなる。
次に、時刻t1では、時刻t0と同様に、液膜LF3の外周部は、その内側のリング状の隣接部に比べ、液膜LF3の厚さが薄いので、単位体積当たりの熱量が大きい。従って、液膜LF3の外周部は、その内側のリング状の隣接部に比べ、液膜LF3の温度が高く、液膜LF3の表面張力が小さい。液膜LF3の外周部が図7に示す第1領域A1であり、その内側のリング状の隣接部が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。乾燥液L3の排出方向は、基板2の外周部から基板2の中心部に至る方向である。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止するが、薄膜LF4の発生を抑制できる回転数で、基板2を回転してもよい。
制御部40は、露出する工程S105において、加熱器55の単位時間当たりの加熱量を制御する。加熱器55の単位時間当たりの加熱量は、例えば一定に設定される。
乾燥部50は、乾燥液L3の液膜LF3から乾燥液L3を吸引する吸引ノズル60を有する。吸引ノズル60は、例えば、基板2の中心部の真上に配置され、基板2の中心部に集まる乾燥液L3を吸引する。吸引ノズル60を配置することによって、基板2の中心部とその周辺部とで、液面の高低差の発生を抑制できる。従って、液面の高低差による逆流を防止できる。基板2の中心部において、乾燥液L3の流入速度が乾燥液L3の蒸発速度よりも速い場合に有効である。
制御部40は、吸引ノズル60の単位時間当たりの吸引量を制御する。吸引ノズル60の単位時間当たりの吸引量は、基板2の中心部における乾燥液L3の流入速度と、基板2の中心部における乾燥液L3の蒸発速度との差に基づき設定される。例えば、流入速度と蒸発速度との差に一致するように、吸引ノズル60の単位時間当たりの吸引量が設定される。基板2の中心部における液面の高さを一定に維持できる。
図14は、露出する工程の第7実施例を示す図である。図14において、実線は露出する工程S105の開始時の時刻t0の液膜LF3の状態を示し、二点鎖線は時刻t0よりも遅い時刻t1の液膜LF3の状態を示す。図14(a)は、第7実施例の乾燥部を示す側面断面図である。図14(b)は、第7実施例の乾燥部を示す斜視図である。図14(c)は、第7実施例の液膜における体積密度分布と表面張力分布とを示すグラフである。
第7実施例の表面張力差発生部51は、第1領域A1と第2領域A2との間で体積密度差を発生する体積密度差発生部61を有する。一般的に、液体の液組成が同じ場合、液体の体積密度が小さいほど、液体の表面張力が小さい。そこで、第1領域A1の液組成と第2領域A2の液組成とが同じ場合、第2領域A2の体積密度に比べて第1領域A1の体積密度が小さくなるように、制御部40が体積密度差発生部61を制御する。
体積密度差発生部61は、基板2の上方に、乾燥液L3の蒸気を吐出する蒸気吐出ノズル62を有する。一般的に、蒸気は、液体に比べて、体積密度が小さい。それゆえ、液膜LF3の蒸気に接触する部分は、液膜LF3のその他の部分に比べて体積密度が小さくなる。
蒸気吐出ノズル62は、例えばIPAの蒸気を吐出する。液膜LF3は、IPAで形成される。液膜LF3のIPAの蒸気に接触する部分は、液膜LF3のその他の部分に比べて、体積密度が小さい。蒸気吐出ノズル62は、IPAの蒸気と、窒素ガスなどの不活性ガスとを混ぜた混合ガスを吐出してもよい。
蒸気吐出ノズル62は、液膜LF3の上方において、液膜LF3に対し平行に移動する。蒸気吐出ノズル62の移動方向は、乾燥液L3を排出する方向(図14(a)に矢印で示す方向)である。乾燥液L3を排出する方向は、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。
蒸気吐出ノズル62は、棒状に形成され、上方視で液膜LF3を横切るように、液膜LF3に対し平行に配置される。蒸気吐出ノズル62の長手方向は、乾燥液L3を排出する方向と直交する方向である。蒸気吐出ノズル62の長さは、基板2の直径よりも大きい。
ところで、上方視で、基板2は円形状であるのに対し、蒸気吐出ノズル62は棒状である。それゆえ、蒸気吐出ノズル62が水平方向に移動するにつれ、上方視で基板2の蒸気吐出ノズル62と重なる部分の長さが変化する。
そこで、制御部40は、蒸気吐出ノズル62の位置に応じて、蒸気吐出ノズル62の蒸気を吐出する範囲の長さを変更してもよい。制御部40は、蒸気吐出ノズル62の蒸気を吐出する範囲の長さを、上方視で基板2の蒸気吐出ノズル62と重なる部分の長さと一致させる。
蒸気吐出ノズル62は、例えば、蒸気吐出ノズル62の長手方向に間隔をおいて並ぶ複数の吐出口を有する。体積密度差発生部61は、蒸気吐出ノズル62の複数の吐出口に対し、独立に蒸気を供給する蒸気供給部を有する。制御部40は、蒸気供給部によって蒸気を供給する吐出口を変更することにより、蒸気吐出ノズル62の蒸気を吐出する範囲の長さを変更する。
制御部40は、上述の如く、蒸気吐出ノズル62の位置に応じて、蒸気吐出ノズル62の蒸気を吐出する範囲の長さを変更する。よって、基板2の周辺部材が高温の蒸気に曝されるのを防止でき、周辺部材を介して液膜LF3が加熱されるのを抑制できる。従って、液膜LF3の温度制御の精度を向上できる。
次に、体積密度差発生部61の具体的な動作について説明する。先ず、時刻t0では、蒸気吐出ノズル62は、基板2の外周部の一端の真上に配置される。蒸気吐出ノズル62の直下の領域は、その前方の隣接する領域に比べて、液膜LF3の体積密度が小さく、液膜LF3の表面張力が小さい。蒸気吐出ノズル62の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、その前方の隣接する領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。その結果、基板2の外周部の一端が液膜LF3から露出する。
次に、時刻t1では、蒸気吐出ノズル62は、時刻t0の位置から、乾燥液L3を排出する方向に変位した位置に配置される。蒸気吐出ノズル62の直下の領域は、その前方の隣接する領域に比べて、液膜LF3の体積密度が小さく、液膜LF3の表面張力が小さい。蒸気吐出ノズル62の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、その前方の隣接する領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。乾燥液L3の排出方向は、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。この間、制御部40は、蒸気吐出ノズル62を、乾燥液L3の排出方向に移動する。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止する。つまり、制御部40は、露出する工程S105において、基板2を回転しない。基板2が回転すると、基板2と共に液膜LF3が回転してしまうので、上方視で液膜LF3が棒状の蒸気吐出ノズル62の移動方向後方に回り込んでしまうからである。
なお、体積密度差発生部61は、蒸気吐出ノズル62に代えて、または蒸気吐出ノズル62に加えて、上記の温度差発生部52を有してもよい。一般的に、液体の液組成が同じ場合、液体の温度が高いほど、液体の体積密度が小さい。制御部40は、乾燥液L3の温度を制御することで、乾燥液L3の体積密度を制御できる。
図15は、露出する工程の第8実施例を示す図である。図15において、実線は露出する工程S105の開始時の時刻t0の液膜LF3の状態を示し、二点鎖線は時刻t0よりも遅い時刻t1の液膜LF3の状態を示す。図15(a)は、第8実施例の乾燥部を示す側面断面図である。図15(b)は、第8実施例の乾燥部を示す斜視図である。図15(c)は、第8実施例の液膜における体積密度分布と表面張力分布とを示すグラフである。
第8実施例の蒸気吐出ノズル62は、液膜LF3の上方において、液膜LF3に対し平行に移動しない。蒸気吐出ノズル62は、点状に形成され、基板2の中心部の真上に配置される。
先ず、時刻t0では、蒸気吐出ノズル62の直下の領域は、その周辺のリング状の領域に比べて、液膜LF3の体積密度が小さく、液膜LF3の表面張力が小さい。蒸気吐出ノズル62の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、その周辺のリング状の領域が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。その結果、基板2の中心部が液膜LF3から露出する。液膜LF3の形状は、円盤状からドーナツ状に変化する。
次に、時刻t1では、蒸気吐出ノズル62は、基板2の中心部の真上に止まり続け、基板2の中心部に蒸気を吐出し続ける。蒸気は、基板2の中心部に当たることにより向きを変え、基板2の中心部から放射状に広がり、液膜LF3の内周部に接触する。液膜LF3の内周部は、その外側の周辺部に比べて、液膜LF3の体積密度が小さく、液膜LF3の表面張力が小さい。液膜LF3の内周部が図7に示す第1領域A1であり、その外側の周辺部が図7に示す第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。乾燥液L3の排出方向は、基板2の中心部から基板2の外周部に至る方向である。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。この間、蒸気吐出ノズル62は、基板2の中心部の真上に止まり、乾燥液L3の排出方向に移動しない。
制御部40は、露出する工程S105において、蒸気吐出ノズル62の単位時間当たりの吐出量を制御する。蒸気吐出ノズル62の単位時間当たりの吐出量は、一定に設定されてもよいが、本実施例では時間の経過と共に大きくなるように設定される。時間の経過と共に、液膜LF3の内周部の全長が長くなり、蒸気が分散しやすいからである。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止するが、薄膜LF4の発生を抑制できる回転数で、基板2を回転してもよい。また、制御部40は、基板2を回転すると共に、基板2の径方向外方に蒸気吐出ノズル62を移動してもよい。蒸気吐出ノズル62は、点状に形成され、基板2の中心部の上方から、基板2の外周部の上方まで移動する。蒸気吐出ノズル62の直下の領域が、図7に示す第1領域A1である。蒸気吐出ノズル62から液膜LF3の内周部までの蒸気の移動経路を短縮でき、蒸気の散逸を抑制できる。
なお、本実施例の乾燥液L3の排出方向は、基板2の中心部から基板2の外周部に至る方向であるが、基板2の外周部から基板2の中心部に至る方向であってもよい。後者の場合、制御部40は、例えば、基板2を回転すると共に、基板2の径方向内方に蒸気吐出ノズル62を移動する。蒸気吐出ノズル62は、点状に形成され、基板2の外周部の上方から、基板2の中心部の上方まで移動する。蒸気吐出ノズル62の直下の領域が図7に示す第1領域A1であり、その内側の隣接する領域が図7に示す第2領域A2である。
乾燥液L3の排出方向が基板2の外周部から基板2の中心部に至る方向である場合、基板2の中心部の真上に、図13に示す吸引ノズル60が配置される。吸引ノズル60は、基板2の中心部に集まる乾燥液L3を吸引する。吸引ノズル60を配置することによって、基板2の中心部とその周辺部とで、液面の高低差の発生を抑制できる。従って、液面の高低差による逆流を防止できる。基板2の中心部において、乾燥液L3の流入速度が乾燥液L3の蒸発速度よりも速い場合に有効である。
なお、体積密度差発生部61は、蒸気吐出ノズル62に代えて、または蒸気吐出ノズル62に加えて、上記の温度差発生部52を有してもよい。一般的に、液体の液組成が同じ場合、液体の温度が高いほど、液体の体積密度が小さい。制御部40は、乾燥液L3の温度を制御することで、乾燥液L3の体積密度を制御できる。
図16は、露出する工程の第9実施例を示す図である。第9実施例の表面張力差発生部51は、第1領域A1と第2領域A2との間で、液組成差を発生する液組成差発生部71を有する。一般的に、液体の温度が同じ場合、液体の液組成が異なると、液体の表面張力が異なる。
液組成差発生部71は、乾燥液L3よりも大きい表面張力の液体L4を、第2領域A2に供給する液吐出ノズル72を有する。乾燥液L3がIPAのみを含む場合、液体L4はIPAに加えて例えばDIWを含む。DIWは、IPAよりも大きい表面張力を有する。従って、液体L4は、乾燥液L3よりも大きい表面張力を有する。なお、液体L4は、乾燥液L3よりも大きい表面張力を有すればよく、特に限定されない。
液吐出ノズル72は、液膜LF3の上方において、液膜LF3に対し平行に移動する。液吐出ノズル72の移動方向は、乾燥液L3を排出する方向(図16に矢印で示す方向)である。乾燥液L3を排出する方向は、例えば、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。なお、乾燥液L3を排出する方向は、基板2の中心部から、基板2の外周部に至る方向でもよい。また、乾燥液L3を排出する方向は、基板2の外周部から、基板2の中心部に至る方向でもよい。
液吐出ノズル72の直下の領域は、その後方の隣接する領域に比べて、IPA濃度が低くDIW濃度が高いので、表面張力が大きい。液吐出ノズル72の直下の領域が第2領域A2であり、その後方の隣接する領域が第1領域A1である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。この間、液吐出ノズル72は、乾燥液L3の排出方向に移動する。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止するが、薄膜LF4の発生を抑制できる回転数で、基板2を回転してもよい。
図17は、露出する工程の第10実施例を示す図である。第10実施例の液組成差発生部71は、乾燥液L3よりも小さい表面張力の液体L5を、第1領域A1に供給する液吐出ノズル73を有する。乾燥液L3がIPAとDIWとを含む場合、液体L5は例えばIPAのみを含む。IPAは、DIWよりも小さい表面張力を有する。従って、液体L5は、乾燥液L3よりも小さい表面張力を有する。なお、液体L5は、乾燥液L3よりも小さい表面張力を有すればよく、特に限定されない。例えば、液体L5は、IPAとDIWとを含んでもよい。
液吐出ノズル73は、液膜LF3の上方において、液膜LF3に対し平行に移動する。液吐出ノズル73の移動方向は、乾燥液L3を排出する方向(図17に矢印で示す方向)である。乾燥液L3を排出する方向は、例えば、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。なお、乾燥液L3を排出する方向は、基板2の中心部から、基板2の外周部に至る方向でもよい。また、乾燥液L3を排出する方向は、基板2の外周部から、基板2の中心部に至る方向でもよい。
液吐出ノズル73の直下の領域は、その前方の隣接する領域に比べて、IPA濃度が高く、DIW濃度が低いので、表面張力が小さい。液吐出ノズル73の直下の領域が第1領域A1であり、その前方の隣接する領域が第2領域A2である。第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される。
制御部40は、排出する工程S112を、第1領域A1および第2領域A2の位置を乾燥液L3の排出方向に変位しながら、繰り返し行う。その結果、基板2の上面2aの全体が液膜LF3から露出する。この間、液吐出ノズル73は、乾燥液L3の排出方向に移動する。
制御部40は、露出する工程S105において、基板2を停止するが、薄膜LF4の発生を抑制できる回転数で、基板2を回転してもよい。
なお、液組成差発生部71は、図16に示す液吐出ノズル72と、図17に示す液吐出ノズル73とを両方有してもよい。
図18は、一実施形態に係る乾燥液の接触角を示す側面断面図である。図18(a)は、接触角と表面張力との関係の一例を示す側面断面図である。図18(a)において、θが接触角であり、γLGは乾燥液L3の表面張力であり、γSLは乾燥液L3と基板2との界面張力であり、γSGは基板2の表面自由エネルギーである。ヤングの式と呼ばれる、下記式(1)が成立する。
γLGcosθ+γSL=γSG・・・(1)
図18(b)は、基板の温度が室温である時の接触角の一例を示す側面断面図である。図18(c)は、基板の温度が室温よりも高温である時の接触角の一例を示す側面断面図である。基板2が熱Hで高温になると、基板2の表面自由エネルギーγSGが小さくなる。従って、基板2を加熱すると、ヤングの式から明らかなように、接触角θが大きくなる。
基板2を加熱すると、接触角θが大きくなるので、図7に示す第1領域A1から第2領域A2に乾燥液L3が排出される過程で、第1領域A1の凹部5に乾燥液L3が取り残されるのを抑制できる。乾燥液L3が、垂直に立つからである。
図19は、一実施形態に係る流入部を示す側面断面図である。図19(a)は、流入部の一例を示す側面断面図である。図19(a)では、乾燥液L3の排出方向は、基板2の外周部の一端から、基板2の中心部を通り、基板2の外周部の他端に至る方向である。図19(b)は、流入部の別の一例を示す側面断面図である。図19(b)では、乾燥液L3の排出方向は、基板2の中心部から、基板2の外周部に至る方向である。
乾燥部50は、基板2の上面2aと同一平面上に、基板2の上面2aから排出される乾燥液L3が流入する表面90aを有する流入部90を有する。流入部90の表面90aは、基板2の上面2aに隣接する。乾燥液L3が基板2の上面2aの外周を乗りこえやすいので、乾燥液L3が基板2の上面2aから排出されやすい。
流入部90の材料は、基板2の材料と同じでもよいし、基板2の材料とは異なってもよい。流入部90の形状は、図19に示すように、乾燥液L3の排出方向に応じて適宜選択される。
以上、本開示に係る基板処理装置および基板処理方法の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
例えば、基板2は、上記実施形態では円板状であるが、矩形板状でもよい。基板2の形状は特に限定されない。
また、基板2は、上記実施形態では半導体基板であるが、ガラス基板でもよい。基板2の材料は特に限定されない。
また、温度差発生部52、体積密度差発生部61、および液組成差発生部71は、単独で用いられてもよいし、任意の組合わせで用いられてもよい。
本出願は、2018年12月3日に日本国特許庁に出願した特願2018−226865号に基づく優先権を主張するものであり、特願2018−226865号の全内容を本出願に援用する。