(本開示に至った経緯)
従来技術では、無人飛行体は、警報装置を用いて不審者等の移動体を威嚇することはできるが、移動体に対して警報を発するだけであるため、移動体の移動を抑制することはできず、移動体が監視エリアを自由に移動できてしまうという課題がある。そのため、移動体は、容易に、進入が禁止された領域として例えば金庫などの貴重品があるエリアに進入したり、監視エリアから逃走したりすることなどができてしまう。また、従来技術では、無人飛行体は警報装置を搭載するため、その分機体の重量が大きくなってしまうという課題もある。さらに、従来技術では、警備以外への適用が考慮されていない。
1以上のプロペラを回転させて自機を飛行する無人飛行体は、飛行動作を行う際、プロペラを回転させることに伴い、垂直下方向に風を巻き起こす特徴がある。
そこで、本開示の無人飛行体は、無人飛行体であって、前記無人飛行体の外部をセンシングするセンサと、前記センサのセンシング結果に基づいて移動体を検出する検出部と、前記移動体の進入が望ましくない領域を示す領域情報を取得する取得部と、前記移動体と前記領域情報が示す前記領域との位置関係に基づいて、前記領域と前記移動体との間に前記無人飛行体を移動させ、移動先で前記無人飛行体を飛行させる飛行制御部と、を備える。
これによれば、不審者等の移動体と移動体の進入が望ましくない領域、例えば進入が禁止された領域(進入阻止エリアとも呼ぶ)との間で無人飛行体が飛行することで、その飛行動作によって巻き起こされる風により、移動体が進入阻止エリアに移動することを抑制できる。また、無人飛行体が飛行のために元々有している機能を使って移動体の移動を抑制できるため、無人飛行体の重量を増やすことなく移動体の移動を抑制できる。
また、前記移動先は、前記移動体の位置から前記領域までの経路上の位置であってもよい。
これによれば、移動体の位置から進入阻止エリアまでの移動体が通る経路の上空を無人飛行体が飛行して風を巻き起こすことができるので、移動体が進入阻止エリアへ向かって移動するのを抑制できる。
また、前記移動先は、前記経路上のうち経路幅が最も狭い位置であってもよい。
これによれば、経路幅の狭い部分において、移動体の移動を阻止(抑制ともいう)することになるので、移動体が巻き起こされた風を避けながら当該経路幅の狭い部分を通過しにくくなり、移動体の移動を阻止しやすくなる。
また、前記飛行制御部は、前記移動体の位置が前記領域から所定距離内にある場合のみ、前記無人飛行体を前記移動先に移動させてもよい。
移動体の移動により、移動体の移動を阻止する位置が変更される場合、移動体から進入阻止エリアまでの距離が大きいほど、無人飛行体が移動する距離も大きくなり、無人飛行体のバッテリの消耗が大きくなってしまう。これに対して、本態様によれば、移動体の位置が進入阻止エリアから所定距離内にない場合には、無人飛行体が移動させられないため、無人飛行体が移動する距離が小さくて済み、無人飛行体のバッテリの消耗を抑えることができる。また、移動体の位置が進入阻止エリアから所定距離内にある場合には、移動体が進入阻止エリアに進入してくるリスクが高いため、移動体が進入阻止エリアに移動することを効果的に抑制できる。
また、前記飛行制御部は、前記領域が複数存在する場合、複数の前記領域のうち前記移動体の位置に応じた特定領域と前記移動体との間に前記無人飛行体を移動させてもよい。
これによれば、移動体の位置に応じて複数の進入阻止エリアの中から特定の進入阻止エリアが決定されるので、移動体の位置に応じて特定の進入阻止エリアへの移動体の移動を抑制できる。例えば、現在移動体が存在する進入阻止エリアよりセキュリティレベルの高い進入阻止エリアに対して移動体の移動を阻止することができる。
また、前記飛行制御部は、前記位置関係及び前記移動体の移動しようとする方向に基づいて、前記領域と前記移動体との間に前記無人飛行体を移動させてもよい。
これによれば、無人飛行体が、位置関係だけでなく、移動体の移動しようとする方向にも基づいて移動体と進入阻止エリアとの間に移動するため、移動体の進入阻止エリアへの移動をより効果的に抑制できる。
また、前記飛行制御部は、前記方向が前記領域へ移動しようとする方向である場合にのみ、前記領域と前記移動体との間に前記無人飛行体を移動させてもよい。
これによれば、移動体の移動しようとする方向が進入阻止エリアへ移動しようとする方向である場合のみ、無人飛行体は移動体の移動を抑制するために進入阻止エリアと移動体との間に移動するので、バッテリ消費を抑えられる。
また、前記飛行制御部は、前記方向に前記移動体が移動した場合にのみ、前記領域と前記移動体との間に前記無人飛行体を移動させてもよい。
移動体が進入阻止エリアへ向かってまだ移動していないにもかかわらず、無人飛行体が移動体の移動を阻止する位置に移動すると、移動体が進入阻止エリアへ向かって移動しなかった場合にその移動処理が無駄になってしまう。これに対して、本態様によれば、移動体が進入阻止エリアへ向かって移動した場合にのみ、無人飛行体は進入阻止エリアと移動体との間に移動するので、移動処理が無駄になってしまうのを防止できる。
また、前記飛行制御部は、さらに、前記移動体が前記無人飛行体に接近している場合、前記無人飛行体の飛行により発生する風が前記移動体に当たるように前記無人飛行体を制御する送風制御を実行してもよい。
これによれば、移動体が無人飛行体の方に接近してきた場合に飛行動作により巻き起こる風を移動体に当てるように無人飛行体を制御するので、移動体の移動をより強く阻止することができる。例えば、無人飛行体が飛行のために鉛直下方向に風を発生させるドローン等の場合、無人飛行体を傾けるように制御することで、移動体に対して直接的に風を当てることで移動体の移動をより強く阻止することができる。
また、前記飛行制御部は、さらに、前記送風制御の実行後の前記移動体の位置の変化に基づいて、前記送風制御を調整してもよい。
これによれば、風を当てた後の移動体の位置から、移動体がさらに無人飛行体へ接近してきているのか、静止しているのか、又は、無人飛行体から遠ざかったのかを判断でき、それに応じて移動体への風の当て方等を調整できる。
また、前記飛行制御部は、前記移動体の位置が前記領域から所定距離内にある場合、前記送風制御を実行してもよい。
これによれば、移動体の位置が進入阻止エリアから所定距離内にある場合に移動体に風を当てるようにしたので、移動体が進入阻止エリアの近くにいて、移動体が進入阻止エリアに進入してくるリスクが高い場合に、移動体に風を当てることができる。
また、前記飛行制御部は、前記移動体の位置が前記領域から所定距離内にある間、前記送風制御を継続してもよい。
これによれば、移動体の位置が進入阻止エリアから所定距離内にある間、移動体に繰り返し風を当てるようにするので、移動体に対して、進入阻止エリアから所定距離を超える位置への移動を強く促すことができる。
また、前記移動先において、前記移動体から前記領域への方向とは異なる方向に前記移動体を誘導するための提示を提示装置に実行させる提示制御部をさらに備え、前記提示装置は、前記無人飛行体に備えられ、又は前記無人飛行体の周辺に配置されてもよい。
これによれば、進入阻止エリアと移動体との間に無人飛行体を移動するだけでなく、移動体を誘導するための提示をすることにより、移動体が進入阻止エリアに進入することをより確実に抑制することができる。
上記課題を解決するために、本開示の制御方法は、無人飛行体の制御方法であって、前記無人飛行体の外部をセンシングするセンサのセンシング結果に基づいて移動体を検出し、前記移動体の進入が望ましくない領域を示す領域情報を取得し、前記移動体と前記領域情報が示す前記領域との位置関係に基づいて、前記領域と前記移動体との間に前記無人飛行体を移動させ、移動先で前記無人飛行体を飛行させる。
これによれば、移動体の進入が望ましくない領域に移動体が移動することを抑制できる制御方法を提供できる。
上記課題を解決するために、本開示のプログラムは、上記の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
これによれば、移動体の進入が望ましくない領域に移動体が移動することを抑制できるプログラムを提供できる。
以下本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
以下では、無人飛行体によって検出される移動体を不審者として説明する。なお、当該移動体は、不審者、つまり、人に限らず、動物、機械等であってもよい。
(実施の形態1)
本実施の形態1では、無人飛行体が、巡回飛行中に不審者を検知した場合、不審者の進入を阻止したいエリアに不審者が移動しないよう、不審者の移動を抑制する動作について、図面を用いながら詳細に説明する。
図1Aは、実施の形態1における無人飛行体1が不審者2を特定した状況を示す概念図である。図1Aでは、無人飛行体1は、自機を空中に浮かせるための飛行動作を行っており、無人飛行体1の飛行に際し風3を巻き起こしている状況を示している。図1Bは、実施の形態1における無人飛行体1が不審者2の移動を阻止する位置に移動する動作のイメージを示す概念図である。図1Bでは、無人飛行体1が、不審者2を検知した後、進入阻止エリア4に不審者2が移動することを抑制するため、不審者2と進入阻止エリア4との間に移動し、その位置で飛行動作を行って風3を巻き起こしている状況を示している。進入阻止エリア4は、不審者2の進入を阻止したいエリアであり、言い換えると、不審者2の進入が禁止されたエリアであり、さらに言い換えると、不審者2の進入が望ましくないエリアである。
無人飛行体1は、飛行動作を行うことにより風3を巻き起こす自律飛行が可能な飛行体である。例えば、ドローンと呼ばれる複数のプロペラを有するマルチコプター、又は、ラジコンヘリなどの1つのプロペラを有するシングルコプターなどであり、飛行動作の際、プロペラを回転させ、鉛直下方向に風3を巻き起こす。
無人飛行体1は、巡回飛行中に、不審者2を検知した場合、図1Bに示すように、進入阻止エリア4に不審者2が移動しないように、不審者2の移動を抑制する。そのために、本開示では、無人飛行体1が巻き起こす風3を無人飛行体1の飛行という目的とは別に、不審者2の移動の抑制という目的にも利用する。
図2は、実施の形態1における無人飛行体1の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、無人飛行体1は、人検知センサ部100、測距部101、方位計測部102、位置測定部103、駆動部104、通信部105、制御部11、記憶部12及び電力供給部13を備えている。
人検知センサ部100は、無人飛行体1の周辺にいる人を検知するためのセンサである。例えば、人検知センサ部100は、赤外線センサなどの人感センサ又は撮影情報により人を検知するイメージセンサ(カメラ)などである。人検知センサ部100は、例えば、夜間での撮影が可能な赤外線カメラ又は暗視カメラ等であってもよい。なお、人検知センサ部100は、人を検知するためのセンサであれば、他のセンサであってもよい。例えば、人の声を検知したかどうかにより人を検知する場合、人検知センサ部100としてマイクを用いてもよい。例えば、人検知センサ部100によって、無人飛行体1の外部をセンシングするセンサが実現される。
測距部101は、測定対象物から無人飛行体1までの距離を測定するセンサであり、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、又は、ステレオカメラなどである。測距部101によって、無人飛行体1の外部をセンシングするセンサが実現されてもよい。
方位計測部102は、磁場(磁界)の向きを計測し、方位を求める地磁気センサである。
位置測定部103は、無人飛行体1の位置を測定するセンサであり、例えば、GPS(Global Positioning System)である。なお、無人飛行体1がGPS信号の届かない範囲にある場合もあることから、位置測定部103は、Wi-Fi(登録商標)又はビーコンを用いて無人飛行体1の位置を測定してもよく、無人飛行体1の位置を測定可能なセンサ等であれば特に限定されない。
駆動部104は、例えば、モータ及びプロペラ等から構成され、後述する飛行制御部114による制御に基づき、モータを制御してプロペラを回転動作させることで、無人飛行体1の飛行動作を行う。なお、駆動部104は、モータの代わりに、エンジンを用いる構成であってもよい。このプロペラが回転することにより、無人飛行体1から風3が巻き起こされる。
通信部105は、無人飛行体1の外部の装置との情報のやりとりを行う通信インタフェースである。通信部105は、例えば、Wi-Fi、LTE(Long Term Evolution)又は5G(5 Generation)などによって無線通信を行う。無人飛行体1は、通信部105を介して、無人飛行体1の外部にある操縦器(図示しない)から操縦信号を受信したり、無人飛行体1で撮影した撮影データを遠隔監視者の端末(図示しない)に送信したりする。なお、通信部105は、用途及び接続装置に応じて使い分けをするため、複数の部品によって構成されてもよい。例えば、通信部105は、操縦器との操縦信号のやり取りはWi-Fiを用い、遠隔監視者への撮影データの送信は5G回線を用いるといった構成を有していてもよい。
制御部11は、各種の制御を行う部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)のことである。制御部11は、不審者特定部110、自機位置特定部111、不審者位置特定部112、移動阻止位置決定部113及び飛行制御部114を含む。例えば、CPUが後述する制御プログラム記憶部120に記憶された制御プログラムに従って動作することにより、制御部11の当該各種機能が実現される。
不審者特定部110は、センサ(人検知センサ部100及び測距部101等)のセンシング結果に基づいて不審者2を検出する検出部の一例であり、不審者2を特定する処理を行う。本実施の形態1では、不審者特定部110は、人検知センサ部100で取得した情報に基づき、不審者2を特定する。例えば、不審者特定部110は、人検知センサ部100で検知した人を不審者2とみなしてもよい。また別の例として、不審者特定部110は、人検知センサ部100がイメージセンサである場合、イメージセンサで検知した人を画像認識して、その人が不審者2か否かを判定する処理をして、不審者2を特定してもよい。これにより、不審者2ではない人を不審者2としてしまうことを防止できる。
自機位置特定部111は、位置測定部103から取得した情報に基づき、自機(無人飛行体1)の位置を特定する。自機位置特定部111は、例えば、位置測定部103で取得したGPS情報により、自機の位置を特定する。なお、自機の位置を特定できる方法であれば、GPS情報を用いる方法以外の他の方法を用いて、自機の位置が特定されてもよい。自機位置特定部111は、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いて、自己の位置を推定し、その推定した位置を自機の位置としてもよい。また、自機位置特定部111は、Wi-Fi又はビーコンなどの無線信号を用いて、自機の位置を特定してもよい。
不審者位置特定部112は、不審者特定部110で検知した不審者2の位置を特定する。本実施の形態1では、不審者位置特定部112は、測距部101で測定した無人飛行体1から不審者2までの距離、及び、方位計測部102で計測した無人飛行体1から不審者2への方向を用いて無人飛行体1に対する不審者2の相対位置を算出し、位置測定部103で測定した無人飛行体1の位置と不審者2の相対位置とから、不審者2の位置を特定する。なお、不審者2の位置の特定方法は、不審者2の位置を特定できれば、任意の方法であってよい。例えば、無人飛行体1は、無人飛行体1が巡回する領域等である監視領域のマップ情報を予め保有しておき、不審者2がマップ情報のどこに位置するかを特定することにより、不審者2の位置を特定する構成であってもよい。また、不審者2の絶対位置が特定されなくてもよく、少なくとも無人飛行体1と不審者2との位置関係(例えば無人飛行体1に対する不審者2の相対位置)が特定されればよい。
移動阻止位置決定部113は、不審者2の進入が禁止された領域(つまり、進入阻止エリア4)を示す領域情報を取得する取得部の一例である。移動阻止位置決定部113は、無人飛行体1の飛行動作により生じる風3を用いて不審者2の進入阻止エリアへの進入を阻止(抑制ともいう)するための飛行位置を決定する。例えば、移動阻止位置決定部113は、不審者2と上記領域情報が示す領域との位置関係に基づいて不審者2の移動を阻止するための飛行位置を決定する。本実施の形態1では、移動阻止位置決定部113は、予め進入阻止エリア情報記憶部121に記憶した上記領域情報(進入阻止エリア情報とも呼ぶ)を取得し、進入阻止エリア情報と不審者位置特定部112で特定した不審者2の位置とに基づき、不審者2の移動を阻止したい位置を決定する。ここで、進入阻止エリア情報とは、不審者2の進入を阻止したいエリアである進入阻止エリア4に関する情報であり、少なくとも進入阻止エリア4の位置を示す情報を含む。進入阻止エリア4の位置は、例えば、進入阻止エリア4内の代表となる1つの点である。なお、代表となる点は、任意の点に設定されてよく、例えば、エリアの重心となる点であってもよい。また、代表となる点は、進入阻止エリア4の出入口等であってもよく、例えば、扉又は窓の位置であってもよい。進入阻止エリア4の位置の情報とは、例えば、建物などのマップ情報により示される位置情報又はGPS情報などである。無人飛行体1は、移動阻止位置決定部113で決定された不審者2の進入を阻止するための位置を所定の飛行高度で飛行する。なお、所定の飛行高度は、任意の飛行高度であってよく、管理者等により決定されてよい。また、飛行高度の情報は、事前に記憶部12に記憶されてもよい。ここで、移動阻止位置決定部113で決定された不審者2の進入を阻止するための飛行位置について、図3を用いて説明する。
図3は、不審者2から進入阻止エリア4までの直線ルートの一例を示す俯瞰図である。図3において、当該直線ルートを破線で示している。
不審者2の移動を阻止するための飛行位置(つまり、無人飛行体1の移動先)は、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの経路上の位置である。例えば、当該位置は、不審者2の位置から進入阻止エリア4の位置までの直線上で、かつ、不審者2の位置から所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置とする場合が考えられる。図3において、黒丸は不審者2の位置、ドットで囲まれたエリアは進入阻止エリア4、星印は無人飛行体1が移動する位置を示している。これにより、不審者2と進入阻止エリア4の間の上空を無人飛行体1が飛行して風3を巻き起こすことができる。無人飛行体1の飛行動作により生じる風3は強く、その風の下を人が通るのは困難であることから、不審者2と進入阻止エリア4の間の上空を無人飛行体1が飛行して風3を巻き起こすことで、不審者2が進入阻止エリア4に向かって移動するのを抑制できる。
なお、図3に示すように、不審者2の位置から進入阻止エリア4の位置を通る直線の経路が、人が通る経路である場合には、不審者2が進入阻止エリア4に移動するのを阻止できるが、当該直線の経路が人が通る経路でない場合、不審者2が進入阻止エリア4に移動するのを阻止できない場合がある。そのため、移動阻止位置決定部113は、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの人が通る経路を決定し、この経路上で、かつ、不審者2の位置から所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置として決定することが好ましい。これについて、図4を用いて説明する。
図4は、不審者2から進入阻止エリア4までの経路の一例を示す俯瞰図である。図4において、当該経路を破線で示している。図3と同じように、図4において、黒丸は不審者2の位置、ドットで囲まれたエリアは進入阻止エリア4、星印は無人飛行体1の移動先を示している。不審者2の位置から進入阻止エリア4までの人が通る経路(例えば壁5により規定される経路)が例えば建物等のマップ情報に基づいて決定され、その経路上でかつ、不審者2の位置から所定距離離れた位置を無人飛行体1が移動する位置としている。これにより、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの人が通る経路上の上空を無人飛行体1が飛行して風3を巻き起こすことができるので、不審者2が進入阻止エリア4へ移動するのを抑制できる。なお、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの人が通る経路が複数存在する場合、無人飛行体1がそのうちのいずれかを選択してもよい。例えば、無人飛行体1は、複数の経路のうち最短のものを選択してもよい。また、例えば、無人飛行体1は、不審者2が進もうとする方向から不審者2が選択すると考えられる経路を推定し、当該経路を選択してもよい。
飛行制御部114は、不審者2と領域情報が示す領域(進入阻止エリア4)との位置関係に基づいて、進入阻止エリア4と不審者2との間に無人飛行体1を移動させ、移動先で無人飛行体1を飛行させる。飛行制御部114は、無人飛行体1について、予め設定された飛行プログラムに従って飛行制御したり、通信部105から受信した飛行制御信号に従って飛行制御したり、制御部11にある各種構成要素からの制御指示に従って飛行制御したりする。本実施の形態1では、飛行制御部114は、制御部11が有する移動阻止位置決定部113で決定された、不審者2の移動を阻止するための位置に無人飛行体1を移動させ、所定の飛行高度となるように飛行制御する。
記憶部12は、情報を記憶するためのものであり、例えば、不揮発性メモリである。記憶部12は、制御プログラム記憶部120、進入阻止エリア情報記憶部121及び巡回ルート情報記憶部122を含む。
制御プログラム記憶部120は、制御部11にある各種構成要素が動作をするための制御プログラムを記憶する。各種プログラムは、記憶部12に予め記憶されていてもよいし、通信部105を介して、サーバなどの外部装置から取得して記憶され、また更新されてもよい。
進入阻止エリア情報記憶部121は、不審者2の進入を阻止したいエリアである進入阻止エリア4に関する情報であり、少なくとも進入阻止エリア4の位置を示す情報を含む。進入阻止エリア4の位置は、例えば、進入阻止エリア4内の代表となる1つの点である。なお、代表となる点は任意の点に設定されてもよく、例えば、エリアの重心となる点であってもよい。進入阻止エリア4の位置を示す情報とは、例えば、建物などのマップ情報により示される位置情報又はGPS情報である。進入阻止エリア4とは、例えば、貴重品、金庫などを置いているエリアなどである。
巡回ルート情報記憶部122は、無人飛行体1が巡回飛行するルートを示す巡回ルート情報を記憶する。巡回ルート情報は、例えば、ルートの位置情報を順番に並べた情報である。巡回ルート情報は、無人飛行体1が巡回を開始する前から予め巡回ルート情報記憶部122に記憶されている。この情報は、通信部105を介して、外部の装置から取得されてもよいし、記憶媒体などを介して取得されてもよい。なお、巡回ルート情報は、ルートに沿って無人飛行体1が移動している途中に変更されてもよい。例えば、巡回ルート上に障害物などがあり、無人飛行体1が巡回ルートに沿って進めない場合は、自律的に巡回ルートを変更してもよい。また、無人飛行体1は、通信部105を介して、遠隔にいる管理者等の端末から変更ルートを取得して、巡回ルートを変更してもよい。
電力供給部13は、例えば、バッテリ又は有線給電装置であり、無人飛行体1における各構成要素に電力を供給する。
次に、本開示の実施の形態1に係る無人飛行体1が、不審者2の進入を阻止したい進入阻止エリア4に不審者2が移動しないよう、不審者2の移動を抑制する処理について説明する。
図5は、実施の形態1における無人飛行体1が不審者2の移動を阻止する処理の流れを示すフローチャートである。具体的には、図5は、実施の形態1に係る無人飛行体1が、巡回飛行中に、不審者2を検知し、進入を阻止したい進入阻止エリア4に不審者2が移動しないよう、不審者2の移動を抑制する処理の流れを示すフローチャートである。
以下に図5に示すフローチャートについて説明する。
無人飛行体1は、巡回ルート情報記憶部122に予め記憶された巡回ルート情報に従って、巡回飛行を開始し、巡回ルート情報が示す巡回ルートに沿って巡回する(ステップS01)。本実施の形態1では、位置測定部103が自機の位置情報を取得し、自機の位置情報がルート情報に沿うように飛行制御部114が無人飛行体1の飛行制御をすることで、巡回ルート情報に従った飛行を行う。また、無人飛行体1は、飛行中、監視対象領域に人がいないかどうかを監視するため、人検知センサ部100でセンシングしながら、飛行を行う。
人検知センサ部100が人を検知すると、不審者特定部110は、検知した人が不審者2か否か(不審者2を検知したか否か)を判断する(ステップS02)。不審者2か否かの判断は、任意の方法により行われてよい。例えば、不審者特定部110は、人検知センサ部100で検知した人をすべて不審者2とみなしてもよい。このような検知方法は、例えば、本来人がいないはずのところを監視して、不審者2を検知するような場合に有効である。また別の検知方法として、不審者特定部110は、人検知センサ部100としてカメラで撮影した人を画像認識して、不審者2か否かを判定する処理をして、不審者2を特定してもよい。この場合、不審者2ではない人を不審者2としてしまうことを防止できる。画像認識する場合は、例えば、不審者2の顔又は不審者2でない人の顔を事前に登録しておき、登録情報と照合することにより、不審者2か否かを判断する。なお、不審者特定部110は、人の顔だけではなく、服装などにより、不審者2か否かを判断してもよい。また、不審者特定部110は、撮影した人が所定の行動を行ったか否かにより不審者2か否かを判断してもよい。
不審者特定部110が不審者2を検知しなかった場合(ステップS02でNO)、ステップS01の処理に戻り、無人飛行体1は引き続き巡回飛行を行う。
不審者特定部110が不審者2を検知した場合(ステップS02でYES)、不審者位置特定部112は、その不審者の位置を特定する(ステップS03)。具体的には、まず、自機位置特定部111が、位置測定部103から取得した情報に基づき、自機位置を特定する。例えば、自機位置特定部111は、位置測定部103で取得したGPS情報により自機の位置を特定する。なお、自機の位置を特定できれば、他の方法により、自機の位置を特定してもよい。例えば、自機位置特定部111は、SLAM技術を用いて、自己の位置を推定し、その推定した位置を自機の位置としてもよい。また、自機位置特定部111は、GPSではなく、Wi-Fi又はビーコンなど別の無線信号を用いて、自機の位置を特定してもよい。不審者位置特定部112は、測距部101を用いて測定した無人飛行体1から不審者2までの距離、及び、方位計測部102で計測した無人飛行体1から不審者2への方向を用いて無人飛行体1に対する不審者2の相対位置を算出し、自機位置特定部111で測定した自機の位置と不審者2の相対位置とから、不審者2の位置を特定する。なお、不審者2の位置の特定方法は、不審者2の位置を特定できれば、任意の方法であってよい。例えば、無人飛行体1は、無人飛行体1が巡回する領域等である監視領域のマップ情報を予め保有しておき、不審者2がマップ情報のどこに位置するかを特定することにより、不審者2の位置を特定してもよい。
不審者2の位置を特定した後、移動阻止位置決定部113は、不審者2の移動を阻止するための飛行位置を決定するため、まず、進入阻止エリア情報記憶部121に記憶した進入阻止エリア情報を取得する(ステップS04)。進入阻止エリア情報とは、不審者2の進入を阻止したいエリアである進入阻止エリア4に関する情報であり、少なくとも進入阻止エリア4の位置を示す情報を含む。進入阻止エリア4の位置は、例えば、進入阻止エリア内の代表となる1つの点である。なお、代表となる点は任意の点が設定されてよく、例えば、エリアの重心となる点をであってもよい。進入阻止エリア4の位置を示す情報とは、例えば、建物などのマップ情報により示される位置情報又はGPS情報である。
次に、移動阻止位置決定部113は、ステップS03で特定した不審者2の位置とステップS04で取得した進入阻止エリア情報に基づき、不審者2の移動を阻止したい位置を決定する(ステップS05)。例えば、移動阻止位置決定部113は、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの経路を決定し、その経路上で、かつ、不審者2の位置から所定距離離れた経路上の位置を不審者2の移動を阻止する位置として決定する。
飛行制御部114は、移動阻止位置決定部113で決定した不審者2の移動を阻止する位置に無人飛行体1を移動させ、その位置において所定の飛行高度で飛行するように、無人飛行体1を飛行制御する。自機の位置から不審者2の移動を阻止する位置までの飛行経路は、既存の経路生成アルゴリズムを用いて生成されてよい。また、無人飛行体1は、不審者2の移動を阻止する位置まで移動してから、所定の飛行高度になるよう飛行制御してもよいし、又は、所定の飛行高度に移動してから、不審者2の移動を阻止する位置まで移動するよう飛行制御してもよい。
以上の処理により、不審者2の位置から進入阻止エリア4への経路上の上空に無人飛行体1を移動させて、無人飛行体1の飛行動作により巻き起こる風3を経路に当てることで、不審者2が進入阻止エリア4に移動することを抑制できる。
なお、本実施の形態1では、進入阻止エリア4と不審者2との間の位置を、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの直線上、又は、経路上で、かつ、不審者2の位置から所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置としたが、当該直線上、又は、当該経路上の任意の位置を不審者2の移動を阻止する位置としてもよい。例えば、当該直線(具体的には不審者2の位置と進入阻止エリア4内の点とを結ぶ線分)、又は、当該経路の中点となる位置を不審者2の移動を阻止する位置としてもよい。また、別の例として、進入阻止エリア4から所定距離だけ離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置としてもよい。例えば、進入阻止エリア4付近に無人飛行体1を移動させ、不審者2の進入阻止エリア4への進入を阻止してもよい。不審者2の移動に伴い、不審者2の移動を阻止する位置も変更する場合、進入阻止エリア4から当該位置までの距離が大きいほど、無人飛行体1が移動する距離も大きくなり、無人飛行体1のバッテリの消耗が大きくなってしまうが、無人飛行体1を進入阻止エリア4の付近で待機させながら進入阻止エリア4へ近づく不審者2の進入を阻止することで、無人飛行体1が移動する距離が小さくて済み、無人飛行体1のバッテリの消耗を抑えることができる。
また、別の例として、無人飛行体1の移動先は、上記直線上又は上記経路上のうち経路幅が最も狭い位置であってもよい。例えば、経路幅が最も狭い位置は、扉部分であり、上記直線、又は、上記経路が、扉を介して複数の部屋に跨る場合、扉の前、もしくは、扉の後となる位置を不審者2の移動を阻止する位置としてもよい。なお、無人飛行体1の移動先は、完全に上記最も狭い位置でなくてもよく、当該位置付近であってもよい。これについて図6を用いて説明する。
図6は、不審者2から進入阻止エリア4までの経路の他の一例を示す俯瞰図である。図6では、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの経路を破線で示しており、この経路上にある部屋6Aと部屋6Bとの間にある扉7から不審者2側に、進入阻止エリア4から所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置として星印で示している。これにより、経路幅の狭い部分において、不審者2の移動を阻止することになるので、不審者2の移動を阻止しやすくなる。なお、ここでは、経路幅の狭い場所として、扉のある所について説明したが、扉以外のところであってもよい。例えば、経路幅の狭い場所は、物が多く置いてある場所で動線が狭くなっている場所、廊下又は階段などであってもよい。経路幅が狭い場所についての情報は予め記憶部12に記憶されていてよい。また、ここでは、扉が1つの場合について説明したが、経路上に扉が複数ある場合にも本開示を適用できる。例えば、この場合、所定のルールに基づき、複数の扉のうちから1つの扉が選択されてもよい。所定のルールは、例えば、不審者2の存在する部屋にある扉を選択するルールであってもよい。これにより、無人飛行体1は、不審者2を進入阻止エリア4にできる限り近づけないようにすることができる。また別の例として、所定のルールは、無人飛行体1から最も近い扉を選択するルールであってもよい。これにより、無人飛行体1は、最短で、不審者2の移動を阻止する位置に移動することができる。また、別の例として、所定のルールは、最も経路幅が狭い扉を選択するルールであってもよい。これにより、無人飛行体1は、容易に不審者2の移動を阻止しやすくなる。
なお、不審者2の位置から進入阻止エリア4への経路上の上空に無人飛行体1を移動させ、無人飛行体1の飛行動作により巻き起こる風3を経路上に当てる際に、風3を経路の幅全体に当てるよう、無人飛行体1を経路の幅方向に往復させてもよい。これにより、無人飛行体1の飛行動作により巻き起こる風3が当たる範囲より経路の幅が広い場合であっても、当該経路における風3の当たっていない部分を不審者2に通過されてしまうことを防止できる。なお、不審者2の位置と無人飛行体1との距離が小さい場合には、無人飛行体1を経路の幅方向に往復させてしまうことにより、不審者2が、当該経路の幅方向における無人飛行体1が移動した側と反対側を通ってしまう可能性があるため、無人飛行体1を経路の幅方向に往復させる動きを停止する、もしくは、往復する距離を小さくする等してもよい。また、不審者2の位置と無人飛行体1の距離が小さい場合には、無人飛行体1は、不審者2の位置に応じて不審者2と対面するように飛行動作してもよい。また、無人飛行体1は、不審者2に無人飛行体1の移動動作が推測されないようにするために、往復する経路の幅をランダムに変更して移動してもよい。
なお、不審者2の移動を阻止するための飛行位置は、飛行高度も考慮された位置であってもよい。
例えば、不審者2の移動を阻止するための飛行位置の天井が低く、無人飛行体1が所定の飛行高度に移動できない場合は、所定のルールに基づいて、飛行位置を変更してもよい。例えば、無人飛行体1は、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの経路上で、かつ、不審者2の位置から所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置として決定する場合に、不審者2の移動を阻止する位置で、所定の飛行高度に移動できなかったときには、不審者2の位置から進入阻止エリア4までの経路に沿って移動し、所定の飛行高度に移動できる位置を探索してもよい。これにより、無人飛行体1は、不審者2の位置から進入阻止エリア4の経路上のいずれかの位置において、所定の飛行高度に移動できるので、不審者2の移動を阻止することができる。なお、無人飛行体1は、所定の飛行高度に移動できないエリアを予め記憶部12に記憶しておき、そのエリア外となるように不審者2の移動を阻止する位置を決定してもよい。
もしくは、所定の飛行高度に予めある程度の余裕を持たせて置き、無人飛行体1は、所定の飛行高度に移動できない場合は、その余裕の範囲において、飛行高度を調整してもよい。例えば、所定の飛行高度を2.5m、余裕を0.5mと設定しておき、無人飛行体1は、所定の飛行高度に移動できない場合は、飛行高度2m〜2.5mの範囲で移動できる位置を調整してもよい。
なお、本実施の形態1は、不審者2が静止している前提について説明したが、不審者2が移動する場合を想定し、無人飛行体1は、不審者2の位置を定期的に特定し、不審者2の位置と進入阻止エリア情報に基づき、不審者2による進入阻止エリア4への進入を阻止する位置を修正して、修正した位置に飛行制御してもよい。
なお、本実施の形態1は、進入阻止エリア情報が1つである場合について説明したが、進入阻止エリア情報が複数ある場合であってもよい。
進入阻止エリア情報が複数ある場合、例えば、各エリアに対して、不審者2に進入されたくない度合いを示す進入阻止レベル情報を設定しておき、無人飛行体1は、進入阻止レベル情報に基づき、どのエリアに対して不審者2の進入を阻止するかを決定してもよい。例えば、無人飛行体1は、不審者2のいるエリアより進入阻止レベルが高いエリアを抽出し、抽出したエリアに対する不審者2の進入を阻止する位置を決定してもよい。これにより、不審者2が、現在不審者2のいるエリアより進入阻止レベルが高いエリアに進入することを阻止できる。
ここで、飛行制御部114は、進入阻止レベルが高い進入阻止エリア4が複数ある場合、複数の進入阻止エリア4のうち不審者2の位置に応じた特定領域と不審者2との間に無人飛行体1を移動させてもよい。例えば、無人飛行体1は、不審者2の位置から最も近い進入阻止エリア4を1つ選定し、そのエリアに対して不審者2の進入を阻止する位置を決定してもよい。これにより、不審者2から最も近く、不審者2に進入されてしまうリスクが高いエリアについて、優先して不審者2の進入を阻止できる。さらに、不審者2から最も近い進入阻止エリア4であり、かつ、不審者2の位置が、当該エリアから所定距離内にある場合に、無人飛行体1は、当該エリアに対して不審者2の進入を阻止する位置を決定してもよい。これにより、不審者2の位置が、不審者2から最も近い進入阻止エリア4から所定距離内になった場合のみ、つまり、不審者2に進入されてしまうリスクが高まったときのみ、無人飛行体1が不審者2の進入を阻止する位置に移動するので、バッテリ消費を抑えられる。
また、無人飛行体1は、進入阻止レベルが高い進入阻止エリア4が複数ある場合、その中からいくつかのエリアに絞って(例えば、最も進入阻止レベルが高いエリアに絞って)、不審者2の進入を阻止する位置を決定してもよい。また、例えば、不審者2から遠いエリアに不審者2が移動するためには移動に時間がかかり、つまり、警備スタッフ等が駆け付けるための時間がかかる。このため、無人飛行体1は、不審者2から最も近いエリアに絞って、不審者2の進入を阻止する位置を決定してもよい。無人飛行体1が1台で対応できる範囲には限界があり、複数の進入阻止エリア4のすべてに対して対応するように動作すると、それに伴ってバッテリ消費が早くなり、結果的にバッテリ切れですべてのエリアに対して進入を阻止できなくなる場合が考えられるためである。
また、無人飛行体1は、進入阻止エリア情報が複数ある場合、例えば、不審者2の移動履歴に基づき、不審者2がまだ移動していないエリアに対して、不審者2の進入を阻止する位置を決定してもよい。不審者2の移動履歴の情報は、例えば、対象エリアの壁又は床などに予め人感センサや監視カメラを設置しておき、それらの装置がセンシングした情報を無人飛行体1が取得することにより実現できる。無人飛行体1は、センシングされた情報を、通信部105を介して、それらの装置から直接取得してもよいし、サーバなどの外部装置を介して、取得してもよい。これにより、不審者2がまだ進入していないエリアに対して、不審者2が進入することを阻止することができる。
なお、無人飛行体1は、不審者2の移動履歴だけでなく、対象エリアにある金庫などに設けられた開閉センサの情報に基づき、不審者2の進入を阻止したいエリアを決定し、そのエリアに対して、不審者2の進入を阻止する位置を決定してもよい。例えば、無人飛行体1は、不審者2の進入を阻止したいエリアにある金庫がまだ開けられていないと判断した場合は、そのエリアに対して、不審者2の進入を阻止する位置を決定してもよい。これにより、金庫を開けたか否かの情報に基づき、対象エリアに対して、不審者2の進入を阻止することができる。なお、金庫の開閉は金庫の開閉センサだけでなく、金庫のある対象エリアでの不審者2の滞在時間により、金庫の開閉が推定されてもよい。なお、貴重品が不審者2により持ち出されたか否かを検知する方法として、金庫の開閉を用いる方法は一例であり、これに限らない。例えば、カメラの画像認識により、不審者2が貴重品を持ち出したか否かが検知されてもよい。
なお、本実施の形態1では、無人飛行体1は、不審者2を特定した後、即座に、不審者2の進入を阻止する位置を決定して移動するが、他のタイミングにより、不審者2の進入を阻止する位置を決定して移動してもよい。例えば、無人飛行体1は、不審者2を特定した後、まずは、不審者2の証拠を残すため、不審者2を撮影する処理を行い、その後、不審者2の進入を阻止する位置を決定して移動してもよい。これにより、不審者2の証拠を残すと共に不審者2の進入を阻止することができる。不審者2を撮影する処理は、所定期間撮影する処理であってもよいし、不審者2の一部、例えば顔などを撮影できたことを検知するまで撮影する処理であってもよい。
また、飛行制御部114は、不審者2の位置が進入阻止エリア4から所定距離内にある場合のみ、無人飛行体1を移動先(不審者2の移動を阻止する位置)に移動させてもよい。具体的には、無人飛行体1は、不審者2が、進入阻止エリア情報で示されるエリアに接近したと判断した場合に、不審者2の進入を阻止する位置を決定して移動してもよい。これにより、不審者2の位置から進入阻止エリア情報で示されるエリアまでの距離が遠く、不審者2に進入されるリスクが大きくない場合は、無人飛行体1は、不審者2の進入を阻止する位置を決定して移動する処理を行わないため、バッテリ消費を抑えることができる。特に、無人飛行体1のバッテリ残量が少ないときに、無人飛行体1がこのような処理を行うことは効果的である。このことから、無人飛行体1のバッテリ残量に応じて、このような処理を行うようにしてもよい。また、無人飛行体1のバッテリ残量に応じて、不審者2が進入阻止エリア4に接近したとみなす距離を変更する構成であってもよい。例えば、無人飛行体1は、バッテリ残量が多いときは、不審者2と進入阻止エリア4までの距離が10m以内になったときに、不審者2が進入阻止エリア4に接近したとみなし、一方で、バッテリ残量が少ないときは、不審者2と進入阻止エリア4までの距離が5m以内になったときに、不審者2が進入阻止エリア4に接近したとみなしてもよい。
なお、警備スタッフが現場に駆け付けるまでの間、不審者2の進入阻止エリア4への進入を阻止するため、無人飛行体1は、警備スタッフが現場に駆け付けるまでの時間、及び、バッテリ残量に基づき、本開示を適用するかどうかを決定してもよい。例えば、バッテリ残量が少ないが、あと10分後に警備スタッフが到着する場合は本開示を適用するが、バッテリ残量が少ないが、あと1分後に警備スタッフが到着するのである場合は本開示を適用しないようにしてもよい。なお、警備スタッフが現場に駆け付ける時間は、不審者2が建物に進入したことが検知されてから所定時間としてもよいし、無人飛行体1が、警備スタッフが有する携帯端末の位置を取得し、携帯端末の位置から現場までの距離と警備スタッフの移動速度から算出した所要移動時間としてもよい。
なお、本実施の形態1では、不審者2による進入阻止エリア4への進入を阻止する場合について説明したが、不審者2が進入した建物から逃走することを阻止する場合についても、本開示を同様に適用できる。この場合、建物外が進入阻止エリア4であるとすれば、不審者2による進入阻止エリア4(建物外)への進入を阻止することは、不審者2が当該建物から逃走することを阻止することを意味する。不審者2が進入した建物から逃走することを阻止することにより、現場に駆け付けた警備スタッフ又は警察が、不審者2を取り押さえることができる。無人飛行体1は、不審者2が進入した建物から逃走することを阻止する場合は、不審者2が建物の外に出ることが可能な出入口又は窓の外を進入阻止エリア4とし、当該進入阻止エリア4に進入(つまり移動)するのを阻止する。なお、建物の出入口又は窓の位置は、例えば予め記憶部12に記憶される。なお、警備スタッフ又は警察が建物に到着した場合、警備スタッフ又は警察が建物に入るのに利用する出入口に対しては、無人飛行体1は、不審者2が移動するのを阻止しないよう変更してもよい。
なお、不審者2が建物に進入した場合に、無人飛行体1は、建物内の進入阻止エリア4に不審者2が進入することを阻止するのか、もしくは、不審者2が進入した建物から逃走してしまうこと(言い換えると、建物外の進入阻止エリア4に不審者2が進入すること)を阻止するのかのいずれの動作を行うかは、ユーザにより予め設定されてもよい。
また、所定のルールに基づき、無人飛行体1は、進入阻止エリア4に不審者2が進入することを阻止するのか、もしくは、不審者2が進入したエリアから逃走してしまうことを阻止するのかを動的に変更してもよい。所定のルールは、例えば、予めユーザにより設定されたルールである。所定のルールの一例としては、例えば、不審者2が建物に進入したことを検知してからの期間が所定期間になるまでは、不審者2が進入阻止エリア4に進入することを阻止し、所定期間以降は、不審者2が進入した建物から逃走してしまうことを阻止するというルールであってもよい。不審者2が建物に進入したことを検知してから、警備スタッフ又は警察が現場に駆け付けるまでには時間がかかってしまうため、警備スタッフ又は警察が現場にいないにもかかわらず、不審者2が進入した建物から逃走してしまうことを阻止するようにしても不審者2を取り押さえることができない。これに対して、不審者2が建物に進入したことを検知してから所定期間経過した場合に警備スタッフ又は警察が現場に近づいたとみなし、不審者2が進入した建物から逃走してしまうことを阻止するようするので、不審者2を取り押さえることにつなげることができる。なお、不審者2が進入したことを検知してからの期間が所定期間経過したことにより、警備スタッフ又は警察が現場に近づいたとみなしたが、これに限らない。例えば、無人飛行体1が警備スタッフ又は警察などが有する携帯端末の位置を取得し、無人飛行体1の近くに来たことを検知したときに、警備スタッフ又は警察が現場に近づいたとみなしてもよい。
また、所定のルールの別の例としては、例えば、不審者2の移動履歴に応じて不審者2が進入阻止エリア4へまだ進入していない場合、進入阻止エリア4に進入することを阻止し、不審者2が進入阻止エリア4へすでに進入している場合、不審者2が進入した建物から逃走してしまうことを阻止するというルールであってもよい。具体的には、無人飛行体1は、不審者2が進入阻止エリア4に入ったかどうかにより、不審者2が、貴重品などを盗ったかどうかを判定し、その結果に基づき、不審者2が進入阻止エリア4に進入することを阻止するのか、不審者2が進入した建物から逃走してしまうことを阻止するのかを行う。これにより、不審者2が貴重品などを既に盗って逃げようとしているにもかかわらず、不審者2が進入阻止エリア4に進入することを阻止しようとする動作を無人飛行体1が行って、不審者2が容易に建物から逃走できてしまうことを防止できる。なお、不審者2の移動履歴により、不審者2が貴重品などを盗ったか否かが判断されたが、これに限らない。例えば、貴重品の入っている金庫などの開閉の履歴に応じて、不審者2が貴重品を盗ったかどうかが判断されてもよい。この場合、無人飛行体1は、金庫の開閉センサの情報を取得する。なお、無人飛行体1は、金庫の開閉がなされたかどうかを金庫周辺の不審者2の滞在時間に基づいて判断してもよい。この場合、開閉センサを用いず、不審者2の移動履歴のみを用いて金庫の開閉がなされたかどうかを判断することを実現できる。
なお、本実施の形態1では、進入阻止エリア4が予め決まっている場合について説明したが、進入阻止エリア4が状況に応じて変化する場合であっても本開示を適用できる。例えば、無人飛行体1は、最初に進入阻止エリア4を特定し、特定した進入阻止エリア4に対して、不審者2が進入阻止エリア4に進入するのを阻止する位置を決定する。進入阻止エリア4が状況に応じて変化する場合とは、例えば、不審者2が進入する建物が住居の場合に、住人がいる部屋を進入阻止エリア4とするときであり、不審者2が住人に危害を及ぼすことを防止するため、住人がいる部屋に応じて不審者2が進入することを阻止する進入阻止エリア4が変化する。住人が住居のどこの部屋にいるかを特定する方法としては、例えば、無人飛行体1が住居の各部屋に予め設置された人感センサから情報を取得することにより、住人がいる部屋を推定することが考えられる。なお、人感センサの代わりに部屋に設置している家電機器又は照明を用いて、それらの機器の状況により、住人がいる部屋が推定されてもよい。また、無人飛行体1は、サーバなどを介して、人感センサなどの情報を取得してもよい。また、サーバが、取得した人感センサなどの情報に基づき、住人がどの部屋にいるかを特定してもよく、この場合、無人飛行体1は、サーバから、住人がどの部屋にいるかの情報を取得してもよい。なお、無人飛行体1が、不審者2の進入を阻止しようとするエリア又は方向に関する情報を住人に通知してもよい。これにより、住人は、無人飛行体1が不審者2の進入を阻止していないエリアに移動することを控えるようにすることができる。住人への通知は、例えば、住人の有する携帯端末又は住人のいる部屋にある機器へ直接、又は、サーバを介して通知される。なお、住人が他の部屋に移動することも考えられるため、定期的に住人のいる位置が確認され、進入阻止エリア4が見直されてもよい。
なお、本実施の形態1では、無人飛行体1自身が不審者2を特定する例について説明したが、管理者等により指定された人が不審者2として特定されてもよい。例えば、無人飛行体1が、自機に搭載したカメラで撮影した映像を通信部105を介して、遠隔にいるユーザの端末に送信し、ユーザがその映像を確認し、映像の中に含まれる人を指定することで、その指定した人を不審者2として特定してもよい。この場合、無人飛行体1は、ユーザの端末から、ユーザが指定した人に関する情報を取得する。
なお、本実施の形態1では、無人飛行体1が予め設定した所定のルートを自律的に飛行して巡回し、不審者2を特定する例を説明したが、無人飛行体1を用いて、不審者2を特定できれば、これに限らない。
例えば、操縦者が、無人飛行体1を遠隔で操縦して、監視対象エリアを監視しているときに、不審者2を特定してもよい。この場合、不審者2を特定した後、無人飛行体1が自律的に飛行するモードに切り替わり、不審者2の進入阻止エリア4への進入を阻止する位置まで自律的に移動する。
また、無人飛行体1を所定の場所でホバリングさせて監視対象エリアを監視して、その監視中に不審者2を特定してもよい。
また、外部の装置によって指定された位置に向かって無人飛行体1を移動させ、その移動中、又は、指定された位置に到着してからの監視中に不審者2を特定してもよい。
なお、無人飛行体1の制御部11の処理の一部又は全てがサーバなどの外部装置により実施されてもよい。この場合、無人飛行体1は、制御部11で必要となるデータを通信部105を介して、外部装置に送信し、外部装置で処理したデータを受信する。また、記憶部12に記憶する情報の一部又は全てがサーバなどの外部装置で記憶されてもよい。この場合、無人飛行体1は、通信部105を介して外部装置に記憶するデータを送信し、外部装置からデータを受信することで必要なデータの読み出しを行う。
なお、本実施の形態1では、無人飛行体1が単体で不審者2が進入阻止エリア4へ移動するのを抑制する場合について説明したが、複数の無人飛行体1が連携して本開示の処理を行ってもよい。例えば、複数の無人飛行体1として、2つの無人飛行体A及びBを例に説明する。例えば、無人飛行体Aが、不審者2を特定し、進入阻止エリア4への移動を阻止する位置を決定し、その位置の最も近くにある別の無人飛行体Bに対して、進入阻止エリア4への移動を阻止する位置に移動するよう要請する。この場合、無人飛行体Aの要請を受けた無人飛行体Bは、不審者2の進入阻止エリア4への移動を阻止する位置に移動して、所定の高度で飛行動作を行う。これにより、不審者2の進入阻止エリア4への移動を抑制できる。また、進入阻止エリア4への移動を阻止する位置から最も近い無人飛行体Bにその位置に移動させるので、進入阻止エリア4への移動を阻止する位置に無人飛行体1を最短で移動させることができる。
また、複数の無人飛行体1が用いられる場合に、進入阻止エリア4が複数あるときには、各進入阻止エリア4への移動を阻止する位置がそれぞれ決定され、各位置に対して無人飛行体1が移動させられてもよい。これにより、複数の進入阻止エリア4に対して、不審者2の進入を阻止することができる。
また、別の例として、無人飛行体1毎に役割を割り当てておき、役割に応じて各無人飛行体1が連携してもよい。例えば、2つの無人飛行体C及びDを例として説明する。例えば、巡回飛行を行い、人を検知して、不審者2か否かを判断し、進入を阻止したいエリアへの移動を阻止する位置を決定する役割を持つ無人飛行体Cと、実際に進入を阻止したいエリアへの移動を阻止する位置に移動する役割を有する無人飛行体Dとが連携してもよい。これにより、各無人飛行体1は、自身に割り当てられたタスクを行うだけでよく、各無人飛行体1が複雑な処理をしなくてすむようにできる。
なお、無人飛行体1が不審者2の移動阻止位置を決定したが、無人飛行体1と離れた位置にいる監視者等によって、移動阻止位置が決定されてもよい。
例えば、無人飛行体1は、不審者2を特定した後、無人飛行体1及び不審者2の位置をそれぞれ監視者等の端末に通知し、これらの位置情報と進入阻止エリア4についての情報とを当該端末に表示させ、監視者等はこれらを見て移動阻止位置を決定してもよい。この際、不審者2から進入阻止エリア4までの経路が合わせて表示されてもよい。これにより、監視者等によって当該経路上の位置を指定できる。また、当該経路のうち、経路幅が所定幅よりも小さい個所又は扉等が合わせて表示されてもよい。これにより、監視者等によって当該経路上の経路幅が狭い位置を指定できる。
なお、経路を幅方向に往復移動させるかを選択できる選択肢が監視者等の端末に表示されてもよい。
なお、移動阻止位置において無人飛行体1が指定された高度に移動できなかった場合に、その旨が監視者等の端末に表示されてもよい。この際に、例えば無人飛行体1等が測定した移動阻止位置の飛行可能高度が合わせて表示されてもよい。これにより、無人飛行体1の飛行高度を調整できる。
なお、不審者2の位置が変わった場合に、移動阻止位置を変更するか否かが監視者等に問い合わせられてもよい。
なお、進入阻止エリア4が複数存在する場合、監視者等がこれらのエリアのうちのどのエリアへの不審者2の進入を阻止するのかを選択できるように監視者等の端末に表示されてもよい。この際、監視者等による選択を支援するために、進入阻止レベル又は不審者2の移動履歴(例えば、不審者2がすでに進入したエリアであるか等の履歴)等の情報が合わせて表示されてもよい。
なお、無人飛行体1が不審者2を特定した後、不審者2の撮影を行うか、不審者2の移動を阻止するかを選択できる表示がされてもよい。また、不審者2の移動の阻止として、不審者2の進入の阻止を行うか、逃亡の阻止を行うかを選択できる表示がされてもよい。この際、不審者2が進入してからの経過時間又は現場に駆け付ける現場スタッフの情報(例えば現場スタッフの位置情報、又は、現場スタッフの現場への到着時間)等が監視者等の選択を支援するために表示されてもよい。
なお、進入阻止エリアの種別(例えば、貴重品があるところか、人がいるところか等)に応じて異なる態様の表示がされてもよい。これにより、どちらを優先させるかを選択できる。
なお、無人飛行体1が決定した移動阻止位置が監視者等の端末に通知されてもよい。
なお、各場所と移動阻止位置との対応関係が予め規定されていてもよく、無人飛行体1は、不審者2を特定した場合、特定した不審者2の位置と上記対応関係とに基づいて移動阻止位置を決定してもよい。
(効果)
以上、本開示の実施の形態1によれば、無人飛行体1は、不審者2を特定した後、不審者2の位置から進入阻止エリア4への経路の上空に移動して、その位置で飛行動作を行うことで、不審者2が進入阻止エリア4へ向かう経路上に風3を巻き起こすので、無人飛行体1に新たな装置を搭載することなく、不審者2が自由に移動することを抑制できる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、無人飛行体が、不審者2を特定した後、不審者2が移動しようとする方向(移動方向とも呼ぶ)を推定し、その推定した方向に不審者2に先回りして移動し、その位置で飛行動作して風3を巻き起こすことで、不審者2がその方向に移動しようとすることを抑制する場合の例について説明する。
図7は、本開示の実施の形態2における無人飛行体1Aの構成を示すブロック図である。図7では、図2と同様の要素には、同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
図7に示す無人飛行体1Aは、図2に示す無人飛行体1に対して、制御部11の代わりに制御部11Aを備える。制御部11Aは、制御部11に対して、さらに不審者移動方向推定部115を備え、移動阻止位置決定部113の代わりに移動阻止位置決定部113Aを備える。その他の点については、実施の形態1におけるものと同じであるため説明は省略する。
なお、実施の形態2では、人検知センサ部100は、不審者2を撮影するカメラを含む。当該カメラは、夜間撮影可能な赤外線カメラなどであってもよい。
不審者移動方向推定部115は、人検知センサ部100で撮影された不審者2の撮影画像から、不審者2が移動しようとする方向を推定する。本実施の形態2では、例えば、不審者2の撮影画像から、人の正面方向が検知され、その方向を不審者2が移動しようとする方向とみなされる。人の正面方向の特定は、不審者2の撮影画像から、不審者2の頭部をパターン認識し、不審者2の顔がどちらの方向に向いているかを推定することによって行われる。なお、本実施の形態2では、不審者2の顔の向きを用いて、不審者2の向きを特定する例を説明するが、人の顔以外の部分を用いて人の向きが特定されてもよい。例えば、体全体の向き又は足の向きなどを用いて人の向きが特定されてもよい。また、人の服装を用いて、人の向きが特定されてもよい。
なお、本実施の形態2では、不審者2の撮影画像から、正面方向を推定することで、不審者2の移動方向が推定されたが、これに限らない。例えば、不審者2の位置が測定され、不審者2の位置の変化に基づき、不審者2が現在進んでいる方向が推定され、その方向を不審者2の移動方向としてもよい。ただし、不審者2が移動している場合であれば、不審者2の移動方向を推定できるが、不審者2が静止していると、不審者2の移動方向を推定できない。そこで、不審者2が移動している場合は、撮影画像を用いずに不審者2の移動方向の推定が行われ、不審者2が静止している場合は、不審者2の撮影画像から、不審者2の正面方向を推定することで、不審者2の移動方向が推定されてもよい。
移動阻止位置決定部113Aは、不審者2の位置、及び、不審者移動方向推定部115により推定された不審者2の移動方向に基づき、不審者2の移動を阻止する位置を決定する。例えば、移動阻止位置決定部113Aは、不審者2の位置から、不審者移動方向推定部115により推定された不審者2の移動方向に所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置に決定する。不審者2の位置からどれぐらいの距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置に決定するかは、予め決定されてもよいし、状況に応じて決定されてもよい。状況に応じて決定する場合について図8Aを用いて説明する。
図8Aは、不審者2の移動速度と無人飛行体1Aが不審者2から離れる距離との対応関係の一例を示す表である。
例えば、不審者2の移動速度に応じて、無人飛行体1Aが不審者2の位置からどれぐらいの距離を離れるか決定することが考えられる。不審者2の移動速度が大きい場合に、無人飛行体1Aの移動先が現状の不審者2の位置から近いと、無人飛行体1が当該移動先へ到着したときにはすでに不審者2が当該移動先を通り越してしまっている場合がある。そこで、不審者2の移動速度に応じて不審者2の位置からの距離を大きくとるようにすることで、不審者2の移動速度が大きい場合であっても、不審者2の移動を阻止することができる。図8Aは、不審者2の移動速度に応じて、不審者2からどれぐらいの距離を離れるかの例を示す。図8Aでは、不審者2の移動速度が大きくなると、不審者2から離れる距離が段階的に大きくなっている。これは一例であり、不審者2から離れる距離を段階的に大きくするのではなく、連続的に大きくしてもよい。
また、状況に応じて決定する場合の別の例として、図8Bを用いて説明する。
図8Bは、無人飛行体1Aと不審者2との間の距離と、無人飛行体1Aが不審者2から離れる距離との対応関係の一例を示す表である。
例えば、現状の無人飛行体1Aから不審者2までの距離に応じて、無人飛行体1Aが現状の不審者2の位置からどれぐらいの距離離れるかを決定することが考えられる。不審者2の移動を阻止する位置まで無人飛行体1Aは移動する必要があるので、その移動時間を考慮に入れて、不審者2の位置からどれぐらいの距離離れた位置にするかを決定することが好ましい。ただし、これは、不審者2が無人飛行体1Aと離れるように移動している場合に適用できる。図8Bは、無人飛行体1Aと不審者2との間の距離に応じて、無人飛行体1Aが不審者2からどれぐらいの距離を離れるかの例を示す。図8Bでは、無人飛行体1Aと不審者2との間の距離が大きくなると、不審者2から離れる距離が段階的に大きくなっている。これは一例であり、不審者2から離れる距離を段階的に大きくするのではなく、連続的に大きくしてもよい。なお、ここでは、無人飛行体1Aから不審者2までの距離(最短距離)を対象としたが、無人飛行体1Aから不審者2までの経路を対象とし、その移動経路の距離(つまり道のり)を対象としてもよい。また、無人飛行体1Aから不審者2までの距離の代わりに、移動所要時間に応じて無人飛行体1Aが現状の不審者2の位置からどれぐらいの距離を離れるかが決定されてもよい。
なお、不審者2の移動速度、及び、無人飛行体1Aから不審者2までの距離の両方を考慮に入れて、不審者2の位置からどれぐらいの距離離れた位置を移動先にするかを決定してもよい。
図9は、実施の形態2における無人飛行体1Aが不審者2の移動を阻止する処理の流れを示すフローチャートである。具体的には、図9は、本実施の形態2における無人飛行体1Aが、不審者2の移動方向に先回りして、不審者2の移動を抑制する動作を行う処理の流れを示すフローチャートを示した図である。図9では、図5と同様の要素には、同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
図9に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートに対して、ステップS11、及び、ステップS12の処理が異なる。
無人飛行体1Aが、不審者2を検知し、不審者2の位置を特定した後、不審者移動方向推定部115は、不審者2の移動方向を推定する(ステップS11)。本実施の形態2では、不審者移動方向推定部115は、人検知センサ部100で撮影された不審者2の撮影画像から、人の正面方向を検知し、その方向を不審者2が移動しようとする方向と推定する。人の正面方向の特定は、不審者2の撮影画像から、不審者2の頭部をパターン認識し、不審者2の顔がどちらの方向に向いているかを推定することによって行われる。なお、本実施の形態2では、不審者2の顔の向きを用いて、不審者2の向きを特定する例を説明するが、人の顔以外の部分を用いて人の向きが特定されてもよい。例えば、体全体の向き又は足の向きなどを用いて人の向きが特定されてもよい。
次に、移動阻止位置決定部113Aは、不審者2の位置、及び、不審者移動方向推定部115により推定された不審者2の移動方向に基づき、不審者2の移動を阻止する位置を決定する(ステップS12)。本実施の形態2では、移動阻止位置決定部113Aは、不審者2の位置から、不審者移動方向推定部115により推定された不審者2の移動方向に所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置として決定する。
そして、飛行制御部114は、移動阻止位置決定部113Aで決定した位置に無人飛行体1Aを移動させ、その位置で飛行動作することにより、風3を巻き起こす。
以上の処理により、不審者2が移動しようとする方向に無人飛行体1Aを先回りさせ、その位置で飛行動作を行うことで風3を巻き起こすので、不審者2が、移動しようとする方向へ移動するのを抑制できる。
なお、無人飛行体1Aは、さらに、不審者2の移動を阻止する位置を更新してもよい。例えば、無人飛行体1Aは、不審者2の移動を阻止する位置への移動中に、定期的に不審者2の移動を阻止する位置を更新してもよい。ここで定期的とは、所定時間が経過する毎、所定距離移動する毎、又は、所定時刻毎という意味である。これにより、不審者2が移動方向を変更したり、不審者2の移動速度を変更したりした場合であっても、無人飛行体1Aは、不審者2の移動を抑制する位置に適切に移動することができる。
なお、本実施の形態2では、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制する例について説明したが、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向が所定エリアへの方向である場合に、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制してもよい。
例えば、飛行制御部114は、不審者2と進入阻止エリア4との位置関係及び不審者2の移動しようとする方向に基づいて、進入阻止エリア4と不審者2との間に無人飛行体1Aを移動させてもよい。具体的には、飛行制御部114は、不審者2の移動しようとする方向が、実施の形態1で説明した進入阻止エリア4へ移動しようとする方向である場合にのみ、進入阻止エリア4と不審者2との間に無人飛行体1Aを移動させ、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制してもよい。なお、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向に不審者2の位置から進入阻止エリア4までの経路があった場合に、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制してもよい。
また、別の例としては、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向が、不審者2を誘導したいエリア以外の方向であった場合に、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制してもよい。なお、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向に不審者2の位置から誘導したいエリアまでの経路がない場合に、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制してもよい。
これにより、無人飛行体1Aは、所定の条件に合致したときのみ、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制するので、バッテリ消費を抑えられる。
さらに、無人飛行体1Aのバッテリ消費を抑えるために、不審者2が所定の範囲にいる場合で、かつ、不審者2の移動しようとする方向が所定のエリアへの方向の場合に、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制してもよい。例えば、不審者2が進入阻止エリア4の近くに位置し、不審者2の移動しようとする方向が進入阻止エリア4への方向であった場合にのみ、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制してもよい。
また、無人飛行体1Aのバッテリ消費を抑えるために、不審者2が所定エリア内にいる間にのみ、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制する処理を行ってもよい。例えば、不審者2が、当該所定エリアとして、貴重品がある部屋に通じるエリアに位置する場合にのみ、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制する処理を行ってもよい。
なお、本実施の形態2では、無人飛行体1Aは、不審者2の移動しようとする方向を推定し、その推定した方向に基づいて、不審者2の移動を阻止する位置を決定する例について説明したが、これに限らない。例えば、飛行制御部114は、不審者2の移動しようとする方向に不審者2が実際に移動した場合にのみ、進入阻止エリア4と不審者2との間に無人飛行体1を移動させてもよい。つまり、無人飛行体1Aは、不審者2が実際に移動している方向を特定し、その方向に基づいて、不審者2の移動を阻止する位置を決定してもよい。不審者2が実際に移動している方向は、時間間隔をあけて2回以上測定された不審者2の位置の変化に基づき特定できる。これにより、無人飛行体1Aは、不審者2が実際に移動している方向に先回りするので、不審者2の移動を抑制することができる。
なお、本実施の形態2で説明したように、不審者2の移動しようとする方向を推定し、その推定した方向に基づいて、不審者2の移動を阻止する位置を決定する場合、不審者2が実際にその方向に移動するかどうかはわからないため、不審者2がその方向に移動しなければ、無人飛行体1Aが不審者2の移動を阻止する位置に移動する処理が無駄になってしまう場合がある。一方で、不審者2が実際に移動する前に無人飛行体1Aが不審者2の移動を阻止する位置に移動することで、不審者2の移動を未然に防止できるという利点がある。
なお、本実施の形態2では、不審者2の位置から、不審者2の移動方向に所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置に決定する例について説明したが、不審者2の位置から、不審者2の移動方向にある位置であれば、他の位置であってもよい。
例えば、不審者2の移動しようとする方向が、実施の形態1で説明した進入阻止エリア4への方向であった場合に、不審者2の移動しようとする方向への移動を抑制するときには、無人飛行体1Aは、不審者2の位置から所定距離離れた位置ではなく、進入阻止エリア4から所定距離離れた位置を不審者2の移動を阻止する位置に決定してもよい。
なお、不審者2の移動しようとする方向への移動を幅広く抑制するため、不審者2の移動を阻止する位置の周辺を飛行し、その位置の周辺に風3を巻き起こすようにしてもよい。これについて、図10A及び図10Bを用いて説明する。
図10Aは、実施の形態2における無人飛行体1Aが不審者2の移動を阻止する位置の周辺を飛行する際の飛行方向の一例を示す図である。図10Bは、実施の形態2における無人飛行体1Aが不審者2の移動を阻止する位置の周辺を飛行する際の飛行エリアの一例を示す図である。図10A及び図10Bは、不審者2の移動を阻止する位置の周辺を無人飛行体1Aが飛行する際のイメージの例を俯瞰的に示す図である。図10Aは、黒丸で示す不審者2が、矢印10の方向に移動しようとしている場合に、菱形で示す位置8への不審者2の移動を阻止する位置を中心に、無人飛行体1Aが両矢印9Aのように左右に往復して飛行するイメージの例を示している。図10Bは、黒丸で示す不審者2が、矢印10の方向に移動しようとしている場合に、菱形で示す位置8を中心に、無人飛行体1Aが斜線で示されるエリア9B内を飛行するイメージを示している。なお、図10A及び図10Bで示した例は一例であり、無人飛行体1Aが不審者2の移動を阻止する位置の周辺を飛行するのであれば、無人飛行体1Aの飛行方法はこれに限らない。
これにより、不審者2の移動しようとする方向における経路上で幅広く風3を巻き起こすことができ、不審者2の移動しようとする方向への移動を幅広く抑制できる。
(効果)
以上、本開示の実施の形態2によれば、無人飛行体1Aが、不審者2の移動しようとする方向を推定し、その方向に先回りして移動し、その位置で飛行動作することで風3を巻き起こすことにより、不審者2が移動しようとする方向に移動することを抑制できる。
なお、不審者2の移動方向の推定を監視者等が行ってもよい。
例えば、無人飛行体1Aは、不審者2の撮影により得られる情報(画像等)を監視者等の端末に通知し、監視者等は当該情報に基づいて不審者2が移動しようとする方向を推定してもよい。
なお、監視者等は、不審者2がどの方向に移動する場合に、無人飛行体1Aに不審者2の移動を抑制する動作を行わせるかを決定してもよい。この際、監視者等がどの方向を選択すべきかを支援するために、不審者2の位置及び無人飛行体1Aの位置に加え、進入阻止エリア4又は誘導させたいエリア等の情報が合わせて監視者等の端末に表示されてもよい。
なお、監視者等が、無人飛行体1Aに不審者2の移動を抑制する動作を行わせるかを判断しやすくするために、無人飛行体1Aのバッテリの状況が合わせて表示されてもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、無人飛行体が、不審者2の移動を阻止する位置に移動し、さらに、不審者2が無人飛行体に接近してきた場合に、飛行動作により巻き起こる風3を不審者2に当てるように風3を制御する例について説明する。
図11は、実施の形態3における無人飛行体1Bの構成を示すブロック図である。図11では、図2と同様の要素には、同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
図11に示す無人飛行体1Bは、図2に示す無人飛行体1に対して、制御部11の代わりに制御部11Bを備える。制御部11Bは、制御部11に対して、さらに不審者接近判定部116及び風制御部117を備える。その他の点については、実施の形態1におけるものと同じであるため説明は省略する。
不審者接近判定部116は、不審者2が無人飛行体1Bに接近しているか否かを判定する。具体的には、不審者接近判定部116は、測距部101を用いて測定した無人飛行体1Bから不審者2までの距離が所定距離より小さいと判断した場合に、不審者2が無人飛行体1Bに接近していると判断し、所定距離以上の場合は、不審者2が無人飛行体1Bに接近していないと判断する。
風制御部117は、不審者2が無人飛行体1Bに接近している場合、無人飛行体1Bの飛行により発生する風3が不審者2に当たるように無人飛行体1Bを制御する送風制御を実行する飛行制御部の一例である。風制御部117は、無人飛行体1Bの飛行動作に伴い巻き起こる風3を制御する。具体的には、無人飛行体1Bのプロペラの回転数を制御することにより、無人飛行体1Bの位置及び姿勢を制御し、それによって巻き起こる風3の強さ又は向きを制御する。また、無人飛行体1Bと風3を当てる対象までの距離を制御し、風3を当てる対象に対する風3の当たる強さを制御する。
本実施の形態3では、4つのプロペラを有する無人飛行体1Bを例に、その飛行動作に伴い巻き起こる風3について図12A〜図12Dを用いて説明する。このような無人飛行体1Bは、プロペラを回転することで、機体の垂直下方向に風3を巻き起こすことができる。無人飛行体1Bは、プロペラの回転数を制御することで、移動方向を変えたり、機体の傾きを変えたりすることができ、これを利用して、風3の向き又は強さを制御することができる。
図12A〜図12Dは、実施の形態3における無人飛行体1Bの飛行動作で巻き起こす風3の特徴の一例を示す図である。図12A〜図12Dは、無人飛行体1Bが空中で静止するように飛行している状況から各プロペラの回転数を変化させたときの無人飛行体1Bの移動方向、機体の傾き、及び、それに伴い巻き起こす風3の特徴を示している。
図12Aは、4つのプロペラの全ての回転数を上げた場合の無人飛行体1Bの動きとそれに伴い発生する風3の特徴を示す。4つのプロペラの全ての回転数を上げることにより、無人飛行体1Bは、垂直上方向に移動する。このときに巻き起こる風3は、回転数を上げる前に比べて強くなる。
図12Bは、4つのプロペラの全ての回転数を下げた場合の無人飛行体1Bの動きとそれに伴い発生する風3の特徴を示す。4つのプロペラの全ての回転数を下げることにより、無人飛行体1Bは、垂直下方向に移動する。このときに巻き起こる風3は、回転数を下げる前に比べて弱くなる。
図12Cは、4つのプロペラのうち、左側に位置する例えば2つのプロペラの回転数を下げ、右側に位置する例えば2つのプロペラの回転数を上げた場合の無人飛行体1Bの動きとそれに伴い発生する風3の特徴を示す。左側の2つのプロペラの回転数を下げ、右側の2つのプロペラの回転数を上げることにより、無人飛行体1Bの機体は右側が左側より高くなるように傾き、その状態で左側に移動する。このときに巻き起こる風3の向きは、機体の傾きによって、機体の右下となる。
図12Dは、4つのプロペラのうち、右側に位置する例えば2つのプロペラの回転数を下げ、左側に位置する例えば2つのプロペラの回転数を上げた場合の無人飛行体1Bの動きとそれに伴い発生する風3の特徴を示す。右側の2つのプロペラの回転数を下げ、左側の2つのプロペラの回転数を上げることにより、無人飛行体1Bの機体は左側が右側より高くなるように傾き、その状態で右側に移動する。このときに巻き起こる風3の向きは、機体の傾きによって、機体の左下となる。
図13は、実施の形態3における無人飛行体1Bが不審者2の移動を阻止する処理の流れを示すフローチャートである。図13は、本実施の形態3における無人飛行体1Bが、不審者2の移動を阻止する位置に移動した後、不審者2が無人飛行体1Bに接近してきたときに、不審者2に風3を当てる動作を行う処理の流れを示すフローチャートを示した図である。
無人飛行体1Bは、不審者2の移動を阻止する位置に移動した後、その位置で飛行動作を行い、それに伴う風3を巻き起こす(ステップS21)。
次に、不審者接近判定部116は、測距部101を用いて不審者2と自機までの距離を測定し、不審者2と自機までの距離が所定距離より小さいかどうかを判定する(ステップS22)。本実施の形態3では、不審者2に風3を当てるようにするため、所定距離は、不審者2に風3を当てることが可能な距離に設定される。無人飛行体1Bの風3が届く距離は、飛行高度によって異なるため、不審者2の移動を阻止する位置で飛行動作をするときの飛行高度に応じて、風3の届く距離が決定されてもよい。風3の届く範囲について図14を用いて説明する。
図14は、実施の形態3における無人飛行体1Bの飛行高度毎に風3の届く範囲を示す図である。図14に示すように、無人飛行体1Bの飛行高度がha、hb、hcへと高くなるにつれて、風3の届く距離はla、lb、lcへと長くなる。
無人飛行体1Bは、上記所定距離を決定するため、無人飛行体1Bの飛行高度毎の風3の届く距離を示す情報が予め記憶部12に記憶され、不審者2の移動を阻止する位置で飛行動作をするときの飛行高度を測定し、測定した飛行高度に基づき、上記情報に当該飛行高度を照合して風3の届く距離を抽出し、抽出した風3の届く距離を所定距離に決定してもよい。この場合、無人飛行体1Bは、例えば不審者2と自機までの水平距離を用いて、不審者2と自機までの水平距離が所定距離より小さいかどうかを判定する。なお、無人飛行体1Bが不審者2の移動を阻止する位置で飛行動作をするときの飛行高度が予め決まっている場合には、その飛行高度に応じた風3の届く距離が所定距離に予め決められてもよい。また、飛行高度毎の風3の届く距離を示す情報が予め記憶部12に記憶される代わりに、飛行高度、及び、機体の傾きの最大角度の情報に基づき、無人飛行体1Bの飛行高度に対する風3の届く距離が算出されてもよい。なお、この場合、不審者2のどの部分に風3を当てるのかは考慮に入れていない。例えば無人飛行体1Bは、不審者2の特定の場所、具体的には顔又は上半身などに風3を当てることを考慮に入れ、さらに、不審者2の高さを測定して、顔又は上半身の位置を特定し、その位置に風3が届く距離を決定してもよい。
なお、本実施の形態3では、不審者2に風3を当てるようにするため、所定距離を不審者2に風3を当てることが可能な距離に設定されたが、これに限らない。例えば、風3を不審者2に当てることができ、さらに、風3で不審者2を威嚇できるようにするため、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てることが可能な距離よりも長い距離(例えば不審者2に風3を当てることが可能な距離よりも約2m長い距離)を所定距離に決定してもよい。
図13での説明に戻り、不審者2と自機までの距離が所定距離以上である場合(ステップS22でNO)、ステップS21に戻り、無人飛行体1Bは、不審者2の移動を阻止する位置での飛行動作を行い、不審者2が接近したかどうかを判定する処理を継続する。
不審者2と自機までの距離が所定距離より小さい場合(ステップS22でYES)、風制御部117は、不審者2に風3を当てるように無人飛行体1Bを制御して、不審者2の方向に風3を巻き起こす(ステップ23)。
図15は、実施の形態3における無人飛行体1Bが不審者2に風3を当てる動作のイメージ示す概念図である。図15は、無人飛行体1Bが不審者2の方向に風3を巻き起こしている状況を示す。無人飛行体1Bは、機体の左側にいる不審者2の方向に対して風3を向けるため、機体の左側が右側より高くなるように傾けている様子を示している。
図15に示すように無人飛行体1Bの機体を傾けて不審者2に対して風3を当てることで、無人飛行体1Bの方に不審者2が接近しないようにさせることができる。もしも、無人飛行体1Bが不審者2の上空から風3を当ててしまうと、不審者2は風3を避けようと任意の方向に移動するので、場合によっては、望ましくない方向に不審者2が移動してしまう可能性がある。例えば、不審者2が風3を避けようとして進入阻止エリア4の方向に移動してしまう可能性がある。そのため、無人飛行体1Bは、図15に示すように機体を傾けて不審者2に対して風3を当てる。
このように機体を傾ける飛行制御を行うことで、無人飛行体1Bは、図15に示す矢印で示す方向に移動する。つまり、無人飛行体1Bが、不審者2に風3を当てるように機体を傾けると、不審者2から離れる方向に移動することになる。そのため、無人飛行体1Bが不審者2から離れる方向に移動するにつれて、不審者2に風3が当たらなくなってしまう。
そこで、無人飛行体1Bは、機体が移動した分、機体を移動した方向とは反対方向に移動させることで、機体の位置を戻し、再度、不審者2に風3を当てるようにしてもよい。これにより、再度、不審者2に対して風3を当てるようにすることができる。なお、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てることで機体が移動した分、機体を移動した方向とは反対方向に移動させることで、機体の位置を元に戻し、再度、不審者2に風3を当てるようにするという動作を繰り返してもよい。これにより、断続的に不審者2に風3を当てることができる。これについて、図16を用いて説明する。
図16は、実施の形態3における無人飛行体1Bが不審者2に風3を当てた後の不審者2に対する処理の一例を示す概念図である。図16は、無人飛行体1Bが、機体が移動した分、機体を移動した方向とは反対方向に移動させることで、機体の位置を戻す様子を示す。図16の左側に示す図は、無人飛行体1Bが、不審者2に風3を当てるように機体の左側が右側より高くなるように傾け、それに伴い、不審者2とは反対方向に移動する様子を示す。図16の右側に示す図は、無人飛行体1Bが、不審者2に風3を当てることで機体が移動した分、機体を移動した方向とは反対方向に移動させる様子を示す。無人飛行体1Bが、機体を移動した方向とは反対方向に移動させる場合は、機体の右側が左側より高くなるように傾くため、右下方向に風3が吹き、機体の位置を戻す際には不審者2には風3が当たらない。
なお、飛行制御部114は、さらに、送風制御の実行後の不審者2の位置の変化に基づいて、送風制御を調整してもよい。具体的には、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てたのにもかかわらず、不審者2が無人飛行体1Bの方に移動してくる場合、不審者2の移動に合わせて、無人飛行体1Bを不審者2がいる方向とは反対方向(つまり、不審者2の進む方向)へ移動するのを継続させて、不審者2に対して風3を当ててもよい。例えば、不審者2の移動速度を計測し、不審者2と同じ移動速度で、不審者2がいる方向とは反対方向へ、不審者2に風3が当たる飛行高度で、無人飛行体1Bを移動させる。これにより、不審者2に風3を連続的に当てることができる。これについて、図17を用いて説明する。
図17は、実施の形態3における無人飛行体1Bが不審者2に風3を当てた後の不審者2に対する処理の他の一例を示す概念図である。図17は、無人飛行体1Bが不審者2に風3を当てたあと、不審者2が無人飛行体1Bの方に移動してきて、不審者2の移動に合わせて、無人飛行体1Bを不審者2の方向とは反対方向へ移動するのを継続させる様子を示す。図17の左側に示す図は、無人飛行体1Bが、不審者2の方向とは反対方向に移動して不審者2に風3を当てている状況を示す。図17の右側に示す図は、無人飛行体1Bが、不審者2に風3を当てたのにもかかわらず、不審者2が無人飛行体1Bの方に移動してきて、不審者2の移動に合わせて、無人飛行体1Bを不審者2の方向とは反対方向へ移動するのを継続させ、継続的に不審者2に風3を当てている状況を示す。
なお、不審者2に風3を当てたのにもかかわらず、不審者2が無人飛行体1Bの方に接近してくる場合、無人飛行体1Bは、無人飛行体1Bが巻き起こす風3を不審者2に強く当てるようにしてもよい。例えば、無人飛行体1Bは、無人飛行体1Bが巻き起こす風3を不審者2に強く当てるようにするために、無人飛行体1Bから不審者2までの距離を短くしてもよい。これにより、無人飛行体1Bが巻き起こす風3を不審者2からより近いところで不審者2に当てることができるので、不審者2に対して風3を強く当てることができる。
また、別の例として、無人飛行体1Bは、無人飛行体1Bが巻き起こす風3を不審者2に強く当てるために、プロペラの回転数を全体的に上げることにより、風3を強くしてもよい。これにより、無人飛行体1Bが巻き起こす風3そのものを強くできるので、不審者2に対して風3を強く当てることができる。なお、この場合は、プロペラの回転数を全体的に上げるため、無人飛行体1Bは、不審者2から離れる方向に移動してしまうので、一時的に風3を強くしたいときに効果的である。
なお、飛行制御部114は、不審者2の位置が進入阻止エリア4から所定距離内にある場合、送風制御を実行してもよい。具体的には、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てたことにより、不審者2が遠ざかる方向に移動した場合、不審者2の位置に応じて、不審者2に接近して再度風3を当てるのか、不審者2に風3を当てる処理を停止するかを判断してもよい。例えば、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てたことにより、不審者2の位置が進入阻止エリア4から所定距離以上離れたと判断した場合、不審者2に風3を当てる処理を停止し、不審者2の位置が進入阻止エリア4から所定距離未満しか離れていないと判断した場合、不審者2に接近して再度風3を当てるようにしてもよい。なお、不審者2に風3を当てたことにより、不審者2が進入阻止エリア4から遠ざかる方向に移動した場合にどのように風3を当てるかは特に限定されない。例えば、不審者2が進入阻止エリア4から遠ざかる方向に移動した場合であっても、無人飛行体1Bは、所定期間の間、不審者2に対して風3を当てるようにしてもよい。また、無人飛行体1Bは、不審者2の遠ざかった総距離が所定値以上になるまで不審者2に対して風3を当てるようにしてもよい。また、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てる回数を規定しておき、その回数だけ不審者2に風3を当てるようにしてもよい。
以上の処理により、無人飛行体1Bは、不審者2の移動を阻止する位置に移動し、さらに、不審者2が接近してきた場合には、飛行動作により巻き起こる風3を不審者2に当てるように風3を制御するので、不審者2の移動を阻止することができる。
なお、本実施の形態3では、不審者2が無人飛行体1Bに接近してきた場合に、不審者2に風3を当てる例を説明したが、無人飛行体1Bが積極的に不審者2に接近して風3を当ててもよい。
例えば、不審者2を現在の不審者2の位置から所定の方向に遠ざけたい場合、無人飛行体1Bを不審者2の位置から、所定の方向とは反対方向に所定距離離れた位置であって、不審者2に風3を当てることができる位置に移動させて、その位置から不審者2の方向、つまり、所定の方向に向けて風3を当ててもよい。これにより、不審者2を所定の方向に遠ざけるようにすることができる。
不審者2を現在の不審者2の位置から所定の方向に遠ざけたい場合とは、例えば、不審者2に接近してほしくないエリア又は物体の近くに不審者2が位置する場合である。これは、具体的には、不審者2に接近してほしくないエリア又は物体の位置が予め記憶部12に記憶され、不審者2の位置がそれらの位置の近くにある場合である。
なお、不審者2に風3を当てた後の不審者2の位置に応じて、当てる風3の強さ等を変えてもよい。例えば、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てたにもかかわらず、不審者2の位置が変わらなかった場合、不審者2に当てる風3を強めるように制御してもよい。例えば、無人飛行体1Bは、前回風3を当てたときよりも不審者2に近い距離に移動して、風3を当てるようにする。これにより、不審者2に対して、より強い風3を当てることができ、不審者2の移動を促すことができる。
また別の例として、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てたにもかかわらず、不審者2の位置が変わらなかった場合、再度、不審者2に風3を当ててもよい。また、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てる動作を繰り返してもよい。特に、飛行制御部114は、不審者2の位置が進入阻止エリア4から所定距離内にある間、送風制御を継続してもよい。また、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てる頻度を多くしてもよい。これにより、不審者2に複数回風3を当てることができ、不審者2の移動を促すことができる。
同様に、不審者2を現在の不審者2の位置から所定の方向に近づけたい場合、無人飛行体1Bを不審者2の位置から、所定の方向とは反対方向に所定距離離れた位置であって、不審者2に風3を当てることができる位置に移動させて、その位置から不審者2の方向、つまり、所定の方向に向けて風3を当ててもよい。これにより、不審者2を所定の方向に近づけるようにすることができる。
不審者2を現在の不審者2の位置から所定の方向に近づけたい場合とは、例えば、警備スタッフの待機場所に不審者2を誘導したい場合である。この場合、警備スタッフの待機場所が予め記憶部12に記憶され、無人飛行体1Bは、その方向に不審者2を誘導する。警備スタッフの待機場所に常に警備スタッフが存在するとは限らない場合もあるため、無人飛行体1Bは、警備スタッフが待機場所にいる場合にのみ不審者2を誘導してもよい。無人飛行体1Bは、警備スタッフが待機場所にいる時間帯が予めわかっている場合は、その時間帯に関する時間情報が記憶され、当該時間情報に基づき、警備スタッフが待機場所にいるかどうかを判断できる。この場合、無人飛行体1Bは、時間を計測する機能を有する。もしくは、無人飛行体1Bは、通信部105を介して、警備スタッフが待機場所にいるかどうかの情報を外部の装置から取得することにより、警備スタッフが待機場所にいるかどうかを判断してもよい。例えば、無人飛行体1Bは、警備スタッフが有する携帯端末の位置を取得し、その位置が警備スタッフの待機場所にあるかどうかにより、警備スタッフが待機場所にいるかどうかを判断してもよい。
なお、例えば、警備スタッフの待機場所等がなく、警備スタッフが不審者2の進入した建物に外部から駆け付ける場合は、無人飛行体1Bは、警備スタッフの位置に向かって、不審者2を誘導してもよい。この場合、無人飛行体1Bは、警備スタッフが有する携帯端末の位置を通信部105を介して取得し、その位置に向かって、不審者2を誘導する。なお、無人飛行体1Bは、警備スタッフの位置に向かって誘導する際、警備スタッフに対して、不審者2を誘導する旨を通知してもよい。また、警備スタッフが移動することも考えられるので、無人飛行体1Bは、定期的に警備スタッフの位置を確認し、不審者2を誘導する方向を修正してもよい。例えば、無人飛行体1Bは、警備スタッフが現場に到着していないにもかかわらず、不審者2を警備スタッフの位置へ誘導してしまうと、不審者2を進入した建物の外に移動させ、不審者2を逃がしてしまう可能性があるため、警備スタッフの位置が、不審者2の進入した建物内など、不審者2を誘導させても可能な範囲にある場合にのみ、誘導させてもよい。
なお、無人飛行体1Bは、不審者2に風3を当てる頻度又は風3の強さを状況に応じて変更してもよい。例えば、無人飛行体1Bは、進入阻止エリア4から不審者2までの距離に応じて、不審者2に風3を当てる頻度又は風3の強さを変更してもよい。進入阻止エリア4から不審者2までの距離が小さいとき、つまり、不審者2が進入阻止エリア4の近くにいる場合は、無人飛行体1Bは、風3の強さを強くしたり、風3を当てる頻度を多くしたりすることで、不審者2を遠ざけることを強く促すことができる。一方、進入阻止エリア4から不審者2までの距離が大きいとき、つまり、不審者2が進入阻止エリア4の遠くにいる場合は、無人飛行体1Bは、不審者2が進入阻止エリア4に進入してくるリスクは低いため、風3の強さを強くしたり、風3を当てる頻度を増やしたりすることはしないようにする。
なお、本実施の形態3では、不審者2に直接風3を当てる例について説明したが、不審者2に風3を当てずに風3を用いて不審者2を威嚇してもよい。
例えば、移動阻止位置決定部113で決定された位置の周辺を無人飛行体1Bが移動することで、移動阻止位置決定部113で決定された位置の周辺エリアに風3を当てることができ、周辺エリアにある物に風3の影響を与えることができる。これにより、例えば、重量の小さい物を舞い上げたり、物同士が触れ合って音を出したりことができ、また、風3が地面又は壁、物体などに反射して不審者2に間接的に風3をあてることができる。
移動阻止位置決定部113で決定された位置の周辺を無人飛行体1Bが移動するとは、例えば、移動阻止位置決定部113で決定された位置を中心として、左右方向、前後方向、又は、上下方向に所定範囲内で無人飛行体1Bを移動させることであってもよい。また、別の例としては、移動阻止位置決定部113で決定された位置の周辺エリアが設定され、そのエリア内に風3が当たるような所定ルートに沿って無人飛行体1Bを移動させることであってもよい。
なお、無人飛行体1Bの位置が、移動阻止位置決定部113で決定された位置から大きく離れてしまうと、不審者2の移動を阻止できなくなるため、所定範囲内において風3の影響を広げるようにすることが好ましい。また、移動阻止位置決定部113で決定された位置と不審者2との間の距離に応じて、風3の影響を広げる範囲が決定されてもよい。例えば、移動阻止位置決定部113で決定された位置と不審者2との間の距離が小さい場合は、風3の影響を広げる範囲を大きくしてしまうと、不審者2の移動を阻止できなくなるおそれがあるため、風3の影響を広げる範囲を狭くするようにしてもよい。
なお、無人飛行体1Bは、不審者2に直接風3を当てるか、不審者2に風3を当てずに風3を用いて不審者2を威嚇するかを、所定の条件に応じて切り変えてもよい。例えば、無人飛行体1Bは、不審者2と無人飛行体1Bとの間の距離が所定距離より大きい場合は、不審者2に風3を当てずに風3を用いて不審者2を威嚇するようにし、不審者2と無人飛行体1Bとの間の距離が所定距離以下である場合は、不審者2に直接風3を当てるようにしてもよい。
なお、本実施の形態3では、不審者2の移動を阻止するように不審者2に風3を当てる例について説明したが、無人飛行体1Bは、現在の不審者2の位置から他の任意の位置に不審者2を移動させるように風3を当てるようにしてもよい。例えば、不審者2が、金庫の前で金庫を開けようとしている場合、不審者2を金庫の前から任意の場所に移動させたい場合がある。このような場合、不審者2の上空に移動して、不審者2に風3を当てて、不審者2を金庫の前から別の任意の方向に移動させる。これを実現するためには、無人飛行体1Bが、不審者2の存在が望ましくない場所、例えば不審者2の存在を禁止する場所を予め記憶部12に記憶しておき、不審者2の位置がその場所にあると判断した場合に、不審者2の上空に移動する。これについて、図18を用いて説明する。
図18は、実施の形態3における無人飛行体1Bが金庫K1の前に位置する不審者2に風3を当てる動作のイメージを示す概念図である。図18は、金庫K1の前にいる不審者2の上空から無人飛行体1Bが不審者2に風3を当てる状況を示す。このように、不審者2の真上から風3を当てる場合、無人飛行体1Bは、機体を傾ける必要がなく無人飛行体1Bを移動させないので、不審者2に対して連続的に風3を当てることができる。
なお、無人飛行体1Bは、不審者2が移動しようとする方向が所定の方向であると判断した場合に不審者2に風3を当てるようにしてもよい。なお、不審者2が向かおうとする方向の特定方法は、実施の形態2で説明した方法により実現できる。
なお、本実施の形態3では、4つのプロペラを有する無人飛行体1Bの例について説明したが、これに限定されず、本開示は、任意の数のプロペラを有する無人飛行体に適用できる。
なお、監視者等は、不審者2に対して風3を当てる方向を設定できてもよい。この際、風3を当てるのが効果的となる方向から不審者2に対して風3を当てるために、進入阻止エリア4又は誘導させたいエリアについての情報が監視者等の端末に表示されてもよい。若しくは、これらのエリアに基づいて、どの位置からどの方向に風3を当てるのがよいのかを示す情報が合わせて表示されてもよい。
なお、どのような条件のときに風3を不審者2に当てるのかが設定できてもよい。例えば、移動阻止位置にいる無人飛行体1Bに不審者2が接近してきた場合に不審者2に風3を当ててもよい。また、どのような条件のときに不審者2への風3の当て方を制御するのかが設定できてもよい。例えば、不審者2に風3を当てたが不審者2の位置が変わらない場合に風3が不審者2に強く当たるように制御してもよい。
なお、風3を不審者2に当てる前後、又は、風3の制御を変える前後で、不審者2の位置がどのように変化したかが監視者等の端末に表示されてもよい。これにより、監視者等は、風3が不審者2に効果的となっているかを判断できる。若しくは、これらの前後の不審者2の画像情報が表示されてもよい。
なお、風3を用いて不審者2に対して威嚇動作を行うかを監視者等が判断できるように、無人飛行体1Bの直下周辺の映像情報が監視者等の端末に送信されてもよい。これにより、監視者等は、無人飛行体1Bの直下周辺に風3で吹き散らせるものがあるかを見ることができ、吹き散らせるものがなく効果的に不審者2に対して威嚇ができないことを抑制できる。
(効果)
以上、本開示の実施の形態3によれば、無人飛行体1Bが、不審者2の移動を阻止する位置に移動し、さらに、不審者2が接近してきた場合には、飛行動作により巻き起こる風3を不審者2に当てるように風3を制御する(具体的には、無人飛行体1の傾き等を制御する)ので、不審者2の移動を阻止することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態4では、無人飛行体が、進入阻止エリアに向かう方向と異なる方向に移動体を誘導する例について説明する。本実施の形態4では、進入阻止エリアは、火災若しくは有毒ガスなどが発生しているエリア又は地震などにより倒壊のおそれがあるエリアなどの移動体にとって危険エリアである。
実施の形態4における無人飛行体1は、図2に示す無人飛行体1に対して、さらに危険エリア情報取得部、提示制御部、及び提示部を備える。その他の点については、実施の形態1におけるものと同じであるため説明は省略する。
危険エリア情報取得部は、通信を介して危険エリア情報を取得する。具体的には、危険エリア情報取得部は、建物内に設置された危険検知センサ(例えば、火災検知器)が危険を検知したエリアの位置を示す情報を取得する。なお、危険エリア情報取得部は、センシングデータに基づいてセンシング領域が危険エリアであるかを判定することにより危険エリア情報を取得してもよい。例えば、危険エリア情報取得部は、無人飛行体1が備えるカメラから出力される画像を分析することにより当該カメラの撮像範囲が危険エリアか否かを判定する。
移動阻止位置決定部は、危険エリア情報を用いて移動体の危険エリアへの進入を阻止するための飛行位置(以下、誘導位置とも称する。)を決定する。具体的には、移動阻止位置決定部は、移動体と危険エリアとの間の位置を、誘導位置として決定する。さらに、移動阻止位置決定部は、移動体に対する推奨ルートを取得し、危険エリア情報と推奨ルートとに基づいて誘導位置を決定してもよい。例えば、移動阻止位置決定部は、通信を介して、危険エリアにおける危険を回避するための避難経路を推奨ルートとして取得する。そして、移動阻止決定部は、移動体と危険エリアとの間の位置であって避難経路をふさがない位置を誘導位置として決定する。これにより、移動体すなわち避難する人が危険エリアをさけて避難場所まで迷うことなく移動することができる。さらに、誘導位置は、移動体から危険エリアへのルートと推奨ルートとの交点であってもよい。この場合、避難する人が危険を避けつつ最短で避難することができる。推奨ルートは、無人飛行体1において算出されてもよい。
なお、推奨ルートが複数存在する場合は、各推奨ルートについて計算される誘導位置のうち危険エリアから最も離れた誘導位置が選択されてよい。あるいは、複数の推奨ルートのうち移動距離が最も短いルートが選択されてもよい。この場合、危険エリアから遠い又は移動時間が短くなるため、移動体の安全性を高めることができる。
また、危険発生からの経過時間に応じて誘導位置が調整されてもよい。例えば、危険発生から時間が経過するほど危険エリアから遠くに誘導位置を決定してもよい。また、経過時間の代わりに又はそれと共に、危険の拡大に応じて誘導位置が調整されてもよい。例えば、無人飛行体1において煙又は火の粉などの危険の拡大に伴う物体が検出されると、誘導位置をさらに危険エリアから遠い位置に決定してもよい。
提示制御部は、移動体が危険エリアへ進入することを阻止するための移動先において、移動体から危険エリアへの方向とは異なる方向に移動体を誘導するための提示を提示部に実行させる。具体的には、提示制御部は、移動体の位置から推奨ルートへの方向を提示部に提示させる。このように、危険エリアと移動体との間に無人飛行体1が移動するだけでなく、移動体の移動先を提示することにより、移動体が危険エリアに進入することをより確実に抑制することができる。
なお、提示制御部は、移動体が危険エリアへ進入することを阻止する理由を提示部に提示させてもよい。これにより移動体が人である場合、提示の理由を理解することができ、誘導にしたがわせやすくすることができる。
また、提示制御部は、移動体と無人飛行体1又は誘導位置との距離に応じて提示モードを切り替えてもよい。例えば、提示制御部は、移動体と無人飛行体1又は誘導位置との距離が閾値より小さくなると、提示手段を表示から音声出力に切り替える。あるいは、提示手段が追加されてもよい。例えば、表示に音声出力が追加されてもよい。またあるいは、提示手段が変更されかつ追加されてもよい。例えば、提示手段が表示から音声出力に切り替えられ、さらに液体又はガス等の噴射が追加されてもよい。
また、提示制御部は、移動体又は無人飛行体1と危険エリアとの距離に応じて提示モードを切り替えてもよい。例えば、提示制御部は、移動体又は無人飛行体1と危険エリアとの距離が閾値より小さくなると、提示手段を表示から音声出力及び噴射の組合せに切り替える。
提示部は、提示制御部からの指示に基づき提示を実行する提示装置である。具体的には、提示部は、LED(Light Emitting Diode)、ディスプレイ、又はプロジェクタなどの表示部であってもよく、垂れ幕又はボードなどの掲示部であってもよい。また、提示部は、液体又は気体を噴射することにより移動体に対して提示してもよい。なお、提示部は、無人飛行体1の外部に配置され、通信を介して無人飛行体1と接続されてもよい。つまり、提示部は、無人飛行体1に備えられてもよいし、無人飛行体1の周辺に配置されてもよい。
(実施の形態4の変形例)
本変形例では、進入阻止エリアは、関係者以外の立ち入りが禁止されるプライベートエリアである。
実施の形態4における無人飛行体1は、危険エリア情報取得部の代わりにプライベートエリア情報取得部、関係者識別部を備える。その他の点については、実施の形態4におけるものと同じであるため説明は省略する。
プライベートエリア情報取得部は、通信を介してプライベートエリア情報を取得する。具体的には、プライベートエリア情報取得部は、施設内の関係者のみが立ち入りを許可されている部屋を示す情報を取得する。例えば、関係者は施設で開催されているイベントのスタッフである。
関係者識別部は、プライベートエリアに近づく人が関係者であるか否かを識別する。具体的には、関係者識別部は、プライベートエリア周辺の画像を取得し、画像に映る人が関係者であるか否かを識別する。あるいは、関係者識別部は、関係者が身に着けているタグから発信される情報を受信し、受信された情報から関係者であるか否かを識別してもよい。
なお、関係者識別部は、無人飛行体1とは別の装置との組合せにより、実現されてもよい。この場合、別の装置により関係者であるか否かを識別した結果を無人飛行体1が取得し、無人飛行体1側で画像等を用いて認識した人が識別された人であるか否かを判定する。別の装置が、関係者であるか否かを識別する方法は、生体情報(例えば、指紋又は虹彩)を用いて、識別する方法であってもよい。
移動阻止位置決定部は、プライベートエリア情報を用いて移動体のプライベートエリアへの進入を阻止するための飛行位置(誘導位置)を決定する。具体的には、移動阻止位置決定部は、移動体とプライベートエリアとの間の位置を、誘導位置として決定する。
飛行制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者であるか否かに応じて、無人飛行体1の移動を制御する。具体的には、飛行制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者でないと識別された場合、無人飛行体1を誘導位置に移動させ、誘導位置で無人飛行体1をホバリングさせる。また、飛行制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者であると識別された場合は、無人飛行体1を移動させない、又は無人飛行体1を誘導位置以外の位置に移動させる。
提示制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者であるか否かに応じて、提示部の提示を制御する。具体的には、提示制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者であるか否かに応じて、当該人を誘導する方向の提示を制御する。例えば、プライベートエリアに近づく人が関係者でないと識別された場合、当該人からプライベートエリアへの方向と異なる方向に当該人を誘導する提示を提示部に実行させる。例えば、提示制御部は、プライベートエリアとは異なるエリア(例えば、イベント会場)に人を誘導する提示を提示部に実行させる。また、提示制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者であると識別された場合、当該人からプライベートエリアへの方向に当該人を誘導するための提示を提示部に実行させる。
また、提示制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者であるか否かに応じて、提示の有無を制御してもよい。例えば、提示制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者でないと識別された場合、当該人からプライベートエリアへの方向と異なる方向に当該人を誘導する提示を提示部に実行させる。他方で、提示制御部は、プライベートエリアに近づく人が関係者であると識別された場合、提示部に提示させない。
(その他の実施の形態)
以上、本開示の一つ又は複数の態様に係る無人飛行体について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したもの又は、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態1〜3では、本開示の無人飛行体によって検出される移動体を不審者2として説明したが、これに限らない。例えば、本開示の無人飛行体は、災害時に用いられてもよく、当該移動体は、被災者又は捜索者等であってもよい。この場合、進入阻止エリア4は、災害地域における危険地域等となる。
また、例えば、上記実施の形態で説明した所定距離、所定範囲は本開示の無人飛行体が使用される環境等に応じて適宜決定される。
例えば、本開示は、無人飛行体として実現できるだけでなく無人飛行体を構成する各構成要素が行うステップ(処理)を含む制御方法として実現できる。
図5に示すように、制御方法は、無人飛行体の制御方法であって、無人飛行体の外部をセンシングするセンサのセンシング結果に基づいて移動体を検出し(ステップS02)、移動体の進入が望ましくない領域を示す領域情報を取得し(ステップS04)、移動体と領域情報が示す領域との位置関係に基づいて、領域と移動体との間に無人飛行体を移動させ、移動先で無人飛行体を飛行させる(ステップS05、S06)。
例えば、当該制御方法におけるステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本開示は、当該制御方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本開示は、そのプログラムを記録したCD−ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
例えば、本開示が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリ及び入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリ又は入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリ又は入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
なお、上記各実施の形態において、無人飛行体に含まれる各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
本開示の実施の形態に係る無人飛行体の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続及び設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
また、本開示の実施の形態に係る無人飛行体の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
また、上記図5、図9、及び、図13に示す、各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(例えば並列)に実行されてもよい。
さらに、本開示の主旨を逸脱しない限り、本開示の各実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本開示に含まれる。