JPWO2020095999A1 - 水処理剤、水処理剤の製造方法、水処理剤を用いた被処理水の処理方法、及び、水処理剤を製造するためのキット - Google Patents
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Abstract
Description
哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する酵素処理剤と、
を混合することで、水処理剤を得る、水処理剤の製造方法。
〔2〕 黒鉛40質量部〜70質量部と、鉄およびフェライト鉄からなる群から選択される少なくとも一つを20質量部〜50質量部とを含む還元触媒体が存在する水を、酸でpH2〜pH5の範囲として撹拌して酸化還元反応をさせ、第一鉄イオンおよび/または第一鉄化合物を15質量部〜300質量部加えて、pHを10.5±0.5の範囲に調整した時の酸化還元電位値が−400mV〜−950mVの範囲になることを確認して撹拌およびpH調整を終了して上記水中に生成するグリーンラストを得るグリーンラスト生成工程と、
上記グリーンラストと酵素処理剤とを混合し、5℃〜35℃で3日間〜10日間インキュベートして混合液中に生成する水処理剤を得る水処理剤生成工程と
を備え、
上記酵素処理剤が、哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する、
上記〔1〕に記載の水処理剤の製造方法。
〔3〕 上記還元触媒体に、さらに、アルミニウム、イットリウム、亜鉛、銅、錫、クロムおよびケイ素からなる群から選択される少なくとも一つの添加金属を、金属および/または金属フェライトとして2質量部〜10質量部含む、上記〔2〕に記載の水処理剤の製造方法。
〔4〕 上記還元触媒体が、黒鉛40質量部〜70質量部、鉄およびフェライト鉄からなる群から選択される少なくとも一つを20質量部〜50質量部、ならびにケイ素フェライトを2質量部〜10質量部含む、上記〔2〕または〔3〕に記載の水処理剤の製造方法。
〔5〕 上記グリーンラスト生成工程において、上記還元触媒体が存在する水を、酸でpH3.5〜pH4.5の範囲として撹拌して酸化還元反応をさせる、上記〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の水処理剤の製造方法。
〔6〕 上記グリーンラスト生成工程において、pHを10.5±0.5の範囲に調整した時の酸化還元電位値が−600mV〜−950mVの範囲になることを確認して撹拌およびpH調整を終了する、上記〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載の水処理剤の製造方法。
〔7〕 黒鉛40質量部〜70質量部と、フェライト鉄20質量部〜50質量部と、ケイ素フェライト2質量部〜10質量部とを含む還元触媒体が存在する水を、酸でpH3.5〜pH4.5の範囲として撹拌して酸化還元反応をさせ、第一鉄イオンおよび/または第一鉄化合物を15質量部〜300質量部加えて、pHを10.5±0.5の範囲に調整した時の酸化還元電位値が−600mV〜−950mVの範囲になることを確認して撹拌およびpH調整を終了して上記水中に生成するグリーンラストを得るグリーンラスト生成工程と、
上記グリーンラストと酵素処理剤とを混合し、5℃〜35℃で3日間〜10日間インキュベートして混合液中に生成する水処理剤を得る水処理剤生成工程と
を備え、
上記酵素処理剤が、哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する、
上記〔1〕に記載の水処理剤の製造方法。
〔8〕 上記還元触媒体が粉体および/または塊状物である、上記〔2〕〜〔7〕のいずれかに記載の水処理剤の製造方法。
〔9〕 上記グリーンラスト生成工程において、上記グリーンラストをグリーンラスト懸濁液として得る、上記〔2〕〜〔8〕のいずれかに記載の水処理剤の製造方法。
〔10〕 上記水処理剤生成工程において、上記水処理剤を水処理剤懸濁液として得る、上記〔2〕〜〔9〕のいずれかに記載の水処理剤の製造方法。
〔11〕 含窒素化合物を含む被処理水を、上記〔10〕に記載の製造方法で得られた水処理剤懸濁液と接触させる、被処理水の処理方法。
〔12〕 上記窒素化合物が硝酸態窒素を含む、上記〔11〕に記載の被処理水の処理方法。
〔13〕 上記被処理水が食品工場からの排水である、上記〔10〕または〔11〕に記載の被処理水の処理方法。
〔14〕 処理槽中の原水である上記〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載の被処理水に上記〔10〕に記載の製造方法によって得られた水処理剤懸濁液を添加し、pHを調製して撹拌する工程1、
工程1で得られる処理水から澱物と処理水とを分離する工程2、
分離した澱物から汚泥を除去する工程3、
汚泥を除去された澱物を、原水である上記〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の被処理水中に一部または全部を添加し、上記〔4〕に記載の製造方法によって得られた水処理剤懸濁液を添加し、pHを調製して撹拌する工程4、
工程4で得られる処理水から澱物と処理水とを分離する工程5、および
工程5の次に工程3および工程4を1回または複数回繰り返した後に、処理水の総量と澱物とを得る工程6
を有する、澱物を循環使用する被処理水の処理方法。
〔15〕 グリーンラストと、
哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する酵素処理剤と、
を含有する、水処理剤。
〔16〕 グリーンラスト懸濁液が収容された第一の容器と、
哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する酵素処理剤が収容された第二の容器と、
上記グリーンラスト懸濁液と上記酵素処理剤とから水処理剤懸濁液を製造する方法が記載された取扱説明書と
を備える、水処理剤懸濁液を製造するためのキット。
グリーンラスト懸濁液中の全鉄換算濃度は、ICP定量分析で測定した。
本発明の水処理剤は、グリーンラストと、酵素処理剤と、を含有する、水処理剤である。上記グリーンラストは特に制限されないが、上述したグリーンラスト生成工程で製造されるグリーンラストであることが好ましい。
グリーンラストは、水酸化第1鉄と水酸化第2鉄とが層状をなす淡青透明色または淡緑透明色の物質である。グリーンラストの具体例は、特許第6347886号公報、特許第5170461号公報等に記載されている。
上記酵素処理剤については後述のとおりである。
また、水処理剤中の酵素処理剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.0002〜0.003質量%であることが好ましく、0.0005〜0.002質量%であることがより好ましい。
また、水処理剤中のグリーンラストの含有量に対する酵素処理剤の含有量の割合(酵素処理剤の含有量/グリーンラストの含有量)は、本発明の効果がより優れる理由から、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.05〜0.5質量%であることがさらに好ましい。
例えば、アンモニア窒素の場合は、グリーンラスト懸濁液をアンモニア含有水溶液に添加するとアンモニア(NH3)は、窒素原子に水素原子が引き寄せられる。その電気陰性度は窒素(N)が3.0、水(H2O)は酸素原子に水素原子が引き寄せられているため電気陰性度は3.5である。窒素(N)3.0<酸素(O)3.5でそこに水分子の共有電子対が電気陰性度(OH−)のより大きい原子の方に偏って存在し、分子内の電荷の偏りによってアンモニアの窒素原子と水素原子は電気陰性度の強い酸素原子(OH−希ガスのため定義外)に引き寄せられ水(H2O)になり窒素(N2)として大気に放出して無害化を達成するものと考えられる。
また、硝酸態窒素はグリーンラスト懸濁液添加して、プロトンの放出反応
OH + OH− → −O− + H2O を行い、オキシアニオンイオンを分解すると推測される。
また、有機態窒素は、アンモニアとの同じ働きと推測され、含有配合値はアンモニアより多いと考えられる。
含有量の範囲は、最小値はアンモニアの場合であり、最大値は硝酸態窒素の場合と考えられる。
本発明の水処理剤の製造方法は、グリーンラストと、酵素処理剤と、を混合することで、上述した本発明の水処理剤を得る、水処理剤の製造方法である。
なお、グリーンラストおよび酵素処理剤の詳細については後述する。
グリーンラスト生成工程の好適な態様としては、黒鉛40質量部〜70質量部と、鉄およびフェライト鉄からなる群から選択される少なくとも一つを20質量部〜50質量部とを含む還元触媒体が存在する水を、酸でpH2〜pH5の範囲として撹拌して酸化還元反応をさせ、第一鉄イオンおよび/または第一鉄化合物を15質量部〜300質量部加えて、pHを10.5±0.5の範囲に調整した時の酸化還元電位値が−400mV〜−950mVの範囲になることを確認して撹拌およびpH調整を終了して前記水中に生成するグリーンラストを得るグリーンラスト生成工程が挙げられる。このようなグリーンラスト生成工程の具体例は、例えば、特許第6347886号公報に記載されている。
グリーンラスト生成工程においては、グリーンラストをグリーンラスト懸濁液として得ることが好ましい。
還元触媒体は、黒鉛40質量部〜70質量部と、鉄およびフェライト鉄からなる群から選択される少なくとも一つを20質量部〜50質量部とを含む。
還元触媒体は、さらに、アルミニウム、イットリウム、亜鉛、銅、錫、クロムおよびケイ素からなる群から選択される少なくとも一つの添加金属を、金属および/または金属フェライトとして2質量部〜10質量部含んでもよい。
還元触媒体は、黒鉛40質量部〜70質量部、鉄およびフェライト鉄からなる群から選択される少なくとも一つを20質量部〜50質量部、ならびにケイ素フェライトを2質量部〜10質量部含むことが好ましく、黒鉛40質量部〜70質量部と、フェライト鉄20質量部〜50質量部と、ケイ素フェライト2質量部〜10質量部とを含むことがより好ましい。
グリーンラスト生成工程において、酸化還元反応は、上記還元触媒体が存在する水を、酸でpH2〜pH5の範囲として撹拌して酸化還元反応をさせるが、pHは、pH3.5〜pH4.5の範囲とすることが好ましい。
グリーンラスト生成工程において、pHを10.5±0.5の範囲に調整した時の酸化還元電位値は−400mV〜−950mVの範囲であるが、酸化還元電位値は、−600mV〜−950mVの範囲であることが好ましい。
水処理剤生成工程は、グリーンラスト生成工程において生成したグリーンラスト(懸濁液であってもよい)と酵素処理剤とを混合し、5℃〜35℃で3日間〜10日間インキュベートして混合液中に生成する水処理剤を得る工程である。
水処理剤は懸濁液として得られてもよい。なお、懸濁液として得た水処理剤を単に「水処理剤」とも言う。
上記酵素処理剤は、特許第5963241号公報に記載された「酵素処理剤」である。
酵素処理剤は、哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する水系組成物である。
酵素処理剤は、哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素とを混合して、混合液(A)を調製し、前記混合液(A)をそのままで、または固形物を取り除いて、混合液(B)を調製し、前記混合液(B)をそのまま、または水と混合して、混合液(C)を調製することによって、製造することができる。
酵素処理剤のより具体的な製造方法としては、特許第5963241号公報の実施例1に記載された製造方法が挙げられる。
(a)豚肝臓抽出液(CT−3000,インテック株式会社製)
(b)酵母溶解酵素(関東化学社製;5000U/g)
(c)乳酸脱水素酵素(豚心臓)(EC 1.1.1.27;2000U/mL)
(d)グルコース脱水素酵素(EC 1.1.1.47;250U/mg)
手順(1)〜(8)に従って製造する。
(1)豚肝臓抽出液をフィルター(高分子分離膜、孔径1.2〜20μm)でろ過する。
(2)豚肝臓抽出液のろ過液2000gに、酵母溶解酵素200gと、乳酸脱水素酵素15mgと、グルコース脱水素酵素10mgを添加し、撹拌・混合する。
(3)この混合液を、0〜5℃で冷蔵しながら、10日間静置する。
(4)その後、さらに、38〜40℃で保温しながら、3日間静置する。
(5)この混合液をフィルター(高分子分離膜、孔径0.45〜1.2μm)でろ過する。
(6)精製水2000gに、ろ過した混合液500gを添加し、さらに精製水で全量を20000gとして、撹拌・混合する。
(7)この混合液を、常温(5〜35℃)に保ちながら、3日間静置する。
(8)静置後、直射日光を避け、常温で保存する。
本発明の被処理水の処理方法は、含窒素化合物を含む被処理水を、本発明の水処理剤と接触させることを特徴とする(図2)。
本発明の水処理剤は、被処理水と混合されるため、水処理の初期段階で被処理水と混合されることが好ましく、例えば、曝気槽で被処理水と混合されることが好ましいが、水が循環する場合はどこで混合してもかまわない。
本発明の水処理剤を被処理水と接触させる時の本発明の水処理剤のpHは、特に限定されないが、pH7.2±0.5〜pH9.2±0.5の範囲が好ましく、pH7.2±0.2〜pH9.2±0.2の範囲がより好ましい。
澱物を循環使用する被処理水の処理方法は、被処理水に本発明の水処理剤を添加し、pHを調製して撹拌する工程1、工程1で得られる処理水から澱物と処理水とを分離する工程2、分離した澱物から汚泥を除去する工程3、汚泥を除去された澱物を、被処理水中に一部または全部を添加し、本発明の水処理剤を添加し、pHを調製して撹拌する工程4、工程4で得られる処理水から澱物と処理水とを分離する工程5、および工程5の次に工程3および工程4を1回または複数回繰り返した後に、処理水の総量と澱物とを得る工程6を有する。
本発明のキットは、グリーンラスト懸濁液が収容された第一の容器と、酵素処理剤が収容された第二の容器と、グリーンラスト懸濁液と酵素処理剤とから上述した本発明の水処理剤を製造する方法が記載された取扱説明書とを備える、上述した本発明の水処理剤を製造するためのキットである。
上記グリーンラストは特に制限されないが、上述したグリーンラスト生成工程で製造されるグリーンラストであることが好ましい。
上記酵素処理剤については上述のとおりである。
グリーンラスト懸濁液と酵素処理剤をそれぞれ別容器に収容したキットとすることで、グリーンラスト懸濁液と酵素処理剤との混合比をユーザーが自由に設定することができ、使用の現場に合わせたカスタマイズが可能となる。
水槽に10Lの水を入れて、黒鉛600gとフェライト鉄(Fe3O4)400gを混合撹拌した材料(還元触媒体)を筒長状のパンチングステンレスの内側にろ過布に入れて水中に固定没水させ、水を撹拌しながら、希硫酸を用いてpHをpH3.5〜pH4.5の範囲に調整した。
40時間撹拌した後、水を撹拌しながら、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)1200gを加えた。添加時の酸化還元電位値(ORP)は400mV以下に下がっていた。
この間のpHおよびORPの変化を以下の表に示す。
<材料および方法>
500mLビーカーにグリーンラスト懸濁液(製造例1で製造したもの;全鉄濃度32000mg/L,pH10.5,ORP −720mV)を500mL入れ、撹拌を行いながら、水酸化ナトリウム水溶液(48%(w/v))2.8mLを添加してグリーンラスト懸濁液のpHをpH10.5に調整した。pHを調製したグリーンラスト懸濁液に、撹拌を行いながら、二酸化ケイ素(SiO2)粉末5gを穏やかに添加した。
二酸化ケイ素のオキシアニオンが放出されることによりグリーンラストの酸化が進行してフェライト生成が進行していることが分かった。
黒鉛粉末、フェライト鉄粉末およびケイ素フェライト粉末(製造例2で製造したもの)を以下の表に示す割合で混合撹拌した材料(還元触媒体)のそれぞれ(A、B、C、及び、D)について、還元触媒体を筒長状のパンチングステンレスの内側にろ過布に入れて水中に固定没水させ、水を撹拌しながら、希硫酸を用いてpHをpH3.5〜pH4.5の範囲に調整した。なお、水1L中の黒鉛粉末、フェライト鉄粉末およびケイ素フェライト粉末の合計の含有量は100gである。
1時間撹拌した後、さらに水を撹拌しながら、水1Lにつき、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)120gを添加した。水溶液を撹拌しながら、添加の1時間後、2時間後、および3時間後に水溶液をサンプリングして、水酸化ナトリウム水溶液(48%(w/v))を用いて水溶液のpHをpH10.5±0.5に調整して、酸化還元電位値(ORP)を測定した。以下の表に、各還元触媒体の組成とそれぞれの例のORP測定値を示す。このようにしてグリーンラスト懸濁液を製造した。
1時間撹拌した後、さらに水を撹拌しながら、水1Lにつき、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)を60g(E)、90g(F)、120g(G)、150g(H)、または180g(I)添加した。水溶液を撹拌しながら、添加の1時間後、2時間後、および3時間後に水溶液をサンプリングして、水酸化ナトリウム水溶液(48%(w/v))を用いて水溶液のpHをpH10.5±0.1に調整して、酸化還元電位値(ORP)を測定した。以下の表に、硫酸第一鉄の添加量とそれぞれ例のORP測定値を示す。
水酸化ナトリウム水溶液(48%(w/v))を添加してpHを10.5に調整して酸化還元電位値(ORP)を測定したところ、−703mVであった。
<材料>
(1)豚肝臓抽出液(CT−3000,インテック株式会社製)
(2)酵母溶解酵素(関東化学社製;5000U/g)
(3)乳酸脱水素酵素(豚心臓)(EC 1.1.1.27;2000U/mL)
(4)グルコース脱水素酵素(EC 1.1.1.47;250U/mg)
<方法>
(1)豚肝臓抽出液をフィルター(高分子分離膜、孔径1.2〜20μm)でろ過した。
(2)豚肝臓抽出液のろ過液2000gに、酵母溶解酵素200gと、乳酸脱水素酵素1
5mgと、グルコース脱水素酵素10mgを添加し、撹拌・混合した。
(3)この混合液を、0〜5℃で冷蔵しながら、10日間静置した。
(4)その後、さらに、38〜40℃で保温しながら、3日間静置した。
(5)この混合液をフィルター(高分子分離膜、孔径0.45〜1.2μm)でろ過した
。
(6)精製水2000gに、ろ過した混合液500gを添加し、さらに精製水で全量を20000gとして、撹拌・混合した。
(7)この混合液を、常温(5〜35℃)に保ちながら、3日間静置した。
(8)静置後、直射日光を避け、常温で保存した。
黒鉛粉末55質量%、フェライト鉄粉末40質量%、およびケイ素フェライト粉末(製造例2で製造したもの)5質量%を混合撹拌した材料(還元触媒体)について、還元触媒体を筒長状のパンチングステンレスの内側にろ過布に入れて水中に固定没水させ、水を撹拌しながら、希硫酸を用いてpHをpH3.5〜pH4.5の範囲に調整した。
1時間撹拌した後、さらに水を撹拌しながら、水1Lにつき、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)を120g添加した。
製造例1で製造し、保管してあったグリーンラスト懸濁液のpHを、水酸化ナトリウム水溶液(48%(w/v))を用いて、pH4.2からpH7.2(参考例2)またはpH9.2(参考例3)に調整した。
活性汚泥試料(上記したもの)2000mLを上記試験水槽に入れ、通気量0.5L/分で通気しながら、1時間撹拌した。
活性汚泥試料を通気撹拌しながら、pH7.2に調整したグリーンラスト懸濁液(上記したもの)を、活性汚泥試料1Lあたり500mg添加し、さらに、通気撹拌を継続した。試験水槽内の試料溶液のpH、MLSS、SV30、SV90、鉄、リン、T−N、TOC、およびCODをモニタして、グリーンラスト懸濁液を添加してから24時間後、48時間後、および72時間後の測定値を記録した。以下の表にモニタ結果を示す。
活性汚泥試料(上記したもの)2000mLを上記試験水槽に入れ、通気量0.5L/分で通気しながら、1時間撹拌した。
活性汚泥試料を通気撹拌しながら、pH9.2に調整したグリーンラスト懸濁液(上記したもの)を、活性汚泥試料1Lあたり500mg添加し、さらに、通気撹拌を継続した。試験水槽内の試料溶液のpH、MLSS、SV30、SV90、鉄、リン、T−N、TOC、およびCODをモニタして、グリーンラスト懸濁液を添加してから24時間後、48時間後、および72時間後の測定値を記録した。以下の表にモニタ結果を示す。
活性汚泥試料(上記したもの)2000mLを上記試験水槽に入れ、通気量0.5L/分で通気しながら、1時間撹拌した。
活性汚泥試料を通気撹拌しながら、水を、活性汚泥試料1Lあたり500mg添加し、さらに、通気撹拌を継続した。試験水槽内の試料溶液のpH、MLSS、SV30、SV90、鉄、リン、T−N、TOC、およびCODをモニタして、グリーンラスト懸濁液を添加してから24時間後、48時間後、および72時間後の測定値を記録した。以下の表にモニタ結果を示す。
グリーンラスト懸濁液のpHはSV30およびSV90に影響を与えなかった。
グリーンラスト懸濁液添加時から48時間経過時以降に沈降性が改善された。
グリーンラスト懸濁液のpHはMLSSに影響を与えなかった。
グリーンラスト懸濁液添加時から48時間経過後にMLSSが減量され、その後も減量状態は継続した。
グリーンラスト懸濁液を添加した直後には鉄の溶解量が一時的に増加したが、時間が経過するにつれ、グリーンラスト懸濁液がマグネタイト(磁性担体)化され、溶解性鉄含有量が減少した。
参考例2〜4のすべてで、全窒素(T−N)が増加した。
全窒素(T−N)の増加は、経時的に増加する傾向があることから、硝化反応によるものと考えられた。
上述した参考例2〜4で用いた活性汚泥と同じ食品加工工場の廃水処理場の曝気槽汚泥混合液を採取して活性汚泥試料として使用した。
実施例1で製造した水処理剤に水酸化ナトリウム水溶液(48%(w/v))を添加して、pHを7.2±0.2に調整した。
活性汚泥試料を通気撹拌しながら、pHを調製した水処理剤を、活性汚泥試料1Lあたり500mg添加し、さらに、通気撹拌を継続した。試験水槽内の試料溶液の全窒素量(T−N)をモニタして、水処理剤の添加直後(0日)から7日後まで、1日毎に測定値を記録した。以下の表にモニタ結果を示す。
比較例1で製造したグリーンラスト懸濁液に水酸化ナトリウム水溶液(48%(w/v))を添加して、pHを7.2±0.2に調整した。
活性汚泥試料を通気撹拌しながら、pHを調製したグリーンラスト懸濁液を、活性汚泥試料1Lあたり500mg添加し、さらに、通気撹拌を継続した。試験水槽内の試料溶液の全窒素量(T−N)をモニタして、グリーンラスト懸濁液の添加直後(0日)から7日後まで、1日毎に測定値を記録した。以下の表にモニタ結果を示す。
実施例2では、全窒素(T−N)を減少させることに成功した。被処理水中での硝化反応を回避できたことによると思われる。
また、後述する[実施例3/比較例6]に準じてMLSSを評価したところ、比較例5よりも実施例2の方がよりMLSSが低減していた。
活性汚泥試料(上記したもの)2000mLを上記試験水槽に入れ、通気量0.5L/分で通気しながら、1時間撹拌した。
活性汚泥試料を通気撹拌しながら、上述した実施例1で使用された酵素処理剤を、実施例2で使用された水処理剤中の酵素処理剤の含有量に相当する量添加し、さらに、通気撹拌を継続した。試験水槽内の試料溶液の全窒素量(T−N)をモニタして、酵素処理剤の添加直後(0日)から7日後まで、1日毎に測定値を記録した。
その結果、全窒素は減少するものの、その減少量は実施例2ほど大きくなかった。
また、後述する[実施例3/比較例6]に準じてMLSSを評価したところ、比較例2のMLSSは大きく変化しなかった。
実施例2の実験3日目の活性汚泥試料および比較例5の実験3日目の活性汚泥試料の粒度分布(体積基準)を測定した。
(測定方法・測定条件)
計測機器: 光学台 MT3300(Low−WET)
計量試料: 実施例2の実験3日目の活性汚泥試料
比較例5の実験3日目の活性汚泥試料
測定上限(μm): 2000
測定下限(μm): 0.021
溶媒名: 水
溶媒屈折率: 1.333
分布表示: 体積
残分比(%): 0.00
粒子屈折率: 1.60
DV値: 0.2484
透過率(TR): 0.915
本発明の水処理剤は、一切外部電源を使用しないで、有機廃棄物をエネルギーとして、電子受容体として、フェライト鉄に電子を伝達する生物種は鉄還元菌で、鉄還元菌は細胞の内側で作られた電子を細胞膜に通じて外側に伝えることができ、この働きにより、従来の排水処理の高エネルギーを使用せず廃棄有機物をエネルギー(電子供与体)とすることにより省エネルギー化を達成し従来の活性汚泥処理の能力を増大することが可能になる。
食品工場排水を被処理水として処理を行った。
食品工場排水の被処理水(流入原水)の水質と処理水の水質目標を以下の表に示す。
食品工場排水処理設備の嫌気槽に、定量ポンプを用いて、実施例1で製造した水処理剤を300mg/L添加した。
食品工場排水は製造品の変動があることから、負荷が大きい場合には、処理水の水質が基準値を超えてしまうことがあった。
処理開始後、処理水の化学的酸素必要量(COD)、全窒素(T−N)および全リン(T−P)を測定した。処理開始日(0日)から90日後まで、5日毎に記録したCOD,T−NおよびT−Pの測定値を以下の表に示す。また、グラフを図4に示す。
食品工場排水処理設備を用いて食品工場排水を処理した。水処理剤は添加していない。
処理開始後、処理水の化学的酸素必要量(COD)、全窒素(T−N)および全リン(T−P)を測定した。処理開始日(0日)から90日後まで、5日毎に記録したCOD、T−NおよびT−Pの測定値を以下の表に示す。また、グラフを図4に示す。
実施例3および比較例6において、処理開始後、処理水の浮遊物質量(MLSS)を測定し、処理開始日(0日)から90日後まで、10日毎に記録した。測定値を以下の表に示す。また、グラフを図5に示す。
酵素処理剤の効果を確認するためにさらに詳細な追加実験を行ったので以下に示す。
MLVSS:下水試験方法 第3章7節
上記活性汚泥試料2000mlを2000mlの容器に入れ、通気装置を装着して試料の攪拌し、通気量を0.5L/min通気攪拌を行う容器を3つ用意して、それぞれの容器を1時間攪拌後、酵素処理剤を10倍の精製水で希釈して任意量(0mg/l・100mg/l・200mg/l)を添加して24〜72時間活性汚泥の水質・性状を追跡計量を行い最適添加量を求めた。
酵素処理剤の添加量よる汚泥沈降性に変動は無く、反応時間についても変動は無い結果であった。
浮遊汚泥濃度(MLSS) 単位 mg/l
酵素処理剤の添加量200mg/l試料が浮遊汚泥MLSS値はブランク試料に対して約4%削減されていた。
リン含有量(P)の変動 単位 mg/l
リン含有量が反応時間により微量であるが全試料が減っている。
T−N(窒素)含有量の変動 単位 mg/l
ブランク試料のスタートT−N値を72時間後に維持できた試料は100mg/l、200mg/l添加試料共に減少されたが200mg/l試料の低減効果は高い。
TOC/CODの反応(TOC/COD) 単位 mg/l
ブランク試料に対して、酵素処理剤を添加した100mg/l、200mg/l試料は、各時間においてTOC・CODともに改善されているが200mg/lの改善効果が高い結果であった。
実験結果より、酵素処理剤の添加効果として、原水の負荷変動を起因とする全窒素(T−N)の、硝化反応による水質の悪化対策として72時間後ブランク値24.8mg/lに対して酵素処理剤100mg/l添加試料14.7mg/l、200mg/l添加試料11.3mg/lと水質基準値を達成できた。また、硝化抑制が達成することにより、相乗効果として水質TOC値20%・COD値26%改善され、MLSS値が4%改善されていた。
使用した混合水処理剤はグリーンラスト懸濁液と酵素処理剤の混合比率90%:10%混合液をpH値7.0に水酸化ナトリウムにて調整して使用した。
原水は食品製造排水の原水調整槽より採水し、供給タンク(容量20L)に入れて曝気槽(容量5000ml)へ定量ポンプで送水し反応後、沈降バッフル(邪魔壁)を通過して沈殿して上澄水を処理水として計量して、沈殿汚泥を返送汚泥として曝気槽入口に定量ポンプで移送した。
曝気槽の攪拌は通気ボンプ(0.8L/min)を使用した。
活性汚泥試料は、食品加工工場の廃水処理場の曝気槽汚泥混合液を採取して使用した。採水した性状は以下の通りであった。
MLVSS: 下水試験方法 第3章7節
混合水処理剤の添加は曝気槽に設置したORP値が+30mvにてON/OFF制御で定量ポンプにて添加を行う。
添加期間 スタート2.5ml含めて14日間で10.5mlであった。
汚泥濃度(MLSS)・汚泥沈降率(SV30)の比較
MLSS−MLVSS値の各試料を追跡調査行った。
有機体炭素(TOC)・化学的酸素要求量(COD)の比較
採水場所 沈降分離上澄水
原水濃度(平均値) TOC1238mg/l COD1177mg/l
14日間の平均処理水質を表す。
全窒素(T−N)・全リン(T−P)の比較
採水場所 沈降分離上澄水
原水濃度(平均値) T−N64.5mg/l T−P6.2mg/l
14日間の平均処理水質を表す。
アンモ二ア態窒素(NH4−N)硝酸態窒素(NO3−N)の変動
採水場所 沈降分離上澄水
計量方法 イオン分析装置
曝気液の硝化反応の回避対策として混合水処理剤添加で達成できた。
Claims (6)
- グリーンラストと、
哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する酵素処理剤と、
を含有する、水処理剤。 - グリーンラストと、
哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する酵素処理剤と、
を混合することで、請求項1に記載の水処理剤を得る、水処理剤の製造方法。 - 含窒素化合物を含む被処理水を、請求項1に記載の水処理剤と接触させる、被処理水の処理方法。
- 前記窒素化合物が硝酸態窒素を含む、請求項3に記載の被処理水の処理方法。
- 前記被処理水が食品工場からの排水である、請求項3または4に記載の被処理水の処理方法。
- グリーンラスト懸濁液が収容された第一の容器と、
哺乳動物(ヒトを除く)の肝臓抽出液と、酵母溶解酵素と、乳酸脱水素酵素と、グルコース脱水素酵素と、水と、を含有する酵素処理剤が収容された第二の容器と、
前記グリーンラスト懸濁液と前記酵素処理剤とから請求項1に記載の水処理剤を製造する方法が記載された取扱説明書と
を備える、請求項1に記載の水処理剤を製造するためのキット。
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