JPWO2020090813A1 - フラボノイド類の製造方法 - Google Patents

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征宏 有福
佐野 理志
理志 佐野
上面 雅義
雅義 上面
北山 和弘
和弘 北山
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Abstract

フラボノイド類を含む抽料を、液化したジメチルエーテルを含む抽剤と接触させ、フラボノイド類を含む抽出液を抽出する抽出工程と、抽出液から抽剤の少なくとも一部を気化させて除去し、フラボノイド類を含む抽出物を得る気化工程と、を有するフラボノイド類の製造方法。

Description

本開示は、フラボノイド類の製造方法に関する。
フラボノイドは、天然に存在する有機化合物群であり、柑橘類及び豆類をはじめとして、様々な植物の花、葉、根、茎、果実、種子等に含まれている。フラボノイドは、種類によって特徴及び作用が異なるが、その多くが強い抗酸化作用を有している。例えば、柑橘類に含まれるフラボノイドであるポリメトキシフラボンは、抗酸化作用、発ガン抑制作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗アレルギー作用、メラニン生成抑制作用、血糖値抑制作用等を有することが知られており、医薬品、健康食品、化粧品等の様々な用途への応用が期待されている。
柑橘類からフラボノイドを製造する方法としては、例えば、柑橘類の果皮等からエタノール水溶液でフラボノイドを抽出し、抽出されたフラボノイドを溶液中から回収する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−145824号公報
しかしながら、従来のフラボノイドの製造方法では、得られるフラボノイドの濃度が低いという問題がある。そのため、得られるフラボノイドの濃度を向上できる製造方法の開発が求められている。
本開示は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、得られるフラボノイド類の濃度を向上できるフラボノイド類の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示は、フラボノイド類を含む抽料を、液化したジメチルエーテルを含む抽剤と接触させ、フラボノイド類を含む抽出液を抽出する抽出工程と、上記抽出液から抽剤の少なくとも一部を気化させて除去し、フラボノイド類を含む抽出物を得る気化工程と、を有するフラボノイド類の製造方法を提供する。
上記製造方法によれば、液化したジメチルエーテルを含む抽剤を用いて抽料からのフラボノイド類の抽出を行うことにより、エタノール水溶液等を用いて抽出を行う従来の方法と比較して、得られる抽出物中のフラボノイド類の濃度を大きく向上させることができる。また、上記製造方法によれば、フラボノイドだけでなく、その配糖体等も抽出することができる。ここで、本発明者らは、ジメチルエーテルが、常温常圧(25℃、0.1MPa)で気体、且つ、1MPa以下の加圧で簡便に液化できる液化ガスの中でも、フラボノイド類を抽出可能であるという極めて稀な性質を持つ溶剤であることを見出した。そして、本発明者らは、このジメチルエーテルを液化して抽剤として用いることで、フラボノイド類を高濃度で抽出できることを見出した。また、液化ガスは圧力を常圧に戻せば容易に気体になるため、圧力を常圧にすることで容易に抽出物中に含まれる抽剤を限りなくゼロにすることができ、且つ、気化したジメチルエーテルはガスとして回収可能であり、従来技術と比較して廃溶剤を大幅に低減することが可能となる。
上記製造方法において、上記フラボノイド類は、スダチチン及びスダチチン配糖体のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。上記製造方法によれば、スダチチン及びスダチチン配糖体を特に効率的に抽出することができる。
上記製造方法において、上記抽料は、スダチ果皮を含んでいてもよい。上記製造方法によれば、スダチ果皮を含む抽料からのフラボノイド類の抽出を特に効率的に行うことができる。
上記製造方法は、上記抽出工程の前に、上記抽料を酸処理する酸処理工程を更に有していてもよい。酸処理工程を行うことにより、抽料に含まれるフラボノイド配糖体の少なくとも一部をフラボノイドに分解することができると共に、抽出工程でのフラボノイド類の抽出効率を向上させることができる。
上記製造方法は、上記気化工程の後に、上記抽出物中のフラボノイド配糖体の少なくとも一部をフラボノイドに分解する分解工程を更に含んでいてもよい。分解工程を行うことにより、フラボノイドの濃度をより向上させることができる。
本開示によれば、得られるフラボノイド類の濃度を向上できるフラボノイド類の製造方法を提供することができる。
本開示のフラボノイド類の製造方法の一実施形態を説明するための模式図である。
以下、本開示をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本開示のフラボノイド類の製造方法は、フラボノイド類を含む抽料を、液化したジメチルエーテルを含む抽剤と接触させ、フラボノイド類を含む抽出液を抽出する抽出工程と、上記抽出液から抽剤の少なくとも一部を気化させて除去し、フラボノイド類を含む抽出物を得る気化工程と、を有する。ここで、図1は、本開示のフラボノイド類の製造方法の一実施形態を説明するための模式図である。以下、図1を用いながら本実施形態に係るフラボノイド類の製造方法を説明する。
[抽出工程]
抽出工程では、抽出槽12において、フラボノイド類を含む抽料21を、液化したジメチルエーテルを含む抽剤22と接触させる。液化したジメチルエーテルは液化ガスボンベ11に収容されており、液化ガスボンベ11と抽出槽12との間に設けられたバルブ31の開閉により、液化ガスボンベ11から抽出槽12に供給される。抽剤22は、抽料21の全体が抽剤22に浸漬するように供給することが好ましい。また、抽出槽12内には濾過フィルタ23が設置されており、抽料21は濾過フィルタ23上に配置される。
抽出工程では、抽料21から抽剤22へのフラボノイド類の抽出を促すために、抽出槽12を振とうする、及び/又は、抽出槽12内を撹拌することが好ましい。これらの操作を行うことで、より短時間で高濃度のフラボノイド類を抽出することができる。
抽出槽12内において、抽剤22の液温は、ジメチルエーテルを液体状態に保つことができる温度であれば特に限定されないが、例えば、80℃以下であってもよく、10〜40℃であってもよい。
抽出槽12内の圧力はジメチルエーテルが液状であれば特に限定されず、加圧状態又は大気圧状態のいずれであってもよい。抽出槽12内を加圧状態とする場合、圧力は大気圧より高く、100MPa以下であってもよく、10MPa以下であってもよく、1MPa以下であってもよい。抽出槽12内を加圧状態とすることで、抽剤22の液温を高くすることができ、抽料21から抽剤22へのフラボノイド類の抽出を促進することができる。なお、抽出槽12内を加圧状態とした場合、抽出槽12内における抽剤22の液温は、ジメチルエーテルを液体状態に保ったまま、ジメチルエーテルの常圧での沸点以上にすることができる。
抽出工程における抽出時間は特に限定されないが、1〜300分間であってもよく、20〜60分間であってもよい。抽出時間を1分間以上とすることで、抽料21に含まれるフラボノイド類を抽剤22に十分に抽出することができる。なお、抽出時間は、上述した振とう及び撹拌等の操作の有無、抽剤22の液温、抽出槽12内の圧力等の条件に応じて調整することができる。
抽料21の質量に対する抽剤22の質量の比(抽剤22の質量/抽料21の質量)は特に限定されないが、例えば、1〜1000であってもよく、2〜20であってもよい。この質量比が1以上であることで、抽料21と抽剤22とを十分に接触させ易く、抽料21に含まれるフラボノイド類を抽剤22に十分に抽出し易い。また、この質量比が1000を超えても、フラボノイド類の抽出効率はそれ以上向上し難いため、抽剤22の使用量を低減すると共に、抽出槽12の大型化を抑制する観点から、質量比は1000以下であってもよい。
抽出工程により抽料21からフラボノイド類を抽剤22に抽出した後、濾過フィルタ23により抽料21と抽剤22とを分離し、抽出されたフラボノイド類と抽剤22とを含む抽出液24を抽出槽12から気化槽13に移送する。抽出液24の移送は、抽出槽12と気化槽13との間に設けられたバルブ32,33の開閉により行われる。なお、バルブ32及びバルブ33は、一方のみ設けられていてもよい。
抽出工程は、通常、バルブ32を閉じた状態で行われる。これにより、抽料21に含まれるフラボノイド類を抽剤22に十分に抽出し易い。なお、バルブ31,32,33を開けた状態で、抽剤22の供給、フラボノイド類の抽出、及び、抽出液24の排出を連続的に行うこともできる。
(抽料)
抽料21は、フラボノイド類を含むものであれば特に限定されない。本明細書において、フラボノイド類とは、フラボノイド及びその配糖体(以下、「フラボノイド配糖体」ともいう)、フラボノイド配糖体に更に糖が結合した糖付加物、並びに、それらを酵素処理したものを含む。
フラボノイドは、フェニルクロマン骨格を基本構造とする芳香族化合物であり、フラボン類、フラボノール類、フラバノン類、フラバノノール類、イソフラボン類、アントシアニン類、フラバノール類、カルコン類、オーロン類等が挙げられる。これらの中でも、フラボノイドは、フラボン類であるポリメトキシフラボンであってもよい。
ポリメトキシフラボンとしては、スダチチン、デメトキシスダチチン、ノビレチン、タンゲレチン、ペンタメトキシフラボン、テトラメトキシフラボン、ヘプタメトキシフラボン等が挙げられる。これらの中でも、ポリメトキシフラボンは、スダチチン、又は、デメトキシスダチチンであってもよい。
また、フラボノイドは、フラバノン類であるヘスペレチンであってもよい。また、フラボノイドは、ケルセチン、又は、アントシアニジンを含んでいてもよい。
フラボノイド配糖体は上述したようなフラボノイドと糖とがグリコシド結合により結合した構造を有する親水性の化合物である。フラボノイド配糖体を構成する糖としては、特に限定されず、上述したフラボノイドとグリコシド結合により結合して配糖体を形成することができる公知の糖が挙げられる。
抽料21は、上述したフラボノイド類の1種又は2種以上を含んでいてもよい。
抽料21は、フラボノイド類以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、糖、セルロース、酸等が挙げられる。抽料21におけるフラボノイド類の含有量は、抽料21の固形分全量を基準として、5質量ppm以上であることが好ましく、10〜1000質量ppmであることがより好ましい。
抽料21として具体的には、植物及び海草の花、葉、根、茎、果実、種子等を用いることができる。特に果皮はポリメトキシフラボン、及びそれらの配糖体を多く含有するため、柑橘果実の搾汁残渣を好適に用いることができる。また、抽料21は、柑橘類から得られた乾燥粉末であってもよく、柑橘類の果皮から得られた乾燥粉末であってもよい。柑橘類としては、スダチ、温州みかん、ポンカン、シークワサー等が挙げられる。柑橘類は、スダチチン及びデメトキシスダチチン等のポリメトキシフラボン、及びそれらの配糖体を多く含有するスダチであってもよい。上記乾燥粉末は、植物及び海草の花、葉、根、茎、果実、種子等をミキサー等で粉砕して得ることができる。乾燥粉末の粒径は、フラボノイド類の抽出効率の観点から、長軸径で0.1〜5mmであってもよい。
抽料21は、予め酸処理が施されたものであってもよい。この場合、本実施形態の製造方法は、抽出工程の前に、抽料を酸処理する酸処理工程を更に有していてもよい。酸処理は、抽料を塩酸、硫酸等の酸と反応させることにより行うことができる。反応は、特に限定されないが、例えば60〜120℃の温度で0.5〜3時間行うことができる。酸処理工程を行うことにより、抽料に含まれるフラボノイド配糖体の少なくとも一部をフラボノイドに分解することができると共に、抽出工程でのフラボノイド類の抽出効率を向上させることができる。また、酸処理工程を行った場合、気化工程後に後述する分解工程を行わなかった場合でも、予めフラボノイド配糖体がフラボノイドに分解されているため、フラボノイドの濃度の高い抽出物を得ることができる。なお、酸処理を行った場合、抽出工程の前に、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基で酸を中和することが好ましい。
(抽剤)
抽剤22は、液化ジメチルエーテルのみからなるものであってもよく、液化ジメチルエーテル以外の他の溶剤を含んでいてもよい。他の溶剤としては、例えば、水、エタノール、超臨界二酸化炭素、イソブタン、イソブテン、ノルマルブタン、プロパン等が挙げられる。抽剤22中の液化ジメチルエーテルの含有量は、抽出工程でのフラボノイド類の抽出効率の観点から、抽剤22全量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
[気化工程]
気化工程では、抽出工程で得られた抽出液24から抽剤22の少なくとも一部を気化させて除去し、フラボノイド類を含む抽出物26を得る。気化工程では、気化槽13に移送した抽出液24を常圧にするか、20℃以上の温度に加熱することにより、抽剤22の少なくとも一部を気化させ、気化槽13に設けられた排気口からバルブ34の開閉により、ガス25として気化槽13の外に排出する。これにより、抽剤22の少なくとも一部が除去されたフラボノイド類を含む抽出物26を得ることができる。得られた抽出物26は、気化槽13に設けられた排出口からバルブ35の開閉により排出し、容器14に回収することができる。
抽出物26は、液体であっても固体であってもよいが、液体の状態で回収することが作業効率の観点から好ましい。
気化工程では、抽剤22の全量を除去する必要はなく、一部を残存させてもよい。抽剤22の一部を残存させることで、抽出物26を液体の状態で回収することが容易となる。抽出物26を液体の状態で回収する場合、抽剤22には液化ジメチルエーテル以外に、常温常圧で液体である溶剤を含有させることが好ましい。液化ジメチルエーテル以外の溶剤としては、アルコール類(エタノール等)、アルカン類(ヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル等)、水などが挙げられる。
気化工程を経て得られた抽出物26は、液体の状態で回収した場合には、回収後に乾燥して固体にすることができる。これにより、固体の抽出物26を得ることができる。
[分解工程]
本実施形態の製造方法は、気化工程の後に、得られた抽出物26中のフラボノイド配糖体の少なくとも一部をフラボノイドに分解する分解工程を更に含んでいてもよい。これにより、フラボノイドを高濃度で含む分解物を得ることができる。フラボノイド配糖体の分解は、上述した抽料に対する酸処理と同様の方法で行うことができる。酸処理を行う対象となる抽出物26は、固体状態であることが好ましい。
[精製工程]
フラボノイドを目的物質とする場合、本実施形態の製造方法は、気化工程の後、又は、分解工程の後に、抽出物26又は分解物からフラボノイドを抽出・精製する精製工程を更に含んでいてもよい。抽出物26又は分解物には、フラボノイドの他に、糖、フラボノイド配糖体、クエン酸、リモネン等が含まれていることがある。ここで、フラボノイドは疎水性であるのに対し、糖、フラボノイド配糖体、クエン酸は親水性である。そのため、抽出物26又は分解物をエタノール、酢酸エチル、ヘキサン及びその混合物等の有機溶媒に投入し、不溶物をろ過等により除去することで、フラボノイドをさらに抽出・精製することができる。
上述した本実施形態の製造方法により、フラボノイド類を高い濃度で効率的に製造することができる。本実施形態の製造方法で製造されるフラボノイド類は、ポリメトキシフラボンであってもよく、スダチチン及び/又はデメトキシスダチチンであってもよい。本実施形態の製造方法は、ポリメトキシフラボン、特にスダチチン及びデメトキシスダチチンの製造に好適であり、その濃度を大きく向上させることができる。
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本開示の製造方法は、図1に示したような液化ガスボンベ11、抽出槽12及び気化槽13が接続された液化ガス抽出装置を用いて各工程を連続的に又は断続的に行う必要はなく、各工程を独立させて行ってもよい。また、抽出槽12内に濾過フィルタ23を設けなくてもよく、抽料21と抽剤22との接触と、抽料21と抽剤22との分離とを同じ槽内で行わずに別々に行ってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本開示をより具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示される方法により、抽料からのフラボノイド類の抽出を行った。まず、スダチ果汁を搾汁した後のスダチ果皮を含む冷凍スダチ搾汁残渣をミキサーで粉砕し、粒径(長軸径)が0.1〜5mm程度の粉砕冷凍スダチ搾汁残渣を得た。得られた粉砕冷凍スダチ搾汁残渣30gを抽料として、液化ガス抽出装置の抽出槽に投入し、抽剤として液化DME(ジメチルエーテル)60mlを液化ガスボンベから抽出槽に注液して抽出槽を5分間震とうし、抽料中のフラボノイド類(抽質)を抽剤に抽出した(抽出工程)。抽出工程は、室温(25℃)環境下、密閉した抽出槽内で液化DMEが気化して飽和蒸気圧(約0.6MPa)に達した状態で実施した。その後、抽出物含有液化DME(抽出液)を、孔径1μmの濾過フィルタを通して抽出槽から気化槽に移送した。気化槽内を常圧とすることで、気化槽内でDMEを気化させて除去し(気化工程)、液状の抽出物を分離回収した。なお、この液状の抽出物には、スダチ果皮に含有される水が含まれる。上記の粉砕冷凍スダチ搾汁残渣を入れた抽出槽への液化DMEの注液から液状抽出物の分離回収までの操作を3回繰り返し行い、回収した3回分の液状抽出物を合わせてスダチ果皮抽出液を得た。
得られたスダチ果皮抽出液を真空乾燥機にて60℃で300分間乾燥し、固体のスダチ果皮抽出物を得た。次いで、スダチ果皮抽出物0.1gを2gの1N塩酸に浸漬し、120℃で1時間反応させることで抽出物中のフラボノイド配糖体をフラボノイドに分解した後、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和した。中和した溶液を真空乾燥機にて60℃で300分間乾燥し、固体のスダチ果皮抽出物配糖体分解物を得た。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で粉砕冷凍スダチ搾汁残渣を得た。得られた粉砕冷凍スダチ搾汁残渣100gを300gの1N塩酸に浸漬し、120℃で1時間反応させることで粉砕冷凍スダチ搾汁残渣中のフラボノイド配糖体をフラボノイドに分解した後、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和した(酸処理工程)。中和した溶液を真空乾燥機にて60℃で300分間乾燥し、酸処理粉砕スダチ搾汁残渣を得た。この酸処理粉砕スダチ搾汁残渣30gを抽料として用いたこと以外は実施例1と同様にして、固体のスダチ果皮抽出物、及び、固体のスダチ果皮抽出物配糖体分解物を得た。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で粉砕冷凍スダチ搾汁残渣を得た。得られた粉砕冷凍スダチ搾汁残渣100gを抽料として1Lのフラスコに秤量し、そこに120gのエタノールと280gの純水とを抽剤として投入して、オイルバスで液温60℃で5時間抽出を行い、抽料中のフラボノイド類(抽質)を抽剤に抽出した。その後、孔径1μmのPTFEフィルタを用いて固形物を分離して、水/エタノール抽出液を得た。得られた水/エタノール抽出液を真空乾燥機にて60℃で300分間乾燥し、固体のスダチ果皮抽出物(水/エタノール抽出物)を得た。得られたスダチ果皮抽出物について、実施例1と同様の方法で酸処理(配糖体分解)を行い、固体のスダチ果皮抽出物配糖体分解物を得た。
(比較例2)
抽剤を400gの純水に変更したこと以外は比較例1と同様にして、固体のスダチ果皮抽出物(水抽出物)を得た。なお、比較例2において、スダチ果皮抽出物の酸処理(配糖体分解)は行わなかった。
(比較例3)
抽剤を液化イソブタンに変更したこと以外は実施例1と同様にして、固体のスダチ果皮抽出物(イソブタン抽出物)を得た。抽出工程は、室温(25℃)環境下、密閉した抽出槽内で液化イソブタンが気化して飽和蒸気圧に達した状態で実施した。なお、比較例3において、抽出液は水あめ状の半固体状態であり、0.1g以上の抽出液を得ることができなかった。そのため、スダチ果皮抽出物の酸処理(配糖体分解)は行わなかった。また、抽出液が上記の状態であったため、後述する廃液もほぼ無かった。
<フラボノイド類の濃度測定>
各実施例及び比較例で得られたスダチ果皮抽出物中のフラボノイド類は、以下の方法で測定した。まず、固体のスダチ果皮抽出物1gをエタノール100gに溶解/分散させ、孔径0.1μmのPTFEフィルタでろ過して、エタノール溶液を得た。このエタノール溶液について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により成分分析を行った。標準物質に市販の目的物標準精製試料を用いてそれぞれ検量線を作成し、それを用いてスダチ果皮抽出物中の目的物濃度を概算した。HPLC装置には、日立ハイテク製「クロムマスター」を用いた。濃度を測定する目的物は、スダチチン、ヘスペリジン、デメトキシスダチチンとした。また、実施例1〜2及び比較例1については、スダチチン配糖体の濃度も測定した。スダチチン配糖体の濃度は、酸処理したスダチ果皮抽出物配糖体分解物のスダチチン濃度とスダチ果皮抽出物のスダチチン濃度との差分から求めた。結果は表1にまとめて示した。
<廃液(廃溶剤)量の測定>
気化工程及びその後の乾燥時に気化した、常温常圧で液体である溶剤(水及びエタノール)の量を、廃液量として測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2020090813
表1に示すとおり、実施例1及び2では、構造の異なるフラボノイド類であるスダチチン、ヘスペリジン及びデメトキシスダチチンが、比較例1〜3と比べて高濃度で抽出され、スダチチン配糖体も抽出された。また、実施例1及び2では、比較例1及び2と比較して廃液量が大幅に減少した。なお、比較例3では、液化ガスである液化イソブタンで抽出を行ったが、液化DMEを用いた場合と異なり、フラボノイド類の抽出ができなかった。
11…液化ガスボンベ、12…抽出槽、13…気化槽、14…容器、21…抽料、22…抽剤、23…濾過フィルタ、24…抽出液、25…ガス、26…抽出物、31,32,33,34,35…バルブ。

Claims (5)

  1. フラボノイド類を含む抽料を、液化したジメチルエーテルを含む抽剤と接触させ、フラボノイド類を含む抽出液を抽出する抽出工程と、
    前記抽出液から抽剤の少なくとも一部を気化させて除去し、フラボノイド類を含む抽出物を得る気化工程と、
    を有するフラボノイド類の製造方法。
  2. 前記フラボノイド類が、スダチチン及びスダチチン配糖体のうちの少なくとも一種を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記抽料が、スダチ果皮を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記抽出工程の前に、前記抽料を酸処理する酸処理工程を更に有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記気化工程の後に、前記抽出物中のフラボノイド配糖体の少なくとも一部をフラボノイドに分解する分解工程を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
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