JP2000128792A - イチョウ葉エキスの製造法 - Google Patents

イチョウ葉エキスの製造法

Info

Publication number
JP2000128792A
JP2000128792A JP10299238A JP29923898A JP2000128792A JP 2000128792 A JP2000128792 A JP 2000128792A JP 10299238 A JP10299238 A JP 10299238A JP 29923898 A JP29923898 A JP 29923898A JP 2000128792 A JP2000128792 A JP 2000128792A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extraction
dimethyl ether
extract
aqueous
filtrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10299238A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunari Miyata
和成 宮田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10299238A priority Critical patent/JP2000128792A/ja
Publication of JP2000128792A publication Critical patent/JP2000128792A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機溶剤の残留がなく安全性の高いイチョウ
葉エキスを製造する。 【解決手段】 イチョウ葉エキスを製造するにあたり、
抽出操作、精製操作を通じ有機溶媒としては沸点が低
く、残留の心配のないジメチルエーテルのみを使用する
ことで、有機溶剤の残留がなく有効成分が濃縮されたイ
チョウ葉エキスを得る。 【効果】有機溶剤の残留がなく安全性の高いイチョウ葉
エキスの製造法を提供する。本発明により得られるエキ
スは、抽出溶剤としてジメチルエーテルのみを使用する
ため製品に有機溶剤の痕跡の残留も認められないため、
継続的な体内への摂取に対しても安全性が高い。また、
有機溶剤としてジメチルエーテルのみを使用するため、
溶媒回収が容易であり経済的なプロセスを開発するに至
った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イチョウ葉エキス
を製造するにあたって、抽出溶剤としてジメチルエーテ
ルを使用することにより、医薬品、食品、化粧品素材と
して安全性の高められたイチョウ葉エキスを製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】イチョウ葉から得られる抽出物には、血
管壁に直接作用し、もろくなった血管を修復し、硬化し
た血管に弾力を持たせる作用、粘ちょう性の血液をサラ
サラにして末梢血管の抵抗を減少させる作用、免疫機能
を高める作用、血小板活性因子抑制作用等の薬理作用の
ある有効成分を含有することが知られている。特に、フ
ランスやドイツなどでは、脳循環代謝の改善を目的とし
た治療薬として広く使用されてきた。現在、医薬品とし
てのみならず、健康食品としても市販されており、今後
さらに広く普及するものと予想される。
【0003】しかし、一方ではイチョウ葉成分にはアレ
ルギーを引き起こす疎水性のサリチル酸誘導体の一種で
ある銀杏酸や褐変性を有する水溶性のポリフェノール化
合物(プロアントシアニジン)が含まれている。そのた
め、イチョウ葉の抽出物を医薬品、食品、化粧品素材と
して利用するには、その除去が必須となる。イチョウ葉
の有効成分を含有するエキスの製法は、一般に知られて
いるが、いずれもサリチル酸誘導体及びポリフェノール
化合物を除去しフラボン配糖体及びテルペンラクトン類
等の有効成分の含量を上げるために、低沸点で除去し難
く、毒性も高い溶剤を使用している。
【0004】イチョウ葉から有効成分としてフラボン配
糖体を多く含むエキスの製造方法は既に知られている
(特公昭46−28091号公報、特公昭49−273
23号公報)。これらの製法では、人体に有害な四塩化
炭素や鉛化合物を使用しているため、その改良法として
種々の方法が開示されている。例えば、抽出液をセライ
トの存在下で濃縮し、得られた濃厚懸濁液をセライト上
でろ過することで、四塩化炭素、鉛化合物使用の代替と
する方法(特開平1−199989号公報)。抽出液を
アルカリ化して、プロアントシアニジン類を沈澱させ取
り除く方法(特開平1−258626号公報)、また、
ブタノール等の低級アルカノールと極性の低いトルエン
またはヘプタン等の2つ以上の溶媒と水の間で有効成分
の転溶を繰り返すことで、サリチル酸誘導体及びポリフ
ェノール化合物を除去し精製する方法(特開平2−12
1998号公報、特開平3−279332号公報)が上
げられる。
【0005】しかし、これらのサリチル酸誘導体及びポ
リフェノール化合物の含量を低減し、かつ有効成分であ
るフラボン配糖体及びテルペンラクトン類の含量を上げ
たイチョウ葉エキスの製造法はいずれも、特に毒性の著
しい塩素系溶媒や鉛化合物を使用していないものの、毒
性の高いケトン溶媒、沸点が高く除去が難しいブタノー
ル等の溶媒を使用している。さらに、いくつかの有機溶
剤を組み合わせて使用しているため溶剤の回収が煩雑な
ものとなっている。また、抽出溶媒として水性アセトン
が一般に使用されている。これらの抽出温度は55℃と
高く、熱による薬理活性を奏する有効成分の劣化が懸念
される。さらに、アセトンはアルドール縮合により有害
で沸点が高く除去し難いメシチルオキサイド等の縮合物
を生成し、その残留も懸念される。
【0006】これら毒性の高い有機溶剤を使用する欠点
を回避するための製法として、水性アルコール抽出液を
非極性多孔性樹脂により精製する方法が開示されている
(特開平3−275629号公報、特開平4−1824
34号公報)。この方法によれば、食品製造に適したエ
タノールのみを使用してイチョウ葉エキスを得る方法で
あるが、精製に非極性多孔性樹脂を使用しているため、
その再生及び溶媒回収に多大なエネルギーを必要とする
欠点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記説明にあるよう
に、従来技術では、溶剤として高沸点で、また安全性の
低いものを組み合わせて使用している。したがって、こ
れらの方法では使用した溶剤除去に多くのエネルギーを
要し、また、完全にはこれらの溶剤を除去できないた
め、その安全性が危惧される。また、溶剤の回収に多大
なエネルギーを要するため経済的にも効率的ではない。
また、高い温度で抽出を実施しているため製品の劣化も
懸念される。
【0008】本発明は、妥当なコストで、安全性の高
い、劣化の少ないイチョウ葉エキスを得るための製造法
を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】ジメチルエーテルにより
固形及び液状食品から脱脂、脱水を同時に行うことが知
られている(特公昭51−12692号公報)。このよ
うにジメチルエーテルは油脂ばかりでなく水及び水溶性
物質も抽出する独特な性質を有している。ジメチルエー
テルは高圧下で水を7%溶解し、また水中に35%溶解
する性質を持つ。含水のジメチルエーテル溶媒は水性物
質及び脂溶性物質の両方を抽出することが可能である
(US4069351明細書、US4136065明細
書)。
【0010】ジメチルエーテルの独特な性質としては、
その低沸点(−25℃)であるため除去することの容易
さ、エアゾール噴射剤に多用されていることからも理解
されるように高い安全性、水及び脂質を溶解する能力、
相対的な化学的不活性等々がある。ジメチルエーテルは
エーテル類でありながら空気にさらしたときに、例えば
ジエチルエーテルが形成するような過酸化物を形成しな
い。また、アセトンが形成するような縮合生成物も形成
しない。
【0011】本発明者らは含水のジメチルエーテルによ
りイチョウ葉の抽出を実施し、フラボン配糖体、テルペ
ンラクトン類及びサリチル酸誘導体が抽出されることを
見出した。ここでいうジメチルエーテルの含水量は特に
規定しないが、とりわけ水飽和ジメチルエーテルもしく
は水飽和ジメチルエーテルとジメチルエーテル飽和水の
混合液となる7〜60%(w/w)の含水量が有効であ
る。抽出温度は、30℃以下の範囲で十分である。
【0012】さらに本発明者らは抽出液の精製検討を進
めた結果、含水ジメチルエーテルによる抽出液を回収し
て得られる抽出ろ液からジメチルエーテル成分を蒸発さ
せることにより、簡便に少なくともサリチル酸誘導体の
一種である銀杏酸の疎水性物質を沈澱除去でき、さらに
得られる水性抽出ろ液に電解質を添加することで、水溶
性のポリフェノール化合物を水相とし、フラボン配糖体
及びテルペンラクトン類の有効成分が他の抽出成分(水
相)から濃縮され沈澱することを見出した。また、この
沈澱物を含水ジメチルエーテルに再溶解することで、有
効成分のみを溶解し、夾雑する硫酸アンモニウムを不溶
物として除去可能なことを見出し本発明を完成するに至
った。すなわち、イチョウ葉抽出物の製造法において以
下の操作を逐次実施していく。 (1)イチョウの葉を破砕する操作、(2)抽出用含水
ジメチルエーテルを用いて破砕したイチョウ葉から抽出
する操作、(3)抽出液を抽出残渣と分離して抽出ろ液
を回収する操作、(4)抽出ろ液から疎水性物質を沈澱
させるため、抽出液中のジメチルエーテルを蒸発させ水
性抽出液とし、沈澱物を形成する操作、(5)水性抽出
液を沈澱と分離して水性抽出ろ液を回収する操作、
(6)水性抽出ろ液を濃縮する操作、(7)濃縮した水
性抽出ろ液に電解質を添加して、有効成分を沈澱させる
操作、(8)不溶性画分を回収する操作、(9)不溶性
画分を含水ジメチルエーテルに再溶解し脱塩する操作、
(10)不溶物を分離する操作、及び(11)溶媒除去
後、乾燥により粉末エキスを回収する操作。より具体的
には、 (1)イチョウ葉を粉砕することで抽出効率を上げる。
粉砕の程度は、市販に供されている5mm角程度で十分
である。仕込量に関して、一般に抽出用含水ジメチルエ
ーテルは、イチョウ葉1重量部(乾燥重量)あたり5〜
20倍量で実施される。この時使用する原料葉は、生で
も乾燥したものでも構わない。 (2)ジメチルエーテルに水を加え含水溶剤とすること
で、有効成分の抽出率を上げる。イチョウ葉抽出に関し
ては、含水量5〜80%の範囲が一般に使用できる。温
度は40℃以下の温度で十分で、特に上げる必要はな
い。抽出は一般に30〜60分実施される。 (3)抽出残渣をろ過により分離する。これにより含水
ジメチルエーテルの抽出液を、ろ液として回収して抽出
ろ液として得る。 (4)この回収した抽出ろ液(含水ジメチルエーテル)
からジメチルエーテルをその残留量が10%以下になる
まで蒸発する。この操作により疎水性物質である銀杏酸
等のサリチル酸誘導体の沈澱が形成され、水性抽出液を
得る。この時の温度は、5〜30℃の範囲で十分であ
る。実プラントにおいては、蒸発したジメチルエーテル
を回収するため、密閉された系の中で蒸発及び回収が実
施される。 (5)水性抽出液から、生じた疎水性物質の沈澱物を除
去して水性抽出ろ液を得る。 (6)水性抽出ろ液を固形物量が10〜20%になるま
で濃縮する。固形物量が少ないと多量の電解質を必要と
し、また、固形物量が多いと有効成分(例えばフラボン
配糖体及びテルペンラクトン類)の回収量が低下する。 (7)濃縮した水性抽出ろ液に電解質を添加すること
で、有効成分を塩析により沈澱させる。電解質として
は、例えば金属またはアンモニウムの硫酸塩、塩化物ま
たは硝酸塩が挙げられ、好ましくは硫酸アンモニウムが
選択される。硫酸アンモニウムの添加量としては、濃縮
した水性抽出ろ液に対して30〜60%(W/V)の濃
度とする添加量の範囲で使用できる。この時、水溶性の
ポリフェノール化合物は水相に溶解し、有効成分は沈澱
となり不溶性画分として分離される。温度は5〜30℃
の間で実施される。 (8)ろ過もしくは遠心分離により不溶性画分を回収す
る。 (9)回収した不溶性画分を含水ジメチルエーテルによ
り再溶解する。この含水ジメチルエーテル中の含水量
は、2%から飽和濃度である7%までの範囲で使用で
き、この含水ジメチルエーテルの使用量としては、例え
ば回収した不溶性画分1重量部あたり10〜100重量
部を用いればよい。この時、硫酸アンモニウムは溶解せ
ず、有効成分のみ溶解し、硫酸アンモニウムは不溶物と
して完全に除去される。 (10)不溶物をろ過により除去する。 (11)溶媒除去後、乾燥により粉末エキスを回収す
る。溶媒除去は40℃以下、大気圧下で十分である。乾
燥方法は特に定めないが、低温で処理できる点から凍結
乾燥が望ましい。
【0013】以上の工程により、有効成分であるフラボ
ン配糖体15〜30%、テルペンラクトン類4〜12
%、銀杏酸10ppm以下(検出限界以下)、ジメチル
エーテル1ppm以下(検出限界以下)のイチョウ葉エ
キスを取得する。各々の成分の分析方法は、以下に示す
とおりである。 フラボン配糖体:HPLCにて定量することができる。
具体的には、イチョウ葉エキス中のフラボン配糖体を酸
分解後、逆相系ODSカラムを用い、0.5%クエン酸
水溶液/アセトニトリル/イソプロパノールを溶離液と
し、UV吸収によりクエルセチン、ケンフェロール及び
イソラムネチンを検出、フラボン配糖体に換算して総量
を求める。
【0014】テルペンラクトン類:HPLCにて定量す
ることができる。具体的には、イチョウ葉エキスのテル
ペンラクトン類をエーテルで抽出後、逆相系ODSカラ
ムを用い、水/メタノールを溶離液とし、示唆屈折計に
よりビロバリド、ギンコライドA、ギンコライドB及び
ギンコライドCを検出、各テルペンを定量し、その合計
より総テルペンラクトン量として求める。
【0015】銀杏酸:HPLCにて定量することができ
る。具体的には、イチョウ葉エキスを逆相系ODSカラ
ムを用い、メタノール/水/氷酢酸を溶離液とし、UV
吸収により銀杏酸を検出、定量する。 ジメチルエーテル:GCにて定量することができる。具
体的には、キャピラリーカラムを用い、FIDにてジメ
チルエーテルを検出、定量する。
【0016】本発明はイチョウ葉エキスの製造法及び製
品に次の様な利点をもたらす。 (1)単一溶媒で水との共沸がないため、溶媒回収が容
易である。また、ジメチルエーテルの沸点が低いため、
真空蒸留等の特別の操作なく、加熱するだけで溶剤をほ
ぼ定量的に回収できる。 (2)使用する溶剤ジメチルエーテルの沸点が低いため
製品中に溶剤が残留しない。 (3)低温で抽出できるため製品の熱劣化が少ない。
【0017】すなわち、本発明は、抽出溶剤としてジメ
チルエーテルを用いイチョウ葉から薬物を抽出し、引き
続き塩析により薬物を沈澱させることにより、安全性の
高いイチョウ葉抽出物を安価に製造する方法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、実施例によりさらに詳しく
本発明の説明を行うが、これら実施例は何ら本発明を限
定するものではない。
【0019】
【実施例1】2mm程度に粉砕した乾燥イチョウ葉10
0g及び水400gを撹拌機付き3L容高圧ガス容器に
入れ、次にジメチルエーテル(不含水)600gを圧入
後、30℃下30分間撹拌抽出を行った後、燒結金属に
より残渣をろ別し、抽出ろ液を別の高圧ガス容器に受け
入れた。この抽出ろ液を10℃、大気圧下にて30分間
ジメチルエーテルを蒸発させた。沈澱が生じたこの水性
抽出液を0.2μ、142mm径のメンブレンフィルタ
ーにて加圧ろ過して、沈澱物を除去し、水性抽出ろ液約
400gを回収した(沈澱物は銀杏酸を含む疎水性物質
であることを確認した)。このろ液をエバポレータにて
60℃の湯浴槽で真空下、150mLまで濃縮した。
【0020】濃縮液に硫酸アンモニウム90gを添加
し、撹拌溶解した。室温にて1時間静置し沈澱物を熟成
させた。この溶液を3500rpm遠心条件にて沈澱物
と水相に分離した(水相にポリフェノール化合物が含有
されていることを確認した)。回収した沈澱物(8g、
硫酸アンモニウムをも含む)を水10gで懸濁し、50
0mLの撹拌機付き高圧ガス容器に入れ、次にジメチル
エーテル190gを圧入後、30℃、30分間撹拌によ
り懸濁した。この懸濁液を0.2μ、142mm径のメ
ンブレンフィルターにて沈澱物をろ別し、ろ液を別の高
圧ガス容器に受け入れた。このろ別した液を10℃、大
気圧下にて30分間ジメチルエーテルを蒸発させ、残留
した水溶液を凍結乾燥により一昼夜室温にて乾燥した。
粉末状のイチョウ葉エキス2.0gを得た。
【0021】この抽出物の分析値は、フラボン配糖体含
量24%、テルペンラクトン類含量6%、銀杏酸含量1
0ppm以下、ジメチルエーテル含量1ppm以下であ
った。
【0022】
【実施例2】2mm程度に粉砕した生のイチョウ葉33
0g及び水400gを撹拌機付き3L容高圧ガス容器に
入れ、次にジメチルエーテル600gを圧入後、30℃
下、30分間撹拌抽出を行った後、燒結金属により残渣
をろ別し、抽出ろ液を別の高圧ガス容器に受け入れた。
この抽出ろ液を10℃、大気圧下にて30分間ジメチル
エーテルを蒸発させた。沈澱が生じた水性抽出液を0.
2μ、142mm径のメンブレンフィルターにて加圧ろ
過して、沈澱物を除去しろ液約600gを回収した。こ
のろ液をエバポレータにて60℃の湯浴槽で真空下、1
50mLまで濃縮した。
【0023】濃縮液に硫酸アンモニウム90gを添加
し、撹拌溶解した。室温にて1時間静置し沈澱物を熟成
させた。この溶液を3500rpm遠心条件にて沈澱物
と水相に分離した。回収した沈澱物を水10gで懸濁
し、500mLの撹拌機付き高圧ガス容器に入れ、次に
ジメチルエーテル190gを圧入後、30℃、30mi
n撹拌により懸濁した。この懸濁液を0.2μ、142
mm径のメンブレンフィルターにて沈澱物をろ別し、ろ
液を別の高圧ガス容器に受け入れた。このろ別した液を
10℃、大気圧下にて30分間ジメチルエーテルを蒸発
させ、残留した水溶液を凍結乾燥により一昼夜室温にて
乾燥した。粉末状のイチョウ葉エキス2.4gを得た。
この抽出物の分析値は、フラボン配糖体含量22%、テ
ルペンラクトン類含量5.3%、銀杏酸含量10ppm
以下、ジメチルエーテル含量1ppm以下であった。
【0024】
【実施例3】抽出用含水ジメチルエーテルの水分量の抽
出量への影響を検討した。粉砕した乾燥イチョウ葉10
0gを各々水0%、7%、40%、60%を含むジメチ
ルエーテル溶液各2000mLで、3L容高圧ガス容器
中で30℃下、30分間撹拌抽出を行った後、燒結金属
によりろ別した。得られた抽出液の成分量を表1に示し
た。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示したように40%の水を含むジメ
チルエーテル溶媒が、有効成分であるフラボン配糖体、
テルペンラクトン類の最大の抽出力を示した。上記の各
々水7%、40%、60%を含むジメチルエーテルで抽
出して得られた抽出液を、同様に実施例1の操作にて、
イチョウ葉エキスを取得した。その結果を表2に示し
た。
【0027】
【表2】
【0028】すなわち、イチョウ葉エキスの抽出におい
ては、水飽和ジメチルエーテルもしくは水飽和ジメチル
エーテルとジメチルエーテル飽和水の混合状態となる7
〜60%の含水量が有効であることが示された。さら
に、好ましくは40%付近の含水量が最適であった。
【0029】
【実施例4】塩析に用いる硫酸アンモニウムの添加量に
ついて検討した。粉砕した乾燥イチョウ葉100gを水
50%を含むジメチルエーテル溶液2000mLで、3
L容高圧ガス容器中で、30℃下、30分間撹拌抽出を
行った後、燒結金属によりろ別した。得られた抽出液中
のジメチルエーテルを常温で30分間蒸発させた後、生
じた沈澱物を0.2μのメンブレンフィルターでろ過除
去し、ろ液を回収した。この液を濃縮乾固し23gの抽
出物を得た。
【0030】この得られた抽出物を元に硫酸アンモニウ
ムによる塩析の検討を行った。抽出物を各々2%、10
%、20%、50%の濃度になるように水に溶解後、所
定(0〜60%)の硫酸アンモニウムを添加して1時間
撹拌した後、室温で1時間静置し沈澱を熟成させた。得
られた沈澱を遠心分離により回収し、有効成分の回収量
を分析した。結果及び抽出物の処理濃度、硫酸アンモニ
ウムの添加量及び有効成分の回収率は各々表3に示し
た。
【0031】
【表3】
【0032】表3に示す通り、処理濃度10〜20%、
硫酸アンモニウム添加濃度30%以上特に60%で高い
有効成分の回収率を得た。上記の処理濃度10%、硫酸
アンモニウム添加濃度60%の条件で得た回収物、処理
濃度20%、硫酸アンモニウム添加濃度30%の条件で
得た回収物、処理濃度20%、硫酸アンモニウム添加濃
度60%の条件で得た回収物の各々から、実施例1と同
様の操作にて、イチョウ葉エキスを取得した。その結果
を表4に示した。
【0033】
【表4】
【0034】すなわち、エキス濃度10〜20%、硫酸
アンモニウム添加濃度30%以上が有効で、好ましくは
60%以上の硫酸アンモニウムの添加がより有効である
ことを示した。
【0035】
【発明の効果】本発明は、有機溶剤の残留がなく安全性
の高いイチョウ葉エキスの製造法を提供する。本発明に
より得られるエキスは、抽出溶剤としてジメチルエーテ
ルのみを使用するため製品に有機0剤の痕跡の残留も認
められないため、継続的な体内への摂取に対しても安全
性が高い。また、有機溶剤としてジメチルエーテルのみ
を使用するため、溶媒回収が容易であり経済的なプロセ
スを開発するに至った。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記逐次操作を行うことを特徴とするイ
    チョウ葉エキスの製造法: (1)イチョウの葉を破砕する操作、(2)抽出用含水
    ジメチルエーテルを用いて破砕したイチョウ葉から抽出
    する操作、(3)抽出液を抽出残渣と分離して抽出ろ液
    を回収する操作、(4)抽出ろ液から疎水性物質を沈澱
    させるため、抽出液中のジメチルエーテルを蒸発させ水
    性抽出液とし、沈澱物を形成する操作、(5)水性抽出
    液を沈澱と分離して水性抽出ろ液を回収する操作、
    (6)水性抽出ろ液を濃縮する操作、(7)濃縮した水
    性抽出ろ液に電解質を添加して、有効成分を沈澱させる
    操作、(8)不溶性画分を回収する操作、(9)不溶性
    画分を含水ジメチルエーテルに再溶解し脱塩する操作、
    (10)不溶物を分離する操作、及び(11)溶媒除去
    後、乾燥により粉末エキスを回収する操作。
  2. 【請求項2】 抽出用含水ジメチルエーテルが、水分量
    7〜60%(W/W)である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 抽出用含水ジメチルエーテルが、イチョ
    ウ葉1重量(乾燥重量)あたり5〜20倍量である請求
    項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 抽出する操作において、抽出温度が10
    〜30℃、抽出圧力が0.2〜0.8MPaである請求
    項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1における操作(6)において、
    濃縮した水性抽出ろ液が、固形物を10〜20%含むま
    で濃縮する請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 電解質が金属またはアンモニウムの硫酸
    塩、塩化物または硝酸塩である請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 電解質が硫酸アンモニウムである請求項
    1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 硫酸アンモニウムが、濃縮した水性抽出
    ろ液に対して30〜60%(w/v)の濃度とする添加
    量である請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1における操作(9)の含水ジメ
    チルエーテルが、水分量2〜7%(w/w)である請求
    項1に記載の方法。
JP10299238A 1998-10-21 1998-10-21 イチョウ葉エキスの製造法 Withdrawn JP2000128792A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10299238A JP2000128792A (ja) 1998-10-21 1998-10-21 イチョウ葉エキスの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10299238A JP2000128792A (ja) 1998-10-21 1998-10-21 イチョウ葉エキスの製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000128792A true JP2000128792A (ja) 2000-05-09

Family

ID=17869946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10299238A Withdrawn JP2000128792A (ja) 1998-10-21 1998-10-21 イチョウ葉エキスの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000128792A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6524628B1 (en) * 2000-11-06 2003-02-25 Idaho Research Foundation, Inc. Pressurized water extraction
JP2010240609A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 Central Res Inst Of Electric Power Ind 油分抽出方法、油性材料の製造方法及び脱油システム
JP2015514785A (ja) * 2012-04-23 2015-05-21 チェンデュ バイユ テクノロジー ファーマシー カンパニー リミテッド ギンコライドの抽出分離方法
WO2020090813A1 (ja) * 2018-10-30 2020-05-07 日立化成株式会社 フラボノイド類の製造方法
US20210339164A1 (en) * 2018-06-29 2021-11-04 Shogo TORII Liquid production method and liquid production device
US11547953B2 (en) 2018-03-16 2023-01-10 Ricoh Company, Ltd. Method of producing extract and extraction residue of biological material, extract, and extraction residue

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6524628B1 (en) * 2000-11-06 2003-02-25 Idaho Research Foundation, Inc. Pressurized water extraction
JP2010240609A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 Central Res Inst Of Electric Power Ind 油分抽出方法、油性材料の製造方法及び脱油システム
JP2015514785A (ja) * 2012-04-23 2015-05-21 チェンデュ バイユ テクノロジー ファーマシー カンパニー リミテッド ギンコライドの抽出分離方法
US11547953B2 (en) 2018-03-16 2023-01-10 Ricoh Company, Ltd. Method of producing extract and extraction residue of biological material, extract, and extraction residue
US20210339164A1 (en) * 2018-06-29 2021-11-04 Shogo TORII Liquid production method and liquid production device
WO2020090813A1 (ja) * 2018-10-30 2020-05-07 日立化成株式会社 フラボノイド類の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6117431A (en) Method for obtaining an extract from ginkgo biloba leaves
JP2800040B2 (ja) いちょうの新規抽出物およびその製法
DK1909750T3 (en) Grape seed extracts obtainable by fractionation on a resin
WO2010029915A1 (ja) サポゲニン高含有組成物の製造方法
EP0384796A1 (fr) Procédé de préparation d'extraits polyphénoliques de type flavane-3-ol purifiés et extraits obtenus
CA2606843A1 (en) Improved method for preparing ginkgo extracts having a low content of 4'-o-methyl pyridoxine and/or biflavones
JP2002097187A (ja) ポリフェノール類の抽出方法および該方法の行程で得られるポリフェノール金属塩
JP2000128792A (ja) イチョウ葉エキスの製造法
WO2004080992A1 (ja) プロアントシアニジン高含有物の製造方法
RU2003132470A (ru) Способ получения экстракта ginkgo biloba, высоко обогащенного активными ингредиентами
KR101348029B1 (ko) 인삼으로부터 항암 면역증강 및 조혈촉진 효과가 있는 인삼 다당체를 정제하는 방법 및 상기 분석된 인삼 다당체를 포함하는 항암 면역증강 및 조혈촉진을 위한 조성물
CN1318440C (zh) 低酸银杏叶提取物的制备方法
Lang et al. Pressurized water extraction (PWE) of terpene trilactones from Ginkgo biloba leaves
US20080306141A1 (en) Method of Extraction of Catechin Type-A Proanthocyanidins
AU745660B2 (en) Water-soluble native dry plant extract, especially ginkgo biloba extract with a high terpenoid and flavone glycoside content
EP2427662A2 (en) Process for removing pesticides from ginkgo biloba extracts, and extracts obtainable by said process
JPS60501456A (ja) Co↓2高圧抽出によつてアルニカ花からアレルゲンを分離する方法
KR20200013858A (ko) 꽃송이버섯 추출물 제조방법
WO2006112496A1 (ja) プロアントシアニジン含有物の製造方法
JPH03227985A (ja) イチョウ葉からフラボノイドを高含有する抽出物の簡易な製造法
RU2240329C2 (ru) Способ получения биологически активного кислого сульфатированного полисахарида из морских водорослей - фукоидана
RU2793805C1 (ru) Способ получения полисахаридов из шрота (отходов переработки) бурых водорослей
WO2017169311A1 (ja) ネポジン高含有ギシギシ抽出物の製造方法及びネポジン高含有ギシギシ抽出物
JPH03197419A (ja) モモの葉分画物及びこれを含有する浴用剤組成物
JP3480965B2 (ja) アミラーゼ阻害物質の調製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060110