JP5119397B2 - スダチチンおよびノビレチンの製造方法 - Google Patents
スダチチンおよびノビレチンの製造方法 Download PDFInfo
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Description
また、本発明は、効率的にノビレチンを得るのに好適なノビレチンの前駆物質であるスダチチンの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明に係るノビレチンの製造方法は、上記のスダチチンの製造方法で得られるスダチチンをメトキシ化して得るため、ノビレチンを効率的に得ることができる。
スダチは、年間およそ7,000トン程度生産されるうちの半分が青果で直接食品として消費され、残り半分が搾汁されて果汁として加工され、販売されている。
搾汁の際に大量に発生する搾汁かす(果皮)は、堆肥としてリサイクル利用されているものの、全量を利用するまでには至っていない。このため、搾汁かすの処分は、生産農家や加工業者にとって多大な負担となっている。
スダチチンは、ノビレチンの前駆物質として好適に用いることができる。本実施の形態で得られる、スダチチンを含有する抽出液は、そのままノビレチンを製造するための原料として用いることができる。また、スダチチンを含有する抽出液を適宜分離、濃縮処理し、あるいはまた、さらに高純度化処理した後で、ノビレチンを製造するための原料として用いてもよい。以下の他の実施の形態においても同様である。
ここで、原料としてのスダチは、搾汁かすを用いると、上記のように有用性が特に高いが、これに限らず、果皮(ここでは、種子を除いた、内皮を含む果実全体をいう。)を用いてもよい。原料は、未乾燥の状態であるいはまた乾燥状態で適宜の細かさに粉砕して用いると好適である。
アルコール類は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が使用でき、好ましくは、メタノール、エタノールを使用する。
アルコールの使用量は、例えば、スダチ1質量部に対して、アルコ−ル0.5〜100質量部、好ましくは、2〜50質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
このとき使用するマイクロ波の周波数は、例えば800MHz〜20GHzであり、好ましくは300MHz〜20GHzである。また、抽出温度は、例えば60℃〜70℃であり、マイクロ波の照射時間は、例えば10分〜15分程度である。マイクロ波の照射は、連続的に行ってもよく、また、短時間に分けて断続的に繰り返して行ってもよい。
そして、例えば、抽出液と抽出残渣をろ過することで得られるスダチチンを含有する抽出液(アルコール)を、適宜の方法で、濃縮し、あるいはアルコールとは別の抽出剤で再抽出することで、スダチチンをより高濃度で抽出することができる。
このときに用いるアルコールは、特に限定するものではないが、メタノールを好適に用いることができる。また、エーテルは、エーテルの総称(エーテル類)であり、特に限定するものではないが、ジエチルエーテルを好適に用いることができる。
これにより、効率的にスダチチンを抽出することができる。
ここで、マイクロ波を照射する条件は、例えば、上記アルコールによる抽出の際のマイクロ波照射条件と同様とすることができる。
また、加水分解処理は、上記の水層に例えばメタノールとともに例えば濃塩酸を加えた溶液を調製することで行うことができる。
上記第三の工程においてエーテルで抽出処理するときに、スダチチンは抽出液(エーテル)側に移行するが、スダチチン配糖体は、水層側に存在し、そのままでは回収されない。
本実施の形態では、スダチチン配糖体が抽出された水層を、マイクロ波を照射しながら加水分解処理することで、スダチチンを効率的に抽出することができる。
なお、ここでは、スダチチン生成反応がOH基をCH3O基に置換したものとしてメトキシ化と表現したが、これに限らず、OH基のHをCH3に置換したものとしてメチル化と表現してもよい。
メトキシ化して得られるノビレチンを含有する溶液は、適宜濃縮処理し、さらに高純度化処理して利用に供される。
実施例1
二口丸底フラスコに乾燥スダチ果皮粉末10gとメタノール100mlを入れ、撹拌しながらマイクロ波(出力300W 周波数2.45GHz)を10分照射還流させた。メタノール抽出物(抽出液)を除いた後、再び同一フラスコにメタノール100mlを加え、同様にマイクロ波照射してメタノール抽出物を除いた。この操作を4〜5回繰り返した後、合計400〜500mlのメタノール抽出物から減圧下でメタノールを留去してスダチチンを含む残留物得た。この間の処理時間は、およそ60分であった。
上記残留物を高速液体クロマトグラフィーで定量分析して、スダチチンが乾燥果皮の0.10質量%含有されていることを確認した。
二口丸底フラスコに乾燥スダチ果皮粉末50gとメタノール100mlを入れ、撹拌しながらマイクロ波(出力300W 周波数2.45GHz)を10分照射還流させて、ろ過した後、メタノール抽出物(抽出液)を減圧濃縮して、その残渣をヘキサンで抽出してヘキサン層と水層に分離した。得られた水層をエーテル(ジエチルエーテル)抽出した後濃縮して、シリカゲルカラムによりスダチチンとデメトキシスダチチンの混合物(スダチチン:デメトキシスダチチン=36:64)43mg(果皮粉末からの収率0.09質量%)が得られた。この間の処理時間は、およそ60分であった。
メタノール1800mlに乾燥果皮630gを入れ、80℃で10分マイクロ波(出力800W 周波数2.45GHz)を照射した後、ろ過して得たメタノール抽出物(抽出液)を減圧濃縮し、さらにその残渣をヘキサンで抽出してヘキサン層と水層に分離した。その水層をエーテル抽出した後、この水層を870mlに減圧濃縮した。870mlから50mlをとり、それにメタノール50mlを加えて、濃塩酸で4Mの溶液に調製した。この溶液にマイクロ波(出力650W 周波数2.45GHz)を4分間照射して加水分解した。
得られた加水分解液を高速液体クロマトグラフィー分析したところ、この加水分解液にはスダチチンが0.59質量%含有されていることが確認できた。なお、硫酸でも同様に加水分解できた。
二口丸底フラスコに乾燥スダチ果皮粉末10gと水100mlを入れ、撹拌しながらマイクロ波(出力300W 周波数2.45GHz)を10分照射還流したのち、抽出液と果皮粉末を分離した。得られた抽出液を高速液体クロマトグラフィーで定量分析して、乾燥果皮からスダチチンが0.04質量%の収率で抽出されたことを確認した。この間の処理時間は、およそ20分であった。
スダチ生果皮20kgをエーテル25L(リットル)に約10日間浸し、この浸出液から水層を分離したのち、エーテル層からエーテルを留去した。このとき、リモネンなどを含有する緑色沈殿物が得られた。この沈殿物をろ過して分けとり、エーテルついでメタノールで洗って得られる結晶を酢酸エチル−メタノール混液から再結晶してmp239.5-240.5℃のスダチチン2.6g(生果皮からの収率0.013%)を得た。
実施例5
実施例2の抽出方法で得たスダチチン混合物を4回再結晶して得られたスダチチン120mg(mp140−141℃)でそれぞれクロマト分取して得たスダチチン混合物を等量混合したもの120mgをアセトン5mlに溶かし、硫酸ジメチル0.32ml(3.3mmol)、炭酸カリウム0.92g(6.6mmol)を加え、マイクロ波(出力650W 周波数2.45GHz)の5分間の照射を断続的に6回繰り返し還流・撹拌した後、アセトンを留去してシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=2:1)分離して、ノビレチン(5,6,7,8,3’,4’-ヘキサメトキシフラボン=5,7,4’-トリメチルスダチチン)を116mg(mp
137.5-138.5℃; スダチチンからの収率97%)得た。
Claims (3)
- スダチを、マイクロ波を照射しながらアルコールで抽出処理する第一の工程と、該第一の工程で得られる抽出液をヘキサンで抽出処理する第二の工程と、該第二の工程で得られる水層をエーテルで抽出処理し、得られる水層にメタノールおよび塩酸を加えて、マイクロ波を照射しながら加水分解処理して、スダチチンを含有する溶液を得る第三の工程と、を有することを特徴とするスダチチンの製造方法。
- 請求項1記載のスダチチンの製造方法で得られるスダチチンを含有する溶液をメトキシ化して得ることを特徴とするノビレチンの製造方法。
- 硫酸ジメチルまたは炭酸ジメチルを用いてメトキシ化することを特徴とする請求項2記載のノビレチンの製造方法。
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