JPWO2020085222A1 - フルオレン骨格を持つ化合物の結晶およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光学レンズや光学フィルムに代表される光学部材を構成する樹脂(光学樹脂)を形成するモノマーとして好適で、加工性、生産性に優れた新規なフルオレン骨格を持つ化合物の結晶およびその製造方法に関する。
近年、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BPEF)に代表されるフルオレン骨格を有するアルコールを原料としたポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートなどの熱可塑性樹脂材料は、光学特性、耐熱性、成形性などに優れることから、光学レンズや光学シートなどの光学部材として注目されている。
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BPEF)の製造方法としては、硫酸とチオール類を触媒として用いてフルオレノンとフェノキシエタノールを脱水縮合させる方法(非特許文献1)が開示されている。また、9,9−ビス(4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)フェニル)フルオレン(OPBPEF)は硫酸以外に、塩化亜鉛等の金属性酸触媒を用いてフルオレノンとパラフェノキシフェノールを脱水縮合させる方法(特許文献1)が開示されている。しかしいずれの方法も製品中に触媒由来の硫黄成分、または金属成分が混入することにより、製品の着色や安定性の低下、純度の低下などの問題が発生する。さらに光学用樹脂材料など、高純度の製品を得るためには硫黄や金属成分の除去のための精製操作を繰り返す必要があり、工業的に有利な方法とは言えない。
また、9,9−ビス(4−(4−ヒドロキシフェニルオキシ)フェニル)フルオレン(OPBPEF)は、アルコール化合物由来の多結晶を持ち、反応や反応後の取り出し操作(晶析操作)によっては異なる融点をもつ結晶が生成することが開示されている(特許文献2)。このようにフルオレン骨格のアルコール化合物においては、生成物の形態が変化するため、品質の安定した熱可塑性樹脂材料を提供することが難しい。
Chemistry Letters,1998年,1055−1056頁
本発明において分子設計した下記式(1)の化合物の製造方法は2つの工程から成り立つが、結晶やガラス状など様々な形態を含み、一定の品質を持つ取り扱い性に優れた化合物が得られない場合があった。
また、工程1で使用する触媒の量が多い場合や、活性炭処理あるいはその他の金属の除去処理が不十分の場合、下記式(1)で表される化合物の結晶に工程1の反応で使用したパラジウム触媒に由来する黒色の粒子が混入しており該アルコール化合物の色相が悪化してしまった。
したがって、本発明の目的は、取り扱い易いフルオレン骨格を持つ化合物の結晶およびその製造方法を提供することである。
また、その他の目的としては、原料中のパラジウム含有量等の特定の金属含有量が少ない結晶化合物であり、その原料を使った樹脂の色相や種々特性(光学特性、耐熱性、成形性など)が優れる新規なフルオレン骨格を持つ化合物の結晶およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するため、鋭意・研究を行った結果、特定の吸熱ピークを有するフルオレン骨格を持つ化合物の結晶が取り扱い易く、この化合物の結晶を原料に用いて得られる樹脂の品質のばらつきが少なくなることを見出したものである。
さらに、パラジウム含有量を十分に少なくしたフルオレン骨格を持つ化合物の結晶が、この化合物の結晶を原料に用いて得られる樹脂の色相や種々特性(光学特性、耐熱性、成形性など)が優れることを見出したものである。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記により達成される。
1.示差走査熱量分析により得られる吸熱ピークを110〜190℃の範囲に少なくとも一つ有する、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を持つ化合物の結晶。
(式中、環Zは(同一または異なった)芳香族基、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、Ar1およびAr2は炭素数が6〜10の置換基を有していてもよい芳香族基、L1およびL2はアルキレン基、mおよびnはそれぞれ独立に0〜5の整数を示す。)
2.上記式(1)で表されるフルオレン誘導体を95重量%以上含む、前項1記載のフルオレン骨格を持つ化合物の結晶。
2.上記式(1)で表されるフルオレン誘導体を95重量%以上含む、前項1記載のフルオレン骨格を持つ化合物の結晶。
3.パラジウム元素の含有量が下記式(2)を満たす、前項1記載のフルオレン骨格を持つ化合物の結晶。
0 ≦ Pd ≦ 50ppm (2)
4.下記工程1、工程2および結晶製造工程を含む前項1に記載の結晶の製造方法。
工程1:下記式(3)で示されるフルオレノン類と下記式(4)で示されるボロン酸とを反応溶媒中、塩基および触媒の存在下で反応させる工程、
4.下記工程1、工程2および結晶製造工程を含む前項1に記載の結晶の製造方法。
工程1:下記式(3)で示されるフルオレノン類と下記式(4)で示されるボロン酸とを反応溶媒中、塩基および触媒の存在下で反応させる工程、
(X1、X2はハロゲン原子を示す。)
(Yは芳香族基、R3は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。)
工程2:工程1で製造した下記式(5)で示される反応物と下記式(6)で示されるアルコール化合物とを反応溶媒中、酸触媒を使用して反応させる工程、
工程2:工程1で製造した下記式(5)で示される反応物と下記式(6)で示されるアルコール化合物とを反応溶媒中、酸触媒を使用して反応させる工程、
(Ar1およびAr2は式(1)と同じである。)
(環Zは式(1)と同じである。R4は水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、L3はアルキレン基、lは0〜5の整数を示す。)
結晶製造工程:工程2で得られた化合物が溶解する溶媒を用いて再結晶操作を行い、結晶を取り出す工程
結晶製造工程:工程2で得られた化合物が溶解する溶媒を用いて再結晶操作を行い、結晶を取り出す工程
本発明によれば、取り扱いやすいフルオレン骨格を持つ化合物の結晶を得ることができ、この化合物の結晶を原料に用いて得られる樹脂の品質のばらつきが少なくなるという効果を有する。また、パラジウム含有量が少ないフルオレン骨格を持つ化合物の結晶を得ることができ、この化合物の結晶を原料に用いて得られる樹脂の色相や種々特性(光学特性、耐熱性、成形性など)が優れるという効果を有する。
本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に限定されるものではない。
(フルオレン骨格を持つ化合物の結晶)
本願発明のフルオレン骨格を持つ化合物の結晶は、示差走査熱量分析により得られる吸熱ピークを110〜190℃の範囲に少なくとも一つ有する、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を持つ化合物の結晶である。
(フルオレン骨格を持つ化合物の結晶)
本願発明のフルオレン骨格を持つ化合物の結晶は、示差走査熱量分析により得られる吸熱ピークを110〜190℃の範囲に少なくとも一つ有する、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を持つ化合物の結晶である。
(式中、環Zは(同一または異なった)芳香族基、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、Ar1およびAr2は炭素数が6〜10の置換基を有していてもよい芳香族基、L1およびL2はアルキレン基、mおよびnはそれぞれ独立に0〜5の整数を示す。)
フルオレン骨格を持つ化合物の結晶は、示差走査熱量分析により得られる吸熱ピークを好ましくは115〜185℃の範囲に少なくとも一つ有し、より好ましくは120〜180℃の範囲に少なくとも一つ有する。なお、吸熱ピークはフルオレン骨格を持つ化合物の結晶の融点(Tm)を示すものである。
フルオレン骨格を持つ化合物の結晶は、示差走査熱量分析により得られる吸熱ピークを好ましくは115〜185℃の範囲に少なくとも一つ有し、より好ましくは120〜180℃の範囲に少なくとも一つ有する。なお、吸熱ピークはフルオレン骨格を持つ化合物の結晶の融点(Tm)を示すものである。
かかるフルオレン骨格を持つ化合物の結晶は、取り扱いやすく、また、この化合物の結晶を原料に用いて得られる樹脂の品質のばらつきが少なくなるという効果を有する。
また、上記式(1)で表されるフルオレン誘導体を95重量%以上含む化合物の結晶であることが好ましく、96重量%以上含む化合物の結晶であることがより好ましく、97重量%以上含む化合物の結晶であることがさらに好ましく、98重量%以上含む化合物の結晶であることが特に好ましく、99重量%以上含む化合物の結晶であることが最も好ましい。純度はHPLC純度から求められる。上記式(1)で表されるフルオレン誘導体成分以外に、反応に使用する原料や溶媒、反応中に生成する副生成物が含まれることがある。
さらに、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を持つ化合物の結晶は、パラジウム元素の含有量が下記式(2)を満たすことが好ましい。
0 ≦ Pd ≦ 50ppm (2)
好ましくは、下記式(2−1)を満足する。
好ましくは、下記式(2−1)を満足する。
0 ≦ Pd ≦ 25ppm (2−1)
より好ましくは、下記式(2−2)を満足する。
より好ましくは、下記式(2−2)を満足する。
0 ≦ Pd ≦ 10ppm (2−2)
さらに好ましくは、下記式(2−3)を満足する。
さらに好ましくは、下記式(2−3)を満足する。
0 ≦ Pd ≦ 5ppm (2−3)
特に好ましくは、下記式(2−4)を満足する。
特に好ましくは、下記式(2−4)を満足する。
0 ≦ Pd ≦ 3ppm (2−4)
もっとも好ましくは、下記式(2−5)を満足する。
もっとも好ましくは、下記式(2−5)を満足する。
0 ≦ Pd ≦ 1ppm (2−5)
上記範囲の上限を超えると、前記式(1)で表される化合物を使った樹脂の色相やそれを使った光学部材に悪影響を及ぼすことがある。
上記範囲の上限を超えると、前記式(1)で表される化合物を使った樹脂の色相やそれを使った光学部材に悪影響を及ぼすことがある。
上記式(1)において、環Zで表される芳香族基としては、ベンゼン環の他、少なくともベンゼン環骨格を有する縮合多環式芳香族炭化水素が挙げられ、例えば、縮合二環式炭化水素、縮合三環式炭化水素等の縮合二乃至四環式炭化水素環などが好ましい。
縮合二環式炭化水素環としては、インデン環、ナフタレン環等の炭素原子数8−20(以下C8−20と示すことがある)のものが好ましく、C10−16の縮合二環式炭化水素環がより好ましい。また、縮合三環式炭化水素環としては、アントラセン環、フェナントレン環等が好ましい。
環Zのうち、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
上記式(1)において環Zで表される芳香族炭化水素環の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基または2,6−ナフタレンジイル基が好ましく、1,4−フェニレン基がより好ましい。
なお、フルオレン環の9位に置換する2つの環Zは、互いに同一又は異なっていてもよく、同一の環である場合がより好ましい。なお、フルオレン骨格の9位に置換する環Zの置換基は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレンの場合、フルオレン環の9位に置換する環Zに対応する基は1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよい。
上記式(1)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜12の芳香族基を含んでいても良い炭化水素基を示し、水素原子、メチル基またはフェニル基が好ましい。
上記式(1)において、R1およびR2で表される炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ナフチル基、アラルキル基などが例示できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基、C1−4アルキル基、C1−3アルキル基が好ましく、C1−3アルキル基がさらに好ましく、その中でメチル基またはエチル基がよりさらに好ましい。
また、シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基、C5−6シクロアルキル基などが好ましく、C5−6シクロアルキル基がより好ましい。
また、アリール基の具体例としては、フェニル基、アルキルフェニル基(モノまたはジメチルフェニル基、トリル基、2−メチルフェニル基、キシリル基など)などが好ましく、フェニル基がより好ましい。
また、アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基などが好ましく例示できる。
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが好ましい。
上記式(1)において、置換基R1およびR2の置換数は、縮合炭化水素の縮合環数などに応じて適宜選択でき、特に限定されず、好ましくはそれぞれ独立に0以上、より好ましくは1以上の整数である。また、好ましくは6以下の整数、より好ましくは4以下の整数である。なお、置換数は環Zにおいて、同一または異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
上記式(1)において、L1およびL2はそれぞれ独立に2価の連結基を示し、炭素数1〜12のアルキレン基であると好ましく、エチレン基であるとより好ましい。通常、L1およびL2は同一の環Zにおいて、同一のアルキレン基であってもよい。また、L1およびL2は、異なる環Zにおいて、互いに同一又は異なってもいてもよく、通常、同一であってもよい。
オキシアルキレン基(OL1)および(OL2)の数(付加モル数)mおよびnは、それぞれ0〜5の範囲から選択でき、下限は好ましくは0以上であり、上限は好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下である。特に好ましくは0または1であり、もっとも好ましくは1である。なお、mおよびnは、整数でも平均値であってもよく、異なる環Zにおいて、同一であっても、異なっていてもよい。
上記式(1)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に炭素原子数6〜10の芳香族基を示し、フェニル基またはナフチル基が好ましい。基Ar1およびAr2はたがいに異なっていてもよく同一であってもよいが、通常、同一である。また、Ar1およびAr2のそれぞれの結合位置はフルオレン骨格の1位と8位、2位と7位、3位と6位、または4位と5位であると好ましく、2位と7位、3位と6位または4位と5位であるとより好ましく、2位と7位であるとさらに好ましい。
以下に前記式(1)で表される化合物の代表例を示すが、本発明の前記式(1)に用いられる化合物としては、それらによって限定されるものではない。
ジフェニルフルオレンタイプとしては、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−4,5−ジフェニルフルオレン等が好ましく挙げられる。
なかでも9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−4,5−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,8−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルフルオレンがより好ましく、特に、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジフェニルフルオレン、が好ましい。
ジナフチルフルオレンタイプとしては、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−1−ナフチル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)−4,5−ジナフチルフルオレン等が好ましく挙げられる。
なかでも9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−4,5−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,8−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジナフチルフルオレンがより好ましく、特に、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,7−ジナフチルフルオレン、が好ましい。
(フルオレン骨格を持つ化合物の結晶の製造方法)
本発明の上記式(1)で表される化合物の結晶は、結晶製造工程が必要であり、且つ多量体副生の抑制や色相向上の観点から、下記工程1、工程2および結晶製造工程を含む方法にて製造することが好ましい。下記方法にて上記式(1)で表される化合物の結晶を製造することにより、上述した特徴を兼ね備えた化合物の結晶を得ることができる。
工程1:下記式(3)で示されるフルオレノン類と下記式(4)で示されるボロン酸とを反応溶媒中、塩基および触媒の存在下で反応させる工程、
(フルオレン骨格を持つ化合物の結晶の製造方法)
本発明の上記式(1)で表される化合物の結晶は、結晶製造工程が必要であり、且つ多量体副生の抑制や色相向上の観点から、下記工程1、工程2および結晶製造工程を含む方法にて製造することが好ましい。下記方法にて上記式(1)で表される化合物の結晶を製造することにより、上述した特徴を兼ね備えた化合物の結晶を得ることができる。
工程1:下記式(3)で示されるフルオレノン類と下記式(4)で示されるボロン酸とを反応溶媒中、塩基および触媒の存在下で反応させる工程、
(X1、X2はハロゲン原子を示す。)
(Yは芳香族基、R3は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。)
工程2:工程1で製造した下記式(5)で示される反応物と下記式(6)で示されるアルコール化合物とを反応溶媒中、酸触媒を使用して反応させる工程、
工程2:工程1で製造した下記式(5)で示される反応物と下記式(6)で示されるアルコール化合物とを反応溶媒中、酸触媒を使用して反応させる工程、
(Ar1およびAr2は式(1)と同じである。)
(環Zは式(1)と同じである。R4は水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、L3はアルキレン基、lは0〜5の整数を示す。)
結晶製造工程:工程2で得られた化合物が溶解する溶媒を用いて再結晶操作を行い、結晶を取り出す工程
以下それぞれの工程について詳細を記載する
(工程1)
工程1は、上記式(3)で示されるフルオレノン類と上記式(4)で示されるボロン酸とを反応溶媒中、塩基および触媒の存在下で反応させる工程である。
結晶製造工程:工程2で得られた化合物が溶解する溶媒を用いて再結晶操作を行い、結晶を取り出す工程
以下それぞれの工程について詳細を記載する
(工程1)
工程1は、上記式(3)で示されるフルオレノン類と上記式(4)で示されるボロン酸とを反応溶媒中、塩基および触媒の存在下で反応させる工程である。
上記式(3)で表される化合物は、前記式(1)においてフルオレン骨格に対応するフルオレノン化合物であり、X1は1位、2位、3位または4位の置換基であり、X2は5位、6位、7位または8位の置換基であり、ハロゲン原子を示す。
以下に上記式(3)で表されるフルオレノン化合物の代表例を示すが、本発明の前記式(1)に用いられる原料としては、それらによって限定されるものではない。
フルオレノン化合物の具体例としては、1,8−ジフルオロフルオレノン、2,7−ジフルオロフルオレノン、3,6−ジフルオロフルオレノン、4,5−ジフルオロフルオレノン、1,8−ジクロロフルオレノン、2,7−ジクロロフルオレノン、3,6−ジクロロフルオレノン、4,5−ジクロロフルオレノン、1,8−ジヨードフルオレノン、2,7−ジヨードフルオレノン、3,6−ジヨードフルオレノン、4,5−ジヨードフルオレノン、1,8−ジブロモフルオレノン、2,7−ジブロモフルオレノン、3,6−ジブロモフルオレノン、4,5−ジブロモフルオレノン等が好ましく挙げられる。なかでも1,8−ジブロモフルオレノン、2,7−ジブロモフルオレノン、3,6−ジブロモフルオレノン、4,5−ジブロモフルオレノンが好ましく、特に、2,7−ジブロモフルオレノンが好ましい。
これらは単独で使用してもよく、または2種以上を混合してもよく、目的により任意に選ぶことができる。本発明では好ましくは2,7−ジブロモフルオレノンである。
使用する前記式(3)で表されるフルオレノン類の純度は、特に限定されないが、通常、95%以上が好ましく、より好ましくは99%以上である。なお、フルオレノン類は、市販品を用いてもよく、合成したものを使用してもよい。
上記式(4)で表される化合物の環Yは、前記式(1)において基Ar1およびAr2に対応している。また、前記式(4)において、基R3の好ましい態様は前記R1およびR2の好ましい態様と同様である。
上記式(4)で示されるボロン酸類の純度は、特に限定されないが、通常、95%以上が好ましく、より好ましくは99%以上である。なお、ボロン酸類は、市販品を用いてもよく、合成したものを使用してもよい。
本発明に用いられるボロン酸は前記式(4)で表されるアルキルボロン酸、アルケニルボロン酸、アリールボロン酸、ヘテロアリールボロン酸およびその無水物などが含まれ、アルキルボロン酸としては、ブチルボロン酸、シクロへキシルボロン酸、シクロペンチルボロン酸、2−エチルボロン酸、4−エチルボロン酸、へキシルボロン酸、イソブチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、メチルボロン酸、n−オクチルボロン酸、プロピルボロン酸、ペンチルボロン酸、2−フェニルエチルボロン酸やこれらの無水物が含まれ、アルケニルボロン酸としては、1−シクロペンテニルボロン酸、フェロセンボロン酸、1,1’−フェロセンジボロン酸やこれらの無水物が含まれ、アリールボロン酸としては、2−アントラセンボロン酸、9−アントラセンボロン酸、ベンジルボロン酸、2−ビフェニルボロン酸、3−ビフェニルボロン酸、4−ビフェニルボロン酸、2,3−ジメチルフェニルボロン酸、2,4−ジメチルフェニルボロン酸、2,5−ジメチルフェニルボロン酸、2,6−ジメチルフェニルボロン酸、3,4−ジメチルフェニルボロン酸、3,5−ジメチルフェニルボロン酸、2−エトキシフェニルボロン酸、3−エトキシフェニルボロン酸、4−エトキシフェニルボロン酸、6−メトキシ−2−ナフタレンボロン酸、2−メチルフェニルボロン酸、3−メチルフェニルボロン酸、4−メチルフェニルボロン酸、1−ナフタレンボロン酸、2−ナフタレンボロン酸、9−フェナントレンボロン酸、10−フェニル−9−アントラセンボロン酸、フェニルボロン酸、フェニルエタンボロン酸、4−フェニル(ナフタレン−1−イル)ボロン酸、3−プロポキシフェニルボロン酸、3−イソ−プロポキシフェニルボロン酸、4−イソ−プロポキシフェニルボロン酸、4−プロピルフェニルボロン酸、4−イソ−プロピルフェニルボロン酸、10−(ナフタレン−1−イル)−9−アントラセンボロン酸、10−(ナフタレン−2−イル)−9−アントラセンボロン酸やこれらの無水物が含まれ、ヘテロアリールボロン酸としては、ベンゾフラン−2−ボロン酸、ジベンゾフラン−4−ボロン酸、5−フォルミル−2−フランボロン酸、5−フォルミルチオフェン−2−ボロン酸、フラン−2−ボロン酸、フラン−3−ボロン酸、ピリジン−3−ボロン酸、ピリジン−4−ボロン酸、キノリン−2−ボロン酸、キノリン−3−ボロン酸、キノリン−4−ボロン酸、キノリン−5−ボロン酸、キノリン−6−ボロン酸、キノリン−8−ボロン酸、イソ−キノリン−4−ボロン酸、2−チオフェンボロン酸、3−チオフェンボロン酸、5−ピリミジンボロン酸やこれらの無水物が含まれる。
これらは単独で使用してもよく、または2種以上を混合してもよく、目的により任意に選ぶことができる。本発明では好ましくはフェニルボロン酸またはその無水物である。
原料として用いる前記式(4)で表される化合物の使用比率は、前記式(3)で表される化合物(ハロゲン化フルオレノン化合物)1モルに対して好ましくは2.0〜5.0モル、より好ましくは2.0〜3.0モル、さらに好ましくは2.05〜2.5モルである。該ボロン酸類が2.0モル未満であると前記式(6)で表される生成物の収率が低くなることがある。また、5.0モルを超えると、反応速度は速く収率が高くなるものの該フルオレン骨格を有する化合物の製造コストが上がることがある。
工程1の前記式(3)と前記式(4)で表される化合物との反応(脱ハロゲン化反応)は、反応溶媒中、塩基および触媒の存在下で行うことができる。
工程1の反応で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)などの炭酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの酢酸塩、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、リン酸カリウム(K3PO4)などのリン酸塩などの無機塩、トリエチルアミン類、ピリジン、モルホリン、キノリン、ピペリジン、アニリン類、テトラnブチルアンモニウムアセテートなどのアンモニウム塩などの有機塩などが挙げられる。なかでも、炭酸塩が好ましく用いられ、炭酸カリウムおよび/または炭酸ナトリウムが好ましい。このような塩基は、単独で用いてもよく、また、2種類以上併用して用いることもできる。
また、工程1の反応において、上述した塩基の使用量は特に限定されないが、ボロン酸類1モルに対して好ましくは1〜30当量、より好ましくは1〜10当量添加される。
工程1の反応で使用する触媒としては、鈴木カップリングで使用されるパラジウム化合物が好ましく、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ビス[4−(N, N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−tert−ブチルホスフィンパラジウムジクロリド、ビス(ジ−tert−ブチルプレニルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(ジ−tert−クロチルホスフィン)パラジウムジクロリド、が挙げられる。またはパラジウムを金属に固定化した触媒も好ましく、例えば、シリカ担持パラジウム(PL触媒)、Pd/C(炭素担持パラジウム)などが挙げられる。なかでも、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムおよび/またはPL触媒が好ましい。このような触媒は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用して用いることもできる。
工程1の反応において、上述した触媒の使用量は特に限定されないが、前記式(3)で示されるフルオレノン化合物1モルに対して、パラジウム金属原子換算で好ましくは0.005〜0.5ミリモルであり、より好ましくは0.1〜0.3ミリモルである。パラジウム触媒の使用量がパラジウム金属原子換算で0.005ミリモル未満の場合、反応が完結しにくくなることがある。また、パラジウム触媒の使用量がパラジウム金属原子換算で5ミリモルを超えると、反応は完結するものの、該フルオレン骨格を有する化合物中のパラジウム元素含有量を式(2)の範囲内にすることが困難になり該化合物を用いて製造した熱可塑性樹脂の色相を悪化させる可能性がある。
工程1で用いる反応溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類を単独または併用して用いることができる。芳香族炭化水素系溶媒は高沸点溶媒であるため反応温度を高く設定できるし、アルコールを用いることで水との親和性がよく反応性が良好になるため好適に用いられる。このような溶媒は単独で用いてもよく、または2種以上を併用して用いることもできる。さらには、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性溶媒、o−ジクロロベンゼン等のハロベンゼン類も使用できる。このような溶媒も単独で用いても良く、また、2種以上併用して用いることもできる。本発明においては、トルエンとエタノールの混合溶媒またはトルエンを用いることがより好ましい。
前記反応溶媒(本発明の場合、トルエンとエタノールの混合溶媒またはトルエンが好ましい)の使用量は、特に限定されないが、前記式(3)で示されるフルオレノン類に対してトルエンは好ましくは0.1重量倍以上、より好ましくは0.5〜100重量倍であり、さらに好ましくは1〜50重量倍である。トルエンの使用量が0.1重量倍未満の場合、生成物が析出して撹拌が困難になる可能性がある。また、トルエンの使用量が100重量倍を超える場合、使用量に見合う効果がなく容積効率も悪化し該フルオレン骨格を有する化合物の製造コストが上がることがある。また、エタノールの使用量も特に限定されないが、前記式(3)で示されるフルオレノン類に対して好ましくは0.1〜50重量倍であり、より好ましくは1〜20重量倍である。エタノールの使用量が0.1重量倍未満の場合、反応速度が遅く収率が下がる可能性がある。また、エタノールの使用量が50重量倍を超える場合、トルエンと同様に使用量に見合う効果がなく容積効率も悪化し該フルオレン骨格を有する化合物の製造コストが上がることがある。
反応温度は使用する原料、溶媒の種類により異なるが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは70〜120℃である。反応は液体クロマトグラフィーなどの分析手段で追跡することができる。
反応終了後の反応混合物には、通常、生成した前記式(5)で表される化合物以外に、未反応のフルオレノン類、未反応のボロン酸類、塩基、触媒、副反応生成物などが含まれている。そのため、慣用の方法、例えば、ろ過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、再沈殿、活性炭処理あるいはそれと酷似した金属の除去処理、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。例えば、慣用の方法(アルカリ水溶液を加えて水溶性の複合体を形成させる方法など)によりボロン酸類を除去し、活性炭処理あるいはそれと酷似した金属の除去処理をしてパラジウム化合物を除去したのち、再結晶溶媒を添加して冷却して再結晶化させ、次いでろ過分離することにより精製してもよい。
(工程2)
工程2は、工程1で製造した上記式(5)で示される反応物と上記式(6)で示されるアルコール化合物とを反応溶媒中、酸触媒を使用して反応させる工程である。
(工程2)
工程2は、工程1で製造した上記式(5)で示される反応物と上記式(6)で示されるアルコール化合物とを反応溶媒中、酸触媒を使用して反応させる工程である。
上記式(6)において、環Zは前記式(1)における環Zに、L3はL1およびL2に、lはmおよびnに、R4はR1およびR2にそれぞれ対応しており、前記例示のベンゼン環やナフタレン環が例示できる。
L3で表されるアルキレン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。L3の置換位置は特に限定されるものではない。置換基数lは0または1以上であり、同一もしくは異なっていてもよい。好ましくは0〜15、より好ましくは0〜5である。なお、lが2以上の場合、ポリアルコキシ基は、同一のアルコキシ基で構成されていてもよく、異種のアルコキシ基(例えばエトキシ基とプロピレンオキシ基)が混在して構成されていてもよいが、通常、同一のアルコキシ基で構成されている。
R4は、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜12の芳香族基を含んでいても良い炭化水素基を示し、水素原子、メチル基またはフェニル基が好ましい。
R4で表される炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ナフチル基、アラルキル基などが例示できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基、C1−4アルキル基、C1−3アルキル基が好ましく、C1−3アルキル基がさらに好ましく、その中でメチル基またはエチル基がよりさらに好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基、C5−6シクロアルキル基などが好ましく、C5−6シクロアルキル基がより好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、アルキルフェニル基(モノまたはジメチルフェニル基、トリル基、2−メチルフェニル基、キシリル基など)などが好ましく、フェニル基がより好ましい。アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基などが好ましく例示できる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが好ましい。
置換基R4の置換数は、縮合炭化水素の縮合環数などに応じて適宜選択でき、特に限定されず、好ましくは0以上、より好ましくは1以上の整数である。また、好ましくは6以下の整数、より好ましくは4以下の整数である。
前記式(6)で表される化合物の具体例としては、例えば、l=0の化合物として、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノールなどのアルキルフェノール、2,3−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノールなどのジアルキルフェノール、2−メトキシフェノール、2−エトキシフェノールなどのアルコキシフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノールなどのフェニルフェノールなどが挙げられる。l=1の化合物として、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシブタノールなどのフェノキシアルキルアルコール、(2−メチル−フェノキシ)エタノール、(3−メチル−フェノキシ)エタノール、(3−エチル−フェノキシ)エタノール、(3−ブチル−フェノキシ)エタノール、(2−メチル−フェノキシ)プロパノール、(3−メチル−フェノキシ)プロパノールなどのアルキルフェノキシアルキルアルコール、(2,3−ジメチルフェノキシ)エタノール、(2,5−ジメチルフェノキシ)エタノール、(2,6−ジメチルフェノキシ)エタノール、(2,6−ジブチルフェノキシ)エタノールなどのジアルキルフェノキシアルキルアルコール、(2−メトキシフェノキシ)エタノールなどのアルコキシフェノキシアルキルアルコール、(2−シクロヘキシルフェノキシ)エタノールなどのシクロアルキルフェノキシアルキルアルコール、ビフェニリルオキシエタノールなどのアリールフェノキシアルキルアルコールなどが挙げられる。また、lが2以上の化合物としては、これらフェノキシアルキルアルコールに対応するポリオキシアルキレンフェニルエーテルなどが挙げられる。好ましくはフェノキシC2−6アルキルアルコールまたはC1−4アルキルフェノキシC2−6アルキルアルコールであり、特に好ましくはフェノキシエタノールである。
前記式(6)で表される化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、副反応抑制及び経済性の点から、上記式(5)で示される反応物であるフルオレノン類1モルに対して、好ましくは2〜50モル、より好ましくは2.5〜20モル、さらに好ましくは3〜10モルである。また、これらの化合物を反応溶媒として用いることもできる。
これらの前記式(6)で表される化合物は、市販品を用いてもよく、合成したものを使用してもよい。
原料として使用する前記式(6)で表される化合物の純度は特に限定されないが、通常、95%以上であり、好ましくは99%以上である。
工程2の反応は、通常、酸触媒の存在下で行うことができる。酸触媒としては、例えば、硫酸、チオール酸、モンモリロナイト、ヘテロポリ酸等が挙げられ、これらの中でも特に酸触媒由来の不純物の生成が少なく、本発明のフルオレン骨格を有する化合物を得やすいことからヘテロポリ酸が好ましい。
本発明において好ましく用いられるヘテロポリ酸とは、一般的には異なる2種以上の無機酸素酸が縮合して生成した化合物の総称であり、中心の酸素酸とその周りで縮合する別種の酸素酸の組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。中心の酸素酸を形成する数の少ない元素をヘテロ元素といい、その周りで縮合する酸素酸を形成する元素をポリ元素という。ポリ元素は単一種類の元素であってもよいし、複数種類の元素であってもよい。
ヘテロポリ酸を構成する酸素酸のヘテロ元素は特に限定されるものではないが、例えば、銅、ベリリウム、ホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、セリウム、トリウム、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、ウラン、セレン、テルル、マンガン、ヨウ素、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、オスミウム、イルジウム、白金が挙げられる。好ましくはリン(リン酸)またはケイ素(ケイ酸)である。また、ヘテロポリ酸を構成する酸素酸のポリ元素は特に限定されるものではないが、例えば、バナジウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタルが挙げられる。好ましくはバナジウム、モリブデンおよびタングステンから選ばれる少なくとも1つの元素である。
ヘテロポリ酸骨格を構成するヘテロポリ酸アニオンとしては種々の組成のものを使用できる。例えば、XM12O40、XM12O42、XM18O62、XM6O24などが挙げられる。好ましいヘテロポリ酸アニオンの組成は、XM12O40である。各式中、Xはヘテロ元素であり、Mはポリ元素である。これらの組成を有するヘテロポリ酸として、具体的には、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンバナドモリブデン酸などが例示される。
ヘテロポリ酸は、遊離のヘテロポリ酸であってもよく、プロトンの一部もしくはすべてを他のカチオンで置き換えて、ヘテロポリ酸の塩として使用することもできる。従って、本発明で言うヘテロポリ酸とはこれらのヘテロポリ酸の塩も含まれる。プロトンと置換可能なカチオンとしては、例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられる。
ヘテロポリ酸は無水物であってもよく、結晶水含有物であってもよいが、無水物の方がより反応が早く、また副生成物の生成が抑制され好ましい。結晶水含有物の場合、予め減圧乾燥や溶媒との共沸脱水等の脱水処理を行うことにより無水物と同様の効果を得ることができる。ヘテロポリ酸は活性炭、アルミナ、シリカ−アルミナ、ケイソウ土などの担体に担持した形態で用いてもよい。これらのヘテロポリ酸は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲でヘテロポリ酸以外の他の触媒を併用してもよい。
ヘテロポリ酸の使用量は特に限定されるものではないが、充分な反応速度を得るには、フルオレノンに対して、好ましくは0.0001重量倍以上、より好ましくは0.001〜30重量倍、さらに好ましくは0.01〜5重量倍である。
工程2の反応を実施する方法は、特に限定されるものではないが、通常、前記式(5)で示される反応物と前記式(6)で表される化合物とヘテロポリ酸を反応装置に仕込み、空気中又は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、トルエン、キシレンなどの不活性溶媒存在下又は非存在下で加熱攪拌することにより行うことができる。この際、触媒含有水や反応生成水など、反応系内の水分を除去する、脱水条件下で反応を行うことにより、脱水しない場合より反応が早く進行し、副生成物の生成が抑制され、より高収率で目的物を得ることができる。脱水方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、脱水剤の添加による脱水、減圧による脱水、常圧又は減圧下、溶媒との共沸による脱水などが挙げられる。
共沸脱水溶媒としては、特に限定されるものではないが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジ−iso−プロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの脂肪族および環状エーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノンなどのアミド溶媒、などが挙げられる。好ましくは芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒であり、より好ましくはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンであり、さらに好ましくはトルエンである。その使用量は特に限定されるものではないが経済性の点から、上記式(5)で示される反応物であるフルオレノンに対して、好ましくは0.1重量倍以上、より好ましくは0.5〜100重量倍、さらに好ましくは1〜20重量倍である。
反応温度は使用する原料、溶媒の種類により異なるが、好ましくは50〜300℃、より好ましくは80〜250℃、さらに好ましくは120〜180℃である。反応は液体クロマトグラフィーなどの分析手段で追跡することができる。
反応終了後の反応混合物には、通常、生成した前記式(1)で表される化合物以外に、未反応のフルオレン類、未反応のボロン酸類、未反応のアルコール化合物類、塩基、触媒、副反応生成物などが含まれている。そのため、慣用の方法、例えば、ろ過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、再沈殿、活性炭処理あるいはそれと酷似した金属の除去処理、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。例えば、慣用の方法(アルカリ水溶液を加えて水溶性の複合体を形成させる方法など)によりボロン酸類を除去し、活性炭処理あるいはそれと酷似した金属の除去処理をしてパラジウム化合物を除去したのち、再結晶溶媒を添加して冷却して再結晶化させ、次いでろ過分離することにより精製してもよい。
(結晶製造方法)
工程1および工程2によって製造された上記式(1)で表される化合物は、好ましくは下記の結晶製造工程(i)、(ii)および(iii)により製造される。
(結晶製造方法)
工程1および工程2によって製造された上記式(1)で表される化合物は、好ましくは下記の結晶製造工程(i)、(ii)および(iii)により製造される。
(i)上記式(1)で表される化合物の溶液(晶析溶液)を調製する工程(以下、晶析溶液調製工程と称することもある)。
(ii)(i)の工程で得られた晶析溶液から0℃以上で前記式(1)で表される化合物の結晶を析出させ、析出した結晶を分離取得する工程(以下、晶析工程と称することもある)。
(iii)(ii)の工程で得られた結晶を80℃以上とする工程。(以下、乾燥工程と称することもある)。
以下、上記(i)、(ii)および(iii)の工程について詳述する。
<(i)晶析溶液調整工程>
晶析溶液調整工程で使用可能な溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジ−iso−プロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの脂肪族および環状エーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノンなどのアミド溶媒が挙げられる。中でもの上記式(1)の溶解性が良く沸点が適当である、クロロホルム、酢酸エチル、トルエンを使用することが好ましい。
晶析溶液調整工程で使用可能な溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジ−iso−プロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの脂肪族および環状エーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノンなどのアミド溶媒が挙げられる。中でもの上記式(1)の溶解性が良く沸点が適当である、クロロホルム、酢酸エチル、トルエンを使用することが好ましい。
晶析溶媒中には、上記以外に他の溶媒を含んでいてもよい。上述した反応の工程1または工程2で使用した溶媒が挙げられる。他の溶媒を含む場合のその溶媒量は、晶析溶液に対し通常0.5重量倍以下、好ましくは0.3重量倍以下である。
晶析溶液に含まれる溶媒の総量は、晶析溶液に含まれる上記式(1)の化合物の重量倍に対し通常0.5〜20重量倍、好ましくは1〜10重量倍である。
晶析溶液に含まれる不純物の含量にもよるが、晶析溶液中の水分量によっては、結晶状の上記式(1)で表される化合物が得られない場合がある。また、結晶状の上記式(1)で表される化合物が得られる場合であっても、純度や色相が十分に向上しない場合があるため、晶析溶液中の水分は好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下とする。
<(ii)晶析工程>
次いで晶析工程について詳述する。上記(i)の方法により調製された晶析溶液は、使用する溶媒の沸点にもよるが、好ましくは40℃以上、より好ましくは晶析溶液の沸点直下の温度まで加熱し結晶を完溶させた後冷却し、好ましくは0℃以上、より好ましくは0〜40℃の温度範囲で結晶を析出させる。使用する溶媒にもよるが、40℃より高い温度で結晶を析出させる場合、溶媒の沸点に近いことから結晶が析出しにくく、また安全面で問題となる場合が生じる。前述した温度範囲で結晶を析出させる方法として、結晶が析出するまで上記温度範囲となるよう晶析溶液の温度を保持する方法、上記温度範囲で種晶を接種する方法等、結晶が溶解しにくい溶媒を追加して溶解度を下げる方法等が例示される。また、結晶析出後、一定時間同温度で保持し結晶を成長させる操作を実施しても良い。結晶析出後、必要に応じ更に冷却を行い、析出した結晶を分離する。
次いで晶析工程について詳述する。上記(i)の方法により調製された晶析溶液は、使用する溶媒の沸点にもよるが、好ましくは40℃以上、より好ましくは晶析溶液の沸点直下の温度まで加熱し結晶を完溶させた後冷却し、好ましくは0℃以上、より好ましくは0〜40℃の温度範囲で結晶を析出させる。使用する溶媒にもよるが、40℃より高い温度で結晶を析出させる場合、溶媒の沸点に近いことから結晶が析出しにくく、また安全面で問題となる場合が生じる。前述した温度範囲で結晶を析出させる方法として、結晶が析出するまで上記温度範囲となるよう晶析溶液の温度を保持する方法、上記温度範囲で種晶を接種する方法等、結晶が溶解しにくい溶媒を追加して溶解度を下げる方法等が例示される。また、結晶析出後、一定時間同温度で保持し結晶を成長させる操作を実施しても良い。結晶析出後、必要に応じ更に冷却を行い、析出した結晶を分離する。
上述した結晶が溶解しにくい溶媒を用いて溶解度を下げる場合は、溶媒としてペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒が挙げられる。本溶媒の使用量は、晶析溶液に含まれる溶媒の総量に対し、好ましくは0.5〜50重量倍、より好ましくは10〜30重量倍である。
<(iii)加熱工程>
加熱工程は、使用する溶媒にもよるが、得られた結晶を好ましくは60℃以上から結晶の融点以下、より好ましくは100℃以下に加熱することによって実施される。なお、本発明で言う結晶の温度とは、乾燥に用いる装置の内部に温度計を内挿し、該温度計に結晶が接している際に観測される温度である
加熱工程に供する結晶は晶析工程で用いた溶媒を含んでいても良く、加熱工程を実施する際、同時に結晶に含まれる溶媒を除去することも可能である。加熱工程を実施する際に同時に結晶に含まれる晶析工程で用いた溶媒を除去する際は、減圧下とすることにより、加熱工程実施時、効率的に結晶から晶析工程で用いた溶媒を除去可能であることから好ましい。
加熱工程は、使用する溶媒にもよるが、得られた結晶を好ましくは60℃以上から結晶の融点以下、より好ましくは100℃以下に加熱することによって実施される。なお、本発明で言う結晶の温度とは、乾燥に用いる装置の内部に温度計を内挿し、該温度計に結晶が接している際に観測される温度である
加熱工程に供する結晶は晶析工程で用いた溶媒を含んでいても良く、加熱工程を実施する際、同時に結晶に含まれる溶媒を除去することも可能である。加熱工程を実施する際に同時に結晶に含まれる晶析工程で用いた溶媒を除去する際は、減圧下とすることにより、加熱工程実施時、効率的に結晶から晶析工程で用いた溶媒を除去可能であることから好ましい。
こうして得られた本発明の結晶は必要に応じ、吸着、水蒸気蒸留、再結晶などの通常の精製操作を繰り返し行うこともできるが、このような操作を実施しなくとも十分に高純度であり、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、エポキシなどの樹脂材料として好適に用いることが出来る。
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。なお、例中、各種測定は下記の方法で実施した。また、以下実施例、比較例に記載した各成分の生成率(残存率)及び純度は下記条件で測定したHPLCの面積百分率値(反応液中の溶媒の有機化合物のピークは除いた修正面積百分率値)である。
(1)HPLC純度
実施例、比較例で得られた化合物を下記の装置にて測定し、HPLC純度を算出した。
装置:日立製作所製
カラム:野村化学 Develosil ODS−MG−5
移動相:アセトニトリル、0.1トリフルオロ酢酸、超純水
流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃、検出波長:UV253nm
(2)ICP測定
実施例、比較例で得られた化合物を下記の装置にてPd量を測定した。
使用機器:Agilent Technologies
装置:Agilent5100 ICP−OES
(3)融点(Tm)測定
実施例で得られた樹脂5mgを用いて、下記の装置、条件にて、示差走査熱量分析による吸熱ピーク(融点)を測定した。
装置:(株)島津製作所社製 DSC−60A
条件:昇温速度20℃/min
[実施例1]
<工程1>
撹拌機、冷却器、さらには温度計を備え付けた3Lの三口フラスコに2,7−ジブロモフルオレノン(以下、DBFNと略記することがある)25.25g(74.7ミリモル)、フェニルボロン酸19.13g(156.9ミリモル)をトルエン/エタノールの混合溶媒(混合比=4/1)920mLに溶解させ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.15g(0.13ミリモル)、2M炭酸カリウム水溶液85mLを添加したのち80℃で4時間撹拌することにより反応をおこなった。反応の進行具合はHPLCにて確認し、DBFNの残存量が0.1重量%以下であることを確認し反応を終了させた。得られた反応液を減圧濃縮してトルエン/エタノールを除去したのち、残渣に1M水酸化ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出した。クロロホルム層を活性炭で脱パラジウム触媒処理し系内に残存しているパラジウム触媒を除去したあと濃縮し、黄色結晶が析出してきた時点で濃縮を止めそのまま再結晶した。析出した黄色結晶を濾取し、85℃で24時間乾燥することにより、目的物である2,7−ジフェニルフルオレノン(以下、DPFNと略記することがある)の白色結晶を20g、収率81%で得た。
<工程2>
撹拌機、冷却器、水分離器、さらには温度計を備え付けた1Lの三口フラスコに溶媒としてのトルエン340g、12タングスト(VI)リン酸n水和物(H3[PW12O40]・nH2O)2.94gを仕込み、トルエン還流下、30分間共沸脱水した。内容物を冷却後に工程1で合成したDPFN99.72g(0.3モル)および2−フェノキシエタノール165.80g(1.2モル)およびトルエン50gを加え、トルエン還流下、反応により生成する水を系外へ排出しながら12時間撹拌した。反応の進行具合は適宜HPLCにて確認し、DPFNの残存量が0.1重量%以下になった時点を反応の終点とした。得られた反応液を70℃に調整し、水200gで3回洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰の2−フェノキシエタノールを除去した。得られた混合物をトルエン500gに溶解させ活性炭で脱色処理しその処理液を濃縮していくと結晶が析出し始めたため、濃縮を止めそのまま再結晶をおこなった。析出した白色結晶をろ過により取り出し、該結晶を乾燥させることにより、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジフェニルフルオレンの粗精製物(以下、BPDPと略記することがある)の白色結晶140g(収率70%、純度95.2%)を得た。ICPにより残存金属量を測定したところ、Pdは0.4ppmであった。
<結晶製造工程>
工程2で得られたBPDPの白色結晶10g(0.016モル)とクロロホルム100gをフラスコに仕込み、50℃でBPDPを溶解させた(晶析溶液調製工程)。BPDPが完全に溶解した後に、ヘキサン30gを加え、その後0℃まで冷却した(晶析工程)。析出した結晶をろ過し、該結晶を80℃で乾燥させることにより、BPDPの白色結晶5.5g(収率55%、純度99.5%)を得た(乾燥工程)。DSCで融点を測定したところ、融点は137℃と178℃であった(図1参照)。
[実施例2]
結晶製造工程の溶媒をクロロホルムから酢酸エチルに変えた以外は実施例1と同様にBPDPの白色結晶2.6g(収率26%、純度99.5%)を得た。DSC測定による融点は168℃であった(図2参照)。
[実施例3]
結晶製造工程において溶解温度を40℃とした以外は実施例1と同様に行い、BPDPの白色結晶3.1g(収率31%、純度97.5%)を得た。DSC測定による融点は131℃と175℃であった。
[実施例4]
工程2と同様の操作で得られたBPDPの粗成生物(95.2%、Pd量0.4ppm)10gとトルエン100gをフラスコに仕込み、70℃で溶解させた。BPDPが完全に溶解した後、25℃まで冷却して析出した結晶をろ過し、該結晶を80℃で乾燥させることによりBPDP白色結晶3.2g(収率32%、純度96.2%)を得た。DSCを測定したところ融点は161℃であった。
[実施例5]
実施例4で得られたBPDP白色結晶を100℃で乾燥した後に、25℃まで冷却した。再度DSCを測定したところ融点は166℃であった。
[実施例6]
工程1のフェニルボロン酸を2−ナフタレンボロン酸26.99g(156.9ミリモル)に変更した以外は同様に行い、2,7−ジナフチルフルオレノン(以下DNFNと略記することがある)の結晶を24g、収率75%で得た。工程2のDPFNをDNFN129.75g(0.3モル)に変更した以外は同様に行い、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジナフチルフルオレンの粗生成物(以下、BPDN2と略記することがある)の白色結晶を124g(収率60%、純度94.0%)得た。ICPにより残存金属量を測定したところ、Pdは1.0ppmであった。
実施例、比較例で得られた化合物を下記の装置にて測定し、HPLC純度を算出した。
装置:日立製作所製
カラム:野村化学 Develosil ODS−MG−5
移動相:アセトニトリル、0.1トリフルオロ酢酸、超純水
流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃、検出波長:UV253nm
(2)ICP測定
実施例、比較例で得られた化合物を下記の装置にてPd量を測定した。
使用機器:Agilent Technologies
装置:Agilent5100 ICP−OES
(3)融点(Tm)測定
実施例で得られた樹脂5mgを用いて、下記の装置、条件にて、示差走査熱量分析による吸熱ピーク(融点)を測定した。
装置:(株)島津製作所社製 DSC−60A
条件:昇温速度20℃/min
[実施例1]
<工程1>
撹拌機、冷却器、さらには温度計を備え付けた3Lの三口フラスコに2,7−ジブロモフルオレノン(以下、DBFNと略記することがある)25.25g(74.7ミリモル)、フェニルボロン酸19.13g(156.9ミリモル)をトルエン/エタノールの混合溶媒(混合比=4/1)920mLに溶解させ、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.15g(0.13ミリモル)、2M炭酸カリウム水溶液85mLを添加したのち80℃で4時間撹拌することにより反応をおこなった。反応の進行具合はHPLCにて確認し、DBFNの残存量が0.1重量%以下であることを確認し反応を終了させた。得られた反応液を減圧濃縮してトルエン/エタノールを除去したのち、残渣に1M水酸化ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出した。クロロホルム層を活性炭で脱パラジウム触媒処理し系内に残存しているパラジウム触媒を除去したあと濃縮し、黄色結晶が析出してきた時点で濃縮を止めそのまま再結晶した。析出した黄色結晶を濾取し、85℃で24時間乾燥することにより、目的物である2,7−ジフェニルフルオレノン(以下、DPFNと略記することがある)の白色結晶を20g、収率81%で得た。
<工程2>
撹拌機、冷却器、水分離器、さらには温度計を備え付けた1Lの三口フラスコに溶媒としてのトルエン340g、12タングスト(VI)リン酸n水和物(H3[PW12O40]・nH2O)2.94gを仕込み、トルエン還流下、30分間共沸脱水した。内容物を冷却後に工程1で合成したDPFN99.72g(0.3モル)および2−フェノキシエタノール165.80g(1.2モル)およびトルエン50gを加え、トルエン還流下、反応により生成する水を系外へ排出しながら12時間撹拌した。反応の進行具合は適宜HPLCにて確認し、DPFNの残存量が0.1重量%以下になった時点を反応の終点とした。得られた反応液を70℃に調整し、水200gで3回洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰の2−フェノキシエタノールを除去した。得られた混合物をトルエン500gに溶解させ活性炭で脱色処理しその処理液を濃縮していくと結晶が析出し始めたため、濃縮を止めそのまま再結晶をおこなった。析出した白色結晶をろ過により取り出し、該結晶を乾燥させることにより、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジフェニルフルオレンの粗精製物(以下、BPDPと略記することがある)の白色結晶140g(収率70%、純度95.2%)を得た。ICPにより残存金属量を測定したところ、Pdは0.4ppmであった。
<結晶製造工程>
工程2で得られたBPDPの白色結晶10g(0.016モル)とクロロホルム100gをフラスコに仕込み、50℃でBPDPを溶解させた(晶析溶液調製工程)。BPDPが完全に溶解した後に、ヘキサン30gを加え、その後0℃まで冷却した(晶析工程)。析出した結晶をろ過し、該結晶を80℃で乾燥させることにより、BPDPの白色結晶5.5g(収率55%、純度99.5%)を得た(乾燥工程)。DSCで融点を測定したところ、融点は137℃と178℃であった(図1参照)。
[実施例2]
結晶製造工程の溶媒をクロロホルムから酢酸エチルに変えた以外は実施例1と同様にBPDPの白色結晶2.6g(収率26%、純度99.5%)を得た。DSC測定による融点は168℃であった(図2参照)。
[実施例3]
結晶製造工程において溶解温度を40℃とした以外は実施例1と同様に行い、BPDPの白色結晶3.1g(収率31%、純度97.5%)を得た。DSC測定による融点は131℃と175℃であった。
[実施例4]
工程2と同様の操作で得られたBPDPの粗成生物(95.2%、Pd量0.4ppm)10gとトルエン100gをフラスコに仕込み、70℃で溶解させた。BPDPが完全に溶解した後、25℃まで冷却して析出した結晶をろ過し、該結晶を80℃で乾燥させることによりBPDP白色結晶3.2g(収率32%、純度96.2%)を得た。DSCを測定したところ融点は161℃であった。
[実施例5]
実施例4で得られたBPDP白色結晶を100℃で乾燥した後に、25℃まで冷却した。再度DSCを測定したところ融点は166℃であった。
[実施例6]
工程1のフェニルボロン酸を2−ナフタレンボロン酸26.99g(156.9ミリモル)に変更した以外は同様に行い、2,7−ジナフチルフルオレノン(以下DNFNと略記することがある)の結晶を24g、収率75%で得た。工程2のDPFNをDNFN129.75g(0.3モル)に変更した以外は同様に行い、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2,7−ジナフチルフルオレンの粗生成物(以下、BPDN2と略記することがある)の白色結晶を124g(収率60%、純度94.0%)得た。ICPにより残存金属量を測定したところ、Pdは1.0ppmであった。
結晶製造工程はBPDN2の白色結晶を10g(0.014モル)と酢酸エチル100gをフラスコに仕込み、75℃でBPDN2を溶解させた(晶析溶液調整工程)。BPDN2が完全に溶解した後に、ヘキサン30gを加え、その後40℃まで冷却した(晶析工程)。析出した結晶をろ過し、該結晶を80℃で乾燥させることにより、BPDN2の白色結晶5.9g(収率59%、純度98.7%)を得た(乾燥工程)。DSCを測定したところ、融点は123℃と175℃であった(図3参照)。
[実施例7]
実施例6の晶析溶液調整工程において、酢酸エチルをクロロホルムに変更し、50℃で溶解させた以外は同様に行い、BPDN2の白色結晶4.0g(収率40%、純度97.3%)を得た。DSCを測定したところ、融点は165℃であった(図4参照)。
[比較例1]
実施例4で得られたBPDP白色結晶を170℃で乾燥した後に、25℃まで冷却した。再度DSCを測定したところ融点は見られなかった。
[比較例2]
実施例1と同様に工程1を実施した。その後、撹拌機、冷却器、水分離器、さらには温度計を備え付けた1Lの三口フラスコに溶媒としてのトルエン340g、12タングスト(VI)リン酸n水和物(H3[PW12O40]・nH2O)2.94gを仕込み、トルエン還流下、30分間共沸脱水した。内容物を冷却後に工程1で合成したDPFN99.72g(0.3モル)および2−フェノキシエタノール165.80g(1.2モル)およびトルエン50gを加え、トルエン還流下、反応により生成する水を系外へ排出しながら12時間撹拌した。反応の進行具合は適宜HPLCにて確認し、DPFNの残存量が0.1重量%以下になった時点を反応の終点とした。得られた反応液を70℃に調整し、水200gで3回洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰の2−フェノキシエタノールを除去し、BPDPの粗精製物186g(収率90%、純度91%)を得た。
[実施例7]
実施例6の晶析溶液調整工程において、酢酸エチルをクロロホルムに変更し、50℃で溶解させた以外は同様に行い、BPDN2の白色結晶4.0g(収率40%、純度97.3%)を得た。DSCを測定したところ、融点は165℃であった(図4参照)。
[比較例1]
実施例4で得られたBPDP白色結晶を170℃で乾燥した後に、25℃まで冷却した。再度DSCを測定したところ融点は見られなかった。
[比較例2]
実施例1と同様に工程1を実施した。その後、撹拌機、冷却器、水分離器、さらには温度計を備え付けた1Lの三口フラスコに溶媒としてのトルエン340g、12タングスト(VI)リン酸n水和物(H3[PW12O40]・nH2O)2.94gを仕込み、トルエン還流下、30分間共沸脱水した。内容物を冷却後に工程1で合成したDPFN99.72g(0.3モル)および2−フェノキシエタノール165.80g(1.2モル)およびトルエン50gを加え、トルエン還流下、反応により生成する水を系外へ排出しながら12時間撹拌した。反応の進行具合は適宜HPLCにて確認し、DPFNの残存量が0.1重量%以下になった時点を反応の終点とした。得られた反応液を70℃に調整し、水200gで3回洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰の2−フェノキシエタノールを除去し、BPDPの粗精製物186g(収率90%、純度91%)を得た。
得られたBPDPの黄色結晶10g(0.016モル)とクロロホルム100gをフラスコに仕込み、50℃でBPDPを溶解させた。BPDPが完全に溶解した後に、ヘキサン30gを加え、その後0℃まで冷却した。析出した結晶をろ過し、該結晶を80℃で乾燥させることにより、BPDPの白色結晶5.5g(収率55%、純度99.5%)を得た。得られたBPDPをトルエンに溶解し、活性炭で脱色処理し、その処理液を濃縮してBPDPの白色固体5.3g(純度99.5%、Pd3.0ppm)を得た。結晶製造工程は実施しなかった。DSCを測定したところ融点は見られなかった。
本発明のフルオレン骨格を持つ化合物の結晶を原料(モノマー)とする樹脂は、例えば、フィルム、レンズ、プリズム、光ディスク、透明導電性基板、光カード、シート、光ファイバー、光学膜、光学フィルター、ハードコート膜等の光学部材に用いることができ、特にレンズに極めて有用である。
Claims (4)
- 上記式(1)で表されるフルオレン誘導体を95重量%以上含む、請求項1記載のフルオレン骨格を持つ化合物の結晶。
- パラジウム元素の含有量が下記式(2)を満たす、請求項1記載のフルオレン骨格を持つ化合物の結晶。
0 ≦ Pd ≦ 50ppm (2) - 下記工程1、工程2および結晶製造工程を含む請求項1に記載の結晶の製造方法。
工程1:下記式(3)で示されるフルオレノン類と下記式(4)で示されるボロン酸とを反応溶媒中、塩基および触媒の存在下で反応させる工程、
工程2:工程1で製造した下記式(5)で示される反応物と下記式(6)で示されるアルコール化合物とを反応溶媒中、酸触媒を使用して反応させる工程、
結晶製造工程:工程2で得られた化合物が溶解する溶媒を用いて再結晶操作を行い、結晶を取り出す工程
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