JPWO2020084655A1 - 内視鏡クリップ - Google Patents

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Abstract

本発明は、クリップユニットのアーム部材の閉状態を好適に維持することができる内視鏡クリップを提供することを目的とする。本発明の内視鏡クリップ(1)は、一対のアーム(12,13)が閉じた閉形態と、一対のアーム(12,13)が互いに離間した開形態とを有するアーム部材(11)と、先端側へ移動することにより、アーム部材(11)を閉形態から開形態へ遷移させる操作ワイヤ(62)と、アーム部材(11)に連結される弾性部材(36)と、弾性部材(36)よりも基端側に設けられる規制部(75)と、を備え、アーム部材(11)が閉形態にあるとき、弾性部材(36)で生じた弾性力により操作ワイヤ(62)が先端側へ付勢される一方、規制部(75)は当該弾性力に対向する力を操作ワイヤ(62)に負荷して操作ワイヤ(62)の先端側への移動を規制することにより、アーム部材(11)が閉形態から開形態へ遷移することを規制する。

Description

本発明は、組織を結紮するために用いられる内視鏡クリップに関する。
従来、組織に形成された開口や血管などを結紮するために、内視鏡のチャンネルを経由して患者体内に導入される内視鏡クリップが用いられている。このような内視鏡クリップとしては、特許文献1に記載された内視鏡処置具が知られている。
特許文献1に記載の内視鏡処置具は、クリップユニットと、処置具本体とを有している。
クリップユニットは、クリップ本体と、押さえ管と、つる巻きバネとを有している。クリップ本体は、第一アームおよび第二アームを有している。第一アームおよび第二アームは、外力が作用しない状態において、第一アームの先端と第二アームの先端との間に間隔を空けて離間している。
処置具本体は、外套管と、挿入部と、操作部材とを有している。挿入部は、外套管内に進退可能に挿通され、シースと、操作ワイヤと、連結部材とを有している。操作ワイヤは、シース内に挿通され、先端が連結部材に連結し、基端が後述するスライダに連結する。連結部材は、クリップ本体と操作ワイヤとを連結するために設けられている。操作部材は、挿入部の基端側に取付けられており、操作部本体と、スライダと、破断機構とを有している。スライダは、操作部本体のスリットに係合することで、操作部本体に対して、前進および後退することができる。破断機構は、操作部に内蔵されている。破断機構に作用する張力が所定の引張強度以上に達すると、破断機構が破断する。
特許文献1に記載の内視鏡処置具は、以下のように使用される。
操作者は、チャンネルを有する内視鏡を患者の体内に挿入しておく。次に、操作者は、内視鏡のチャンネルの基端部から外套管を挿入し、内視鏡のチャンネルの先端部から外套管を突出させる。そして、操作者は、処置具本体の挿入部に対して外套管を引戻すことで、外套管の先端側からクリップ本体を突出させる。その結果、クリップ本体の第一アームと第二アームとが間に隙間を有する開形態になる。
操作者が内視鏡を用いて患者の体内を観察しながら、クリップユニットを体内の標的組織に対向させると、標的組織が第一アームと第二アームとの間に位置する。この状態において、操作者が操作ワイヤを基端側へ牽引すると、第一アームと第二アームとが互いに接触する閉形態になり、標的組織を掴むことができる。操作者が操作ワイヤをさらに基端側へ牽引すると、標的組織がクリップ本体に掴まれた状態で基端側へ移動する。標的組織がクリップ本体に掴まれた状態においても、操作者が操作ワイヤを先端側へ押し込むと、クリップ本体の第一アームと第二アームとが開形態になるため、標的組織をクリップ本体で掴み直すことができる。
日本国特許5750620号公報
特許文献1に記載された内視鏡処置具では、クリップユニットを内視鏡に挿通し体内に導入するとき、あるいは体内の狭い管腔内で処置するとき、内視鏡の内壁あるいは管腔の内壁に意図せず接触することを防ぐために、クリップ本体の第一アームと第二アームとが閉じる閉形態になることが好ましい。
しかしながら、前述したように、特許文献1に記載された内視鏡処置具では、外力が作用しない状態において、つまり、操作者がスライダを操作しない状態において、第一アームの先端と第二アームの先端との間に間隔を空けて離間している。このため、クリップ本体の第一アームと第二アームとを閉形態に保持するために、操作者は、スライダを基端側へ引いた状態を保持し続ける必要があり、操作が煩雑になる。
さらに、特許文献1に記載された内視鏡処置具では、操作者がスライダを基端側へ引いた状態において、誤って強い力量でスライダを操作すると、意図しないタイミング(例えば、所望の組織を把持できていない状態)でクリップユニットをロックする可能性もある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、クリップユニットのアーム部材の閉状態を好適に維持することができる内視鏡クリップを提供することを目的とする。
本発明の第一の態様に係る内視鏡クリップは、一対のアームから構成され、前記一対のアームが閉じた閉形態と、前記一対のアームが互いに離間した開形態とを有するアーム部材と、先端が着脱可能に前記アーム部材に連結され、先端側へ移動することにより、前記アーム部材を前記閉形態から前記開形態へ遷移させる操作ワイヤと、前記アーム部材に連結され、弾性変形することができる弾性部材と、前記弾性部材よりも基端側に設けられる規制部と、を備え、前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記弾性部材が弾性変形して生じた弾性力により、前記操作ワイヤは、前記先端側へ付勢され、前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記規制部は、前記弾性部材が弾性変形して生じた弾性力に対向する力を前記操作ワイヤに負荷して前記操作ワイヤの前記先端側への移動を規制することにより、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することを規制する。
本発明の第二の態様に係る内視鏡クリップは、上記の第一の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記弾性力よりも大きい前記外力が前記操作ワイヤに作用することにより、前記規制部による前記操作ワイヤの前記先端側への移動に対する規制が解除され、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することが可能であってもよい。
本発明の第三の態様によれば、上記の第二の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記規制部は、前記操作ワイヤに連結され、前記操作ワイヤとともに移動する係合部と、前記係合部に係合することにより前記操作ワイヤの移動を規制する被係合部と、を備え、前記弾性力よりも大きい前記外力が前記操作ワイヤに作用すると、前記係合部と前記被係合部との係合が解除されてもよい。
本発明の第四の態様によれば、上記の第三の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記内視鏡クリップは、長手軸を有し、筒状に形成されたシースをさらに備え、前記被係合部は、前記シースの内周面に設けられ、かつ、前記係合部の外径よりも小さい幅の内腔を有し、前記係合部と前記被係合部とが係合することにより、前記被係合部は、前記内腔が前記長手軸に対する径方向に拡張されて弾性変形し、前記係合部が弾性変形した前記被係合部の前記内腔を通過できてもよい。
本発明の第五の態様によれば、上記の第四の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記係合部が前記操作ワイヤとともに移動し、前記被係合部の前記内腔内に押し込まれることにより、前記被係合部が弾性変形してもよい。
本発明の第六の態様によれば、上記の第四の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記被係合部は、前記シースの先端側の開口よりも基端側における約1cm以内の位置に設けられていてもよい。
本発明の第七の態様によれば、上記の第二の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記内視鏡クリップは、前記アーム部材を挿入できる内径を有し、筒状に形成されたアウターシースをさらに備え、前記アーム部材は、前記アウターシース内に挿入された状態で、前記閉形態にあり、前記アーム部材は、前記アウターシースから突出した状態で、前記規制部による規制が解除されることで前記閉形態から前記開形態に遷移してもよい。
本発明の第八の態様によれば、上記の第二の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記内視鏡クリップは、筒状に形成され、前記アーム部材が挿入されることで前記一対のアームが前記閉形態に遷移する押さえ管と、さらに備え、前記弾性部材は、前記押さえ管内に設けられ、前記一対のアームを前記押さえ管から突出させる方向に付勢するバネから構成されてもよい。
内視鏡クリップの上記各態様によれば、クリップユニットのアーム部材の閉状態を好適に維持することができる。
本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップの初期状態を模式的に示す側面視部分断面図である。 図1Aにおける内視鏡クリップの先端側を模式的に示す平面視部分断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップの規制部の構成を示す拡大断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップの初期状態を模式的に示す部分断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップのアーム部材を開く操作を示す部分断面図である。 図4における内視鏡クリップの規制部の状態を示す拡大断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップの規制部による規制を解除した状態を示す部分断面図である。 図6における内視鏡クリップの規制部の状態を示す拡大断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップの規制部が最先端まで移動された状態を示す部分断面図である。 図8における内視鏡クリップの規制部の状態を示す拡大断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップが標的組織を把持する状態を示す部分断面図である。 本実施形態に係る内視クリップのアーム部材をロックした状態を示す側面視部分断面図である。 図11Aにおける内視鏡クリップの先端側を模式的に示す平面視部分断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップのクリップユニットを体内に留置する操作を示す部分断面図である。 本実施形態の一変形例に係る規制部の構成を示す拡大断面図である。 本変形例に係る内視鏡クリップの規制部による規制を解除する操作を示す拡大断面図である。 本変形例に係る規制部の被係合部材の構成を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る内視鏡クリップの構成を模式的に示す側面視部分断面図である。 図16Aにおける内視鏡クリップの先端側を模式的に示す平面視部分断面図である。 図16Aにおける内視鏡クリップの操作部の径方向における断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップの規制部による規制を解除した状態を示す部分断面図である。 図17Aにおける内視鏡クリップの先端側を模式的に示す平面視部分断面図である。 本実施形態の第一の変形例に係る内視鏡クリップの構成を模式的に示す側面視部分断面図である。 本変形例に係る内視鏡クリップの規制部による規制を解除した状態を示す側面視部分断面図である。 本実施形態の第二の変形例に係る内視鏡クリップの構成を模式的に示す側面視部分断面図である。 図19Aにおける内視鏡クリップの操作部における規制部の平面視断面図である。 本変形例に係る内視鏡クリップの規制部による規制を開場した状態を示す側面視部分断面図である。 本実施形態に係る内視鏡クリップによる手技を示すフローチャートである。 従来技術の内視鏡処置具の構成を示す部分断面図である。 従来技術の内視鏡処置具による手技を示すフローチャートである。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップの構成を、図1Aから図12を参照して説明する。
本実施形態に係る内視鏡クリップ1は、図示しない内視鏡に形成されたチャンネルを通して患者の体内に挿入されて使用される。本明細書において、操作者が内視鏡を操作するための内視鏡操作部が位置する側を基端側と定義し、体内に挿入された内視鏡の先端部が位置する側を先端側と定義する。
図1Aに示すように、本実施形態に係る内視鏡クリップ1は、クリップユニット(以下、「クリップ」と略称する)10と、処置具本体(アプリケータ)40とを備えて構成されている。クリップ10は、処置具本体40の先端部に取り外し可能に連結されている。図1Aは、後述する押さえ管31の軸線C1を通る平面によるクリップ10の側面視部分断面図である。なお、本明細書において、説明上の便宜のため、軸線C1は、クリップ10および後述する挿入部60の軸線であると見なす。
本明細書において、図1Aに示すように、クリップ10のアーム部材11の第一アーム12および第二アーム13が対向する対向方向X、押さえ管31の軸線C1に平行な軸線方向Y、そして対向方向Xおよび軸線方向Yのそれぞれに直交する直交方向Zを定義する。
(クリップ10の構成)
クリップ10は、図1Aに示すように、アーム部材11と、押さえ管31と、弾性部材(つる巻きバネ)36とを備えて構成されている。
押さえ管31は、円筒状に形成され、アーム部材11の基端部が進入できる内径を有する。すなわち、押さえ管31には、後述する第一アーム12および第二アーム13を有するアーム部材11が進入可能なルーメンが形成されている。弾性部材36は、押さえ管31のルーメン内に配置されている。
アーム部材11は、第一アーム12と、第二アーム13と、中央部14とを有している。第一アーム12及び第二アーム13は、基端側から先端側に向けて延びるとともに互いに対向して配置されている。中央部14は、第一アーム12の基端部と第二アーム13の基端部との間に位置する。本実施形態において、図1Aに示すように、第一アーム12と第二アーム13とは、軸線C1に対して線対称の位置に形成されていてもよい。
本実施形態において、第一アーム12および第二アーム13は、自然状態において、互いに離間し、かつ、基端側から先端側に向かう方向に沿って、互いの間の距離が大きくなる。本明細書において、「自然状態」とは、アーム部材11に外力が作用しない状態を意味する。例えば、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13に押さえ管31の内壁による力が作用しない状態は、自然状態である。第一アーム12の先端部には、第二アーム13側に向かって延びる爪12aが形成されている。第二アーム13の先端部には、第一アーム12側に向かって延びる爪13aが形成されている。
第一アーム12および第二アーム13は、先端側における長手方向に直交する断面形状が、円弧状となり、丸みをもった形状に形成されている。より詳しくは、第一アーム12および第二アーム13の外面における後述する直交方向Zの中央部が、外側に向かって凸部となる曲面状に形成されている。第一アーム12および第二アーム13は、このように構成されることで、曲げに対する強度が向上するとともに、後述するアウターシース50に対する摩擦抵抗を減少し、スムーズに進退することができる。
図1Bに示す平面視において、第一アーム12の基端部には、二つの第一被係止部16、17が設けられている。第一被係止部16、17は、押さえ管31の軸線(中心軸線)C1に平行な基準面S1上を、第一アーム12の側面から直交方向Zに突出して設けられている。本実施形態において、第一被係止部16、17は、互いに逆となる向きに突出し、軸線C1に対して線対称の位置に形成されていてもよい。
図1Bは、基準面S1に直交する方向に見たクリップ10の平面視部分断面図である。図1Bに示すように、第一被係止部16の基端面16aは、先端側に向かうにしたがって第一アーム12(中心軸線C1)から離間し、傾斜している。第一被係止部16の先端面16bは、軸線方向Yに直交している。第一被係止部17の基端面17aと第一被係止部16の基端面16aとは、軸線C1に対して線対称である。第一被係止部17の先端面17bと第一被係止部16の先端面16bとは、軸線C1に対して線対称であってもよい。
図1Aおよび図1Bに示すように、第一アーム12における第一被係止部16、17よりも先端側には、二つの突部18、19が設けられている。図1Bに示すように、突部18、19は、第一アーム12の側面から直交方向Zに突出している。本実施形態において、突部18と突部19とは、平面視において軸線C1に対して線対称であってもよい。また、突部18、19が第一アーム12から突出する長さは、第一被係止部16、17が第一アーム12から直交方向Zに突出する長さよりも長くてもよい。
図1Aに示すように、第二アーム13には、第一アーム12の第一被係止部16、17、突部18、19と同様に形成された第二被係止部21、22、突部23、24が設けられている(第二被係止部22および第二突部24は非図示。)。すなわち、第二アーム13の第二被係止部21、22は、第二アーム13の側面から第一アーム12に対して離間する方向である直交方向Zに突出している。第二アーム13の突部23、24は、第二アーム13における第二被係止部21、22よりも先端側に、第二アーム13の側面から直交方向Zに突出する。第二被係止部21、22、並びに突部23、24と、第一被係止部16、17並びに突部18、19とは、対向方向Xにそれぞれ並べて配置されている。図1Bに示す平面視においては、第二被係止部21、22がそれぞれ第一被係止部16、17に重なり、突部23、24がそれぞれ突部18、19に重なる。
アーム部材11を含め、クリップ10を構成するこれらの部材は、例えばコバルトクロム合金やチタン、ステンレス鋼などの材料から形成されている。クリップ10は、MRI(核磁気共鳴画像法)透視下での観察も可能に構成されている。
アーム部材11は、例えば、コバルトクロム合金などで形成された板材を、第一アーム12および第二アーム13、中央部14、第一被係止部16、17、第二被係止部21、22、突部18、19、23、24を平面状に展開した形状に打抜くことで形成される。アーム部材11は、この打抜いた部材を、第一アーム12と中央部14との接続部、および第二アーム13と中央部14との接続部で折り曲げて、側面視でC字状となり、一体に形成される。
アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、それぞれの先端が互いに離間する方向、すなわち、アーム部材11が開く方向へ移動する弾性復元力を有する。
図1Aおよび図1Bに示すように、押さえ管31の基端部の内壁には、全周にわたり係止部32が突出して形成されている。図に示されていないが、係止部32における軸線C1側の縁部32aは、押さえ管31と同軸の円形形状に形成されている。図1Bに示すように、係止部32の基端面32b(基端側端面)および先端面32c(先端側端面)は、軸線方向Yに直交している。
係止部32内には、第一アーム12における突部18、19よりも基端側の部分、第二アーム13における突部23、24よりも基端側の部分、および中央部14が挿通可能である。後述するように、操作者がスライダ102を基端側へ引き戻すことにより、第一アーム12および第二アーム13は操作ワイヤ62とともに基端側へ移動し、第一アーム12および第二アーム13の基端側の部分が係止部32内を通過し係止部32よりも基端側の位置に係止される。
図1Bに示すように、押さえ管31の先端部の内壁には、テーパー面31aが全周にわたり形成されている。テーパー面31aは、先端側に向かうにしたがって拡径している。本実施形態において、押さえ管31および係止部32は、例えば64チタン合金(Ti−6AL−4V)、コバルトクロム合金などの材料で一体に形成されていてもよい。
図1Aおよび図1Bに示すように、弾性部材36の先端部には、座巻き部36bが設けられている。座巻き部36bは、弾性部材36の他の部分よりも内径が小さく形成されている。
弾性部材36は、押さえ管31内に収容された状態で、先端部が突部18、19、23、24に係止されるとともに基端部が係止部32に係止されている。弾性部材36の基端部と係止部32とは、溶着などにより固定してもよい。
弾性部材36内には、第一アーム12における突部18、19よりも基端側の部分、第二アーム13における突部23、24よりも基端側の部分、および中央部14が挿通可能である。突部18、19、23、24が基端側に移動したときに、突部18、19、23、24は、弾性部材36の座巻き部36bに係止される。一方、突部18、19、23、24が基端側に移動したときに、弾性部材36は、軸線方向Yにおいて、突部18、19、23、24によって圧縮される。弾性部材36が圧縮されると、軸線方向Yにおいて、アーム部材11を押さえ管31内から押し出す弾性力が発生する。弾性部材36が座巻き部36bを備えない場合でも、弾性部材36の先端にワッシャなどの別部材を取付けることで同様の効果が得られる。
(処置具本体40の構成)
続いて、本実施形態に係る処置具本体40の構成を説明する。
図1Aおよび図1Bに示すように、処置具本体40は、アウターシース50と、挿入部60と、操作部100とを有している。アウターシース50は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)といったフッ素樹脂や、HDPE(高密度ポリエチレン)等の樹脂材料で形成することができる。アウターシース50の基端側に、アウターシース50を操作するためのアウターシース操作部51が設けられている。本実施形態において、例えば、アウターシース操作部51を操作することで、処置具本体40の挿入部60に対してアウターシース50を引き戻すことができる。
挿入部60は、アウターシース50内に進退可能である。操作部100は、挿入部60の基端部に取付けられている。
(挿入部60の構成)
処置具本体40の挿入部60は、シース部61と、操作ワイヤ(ワイヤ)62と、連結部材63と、ループ部73とを備えている。操作ワイヤ62は、シース部61内に進退可能に挿通されている。操作ワイヤ62は、操作者が基端側の操作部100を操作する(例えば、スライダ102を押し込む操作およびスライダ102を引き戻す操作)力量をクリップ10に伝達するために設けられている。連結部材63は、操作ワイヤ62の先端部に接続されている。連結部材63は、操作ワイヤ62に対して対向方向Xに平行な軸を中心として回動可能に設けられている。
シース部61は、コイルシース66と、コイルシース66の先端部に固定された先端部材(ストッパ係合部)67と、コイルシース66の内周面に設けられた固定部材(被係合部)74とを有している。
コイルシース66は、例えば耐圧縮強度の高いSUS301などのステンレス鋼から形成されていてもよい。コイルシース66は、不図示の素線を軸線方向Yに密巻きに巻回して形成したコイルを用いることができる。コイルシース66は、可撓性を有するとともに、軸線方向Yの圧縮力に強い。コイルシース66の内径は、弾性部材36の内径にほぼ等しくてもよい。
本実施形態において、先端部材67は、例えばステンレス鋼などで円筒状に形成されてもよい。先端部材67の内径は、コイルシース66の内径よりも小さい。先端部材67の外径は、コイルシース66や押さえ管31の外径よりも大きい。先端部材67の基端部の外周面には、外径が縮径されることで凹部67aが形成されている。この凹部67aにコイルシース66の先端を係合させた状態で、先端部材67とコイルシース66とがレーザー溶接などにより固定されている。
シース部61の先端部の内周面には、コイルシース66に対してコイルシース66よりも先端側の先端部材67の内径が縮径されることで、コイルシース66と先端部材67との接続部分に段部68が形成されている。先端部材67の内径は、後述するクリップ10が係止部32に係止されたとき、先端部材67が第一被係止部16、17、第二被係止部21、22とかみ合うことが無い程度に大きくてもよい。
先端部材67の先端部の内周面には、全周にわたり段差が形成される。この段差においては、前方を向く面が先端支持面(先端面)67bである。また、先端支持面67bよりも先端側には、支持部69が形成されている。本実施形態では、支持部69は円筒状に形成されている。支持部69の内径は、押さえ管31の外径よりもわずかに大きく、押さえ管31の基端を受容可能である。先端支持面67bは、押さえ管31の基端面に当接可能である。シース部61の先端側にクリップ10が配置される。支持部69は、先端支持面67bに当接した押さえ管31の外周面を支持することができる。
これらの構成により、支持部69に対するクリップ10のぐらつきを極力小さく抑えることができ、支持部69に対するクリップ10のある程度の傾きも許容できる。このため、内視鏡のチャンネルなどの屈曲形状に対してもスムーズに内視鏡クリップ1を挿入することができる。
図2に示すように、本実施形態において、固定部材(規制部の被係合部)74は、シース部61の先端側の内周面において、軸線C1に向かって突出して設けられている。例えば、固定部材74は、軸線方向Yに沿った先端および基端がコイルシース66を形成する素線に溶接して固定されてもよい。すなわち、固定部材74は、コイルシース66と一体に形成されてもよい。
本実施形態において、固定部材74とコイルシース66とを一体化して構成する例を説明するが、固定部材74は、この構成に限定されない。例えば、素線を軸線方向Yに密巻きに巻回して形成されたコイルシース66の先端側の内周面に、固定部材74を溶接や接着などの方法によって固定してもよい。
また、本実施形態において、固定部材74は、図2に示すように、コイルシース66を形成する素線に挟まれて構成される例に限らない。例えば、固定部材74をコイル―シース66よりも先端側に配置され、溶接や接着などの方法によって、軸線方向Yに沿った固定部材74の基端をコイルシース66を形成する素線に固定してもよい。なお、本実施形態において、固定部材74を形成する材料は、特に限定されない。例えば、耐久性を確保するために、固定部材74は、押さえ管31および係止部32と同様な金属材料で形成されてもよい。
固定部材74の断面図である図2に示すように、本実施形態に係る固定部材74は、支持部74aと変形部74bとを有して構成されている。支持部74aは、軸線C1に対して変形部74bよりも径方向外側に形成されている。支持部74aは、先端及び基端にコイルシース66を形成する素線が固定されている。
変形部74bは、基端部が支持部74aの基端部に連結され、基端部よりも先端側に位置する部分が支持部74aから一定の間隔をあけて離間して形成されている。すなわち、変形部74bは、軸線C1に対して径方向外側において、支持部74aと一定の間隔をあけて隙間を形成している。
固定部材74の外径は、中心軸線C1に直交する径方向において、支持部74aの最大幅によって定義される。本実施形態において、固定部材74の外径は、例えば、コイルシース66の外径よりもわずかに大きくてもよい。
また、図2に示すように、固定部材74の変形部74bは、少なくとも一部が軸線C1に向かって突出して形成されている。言い換えると、固定部材74の変形部74bは、少なくとも一部が軸線C1周りの径方向内側に向かって突出して形成されている。変形部74bは、軸線C1を挟んで対向する位置に配置された一対のツメによって構成される。一対のツメの間の距離(すなわち、一対のツメの間の空間の幅)は、コイルシース66の内径および後述するストッパ部72の外径よりも小さい。言い換えると、固定部材74は、コイルシース66の内径および後述するストッパ部72の外径よりも小さい幅の内腔を有する。
なお、本実施形態において、変形部74bが一対のツメにより構成された例を説明したが、これに限らない。例えば、変形部74bは、単一のツメにより構成されてもよい。この場合、固定部材74の内腔の幅(コイルシース66の内径および後述するストッパ部72の外径よりも小さい幅の内腔)は、単一のツメによって定義される。また、図2に示すように、固定部材74の変形部74bは、後述するストッパ部72に係合するために、先端74cおよび基端74dが斜面に形成されている。
本実施形態に係る固定部材74の変形部74bは、固定部材74と後述するストッパ部72とが接触(係合)した状態で、操作者の操作部100のスライダ102の押し込みによって変形部74bがストッパ部72に押し込まれることで、支持部74aと変形部74bとの連結部を支点として径方向外側へ回転して弾性変形することができる。
操作ワイヤ62は、例えば金属製の単線や撚線で形成されている。操作ワイヤ62は、先端がストッパ部72の基端部に接続されている。すなわち、本実施形態において、操作ワイヤ62と、ストッパ部72とはともに移動することができる。ストッパ部72の先端部は、ループ部73が接続されている。
ストッパ部(係合部)72は、例えば金属などで円筒状に形成されている。ストッパ部72の外径は、コイルシース66の内径よりも小さく、先端部材67の内径よりも大きい。また、前述したように、ストッパ部72の外径は、固定部材74の内部に形成された内腔の幅よりも大きい。
ストッパ部72は、軸線方向Yに沿った先端および基端において、テーパー形状を有する先端面および基端面が形成されている。
本実施形態において、ストッパ部72が上述の構成を有することにより、後述するように、操作者による操作力量が作用しない状態において、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力により、先端側へ付勢され、固定部材74に係合することができる。また、操作者が操作部100のスライダ102を押し込むことにより、ストッパ部72が先端側へ移動し固定部材74を乗り越えることができる。さらに、操作者が操作部100のスライダ102を押し込むことにより、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接することにより、クリップ10のアーム部材11を、第一アーム12と第二アーム13とが互いに離間した開形態に遷移させることができる。
ループ部73は、一本のワイヤ73aを折り返すことにより形成されている。ワイヤ73aは、折り返し部が先端側に位置し、基端側の両端部がストッパ部72にロウ付けや抵抗溶接などにより固定されている。
図1Bに示すように、連結部材63は、連結部本体76の先端部にフック部77を有するとともに、連結部本体76の基端部に貫通孔76aが形成されて構成されている。連結部本体76におけるフック部77に対向する面には、傾斜面76bが形成されている。
連結部材63は、貫通孔76aにループ部73のワイヤ73aの折り返し部を挿通させることで、ループ部73に対して対向方向Xに平行な軸を中心に回動可能(図1Bの矢印D方向に回動可能)に接続されている。
連結部材63の幅は、フック部77が先端側に配置されたときの連結部本体76の中心軸線C1に直交する方向の外径である。連結部材63の幅は、弾性部材36の内径、コイルシース66の内径、および先端部材67の内径よりもわずかに小さい。すなわち、連結部材63は、押さえ管31内およびシース部61内では、フック部77が先端側になる状態からループ部73に対して回動できない。言い換えれば、押さえ管31やシース部61により、アーム部材11とフック部77との径方向の相対移動が制限される。
上述の「ループ部73に対して連結部材63が回動できない」とは、フック部77と中央部14との係合が解除されるまでループ部73に対して連結部材63が回動することができないことを意味する。したがって、「ループ部73に対して連結部材63が回動できない」とは、文字通りにループ部73に対して連結部材63が全く回動できないことを意味しない。
連結部材63のフック部77と傾斜面76bとの間に中央部14を配置することで、フック部77は中央部14に係合することができる。ループ部73に対してフック部77が方向Dに回動したときに、フック部77と中央部14との係合が解除される(図10参照)。すなわち、連結部材63はアーム部材11に対し取り外し可能に連結される。連結部材63は、押さえ管31内に位置している。
(規制部75の構成)
本実施形態において、ストッパ部72と固定部材74との両方を含む構成を、内視鏡クリップ1の規制部75と定義し、ストッパ部72を規制部75の係合部と定義し、固定部材74を規制部75の被係合部と定義する。
図1Aおよび図1Bに示すように、ストッパ部72が固定部材74よりも基端側に位置し、かつ、操作者がスライダ102を保持しない状態において、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力により、ストッパ部72が軸線方向Yに沿って先端側へ移動し、固定部材74に当接(係合)する。
本実施形態において、ストッパ部72と固定部材74とが互いに係合することにより、ストッパ部72に作用する弾性部材36による弾性力と固定部材74による固定力との両方が釣り合う状態になる。固定部材74による固定力とは、ストッパ部72と固定部材74とが係合し、互いに押し合うことにより、固定部材74によるストッパ部72の先端側への移動を阻止(規制)する力量を意味している。
より具体的に、弾性部材36の弾性力がストッパ部72に作用するとき、ストッパ部72が先端側へ付勢され、固定部材74に当接すると、固定部材74を先端側へ押し付ける力量が発生する。固定部材74において、この力量を受けると、変形部74bが軸線C1に対して径方向外側へ弾性変形し、内腔の内径が増大するとともに、弾性部材36の弾性力に対向する反発力(固定力)が生じる。本実施形態において、固定部材74の内径がストッパ部72の外径同等になるときに発生する固定力は、弾性部材36の弾性力以上に設定されている。このため、操作者がスライダ102を操作しない状態、すなわち、操作ワイヤ62に外力が作用しない状態において、ストッパ部72が軸線方向Yに沿って固定部材74を乗り越えて先端側へ移動することはない。
言い換えれば、操作者による操作力量がスライダ102に作用しない状態において、ストッパ部72と固定部材74との係合が維持され、操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される。
本実施形態において、規制部75は、外力が作用しない自然状態において、内視鏡クリップ1の操作ワイヤ62の先端側への移動を規制するために設けられている。さらに、後述するように、規制部75は、外力が作用しない自然状態において、クリップ10のアーム部材11の閉形態から開形態へ遷移することを規制するために設けられている。なお、本発明において、アーム部材11の閉形態を、第一アーム12と第二アーム13とが互いに接触する状態、若しくは第一アーム12の先端と第二アーム13の先端との間の距離が略ゼロである状態として定義する。ここで、第一アーム12の先端と第二アーム13の先端との間の距離が略ゼロである状態は、第一アーム12の爪12aおよび第二アーム13の爪13aが前方に向けられない程度に第一アーム12と第二アーム13とが離間している状態を意味する。
詳細は後述するが、操作者がスライダ102を操作(例えば、押し込む)することによって、弾性部材36の弾性力よりも大きい力量が操作ワイヤ62に作用するとき、規制部75による規制が解除され、操作ワイヤ62が先端側へ移動することが可能である。
本実施形態において、規制部75の固定部材74は、押さえ管31内に設けられた弾性部材36よりも基端側に配置されることが好ましい。より好ましいのは、規制部75の固定部材74は、シース部61の先端開口より基端側の近い位置に配置される。例えば、本実施形態において、規制部75の固定部材74は、シース部61の先端開口から基端側に向かって、1cm程度以内の位置に配置されてもよい。一方、規制部75のストッパ部72は、前述したように、先端部材67の基端側に形成された段部68に当接するまでに先端側へ移動することができる。
規制部75の固定部材74がこのように配置されることにより、ストッパ部72が固定部材74に係合する位置とアーム部材11の位置との距離が小さくなる。本実施形態に係る内視鏡クリップ1のこの構造により、複雑形状を有する管腔内に内視鏡クリップ1を挿入し、コイルシース66が蛇行した状態になっても、ストッパ部72とアーム部材11との間における経路長の変化を抑えることができる。その結果、固定部材74とストッパ部72との係合によりアーム部材11をより確実に閉形態に維持することができる。
(操作部100の構成)
操作部100は、図1Aに示すように、操作部本体(ハンドル)101と、スライダ102とを有している。
操作部本体101は、コイルシース66の基端部に取付けられている。操作部本体101は、軸線方向Yに延びる棒状に形成され、基端部に指掛け部101aが設けられている。操作部本体101には、軸線方向Yに延びるスリット101bが形成されている。
スライダ102は、操作部本体101に挿通されて設けられている。スライダ102は、操作部本体101に対して軸線方向Yにスライド(前進および後退移動)可能である。スライダ102には、操作ワイヤ62の基端が接続されている。本実施形態に係るクリップ10において、スライダ102が軸線方向Yにおいて、前進あるいは後退操作されることにより、操作ワイヤ62が前進あるいは後退される。操作ワイヤ62の先端側に設けられている拡径部材72、ループ部73、およびクリップ10のアーム部材11を、前進あるいは後退されることが可能である。その結果、アーム部材11の一対の第一アーム12および第二アーム13を開くあるいは閉じることが可能である。
スライダ102は、円筒状に形成されている。スライダ102の外周面には、全周にわたり凹部102aが形成されている。スライダ102には、軸線方向Yにおける先端側から基端側への順で、鍔部102b、凹部102a、および鍔部102cがこの順で形成されている。一対の鍔部102b、102cは、軸線方向Yに見たときに楕円形状となっている。これにより、スライダ102が握りやすくなり、内視鏡クリップ1の操作部100を梱包するときに省スペース化が図れる。
スライダ102は、操作部本体101のスリット101bに係合することで、操作部本体101に対するスライダ102の軸線方向Yの移動範囲が制限されている。
(内視鏡クリップ1の初期状態)
次に、以上の構成を有する内視鏡クリップ1を用いて、標的組織Tを結紮する手技について説明する。
手技が開始される前の初期状態において、操作者に内視鏡クリップ1が提供されるときには、図1Aに示すように、クリップ10が処置具本体40に取り付けられた状態でアウターシース50に覆われている。
図1Aおよび図1Bに示すように、初期状態において、クリップ10の弾性部材36は、軸線方向Yに隣り合う素線36aが互いに離間していて、かつ、自然状態(外力が作用しない状態)よりもわずかに軸線方向Yに圧縮されている。このため、弾性部材36の弾性力によって、押さえ管31は、基端面が先端部材67の先端支持面67bに当接した状態で、先端部材67によって保持されている。また、前述した通り、この自然状態において、弾性部材36の弾性力がクリップ10のアーム部材11に負荷するため、弾性部材36の弾性力には、アーム部材11を押さえ管31内から押し出す作用がある。すなわち、弾性部材36の弾性力がアーム部材11に負荷することにより、ストッパ部72を先端側へ移動させる。その結果、ストッパ部72と固定部材74とが当接し、互いに押し合う状態になる。
より具体的に、初期状態の内視鏡クリップ1において、シース部61内には、ストッパ部72が固定部材74よりも基端側に位置している。このため、弾性部材36の弾性力によって、ストッパ部72が軸線方向Yに沿って先端側へ付勢され、固定部材74に当接するまで先端側へ移動する。ストッパ部72が固定部材74に当接(係合)するとき、弾性部材36の弾性力と、固定部材74が弾性変形することにより発生する固定力とが対向し釣り合うため、ストッパ部72と固定部材74とが互いに係合する状態が維持されている。固定部材74の変形部74bは、ストッパ部72によって押し付けられている。なお、この状態において、基端側の操作部100のスライダ102は、先端面と操作部本体101のスリット101bの基端面との間に一定の間隔をあけて離間している。
図1Aに示すように、第一アーム12の基端部、第二アーム13の基端部、および中央部14は、押さえ管31内における係止部32よりも先端側に位置していてもよい。ストッパ部72が固定部材74に当接するとき、アーム部材11の第一被係止部16,17および第二被係止部21,22は、係止部32よりも先端側に位置する。このとき、押さえ管31の係止部32に第一被係止部16、17、第二被係止部21、22は接触していない。アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13は、それぞれの先端から基端までの間の一部が押さえ管31の先端部の内壁の全周に亘って形成されたテーパー面31aに当接している。なお、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13は、アウターシース50の内壁との間にスペースを開けて離間している。アーム部材11は、第一アーム12の先端と第二アーム13の先端とが互いに接触する状態、若しくは第一アーム12の先端と第二アーム13の先端との間の距離が略ゼロである状態になる。上述のように、本実施形態において、この状態は、クリップ10の閉形態である。
この際、操作者は、操作ワイヤ62をシース部61に対して回転させ、押さえ管31に対してアーム部材11を軸線C1周りに回動させることにより、クリップ10の向きを調節することができる。本実施形態において、係止部32の縁部32aは押さえ管31と同軸の円形状に形成されているため、アーム部材11を軸線C1周りに回動させた場合においても係止部32と第一被係止部16、17、第二被係止部21、22とによる係止が良好に保たれる。
内視鏡クリップ1の使用時において、操作者は、患者の体内に、不図示の内視鏡を挿入しておく。そして、操作者は、内視鏡のチャンネルの基端部から内視鏡クリップ1を挿入し、内視鏡のチャンネルの先端部から内視鏡クリップ1のアウターシース50を突出させる。
(内視鏡クリップ1の規制状態)
次に、図3に示すように、操作者が操作部本体101のアウターシース操作部51を操作し、処置具本体40の挿入部60に対してアウターシース50を引き戻すことで、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13を内視鏡のチャンネルの先端部から突出させる。
前述した通り、本実施形態に係る内視鏡クリップ1において、固定部材74の内腔の幅がストッパ部72の外径同等になるときに発生する固定力は、弾性部材36の弾性力以上に設定されている。このため、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13を内視鏡のチャンネルの先端部から突出させた状態においても、ストッパ部72と固定部材74とが係合している状態が維持されている。すなわち、規制部75の固定部材74とストッパ部72とが係合し、操作ワイヤ62の先端側への移動が規制されている。
その結果、アーム部材11の先端側への移動が規制され、かつ、アーム部材11の閉形態が維持されている。また、この状態において、アーム部材11の第一被係止部16,17および第二被係止部21,22は、押さえ管31内において、係止部32よりも先端側に位置している。
(内視鏡クリップ1の規制解除状態)
その後、操作者は、非図示の内視鏡を用いて標的組織Tを確認しながら、内視鏡クリップ1の規制部75による操作ワイヤ62の先端側への移動に対する規制を解除する。
具体的に、操作者がスライダ102を先端側へ押し込むことにより、操作ワイヤ62を経由して、操作者の操作力量がストッパ部72に作用すると、固定部材74の変形部74bが軸線C1に対して径方向外側へ回転し、さらに弾性変形する。この状態において、操作者の操作力量と弾性部材36の弾性力との和が、規制部75の固定部材74の固定力の最大値、すなわち、ストッパ部72および固定部材74の係合によって提供できる規制力の最大値以上になる。図4および図5に示すように、ストッパ部72は、弾性変形した固定部材74の変形部74bに接触しながら、操作者のスライダ102の押し込みによって固定部材74の内腔内に押し込まれる。
図4および図5に示すように、規制部75のストッパ部72と固定部材74とが係合しながら、操作者のスライダ102の押し込みによって、操作ワイヤ62およびストッパ部72を固定部材74に対して先端側へ移動させることができる。この際、操作ワイヤ62の先端側に連結された連結部63およびアーム部材11は、操作ワイヤ62とともに先端側へ移動させる。アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、押さえ管31の先端部に形成されたテーパー面31aに当接しながら、互いの先端が離間した状態になる。操作者がスライダ102を押し込むことにしたがって、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、互いの先端の間の距離が大きくなるように離間する。すなわち、操作者は、スライダ102を押し込むことによって、アーム部材11を閉形態から開形態へ遷移させることができる。
ただし、図4および図5には、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の間の距離が可能な最大開き幅よりも小さい。
本実施形態において、弾性部材36の弾性力と規制部75の規制力とが釣り合う状態にあるため、操作者がスライダ102を押し込む操作力量と弾性部材36の弾性力との和が規制部75の規制力をわずかに超えることで、規制部75による規制を解除することができる。すなわち、本実施形態において、操作者による操作力量が弾性部材36の弾性力を超える必要がなく、操作力量の制御が容易である。
図4および図5に示すように、操作者のスライダ102の押し込みにより、ストッパ部72が固定部材74に接触しながら固定部材74に対して先端側へ移動する過程において、操作者がスライダ102を基端側へ一旦引き込むことも可能である。これにより、ストッパ部72は、固定部材74に接触しながら、固定部材74対して基端側へ移動することができる。すなわち、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とを、操作者のスライダ102の引き込みにより、開形態から閉形態へ遷移させることができる。その結果、例えば、処置対象となる標的組織Tに合わせてアーム部材11の開き幅を調整する際、アーム部材11を開きすぎた場合においても、再度アーム部材11の開き幅を調整し直すことができる。また、例えば、処置対象となる異なる箇所にクリップ10を留置するために、アーム部材11を体内で移動される場合においても、アーム部材11における開いた第一アーム12および第二アーム13の体壁に対する意図しない接触を防ぎつつ、処置具の取り回しがしやすくなる。
図4および図5に示すように、操作者が継続してスライダ102を押し込むと、操作ワイヤ62、連結部63、およびアーム部材11が先端側へ移動し、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の開き幅が増大する。その結果、図6に示すように、ストッパ部72が固定部材74の変形部74bを乗り越えて固定部材74の変形部74bよりも先端側に位置する。このとき、ストッパ部72と固定部材74との係合状態が解除され、固定部材74の変形部74bが初期形状に復元する。言い換えると、規制部75のストッパ部72と固定部材74とが互いに係合し、固定部材74が弾性変形することによって生じた固定力よりも大きい力が操作ワイヤ62に負荷することにより、操作ワイヤ62の先端側への移動に対する規制が解除される。
また、この状態において、アーム部材11の第一被係止部16,17および第二被係止部21,22は、押さえ管31内において、係止部32よりも先端側に位置している。
操作者のスライダ102の押し込みにより、図8および図9に示すように、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するまで、操作ワイヤ62が前進することが可能である。操作ワイヤ62が前進すると、アーム部材11は、操作ワイヤ62とともに前進する。このため、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13は、押さえ管31の先端部のテーパー面31aに当接しながら、その間の開き幅がさらに増大することができる。説明上の便宜を図るために、本実施形態において、操作ワイヤ62の前進とともに、アーム部材11の開き幅が増大し続ける場合を説明する。言い換えれば、操作ワイヤ62の前進によってストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するとき、アーム部材11の開き幅が最大値W1になる。なお、この状態において、操作者がスライダ102を保持しなくても、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接し、これ以上先端側へ移動できないため、アーム部材11の開き幅が最大値W1になる状態を維持できる。
ただし、本発明は、これに限定されることはない。例えば、蛇行状態にあるシースの湾曲形状によっては、アーム部材11が操作ワイヤ62とともに前進する過程において、ストッパ部72が段部68に当接する前に、アーム部材11の開き幅が最大値W1に達することもあり得る。この場合においても、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13を好適に開くことができる。
その後、操作者が非図示の内視鏡を操作し、クリップ10のアーム部材11の向きおよび姿勢を調整し、標的組織Tに向かってアーム部材11を押し付けることができる。
本実施形態において、内視鏡クリップ1の規制部75による規制を解除する操作過程において、操作者がスライダ102を基端側へ引き戻すことにより、ストッパ部72が再び固定部材74に接触する位置に移動することが可能である。この際、操作ワイヤ62の先端側への移動が規制部75により規制され、アーム部材11が開形態から閉形態に遷移される。
(内視鏡クリップ1の規制状態)
図8に示すように、操作者は、開き幅が最大値W1である開形態のアーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の間に、標的組織Tを位置させることができる。操作者は、第一アーム12および第二アーム13の間に標的組織Tが位置することを確認すると、内視鏡を操作してアーム部材11を標的組織Tに向かって押し込むことによって、標的組織Tを保持することができる。
操作者は、第一アーム12および第二アーム13の間に、標的組織Tが位置することを確認できると、操作部本体101を把持してスライダ102を引戻す。このとき、第一アーム12及び第二アーム13とは、操作ワイヤ62とともに基端側へ移動される。このような状態で、第一アーム12及び第二アーム13は、押さえ管31の先端部のテーパー面31a(内周面)に接触し、第一アーム12が第二アーム13側に弾性変形し、第二アーム13が第一アーム12側に弾性変形する。その結果、第一アーム12の先端部と第二アーム13の先端部とが接近し、アーム部材11の開き幅が縮小する。つまり、標的組織Tが第一アーム12および第二アーム13の間に位置した状態で、アーム部材11は、開形態から閉形態へ遷移する。この結果、標的組織Tが第一アーム12および第二アーム13によって保持される。本実施形態において、標的組織Tの根元が第一アーム12および第二アーム13によって緊縛され、第一アーム12および第二アーム13の間の距離が略セロである状態は、アーム部材11の閉形態にも含まれる。このとき、弾性部材36は、軸線方向Yに圧縮されていく。
操作者は、スライダ102を基端側へ引き戻すことにより、操作ワイヤ62およびストッパ部72がともに基端側へ移動する。ストッパ部72は、再度固定部材74に当接(係合)することができる。前述した通り、ストッパ部72は、テーパー形状を有する基端面が形成されているため、基端側へ移動しながら、容易に固定部材74を乗り越えることができる。
図10に示すように、操作者がスライダ102を基端側へ引き戻すと、ストッパ部72が固定部材74を乗り越えて固定部材74よりも基端側に位置する状態になる。この状態において、ストッパ部72と固定部材74とは、互いに当接(係合)された状態になる。すなわち、外力が作用しない自然状態において、規制部75は、ストッパ部72と固定部材74とが係合することにより、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制することができる。
この状態において、標的組織Tは、閉状態にあるアーム部材11の第一アーム12および第二アーム13によって根元が緊縛されている。前述した通り、本実施形態において、ストッパ部72と固定部材74とが係合することにより、アーム部材11が閉状態から開状態へ遷移することが規制される。このため、操作者がスライダ102を保持しなくても、標的組織Tは、閉状態にあるアーム部材11によって把持された状態が維持される。
(内視鏡クリップ1の係止状態)
標的組織Tが閉状態にあるアーム部材11によって把持された状態において、操作者は、内視鏡を用いて標的組織Tを確認することができる。クリップ10のアーム部材11によって標的組織Tが所望の状態で把持されたことが確認できれば、操作者は、内視鏡クリップ1のクリップ10の把持状態をロックする操作に進む。具体的に、アーム部材11の第一被係止部16、17および第二被係止部21、22が押さえ管31の係止部32を乗り越えて係止部32よりも基端側の位置まで移動させる。その結果、図11Aおよび図11Bに示すように、第一被係止部16の先端面16bおよび第一被係止部17の先端面17bの両方ともが係止部32の基端面32bに当接し、第一被係止部16および第一被係止部17が係止部32に係止される。同様に、第二被係止部21の先端面(非図示)および第二被係止部22の先端面(非図示)の両方ともが係止部32の基端面32bに当接し、第二被係止部21および第二被係止部22が係止部32に係止される。
以下、第一被係止部16および第一被係止部17が係止部32に係止される過程の例を説明する。
まず、操作者は、操作部本体101を把持してスライダ102を引き戻すと、押さえ管31の係止部32に、アーム部材11の第一被係止部16の基端面16a、第一被係止部17の基端面17a、第二被係止部21の基端面(非図示)、および第二被係止部22の基端面(非図示)が接触した接触状態になる。
スライダ102が引き戻される過程において、弾性部材36は、突部18および突部19により軸線方向Yに圧縮される。この過程において、スライダ102が基端側へ引き戻される距離が増大すると、弾性部材36の圧縮具合も増大するので、操作者がスライダ102を引き戻すための必要な力量が次第に増加する。同時に、アーム部材11の突部18,19,23,24は、基端側へ移動される。
処置具本体40の連結部材63は、押さえ管31内またはシース部61内に配置されているため、ループ部73に対して連結部材63が回動できず、フック部77と中央部14との係合は保持される。図11Aおよび図11Bに示すように、この状態において、操作ワイヤ62およびストッパ部72がともに基端側へ移動される。その結果、ストッパ部72と固定部材74との係合状態が解除され、ストッパ部72は、固定部材74よりも基端側において、固定部材74から離間した位置に移動される。
上述の接触状態までスライダ102が引き戻される過程において、操作者がスライダ102を先端側へ押し込むと、圧縮された弾性部材36が伸びる。先端部材67の先端支持面67bに押さえ管31が当接した状態で、アーム部材11が押さえ管31に対して先端側に移動することができる。すなわち、上述のスライダ102が引き戻される過程において、操作者が内視鏡を操作することにより、改めて標的組織Tにクリップ10を対向させることができる。これ以降は前述の手順で、標的組織Tをクリップ10で掴み直すことができる。
上述の接触状態から、操作者がさらにスライダ102を引き戻すと、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13が操作ワイヤ62とともに、さらに基端側へ移動される。その際、第一アーム12および第二アーム13は、互いに接近する方向に弾性変形し、係止部32内を通過する。
操作者がスライダ102を基端側へ引き戻し、アーム部材11の第一被係止部16,17および第二被係止部21,22係止部32を乗越える状態に到達するまでの過程において、前述と同様に、操作者がスライダ102を先端側へ押し込むと、アーム部材11を先端側に移動させることができる。このため、アーム部材11を再度閉形態から開形態へ変化させることができる。すなわち、アーム部材11が乗越え状態に到達するまでに、標的組織Tを掴み直すことができる。
操作者がスライダ102を基端側へ引き戻し、第一被係止部16、17が係止部32を乗り越える過程において、前述の初期状態から接触状態までの過程に比べて、操作者がスライダ102を引き戻す単位移動量当たりの必要力量の増大率が大きくなる。すなわち、接触状態から乗越え状態までの間、操作者は、スライダ102を引き戻す操作が重く感じられる。これにより、操作者は現在スライダ102を引戻している状態を認識できる。
操作者がスライダ102を基端側へ引き戻し、アーム部材11が接触状態から乗越え状態まで変化させる過程において、連結部材63はシース部61内に配置されているため、フック部77と中央部14との係合は保持される。アーム部材11が接触状態から乗越え状態まで変化させる必要な力量は、例えば、20〜50N(ニュートン)程度である。
第一被係止部16、17、第二被係止部21、22が係止部32を超えて基端側に移動する際に、第一被係止部16、17、第二被係止部21、22が係止部32を削る、もしくは係止部32を変形させることで係止部32を乗り越えてもよい。このような場合には、係止部32の過剰な破壊を防ぐために、第一被係止部16、17、第二被係止部21、22の係止部32と当接する部分に面取り加工などを施しておくのが好ましい。
上述の乗越え状態から、操作者がスライダ102をさらに引戻すと、第一被係止部16、17、および第二被係止部21、22が係止部32を超えてさらに基端側に移動する。第一アーム12における第一被係止部16、17より先端側の構成と、第二アーム13における第二被係止部21、22より先端側の構成との両方は、順次係止部32内を通過する。この過程において、押さえ管31に対する第一アーム12および第二アーム13の対向方向Xおよび直交方向Zの位置が維持される。このとき、第一アーム12、第二アーム13、および中央部14は係止部32からの付勢を受けない。このため、中央部14の弾性力により、第一アーム12の基端側および第二アーム13の基端側が互いに離間する対向方向Xに移動する。
アーム部材11を押さえ管31の基端側に移動させようとする操作力量を解除すると、第一被係止部16、17の先端面16b、17bが、係止部32の基端面32bに対して当接する係止状態になる。
操作者がスライダ102を引き戻し、上述の乗越え状態から係止状態までの過程において、第一アーム12、第二アーム13、および中央部14が係止部32に係止されなくなり、これらの構成の弾性変形が一部解除される。このため、乗越え状態から係止状態までの過程において、操作者がスライダ102を引き戻すための必要な力量が次第に減少する。
操作者がスライダ102を引き戻し、上述の乗越え状態から係止状態までの過程において、クリップ10は閉形態が保たれる。連結部材63はシース部61内に配置されているため、フック部77と中央部14との係合は保持される。
クリップ10が係止状態になると、図11Aおよび図11Bに示すように、軸線方向Yに圧縮された弾性部材36の素線36aは、軸線方向Yに隣り合う素線36a同士がほぼ密着した密巻き状態になる。クリップ10が係止状態になると、第一被係止部16、17の先端面16b、17bが係止部32の基端面32bに係止するため、押さえ管31に対するアーム部材11の先端側への移動が制限される。すなわち、クリップ10は標的組織Tを結紮した状態が維持される。
この状態において、ストッパ部72は、固定部材74よりも基端側において、固定部材74から離間した位置にある。なお、この状態において、クリップ10において、第一被係止部16、17が係止部32の基端面32bに係止されることにより発生した係止力と、弾性部材36の弾性力とが釣り合う状態になる。このため、先端部材67の先端側に形成された支持部69は、先端支持面67bに当接した押さえ管31の外周面を支持しなくなる。
その結果、操作者がスライダ102を押し込むことにより、操作ワイヤ62、連結部材63、およびクリップ10がともに先端側へ移動することができる。
(内視鏡クリップ1のリリース状態)
この後、操作者は、標的組織Tを結紮しているクリップ10を処置具本体40から分離する。具体的に、操作者は、スライダ102を押込むと、操作ワイヤ62、連結部材63、およびクリップ10がコイルシース66に対して先端側に移動する。
図12に示すように、連結部材63が先端部材67よりも先端側に突出すると、アーム部材11と押さえ管31は一体的に先端側に移動する。操作者のスライダ102の押し込みにより、連結部材63が押さえ管31外に位置すると、ループ部73に対して連結部材63が回動できる。操作者は、スライダ102を押込み、操作ワイヤ62を先端側に移動させると、標的組織Tを結紮しているクリップ10の中央部14の基端面に連結部材63の傾斜面76bが接触する。図12に示すように、傾斜面76bに案内されて連結部本体76とともにフック部77が方向Dに回動し、フック部77と中央部14との係合が解除される。このとき、クリップ10は閉形態を維持している。
これにより、標的組織Tを結紮したクリップ10が体内に留置される。
標的組織Tを結紮したクリップ10が体内に留置された後、操作者は、スライダ102を引戻してシース部61内に連結部材63を収容する。その後、操作者は、内視鏡のチャンネルから内視鏡クリップ1を引抜いて取出す。最後に、操作者は、必要な処置を行い、一連の手技を終了する。
(内視鏡クリップ1の作用)
以下、本実施形態に係る内視鏡クリップ1の作用を説明する。
本実施形態に係るクリップ10のアーム部材11は、第一アーム12および第二アーム13を有している。アーム部材11は、第一アーム12と第二アーム13とが閉じる閉形態と、第一アーム12と第二アーム13とが間隔をあけて離間する開形態とを有する。また、本実施形態に係る内視鏡クリップ1のシース部61内において、操作ワイヤ62とともに移動するストッパ部72と、ストッパ部72の外径よりも小さい幅の内腔が形成される固定部材74とを備える規制部75が設けられている。規制部75は、ストッパ部72と固定部材74とが互いに係合することにより、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制することができる。このため、体内の標的組織Tを処置する際、ストッパ72が固定部材74よりも基端側に位置するとき、操作者が基端側の操作部100のスライダ102を操作しなくても、操作ワイヤ62が先端側へ移動することは規制される。このため、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。
その結果、本実施形態に係る内視鏡クリップ1によれば、体内の標的組織Tを処置する際、アーム部材11の閉形態を容易に維持し、内視鏡のチャンネルの内壁、あるいは体内の組織へのアーム部材11の意図しない接触を防げる。さらに、操作者が内視鏡クリップ1を調整する操作が短縮できるため、取り回しのしやすさ、手技時間の節約、そして効率の向上を図ることができる。
本実施形態に係る内視鏡クリップ1によれば、規制部75のストッパ部72と固定部材74とが係合する状態において、規制部75による規制力と、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力とが釣り合う状態になる。このため、規制部75による操作ワイヤ62の先端側への移動に対する規制を解除するために、操作者が弾性部材36の弾性力以上の操作力量を加わる必要がなく、わずかな力量で規制部75による規制を解除できる。また、本実施形態に係る内視鏡クリップ1によれば、規制部75は、シース部61内において先端側に近い領域に設けられている。
本実施形態に係る内視鏡クリップ1の構成により、複雑形状を有する管腔内に内視鏡クリップ1を挿入し、コイルシース66が蛇行した状態になっても、ストッパ部72とアーム部材11との間における経路長の変化を抑えることができる。その結果、固定部材74とストッパ部72との係合によりアーム部材11をより確実に閉形態に維持することができる。
本実施形態に係る内視鏡クリップ1によれば、規制部75は、ストッパ部72と固定部材74とを備える簡単な構成で構成され、製造も容易になるため、低コストで内視鏡クリップ1を構成できる。
本実施形態において、内視鏡クリップ1の規制部75の構成について、固定部材74が支持部74aおよび変形部74bを有する例を説明したが、規制部75の構成は、これに限定されない。本実施形態において、規制部は、操作者がスライダ102を保持しない状態においても、操作ワイヤ62が先端側への移動を規制できればよく、具体的な構成は、限定されない。
(変形例)
以下、図13から図15を参照し、本実施形態の一変形例に係る内視鏡クリップの構成を説明する。以下、上記の実施形態に係る内視鏡クリップ1と同じ構成の説明を省略し、上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図13は、本変形例に係る内視鏡クリップ1の一部の構成を示す拡大断面図である。図14は、本変形例に係る内視鏡クリップ1の規制部85による規制を解除する状態を示す拡大断面図である。図15は、本変形例に係る規制部85の被係合部材84bの構成を示す斜視図である。
本変形例に係る内視鏡クリップ1は、上記の実施形態に係る内視鏡クリップ1が備える規制部75の代わりに、規制部85を備えて構成されている。図13に示すように、本変形例に係る内視鏡クリップ1の規制部85は、被係合部84と、ストッパ部(係合部)72とを備えて構成されている。
図13に示すように、本変形例係る内視鏡クリップ1の被係合部84は、支持部材84aと、C字状に形成されたリング部材(変形部)84bとを備えて構成されている。支持部材84aは、先端および基端がコイルシース66を形成する素線に連結され、コイルシース66と一体に構成されている。本変形例において、支持部材84aは、例えば、溶接などの方法によって、コイルシース66に一体に構成されてもよい。
また、本変形例において、支持部材84aは、図13に示すように、コイルシース66を形成する素線に挟まれて構成される例に限らない。例えば、支持部材84aをコイル―シース66よりも先端側に配置され、溶接や接着などの方法によって、軸線方向Yに沿った支持部材84aの基端をコイルシース66を形成する素線に固定してもよい。
図13に示すように、被係合部84の支持部材84aは、例えば、軸線C1に対する径方向における外径は、コイルシース66の外径よりもわずかに大きくてもよい。支持部材84aは、パイプ形状に形成され、内部にリング部材84bを収容できる程度の内腔を有している。
図15に示すように、リング部材84bは、C字形状に形成されているが、この構成に限定されない。本変形例において、リング部材84bは、例えば、筒状に形成された部材の一部を切り取って形成されてもよい。
図13に示すように、外力が作用しない自然状態において、リング部材84bの内部には、ストッパ部72の外径よりも小さい幅を有する空間が形成されている。さらに、図15に示すように、リング部材84bは、外力を加わるとき、矢印で示す方向へ拡張し弾性変形することができる。
また、図13に示すように、リング部材84bは、軸線C1に対して径方向における最大幅である外径が、支持部材84aの先端部および基端部における内径以上、かつ、支持部材84aの内腔における内径以下である。すなわち、本変形例において、被係合部84は、リング部材84bが支持部材84a内の内腔において回転可能、かつ、内腔から脱落しないよう、互いに組み合わせて構成されている。
本変形例に係る内視鏡クリップ1の被係合部84は、構成する材料は特に制限されない。例えば、耐久性を確保するために、被係合部84は、押さえ管31および係止部32と同様な金属材料で形成されてもよい。
本変形例に係る内視鏡クリップ1のその他の構成は、上記の実施形態に係る内視鏡クリップ1と同様であってもよい。
本変形例に係る内視鏡クリップ1は、上述の構成を有することで、図13に示すように、ストッパ部72が被係合部84よりも基端側に位置するとき、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力によって、先端側へ付勢され、被係合部84のリング部材84bに当接(係合)している。この状態において、弾性部材36の弾性力と、弾性部36の弾性力に対向し、ストッパ部72とリング部材84bとが当接することによる発生する規制力とが釣り合う状態になる。このため、ストッパ部72およびストッパ部72に連結されている操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される。本変形例に係る内視鏡クリップ1によれば、外力が作用しない自然状態において、ストッパ部72とリング部材84bとが互いに係合することにより、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。
図14に示すように、操作者がスライダ102を押し込むことにより、操作者による操作力量と弾性部材36の弾性力との和が、規制部85のストッパ部72および被係合部84の係合によって発生する規制力の最大値以上になるとき、リング部材84bが弾性変形し、リング部材84b内に形成された空間が拡張される。このため、ストッパ部72は、リング部材84b内に形成された空間を通過することが可能である。この状態において、操作者のスライダ102の押し込みにより、ストッパ部72がリング部材84bの内周面に当接しながら、リング部材84bに対して先端側へ移動する。
操作者のスライダ102の押し込みにより、ストッパ部72がリング部材84bに対して先端側へ移動し、リング部材84を乗り越えると、規制部85による操作ワイヤ62の先端側への移動に対する規制が解除される。すなわち、規制部85によるアーム部材11の閉形態から開形態への遷移に対する規制も解除される。
その後、操作者がスライダ102を操作し、上記の実施形態に係る内視鏡クリップ1同様に、標的組織Tを処置することができる。
本変形例に係る内視鏡クリップ1によれば、上記の実施形態同様に、アーム部材11の閉形態を容易に維持し、内視鏡のチャンネルの内壁、あるいは体内の組織に接触することを防げる。さらに、操作者が内視鏡クリップ1を調整する操作が短縮できるため、取り回しのしやすさ、手技時間の節約、そして効率の向上を図ることができる。
(第2の実施形態)
上述の本発明の第1の実施形態および変形例において、操作ワイヤの先端側への移動を規制するための規制部が内視鏡クリップのシース部に形成される例を説明したが、本発明の内視鏡クリップは、このような構成に限定されない。本発明の内視鏡クリップは、規制部が内視鏡クリップの基端側の操作部に設けられる構成も可能である。すなわち、本発明の内視鏡クリップは、操作部のスライダの先端側への移動を規制することにより、操作ワイヤの先端側への移動を規制する構成も可能である。
以下、本発明の内視鏡クリップにおいて、規制部が基端側の操作部に設けられる構成を説明する。
以下、本発明の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2の構成を、図16Aから図17Bを参照して説明する。本実施形態に係る内視鏡クリップ2の説明において、上記の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1と同じ構成の説明を省略し、上記の第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図16Aは、本実施形態に係る内視鏡クリップ2において、固定部材によって操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される状態を示す側面視部分断面図である。図16Bは、図16Aにおける内視鏡クリップの先端側を模式的に示す平面視部分断面図である。図16Cは、図16Aにおける内視鏡クリップの操作部の径方向における断面図である。図17Aは、本実施形態に係る内視鏡クリップ2の規制部による規制を解除した状態を示す側面視部分断面図である。図17Bは、図17Aにおける内視鏡クリップの先端側を模式的に示す平面視部分断面図である。
図16Aに示すように、本実施形態に係る内視鏡クリップ2は、上述の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1に比べ、処置具本体40のシース部61に設けられた固定部材74の代わりに、基端側の操作部100Aに設けられた固定部材64を有して構成されている。
図16Aに示すように、本実施形態に係る内視鏡クリップ2の操作部100Aは、操作部本体101と、スライダ102と、固定部材64とを有している。固定部材64は、スライダ102の軸線方向Yに沿って伸びて形成された中空のチューブ状の部材である。図16Cに示すように、固定部材64には、操作ワイヤ62が挿通可能な内腔641が形成されている。固定部材64は、例えば、樹脂材料で形成されることが可能である。固定部材64は、自身の長手軸方向における一定の圧力に作用しても圧縮されない程度の剛性を有する。より具体的に、固定部材64は、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力ではつぶれない程度の剛性を有している。
固定部材64の長手軸方向の寸法は、特に制限がない。例えば、固定部材64の長手軸方向の寸法は、操作部本体101のスリット101bの長手軸方向の寸法よりスライダ102の長手軸の寸法を引いた値以下であればよい。ただし、固定部材64の長手軸方向の寸法と、アーム部材11の開き幅とが相関関係を有するため、アーム部材11の所望の開き幅を考慮し、固定部材64の長手軸方向の寸法を決定することが好ましい。本実施形態において、例えば、固定部材64の長手軸方向の寸法は、操作部本体101のスリット101b内おいて、に配置され、スライダ102が前進し固定部材64に当接したとき、アーム部材11が閉形態になる程度の寸法であってもよい。
図16Cに示すように、軸線方向C1に沿ったスライダ102の径方向の断面図において、固定部材64は、断面形状が略C字の形状である。また、固定部材64には、内腔641と外部とを連通するスリット部642が形成されている。スリット部642は、軸線方向C1に沿って延びて形成された細長い切欠きである。スリット部641は、開き幅が操作ワイヤ62の直径よりわずか小さく形成されている。後述するように、操作者が固定部材64を取り外す際、スリット部641は、操作ワイヤ62が通過可能な大きさの隙間が生じるまで変形可能である。
また、図16Bに示すように、本実施形態に係る内視鏡クリップ2は、クリップ10の構成、およびクリップ10と操作ワイヤ62との連結構造において第1の実施形態と同様である。本実施形態に係る内視鏡クリップ2は、挿入部60がシース部61と、操作ワイヤ62と、連結部材63と、ループ部73とを備えている。本実施形態に係る内視鏡クリップ2は、第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1と異なり、シース部61において、固定部材64が設けられていない。
以下、図16Aから図17Bを参照し、本実施形態に係る内視鏡クリップ2を用いた標的組織Tを結紮する手技を説明する。なお、以下の説明において、固定部材64を用いてスライダ102の移動範囲を制限することにより、操作ワイヤ62の移動範囲を制限する点を中心に説明する。その他の操作については、上述の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1を用いた手技と同様に行うことができるため、説明を省略する。
図16Aに示すように、本実施形態に係る内視鏡クリップ2の操作部100Aにおいて、固定部材64が操作ワイヤ62を覆いながら、操作部本体101のスリット101b内に配置され、スリット101bの先端面に当接している。固定部材64は、スリット101b内において、スライダ102よりも先端側に配置されている。すなわち、操作部本体101のスリット101b内において、スライダ102の先端面が固定部材64に当接している。
この際、スライダ102の移動可能な範囲は、操作部本体101のスリット101bの基端より先端側へ向かって、スリット101bの全長より固定部材64の長手軸方向の寸法を引いた範囲である。言い換えれば、本実施形態に係る固定部材64は、操作ワイヤ62の押し出し量(先端側への移動量)を制限する部材である。
本実施形態に係る内視鏡クリップ2は、操作者が操作部100Aのスライダ102を把持しない、すなわち外力が作用しない自然状態において、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力が操作ワイヤ62に負荷し、操作ワイヤ62を先端側へ移動させる作用がある。この状態において、スライダ102が軸線C1の方向に沿って先端側へ固定部材64に当接し、押圧している。
本実施形態に係る内視鏡クリップ2の固定部材64は、弾性部材36の弾性力程度の力量ではつぶれない程度の剛性を有している。より具体的に、固定部材64は、操作ワイヤ62に負荷した弾性部材36の弾性力による作用で、スライダ102が固定部材64に押圧するとき、固定部材64が弾性変形しない、あるいは塑性変形しない程度の弾性変形のみが起きる剛性を有している。
図16Aに示すように、固定部材64が操作部100Aのスリット101b内に配置されたとき、スライダ102は、固定部材64に当接する位置よりさらに先端側へ移動することはできない。言い換えれば、本実施形態に係る内視鏡クリップ2は、スライダ102が固定部材64に当接することにより、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制することができる。本実施形態に係る内視鏡クリップ2の固定部材64は、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制していると言える。
図16Aに示すように、スライダ102が固定部材64に当接するとき、アーム部材11は、閉形態にある。すなわち、アーム部材11は、第一アーム12と第二アーム13とが互いに接触する状態、若しくは第一アーム12の先端と第二アーム13の先端との間の距離が略ゼロである状態にある。また、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、それぞれの先端から基端までの一部は、押さえ管31の先端部の内周面に形成されたテーパー面31aに当接している。
このとき、スライダ102に連結された操作ワイヤ62と、操作ワイヤ62に連結されたアーム部材11とは、同様に操作部本体101に対して前進できない状態になる。その結果、図16Aに示すように、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移が規制され、アーム部材11の閉形態が維持されている。このため、本実施形態に係る内視鏡クリップ2の固定部材64は、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。
図17Aから17Bに示すように、操作者が固定部材64を取り外すと、スライダ102の移動可能な範囲は、操作部本体101のスリット101bの長手軸方向の全長の範囲内である。すなわち、図17Aおよび図17Bに示すように、操作者が固定部材64と取り外すと、操作者のスライダ102の押し込みにより、操作ワイヤ62は、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するまで先端側へ移動することが可能である。
本実施形態に係る内視鏡クリップ2において、操作ワイヤ62が先端側へ移動するとともに、クリップ10のアーム部材11は、第一アーム12および第二アーム13の一部が押さえ管31の先端部のテーパー面31aに当接しながら、互いの先端が離間した状態になる。操作者がスライダ102を押し込むことにしたがって、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、互いの先端の間の距離が大きくなるように離間する。すなわち、操作者は、固定部材64を取り外した状態で、スライダ102を押し込むことによって、アーム部材11を閉形態から開形態へ遷移させることができる。
図17Aに示すように、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するとき、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の間の距離が略最大となる。その後、上述の第1実施形態に係る内視鏡クリップ1同様に、操作者は、本実施形態に係る内視鏡クリップ2を用いて、標的組織Tに対して結紮処置を行うことができる。
(内視鏡クリップ2の作用)
本実施形態に係る内視鏡クリップ2において、固定部材64は、操作部本体101のスリット101b内におけるスライダ102の操作部本体101に対する相対移動範囲を規制できる。これによって、本実施形態に係る内視鏡クリップ2において、固定部材64は、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。その結果、第1の実施形態同様に、本実施形態に係る内視鏡クリップ2によれば、体内の標的組織Tを処置する際、アーム部材11の閉形態を容易に維持し、内視鏡のチャンネルの内壁、あるいは体内の組織に意図しない接触することを防げる。さらに、操作者が内視鏡クリップ2を調整する操作が短縮できるため、取り回しのしやすさ、手技時間の節約、そして効率の向上を図ることができる。さらに、固定部材64は、簡単な構成で製造も簡単なため、低コストで内視鏡クリップ2を構成できる。
(第1の変形例)
次に、本実施形態の第1の変形例に係る内視鏡クリップ2Aを、図18Aから図18Bを参照して説明する。以下、上記の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2と同じ構成の説明を省略し、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図18Aは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの構成を模式的に示す側面視部分断面図である。より具体的に、図18Aは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aにおいて、固定部材によって操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される状態を示す側面視部分断面図である。図18Bは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの操作を示す図である。
本変形例に係る内視鏡クリップ2Aは、上記の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2に比べると、操作部100Bの構成が異なる。図18Aに示すように、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの操作部100Bには、第2の実施形態の固定部材64を取り替えて、固定部材64Aが設けられている。
図18Aに示すように、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの操作部100Bには、操作部本体101Bのスリット101bの先端面とスライダ102の先端面とを連結する固定部材(弾性部材、バネ)64Aが設けられている。固定部材64Aを操作部本体101Bのスリット101bの先端面とスライダ102の先端面とに連結する方法は、特に制限されることがなく、各種公知の方法を用いることができる。
本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの固定部材64Aは、外力が作用しない自然状態において、例えば、第2の実施形態に係る固定部材64の長さと同様の自由長を有してもよい。本変形例において、操作者がスライダ102を操作しない状態において、スライダ102は、第2の実施形態におけるスライダ102が固定部材64に当接する位置と同じ位置にある。
上述では、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの固定部材64Aは、外力が作用しない自然状態において、第2の実施形態に係る固定部材64の長さと同等の自由長さを有すると記載した。実際には、押さえ管31内設けられた弾性部材36の弾性力がアーム部材11に負荷し、ストッパ部72を先端側へ付勢するため、固定部材64Aは軸線C1方向に沿って圧縮される。ただし、本変形例において、固定部材64Aは、弾性部材36の弾性力よりも大きい弾性力を有して構成されている。すなわち、外力が作用しない自然状態において、弾性部材36の弾性力のみによる固定部材64Aの圧縮量がほぼゼロである。このため、この状態において、固定部材64Aは、第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2の固定部材64の長さと同等の自由長さを有すると見なす。
また、図18Aに示すように、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aは、クリップ10の構成、およびクリップ10と操作ワイヤ62との連結構造において第1の実施形態と同様である。本実施形態に係る内視鏡クリップ2Aは、挿入部60がシース部61と、操作ワイヤ62と、連結部材63と、ループ部73とを備えている。本実施形態に係る内視鏡クリップ2Aは、第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1と異なり、シース部61において、固定部材64が設けられていない。
本変形例に係る内視鏡クリップ2Aは、上述の構成を有することで、外力が作用しない自然状態において、弾性部材36の弾性力によって発生し、スライダ102を先端側へ移動させる力量F1と、固定部材64Aの弾性力によって発生し、
スライダ102を基端側へ押し返す力量F2との両方がスライダ102に作用する。その結果、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aにおいて、スライダ102の先端面と操作部本体101Bのスリット101bの先端面との間の距離が固定部材64Aの自由長に略同等となる状態で、固定部材64Aによって連結される状態が維持されている。本変形例において、固定部材64Aは、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制する規制部であると言える。
この状態において、スライダ102に連結された操作ワイヤ62と、操作ワイヤ62に連結されたアーム部材11とは、操作部本体101Bに対して前進できない状態になる。その結果、図18Aに示すように、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移が規制され、アーム部材11の閉形態が維持されている。このため、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの固定部材64Aは、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。
操作者は、固定部材64Aの弾性力以上の力量でスライダ102を押し込むことにより、固定部材64Aは軸線C1方向に沿って圧縮される。これと同時に、スライダ102に連結された操作ワイヤ62と、操作ワイヤ62に連結されたアーム部材11とは、操作部本体101Bに対して前進することができる。図18Bに示すように、操作者のスライダ102の押し込みにより、操作ワイヤ62は、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するまで先端側へ移動することが可能である。
本変形例に係る内視鏡クリップ2Aにおいて、操作ワイヤ62が先端側へ移動するとともに、クリップ10のアーム部材11は、第一アーム12および第二アーム13の一部が押さえ管31の先端部のテーパー面31aに当接しながら、互いの先端が離間した状態になる。操作者がスライダ102を押し込むことにしたがって、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、互いの先端の間の距離が大きくなるように離間する。すなわち、操作者は、固定部材64Aを軸線C1方向に沿って圧縮した状態で、スライダ102を押し込むことによって、アーム部材11を閉形態から開形態へ遷移させることができる。
図18Bに示すように、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するとき、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の間の距離が略最大となる。その後、上述の第1実施形態に係る内視鏡クリップ1同様に、操作者は、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aを用いて、標的組織Tに対して結紮処置を行うことができる。
(第2の変形例)
次に、本実施形態の第2の変形例に係る内視鏡クリップ2Bを、図19Aから図19Cを参照して説明する。以下、上記の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2と同じ構成の説明を省略し、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図19Aは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bの構成を模式的に示す側面視部分断面図である。より具体的に、図19Aは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bにおいて、固定部材によって操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される状態を示す側面視部分断面図である。図19Bは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bの操作部の一部の構成を示す図である。図19Cは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bの操作を示す図である。
本変形例に係る内視鏡クリップ2Bは、第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2に比べると、操作部100Bの構成が異なる。より具体的に、上述の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2は、スライダ102と固定部材64とが当接することでスライダ102および操作ワイヤ62の前進を規制する構成を有している。これに対して、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bは、ラチェット機構を用いてスライダの操作部本体201に対する操作ワイヤ62の前進を規制する構成を有している。
具体的に、図19Aおよび図19Bに示すように、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bは、操作部本体201のスリット201bの内壁に突起(第一突起)201cが設けられており、かつ、スライダ202においてラチェット機構202aが設けられている。スライダ202のラチェット機構202aは、ボタン202bと、バネ202cと、突起(第二突起)202dとを有している。
本変形例において、図19Bに示すように、第一突起201cは、スリット201bの中心軸を通過する面による断面が直角三角形の形状を有する。第一突起201cは、スリット201bの内壁に垂直して形成される壁部201dと、斜面形状に形成されている傾斜部201eとを有する。傾斜部201eは、操作部本体201の基端に向かってスリット201bの内壁から順次離間する。壁部201dと傾斜部201eとの接続部は、第一突起201cにおいて、スリット201bの内周面から最も距離が大きい位置にある。壁部201dと傾斜部201eとの接続部のスリット201bの内周面からの距離は、第一突起201cの高さと定義する。壁部201dからスリット201bの先端面との間の距離は、本発明の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2の固定部材64の長手軸方向の長さと同等である。
ラチェット機構202aの第二突起202dは、第一突起201cの壁部201dに平行に形成された壁部202eと、斜面形状に形成されている傾斜部202fとを有する。本変形例において、外力が作用しない自然状態において、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力により、スライダ202に設けられたラチェット機構202aを先端側へ付勢する。また、ラチェット機構202aのバネ202cが第二突起202dを径方向に付勢しているため、スリット201bに設けられた壁部201dとラチェット機構202aに設けられた壁部202eとが当接する。
本変形例において、スリット201bに設けられた壁部201dとラチェット機構202aに設けられた壁部202eとが互いに当接し係合する係合力は、弾性部材36の弾性力よりも大きく設定されている。すなわち、本変形例において、弾性部材36の弾性力のみでは、壁部201dと壁部202eとの係合が解消されることはない。さらに、本変形例において、操作者が軸線C1方向に沿ってスライダ202を先端側へ押し込む操作のみでは、壁部201dと壁部202eとの係合が解消されることはない。
この状態において、操作者がスライダ202を軸線C1方向に沿って先端側へ押し込んでも、壁部201dと壁部202eとの当接係合によって、スライダ202が前進することができない。つまり、壁部201dと壁部202eとが当接し、第一突起201cと第二突起202dとが互いに係合することにより、スライダ202が操作部本体201の中心軸に沿った前進が制限され、スライダ202に連結される操作ワイヤ62の前進が制限される。
本変形例において、スリット201bに設けられた壁部201dは、例えば、第一突起201cと第二突起202dとが互いに係合されるとき、スライダ202の先端面とスリット201bの先端面との間の距離が上述の第2の実施形態に係る固定部材64の長手軸方向の長さと同等であることを満たす位置に配置されてもよい。本変形例に係る内視鏡クリップ2Bは、上述の構成を有することにより、図19Aに示すように、スリット201bの第一突起201cとスライダ202の第二突起202dとが互いに係合するとき、スライダ202およびスライダ202に連結される操作ワイヤ62の先端側への移動を規制することができる。本変形例に係るラチェット機構202aおよび操作部本体201のスリット201bの内壁に設けられた第一突起202cの組み合わせは、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制する規制部であると言える。
図19Aに示すように、スリット201bの第一突起201cとスライダ202の第二突起202dとが互いに係合するとき、アーム部材11は、閉形態にある。すなわち、アーム部材11は、第一アーム12と第二アーム13とが互いに接触する状態、若しくは第一アーム12の先端と第二アーム13の先端との間の距離が略ゼロである状態にある。また、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、それぞれの先端から基端までの一部は、押さえ管31の先端部の内周面に形成されたテーパー面31aに当接している。
このとき、スライダ102に連結された操作ワイヤ62と、操作ワイヤ62に連結されたアーム部材11とは、同様に操作部本体201に対して前進できない状態になる。その結果、図19Aに示すように、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移が規制され、アーム部材11の閉形態が維持されている。このため、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bのラチェット機構202aおよびスリット201bの内壁に設けられた第一突起202cは、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。
スリット201bの第一突起201cとスライダ202の第二突起202dとが互いに係合する状態において、操作者がラチェット機構202aのボタン202bを押込むと、ラチェット機構202aの第二突起202dが操作部本体201の径方向(操作部の長手軸方向に交差する方向)に移動される。その結果、スライダ202の第二突起202dがスリット201bの第一突起201cを乗り越えることにより、第一突起201cと第二突起202dとの係合が解除される。
この状態において、ラチェット機構202aによるスライダ202の先端側への移動に対する規制が解除される。操作者のスライダ202の押し込みにより、スライダ202およびスライダ202に連結される操作ワイヤ62は、先端側へ移動することは可能である。これと同時に、操作ワイヤ62に連結されたアーム部材11は、前進することができる。図19Cに示すように、操作者のスライダ202の押し込みにより、操作ワイヤ62は、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するまで先端側へ移動することが可能である。
本変形例に係る内視鏡クリップ2Bにおいて、操作ワイヤ62が先端側へ移動するとともに、クリップ10のアーム部材11は、第一アーム12および第二アーム13の一部が押さえ管31の先端部のテーパー面31aに当接しながら、互いの先端が離間した状態になる。操作者がスライダ102を押し込むことにしたがって、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、互いの先端の間の距離が大きくなるように離間する。すなわち、操作者は、ラチェット機構202aによる操作ワイヤ62の先端側への移動に対する規制が解除された状態で、スライダ202を押し込むことによって、アーム部材11を閉形態から開形態へ遷移させることができる。
図19Cに示すように、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するとき、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の間の距離が略最大となる。その後、上述の第1実施形態に係る内視鏡クリップ1同様に、操作者は、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bを用いて、標的組織Tに対して結紮処置を行うことができる。
本変形例において、スライダ202がスリット201bの第一突起201cを乗り越えた状態において、操作者がスライダ202を基端側へ引くことにより、第二突起202dの傾斜部202fが第一突起201cの傾斜面に当接しながら、基端側へ移動することは可能である。その結果、操作者がスライダ202を基端側へ引き戻すことで、アーム部材11を開形態から閉形態に遷移させることができる。
本変形例に係る内視鏡クリップ2Bにおいて、スリット201bの第一突起201cとスライダ202の第二突起202dとが直角三角形の断面形状を有する例を説明したが、内視鏡クリップ2Bの構成は、これに限定されることはない。本変形例に係る内視鏡クリップ2Bは、操作部本体201とスライダ202との係合によってスライダ202が操作部本体201に対して相対前進できない構成であればよい。操作部本体201とスライダ202との係合の具体的な形態については、特に限定されない。
本実施形態の上述第1の変形例に係る内視鏡クリップ2Aと、第2の変形例に係る内視鏡クリップ2Bとは、その他の構成が本実施形態に係る内視鏡クリップ2と同様に構成されている。このため、本実施形態に説明した同様の手技で操作することで、標的組織Tにクリップを留置することができる。
本発明の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2と、第1の変形例に係る内視鏡クリップ2Aと、第2の変形例に係る内視鏡クリップ2Bとによれば、上述の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1と同様の効果を奏する。
(内視鏡クリップ1による手技)
以下、図20から図22を参照し、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1による手技と従来技術の内視鏡用処置具による手技との比較を中心に、再度本願発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1の作用を説明する。なお、以下の説明では、上記の一実施形態に係る内視鏡クリップ1を例として説明するが、第1の実施形態の変形例に係る内視鏡クリップ1A、第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2、第2の実施形態の変形例に係る内視鏡クリップ2Aおよび2Bについても、同等な手技で操作することができる。
図20は、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1による手技の手順を示すフローチャートである。図21は、従来技術の内視鏡用処置具の構成の一例を示す図である。図22は、図21に示された従来技術の内視鏡用処置具による手技の手順を示すフローチャートである。
図20に示すように、本発明第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1を用いて、体内の標的組織Tを結紮する手技は、挿入工程(ステップS100)と、突出工程(ステップS110)と、規制解除工程(ステップS120)と、規制工程(標的組織把持する工程、ステップS130)と、クリップ10をリリースするかどうかを判断する工程(ステップS140)と、ロック工程(ステップS150)と、リリース工程(ステップS160)とを有する。
(ステップS100)挿入工程において、図1Aおよび図1Bに示すように、操作者が、内視鏡クリップ1の挿入部60を非図示の内視鏡のチャンネルに挿入し、チャンネルの先端開口から内視鏡クリップ1の挿入部60を突出させる。このとき、図2に示すように、規制部75のストッパ部72が固定部材74よりも基端側に位置し、互いに係合されている。操作ワイヤ62は、ストッパ部72が固定部材74に係合されることにより、先端側への移動が規制されている。また、閉状態にあるアーム部材11がアウターシース50内に位置している。
その後、突出工程(ステップS110)に進む。
(ステップS110)突出工程において、図3に示すように、操作者がアウターシース操作部51を基端側へ引き戻すことにより、閉状態にあるアーム部材11がアウターシース50の先端開口から突出される。このとき、規制部75のストッパ部72と固定部材74との係合状態が維持されている。なお、アーム部材11は、アウターシース50の先端開口から突出されるが、第一アーム12および第二アーム13が閉じる閉状態が維持されている。
その後、規制解除工程(ステップS120)に進む。
(ステップS120)規制解除工程において、図4に示すように、操作者が、スライダ102を押し込むことにより、固定部材74の変形部74bが弾性変形する。このとき、規制部75のストッパ部72と固定部材74との係合状態が維持される状態で、ストッパ部72が固定部材74に対して先端側へ移動され、固定部材74を乗り越えようとする。このため、規制部75による操作ワイヤ62の先端側への移動に対する規制が解除される。その結果、アーム部材11は、閉状態から開状態へ遷移されることが可能になる。すなわち、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13は、互いに間隔を開けて離間していく。
図6に示すように、ストッパ部72が固定部材74を乗り越えて、固定部材よりも先端側に位置すると、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、互いに間隔を開けて離間している。さらに、操作者のスライダ102の押し込みにより、操作ワイヤ62とともにアーム部材11が先端側へ移動される。図8および図9に示すように、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するまで前進すると、アーム部材11は、第一アーム12と第二アーム13との間の距離が略最大値W1である開状態になる。その後、操作者は、開状態になったアーム部材11を用いて、標的組織Tを把持することができる。
その後、規制工程(ステップS130)に進む。
(ステップS130)規制工程において、操作者が、開状態にあるクリップ10のアーム部材11を用いて、標的組織Tを把持する。その後、操作者がスライダ102を基端側へ引き戻すことにより、図10に示すように、再度アーム部材11を開状態から閉状態に遷移させ、かつ、ストッパ部72が再度固定部材74よりも基端側に位置させることができる。このとき、標的組織Tがアーム部材11によって把持された状態が維持されながら、規制部75は、再度操作ワイヤ62の先端側への移動を規制することができる。
その後、操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって把持された状態のクリップ10を体内に留置するかどうかを判断する(ステップS140)。
なお、上述では、ステップS130において標的組織Tを把持するために再度アーム部材11を開状態から閉状態に遷移させると述べたが、アーム部材11を取り回しやすくするためにアーム部材11を開状態から閉状態に遷移させてもよい。この場合、アーム部材11は標的組織Tを把持しない。
(ステップS140)操作者は、非図示の内視鏡を用いて、標的組織Tがアーム部材11によって把持された状態を確認し、クリップ10を体内に留置するかどうかを判断する。操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって所望の状態で把持されていると判断する場合、ロック工程(ステップ150)に進む。その他、例えば、操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって所望でない状態で把持され、あるいは、異なる標的組織Tが誤って把持されているなどと判断すると、規制解除工程(ステップS120)に戻り、上記の手順で標的組織Tを掴み直す。
(ステップS150)操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって所望の状態で把持されていると判断する場合、ロック工程に進む。ロック工程において、操作者は、さらにスライダ102を基端側へ引き戻す。このとき、標的組織Tがアーム部材11によって把持された状態で、操作ワイヤ62、連結部材63、およびアーム部材11が基端側へ移動される。操作者がスライダ102を基端側へ引き戻すことにより、アーム部材11の第一被係止部16,17および第二被係止部21,22が押さえ管31の係止部32に係止される。この状態において、図11Aおよび図11Bに示すように、ストッパ部72が固定部材74よりも基端側に、固定部材74から離間した状態にあり、アーム部材11が閉状態にある。
これにより、クリップ10においてアーム部材11と押さえ管31との位置関係が固定(ロック)され、操作者がスライダ102を押し込んでも、アーム部材11を閉状態から開状態に遷移させることができない。
その後、リリース工程(ステップS160)に進む。
(ステップS160)リリース工程において、操作者がスライダ120を押し込むことにより、操作ワイヤ62、連結部材63、およびクリップ10が一緒に先端側へ移動される。図12に示すように、連結部材63がシース部61の先端部材67よりも先端側に移動されると、操作者は、クリップ10を連結部材63からリリースし、体内に留置することができる。
その後、操作者は、必要な処置を行い、一連の手技を終了する。
上述の本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1を用いた手技によれば、突出工程(ステップS110)、規制解除工程(S120)、および規制工程(S130)において、操作者がスライダ102を操作(把持)する必要がなく、ストッパ部72と固定部材74との係合によって、操作ワイヤ62が先端側への移動が規制される。このため、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1を用いた手技によれば、操作者が内視鏡クリップ1を調整する操作が短縮できるため、取り回しのしやすさ、手技時間の節約、そして効率の向上を図ることができる。
本発明のその他の各実施形態および変形例に係る内視鏡クリップを用いて標的組織Tを結紮する手技について、規制解除工程(S120)および規制工程(S130)において具体的な操作が異なるが、上述の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1を用いた手技と同じ効果を有する。
例えば、図16Aから図17Bに示された本発明の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2を用いた手技によれば、規制解除工程(ステップS120)において操作者は操作部100Aから固定部材64を取り外す。その後、規制工程(ステップS130)において操作者は固定部材64を操作部100Aに再度取り付ける、若しくは固定部材64を操作部100Aから取り外した状態で操作者がスライダ102を保持し続けることでアーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。
規制解除工程(S120)において操作部100Aから固定部材64を取り外した後に固定部材64を操作部100Aに再度取り付けない場合、クリップ10をリリースするかどうかを判断する工程(ステップS140)の後に再び規制解除工程(ステップS120)を実行するときに操作部100Aから固定部材64を取り外す操作を省略することができる。そのため、例えば、規制解除工程(ステップS120)、規制工程(ステップS130)、クリップ10をリリースするかどうかを判断する工程(ステップS140)、の手順を繰り返し行う場合(アーム部材11を繰り返し開閉する場合)に、操作をスムーズに行うことができる。
(従来技術の内視鏡用処置具による手技)
図21には、従来技術の内視鏡用処置具20の構成が示されている。図21に示すように、従来技術の内視鏡用処置具20は、本発明に係る内視鏡クリップ1の規制部75を備えていない。
図22には、従来技術の内視鏡用処置具20を用いた手技の手順が示されている。図22に示すように、従来技術の内視鏡用処置具20を用いた手技は、挿入工程(ステップS200)と、突出工程(ステップS210)と、開脚工程(ステップS220)と、保持工程(ステップS230)と、クリップ10をリリースするかどうかを判断する工程(ステップS240)と、ロック工程(ステップS250)と、リリース工程(ステップS260)とを有している。
(ステップS200)挿入工程において、操作者が、内視鏡用処置具20の挿入部60を非図示の内視鏡のチャンネルに挿入し、チャンネルの先端開口から挿入部60を突出させる。このとき、閉状態にあるアーム部材11がアウターシース50内に位置している。
その後、突出工程(ステップS210)に進む。
(ステップS210)突出工程において、操作者がアウターシース操作部51を基端側へ引き戻すことにより、閉状態にあるアーム部材11がアウターシース50の先端開口から突出される。従来技術の内視鏡用処置具20では、操作ワイヤ62が先端側への移動を規制する構成を有していないため、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力により、スライダ102および操作ワイヤ62が先端側へ付勢される。その結果、アーム部材11が自動的に閉状態から開状態に遷移する可能性がある。
この状態を防ぐために、突出工程において、操作者は、スライダ102を基端側へ引いた状態を維持し続けて、アウターシース操作部51を基端側へ引き戻す。これにより、アーム部材は、閉状態が維持されたまま、アウターシース50から突出される。
その後、開脚工程(ステップS220)に進む。
(ステップS220)開脚工程において、操作者がスライダ102から手を離すことにより、アーム部材11は、第一アーム12および第二アーム13が互いに間隔を開けて離間しながら、先端側へ移動する。操作者は、アーム部材11が開形態にあることを確認すると、内視鏡を操作し、開形態にあるアーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の間に標的組織Tを位置させ、アーム部材11を標的組織Tに向かって押し込んで標的組織Tを把持する。
その後、保持工程(ステップS230)に進む。
(ステップS230)保持工程において、操作者は、スライダ102を基端側へ引き戻すことにより、標的組織Tを把持したアーム部材11を基端側へ移動させる。このとき、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13が押さえ管31の先端側のテーパー面31aに当接しながら閉じていく。すなわち、標的組織Tは、開形態から閉形態へ遷移するアーム部材11によって締め付けられる。
ただし、保持工程において、前述した第一アーム12および第二アーム13の弾性復元力により、アーム部材11が再度開形態に遷移することを防ぐために、操作者は、スライダ102を引き続ける必要がある。言い換えれば、後述するロック工程(ステップS250)が完了するまで、操作者は、スライダ102を引いた状態を維持し続ける必要がある。その後、操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって把持された状態のクリップ10を体内に留置するかどうかを判断する(ステップS240)。
(ステップS240)操作者は、非図示の内視鏡を用いて、標的組織Tがアーム部材11によって把持された状態を確認し、クリップ10を体内に留置するかどうかを判断する。操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって所望の状態で把持されていると判断する場合、ロック工程(ステップ250)に進む。その他、例えば、操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって所望でない状態で把持され、あるいは、異なる標的組織Tが誤って把持されているなどと判断すると、開脚工程(ステップS220)に戻り、上記の手順で標的組織Tを掴み直す。
なお、前述した通り、この工程において、操作者は、スライダ102を引いた状態を維持し続ける必要がある。
(ステップS250)操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって所望の状態で把持されていると判断する場合、ロック工程に進む。ロック工程において、操作者は、さらにスライダ102を基端側へ引き戻す。このとき、標的組織Tがアーム部材11によって把持された状態で、操作ワイヤ62、連結部材63、およびアーム部材11が基端側へ移動される。操作者がスライダ102を基端側へ引き戻すことにより、アーム部材11の第一被係止部16,17および第二被係止部21,22が押さえ管31の係止部32に係止される。この状態において、アーム部材11が閉状態にある。
これにより、クリップ10においてアーム部材11と押さえ管31との位置関係が固定(ロック)され、操作者がスライダ102から手を離しても、アーム部材11が閉状態から開状態に遷移することはない。
その後、リリース工程(ステップS260)に進む。
(ステップS260)リリース工程において、操作者がスライダ120を押し込むことにより、操作ワイヤ62、連結部材63、およびクリップ10が一緒に先端側へ移動される。連結部材63がシース部61の先端部材67よりも先端側に移動されると、操作者は、クリップ10を連結部材63からリリースし、体内に留置することができる。
その後、操作者は、必要な処置を行い、一連の手技を終了する。
上述した通り、従来技術の内視鏡用処置具20では、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制する構成を備えていないため、突出工程(ステップS210)からロック工程(ステップS250)が完了するまでの間、スライダ102を引いた状態を維持し続ける必要がある。その結果、操作者が内視鏡用処置具20を調整する操作が煩雑になり、取り回しが難しくなる。
以上、本発明の各実施形態および変形例を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態および変形例における構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の請求の範囲によってのみ限定される。
本発明の上記態様によれば、クリップユニットのアーム部材の閉状態を好適に維持する内視鏡クリップを提供できる。
1,1A,2,2A,2B,20 内視鏡クリップ
10 クリップユニット(クリップ)
11 アーム部材
12 第一アーム
13 第二アーム
16,17 第一被係止部
18,19,23,24 突部
21,22 第二被係止部
31 押さえ管
32 係止部
32b 基端面(基端側端面)
32c 先端面(先端側端面)
40 処置具本体
50 アウターシース
60 挿入部
62 操作ワイヤ
64,64A,64B,74 固定部材
72 ストッパ部
74a 支持部
74b 変形部
75,85 規制部
84 被係合部
84a 支持部材
84b リング部材
100,100A,100B 操作部
101,201 操作部本体(ハンドル)
102,202 スライダ
T 標的組織
本発明の第一の態様に係る内視鏡クリップは、複数のアームから構成されるアーム部材を有するクリップユニットと、先端が着脱可能に前記アーム部材に連結され、先端側へ移動することにより、前記アーム部材を前記複数のアームが閉じた閉形態から前記複数のアームが互いに離間した開形態へ遷移させる操作ワイヤと、規制部と、を備え、前記クリップユニットは、前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記操作ワイヤに対して前記先端側へ付勢する付勢力を作用させ、前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記規制部は、前記付勢力に対向する力を前記操作ワイヤに負荷して前記操作ワイヤの前記先端側への移動を規制することにより、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することを規制する。
本発明の第二の態様に係る内視鏡クリップは、上記の第一の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記操作ワイヤが前記付勢力よりも大きい前記外力を受け止めることにより、前記規制部による前記操作ワイヤの前記先端側への移動に対する規制が解除され、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することが可能であってもよい。
本発明の第三の態様によれば、上記の第二の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記規制部は、前記操作ワイヤに連結され、前記操作ワイヤとともに移動する係合部と、前記係合部に係合することにより前記操作ワイヤの移動を規制する被係合部と、を備え、前記付勢力よりも大きい前記外力が前記操作ワイヤに作用すると、前記係合部と前記被係合部との係合が解除されてもよい。
本発明の第六の態様によれば、上記の第四の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記被係合部は、前記シースの先端側の開口よりも基端側における約1cm以内の位置に設けられていてもよい。
本発明の第七の態様によれば、上記の第三の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記係合部は、ストッパであってもよい。
本発明の第八の態様によれば、上記の第三の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記被係合部は、支持部および爪状に形成された変形部を有する固定部材であってもよい。
本発明の第九の態様によれば、上記の第二の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記内視鏡クリップは、前記アーム部材を挿入できる内径を有し、筒状に形成されたアウターシースをさらに備え、前記アーム部材は、前記アウターシース内に挿入された状態で、前記閉形態にあり、前記アーム部材は、前記アウターシースから突出した状態で、前記規制部による規制が解除されることで前記閉形態から前記開形態に遷移してもよい。
本発明の第十の態様によれば、上記の第一の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記クリップユニットは、前記アーム部材に連結され、弾性変形することができる弾性部材をさらに有し、前記規制部は、前記弾性部材よりも基端側に設けられ、前記クリップユニットは、前記弾性部材が弾性変形して生じた弾性力によって前記付勢力を作用させてもよい。
本発明の第十一の態様によれば、上記の第十の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記内視鏡クリップは、筒状に形成され、前記アーム部材が挿入されることで前記複数のアームが前記閉形態に遷移する押さえ管を、さらに備え、前記弾性部材は、前記押さえ管内に設けられ、前記複数のアームを前記押さえ管から突出させる方向に付勢するバネから構成されてもよい。

Claims (8)

  1. 一対のアームから構成され、前記一対のアームが閉じた閉形態と、前記一対のアームが互いに離間した開形態とを有するアーム部材と、
    先端が着脱可能に前記アーム部材に連結され、先端側へ移動することにより、前記アーム部材を前記閉形態から前記開形態へ遷移させる操作ワイヤと、
    前記アーム部材に連結され、弾性変形することができる弾性部材と、
    前記弾性部材よりも基端側に設けられる規制部と、
    を備え、
    前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記弾性部材が弾性変形して生じた弾性力により、前記操作ワイヤは、前記先端側へ付勢され、
    前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記規制部は、前記弾性部材が弾性変形して生じた弾性力に対向する力を前記操作ワイヤに負荷して前記操作ワイヤの前記先端側への移動を規制することにより、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することを規制する
    内視鏡クリップ。
  2. 前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記弾性力よりも大きい前記外力が前記操作ワイヤに作用することにより、前記規制部による前記操作ワイヤの前記先端側への移動に対する規制が解除され、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することが可能である
    請求項1に記載の内視鏡クリップ。
  3. 前記規制部は、
    前記操作ワイヤに連結され、前記操作ワイヤとともに移動する係合部と、
    前記係合部に係合することにより前記操作ワイヤの移動を規制する被係合部と、
    を備え、
    前記弾性力よりも大きい前記外力が前記操作ワイヤに作用すると、前記係合部と前記被係合部との係合が解除される
    請求項2に記載の内視鏡クリップ。
  4. 前記内視鏡クリップは、長手軸を有し、筒状に形成されたシースをさらに備え、
    前記被係合部は、前記シースの内周面に設けられ、かつ、前記係合部の外径よりも小さい幅の内腔を有し、
    前記係合部と前記被係合部とが係合することにより、前記被係合部は、前記内腔が前記長手軸に対する径方向に拡張されて弾性変形し、前記係合部が弾性変形した前記被係合部の前記内腔を通過できる
    請求項3に記載の内視鏡クリップ。
  5. 前記係合部が前記操作ワイヤとともに移動し、前記被係合部の前記内腔内に押し込まれることにより、前記被係合部が弾性変形する
    請求項4に記載の内視鏡クリップ。
  6. 前記被係合部は、前記シースの先端側の開口よりも基端側における約1cm以内の位置に設けられている請求項4に記載の内視鏡クリップ。
  7. 前記内視鏡クリップは、前記アーム部材を挿入できる内径を有し、筒状に形成されたアウターシースをさらに備え、
    前記アーム部材は、前記アウターシース内に挿入された状態で、前記閉形態にあり、
    前記アーム部材は、前記アウターシースから突出した状態で、前記規制部による規制が解除されることで前記閉形態から前記開形態に遷移する
    請求項2に記載の内視鏡クリップ。
  8. 前記内視鏡クリップは、筒状に形成され、前記アーム部材が挿入されることで前記一対のアームが前記閉形態に遷移する押さえ管と、さらに備え、
    前記弾性部材は、前記押さえ管内に設けられ、前記一対のアームを前記押さえ管から突出させる方向に付勢するバネから構成される
    請求項2に記載の内視鏡クリップ。
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