JPWO2020084655A1 - 内視鏡クリップ - Google Patents
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Abstract
Description
クリップユニットは、クリップ本体と、押さえ管と、つる巻きバネとを有している。クリップ本体は、第一アームおよび第二アームを有している。第一アームおよび第二アームは、外力が作用しない状態において、第一アームの先端と第二アームの先端との間に間隔を空けて離間している。
処置具本体は、外套管と、挿入部と、操作部材とを有している。挿入部は、外套管内に進退可能に挿通され、シースと、操作ワイヤと、連結部材とを有している。操作ワイヤは、シース内に挿通され、先端が連結部材に連結し、基端が後述するスライダに連結する。連結部材は、クリップ本体と操作ワイヤとを連結するために設けられている。操作部材は、挿入部の基端側に取付けられており、操作部本体と、スライダと、破断機構とを有している。スライダは、操作部本体のスリットに係合することで、操作部本体に対して、前進および後退することができる。破断機構は、操作部に内蔵されている。破断機構に作用する張力が所定の引張強度以上に達すると、破断機構が破断する。
操作者は、チャンネルを有する内視鏡を患者の体内に挿入しておく。次に、操作者は、内視鏡のチャンネルの基端部から外套管を挿入し、内視鏡のチャンネルの先端部から外套管を突出させる。そして、操作者は、処置具本体の挿入部に対して外套管を引戻すことで、外套管の先端側からクリップ本体を突出させる。その結果、クリップ本体の第一アームと第二アームとが間に隙間を有する開形態になる。
しかしながら、前述したように、特許文献1に記載された内視鏡処置具では、外力が作用しない状態において、つまり、操作者がスライダを操作しない状態において、第一アームの先端と第二アームの先端との間に間隔を空けて離間している。このため、クリップ本体の第一アームと第二アームとを閉形態に保持するために、操作者は、スライダを基端側へ引いた状態を保持し続ける必要があり、操作が煩雑になる。
さらに、特許文献1に記載された内視鏡処置具では、操作者がスライダを基端側へ引いた状態において、誤って強い力量でスライダを操作すると、意図しないタイミング(例えば、所望の組織を把持できていない状態)でクリップユニットをロックする可能性もある。
本発明の第二の態様に係る内視鏡クリップは、上記の第一の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記弾性力よりも大きい前記外力が前記操作ワイヤに作用することにより、前記規制部による前記操作ワイヤの前記先端側への移動に対する規制が解除され、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することが可能であってもよい。
以下、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップの構成を、図1Aから図12を参照して説明する。
本実施形態に係る内視鏡クリップ1は、図示しない内視鏡に形成されたチャンネルを通して患者の体内に挿入されて使用される。本明細書において、操作者が内視鏡を操作するための内視鏡操作部が位置する側を基端側と定義し、体内に挿入された内視鏡の先端部が位置する側を先端側と定義する。
本明細書において、図1Aに示すように、クリップ10のアーム部材11の第一アーム12および第二アーム13が対向する対向方向X、押さえ管31の軸線C1に平行な軸線方向Y、そして対向方向Xおよび軸線方向Yのそれぞれに直交する直交方向Zを定義する。
クリップ10は、図1Aに示すように、アーム部材11と、押さえ管31と、弾性部材(つる巻きバネ)36とを備えて構成されている。
押さえ管31は、円筒状に形成され、アーム部材11の基端部が進入できる内径を有する。すなわち、押さえ管31には、後述する第一アーム12および第二アーム13を有するアーム部材11が進入可能なルーメンが形成されている。弾性部材36は、押さえ管31のルーメン内に配置されている。
アーム部材11は、例えば、コバルトクロム合金などで形成された板材を、第一アーム12および第二アーム13、中央部14、第一被係止部16、17、第二被係止部21、22、突部18、19、23、24を平面状に展開した形状に打抜くことで形成される。アーム部材11は、この打抜いた部材を、第一アーム12と中央部14との接続部、および第二アーム13と中央部14との接続部で折り曲げて、側面視でC字状となり、一体に形成される。
アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、それぞれの先端が互いに離間する方向、すなわち、アーム部材11が開く方向へ移動する弾性復元力を有する。
弾性部材36は、押さえ管31内に収容された状態で、先端部が突部18、19、23、24に係止されるとともに基端部が係止部32に係止されている。弾性部材36の基端部と係止部32とは、溶着などにより固定してもよい。
続いて、本実施形態に係る処置具本体40の構成を説明する。
図1Aおよび図1Bに示すように、処置具本体40は、アウターシース50と、挿入部60と、操作部100とを有している。アウターシース50は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)といったフッ素樹脂や、HDPE(高密度ポリエチレン)等の樹脂材料で形成することができる。アウターシース50の基端側に、アウターシース50を操作するためのアウターシース操作部51が設けられている。本実施形態において、例えば、アウターシース操作部51を操作することで、処置具本体40の挿入部60に対してアウターシース50を引き戻すことができる。
挿入部60は、アウターシース50内に進退可能である。操作部100は、挿入部60の基端部に取付けられている。
処置具本体40の挿入部60は、シース部61と、操作ワイヤ(ワイヤ)62と、連結部材63と、ループ部73とを備えている。操作ワイヤ62は、シース部61内に進退可能に挿通されている。操作ワイヤ62は、操作者が基端側の操作部100を操作する(例えば、スライダ102を押し込む操作およびスライダ102を引き戻す操作)力量をクリップ10に伝達するために設けられている。連結部材63は、操作ワイヤ62の先端部に接続されている。連結部材63は、操作ワイヤ62に対して対向方向Xに平行な軸を中心として回動可能に設けられている。
コイルシース66は、例えば耐圧縮強度の高いSUS301などのステンレス鋼から形成されていてもよい。コイルシース66は、不図示の素線を軸線方向Yに密巻きに巻回して形成したコイルを用いることができる。コイルシース66は、可撓性を有するとともに、軸線方向Yの圧縮力に強い。コイルシース66の内径は、弾性部材36の内径にほぼ等しくてもよい。
また、本実施形態において、固定部材74は、図2に示すように、コイルシース66を形成する素線に挟まれて構成される例に限らない。例えば、固定部材74をコイル―シース66よりも先端側に配置され、溶接や接着などの方法によって、軸線方向Yに沿った固定部材74の基端をコイルシース66を形成する素線に固定してもよい。なお、本実施形態において、固定部材74を形成する材料は、特に限定されない。例えば、耐久性を確保するために、固定部材74は、押さえ管31および係止部32と同様な金属材料で形成されてもよい。
変形部74bは、基端部が支持部74aの基端部に連結され、基端部よりも先端側に位置する部分が支持部74aから一定の間隔をあけて離間して形成されている。すなわち、変形部74bは、軸線C1に対して径方向外側において、支持部74aと一定の間隔をあけて隙間を形成している。
固定部材74の外径は、中心軸線C1に直交する径方向において、支持部74aの最大幅によって定義される。本実施形態において、固定部材74の外径は、例えば、コイルシース66の外径よりもわずかに大きくてもよい。
なお、本実施形態において、変形部74bが一対のツメにより構成された例を説明したが、これに限らない。例えば、変形部74bは、単一のツメにより構成されてもよい。この場合、固定部材74の内腔の幅(コイルシース66の内径および後述するストッパ部72の外径よりも小さい幅の内腔)は、単一のツメによって定義される。また、図2に示すように、固定部材74の変形部74bは、後述するストッパ部72に係合するために、先端74cおよび基端74dが斜面に形成されている。
ストッパ部72は、軸線方向Yに沿った先端および基端において、テーパー形状を有する先端面および基端面が形成されている。
連結部材63は、貫通孔76aにループ部73のワイヤ73aの折り返し部を挿通させることで、ループ部73に対して対向方向Xに平行な軸を中心に回動可能(図1Bの矢印D方向に回動可能)に接続されている。
本実施形態において、ストッパ部72と固定部材74との両方を含む構成を、内視鏡クリップ1の規制部75と定義し、ストッパ部72を規制部75の係合部と定義し、固定部材74を規制部75の被係合部と定義する。
図1Aおよび図1Bに示すように、ストッパ部72が固定部材74よりも基端側に位置し、かつ、操作者がスライダ102を保持しない状態において、押さえ管31内に設けられた弾性部材36の弾性力により、ストッパ部72が軸線方向Yに沿って先端側へ移動し、固定部材74に当接(係合)する。
言い換えれば、操作者による操作力量がスライダ102に作用しない状態において、ストッパ部72と固定部材74との係合が維持され、操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される。
詳細は後述するが、操作者がスライダ102を操作(例えば、押し込む)することによって、弾性部材36の弾性力よりも大きい力量が操作ワイヤ62に作用するとき、規制部75による規制が解除され、操作ワイヤ62が先端側へ移動することが可能である。
操作部100は、図1Aに示すように、操作部本体(ハンドル)101と、スライダ102とを有している。
操作部本体101は、コイルシース66の基端部に取付けられている。操作部本体101は、軸線方向Yに延びる棒状に形成され、基端部に指掛け部101aが設けられている。操作部本体101には、軸線方向Yに延びるスリット101bが形成されている。
スライダ102は、操作部本体101のスリット101bに係合することで、操作部本体101に対するスライダ102の軸線方向Yの移動範囲が制限されている。
次に、以上の構成を有する内視鏡クリップ1を用いて、標的組織Tを結紮する手技について説明する。
手技が開始される前の初期状態において、操作者に内視鏡クリップ1が提供されるときには、図1Aに示すように、クリップ10が処置具本体40に取り付けられた状態でアウターシース50に覆われている。
次に、図3に示すように、操作者が操作部本体101のアウターシース操作部51を操作し、処置具本体40の挿入部60に対してアウターシース50を引き戻すことで、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13を内視鏡のチャンネルの先端部から突出させる。
その後、操作者は、非図示の内視鏡を用いて標的組織Tを確認しながら、内視鏡クリップ1の規制部75による操作ワイヤ62の先端側への移動に対する規制を解除する。
具体的に、操作者がスライダ102を先端側へ押し込むことにより、操作ワイヤ62を経由して、操作者の操作力量がストッパ部72に作用すると、固定部材74の変形部74bが軸線C1に対して径方向外側へ回転し、さらに弾性変形する。この状態において、操作者の操作力量と弾性部材36の弾性力との和が、規制部75の固定部材74の固定力の最大値、すなわち、ストッパ部72および固定部材74の係合によって提供できる規制力の最大値以上になる。図4および図5に示すように、ストッパ部72は、弾性変形した固定部材74の変形部74bに接触しながら、操作者のスライダ102の押し込みによって固定部材74の内腔内に押し込まれる。
ただし、図4および図5には、アーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の間の距離が可能な最大開き幅よりも小さい。
また、この状態において、アーム部材11の第一被係止部16,17および第二被係止部21,22は、押さえ管31内において、係止部32よりも先端側に位置している。
その後、操作者が非図示の内視鏡を操作し、クリップ10のアーム部材11の向きおよび姿勢を調整し、標的組織Tに向かってアーム部材11を押し付けることができる。
図8に示すように、操作者は、開き幅が最大値W1である開形態のアーム部材11の第一アーム12および第二アーム13の間に、標的組織Tを位置させることができる。操作者は、第一アーム12および第二アーム13の間に標的組織Tが位置することを確認すると、内視鏡を操作してアーム部材11を標的組織Tに向かって押し込むことによって、標的組織Tを保持することができる。
標的組織Tが閉状態にあるアーム部材11によって把持された状態において、操作者は、内視鏡を用いて標的組織Tを確認することができる。クリップ10のアーム部材11によって標的組織Tが所望の状態で把持されたことが確認できれば、操作者は、内視鏡クリップ1のクリップ10の把持状態をロックする操作に進む。具体的に、アーム部材11の第一被係止部16、17および第二被係止部21、22が押さえ管31の係止部32を乗り越えて係止部32よりも基端側の位置まで移動させる。その結果、図11Aおよび図11Bに示すように、第一被係止部16の先端面16bおよび第一被係止部17の先端面17bの両方ともが係止部32の基端面32bに当接し、第一被係止部16および第一被係止部17が係止部32に係止される。同様に、第二被係止部21の先端面(非図示)および第二被係止部22の先端面(非図示)の両方ともが係止部32の基端面32bに当接し、第二被係止部21および第二被係止部22が係止部32に係止される。
以下、第一被係止部16および第一被係止部17が係止部32に係止される過程の例を説明する。
スライダ102が引き戻される過程において、弾性部材36は、突部18および突部19により軸線方向Yに圧縮される。この過程において、スライダ102が基端側へ引き戻される距離が増大すると、弾性部材36の圧縮具合も増大するので、操作者がスライダ102を引き戻すための必要な力量が次第に増加する。同時に、アーム部材11の突部18,19,23,24は、基端側へ移動される。
アーム部材11を押さえ管31の基端側に移動させようとする操作力量を解除すると、第一被係止部16、17の先端面16b、17bが、係止部32の基端面32bに対して当接する係止状態になる。
操作者がスライダ102を引き戻し、上述の乗越え状態から係止状態までの過程において、クリップ10は閉形態が保たれる。連結部材63はシース部61内に配置されているため、フック部77と中央部14との係合は保持される。
その結果、操作者がスライダ102を押し込むことにより、操作ワイヤ62、連結部材63、およびクリップ10がともに先端側へ移動することができる。
この後、操作者は、標的組織Tを結紮しているクリップ10を処置具本体40から分離する。具体的に、操作者は、スライダ102を押込むと、操作ワイヤ62、連結部材63、およびクリップ10がコイルシース66に対して先端側に移動する。
図12に示すように、連結部材63が先端部材67よりも先端側に突出すると、アーム部材11と押さえ管31は一体的に先端側に移動する。操作者のスライダ102の押し込みにより、連結部材63が押さえ管31外に位置すると、ループ部73に対して連結部材63が回動できる。操作者は、スライダ102を押込み、操作ワイヤ62を先端側に移動させると、標的組織Tを結紮しているクリップ10の中央部14の基端面に連結部材63の傾斜面76bが接触する。図12に示すように、傾斜面76bに案内されて連結部本体76とともにフック部77が方向Dに回動し、フック部77と中央部14との係合が解除される。このとき、クリップ10は閉形態を維持している。
これにより、標的組織Tを結紮したクリップ10が体内に留置される。
以下、本実施形態に係る内視鏡クリップ1の作用を説明する。
本実施形態に係るクリップ10のアーム部材11は、第一アーム12および第二アーム13を有している。アーム部材11は、第一アーム12と第二アーム13とが閉じる閉形態と、第一アーム12と第二アーム13とが間隔をあけて離間する開形態とを有する。また、本実施形態に係る内視鏡クリップ1のシース部61内において、操作ワイヤ62とともに移動するストッパ部72と、ストッパ部72の外径よりも小さい幅の内腔が形成される固定部材74とを備える規制部75が設けられている。規制部75は、ストッパ部72と固定部材74とが互いに係合することにより、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制することができる。このため、体内の標的組織Tを処置する際、ストッパ72が固定部材74よりも基端側に位置するとき、操作者が基端側の操作部100のスライダ102を操作しなくても、操作ワイヤ62が先端側へ移動することは規制される。このため、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。
その結果、本実施形態に係る内視鏡クリップ1によれば、体内の標的組織Tを処置する際、アーム部材11の閉形態を容易に維持し、内視鏡のチャンネルの内壁、あるいは体内の組織へのアーム部材11の意図しない接触を防げる。さらに、操作者が内視鏡クリップ1を調整する操作が短縮できるため、取り回しのしやすさ、手技時間の節約、そして効率の向上を図ることができる。
本実施形態に係る内視鏡クリップ1の構成により、複雑形状を有する管腔内に内視鏡クリップ1を挿入し、コイルシース66が蛇行した状態になっても、ストッパ部72とアーム部材11との間における経路長の変化を抑えることができる。その結果、固定部材74とストッパ部72との係合によりアーム部材11をより確実に閉形態に維持することができる。
以下、図13から図15を参照し、本実施形態の一変形例に係る内視鏡クリップの構成を説明する。以下、上記の実施形態に係る内視鏡クリップ1と同じ構成の説明を省略し、上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図13は、本変形例に係る内視鏡クリップ1の一部の構成を示す拡大断面図である。図14は、本変形例に係る内視鏡クリップ1の規制部85による規制を解除する状態を示す拡大断面図である。図15は、本変形例に係る規制部85の被係合部材84bの構成を示す斜視図である。
また、本変形例において、支持部材84aは、図13に示すように、コイルシース66を形成する素線に挟まれて構成される例に限らない。例えば、支持部材84aをコイル―シース66よりも先端側に配置され、溶接や接着などの方法によって、軸線方向Yに沿った支持部材84aの基端をコイルシース66を形成する素線に固定してもよい。
また、図13に示すように、リング部材84bは、軸線C1に対して径方向における最大幅である外径が、支持部材84aの先端部および基端部における内径以上、かつ、支持部材84aの内腔における内径以下である。すなわち、本変形例において、被係合部84は、リング部材84bが支持部材84a内の内腔において回転可能、かつ、内腔から脱落しないよう、互いに組み合わせて構成されている。
本変形例に係る内視鏡クリップ1のその他の構成は、上記の実施形態に係る内視鏡クリップ1と同様であってもよい。
操作者のスライダ102の押し込みにより、ストッパ部72がリング部材84bに対して先端側へ移動し、リング部材84を乗り越えると、規制部85による操作ワイヤ62の先端側への移動に対する規制が解除される。すなわち、規制部85によるアーム部材11の閉形態から開形態への遷移に対する規制も解除される。
その後、操作者がスライダ102を操作し、上記の実施形態に係る内視鏡クリップ1同様に、標的組織Tを処置することができる。
上述の本発明の第1の実施形態および変形例において、操作ワイヤの先端側への移動を規制するための規制部が内視鏡クリップのシース部に形成される例を説明したが、本発明の内視鏡クリップは、このような構成に限定されない。本発明の内視鏡クリップは、規制部が内視鏡クリップの基端側の操作部に設けられる構成も可能である。すなわち、本発明の内視鏡クリップは、操作部のスライダの先端側への移動を規制することにより、操作ワイヤの先端側への移動を規制する構成も可能である。
以下、本発明の内視鏡クリップにおいて、規制部が基端側の操作部に設けられる構成を説明する。
図16Aは、本実施形態に係る内視鏡クリップ2において、固定部材によって操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される状態を示す側面視部分断面図である。図16Bは、図16Aにおける内視鏡クリップの先端側を模式的に示す平面視部分断面図である。図16Cは、図16Aにおける内視鏡クリップの操作部の径方向における断面図である。図17Aは、本実施形態に係る内視鏡クリップ2の規制部による規制を解除した状態を示す側面視部分断面図である。図17Bは、図17Aにおける内視鏡クリップの先端側を模式的に示す平面視部分断面図である。
本実施形態に係る内視鏡クリップ2において、固定部材64は、操作部本体101のスリット101b内におけるスライダ102の操作部本体101に対する相対移動範囲を規制できる。これによって、本実施形態に係る内視鏡クリップ2において、固定部材64は、アーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。その結果、第1の実施形態同様に、本実施形態に係る内視鏡クリップ2によれば、体内の標的組織Tを処置する際、アーム部材11の閉形態を容易に維持し、内視鏡のチャンネルの内壁、あるいは体内の組織に意図しない接触することを防げる。さらに、操作者が内視鏡クリップ2を調整する操作が短縮できるため、取り回しのしやすさ、手技時間の節約、そして効率の向上を図ることができる。さらに、固定部材64は、簡単な構成で製造も簡単なため、低コストで内視鏡クリップ2を構成できる。
次に、本実施形態の第1の変形例に係る内視鏡クリップ2Aを、図18Aから図18Bを参照して説明する。以下、上記の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2と同じ構成の説明を省略し、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図18Aは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの構成を模式的に示す側面視部分断面図である。より具体的に、図18Aは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aにおいて、固定部材によって操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される状態を示す側面視部分断面図である。図18Bは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aの操作を示す図である。
スライダ102を基端側へ押し返す力量F2との両方がスライダ102に作用する。その結果、本変形例に係る内視鏡クリップ2Aにおいて、スライダ102の先端面と操作部本体101Bのスリット101bの先端面との間の距離が固定部材64Aの自由長に略同等となる状態で、固定部材64Aによって連結される状態が維持されている。本変形例において、固定部材64Aは、操作ワイヤ62の先端側への移動を規制する規制部であると言える。
次に、本実施形態の第2の変形例に係る内視鏡クリップ2Bを、図19Aから図19Cを参照して説明する。以下、上記の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2と同じ構成の説明を省略し、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図19Aは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bの構成を模式的に示す側面視部分断面図である。より具体的に、図19Aは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bにおいて、固定部材によって操作ワイヤ62の先端側への移動が規制される状態を示す側面視部分断面図である。図19Bは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bの操作部の一部の構成を示す図である。図19Cは、本変形例に係る内視鏡クリップ2Bの操作を示す図である。
本発明の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2と、第1の変形例に係る内視鏡クリップ2Aと、第2の変形例に係る内視鏡クリップ2Bとによれば、上述の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1と同様の効果を奏する。
以下、図20から図22を参照し、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1による手技と従来技術の内視鏡用処置具による手技との比較を中心に、再度本願発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1の作用を説明する。なお、以下の説明では、上記の一実施形態に係る内視鏡クリップ1を例として説明するが、第1の実施形態の変形例に係る内視鏡クリップ1A、第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2、第2の実施形態の変形例に係る内視鏡クリップ2Aおよび2Bについても、同等な手技で操作することができる。
図20は、本発明の第1の実施形態に係る内視鏡クリップ1による手技の手順を示すフローチャートである。図21は、従来技術の内視鏡用処置具の構成の一例を示す図である。図22は、図21に示された従来技術の内視鏡用処置具による手技の手順を示すフローチャートである。
その後、突出工程(ステップS110)に進む。
その後、規制解除工程(ステップS120)に進む。
図6に示すように、ストッパ部72が固定部材74を乗り越えて、固定部材よりも先端側に位置すると、アーム部材11の第一アーム12と第二アーム13とは、互いに間隔を開けて離間している。さらに、操作者のスライダ102の押し込みにより、操作ワイヤ62とともにアーム部材11が先端側へ移動される。図8および図9に示すように、ストッパ部72が先端部材67の段部68に当接するまで前進すると、アーム部材11は、第一アーム12と第二アーム13との間の距離が略最大値W1である開状態になる。その後、操作者は、開状態になったアーム部材11を用いて、標的組織Tを把持することができる。
その後、規制工程(ステップS130)に進む。
その後、操作者は、標的組織Tがアーム部材11によって把持された状態のクリップ10を体内に留置するかどうかを判断する(ステップS140)。
なお、上述では、ステップS130において標的組織Tを把持するために再度アーム部材11を開状態から閉状態に遷移させると述べたが、アーム部材11を取り回しやすくするためにアーム部材11を開状態から閉状態に遷移させてもよい。この場合、アーム部材11は標的組織Tを把持しない。
これにより、クリップ10においてアーム部材11と押さえ管31との位置関係が固定(ロック)され、操作者がスライダ102を押し込んでも、アーム部材11を閉状態から開状態に遷移させることができない。
その後、リリース工程(ステップS160)に進む。
その後、操作者は、必要な処置を行い、一連の手技を終了する。
例えば、図16Aから図17Bに示された本発明の第2の実施形態に係る内視鏡クリップ2を用いた手技によれば、規制解除工程(ステップS120)において操作者は操作部100Aから固定部材64を取り外す。その後、規制工程(ステップS130)において操作者は固定部材64を操作部100Aに再度取り付ける、若しくは固定部材64を操作部100Aから取り外した状態で操作者がスライダ102を保持し続けることでアーム部材11の閉形態から開形態への遷移を規制することができる。
規制解除工程(S120)において操作部100Aから固定部材64を取り外した後に固定部材64を操作部100Aに再度取り付けない場合、クリップ10をリリースするかどうかを判断する工程(ステップS140)の後に再び規制解除工程(ステップS120)を実行するときに操作部100Aから固定部材64を取り外す操作を省略することができる。そのため、例えば、規制解除工程(ステップS120)、規制工程(ステップS130)、クリップ10をリリースするかどうかを判断する工程(ステップS140)、の手順を繰り返し行う場合(アーム部材11を繰り返し開閉する場合)に、操作をスムーズに行うことができる。
図21には、従来技術の内視鏡用処置具20の構成が示されている。図21に示すように、従来技術の内視鏡用処置具20は、本発明に係る内視鏡クリップ1の規制部75を備えていない。
図22には、従来技術の内視鏡用処置具20を用いた手技の手順が示されている。図22に示すように、従来技術の内視鏡用処置具20を用いた手技は、挿入工程(ステップS200)と、突出工程(ステップS210)と、開脚工程(ステップS220)と、保持工程(ステップS230)と、クリップ10をリリースするかどうかを判断する工程(ステップS240)と、ロック工程(ステップS250)と、リリース工程(ステップS260)とを有している。
その後、突出工程(ステップS210)に進む。
この状態を防ぐために、突出工程において、操作者は、スライダ102を基端側へ引いた状態を維持し続けて、アウターシース操作部51を基端側へ引き戻す。これにより、アーム部材は、閉状態が維持されたまま、アウターシース50から突出される。
その後、開脚工程(ステップS220)に進む。
その後、保持工程(ステップS230)に進む。
なお、前述した通り、この工程において、操作者は、スライダ102を引いた状態を維持し続ける必要がある。
これにより、クリップ10においてアーム部材11と押さえ管31との位置関係が固定(ロック)され、操作者がスライダ102から手を離しても、アーム部材11が閉状態から開状態に遷移することはない。
その後、リリース工程(ステップS260)に進む。
その後、操作者は、必要な処置を行い、一連の手技を終了する。
10 クリップユニット(クリップ)
11 アーム部材
12 第一アーム
13 第二アーム
16,17 第一被係止部
18,19,23,24 突部
21,22 第二被係止部
31 押さえ管
32 係止部
32b 基端面(基端側端面)
32c 先端面(先端側端面)
40 処置具本体
50 アウターシース
60 挿入部
62 操作ワイヤ
64,64A,64B,74 固定部材
72 ストッパ部
74a 支持部
74b 変形部
75,85 規制部
84 被係合部
84a 支持部材
84b リング部材
100,100A,100B 操作部
101,201 操作部本体(ハンドル)
102,202 スライダ
T 標的組織
本発明の第二の態様に係る内視鏡クリップは、上記の第一の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記操作ワイヤが前記付勢力よりも大きい前記外力を受け止めることにより、前記規制部による前記操作ワイヤの前記先端側への移動に対する規制が解除され、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することが可能であってもよい。
本発明の第七の態様によれば、上記の第三の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記係合部は、ストッパであってもよい。
本発明の第八の態様によれば、上記の第三の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記被係合部は、支持部および爪状に形成された変形部を有する固定部材であってもよい。
本発明の第十一の態様によれば、上記の第十の態様に係る内視鏡クリップにおいて、前記内視鏡クリップは、筒状に形成され、前記アーム部材が挿入されることで前記複数のアームが前記閉形態に遷移する押さえ管を、さらに備え、前記弾性部材は、前記押さえ管内に設けられ、前記複数のアームを前記押さえ管から突出させる方向に付勢するバネから構成されてもよい。
Claims (8)
- 一対のアームから構成され、前記一対のアームが閉じた閉形態と、前記一対のアームが互いに離間した開形態とを有するアーム部材と、
先端が着脱可能に前記アーム部材に連結され、先端側へ移動することにより、前記アーム部材を前記閉形態から前記開形態へ遷移させる操作ワイヤと、
前記アーム部材に連結され、弾性変形することができる弾性部材と、
前記弾性部材よりも基端側に設けられる規制部と、
を備え、
前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記弾性部材が弾性変形して生じた弾性力により、前記操作ワイヤは、前記先端側へ付勢され、
前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記規制部は、前記弾性部材が弾性変形して生じた弾性力に対向する力を前記操作ワイヤに負荷して前記操作ワイヤの前記先端側への移動を規制することにより、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することを規制する
内視鏡クリップ。 - 前記アーム部材が前記閉形態にあるとき、前記弾性力よりも大きい前記外力が前記操作ワイヤに作用することにより、前記規制部による前記操作ワイヤの前記先端側への移動に対する規制が解除され、前記アーム部材が前記閉形態から前記開形態へ遷移することが可能である
請求項1に記載の内視鏡クリップ。 - 前記規制部は、
前記操作ワイヤに連結され、前記操作ワイヤとともに移動する係合部と、
前記係合部に係合することにより前記操作ワイヤの移動を規制する被係合部と、
を備え、
前記弾性力よりも大きい前記外力が前記操作ワイヤに作用すると、前記係合部と前記被係合部との係合が解除される
請求項2に記載の内視鏡クリップ。 - 前記内視鏡クリップは、長手軸を有し、筒状に形成されたシースをさらに備え、
前記被係合部は、前記シースの内周面に設けられ、かつ、前記係合部の外径よりも小さい幅の内腔を有し、
前記係合部と前記被係合部とが係合することにより、前記被係合部は、前記内腔が前記長手軸に対する径方向に拡張されて弾性変形し、前記係合部が弾性変形した前記被係合部の前記内腔を通過できる
請求項3に記載の内視鏡クリップ。 - 前記係合部が前記操作ワイヤとともに移動し、前記被係合部の前記内腔内に押し込まれることにより、前記被係合部が弾性変形する
請求項4に記載の内視鏡クリップ。 - 前記被係合部は、前記シースの先端側の開口よりも基端側における約1cm以内の位置に設けられている請求項4に記載の内視鏡クリップ。
- 前記内視鏡クリップは、前記アーム部材を挿入できる内径を有し、筒状に形成されたアウターシースをさらに備え、
前記アーム部材は、前記アウターシース内に挿入された状態で、前記閉形態にあり、
前記アーム部材は、前記アウターシースから突出した状態で、前記規制部による規制が解除されることで前記閉形態から前記開形態に遷移する
請求項2に記載の内視鏡クリップ。 - 前記内視鏡クリップは、筒状に形成され、前記アーム部材が挿入されることで前記一対のアームが前記閉形態に遷移する押さえ管と、さらに備え、
前記弾性部材は、前記押さえ管内に設けられ、前記一対のアームを前記押さえ管から突出させる方向に付勢するバネから構成される
請求項2に記載の内視鏡クリップ。
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