JPWO2020071257A1 - ワイヤグリッド型偏光子、偏光板、映像表示装置 - Google Patents

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Abstract

このワイヤグリッド型偏光子は、表面に、互いに平行な凸条が形成された光透過性基板と、凸条の側面を被覆する金属層を有し、凸条の長さ方向に直交する断面において、凸条の底部から頂部までの高さが80〜125nmであり、金属層の厚さの最小値をWm、凸条の高さの1/2の位置より底部側の金属層の厚さの最大値をWb、凸条の頂部より底部側とは反対側に存在する金属層の厚さの最大値をWhとするとき、Wh/Wmの比が2.2〜3.0であり、Wb/Wmの比が1.5〜2.1である。

Description

本発明は、ワイヤグリッド型偏光子、前記ワイヤグリッド型偏光子を含む偏光板及び映像表示装置に関する。
ワイヤグリッド型偏光子は、光透過性基板上に複数の金属細線が互いに平行に配列した構造を有する。金属細線のピッチが入射光の波長よりも充分に短い場合、入射光のうち、金属細線に直交する電場ベクトルを有する成分(すなわちp偏光)は透過し、金属細線と平行な電場ベクトルを有する成分(すなわちs偏光)は反射する。
ワイヤグリッド型偏光子でp偏光とs偏光に分離する場合、得られる光は所望の偏光以外の成分を含まないことが望ましい。例えば、プロジェクタ内の偏光ビームスプリッタにおいては、p偏光の反射率Rpに対するs偏光の反射率Rsの比であるRs/Rpが高いことが求められる。反射光に含まれるs偏光をより多くし、p偏光をより少なくすることで、Rs/Rpをより高くできる。
特許文献1、2には、基材表面に凸条と凹溝を交互に設け、凸条の一方向側の側面と凸条の頂部とを覆うように金属ワイヤを設けたワイヤグリッド型偏光板が記載されている。
特許文献1は凸条の断面形状が略矩形である。特許文献2は凹溝の断面形状が略矩形であり、凸条の側面上の金属ワイヤの幅が略均一である。
日本国特許第5710151号公報 日本国特許第5442344号公報
特許文献1、2の構造では、Rs/Rpの高さが不充分な場合がある。
本発明の一態様は、Rs/Rpの比が高いワイヤグリッド型偏光子、前記ワイヤグリッド型偏光子を含む偏光板及び映像表示装置の提供を課題とする。
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 表面に、互いに平行な凸条が所定のピッチで形成された光透過性基板と、前記光透過性基板の表面上に設けられた、金属又は金属化合物からなる金属層とを有し、前記凸条の、長さ方向に直交する断面形状は、頂部に向かって幅が漸次縮小し、前記凸条の頂部を挟む第1の側面及び第2の側面のうち、少なくとも前記第1の側面の全面は前記金属層で被覆されており、かつ前記第2の側面には前記金属層で被覆されていない露出面が存在し、前記凸条の長さ方向に直交する断面において、前記凸条の底部から頂部までの高さが80〜125nmであり、前記第1の側面を覆う前記金属層の前記凸条の幅方向における厚さの最小値をWm、前記凸条の底部から頂部までの高さの1/2の位置より底部側の前記第1の側面を覆う前記金属層の前記凸条の幅方向における厚さの最大値をWb、前記凸条の頂部より前記底部側とは反対側に存在する前記金属層の前記凸条の幅方向における厚さの最大値をWhとするとき、前記Wmに対する前記Whの比が2.2〜3.0であり、かつ前記Wmに対する前記Wbの比が1.5〜2.1である、ワイヤグリッド型偏光子。
[2] 前記Wbに対する前記Whの比が1.4以下である、[1]のワイヤグリッド型偏光子。
[3] 前記光透過性基板及び前記金属層を覆う樹脂層を有する、[1]又は[2]のワイヤグリッド型偏光子。
[4] 前記凸条の底部から頂部までの高さHg、及び前記樹脂層の波長589.3nmにおける屈折率nが、下式1を満たす、[3]のワイヤグリッド型偏光子。
450≦4×n×Hg≦650 式1
[5] 下記の測定方法で得られる、x軸が波長、y軸がRs/Rpであるグラフにおいて、x=450nm、x=451nm、y=0及びy=1で表される4つの直線で囲まれた四角形の面積を1とするとき、x=450nm、x=650nm、y=0及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれた領域の相対面積S1が7000以上である、[3]又は[4]のワイヤグリッド型偏光子。
測定方法:ワイヤグリッド型偏光子を、波長450〜650nmにおける反射率が0.7%以下である2枚の反射防止基材で挟み、入射角度5°、測定波長450nm〜650nm、波長間隔1nmの条件で、s偏光反射率及びp偏光反射率をそれぞれ測定し、p偏光反射率に対するs偏光反射率の比であるRs/Rpを求め、x軸が波長、y軸がRs/Rpであるグラフを作成する。
[6] 表面に、互いに平行な凸条が所定のピッチで形成された光透過性基板と、前記光透過性基板の表面上に設けられた、金属又は金属化合物からなる金属層とを有し、前記凸条の、長さ方向に直交する断面形状は、頂部に向かって幅が漸次縮小し、前記凸条の頂部を挟む第1の側面及び第2の側面のうち、少なくとも前記第1の側面の全面は前記金属層で被覆されており、かつ前記第2の側面には前記金属層で被覆されていない露出面が存在し、前記光透過性基板及び前記金属層を覆う樹脂層を有し、下記の測定方法で得られる、x軸が波長、y軸がRs/Rpであるグラフにおいて、x=450nm、x=451nm、y=0及びy=1で表される4つの直線で囲まれた四角形の面積を1とするとき、x=450nm、x=650nm、y=0及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれた領域の相対面積S1が7000以上である、ワイヤグリッド型偏光子。
測定方法:ワイヤグリッド型偏光子を、波長450〜650nmにおける反射率が0.7%以下である2枚の反射防止基材で挟み、入射角度5°、測定波長450nm〜650nm、波長間隔1nmの条件で、s偏光反射率及びp偏光反射率をそれぞれ測定し、p偏光反射率に対するs偏光反射率の比であるRs/Rpを求め、x軸が波長、y軸がRs/Rpであるグラフを作成する。
[7] 前記光透過性基板の裏面上に第1の支持体を有し、かつ前記樹脂層の前記光透過性基板側とは反対側の面上に粘着剤を介して第2の支持体を有する、[3]〜[6]のいずれかのワイヤグリッド型偏光子。
[8] 前記光透過性基板の裏面上に第1の支持体を有し、かつ前記樹脂層の前記光透過性基板側とは反対側の面上に屈折率調整層を有する、[3]〜[6]のいずれかのワイヤグリッド型偏光子。
[9] [1]〜[8]のいずれかのワイヤグリッド型偏光子を含む偏光板。
[10] [1]〜[8]のいずれかのワイヤグリッド型偏光子を含む映像表示装置。
[11]表面に、互いに平行な凸条と凹溝が所定のピッチで交互に形成された光透過性基板と、前記光透過性基板の表面上に設けられた、金属又は金属化合物からなる金属層とを有し、
前記凸条の、長さ方向に直交する断面形状は、頂部に向かって幅が漸次縮小し、
前記凸条の頂部を挟む第1の側面及び第2の側面のうち、少なくとも前記第1の側面の全面は前記金属層で被覆されており、かつ前記第2の側面には前記金属層で被覆されていない露出面が存在する、ワイヤグリッド型偏光子。
[12]前記凹溝の、長さ方向に直交する断面形状は、底部に向かって溝幅が漸次縮小するテーパ面を有する、[11]のワイヤグリッド型偏光子。
[13]前記凸条の、長さ方向に直交する断面形状は、接線の傾きが一定である主側面を有する、[11]又は[12]のワイヤグリッド型偏光子。
[14]前記光透過性基板及び前記金属層を覆う樹脂層を有する、[11]〜[13]のいずれかのワイヤグリッド型偏光子。
[15]隣り合う前記凸条間の空間の一部又は全部に、前記樹脂層が充填されている、[14]のワイヤグリッド型偏光子。
[16] 前記光透過性基板の裏面上に第1の支持体を有し、かつ前記樹脂層の前記光透過性基板側とは反対側の面上に粘着剤を介して第2の支持体を有する、[14]又は[15]のワイヤグリッド型偏光子。
[17] 前記光透過性基板の裏面上に第1の支持体を有し、かつ前記樹脂層の前記光透過性基板側とは反対側の面上に屈折率調整層を有する、[14]又は[15]のワイヤグリッド型偏光子。
[18] [11]〜[17]のいずれかのワイヤグリッド型偏光子を含む偏光板。
[19] [11]〜[17]のいずれかのワイヤグリッド型偏光子を含む映像表示装置。
上記態様のワイヤグリッド型偏光子は、Rs/Rpの比が高い。
上記態様の偏光板は、Rs/Rpの比が高い。
上記態様の映像表示装置は、Rs/Rpの比が高い偏光子を備える。
ワイヤグリッド型偏光子の第1の実施形態を模式的に示す上面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の第1の実施形態を模式的に示す断面図である。 s偏光反射率及びp偏光反射率の測定方法を説明する断面図である。 相対面積S1の測定方法を説明する図である。 ワイヤグリッド型偏光子の第2の実施形態を模式的に示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の製造工程の一例を示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の製造工程の一例を示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の製造工程の他の例を示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の製造工程の他の例を示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の製造工程の他の例を示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の第3の実施形態を模式的に示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の第4の実施形態を模式的に示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の第5の実施形態を模式的に示す断面図である。 ワイヤグリッド型偏光子の第6の実施形態を模式的に示す断面図である。 TEM画像におけるHg、Wh、Wm、Wbの測長方法の説明図である。 例1〜7におけるRs/Rpの測定結果を示すグラフである。 例10のワイヤグリッド型偏光子を模式的に示す断面図である。 参考例におけるRpのシミュレーション結果を示すグラフである。 参考例におけるRsのシミュレーション結果を示すグラフである。 参考例におけるRpのシミュレーション結果を示すグラフである。 参考例におけるRsのシミュレーション結果を示すグラフである。 参考例におけるRpのシミュレーション結果を示すグラフである。 参考例におけるRsのシミュレーション結果を示すグラフである。 参考例におけるRpのシミュレーション結果を示すグラフである。 参考例におけるRsのシミュレーション結果を示すグラフである。 製造例1で得た光透過性基板の断面の走査型電子顕微鏡像である。 製造例1で得たワイヤグリッド型偏光子の断面の走査型電子顕微鏡像である。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「〜」で表される数値範囲は、〜の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
「屈折率」は、波長589.3nmの光に対する屈折率を意味する。
<第1の実施形態>
図1Aは、本発明に係るワイヤグリッド型偏光子の第1の実施形態を模式的に示す上面図である。図1Bは、図1AのP−Q線に沿う断面図である。図1A及び図1B中符号1は光透過性基板、2は金属層、11は凸条、11aは凸条11の頂部である。図1Aでは頂部11aの稜線のみを示し、他の部材は省略する。以下、凸条11の長さ方向をZ方向、Z方向に直交する面内における凸条11の幅方向をX方向、Z方向に直交する面内における凸条11の高さ方向をY方向という。X方向とY方向とは直交する。
なお、図1A及び図1Bは設計値に基づく模式図であり、実際のワイヤグリッド型偏光子には、製造上不可避の形状の崩れや金属層の厚みの不均一が生じている。本明細書においてワイヤグリッド型偏光子の各部の寸法は、Z方向に直交する断面の走査型電子顕微鏡像又は透過型電子顕微鏡像における、任意の5箇所の測定値の平均値とする。
光透過性基板1は、ワイヤグリッド型偏光子の使用波長範囲において光透過性である。光透過性とは、透過率が80%以上を意味する。
ワイヤグリッド型偏光子の使用波長範囲は、300〜2000nmの範囲内が好ましく、400〜1500nmがより好ましく、400〜1000nmがさらに好ましい。
光透過性基板1の材料としては、光硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂、ガラスが例示できる。インプリント法で凸条11を形成できる点から、光硬化樹脂又は熱硬化樹脂が好ましい。特に加工性、耐熱性及び耐久性に優れる点から光硬化樹脂が好ましい。光硬化樹脂としては、生産性の点から、光ラジカル重合により光硬化しうる光硬化性組成物を光硬化した硬化物が好ましい。
光透過性基板1の屈折率は1.1〜1.6が好ましく、1.2〜1.59がより好ましく、1.25〜1.58がさらに好ましい。
光硬化性組成物は、例えば、単量体、光重合開始剤、溶剤、及び必要に応じた添加剤(例えば界面活性剤、重合禁止剤)を含む組成物である。例えば国際公開第2007/116972号の段落0029〜0074に記載されている光硬化性組成物を使用できる。
金属層2の材料は、導電性の金属材料であればよく、耐蝕性の材料が好ましい。金属又は金属化合物が例示できる。
例えば、金属単体、合金、ドーパント又は不純物を含む金属が挙げられる。具体的には、アルミニウム、銀、クロム、マグネシウム、アルミニウム系合金、銀系合金が例示できる。これらは1種又は2種以上使用できる。
金属層2の材料は、可視光に対する反射率が高く、可視光の吸収が少なく、かつ導電率が高い点から、アルミニウム、アルミニウム系合金、銀、銀系合金、クロム、マグネシウムが好ましく、アルミニウム、アルミニウム系合金、銀系合金がより好ましい。これらは1種又は2種以上使用できる。
本実施形態において、光透過性基板1の表面には、複数の凸条11が形成されている。複数の凸条11はZ方向に延在し互いに平行である。
凸条11の、Z方向に直交する断面における形状(断面形状)は、頂部11aに向かって幅が漸次縮小する三角形又は略三角形である。凸条11の頂部11aは、Y方向の高さが最も高い部分であり、Z方向に連なって線(稜線)をなしている。頂部11aを含む頂角は鋭角でもよく、丸みを有する角でもよい。
複数の凸条11の断面形状において、隣り合う頂部11aの間の、Y方向における位置が頂部11aから最も遠い部分が底部12aである。底部12aに接しY方向に直交する面を基準面Bとするとき、前記基準面Bにおける凸条11のX方向のピッチp、及び凸条11の底部12a(基準面B)から凸条11の頂部11aまでのY方向の高さHgの設計値はそれぞれ均一である。
なお、本明細書において、設計値が均一であっても、実際のワイヤグリッド型偏光子においては、製造上不可避の形状の崩れが生じており、例えば、2nm〜最大20nm程度のばらつきは生じうる。
凸条11の底部12aから頂部11aまでの面を、凸条11の側面とし、凸条11の頂部11aを挟む2つの側面を、第1の側面11b1及び第2の側面11b2とする。
金属層2は、凸条11の第1の側面11b1及び第2の側面11b2のうち、少なくとも第1の側面11b1の全面を被覆するように設けられる。凸条11の第1の側面11b1を金属層で被覆する際に、凸条11の頂部11a近傍の第2の側面11b2が金属層2で被覆されてもよい。
凸条11の第2の側面11b2は、その全面が金属層2で被覆されることはなく、光透過性基板1が露出している露出面が存在する。
本実施形態のワイヤグリッド型偏光子は、後述の光インプリント法(図5A、図5B、図6A〜図6Cの説明に準じる方法)を用いて、前記光硬化性組成物の層に凸条を形成して光透過性基板1を作製し、蒸着法で金属層2を設ける方法で製造できる。
例えば、真空蒸着法を用いて、凸条11の第1の側面11b1の全面とその近傍に、金属層2を形成できる。真空蒸着する際、光透過性基板1を蒸着源に対して斜めに配置する斜方蒸着法を用いてもよい。斜方蒸着する際、蒸着方向が経時的に変化してもよい。
例えば、図1A及び図1Bに示すように、Z方向に対して直行又は略直交し、かつY方向に対して第1の側面11b1側に所定の蒸着角度(例えばθ1、θ2、単位は「°」)で傾斜した方向(蒸着方向)から金属又は金属化合物を蒸着して金属層2を形成する。蒸着角度を経時的に増大させることで、図1A及び図1Bに示すような、第1の側面11b1の頂部11a近傍及び底部12a近傍の金属層2が厚く、それらの間に金属層2が薄い部分が存在する形状の金属層2が得られる。例えば、蒸着源を固定し、光透過性基板1をX方向に移動させながら蒸着する方法で、蒸着角度(θ1、θ2)を連続的に変化させることができる。蒸着角度(θ1、θ2)の変化量の絶対値は30°以下が好ましい。
Z方向に直交する断面において、第1の側面11b1を覆う金属層2のX方向における厚さの最小値をWmとする。凸条11の高さHgの1/2の位置より底部12a側の第1の側面11b1を覆う金属層2のX方向における厚さの最大値をWbとする。凸条11の頂部11aより上側(底部12a側とは反対側)に存在する金属層2のX方向における厚さの最大値をWhとする。
本実施形態において、Wmに対するWhの比を表すWh/Wmは2.2〜3.0であり、かつWmに対するWbの比を表すWb/Wmは1.5〜2.1である。好ましくはWh/Wmが2.2〜2.5であり、より好ましくはWh/Wmが2.2〜2.4である。好ましくはWb/Wmが1.6〜2.1であり、より好ましくはWb/Wmが1.9〜2.1である。
上記範囲内であると、高いRs/Rpが得られやすいと考えられる。頂部11a近傍の金属層2で反射する偏光と、底部12a近傍の金属層2で反射する偏光との相互作用によるものと考えられる。
本実施の形態において、Wbに対するWhの比を表すWh/Wbは1.4以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、1.1以下がさらに好ましい。前記上限値以下であると、高いRs/Rpが得られる。
本実施形態において、Whは30〜55nmがより好ましく、35〜50nmがさらに好ましい。
Wmは10〜30nmがより好ましく、15〜25nmがさらに好ましい。
Wbは20〜50nmがより好ましく、25〜45nmがさらに好ましい。
WhとWmの差は15〜35nmがより好ましく、20〜30nmがさらに好ましい。
WbとWmの差は5〜30nmがより好ましく、6〜25nmがさらに好ましい。
WhとWbの差は1〜25nmがより好ましく、2〜20nmがさらに好ましい。
凸条11のY方向の高さHgは80〜125nmが好ましく、85〜120nmがより好ましく、90〜115nmがさらに好ましい。
X方向における凸条11のピッチpは60〜150nmが好ましく、70〜130nmがより好ましく、80〜110nmがさらに好ましい。
本実施形態において、後述の第3〜5の実施形態と同様に、光透過性基板1及び金属層2を覆う樹脂層31、32又は33を設けてもよい(図7〜9参照)。
本実施形態において、樹脂層31、32又は33の波長589.3nmにおける屈折率nは1.10〜1.50が好ましく、1.15〜1.45がより好ましく、1.20〜1.40がさらに好ましい。
樹脂層31、32又は33を有する場合、凸条11のY方向の高さHg、及び樹脂層の波長589.3nmにおける屈折率nが、下式1を満たすことが好ましい。
450≦4×n×Hg≦650 式1
上式1を満たすと、可視光領域においてより高いRs/Rpが得られる。前記「4×n×Hg」の値は、451〜649であってもよく、452〜648であってもよく、480〜640であってもよい。
樹脂層31、32又は33を有する実施形態によれば、可視光領域において高いRs/Rpが得られやすい。
具体的には、下記の測定方法で得られる、x軸が波長(単位:nm)、y軸がRs/Rpであるグラフにおいて、x=450nm、x=650nm、y=0及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれた領域の相対面積S1が7000以上であるワイヤグリッド型偏光子が得られる。S1は8000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。
好ましくは、前記グラフにおいて、x=450nm、x=650nm、y=30及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれた領域の相対面積S2が2000以上であるワイヤグリッド型偏光子が得られる。S2は4000以上がより好ましく、10000以上がさらに好ましい。
相対面積S1、S2は、x軸が波長(単位:nm)、y軸がRs/Rpであるグラフにおいて、x=450nm、x=451nm、y=0及びy=1で表される4つの直線で囲まれた四角形の面積を1とするときの相対面積である。
相対面積S1、S2の値が大きいほど、可視光領域における反射光の偏光分離能に優れることを意味する。
相対面積S1、S2の測定方法を、図2、3を用いて説明する。図2は、光透過性基板1及び金属層2が樹脂層32で覆われており、かつ樹脂層32の一部が隣り合う凸条11間の空間の全部に充填されているワイヤグリッド型偏光子の例である。
図2に示すように、ワイヤグリッド型偏光子を、波長450〜650nmにおける反射率が0.7%以下となるように反射防止処理された2枚の反射防止基材42で挟んだ状態で、s偏光反射率及びp偏光反射率をそれぞれ測定する。反射防止基材42としては、反射防止処理された面に対する、波長450〜650nmにおけるp偏光の反射率が0.7%以下のガラスまたはフィルムを用いることができる。
s偏光反射率及びp偏光反射率の測定条件は、入射角度θ3が5°、測定波長450nm〜650nm、波長間隔1nmとする。各波長におけるRs/Rpを求め、x軸が波長(単位:nm)、y軸がRs/Rpであるグラフを作成する。図3はグラフの例である。
得られたグラフに基づき、下記の方法で相対面積S1、S2を求める。
(1)図3に示すように、x=450、x=650、y=0及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれた領域を、x軸方向の幅が1nmである長方形の集合に変換する。
具体的には、波長がλ(nm)のときのRs/Rpの値をr1、波長がλ+1(nm)のときのRs/Rpの値をr2とすると、x=λ、x=λ+1、y=0及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれる領域を、x=λ、x=λ+1、y=0及びy=(r1+r2)/2で表される4つの直線で囲まれる長方形に変換する。λが450〜649である長方形の面積を合計して相対面積S1とする。
(2)前記(1)において、y=0をy=30に変更して相対面積S2を求める。
すなわち、x=450、x=650、y=30及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれた領域を、同様にしてx=λ、x=λ+1、y=30及びy=(r1+r2)/2で表される4つの直線で囲まれる長方形に変換する。λが450〜649である長方形の面積を合計して相対面積S2とする。
<第2の実施形態>
図4は、本発明のワイヤグリッド型偏光子の第2の実施形態を模式的に示す断面図である。図4中符号1は光透過性基板、2は金属層、11は凸条、12は凹溝である。
なお、図4は設計値に基づく模式図であり、実際のワイヤグリッド型偏光子には、製造上不可避の形状の崩れや金属層の厚みの不均一が生じている。
本実施形態において、光透過性基板1の表面には、複数の凸条11と複数の凹溝12が交互に形成されている。複数の凸条11はZ方向に延在し互いに平行である。複数の凹溝12はZ方向に延在し互いに平行である。
凸条11の、Z方向に直交する断面における形状(断面形状)は、頂部11aに向かって幅が漸次縮小する三角形又は略三角形である。凸条11の頂部11aは、Y方向の高さが最も高い部分であり、Z方向に連なって線をなしている。頂部11aを含む頂角は鋭角でもよく、丸みを有する角でもよい。
複数の凸条11の断面形状は均一である。凸条11の下端11cを通りY方向に直交する面を基準面Cとするとき、前記基準面Cにおける凸条11のX方向の幅a、前記基準面Cにおける凸条11のX方向のピッチb、及び基準面Cから凸条11の頂部11aまでのY方向の高さcの設計値はそれぞれ均一である。
X方向において、隣り合う凸条11の間には凹溝12が存在する。凸条11の下端11cより下の部分が凹溝12である。凹溝12のZ方向に直交する断面における形状(断面形状)は、底部12aに向かって溝幅が漸次縮小するテーパ面12bを有する。Y方向における位置が最も低い部分が底部12aである。
前記基準面Cから凹溝12の底部12aから前記基準面CまでのY方向の高さを、凹溝の深さdとする。
本実施形態において、凹溝12の前記断面形状は、テーパ面12bの接線の傾きが一定又は略一定であるV字状である。底部12aは鋭角でもよく、丸みを有する角でもよい。本実施形態において底部12aはZ方向に連なって線をなしている。
複数の凹溝12の断面形状は均一であり、凹溝12の深さdは均一である。
凸条11の下端11cから凸条11の頂部11aまでの面を、凸条11の側面とする。凸条11の頂部11aを挟む2つの側面を、第1の側面11b1及び第2の側面11b2とする。凸条11の下端11cから凹溝12の底部12aまでの面を凹溝12の側面とする。
本実施形態において、凸条11と凹溝12は一体の光透過性基板1の表面に形成されている。すなわち凸条11の頂部11a、凸条11の側面、凹溝12の側面及び凹溝12の底部12aは同じ材料からなる。
金属層2は、凸条11の第1の側面11b1及び第2の側面11b2のうち、少なくとも第1の側面11b1の全面を被覆するように設けられる。凸条11の第1の側面11b1を金属層で被覆する際に、凸条11の頂部11a近傍の第2の側面11b2、及び凸条11の下端11c近傍の凹溝12側面が金属層2で被覆されてもよい。
凸条11の第2の側面11b2は、その全面が金属層2で被覆されることはなく、光透過性基板1が露出している露出面が存在する。
本実施形態のワイヤグリッド型偏光子は以下の方法で製造できる。
まず、光透過性の基材の表面に光硬化性組成物を塗布し、光インプリント法を用いて、前記光硬化性組成物の層に凸条及び凹溝を形成して光透過性基板を作製する。光インプリント法の後に、必要に応じてエッチングを行ってもよい。
光インプリント法は、例えば、電子線描画とエッチングとの組み合わせにより、複数の溝が互いに平行にかつ所定のピッチで形成されたモールドを作製し、前記モールドの溝を、基材の表面に塗布された光硬化性組成物に転写し、同時に前記光硬化性組成物を光硬化させる方法である。
例えば電子線描画及びエッチングにより作製したモールドを親モールド(マスターモールド)として、光インプリント法で複製した子モールドや孫モールドを、前記光硬化性組成物への転写に使用してもよい。
光透過性の基材としては、ガラス板(石英ガラス板、無アルカリガラス板等)、樹脂(環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリイミド樹脂、ポリジメチルシロキサン、透明フッ素樹脂)からなるフィルムが例示できる。
例えば、まず、図5Aに示すように、基材21の表面に、未硬化の光硬化性組成物22を塗布し、得ようとする凸条11及び凹溝12に対応する形状の凹凸が形成されたモールド23を、光硬化性組成物22に押しつける。この状態で放射線(例えば紫外線、電子線)を照射して光硬化性組成物を硬化させた後、図5Bに示すように、モールド23を離型して、光透過性基板1を得る。
光透過性基板1は基材21と一体のまま金属層を形成できる。基材21を後述の支持体としてもよい。必要により金属層の形成前又は形成後に、光透過性基板1と基材21を分離してもよい。
または、図6A、図6Bに示すように、前記モールド23とは形状が異なるモールド24を用いる方法でも光透過性基板1を製造できる。具体的には、まず、基材21上の光硬化性組成物22にモールド24を押し付けて光硬化させることにより、得ようとする凸条11よりも大きい矩形の凸条10が形成された硬化物を得る。この後、図6Cに示すように、硬化物の凸条10をエッチングして、目的の形状の凸条11に加工して光透過性基板1を得る。
このようにして作製した光透過性基板1に金属層2を設けることにより、本実施形態のワイヤグリッド型偏光子が得られる。
金属層2の形成方法は蒸着法が好ましい。蒸着法としては、物理蒸着法(PVD)又は化学蒸着法(CVD)が挙げられる。真空蒸着法、スパッタ法、又はイオンプレーティング法が好ましい。特に、付着させる微粒子の光透過性基板1に対する入射方向の制御が容易である点で、真空蒸着法が好ましい。
本実施形態では、真空蒸着法による斜方蒸着法を用いて、凸条11の第1の側面11b1の全面とその近傍に、金属層2を蒸着させることが好ましい。
具体的には、図4に示すように、Z方向に対して直交又は略直交し、かつY方向に対して第1の側面11b1の側にθ(単位は「°」)の角度(蒸着角度)をなす方向(蒸着方向)から金属又は金属化合物を蒸着して金属層2を形成する。
蒸着量は、所定の金属層2の厚みが得られるように制御する。具体的には、光透過性基板1と同じ成膜環境下にテストピースを置き、テストピース上に成膜される金属層の厚みが目標値となるように蒸着量を制御する。テストピースとしては例えばガラス基板を使用する。膜厚は例えば触針式接触膜厚計で測定する。
本実施形態のワイヤグリッド型偏光子によれば、Rs/Rpを高くできる。例えばRsが50%以上、Rpが10%以下、かつRs/Rpが5以上であるワイヤグリッド型偏光子を実現できる。
本実施形態のワイヤグリッド型偏光子は、凸条11の断面形状を三角形又は略三角形とし、かつ隣り合う凸条11の間に、テーパ面12bを有する凹溝12を設けたことにより、前記図5A及び図5Bに示す製造方法で光透過性基板1を製造する場合の、モールドの形状が形成容易となる。
X方向における凸条11のピッチbは150nm以下が好ましく、130nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。ピッチbの下限は60nm以上が好ましい。ピッチbは60〜150nmが好ましく、70〜130nmがより好ましく、80〜110nmがさらに好ましい。
前記ピッチbに対する前記幅aの比を表すa/bは、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。a/bの下限は0.2以上が好ましい。a/bは0.2〜0.8が好ましく、0.2〜0.7がより好ましく、0.2〜0.5がさらに好ましい。
凸条11のY方向の高さcは125nm以下が好ましく、120nm以下がより好ましく、115nm以下がさらに好ましい。高さcの下限は80nm以上が好ましい。高さcは80〜125nmが好ましく、85〜120nmがより好ましく、90〜115nmがさらに好ましい。
凹溝12の深さdはゼロ超、100nm以下が好ましい。
斜方蒸着法で金属層を形成する際の、蒸着角度θは10〜40°が好ましく、15〜35°がより好ましく、20〜30°がさらに好ましい。
前記高さ(c+d)の1/2の位置における、金属層2のX方向の厚みeは20〜60nmが好ましく、25〜55nmがより好ましく、30〜50nmがさらに好ましい。
前記高さ(c+d)の1/2の位置における、凸条11のX方向の幅a’に対する金属層2のX方向の厚みeの比(a’/e)は0.5〜2が好ましい。
Z方向に直交する断面における、金属層2の断面積をQm、凹溝12の底部12aより上方の光透過性基板1の断面積をQsとしたとき、Qm/Qsは0.2〜5が好ましい。
<第3〜5の実施形態>
図7〜9は、ワイヤグリッド型偏光子の第3〜5の実施形態を模式的に示す断面図である。図4と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
図7に示す第3の実施形態において、光透過性基板1及び金属層2は樹脂層31で覆われており、かつ樹脂層31の一部が隣り合う凸条11間の空間の一部に充填されている。前記空間内の、樹脂層31が充填されていない部分は空気層である。
以下、Y方向における、凹溝12の底部12aから凸条11の頂部11aまでの高さ(c+d)に対して、凹溝12の底部12aから樹脂層31の下端31aまでの高さfの割合を「埋め込み度(単位は%)」という。
なお、図7〜9は設計値に基づく模式図である。実際のワイヤグリッド型偏光子において、凹溝12の底部12aから樹脂層31の下端31aまでの高さfが不均一である場合は、隣り合う2つの凸条間における前記高さfの最小値を測定値とし、任意の5箇所の測定値の平均値を、ワイヤグリッド型偏光子における前記高さfとする。
図8に示す第4の実施形態において、光透過性基板1及び金属層2は樹脂層32で覆われており、かつ樹脂層32の一部が隣り合う凸条11間の空間の全部に充填されている。本実施形態における埋め込み度は0%である。
図9に示す第5の実施形態において、光透過性基板1及び金属層2を覆う樹脂層33の下端33aは、Y方向において凸条11の頂部11aと同じ位置にあり、f=(c+d)である。本実施形態における埋め込み度は100%である。隣り合う凸条11間の空間に樹脂層33は充填されていない。
図7〜9に示すように、樹脂層31、32、33と、その上に積層される部材(図示略)との界面における反射を低減するために、これらの間に屈折率調整層41を設けてもよい。
樹脂層31、32、33は光透過性を有する。樹脂層31、32、33の波長589.3nmにおける屈折率は1.10〜1.50が好ましく、1.15〜1.40がより好ましく、1.20〜1.39がさらに好ましい。樹脂層31、32、33の屈折率が前記範囲の下限値以上であるとインプリントプロセスなどへの良好な耐性が得られやすい。上限値以下であると良好な光学特性が得られやすい。
第3〜5の実施形態のワイヤグリッド型偏光子は、光透過性基板1を作製し、金属層2を設けた後、樹脂層31、32、33で被覆し、さらに屈折率調整層41を積層する方法で製造できる。
例えば、まず、第2の実施形態と同様にして、光透過性基板1及び金属層2を作製する。
次に、例えば樹脂を含む溶液を塗布して乾燥させる方法、又は樹脂を含む溶液を塗布し乾燥させた後に、UV硬化または熱硬化する方法などにより、樹脂層31、32、33を形成する。このとき、例えば事前にコロナ処理などで金属層表面を清浄にする方法、樹脂の分子量を低くして分子サイズを低くする方法などによって埋め込み度を調整できる。
この後、別のガラス基板上に、樹脂を含む溶液を塗布し、乾燥させて塗膜(屈折率調整層)を形成し、前記塗膜を金属層2上に転写する方法などで屈折率調整層41を形成する。凸条11の頂部11aから樹脂層31の上端までの高さgは特に限定されない。
<第6の実施形態>
第1〜5の実施形態において凸条11の断面形状は三角形又は略三角形あるが、図10に示すような、頂部11aがY方向に直交する平坦面である台形でもよい。この場合、頂部11aはZ方向に延びる帯状をなす。頂部11aの平坦面のX方向の幅wが小さければ、第1〜5の実施形態と同様の効果が得られる。
頂部11aの平坦面のX方向の幅wは、凸条のピッチbに対して40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい。前記幅wがゼロ、すなわち凸条11の断面形状は三角形又は略三角形が最も好ましい。
なお、第2〜6の実施形態において凹溝12の断面形状はV字状であるが、テーパ面12bとテーパ面12bの間の底部にY方向に直交する平坦面が存在しても、第2〜6の実施形態と同様の効果が得られる。この場合、底部はZ方向に延びる帯状をなす。底部の平坦面のX方向の幅は、凸条のピッチbに対して20%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
また、第1の実施形態において、凸条と凸条の間は、第2の実施形態と同様に凹溝になっていてもよい。
第1〜6の実施形態において、光透過性基板1の裏面(凸条及び凹溝が設けられている表面とは反対側の面)に、熱可塑性樹脂、ガラス等からなる支持体(図示略)を有してもよい。
ワイヤグリッド型偏光子の光学特性の点から、光透過性基板1の裏面上に支持体(以下、第1の支持体ともいう。)を有することが好ましい。支持体と光透過性基板1との屈折率の差(絶対値)は、0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましい。支持体と光透過性基板1との屈折率の差が0.1以下であれば、前記界面での反射による光量の損失を軽減しやすい。
さらに樹脂層31、32、33を設ける場合には、樹脂層の表面(光透過性基板1側とは反対側の面)上に支持体(以下、第2の支持体ともいう。)を設けてもよい。樹脂層と支持体(第2の支持体)は粘着剤で貼り付けてもよい。第1の支持体と第2の支持体は、材質が同じであってもよく、異なってもよい。
<用途>
本発明のワイヤグリッド型偏光子の好適な用途として、例えば、映像表示装置、偏光板が挙げられる。映像表示装置としては、例えば液晶表示装置、ヘッドアップディスプレイ装置等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
<測定方法>
以下の測定方法を用いた。
[TEM画像におけるHg、Wh、Wm、Wbの測長方法]
図11を参照して説明する。
(1)各例で製造したワイヤグリッド型偏光子をトリミングし、エポキシ樹脂で包埋して硬化させた。硬化後の試料(常温)を、ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製品名ウルトラカット EM UC 6、ダイヤモンドナイフ使用)で切削して、超薄切片を作製した。超薄切片の厚み(設定値)は50nmとした。
作製した超薄切片を、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製品名HT7700)を用い、下記の条件で観察して画像を得た。図11はTEM画像の例である。
加速電圧:100kV、フィラメント電圧:27.2V、エミッション電流:8.5μA、収束レンズ可動絞り:2、対物可動絞り:3、制限視野絞り:0、撮影モード:HR(高分解能)。
(2)TEM画像上で、任意の連続する5個の凸条を測長対象とし、各凸条について、それぞれ基準線を定めた。基準線は測長対象の凸条を挟む2つの底部に接触し、かつ底部と基準線とが接触する部分の長さが最小となる直線とした。各凸条について、基準線に対して平行方向をX方向、直交方向をY方向とした。
例えば、図11において、B1は第1の凸条の基準線であり、B4は第4の凸条の基準線である。各凸条の基準線は互いに平行でなくてもよい。基準線B1に対して平行方向をX1方向、直交方向をY1方向とする。基準線B4に対して平行方向をX4方向、直交方向をY4方向とする。
(3)以下の方法で、5個の凸条のそれぞれについて、Y方向における凸条の高さを求め、その平均をHg(単位:nm)とした。平均値は小数点以下を切り上げた(以下、同様)。
例えば、第1の凸条の高さHg1を以下の手順で求めた。X1方向と平行な直線であって、凸条の頂部に接触し、かつ頂部と接触する部分の長さが最小となる直線を設け、Y1方向における基準線B1から前記直線までの距離を、凸条の高さHg1として計測した。
他の凸条についても、同様にして凸条の高さを求めた。例えば、第4の凸条については、X4方向と平行な直線であって、凸条の頂部に接触し、かつ頂部と接触する部分の長さが最小となる直線を設け、Y4方向における基準線B4から前記直線までの距離を、凸条の高さHg4として計測した。
(4)以下の方法で、5個の凸条のそれぞれについて、凸条の頂部より上側(底部側とは反対側)における金属層の厚さの最大値(以下、上側最大値という。)を求め、その平均をWh(単位:nm)とした。
例えば、第1の凸条の上側最大値Wh1を以下の手順で求めた。凸条の頂部より上側の金属層において、X1方向における金属層の両端をそれぞれ通り、Y1方向に平行な2本の直線を設けた。X1方向における前記2本の直線間の距離の最大値を、上側最大値Wh1として計測した。
他の凸条についても、同様にして上側最大値を求めた。例えば、第4の凸条については、凸条の頂部より上側の金属層において、X4方向における金属層の両端をそれぞれ通り、Y4方向に平行な2本の直線を設けた。X4方向における前記2本の直線間の距離の最大値を、上側最大値Wh4として計測した。
(5)以下の方法で、5個の凸条のそれぞれについて、金属層の厚さの最小値を求め、その平均をWm(単位:nm)とした。
例えば、第1の凸条の前記厚さの最小値Wm1を以下の手順で求めた。X1方向における金属層の両端をそれぞれ通り、Y1方向に平行な2本の直線を設けた。X1方向における前記2本の直線間の距離の最小値を、前記厚さの最小値Wm1として計測した。
他の凸条についても、同様にして前記厚さの最小値を求めた。例えば、第4の凸条については、X4方向における金属層の両端をそれぞれ通り、Y4方向に平行な2本の直線を設けた。X4方向における前記2本の直線間の距離の最小値を、前記厚さの最小値Wm4として計測した。
(6)以下の方法で、5個の凸条のそれぞれについて、凸条の底部から頂部までの高さの1/2の位置より底部側における金属層の厚さの最大値(以下、底部側最大値という。)を求め、その平均をWb(単位:nm)とした。
例えば、第1の凸条の底部側最大値Wb1を以下の手順で求めた。凸条の底部から頂部までの高さの1/2の位置より底部側の金属層において、X1方向における金属層の両端をそれぞれ通り、Y1方向に平行な2本の直線を設けた。X1方向における前記2本の直線間の距離の最大値を、底部側最大値Wb1として計測した。
他の凸条についても、同様にして底部側最大値を求めた。例えば、第4の凸条については、凸条の底部から頂部までの高さの1/2の位置より底部側の金属層において、X4方向における金属層の両端をそれぞれ通り、Y4方向に平行な2本の直線を設けた。X4方向における前記2本の直線間の距離の最大値を、底部側最大値Wb4として計測した。
[Rs/Rp、面積S1、S2の測定方法]
(1)各例で製造したワイヤグリッド型偏光子を、図2に示すように、空気に接する面が反射防止処理された2枚の反射防止基材42で挟んだ状態で、s偏光反射率(単位:%)及びp偏光反射率(単位:%)をそれぞれ測定した。本例では、偏光を入射させる側に設ける反射防止基材42として、反射防止処理されたガラス(以下、反射防止ガラスとする)を用い、偏光が出射する側(透過する側)に設ける反射防止基材42として、反射防止処理されたフィルム(以下、反射防止フィルムとする)を用いた。
なお予め、反射防止ガラスおよび反射防止フィルムの反射率を以下の方法で測定し、反射率が0.7%以下であることを確認した。
反射防止ガラスの裏面に黒色塗料層を形成して、裏面からの反射を抑えた状態で、表面に入射角度5°で波長450〜650nmのp偏光を入射して反射率を測定した。測定装置は、紫外可視分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス社製品名UH−4150)を用いた。測定波長は450nm〜650nm、波長間隔は1nm、スリットは4nm固定、スキャンスピードは300nm/分とした。
反射防止フィルムについては、裏面に粘着層を介してガラスを貼り合わせ、フィルムを平坦にした。前記ガラスの露出面(粘着層と反対側)に黒色塗料層を形成して、裏面からの反射を抑えた状態とした。得られた反射防止フィルムとガラスの積層体について、反射防止ガラスと同じ条件で反射防止フィルム表面の反射率を測定した。
(2)s偏光反射率(Rs)は、紫外可視分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス社製品名UH−4150)を用いて測定した。具体的には、測定対象のワイヤグリッド型偏光子と光源との間に、付属の偏光子を、ワイヤグリッド型偏光子の凸条の長さ方向(Z方向)と、偏光子の吸収軸とが直交する向きにセットした。ワイヤグリッド型偏光子の表面側(凸条が形成された側)から偏光を入射して、s偏光反射率を測定した。入射角度θ3は5°とした。測定波長は450nm〜650nm、波長間隔は1nm、スリットは4nm固定、スキャンスピードは300nm/分とした。
(3)前記(2)において、付属の偏光子の向きを、Z方向と偏光子の吸収軸とが平行となる向きに変更した。それ以外は同様にしてp偏光反射率(Rp)を測定した。
(4)各波長におけるRs/Rpを算出し、x軸が波長(単位:nm)、y軸がRs/Rpであるグラフを作成した。
(5)得られたグラフに基づき、前述の方法で相対面積S1、S2を求めた。
<調製例1:光硬化性組成物の調製>
以下の(1)〜(4)を混合して光硬化性組成物を調製した。
(1)単量体1(新中村化学工業社製、NK エステル A−DPH、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を40g、
(2)単量体2(新中村化学工業社製、NK エステル A−HD−N、ヘキサンジオールジアクリレート)を60g、
(3)光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、IRGACURE907)を4.0g、及び
(4)含フッ素界面活性剤(旭硝子社製、フルオロアクリレート(CH=CHCOO(CH(CFF)とブチルアクリレートとのコオリゴマー、フッ素含有量:約30質量%、質量平均分子量:約3000)を0.1g。
<例1〜7>
例1〜4は実施例、例5〜7は比較例である。
光インプリント法を用いて光透過性基板1を作製し、斜方蒸着法を用いて金属層2を形成して、ワイヤグリッド型偏光子を製造した。
具体的には、図5A、図5Bに例示する方法を用いて、図1A及び図1B、図2に示す構成を有する光透過性基板を作製した。
基材21として、厚さ100μmの環状ポリオレフィンフィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム、100mm×100mm)を用いた。
基材21の表面に、調製例1で得た光硬化性組成物22をスピンコート法により塗布し、厚さ5μmの塗膜を形成した。
得ようとする凸条に対応する形状の凹部が形成された石英製モールド23を、凹部の全面が光硬化性組成物22に接するように、25℃にて0.5MPa(ゲージ圧)の押圧力で、光硬化性組成物22の塗膜に押しつけた。
この状態を保持したまま、基材21側から高圧水銀灯(周波数:1.5kHz〜2.0kHz、主波長光:255nm、315nm及び365nm、365nmにおける照射エネルギー:1000mJ。)の光を15秒間照射し、光硬化性組成物22を硬化させた後、石英製モールドをゆっくり分離して、基材21上に光透過性基板1を作製した。
真空蒸着装置(昭和真空社製、SEC−16CM)を用い、光透過性基板1の凸条11の第1の側面11b1の全面とその近傍に、アルミニウムを蒸着し、金属層2を形成した。蒸着角度(θ1、θ2)が連続的に増大するように、蒸着源と光透過性基板1を相対的に移動させた。
光透過性基板1の凸条11の高さHg、蒸着角度の範囲、及び蒸着量(基準の蒸着角度及び蒸着膜厚)を表1に示すとおりに変化させて、金属層2の形状が異なるワイヤグリッド型偏光子を製造した。蒸着量は、蒸着面がY方向に対して垂直となるように固定したテストピースに対して、基準の蒸着角度で成膜したときに、基準の蒸着膜厚となるように設定した。凸条11のピッチpは90nmで一定とした。蒸着後は、図11の例で示されるように、第1の側面11b1の全面は金属層2で被覆され、第2の側面11b2には金属層2で被覆されていない露出面が存在した。
さらに樹脂層32を設けた。各例の樹脂層32の波長589.3nmにおける屈折率(n)を表1に示す。
各例で得られたワイヤグリッド型偏光子について、上記の方法で、Hg、Wh、Wm、Wbを測長し、表1に示す各項目の値を求めた。上記の方法でRs/Rpを測定して図12に示すグラフを得た。得られたグラフに基づき、上記の方法で面積S1、S2を求めた。これらの結果を表1に示す。
Figure 2020071257
表1の結果に示されるように、例1〜4は例5〜7と比較して、波長450〜650における面積S1及び面積S2が大きく、可視光領域におけるRs/Rpの比が高かった。
以下の例8〜25は、ワイヤグリッド型偏光子の設計値に基づいて、性能をシミュレーションした参考例である。
各例のワイヤグリッド型偏光子について、厳密結合波解析計算(Rigorous coupled−wave analysis:RCWA)により性能をシミュレーションした。
入射光の波長は400〜1000nm、入射方向はY方向とし、p偏光の反射率(以下、「Rp」ともいう。)及びs偏光の反射率(以下、「Rs」ともいう。)を計算により求めた。
金属層の材料はアルミニウムとし、金属層2の厚みeは30nmとした。前記計算において金属層の屈折率及び消衰係数は、以下の実測値を用いた。フィルム基材上に光硬化性樹脂を塗布した。前記光硬化性樹脂の上にアルミニウムを40°斜方蒸着し、厚さが30nmの平坦膜を作成した。前記平坦膜をエリプソメーターで測定・解析して屈折率及び消衰係数を求めた。
<例8〜10>
本例では、図8に示すような、樹脂層を有し埋め込み度が0%であるワイヤグリッド型偏光子において、凸条の形状を変化させてシミュレーションした。ただし屈折率調整層41は設けない(以下、同様)。
凸条の断面形状は、例8が図8に示す三角形、例9が図10に示す台形(頂部の平坦面のX方向の幅wは10nm)、例10が図13に示す矩形とした。設計値を表2、3に示す。表2は以下の例においても共通の設計値である。図14はRpの結果、図15はRsの結果である。
これらの結果に示されるように、凸条の断面形状が三角形又は台形であると、矩形の場合に比べて、400〜1000nmの全波長域でRpを低くできる。またRsの波長依存性に対する断面形状の影響は小さい。したがって、凸条の断面形状が三角形又は台形であるとRsを高く維持しつつ、Rpを低減でき、その結果Rs/Rpの比を高くできる。
<例11〜15>
本例では、図7〜9に示すような、樹脂層を有するワイヤグリッド型偏光子において、樹脂層の埋め込み度(f/(c+d)×100、単位%)を変化させてシミュレーションした。設計値を表2、3に示す。例11〜15において、a’/eは1.21、Qm/Qsは0.35である。図16はRpの結果、図17はRsの結果である。
これらの結果に示されるように、埋め込み度によってRpの波長依存性を調整できる。Rsの波長依存性に対する埋め込み度の影響は小さい。全波長域において埋め込み度がゼロに近いほどRsが高い傾向がある。
特に、埋め込み度が0%付近又は100%付近であると、400〜1000nmの全波長域でRpが低く維持される。また、埋め込み度が25〜75%であると、波長が長くなるにしたがってRpが低くなり、特に700nm以上の長波長側でのRp低減効果に優れる。
<例16〜20>
本例では、図8に示すような、樹脂層を有し埋め込み度が0%であるワイヤグリッド型偏光子において、樹脂層の屈折率(n)を変化させてシミュレーションした。設計値を表2、3に示す。図18はRpの結果、図19はRsの結果である。
これらの結果に示されるように、550〜750nmの波長域において樹脂層の屈折率(n)が1に近いほどRpが低くなる。Rsの波長依存性に対する樹脂層の屈折率の影響は小さい。全波長域において屈折率(n)が1に近いほどRsが高い傾向がある。
<例21〜25>
本例では、図8に示すような、樹脂層を有し埋め込み度が0%であるワイヤグリッド型偏光子において、凸条のピッチbを変化させてシミュレーションした。a/bが0.45となるようにaの値も変化させた。設計値を表2、3に示す。図20はRpの結果、図21はRsの結果である。
これらの結果に示されるように、400nmに近い短波長域ではピッチが狭いほどRpが低く、500nm以上の波長域ではピッチが広いほどRpが低くなる。Rsの波長依存性に対するピッチの影響は小さい。全波長域においてピッチが狭いほどRsが高い傾向がある。
Figure 2020071257
Figure 2020071257
<製造例1:ワイヤグリッド型偏光子の製造>
例1と同様の手順で基材21上に光透過性基板1を作製した後、下記の方法で金属層を形成し、裏面上に基材21を有するワイヤグリッド型偏光子を得た。
蒸着源に対向する光透過性基板1の傾きを変更可能な真空蒸着装置(昭和真空社製、SEC−16CM)を用い、光透過性基板1の凸条に斜方蒸着法にてアルミニウムを蒸着させ、金属層を形成した。蒸着角度θは27°とした。
金属層を蒸着する前の光透過性基板1の断面の走査型電子顕微鏡像を図22に示す。
得られたワイヤグリッド型偏光子の断面の走査型電子顕微鏡像を図23に示す。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2018年10月1日付で出願された日本特許出願(特願2018−186780)に基づいており、その全体が引用により援用される。
Rs/Rpが高いワイヤグリッド型偏光子は、反射光に含まれるs偏光を利用する光学系を備えた映像表示装置に適用できる。
1 光透過性基板
2 金属層
10 凸条(エッチング前)
11 凸条
11a 頂部
11b1 第1の側面
11b2 第2の側面
11c 凸条の下端
12 凹溝
12a 底部
21 基材
22 光硬化性組成物
23、24 モールド
31、32、33 樹脂層
31a、33a 下端
41 屈折率調整層
42 反射防止基材

Claims (10)

  1. 表面に、互いに平行な凸条が所定のピッチで形成された光透過性基板と、前記光透過性基板の表面上に設けられた、金属又は金属化合物からなる金属層とを有し、
    前記凸条の、長さ方向に直交する断面形状は、頂部に向かって幅が漸次縮小し、前記凸条の頂部を挟む第1の側面及び第2の側面のうち、少なくとも前記第1の側面の全面は前記金属層で被覆されており、かつ前記第2の側面には前記金属層で被覆されていない露出面が存在し、
    前記凸条の長さ方向に直交する断面において、
    前記凸条の底部から頂部までの高さが80〜125nmであり、
    前記第1の側面を覆う前記金属層の前記凸条の幅方向における厚さの最小値をWm、
    前記凸条の底部から頂部までの高さの1/2の位置より底部側の前記第1の側面を覆う前記金属層の前記凸条の幅方向における厚さの最大値をWb、
    前記凸条の頂部より前記底部側とは反対側に存在する前記金属層の前記凸条の幅方向における厚さの最大値をWhとするとき、
    前記Wmに対する前記Whの比が2.2〜3.0であり、かつ前記Wmに対する前記Wbの比が1.5〜2.1である、ワイヤグリッド型偏光子。
  2. 前記Wbに対する前記Whの比が1.4以下である、請求項1に記載のワイヤグリッド型偏光子。
  3. 前記光透過性基板及び前記金属層を覆う樹脂層を有する、請求項1又は2に記載のワイヤグリッド型偏光子。
  4. 前記凸条の底部から頂部までの高さHg、及び前記樹脂層の波長589.3nmにおける屈折率nが、下式1を満たす、請求項3に記載のワイヤグリッド型偏光子。
    450≦4×n×Hg≦650 式1
  5. 下記の測定方法で得られる、x軸が波長、y軸がRs/Rpであるグラフにおいて、x=450nm、x=451nm、y=0及びy=1で表される4つの直線で囲まれた四角形の面積を1とするとき、x=450nm、x=650nm、y=0及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれた領域の相対面積S1が7000以上である、請求項3又は4に記載のワイヤグリッド型偏光子。
    測定方法:ワイヤグリッド型偏光子を、波長450〜650nmにおける反射率が0.7%以下である2枚の反射防止基材で挟み、入射角度5°、測定波長450nm〜650nm、波長間隔1nmの条件で、s偏光反射率及びp偏光反射率をそれぞれ測定し、p偏光反射率に対するs偏光反射率の比であるRs/Rpを求め、x軸が波長、y軸がRs/Rpであるグラフを作成する。
  6. 表面に、互いに平行な凸条が所定のピッチで形成された光透過性基板と、前記光透過性基板の表面上に設けられた、金属又は金属化合物からなる金属層とを有し、
    前記凸条の、長さ方向に直交する断面形状は、頂部に向かって幅が漸次縮小し、前記凸条の頂部を挟む第1の側面及び第2の側面のうち、少なくとも前記第1の側面の全面は前記金属層で被覆されており、かつ前記第2の側面には前記金属層で被覆されていない露出面が存在し、
    前記光透過性基板及び前記金属層を覆う樹脂層を有し、
    下記の測定方法で得られる、x軸が波長、y軸がRs/Rpであるグラフにおいて、x=450nm、x=451nm、y=0及びy=1で表される4つの直線で囲まれた四角形の面積を1とするとき、x=450nm、x=650nm、y=0及びy=Rs/Rpで表される4つの線で囲まれた領域の相対面積S1が7000以上である、ワイヤグリッド型偏光子。
    測定方法:ワイヤグリッド型偏光子を、波長450〜650nmにおける反射率が0.7%以下である2枚の反射防止基材で挟み、入射角度5°、測定波長450nm〜650nm、波長間隔1nmの条件で、s偏光反射率及びp偏光反射率をそれぞれ測定し、p偏光反射率に対するs偏光反射率の比であるRs/Rpを求め、x軸が波長、y軸がRs/Rpであるグラフを作成する。
  7. 前記光透過性基板の裏面上に第1の支持体を有し、かつ前記樹脂層の前記光透過性基板側とは反対側の面上に粘着剤を介して第2の支持体を有する、請求項3〜6のいずれか一項に記載のワイヤグリッド型偏光子。
  8. 前記光透過性基板の裏面上に第1の支持体を有し、かつ前記樹脂層の前記光透過性基板側とは反対側の面上に屈折率調整層を有する、請求項3〜6のいずれか一項に記載のワイヤグリッド型偏光子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤグリッド型偏光子を含む偏光板。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤグリッド型偏光子を含む映像表示装置。
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