JPWO2020067224A1 - スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよびダイレクトデジタル製版用メッシュ織物 - Google Patents

スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントおよびダイレクトデジタル製版用メッシュ織物 Download PDF

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Abstract

本発明は、染色工程を不要とし、ポジフィルムを介さず直接製版するダイレクトデジタル製版に好適な、乳剤硬化時間の短縮により短時間で高精細なスクリーン印刷を行うことを可能とする、レーザーの透過性に優れ且つ製織での高次通過性にも優れたスクリーン紗用のポリエステルモノフィラメントを提供する。本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、波長405nmを照射した際の透過率が30%以上であり、破断強度が4.3〜9.0cN/dtex、破断伸度が11.0〜50.0%、10%モジュラスが2.5〜9.0cN/dtexとするものである。

Description

本発明は、スクリーン紗用途のハイメッシュ織物に好適なポリエステルモノフィラメントに関するものである。さらに詳しくは、コンピュータを用いたデジタル処理により、ポジフィルムを介さず染色工程を不要とした直接製版・印刷を行う、新規高精細印刷技術であるダイレクトデジタル製版に好適なスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントに関するものである。
従来、スクリーン印刷用織物としては、天然繊維や無機繊維からなるメッシュ織物が広く使用されてきた。しかし、近年は、柔軟性や耐久性およびコストパフォーマンスに優れる合繊メッシュ、中でもポリエステルからなるメッシュ織物が広く用いられ、捺染印刷や銘版印刷、コンパクトディスクのレーベル印刷などのグラフィックデザイン物の高精密印刷、電子基板回路印刷等、幅広い用途で使用されている。近年加速している電子機器の高機能化やコンパクト化に伴い、基板回路もまた精密化・コンパクト化しており、スクリーン紗に対しては、高印刷精度であることが強く求められている。
このような印刷精度の向上といった要求特性を満足すべく、構成要素であるモノフィラメントの高強度・高モジュラス化が進んでいるが、その一方で、製版工程においても技術革新が進んでいる。従来のスクリーン印刷は、整経・製織により得られた生機をハレーション抑制のために黄色に染色し、熱セットすることで加工反を製作する。この加工反を高テンションで版枠に紗張りし、ジアゾ系を主とする感光乳剤を塗布した後、露光の工程にてポジフィルムと版を圧着し、紫外線照射により感光乳剤を固化させる。その後、感光乳剤の不固化部分を除去してネガを作製し、版枠内に塗布材料を充填させた後スキージングにより被写体に塗布剤を塗布し印刷を行う。製版・印刷の工程において、印刷精度の観点から最も重要とされるのはポジフィルムと印刷版との位置合わせの工程である。両者の位置合わせが印刷精度に直結する一方で、位置合わせの作業は作業者の経験・知識・感覚に依存するところが大きく、人為的な要素が大きいためバラツキも生じやすくなる。
この問題を解消すべく、ダイレクトデジタル製版と呼ばれる新たな製版・印刷技術の開発が進められている。ダイレクトデジタル製版とは、コンピュータにより印刷パターンをデジタル化し、光学的な出力によりレーザーで製版面の感光乳剤を処理し、直接露光して印刷版にパターンを形成する製版・印刷技術である。直接コンピュータにより印刷パターンを形成させるため、ポジフィルムを必要とせず、ポジフィルムのコスト低減が可能であるとともにポジフィルムとの合わせがなくなるため、従来のスクリーン印刷手法に比べ、印刷精度が向上する。
また、従来のスクリーン印刷手法では、露光および感光乳剤硬化の工程においてハレーションが発生し、印刷精度が低下するため、ハレーションを防止するための処理が必要不可欠であった。例えば、一般的なスクリーン紗用モノフィラメントである特許文献1や特許文献2では、艶消し剤としても知られる酸化チタンを含有させるとともに、染色工程においてスクリーン紗を黄色に染色することで、ハレーションを防止している。一方で、酸化チタンに加え、ポリマー自体にハレーションを防止する化学物質を含有させる事例もある。特許文献3では、有機化合物系の黄色顔料をポリマーに含有させる原着モノフィラメントの提案がなされており、ハレーション防止の効果に加え、染色工程が不要となるため、環境負荷を低減することができる。また、特許文献4では、ポリマーに紫外線吸収剤を含有させ、スクリーン紗を黄色に染色し露光および感光乳剤硬化を行うことで、ハレーション防止効果を向上させている。
このように、従来のスクリーン印刷手法では、ハレーションを防止するために酸化チタンを含有させ、スクリーン紗を黄色にすることが必要不可欠である。その一方で、衣料用のマルチフィラメントにおいてはその限りではなく、例えば特許文献5のように、酸化チタンの含有量を低減することで、透明性が高く審美性に優れた衣料用織物が提案されている。
日本国特開2009−228175号公報 国際公開第2011/086954号 日本国特開2009−221620号公報 日本国特開2011−16279号公報 日本国特開2016−41859号公報
上記したように、従来のスクリーン印刷では、露光および感光乳剤硬化時のハレーションを防止するための処理が必要不可欠であったが、ダイレクトデジタル製版ではハレーションの影響が少ないため、酸化チタンの含有やスクリーン紗の色味といった制約がない。その結果、露光時に用いるレーザーの透過性に優れた、透明な原糸をスクリーン紗に使用することで、感光乳剤の硬化時間を大幅に短縮することができる。感光乳剤の硬化時間の短縮により、製版工程を効率化することができ、短時間で高精度の印刷が可能となる。この観点から、ダイレクトデジタル製版に用いるスクリーン紗用モノフィラメントとしては、レーザーの透過性に優れた透明なブライトモノフィラメントが好適である。
特許文献1や特許文献2記載のモノフィラメントでは、上記したように酸化チタンを含有させ、染色工程でスクリーン紗を黄色に染色している。この場合、酸化チタンや染料がレーザーの透過を妨げてしまうため、ダイレクトデジタル製版に好適であるとは言い難い。特許文献3では、酸化チタンに加え、有機化合物系の顔料を含有させているが、やはりレーザーの透過を阻害してしまうという観点から、ダイレクトデジタル製版に好適とは言い難い。特許文献4についても、黄色の染料がレーザーの透過を妨げる要因になることに加え、染色加工時の収縮によりスクリーン紗の強度およびモジュラスが低下し、スクリーン紗の寸法安定性および印刷精度が低下する。よって、スクリーン紗の色味に制約のないダイレクトデジタル製版においては、やはり好適とは言い難い。
また、特許文献5記載の衣料用マルチフィラメントは、透明性および審美性を改良するため、酸化チタン含有量を低減しているが、スクリーン紗は衣料用織物に比べて品質要求が高く、特許文献5記載の技術をスクリーン紗用モノフィラメントに応用しても、製織における筬との擦過抵抗に耐えることはできない。すなわち酸化チタン等、繊維表面に微小な凹凸を形成する金属粒子の含有量が少ないため、原糸と金属の摩擦係数が高くなり、製織での毛羽立ちやスカム等の印刷欠点を生じることは自明である。また、モノフィラメントに対しマルチフィラメントは繊維径の均一性に劣ることから、スクリーン紗用の原糸としては好ましくない。
ダイレクトデジタル製版に好適なブライトモノフィラメントを得る上では、原糸に優れた透過性を付与すると同時に、製織での毛羽立ち・スカム欠点を如何に抑制するかが重要と考える。
そこで本発明の目的は、ポジフィルムを介さず染色工程を不要とした直接製版するダイレクトデジタル製版に好適な、乳剤硬化時間の短縮できるレーザーの透過性に優れた、かつ製織での高次通過性にも優れたモノフィラメントを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、下記の(1)〜(3)のいずれかの構成を備える。
(1)波長405nmを照射した際の透過率が30%以上であり、破断強度が4.3〜9.0cN/dtex、破断伸度が11.0〜50.0%、10%モジュラスが2.5〜9.0cN/dtexであるスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
(2)原糸と梨地金属間の動摩擦係数が0.100〜0.170である前記(1)記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
(3)前記(1)または(2)記載のポリエステルモノフィラメントが、経糸および緯糸のうちの少なくとも一方の少なくとも一部に配されたダイレクトデジタル製版用メッシュ織物。
本発明によれば、露光に用いる波長405nmにおいて優れた透過性を有する本発明のモノフィラメントは、ダイレクトデジタル製版に好適で、乳剤硬化時間を短縮でき、短時間で高精細なスクリーン印刷を行うことが可能であるとともに、製織時に生じる毛羽立ちやスカム等の印刷欠点の抑制を可能とする。
図1は、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの透過率を測定する際の試料作製方法を説明するための概略図である。 図2は、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおける原糸と梨地金属間の動摩擦係数を測定する方法を説明するための概略図である。 図3は、本発明で用いられる2工程法における紡糸装置の一例を示す概略図である。 図4は、本発明で用いられる2工程法における延伸装置の一例を示す概略図である。 図5は、本発明で用いられる1工程法(直接紡糸延伸法)における製糸装置の一例を示す概略図である。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、ポリエチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステルモノフィラメントである。ここで、「主たる構成成分」とは、全構成成分中の60wt%以上を占める成分をいい、「ポリエチレンテレフタレートを主たる構成成分とする」とは、モノフィラメントを構成する樹脂成分に対してポリエチレンテレフタレートが60wt%以上含有されていることを示す。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、厚さ2mmの透明アクリル板に0.018g/cmの密度で一定方向かつ均一に巻きつけたモノフィラメントに対する波長405nmを照射した際の透過率が30%以上である。
図1は、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおける透過率を測定する際の試料作製方法を説明するための概略図である。
図1に示されるように、厚み2mmの透明アクリル板1を整列巻き評価装置2に設置し、透明アクリル板1をトラバース運動させながら回転させる。解舒ガイド3を介して、ニップロール4、テンサー5、方向転換ロール6および糸道規制ガイド7を通して解舒走行させたモノフィラメントYを、0.018g/cmの密度で一定方向かつ均一に回転中の透明アクリル板1へ巻き付け、プレート巻試料8を製作する。その後、分光測色計にプレート巻試料8を設置した後、乳剤硬化に使用するレーザーの波長405nmにおけるプレート巻試料8の透過率T1を測定する。一方、透明アクリル板1単体でも、波長405nmに対し一定の吸収を示すことから、同様に透明アクリル板1単体での405nmにおける透過率(T0=10%)を測定し、下記の式(1)に従い、405nmにおけるスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの透過率(T2)を算出する。
T2(%)=T1+(100−T0) ・・・(1)
本発明者らが鋭意検討した結果、ダイレクトデジタル製版用途のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおいて、波長405nmに対する透過率を30%以上とすることが重要であることがわかった。透過率が30%以上のモノフィラメントを用いることで、乳剤硬化に必要なレーザーを照射した場合の乳剤硬化時間を短縮することができ、短時間で精度の高いスクリーン印刷が可能となる。透過率が30%を下回る場合、短時間では乳剤硬化が不十分となり、設計通りのパターンで印刷することができなくなる場合がある。波長405nmを照射した際のモノフィラメントのより好ましい透過率は35%以上である。透過率の上限は特に限定されないが、製織工程における高次通過性の観点から、80%以下であることが好ましく、70%以下がより好ましい。
このような、波長405nmに対する透過率の高いモノフィラメントを得るためには、例えばポリエステルに含有させる酸化チタンの含有量を抑制したブライトポリエステルを用いることが好ましい。他の手法でも、透過率の高いブライトモノフィラメントを得ることは可能であるが、艶消し剤として一般的に知られる酸化チタンの含有量を極小化することが好ましく、好ましい酸化チタンの含有量は0.030wt%以下であり、より好ましくは0.027wt%以下である。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とする、90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートにより形成される。ただし、本発明の特徴である波長405nmに対する透過率を阻害しない限りでは、10モル%未満の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであってもよい。また、本発明の特徴である透過率を阻害しない範囲で、金属触媒や無機粒子、滑剤、抗酸化剤、難燃剤、帯電防止剤等を必要に応じてポリエチレンテレフタレートに添加することができる。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおける糸の固有粘度は、得られるモノフィラメントの強度および製糸安定性から0.60〜0.90とすることが好ましく、より好ましい範囲は0.60〜0.82である。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおける糸の横断面形態は、単成分・芯鞘複合のいずれの形態も取ることができる。ただし、芯鞘複合糸の場合、芯鞘の界面でレーザーが反射・散乱する可能性があることから、モノフィラメントは単成分糸であることが好ましい。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、破断強度が4.3〜9.0cN/dtex、破断伸度が11.0〜50.0%である。強度が高く伸度が低すぎると、伸長しろがなくなり、製糸および製織での工程通過性が低下し糸切れが多発するため、破断強度9.0cN/dtex以下、破断伸度11.0%以上とし、好ましくは破断強度6.2cN/dtex以下、破断伸度25.0%以上である。また、強度が低く伸度が高すぎると、スクリーン紗とした場合に紗伸びが発生し、優れた寸法安定性を得られず印刷精度が低下してしまうことがあるため、破断強度4.3cN/dtex以上、破断伸度50.0%以下とする。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、10%モジュラスが2.5〜9.0cN/dtexである。10%モジュラスが低すぎると紗張り安定性が得られず、印刷精度が低下する場合がある。一方、10%モジュラスが高すぎる場合、繊維表面が高配向となり、製織時に発生する毛羽立ち欠点やスカム欠点を抑制することが困難となる場合がある。よって、10%モジュラスは2.5〜9.0cN/dtexであり、好ましい10%モジュラスは2.8〜5.0cN/dtexである。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの単繊維繊度は、スクリーン紗用途でのニーズから65.0dtex以下であることが好ましく、製糸性から4.0dtex以上であることが好ましい。より好ましくは、8.0〜62.0dtexである。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおける沸水収縮率は5.0〜12.0%であることが好ましい。モノフィラメントの結晶化が過剰に進行した場合、沸水収縮率は低下するが、過剰な結晶化の進行により糸が白化する場合がある。その場合、本発明の特徴である波長405nmに対する透過率を阻害する可能性があるため、沸水収縮率は5.0%以上であることが好ましい。また、沸水収縮率を12.0%以内とすることで、熱セット時の寸法安定性を得ることができるため、沸水収縮率は12.0%以内であることが好ましい。より好ましくは、沸水収縮率は6.0〜10.0%である。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおける原糸と梨地金属間の動摩擦係数(以下、原糸−梨地金属間の動摩擦係数ともいう。)は、0.100〜0.170であることが好ましい。梨地金属とは、表面に微細な凹凸が施された金属をいい、本発明では表面粗度が6Sの梨地金属を用いたときの原糸と梨地金属の間における動摩擦係数を測定する。原糸−梨地金属間の動摩擦係数を0.170以下とすることで、製織での筬との擦過抵抗による糸表面の削れを抑制することができ、削り節上の毛羽立ち欠点や粉状のスカム欠点による印刷欠点を抑制し、スクリーン紗の印刷精度を向上させることができる。例えば、潤滑剤としての機能を果たす酸化チタン等の無機粒子の含有量を極小化したブライトモノフィラメントでは、原糸−梨地金属間の動摩擦係数を抑制し、製織での工程通過性を向上させることが重要であり、原糸−梨地金属間の動摩擦係数は0.170以下とすることが好ましい。一方、原糸−梨地金属間の動摩擦係数を0.100以上とすることで、製糸および製織工程での張力不足による工程通過性の低下を抑制することができるため、原糸−梨地金属間の動摩擦係数は0.100以上であることが好ましい。より好ましい原糸−梨地金属間の動摩擦係数は0.130以上である。
また、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおける延伸糸の油分付着量は0.10〜0.70wt%であることが好ましい。油分付着量を0.10wt%以上とすることで、原糸−梨地金属間の動摩擦係数の上昇を抑えるとともに、油膜の形成不足により生じる毛羽立ち欠点やスカム欠点を抑制することができる。一方、油分付着量を0.70wt%以下とすることで、製織工程における筬との擦過による油分の脱落を抑制し、スカム欠点を抑制することが可能である。よって、好ましい油分付着量は、0.10〜0.70wt%であり、より好ましくは0.10〜0.50wt%である。
次に、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法について説明する。本発明のポリエステルモノフィラメントの紡糸方法は、特に限定するものではなく、公知の技術に準ずることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートを溶融押出し、所定の紡糸パック内でポリエチレンテレフタレートを濾過した後、紡糸口金から吐出した糸条を冷却風により固化させ、給油ロールにより油剤を付着させた後、ゴデットロールを介して引き取り、未延伸糸を得る。この未延伸糸は一旦巻き取ってから、延伸機にて延伸する2工程法でもよいし、未延伸糸を一旦巻き取ることなく、引き続き延伸を行う1工程法(直接紡糸延伸法)でもよい。繊維表面の配向抑制を目的に、紡糸口金から吐出せしめた後、積極加熱した保温筒の中を通過させてもよい。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおいて付与する油剤には、エマルション中で水分を除外した油成分濃度として、高次通過性の観点から、脂肪酸アルキルエステル系の平滑剤が45〜65wt%含有されることが好ましく、より好ましくは50〜60wt%である。例えば、潤滑剤としての機能を果たす酸化チタン等の無機粒子の含有量を極小化したブライトポリエステルモノフィラメントでは、一般的なスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントに比べ、繊維表面に微小な凹凸を形成し難いため原糸−梨地金属間の動摩擦係数が上昇し、脂肪酸アルキルエステル系の平滑剤の添加だけでは、製織での筬との擦過抵抗により生じる毛羽立ち欠点やスカム欠点を抑制することは困難である。
そこで、エマルション中に、水分を除外した油成分濃度として、平滑剤であるシリコーン変性物を6〜8wt%含有させることで、原糸−梨地金属間の動摩擦係数の抑制が可能となる。シリコーン変性物を6wt%以上含有せしめることにより、ブライトポリエステルモノフィラメントにおいて、製織での筬との擦過抵抗に耐え得るまで、原糸−梨地金属間の動摩擦係数を抑制することが可能となる。一方、シリコーン変性物の含有量が8wt%を超えたところで、原糸−梨地金属間の動摩擦係数はサチュレーションを起こし、それ以上の原糸−梨地金属間の動摩擦係数の抑制効果が得られなくなる場合がある。シリコーン変性物の含有量を8wt%以下とすることで、表面張力の低下による給油ローラー上での油膜の不安定化および油剤の均一付着性の低下を抑制することができ、毛羽立ち・スカム欠点を防止することができる。よって、ブライトポリエステルモノフィラメントにおいては、エマルション中に含有させるシリコーン変性物の含有量は、水分を除外した油成分濃度として6〜8wt%であることが好ましく、より好ましくは、7〜8wt%である。
本発明のポリエステルモノフィラメントに付与する油剤には、平滑性を損なわない範囲で、アルキルスルホネート等の制電剤や、アルキルホスフェート等の極圧剤、油膜強化剤、乳化剤、pH調整剤、防腐剤等を添加してもよい。
本発明のポリエステルモノフィラメントに付与する油剤のエマルション濃度は、油剤の飛散および給油ローラー上の油膜の安定性の観点から、2〜12wt%であることが好ましく、より好ましくは2〜10wt%である。
本発明のポリエステルモノフィラメントの紡糸速度、すなわち未延伸糸を得るために介するゴデットロールの速度は、500〜1300m/分であることが好ましい。ゴデットロールの速度を500m/分以上とすることで、糸の走行性を安定化することができ、ゴデットロールの速度を1300m/分以内とすることで、延伸前に生じる繊維表面配向の促進、およびその結果生じる毛羽立ち・スカム欠点を抑制することが可能である。より好ましい紡糸速度は、700〜1200m/分である。
本発明のポリエステルモノフィラメントの延伸方法は、特に限定するものではなく、公知の技術に準ずることができ、例えば、第1ホットロールと第2ホットロール間で1段加熱延伸した後、冷ゴデットロールを経て巻き取り、延伸糸を得る。また、1段加熱延伸ではなく、第1ホットロールと第2ホットロール間で1段目の加熱延伸、第2ホットロールと第3ホットロール間で2段目の加熱延伸を行う2段加熱延伸の方法を採用してもよい。
本発明のポリエステルモノフィラメントの延伸の温度は、1段加熱延伸の場合、第1ホットロールの温度を芯成分のポリエステルのガラス転移温度+10℃〜ガラス転移温度+30℃とし、第2ホットロールの温度を130℃〜200℃の範囲とするのが好ましい。第2ホットロールの温度を130℃以上とすることにより、繊維配向を制御し、繊維の結晶化を促進することで、糸を高強度化させることができる。一方、200℃以下とすることで、製糸性が良好となるだけでなく、過剰な結晶化の促進による糸の白化を抑制することが可能である。より好ましい第2ホットロールの温度は、130℃〜150℃である。
本発明のポリエステルモノフィラメントの延伸倍率は、目標とする高強度で高モジュラスの糸を得るために、トータルで3.0倍以上であることが好ましい。また、製糸工程および製織工程での工程通過性の低下を抑制するために、糸の伸びしろを残し、製織での毛羽立ち・スカム欠点を抑制する必要があるため、トータルで6.0倍以下とすることが好ましい。より好ましいトータル延伸倍率は、3.5〜5.0倍である。また、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを延伸する場合、最終ホットロールと冷ゴデットロールの間では、同速で巻き取ることも、非晶部分の配向抑制を目的に、両ロール間に速度差を設けるリラックス処理を施すこともできる。
本発明のポリエステルモノフィラメントを用いて作製されるメッシュ織物はダイレクトデジタル製版に好適に用いることができる。本発明のポリエステルモノフィラメントは、メッシュ織物の経糸および緯糸のうちの少なくとも一方の少なくとも一部に配されることが好ましく、メッシュ織物の経糸および緯糸のうちの少なくとも一方が本発明のポリエステルモノフィラメントにより形成されていることがより好ましく、経糸および緯糸のいずれもが本発明のポリエステルモノフィラメントにより形成されていることが特に好ましい。
次に、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを、実施例により詳細に説明する。実施例中の評価は、次の方法に従った。
(1)モノフィラメントおよびメッシュ織物の透過率
図1に示されるように、厚み2mmの透明アクリル板1(株式会社ミスミグループ本社製:型式ACSHシリーズ)を英光産業株式会社製の整列巻き評価装置2に設置した。透明アクリル板1をトラバース運動させながら550rpmで回転させ、解舒ガイド3を介しニップロール4、テンサー5、方向転換ロール6および糸道規制ガイド7を通して10gの張力を付与し走行させたモノフィラメントYを、0.018g/cmの密度で一定方向かつ均一に透明アクリル板1へ4往復(8層)巻き付け、プレート巻試料8を得た。なお、トラバース運動させた透明アクリル板1に糸を巻き付ける際の往復回数は、糸の繊度(繊維径)によって定まり、32dtex(54μm)の場合で4往復(8層)とした。繊度(繊維径)の異なる糸を巻き付ける場合は、巻き付けたサンプルの密度が同等になるように往復回数(層数)を調整し、例えば、8dtex(27μm)の場合は8往復(16層)、20dtex(43μm)の場合は5往復(10層)、6dtex(24μm)の場合は9往復(18層)であった。
その後、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計(型式SPECTROPHOTOMETER CM−3700d)にモノフィラメントのプレート巻試料8を設置した後、乳剤硬化に使用するレーザーの波長である405nmにおけるプレート巻試料8の透過率T1を測定した。一方、透明アクリル板1単体でも、波長405nmに対し一定の吸収を示すことから、同様に透明アクリル板1単体でも405nmにおける透過率(T0=10%)を測定した。得られたT0、T1を用い、下記の式(1)に従い、405nmにおけるモノフィラメント単体の透過率(T2)を算出した。
T2=T1+(100−T0) ・・・(1)
一方、メッシュ織物の透過率については、透明アクリル板を使用せずにメッシュ織物1枚を上記と同様に分光測色計に設置した後、波長405nmにおける透過率T3を測定した。
なお、分光測色計での透過率測定は、測定モード:透過モード、ジオメトリ:di=0°、de=0°、正反射光処理:SCI、測定径:LAV(25.4mm)、UV条件:100%Fullで行った。
(2)固有粘度(IV)
下記の式(2)に従い、ポリエステルモノフィラメントにおける糸の固有粘度(IV)を算出した。
なお、式(2)中の相対粘度ηrは、25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール(以下、OCPと略記する。)10mL中に試料を0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて、下式(3)により求めた。
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634 ・・・(2)
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0) ・・・(3)
式(3)中、
η:試料溶液の粘度
η0:OCPの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
t0:OCPの落下時間(秒)
d0:OCPの密度(g/cm
である。
(3)ガラス転移温度(Tg)
使用するポリエステルの粉末10mgを採取し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社:DSC−4型)を用いて、16℃/分で昇温しつつ、昇温過程で発現するガラス転移に伴うピークを、パーキンエルマー社のデータ処理システムで処理し、ガラス転移温度Tg(℃)を求めた。
(4)強度、伸度、10%モジュラス
オリエンテックス社製テンシロン引張試験機を用い、初期試料長20cm、引張速度2cm/分で破断した際の強度、伸度および10%伸長時のモジュラスを測定し、それぞれ3回測定した値の平均値を強度(cN/dtex)、伸度(%)および10%モジュラス(cN/dtex)とした。
(5)単繊維繊度
モノフィラメントを500mかせ取りし、かせの質量に20を乗じた値を繊度とした。
(6)沸水収縮率
枠周100cmの検尺機を用いてモノフィラメントをかせ取りし、捲き数が10回の小かせを作製した。得られた小かせに一定荷重を付与し、初期かせ長L0(mm)を測定した。重りを外し、100℃の温水に15分浸漬させ、30分以上乾燥させた後、一定荷重を付与し収縮後のかせ長L1(mm)を測定し、下記の式(4)に従い沸水収縮率(%)を算出した。
沸水収縮率=(L0−L1)/L0×100 ・・・(4)
なお、初期かせ長および収縮後のかせ長の測定時に付与する荷重(g)は、糸の総繊度T(dtex)をもとに、下記の式(5)に従い設定した。
荷重=T×0.9×(1/30)×20 ・・・(5)
(7)原糸−梨地金属間の動摩擦係数
ランニングヤーン法にて、糸を直径dが35mmの梨地金属製固定ピン(表面粗度:6S(HRMS))に接触角θ=180°で接触させ、糸速55m/分で解舒走行させた。すなわち、図2に示すように、パッケージ(図示せず)から解舒ガイド(図示せず)を通して解舒されるモノフィラメントYを、バランサー9にて荷重N1(=10g)を加えた後、方向転換ガイド10を経て梨地金属製固定ピン11を通し、方向転換ガイド12を経た後、張力計13を経由し引き取りロール14で引き取ったときの張力計13で測定したN2(g)を測定し、下記の式(6)に従い算出した。
原糸−梨地金属間の動摩擦係数=1/π×log e(N2/N1) ・・・(6)
(8)ウースター斑U%(N)
ツエルベガー社製ウースターテスターUT−4CXを用い、ツイスターを用いず下記の測定条件で繊度変動チャート(Diagram Mass)を得ると同時に、ノーマルモードで平均偏差率(U%)を測定した。
給糸速度 :200m/分
測定糸長 :200m
ディスクテンション強さ:10%
スケール :−10%〜10%
(9)スクリーン紗品位
経糸、緯糸共に本発明の各実施例および各比較例のポリエステルモノフィラメントを用いて、スルーザ型織機により織機の回転数200回転/分として幅2.2m、長さ300mのスクリーン紗を製織した。
得られたスクリーン紗を速度2m/分で走行させ、目視で熟練した検査技術者が検反し、スクリーン紗の検反規定に沿って毛羽立ち・スカムの評価を次の4段階で総合的に評価した。合格レベルはAおよびBである。
A:毛羽立ち・スカムの欠点数が、長さ30mあたり0〜1個
B:毛羽立ち・スカムの欠点数が、長さ30mあたり2〜5個
C:毛羽立ち・スカムの欠点数が、長さ30mあたり6〜9個
D:毛羽立ち・スカムの欠点数が、長さ30mあたり10個以上
(10)印刷精度
スクリーン紗を用い、ダイレクトデジタル製版により印刷評価を行った。すなわち、(9)にて得られたスクリーン紗に感光乳剤を塗布した後、405nmのレーザーを40秒間照射し、50μm間隔で50μmのラインパターンを形成させた。その後、1000枚印刷時のライン精度および寸法安定性による印刷パターンの歪みを観察し、次の4段階で総合的に評価した。合格レベルはA、BおよびCである。
A:ライン精度および寸法安定性が極めて良好
B:ライン精度が極めて良好であり、寸法安定性が良好
もしくは、ライン精度が良好であり、寸法安定性が極めて良好
C:ライン精度および寸法安定性が良好
D:ライン精度は良好であるが、寸法安定性が不良
もしくは、ライン境界に凸凹があるが、寸法安定性は良好
(実施例1)
常法によって重合およびチップ化した、酸化チタン含有量0.025wt%のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度80℃)を、押出機(プレッシャーメルター)を用いて287℃の温度で溶融後、ポンプ計量を行い、公知の単成分口金に流入させた。ポリマーの配管通過時間は30分であり、口金にかかる圧力は10MPaであった。その後、口金から吐出された糸条を、図3に示すような設備を備えた防止装置を用いて紡糸した。すなわち、紡糸口金15から吐出されたポリエステルモノフィラメントを糸条冷却送風装置16により20m/分の冷却風を与えて冷却し、給油ロール17によりエマルション濃度4wt%の油剤を付与した後、900m/分の速度で非加熱のゴデットロール18に引き取り、未延伸糸パッケージ19を得た。未延伸糸に付与した油剤には、平滑剤として脂肪酸アルキルエステルを54wt%、シリコーン変性物を7wt%含有させ、その他、極圧剤としてアルキルホスフェート、制電剤としてアルキルスルホネート、乳化剤としてエステルノニオンおよびエーテルノニオンを含有させた。
その後、未延伸糸パッケージ19を用い、図4に示すような設備を備えた延伸装置を用いて延伸した。すなわち、供給ロール20を経て、174m/分の速度で91℃の温度に加熱された第1ホットロール21、710m/分の速度で130℃の温度に加熱された第2ホットロール22に引き回し、延伸倍率4.1倍で延伸および熱セットを行った。さらに、710m/分の速度で冷ゴデットロール23に引き回した後、スピンドル回転数を制御して巻き取り、31.8dtex(繊維径54μm)のポリエステルモノフィラメントの延伸糸パッケージ24を得た。
得られたポリエステルモノフィラメントは、破断強度が4.7cN/dtex、破断伸度が44.5%、10%モジュラスが3.0cN/dtex、酸化チタン量が0.025wt%であり、その他の物性は表1のとおりである。得られた31.8dtex(54μm)のポリエステルモノフィラメントを、透明アクリル板に4往復(8層)巻き付け、波長405nmを照射した際の透過率は39%であった。
得られたポリエステルモノフィラメントをメッシュ数#120で製織した際の毛羽立ち・スカム欠点によるスクリーン紗品位評価結果、および405nmのレーザーを40秒間照射した際のライン精度・寸法安定性による印刷評価結果は表1のとおりである。スクリーン紗品位としては、毛羽立ち・スカム欠点が長さ30mあたり0〜1個と極めて良好であった。なお、メッシュ織物に波長405nmを照射した際の透過率は82%であった。印刷評価結果としては、ライン精度が極めて良好であり、寸法安定性についても良好な結果が得られ、総合的に優れた印刷精度が得られた。
(実施例2)
酸化チタン含有量を0.001wt%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして32.0dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの酸化チタン量は0.001wt%であり、その他の物性は表1のとおりである。酸化チタン含有量の低下により、実施例1に比べ、波長405nmを照射した際の透過率は46%と高くなった。一方、酸化チタン含有量の低下により繊維表面の微小な凹凸の形成が抑制されるため、原糸−梨地金属間動摩擦係数は実施例1に比べやや高めとなる結果となったが、スクリーン紗品位としては、実施例1と毛羽立ち・スカム欠点は同等であり、極めて良好な結果であった。なお、メッシュ織物に波長405nmを照射した際の透過率は86%であった。印刷評価結果としても、ライン精度および寸法安定性は実施例1と同等であり、優れた印刷精度が得られた。
(比較例1)
酸化チタン含有量を0.500wt%に変更することにより、波長405nmを照射した際の透過率を18%としたこと以外は、実施例1と同様にして32.5dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの酸化チタン量は0.500wt%であり、その他の物性は表1のとおりである。酸化チタン含有量の増加により、実施例1に比べ、原糸−梨地金属間動摩擦係数は低くなったが、波長405nmを照射した際の透過率は18%と大きく低下した。スクリーン紗品位としては、実施例1と同様に極めて良好な結果であった。一方、メッシュ織物に波長405nmを照射した際の透過率は68%であり、印刷評価結果としては、乳剤硬化に要する時間が不足したためライン境界に凸凹が生じ、ライン精度の観点から、実施例1に比べ印刷精度が大きく劣る結果となった。
(実施例3)
固有粘度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして32.4dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの固有粘度は0.77であり、破断強度が5.5cN/dtex、破断伸度が32.4%、10%モジュラスが3.9cN/dtexであった。その他物性は表1のとおりであり、実施例1に比べ高IV化したことにより、紡糸・延伸時に糸に付与される応力が増加し、高強度・低伸度・高モジュラスの糸が得られた。スクリーン紗品位としては、実施例1と同様に極めて良好な結果であった。印刷評価結果としても、ライン精度は極めて良好であり、加えて高強度・低伸度となったことにより、実施例1に比べ寸法安定性も向上し、印刷精度は極めて良好であった。
以上、実施例1〜3および比較例1の結果を表1に示す。
Figure 2020067224
(実施例4)
固有粘度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして31.1dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの固有粘度は0.92であり、破断強度が6.3cN/dtex、破断伸度が21.3%、10%モジュラスが5.1cN/dtexであった。その他物性は表2のとおりであり、実施例3と同様、実施例1に比べ高IV化したことにより、高強度・低伸度・高モジュラスの糸が得られた。スクリーン紗品位としては、実施例1と同様に極めて良好な結果であった。印刷評価結果としては、固有粘度アップにより、紡糸口金での剪断応力が増加したことでウースター斑U%(N)が実施例1対比でやや悪化し繊径均一性が劣る結果になったことにより、ライン精度は実施例1に比べるとやや劣るものとなった。一方、高強度・低伸度となったことにより、寸法安定性については実施例1に比べ向上しており、総合的な印刷精度は実施例1と同等で優れた結果となった。
(比較例2)
固有粘度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして33.0dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの固有粘度は0.55であり、破断強度が4.2cN/dtex、破断伸度が52.4%、10%モジュラスが2.3cN/dtexであった。その他物性は表2のとおりであり、実施例1に比べ低IV化したことにより、低強度・高伸度・低モジュラスの糸が得られた。スクリーン紗品位としては、実施例1と同様に極めて良好な結果であった。印刷評価結果としては、実施例1に比べ低モジュラスとなったことにより紗張り安定性が低下し、ライン精度は実施例1に比べ低下した。寸法安定性についても、低強度・高伸度となったことにより紗伸びが発生したことから大きく低下し、実施例1に比べ印刷精度が大きく劣る結果となった。
(実施例5)
紡糸速度(紡糸ゴデットロールの速度)を変更したこと以外は、実施例1と同様にして33.0dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントは、破断強度が6.0cN/dtex、破断伸度が26.5%、10%モジュラスが4.7cN/dtexであり、その他物性は表2のとおりであった。高紡糸速度としたことで繊維表面の配向が大きくなり、実施例1に比べ製織工程での毛羽立ち欠点・スカム欠点がやや増加し、スクリーン紗品位としては実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としては、ライン精度は極めて良好であり、加えて高強度・低伸度となったことにより、実施例1に比べ寸法安定性も向上し、印刷精度は極めて良好であった。
(実施例6)
油剤中の脂肪酸アルキルエステルの含有量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして32.7dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの物性は表2のとおりであり、原糸−梨地金属間動摩擦係数は0.190と実施例1に比べ摩擦係数が高い結果となった。実施例1に比べ高摩擦化したことにより、製織工程にて毛羽立ち欠点・スカム欠点がやや増加し、スクリーン紗品位としては、実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としては、ライン精度および寸法安定性ともに実施例1と同等であり、優れた印刷精度が得られた。
以上、実施例4〜6および比較例2の結果を表2に示す。
Figure 2020067224
(実施例7)
油剤中のシリコーン変性物の含有量を2wt%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして32.1dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの物性は表3のとおりであり、原糸−梨地金属間動摩擦係数は0.203と実施例1に比べ摩擦係数が高い結果となった。実施例1に比べ高摩擦化したことにより、製織工程にて毛羽立ち欠点・スカム欠点がやや増加し、スクリーン紗品位としては、実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としては、部分的に毛羽立ちが発生しており印刷欠点が生じたことから、ライン精度は実施例1に比べるとやや劣るものとなった。寸法安定性は実施例1と同様に良好であり、総合的な印刷精度は、実施例1に比べるとやや劣るが概ね優れた印刷精度が得られた。
(実施例8)
油剤中のシリコーン変性物の含有量を5wt%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして33.0dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの物性は表3のとおりであり、原糸−梨地金属間動摩擦係数は0.184と実施例1に比べ摩擦係数が高い結果となった。実施例1に比べ高摩擦化したことにより、製織工程にて毛羽立ち欠点・スカム欠点がやや増加し、スクリーン紗品位としては、実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としては、ライン精度および寸法安定性ともに実施例1と同等であり、優れた印刷精度が得られた。
(実施例9)
油剤中のシリコーン変性物の含有量を9wt%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして33.1dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの物性は表3のとおりであり、原糸−梨地金属間動摩擦係数は0.160と実施例1同等の摩擦係数が得られたが、製糸工程にて給油ロール上での油膜割れが発生していた。その結果、糸への油分の付着斑が発生したと考えられ、製織工程にて毛羽立ち欠点・スカム欠点がやや増加し、スクリーン紗品位としては、実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としては、ライン精度および寸法安定性ともに実施例1と同等であり、優れた印刷精度が得られた。
(実施例10)
延伸糸の油分付着量を0.35wt%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして32.9dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。得られたポリエステルモノフィラメントの物性は表3のとおりであった。スクリーン紗品位としては、実施例1と毛羽立ち・スカム欠点は同等であり、極めて良好な結果であった。印刷評価結果としても、ライン精度および寸法安定性は実施例1と同等であり、優れた印刷精度が得られた。
以上、実施例7〜10の結果を表3に示す。
Figure 2020067224
(実施例11)
延伸糸の油分付着量を0.07wt%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして33.1dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの物性は表4のとおりであり、原糸−梨地金属間動摩擦係数は0.191と実施例1に比べ摩擦係数が高い結果となった。実施例1に比べ高摩擦化したことにより、製織工程にて毛羽立ち欠点・スカム欠点がやや増加し、スクリーン紗品位としては、実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としても、部分的に毛羽立ちが発生しており印刷欠点が生じたことから、ライン精度は実施例1に比べてやや劣るものとなった。寸法安定性は実施例1と同様に良好であり、総合的な印刷精度は、実施例1に比べるとやや劣るが概ね優れた印刷精度が得られた。
(実施例12)
延伸糸の油分付着量を0.75wt%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして32.1dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの物性は表4のとおりであり、実施例1に比べ延伸糸油分付着量を増加させたことにより、製織工程にて油分が脱落してスカム欠点が発生し、スクリーン紗品位としては、実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としても、部分的にスカムが織物に混入し印刷欠点が生じたことから、ライン精度は実施例1に比べてやや劣るものとなった。寸法安定性は実施例1と同様に良好であり、総合的な印刷精度は、実施例1に比べるとやや劣るが概ね優れた印刷精度が得られた。
(実施例13)
延伸工程において、第1ホットロールの温度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして32.1dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの物性は表4のとおりであった。スクリーン紗品位としては、実施例1と同様に極めて良好な結果であった。印刷評価結果としては、延伸の予熱不足によりウースター斑U%(N)が実施例1対比でやや悪化し繊径均一性が劣る結果になったことで、ライン精度は実施例1に比べるとやや劣るものとなった。寸法安定性については実施例1と同様に良好な結果であり、総合的な印刷精度は実施例1に比べるとやや劣るが概ね優れた印刷精度が得られた。
(実施例14)
延伸工程において、第1ホットロールの速度を変更し、延伸倍率を4.7倍に変更したこと以外は、実施例1と同様にして31.8dtexのポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントは、破断強度が5.5cN/dtex、破断伸度が30.0%、10%モジュラスが4.3cN/dtexであり、その他物性は表4のとおりであった。実施例1に比べ、高延伸倍率としたことで繊維表面配向が大きくなり、製織工程にて毛羽立ち欠点・スカム欠点がやや増加した。その結果、スクリーン紗品位としては、実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としては、ライン精度および寸法安定性は実施例1と同等であり、優れた印刷精度が得られた。
以上、実施例11〜14の結果を表4に示す。
Figure 2020067224
(実施例15)
第1ホットロール速度の変更により延伸倍率を4.3倍に変更し、吐出量変更により目標繊度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして20.0dtex(繊維径43μm)のポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントは、破断強度が5.6cN/dtex、破断伸度が32.5%、10%モジュラスが4.1cN/dtexであり、その他物性は表5のとおりである。32dtex(54μm)を4往復(8層)巻き付けたプレート巻試料と同等の密度になるように、20.0dtex(43μm)のポリエステルモノフィラメントを透明アクリル板に5往復(10層)巻き付け、波長405nmを照射した際の透過率は37%であった。
スクリーン紗の強力を実施例1と同等にすべく、得られたポリエステルモノフィラメントをメッシュ数#220で製織し、紗品位および印刷精度の評価を行った。スクリーン紗品位としては、実施例1と同様に極めて良好な結果であった。印刷評価結果としても、ライン精度は極めて良好であり、加えて実施例1に比べ高強度・高モジュラスとなったことにより寸法安定性も向上し、印刷精度は極めて良好であった。
(実施例16)
第1ホットロール速度の変更により延伸倍率を4.3倍に変更し、吐出量変更により目標繊度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして8.0dtex(繊維径27μm)のポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントは、破断強度が5.4cN/dtex、破断伸度が37.0%、10%モジュラスが3.8cN/dtexであり、その他物性は表5のとおりである。32dtex(54μm)を4往復(8層)巻き付けたプレート巻試料と同等の密度になるように、8.0dtex(27μm)のポリエステルモノフィラメントを透明アクリル板に8往復(16層)巻き付け、波長405nmを照射した際の透過率は38%であった。
スクリーン紗の強力を実施例1と同等にすべく、得られたポリエステルモノフィラメントをメッシュ数#380で製織し、紗品位および印刷精度の評価を行った。スクリーン紗品位としては、実施例1と同様に極めて良好な結果であった。印刷評価結果としても、ライン精度は極めて良好であり、加えて実施例1に比べ高強度・高モジュラスとなったことにより寸法安定性も向上し、印刷精度は極めて良好であった。
以上、実施例15〜16の結果を表5に示す。
Figure 2020067224
(実施例17)
図5に示すような設備を備えた製糸装置を用い、1工程法(直接紡糸延伸法)により、芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを製糸した。すなわち、高粘度ポリマーとして、酸化チタン含有量が0.025wt%、固有粘度が1.00のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度80℃)を、低粘度ポリマーとして、酸化チタン含有量が0.025wt%、固有粘度が0.51のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度80℃)を、常法によって重合しチップ化した。得られた2種類のポリエチレンテレフタレートを用い、エクストルーダーにて298℃の温度で溶融後、ポリマー温度295℃でポンプ計量を行い、高粘度ポリマーを芯成分に、低粘度ポリマーを鞘成分に80:20の芯鞘比率で配するよう、公知の複合口金25に流入させた。口金にかかる圧力は芯成分で18MPaであり、芯成分ポリマーの配管通過時間は10分であった。その後、複合口金25から吐出されたポリエステルモノフィラメントを、380℃の保温筒26により積極的に加熱保温し、その後、糸条冷却送風装置27により風速10m/分で冷却風を与えて冷却し、給油ロール28によりエマルション濃度10wt%の油剤を付与した後、500m/分の速度で非加熱の紡糸ゴデットロール29に引き取り、一旦巻き取ることなく505m/分の速度で91℃の温度に加熱された第1ホットロール30、2092m/分の速度で91℃の温度に加熱された第2ホットロール31、2929m/分の速度で200℃の温度に加熱された第3ホットロール32に引き回し、延伸倍率5.8倍で2段延伸、熱セットを行った。さらに、2929m/分の速度で冷ゴデットロール33,34に引き回した後、糸条巻取装置35により巻取張力が0.3cN/dtexとなるようにスピンドル回転数を制御して巻き取り、6.0dtex(繊維径24μm)の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントの延伸糸パッケージ36を得た。ポリエステルモノフィラメントに付与した油剤には、平滑剤として脂肪酸アルキルエステルを54wt%、シリコーン変性物を7wt%含有させ、その他、極圧剤としてアルキルホスフェート、制電剤としてアルキルスルホネート、乳化剤としてエステルノニオンおよびエーテルノニオンを含有させた。
得られたポリエステルモノフィラメントは、破断強度が8.5cN/dtex、破断伸度が13.7%、10%モジュラスが8.1cN/dtex、酸化チタン量が0.025wt%、固有粘度が0.81であり、その他の物性は表6のとおりである。32dtex(54μm)を4往復(8層)巻き付けたプレート巻試料と同等の密度になるように、6.0dtex(24μm)のポリエステルモノフィラメントを透明アクリル板に9往復(18層)巻き付け、波長405nmを照射した際の透過率は31%であり、糸の横断面形態を芯鞘複合としたことにより、芯鞘の界面で波長405nmの光線が若干反射・散乱したと考えられ、透過率は実施例1に比べるとやや低かった。
得られたポリエステルモノフィラメントをメッシュ数#420で製織した際の毛羽立ち・スカム欠点によるスクリーン紗品位評価結果、およびライン精度・寸法安定性による印刷評価結果は表6のとおりである。スクリーン紗品位としては、鞘成分に低粘度ポリマーを配したものの、高モジュラス化により毛羽立ち・スカム欠点が長さ30mあたり2〜5個となり、実施例1よりもやや劣るが実際の使用においては問題のないものであった。印刷評価結果としては、糸の透過率が実施例1に比べやや低下したものの、ライン精度に影響を及ぼすレベルではなく、また紗張り安定性が向上したことも加わり、実施例1と同様に極めて良好なライン精度が得られた。寸法安定性については、高強度・低伸度化により、極めて優れた寸法安定性が得られ、総合的に実施例1に比べ優れた印刷精度が得られた。
(比較例3)
実施例17と同様に、1工程法(直接紡糸延伸法)により、芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを製糸した。その際、紡糸ゴデットロールの速度を475m/分、第1ホットロールの速度を480m/分に変更し、延伸倍率を6.2倍に変更した。加えて、第3ホットロールの温度を220℃に変更しており、その他の製造条件は実施例17と同様にして、6.0dtex(繊維径24μm)の芯鞘複合ポリエステルモノフィラメントを得た。
得られたポリエステルモノフィラメントの物性は、破断強度が9.2cN/dtex、破断伸度が10.2%、10%モジュラスが9.1cN/dtex、沸水収縮率が4.8%、酸化チタン量が0.025wt%であり、その他の物性は表6のとおりである。32dtex(54μm)を4往復(8層)巻き付けたプレート巻試料と同等の密度になるように、6.0dtex(24μm)のポリエステルモノフィラメントを透明アクリル板に9往復(18層)巻き付け、波長405nmを照射した際の透過率は26%であり、芯鞘複合断面化による405nmの光線の反射・散乱に加え、過剰な結晶化の進行により糸が若干白化しており、その結果、透過率は実施例1に比べ劣る結果となった。
得られたポリエステルモノフィラメントをメッシュ数#420で製織した際の毛羽立ち・スカム欠点によるスクリーン紗品位評価結果、およびライン精度・寸法安定性による印刷評価結果は表6のとおりである。製織工程において、低伸度化により紗ののびしろが減少したことで糸切れが増加した。スクリーン紗品位としても、実施例17に比べ、更に高延伸倍率・高モジュラス化したことにより、毛羽立ち・スカム欠点が長さ30mあたり6〜9個となり、実施例1に比べ大きく劣る結果となった。印刷評価結果としては、糸の透過率が実施例1に比べ低下した結果、比較例1程ではなかったものの乳剤硬化がやや不十分となり、ライン境界に凸凹が生じたため、ライン精度の観点から実施例1に遠く及ばない印刷精度となった。
以上、実施例17、比較例3の結果を表6に示す。
Figure 2020067224
本発明を詳細にまた特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2018年9月27日出願の日本特許出願(特願2018−182614)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Y:モノフィラメント
d:梨地金属製ロール直径
1:透明アクリル板
2:整列巻き評価装置
3:解舒ガイド
4:ニップロール
5:テンサー
6:方向転換ロール
7:糸道規制ガイド
8:プレート巻試料
9:バランサー
10:方向転換ガイド
11:梨地金属製固定ピン
12:方向転換ガイド
13:張力計
14:引き取りロール
15:紡糸口金
16:糸条冷却送風装置
17:給油ロール
18:ゴデットロール
19:未延伸糸パッケージ
20:供給ロール
21:第1ホットロール
22:第2ホットロール
23:冷ゴデットロール
24:延伸糸パッケージ
25:複合口金
26:保温筒
27:糸条冷却送風装置
28:給油ロール
29:紡糸ゴデットロール
30:第1ホットロール
31:第2ホットロール
32:第3ホットロール
33:冷ゴデットロール
34:冷ゴデットロール
35:糸条巻取装置
36:延伸糸パッケージ

Claims (3)

  1. 波長405nmを照射した際の透過率が30%以上であり、破断強度が4.3〜9.0cN/dtex、破断伸度が11.0〜50.0%、10%モジュラスが2.5〜9.0cN/dtexであるスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
  2. 原糸と梨地金属間の動摩擦係数が0.100〜0.170である請求項1記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
  3. 請求項1または2記載のポリエステルモノフィラメントが、経糸および緯糸のうちの少なくとも一方の少なくとも一部に配されたダイレクトデジタル製版用メッシュ織物。
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