JPWO2020066740A1 - 下衣 - Google Patents

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Abstract

本発明は、着用者の腰部を締め付ける腰部保護ベルトを装着して用いるのに好適な作業用ズボン等の下衣に一体に腰部保護ベルトを付設できる、腰周部分の背面部かつ下衣の内側に筒状部を有する下衣であって、着用者が前記筒状部に腰部保護ベルトを装着完了するのに時間がかからない下衣を提供することを課題とする。
その課題を解決する手段は、腰周部分を有する下衣であって、前記腰周部分の背面部分かつ下衣の内側には、下衣身生地とその生地とは異なる面状物とから構成される、または下衣身生地とは異なる面状物から構成される筒状部を有しており、
前記筒状部は、その軸方向が前記腰周部分の腰周方向と略平行になるように配置されており、前記筒状部の前方部分の略中央部に1つのスリットを有しており、前記スリットは長手方向が着用者の身長方向と略平行になるように設置されており、前記筒状部の幅(W1)と、前記スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.70〜1.00である下衣。
【選択図】図6

Description

本発明は、下衣(Bottom wear)に関する。
職業性疾病のうち、腰痛は労働者が仕事の中でかかりやすい病気のひとつであり、さまざまな職種に広がり発生している。腰痛発生のリスクが高い職業従事者として、重量物運搬や長距離ドライブに従事する運送業事業者、入院患者の介助や救急患者の対応が必要な医療従事者が挙げられるが、最近では、高齢者介護などの社会福祉施設での業務の従事者の腰痛発生件数が大幅に増加している。
こうした腰痛は職業従事者の年齢が上がるにつれ増加する傾向にあるが、特に初期のうちに対策をとる人は少なく、腰痛の症状が進むまで何もしないという人が少なくない。また、先進国を中心に少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少という問題に直面している。また、社会を支えるという側面では、65歳以上の働くシニアや働く女性が増加している。こうした中、貴重な労働者の健康の維持および健康の増進は、これまで以上に重要性を増している。職業衣においても、従来から安全性、動き易さ、識別性という機能に加え、労働者の健康をより積極的に保つという視点が重要となっている。
従来、腰痛予防には着用者の腰の周り、特に着用者の骨盤上部を含む位置で、腰部保護帯を締め付け、そして腹圧を上げるのが有効とされてきた。これは腹腔がラグビーボールのように柱となって腰の負担を軽減するためである。しかし、こうした腰部保護帯は、衣服の下に着用するものが大多数であり、衣服を脱いでから体につけなくてはならないので面倒であり、また、腰部保護帯を体に付けた後で腰部の締め具合を調整するときにも、衣服を脱ぐか緩めるかしてから締め具合を調整しなくてはならないため、この作業が面倒であるという課題があった。
そこで、作業用ズボン等の下衣に一体に腰部保護ベルトを付設できる、腰周部分の背面部かつ下衣の内側に筒状部を有する下衣が知られている(特許文献1参照)。この下衣では、腰部保護ベルトにより腰部を締め付けられた着用者が直立姿勢からしゃがみ姿勢またはしゃがみ姿勢から直立姿勢へと変化させる伸縮動作を複数回繰返し行った場合でも、腰部保護ベルトの着用者の腰部に対する着用者の身長方向のスライドに伴って着用者の着用する下着が着用者の腰部に対し着用者の身長方向にスライドすることを抑制することができる構成となっており、着用者の上記のような姿勢の繰返しの変化に伴い、着用者が不快に感じるとの課題を解決するものである。
WO2018/066504号公報
しかしながら、発明者らの知見によると、特許文献1に開示された一体に腰部保護具を付設できる下衣では、筒状部に腰部保護ベルト(以下、単に「ベルト」と称することがある)を装着する際は、筒状部の両端のうちの一方の端部に配置された開口から腰部保護ベルトを挿入する構造となっており、この腰部保護ベルト挿入作業は、途中で腰部保護ベルトの端部などが筒状部の内側の側面に引っかかったりすることで、腰部保護ベルトが筒状部の内側で詰まったりするトラブルが発生し、時間と労力を要する作業となる傾向があるとの課題がある。さらに、前述した腰痛発生のリスクが高い職業従事者である運送業従事者、医療従事者、高齢者介護などの社会福祉施設での業務の従事者は、この腰部保護ベルト挿入作業を限られた更衣スペースで行うことが多い。また、複数人が同時に更衣することが多いため一人分の十分なスペースを確保しにくい中、他の人の更衣スペースを作るために素早く更衣を済ませるように努めている。そのため、筒状部の両端のうちの一方の端部に配置された開口からベルトを挿入する方法(すなわち、ベルトの一方の端部を筒状部の一方の開口から挿入し筒状部の他方の開口へ向けて挿通させてベルトを装着する方法)では、ベルトが筒状部の途中で詰まってしまったり、ベルトが筒状部の内部で折れてしまったりする可能性がある。そして、その場合には、作業者は、筒状部の他方の開口から筒状部の内側に手を入れてベルトを引っ張り出すことなどが必要となる。しかしながら、このように筒状部の他方の開口から手を入れてベルトを引っ張り出す場合にも、筒状部の一方の開口から他方の開口といったように、ベルトを挿通させる距離(以下、「ベルトの挿通距離」と称することがある)が長いとベルトが詰まっているところまで手を入れるのも困難である。上記のような不都合が生じるため、筒状部の両端のうちの一方の端部に配置された開口からベルトを挿入する方法を採用せざるを得ない特許文献1に開示された下衣では、着用者が腰部保護ベルトを前記筒状部へ装着を完了するのに時間がかかる、という課題がある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成およびさらに好ましい態様を開示する。
1.腰周部分を有する下衣であって、前記腰周部分の背面部分かつ下衣の内側には、下衣身生地とその生地とは異なる面状物とから構成される、または下衣身生地とは異なる面状物から構成される筒状部を有しており、
前記筒状部は、その軸方向が前記腰周部分の腰周方向と略平行になるように配置されており、前記筒状部は、以下の(1)および(2)の条件を満たすスリットを1つのみ備えており、前記スリットは、前記筒状部の前方部分かつ前記筒状部の長手方向の略中央部分に設けられている、下衣、
(1)前記スリットは、前記スリットの長手方向が前記腰周方向と略直交するように設けられている
(2)前記腰周方向と直交する方向における前記筒状部の幅(W1)と、前記スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.70〜1.00である、
2.前記筒状部の後方部分の内面の静摩擦係数が0.2〜1.0であり、前記筒状部の前方部分の、筒状部の幅方向の10%伸長時の応力が10N/25mm以下である前記下衣、
3.前記筒状部の前方部分の人体から遠い部分の面の静摩擦係数が0.2〜1.0である前記いずれかの下衣、
4.前記筒状部の前方部分の人体に近い部分の面の静摩擦係数が0.2〜1.0である前記いずれかの下衣、
5.前記筒状部が、下衣身生地とその生地とは異なる面状物とから構成されるものであって、前記面状物の上方部および下方部は、それぞれ下衣身生地と連続または断続的に連結されている、前記1〜4いずれかの下衣、
6.前記筒状部が、下衣身生地とは異なる面状物とから構成されるものであって、前記筒状部の上方部および下方部は、それぞれ下衣身生地と連続または断続的に連結されている、前記1〜4いずれかの下衣、
7.前記面状物が布帛である前記いずれかの下衣、および、
8.前記いずれかに記載の下衣と、腰部保護ベルトと、を有するベルト付き下衣である。
着用者の腰部を締め付ける腰部保護ベルトを装着して用いるのに好適な作業用ズボン等の下衣に一体に腰部保護ベルトを付設できる、腰周部分の背面部かつ下衣の内側に筒状部を有する下衣であって、着用者が前記筒状部への腰部保護ベルトの装着作業を迅速に完了させることが可能な下衣を提供することができる。
本発明の第1の実施態様の下衣の正面かつ上の方から見た図である。 図1に示す下衣の右側面図である。 図1に示す下衣のA−A’断面図である。 本発明の下衣に装着し得る腰部保護ベルトの一例の正面図である。 本発明の下衣に装着し得る腰部保護ベルトの一例の背面図である。 腰部保護ベルトを装着した図1に示す下衣の正面かつ上の方から見た図である。 腰部保護ベルトを装着した図6に示す下衣のB−B’断面図である。 本発明の第2の実施態様の下衣の正面かつ上の方から見た図である。 図8に示す下衣のC−C’断面図である。 腰部保護ベルトを装着した図8に示す下衣の正面かつ上の方から見た図である。 腰部保護ベルトを装着した図10に示す下衣のD−D’断面図である。 図2に示す下衣のE−E’断面図である。 図1に示す下衣の右側面図である。 図8に示す下衣の右側面図である。 腰部保護ベルトを完全に下衣の内側に隠す構造を持つ下衣の正面かつ上の方から見た図である。 腰部保護ベルトを装着した図15に示す下衣の正面かつ上の方から見た図である。 腰部保護ベルトを部分的に隠すことができる構造を持つ下衣の正面かつ上の方から見た図である。 腰部保護ベルトを装着した図17に示す下衣の、部分的に腰部保護ベルトを隠した際の正面かつ上の方から見た図である。 腰部保護ベルトを装着した図17に示す下衣の、部分的に腰部保護ベルトを隠さず前面に腰部保護ベルトが出ている際の正面かつ上の方から見た図である。 実施例15で使用した下衣の正面かつ上の方から見た図である。 比較例2で使用した下衣の正面かつ上の方から見た図である。 比較例1で使用した下衣の正面かつ上の方から見た図である。 図1および図3に示した下衣において筒状部へ腰部保護ベルトを装着する手順における第1の工程に示した模式図である。 図1および図3に示した下衣において筒状部へ腰部保護ベルトを装着する手順における第2の工程に示した模式図である。 図1および図3に示した下衣において筒状部へ腰部保護ベルトを装着する手順における第3の工程に示した模式図である。
本発明でいう用語の意味は以下のとおりである。
下衣:下半身に着用する衣服であり、例えばスラックス、ジーンズ、チノ・パンツ、カーゴパンツ、および、半ズボンなどのズボン、スカート、ならびに、つなぎ服がある。
腰周部分:下衣の着用時に、着用者の脊柱の下部から骨盤までの部分の体表面周りに、直接または間接に当たる下衣の一部、または全部である。この腰周部分は、ベルト通し、脇ポケット、後ろポケット、前後ファスナーを含むウエスト部分、及びズボンの股上部分からなる群より選ばれる1つ以上を有していてもよい。
背面部分:着用者の背面に直接または間接に当たる下衣の一部。
筒状部:下衣の腰周部分、背面部分にある筒状の部分。下衣本体の背面部分の前部にある。必ずしも断面が円である必要はなく、断面が中空または中空になりうるものであればよく、つぶれていてもよいし、折り畳まれてほぼ面状になっていてもよい。筒状部の軸方向は筒状部の長さ方向でもある。
本発明の第1の実施態様における筒状部:下衣身生地と、その生地とは異なる面状物と、から構成される筒状部。
本発明の第2の実施態様における筒状部:下衣身生地とは異なる面状物とから構成される筒状部。
第1の実施態様の発明:第1の実施態様の筒状部を有する発明。
第2の実施態様の発明:第2の実施態様の筒状部を有する発明。
筒状部の後方部分:筒状部は、筒状部の着用者の身長の方向の方向における上端と下端のなす線で2つの部分に区分できる。そのうち、着用者から遠い部分。第1の実施態様では、図3の、「腰周部分で背部にある下衣身生地5」。第2実施態様では図9の、「筒状部の後方部分15’」。以下「筒状部後方部分」ということがある。
筒状部の前方部分:筒状部は、筒状部の着用者の身長の方向の方向における上端と下端のなす線で2つの部分に区分できる。そのうち、着用者に近い部分。第1の実施態様では図3の、「筒状部の前方部分6」。第2実施態様では図9の「筒状部の前方部分15」。以下「筒状部前方部分」ということがある。
前方:下衣における着用者の前の方向(図12では符号19)。
後方:下衣における着用者の後ろの方向(図12では符号20)。
以下に本発明を、図を用いて説明するが、本発明は以下の開示のみに限定されるものではない。
まず、第1の実施態様の下衣について説明する。
図1は第1の実施態様の例となる下衣の一部を示す正面かつ上の方から見た図であり、図2は図1に示す下衣の右側面図である。本発明の下衣1は、その周りに腰周部2を有している。
また、第1の実施態様の下衣1が有する腰周部2は、その背面部分18に筒状部3を有している。また、この筒状部3は、その軸方向が腰周部の腰周方向4と略平行となるように配置されている。
そして、図6を参照されたい。この筒状部3の内部には、腰部保護ベルト9を、筒状部3の中に挿入することができる。
次に、図3は図1に示す下衣のA−A’断面図である。図1の筒状部3は、図3に示すように腰周部で背部にある下衣生地5と筒状部前方部分6を構成する面状物とから構成されており、前記面状物は下衣の内側に配置されている。下衣生地5は本発明でいう筒状部後方部分となっている。また、筒状部前方部分6は面状物が使用されている。その結果、下衣身生地と、その生地とは異なる面状物と、から構成される筒状部3が形成されている。
そして、面状物で構成される筒状部前方部分6の上端は、下衣生地5と、腰周方向に係止部7により連続的にまたは断続的に連結されている。図3の形態のように筒状部前方部分6を構成する面状物の上端が腰周部と連結されていることが、本実施形態の下衣の着用時に着用者の爪先などが面状物と下衣生地5との間で引っかかってしまうことを抑制することができるので好ましい。
ただ、図3に示される形態に限定されることはない。面状物の上端よりも少し下の部分(面状物の上端の下方に位置する部位)が、連結されている形態、すなわち、係止部の上方に面状物の上端がはみ出している形態であってもよい。
また、図3では、筒状部前方部分6を構成する面状物の下端は、腰周方向に断続して、腰周部分で背部にある下衣生地5と係止部8により連結されている。下端で連結していることが好ましい理由は以下のとおりである。
面状物の下端部を下衣身生地の内面に沿うように固定できる。その結果、腰部保護ベルトを筒状部内部に通した際の収まりがよい。また、面状物の下端部が下衣の内側で勝手に動くことを抑制できる。面状物が下衣の内側で折れ曲がることを抑制することができるため、着用者は下衣を履いたままでも腰部保護ベルトを筒状部に通すことができる。
図3に示される形態に限定することはない。面状物の下端よりも少し上の部分(面状物の下端の上方に位置する部位)が、連結されている形態、すなわち、係止部の下方に布帛の下端がはみ出している形態であってもよい。
本発明で図3のような断面を有する形態の下衣においては、係止部7および係止部8は縫製により形成されており、布帛(面状物)の上方部および下方部は、それぞれ、腰周方向に断続して、それぞれ腰周部分で背部にある下衣生地と連結されている。この連結は断続している必要はなく、連続していてもよい。この連結は、筒状部を構成しているところの面状物の上端および下端で行われるのが好ましい。ここで、断続した係止部としては、縫製や接着剤や融着、面ファスナーやボタンなどによる係止により得られるものが挙げられる。その一方で、連続した係止部としては、縫製や融着により得られるものが挙げられる。なお、縫製は通常の本縫いのほか、人への肌触りを円滑にする観点から、フラットシーマ縫製や二本針、三本針縫製などの環縫いがより好ましい。また、断続した係止部の形態例としては図1に示す本実施形態の下衣が備えるものに限定されず、例えば、筒状部の軸方向における筒状部の両端部の下端にそれぞれ1点のみ設けられるような係止部であってもよい。
また、図1および図3で示した筒状部前方部分6の中央部にはスリット25が1つのみ配置されており、このスリット25は長手方向が前記腰周方向と略直交するように設けられている。仮に、このスリット25がない場合、図22に示したような筒状部となる。図22に示されたような筒状部の構造では、腰部保護ベルトの装着時、作業者は、ベルトの一方端を筒状部の一方の端部に配置された開口から挿入し筒状部の他方の開口へ向けて挿通させてベルトを装着することとなる。このような装着方法では、ベルトが筒状部の途中で詰まってしまったり、ベルトが筒状部の内部で折れてしまったりする可能性がある。そして、その場合には、作業者は、筒状部の他方の開口から筒状部の内側に手を入れてベルトを引っ張り出すことなどが必要となる。しかしながら、このように筒状部の他方の開口から手を入れてベルトを引っ張り出す場合にも、筒状部の一方の開口から他方の開口といったように、ベルトの挿通距離が長いとベルトが詰まっているところまで手を入れるのも困難となる傾向が見られる。上記のような不都合が生じるため、筒状部の両端のうちの一方の端部に配置された開口からベルトを挿入する方法を採用せざるを得ない構成の下衣では、着用者が腰部保護ベルトを前記筒状部へ装着を完了するのに時間がかかる、という課題がある。しかしながら、上記のスリット25を設けることで、図23、図24および図25で示したような手順で容易に腰部保護ベルトの下衣への装着ができる。
具体的に説明すると、まず、腰部保護ベルトを背部の中心から左右のどちらか一方の端部を筒状部へ挿通し(図24)、その後、腰部保護ベルトの他方の端部を筒状部の先ほどと反対側へと通し(図25)、腰部保護ベルトを装着することが可能となり、腰部保護ベルト挿入作業の大幅な時間短縮が可能となる。そして、図1に示したとおり、筒状部にはスリット25が1つのみ設けられている。スリット25の数を1つに限定する理由としては、以下のとおりである。第1の実施態様の下衣におけるスリットは、このスリットから腰部保護ベルトを挿入し、筒状部に腰部保護ベルトを挿入する作業を簡便にする目的で配置されている。したがって、このスリットの数が2つ以上(例えば、スリットAおよびスリットBの2つ)であると、腰部保護ベルトをスリットAから筒状部の中に通していく際に腰部保護ベルトの先端がスリットBに引っかかり、スリットAからベルトが上手く入りにくくなり、かえって手間が増えてしまい筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果が十分に得られない傾向がみられる。さらにスリットの数が増えれば増えるほど、上記のような手間が増え、筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果は小さくなっていくといえる。上記のような理由から、筒状部前方部分に設置するスリットの数は1つに限定される。
また、本実施形態においては、スリットは前記筒状部の前方部分かつ前記筒状部の長手方向の略中央部分に設けられている。ここで、スリットは筒状部の前方部分のみに配置されていることが好ましい。スリットが筒状部の前方部分のみに配置されている、すなわち、筒状部の後方部分にスリットが存在しないことで、腰部保護ベルトを筒状部に装着した際に腰周部の外観からは腰部保護ベルトが露出することを回避できる。そして、このような下衣では、着用時に、腰部保護ベルトの下衣の外部にある突起物等への引っ掛かりが抑制されるため着用者が安全に作業を行うことが可能となる。スリットの設置位置を筒状部前方部分かつ筒状部の長手方向の略中央部分とする理由としては、以下のとおりである。前述したように、第1の実施態様の下衣におけるスリットは、このスリットから腰部保護ベルトを挿入し、筒状部に腰部保護ベルトを挿入する作業を簡便にする目的で配置されている。したがって、このスリットが筒状部前方部分の両端のうちどちらか一方に極めて近い箇所に設置されていた場合、従来の、筒状部の両端のうちどちらか一方から腰部保護ベルトを挿入する場合と作業のし易さがほぼ同じとなり、筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果が極端に減少してしまう。上記の理由から、スリット25は筒状部の前方部分かつ筒状部の長手方向の中央部分に配置されていることが好ましいが、下衣への腰部保護ベルトの装着の作業性に大幅な悪影響を及ぼさない限りにおいては、スリット25の筒状部における配置の位置は、筒状部の長手方向の中央部分から筒状部の一方の端部側に寄った位置であってもよい。筒状部の長手方向の略中央部分とは、筒状部を長手方向に3等分した場合に、真ん中に位置する筒状部の一部分をいう。
以上の理由により、第1の実施態様の下衣におけるスリットは筒状部前方部分の略中央部分に1つのみ設けられている。
さらに、前記筒状部には以下の(1)および(2)の条件を満たすスリットを1つのみ備えている。
(1)前記スリットは前記スリットの長手方向が前記腰周方向と略直交するように設けられている
(2)前記腰周方向と直交する方向における前記筒状部の幅(W1)と前記スリットの長手方向における前記スリットの幅(W2)との比(W2/W1)が0.70〜1.00である。
前記スリットは前記スリットの長手方向が前記腰周方向と略直交するように設けられている。なお、長手方向が腰周方向と略直交するとは、長手方向と腰周方向に直交する方向とで形成される鋭角の角度が0〜15度となる場合をいう。このようにスリットを配置することで、腰部保護ベルトの筒状部への挿通方向が筒状部の長手方向と略平行となり、腰部保護ベルトの装着作業が簡便となる。ここで、スリットの形状には特に制約はないが、例えば、図1および図24で示したような略楕円形状のスリットが挙げられる。また、このスリットは単純に筒状部の前方部分の面状物の中央に切り込みを入れただけのものでも、スリットの開口の縁が布帛で挟まれ縁取りされた上で縫製されているものであってもよい。これらの形態のなかでも、スリットは、スリットの開口の縁が布帛で挟まれ縁取りされた上で縫製されているもののようにスリットの開口の縁が補強されているものであることが好ましい。スリットの開口の縁が補強されているスリットでは、スリットの開口の縁と腰部保護ベルトとの摩擦により、スリットの開口の縁が摩耗するなどして損傷をうけることを抑制することができるためである。スリットは、スリットの開口の縁周の全体が補強されているものであることが特に好ましい。さらに、このスリットの開口の縁取りに使用する布帛は腰部保護ベルトの出し入れを簡便にするために伸縮性のある布帛であることが好ましく、この伸縮性のある布帛を得る素材としては後述する筒状部前方部分の面状物の素材と同様のものが挙げられる。
さらに、図1に示したとおり、筒状部の幅をW1とし、スリットの長手方向の幅をW2とした際のW1とW2との比(W2/W1)は0.70〜1.00である。ここで、前提として、下衣による腰部保護ベルトの保持性を優れたものとするとの観点からは、腰部保護ベルトが備える腰部保護部の着用者の身長方向に略平行な方向における幅と筒状部の着用者の身長方向に略平行な方向における幅とが近似するほど好ましい。なお着用者の身長方向に略平行な方向とは、上下方向に略平行な方向でもあり、後述する方向Iに平行な方向である。以下、略上下方向と称することがある。
よって、下衣による腰部保護ベルトの保持性を優れたものとするため、下衣の着用者は、下衣に装着する腰部保護ベルトに、この腰部保護ベルトが備える腰部保護部の略上下方向における幅が下衣の筒状部の略上下方向における幅と近似する腰部保護ベルトを採用するのが通常である。そして、この場合において、W1とW2との比(W2/W1)が0.70以上であることで、筒状部前方部分の形態安定性を保ちながら腰部保護ベルトの筒状部への出し入れ作業が容易となるとともに、下衣に装着する腰部保護ベルトとして、腰部保護部の略上下方向における幅が十分な大きさの腰部保護部を備えた腰部保護ベルトを採用することができる(なお、詳細は後述するが、略上下方向における幅が5〜20cmと、十分な大きさの幅の腰部保護部を備える腰部保護ベルトは優れた腰部保護性能を発揮する傾向にある)。また、W1とW2との比(W2/W1)を1.00以下とすることで、筒状部から腰部保護ベルトを出し入れする際の筒状部の変形を最低限に抑えられ、筒状部全体の形態安定性を保つことができる。こうした点を踏まえて、筒状部前方部分の形態安定性を保ちつつ、腰部保護ベルトを出し入れするのに十分なスリット幅を確保するために、W1とW2との比(W2/W1)は前記範囲とする。また、上記の観点から、W1とW2との比(W2/W1)は0.80以上であることがより好ましく、一方、0.98以下であることがより好ましい。なお、W1は、スリットが設けられている筒状部の部分における、腰周方向と直交する方向における筒状部の幅のうち、最大となる幅の値をいい、W2はスリットの長手方向の幅のうち、最大となる幅の値をいう。
また、スリットの長手方向に直交する方向の幅をW3としたとき、このW3は、0.5cm以上3cm以下であることが好ましい。W3が、0.5cm以上であることで、腰部保護ベルトの全体の剛性が高く、大きく折り曲げることが困難な腰部保護ベルトであっても、この腰部保護ベルトの筒状部への装着が容易となる。具体的には、筒状部が備えるスリットから腰部保護ベルトの一方の端部を筒状部に挿通した後、腰部保護ベルトの他方の端部をスリットに挿入する際には、腰部保護ベルトの筒状部から出ている部分を大きく折り曲げる必要があるが、W3が大きいほど腰部保護ベルトの筒状部から出ている部分の折り曲げの程度が小さくて済み、結果として、この腰部保護ベルトの筒状部への装着が容易となる。一方で、W3が、3cm以下であることで、筒状部による腰部保護ベルトの下衣への固定がより強固なものとなる。具体的には、W3が小さいほど、筒状部に設けられたスリットにより下衣に装着された腰部保護ベルトの筒状部で覆われない部分は少なくなり、腰部保護ベルトは筒状部により下衣により強固に固定される。なお、W3はスリットの長手方向に直交する方向の幅のうち、最大となる幅の値をいう。
ここで、第1の実施態様の下衣における下衣身生地について説明する。この実施態様の下衣では、下衣身生地とは、下衣を構成する部材のうち、筒状部前方部分を構成する面状物以外の生地である。図13は図1に示す下衣の外観図である。図13では、見えない部分であるが破線で筒状部前方部分6を構成する面状物が示されており、実線で下衣身生地24が示されている。
また、図12は図2に示す下衣のE−E’断面図である。図1に示す本発明の下衣の実施態様においては、腰周部分で背部にある下衣生地5と筒状部前方部分6を構成する面状物とから構成される筒状部が腰周部分での背面部18に形成されている。また、筒状部の内部の空間、すなわち、腰周部分で背部にある下衣生地5と筒状部の前方部分6との間の空間は腰部保護ベルト配置用空間21であり、ベルトが装着されたベルト付き下衣の状態では、この腰部保護ベルト配置用空間21には腰部保護ベルトの腰部保護部が収納される。
次に、図4は第1および第2の実施態様のいずれの下衣にも装着し得る腰部保護ベルトの一例であって、一方の面を示す正面図である。図5はその腰部保護ベルトの背面図である。この腰部保護ベルト9は、腰部保護部10、この腰部保護部10の左右に配置されたベルト部11、腰部保護ベルトの一方の端部に配置された第一の固定部材12、腰部保護ベルトの他方の端部に配置された第二の固定部材13、および腰部保護部10の中央に配置されたボーン14を有する。
図4および図5に示した腰部保護ベルト9の腰部保護部10は、幅が大きくなっている帯状のものである。このように幅が大きくなっているのがボーンを配置する上で好適である。図示したものと違い、腰部保護部がベルト部と同じ幅や、また、ベルト部より狭くてもよい。腰部保護部の着用者の身長方向の幅(背幅)は5〜20cmであることが好ましい。背幅を5cm以上とすることで、着用者の腰部の締め付け圧が狭幅部分に集中し、圧力が相対的に高くなり血管等を過度に圧迫することを抑制することができ、また、腰部保護部の配置の際の位置決めにおいて、腰部保護部が骨盤の上部がかかるようにするための負担を軽減できる。背幅を20cm以下とすることで、長時間の着用時の暑苦しさをより軽減することができる。こうした点を踏まえて、可動制限を最小限に抑えつつ、長時間の着用や作業性を確保するために、腰部保護部の背幅を前記範囲とすることが好ましい。また上記の観点から、背幅は8cm以上であることがより好ましく、一方、15cm以下であることがより好ましい。
腰部保護部はベルト部と同じ素材を用いたものであっても、異なる素材を用いたものであってもよい。なお、腰部保護部やベルト部の素材としては、布帛や合成皮革などを用いることができる。腰部保護ベルトを洗濯可能なものとすることができるとの理由から、上記の素材は布帛であることが好ましい。また、上記布帛の素材としては、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリアミド繊維などの合成繊維、綿などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維などを用いることができる。また、上記の布帛の素材として、上記の繊維を複数用いることもできる。
また、腰部保護部は、脊柱の位置を安定させるためボーンを備えることが好ましい。ここで、ボーンの素材は金属および樹脂などで比較的曲げ応力の高いものが好ましい。その形状もスパイラル状および着用者の身長方向に長手方向を有する短冊状ボーンのものや、腰部保護部を面で覆う板状のものが例示される。また、前記短冊状ボーンと前記板状ボーンを併用していても構わない。
また、図示していないが、腰部保護部には、滑り止め部材を備えていてもよい。
そして、上記の腰部保護ベルトを本発明の下衣に装着した状態において、この腰部保護ベルトが備える第一の固定用部材と第二の固定部材とを着用者の前方にて接合させることで、着用者の腰部に対する着圧を高めることができる。着用者の腰部に対する着圧の調整幅を大きくすることができることから、第一の固定用部材および第二の固定部材のいずれかは少なくとも腰部保護ベルトの長手方向に長いものであることが好ましい。さらに、着用者の腰部に対する着圧を調整する幅を大きくする目的で、帯状の平ゴム等からなる補助ベルトを備えていてもよい。
ここで、この腰部保護ベルトが備える第一の固定用部材および第二の固定用部材は、互いを係止させるために、材料として面ファスナーを用いることが好ましい。その場合の面ファスナーの種類については特に制約はないが、下衣身生地を傷をつけることで下衣身生地にピリングが発生してしまうことを考慮すると、雄面の突起部の先端部分が丸みを帯びているきのこ型の形態の面ファスナーを用いることが好ましい。
図6は、図1の下衣に図4に示す腰部保護ベルトを装着した状態を示す正面かつ上方から見た図である。図7は、図6の下衣およびそれに装着した腰部保護ベルトのB−B’断面図である。この実施態様においては、筒状部3の内部に、腰部保護ベルト9が、この腰部保護ベルト9の長手方向が筒状部3の軸方向と略平行となるように、かつ、腰部保護ベルトのボーンが設けられた側の面(以下、腰部保護ベルトのこの面を「腰部保護ベルトの面A」と称することがある)が下衣の着用時に着用者側となるように挿入、配置されている。そして、図6で示すところのこの筒状部3の右側の筒状部の外側には腰部保護ベルトの右側端部が筒状部から突出した状態で配置されている。また、この筒状部3の左側の筒状部外側には腰部保護ベルトの左側端部が筒状部から突出した状態で配置されている。また、この腰部保護ベルトが備える腰部保護部は筒状部に覆われており、筒状部後方部分の内面は腰部保護ベルトの面Aの反対側の面(以下、腰部保護ベルトのこの面を腰部保護ベルトの面Bと称することがある)と接している。すなわち、腰部保護ベルトの面Bは下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地の内面と接している。
図3を参照されたい。第1の実施態様の下衣においては、腰周部で背部にある下衣生地5が筒状部後方部分に相当する。そうなると、その内面22の静摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
また、図3の筒状部前方部分6を構成する面状物の幅方向(以下、方向Iと称することがある)の10%伸長時の応力は10N/25mm以下である。ここで方向Iとは、下衣の着用時における着用者の身長方向と略平行な方向でもある。
ここで、面状物の素材としては、特に限定はされないが、汎用性に優れるとの理由により、布帛が好ましい。なかでも織物または編物がさらに好ましい。また布帛に用いられる繊維としては、合成繊維や天然繊維を上げることができ、複数の繊維が用いられてもよい。耐洗濯性や原糸・編織設計の汎用性を考慮するとポリエステル繊維やナイロン繊維などの合成繊維を単独で使用したり、ポリエステル繊維やナイロン繊維などの合成繊維と、ポリウレタン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、および綿繊維からなる群から選ばれる1種以上と、を複合して使用することが好ましい。
上述のとおり、筒状部前方部分(図7では符号6)の面状物の幅方向、すなわち方向Iでの10%伸長時の応力は10N/25mm以下であることが好ましい。これを達成するために使用できる布帛は、経緯の両方あるいは、経緯のいずれかの糸に伸縮性のある糸を用いた織物、織物に比較して伸びやすい編物である。編物においては伸縮性のある糸と非伸縮性の糸の配合率を適宜調整することで得ることができる。具体的には、方向Iの10%伸長時の応力が10N/25mm以下である布帛として以下のものが挙げられる。
(I)絹やウールなどの天然繊維やレーヨンなどの再生繊維、アクリル系繊維やポリエステル系繊維などの合成繊維などに弾性繊維(ポリウレタン繊維など)を混用した繊維から構成される織物。
(II)絹やウールなどの天然繊維やレーヨンなどの再生繊維、アクリル系繊維やポリエステル系繊維などの合成繊維などに弾性繊維(ポリウレタン繊維など)を混用した繊維から構成される編物。
(III)弾性繊維を使用しないで、一方がポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を主体としたポリエステル樹脂であり、他方がポリエチレンテレフタレートを主体としたポリエステル樹脂である2種類のポリエステル樹脂を繊維長さに沿ってサイドバイサイドに貼りあわせた複合繊維のマルチフィラメントを経糸および緯糸の少なくとも一方に用いた織物。
(IV)弾性繊維を使用しないで、一方がポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を主体としたポリエステル樹脂であり、他方がポリエチレンテレフタレートを主体としたポリエステル樹脂である2種類のポリエステル樹脂を繊維長さに沿ってサイドバイサイドに貼りあわせた複合繊維のマルチフィラメントを用いた編物。
(V)パワーネット。
ここで、パワーネットとは、ナイロン繊維等と弾性繊維(例えば、ポリウレタン繊維)とから生成された目の細かいネット状の生地をいう。目付け100g/m程度の比較的薄地のものでよく伸び、キックバック性にも優れており、下衣の背面部分に備える筒状部の機能を担保しつつ、この筒状部をコンパクトに実現することができるとの理由により、筒状部前方部分6(すなわち、面状物)はパワーネットであることが好ましい。
上で説明したとおり筒状部後方部分(図7では腰周部分で背部にある下衣生地5が該当)の内面22の静摩擦係数が0.2以上1.0以下であることが好ましい。また、この静摩擦係数が選ばれる理由は後述する。ここで、筒状部後方部分の内面22の静摩擦係数を0.2〜1.0とするための手段としては以下のものが例示される。
下衣身生地を織物や編物とし、この生地の表面の凹凸状態や、この生地を構成する糸の種類によって静摩擦係数を調整することができる。織物では、表面の凹凸が少ない平織では静摩擦係数が小さくなり、逆に、織物表面に斜めの畝が現れる綾織や、斜めの畝は現れないが一定間隔で組織点を配置した朱子織では静摩擦係数が大きくなる。また、生地の表面にパイルを設けたり、表面を起毛したりすることは一般に静摩擦係数を高める。編物では、緯編みでも、経編みでもよく、編地の粗密によって静摩擦係数を調整することができる。ただ、編目が切断してもランを起こしにくく、その結果耐久性が高くなるという観点から経編みが好ましい。織物または編物へ使用する糸の形状によっても、静摩擦係数を調整することができる。例えば、フィラメント糸の方が紡績糸に比べて繊維表面の凹凸が小さいので、この糸を用いた生地の静摩擦係数を小さくすることができる。また、糸の素材によっても静摩擦係数は調整可能であり、例えばポリテトラフルオロエチレン繊維(PTFE繊維)はそれ自体が、静摩擦係数が低く、逆に、ゴムやポリウレタン糸はそれ自体が、静摩擦係数が高い。生地の一部または全部に、このような糸を使用することで生地としての静摩擦係数を調整することができる。また、静摩擦係数は生地の表面と裏面とで異なる値とすることもできる。両面編組織(トリコット)の片面は弾性糸のみによるニットループを形成して経編地が構成され、もう一方の面は弾性糸と非弾性糸との併用によるニットループを形成して経編地が構成されることで、弾性糸のみによるニットループを形成した面については、高い静摩擦係数が発現する。
さらに、筒状部前方部分の人体から遠い部分の面27(すなわち、筒状部前方部分の着用者側の面の反対側の面)も、0.2〜1.0であることが好ましい。また、静摩擦係数の調整方法としては、腰周部分で背部にある下衣生地5の内面の静摩擦係数の調整方法と同様に織編組織の表面の凹凸や糸の形状や種類によって調整することが挙げられる。筒状部前方部分の人体から遠い部分の面の静摩擦係数が0.2〜1.0であることで、第1の実施態様の下衣において腰部保護ベルト挿入作業を簡便化するという効果がより顕著なものとなる。
また、筒状部前方部分の外面23(すなわち、前記筒状部の人体に近い部分の面)の静摩擦係数は0.2〜1.0であることが好ましい。また、静摩擦係数の調整方法としては、腰周部分で背部にある下衣生地5の内面の静摩擦係数の調整方法と同様に織編組織の表面の凹凸や糸の形状や種類によって調整することが挙げられる。筒状部前方部分の外面の静摩擦係数が0.2〜0.1であることで、着用者の動作に伴う着用者の着用する下着の着用者の腰部に対する着用者の身長方向でのスライドを抑制でき、着用者の着心地を良好なものにすることができる。
続いて、第2の実施態様の筒状部を有する下衣について以下、説明を行う。
第2の実施態様の筒状部は、下衣身生地とは異なる面状物から構成される。
図8は第2の実施態様の下衣を正面かつ上方から見た図である。図9は図8に示す下衣のC−C’断面図である。この実施態様においても、図8に示すように、下衣1は腰周部2を有しており、そして腰周部2の背部には筒状部3を有している。さらに、この筒状部3はその軸方向が腰周部の腰周方向と略平行となっている。第2の実施態様の筒状部は、下衣身生地とは異なる面状物から構成されており、例えば、図9に示すように筒状部前方部分15および筒状部後方部分15’から構成されている。筒状部の上端および下端はそれぞれ係止部16および係止部17により下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地と連結されている。
また、図8および図9で示した筒状部前方部分15の略中央部にはスリット26が1つのみ配置されており、このスリット26は長手方向が前記腰周方向と略直交するように設置されている。仮に、このスリット26がない場合、図22に示したような筒状部となる。このような筒状部の構造では、腰部保護ベルトの装着時、ベルトの一方端を筒状部の一方の開口から挿入し筒状部の他方の開口へ挿通してベルトを装着することとなる。このような装着方法では、ベルトが途中で詰まってしまったり、ベルトが筒状部の内部で折れてしまったりする可能性がある。その場合には、作業者は、筒状部の他方の開口から筒状部の内側に手を入れてベルトを引っ張り出すことなどが必要となる。しかしながら、このように筒状部の他方の開口から手を入れてベルトを引っ張り出す場合にも、筒状部の一方の開口から他方の開口といったように、ベルトの挿通距離が長いとベルトが詰まっているところまで手を入れるのも困難となる傾向が見られる。上記のような種々の不都合が生じるため、筒状部の両端のうちの一方の端部に配置された開口からベルトを挿入する方法を採用せざるを得ない構成の下衣では、着用者が腰部保護ベルトを前記筒状部へ装着を完了するのに時間がかかる、という課題がある。しかしながら、上記スリット26を設けることで、図23、図24および図25で示したような手順で容易に腰部保護ベルトの下衣への装着ができる。具体的に説明すると、まず腰部保護ベルトを背部の中心から左右どちらか一方の端部を筒状部へ挿通し(図24)、その後腰部保護ベルトの他方の端部を先ほどと反対側の筒状部へと通し(図25)、腰部保護ベルトを装着することが可能となり、腰部保護ベルト挿入作業の大幅な時間短縮が可能となる。そして、図8に示したとおり、筒状部にはスリット26が1つのみ設けられている。スリット26の数を1つに限定する理由としては、以下のとおりである。第2の実施態様の下衣におけるスリットは、このスリットから腰部保護ベルトを挿入し、筒状部に腰部保護ベルトを挿入する作業を簡便にする目的で配置されている。したがって、このスリットの数が2つ以上(例えば、スリットAおよびスリットBの2つ)であると、腰部保護ベルトをスリットAから筒状部の中に通していく際に腰部保護ベルトの先端がスリットBに引っかかり、スリットAからベルトが上手く入りにくくなり、かえって手間が増えてしまい筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果を十分に得られない傾向がみられる。さらにスリットの数が増えれば増えるほど、上記のような手間が増え、筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果は小さくなっていくといえる。上記のような理由から、筒状部前方部分に設置するスリットの数は1つに限定される。
また、スリットは前記筒状部の前方部分かつ前記筒状部の長手方向の略中央部分に設けられている。スリットの設置位置を筒状部前方部分かつ筒状部の長手方向の略中央部分とする理由としては、以下のとおりである。まず、スリットの設置位置が筒状部前方部分であることで、下衣を着用しながらでも腰部保護ベルトを筒状部に装着および取り外しすることが可能であり、腰部保護ベルトの着脱が筒状部の後方部分に前記スリットが設けられている場合よりも簡便である。また、前述したように、第2の実施態様の下衣におけるスリットは、このスリットから腰部保護ベルトを挿入し、筒状部に腰部保護ベルトを挿入する作業を簡便にする目的で配置されている。したがって、このスリットが筒状部前方部分の両端のうちどちらか一方に極めて近い箇所に設置されていた場合、従来の、筒状部の両端のうちどちらか一方から腰部保護ベルトを挿入する場合と作業のし易さがほぼ同じとなり、筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果が極端に減少してしまう。上記の理由から、スリット26は筒状部の前方部分かつ筒状部の長手方向の中央部分に配置されていることが好ましいが、下衣への腰部保護ベルトの装着の作業性に大幅な悪影響を及ぼさない限りにおいては、スリット26の筒状部における配置の位置は、筒状部の長手方向の中央部分から筒状部の一方の端部側に寄った位置であってもよい。筒状部の長手方向の略中央部分とは、筒状部を長手方向に3等分した場合に、真ん中に位置する筒状部の一部分をいう。
以上の理由により、第2の実施態様の下衣におけるスリットは筒状部前方部分の略中央部分に1つのみ設けられている。
さらに、前記筒状部には以下の(1)および(2)の条件を満たすスリットを1つのみ備えている。
(1)前記スリットは前記スリットの長手方向が前記腰周方向と略直交するように設けられている
(2)前記腰周方向と直交する方向における前記筒状部の幅(W1)と前記スリットの長手方向における前記スリットの幅(W2)との比(W2/W1)が0.70〜1.00である。
前記スリットは前記スリットの長手方向が前記腰周方向と略直交するように設けられている。なお、長手方向が腰周方向と略直交するとは、長手方向と腰周方向に直交する方向とで形成される鋭角の角度が0〜15度となる場合をいう。このようにスリットを配置することで、腰部保護ベルトの筒状部への挿通方向が筒状部の長手方向と略平行となり、腰部保護ベルトの装着作業が簡便となる。ここで、スリットの形状には特に制約はないが、例えば、図8および図24で示したような略楕円形状のスリット挙げられる。また、このスリットは単純に筒状部の前方部分の面状物の中央に切り込みを入れただけのものでも、スリットの開口の縁を布帛で挟んで縁取りして縫製したものでもよい。このスリットから何度も腰部保護ベルトの出し入れを行うため、スリットの耐久性を高める観点から、スリットの開口の縁を布帛で挟んで縁取りし縫製することがより好ましい。さらに、このスリットの開口の縁取りに使用する布帛は腰部保護ベルトの出し入れを簡便にするために伸縮性のある布帛であることが好ましく、この伸縮性のある布帛を得る素材としては第1の実施態様で説明した筒状部前方部分の面状物の素材と同様のものが挙げられる。
さらに、スリットは筒状部の前方部分にのみあることが好ましい。スリットが筒状部の前方部分にのみあることで、スリットから腰部保護ベルトを挿入する際、誤って筒状部後方部分と下衣身生地との間に腰部保護ベルトが入ってしまい、もう一度腰部保護ベルトを引き出してスリットに入れなおす、といったように、腰部保護ベルトの挿入作業の手間が増えてしまうことが抑制される。よって、スムーズな腰部保護ベルトの挿入作業が可能となる。以上のような理由から、スリットが筒状部の前方部分にのみあることで、図20に示したようにスリットが筒状部の後方部分にもある場合と比べて、腰部保護ベルト装着作業をより簡便にする観点から、スリットは筒状部の前方部分にのみあることが好ましい。
さらに、図8に示したとおり、第2の実施態様の下衣においても、筒状部の幅をW1とし、スリットの長手方向の幅をW2とした際のW1とW2との比(W2/W1)は0.70〜1.00である。ここで、前提として、下衣による腰部保護ベルトの保持性を優れたものとするとの観点からは、腰部保護ベルトが備える腰部保護部の着用者の身長方向に略平行な方向(すなわち、上下方向に略平行な方向であり、前述の方向Iに平行な方向で、略上下方向と称することがある)における幅と筒状部の着用者の身長方向に略平行な方向における幅とが近似するほど好ましい。よって、下衣による腰部保護ベルトの保持性を優れたものとするため、下衣の着用者は、下衣に装着する腰部保護ベルトに、この腰部保護ベルトが備える腰部保護部の略上下方向における幅が下衣の筒状部の略上下方向における幅と近似する腰部保護ベルトを採用するのが通常である。そして、この場合において、W1とW2との比(W2/W1)が0.70以上であることで、筒状部前方部分の形態安定性を保ちながら腰部保護ベルトの筒状部への出し入れ作業が容易となるとともに、下衣に装着する腰部保護ベルトとして、腰部保護部の略上下方向における幅が十分な大きさの腰部保護部を備えた腰部保護ベルトを採用することができる。なお、前述の通り、略上下方向における幅が5〜20cmと、十分な大きさの幅の腰部保護部を備える腰部保護ベルトは優れた腰部保護性能を発揮する傾向にある。また、W1とW2との比(W2/W1)を1.00以下とすることで、筒状部から腰部保護ベルトを出し入れする際の筒状部の変形を最低限に抑えられ、筒状部全体の形態安定性を保つことができる。こうした点を踏まえて、筒状部前方部分の形態安定性を保ちつつ、腰部保護ベルトを出し入れするのに十分なスリット幅を確保するために、W1とW2との比(W2/W1)は前記範囲とする。また、上記の観点から、W1とW2との比(W2/W1)は0.80以上であることがより好ましく、一方、0.98以下であることがより好ましい。なお、W1は、スリットが設けられている筒状部の部分における、腰周方向と直交する方向における筒状部の幅のうち、最大となる幅の値をいい、W2はスリットの長手方向の幅をいう。
また、スリットの長手方向に直交する方向の幅をW3としたとき、このW3は、0.5cm以上3cm以下であることが好ましい。W3が、0.5cm以上であることで、腰部保護ベルトの全体の剛性が高く、大きく折り曲げることが困難な腰部保護ベルトであっても、この腰部保護ベルトの筒状部への装着が容易となる。具体的には、筒状部が備えるスリットから腰部保護ベルトの一方の端部を筒状部に挿通した後、腰部保護ベルトの他方の端部をスリットに挿入する際には、腰部保護ベルトの筒状部から出ている部分を大きく折り曲げる必要があるが、W3が大きいほど腰部保護ベルトの筒状部から出ている部分の折り曲げの程度が小さくて済み、結果として、この腰部保護ベルトの筒状部への装着が容易となる。一方で、W3が、3cm以下であることで、筒状部による腰部保護ベルトの下衣への固定がより強固なものとなる。具体的には、W3が小さいほど、筒状部に設けられたスリットにより下衣に装着された腰部保護ベルトの筒状部で覆われない部分は少なくなり、腰部保護ベルトは筒状部により下衣により強固に固定される。なお、W3はスリットの長手方向に直交する方向の幅のうち、最大となる幅のことをいう。
図14は、図8に示す第2の実施態様の下衣外観図である。図14では、見えない部分であるが破線で筒状形状の布帛15が示されており、実線で下衣身生地24が示されている。そして図10は、第2の実施態様である図8に示す下衣に図4および図5に示した腰部保護ベルトを装着した状態を示す正面かつ上方から見た図である。図11は腰部保護ベルトを装着した図10に示す下衣のD−D’断面図である。
図10を参照されたい。第2の実施態様においては、筒状部3の内部に、腰部保護ベルト9が、挿入、配置されている。この腰部保護ベルト9の長手方向が筒状部3の軸方向と略平行となるように、かつ、腰部保護ベルトの面Aが下衣の着用時に着用者側となっている。そして、この筒状部3の右側の腰部保護ベルトの右側端部が筒状部から突出した状態で配置され、また、この筒状部の左側の筒状部外部には腰部保護ベルトの左側端部が筒状部から突出した状態で配置されている。また、この腰部保護ベルトが備える腰部保護部は筒状部に覆われており、筒状部後方部分の内面は腰部保護ベルトの面Bと接し得る状態にある。すなわち、腰部保護ベルトの面Bは筒形状の布帛15の下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地の内面と接する面の反対側の面と接し得る状態にある。
第2の実施態様の下衣においても、筒状部後方部分の内面(図9において符号22の面)の静摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。この静摩擦係数が選ばれる理由は後述のとおりである。そして、筒状部前方部分の幅方向(方向I)の10%伸長時の応力は10N/25mm以下であることが好ましい。
第2の実施態様の下衣においても、筒状部を構成する面状物の素材としては、特に限定はされないが、好ましいものは布帛である。このような静摩擦係数を有する素材および伸長時の応力を有する素材としては、第1の実施態様で説明したものが使用できる。布帛を折り畳んで上方部を結合する方法に加え、布帛を2枚以上縫合する方法や、丸編物をそのまま使用して筒状とすることができる。そのまま使用して筒状部としてもよい。
さらに、筒状部前方部分の人体から遠い部分の面27(すなわち、筒状部前方部分の着用者側の面の反対側の面)も、0.2〜1.0であることが好ましい。また、静摩擦係数の調整方法としては、第1の実施態様の腰周部分で背部にある下衣生地5の内面の静摩擦係数の調整方法と同様に織編組織の表面の凹凸や糸の形状や種類によって調整することが挙げられる。筒状部前方部分の人体から遠い部分の面の静摩擦係数が0.2〜1.0であることで、第2の実施態様の下衣において腰部保護ベルト挿入作業を簡便化するという効果がより顕著なものとなる。
また、筒状部前方部分の外面23(すなわち、前記筒状部の人体に近い部分の面)の静摩擦係数は0.2〜1.0であることが好ましい。また、静摩擦係数の調整方法としては、第1の実施態様の腰周部分で背部にある下衣生地5の内面の静摩擦係数の調整方法と同様に織編組織の表面の凹凸や糸の形状や種類によって調整することが挙げられる。筒状部前方部分の外面の静摩擦係数が0.2〜0.1であることで、着用者の動作に伴う着用者の着用する下着の着用者の腰部に対する着用者の身長方向でのスライドを抑制でき、着用者の着心地を良好なものにすることができる。
そして、筒状部前方部分15と後方部分15’とから構成される筒状部は、上端で下衣生地5と、腰周方向に係止部16により連続的にまたは断続的に連結されている。筒状部の上端が腰周部と連結されていることが、本実施形態の下衣の着用時に着用者の爪先などが筒状部と下衣生地5との間で引っかかってしまうことを抑制することができるので好ましい。
ただ、図9に示される形態に限定されることはない。面状物の上端よりも少し下の部分(面状物の上端の下方に位置する部位)が、連結されている形態、すなわち、係止部の上方に面状物の上端がはみ出している形態であってもよい。
また、図9では、筒状部の下端は、腰周方向に断続して、腰周部分で背部にある下衣生地5と係止部17により連結されている。下端で連結していることが好ましい理由は以下のとおりである。
筒状部の下端部を下衣身生地の内面に沿うように固定できる。その結果、腰部保護ベルトを筒状部内部に通した際の収まりがよい。また、筒状部の下端部が下衣の内側で勝手に動くことを抑制できる。筒状部が下衣の内側で折れ曲がることを抑制することができるため、着用者は下衣を履いたままでも腰部保護ベルトを筒状部に通すことができる。
図9に示される形態に限定されることはない。面状物の下端よりも少し上の部分(面状物の下端の上方に位置する部位)が、連結されている形態、すなわち、係止部の下方に布帛の下端がはみ出している形態であってもよい。
本発明で図9のような断面を有する形態の下衣においては、係止部16および係止部17によって、筒状部は背部にある下衣生地と連結されている。ただし、布帛の上端または下端は、連続して、この下衣生地と連結されていてもよい。
ここで、断続または連続した係止部としては、第1の実施態様で説明した手段が挙げられる。
また、第1の実施態様、第2の実施態様に共通して、筒状部前方部分の略中央部分にはスリットが1つのみ配置されており、このスリットは長手方向が腰周方向と直交するように設けられている。このようなスリットを設けることで、腰部保護ベルトの筒状部への挿通方向が筒状部の長手方向と略平行となり、腰部保護ベルトの筒状部への装着作業が簡便となる。ここで、スリットの形状には特に制約はないが、例えば、図1および図8で示したような略楕円形状のスリットが挙げられる。また、このスリットは単純に筒状部の前方部分の面状物の中央に切り込みを入れただけのものでも、スリットの開口の縁を布帛で挟んで縁取りして縫製したものでもよい。このスリットから何度も腰部保護ベルトの出し入れを行うため、スリットの耐久性を高める観点から、スリットの開口の縁を布帛で挟んで縁取りし縫製することがより好ましい。さらに、このスリットの開口の縁取りに使用する布帛は腰部保護ベルトの出し入れを簡便にするために伸縮性のある布帛であることが好ましく、この伸縮性のある布帛を得る素材としては前述の筒状部前方部分の面状物の素材と同様のものが挙げられる。
そして、図1および図8に示したとおり、スリットは筒状部前方部分かつ筒状部の長手方向の中央部に1つのみ設けられている。スリットの数を1つに限定する理由としては、以下のとおりである。本実施形態の下衣におけるスリットは、このスリットから腰部保護ベルトを挿入し、筒状部に腰部保護ベルトを挿入する作業を簡便にする目的で配置されている。したがって、このスリットの数が2つ以上(例えば、スリットAおよびスリットBの2つ)であると、腰部保護ベルトをスリットAから筒状部の中に通していく際に腰部保護ベルトの先端がスリットBに引っかかり、スリットAからベルトが上手く入りにくくなり、かえって手間が増えてしまい筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果が十分に得られない傾向がみられる。さらにスリットの数が増えれば増えるほど、上記のような手間が増え、筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果は小さくなっていくといえる。上記のような理由から、筒状部前方部分に設置するスリットの数は1つに限定される。
また、スリットの設置位置を筒状部前方部分かつ筒状部の長手方向の中央部分とする理由としては、以下のとおりである。前述したように、本発明の下衣におけるスリットは、このスリットから腰部保護ベルトを挿入し、筒状部に腰部保護ベルトを挿入する作業を簡便にする目的で配置されている。したがって、このスリットが筒状部前方部分の両端のうちどちらか一方に極めて近い箇所に設置されていた場合、従来の、筒状部の両端のうちどちらか一方から腰部保護ベルトを挿入する場合と作業のし易さがほぼ同じとなり、筒状部前方部分にスリットを設置することによる効果が極端に減少してしまう。上記の理由から、スリットは筒状部の前方部分かつ筒状部の長手方向の中央部分に配置されていることが好ましいが、下衣への腰部保護ベルトの装着の作業性に大きな悪影響を及ぼさない限りにおいては、スリットの筒状部における配置の位置は、筒状部の長手方向の中央部分から筒状部の一方の端部側に寄った位置であってもよい。ここで、上記の下衣への腰部保護ベルトの装着の作業性に大きな影響を及ぼさない、スリットの配置の位置をは筒状部の長手方向の略中央部分といい、筒状部の長手方向の略中央部分とは、筒状部を長手方向に3等分した場合に、真ん中に位置する筒状部の一部をいう。以上の理由により、本発明の下衣におけるスリットは筒状部前方部分の略中央部に1つのみ設けられている。
さらに、第1の実施態様、第2の実施態様に共通して、筒状部の幅をW1とし、スリットの長手方向の幅をW2とした際のW1とW2との比(W2/W1)は0.70〜1.00である。ここで、前提として、下衣による腰部保護ベルトの保持製を優れたものとするとの観点からは、腰部保護ベルトが備える腰部保護部の着用者の身長方向に略平行な方向(すなわち、上下方向に略平行な方向であり、前述の方向Iに平行な方向である。)における幅と筒状部の着用者の身長方向に略平行な方向における幅とが近似するほど好ましい。よって、下衣による腰部保護ベルトの保持性を優れたものとするため、下衣の着用者は、下衣に装着する腰部保護ベルトに、この腰部保護ベルトが備える腰部保護部の略上下方向における幅が下衣の筒状部の略上下方向における幅と近似する腰部保護ベルトを採用するのが通常である。そして、この場合において、W1とW2との比(W2/W1)が0.70以上であることで、筒状部前方部分の形態安定性を保ちながら腰部保護ベルトの筒状部への出し入れ作業が容易となるとともに、下衣に装着する腰部保護ベルトとして、腰部保護部の略上下方向における幅が十分な大きさの腰部保護部を備えた腰部保護ベルトを採用することができる(前述の通り、略上下方向における幅が5〜20cmと、十分な大きさの幅の腰部保護部を備える腰部保護ベルトは優れた腰部保護性能を発揮する傾向にある)。また、W1とW2との比(W2/W1)を1.00以下とすることで、筒状部から腰部保護ベルトを出し入れする際の筒状部の変形を最低限に抑えられ、筒状部全体の形態安定性を保つことができる。こうした点を踏まえて、筒状部前方部分の形態安定性を保ちつつ、腰部保護ベルトを出し入れするのに十分なスリット幅を確保するために、W1とW2との比(W2/W1)は前記範囲とする。また、上記の観点から、W1とW2との比(W2/W1)は0.80以上であることがより好ましく、一方、0.98以下であることがより好ましい。なお、W1は、スリットが設けられている筒状部の前方部分における、腰周方向と直行する方向における筒状部の幅のうち、最大となる幅の値をいう。
また、スリットの長手方向に直交する方向の幅をW3としたとき、このW3は、0.5cm以上3cm以下であることが好ましい。W3が、0.5cm以上であることで、腰部保護ベルトの全体の剛性が高く、大きく折り曲げることが困難な腰部保護ベルトであっても、この腰部保護ベルトの筒状部への装着が容易となる。具体的には、筒状部が備えるスリットから腰部保護ベルトの一方の端部を筒状部に挿通した後、腰部保護ベルトの他方の端部をスリットに挿入する際には、腰部保護ベルトの筒状部から出ている部分を大きく折り曲げる必要があるが、W3が大きいほど腰部保護ベルトの筒状部から出ている部分の折り曲げが小さくて済み、結果として、この腰部保護ベルトの筒状部への装着が容易となる。一方で、W3が、3cm以下であることで、筒状部による腰部保護ベルトの下衣への固定がより強固なものとなる。具体的には、W3が小さいほど、筒状部に設けられたスリットにより下衣に装着された腰部保護ベルトの筒状部で覆われない部分は少なくなり、腰部保護ベルトは筒状部により下衣により強固に固定される。なお、W3はスリットの長手方向に直交する方向の幅のうち、最大となる幅の値をいう。
また、第1の実施態様、第2の実施態様に共通して、筒状部前方部分の外面(すなわち、筒状部の人体に近い部分の面)の静摩擦係数は0.2〜1.0であることが好ましい。すなわち、この実施態様においては、筒状部の前方部分を構成する面状物の人体に近い部分の面の静摩擦係数は0.2以上1.0以下であることが好ましい。ここで、筒状部を構成する面状物の人体に近い方の面とは、例えば、図10および11に示される下衣において、この下衣の着用時に、着用者の身体や着用者の着用する下着などと接し得る筒状部前方部分15の面である。なお、布帛の静摩擦係数を調整する手段としては上記のとおりである。筒状部前方部分の人体に近い部分の面の静摩擦係数が0.2〜1.0であることで、着用者の動作に伴う着用者の着用する下着の着用者の腰部に対する着用者の身長方向でのスライドを抑制できるという効果がより顕著なものとなる。
第1の実施態様の下衣、第2の実施態様の下衣に共通して、静摩擦係数および伸長時応力が特定範囲にあることによる作用効果を説明する。下衣が備える腰周部分が有する筒状部後方部分の内面の静摩擦係数は0.2〜1.0であることが好ましく、この筒状部前方部分の10%伸長時応力は10N/25mm以下であることが好ましい。そして、本発明の下衣は上記のような特徴を備えることで、筒状部に腰部保護ベルトを装着する作業が簡便になる。上記の効果の奏される想定メカニズムは以下のとおりであると考える。
すなわち、筒状部に腰部保護ベルトを装着する際には、図1の符号25および図8の符号26で示された筒状部前方部分の中央に設けられたスリットから、腰部保護ベルトの、ベルト部の一方の端を挿入し、腰部保護部の中央付近まで挿入したところで(図24)、同様に筒状部前方部分の中央に設けられたスリットへ、腰部保護ベルトをベルト部のもう一方の端から挿入し、筒状部に腰部保護ベルトを装着する(図25)。その際、筒状部後方部分の内面は腰部保護ベルトの面Bと接することとなる。そして、この作業において、本発明の下衣が備える腰周部分が有する筒状部後方部分の内面の静摩擦係数が0.2以上1.0以下と小さいことで、腰部保護ベルトが、筒状部の中で引っかかることなくスムーズに移動し装着作業が簡便になる。また、前記筒状部前方部分が上方へ適度に伸びることで、特に同じスリットから腰部保護ベルトの両端を挿入していく際に、筒状部前方部分の伸縮性によりスリットの開口を少しだけ広げることができ、よりスムーズな挿入作業に繋がる。
第1の実施態様、第2の実施態様に共通して、本発明の下衣が備える筒状部後方部分の内面の静摩擦係数は0.2〜1.0が好ましいことは上記のとおりである。筒状部後方部分の内面の静摩擦係数が1.0以下であることで、筒状部へ腰部保護ベルトを挿入する際に引っかかることがなくスムーズに通すことができる。一方、筒状部後方部分の内面の静摩擦係数が0.2以上であることで、次の作用効果もある。すなわち腰部保護ベルトが下衣の腰周部分にある筒状部の中で過度に動き、筒状部への腰部保護ベルト挿入作業がかえって困難になるのを抑制することができる。上記の効果をより優れたものとできることから、この静摩擦係数は0.3以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましい。また、上記の効果をより優れたものとできることから、この静摩擦係数は0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。
また、第1の実施態様、第2の実施態様に共通して、本発明の下衣においては、筒状部前方部分の方向Iの10%伸長時の応力が10N/25mm以下であることが好ましい。筒状部前方部分の方向Iの10%伸長時の応力が10N/25mm以下であることで、筒状部の略中央部にあるスリットから腰部保護ベルトを挿入する際、筒状部の伸縮性によりスリットの開口が若干広がることで腰部保護ベルトが入れやすくなるのは上記の通りである。上記の効果が極めて顕著なものとなるとの理由から、筒状部前方部分の方向Iの10%伸長時の応力は1N/25mm以下であることがより好ましい。ここで、筒状部の方向Iとは着用者の身長方向に平行な方向をいう。また、筒状部前方部分の方向Iの10%伸長時の下限については特に限定はされないが、伸びすぎると完全には元の長さには戻らず、布帛にひずみが残りやすく、しわや腰周りのごわごわ感を招くおそれがあり、このような回復率との観点から0.2N/25mm以上であることがより好ましい。
なお、第1の実施態様、第2の実施態様に共通して、本発明の下衣においては、
筒状部前方部分の人体から遠い部分の面(すなわち、筒状部前方部分の着用者側の面の反対側の面)の静摩擦係数も、0.2〜1.0であることが好ましい。すなわち、筒状部へ腰部保護ベルトを挿入する際、筒状部前方部分の人体から遠い部分の面は腰部保護ベルトの着用者側の面(すなわち、腰部保護ベルトの面A)と接することとなる。そのため、上記で示した理由と同様に、筒状部前方部分の人体から遠い部分の面の静摩擦係数についても、1.0以下であることで、筒状部へ腰部保護ベルトを挿入する際に引っかかることがなくスムーズに通すことができ、一方で、筒状部後方部分の内面の静摩擦係数が0.2以上であることで、腰部保護ベルトが下衣の腰周部分にある筒状部の中で過度に動き、筒状部への腰部保護ベルト挿入作業がかえって困難になるのを抑制することができる。上記の効果をより優れたものとできることから、この静摩擦係数は0.3以上であることが好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。また、上記の効果をより優れたものとできることから、この静摩擦係数は0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。
また、第1の実施態様、第2の実施態様に共通して、本発明の下衣においては、筒状部前方部分の人体に近い部分の面、すなわち、筒状部前方部分の着用者側の面の静摩擦係数は0.2〜1.0であることが好ましい。特に本発明の下衣に腰部保護ベルトを装着した状態で下衣を着用すると、この面の着用者が着用する下着と、この筒状部前方部分とが強く接触するが、静摩擦係数が1.0以下であることで、下衣が下着の動きに追従していくことを抑制することができる。一方で、下着と下衣との位置関係があまりに抵抗なく動くと、違和感を感じることもあることから、この面の静摩擦係数は0.2以上が好ましい。これらの効果をより優れたものとできることから、この面の静摩擦係数は0.3以上であることがより好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。また、上記効果をより優れたものとできることから、この面の静摩擦係数は0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。
第1の実施態様の下衣では、下衣身生地が、筒状部後方部分となっているものである。筒状部を構成する前方部分の面状物は上方部で連続または断続して下衣身生地と連結されていることが好ましい。この連結は筒状部の略上下方向における幅方向の上端またはその近くがよい。なお、面状物の上方部とは、面状物の上端と面状物の上端の下方に位置する部位とを含む部位を意味する。筒状部前方部分の面状物は下方部でも連続または断続して下衣身生地と連結されているのが望ましい。この連結は筒状部の幅方向の下端またはその近くがよい。なお、面状物の下方部とは、面状物の下端と面状物の下端の上方に位置する部位とを含む部位を意味する。筒状部の約半分に下衣身生地を使用することで、第2の実施態様の下衣に比べてコンパクトな筒状部を形成することができる。
一方で、第2の実施態様の下衣では、下衣身生地以外の面状物が使用される。筒状部の上方部で連続または断続して下衣身生地と連結されているのが好ましい。この連結は筒状部の略上下方向における幅方向の上端またはその近くがよい。なお、面状物の上方部とは、面状物の上端と面状物の上端の下方に位置する部位とを含む部位を意味する。さらに、面状物の下方部でも前記腰周方向に連続または断続して前記腰周部分の背面部分と連結されているのも望ましい。この連結は筒状部の幅方向の下端またはその近くがよい。なお、面状物の下方部とは、面状物の下端と面状物の下端の上方に位置する部位とを含む部位を意味する。このように筒状部を、筒状部の上部から吊り下げ、筒状部の下部を部分的に連結することで、腰部保護ベルトを下衣に挿入した時、後ろ姿のシルエットがすっきり見えるためである。
また、本発明の下衣着用の際は、筒状部に腰部保護ベルトを挿入し、腰部保護ベルトの右側端部と左側端部とを係止することで適度な腹圧を腰部(骨盤位)に感じるよう調整できる。ここで、本発明にかかる下衣の外観については特に制約がなく、この腰部保護ベルトの右側端部と左側端部との係止部は着用者の外部から見えていても隠れていてもよい。腰部保護ベルトの右側端部と左側端部との係止部が見える構造の下衣の外観としては図6や図10に示したものが挙げられる。一方、腰部保護ベルトの右側端部と左側端部との係止部が隠れる構造の下衣の外観の例としては図15に示した下衣が挙げられ、この下衣に腰部保護ベルトを装着した際の外観を図16に示す。このように腰部保護ベルトを完全に下衣の内側で係止し、下衣の内側に完全に収める構造でもよい。また、腰部保護ベルトを部分的に隠す構造の下衣の例としては図17に示した下衣が挙げられ、この下衣に腰部保護ベルトを装着した際の外観を図18に示す。このように、下衣前面に設けた覆い布28を、図17の符号29で示したボタン等により下衣前面と係止することにより、部分的に腰部保護ベルトを隠せる構造であってもよい。さらに、図17に示した下衣においては、図19に示したように腰部保護ベルトの右側端部と左側端部との係止部を隠さず前面に出した状態で装着することも可能な構造であり、使用場面や着用者の意向によって腰部保護ベルトを部分的に隠す、もしくは隠さずに前面に出すことを選択できる構造となっている。このように使用場面や着用者の意向によって腰部保護ベルト装着時の下衣の外観が選択できる構造であることで、1つのパターンで着用者の様々なニーズに対応することが可能となる。
以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明する。
(測定方法)
(静摩擦係数)
布帛サンプルの静摩擦係数をJIS P8147:1994 3.2傾斜方法に準じて測定した。幅25mm、長さ130mmの試験片を3枚用意した。次に、これら3枚の試験片の内の1枚の試験片を、滑り傾斜角測定装置の872gの重りに取り付けた。一方、幅120mm×長さ200mmの被摩擦体を滑り傾斜角測定装置に取り付け、試験片を取り付けた重りを試験片の測定面が被摩擦体に接触するように、かつ、試験片の長さ方向と滑り傾斜角測定装置の滑り方向とが一致するように被摩擦体上に上載し、傾け角度3°/秒の条件で傾斜の程度を高くしていき、重りが落下したときの傾斜角を読み取り、前記傾斜角の正接(tanθ)を静摩擦係数とした。上記と同様の方法で他の2枚の試験片についても静摩擦係数を測定し、その3枚分の静摩擦係数の測定値の平均値を布帛サンプルの静摩擦係数とした。ここで、試験片の長さ方向が前記筒状部前方部分の方向Iと同じであるように、試験片をサンプリングすることとする。また、被摩擦体として使用するのは、標準綿(3−1号:一般財団法人日本規格協会製)とし、この標準綿の布帛の方向は経でも緯でも構わない。
(10%伸長時の応力)
布帛サンプルの10%伸長時の応力を島津製作所社製 オートグラフAG−50kNGを用いて測定した。具体的には、幅25mm、長さ220mmに裁断した試験片を5枚用意した。次に、5枚の試験片の内の1枚の試験片を、チャック間距離100mmにて上記の測定機器に取り付け、引っ張り速度300mm/minで試験片が破断するまで引っ張った。同様のことを他の4枚の試験片に対しても行い、5枚の試験片、それぞれについて10%伸長時の応力を測定した。ここでいう、「10%伸長時の応力」とは、上記の方法で測定した5枚の布帛の伸度が10%のときの伸長応力の平均値をいう。ここで、試験片の長さ方向が前記筒状部前方部分の方向Iと同じであるように、試験片をサンプリングすることとする。
(評価方法)
(腰部保護ベルト装着作業の所要時間)
被験者20名が、実施例および比較例の下衣に腰部保護ベルトを装着するのに要した時間(秒)をストップウォッチを用いて測定した。被験者20名には、それぞれ3回ずつ腰部保護ベルトの装着作業を実施してもらい、それぞれの所要時間(秒)の平均を算出し、被験者20名分の平均を腰部保護ベルト装着作業の所要時間とした。
(実施例)
(実施例1)
経糸に167dtexのポリエチレンテレフタレート糸と、ポリエステル65%・綿35%(質量割合)の紡績糸とを用い、緯糸に167dtexのポリエチレンテレフタレート糸を用い、経糸密度154本/2.54cm、緯糸密度64本/2.54cmの経二重綾織に製織し、ポリエステル90%、綿10%の下衣身生地用の生地Aを得た。
続いて、78dtexのナイロン糸と310dtexのポリウレタン弾性繊維とを用いて編成し、ナイロン82%、ポリウレタン18%のパワーネット生地(以下、このパワーネット生地を生地Dと称する)を得た。
上記下衣身生地用の生地Aを下衣身生地に用い、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つのみ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。また、スリットは、スリットの開口の縁が布帛で挟まれ縁取りされた上で縫製されているものである。そして、図4および図5で示される形態の腰部保護ベルトを作成し、その係止部には面ファスナー雄面として押出し成形タイプであるモールドマジック(登録商標)(クラレファスニング株式会社製)、雌面としてリングファスナー(株式会社セイホウ製)を用い、これを腰部保護ベルト1とした。上記筒状部に腰部保護ベルト1を図6に示すように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1に用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1で用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.94となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1に用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1で用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.75となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1に用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1で用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.96となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1に用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1で用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が1.00となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
44dtexのナイロン糸と44dtexのポリウレタン弾性繊維とを用いてトリコットに編成し、ナイロン70%、ポリウレタン30%(質量割合)のトリコット生地(以下、このトリコット生地を生地Eと称する)を得た。実施例1の下衣に用いたものと同様の生地Aと、生地Eとを用いて、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、生地Eである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表2に示す。
(実施例7)
3.3dtexのPTFE繊維を経緯に用いて100%PTFE綾織物(目付け522g/m)を作成し、これを下衣身生地用の生地Bとした。この生地Bを下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地に用い、それ以外の下衣身生地の部分には実施例1で用いたものと同じ生地Aを用いて、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Bで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、実施例1で用いたものと同じ生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表2に示す。
(実施例8)
84dtexのPPT複合繊維と綿100%紡績糸とを使用して28ゲージでトリコットを編成し、トリコット生地(以下、このトリコット生地を生地Fと称する)を得た。実施例1の下衣に用いたものと同様の生地Aと、生地Fとを用いて、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、生地Fである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表2に示す。
(実施例9)
径1mmのシリコンドット加工が1mm間隔で施された綿100%ニット生地(シリコンドット加工された面の静摩擦係数0.91)を生地Cとした。この生地Cを下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地に用い、それ以外の下衣身生地の部分には実施例1で用いたものと同じ生地Aを用いて、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Cで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、実施例1で用いたものと同じ生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表2に示す。
(実施例10)
実施例1にて用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1にて用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図8、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。筒状部は実施例1と同様の生地Dを図9のように下方部で折り返して下衣身生地に、その上方部を腰周部分の背部の全周に渡って、その下方部を部分的に腰周部分の背部に縫製して留めたものであり、図9の筒状部後方部分の布帛は生地D、筒状部前方部分の布帛(面状物)も生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図8に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図10のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表2に示す。
(実施例11)
実施例1にて用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例6にて用いたものと同様の生地Eを用いて筒状部を作成し、外観が図8、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。筒状部は実施例1と同様の生地Eを図9のように下方部で折り返して下衣身生地に、その上方部を腰周部分の背部の全周に渡って、その下方部を部分的に腰周部分の背部に縫製して留めたものであり、図9の筒状部後方部分の布帛は生地E、筒状部前方部分の布帛(面状物)も生地Eである。また、筒状部前方部分の中央部分には図8に示したようなスリットを設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図10のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表2に示す。
(実施例12)
実施例1にて用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例8にて用いたものと同様の生地Fを用いて筒状部を作成し、外観が図8、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。筒状部は実施例1と同様の生地Fを図9のように下方部で折り返して下衣身生地に、その上方部を腰周部分の背部の全周に渡って、その下方部を部分的に腰周部分の背部に縫製して留めたものであり、図9の筒状部後方部分の布帛は生地F、筒状部前方部分の布帛(面状物)も生地Fである。また、筒状部前方部分の中央部分には図8に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図10のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表3に示す。
(実施例13)
30ゲージのダブルトリコット編機を使用して、フロント筬に33dtexのポリウレタン弾性糸を準備し、バック筬にナイロン原糸22dtex/7フィラメントを準備し、次の組織で両面編組織のポリウレタン弾性糸含有率53%の経編地を編成した。
フロント筬:1−0/1−2/2−3/2−1//
バック筬 :2−3/1−1/1−0/2−2//
このようにして、両面編組織の片面は弾性糸のみによるニットループを形成して経編地が構成され、もう一方の面は弾性糸と非弾性糸との併用によるニットループを形成して経編地が構成される表面の静摩擦係数が0.60裏面が0.39の、表裏で異なる静摩擦係数を持つトリコット生地(以下、このトリコット生地を生地Gと称する)を得た。
実施例1にて用いたものと同じ生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、上記の生地Gを用いて筒状部を作成し、外観が図8、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。筒状部は生地Gを図9のように下方部で折り返して下衣身生地に、その上方部を腰周部分の背部の全周に渡って、その下方部を部分的に腰周部分の背部に縫製して留めたものであり、前記生地の特性により、筒状部後方部分の内面には生地Gの静摩擦係数が0.39である面が配置され、筒状部前方部分の外面(人体に近い部分の面)には生地Gの静摩擦係数が0.60である面が配置されている。また、筒状部前方部分の中央部分には図8に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図10のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表3に示す。
(実施例14)
実施例1にて用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例13にて用いたものと同様の生地Gを用いて筒状部を作成し、外観が図8、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。ただし、生地Gの表裏を逆に配置し生地の特性により、筒状部後方部分の内面には生地Gの静摩擦係数が0.60である面が配置され、筒状部前方部分の外面(人体に近い部分の面)には生地Gの静摩擦係数が0.39である面が配置されている。また、筒状部前方部分の中央部分には図8に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図10のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表3に示す。
(実施例15)
実施例1にて用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1にて用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図20、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。筒状部は実施例1と同様の生地Dを図9のように下方部で折り返して下衣身生地に、その上方部を腰周部分の背部の全周に渡って、その下方部を部分的に腰周部分の背部に縫製して留めたものであり、図9の筒状部後方部分の布帛は生地D、筒状部前方部分の布帛(面状物)も生地Dである。また、筒状部は図20に示したように中央で1cmの間隔を空けて2等分に分割されており、筒状部の幅(W1)と、筒状部分割部30の長手方向の幅(W2)とが等しく、(W2/W1)が1.00である筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表3に示す。
(実施例16)
実施例1に用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1で用いたものと同様の生地Aを用いて筒状部を作成し、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)も、生地Aである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表3に示す。
(実施例17)
長さ14cm、幅25mmの布テープであり、その長手方向の一方の端部から他方の端部に連続して配置された2つの高摩擦体を有する滑り止めテープ(Ando Tape製 800A 弾性糸の露出が多い面の静摩擦係数1.07)を3枚用意した。これらの滑り止めテープを実施例1にて用いたものと同様に生地Aを用いた下衣身生地の腰周部分の背部に、この腰周部分の背部の中央部と中央部から左右8cmの部位の合計3箇所に縫着した。滑り止めテープの長手方向は方向Iと略平行とした。この下衣身生地と、実施例1で用いたものと同様の生地Dを用いて、外観が図1、図2、内部が図3に示されるような形態の下衣を作成した。図3の筒状部後方部分の布帛は3枚の滑り止めテープが縫着された生地A、筒状部前方部分の布帛(面状物)は実施例1と同様の生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.88となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表3に示す。
(比較例1)
実施例1にて用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1にて用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図22、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。筒状部は実施例1と同様の生地Dを図9のように下方部で折り返して下衣身生地に、その上方部を腰周部分の背部の全周に渡って、その下方部を部分的に腰周部分の背部に縫製して留めたものであり、図9の筒状部後方部分の布帛は生地D、筒状部前方部分の布帛(面状物)も生地Dである。また、筒状部前方部分にはスリットを1つも設けなかった。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表4に示す。
腰部保護ベルト挿入作業の所要時間は25秒となり、腰部保護ベルトの下衣への装着に時間を要した。前述したように、図22のような構造の下衣では、筒状部の一方の開口から他方の開口まで腰部保護ベルトを挿通させる必要があり、ベルトの挿通距離が長い分、装着作業に手間取ったことが要因であると考える。
(比較例2)
実施例1にて用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1にて用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図21、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。筒状部は実施例1と同様の生地Dを図9のように下方部で折り返して下衣身生地に、その上方部を腰周部分の背部の全周に渡って、その下方部を部分的に腰周部分の背部に縫製して留めたものであり、図9の筒状部後方部分の布帛は生地D、筒状部前方部分の布帛(面状物)も生地Dである。また、筒状部には図21に示したようにスリットが2つ備えられている。すなわち、筒状部のスリットが筒状部の後方部分にも続いており、スリットの一形態となる筒状部分30を2つ有している。筒状部の幅(W1)と、筒状部分割部30の長手方向の幅(W2)とが等しく、(W2/W1)が1.00である筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表4に示す。
腰部保護ベルト挿入作業の所要時間は24秒となり、腰部保護ベルトの下衣への装着に時間を要した。図21のような構造の下衣では、筒状部のスリットが筒状部の後方部分にも続いており、さらにスリットの一形態となる筒状部分割部分30を2つ有しているこれにより、筒状部開口C、筒状部開口D、筒状部開口E、および筒状部開口Fと4つの開口にベルトを挿通させる必要があり、手間が増える。さらに、それぞれの筒状部開口は自由に動くため、一つの筒状部開口に腰部サポートベルトを通しても、その他の筒状部開口にベルトを挿入する際に開口部を手で広げるなどの手間が生じたことが要因であると考える。
(比較例3)
実施例1にて用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1にて用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図8、図2、内部が図9に示される形態の下衣を作成した。筒状部は実施例1と同様の生地Dを図9のように下方部で折り返して下衣身生地に、その上方部を腰周部分の背部の全周に渡って、その下方部を部分的に腰周部分の背部に縫製して留めたものであり、図9の筒状部後方部分の布帛は生地D、筒状部前方部分の布帛(面状物)も生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図8に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.68となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図10のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表4に示す。
腰部保護ベルト挿入作業の所要時間は21秒となり、腰部保護ベルトの下衣への装着に時間を要した。筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.68である構造の下衣では、腰部保護ベルトの背幅に対して筒状部の幅(W1)が十分でなく、ベルトを挿入する際に開口部を手で広げて補助するなどの手間が生じたことが要因であると考える。
(比較例4)
実施例1に用いたものと同様の生地Aを用いて下衣身生地を作成し、さらに、実施例1で用いたものと同様の生地Dを用いて筒状部を作成し、外観が図1および図2、内部が図3に示される形態の下衣を作成した。すなわち、図3の筒状部後方部分の布帛は、生地Aで構成される下衣身生地の腰周部分で背部にある下衣生地であり、筒状部前方部分の布帛(面状物)は、生地Dである。また、筒状部前方部分の中央部分には図1に示したようなスリットを1つ設け、筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.68となるように筒状部を作成した。上記筒状部に図4および図5で示される形態の腰部保護ベルト1を図6のように下衣に装着するとともに、その際にかかった時間を測定した。筒状部を構成する布帛の物性および下衣の評価結果を表4に示す。
腰部保護ベルト挿入作業の所要時間は21秒となり、腰部保護ベルトの下衣への装着に時間を要した。筒状部の幅(W1)と、スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.68である構造の下衣では、腰部保護ベルトの背幅に対して筒状部の幅(W1)が十分でなく、ベルトを挿入する際に開口部を手で広げて補助するなどの手間が生じたことが要因であると考えられる。
Figure 2020066740
Figure 2020066740
Figure 2020066740
Figure 2020066740
1:下衣
2:腰周部
3:筒状部
4:腰周方向
5:腰周部分で背部にある下衣生地
6:筒状部前方部分
7:係止部
8:係止部
9:腰部保護ベルト
10:腰部保護部
11:ベルト部
12:第一の固定部
13:第二の固定部
14:ボーン
15:筒状部前方部分
15’:筒状部後方部分
16:係止部
17:係止部
18:背面部分
19:前方
20:後方
21:腰部保護ベルト配置用空間
22:筒状部後方部分の内面
23:筒状部前方部分の外面
24:下衣身生地
25:スリット
26:スリット
27:筒状部前方部分の人体から遠い部分の面
28:下衣前面の覆い布
29:ボタン
30:筒状部分割部
31:筒状部開口A
32:筒状部開口B
33:筒状部開口C
34:筒状部開口D
35:筒状部開口E
36:筒状部開口F
I:筒状部の幅方向

Claims (8)

  1. 腰周部分を有する下衣であって、前記腰周部分の背面部分かつ下衣の内側には、下衣身生地とその生地とは異なる面状物とから構成される、または下衣身生地とは異なる面状物から構成される筒状部を有しており、
    前記筒状部は、その軸方向が前記腰周部分の腰周方向と略平行になるように配置されており、前記筒状部は、以下の(1)および(2)の条件を満たすスリットを1つのみ備えており、前記スリットは、前記筒状部の前方部分かつ前記筒状部の長手方向の略中央部分に設けられている、下衣。
    (1)前記スリットは、前記スリットの長手方向が前記腰周方向と略直交するように設けられている
    (2)前記腰周方向と直交する方向における前記筒状部の幅(W1)と、前記スリットの長手方向の幅(W2)との比(W2/W1)が0.70〜1.00である。
  2. 前記筒状部の後方部分の内面の静摩擦係数が0.2〜1.0であり、前記筒状部の前方部分の、筒状部の幅方向の10%伸長時の応力が10N/25mm以下である請求項1に記載の下衣。
  3. 前記筒状部の前方部分の人体から遠い部分の面の静摩擦係数が0.2〜1.0である請求項1または2に記載の下衣。
  4. 前記筒状部の前方部分の人体に近い部分の面の静摩擦係数が0.2〜1.0である請求項1〜3のいずれかに記載の下衣。
  5. 前記筒状部が、下衣身生地とその生地とは異なる面状物とから構成されるものであって、前記面状物の上方部および下方部は、それぞれ下衣身生地と連続または断続的に連結されている、請求項1〜4のいずれかに記載の下衣。
  6. 前記筒状部が、下衣身生地とは異なる面状物とから構成されるものであって、前記筒状部の上方部および下方部は、それぞれ下衣身生地と連続または断続的に連結されている、請求項1〜4のいずれかに記載の下衣。
  7. 前記面状物が布帛である請求項1〜6のいずれかに記載の下衣。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の下衣と、腰部保護ベルトと、を有するベルト付き下衣。
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