JPWO2020059634A1 - 中間体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、化合物(I)を高濃度で含有する中間体を効率的に製造することが可能な中間体の製造方法の提供を目的とする。本発明の中間体の製造方法は、(i)下記式(I)で示される化合物(I)と、下記式(II)で示される化合物(II)とを含有する溶液(X)を得る工程(α)、並びに、(ii)前記溶液(X)にプロトン性溶媒を添加して前記化合物(II)を析出させて、前記析出した化合物(II)を除去して、前記化合物(I)を86質量%以上含有する中間体を得る工程(β)を含む。

Description

本発明は、中間体の製造方法に関する。
位相差板には、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板や直線偏光の偏光振動面を90度変換する1/2波長板等がある。これらの位相差板は、ある特定の単色光に対しては正確に光線波長の1/4λあるいは1/2λの位相差に変換可能なものである。
しかしながら、従来の位相差板には、位相差板を通過して出力される偏光が有色の偏光に変換されてしまうという問題があった。これは、位相差板を構成する材料が位相差について波長分散性を有し、可視光域の光線が混在する合成波である白色光に対して各波長ごとの偏光状態に分布が生じることから、全ての波長領域において正確な1/4λあるいは1/2λの位相差に調整することが不可能であることに起因する。
このような問題を解決するため、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを得ることが可能な化合物およびその製造方法が検討されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
国際公開第2009/116657号 国際公開第2011/068138号 特開2016−216433号公報 国際公開第2016/159193号
しかしながら、特許文献1〜3では、製造方法における工程数が多く、製造方法が煩雑となってしまうという問題があった。また、特許文献4では、目的化合物を高濃度で含有する中間体は得られておらず、また、反応に使用している溶剤の量が多く、生産効率の観点から改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、所定の化合物(I)を高濃度で含有する中間体を効率的に製造することが可能な中間体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、化合物(I)と化合物(II)とを含有する溶液(X)にプロトン性溶媒を添加して化合物(II)を析出させて、析出した化合物(II)を除去すれば、化合物(I)を高濃度で含有する中間体を効率的に製造することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記に示す中間体の製造方法が提供される。
〔1〕 (i)下記式(I):
Figure 2020059634
〔式(I)中、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
およびLは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR23−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR24−、または、−NR25−C(=O)−NR26−を表し、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
は、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
FGは、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表し、
dは1〜20の整数を表し、
eは1または2である。〕で示される化合物(I)と、
下記式(II):
Figure 2020059634
〔式(II)中、A21、B21およびB22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
21、Y22、L21およびL22は、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR23−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR24−、または、−NR25−C(=O)−NR26−を表し、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
31およびR32は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
d1およびd2は、それぞれ独立して、1〜20の整数を表し、
e1およびe2は、それぞれ独立して、1または2である。〕で示される化合物(II)とを含有する溶液(X)を得る工程(α)、並びに、
(ii)前記溶液(X)にプロトン性溶媒を添加して前記化合物(II)を析出させて、前記析出した化合物(II)を除去して、前記化合物(I)を含有する中間体を得る工程(β)を含む中間体の製造方法であって、
前記工程(β)により得られた中間体は、前記化合物(I)を86質量%以上含む、中間体の製造方法。
換言すると、上記〔1〕の中間体の製造方法は、前記化合物(I)を含む中間体の製造方法であって、
(i)前記式化合物(I)と、前記化合物(II)とを含有する溶液(X)を得る工程(α)、並びに、
(ii)前記溶液(X)にプロトン性溶媒を添加して前記化合物(II)を析出させて、前記析出した化合物(II)を除去して、前記化合物(I)を86質量%以上含有する中間体を得る工程(β)を含む。
〔2〕 前記溶液(X)中における前記化合物(I)の濃度が8.0質量%以上である、前記〔1〕の中間体の製造方法。
〔3〕 前記化合物(I)が下記式(I−1)で示される化合物(I−1)である、前記〔1〕または〔2〕の中間体の製造方法。
Figure 2020059634
〔式(I−1)中、R、dは、前記と同じ意味を表す。〕
〔4〕 前記化合物(II)が下記式(II−1)で示される化合物(II−1)である、前記〔1〕〜〔3〕の何れかの中間体の製造方法。
Figure 2020059634
〔式(II−1)中、R、dは、前記と同じ意味を表す。〕
〔5〕 前記溶液(X)が有機溶媒をさらに含み、該有機溶媒が水非混和性有機溶媒である、前記〔1〕〜〔4〕の何れかの中間体の製造方法。
〔6〕 前記水非混和性有機溶媒は、ヒルデブランドの溶解度パラメーターが14.0MPa1/2以上22.0MPa1/2以下である、前記〔5〕の中間体の製造方法。
〔7〕 前記プロトン性溶媒がアルコールである、前記〔1〕〜〔6〕の何れかの中間体の製造方法。
本発明によれば、化合物(I)を高濃度で含有する中間体を効率的に製造することが可能な中間体の製造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換の、または、置換基を有する」の意味である。また、一般式中に含まれるアルキル基や芳香族炭化水素環基等の有機基が置換基を有する場合、当該置換基を有する有機基の炭素数には、置換基の炭素数を含まないものとする。例えば、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基が置換基を有する場合、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基の炭素数には、このような置換基の炭素数を含まないものとする。また、本発明において、「アルキル基」とは、鎖状(直鎖状または分岐状)の飽和炭化水素基を意味し、「アルキル基」には、環状の飽和炭化水素基である、「シクロアルキル基」は含まれないものとする。一方、「Rf中の環構造に含まれるπ電子の総数」には、置換基に含まれている環構造のπ電子も含まれるものとする。さらに、本発明において、「中間体」とは、少なくとも化合物(I)を含有するものであり、化合物(I)単体であってもよく、化合物(I)と化合物(I)以外の他の成分と含有する混合物であってもよい。
(中間体の製造方法)
以下、本発明の中間体の製造方法を詳細に説明する。
本発明の中間体の製造方法は、化合物(I)と化合物(II)とを含有する溶液(X)を得る工程(α)と、溶液(X)にプロトン性溶媒を添加して化合物(II)を析出させて、析出した化合物(II)を除去して、化合物(I)を含有する中間体を得る工程(β)と、を少なくとも含み、必要に応じて、その他の工程をさらに含む。
Figure 2020059634
Figure 2020059634
<工程(α)>
工程(α)は、化合物(I)と化合物(II)とを含有する溶液(X)を得る工程である。
<<溶液(X)>>
溶液(X)は、少なくとも、化合物(I)と化合物(II)とを含み、さらに、必要に応じて、有機溶媒、その他の成分を含む。
溶液(X)中における化合物(I)の濃度は、8.0質量%以上であることが好ましく、8.5質量%以上であることがより好ましく、9.0質量%以上であることが特に好ましく、また、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。溶液(X)中における化合物(I)の濃度が、上記下限値以上であり、上記上限値以下であれば、式(II)で表される化合物を高選択的に除去することができる。
なお、「溶液(X)中における化合物(I)の濃度」は、下記式で計算される。
溶液(X)中における化合物(I)の濃度(質量%)=
(化合物(I)の質量)/[(化合物(I)の質量)+溶媒質量]×100
溶液(X)中における化合物(II)の濃度は、3.0質量%以上であることが好ましく、3.5質量%以上であることがより好ましく、4.0質量%以上であることが特に好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、9.0質量%以下であることがより好ましく、8.0質量%以下であることが特に好ましい。溶液(X)中における化合物(II)の濃度が、上記下限値以上であり、上記上限値以下であれば、式(II)で表される化合物を高選択的に除去することができる。
なお、「溶液(X)中における化合物(II)の濃度」は、下記式で計算される。
溶液(X)中における化合物(II)の濃度=
(化合物(II)の質量)/[(化合物(II)の質量)+溶媒質量]×100
溶液(X)中における化合物(I)の濃度に対する溶液(X)中における化合物(II)の濃度の比(溶液(X)中における化合物(II)の濃度/溶液(X)中における化合物(I)の濃度)は、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることが特に好ましく、また、60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましく、50%以下であることが特に好ましい。溶液(X)中における化合物(II)の濃度の比(溶液(X)中における化合物(II)の濃度/溶液(X)中における化合物(I)の濃度)が、上記下限値以上であり、上記上限値以下であれば、式(II)で表される化合物を高選択的に除去することができる。
[化合物(I)]
下記式(I)で示される化合物(I)は、1種の化合物のみで構成されていてもよく、2種の化合物から構成されていてもよいが、1種の化合物のみで構成されていることが好ましい。ここで、化合物(I)が1種の化合物のみで構成されていると、後述する化合物(II)は、A21を中心として左右対称となる。
Figure 2020059634
〔A、B
式(I)中、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。
これらの中でも、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜20の芳香族基が好ましい。
環状脂肪族基の具体例としては、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の炭素数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の炭素数5〜20のビシクロアルカンジイル基等が挙げられる。中でも、環状脂肪族基としては、置換されていてもよい炭素数5〜20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、特に、1,4−シクロヘキシレン基(シクロヘキサン−1,4−ジイル基)が好ましく、トランス−1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。
芳香族基の具体例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、特に、1,4−フェニレン基が好ましい。
環状脂肪族基、および芳香族基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。前記環状脂肪族基、炭素数5〜20の環状脂肪族基、芳香族基、炭素数2〜20の芳香族基は、上述した置換基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。なお、置換基を複数有する場合は、各置換基は同一でも相異なっていてもよい。
ここで、Aは置換基を有していてもよい環状脂肪族基であり、Bは置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
そして、Aが、式(a)で表される「置換基を有していてもよいトランス−1,4―シクロヘキシレン基」であり、Bが、式(b)で表される「置換基を有していてもよい1,4‐フェニレン基」である組み合わせがより好ましい。
Figure 2020059634
式(a)および式(b)中、Rは、ハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または−O−C(=O)−Rを表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。
としては、溶解性向上の観点から、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;が好ましい。なお、Rが複数の場合は、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。さらに、p1は0〜4の整数を表し、0であることが好ましい。
の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基等が挙げられる。なお、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、4〜10であることが更に好ましい。
の、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。
の炭素数1〜20のアルキル基および炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;およびベンゾジオキサニル基;などが挙げられる。これらの中でも、Rの炭素数1〜20のアルキル基および炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルキル基が好ましい。
なお、Rの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基は、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Rの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
の、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
の炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基等が挙げられる。中でも、Rの炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基が好ましい。
なお、Rの炭素数3〜12のシクロアルキル基は、複数の置換基を有していてもよい。Rの炭素数3〜12のシクロアルキル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
の、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。中でも、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルキル基;−OCFから選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
なお、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基は、複数の置換基を有していてもよい。炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基が複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
〔Y、L
式(I)中、YおよびLは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR23−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR24−、または、−NR25−C(=O)−NR26−を表す。ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
これらの中でも、合成し易さと所望の光学特性発現の観点から、Yは、−O−であることが好ましく、Lは、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であることが好ましい。
〔R
式(I)中、Rは、水素原子、メチル基または塩素原子を表す。
これらの中でも、Rは、合成し易さと重合速度の観点から、水素原子であることが好ましい。
〔FG
式(I)中、FGは、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表す。
これらの中でも、FGは、合成し易さと所望の光学特性発現の観点から、カルボキシル基であることが好ましい。
〔d〕
式(I)中、dは、1〜20の整数を表す。
これらの中でも、dは、合成し易さと所望の光学特性発現の観点から、2〜12の整数であることが好ましく、4〜12の整数であることがより好ましく、4〜10の整数であることが特に好ましい。
〔e〕
式(I)中、eは、1または2である。
これらの中でも、eは、1であることが好ましい。
なお、eが2である場合において、2つのBは同一であっても異なっていてもよく、また、2つのLは同一であっても異なっていてもよい。
化合物(I)の具体例としては、例えば、下記式(I−1)で示される化合物(I−1)が好適に挙げられる。
Figure 2020059634
式(I−1)中、R、dは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
〔化合物(I)の調製〕
化合物(I)の調製について、eが1である場合と、eが2である場合とに分けて説明する。
eが1である場合、化合物(I)(下記式(I−a)で示される化合物(I−a))は、例えば、下記式(A−0)で示される化合物(A−0)と下記式(B−0)で示される化合物(B−0)とを反応させることにより得ることができ、より具体的には、下記式(A−1)で示される化合物(A−1)と、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライドとを、トリエチルアミン等の塩基を含有する反応溶媒中で、エステル化反応させた後、加水分解することにより得ることができる。また、下記式(A−1)で示される化合物(A−1)と、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とを、脱水縮合剤存在下にて反応溶媒中で、反応させることにより得ることもできる。
Figure 2020059634
式(A−0)、(B−0)および(I−a)中、A、B、Y、L、R、FG、およびdは、それぞれ独立して、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
式(A−0)中、Zは、水酸基、カルボキシル基、またはアミノ基を表す。
これらの中でも、Zは、合成のし易さの観点から、水酸基であることが好ましい。
式(B−0)中、FQは、Zと反応してLを形成し、且つ、FGとなり得る官能基であり、−C(=O)Cl、ClC(=O)−、−COOH、HOOC−、−NH、またはHN−を表す。
これらの中でも、FQは、合成のし易さの観点の観点から、−C(=O)ClまたはClC(=O)−、−COOH、HOOC−であることが好ましい。
Figure 2020059634
式(A−1)中、R、dは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
eが2である場合の化合物(I)(下記式(I−b)で示される化合物(I−b))は、例えば、下記式(A−2)で示される化合物(A−2)と下記式(B−0)で示される化合物(B−0)とを反応させることにより得ることができる。
Figure 2020059634
式(A−2)、(B−0)および(I−b)中、A、B、Y、L、R、FG、およびdは、それぞれ独立して、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
式(A−2)中、Zは、水酸基、カルボキシル基、またはアミノ基を表す。
これらの中でも、Zは、合成し易さの観点から、水酸基であることが好ましい。
式(B−0)中、FQは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
式(I−b)中における2つのBは同一であっても異なっていてもよく、式(I−b)中における2つのLは同一であっても異なっていてもよい。
−反応溶媒−
反応溶媒としては、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で使用してもよい。
上記反応に用いる反応溶媒の使用量は、上記化合物(A−0)または化合物(A−2)10gに対し、10mL以上であることが好ましく、20mL以上であることがより好ましく、40mL以上であることが特に好ましく、また、500mL以下であることが好ましく、250mL以下であることがより好ましく、100mL以下であることが特に好ましい。反応溶媒の使用量が、上記下限値以上であり、上記上限値以下であれば、式(I)で示される化合物の選択性を向上させることができる。
[化合物(II)]
下記式(II)で示される化合物(II)は、A21を中心として、左右対称であっても、左右非対称であってもよいが、合成し易さの点で、A21を中心として左右対称である(即ち、B21とB22とが同一であり、Y21とY22とが同一であり、L21とL22とが同一であり、R31とR32とが同一であり、d1とd2とが同一であり、e1とe2とが同一であることが好ましい。
Figure 2020059634
〔A21、B21、B22
式(II)中、A21、B21およびB22は、それぞれ独立して、前記A、Bと同じ意味を表し、その好適例も前記A、Bと同じである。
〔Y21、Y22
式(II)中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、前記Yと同じ意味を表し、その好適例も前記Yと同じである。
〔L21、L22
式(II)中、L21およびL22は、それぞれ独立して、前記Lと同じ意味を表し、その好適例も前記Lと同じである。
〔R31、R32
式(II)中、R31およびR32は、それぞれ独立して、前記Rと同じ意味を表し、その好適例も前記Rと同じである。
〔d1、d2〕
式(II)中、d1およびd2は、それぞれ独立して、前記dと同じ意味を表し、その好適例も前記dと同じである。
〔e1、e2〕
式(II)中、e1およびe2は、それぞれ独立して、前記eと同じ意味を表し、その好適例も前記eと同じである。
化合物(II)の具体例としては、例えば、下記式(II−1)で示される化合物(II−1)が好適に挙げられる。
Figure 2020059634
〔式(II−1)中、R、dは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
[有機溶媒]
有機溶媒としては、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で使用してもよい。
これらの中でも、水非混和性有機溶媒が好ましい。ここで、「水非混和性有機溶媒」は、水と混合しても相溶することなく2相分離する性質を有する有機溶媒である。水非混和性有機溶媒の水への溶解度は、40g(有機溶媒)/100mL(水)以下、好ましくは30g(有機溶媒)/100mL(水)以下、より好ましくは15g(有機溶媒)/100mL(水)以下である。
なお、2種以上の混合溶媒を用いる場合において、水混和性溶媒を添加する際には、水混和性溶媒と水非混和性有機溶媒の総和に対して上記水への溶解度を満たす場合、その混合溶媒は「水非混和性有機溶媒」とする。
水非混和性有機溶媒の具体例としては、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;2−ブタノン等のケトン類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
水非混和性有機溶媒のヒルデブランドの溶解度パラメーターは、14.0MPa1/2以上であることが好ましく、14.3MPa1/2以上であることがより好ましく、14.5MPa1/2以上であることが特に好ましく、また、22.0MPa1/2以下であることが好ましく、20.0MPa1/2以下であることがより好ましく、19.5MPa1/2以下であることが特に好ましい。水非混和性有機溶媒のヒルデブランドの溶解度パラメーターが、上記下限値以上であり、上記上限値以下であれば、式(I)で表される化合物を高い選択率で得ることができる。
ヒルデブランドの溶解度パラメーターとは、ヒルデブランドにより導入された、正則溶液論により定義された、材料間の相互作用の程度の数値予測を提供する値(δ)である。
ヒルデブランドの溶解度パラメーターが14.0MPa1/2以上22.0MPa1/2以下である有機溶媒としては、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)(ヒルデブランドの溶解度パラメーター(δ):17.2MPa1/2)、テトラヒドロフラン((δ):18.6MPa1/2)、メチル−t−ブチルエーテル((δ):15.6MPa1/2)、ジエチルエーテル((δ):15.1MPa1/2)、ジブチルエーテル((δ):14.9MPa1/2)、ジイソプロピルエーテル((δ):14.1MPa1/2)、1,2−ジメトキシエタン((δ):19.2MPa1/2)、2−ブタノン((δ):19.0MPa1/2)等のエーテル類;クロロホルム((δ):19.0MPa1/2)等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル((δ):18.6MPa1/2)等のエステル類;トルエン((δ):18.2MPa1/2)等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン((δ):16.7MPa1/2)等の脂環式炭化水素類;及びこれらの混合溶媒等を好ましく例示することができる。混合溶媒を用いる場合、その溶解度パラメーターは、加成則で計算することができる。
溶液(X)中における有機溶媒の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。溶液(X)中における有機溶媒の含有量が、上記下限値以上であり、上記上限値以下であれば、高い選択率で式(II)で表される化合物を除去することができる。
[その他の成分]
その他の成分としては、例えば、トリエチルアミン(EtN)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−ジメチルアミノピリジン等の塩基;ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩等の脱水縮合剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、パラメトキシフェノール等の重合禁止剤;などが挙げられる。
<工程(β)>
工程(β)は、溶液(X)にプロトン性溶媒を添加して化合物(II)を析出させて、析出した化合物(II)を除去して、化合物(I)を含有する中間体を得る工程である。
<<プロトン性溶媒>>
プロトン性溶媒は、化合物(I)と化合物(II)とを含有する溶液(X)に添加した際に、化合物(I)は溶け易く、且つ、化合物(II)は溶けにくい溶媒(即ち、溶液(X)中における化合物(I)に対して良溶媒であり、溶液(X)中における化合物(II)に対して貧溶媒である溶媒)である。
なお、化合物(I)単体に対して良溶媒であっても、溶液(X)中における化合物(I)に対して良溶媒であるとは限らず、また、化合物(II)単体に対して貧溶媒であっても、溶液(X)中における化合物(II)に対して貧溶媒であるとは限らない。
プロトン性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール等のアルコール;グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;ギ酸、酢酸等のカルボン酸;グリコール酸、2−ヒドロキシマロン酸、グリセリン酸等のヒドロキシ酸;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で使用してもよい。
これらの中でも、化合物(II)を効率良く析出させることができる点で、アルコールが好ましく、メタノールがより好ましい。
プロトン性溶媒の使用量は、上記化合物(A−0)または化合物(A−2)基準で、0.1質量倍数以上であることが好ましく、0.2質量倍数以上であることがより好ましく、0.3質量倍数以上であることが特に好ましく、また、5質量倍数以下であることが好ましく、3質量倍数以下であることがより好ましく、2質量倍数以下であることが特に好ましい。プロトン性溶媒の使用量が、上記下限値以上であり、上記上限値以下であれば、高い選択率で式(II)で表される化合物を除去して、式(I)で表される化合物の純度を向上させることができる。
<<除去>>
析出した化合物(II)を除去する除去方法としては、例えば、ろ過、遠心分離、などが挙げられ、より具体的には、ろ過としての、吸引ろ過、加圧ろ過等が挙げられる。これらの中でも、除去効率の観点で、遠心分離、加圧ろ過が好ましい。
<<中間体>>
中間体は、少なくとも化合物(I)を含有するものであり、化合物(I)単体であってもよく、化合物(I)と化合物(I)以外の他の成分(例えば、化合物(II))とを含有する混合物であってもよい。
中間体における化合物(I)の含有量としては、86質量%以上である必要があり、88質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、92質量%以上であることが特に好ましい。中間体における化合物(I)の含有量が上記下限値以上であれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを得ることが可能な化合物を効率的に製造することができる。
なお、工程(β)では、上記中間体を得るために、化合物(II)の除去を行った後に、冷却して、化合物(I)を含有する中間体を析出させて、ろ取し、真空乾燥することなどが行われる。
冷却温度としては、20℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることが特に好ましく、0℃付近であることが最も好ましい。冷却温度が上記上限値以下であれば、中間体を効率良く析出させることができる。
<その他の工程>
その他の工程は、例えば、乾燥等の上述した化合物(I)を調製する工程、などが挙げられる。
<重合性化合物>
本発明の中間体の製造方法により製造された中間体から製造される重合性化合物について説明する。
重合性化合物は、例えば、下記式(III)で示される化合物(以下、「重合性化合物(III)」ということがある。)であり、後述する高分子、光学フィルムおよび光学異方体を調製する際に有利に用いることができる。
Figure 2020059634
なお、後述するように、式(III)で表される化合物を用いることで、塗布性に優れる重合性組成物を得て、膜厚の面内均一性に優れ、光学特性の面内均一性が改善された光学フィルム等を有利に製造することができる。
<<Ar>>
ここで、式(III)中、Arは下記式(IV−1)または(IV−2)で表され、好ましくは、下記式(IV−3)または(IV−4)で表される。
Figure 2020059634
(上記式(IV−1)および(IV−2)中、*は、YあるいはYと結合することを表す。)
Figure 2020059634
(上記式(IV−3)および(IV−4)中、*は、YあるいはYと結合することを表す。)
[R]
式(IV−1)〜(IV−4)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜60の有機基を表し、Rf−K−Ga(GaがNと結合)で表されるものであること、Gbで表されるものであること、が好ましい。
Rの、置換基を有していてもよい炭素数1〜60の有機基の炭素数1〜60の有機基としては、特に制限はなく、例えば、(i)炭素数1〜60のアルキル基;(ii)炭素数2〜60のアルケニル基;(iii)炭素数2〜60のアルキニル基;等が挙げられる。
〔(i)炭素数1〜60のアルキル基〕
炭素数1〜60のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、n−ブチル基、n−へキシル基、n−オクチル基がより好ましく、n−へキシル基が特に好ましい。
〔(ii)炭素数2〜60のアルケニル基〕
炭素数2〜60のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチニル基、等が挙げられ、炭素数2〜12のアルケニル基が好ましい。
〔(iii)炭素数2〜60のアルキニル基〕
炭素数2〜60のアルキニル基としては、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基、等が挙げられ、炭素数2〜12のアルキニル基が好ましい。
Rの、炭素数1〜60の有機基の置換基としては、シアノ基;ニトロ基;水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等の、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6のアルコキシ基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、アセチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;等が挙げられる。
〔Rf〕
Rfは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基を表す。
これらの中でも、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基がより好ましい。
−芳香族炭化水素環−
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましい。
−芳香族複素環−
芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[b]チオフェン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環、等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環としては、フラン環、ピラン環、チオフェン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環等の単環の芳香族複素環;およびベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、ベンゾ[b]チオフェン環、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、ベンゾ[c]チオフェン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピラジン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の縮合環の芳香族複素環;が好ましい。
Rfが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1〜6アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−OCF;−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−O−C(=O)−R;および−SO;等が挙げられる。ここで、Rは「(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基」、「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基」、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基」、または、「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」を表す。また、Rは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;または、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の、炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基を表す。
これらの中でも、Rfが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
なお、Rfは、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Rfが複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
−−R−−
−−−(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基−−−
の、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基」の「炭素数1〜20のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。
なお、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基」の炭素数は、1〜12であることが好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。
−−−(ii)置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基−−−
の、「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基」の「炭素数2〜20のアルケニル基」としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
なお、「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基」の炭素数は、2〜12であることが好ましい。
の、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基」の「炭素数1〜20のアルキル基」および「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基」の「炭素数2〜20のアルケニル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;などが挙げられる。これらの中でも、Rの、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基」の「炭素数1〜20のアルキル基」および「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基」の「炭素数2〜20のアルケニル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基、等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルキル基;が好ましい。
なお、Rの、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基」の「炭素数1〜20のアルキル基」および「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基」の「炭素数2〜20のアルケニル基」は、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Rの、「(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基」の「炭素数1〜20のアルキル基」および「(ii)置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基」の「炭素数2〜20のアルケニル基」が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
−−−(iii)置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基−−−
の、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基」の「炭素数3〜12のシクロアルキル基」としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
の、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基」の「炭素数3〜12のシクロアルキル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;などが挙げられる。これらの中でも、Rの、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基」の「炭素数3〜12のシクロアルキル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。
なお、Rの、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基」の「炭素数3〜12のシクロアルキル基」は、複数の置換基を有していてもよい。Rの、「(iii)置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基」の「炭素数3〜12のシクロアルキル基」が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
−−−(iv)置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基−−−
の、「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」の「炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基がより好ましい。
の「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;などが挙げられる。これらの中でも、Rの「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
なお、Rの、「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」の「炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」は、複数の置換基を有していてもよい。Rの、「(iv)置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」の「炭素数5〜18の芳香族炭化水素環基」が複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
ここで、Rfの芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基自体の炭素数を意味する。
Rfが、複数の芳香族炭化水素環および/または複数の芳香族複素環を有する場合は、それぞれが同じであっても異なっていてもよい。
前記Rfは、「炭素数6〜30の芳香族炭化水素環および炭素数2〜30の芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」であることが好ましい。
Rfの、「炭素数6〜30の芳香族炭化水素環および炭素数2〜30の芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」の好ましい具体例を以下に示す。但し、以下に示すものに限定されるものではない。なお、下記式中、「−」は環の任意の位置からのび、Kとの結合手を表す。
1)少なくとも一つの炭素数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、置換基を有していてもよい炭化水素環基の具体例としては、下記式(1−1)〜(1−21)で表される構造が挙げられ、式(1−8)〜(1−21)等で表される炭素数6〜18の炭化水素環基が好ましい。なお、下記式(1−1)〜(1−21)で表される基は置換基を有していてもよい。
Figure 2020059634
Figure 2020059634
2)炭素数6〜30の芳香族炭化水素環および炭素数2〜30の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、置換基を有していてもよい複素環基の具体例としては、下記式(2−1)〜(2−51)で表される構造等が挙げられ、式(2−11)〜(2−51)等で表される炭素数2〜16の複素環基が好ましい。なお、下記式(2−1)〜(2−51)で表される基は置換基を有していてもよい。
Figure 2020059634
Figure 2020059634
Figure 2020059634
Figure 2020059634
〔各式中、Aは、−CH−、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表し、
BおよびDは、それぞれ独立して、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表し、
Eは、−NR−、酸素原子または硫黄原子を表す。
ここで、Rは、水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−は、それぞれ隣接しないものとする。)〕
上述した中でも、Rfは、上記式(1−8)、式(1−11)、式(1−12)、式(1−13)、式(1−14)、式(1−15)、式(1−20)、式(2−9)〜式(2−11)、式(2−24)〜式(2−33)、式(2−35)〜式(2−43)、式(2−47)および、式(2−49)〜(2−51)で表される基のいずれかであることが好ましい。
なお、Rf中の環構造に含まれるπ電子の総数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましく、10以上であることが特に好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
さらに、Rfが下記(i−1)〜(i−6)のいずれかであることが好ましい。なお、下記式(i−1)〜(i−6)で表される基は置換基を有していてもよい。
Figure 2020059634
(式(i−4)中、Jは、−CH−、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表し、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
なお、Rfの、「炭素数6〜30の芳香族炭化水素環および炭素数2〜30の芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」は、1以上の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
Rfの、「炭素数6〜30の芳香族炭化水素環および炭素数2〜30の芳香族複素環の少なくとも一方を有する環状基」が有する置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1〜6アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−OCF;−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−O−C(=O)−R;−SO;などが挙げられる。ここでRおよびRは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。そして、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
〔K〕
Kは、化学的な単結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−O−CRbRc−、−CRbRc−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−C(=O)−O−CRbRc−、−CRcRb−O−C(=O)−、−O−C(=O)−CRbRc−、−CRcRb−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR14−、−NR14−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−S−、−S−CH−C(=O)−O−、または、−O−C(=O)−O−を表す。ここで、R14は、水素原子、または、炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6〜12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、炭素数3〜12の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
Kとしては、これらの中でも、化学的な単結合、−O−、−O−CRbRc−、−CRcRb−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−C(=O)−O−CRbRc−、−CRcRb−O−C(=O)−、−O−C(=O)−CRbRc−、−CRcRb−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR14−、−NR14−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−S−、−S−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、が好ましく、化学的な単結合、−O−、−O−CRbRc−、−CRcRb−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−C(=O)−O−CRbRc−、−CRcRb−O−C(=O)−、−O−C(=O)−CRbRc−、−CRcRb−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR14−、−NR14−C(=O)−O−、−S−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−S−がより好ましく、化学的な単結合、−O−、−O−CRbRc−、−CRcRb−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−C(=O)−O−CRbRc−、−CRcRb−O−C(=O)−、−O−C(=O)−CRbRc−、−CRcRb−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR14−、−NR14−C(=O)−O−、−S−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−S−が特に好ましい。
ここで、R14は、(i)水素原子、または、(ii)メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表し、これらの中でも、R14は、水素原子が好ましい。
Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6〜12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、炭素数3〜12の置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Rc、Rbは、互いに同一であってもよく、相異なっていてもよい。
RbおよびRcの、炭素数6〜12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、炭素数3〜12の置換基を有していてもよい芳香族複素環基、の具体例としては、前記Rfと同様のもののうちそれぞれ規定された炭素数のものが挙げられる。Rb、Rcの有する置換基としては、前記Rfが有する置換基と同様のものが挙げられ、その好ましいものも同様である。また、複数の置換基を有する時には、同一であっても、相異なっていても構わない。
Rc、Rbは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数6〜12の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基が好ましく、さらに、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはナフチル基が好ましく、さらに、RcおよびRbの両方が同時に水素原子である組み合わせ、水素原子とフェニル基である組み合わせ、または、水素原子とナフチル基の組み合わせが特に好ましい。
Rf−K−の好ましい組み合わせとしては、
Rfが、前記一般式(i−1)〜(i−6)から選択され、Kが、化学的な単結合、−O−T、−O−CRbRc−T、−CRbRc−O−T、−O−CH−CH−T、−CH−CH−O−T、−C(=O)−O−T、−O−C(=O)−T、−CH−CH−C(=O)−O−T、−O−C(=O)−CH−CH−T、−C(=O)−O−CRbRc−T、−CRbRc−O−C(=O)−T、−O−C(=O)−CRbRc−T、−CRbRc−C(=O)−O−T、−NR14−C(=O)−O−T、−S−CH−C(=O)−O−Tから選択される組み合わせが好ましく、
Rfが、前記一般式(i−1)〜(i−6)から選択され、Kが、化学的な単結合、−O−T、−CRbRc−O−T、−CH−CH−O−T、−C(=O)−O−T、−O−C(=O)−T、−CH−CH−C(=O)−O−T、−CRbRc−O−C(=O)−T、−CRbRc−C(=O)−O−T、−NR14−C(=O)−O−T、−S−CH−C(=O)−O−Tから選択される組み合わせがより好ましく、
更に、Rf−K−は、下記式(ii−1)〜(ii−45)のいずれかであることが特に好ましく、(iii−1)〜(iii−46)のいずれかであることが最も好ましい。Rb、Rcは前記と同じ意味を表し、TはGaと結合する方向を示している。また、下記式(ii−1)〜(ii−45)で表される基、および、(iii−1)〜(iii−46)で表される基中の●(黒い円)は、Gaとの結合部位を示す。
下記式(ii−1)〜(ii−45)で表される基および(iii−1)〜(iii−46)で表される基は置換基を有していてもよい。
なお、下記式(ii−26)〜(ii−32)および下記式(iii−26)〜(iii−32)中、Jは、−CH−、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表し、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 2020059634
Figure 2020059634
〔Ga〕
Gaは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基であり、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の2価の有機基である。
Gaは、より好ましくは、(i)炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基、および、(ii)炭素数3〜20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−NR15−、または、−C(=O)−に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
ここで、R15は、水素原子、または、炭素数1〜6のアルキル基を表す。これらの中でも、水素原子、または、メチル基が好ましい。また、Gaの前記有機基が有する置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;が挙げられる。
Gaの上記置換基としては、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
ここで、Gaに関し、前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。また、前記「2価の脂肪族炭化水素基」の炭素数は、3〜20であることが好ましく、3〜18であることがより好ましい。そして、前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜18の2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜18のアルキレン基であることがより好ましい。
Gaの炭素数は、炭素数4〜16が好ましく、炭素数5〜14が更に好ましく、炭素数6〜12が特に好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。
Gaの構造としては、炭素数4〜16の無置換のアルキレン基が好ましく、炭素数5〜14の無置換のアルキレン基がより好ましく、炭素数6〜12の無置換のアルキレン基がさらに好ましく、炭素数6〜10の無置換のアルキレン基が特に好ましく、n−ヘキシレン基、n−オクチレン基が最も好ましい。
なお、Gaの炭素数が3以上の場合、Gaの両末端は−CH−であること(Gaの両末端が置換されていないこと)が好ましい。また、「(ii)炭素数3〜20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−NR15−、または、−C(=O)−に置換された基」において、−O−および−S−は、脂肪族炭化水素基中の連続した−CH−を置換しない(すなわち、−O−O−および−S−S−の構造を形成しない)ことが好ましく(つまり、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くことが好ましく)、−C(=O)−は、脂肪族炭化水素基中の連続した−CH−を置換しない(すなわち、−C(=O)−C(=O)−の構造を形成しない)ことが好ましい。
炭素数3〜20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−NR15−、または、−C(=O)−に置換される場合、−O−で置換されることが最も好ましく、炭素数2ごとに−O−に置換される、いわゆるエチレンオキシを繰り返し単位とし、Gaの両末端は−CH−であることが好ましい。
Gaとしては、(i)「炭素数1〜18、好ましくは炭素数3〜18の2価の鎖状の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3〜18の2価の鎖状の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基、のいずれかの有機基であり、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くこと」が好ましく、(ii)「炭素数3〜18の2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であること」がより好ましく、(iii)「炭素数3〜18のアルキレン基」がさらに好ましく、(iv)「炭素数4〜16の無置換のアルキレン基」がさらにより好ましく、(v)「炭素数5〜14の無置換のアルキレン基」がさらにより好ましく、(vi)「炭素数6〜12の無置換のアルキレン基」がさらにより好ましく、(vii)「炭素数6〜10の無置換のアルキレン基」が特に好ましく、「n−ヘキシレン基、n−オクチレン基、n−デシレン基」が最も好ましい。
〔Gb〕
Gbは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基であり、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の有機基である。
Gbは、より好ましくは、(i)置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、および、(ii)置換基を有していてもよい炭素数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−NR15−、または、−C(=O)−に置換された基、のいずれかの有機基である。ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。
ここで、R15は、水素原子、または、炭素数1〜6のアルキル基を表す。これらの中でも、水素原子、または、メチル基が好ましい。
また、Gbの前記有機基が有する置換基としては、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;−O−C(=O)−CRg=CH等の重合性基;などが挙げられる。ここで、Rgは、水素原子、メチル基、または塩素原子を表す。
ここで、Gbに関し、前記「脂肪族炭化水素基」は、鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基、であることがより好ましい。そして、前記「脂肪族炭化水素基」は、炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜18の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜18のアルキル基(例えば、n−ヘキシル基)、アルキニル基(例えば、2−ブチニル基)、またはアルケニル基(例えば、1−ブテニル基)であることがより好ましい。
Gbの炭素数は、炭素数4〜16が好ましく、炭素数4〜14が更に好ましく、炭素数4〜12が特に好ましく、炭素数4〜10が最も好ましい。
Gbの構造としては、炭素数4〜16の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基が好ましく、炭素数4〜14の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基がより好ましく、炭素数4〜12の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基がさらに好ましく、炭素数4〜10の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基が特に好ましく、炭素数4〜10の無置換のアルキル基がさらに特に好ましく、n−ヘキシル基が最も好ましい。
なお、Gbの炭素数が3以上の場合、Gbの片末端(Nとの結合側)は−CH−であること(Gbの片末端が置換されていないこと)が好ましい。また、「(ii)炭素数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−NR15−、または、−C(=O)−に置換された基」において、−O−および−S−は、脂肪族炭化水素基中の連続した−CH−を置換しない(すなわち、−O−O−および−S−S−の構造を形成しない)ことが好ましく(つまり、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くことが好ましく)、−C(=O)−は、脂肪族炭化水素基中の連続した−CH−を置換しない(すなわち、−C(=O)−C(=O)−の構造を形成しない)ことが好ましい。
炭素数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−NR15−、または、−C(=O)−に置換される場合、−O−で置換されることが最も好ましく、炭素数2ごとに−O−に置換される、いわゆるエチレンオキシを繰り返し単位とし、Gbの片末端(Nとの結合側)は−CH−であることが好ましい。
Gbとしては、(i)「置換基を有していてもよい炭素数1〜18、好ましくは炭素数3〜18の鎖状の脂肪族炭化水素基、および、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の鎖状の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基、のいずれかの有機基であり、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くこと」が好ましく、(ii)「置換基を有していてもよい炭素数3〜18の鎖状の脂肪族炭化水素基であること」がより好ましく、(iii)「置換基を有していてもよい炭素数3〜18の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」がさらに好ましく、(iv)「炭素数4〜16の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」がさらにより好ましく、(v)「炭素数4〜14の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」がさらにより好ましく、(vi)「炭素数4〜12の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」がさらにより好ましく、(vii)「炭素数4〜10の無置換の、アルキル基、アルキニル基、またはアルケニル基」が特に好ましく、炭素数4〜10の無置換のアルキル基がさらに特に好ましく、(viii)「n−ヘキシル基」が最も好ましい。
[Q]
式(IV−1)〜(IV−4)中、Qは、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基等が挙げられ、置換基としては、フェニル基およびナフタレン基等の、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基が挙げられる。
[R〜RIV
式(IV−1)〜(IV−4)中、R〜RIVは、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または、−O−C(=O)−Rを表し、Rは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
これらの中でも、(i)R〜RIVの全てが水素原子であること、または、(ii)R〜RIVのうちの少なくとも一つが置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基であり、且つ、残りが水素原子であること、が好ましい。
〜RIVは、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する少なくとも1つのC−R〜C−RIVは、窒素原子に置き換えられていてもよい。
C−R〜C−RIVのうちの少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた基の具体例を下記に示す。但し、C−R〜C−RIVのうちの少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた基はこれらに限定されるものではない。
Figure 2020059634
〔各式中、R〜RIVは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。〕
〔R、p、p1、p2〕
式(IV−1)〜(IV−4)中、Rは、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または−O−C(=O)−Rを表し、Rは、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
としては、溶解性向上の観点から、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、が好ましい。なお、Rが複数の場合は、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。さらに、式(IV−1)〜(IV−4)中、pは0〜3の整数を表し、p1は0〜4の整数を表し、p2は0または1を表し、p、p1およびp2のいずれも0であることが好ましい。
<<Y、Y>>
式(III)中、YおよびYは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、または、−C≡C−を表す。ここで、R13は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
これらの中でも、YおよびYは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−O−C(=O)−O−であることが好ましい。
<<A23、A24>>
式(III)中、A23およびA24は、それぞれ独立して、それぞれ独立して、前記Aと同じ意味を表し、その好適例も前記Aと同じである。
<<B21、B22、Y21、Y22、L21、L22、R31、R32、d1、d2、e1、e2>>
式(III)中、B21、B22、Y21、Y22、L21、L22、R31、R32、d1、d2、e1、e2は、前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
また、重合性化合物(III)は、特に限定されるものではないが、Arを中心とした対称構造を有する(即ち、YとY、A23とA24、B21とB22、Y21とY22、L21とL22、R31とR32、d1とd2、e1とe2が、それぞれ同一である(Arを中心として対称である))ことが好ましい。
ここで、重合性化合物(III)は、下記式(V−1)および(V−2)のいずれかで示される重合性化合物であることが好ましく、下記式(V−1)であることがより好ましい。
Figure 2020059634
Figure 2020059634
(式(V−1)および(V−2)中、R、Q、R〜RIV、R、Y、Y、A23、A24、B21、B22、Y21、Y22、L21、L22、R31、R32、d1、d2、e1、e2、p、p1およびp2は前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。
ここで、上記式(V−1)で示される重合性化合物としては、下記式(iii−1)で示される重合性化合物(iii−1)であることが好ましく、下記式(iii−2)で示される重合性化合物(iii−2)であることがより好ましく、下記式(1)および(2)のいずれかであることが特に好ましい。
Figure 2020059634
(式(iii−1)中、R、Q、R〜RIV、R、Y、Y、A23、A24、B21、B22、Y21、Y22、L21、L22、R31、R32、d1、d2、e1、e2およびpは前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。)
Figure 2020059634
(式(iii−2)中、R〜RIV、Q、およびRは前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。kおよびlは、それぞれ独立して、1〜18の整数を表す。)
Figure 2020059634
Figure 2020059634
上述した重合性化合物(III)は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、国際公開第2012/141245号、国際公開第2012/147904号、国際公開第2014/010325号、国際公開第2013/046781号、国際公開第2014/061709号、国際公開第2014/126113号、国際公開第2015/064698号、国際公開第2015−140302号、国際公開第2015/129654号、国際公開第2015/141784号、国際公開第2016/159193号、国際公開第2012/169424号、国際公開第2012/176679号、国際公開第2015/122385号、特開2016−190818号、国際公開第2017/150622号等に記載の方法を参照して合成できる。
例えば、本発明の中間体の製造方法により製造された中間体に含有される化合物(I)と、式(AA)で表されるベンズアルデヒド化合物(AA)とを反応させることにより、下記式(AB)で表される化合物(AB)を得て、その後、化合物(AB)と下記式(AC)で表される化合物(AC)とを反応させることにより、上記重合性化合物(iii−1)(Qが水素原子であり、pが0であるもの)を得ることができる。
なお、反応条件等の詳細については、国際公開2014/010325号報、国際公開2015/064698号報、国際公開2015/141784号報を参照して設定することができる。
Figure 2020059634
Figure 2020059634
(式(I)、式(AB)、式(AC)および式(iii−1)中、R、Y、B、L、A、FG、d、e、Y、Y、A23、A24、B21、B22、Y21、Y22、L21、L22、R31、R32、d1、d2、e1、e2、R、およびR〜RIVは前記と同じ意味を表し、その好適例も前記と同じである。)
<重合性組成物>
上記重合性組成物は、少なくとも重合性化合物(III)と、重合開始剤とを含有する。
なお、上記重合性組成物は、後述するように、高分子、光学フィルム、光学異方体の製造原料として有用である。そして、上記重合性組成物によれば、膜厚の面内均一性に優れ、光学特性の面内均一性が改善された光学フィルム等を良好に製造することができる。
ここで、重合開始剤は、重合性組成物に含まれている重合性化合物(III)の重合反応をより効率的に行う観点から配合される。
そして、用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、加熱することにより、重合性化合物の重合を開始し得る活性種が発生する化合物である熱ラジカル発生剤;や、可視光線、紫外線(i線など)、遠紫外線、電子線、X線等の露光光の露光により、重合性化合物の重合を開始しえる活性種が発生する化合物である光ラジカル発生剤;のいずれも使用可能であるが、光ラジカル発生剤を使用するのが好適である。
光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、露光によって活性ラジカルまたは活性酸、あるいは活性ラジカルと活性酸の両方を発生する成分である。光ラジカル発生剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)等を挙げることができる。
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
なお、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。
ここで、「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
メルカプタン系化合物の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。アミン系化合物としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−ヘプタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−〔4−(ベンゾイル)フェニル〕−オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−[9−エチル−6−(3−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、1−(9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル)−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
また、光ラジカル発生剤として、市販品をそのまま用いることもできる。具体例としては、BASF社製の、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure184、商品名:Irgacure369、商品名:Irgacure651、商品名:Irgacure819、商品名:Irgacure907、および、商品名:IrgacureOXE02、並びに、ADEKA社製の、商品名:アデカアークルズN1919T等が挙げられる。
前記アニオン重合開始剤としては、アルキルリチウム化合物;ビフェニル、ナフタレン、ピレン等の、モノリチウム塩またはモノナトリウム塩;ジリチウム塩やトリリチウム塩等の多官能性開始剤;等が挙げられる。
また、前記カチオン重合開始剤としては、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズのようなルイス酸;芳香族オニウム塩または芳香族オニウム塩と、還元剤との併用系;が挙げられる。
これらの重合開始剤は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上記重合性組成物において、重合開始剤の配合割合は、重合性組成物に含まれる重合性化合物100質量部に対し、通常、0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
また、上記重合性組成物には、表面張力を調整するために、界面活性剤を配合するのが好ましい。当該界面活性剤としては、特に限定はないが、通常、ノニオン系界面活性剤が好ましい。当該ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いればよく、例えば、含フッ素基、親水性基、および親油性基含有オリゴマーであるノニオン系界面活性剤、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S242、S243、S386、S611、S651など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F251、F554、F556、F562、RS−75、RS−76−Eなど)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(FTX601AD、FTX602A、FTX601ADH2、FTX650Aなど)等が挙げられる。また、これらの界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ここで、上記重合性組成物において、界面活性剤の配合割合は、重合性組成物に含まれる重合性化合物100質量部に対し、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.01〜2質量部である。
更に、上記重合性組成物には、重合性化合物、重合開始剤、界面活性剤の他、他の成分が更に含まれていてもよい。他の成分としては、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。
また、他の成分としては、他の共重合可能な単量体も挙げられる。具体的には、特に限定されるものではなく、例えば、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−メトキシフェニル、4−(6−メタクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸ビフェニル、4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸−3’,4’−ジフルオロフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸ナフチル、4−アクリロイルオキシ−4’−デシルビフェニル、4−アクリロイルオキシ−4’−シアノビフェニル、4−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−シアノビフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−メトキシビフェニル、4−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)−4’−(4’’−フルオロベンジルオキシ)−ビフェニル、4−アクリロイルオキシ−4’−プロピルシクロヘキシルフェニル、4−メタクリロイル−4’−ブチルビシクロヘキシル、4−アクリロイル−4’−アミルトラン、4−アクリロイル−4’−(3,4−ジフルオロフェニル)ビシクロヘキシル、4−(2−アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4−アミルフェニル)、4−(2−アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4−(4’−プロピルシクロヘキシル)フェニル)、商品名「LC−242」(BASF社製)、トランス−1,4−ビス[4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]フェニル]シクロヘキサンジカルボキシレート、並びに、特開2007−002208号公報、特開2009−173893号公報、特開2009−274984号公報、特開2010−030979号公報、特開2010−031223号公報、特開2011−006360号公報および特開2010−24438号公報、国際公開第2012/141245号、国際公開第2012/147904号、国際公開第2012/169424号、国際公開第2012/76679号、国際公開第2013/180217号、国際公開第2014/010325号、国際公開第2014/061709号、国際公開第2014/065176号、国際公開第2014/126113号、国際公開第2015/025793号、国際公開第2015/064698号、国際公開第2015/122384号、国際公開第2015/122385号に開示されている化合物等の共重合可能な単量体が挙げられる。
これらの他の成分の配合割合は、重合性組成物に含まれる重合性化合物100質量部に対し、通常、0.005〜50質量部である。
上記重合性組成物は、通常、重合性化合物、重合開始剤、および、所望により配合される他の成分等の所定量を、適当な有機溶媒に混合・溶解させることにより、調製することができる。
重合性組成物の調製に用いる有機溶媒としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;等が挙げられる。
<高分子>
高分子は、上述した重合性化合物(III)または上述した重合性組成物を重合して得られるものである。
ここで、「重合」とは、通常の重合反応のほか、架橋反応を含む広い意味での化学反応を意味するものとする。
そして、高分子は、通常、重合性化合物(III)に由来する単量体単位を有している。
なお、高分子は、上述した重合性化合物(III)、または、上述した重合性組成物を用いて調製しているので、光学フィルム等の構成材料として良好に用いることができる。
また、高分子は、特に限定されることなく、フィルム状、粉体状、粉体が集合した層状などの用途に応じた任意の形状にして使用することができる。
具体的には、高分子のフィルムは、後述する光学フィルムおよび光学異方体の構成材料として良好に用いることができ、高分子の粉は、塗料、偽造防止物品、セキュリティ物品等に利用することができ、高分子の粉よりなる層は、光学異方体の構成材料として良好に用いることができる。
そして、高分子は、具体的には、(α)適当な有機溶媒の存在下、上述した重合性化合物(III)、または、上述した重合性組成物の重合反応を行った後、目的とする高分子を単離し、得られる高分子を適当な有機溶媒に溶解して溶液を調製し、この溶液を適当な基板上に塗工して得られた塗膜を乾燥後、所望により加熱することにより得る方法、(β)上述した重合性化合物(III)、または、上述した重合性組成物を有機溶媒に溶解し、この溶液を、公知の塗工法により基板上に塗布した後、脱溶媒し、次いで加熱または活性エネルギー線を照射することにより重合反応を行う方法等により好適に製造することができる。なお、上述した重合性化合物(III)を単独で重合してもよい。
前記(α)の方法において重合反応に用いる有機溶媒としては、不活性なものであれば、特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;等が挙げられる。
これらの中でも、取り扱い性に優れる観点から、沸点が60〜250℃のものが好ましく、60〜150℃のものがより好ましい。
また、前記(α)の方法において、単離した高分子を溶解するための有機溶媒、および、前記(β)の方法で用いる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(N−メチル−2−ピロリドン)等の非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いが容易な点から、溶媒の沸点が60〜200℃のものが好ましい。これらの溶剤は単独でも用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(α)および(β)の方法において用いる基板としては、有機、無機を問わず、公知慣用の材質のものを使用することができる。例えば、有機材料としては、ポリシクロオレフィン〔例えば、ゼオネックス、ゼオノア(登録商標;日本ゼオン社製)、アートン(登録商標;JSR社製)、および、アペル(登録商標;三井化学社製)〕、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース、三酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン等が挙げられ、無機材料としては、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
また、用いる基板は、単層のものであっても、積層体であってもよい。
基板としては、有機材料からなる基板が好ましく、有機材料をフィルム状にした樹脂フィルムが更に好ましい。
なお、基板としては、後述する光学異方体の作製に用いられる基板等も挙げられる。
また、(α)の方法において高分子の溶液を基板に塗布する方法、および、(β)の方法において重合反応用の溶液を基板に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、キャップコーティング法等を用いることができる。
更に、前記(α)および(β)の方法における乾燥または脱溶媒の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等を用いることができる。
乾燥温度は、溶媒を脱溶媒することができれば、特に制限はないが、下限温度に関しては、一定の温度を安定的に得られるという観点から、50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。
乾燥温度の上限温度に関しては、基板に悪影響を与えない範囲という観点から、200℃以下であることが好ましく、195℃以下であることがより好ましい。
また、上述した重合性化合物(III)または上述した重合性組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。
紫外線等の光を照射する温度は、液晶相を維持できる温度であれば、特に制限はないが、下限温度に関しては、光重合を安定的に進行させることができるという観点から、15℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。
紫外線等の光を照射する温度の上限温度に関しては、基板に悪影響を与えない範囲という観点から、200℃以下であることが好ましく、195℃以下であることがより好ましい。
ここで、光の照射時の温度は、100℃以下とすることが好ましい。光照射強度は、通常、1W/m〜10kW/mの範囲、好ましくは5W/m〜2kW/mの範囲である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上であり、好ましくは5000mJ/cm以下、より好ましくは4000mJ/cm以下である。
上述のようにして得られた高分子は、基板から転写して使用することも、基板から剥離して単体で使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学フィルム等の構成材料等として使用することもできる。
また、基板から剥離した高分子は、既知の方法で粉砕して粉体状にしてから使用することもできる。
以上のようにして得られる高分子の数平均分子量は、好ましくは500〜500,000、更に好ましくは5,000〜300,000である。該数平均分子量がかかる範囲にあれば、高い硬度が得られ、取り扱い性にも優れるため望ましい。高分子の数平均分子量は、単分散のポリスチレンを標準試料とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
そして、高分子によれば、膜厚の面内均一性に優れ、光学特性の面内均一性が改善された光学フィルム等を得ることができる。
<光学フィルム>
光学フィルムは、高分子および/又は重合性化合物を用いて形成され、光学的な機能を有する層を含む。光学的な機能とは、単なる透過、反射、屈折、複屈折などを意味する。そして、光学フィルムは、高分子を光学的な機能を有する層の主たる構成材料とする光学フィルムであるか、或いは、光学的な機能を有する層が重合性化合物を含有する光学フィルムでありうる。好ましくは、高分子を構成材料とする光学フィルムは、光学的な機能を有する層の全構成成分を100質量%とした場合に高分子の占有割合が50質量%超である。また、好ましくは、重合性化合物を含む光学フィルムは、光学的な機能を有する層の全構成成分を100質量%とした場合に、重合性化合物を0.01質量%以上含有する。
ここで、光学フィルムは、配向膜を有していてもよい配向基板上に形成されたままの形態(配向基板/(配向膜)/光学フィルム)、配向基板とは異なる透明基板フィルム等に光学フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/光学フィルム)、または、光学フィルムに自己支持性がある場合には光学フィルム単層形態(光学フィルム)のいずれの形態であってもよい。
なお、配向膜および配向基板としては、後述する光学異方体と同じ基板および配向膜を用いることができる。
そして、光学フィルムは、(A)重合性化合物を含む溶液、または、重合性組成物の溶液を配向基板上に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、熱処理(液晶の配向)、並びに、光照射および/または加熱処理(重合)を行う方法や、(B)重合性化合物、または重合性組成物を重合して得られる液晶性高分子の溶液を配向基板上に塗布し、任意に得られた塗膜を乾燥する方法や、(C)重合性化合物および樹脂を含む溶液を配向基板上に塗布し、得られた塗膜を乾燥する方法により製造することができる。
光学フィルムは、光学異方体、液晶表示素子用配向膜、カラーフィルター、ローパスフィルター、光偏光プリズム、各種光フィルター等に用いることができる。
なお、光学フィルムは、Mueller Matrix Polarimeter Axoscanで測定した波長400nm〜800nmにおける位相差から求められる。下記α値およびβ値が所定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、α値は、0.70〜0.99であることが好ましく、0.75〜0.90であることがより好ましい。また、β値は、1.00〜1.25であることが好ましく、1.01〜1.20であることがより好ましい。
α=(450nmにおける位相差)/(550nmにおける位相差)
β=(650nmにおける位相差)/(550nmにおける位相差)
<光学異方体>
光学異方体は、高分子を構成材料とする層を有する。
光学異方体は、例えば、基板上に配向膜を形成し、該配向膜上に、さらに、高分子からなる層(液晶層)を形成することによって、得ることができる。なお、光学異方体は、基板上に高分子からなる層(液晶層)を直接形成したものであってもよいし、高分子からなる層(液晶層)のみからなるものであってもよい。
なお、高分子からなる層は、フィルム状の高分子からなるものであってもよいし、粉体状の高分子の集合体であってもよい。
ここで、配向膜は、重合性化合物を面内で一方向に配向規制するために基板の表面に形成される。
配向膜は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリマーを含有する溶液(配向膜用組成物)を基板上に膜状に塗布し、乾燥させ、そして一方向にラビング処理等することで、得ることができる。
配向膜の厚さは0.001〜5μmであることが好ましく、0.001〜1.0μmであることがさらに好ましい。
ラビング処理の方法は、特に制限されないが、例えばナイロン等の合成繊維、木綿等の天然繊維からなる布やフェルトを巻き付けたロールで一定方向に配向膜を擦る方法が挙げられる。ラビング処理した時に発生する微粉末(異物)を除去して配向膜の表面を清浄な状態とするために、ラビング処理後に配向膜をイソプロピルアルコール等によって洗浄することが好ましい。
また、ラビング処理する方法以外に、配向膜の表面に偏光紫外線を照射する方法によっても、面内で一方向に配向規制する機能を持たせることができる。
配向膜を形成する基板としては、ガラス基板、合成樹脂フィルムからなる基板等が挙げられる。前記合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、および、脂環式オレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報、米国特許第5179171号明細書に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報、米国特許第5202388号明細書に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報(国際公開99/20676号)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体およびその水素添加物等が挙げられる。
配向膜上に高分子からなる液晶層を形成する方法としては、前記高分子の項で記載したのと同じ方法(前記(α)および(β))が挙げられる。
得られる液晶層の厚みは、特に制限はないが、通常1〜10μmである。
なお、光学異方体の一種としては、特に限定されることなく、位相差板、視野角拡大板等が挙げられる。
なお、光学異方体は、Mueller Matrix Polarimeter Axoscanで測定した波長400nm〜800nmにおける位相差から求められる。下記α値およびβ値が所定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、α値は、0.70〜0.99であることが好ましく、0.75〜0.90であることがより好ましい。また、β値は、1.00〜1.25であることが好ましく、1.01〜1.25であることがより好ましい。
α=(450nmにおける位相差)/(550nmにおける位相差)
β=(650nmにおける位相差)/(550nmにおける位相差)
<偏光板等>
偏光板は、光学異方体および偏光フィルムを含むものである。
偏光板の具体例としては、偏光フィルム上に、直接またはその他の層(ガラス板等)を介して、光学異方体が積層されてなるものが挙げられる。
偏光フィルムの製造方法は特に限定されない。PVA系の偏光フィルムを製造する方法としては、PVA系フィルムにヨウ素イオンを吸着させた後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後にヨウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムへのヨウ素イオン吸着と一軸延伸とを同時に行う方法、PVA系フィルムを二色性染料で染色した後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に二色性染料で染色する方法、PVA系フィルムへの二色性染料での染色と一軸延伸とを同時に行う方法が挙げられる。また、ポリエン系の偏光フィルムを製造する方法としては、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に脱水触媒存在下で加熱・脱水する方法、ポリ塩化ビニル系フィルムを一軸に延伸した後に脱塩酸触媒存在下で加熱・脱水する方法などの公知の方法が挙げられる。
偏光板においては、偏光フィルムと光学異方体とが、接着剤(粘着剤を含む)からなる接着層を介して接していてもよい。接着層の平均厚みは、通常0.01μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜15μmである。前記接着層は、JIS K7113による引張破壊強度が40MPa以下となる層であることが好ましい。
接着層を構成する接着剤としては、アクリル接着剤、ウレタン接着剤、ポリエステル接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリオレフィ系接着剤、変性ポリオレフィン接着剤、ポリビニルアルキルエーテル接着剤、ゴム接着剤、塩化ビニル・酢酸ビニル接着剤、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS共重合体)接着剤、その水素添加物(SEBS共重合体)接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレン−スチレン共重合体などのエチレン接着剤、並びに、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体およびエチレン・アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル接着剤などが挙げられる。
偏光板は、光学異方体を用いていることから、逆波長分散性を有しながら、光学特性の面内均一性に優れるものである。
また、偏光板を用いることにより、パネルを備える表示装置、反射防止フィルムを好適に製造することができる。前記パネルとしては、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネルが挙げられる。前記表示装置としては、偏光板と液晶パネルとを備えるフラットパネル表示装置、液晶パネルと有機エレクトロルミネッセンスパネルとを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置が挙げられる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
(実施例1:化合物1の合成)
後述するステップ1およびステップ2を経て、下記構造式で示される化合物1を得た。
Figure 2020059634
<ステップ1:化合物Aの合成>
まず、下記構造式で示される化合物Aを、国際公開第2017/150622号報に記載の方法で合成した(ステップ1)。
Figure 2020059634
<ステップ2:化合物1の合成>
次に、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、先のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.57質量%であった。反応式を下記に示す。なお、この段階の有機層中には、下記構造式で示される化合物Xが44.9g含まれていた。
Figure 2020059634
Figure 2020059634
さらに、得られた有機層に、メタノール200gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液とを一緒にした。この洗浄液と一緒にしたろ液をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)98.55gを得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、92.6質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、57.64モル%であった。
(実施例2:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。有機層をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.58質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが44.8g含まれていた。
さらに、得られた有機層に、メタノール200gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液とを一緒にした。5℃にて、この洗浄液と一緒にしたろ液に水250gを加えて、30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて30分間撹拌して洗浄し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)98.88gを得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、91.8質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、57.33モル%であった。
(実施例3:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.59質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが45.0g含まれていた。
さらに、得られた有機層に、メタノール50gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液とを一緒にした。この洗浄液と一緒にしたろ液をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)99.22gを得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、92.5質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、57.97モル%であった。
(実施例4:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。有機層をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.59質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが44.5g含まれていた。
さらに、得られた有機層に、メタノール50gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液とを一緒にした。5℃にて、この洗浄液と一緒にしたろ液に水250gを加えて、30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて30分間撹拌して洗浄し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)99.88gを得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、92.5質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、58.35モル%であった。
(実施例5:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.56質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが44.2g含まれていた。
さらに、得られた有機層に、メタノール300gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液とを一緒にした。この洗浄液と一緒にしたろ液をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)100.1gを得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、91.8質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、58.04モル%であった。
(実施例6:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。有機層をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.57質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが45.2g含まれていた。
さらに、得られた有機層に、メタノール300gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液とを一緒にした。5℃にて、この洗浄液と一緒にしたろ液に水250gを加えて、30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて30分間撹拌して洗浄し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)98.9gを得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、89.8質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、56.09モル%であった。
(比較例1:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.59質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが44.3g含まれていた。
さらに、得られた有機層を徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したCPME100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液とを一緒にした。この洗浄液と一緒にしたろ液をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を73.8g得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、91.5質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、42.65モル%であった。
(比較例2:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。有機層をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.57質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが44.8g含まれていた。
さらに、得られた有機層を徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したCPME100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液と一緒にした。この洗浄液と一緒にしたろ液を分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)74.7gを得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、91.1質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、42.98モル%であった。
(比較例3:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま10℃以下で1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.55質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが44.6g含まれていた。
さらに、得られた有機層に、メタノール550gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液と一緒にした。この際のろ過性は総じて非常に悪かった。この洗浄液と一緒にしたろ液をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を82.3g得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、85.5質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、44.44モル%であった。
(比較例4:化合物1の合成)
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.397mol)と、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)830gとを加えた。そこへ、前記実施例1のステップ1で合成した化合物A:100g(0.378mol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン(EtN)40.2g(0.397mol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、20分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を25℃に戻して1時間さらに撹拌した。得られた反応液に、水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて50℃にて2時間撹拌を行った。この操作を合計で3回実施した。有機層をさらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを用いて40℃にて30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH5.5)416gを加えて40℃にて30分間撹拌を行った。この操作を合計で5回実施した。この段階の有機層(溶液(X))中の化合物1の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、10.58質量%であった。なお、この段階の有機層中には、上記構造式で示される化合物Xが44.4g含まれていた。
さらに、得られた有機層に、メタノール550gを加えて、徐々に冷却して0℃にて1時間ゆっくり撹拌することで固体を析出させた。析出した固体をろ過により除去してろ液を得た。ろ過器の中のろ過物を別途準備した0℃に冷却したメタノール100gで洗浄して、この洗浄により得られた洗浄液と先のろ液と一緒にした。この際のろ過性は総じて非常に悪かった。5℃にて、この洗浄液と一緒にしたろ液に水250gを加えて、30分間撹拌して洗浄した。洗浄後、分液して水層を抜き出した後、新たに水250gを加えて30分間撹拌して洗浄し、分液し、水層を抜き出して得た有機層(油層)に、ノルマルヘキサン1200gを加えて、徐々に0℃に冷却することで固体を析出させ、析出した固体をろ取した。ろ過物をノルマルヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて、中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)82.2gを得た。得た白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)を高速液体クロマトグラフにて定量したところ、白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y)に対する化合物1の含量は、85.3質量%であった。化合物1の収率は、化合物A基準で、44.29モル%であった。
(比較例5:国際公開2011/068138号の比較例1)
Figure 2020059634
trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸24.68gおよびトルエンを混合した。得られた溶液に、二塩化オキサリル74.91gおよびN,N-ジメチルホルムアミド0.5mLを加えた。得られた溶液を、窒素雰囲気下で攪拌し、反応させた。得られた反応混合物を減圧濃縮して、トルエンおよび未反応の二塩化オキサリルを除去した。得られた溶液とクロロホルムとを混合し、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを含む溶液を得た。
上記式(A−IV)で示される化合物12gおよびクロロホルムを混合した。得られた溶液と、ピリジン12.6gとを、氷冷下、先に得たtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを含む溶液に滴下した。得られた混合物を窒素雰囲気下で攪拌した。沈殿を濾過により除去し、得られた濾液を減圧濃縮した。濃縮液を水/メタノール溶液(体積比=1/1)に滴下した。生成した沈殿を粉砕した後、濾過した。沈殿を純水で洗浄した。沈殿を濾過し、真空乾燥した。得られた粉末を粉砕した後、ヘプタンを加えた。得られた混合物を攪拌した後、沈殿を取り出した。沈殿をトルエンと混合し、不溶分を濾過により除去した。濾液を減圧濃縮し、得られた濃縮液にヘプタンを加えた。沈殿を濾過により取り出し、真空乾燥し、上記式(6-a)で示される化合物(化合物(I))を含む粉末(中間体)7.8gを得た。上記式(6-a)で示される化合物の収率は、上記式(A−IV)で示される化合物基準で、40.00モル%であった。得られた粉末に対する上記式(6-a)で示される化合物の含量(純度)は70.0質量%であった。
(比較例6:国際公開2011/068138号の比較例2)
trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸24.68g、二塩化オキサリル74.91gおよびN,N-ジメチルホルムアミド0.5mLを混合した。窒素雰囲気下で、得られた溶液を攪拌し反応させた。得られた反応混合物を減圧濃縮し、トルエンおよび未反応の二塩化オキサリルを除去した。得られた溶液とクロロホルムとを混合し、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを含む溶液を得た。
上記式(6-a)で示される化合物12gおよびクロロホルムを混合した。得られた溶液と、ピリジン12.6gとを、氷冷下、先に得たtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを含む溶液に滴下した。得られた溶液を、窒素雰囲気下で攪拌した。沈殿を濾過により除去し、濾液を減圧濃縮した。濃縮液を水に滴下し、生成した沈殿を粉砕した後、濾過した。沈殿を純水と混合し、濾過した。沈殿を真空乾燥した。得られた粉末を粉砕した後、水/メタノール溶液(体積比=1/1)に加えた。沈殿を粉砕した後、濾過した。沈殿にヘプタンを加え、得られた混合物を攪拌して不溶分を濾過により取り出した。不溶分をトルエンと混合した後、濾過した。得られた濾液を減圧濃縮し、得られた濃縮液にヘプタンを加えた。沈殿を濾過により取り出し、真空乾燥して、上記式(6-a)で示される化合物(化合物(I))を含む粉末(中間体)2.1gを得た。上記式(6-a)で示される化合物の収率は、上記式(A−IV)で示される化合物基準で、12.00モル%であった。得られた粉末に対する上記式(6-a)で示される化合物の含量(純度)は85.0質量%であった。
Figure 2020059634
(実施例7:重合性化合物1の合成)
Figure 2020059634
<ステップ1:化合物Bの合成>
Figure 2020059634
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール100g(0.605mol)をN,N−ジメチルホルムアミド750gに加え、次いで、1−ブロモヘキサン119.9g(0.726mol)を加えた。この溶液にリン酸三カリウム192.72g(0.908mol)を加え、全容を100℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し、降温した反応液にトルエン750gおよび水750gを加えた後、60℃を維持して、15分間撹拌した。反応液を静置すると、三層に分離した。下層の二層を抜き出した。得られたトルエン層に10質量%の塩化ナトリウム水溶液430gを加えて60℃を維持して、15分間撹拌した。分液し、水層を抜き出して得られたトルエン層(有機層)を減圧下にて濃縮を行い、トルエン560gを抜き出した。濃縮後のトルエン層(有機層)を60℃に昇温し、水500gを加えて、強撹拌しながら徐々に冷却した。0℃に到達した後、そのままの温度で1時間強撹拌した。このスラリー溶液をろ過した。得られた湿固体を5℃以下に冷却した水/メタノール=1/4(質量比)の混合溶媒500gを用いてかけ洗いして洗浄した。得られた湿固体を真空乾燥機で減圧乾燥させることで、化合物Bを白色固体として132.8g得た。収率は88モル%であった。化合物Bの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.60(dd、1H、J=1.0,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0,8.0,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0,8.0,8.0Hz)、4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.69−1.76(m,2H)、1.29−1.42(m,6H)、0.89(t,3H,J=7.0Hz)。
<ステップ2:重合性化合物1の合成>
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記実施例1で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.80g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))、クロロホルム100g、およびジメチルホルムアミド(DMF)3.49gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル3.27g(27.48mmol)を反応温度が10℃以下になるように制御して滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が4分の1になるまで濃縮した。その後、クロロホルム25gを加えて、化合物1の酸クロライドのクロロホルム溶液を得た。別途、温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド1.50g(10.86mmol)、および塩基としての2,6−ルチジン6.98g(65.17mmol)を、50gのクロロホルムに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、先に合成した化合物1の酸クロライドのクロロホルム溶液の全量を、反応液内温を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を10℃以下に保持しながら、さらに1時間反応を行った。その後さらに、1.0規定の塩酸水溶液40gを加えて、10℃以下で30分撹拌して反応を行った。反応終了後、さらに、10℃以下のまま、得られた反応液に、前記ステップ1で合成した化合物B:3.52g(14.12mmol)を加えた。その後、反応液を40℃に昇温して4時間反応を行った。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。得られた有機層にロカヘルプ#479(三井金属鉱業社製)0.50gを加え、30分間撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液から、総質量約80%をエバポレーターにて抜き出して濃縮した。この溶液にTHF20gを加えた後、1時間攪拌した。次いで、この溶液にノルマルヘキサン80gを滴下した後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。得られた結晶にTHF108g、ロカヘルプ#479:1.8g、および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール100mgを加えて30分間撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液から、エバポレーターにてTHF36gを留去した。得られた溶液にメタノール117gを滴下した後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。ろ過物をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、重合性化合物1を11.7g得た。単離収率は92.0モル%(2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド基準)であった。重合性化合物1の構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67−7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H、J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H、J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.70(m,4H)、2.31−2.35(m,8H)、1.66−1.82(m,18H)、1.31−1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)。
(実施例8:重合性化合物1の合成)
前記実施例7において、ステップ2で、前記実施例1で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.80g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いる代わりに、前記実施例2で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.89g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いたこと以外は、実施例7と同様に、重合性化合物1の合成をおこなった。その結果、重合性化合物1を11.6g得た。重合性化合物1の単離収率は、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド基準で、91.3モル%であった。
(実施例9:重合性化合物1の合成)
前記実施例7において、ステップ2で、前記実施例1で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.80g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いる代わりに、前記実施例3で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.81g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いたこと以外は、実施例7と同様に、重合性化合物1の合成をおこなった。その結果、重合性化合物1を11.7g得た。重合性化合物1の単離収率は、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド基準で、92.0モル%であった。
(実施例10:重合性化合物1の合成)
前記実施例7において、ステップ2で、前記実施例1で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.80g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いる代わりに、前記実施例4で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.81g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いたこと以外は、実施例7と同様に、重合性化合物1の合成をおこなった。その結果、重合性化合物1を11.8g得た。重合性化合物1の単離収率は、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド基準で、92.8モル%であった。
(実施例11:重合性化合物1の合成)
前記実施例7において、ステップ2で、前記実施例1で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.80g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いる代わりに、前記実施例5で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.89g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いたこと以外は、実施例7と同様に、重合性化合物1の合成をおこなった。その結果、重合性化合物1を11.5g得た。重合性化合物1の単離収率は、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド基準で、90.5モル%であった。
(実施例12:重合性化合物1の合成)
前記実施例7において、ステップ2で、前記実施例1で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):10.80g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いる代わりに、前記実施例6で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):11.14g(化合物1の純量として10.00g(23.90mmol))を用いたこと以外は、実施例7と同様に、重合性化合物1の合成をおこなった。その結果、重合性化合物1を11.6g得た。重合性化合物1の単離収率は、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド基準で、91.3モル%であった。
(実施例13:重合性化合物2の合成)
Figure 2020059634
<ステップ1:化合物Cの合成>
Figure 2020059634
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、1−ナフチル酢酸500.5g(2.69mol)およびトルエン1049gを投入した。さらに、6−クロロ−1−ヘキサノール349.5g(2.56mol)、パラトルエンスルホン酸1水和物48.6g(0.26mol)を加えて、溶液を調製した。ディーンスターク装置を用いて、調製した溶液を加熱し、生成する水を反応系外に排出しながら共沸脱水(内温約95℃)を2時間行った。反応終了後、25℃まで冷却した反応液に、5.8質量%の重曹水742gを加えて、分液して洗浄した。洗浄後、水層を抜き出して得られた有機層を、さらに水500gで洗浄した。洗浄後、水層を抜き出して得られた有機層にろ過助剤(商品名:ロカヘルプ#479、三井金属鉱業社製)7gを加え、室温下にて30分間撹拌し、ろ過を行い、ろ過助剤を除去した。有機層からロータリーエバポレーターにて溶媒を留去して、化合物Cを含む淡茶色オイルを755g得た。高速液体クロマトグラフによる定量により、この化合物Cを含む淡茶色オイルには化合物Cが93.0質量%含まれていることが分かった。この淡茶色オイルの精製は行わず、そのまま次の反応(ステップ2:化合物Dの合成)に用いた。
<ステップ2:化合物Dの合成>
Figure 2020059634
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した化合物Cを含む淡茶色オイル59.52g(化合物C正味の量として、55.35g(0.182mol))およびN−メチル−2−ピロリドン235gを投入し、均一な溶液とした。その均一な溶液に、2−ヒドラジノベンゾチアゾール25.0g(0.151mol)を加えた。次いで、リン酸三カリウム48.18g(0.227mol)を加え、全容を100℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液を60℃まで冷却し、降温した反応液に酢酸エチル312.5gを加えた後、60℃を維持して、ろ過を行った。ろ液である有機層を0.5規定のクエン酸水溶液250gにゆっくり滴下して、内温60℃で30分間撹拌した後、水層を抜き出した。さらに、有機層に9.1質量%の塩化ナトリウム水溶液275gを加え、内温60℃で30分間撹拌した後、30分間静置して水層を抜き出した。次いで、有機層に4.76質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液262.5gを加え、内温60℃で30分間撹拌した後、30分間静置して水層を抜き出した。さらに、有機層に水250gを加え、内温60℃で30分間撹拌した後、30分間静置して水層を抜き出した。得られた有機層を徐々に0℃まで冷却して、0℃にて30分間撹拌した。生じた固体をろ過によって取得した。その後、取得した固体に酢酸エチル150gを加えて、60℃まで昇温して均一溶液として、30分間撹拌した。その後、酢酸エチル溶液を徐々に0℃まで冷却して、0℃にて1時間撹拌した。生じた固体をろ過によって取得して、減圧乾燥させることで、化合物Dを白色固体として36.9g得た。化合物Dの収率は56.4モル%であった。化合物Dの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.00(d,1H,J=8.5Hz)、7.85(dd,1H、J=1.0Hz、8.0Hz)、7.78(dd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz)、7.60(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.54−7.51(m,2H)、7.49−7.40(m,3H)、7.28(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.07(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、4.16(br,2H)、4.08(t,2H,J=6.5Hz)、4.06(s,2H)、3.66(t,2H,J=7.0Hz)、1.63−1.54(m,4H)、1.32−1.22(m,4H)。
<ステップ3:重合性化合物2の合成>
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記実施例3で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):32.43g(化合物1の純量として30.00g(71.7mmol))、クロロホルム300g、およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)10.5g(143.4mmol)を加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル9.81g(82.44mmol)を反応温度が10℃以下になるように制御して滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにてクロロホルム225gを抜き出して濃縮して、クロロホルム溶液として化合物1の酸クロライドを合成した。別途、温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド4.5g(32.58mmol)、および塩基としてのトリエチルアミン19.78g(195.5mmol)を、150gのクロロホルムに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、先に合成した化合物1の酸クロライドのクロロホルム溶液の全量を、反応液内温を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5〜10℃で1時間撹拌して反応を行った。反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、1.0規定の塩酸水溶液120gを加えて、10℃以下で30分撹拌して反応を行った。反応終了後、さらに、10℃以下のまま、得られた反応液に、前記ステップ2で合成した化合物D:18.38g(42.4mmol)と、2,6−ジターシャリーブチル−パラ−クレゾール0.3gとを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して4時間反応を行った。
反応終了後、水層を抜き出して、有機層を得た。得られた有機層に蒸留水105gを投入して、有機層を40℃にて30分撹拌して洗浄した。水層を抜き出して得た有機層を25℃に冷却して、ロカヘルプ#479を1.5g加えて30分撹拌した。その後、1gのロカヘルプ#479を敷いた桐山ロートでろ過を行い、ロカヘルプ#479を除去した。ロカヘルプ#479を除去して得られた有機層からロータリーエバポレータにてクロロホルムを180g抜き出して、濃縮を行った。濃縮して得られた有機層にヘキサン210gを1時間かけて加えて固体を析出させ、ろ過により淡黄色固体を得た。得られた淡黄色固体を25℃にてテトラヒドロフラン120gに溶解させて、ロカヘルプ#479を1.5g加えて30分間撹拌した。その後、1gのロカヘルプ#479を敷いた桐山ロートでろ過を行い、ロカヘルプ#479を除去した。ロカヘルプ#479を除去して得られた有機層に15℃にて165gのメタノールをゆっくりと滴下して、固体を析出させ、ろ過を行い、固体を得た。得られた固体を真空乾燥機にて乾燥して、重合性化合物2を淡黄色固体として、40.2g得た。重合性化合物2の収率は、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド基準で、91.0モル%であった。重合性化合物2の構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.97(dd,1H,J=0.5Hz,8.5Hz)、7.80(ddd,1H,J=0.5Hz,0.5Hz,8.0Hz)、7.73−7.76(m,2H)、7.67−7.71(m,2H)、7.61(s,1H)、7.49(ddd,1H,J=1.0Hz,6.5Hz,8.5Hz)、7.42(ddd,1H,J=1.5Hz,7.0Hz,7.0Hz)、7.33−7.39(m,3H)、7.18(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.10−7.14(m,2H)、6.95−7.01(m,4H)、6.85−6.90(m,4H)、6.405(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.402(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.127(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.124(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.822(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.819(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.16−4.22(m,6H)、4.08(t,2H,J=6.5Hz)、4.03(s,2H)、3.95(t,2H,J=6.5Hz)、3.93(t,2H,J=6.5Hz)、2.56−2.67(m,4H)、2.28−2.36(m,8H)、1.59−1.83(m,20H)、1.42−1.56(m,8H)、1.24−1.36(m,4H)。
(実施例14:重合性化合物2の合成)
前記実施例13において、ステップ3で、前記実施例3で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):32.43g(化合物1の純量として30.00g(71.7mmol)を用いる代わりに、前記実施例4で合成した中間体としての白色固体(化合物1と化合物Xとの混合物Y):32.43g(化合物1の純量として30.00g(71.7mmol))を用いたこと以外は、実施例13と同様に、重合性化合物2の合成を行った。その結果、重合性化合物2を40.6g得た。重合性化合物2の単離収率は、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド基準で、92.1モル%であった。
実施例7〜14の結果から、本発明の製造方法により得られた、化合物(I)が高濃度で含まれている中間体は、重合性化合物の製造に好適に使用することができることが分かった。
本発明によれば、化合物(I)を高濃度で含有する中間体を効率的に製造することが可能な中間体の製造方法が提供される。

Claims (7)

  1. 下記式(I):
    Figure 2020059634
    〔式(I)中、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
    およびLは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR23−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR24−、または、−NR25−C(=O)−NR26−を表し、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
    は、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
    FGは、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表し、
    dは1〜20の整数を表し、
    eは1または2である。〕で示される化合物(I)を含む中間体の製造方法であって、
    (i)前記化合物(I)と、
    下記式(II):
    Figure 2020059634
    〔式(II)中、A21、B21およびB22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、
    21、Y22、L21およびL22は、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR23−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR24−、または、−NR25−C(=O)−NR26−を表し、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
    31およびR32は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基または塩素原子を表し、
    d1およびd2は、それぞれ独立して、1〜20の整数を表し、
    e1およびe2は、それぞれ独立して、1または2である。〕で示される化合物(II)とを含有する溶液(X)を得る工程(α)、並びに、
    (ii)前記溶液(X)にプロトン性溶媒を添加して前記化合物(II)を析出させて、前記析出した化合物(II)を除去して、前記化合物(I)を86質量%以上含有する中間体を得る工程(β)を含む、中間体の製造方法。
  2. 前記溶液(X)中における前記化合物(I)の濃度が8.0質量%以上である、請求項1に記載の中間体の製造方法。
  3. 前記化合物(I)が下記式(I−1)で示される化合物(I−1)である、請求項1または2に記載の中間体の製造方法。
    Figure 2020059634
    〔式(I−1)中、R、dは、前記と同じ意味を表す。〕
  4. 前記化合物(II)が下記式(II−1)で示される化合物(II−1)である、請求項1〜3の何れかに記載の中間体の製造方法。
    Figure 2020059634
    〔式(II−1)中、R、dは、前記と同じ意味を表す。〕
  5. 前記溶液(X)が有機溶媒をさらに含み、該有機溶媒が水非混和性有機溶媒である、請求項1〜4の何れかに記載の中間体の製造方法。
  6. 前記水非混和性有機溶媒は、ヒルデブランドの溶解度パラメーターが14.0MPa1/2以上22.0MPa1/2以下である、請求項5に記載の中間体の製造方法。
  7. 前記プロトン性溶媒がアルコールである、請求項1〜6の何れかに記載の中間体の製造方法。
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