JPWO2020032208A1 - タイヤ - Google Patents

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Abstract

優れたドライハンドリング性及びベルトの耐久性を有しつつ、転がり抵抗の低減を可能にする、タイヤを提供することを目的とする。上記課題を解決するべく、本発明は、トレッド部に配置した一枚以上のベルト層からなるベルト、を備えたタイヤであって、前記トレッド部を構成するトレッドゴムは、ゴム成分と、合計スチレン含量が30質量%以上であるスチレン・アルキレンブロック共重合体と、を含むゴム組成物からなり、前記ベルト層は、補強コードを被覆するベルトコーティングゴムを有し、該ベルトコーティングゴムは、50%モジュラス値M50(MPa)に対する200%モジュラス値M200(MPa)の比が、5.0以下(M200/M50≦5.0)であることを特徴とする。

Description

本発明は、タイヤに関するものである。
車両の安全性を向上させる観点から、乾燥路面のみならず、湿潤路面、氷雪路面等の様々な路面上でのタイヤの制動性や駆動性を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば、湿潤路面での性能を向上させるために、天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)等のゴム成分と共にアロマオイルを配合したゴム組成物をトレッドゴムに用いる技術が知られている(特許文献1)。
ただし、特許文献1のようなアロマオイルを配合する技術については、アロマオイルとNRやBRとの相溶性が高くないため、湿潤路面での性能を向上させる効果が小さく、また、乾燥路面における操縦安定性(ドライハンドリング性)が低下する等の問題もあった。
また近年、タイヤのトレッド部に配設されたベルトのようなタイヤ荷重を支えるケース部材については、自動車の燃費性能向上の観点から、タイヤの転がり抵抗を低減することが望まれており、ケース部材自体の剛性を低くして、タイヤのトレッドゴムへの入力を低減する技術が知られている。
しかしながら、ケース部材の剛性を低くする場合には、トレッドゴムが十分に変形できず、トレッドゴムの性能が十分に発揮されない結果、タイヤのグリップ性能を十分に向上させることができなかった。加えて、ベルトの剛性を低くした場合には、ベルトの耐亀裂進展性等が低下することが考えられるため、耐久性の点についてもさらなる改善を図る必要があった。
特開平5−269884号公報
そのため、本発明の目的は、優れたドライハンドリング性及びベルトの耐久性を有しつつ、転がり抵抗の低減を可能にする、タイヤを提供することにある。
上述した課題を解決するための、本発明の要旨は以下の通りである。
本発明のタイヤは、トレッド部に配置した一枚以上のベルト層からなるベルト、を備えたタイヤであって、前記トレッド部を構成するトレッドゴムは、ゴム成分と、合計スチレン含量が30質量%以上であるスチレン・アルキレンブロック共重合体と、を含むゴム組成物からなり、前記ベルト層は、補強コードを被覆するベルトコーティングゴムを有し、該ベルトコーティングゴムは、50%モジュラス値M50(MPa)に対する200%モジュラス値M200(MPa)の比が、5.0以下(M200/M50≦5.0)であることを特徴とする。
上記構成を具えることによって、優れたドライハンドリング性及びベルトの耐久性を有しつつ、転がり抵抗の低減が可能となる。
また、本発明のタイヤでは、前記ベルトコーティングゴムは、25℃における歪1%での動的貯蔵弾性率(E’)が、12MPaを超え且つ30MPa未満であることが好ましい。乾燥路面及び湿潤路面でのグリップ性能を高めることができ、転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性の向上をより高いレベルで両立できるためである。
また、本発明のタイヤでは、前記ベルトコーティングゴムは、ゴム成分と、DBP吸収量が50〜100 cm3/100gであるカーボンブラックと、フェノール樹脂と、メチレン供与体とを含むゴム組成物からなることが好ましい。転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性の向上を、より高いレベルで両立できるためである。
さらに、本発明のタイヤでは、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体のアルキレンブロックが、−(CH2−CH(C25))−単位(A)と−(CH2−CH2)−単位(B)を有し、単位(A)の合計含量が、単位(A)及び単位(B)のアルキレンブロックの総質量(単位(A)+単位(B))に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。優れたドライハンドリング性を実現しつつ、湿潤路面でのグリップ性能と転がり抵抗の低減とを両立することができるためである。
また、本発明のタイヤでは、前記トレッドゴムに用いられるゴム組成物は、前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、前記ゴム成分中の天然ゴムの含有比率が、50質量%以上であることが好ましい。耐寒性と転がり抵抗の低減を改善できるためである。
さらにまた、本発明のタイヤでは、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が、50質量%以上であることが好ましい。ドライハンドリング性をより高めることができるためである。
本発明によれば、優れたドライハンドリング性及びベルトの耐久性を有しつつ、転がり抵抗の低減を可能にする、タイヤを提供できる。
本発明のタイヤの一実施形態の概略断面図である。
以下に、本発明のタイヤを、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
図1は、本発明のタイヤの一実施形態について、断面を模式的に示した図である。本発明のタイヤは、トレッド部3に配置した一枚以上のベルト層6a、6bからなるベルト6を備えたタイヤであって、図1では、一対のビード部1と、一対のサイドウォール部2と、トレッド部3と、ビード部1に埋設されたビードコア4間にトロイド状に延在させたラジアルカーカス5と、トレッド部3に配置した(より詳しくは、ラジアルカーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置した)2枚のベルト層6a、6bからなるベルト6と、を備える。
なお、図示例のタイヤにおいて、ラジアルカーカス5は、一枚のカーカスプライから構成されており、また、ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア4間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア4の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けてタイヤ半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明のタイヤにおいて、ラジアルカーカス5のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。ここで、ラジアルカーカス5を構成するカーカスプライは、複数の補強コードを被覆ゴムで被覆してなり、該補強コードとしては、ポリエチレンテレフタレートコード、ナイロンコード、レーヨンコード等の有機繊維コードの他、スチールコードを用いてもよい。
また、図示例のタイヤのベルト6は、二枚のベルト層6a、6bから構成されており、各ベルト層6a、6bは、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、さらに、二枚のベルト層6a、6bが、該ベルト層6a、6bを構成するコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト6を構成している。
なお、図中のベルト6は、二枚のベルト層6a、6bからなるが、本発明のタイヤにおいて、ベルト6を構成するベルト層の枚数は、一枚以上であればよく、これに限られるものではない。
そして、本実施形態のタイヤは、前記トレッド部3を構成するトレッドゴムが、ゴム成分と、合計スチレン含量が30質量%以上であるスチレン・アルキレンブロック共重合体と、を含むゴム組成物からなり、
前記ベルト層6a、6bは、補強コードを被覆するベルトコーティングゴムを有し、該ベルトコーティングゴムの、50%モジュラス値M50(MPa)に対する200%モジュラス値M200(MPa)の比が、5.0以下(M200/M50≦5.0)である。
前記トレッドゴムについて、特定のスチレン・アルキレンブロック共重合体を含有させることによって、トレッドゴムの弾性率を高めることができるとともに、タイヤの転がり抵抗についても低減が可能となるため、優れたドライハンドリング性及び低転がり抵抗性を実現できる。加えて、前記ベルトコーティングゴムについて、50%モジュラス値(MPa)に対する200%モジュラス値(MPa)の比を特定値(具体的には、5.0)以下とすることによって、タイヤの転がり抵抗の悪化を招くことないことに加えて、ベルトの耐久性についても、大きく改善を図ることができる。
(トレッドゴム)
本発明のタイヤでは、前記トレッドゴムが、ゴム成分と、合計スチレン含量が30質量%以上であるスチレン・アルキレンブロック共重合体と、を含むゴム組成物(以下、「トレッド用ゴム組成物」ということがある。)からなる。
前記トレッド用ゴム組成物中に、スチレン・アルキレンブロック共重合体が配合されることによって、スチレン・アルキレンブロック共重合体中のスチレンブロックが、トレッドゴムにおいて充填剤のような働きをする一方、ポリスチレンブロック間にアルキレンブロックが存在し、ポリスチレンブロック同士の擦れあいが低減される結果、トレッドゴムの弾性率を高めることができるとともに、低ロス性についても改善(タイヤの転がり抵抗についても低減)が可能となる。
・ゴム成分
前記トレッド用ゴム組成物のゴム成分については、特に限定されず、公知のゴム組成物において用いられるゴム成分を用いることができる。
例えば、前記ゴム成分として、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、これらの変性体等が挙げられる。ゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも、前記トレッド用ゴム組成物では、前記ゴム成分が天然ゴムを含有することが好ましい。ゴム成分として天然ゴムを含むことで、耐寒性と低ロス性(タイヤの転がり抵抗の低減効果)を向上させることができるためである。
さらに、耐久性と低ロス性を向上させる観点からは、前記ゴム成分における前記天然ゴムの含有比率が、50質量%以上90質量%以下であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
また、前記ゴム成分については、未変性SBRおよび変性SBRからなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。
さらに、前記ゴム成分については、少なくとも変性SBR等の変性共役ジエン系重合体を含有することがより好ましい。タイヤの低転がり抵抗性について改善を図ることができるためである。
ここで、前記変性共役ジエン系重合体としては、例えば、以下の変性共役ジエン系重合体(A)が好ましい。この変性共役ジエン系重合体(A)は、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A)の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である。この変性共役ジエン系重合体(A)により、タイヤの低転がり抵抗性をより向上させることができる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。この場合、タイヤのWET性能をより向上させることができるためである。
さらに、前記変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖と、を有し、前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが好ましい。この場合、タイヤのWET性能をより向上させることができる。
前記変性共役ジエン系重合体(A)は、下記一般式(I):
Figure 2020032208
[一般式(I)中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されるものであることが好ましい。この場合、タイヤの耐摩耗性を向上させることができる。
ここで、一般式(I)において、Aは、下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表されるものであることが好ましい。この場合、タイヤに適用することで、タイヤの低転がり抵抗性と、WET性能と、耐摩耗性とを高度にバランスさせることができる。
Figure 2020032208
ここで、一般式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB1は、各々独立している。
また、一般式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。
さらに、一般式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB4は、各々独立している。
さらにまた、一般式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のB5は、各々独立している。
前記変性共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン系重合体を、下記一般式(VI)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。該カップリング剤と反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴム組成物をタイヤに使用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させ、転がり抵抗の低減が可能となる。
Figure 2020032208
なお、一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2の整数を示し、R11〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す。
ここで、一般式(VI)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
ここで、一般式(VI)で表されるカップリング剤は、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、及びテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。この場合、タイヤの耐摩耗性をさらに向上させることができる。
一般に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にあり、前記収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。即ち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとして用いる。変性共役ジエン系重合体の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)を算出し、絶対分子量が100×104〜200×104のときの収縮因子(g’)の平均値を、その変性共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)とする。ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体が直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度」は、1の分岐に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。例えば、後述するカップリング残基を介して間接的に、後述の5つの共役ジエン系重合体鎖が互いに結合している場合には、分岐度は5である。なお、カップリング残基とは、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、カップリング剤由来の構造単位である。また、共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
前記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上であり、さらには0.59以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。
収縮因子(g’)の測定方法は、以下のとおりである。変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器の結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求める。直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出する。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用する。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用する。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定する。
変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して5以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがより好ましい。分岐度が5以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して5以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、より確実に収縮因子(g’)を0.64未満にすることができる。なお、1のカップリング残基に対して結合している共役ジエン系重合体鎖の数は、収縮因子(g’)の値から確認することができる。
また、変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
さらに、変性共役ジエン系重合体(A)は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがより一層好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、より一層好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、特に好ましい。分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
変性共役ジエン系重合体(A)は、窒素原子と、ケイ素原子とを有することが好ましい。この場合、ゴム組成物の加工性が良好となり、また、タイヤに適用した際に、タイヤのWET性能及び耐摩耗性を向上させつつ、タイヤの低転がり抵抗性をさらに向上することができる。なお、変性共役ジエン系重合体(A)が窒素原子を有することについては、後述する変性率の測定方法で、算出された変性率が10%以上であった場合、窒素原子を有していると判断する。特定のカラムへの吸着の有無によって確認することができる。
変性共役ジエン系重合体(A)がケイ素原子を有することは、以下の方法により判断する。変性共役ジエン系重合体0.5gを試料として、JIS K 0101 44.3.1に準拠して、紫外可視分光光度計(島津製作所社製の商品名「UV−1800」)を用いて測定し、モリブデン青吸光光度法により定量する。これにより、ケイ素原子が検出された場合(検出下限10質量ppm)、ケイ素原子を有していると判断する。
前記共役ジエン系重合体鎖は、少なくともその1つの末端が、それぞれカップリング残基が有するケイ素原子と結合していることが好ましい。この場合、複数の共役ジエン系重合体鎖の末端が、1のケイ素原子と結合していてもよい。また、共役ジエン系重合体鎖の末端と炭素数1〜20のアルコキシ基又は水酸基とが、一つのケイ素原子に結合し、その結果として、その1つのケイ素原子が炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成していてもよい。
前記変性共役ジエン系共重合体(A)は、伸展油を加えた油展重合体とすることができる。該変性共役ジエン系共重合体(A)は、非油展であっても、油展であってもよいが、耐摩耗性の観点から、100℃で測定されるムーニー粘度が、20以上100位下であることが好ましく、30以上80以下であることがより好ましい。
ムーニー粘度の測定方法は、以下のとおりである。共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定する。測定温度は、共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、変性共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とする。まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とする。
変性共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、20×104以上300×104以下であり、好ましくは50×104以上であり、より好ましくは64×104以上であり、さらに好ましくは80×104以上である。また、上記重量平均分子量は、好ましくは250×104以下であり、さらに好ましくは180×104以下であり、より好ましくは150×104以下である。重量平均分子量が20×104以上であれば、タイヤの低転がり抵抗性とWET性能とを高度に両立することができる。また、重量平均分子量が300×104以下であれば、ゴム組成物の加工性が向上する。
変性共役ジエン系重合体(A)及び後述する共役ジエン系重合体に対する、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、特定の高分子量成分の含有量は、以下のように測定する。共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)と、変性共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp1)と共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp2)とその比率(Mp1/Mp2)と、分子量200×104以上500×104以下の割合と、を求める。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用する。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用する。測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定する。
上記のピークトップ分子量(Mp1及びMp2)は、次のようにして求める。測定して得られるGPC曲線において、最も高分子量の成分として検出されるピークを選択する。その選択したピークについて、そのピークの極大値に相当する分子量を算出し、ピークトップ分子量とする。
また、上記の分子量200×104以上500×104以下の割合は、積分分子量分布曲線から分子量500×104以下が全体に占める割合から分子量200×104未満が占める割合を差し引くことで算出する。
変性共役ジエン系重合体(A)は、該変性共役ジエン系重合体の総量(100質量%)に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体(本明細書において、「特定の高分子量成分」ともいう。)を、104質量%以上30質量%以下含む。該特定の高分子量成分の含有量がこの範囲内であれば、タイヤの低転がり抵抗性とWET性能とを高度に両立することができる。
変性共役ジエン系重合体(A)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A)を得るためには、後述する重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
変性共役ジエン系重合体(A)においては、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.6以上3.0以下が好ましい。変性共役ジエン系重合体(A)の分子量分布がこの範囲であれば、ゴム組成物の加工性が良好となる。
変性共役ジエン系重合体(A)の製造方法は、特に限定されるものではないが、有機モノリチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る重合工程と、該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させる反応工程と、を有することが好ましい。カップリング剤としては、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物を反応させるのが好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン系重合体を、上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。該カップリング剤と反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A)を含むゴム組成物をタイヤに使用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させることも可能となる。
ここで、一般式(VI)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と、共役ジエン系重合体とを反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A)は、例えば、上記一般式(I)で表される。
一般式(I)中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、該共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量は、10×104〜100×104であることが好ましい。該共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
一般式(I)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。上記活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
前記ゴム成分中の、変性共役ジエン系重合体(A)の含有率は、25〜40質量%が好ましく、30〜35質量%がさらに好ましい。ゴム成分中の変性共役ジエン系重合体(A)の含有率が25質量%以上の場合、タイヤに適用した際に、タイヤのWET性能をさらに向上させることができる。また、ゴム成分中の変性共役ジエン系重合体(A)の含有率が40質量%以下の場合、ゴム組成物の加工性が向上する。
なお、前記トレッド用ゴム組成物のゴム成分については、上記変性共役ジエン系重合体(A)以外の変性SBRを用いることもできるし、未変性のSBRを用いることもできる。例えば、その他の変性SBRとしては、国際公開第2017/077712号のポリマー成分P2としての変性(共)重合体および実施例に記載の変性重合体C、変性重合体Dなどが挙げられる。
・スチレン・アルキレンブロック共重合体
前記トレッド用ゴム組成物中のスチレン・アルキレンブロック共重合体は、スチレン系モノマー由来のブロックと、アルキレンブロックとを有する共重合体である。
前記トレッド用ゴム組成物におけるスチレン・アルキレンブロック共重合体は、当該スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、当該スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が30質量%以上である。これにより、タイヤのドライハンドリング性を高めることができる。スチレン・アルキレンブロック共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量(スチレン系モノマー由来のブロックの合計含量)は、適宜調節すればよいが、例えば、30〜60質量%である。
また、前記トレッド用ゴム組成物では、前記合計スチレン含量が、50質量%以上であることが好ましい。前記合計スチレン含量が、50質量%以上であることより、タイヤのドライハンドリング性をさらに高めることができる。
なお、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体のスチレン含量と、後述するアルキレン単位の含量については、1H−NMRの積分比により求める。
スチレン・アルキレンブロック共重合体のスチレンブロックは、スチレン系モノマーに由来する(スチレン系モノマーを重合した)単位を有する。このようなスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。この中でも、スチレン系モノマーとしては、スチレンが好ましい。
スチレン・アルキレンブロック共重合体のアルキレンブロックは、アルキレン(二価の飽和炭化水素基)単位を有する。このようなアルキレン単位としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。アルキレン単位は、直鎖構造でもよいし、分岐構造でもよいし、これらの組み合わせでもよい。直鎖構造のアルキレン単位としては、例えば、−(CH2−CH2)−単位(エチレン単位)、−(CH2−CH2−CH2−CH2)−単位(ブチレン単位)などが挙げられる。分岐構造のアルキレン単位としては、例えば、−(CH2−CH(C25))−単位(ブチレン単位)などが挙げられる。これらのうち、アルキレン単位としては、−(CH2−CH(C25))−単位を有することが好ましい。
なお、前記アルキレン単位の合計含量は適宜調節すればよいが、例えば、スチレン・アルキレンブロック共重合体の総質量に対して、40〜70質量%である。
前記トレッド用ゴム組成物では、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体のアルキレンブロックが、−(CH2−CH(C25))−単位(A)と−(CH2−CH2)−単位(B)を有し、単位(A)の合計含量が、単位(A)及び単位(B)のアルキレンブロックの総質量(単位(A)+単位(B))に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、ドライハンドリング性に優れながら、WET性能と転がり抵抗の低減とを両立することができる。
前記スチレン・アルキレンブロック共重合体については、例えば、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)およびスチレン・エチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEEPS)からなる群より選択される1種以上が挙げられる。
前記トレッド用ゴム組成物では、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体が、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体であることが好ましい。
これにより、ドライハンドリング性に優れながら、WET性能と転がり抵抗の低減とを両立することができる。なお、このスチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体のエチレンブチレンブロックは、上述したエチレン単位とブチレン単位を有するブロックである。
また、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体は、前記スチレンブロックと前記アルキレンブロック以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。このようなその他の構成単位としては、例えば、−(CH2−CH(CH=CH2))−単位などの不飽和結合を有する構成単位などが挙げられる。
なお、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の調製方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、スチレンなどのスチレン系モノマーと、1,3−ブタジエンなどの共役ジエン化合物またはブテンなどのオレフィンとを共重合させ、前駆共重合体を得て、この前駆共重合体を水素添加することによって、スチレン・アルキレンブロック共重合体を得ることができる。
また、前記スチレン・アルキレンブロック共重合体は、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、JSR社のJSR DYNARON(登録商標)8903P、9901Pなどが挙げられる。
前記トレッド用ゴム組成物におけるスチレン・アルキレンブロック共重合体の配合量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
例えば、スチレン・アルキレンブロック共重合体の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して、4〜30質量部である。ドライハンドリング性に優れながら、WET性能と転がり抵抗の低減とを両立させる観点から、スチレン・アルキレンブロック共重合体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、8.5〜30質量部であることが好ましい。
また、前記トレッド用ゴム組成物は、前記ゴム成分及び前記スチレン・アルキレンブロック共重合体に加えて、充填剤、加硫促進剤、シランカップリング剤、熱可塑性樹脂、加硫剤及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上をさらに含むこともできる。
・充填剤
前記充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記充填剤は、補強性とタイヤの低転がり抵抗の低減の観点から、少なくともシリカを含むことが好ましい。
前記シリカとしては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。
さらに、前記充填剤中のシリカの含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができる。例えば、前記充填剤の総質量に対して、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることが特に好ましい。
前記カーボンブラックとしては、特に限定されない。例えば、高、中又は低ストラクチャの、SAF、ISAF、ISAF−HS、IISAF、HAF、FEF、GPF、SRFグレード等のカーボンブラックが挙げられる。
なお、前記トレッド用ゴム組成物における前記充填剤の配合量としては、特に限定されず、適宜調節すればよい。例えば、タイヤの低転がり抵抗の低減とWET性能の観点から、前記ゴム成分100質量部に対して、20〜120質量部であることが好ましく、50〜100質量部であることがより好ましい。
・加硫促進剤
前記トレッド用ゴム組成物は、前記ゴム成分及び前記スチレン・アルキレンブロック共重合体に加えて、加硫促進剤を含むことが好ましい。前記加硫促進剤としては、例えば、グアニジン類、スルフェンアミド類、チアゾール類、チオウレアおよびジエチルチオウレアの中から選ばれる少なくとも1種である。これらは、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記トレッド用ゴム組成物における前記加硫促進剤の配合量としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができる。例えば、前記ゴム成分100質量部に対して0.1〜20質量部である。0.1質量部以上であると、加硫の効果が得られやすく、20質量部以下であると、加硫の過度の進行を抑制することができる。
前記グアニジン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、1,3−ジ−o−クメニルグアニジン、1,3−ジ−o−ビフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−クメニル−2−プロピオニルグアニジンなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジンおよび1−o−トリルビグアニドが好ましく、1,3−ジフェニルグアニジンがより好ましい。
前記スルフェンアミド類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−メチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−プロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−2−エチルヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジメチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジエチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジオクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ−2−エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドおよびN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましい。
前記チアゾール類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4´−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−(4−メチル−2−ベンゾチアゾリル)ジスルフィド、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、2−メルカプト−ナフト[1,2−d]チアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
前記チオウレアは、NH2CSNH2で表される化合物である。
前記ジエチルチオウレアは、C25NHCSNHC25で表される化合物である。
・シランカップリング剤
前記トレッド用ゴム組成物は、前記充填剤としてシリカを含む場合には、シランカップリング剤をさらに含むことが好ましい。シランカップリング剤を用いることによって、ゴム加工時の作業性が更に優れると共に、耐摩耗性がより良好なタイヤを得ることができる。シランカップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、式(1):(R1O)3-p(R2pSi−R3−Sa−R3−Si(OR13-r(R2rで表わされる化合物、式(2):(R4O)3-s(R5sSi−R6−Sk−R7−Sk−R6−Si(OR43-t(R5tで表わされる化合物などが挙げられる。
式(1)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基又は水素原子であり、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖、環状又は分岐のアルキル基であり、R3はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキレン基である。aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。ただし、p及びrの双方が3であることはない。
式(2)中、R4はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分岐のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分岐のアルコキシアルキル基又は水素原子であり、R5はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分岐のアルキル基であり、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐のアルキレン基である。R7は一般式(−S−R8−S−)、(−R9−Sm1−R10−)及び(−R11−Sm2−R12−Sm3−R13−)のいずれかの二価の基(R8〜R13は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2及びm3は同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1以上4未満である。)であり、kはそれぞれ独立して平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。ただし、s及びtの双方が3であることはない。
式(1)で表わされるシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィドなどが挙げられる。
式(2)で表わされるシランカップリング剤としては、例えば、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH210−S2−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S3−(CH26−S3−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2.5−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S3−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S4−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH210−S2−(CH210−S−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33、平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33を有するもの等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、エボニック・デグサ社製Si363(エトキシ(3−メルカプトプロピル)ビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シラン、[C1327O(CH2CH2O)52(CH3CH2O)Si(CH23SH)などが挙げられる。
前記トレッド用ゴム組成物における前記シランカップリング剤の配合量としては、適宜調節すればよい。例えば、前記ゴム成分100質量部に対して2質量部以上である。シリカの反応性向上の観点から、ゴム成分100質量部に対して2〜20質量部であることが好ましく、4〜12質量部であることがより好ましい。
前記シリカの配合量(質量)に対する前記シランカップリング剤の配合量(質量)の割合(シランカップリング剤の配合量/シリカの配合量)としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができるが、0.01〜0.20が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.10が特に好ましい。この割合が、0.01以上であると、ゴム組成物の発熱性の低減の効果を得られやすく、0.20以下であると、ゴム組成物の製造コストが低減し、経済性を向上させることができる。
・加硫剤
加硫剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、硫黄などが挙げられる。加硫剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫剤の配合量としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができ、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜2.0質量部であり、1.0〜2.0質量部がより好ましく、1.2〜1.8質量部が特に好ましい。
・熱可塑性樹脂
前記トレッド用ゴム組成物は、前記ゴム成分及び前記スチレン・アルキレンブロック共重合体に加えて、C5系樹脂、C5〜C9系樹脂、C9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール系樹脂及びこれらを一部水素添加したものからなる群より選択される熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。これらは、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、前記熱可塑性樹脂については、上述したスチレン・アルキレンブロック共重合体を含まない。
前記熱可塑性樹脂の配合量としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができ、例えば、ゴム成分100質量部に対して、5〜50質量部である。
C5系樹脂は、C5系合成石油樹脂を指し、C5留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。具体的には、イソプレン、シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン及び1−ペンテンなどを主成分とする共重合体、2−ペンテンとジシクロペンタジエンとの共重合体、1,3−ペンタジエンを主体とする重合体などが挙げられる。
C5〜C9系樹脂は、C5〜C9系合成石油樹脂を指し、C5〜C11留分を、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体などが挙げられる。これらの中でも、C9以上の成分の少ないC5〜C9系樹脂は、ゴム成分との相溶性が優れるため好ましい。具体的には、C5〜C9系樹脂におけるC9以上の成分の割合が50質量%未満の樹脂が好ましく、40質量%以下の樹脂がより好ましい。また、これらを一部水添したもの(例えば、荒川化学工業社のアルコン(登録商標))なども挙げられる。
C9系樹脂は、C9系合成石油樹脂を指し、C9留分をAlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる樹脂を意味する。例えば、インデン、メチルインデン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。また、これらを一部水添したもの(例えば、荒川化学工業社のアルコン(登録商標))なども挙げられる。
テルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油またはこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得ることができる。例えば、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂などが挙げられる。
テルペン−芳香族化合物系樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、あるいはさらにホルマリンで縮合することで得ることができる。例えば、テルペン−フェノール樹脂などが挙げられる。前記テルペン−フェノール樹脂のなかでも、テルペン−フェノール樹脂中のフェノール成分が50質量%未満の樹脂が好ましく、40質量%以下の樹脂がより好ましい。
原料のテルペン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−ピネン、リモネンなどのモノテルペン炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、α−ピネンを含むものが好ましく、α−ピネンがより好ましい。
ロジン系樹脂としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油レジン、ウッドロジンなどの天然樹脂ロジン;変性ロジン;変性ロジン誘導体などが挙げられる。前記変性ロジン誘導体は、具体的には、重合ロジン、その部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジンなどが挙げられる。
ジシクロペンタジエン樹脂は、ジシクロペンタジエンを、AlCl3やBF3などのフリーデルクラフツ型触媒などを用いて重合して得ることができる。ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、クイントン1920(日本ゼオン社製)、クイントン1105(日本ゼオン社製)、マルカレッツM−890A(丸善石油化学社製)などが挙げられる。
アルキルフェノール系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂などのアルキルフェノール−アセチレン樹脂、低重合度のアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
・グリセリン脂肪酸エステル
前記トレッド用ゴム組成物は、充填剤としてシリカを含む場合、さらに、グリセリン脂肪酸エステル組成物を含むことが好ましく、グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルであって、該グリセリン脂肪酸エステルを構成する2種以上の脂肪酸のうち、最も多い脂肪酸成分が全脂肪酸中に10〜90質量%であり、さらにモノエステル成分をグリセリン脂肪酸エステル中に50〜100質量%含むグリセリン脂肪酸エステル組成物を含むことがより好ましい。
該グリセリン脂肪酸エステル組成物を含む場合、ゴム組成物の加工性が向上し、また、ゴム組成物をタイヤに適用することで、タイヤの転がり抵抗の低減効果をより改善することができる。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルである。なお、グリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンの3つのOH基の少なくとも1つと、脂肪酸のCOOH基とがエステル結合してなる化合物である。
ここで、前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン1分子と脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステル(モノエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸2分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸ジエステル(ジエステル成分)でも、グリセリン1分子と脂肪酸3分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸トリエステル(トリエステル成分)でもよいし、これらの混合物でもよいが、グリセリン脂肪酸モノエステルが好ましい。なお、グリセリン脂肪酸エステルがグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン脂肪酸トリエステルの混合物である場合、各エステルの含有率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。また、グリセリン脂肪酸ジエステルを構成する2つの脂肪酸、並びに、グリセリン脂肪酸トリエステルを構成する3つの脂肪酸は、同一でも、異なってもよい。
前記グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと、2種以上の脂肪酸とのエステルであり、2種以上の脂肪酸がグリセリン1分子とエステル化してなるグリセリン脂肪酸ジエステルやグリセリン脂肪酸トリエステルでもよいが、グリセリン1分子と上記2種以上の脂肪酸のうち1種類の脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステルと、グリセリン1分子と他の種類の脂肪酸1分子とがエステル化してなるグリセリン脂肪酸モノエステルとの混合物であることが好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルの原料となる2種以上の脂肪酸(即ち、グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸)としては、ゴム組成物の加工性、タイヤの低転がり抵抗の低減、破壊特性の向上等の観点から、炭素数が8〜22である脂肪酸が好ましく、炭素数12〜18である脂肪酸がより好ましく、炭素数が14〜18である脂肪酸がさらに好ましく、炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸がよりさらに好ましい。また、前記グリセリン脂肪酸エステルの原料となる2種以上の脂肪酸のうち、最も多い脂肪酸成分と2番目に多い脂肪酸成分は、一方が炭素数16の脂肪酸で他方が炭素数18の脂肪酸であることがより好ましい。
また、前記グリセリン脂肪酸エステルがグリセリンと炭素数が16の脂肪酸及び炭素数が18の脂肪酸とのエステルである場合、炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸との質量比(炭素数16の脂肪酸/炭素数18の脂肪酸)は、90/10〜10/90の範囲が好ましく、80/20〜20/80の範囲がより好ましく、75/25〜25/75の範囲がより一層好ましい。炭素数が16の脂肪酸と炭素数が18の脂肪酸との質量比がこの範囲であれば、ゴム組成物の加工性、タイヤの低転がり抵抗の低減、破壊特性を更に改善させることができる。
前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、直鎖状でも、分岐状でもよいが、直鎖状であることが好ましく、また、飽和脂肪酸でも、不飽和脂肪酸でもよいが、飽和脂肪酸であることが好ましい。
前記グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸として、具体的には、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラギン酸、アラキドン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、パルミチン酸及びステアリン酸がより好ましい。
また、前記グリセリン脂肪酸エステルとして、具体的には、ラウリン酸モノグリセリド、ミリスチン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリドが好ましく、パルミチン酸モノグリセリド及びステアリン酸モノグリセリドがより好ましい。
前記トレッド用ゴム組成物において、前記グリセリン脂肪酸エステル組成物の配合量は、ゴム組成物の加工性の観点から、前記シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、より一層好ましくは1.5質量部以上であり、また、ゴム組成物の破壊特性の観点から、前記シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、より一層好ましくは5質量部以下である。
・その他の成分
前記トレッド用ゴム組成物は、上述した成分以外に、ゴム工業界で通常使用される成分、例えば、老化防止剤、加硫促進助剤、有機酸化合物などを、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜選択して含有することができる。
なお、前記トレッド用ゴム組成物を、前記トレッドゴムに用いる方法については、公知の方法を採用することができる。例えば、上述のゴム組成物をトレッドゴムに用いて生タイヤを成形し、常法に従って生タイヤを加硫することで製造できる。
(ベルトコーティングゴム)
本発明のタイヤでは、前記ベルト層6a、6bが、補強コードを被覆するベルトコーティングゴムを有し、該ベルトコーティングゴムの、50%モジュラス値M50(MPa)に対する200%モジュラス値M200(MPa)の比が、5.0以下(M200/M50≦5.0)であることを特徴とする。
前記M50は、加硫ゴムの低歪域での弾性に関連するパラメータである。そのため、M50については、タイヤのベルト部の変形を抑制するため、例えば、後述するベルトコーティングゴム中のカーボンブラックの種類や含有量を調整しつつ、後述するベルトコーティングゴム中のフェノール樹脂やメチレン供与体を含有させることによって、できるだけ高い値にする必要がある。一方、前記M200は、加硫ゴムの高歪域での弾性に関連するパラメータである。そのため、M200については、亀裂進展を抑える観点からは、亀裂先端の応力の集中を緩和させるべく、例えば、後述するカーボンブラックの種類や含有量を調整すること等によって、低い値にする必要がある。
そして、ベルトコーティングゴムにおける、前記M50の大きさに対する前記M200の大きさの比を、5.0以下(M200/M50≦5.0)に設定することによって、転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性の向上を実現できる。また、同様の観点から、前記ベルトコーティングゴムのM200/M50は、4.8以下であることが好ましい。
なお、前記50%モジュラスとは、加硫ゴムの伸び50%時の引張応力(MPa)のことであり、前記200%モジュラスとは、加硫ゴムの伸び200%時の引張応力(MPa)のことである。これらの値については、JIS K 6251(2010年)に準拠して測定することができる。
さらに、前記ベルトコーティングゴムのM50及び前記M200の具体的な数値範囲については、特に限定はされないが、より高いレベルで転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性を実現する観点からは、M50が1.8MPa以上、M200が10.5MPa以下であることが好ましい。
また、前記ベルトコーティングゴムは、25℃における歪1%での動的貯蔵弾性率(E')が、12MPaを超え且つ30MPa未満であることが好ましく、13〜25MPaであることがより好ましい。乾燥路面及び湿潤路面でのグリップ性能をより高め、転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性の向上を、より高いレベルで両立できるためである。
前記ベルトコーティングゴムの、25℃における歪1%での動的貯蔵弾性率(E’)を、12MPa超えとすることで、ベルトコーティングゴムの強度を高め、ベルトの耐久性をより向上できるとともに、トレッドゴムへの入力が向上するため、乾燥路面及び湿潤路面でのグリップ性能についてもより高めることができる。一方、前記ベルトコーティングゴムの、25℃における歪1%での動的貯蔵弾性率(E')を、30MPa未満とすることで、転がり抵抗の増加を抑えることができる。
ここで、前記ベルトコーティングゴムについては、ベルトコーティング用のゴム組成物(以下、「ベルトコーティング用ゴム組成物」と称することがある。)からなる。
前記ベルトコーティング用ゴム組成物については、上述したM200/M50≦5.0の関係を満たすことができれば、その他の条件については特に限定はされない。
例えば、より高いレベルで転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性を実現する観点からは、前記ベルトコーティング用ゴム組成物として、ゴム成分と、カーボンブラックと、フェノール樹脂と、メチレン供与体を含むものを用いることができる。
・ゴム成分
前記ベルトコーティング用ゴム組成物に含まれるゴム成分については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜変更することができる。
例えば、優れた耐亀裂進展性や耐摩耗性を得ることができる観点からは、天然ゴム若しくはジエン系合成ゴムを単独で、又は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムを併用した形で、含有することができる。
また、前記ゴム成分は、前記ジエン系ゴム100%から構成することもできるが、本発明の目的を損なわない範囲であれば、ジエン系以外のゴムを含有することもできる。なお、優れた耐亀裂進展性や耐摩耗性を得ることができる観点から、前記ゴム成分におけるジエン系ゴムの含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
ここで、前記ジエン系合成ゴムとしては、ポリブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
また、非ジエン系ゴムについては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。
なお、これらの合成ゴムについては、1種単独で用いてもよいし、2種以上のブレンドとして用いてもよい。また、これらのゴムは変性基で変性されたものでもよい。
・カーボンブラック
前記ベルトコーティング用ゴム組成物に含まれ得るカーボンブラックについては、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜変更することができる。
例えば、より優れた耐久性が得られる観点からは、前記カーボンブラックとして、DBP(ジブチルフタレート)吸収量が50〜100cm3/100gのもの用いることが好ましい。
DBP吸収量が50〜100cm3/100gであり、ストラクチャの低いカーボンブラックを用いることで、ベルトコーティングゴムの補強性と適度な柔軟性を両立することができ、優れた耐亀裂進展性等のベルト耐久性を得ることができる。前記DBP吸収量が100cm3/100gを超えると、前記ストラクチャが高くなるため、ベルトコーティングゴムの補強性が高くなり過ぎ、柔軟性が低下するため十分な耐久性を得ることができない。前記カーボンブラックのDBP吸収量は、90cm3/100g以下であることが好ましく、80cm3/100g以下であることがより好ましい。
なお、カーボンブラックのストラクチャとは、球状のカーボンブラック粒子がそれぞれ融着し、繋がった結果、形成された構造体(カーボンブラック粒子の凝集体)の大きさのことである。
また、前記カーボンブラックのDBP吸収量については、カーボンブラック100gが吸収するDBP(ジブチルフタレート)の量のことであり、JIS K 6217-4(2008年)に準拠して測定することができる。
また、前記カーボンブラックについては、窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜90m2/gであることが好ましく、75〜85m2/gであることがより好ましい。カーボンブラックのストラクチャについてさらに適正化を図ることができるため、転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性について、さらなる改善が可能となる。
なお、前記窒素吸着比表面積は、ISO4652-1に準拠して単点法にて測定することができ、例えば脱気したカーボンブラックを液体窒素に浸漬させた後、平衡時においてカーボンブラック表面に吸着した窒素量を測定し、測定値から比表面積(m2/g)を算出できる。
さらに、前記カーボンブラックの種類については、特に限定はされない。例えば、オイルファーネス法により製造された任意のハードカーボンを用いることができる。これらの中でも、転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性をより高いレベルで両立する観点からは、HAFグレードのカーボンブラックを用いることが好ましい。
また、前記カーボンブラックの含有量については、前記ゴム成分100質量部に対して、35〜45質量部であることが好ましい。前記カーボンブラックの含有量を、前記ゴム成分100質量部に対して、35質量部以上とすることで、より高い補強性及び耐亀裂進展性を得ることができ、45質量部以下とすることで、転がり抵抗のさらなる改善を図ることができる。
・フェノール樹脂
前記ベルトコーティング用ゴム組成物に含まれ得るフェノール樹脂についても、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜変更することができる。
前記ベルトコーティング用ゴム組成物が、フェノール樹脂を、後述するメチレン供与体とともに含むことによって、ベルトコーティングゴムの前記50%モジュラス値(M50)を向上させ、タイヤの転がり抵抗を低減させつつ、ベルトコーティングゴムの補強性を向上し、優れたベルトの耐久性を実現できる。
ここで、前記フェノール樹脂については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、tert−ブチルフェノール等のフェノール類またはこれらの混合物とホルムアルデヒドとを、塩酸、蓚酸等の酸触媒の存在下において縮合反応させることによって製造したものが挙げられる。
れる。また、前記フェノール樹脂については、変性したものを用いることができ、例えば、ロジン油、トール油、カシュー油、リノール酸、オレイン酸、リノレイン酸等の油によって変性することができる。
なお、上述したフェノール樹脂については、1種を単独して含むこともできるし、複数種を混合して含むこともできる。
また、前記ベルトコーティング用ゴム組成物における前記フェノール樹脂の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、2〜10質量部であることが好ましく、3〜7質量部であることがより好ましい。前記フェノール樹脂の含有量を、ゴム成分100質量部に対して、2質量部以上とすることで、ベルトの耐久性をさらに改善でき、10質量部以下とすることで、転がり抵抗の悪化を抑制できる。
・メチレン供与体
前記ベルトコーティング用ゴム組成物に含まれ得るメチレン供与体についても、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜変更することができる。
前記メラミン供与体を、前記フェノール樹脂の硬化剤として含むことによって、ベルトコーティングゴムの前記50%モジュラス値(M50)を向上させ、転がり抵抗低減効果を維持しつつ、ゴム組成物の補強性を向上させることができる。
ここで、前記メチレン供与体については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。例えば、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ペンタメトキシメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサキス−(メトキシメチル)メラミン、N,N',N"−トリメチル−N,N',N"−トリメチロールメラミン、N,N',N"−トリメチロールメラミン、N−メチロールメラミン、N,N'−(メトキシメチル)メラミン、N,N',N"−トリブチル−N,N',N"−トリメチロールメラミン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。これらのメチレン供与体の中でも、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン及びパラホルムアルデヒドからなる群より選択される、少なくとも一種であることが好ましい。
なお、これらのメチレン供与体は、単独で用いても良いし、組み合わせて使用することもできる。
また、前記ベルトコーティング用ゴム組成物における、前記メチレン供与体の含有量に対する前記フェノール樹脂の含有量の割合は、転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性をより高いレベルで両立させる観点から、0.6〜7であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。前記メチレン供与体の含有量に対する前記フェノール樹脂の含有量の割合が0.6以上の場合には、M50が十分に向上し、耐亀裂進展性等の耐久性の改善が可能となり、一方、前記割合が7以下の場合には、転がり抵抗が悪化することがない。
・その他の成分
なお、前記ベルトコーティング用ゴム組成物は、上述したゴム成分、カーボンブラック、フェノール樹脂及びメチレン供与体の他にも、その他の成分を、発明の効果を損なわない程度に含むことができる。
その他の成分としては、例えば、前記カーボンブラック以外の充填材、老化防止剤、架橋促進剤、架橋剤、架橋促進助剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤、界面活性剤等のゴム工業で通常使用されている添加剤を適宜含むことができる。
前記充填材としては、例えば、シリカ、その他の無機充填材等が挙げられる。
その中でも、前記充填材として、シリカを含むことが好ましい。転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性をより高いレベルで両立できるためである。
前記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。
上述した中でも、前記シリカは、湿式シリカであることが好ましく、沈降シリカであることがより好ましい。これらのシリカは、分散性が高く、タイヤの低転がり抵抗性及び耐摩耗性をより向上できるためである。なお、沈降シリカとは、製造初期に、反応溶液を比較的高温、中性〜アルカリ性のpH領域で反応を進めてシリカ一次粒子を成長させ、その後酸性側へ制御することで、一次粒子を凝集させる結果得られるシリカのことである。
前記シリカの含有量については、特に限定はされないが、優れた転がり抵抗の低減効果を実現する観点からは、前記ゴム成分100質量部に対して、1〜15質量部であることが好ましく、3〜10質量部であることがより好ましい。
なお、前記無機充填材としては、例えば下記式(3)で表される無機化合物を用いることも可能である。
nM・xSiOY・zH2O ・・・ (3)
(式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、並びに、これらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。)
上記式(3)の無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al2O3);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO33]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。
前記老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されない。例えば、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤等を挙げることができる。これら老化防止剤は、1種又は2種以上を併用することができる。
前記架橋促進剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されるものではない。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラドデシルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。
前記架橋剤についても、特に制限はされない。例えば、硫黄、ビスマレイミド化合物等が挙げられる。
前記ビスマレイミド化合物の種類については、例えば、N,N'−o−フェニレンビスマレイミド、N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−p−フェニレンビスマレイミド、N,N'−(4,4'−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、2,2−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンなどを例示することができる。本発明では、N,N'−m−フェニレンビスマレイミド及びN,N'−(4,4'−ジフェニルメタン)ビスマレイミド等を好適に用いることができる。
前記架橋促進助剤については、例えば、亜鉛華(ZnO)や脂肪酸等が挙げられる。脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和、直鎖状若しくは分岐状のいずれの脂肪酸であってもよく、脂肪酸の炭素数も特に制限されないが、例えば炭素数1〜30、好ましくは15〜30の脂肪酸、より具体的にはシクロヘキサン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、側鎖を有するアルキルシクロペンタン等のナフテン酸;ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(ネオデカン酸等の分岐状カルボン酸を含む)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪酸;メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;ロジン、トール油酸、アビエチン酸等の樹脂酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、亜鉛華及びステアリン酸を好適に用いることができる。
また、前記充填材としてシリカを含有する場合には、シランカップリング剤をさらに含有することが好ましい。シリカによる補強性及び低発熱性の効果をさらに向上させることができるからである。なお、シランカップリング剤は、公知のものを適宜使用することができる。好ましいシランカップリング剤の含有量については、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカに対して、好ましくは2〜25質量%の範囲であることが好ましく、2〜20質量%の範囲であることがより好ましく、5〜18質量%であることが特に好ましい。含有量が2質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、25質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。
なお、前記ベルトコーティング用ゴム組成物を製造する方法については、特に限定はされず、ゴム組成物を構成する各成分(ゴム成分、カーボンブラック、フェノール樹脂、メチレン供与体及びその他の成分)を、配合し、混練することによって得ることができる。
また、前記ベルトコーティング用ゴム組成物の製造では、前記各成分の混練が、同時に混練することもできるし、いずれかの成分を予め混練した上で、残りの成分を混練することも可能である。これらの条件については、ゴム組成物が要求される性能に応じて適宜変更することができる。
例えば、転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性をより高いレベルで両立する観点からは、前記フェノール樹脂との混練に先立って、前記ゴム成分と前記カーボンブラックを配合し、混練することが好ましい。前記フェノール樹脂は、前記カーボンブラックとの相互作用が強いため、同時投入すると、前記ゴム成分と前記カーボンブラックとの反応が低下するおそれがある。そのため、前記フェノール樹脂との混練に先立って、前記ゴム成分と前記カーボンブラックを配合し、混練することで、前記カーボンブラックの分散性及び補強性が向上し、転がり抵抗の低減及びベルトの耐久性のより高いレベルでの両立が可能となる。
なお、本発明のタイヤは、上述したトレッドゴム及びベルトコーティングゴムを用いること以外は、特に限定はされない。
また、本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫してもよく、予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して製造してもよい。
さらに、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、該空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(トレッド用ゴム組成物の調製)
表1に示す条件で、トレッド用ゴム組成物1〜3を調製、組成物4を調整した。なお、トレッド用ゴム組成物1〜3の調製については、各成分を二段階(混錬第一段階、混錬最終段階)に分けて、配合・混錬する。トレッド用ゴム組成物4の調製については、各成分を二段階(混錬第一段階、混錬最終段階)に分けて、配合・混錬した。各成分の配合量については、ゴム成分100質量部に対する量(質量部)で示している。
Figure 2020032208
*11:RSS#3
*12:変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを使用して製造した変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、Tg=−62℃、合成方法の詳細は以下の通りである。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを得た。得られた変性SBRのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。
*13:旭カーボン(株)製「#80」
*14:東ソー・シリカ工業(株)製 「ニプシルAQ」、BET比表面積=210m2/g
*15:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグッサ社製 「Si69」
*16:C5−C9系樹脂、JXTGエネルギー(株)製 「T−REZ RD104」
*17:合計スチレン含量53質量%のスチレン・アルキレンブロック共重合体、JSR(株)製 「DYNARON(登録商標)9901P」、単位(A)の単位(A)+単位(B)に対する割合70質量%
シリカ:東ソー・シリカ社製の商品名NipSil(登録商標)AQ」
*18:合計スチレン含量35質量%のスチレン・アルキレンブロック共重合体、JSR(株)製 「DYNARON(登録商標)8903P」、単位(A)の単位(A)+単位(B)に対する割合70質量%
*19:合計スチレン含量15質量%のスチレン・アルキレンブロック共重合体、JSR(株)製 「DYNARON(登録商標)8600P」、単位(A)の単位(A)+単位(B)に対する割合68質量%
*20:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋(株)製「オゾエース0701」
*101:大内新興化学工業(株)製「ノクラック 6C」と、精工化学(株)製「ノンフレックス RD−S」との合計量
*102: 1,3−ジフェニルグアニジン(大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」)と、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(大内新興化学工業(株)製「ノクセラーDM」)と、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(三新化学工業(株)製「サンセラーCM−G」)との合計量
(ベルトコーティング用ゴム組成物の調製)
表2に示す条件で、ベルトコーティング用ゴム組成物A〜Cを調製した。なお、各成分の配合量については、ゴム成分100質量部に対する量(質量部)で示している。
また、表2中の、M50、M200及びE’については、ベルトコーティング用ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた、加硫ゴムについて測定を行った。M50及びM200については、JIS K 6251(2010年)に準拠して測定を行い、E’については、(株)上島製作所製スペクトロメータ−を用いて、初期荷重160mg、周波数52Hzの条件で測定を行った。
Figure 2020032208
*21:RSS#3
*22:HAF級カーボンブラック、旭カーボン(株)製 「旭#70L」、DBP吸収量:75cm3/100g、窒素吸着比表面積:81m2/g
*23:GPF級カーボンブラック、旭カーボン(株)製 「旭NPG」、DBP吸収量:89cm3/100g、窒素吸着比表面積:28m2/g
*24:住友ベークライト(株)製 「スミライトレジン PR-50235」
*25:ヘキサメトキシメチルメラミン、ALLNEX製「CYREZ 964」
*26:東ソー・シリカ工業(株)製 「ニプシルAQ」、BET比表面積=210m2/g
*27:2,2’ −メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、大内新興化学工業(株)製「ノクラック NS−6」
*28:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製「ノクラック 6C」
*29:1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製 「ノクセラーD」
*30:有機酸のコバルト塩中の有機酸の一部をホウ酸で置き換えた複合塩、OMG社「マノボンドC」、コバルト含有量:22.0質量%
*31:大和化成工業(株)製「BMI−RB」
<サンプル1〜12>
表3に示す、トレッド用ゴム組成物とベルトコーティング用ゴム組成物の組み合わせで、各サンプルの空気入りタイヤ(サイズ:195/60R15)を作製する。なお、各サンプルの空気入りタイヤについては、トレッドゴム及びベルトコーティングゴム以外の製造条件については、全て同じ条件とする。
<評価>
(1)転がり抵抗
各サンプルのタイヤを、回転ドラムにより80km/hrの速度で回転させ、荷重を4.82kNとして、測定器によって、転がり抵抗係数を測定する。
評価については、サンプル7のタイヤの転がり抵抗係数を100としたときの指数で表示し、指数値が小さい程、転がり抵抗が低く良好な結果であることを示す。
(2)ドライハンドリング性
各サンプルのタイヤを、試験車に装着し、乾燥路面実車試験にて、走行時におけるハンドリング性について、ドライバーのフィーリングに基づいた評価を行う。
評価については、サンプル7のタイヤのフィーリング評点を100としたときの指数で表示し、指数値が大きい程、乾燥路面における操縦安定性(ドライハンドリング性)が高いことを示す。
(3)ベルト耐久性(耐亀裂進展性)
各サンプルのタイヤのベルトコーティングゴムから、2mm×50mm×6mmの試験片を切り出し、その中心部に微小な穴を空けて初期亀裂とする。その後、試験片に対して、2.0MPa、周波数は6Hz、雰囲気温度80℃の条件で、長辺方向に繰り返し応力を加える。そして、試験片ごとに、繰り返し応力を加えてから、試験片が破断するまでの繰り返し回数を測定した後、その繰り返し回数の常用対数を算出する。なお、破断までの測定試験は、試験片ごとに4度実施して常用対数を算出し、それらの平均を平均常用対数とする。
評価については、サンプル7の試験片の平均常用対数を100とした場合の指数として示し、試験片の平均常用対数が大きい程、耐亀裂成長性に優れることを示す。評価結果を表3に示す。

Figure 2020032208
表3の結果から、本発明例に該当するサンプル11及び12については、各比較例のサンプルに比べて、転がり抵抗、ドライハンドリング性及びベルト耐久性の、いずれについても高い効果を示す。
なお、比較例の各サンプルは、少なくとも1つの評価項目で、実施例に比べて劣る値を示している。
本発明によれば、優れたドライハンドリング性及びベルトの耐久性を有しつつ、転がり抵抗の低減を可能にする、タイヤを提供できる。
1:ビード部
2:サイドウォール部
3:トレッド部
4:ビードコア
5:ラジアルカーカス
6:ベルト
6a、6b:ベルト層

Claims (7)

  1. トレッド部に配置した一枚以上のベルト層からなるベルト、を備えたタイヤであって、
    前記トレッド部を構成するトレッドゴムは、ゴム成分と、合計スチレン含量が30質量%以上であるスチレン・アルキレンブロック共重合体と、を含むゴム組成物からなり、
    前記ベルト層は、補強コードを被覆するベルトコーティングゴムを有し、該ベルトコーティングゴムは、50%モジュラス値M50(MPa)に対する200%モジュラス値M200(MPa)の比が、5.0以下(M200/M50≦5.0)であることを特徴とする、タイヤ。
  2. 前記ベルトコーティングゴムは、25℃における歪1%での動的貯蔵弾性率(E’)が、12MPaを超え且つ30MPa未満であることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記ベルトコーティングゴムは、ゴム成分と、DBP吸収量が50〜100 cm3/100gであるカーボンブラックと、フェノール樹脂と、メチレン供与体とを含むゴム組成物からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体のアルキレンブロックが、−(CH2−CH(C25))−単位(A)と−(CH2−CH2)−単位(B)を有し、単位(A)の合計含量が、単位(A)及び単位(B)のアルキレンブロックの総質量(単位(A)+単位(B))に対して、40質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記単位(A)の合計含量が、単位(A)及び単位(B)のアルキレンブロックの総質量(単位(A)+単位(B))に対して、50質量%以上である、請求項4に記載のタイヤ。
  6. 前記トレッドゴムに用いられるゴム組成物は、前記ゴム成分が天然ゴムを含有し、前記ゴム成分中の天然ゴムの含有比率が、50質量%以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記スチレン・アルキレンブロック共重合体の合計スチレン含量が、50質量%以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ。
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