JPWO2020022106A1 - 多層フィルム及び包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2018年7月23日に、日本に出願された特願2018−137395号、2019年3月6日に、日本に出願された特願2019−40869号、及び、2019年7月2日に、日本に出願された特願2019−123818号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
[1]表面層となるように設けられたシーラント層を、少なくとも備え、
前記シーラント層が、少なくとも直鎖状低密度ポリエチレンを含み、かつ、前記直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.93以上である、多層フィルム。
[2]前記シーラント層が、さらに、低密度ポリエチレンを含み、前記直鎖状低密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンとの質量比が、50:50〜99:1の範囲である、[1]に記載の多層フィルム。
[3]前記シーラント層と隣接するように設けられ、ポリエチレン系樹脂を含む基材層を備える、[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
[4]前記基材層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、[3]に記載の多層フィルム。
[5]前記シーラント層と前記基材層との厚みの比が、1:0.5〜1:15の範囲である、[3]又は[4]に記載の多層フィルム。
[6]前記シーラント層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの低分子量揮発成分が0.1wt%以下である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[7]前記シーラント層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)が7.0以下であり、かつ、前記直鎖状低密度ポリエチレンの数平均分子量Mnが20000以上である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[8]135〜155℃の範囲で、滅菌紙とヒートシールが可能である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[9][1]〜[8]のいずれか一項に記載の多層フィルムと、滅菌紙と、を備え、
前記多層フィルムのシーラント層の少なくとも一部が前記滅菌紙の表面にヒートシールされた、包装体。
[10]前記多層フィルムと、前記滅菌紙と、のシール強度が、1.0〜7.7(N/15mm)である、[9]に記載の包装体。
先ず、本発明を適用した一実施形態である多層フィルムの構成について説明する。図1は、本発明を適用した一実施形態である多層フィルム1の断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム1は、表面層として設けられたシーラント層2と、シーラント層2と隣接するように設けられた基材層3とを備えて、概略構成されている。また、本実施形態の多層フィルム1は、図2に示すように、表面層として設けられたシーラント層2と、シーラント層2と隣接するように設けられた基材層3と、基材層3上に積層された他の樹脂層とを備えて、概略構成されていてもよい。本実施形態の多層フィルム1は、包装体、特に医療用包装体の底材用のフィルムとして用いることができる。
シーラント層2は、接合の対象となる滅菌紙とヒートシールによって接合するとともに、易開封性を付与するために設けられた樹脂層である。シーラント層2は、少なくとも直鎖状低密度ポリエチレンを含み、かつ前記直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.93以上、好ましくは、0.93以上0.98以下、より好ましくは0.93以上0.95以下である。前記直鎖状低密度ポリエチレンの密度が上記範囲の下限値以上であると、滅菌紙と、適切なシール強度のヒートシールが可能であり、かつ、滅菌紙を剥離した際に、剥離面に紙残りが発生するのを抑制させることができる。一方、上記範囲の上限値以下であると、滅菌紙とヒートシールし易くなる。
上記密度を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、GC−MSでの低分子量揮発成分検出量が少ない樹脂が好ましい。低分子量揮発成分が少ないと成形時にガスが発生せず、設備汚染を防ぐことができる。低分子量揮発成分検出量は0.1wt%以下が好ましく、0.05wt%以下がより好ましい。
また、上記密度を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、GPCでの分子量分布(Mw/Mn)で低分子量成分含有量が少ない樹脂が好ましい。低分子量成分含有量が少ないと成形時に成形熱板上へ付着異物が発生せず、設備汚染を防ぐことができる。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)についてはGPCによる分子量分布(Mw/Mn)の値で7.0以下が好ましく、4.5以下がより好ましい。且つ、数平均分子量Mnは20000以上が好ましく、23000以上がより好ましい。
また、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、DSC測定の融点ピークは1つでもよいし、2つ以上のピークを有してもよく、最も高い融点ピーク温度が120℃以上であることが好ましい。より好ましくは、最も高い融点ピーク温度が120℃以上であり、最も低い融点ピークが100℃以下に存在しない樹脂が好ましい。更に好ましくは最も高い融点ピーク温度が120℃以上であり、最も低い融点ピークが110℃以下に存在しない樹脂が好ましい。上記であると、成形時の加熱で樹脂が融けず、設備汚染を防ぐことができる。
直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が上記好ましい範囲内であると、ヒートシール強度がより安定し、滅菌紙を剥離した際に、シーラント層2への紙残りがより抑制される。
基材層(コア層ともいう)3は、多層フィルム1に柔軟性を付与することを目的として、上述したシーラント層2と隣接するように設けられた樹脂層である。基材層3に用いることが可能な樹脂としては、上記機能を付与することが可能な樹脂であれば特に制限されないが、ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
ポリエチレン樹脂としては、好ましいのは、上記LLDPEである。基材層3が含む樹脂としてLLDPEを用いることにより、より安定したヒートシール強度(シーラント層2で用いた直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂との相乗効果)が得られる。
接着性樹脂層4は、上述したシーラント層2と基材層3との層間以外の、多層フィルム1を構成する各樹脂層の層間強度を高めるために設けられた樹脂層である。
耐ピンホール層5は、多層フィルム1に耐ピンホール性を付与するために設けられた樹脂層である。耐ピンホール層5は、耐ピンホール性を向上させる観点から、ポリアミド樹脂を含むものが好ましい。耐ピンホール層5に含まれるポリアミド樹脂としては、例えば、4−ナイロン、6−ナイロン、7−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、66−ナイロン、69−ナイロン、610−ナイロン、611−ナイロン、612−ナイロン、6T−ナイロン、6Iナイロン、6−ナイロンと66−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66)、6−ナイロンと610−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと611−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと12−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/12)、6−ナイロンと612ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと6T−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと610−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと12−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6−ナイロンと66−ナイロンと612−ナイロンのコポリマー、66−ナイロンと6T−ナイロンのコポリマー、66−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、6T−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、及び66−ナイロンと6T−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、非晶性ナイロン等が挙げられる。中でも、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易性の点から、6−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12、及びナイロン6/66/12等が好ましく、6−ナイロンがより好ましい。
本実施形態の多層フィルム1は、上述したシーラント層2及び基材層3中に、必要に応じて滑り性やブロッキングを防止、防曇性を付与する目的で適宜、公知の滑剤や添加剤を付与してもよい。滑り性やブロッキング防止の目的では、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の有機系滑剤、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機系滑剤を挙げることができる。また、防曇性を付与する為には、既に公知の界面活性剤等を適宜使用することができる。
次に、上述した多層フィルム1の製造方法の一例について説明する。
上述した多層フィルム1の製造方法は、特に限定されるものではないが、数台の押出機により、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法やマルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法、及びラミネート法が挙げられる。この中でも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。
次に、上述した多層フィルム1を用いた、包装体の一例について説明する。
本実施形態の包装体は、上述した多層フィルムと、滅菌紙とを備え、多層フィルムのシーラント層の少なくとも一部が滅菌紙の表面にヒートシールされている。
また、本実施形態の包装体は、多層フィルム1と、滅菌紙と、のシール強度が、1.0〜7.7N/15mmであることが好ましく、1.2〜6.0N/15mmであることがより好ましい。上述したシール強度が、上記好ましい範囲の下限値以上であると、包装体の密封性がより高くなり、上限値以下であると、より良好な開封性(剥離時の繊維の裂けやケバ立ちの抑制)が得られる。
(実施例1)
図1に示す構成を有し、さらに、図2に示す積層順で接着性樹脂層及び耐ピンホール層を備えた多層フィルムを、以下の手順で作製した。
先ず、耐ピンホール層に含まれる樹脂として、ナイロン(宇部興産社製、品番:1022B)を用意した。
また、接着性樹脂層(以下、単に「接着層」という)に含まれる樹脂として、接着性ポリエチレン系樹脂(三井化学株式会社製、品番:NF536)を用意した。
また、基材層に含まれる樹脂として、ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:F222NH)を用意した。
また、シーラント層に含まれる樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:4040FC、融点126℃)と、低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:F222NH、融点110℃)とを用意し、これらを80:20の割合となるように混合(混練)した。得られたシーラント層に含まれる樹脂の密度(g/cm3)は、0.938g/cm3であった。
次に、シーラント層/基材層/接着性樹脂層/耐ピンホール層の順の4層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。
シーラント層の厚みは、12μmであり、基材層の厚みは、68μmであり、接着性樹脂層の厚みは、14μmであり、耐ピンホール層の厚みは、16μmであった。
なお、シーラント層に含まれる樹脂の密度は、JIS K7112の密度勾配管法に基づいて、比重測定装置(柴山科学器械製作所)を用いて測定した。
なお、融点は、示差走査熱量測定(DSC、日立ハイテクサイエンス社製、DSC6200)により、窒素雰囲気下で25℃〜300℃まで、昇温速度5℃/minで昇温後、25℃まで昇温速度−50℃/minで冷却し、再度25℃〜300℃まで昇温速度5℃/minで昇温し、再昇温時に測定して得た。
シーラント層に含まれる樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:4040FC)の代わりに、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(住友化学社製、品番:FV407、融点:124℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、シーラント層/基材層/接着性樹脂層/耐ピンホール層の順の4層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。得られたシーラント層に含まれる樹脂の密度(g/cm3)は、0.930g/cm3であった。
シーラント層の厚みは、14μmであり、基材層の厚みは、68μmであり、接着性樹脂層の厚みは、14μmであり、耐ピンホール層の厚みは、16μmであった。
シーラント層に含まれる樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:4040FC)の代わりに、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(プライムポリマー社製、品番:SP3530、融点:97、121、125℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、シーラント層/基材層/接着性樹脂層/耐ピンホール層の順の4層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。得られたシーラント層に含まれる樹脂の密度(g/cm3)は、0.931g/cm3であった。
シーラント層の厚みは、14μmであり、基材層の厚みは、68μmであり、接着性樹脂層の厚みは、14μmであり、耐ピンホール層の厚みは、16μmであった。
シーラント層に含まれる樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)を使用せず、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:4040FC、融点126℃、密度0.938g/cm3)のみを使用した以外は、実施例1と同様にして、シーラント層/基材層/接着性樹脂層/耐ピンホール層の順の4層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。得られたシーラント層に含まれる樹脂の密度(g/cm3)は、0.938g/cm3であった。
シーラント層の厚みは、12μmであり、基材層の厚みは、68μmであり、接着性樹脂層の厚みは、14μmであり、耐ピンホール層の厚みは、16μmであった。
シーラント層に含まれる樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:4040FC)の代わりに、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(ダウ・ケミカル社製、品番:5220G、融点:102、113、124℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、シーラント層/基材層/接着性樹脂層/耐ピンホール層の順の4層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。得られたシーラント層に含まれる樹脂の密度(g/cm3)は、0.915g/cm3であった。
シーラント層の厚みは、14μmであり、基材層の厚みは、68μmであり、接着性樹脂層の厚みは、14μmであり、耐ピンホール層の厚みは、16μmであった。
シーラント層に含まれる樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:4040FC)の代わりに、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂(プライムポリマー社製、品番:2540R、融点:121℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、シーラント層/基材層/接着性樹脂層/耐ピンホール層の順の4層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。得られたシーラント層に含まれる樹脂の密度(g/cm3)は、0.923g/cm3であった。
シーラント層の厚みは、14μmであり、基材層の厚みは、68μmであり、接着性樹脂層の厚みは、14μmであり、耐ピンホール層の厚みは、16μmであった。
シーラント層に含まれる樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:4040FC)の代わりに、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製、品番:1540F、融点:114℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、シーラント層/基材層/接着性樹脂層/耐ピンホール層の順の4層構成の多層フィルムを押し出し加工にて作製(積層)した。得られたシーラント層に含まれる樹脂の密度(g/cm3)は、0.913g/cm3であった。
シーラント層の厚みは、14μmであり、基材層の厚みは、68μmであり、接着性樹脂層の厚みは、14μmであり、耐ピンホール層の厚みは、16μmであった。
実施例及び比較例で得られた多層フィルムと、滅菌紙とを、滅菌紙側を熱板側になるように重ね、テフロン(登録商標)シートを乗せた後、オートカップシーラーを用いて下記の条件でシールして包装体の評価用サンプルを作製した。剥離はフィルムのMD方向及びTD方向で行った。
・シール圧力:2.0kgf/cm2(0.2MPa)
・シール時間:3.0秒
・シール温度:130℃、140℃、150℃(10℃間隔にて、3条件)
実施例及び比較例で得られた包装体の評価サンプルについて、ヒートシール性(シール強度)、剥離面の紙残りの評価、低分子量揮発成分の評価、設備汚染の評価、分子量分布の評価、及び熱板付着の評価を行った。
ヒートシール性の評価は、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製、TENSILON RTG−1310)を用いて、シール幅15mmでのシール強度を測定することにより行った。剥離速度は、200mm/分で行なった。表1に、実施例及び比較例について、各シール温度で作製した評価サンプルのシール強度を示す。
紙残りの評価は、5枚の上記の評価サンプルを用い、評価サンプルとなる包装体の蓋材と底材とを引き剥がすことにより行った。
評価は、引き剥がした後の蓋材と底材との剥離面をそれぞれ観察し、底材の剥離面の紙残りの有無を判定した。表1に、実施例及び比較例について、各シール温度で作製した評価サンプル中の紙残りがあるサンプルの数を示す。
低分子量揮発成分の評価は熱分解−GC−MS(熱分解装置:フロンティア・ラボ社製、PY−2020iD型加熱炉型熱分解装置、GC:アジレントテクノロジー社製、6890N型ガスクロマトグラフ、MS:アジレントテクノロジー社製、5975B型質量検出器)を用いてシーラント層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン試料約27mg、加熱条件120℃×10分、加熱雰囲気ヘリウムで行った。検出成分の定量については、既知濃度のn−デカンのアセトン希釈用液を用いてGC−MS測定を行い、発生ガス成分のピーク面積値を比較することによって標準試料に対する換算定量値を合計し、試料重量に対する重量分率として算出した。表2に、実施例及び比較例について、各直鎖状低密度ポリエチレンの試料重量に対する重量分率を示す。
設備汚染の評価は、実施例及び比較例で得られた多層フィルムを10cm角にカットし、アルミ箔と重ね、プレス機を用いて下記条件でプレスし、アルミ箔に移行する低分子量成分を観察することにより行った。
・プレス圧:10MPa
・プレス時間:10分
・プレス温度:110℃
評価基準を下記に示す。
A:アルミ箔に対し、低分子量成分の移行面積がアルミ箔全体の5%以下
B:アルミ箔に対し、低分子量成分の移行面積がアルミ箔全治の5%より多い
表2に、実施例及び比較例で得られた多層フィルムについて、評価結果を示す。なお、表中、「−」は、未評価であることを示す。
実施例および比較例の直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)はGPC装置(装置:Agilent製PL−GPC220、カラム:Agilent PLgel Olexis×2本+Guard)を用いて、実施例および比較例の直鎖状低密度ポリエチレンをオルトジクロロベンゼンで溶離した後、温度145℃、濃度0.1wt/vol%、流速1.0ml/minでカラムに注入し示差屈折計にて溶出量を検出し、得られた溶出曲線から求めた。表3に、実施例及び比較例の直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)及び数平均分子量(Mn)を示す。なお、表中、「−」は、未評価であることを示す。
熱板付着の評価はGEA PowerPak ST 420を使用し、成形熱板をアルコールで清掃後、成形温度108℃、加熱時間9.9秒、シールなしの条件で7時間稼働させた後に、熱板表面をヘラで擦り付着物堆積の有無を確認した。表3に、実施例及び比較例について、熱板付着物堆積の有無を示す。
一方、シール温度が140℃及び150℃の場合には、シール温度が130℃の場合よりも、シール強度が高かった。このように、シール強度の高さと、剥離面の紙残りの抑制効果と、の両方に特に優れているのは、シール温度が140℃及び150℃の場合であった。
2…シーラント層
3…基材層
30…基材層1
31…基材層2
4…接着性樹脂層
5…耐ピンホール層
[1]表面層となるように設けられたシーラント層を、少なくとも備え、
前記シーラント層が、少なくとも直鎖状低密度ポリエチレンを含み、かつ、前記直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.93以上であり、
前記シーラント層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)が7.0以下であり、かつ、前記直鎖状低密度ポリエチレンの数平均分子量Mnが20000以上である、多層フィルム。
[2]前記シーラント層が、さらに、低密度ポリエチレンを含み、前記直鎖状低密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンとの質量比が、50:50〜99:1の範囲である、[1]に記載の多層フィルム。
[3]前記シーラント層と隣接するように設けられ、ポリエチレン系樹脂を含む基材層を備える、[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
[4]前記基材層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、[3]に記載の多層フィルム。
[5]前記シーラント層と前記基材層との厚みの比が、1:0.5〜1:15の範囲である、[3]又は[4]に記載の多層フィルム。
[6]前記シーラント層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの低分子量揮発成分が0.1wt%以下である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[7]135〜155℃の範囲で、滅菌紙とヒートシールが可能である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[8][1]〜[7]のいずれか一項に記載の多層フィルムと、滅菌紙と、を備え、
前記多層フィルムのシーラント層の少なくとも一部が前記滅菌紙の表面にヒートシールされた、包装体。
[9]前記多層フィルムと、前記滅菌紙と、のシール強度が、1.0〜7.7(N/15mm)である、[8]に記載の包装体。
Claims (10)
- 表面層となるように設けられたシーラント層を、少なくとも備え、
前記シーラント層が、少なくとも直鎖状低密度ポリエチレンを含み、かつ、前記直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.93以上である、多層フィルム。 - 前記シーラント層が、さらに、低密度ポリエチレンを含み、前記直鎖状低密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンとの質量比が、50:50〜99:1の範囲である、請求項1に記載の多層フィルム。
- 前記シーラント層と隣接するように設けられ、ポリエチレン系樹脂を含む基材層を備える、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
- 前記基材層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項3に記載の多層フィルム。
- 前記シーラント層と前記基材層との厚みの比が、1:0.5〜1:15の範囲である、請求項3又は4に記載の多層フィルム。
- 前記シーラント層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの低分子量揮発成分が0.1wt%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 前記シーラント層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)が7.0以下であり、かつ、前記直鎖状低密度ポリエチレンの数平均分子量Mnが20000以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 135〜155℃の範囲で、滅菌紙とヒートシールが可能である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層フィルム。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の多層フィルムと、滅菌紙と、を備え、
前記多層フィルムのシーラント層の少なくとも一部が前記滅菌紙の表面にヒートシールされた、包装体。 - 前記多層フィルムと、前記滅菌紙と、のシール強度が、1.0〜7.7(N/15mm)である、請求項9に記載の包装体。
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