本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るステアリング装置の構成図である。図2は、実施形態1に係るステアリング装置の斜視図である。図1に示すように、ステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、第1ユニバーサルジョイント84と、中間シャフト85と、第2ユニバーサルジョイント86と、を備え、ピニオンシャフト87に接合されている。以下の説明においては、ステアリング装置80が搭載された車両における前方は単に前方と記載され、車両における後方は単に後方と記載される。重力方向での上側は単に上側と記載され、重力方向での下側は単に下側と記載される。
図1に示すように、ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aは、入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bは、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結される。図2に示すように、入力軸82aは、回転中心軸Zを中心に回転可能に支持されている。回転中心軸Zは、水平面に対してステアリング装置80の組み付け角度だけ傾いている。換言すると、ステアリングシャフト82は、水平面に対してステアリング装置80の組み付け角度だけ傾いて取り付けられている。図2に示す一例では、回転中心軸Zは、水平面に対して23°傾いている。
図1に示すように、中間シャフト85は、第1ユニバーサルジョイント84と第2ユニバーサルジョイント86とを連結している。中間シャフト85の一方の端部は、第1ユニバーサルジョイント84に連結される。中間シャフト85の他方の端部は、第2ユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87の一方の端部は、第2ユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87の他方の端部は、ステアリングギヤ88に連結される。第1ユニバーサルジョイント84及び第2ユニバーサルジョイント86は、例えばカルダンジョイントである。ステアリングシャフト82の回転は、中間シャフト85を介してピニオンシャフト87に伝わる。すなわち、中間シャフト85は、ステアリングシャフト82に伴って回転する。
図1に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bは、移動することで車輪の角度を変化させる。
図1に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、電動モータ70とを備える。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。電動モータ70で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイールによって、電動モータ70で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、ステアリング装置80はコラムアシスト方式である。
図1に示すように、ステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)9と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。換言すると、ステアリング装置80は、ECU9と、電動モータ70とを備える。電動モータ70は、水平面に対して傾いた状態でステアリングシャフト82に取り付けられている。電動モータ70は、水平面に対して傾いたステアリングシャフト82に取り付けられることで、水平面に対して傾いた状態となる。電動モータ70、トルクセンサ94及び車速センサ95は、ECU9と電気的に接続される。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU9に出力する。車速センサ95は、ステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU9に出力する。
ECU9は、電動モータ70の動作を制御する。ECU9は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU9には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU9は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU9は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ70へ供給する電力値を調節する。ECU9は、電動モータ70から誘起電圧の情報または電動モータ70に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU9が電動モータ70を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
図3は、図2に示す電動モータ70とECU9との部分を拡大した拡大斜視図である。図4は、電動モータ70とECU9との部分を電動モータ70側から示した側面図である。図5は、電動モータ70とECU9との部分を前方から示した側面図である。図6は、電動モータ70とECU9との部分の上面図である。図7は、ECU9に装着される装着部材の一例を示す斜視図である。図8は、筐体10の一面10aの一部を拡大した側面図である。図9は、筐体10を前方から示した側面図である。
図3乃至図6に示すように、電動モータ70とECU9とは、近接して配置されている。電動モータ70は、モータケース71と、モータフランジ72とを備える。モータケース71は、略円筒状の部材であって、例えば金属で形成されている。モータケース71は、不図示のロータ及びステータ等を内蔵している。ロータは、回転軸Axを中心に回転する。ステータは、コイルが巻かれている。コイルには、例えば三相交流が供給される。モータフランジ72は、モータケース71の一端の開口を塞ぐ部材である。モータフランジ72は、モータケース71の下側の一端に配置されている。
ECU9は、筐体10と、コネクタ11とを備える。筐体10は、例えば金属で箱状に形成されている。筐体10は、筐体カバー60と、筐体本体61とを有する。筐体10は、筐体カバー60と筐体本体61とが組み付けられて箱状に形成されている。筐体本体61は、筐体10の一面10aである。本実施形態では、筐体カバー60は、例えば電気亜鉛メッキした鋼板の一つであるSPCCによって形成されている。筐体本体61は、アルミダイカストで形成され、電子部品を備える基板等を内蔵している。筐体10は、対向する一面10a及び他面10bと、対向する上面10c及び底面10dと、対向する側面10e及び側面10fと、を有している。上面10c及び底面10dと側面10e及び側面10fとは、一面10a及び他面10bの周りに上面10c、側面10e、底面10d、側面10fの順で連接されて一連の側面部を形成している。本実施形態では、他面10b、上面10c、底面10d、側面10e及び側面10fは、基板等を収容する凹状のケースを形成している。そして、筐体10の一面10aは、上面10c、底面10d、側面10e及び側面10fによって形成される開口を塞ぐカバーとなっている。筐体10の一面10aは、電動モータ70と対向する面である。
筐体10は、モータフランジ72に固定されている。図2に示すように、筐体10の上面10cは、水平面に対して傾いた姿勢で取り付けられる。図3に示すように、一面10aと、電動モータ70の回転軸Axは平行で、回転軸Axと平行な方向は、上面10cの法線になる。このため、図2に示すように、筐体10の上面10cは、水平面に対して傾いた姿勢で取り付けられると、図3に示す回転軸Axも水平面に対して傾くことになる。筐体10の水平に対して傾いた角度は、例えば、ステアリング装置80の組み付け角度、ステアリング装置80のチルト動作角度等によって定められる。例えば、ステアリング装置80の組み付け角度が23°である場合、筐体10の水平に対して傾いた角度は23°となる。
筐体10は、一面10aから突出する一対の固定部10gを有する。一対の固定部10gは、例えばボルト等の締結部材によってモータフランジ72に固定されている。これにより、筐体10は、一面10aが鉛直方向に沿った姿勢、かつ、一面10aがモータケース71に対向した姿勢で、電動モータ70の近くに固定されている。換言すると、ECU9の筐体10は、縦向きとすることで、電動モータ70に近接して配置することを可能としている。なお、本明細書では、縦向きとは、筐体10の上面10cが鉛直方向の上側に向くことをいい、筐体10の上面10cが水平であってもよく、筐体10の上面10cが水平に対して傾いていてもよい。本実施形態では、モータフランジ72は、外部部材の一例である。外部部材は、例えば、ステアリング装置80の他の部材、車両の車体等としてもよい。
コネクタ11は、筐体10の上面10cが水平面に対して傾いた筐体10の姿勢において、鉛直方向に交差する方向に、端子11dの挿抜方向Mが向くように、端子11dを案内する突出部11cが筐体10の一面より突出する。すなわち、コネクタ11の突出部11cは、縦向きの筐体10と電動モータ70とに近接する空間に突出している。その結果、ECU9は、筐体10と電動モータ70とに近接する空間を有効利用することができる。突出部11cは、端子11dの周囲に設けられた周壁である。コネクタ11は、ECU9の外部からのハーネスを接続するために用いられる部品である。コネクタ11は、第1コネクタ11aと、第2コネクタ11bとを有する。コネクタ11は、筐体10の側面10eに沿って上方から第1コネクタ11aと第2コネクタ11bとの順で並べられている。第1コネクタ11aは、例えばセンサ、通信機器等からのハーネスを接続するためのコネクタである。第2コネクタ11bは、例えば電源装置99からのハーネスを接続するためのコネクタである。
例えば、ECU9は、昼間と夜間とで温度差が生じる場所で用いられる場合、当該温度差によって結露が発生し、当該結露によって生じた水滴が筐体10に落下する可能性がある。そして、ECU9は、電動モータ70に近接して配置されている場合、ECU9、電動モータ70等の熱によって結露が生じる可能性が高まってしまう。また、ECU9は、筐体10が縦向きで電動モータ70の近くに配置され、コネクタ11が筐体10の一面10aから挿抜方向Mに向かって突出している場合、コネクタ11の内部に液滴が落下する可能性がある。そして、ECU9は、車両に搭載されている場合、筐体10がチルト方向や車両の幅方向に傾いて、コネクタ11の開口が上方に向いてしまう可能性がある。よって、ECU9は、コネクタ11の内部に液滴が浸入すると短絡が生じる可能性があるので、コネクタ11に対する防滴を行う必要がある。
本実施形態では、第1コネクタ11aは、第2コネクタ11bよりも小さな形状になっており、防滴が必要なコネクタである。第2コネクタ11bは、第1コネクタ11aよりも大きな形状になっており、防滴が不要なコネクタである。防滴が必要な第1コネクタ11aは、例えば第1コネクタ11aの端子11d間の距離が接近しており、第1コネクタ11aの内部に水が浸入するとショートする可能性があるコネクタを含む。防滴が不要な第2コネクタ11bは、例えば第2コネクタ11bの端子11d間の距離が離れており、水が浸入してもショートしないコネクタや、防水構造が設けられたコネクタ等を含む。本実施形態では、ECU9は、防滴が必要な3つの第1コネクタ11aを防滴対象とする一例について説明する。
第1コネクタ11a及び第2コネクタ11bは、筐体10の一面10aにおける側面10eよりの一部の領域に並べて配置されている。第1コネクタ11a及び第2コネクタ11bの突出部11cは、筐体10の一面10aより突出している。第2コネクタ11bの突出部11cは、第1コネクタ11aの突出部11cよりも筐体10の外側に向かって突出している。
本実施形態では、コネクタ11は、3つの第1コネクタ11aと、1つの第2コネクタ11bとを有する場合について説明するが、これに限定されない。また、本実施形態では、コネクタ11は、相手側のコネクタが挿入される開口を有する雌コネクタである場合について説明するが、雄コネクタであってもよい。
装着部材12は、図5及び図9に示すように、筐体10の一面10aに着脱可能に装着され、当該一面10aから突出した防滴対象のコネクタ11の突出部11cを覆う。装着部材12は、筐体10の一面10aに、筐体の上面10cの長さよりも短い長さの部材として設けられる。
図3乃至図9に示すように、装着部材12は、庇部13と、固定部14とを有する。庇部13と固定部14とは、例えば、合成樹脂、金属等によって一体に形成されている。なお、装着部材12は、筐体10の上方から落下する液滴をはじきやすくするために、例えばフッ素コーティングなどを液滴が落下する表面に施してもよい。
庇部13は、筐体10がモータフランジ72に取り付けられて傾いた姿勢において、防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを覆う部材である。庇部13は、筐体10の一面10aに設けられ、当該一面10aにおけるコネクタ11の突出部11cの上方に位置付けられている。庇部13は、筐体10の一面10aから突出する突出部11cよりも筐体10の外側に突出している。庇部13は、図6乃至図9に示すように、板状の平板部13aと、傾斜部13bとを有する。
平板部13aは、第1コネクタ11aの突出部11cを覆う。平板部13aは、筐体10の一面10aにおいて、第1コネクタ11aの突出部11cを部分的に覆う屋根である。平板部13aの面積は、第1コネクタ11aの突出部11cの上面の面積よりも大きい。平板部13aは、第1コネクタ11aの突出部11cの上方から落下する液滴が当該突出部11cに到達することを阻止する。本実施形態では、液滴は、結露などで生じた水滴である場合について説明するが、これに限定されない。
傾斜部13bは、平板部13aに対して折れ曲がり、平板部13aから筐体10の外側に向かって延在している。傾斜部13bは、平板部13aに落下した液滴を、ECU9の外側へ排出する角度で形成されている。本実施形態では、傾斜部13bは、平板部13aに対して斜め下方向に折れ曲がっている。
固定部14は、庇部13に連接され、一面10aに固定される。固定部14は、一面10aに固定されると、庇部13を突出部11cの上方に位置付ける。固定部14は、固定部材15によって筐体10の一面10aに固定される。固定部材15は、例えば、ねじ、留め具等を含む。
図7乃至図8に示すように、固定部14は、基部14aと、貫通孔14bと、フック14cとを有する。基部14aは、筐体10の一面10aに接触した状態で当該一面10aに固定される。基部14aは、コネクタ11の端子11dの挿抜方向Mに沿った方向に向かう庇部13が端部に連接されている。換言すると、基部14aは、筐体10の一面10aから突出するように庇部13を一面10aに位置付ける。貫通孔14bは、固定部材15を筐体10の取付穴10hに貫通させる穴である。フック14cは、基部14aから筐体10の一面10aに向かって突出し、筐体10の一面10aに設けられた溝10iに引っかけられる。フック14cは、溝10iに引っかけられることで、筐体10の一面10aの装着位置に庇部13を位置付ける。フック14cは、引っかけられた溝10iによって鉛直方向及び貫通孔14bから離れる方向への装着部材12の移動を阻止する。
例えば、ECU9が搭載された車両が悪環境を走行する場合、車両の振動は、ステアリング装置80及びECU9に伝達される。この場合、装着部材12は、フック14cによって固定部14のぶれや緩みを抑制できる。これにより、ECU9は、装着部材12を着脱自在な構成にしても、ECU9の振動によって筐体10と装着部材12の庇部13とが接触して、異音が発生することを抑制することができる。よって、ECU9は、車両に搭載する姿勢及び配置に自由度を持たせることができる。
本実施形態では、筐体10の一面10aは、取付穴10hと、溝10iとを有する。取付穴10hと溝10iとは、例えば、装着部材12を装着する筐体10の一面10aに対応した位置に形成されている。
図8に示す一例では、筐体10は、水平面の仮想線Hに対してステアリング装置80の組み付け角度θ1だけ傾いた姿勢でステアリング装置80に組み付けられている。組み付け角度θ1は、ステアリング装置80の回転中心軸Zが水平面に対して傾いている角度と等しい。そして、ステアリング装置80は、チルト方向(上下方向)に揺動可能に支持されており、回転中心軸Zがチルト動作角度θ2の範囲で水平面に対して変更可能となっている。例えば、水平面の仮想線Hに対するステアリング装置80の組み付け角度が23°、チルト動作角度θ2が+2°、−2°である場合、筐体10の上面10cは、水平面の仮想線Hに対して最大で25°傾斜する。図8に示す筐体10は、水平面の仮想線Hに対して組み付け角度θ1と最大のチルト動作角度θ2とを加算した角度だけ上面10cが傾いた姿勢となっている。
図8に示す一例では、筐体10は、防滴対象の3つの第1コネクタ11aを含む一面10aの領域が、防滴領域Eとなっている。庇部13は、防滴領域Eにおいて、鉛直方向に並べられた3つの第1コネクタ11aのうち、最下部の第1コネクタ11aに液滴を落下させない形状で形成されている。そして、最下部の第1コネクタ11aは、筐体10の側面10eに沿った方向(第1コネクタ11aの幅方向)に並んだ隣り合う端子11d,11d同士の距離Wが予め定められた防滴判定閾値よりも小さくなっている。防滴判定閾値は、防滴が必要な端子11dの距離を判定するための閾値である。図8に示す一例では、防滴判定閾値は、1.56mm以下となっている。以下に、装着部材12の庇部13を設計する一例について説明する。
図8及び図9に示すように、装着部材12の庇部13は、防滴領域Eの鉛直方向の最下部に位置する第1コネクタ11aに基準点Sを設定している。本実施形態では、基準点Sは、上記の防滴判定閾値よりも距離Wが小さくなる第1コネクタ11aの端子11d,11dの間に設定されている。すなわち、防滴領域Eにおいて、上記の防滴判定閾値よりも距離Wが小さくなる第1コネクタ11aの端子11d,11dのうち、鉛直方向の最下部に位置する端子11d,11dの間が防滴領域Eの鉛直方向の底部として設定された場合、基準点Sは、当該底部に対して設定される。この場合、基準点Sを通る平板部13aの法線Cに対するなす角が15°で基準点Sを通る仮想直線Lが定義される。庇部13の長さ12a及び幅12bは、法線Cを中心に回転させた仮想直線Lの延長線上に庇部13があるように、所定の長さ及び幅とされる。
本実施形態では、庇部13の長さ12aは、図8に示すように、筐体10の一面10aに沿って庇部13が延在する方向の長さであり、平板部13aと傾斜部13bとを含む長さとなっているが、これに限定されない。例えば、庇部13の長さ12aは、平板部13aの長さとしてもよい。また、庇部13の幅12bは、図9に示すように、コネクタ11の端子11dの挿抜方向Mに沿った方向に沿って庇部13が延在する方向の長さである。
図8に示す一例では、庇部13の長さ12aは、庇部13と交わる仮想直線Lの2つの交点を結ぶ結線の長さよりも長く設計されている。図9に示す一例では、庇部13の幅12bは、庇部13と交わる仮想直線Lの交点から筐体10までの長さよりも長く設計されている。また、筐体10の一面10aに沿って庇部13が延在する方向は、車両の前後方向であり、ステアリング装置80のチルト動作角度θ2によって筐体10の姿勢が傾斜する。このため、庇部13の長さ12aは、筐体10の組み付け角度θ1及びチルト動作角度θ2に対応した筐体10の姿勢の角度範囲がシミュレーション、実験等によって求められ、当該角度範囲で防滴領域Eに液滴を落下させない庇部13の長さ及び形状が設計されている。図8に示す一例では、庇部13の長さ12aは、ステアリング装置80のチルト動作角度θ2が上方向に最大に設定されても、第1コネクタ11aの突出部11cの鉛直方向の上方を覆う長さになっている。
図9に示す一例では、筐体10は、法線Cに対して基準点Sを中心に左へ15°傾けられた場合、第1コネクタ11aの突出部11cの開口が上方を向き、端子11dが上方に露出した状態になる。このため、庇部13の幅12bは、筐体10が法線Cを中心に左へ15°傾けられても、第1コネクタ11aの突出部11cの基準点S付近の鉛直方向の上方を覆う長さになっている。なお、基準点S及び法線Cは、防滴領域Eの第1コネクタ11aの表面上に設定してもよい。
以上のように、本実施形態の庇部13は、水平面に対して傾いた状態の筐体10をさらに15°傾けても、筐体10の上方から垂直に落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cに到達することを抑制し、液滴から筐体10を保護することができる。その結果、ECU9は、装着部材12の庇部13を設けることで、国際電気標準会議の規格であるIP(Ingress Protection)X2規格に適応することができる。なお、Xは、人体・固形物体に対する保護の1乃至6のうち任意の等級である。このように、本実施形態に係るECU9において、取り付けずれにより、筐体10の一面10aと法線Cとに取付角度が生じてしまっても、取付角度が15°以内であれば、液滴から筐体10を保護することができる。
次に、本実施形態に係るECU9の作用の一例について説明する。ECU9は、筐体10の一面10aが鉛直方向に沿った状態で、電動モータ70と対向するようにステアリング装置80に組み付けられる。この場合、ECU9は、装着部材12が筐体10に予め装着されてもよいし、電動モータ70に取り付けられた筐体10に装着部材12を装着されてもよい。ECU9は、筐体10が水平面に対して傾いて、電動モータ70に取り付けられた姿勢で、装着部材12の庇部13が防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆う。例えば、筐体10の防滴領域Eの上部または上方に液滴が発生した場合、当該液滴は、筐体10の装着部材12の庇部13に向かって落下する。その結果、装着部材12の庇部13は、平板部13aに落下した液滴を、傾斜部13bから筐体10の外側に流し落とすので、当該液滴が防滴領域Eの第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。
以上説明したように、本実施形態に係るECU9は、筐体10が水平面に対して傾いてステアリング装置80に傾いて取り付けられた姿勢で、装着部材12の庇部13が一面10aから突出する第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆うように、装着部材12が筐体10の一面10aに着脱可能に装着される。このため、ECU9は、筐体10を搭載する姿勢に対応した一面10aの位置に、装着部材12の庇部13を位置付けることができる。例えば、ステアリング装置80は、チルト動作角度範囲内で運転者等によるチルト動作角度の設定が可能であり、当該チルト動作角度に応じてECU9の筐体10の水平面に対する傾きが変化する場合がある。この場合、ECU9は、チルト動作角度が最大または最小に設定されても、防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cの上方を庇部13で覆うことができる。また、例えば、ステアリング装置80は、筐体10の周囲または筐体10に発生した液滴が筐体10の第1コネクタ11aの突出部11cに向かって落下する場合がある。また、例えば、ステアリング装置80は、車両のダッシュボード上に液体がこぼされた場合、ダッシュボードの内部に浸入した当該液体の液滴がECU9の筐体10の第1コネクタ11aの突出部11cに向かって落下する場合がある。このような場合、第1コネクタ11aの突出部11cの上方からの液滴が落下しても、庇部13によって液滴が第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。よって、ECU9は、防滴性能を低下させることなく、ECU9の搭載性を向上させることができる。
また、ECU9は、庇部13に落下した液滴を筐体10の外側へ排出するので、庇部13を部分的に筐体10の一面10aに装着することができる。よって、ECU9は、装着部材12の小型化を図ることができるので、ECU9の搭載性をより一層向上させることができる。
ECU9は、水平面に対して傾いてステアリング装置80に取り付けられた筐体10がさらに15°傾斜した状態でも、筐体10の上部から落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cに向かうことを庇部13によって阻止することができる。よって、ECU9は、筐体10の上部から落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cから浸入して、筐体10の内部で有害な影響を及ぼすことを防止できる。すなわち、ECU9は、ステアリング装置80の組み付け角度θ1と当該チルト動作角度θ2との角度だけ水平面に対して傾いた姿勢であっても、第1コネクタ11aの突出部11cに液滴が落下することを抑制できる。
ステアリング装置80は、ECU9の筐体10の一面10aが電動モータ70と対向するように取り付けられる。ステアリング装置80は、ECU9の筐体10が水平面に対して傾いた姿勢で、装着部材12の庇部13が防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆うように装着部材12が筐体10の一面10aに着脱可能に装着される。このため、ステアリング装置80は、ECU9の筐体10の姿勢に対応した一面10aの位置に、装着部材12の庇部13を位置付けることができるので、第1コネクタ11aの突出部11cの上方からの液滴が落下しても、庇部13によって液滴が第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。よって、ステアリング装置80は、ECU9の防滴性能を低下させることなく、ECU9を電動モータ70と対向させて配置することができる。
(実施形態2)
実施形態2に係るステアリング装置80及びECU9を図面に基づいて説明する。図10は、実施形態2に係る電動モータ70とECU9との部分を拡大した拡大斜視図である。図11は、実施形態2に係る電動モータ70とECU9との部分を電動モータ70側から示した側面図である。図12は、実施形態2に係る電動モータ70とECU9との部分を前方から示した側面図である。図13は、実施形態2に係る電動モータ70とECU9との部分の上面図である。図14は、図13におけるA−A断面を示す拡大断面図である。図15は、実施形態2に係るECU9に装着される装着部材の一例を示す斜視図である。図16は、実施形態2に係る筐体10の一面10aの一部を拡大した側面図である。図17は、実施形態2に係る筐体10を前方から示した側面図である。なお、図10乃至図17は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係るECU9は、図10乃至図13に示すように、電動モータ70と近接して配置されている。ECU9は、筐体10と、コネクタ11と、装着部材212とを備える。
装着部材212は、図12及び図17に示すように、筐体10の上面10cに着脱可能に装着され、当該筐体10の一面10aから突出した防滴対象のコネクタ11の突出部11cを鉛直方向の上方から覆う。装着部材212は、筐体10の上面10cに部分的に設けられている。すなわち、装着部材212は、筐体10の上面10cの長手方向において、上面10cの長さよりも短い長さの部材として形成されている。
図10乃至図17に示すように、装着部材212は、庇部213と、固定部214とを有する。庇部213と固定部214とは、例えば、合成樹脂、金属等によって一体に形成されている。なお、装着部材212は、筐体10の上方から落下する液滴をはじきやすくするために、例えばフッ素コーティングなどを液滴が落下する表面に施してもよい。
庇部213は、筐体10がモータフランジ72に取り付けられて傾いた姿勢において、防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを覆う部材である。庇部213は、筐体10の上面10cに部分的に設けられ、当該上面10cの一部とコネクタ11の突出部11cの上方とを覆っている。庇部213は、第1コネクタ11aが突出している一面10aの上方に連なる筐体10の上面10cの一部に設けられ、上面10cから第1コネクタ11aの上方に向かって突出している。そして、庇部213は、図13に示すように、第1コネクタ11aが突出した一面10aの上方の部分と上面10cとの筋目10sを上方から覆っている。筋目10sは、筐体10の上面10cと一面10aとを組み付けたときの合わせ目である。庇部213は、図13乃至図17に示すように、筐体10の一面10aから突出する突出部11cよりも筐体10の外側に突出している。庇部213は、板状の平板部213aと、傾斜部213bとを有する。
平板部213aは、筐体10の上面10cの一部及び第1コネクタ11aの突出部11cの全てを覆う。平板部213aは、筐体10の上面10cの第1コネクタ11aの上方寄りの縁部に重ねられている。平板部213aは、当該上面10cから突出して第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆っている。平板部213aの筐体10から突出している部分の面積は、第1コネクタ11aの突出部11cの上面の面積よりも大きい。平板部213aは、第1コネクタ11aの突出部11cの上方から落下する液滴が当該突出部11cに到達することを阻止する。また、平板部213aは、第1コネクタ11aが突出した一面10aの上方の部分と上面10cとの筋目10sの上方から落下する液滴が当該筋目10sに到達することを阻止する。
傾斜部213bは、平板部213aに対して折れ曲がり、平板部213aから筐体10の外側に向かって延在している。傾斜部213bは、平板部213aに落下した液滴を、ECU9の外側へ排出する角度で形成されている。本実施形態では、傾斜部213bは、平板部213aに対して斜め下方向に折れ曲がっている。
固定部214は、庇部213に連接され、一面10aに固定されている。固定部214は、一面10aに固定されると、庇部213を突出部11cの上方に位置付ける。固定部214は、固定部材15によって筐体10の一面10aに固定される。
図15及び図16に示すように、固定部214は、基部214aと、貫通孔214bと、フック214cと、連結部214dとを有する。基部214aは、筐体10の一面10aに接触した状態で当該一面10aに固定される。貫通孔214bは、固定部材15を筐体10の取付穴10hに貫通させる穴である。フック214cは、基部214aから筐体10の一面10aに向かって突出し、筐体10の一面10aに設けられた溝10iに引っかけられる。フック214cは、溝10iに引っかけられることで、筐体10の一面10aの装着位置に庇部213を位置付ける。フック214cは、引っかけられた溝10iによって鉛直方向及び貫通孔214bから離れる方向への装着部材212の移動を阻止する。連結部214dは、コネクタ11の端子11dの挿抜方向Mに沿った方向に向かう庇部213と基部214aと連結している。連結部214dは、基部214aに対して略直角に折れ曲がっており、筐体10の上面10cに設けられている。連結部214dは、筐体10の上面10cと一面10aとの筋目10sを覆っている。
例えば、ECU9が搭載された車両が悪環境を走行する場合、車両の振動は、ステアリング装置80及びECU9に伝達される。この場合、装着部材212は、フック214cによって固定部214のぶれや緩みを抑制できる。これにより、ECU9は、装着部材212を着脱自在な構成にしても、ECU9の振動によって筐体10と装着部材212の庇部213とが接触して、異音が発生することを抑制することができる。よって、実施形態2に係るECU9は、車両に搭載する姿勢及び配置に自由度を持たせることができる。
図13、図14及び図16に示すように、ECU9は、装着部材212の庇部213及び連結部214dと筐体10との間に設けられた防水部材16をさらに備える。防水部材16は、例えば、エポキシ樹脂、シリコン、塩化ビニル樹脂等によって形成されている。防水部材16は、例えば、防水シートであってもよい。本実施形態では、防水部材16は、庇部213と筐体10の上面10cとの隙間、及び、連結部214dと筐体10の上面10cとの隙間を塞いでいる。例えば、ECU9は、筐体10が水平面に対して傾いてステアリング装置80に取り付けられている場合、庇部213が設けられていない筐体10の上面10cの部分に落下した液滴が、庇部213に向かう可能性がある。この場合、防水部材16は、装着部材212を設けていない筐体10の上面10cの部分に落下した液滴が、当該上面10cを移動して装着部材212と筐体10の上面10cとの間に浸入することを抑制することができる。すなわち、ECU9は、筐体10の上面10cに落下した液滴が、装着部材212によって覆っている筐体10の筋目10sに到達することを抑制することができる。なお、防水部材16は、庇部213と筐体10との間のみに設け、連結部214dと筐体10との間には設けない構成としてもよい。
実施形態2では、筐体10の一面10aは、取付穴10hと、溝10iとを有する。取付穴10hと溝10iとは、例えば、装着部材12を装着する筐体10の一面10aに対応した位置に形成されている。
図16に示す一例では、筐体10は、水平面の仮想線Hに対してステアリング装置80の組み付け角度θ1だけ傾いた姿勢でステアリング装置80に組み付けられている。組み付け角度θ1は、ステアリング装置80の回転中心軸Zが水平面に対して傾いている角度と等しい。そして、ステアリング装置80は、チルト方向(上下方向)に揺動可能に支持されており、回転中心軸Zがチルト動作角度θ2の範囲で水平面に対して変更可能となっている。例えば、水平面の仮想線Hに対するステアリング装置80の組み付け角度が23°、チルト動作角度θ2が+2°、−2°である場合、筐体10の上面10cは、水平面の仮想線Hに対して最大で25°傾斜する。図16に示す筐体10は、水平面の仮想線Hに対して組み付け角度θ1と最大のチルト動作角度θ2とを加算した角度だけ上面10cが傾いた姿勢となっている。
図16に示す一例では、筐体10は、防滴対象の3つの第1コネクタ11aを含む一面10aの領域が、防滴領域Eとなっている。庇部213は、防滴領域Eにおいて、鉛直方向に並べられた3つの第1コネクタ11aのうち、最下部の第1コネクタ11aに液滴を落下させない形状で形成されている。そして、最下部の第1コネクタ11aは、筐体10の側面10eに沿った方向(第1コネクタ11aの幅方向)に並んだ隣り合う端子11d,11d同士の距離Wが予め定められた防滴判定閾値よりも小さくなっている。防滴判定閾値は、防滴が必要な端子11dの距離を判定するための閾値である。図16に示す一例では、防滴判定閾値は、1.56mm以下となっている。以下に、装着部材212の庇部213を設計する一例について説明する。
図16及び図17に示すように、装着部材212の庇部213は、防滴領域Eの鉛直方向の最下部に位置する第1コネクタ11aに基準点Sを設定している。本実施形態では、基準点Sは、上記の防滴判定閾値よりも距離Wが小さくなる第1コネクタ11aの端子11d,11dの間に設定されている。すなわち、防滴領域Eにおいて、上記の防滴判定閾値よりも距離Wが小さくなる第1コネクタ11aの端子11d,11dのうち、鉛直方向の最下部に位置する端子11d,11dの間が防滴領域Eの鉛直方向の底部として設定された場合、基準点Sは、当該底部に対して設定される。この場合、基準点Sを通る平板部213aの法線Cに対するなす角が15°で基準点Sを通る仮想直線Lが定義される。庇部213の長さ212a及び幅212bは、法線Cを中心に回転させた仮想直線Lの延長線上に庇部213があるように、所定の長さ及び幅とされる。
本実施形態では、庇部213の長さ212aは、図16に示すように、筐体10の一面10aに沿って庇部213が延在する方向の長さであり、平板部213aと傾斜部213bとを含む長さとなっているが、これに限定されない。例えば、庇部213の長さ212aは、平板部213aの長さとしてもよい。また、庇部213の幅212bは、図17に示すように、コネクタ11の端子11dの挿抜方向Mに沿った方向に沿って庇部213が延在する方向の長さである。
図16に示す一例では、庇部213の長さ212aは、庇部213と交わる仮想直線Lの2つの交点を結ぶ結線の長さよりも長く設計されている。図17に示す一例では、庇部213の幅212bは、庇部213と交わる仮想直線Lの交点から筐体10までの長さよりも長く設計されている。また、筐体10の一面10aに沿って庇部213が延在する方向は、車両の前後方向であり、ステアリング装置80のチルト動作角度θ2によって筐体10の姿勢が傾斜する。このため、庇部213の長さ212aは、筐体10の組み付け角度θ1及びチルト動作角度θ2に対応した筐体10の姿勢の角度範囲がシミュレーション、実験等によって求められ、当該角度範囲で防滴領域Eに液滴を落下させない庇部213の長さ及び形状が設計されている。図16に示す一例では、庇部213の長さ212aは、ステアリング装置80のチルト動作角度θ2が上方向に最大に設定されても、第1コネクタ11aの突出部11cの鉛直方向の上方を覆う長さになっている。
図17に示す一例では、筐体10は、法線Cに対して基準点Sを中心に左へ15°傾けられた場合、第1コネクタ11aの突出部11cの開口が上方を向き、端子11dが上方に露出した状態になる。このため、庇部213の幅212bは、筐体10が法線Cを中心に左へ15°傾けられても、第1コネクタ11aの突出部11cの基準点S付近の鉛直方向の上方を覆う長さになっている。なお、基準点S及び法線Cは、防滴領域Eの第1コネクタ11aの表面上に設定してもよい。
以上のように、実施形態2に係る庇部213は、水平面に対して傾いた状態の筐体10をさらに15°傾けても、筐体10の上方から垂直に落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cに到達することを抑制し、液滴から筐体10を保護することができる。その結果、ECU9は、装着部材212の庇部213を設けることで、国際電気標準会議の規格であるIP(Ingress Protection)X2規格に適応することができる。IPX2は、鉛直から15°の範囲で落下する水滴からの悪影響から免れることを示している。このように、実施形態2に係るECU9において、取り付けずれにより、筐体10の一面10aと法線Cとに取付角度が生じてしまっても、取付角度が15°以内であれば、液滴から筐体10を保護することができる。
次に、実施形態2に係るECU9の作用の一例について説明する。ECU9は、筐体10の一面10aが鉛直方向に沿った状態で、電動モータ70と対向するようにステアリング装置80に組み付けられる。この場合、ECU9は、装着部材212が筐体10に予め装着されてもよいし、電動モータ70に取り付けられた筐体10に装着部材212を装着されてもよい。ECU9は、筐体10が水平面に対して傾いて、電動モータ70に取り付けられた姿勢で、装着部材12の庇部213が防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆う。例えば、筐体10の防滴領域Eの上部または上方に液滴が発生した場合、当該液滴は、筐体10の装着部材212の庇部213に向かって落下する。その結果、装着部材212の庇部213は、平板部213aに落下した液滴を、傾斜部213bから筐体10の外側に流し落とすので、当該液滴が防滴領域Eの第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。
例えば、装着部材212を設けていない筐体10の上面10cの部分に液滴が落下した場合、当該液滴は、筐体10の傾きによって筐体10の側面10eに向かって上面10c上を移動する可能性がある。この場合、ECU9は、液滴が装着部材212に到達した場合、防水部材16によって装着部材212と筐体10の上面10cとの間への液滴の浸入を阻止する。その結果、当該液滴は、装着部材212と筐体10の上面10cとの段差の部分に留まったり、装着部材12を迂回して筐体10の筐体10の側面10eに向かって移動したりする。よって、ECU9は、筐体10の上面10cに落下した液滴が、装着部材212によって覆っている筐体10の筋目10sに到達することを抑制することができる。
以上説明したように、実施形態2に係るECU9は、筐体10が水平面に対して傾いたステアリング装置80に傾いて取り付けられた姿勢で、装着部材212の庇部213が一面10aから突出する第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆うように、装着部材12が筐体10の上面10cに着脱可能に装着される。このため、ECU9は、筐体10を搭載する姿勢に対応した上面10cの位置に、装着部材212の庇部213を位置付けることができる。例えば、ステアリング装置80は、チルト動作角度範囲内で運転者等によるチルト動作角度の設定が可能であり、当該チルト動作角度に応じてECU9の筐体10の水平面に対する傾きが変化する場合がある。この場合、ECU9は、チルト動作角度が最大または最小に設定されても、防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cの上方を庇部213で覆うことができる。また、例えば、ステアリング装置80は、筐体10の周囲または筐体10に発生した液滴が筐体10の第1コネクタ11aの突出部11cに向かって落下する場合がある。また、例えば、ステアリング装置80は、車両のダッシュボード上に液体がこぼされた場合、ダッシュボードの内部に浸入した当該液体の液滴がECU9の筐体10の第1コネクタ11aの突出部11cに向かって落下する場合がある。このような場合、第1コネクタ11aの突出部11cの上方からの液滴が落下しても、庇部213によって液滴が第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。よって、ECU9は、傾斜しても防滴性能を向上させることができる。さらに、ECU9は、防滴性能を向上させることで、筐体10を傾いた姿勢で取り付けることができるので、ECU9の搭載性を向上させることができる。
また、ECU9は、庇部213に落下した液滴を筐体10の外側へ排出するので、庇部213を部分的に筐体10の上面10cに装着することができる。よって、ECU9は、装着部材212の小型化を図ることができるので、ECU9の搭載性をより一層向上させることができる。
ECU9は、第1コネクタ11aが突出する筐体10の一面10aの上方の部分と上面10cとの筋目10sを庇部213が覆うので、当該筋目10sから液滴が筐体10の内部に浸入することを抑制できる。よって、ECU9は、筐体10の上面10cと一面10aとの筋目10sの内部に収容された第1コネクタ11aに液滴が到達することを抑制し、防滴性能を向上させることができる。
ECU9は、水平面に対して傾いてステアリング装置80に取り付けられた筐体10がさらに15°傾斜した状態でも、筐体10の上部から落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cに向かうことを庇部213によって阻止することができる。よって、ECU9は、筐体10の上部から落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cから浸入して、筐体10の内部で有害な影響を及ぼすことを防止できる。すなわち、ECU9は、ステアリング装置80の組み付け角度θ1と当該チルト動作角度θ2との角度だけ水平面に対して傾いた姿勢であっても、第1コネクタ11aの突出部11cに液滴が落下することを抑制できる。
ECU9は、庇部213と筐体10の上面10cとの間を塞ぐので、筐体10の上面10cに落下した液滴が庇部213と筐体10の上面10cとの間に浸入することを抑制することができる。よって、ECU9は、筐体10が水平面に対して傾いてステアリング装置80に取り付けられた姿勢で、筐体10の上面10cに落下した液滴が庇部213に向かっても、当該液滴が第1コネクタ11aに到達することを抑制し、防滴性能を向上させることができる。
ステアリング装置80は、ECU9の筐体10の一面10aが電動モータ70と対向するように取り付けられる。ステアリング装置80は、ECU9の筐体10が水平面に対して傾いた姿勢で、装着部材212の庇部213が防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆うように装着部材212が筐体10の上面10cに着脱可能に装着される。このため、ステアリング装置80は、ECU9の筐体10の姿勢に対応した上面10cの位置に、装着部材212の庇部213を位置付けることができるので、第1コネクタ11aの突出部11cの上方からの液滴が落下しても、庇部213によって液滴が第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。よって、ステアリング装置80は、ECU9の防滴性能を低下させることなく、ECU9を電動モータ70と対向させて配置することができる。
上記の実施形態2では、ECU9は、装着部材212の固定部214が筐体10の一面10aに固定される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ECU9は、装着部材212の固定部214を筐体10の上面10cに固定する構成としてもよい。
上記の実施形態2では、ECU9は、装着部材212の庇部213と筐体10の上面10cとの間に防水部材16を設ける場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ECU9は、筐体10の一面10aと上面10cとの間の筋目10sが防水されている場合や、筋目10sが筐体10の上方に向いていない場合がある。このような場合、ECU9は、防水部材16を用いずに、装着部材212の庇部213を筐体10の上面10cに直接重ねる構成としてもよい。
(実施形態3)
実施形態3に係るステアリング装置80及びECU9を図面に基づいて説明する。図18は、実施形態3に係る電動モータ70とECU9との部分を拡大した拡大斜視図である。図19は、実施形態3に係る電動モータ70とECU9との部分を電動モータ70側から示した側面図である。図20は、実施形態3に係る電動モータ70とECU9との部分を前方から示した側面図である。図21は、実施形態3に係る電動モータ70とECU9との部分の上面図である。図22は、実施形態3に係るECU9に設けられるコネクタ11の一例を示す図である。図23は、実施形態3に係る筐体10の一面10aの一部を拡大した側面図である。図24は、実施形態3に係る筐体10を前方から示した側面図である。なお、図18乃至図24は、実施形態1,2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3に係るECU9は、図18乃至図21に示すように、電動モータ70と近接して配置されている。ECU9は、筐体10と、コネクタ311とを備える。
コネクタ311は、筐体10の上面10cが水平面に対して傾いた筐体10の姿勢において、鉛直方向に交差する方向に、端子11dの挿抜方向Mが向くように、端子11dを案内する突出部11cが筐体10の一面より突出する。すなわち、コネクタ11の突出部11cは、縦向きの筐体10と電動モータ70とに近接する空間に突出している。その結果、ECU9は、筐体10と電動モータ70とに近接する空間を有効利用することができる。突出部11cは、端子11dの周囲に設けられた周壁である。コネクタ311は、ECU9の外部からのハーネスを接続するために用いられる部品である。コネクタ311は、第1コネクタ11aと、第2コネクタ11bとを有する。コネクタ311は、筐体10の側面10eに沿って上方から第1コネクタ11aと第2コネクタ11bとの順で並べられている。
コネクタ311は、図18乃至図24に示すように、筐体10の姿勢において、防滴対象の突出部11cを鉛直方向の上方から覆う庇部313をさらに有する。庇部313は、筐体10の一面10aの一部に設けられるコネクタ11のベース部110に形成されている。換言すると、コネクタ311は、突出部11cが挿抜方向Mに突出し、筐体10の少なくとも一面10aの一部に設けられたベース部110を有する。庇部313とベース部110とは、例えば、合成樹脂等の同一材料によって一体に形成されている。ベース部110は、図19及び図22に示すように、第1コネクタ11a及び第2コネクタ11bを連結している。ベース部110は、筐体10の一面10aの一部に取り付けられ、第1コネクタ11a及び第2コネクタ11bの突出部11cを筐体10の一面10aから外側に向かって突出させている。ベース部110は、筐体10の一面10aに対して着脱可能となっている。ベース部110は、図22に示すように、2つの凸部110aと、凸部110aに設けられた貫通孔110bと、を有する。ベース部110は、図18に示すように、貫通孔110bを貫通した固定部材111によって筐体10の一面10aの一部に固定される。固定部材111は、例えば、ねじ、留め具等を含む。ベース部110は、筐体10の一面10aに設けられることで、一面10aに連なる面を形成する。
庇部313は、図18乃至図21に示すように、筐体10がモータフランジ72に取り付けられて傾いた姿勢において、防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを覆う部材である。庇部313は、ベース部110からコネクタ11の端子11dの挿抜方向Mに沿って突出し、コネクタ311の突出部11cの上方を覆っている。庇部313は、筐体10の上面10c寄りのベース部110から第1コネクタ11aの上方に向かって突出している。庇部313は、筐体10の一面10aから突出する突出部11cよりも筐体10の外側に突出している。コネクタ311の突出部11c及び庇部313は、筐体10とモータケース71との間に位置している。なお、庇部313は、筐体10とモータケース71との間の空間に全てが位置しなくてもよく、少なくとも一部が当該空間に位置していればよい。庇部313は、板状の平板部313aと、傾斜部313bと、補強部313cとを有する。
平板部313aは、第1コネクタ11aの突出部11cの全てを覆う。平板部313aは、筐体10の上面10cと第1コネクタ11aとの間のベース部110に形成されている。平板部313aは、コネクタ11のベース部110から突出して第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆っている。平板部313aのベース部110から突出している部分の面積は、第1コネクタ11aの突出部11cの上面の面積よりも大きい。平板部313aは、第1コネクタ11aの突出部11cの上方から落下する液滴が当該突出部11cに到達することを阻止する。
傾斜部313bは、平板部313aに対して折れ曲がり、平板部313aから筐体10及びコネクタ311の外側に向かって延在している。傾斜部313bは、平板部313aに落下した液滴を、ECU9の外側へ排出する角度で形成されている。実施形態3では、傾斜部313bは、平板部313aに対して斜め下方向に折れ曲がっている。
補強部313cは、コネクタ311のベース部110と平板部313aとにわたって形成されている。補強部313cは、例えば、リブを含む。本実施形態では、庇部313は、3つの補強部313cによって平板部313aが筐体10の上面10cに向かって倒れることを抑制する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、庇部313は、3つとは異なる数の補強部313cによって平板部313aが筐体10の上面10cに向かって倒れることを抑制してもよい。例えば、庇部313は、鉛直方向における庇部313の厚さを厚くすることで、筐体10の上面10cに向かって倒れることを抑制する構成としてもよい。
例えば、ECU9が搭載された車両が悪環境を走行する場合、車両の振動は、ステアリング装置80及びECU9に伝達される。この場合、庇部313は、コネクタ311のベース部110に一体形成されているので、車両の振動によるぶれや異音の発生を抑制できる。よって、ECU9は、車両に搭載する姿勢及び配置に自由度を持たせることができる。
図23に示す一例では、筐体10は、水平面の仮想線Hに対してステアリング装置80の組み付け角度θ1だけ傾いた姿勢でステアリング装置80に組み付けられている。組み付け角度θ1は、ステアリング装置80の回転中心軸Zが水平面に対して傾いている角度と等しい。そして、ステアリング装置80は、チルト方向(上下方向)に揺動可能に支持されており、回転中心軸Zがチルト動作角度θ2の範囲で水平面に対して変更可能となっている。例えば、水平面の仮想線Hに対するステアリング装置80の組み付け角度θ1が23°、チルト動作角度θ2が+2°、−2°である場合、筐体10の上面10cは、水平面の仮想線Hに対して最大で25°傾斜する。図8に示す筐体10は、水平面の仮想線Hに対して組み付け角度θ1と最大のチルト動作角度θ2とを加算した角度だけ上面10cが傾いた姿勢となっている。
図23に示す一例では、筐体10は、防滴対象の3つの第1コネクタ11aを含む一面10aの領域が、防滴領域Eとなっている。庇部313は、防滴領域Eにおいて、鉛直方向に並べられた3つの第1コネクタ11aのうち、最下部の第1コネクタ11aに液滴を落下させない形状で形成されている。そして、最下部の第1コネクタ11aは、筐体10の側面10eに沿った方向(第1コネクタ11aの幅方向)に並んだ隣り合う端子11d,11d同士の距離Wが予め定められた防滴判定閾値よりも小さくなっている。防滴判定閾値は、防滴が必要な端子11d,11dの間の距離を判定するための閾値である。図23に示す一例では、防滴判定閾値は、1.56mm以下となっている。以下に、コネクタ311の庇部313を設計する一例について説明する。
図23及び図24に示すように、コネクタ311の庇部313は、防滴領域Eの鉛直方向の最下部に位置する第1コネクタ11aに基準点Sを設定している。実施形態3では、基準点Sは、上記の防滴判定閾値よりも距離Wが小さくなる第1コネクタ11aの端子11d,11dの間に設定されている。すなわち、防滴領域Eにおいて、上記の防滴判定閾値よりも距離Wが小さくなる第1コネクタ11aの端子11d,11dのうち、鉛直方向の最下部に位置する端子11d,11dの間が防滴領域Eの鉛直方向の底部として設定された場合、基準点Sは、当該底部に対して設定される。この場合、基準点Sを通る平板部13aの法線Cに対するなす角が15°で基準点Sを通る仮想直線Lが定義される。庇部313の長さ13x及び幅13yは、法線Cを中心に回転させた仮想直線Lの延長線上に庇部313があるように、所定の長さ及び幅とされる。
実施形態3では、庇部313の長さ13xは、図23に示すように、筐体10の一面10aに沿って庇部13が延在する方向の長さであり、平板部13aと傾斜部13bとを含む長さとなっているが、これに限定されない。例えば、庇部313の長さ13xは、平板部13aの長さとしてもよい。また、庇部313の幅13yは、図24に示すように、コネクタ11の端子11dの挿抜方向Mに沿った方向に沿って庇部313が延在する方向の長さである。
図23に示す一例では、庇部313の長さ13xは、庇部13と交わる仮想直線Lの2つの交点を結ぶ結線の長さよりも長く設計されている。図24に示す一例では、庇部13の幅13yは、庇部313と交わる仮想直線Lの交点から筐体10までの長さよりも長く設計されている。また、筐体10の一面10aに沿って庇部313が延在する方向は、車両の前後方向であり、ステアリング装置80のチルト動作角度θ2によって筐体10の姿勢が傾斜する。このため、庇部313の長さ13xは、筐体10の組み付け角度θ1及びチルト動作角度θ2に対応した筐体10の姿勢の角度範囲がシミュレーション、実験等によって求められ、当該角度範囲で防滴領域Eに液滴を落下させない庇部313の長さ及び形状が設計されている。図23に示す一例では、庇部313の長さ13xは、ステアリング装置80のチルト動作角度θ2が上方向に最大に設定されても、第1コネクタ11aの突出部11cの鉛直方向の上方を覆う長さになっている。
図24に示す一例では、筐体10は、法線Cに対して基準点Sを中心に左へ15°傾けられた場合、第1コネクタ11aの突出部11cの開口が上方を向き、端子11dが上方に露出した状態になる。このため、庇部313の幅13yは、筐体10が法線Cを中心に左へ15°傾けられても、第1コネクタ11aの突出部11cの基準点S付近の鉛直方向の上方を覆う長さになっている。なお、基準点S及び法線Cは、防滴領域Eの第1コネクタ11aの表面上に設定してもよい。
以上のように、本実施形態の庇部313は、水平面に対して傾いた状態の筐体10をさらに15°傾けても、筐体10の上方から垂直に落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cに到達することを抑制し、液滴から筐体10を保護することができる。その結果、ECU9は、コネクタ311の庇部313を設けることで、国際電気標準会議の規格であるIP(Ingress Protection)X2規格に適応することが容易になる。IPX2は、鉛直から15°の範囲で落下する水滴からの悪影響から免れることを示している。このように、実施形態3に係るECU9において、取り付けずれにより、筐体10の一面10aと法線Cとに取付角度が生じてしまっても、取付角度が15°以内であれば、液滴から筐体10を保護することができる。
次に、実施形態3に係るECU9の作用の一例について説明する。ECU9は、筐体10の一面10aが鉛直方向に沿った状態で、電動モータ70と対向するようにステアリング装置80に組み付けられる。この場合、ECU9は、庇部313を有するコネクタ11が筐体10に予め組み付けられてもよいし、電動モータ70に取り付けられた筐体10にコネクタ11を組み付けてもよい。ECU9は、筐体10が水平面に対して傾いて、電動モータ70に取り付けられた姿勢で、コネクタ311の庇部313が防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆う。例えば、筐体10の防滴領域Eの上部または上方に液滴が発生した場合、当該液滴は、筐体10のコネクタ311の庇部313に向かって落下する。その結果、コネクタ311の庇部313は、平板部313aに落下した液滴を、傾斜部313bから筐体10の外側に流し落とすので、当該液滴が防滴領域Eの第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。
以上説明したように、実施形態3に係るECU9は、筐体10が水平面に対して傾いたステアリング装置80に傾いて取り付けられた姿勢で、コネクタ311の庇部313が一面10aから突出する第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆うように、コネクタ311が筐体10に装着される。このため、ECU9は、筐体10を搭載する姿勢に対応した上面10cの位置に、コネクタ311の庇部313を位置付けることができる。例えば、ステアリング装置80は、チルト動作角度範囲内で運転者等によるチルト動作角度の設定が可能であり、当該チルト動作角度に応じてECU9の筐体10の水平面に対する傾きが変化する場合がある。この場合、ECU9は、チルト動作角度が最大または最小に設定されても、防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cの上方を庇部313で覆うことができる。また、例えば、ステアリング装置80は、筐体10の周囲または筐体10に発生した液滴が筐体10の第1コネクタ11aの突出部11cに向かって落下する場合がある。また、例えば、ステアリング装置80は、車両のダッシュボード上に液体がこぼされた場合、ダッシュボードの内部に浸入した当該液体の液滴がECU9の筐体10の第1コネクタ11aの突出部11cに向かって落下する場合がある。このような場合、第1コネクタ11aの突出部11cの上方からの液滴が落下しても、庇部313によって液滴が第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。よって、ECU9は、傾斜しても防滴性能を向上させることができる。さらに、ECU9は、防滴性能を向上させることで、筐体10を傾いた姿勢で取り付けることができるので、ECU9の搭載性を向上させることができる。
また、ECU9は、庇部313をコネクタ11のベース部110と一体に形成しているので、コネクタ311を筐体10に設けるだけで、庇部313を筐体10に配置することができる。よって、ECU9は、コネクタ11と庇部313とを別部材とするよりも、部品点数及び組み立て工数を削減することができる。
また、ECU9は、庇部313に落下した液滴を筐体10の外側へ排出するので、庇部313を部分的に筐体10の一面10aに設けることができる。よって、ECU9は、筐体10の上面10cの全体に設けるよりも、庇部313の小型化を図ることができるので、ECU9の搭載性をより一層向上させることができる。
ECU9は、水平面に対して傾いてステアリング装置80に取り付けられた筐体10がさらに15°傾斜した状態でも、筐体10の上部から落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cに向かうことを庇部313によって阻止することができる。よって、ECU9は、筐体10の上部から落下する液滴が第1コネクタ11aの突出部11cから浸入して、筐体10の内部で有害な影響を及ぼすことを防止できる。すなわち、ECU9は、ステアリング装置80の組み付け角度θ1と当該チルト動作角度θ2との角度だけ水平面に対して傾いた姿勢であっても、第1コネクタ11aの突出部11cに液滴が落下することを抑制できる。
ステアリング装置80は、電動モータ70が水平面に対して傾いた状態でステアリングシャフト82に取り付けられ、ECU9の筐体10の一面10aが電動モータ70と対向するように取り付けられる。ステアリング装置80は、ステアリングシャフト82の組み付け角度によってECU9の筐体10が水平面に対して傾いた姿勢になっても、コネクタ11の庇部13が防滴対象の第1コネクタ11aの突出部11cを上方から覆うようにコネクタ11が筐体10に装着される。このため、ステアリング装置80は、ECU9の筐体10の姿勢に対応した一面10aの位置に、コネクタ11の庇部313を位置付けることができるので、第1コネクタ11aの突出部11cの上方からの液滴が落下しても、庇部313によって液滴が第1コネクタ11aの内部に浸入することを防止できる。よって、ステアリング装置80は、ECU9の防滴性能を低下させることなく、ECU9を電動モータ70と対向させて配置することができる。
ステアリング装置80は、ECU9の筐体10が電動モータ70のモータケース71と対向するように電動モータ70に取り付けられると、コネクタ11の突出部11c及び庇部313を筐体10とモータケース71との間に位置させることができる。よって、ステアリング装置80は、ECU9の筐体10と電動モータ70のモータケース71との間の空間を有効利用することができる。また、ステアリング装置80は、ECU9の筐体10の一面10aから庇部313が突出していても、当該庇部313を筐体10と電動モータ70とによって保護することができる。
上記の実施形態3では、ECU9は、コネクタ11の庇部313とベース部110とを、同一材料によって一体に形成する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ECU9は、コネクタ311の庇部313とベース部110とを、別材料によって一体に形成してもよい。
上記の実施形態3では、ECU9は、庇部313をコネクタ311のベース部110から突出させる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ECU9は、鉛直方向に並べられた3つの第1コネクタ11aのうち、最上部の第1コネクタ11aの突出部11cの上壁を挿抜方向Mに延在させることで、庇部313を形成してもよい。
上記の実施形態1,2,3では、ECU9は、防滴領域Eの最下部の第1コネクタ11aにおいて、端子11d,11d同士の隙間の距離Wが防滴判定閾値よりも小さい端子11d,11dに基づいて基準点Sを設定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、防滴領域Eの基準点Sは、第1コネクタ11aの突出部11cの形状、端子11dの配置等に基づいて適宜設定してもよい。
上記の実施形態1,2,3では、ECU9は、防滴領域Eが3つの第1コネクタ11aが設けられた筐体10の一面10aの領域である場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ECU9は、筐体10の一面10aにおける第1コネクタ11a及び第2コネクタ11bを含む領域を防滴領域Eとし、庇部13,213,313が第1コネクタ11a及び第2コネクタ11bを含む領域の全てを防滴する構成としてもよい。
上記の実施形態1,2では、ECU9は、第1コネクタ11aを鉛直方向に並べて配置する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ECU9は、筐体10の一面10aにおいて、複数の第1コネクタ11aを点在させてもよい。この場合、ECU9は、複数の第1コネクタ11aの各々に対応した装着部材12,212を複数設けてもよい。
上記の実施形態1,2,3では、ECU9は、第1コネクタ11aの突出部11cを庇部13,213,313で覆う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ECU9は、第1コネクタ11aの突出部11cと、第1コネクタ11aに接続される相手側コネクタのハーネスの一部、当該ハーネスを束ねるクランプ等とを覆うように庇部13,213,313を形成してもよい。