JPWO2019221027A1 - 液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方にシール剤を塗布して枠状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴をシールパターンの枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を貼り合わせ、シール部に紫外線等の光を照射したり加熱したりすることによりシール剤を硬化させ、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
しかしながら、滴下工法で狭額縁設計の液晶表示素子を製造すると、シール剤がブラックマトリックスの直下に配置されるため、シール剤を光照射により硬化させる場合、照射した光が遮られてシール剤の内部に光が到達し難く、シール剤の硬化が不充分となることがある。このようにシール剤の硬化が不充分となると、未硬化のシール剤成分が液晶中に溶出して液晶汚染を発生させやすくなるという問題があった。
特に近年、パネルの狭額縁化につれ、塗布されるシール剤の線幅も細くなり、貼り合わせた後のシール断面積が小さくなっている。そのため、シールパターンの破れ等が発生しやすくなっている。
以下に本発明を詳述する。
本発明の液晶表示素子用シール剤における、液晶によるシール剤への差し込みやシール剤による液晶汚染を抑制する効果は、シール剤を熱のみによって硬化させる場合に特に顕著となる。また、本発明の液晶表示素子用シール剤は、PSA型液晶表示素子用シール剤として好適に用いられる。
上記硬化性樹脂は、1分子中に3つ以上のエポキシ基を有する化合物(以下、「3官能以上のエポキシ化合物」ともいう)を含む。本発明の液晶表示素子用シール剤が上記3官能以上のエポキシ化合物を含有することにより、液晶のシール剤への差し込みを抑制することができ、かつ、得られる液晶表示素子が表示性能に優れるものとなる。
また、上記3官能以上のエポキシ化合物は、液晶のシール剤への差し込みを抑制する効果に優れることから、1分子中に3つ以上のエポキシ基とイソシアヌル骨格とを有する化合物、及び/又は、1分子中に3つ以上のエポキシ基を有するグリシジルアミン型エポキシ化合物であることが好ましい。より好ましくは、1分子中に3つ以上のエポキシ基とイソシアヌル骨格とを有する化合物である。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリル化合物」は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、大塚化学社製の有機酸ヒドラジド、味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジド、日本ファインケム社製の有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
上記大塚化学社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、SDH、ADH等が挙げられる。
上記味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアVDH−J、アミキュアUDH、アミキュアUDH−J等が挙げられる。
上記日本ファインケム社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、MDH等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。
なかでも、上記重合開始剤としてラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。後述する柔軟粒子によるスプリングバックは、該柔軟粒子の最大粒子径だけでなくシール剤の硬化速度にも影響を受ける。上記ラジカル重合開始剤は、熱硬化剤に比べて硬化速度を格段に速くすることができるため、上記柔軟粒子と組み合わせて用いることにより、上記柔軟粒子により発生しやすいスプリングバックの発生を抑制し、得られる液晶表示素子がギャップ保持性により優れるものとなる。
上記熱ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
なお、本明細書において上記「高分子アゾ化合物」とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイル基を反応させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
上記高分子アゾ化合物としては、具体的には例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−0501、VPS−1001(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ開始剤としては、例えば、V−65、V−501(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、具体的には例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−((4−メチルフェニル)メチル)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−(フェニルチオ)フェニル)−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記光カチオン重合開始剤は、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、イオン性光酸発生タイプのものであってもよいし、非イオン性光酸発生タイプであってもよい。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体類等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、最大粒子径が液晶表示素子のセルギャップの100%以上である柔軟粒子(以下、単に「柔軟粒子」ともいう)を含有する。上記柔軟粒子は、液晶表示素子を製造する際に、他のシール剤成分と液晶との間の障壁となって、液晶がシール剤に差し込むこと、及び、シール剤が液晶へ溶出することを防止する役割を有する。また、上記柔軟粒子を配合することにより、基板を貼り合わせた後、シール剤が硬化するまでの基板のずれを防止することができる。
液晶表示素子のセルギャップは、表示素子により異なるため限定されないが、一般的な液晶表示素子のセルギャップは、2μm以上10μm以下である。
また、上記柔軟粒子の最大粒子径の好ましい上限は20μmである。上記柔軟粒子の最大粒子径が20μm以下であることにより、スプリングバックを抑制し、得られる液晶表示素子がギャップ保持性により優れるものとなる。上記柔軟粒子の最大粒子径のより好ましい上限は15μmである。
更に、上記柔軟粒子の最大粒子径は、セルギャップの260%以下であることが好ましい。上記柔軟粒子の最大粒子径がセルギャップの260%以下であることにより、スプリングバックを抑制し、得られる液晶表示素子がギャップ保持性により優れるものとなる。上記柔軟粒子の最大粒子径のより好ましい上限はセルギャップの220%、更に好ましい上限はセルギャップの170%である。
なお、本明細書において、上記柔軟粒子の最大粒子径及び後述する平均粒子径は、シール剤に配合する前の粒子については、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することにより得られる値を意味する。上記レーザー回折式粒度分布測定装置としては、マスターサイザー2000(マルバーン社製)等を用いることができる。また、シール剤に含まれる粒子については、走査型電子顕微鏡を用いて、1万倍の倍率で観察した10個の粒子の粒子径の最大値及び平均値を意味する。上記走査型電子顕微鏡としては、電界放出形走査電子顕微鏡S−4800(日立ハイテクノロジーズ社製)等を用いることができる。
また、液晶表示素子中においては、シール剤の硬化物中に、貼り合わせた基板によって押しつぶされることで形状に歪みが生じている柔軟粒子の存在が確認されれば、上記柔軟粒子の最大粒子径が液晶表示素子のセルギャップの100%以上であると言える。
なお、本明細書において上記「粒子径のCV値」は、下記式により求められる値を意味する。
粒子径のCV値(%)=(粒子径の標準偏差/平均粒子径)×100
上記柔軟粒子を分級する方法としては、例えば、湿式分級、乾式分級等の方法が挙げられる。なかでも、湿式分級が好ましく、湿式篩分級がより好ましい。
また、上記柔軟粒子の回復率は、実質的には5%以上となる。
なお、上記柔軟粒子の回復率は、微小圧縮試験機を用いて、粒子1個に一定負荷(1g)をかけ、その負荷を除去した後の回復挙動を解析することにより導出することができる。
なお、上記柔軟粒子の1g歪みは、微小圧縮試験機を用いて、粒子1個に1gの負荷をかけ、その時の変位量を測定することにより導出することができる。
なお、上記柔軟粒子の破壊歪みは、微小圧縮試験機を用いて、粒子1個に負荷をかけていき、その粒子が破壊する変位量を測定することにより導出することができる。上記圧縮変位L4は、負荷荷重に対して変位量が不連続に大きくなる時点を、粒子が破壊した時点として算出する。負荷荷重を大きくしても変形するだけで破壊しない場合、破壊歪みは100%以上と考える。
なお、上記柔軟粒子のガラス転移温度は、JIS K 7121の「プラスチックスの転移温度測定方法」に基づいた示差走査熱量測定(DSC)により測定される値を示す。
上記シリコーン系粒子のうち市販されているものとしては、例えば、KMP−594、KMP−597、KMP−598、KMP−600、KMP−601、KMP−602(いずれも信越化学工業社製)、トレフィルE−506S、EP−9215(いずれも東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられ、これらを分級して用いることができる。上記シリコーン系粒子は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記(メタ)アクリル粒子は、原料となる単量体を公知の方法により重合させることで得ることができる。具体的には例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で単量体を懸濁重合する方法、ラジカル重合開始剤の存在下で非架橋の種粒子に単量体を吸収させることにより種粒子を膨潤させてシード重合する方法等が挙げられる。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
上記単官能単量体としては、例えば、アルキルモノ(メタ)アクリレート、酸素原子含有モノ(メタ)アクリレート、ニトリル含有モノ(メタ)アクリル単量体、フッ素原子含有モノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記アルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記酸素原子含有モノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ニトリル含有モノ(メタ)アクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
フッ素原子含有モノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、単独重合体のガラス転移温度が低く、1g荷重を加えたときの変形量を大きくすることができることから、アルキルモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記多官能単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸骨格トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、架橋点間分子量が大きく、1g荷重を加えたときの変形量を大きくすることができることから、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。
上記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等が挙げられる。
上記ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられる。
上記不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
上記ハロゲン原子含有単量体としては、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等が挙げられる。
なお、本明細書において上記「柔軟粒子の硬度」は、JIS K 6253に準拠した方法により測定されるデュロメータA硬さを意味する。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、例えば、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等が挙げられる。
上記充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記シランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記チタンブラックは、1μmあたりの光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記チタンブラックの遮光性は高ければ高いほどよく、上記チタンブラックのOD値に好ましい上限は特にないが、通常は5以下となる。
また、遮光剤として上記チタンブラックを配合した本発明の液晶表示素子用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
上記三菱マテリアル社製のチタンブラックとしては、例えば、12S、13M、13M−C、13R−N、14M−C等が挙げられる。
上記赤穂化成社製のチタンブラックとしては、例えば、ティラックD等が挙げられる。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
上記混合機としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子としては、狭額縁設計の液晶表示素子が好ましい。具体的には、液晶表示部の周囲の枠部分の幅が2mm以下であることが好ましい。
また、本発明の液晶表示素子を製造する際の本発明の液晶表示素子用シール剤の塗布幅は1mm以下であることが好ましい。
まず、ITO薄膜等の電極及び配向膜を有する2枚の透明基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布して枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の液晶表示素子用シール剤が未硬化の状態で重合性化合物を含有する液晶組成物の微小滴を基板のシールパターンの枠内に滴下塗布し、真空下で他方の透明基板を重ね合わせる工程を行う。その後、加熱により本発明の液晶表示素子用シール剤を硬化させる工程を行う。更に、電圧印加状態にて、光照射等により液晶組成物中の重合性化合物を重合させ、基板上に凹凸形状を形成する工程を行う方法により、PSA型液晶表示素子を得ることができる。また、上記加熱により本発明の液晶表示素子用シール剤を硬化させる工程の前に、光照射によりシール剤を仮硬化させる工程を行ってもよいが、本発明の液晶表示素子用シール剤における、液晶によるシール剤への差し込みやシール剤による液晶汚染を抑制する効果は、シール剤を熱のみによって硬化させる場合に特に顕著となる。
ビフェニルエーテル型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製、「YSLV80DE」)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、及び、アクリル酸229重量部を、空気を送り込みながら90℃で還流撹拌し、5時間反応させた。得られた樹脂100重量部を、反応物中のイオン性不純物を吸着させる為にクオルツとカオリンの天然結合物(ホフマンミネラル社製、「シリチンV85」)10重量部が充填されたカラムで濾過し、部分アクリル変性ビフェニルエーテル型エポキシ樹脂を得た。
レゾルシノール型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、「デナコールEX−201」)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、及び、アクリル酸649重量部を、空気を送り込みながら90℃で5時間還流撹拌して反応させた。得られた樹脂100重量部を、反応物中のイオン性不純物を吸着させる為にクオルツとカオリンの天然結合物(ホフマンミネラル社製、「シリチンV85」)10重量部が充填されたカラムで濾過し、レゾルシノール型エポキシアクリレートを得た。
シリコーンゴム粒子(信越化学工業社製、「KMP−601」)をメタノール中に分散させ、8μmの目開きの篩と5μmの目開きの篩とで粒子径が5〜8μmの範囲となるように湿式篩分級した。分級した粒子を回収して乾燥し、シリコーンゴム粒子の分級処理品を得た。篩はポリイミドフィルムにレーザーで超高精度微細加工を施して得た極めて精度の高い穴を有するものを用いた。
得られたシリコーンゴム粒子の分級処理品について、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、「マスターサイザー2000」)を用いて測定した最大粒子径は8μmであった。
また、6μmの目開きの篩と3μmの目開きの篩とで粒子径が3〜6μmの範囲となるように湿式篩分級したこと以外は同様にして、シリコーンゴム粒子の分級処理品(最大粒子径6μm)を得た。
更に、3μmの目開きの篩で粒子径が3μm以下の範囲となるように湿式篩分級したこと以外は同様にして、シリコーンゴム粒子の分級処理品(最大粒子径3μm)を得た。
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1〜10、比較例1〜3の液晶表示素子用シール剤を調製した。
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部に対して平均粒子径5μmのスペーサー粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSP−2050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させた。スペーサー粒子を分散させたシール剤の極微量をガラス基板(20mm×50mm×厚さ0.7mm)の中央部に取り、同型のガラス基板をその上に重ね合わせた。液晶表示素子用シール剤を押し広げ、120℃で1時間加熱してシール剤を硬化させ、接着試験片を得た。
得られた接着試験片について、テンションゲージを用いて接着強度を測定した。接着強度が200N/cm2以上であった場合を「○」、接着強度が150N/cm2以上200N/cm2未満であった場合を「△」、接着強度が150N/cm2未満であった場合を「×」として接着性を評価した。
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部に対して平均粒子径5μmのスペーサー粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSP−2050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させた。スペーサー粒子を分散させたシール剤をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY−10E」)に充填し、脱泡処理を行った。脱泡処理を行ったシール剤を、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)にてITO薄膜及び配向膜を有するガラス基板に長方形の枠を描く様に塗布した。続いて、重合性化合物を含有する液晶組成物(MLC−6883(メルク社製)にビフェニル4,4’−ジイルビス(2−メチルアクリレート)を1重量%添加したもの)の微小滴を液晶滴下装置にて滴下塗布した。液晶組成物を滴下塗布したガラス基板に本発明の液晶表示素子用シール剤を介してITO薄膜及び配向膜を有する別のガラス基板を重ね合わせた後、真空貼り合わせ装置にて5Paの真空下にて貼り合わせ、セルを得た。得られたセルを120℃で1時間加熱してシール剤を硬化させた。次いで、電圧印加状態にて、水銀ランプを用いて100mW/cm2の紫外線(波長313nm)を50秒照射して液晶組成物中の重合性化合物を重合させ、凹凸形状を形成することにより液晶表示素子(セルギャップ5μm)を得た。
得られた各液晶表示素子について、シールパターンの形状観察を行った。内部の液晶によりシールパターンの形状が乱されていなかったものを「◎」、シールパターンの形状が僅かに乱されていたものを「○」、シールパターンの形状が大きく乱されているが液晶がシールパターンを突き破ってはいなかったものを「△」、液晶がシールパターンを突き破って外部に漏れ出していたものを「×」として差し込み防止性を評価した。
上記「(差し込み防止性)」の評価と同様にして得られた各液晶表示素子について、60℃、90%RHの環境下で100時間電圧印加状態とした後のシール剤付近の液晶配向乱れ(表示むら)を目視にて確認した。
液晶表示素子に表示むらが全く見られなかった場合を「○」、液晶表示素子のシール剤付近(周辺部)に表示むらが見えた場合を「△」、表示むらが周辺部のみではなく、中央部まで広がっていた場合を「×」として液晶表示素子の表示性能を評価した。
なお、評価が「○」の液晶表示素子は実用に全く問題のないレベルであり、「△」の液晶表示素子は表示設計によっては問題になる可能性があるレベルであり、「×」の液晶表示素子は実用に耐えないレベルである。
以下に本発明を詳述する。
Claims (6)
- 硬化性樹脂と、熱硬化剤と、最大粒子径が前記液晶表示素子のセルギャップの100%以上の柔軟粒子とを含有し、
前記硬化性樹脂は、1分子中に3つ以上のエポキシ基を有する化合物を含む
ことを特徴とする液晶表示素子用シール剤。 - 前記1分子中に3つ以上のエポキシ基を有する化合物は、1分子中に3つ以上のエポキシ基とイソシアヌル骨格とを有する化合物、及び/又は、1分子中に3つ以上のエポキシ基を有するグリシジルアミン型エポキシ化合物である請求項1記載の液晶表示素子用シール剤。
- 前記1分子中に3つ以上のエポキシ基を有する化合物は、前記1分子中に3つ以上のエポキシ基とイソシアヌル骨格とを有する化合物である請求項2記載の液晶表示素子用シール剤。
- PSA型液晶表示素子の基板間における液晶の封止に用いられる請求項1、2又は3記載の液晶表示素子用シール剤。
- 請求項1、2、3又は4記載の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料。
- 請求項1、2、3若しくは4記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項5記載の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子。
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