JPWO2019220767A1 - 虚像投影光学系及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
複数の距離に明るい虚像を同時表示させることができる虚像投影光学系を提供する。虚像投影光学系である本体光学系13は、表示デバイスである像形成素子11によって形成された画像を表示スクリーン20越しに虚像投影して表示させるものであって、中間像TIの形成位置に配置される中間スクリーン16と、中間スクリーン16より像形成素子11側に配置される投影光学系15と、中間スクリーン16より表示スクリーン20側に配置される虚像生成光学系17と、中間スクリーン16を光軸AX2方向に移動させる配置変更装置62とを備え、虚像生成光学系17の光軸AX3は、中間スクリーン16に対して傾斜し、投影光学系15の光軸AX2は、画像の光軸AX1から画像の光軸AX1に垂直な方向にシフトした位置に配置される。
Description
本発明は、虚像を同時表示させる虚像投影光学系及び当該虚像投影光学系を有する表示装置に関するものである。
従来のヘッドアップディスプレイ(HUD)装置は、虚像を運転者からある一定の距離離れた位置に生成することが一般的である。そもそもHUD装置を車に搭載する目的は、運転者の視線やピント移動を最小限に抑えることで、より安全な運転を支援することであるが、車速の低速時と高速時とで運転者の眼のピント位置が異なるため、虚像の距離が固定であるとピント合わせの時間が必要となる。そのため、わずかな時間ではあるが、運転者が前方に注意が向かない時間が生じる。高速走行時にはわずかな時間でも移動距離としては大きいため、この時間のロスによって危険な状況に陥るおそれがある。
上記のような課題に対する解決手段として、例えば特許文献1に記載のHUD装置が開示されている。特許文献1のHUD装置では、MEMSミラーのような走査型の像形成手段と、スクリーンと、投影手段と、スクリーン位置を変える可動手段とにより、虚像の位置を変化させている。本構成であれば車の速度に合わせて虚像位置を近づけたり、遠ざけたりして運転者の視線移動を少なくすることができる。
しかし、従来はスピードメーターやナビ等の簡素な表示に限られていたHUD装置であるが、昨今は拡張現実(AR)を利用したAR HUDが注目を集めつつある。これは、例えばスピードメーターやナビに加え、前方の危険因子(対向車や歩行者等)へマーキングを表示し、運転者に事前に危険を察知させるようなシステムである。特許文献1のHUD装置のような走査型の表示手段を用いる構成では、フレームレートの高速化が難しく、ある距離へ1レイヤーでの虚像表示しかできず、危険因子が距離の違う場所に存在していた場合に複数距離への同時表示が困難である。たとえ複数のレイヤーを同時に表示できたとしても、虚像の明るさとしては表示手段から発せられた明るさをレイヤー数で割ったものとなり、虚像の輝度は暗くなる傾向にある。
本発明は、複数の距離に明るい虚像を同時表示させることができる虚像投影光学系を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記虚像投影光学系を有する表示装置を提供することを目的とする。
上記した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した虚像投影光学系は、表示デバイスによって形成された画像を表示スクリーン越しに虚像投影して表示させるものであって、中間像の形成位置に配置される中間スクリーンと、中間スクリーンより表示デバイス側に配置される投影光学系と、中間スクリーンより表示スクリーン側に配置される虚像生成光学系と、中間スクリーンを光軸方向に移動させる配置変更装置とを備え、虚像生成光学系の光軸は、中間スクリーンに対して傾斜し、投影光学系の光軸は、画像の光軸から画像の光軸に垂直な方向にシフトした位置に配置される。ここで、中間スクリーンは、中間像の形成位置だけでなく、当該位置の近傍に配置される場合も含む。また、虚像投影光学系内の光軸は、説明の都合上、構成要素毎に定義する。つまり、画像の光軸は、表示デバイスで形成される画像の中心を通る軸であり、投影光学系の光軸は、投影光学系の対称軸であり、虚像生成光学系の光軸は、中間像の中心とアイボックスの中心と虚像の中心とを通る軸である。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る虚像投影光学系及び表示装置について説明する。
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る虚像投影光学系及び表示装置について説明する。
図1A及び1Bは、本実施形態の表示装置100及びその使用状態を説明する概念的な側方断面図及び正面図である。この表示装置(画像表示装置)100は、例えばヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)装置として車体2内に搭載されるものであり、描画ユニット10と表示スクリーン20とを備える。表示装置100は、描画ユニット10中の後述する像形成素子11に表示されている画像情報を、表示スクリーン20を介して運転者(観察者)にUN向けて虚像表示するものである。
表示装置100のうち描画ユニット10は、車体2のダッシュボード4内に埋め込むように設置されており、運転関連情報や危険信号等を含む画像に対応する表示光HKを表示スクリーン20に向けて出射する。表示スクリーン20は、コンバイナーとも呼ばれるハーフミラーであり、半透過性を有する凹面鏡又は平面鏡である。表示スクリーン20は、下端の支持によってダッシュボード4上に立設され、描画ユニット10からの表示光HKを車体2の後方に向けて反射させる。つまり、図示の場合、表示スクリーン20は、フロントガラス(ウインドシールド)8とは別体で設置される独立型のものとなっている。
図1A及び図2に示すように、ハーフミラーである表示スクリーン20で反射された表示光HKは、運転席6に座った運転者UNの瞳HT及びその周辺位置に対応するアイボックスEB(図2参照)に導かれる。運転者UNは、表示スクリーン20で反射された表示光HK、つまり車体2の前方にある虚像としての表示像IMを観察することができる。一方、運転者UNは、ハーフミラーである表示スクリーン20を透過した外界光、つまり前方景色、自動車等の実像を観察することができる。結果的に、運転者UNは、表示スクリーン20の背後の外界像に重ねて、表示スクリーン20での表示光HKの反射によって形成される運転関連情報や危険信号等を含む表示像(虚像)IMを観察することができる。
図2に示すように、描画ユニット10は、本体光学系13と、本体光学系13を動作させる表示制御部18と、本体光学系13等を収納するハウジング14とを備える。これらのうち本体光学系13と表示スクリーン(コンバイナー)20とを組み合わせたものは、虚像表示光学系30を構成する。なお、図2等において座標軸XYZは、一般的な運転者UNの瞳HT間の位置に対応するアイボックスEBの中心を原点とするが、便宜上原点をシフトさせた状態で表示されている。
本体光学系(虚像投影光学系)13は、像形成素子(表示デバイス)11と、像形成素子11に形成された画像を拡大した中間像TIを形成可能な投影光学系15と、中間像TIの結像位置に近接して光路後段に配置される中間スクリーン16と、中間像TIを虚像に変換する虚像生成光学系17とを備える。詳細は後述するが、虚像投影光学系である本体光学系13によって、虚像投影距離が可変となっている。
像形成素子11は、2次元的な表示面11aを有する描画デバイス(表示部)である。像形成素子11の表示面11aに形成された像は、本体光学系13のうち投影光学系15で拡大されて中間像TIを形成し、中間スクリーン16を通過し、虚像生成光学系17等へ導かれる。この際、2次元表示が可能な像形成素子11を用いることで、中間像TI又は表示像(虚像)IMの切替えを比較的高速とできる。像形成素子11には、デジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)や反射型液晶デバイス(LCOS:Liquid crystal on silicon)を用いることができる。像形成素子11としてDMDやLCOSを用いると、明るさを維持しつつ画像を高速で切り替えること(高速の間欠表示を含む)が容易になり、虚像距離又は投影距離を変化させる表示に有利である。なお、像形成素子11は、虚像を複数距離に投影する場合の虚像1距離あたり例えば30fps以上、好ましくは60fps以上のフレームレートで動作する。これにより、異なる投影距離に複数の表示像(虚像)IMを運転者UNに対して同時に表示されているように見せることが容易になる。
投影光学系15は、固定焦点のレンズ系であり、図示を省略するが、複数のレンズを有する。投影光学系15のF値は、2.0以上となっている。投影光学系15は、像形成素子11の表示面11aに形成された画像を適当な倍率に拡大投影し、中間スクリーン16の入射面(拡散面16m)に近接した位置に中間像TI(又は入射面(拡散面16m)の位置に強制中間像TI')を形成する。ここで、強制中間像TI'は、中間像TIそのものの他、中間像TIから位置ずれして僅かにピントがボケたものも含む。なお、投影光学系15は、絞り15aを有する。投影光学系15の絞りはレンズ系のどこに配置されていてもよい。本実施形態において、投影光学系15から出射された光は、折り曲げミラー15bによって折り曲げられ、中間スクリーン16に入射する。
中間スクリーン16は、拡散角を所望の角度に制御した部材であり、結像位置(つまり中間像TIの結像予定位置(中間像形成位置)又はその近傍)において強制中間像TI'を形成する。この結果、後述するように中間スクリーン16を光軸AX(投影光学系15の光軸AX2を基準とする)方向に移動させることにより、強制中間像TI'の位置も光軸AX方向に移動させることができる。中間スクリーン16には、例えば拡散板、拡散スクリーン、マイクロレンズアレイ等を用いることができる。中間スクリーン16によって、アイボックスサイズを拡大することができる。中間像TIは、中間スクリーン16上の表示領域に結像される。中間スクリーン16の入射面(拡散面16m)は、拡散機能を有している。入射面(拡散面16m)に強制中間像TI'が形成され、ここから光が拡散するので、アイボックスを広く確保することができる。中間スクリーン16は、投影光学系15の焦点深度内で移動する。
中間スクリーン16は、配置変更装置62に駆動されて例えば一定速度又は周期的な運動で光軸AXに沿って移動する。つまり、中間スクリーン16の位置は可変となっている。本例の場合、中間スクリーン16の移動の基準軸となる光軸AXとは、投影光学系15の対称軸である光軸AX2に対応する軸である。配置変更装置62によって中間スクリーン16を光軸AXに沿って移動させることで、虚像生成光学系17によって表示スクリーン(コンバイナー)20の背後に形成される虚像としての表示像IMと観察者である運転者UNとの距離を長く、または短くすることができる。つまり、配置変更装置62は、本体光学系(虚像投影光学系)13の構成配置を変化させて投影距離を変化させる。このように、投影される表示像IMの位置を前後に変化させるとともに、表示内容をその位置に応じたものとすることで、表示像IMまでの虚像距離又は投影距離を変化させつつ表示像IMを変化させることになり、一連の投影像としての表示像IMを3次元的なものとすることができる。中間スクリーン16の光軸AXに沿った移動範囲は、中間像TIの結像予定位置又はその近傍に相当するものであるが、投影光学系15の中間スクリーン16側の焦点深度の範囲内とすることが望ましい。これにより、強制中間像TI'の状態と虚像としての表示像IMの結像状態とを、いずれも略ピントが合った良好な状態とすることができる。つまり、焦点深度内の移動であれば、中間スクリーン16の位置が高速で変化しても常に中間像TIは解像しているとみなすことができる。そのため、鮮明な3次元拡張現実ヘッドアップディスプレイ(3D AR HUD)とすることができる。中間スクリーン16の光軸AX方向の移動量は、例えば20mm以下となっている。これにより、中間スクリーン16の移動を効率良く行うことができ、中間スクリーン16の応答性を向上させることができる。中間スクリーン16の移動速度は、虚像としての表示像IMが複数個所又は複数虚像距離に同時に表示されているかのように見せることができる速度であることが望ましい。配置変更装置62は、例えば15Hz以上又は30Hz以上の速度で中間スクリーン16を移動させる。高速性を有する像形成素子11の表示と同期して高速で中間スクリーン16を駆動することにより、人間の目で判別が困難なほど高速に複数の距離に虚像を表示することができる。これにより、表示像(虚像)IMが複数の距離に同時に表示されているように見せることができる。
中間スクリーン16は、支持部材62aに支持されている。支持部材62aは、配置変更装置62の台座62bに光軸AX方向に沿った所定の範囲内で移動可能に取り付けられている。中間スクリーン16が移動範囲の最も上流側(つまり、投影光学系15に最も近い側)に配置されたタイミングでは、この時点で中間スクリーン16に表示されている画像が、ハーフミラーである表示スクリーン(コンバイナー)20の背後の最も遠くに虚像として表示される。また、中間スクリーン16が移動範囲の最も下流側(つまり、投影光学系15から最も遠い側)に配置されたタイミングでは、この時点で中間スクリーン16に表示されている画像が、ハーフミラーである表示スクリーン(コンバイナー)20の背後の最も近くに虚像として表示される。
虚像生成光学系17は、中間スクリーン16付近に形成された中間像TIを表示スクリーン20と協働して拡大する拡大光学系であり、運転者UNの前方に虚像としての表示像IMを形成する。虚像生成光学系17は、反射光学系を有し、少なくとも1枚のミラーで構成されるが、図示の例では2枚の第1及び第2ミラー17a,17bを含む。ここで、第1ミラー17aは、第1の反射体であって、光路前段にある像形成素子11側に配置されており、光学的なパワーを有する。また、第2ミラー17bは、光路後段にある表示スクリーン(コンバイナー)20側に配置されており、光学的なパワーを有する。第1及び第2ミラー17a,17bは、凸面、凹面、又は平面とでき、曲面の場合、球面に限らず、非球面、自由曲面等とすることができる。
図3及び図4(図中の実線部分)に示すように、虚像生成光学系17の光軸AX3は、中間スクリーン16に対して傾斜している。また、虚像生成光学系17の光軸AX3上の光に対応する光線において、像形成素子11の中心又は画像の光軸AX1から出射された光の中間スクリーン16への入射光の主光線である光線ILは、中間スクリーン16に対して傾斜して入射する。ここで、虚像生成光学系17の光軸AX3は、中間像TIの中心と、アイボックスEBの中心と、表示像(虚像)IMの中心とを通る軸である。図3に拡大して示すように、中間スクリーン16から虚像生成光学系17への例えば出射光の主光線である光線OLの出射角θ2が−Z側に傾いて0より大きくなっている。また、投影光学系15から中間スクリーン16への例えば入射光の主光線である光線ILの入射角θ1が+Z側に傾いて0より大きくなっている。投影光学系15の光軸AX2を画像の光軸AX1から画像の光軸AX1に垂直な方向にシフトした位置に配置すると、虚像生成光学系17の光軸AX3上の光に対応する光線において、画像中心から発せられた光の中間スクリーン16への入射光の主光線である光線ILは、中間スクリーン16に対して傾斜して入射することになる。投影光学系15の光軸AX2は、虚像生成光学系17の光軸AX3の傾斜方向に対応する方向にシフトする。ここで、画像の光軸AX1は、像形成素子11で形成される画像の中心を通る軸である。また、投影光学系15の光軸AX2は、投影光学系15の対称軸である。具体的には、投影光学系15の光軸AX2は、像形成素子11で形成される画像の光軸AX1(表示に使用している領域の中心)から画像の光軸AX1に垂直な方向(具体的には、例えば−Y方向)に距離d1だけ相対的にシフトした位置に配置される。ここで、投影光学系15のシフトの基準軸は、画像の光軸AX1及び投影光学系15をシフトさせる前の光軸AX2'である(図4参照)。本体光学系13を上記のような構成とすることにより、表示像IMの輝度の低下を抑えることができる。なお、投影光学系15が光軸AX1又は光軸AX2'からシフトすると、中間スクリーン16に形成される中間像TIは、投影光学系15をシフトさせない場合と比較して、虚像生成光学系17の光軸AX3の傾斜方向に対応する奥行き方向(本実施形態では、虚像側又は−Z方向)に距離d2だけずれる。これを相殺するため、像形成素子11、投影光学系15、及び折り曲げミラー15bを全体として虚像生成光学系17の光軸AX3の傾斜方向とは反対方向に対応する奥行き方向(本実施形態では、アイボックスEB側又は+Z方向)に投影光学系15の相対的なシフトによる中間像TIのずれ量である距離d2だけ移動させた位置に配置する(図4の矢印A参照)。これにより、投影光学系15の像形成素子11に対するシフトに起因する中間像TIのずれを補正することができる。
投影光学系15のシフト量は、以下の式によって求められる。
y=f×tanθ
ただし、
y:像形成素子11で形成される画像の光軸AX1に対する投影光学系15のシフト量
f:投影光学系15の焦点距離
θ:中間スクリーン16の前後における角度ずれ量
なお、角度ずれ量は、本体光学系13によって決定されるものであり、主光線を基準としている。具体的には、角度ずれ量は、|θ1−θ2|で求められる。
y=f×tanθ
ただし、
y:像形成素子11で形成される画像の光軸AX1に対する投影光学系15のシフト量
f:投影光学系15の焦点距離
θ:中間スクリーン16の前後における角度ずれ量
なお、角度ずれ量は、本体光学系13によって決定されるものであり、主光線を基準としている。具体的には、角度ずれ量は、|θ1−θ2|で求められる。
本実施形態において、中間スクリーン16の拡散特性は、縦方向及び横方向に対応する方向で拡散特性が略同じとなっている。つまり、中間スクリーン16は、等方拡散特性を有しており、アイボックスEB(図2参照)の横方向又はX方向に対応し拡散面16m上での第1方向であるX方向と、それに直交するアイボックスEBの縦方向又はY方向に対応し拡散面16m上での第2方向であるZ方向とで、拡散度が略同じとなっている。
本実施形態において、像形成素子11の中心から出射した光の中間スクリーン16への入射角θ1と、虚像生成光学系17の光軸AX3との角度ずれ(|θ1−θ2|)は、直交する縦方向及び横方向に対応する2方向に関してともに6度以下となっている。ここで、像形成素子11の中心から出射した光は、像形成素子11の光軸AX1を通過するものである。理想的な本体光学系13においては、中間スクリーン16前後の主光線の角度ずれが0であることが望ましい。しかし、部品の寸法誤差や組立て誤差等を考慮すると設計通りに角度ずれを0の状態に調整することが難しい。そのため、角度のずれにもある程度マージンが必要であり、上記の角度範囲であれば輝度の低下もそれほど大きくなく許容範囲となる。また、中間スクリーン16としては、コストの観点から本実施形態で例示した等方的な拡散特性を有する拡散スクリーンが用いられることが多い。一般的に、アイボックスEBは横長に設定されるため、中間スクリーン16の拡散度はアイボックスEBの横方向で必要な拡散角から決定される。そのため、拡散特性としてはブロードなものとなり、縦方向に対してもずれの許容量としては大きくなる。例えば横方向のアイボックスサイズが150mm程度の場合、中間スクリーン16の有するべき拡散特性としては拡散度30°以上が必要であり、この場合6度の角度ずれがあっても強度変化は10%未満に抑えることが可能である。ここで拡散度30°とは±15°における強度がピークの半値となるガウス分布を仮定している。なお、上記角度ずれは、縦方向及び横方向ともに4度以下とするとより好ましい。この場合の強度変化は5%以内とすることができる。
なお、比較例として、図5及び図4(図中の点線部分)に示すように、投影光学系15が、像形成素子11で形成される画像の光軸AX1から画像の光軸AX1に垂直な方向にシフトした位置に配置されていない場合、許容範囲を超えた角度ずれが生じ、位置によって表示像IMの輝度が低下する。
図2に戻って、ハウジング14は、表示光HKを通過させる開口14aを有し、この開口14aには、フィルム又は薄板状の光透過部材14bを配置することができる。
図6は、移動体用表示システム200を説明するブロック図であり、移動体用表示システム200は、その一部として表示装置100を含む。この表示装置100は、図2に示す構造を有するものであり、ここでは説明を省略する。図6に示す移動体用表示システム200は、移動体である自動車等に組み込まれるものである。
移動体用表示システム200は、表示装置100のほかに、運転者検出部71と、環境監視部72と、主制御装置90とを備える。
運転者検出部71は、運転者UNの存在や視点位置を検出する部分であり、運転席用カメラ71aと、運転席用画像処理部71bと、運転席画像判断部71cとを備える。運転席用カメラ71aは、車体2内のダッシュボード4の運転席正面に設置されており(図1B参照)、運転者UNの頭部及びその周辺の画像を撮影する。運転席用画像処理部71bは、運転席用カメラ71aで撮影した画像に対して明るさ補正等の各種画像処理を行って運転席画像判断部71cでの処理を容易にする。運転席画像判断部71cは、運転席用画像処理部71bを経た運転席画像からオブジェクトの抽出又は切り出しを行うことによって運転者UNの頭部や目を検出するとともに、運転席画像に付随する奥行情報から車体2内における運転者UNの頭部の存否とともに運転者UNの目の空間的な位置(結果的に視線の方向)を算出する。
環境監視部72は、前方に近接する自動車、自転車、歩行者等を識別する部分であり、外部用カメラ72aと、外部用画像処理部72bと、外部画像判断部72cとを備える。外部用カメラ72aは、車体2内外の適所に設置されており、運転者UN又はフロントガラス8の前方、側方等の外部画像を撮影する。外部用画像処理部72bは、外部用カメラ72aで撮影した画像に対して明るさ補正等の各種画像処理を行って外部画像判断部72cでの処理を容易にする。外部画像判断部72cは、外部用画像処理部72bを経た外部画像からオブジェクトの抽出又は切り出しを行うことによって自動車、自転車、歩行者等の対象物(例えば図7に示すオブジェクトOB参照)の存否を検出するとともに、外部画像に付随する奥行情報から車体2前方における対象物の空間的な位置を算出する。
なお、運転席用カメラ71aや外部用カメラ72aは、図示を省略しているが、例えば複眼型の3次元カメラである。つまり、両カメラ71a,72aは、結像用のレンズと、CMOSその他の撮像素子とを一組とするカメラ素子をマトリックス状に配列したものであり、撮像素子用の駆動回路をそれぞれ有する。各カメラ71a,72aを構成する複数のカメラ素子は、例えば奥行方向の異なる位置にピントを合わせるようになっており、或いは相対的な視差を検出できるようになっており、各カメラ素子から得た画像の状態(フォーカス状態、オブジェクトの位置等)を解析することで、画像内の各領域又はオブジェクトまでの距離を判定できる。
なお、上記のような複眼型のカメラ71a,72aに代えて、2次元カメラと赤外距離センサーとを組み合わせたものを用いても、撮影した画面内の各部(領域又はオブジェクト)に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。また、複眼型のカメラ71a,72aに代えて、2つの2次元カメラを分離配置したステレオカメラによって、撮影した画面内の各部(領域又はオブジェクト)に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。その他、単一の2次元カメラにおいて、焦点距離を高速で変化させながら撮像を行うことによっても、撮影した画面内の各部に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。
表示制御部18は、主制御装置90の制御下で虚像表示光学系30を動作させて、表示スクリーン20の背後に虚像距離又は投影距離が変化する3次元的な表示像IMを表示させる。表示制御部18は、主制御装置90を介して環境監視部72から受信した表示形状や表示距離を含む表示情報から、虚像表示光学系30に表示させる表示像IMを生成する。表示像IMは、例えば表示スクリーン20の背後に存在する自動車、自転車、歩行者その他の対象物に対してその奥行き位置方向に関して周辺に位置する表示枠(図7に示す表示枠HW参照)のような標識とすることができる。
表示制御部18は、主制御装置90を介して運転者検出部71から運転者UNの存在や目の位置に関する検出出力を受け取る。これにより、虚像表示光学系30による表示像IMの投影の自動的な開始や停止が可能になる。また、運転者UNの視線の方向のみに表示像IMの投影を行うこともできる。さらに、運転者UNの視線の方向の表示像IMのみを明るくする、点滅する等の強調を行った投影を行うこともできる。
主制御装置90は、表示装置100、環境監視部72等の動作を調和させる役割を有し、環境監視部72によって検出した対象物の空間的な位置に対応するように、虚像表示光学系30によって投影される表示枠の空間的な配置を調整する。
図7は、具体的な表示状態を説明する斜視図である。観察者である運転者UNの前方は観察視野に相当する検出領域VFとなっている。検出領域VF内、つまり道路及びその周辺に、歩行者等である人のオブジェクトOB1や、自動車等である移動体のオブジェクトOB2が存在すると考える。この場合、主制御装置90は、表示装置100によって3次元的な表示像(虚像)IMを投影させ、各オブジェクトOB1,OB2,OB3に対して関連情報像としての表示枠HW1,HW2,HW3を付加する。この際、運転者UNから各オブジェクトOB1,OB2,OB3までの距離が異なるので、表示枠HW1,HW2,HW3を表示させる表示像(投影像)IM1,IM2,IM3までの投影距離は、運転者UNから各オブジェクトOB1,OB2,OB3までの距離に相当するものとなっている。なお、表示像IM1,IM2,IM3の投影距離は、離散的であり、オブジェクトOB1,OB2,OB3までの現実の距離に対して正確に一致させることはできない。ただし、表示像IM1,IM2,IM3の投影距離と、オブジェクトOB1,OB2,OB3までの現実の距離との差が大きくなければ、運転者UNの視点が動いても視差が生じにくく、オブジェクトOB1,OB2,OB3と表示枠HW1,HW2,HW3との配置関係を略維持することができる。
以上において、中間スクリーン16に対する虚像生成光学系17の光軸AX3の傾きは、その視野角やアイボックスサイズ等の仕様、HUD装置を搭載する車に依存した配置的な制約等によって決定されるものであり、中間スクリーン16に対して垂直なものになるとは限らない。一方、投影光学系15はその光軸が像形成素子11で形成される画像の光軸AX1と合致するように配置されるのが一般的であるため、画像の中心から発せられた光は中間スクリーン16に垂直に入射することになる。この場合、中間スクリーン16前後において主光線の入射角θ1及び出射角θ2にずれが生じてしまう。中間スクリーン16には十分なアイボックスEBを確保するために拡散シート等が用いられるが、その拡散特性は光の入射する角度方向にピークを持つガウス分布であるため、中間スクリーン16前後で角度ずれがあると表示像(虚像)IMの輝度が低下するという問題がある。つまり、中間スクリーン16から発せられる拡散光のピークから外れたところが虚像生成光学系17の光軸AX3となり、表示像(虚像)IMの輝度が低下する。また、中間スクリーン16の拡散特性を、アイボックス確保のために必要な拡散角に光軸のずれ分を乗じたものとするため拡散度が大きくなることも輝度低下の要因となる。
以上で説明した虚像投影光学系及び表示装置では、投影光学系15を画像の光軸AX1からシフトさせて配置することによって、画像の中心から発せられた光を投影光学系15を介して中間スクリーン16に対して虚像生成光学系17の光軸AX3方向に対応して傾いた所定の角度をもって入射させることができ、中間スクリーン16前後での主光線の入射角θ1及び出射角θ2を略一致させることができる。これにより、虚像生成光学系17の光軸AX3を中間スクリーン16から発せられる拡散光のピーク強度方向に略一致させることができるため、アイボックスサイズを十分確保しつつ、表示像(虚像)IMの輝度を高めることができる。また、中間スクリーン16の拡散特性もアイボックス確保のために必要な拡散角とすることができる。
〔実施例〕
以下、本発明に係る虚像投影光学系及び表示装置の具体的な実施例を示す。
以下、本発明に係る虚像投影光学系及び表示装置の具体的な実施例を示す。
図3及び図4に示すように、投影光学系15は、像形成素子11に対してその画像の光軸AX1に垂直な方向(つまり、−Y方向)に2.21mmだけシフトして配置される。このままでは、中間像TIが虚像生成光学系17の光軸AX3の傾斜方向に対応する奥行方向(つまり、−Z方向)に15.62mmだけずれる。そのため、像形成素子11、投影光学系15、及び折り曲げミラー15bは、これらを一体的に虚像生成光学系17の光軸AX3の傾斜方向とは反対方向に対応する奥行方向(つまり、+Z方向)に15.62mmだけ移動させることで、中間像TIのずれを補正するように配置される。
図3において、符号HK1は表示像(虚像)IMの下端に対応する表示光を示し、符号HK2は表示像(虚像)IMの中心に対応する表示光を示し、符号HK3は表示像(虚像)IMの上端に対応する表示光を示す。投影光学系15から中間スクリーン16に入射する光の入射角θ1は、中間スクリーン16から出射する光の出射角θ2と略一致している。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る虚像投影光学系等について説明する。なお、第2実施形態の虚像投影光学系等は第1実施形態の虚像投影光学系等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
以下、第2実施形態に係る虚像投影光学系等について説明する。なお、第2実施形態の虚像投影光学系等は第1実施形態の虚像投影光学系等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
本実施形態において、中間スクリーン16の拡散特性は、縦方向及び横方向に対応する2方向で拡散特性が異なるものとなっている。つまり、中間スクリーン16は、楕円拡散特性を有しており、アイボックスEBの横方向又はX方向に対応し拡散面16m上での第1方向であるX方向と、それに直交するアイボックスEBの縦方向又はY方向に対応し拡散面16m上での第2方向であるZ方向とで、拡散度が異なるものとなっている。
本実施形態において、像形成素子11の中心から出射した光の中間スクリーン16への入射角θ1と、虚像生成光学系17の光軸AX3との角度ずれは、直交する縦方向及び横方向に対応する2方向のうち、横方向に対応する方向で6度以下であり、縦方向に対応する方向で3度以下となっている。理想的な本体光学系13においては、中間スクリーン16前後の主光線の角度ずれが0であることが望ましい。しかし、部品の寸法誤差や組立て誤差等を考慮すると設計通りに角度ずれを0の状態に調整することが難しい。そのため、角度のずれにもある程度マージンが必要であり、上記の角度範囲であれば輝度の低下もそれほど大きくなく許容範囲となる。また、一般的に、アイボックスEBは縦横比が2〜3:1で設定されるため、中間スクリーン16が有するべき拡散特性もそのような縦横比率とすることが望ましい。この場合、縦方向の拡散特性は横方向に比べて尖った分布となるため、角度ずれに対する感度が大きい。そのため、縦方向の角度ずれの許容量は横方向の許容量より小さく設定することが望ましい。例えばアイボックスの縦横比を1:2とした場合、縦横の拡散度はそれぞれ15°、30°以上が必要となる。この場合縦方向3度以下、横方向6度以下の角度ずれに抑えることにより強度変化は10%以内に抑えられる。なお、上記角度ずれは、横方向で4度以下、縦方向で2度以下とするとより好ましい。この場合の強度変化は縦横ともに5%以内に抑えることができる。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る虚像投影光学系等について説明する。なお、第3実施形態の虚像投影光学系等は第1実施形態の虚像投影光学系等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。本実施形態の場合、図1に示す往復型の中間スクリーン16等に代えて回転型の中間スクリーンを含む拡散部を配置する。
以下、第3実施形態に係る虚像投影光学系等について説明する。なお、第3実施形態の虚像投影光学系等は第1実施形態の虚像投影光学系等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。本実施形態の場合、図1に示す往復型の中間スクリーン16等に代えて回転型の中間スクリーンを含む拡散部を配置する。
図8A及び8Bに示すように、拡散部19は、全体として円板に近い輪郭を有する螺旋状の回転体19aと、回転体19aを収納する円筒状の中空枠体19bとを有する。拡散部19は、図1に示す投影光学系15による投影位置又は結像位置(つまり中間像の結像予定位置又はその近傍)に配置され、不図示の回転駆動部に駆動されて例えば一定速度で光軸AXに平行な基準軸SXの周りに回転する。
回転体19aは、中間スクリーン16であり、中央部19cと外周光学部19pとを有する。回転体19aの外周光学部19pに形成された一方の表面19fは、平滑面又は光学面に形成されており、表面19f上には、全域に亘って拡散面16mが形成されている。拡散面16mは、配光角を所望の角度に制御する部分である。拡散面16mは、回転体19aに貼り付けられるシートとできるが、回転体19aの表面に形成された微細な凹凸パターンであってもよい。さらに、拡散面16mは、回転体19aの内部に埋め込むように形成されたものであってもよい。拡散面16mは、入射した表示光HKを拡散させることによって中間像TI又は強制中間像TI'を形成する。回転体19aの外周光学部19pに形成された他方の表面19sは、平滑面又は光学面に形成されている。回転体19aは、光透過性を有する螺旋状の部材であり、一対の表面19f,19sは、基準軸SXを螺旋軸とする螺旋面となっている。結果的に、一方の表面19f上に形成された拡散面16mも連続的な螺旋面に沿って形成されたものとなっている。回転体19a又は中間スクリーン16は、基準軸SX又は光軸AX方向に関してほぼ等しい厚みtを有する。拡散面16mは、螺旋の一周期に対応する範囲に形成されている。つまり、拡散面16mは、螺旋の1ピッチ分の範囲に形成されている。この結果、拡散部19の周に沿った一箇所に段差部19jが形成されている。中間スクリーン16をこのような形状とすることで、中間スクリーン16に設けた拡散面16mの光軸AX方向の位置を連続的に変化させることが可能となり、虚像投影距離を変化させる投影が可能となる。
回転体19aにおいて、周方向に沿った一箇所は、本体光学系13の光軸AXが通る機能領域FAとなっており、機能領域FAにおける拡散面16mの部分によって中間像TI(より正確には強制中間像TI')が形成される。この機能領域FAは、回転体19aの回転に伴って回転体19a上において一定速度で移動する。つまり、回転体19aを回転させつつその一部である機能領域FAに表示光(映像光)HKを入射させることで、機能領域FA又は中間像TIの位置が光軸AXに沿って往復移動する(像形成素子11の表示が動作していなければ、必ずしも表示としての中間像は形成されないが、中間像が形成されるであろう位置も中間像の位置と呼ぶ)。図示の例では、拡散面16mが螺旋の一周期に対応する範囲に形成されているので、回転体19aの1回転で拡散面16mの機能領域FA又は中間像TIは、光軸AX方向に段差に相当する距離だけ1往復することになる。
なお、投影光学系15は、拡散部19に設けた中間スクリーン16又は拡散面16mの位置によってピントぼけが生じないように、機能領域FAの移動範囲以上の所定の焦点深度を有する。
中空枠体19bは、円柱状の外形輪郭を有し、側面部19eと一対の端面部19g,19hとで構成される。側面部19eと一対の端面部19g,19hとは、光透過性を有する同一の材料で形成されている。ただし、側面部19eは、光透過性を有していなくてもよい。一方の端面部19gは、平行平板であるが、自由曲面形状や非球面形状を有するものとできる。同様に、他方の端面部19hも、平行平板であるが、自由曲面形状や非球面形状を有するものとできる。中空枠体19b中の回転体19aは、一対の中心軸部65を介して中空枠体19bに固定されており、中空枠体19bと回転体19aとは基準軸SXの周りに一体的に回転する。このように、拡散面16mを設けた回転体19aを中空枠体19b中に配置することで、回転体19aに塵等が付着することを抑制でき、回転体19aの回転に伴う音の発生を抑制することができ、回転体19aの高速での回転を安定化させることが容易になる。なお、回転体19aは、その外周部分において中空枠体19bに固定してもよい。
不図示の回転駆動部によって拡散部19を一定速度で基準軸SXの周りに回転させることで、回転体19a又は中間スクリーン16の拡散面16mが光軸AXと交差する位置(つまり機能領域FA)も光軸AX方向に移動する。つまり、例えば図8Cに示すように、回転体19aの回転に伴って、中間スクリーン16上の機能領域FAは、例えば等角度でずれた位置に設定された隣接する機能領域FA'に順次シフトし、光軸AX方向に移動する。このような機能領域FAの光軸AX方向への移動により、中間像TIの位置も光軸AX方向に移動させることができる。拡散部19が基準軸SXの周りに回転して機能領域FAに対応する中間像TIの位置が光軸AX方向に繰り返し周期的に移動し、虚像生成光学系17によって表示スクリーン20の背後に形成される虚像としての表示像IMと観察者である運転者UNとの距離を長く、又は短くすることができる。
図2に示す投影光学系15からの表示光HKは、図8Aに示す中間スクリーン16の拡散面16mを通過して拡散度が調整され、虚像生成光学系17を経て表示スクリーン20で反射される。
以上では、具体的な実施形態としての虚像投影光学系及び表示装置について説明したが、本発明に係る虚像投影光学系等は、上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、表示装置100の配置を上下反転させて、フロントガラス8の上部又はサンバイザー位置に表示スクリーン20を配置することもできる。この場合、描画ユニット10の斜め下方前方に表示スクリーン20が配置される。上記実施形態では表示スクリーン20を平面としたが、曲面でも、曲面をさらに傾けたものでも、対称性をもたない自由曲面であってもよい。
上記実施形態において、表示スクリーン20の輪郭は、矩形に限らず、様々な形状とすることができる。
図2等に示す本体光学系13は、単なる例示であり、これら本体光学系13の光学的構成については適宜変更することができる。例えば、投影光学系15中に中間像TIの前段としての中間像を追加で形成することができる。虚像生成光学系17の光路中において、光学的なパワーを持たない1つ以上のミラーを配置してもよい。この場合、折り返しによる描画ユニット10等の小型化に有利になる場合もある。
上記実施形態において、表示像(虚像)IMの表示位置は、例示した3か所に限らず、適当数に設定することができる。また、表示像IMの表示は、位置を変化させて連続的又は断続的に設定することもできる。
また、上記実施形態において、描画デバイスである像形成素子11として、DMDやLCOS等を用いたが、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)や、他の種類の表示素子、例えば有機ELを用いてもよい。また、像形成素子11は、反射型の素子の代わりに、MEMSを利用した走査型の映像素子を用いてもよい。
また、上記実施形態において、虚像生成光学系17には、2枚のミラーを設けたが、1枚又は3枚以上のミラーを設けてもよい。また、ミラーを省略してもよい。また、ミラーの光学面は対称性がある自由曲面としているが、これに限るものではなく、対称性を持たない自由曲面でもよい。
また、上記実施形態において、コンバイナーを設けずに、フロントウインドウを形成するフロントガラス8の運転席正面に設けた矩形の反射領域の内側に表示スクリーン20を貼り付けてもよい。なお、表示スクリーン20は、フロントガラス8内に埋め込むこともできる。
また、上記実施形態において、投影光学系15は、固定焦点光学系としたが、焦点可変光学系であってもよい。焦点可変光学系の場合、中間スクリーン16の位置に合わせてピントの位置を変えることで、より輝度を大きくすることができる。
上記実施形態では、中間スクリーン16を光軸AXに沿って移動させることで投影される表示像IMの位置を変化させたが、複数の厚みが異なる階段状の部分領域を有する中間スクリーンを回転又はスライドさせる等、他の手法を用いて表示像IMの位置を変化させてもよい。
以上で説明した表示装置100は、自動車やその他移動体に搭載される投影装置に限らず、デジタルサイネージ等に組み込むことができるが、これら以外の用途に適用することもできる。
Claims (9)
- 表示デバイスによって形成された画像を表示スクリーン越しに虚像投影して表示させる虚像投影光学系であって、
中間像の形成位置に配置される中間スクリーンと、
前記中間スクリーンより前記表示デバイス側に配置される投影光学系と、
前記中間スクリーンより前記表示スクリーン側に配置される虚像生成光学系と、
前記中間スクリーンを光軸方向に移動させる配置変更装置と、
を備え、
前記虚像生成光学系の光軸は、前記中間スクリーンに対して傾斜し、
前記投影光学系の光軸は、前記画像の光軸から前記画像の前記光軸に垂直な方向にシフトした位置に配置される、虚像投影光学系。 - 前記投影光学系の光軸は、前記虚像生成光学系の光軸の傾斜方向に対応する方向にシフトする、請求項1に記載の虚像投影光学系。
- 前記虚像生成光学系の光軸上の光に対応する光線において、前記表示デバイスの中心から出射した光の前記中間スクリーンへの入射光の主光線は、前記中間スクリーンに対して傾斜して入射する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の虚像投影光学系。
- 前記表示デバイス及び前記投影光学系を前記投影光学系の相対的なシフトによる前記中間像のずれ量だけ前記虚像生成光学系の光軸の傾斜方向とは反対方向に移動させた位置に配置する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の虚像投影光学系。
- 前記表示デバイスの中心から出射した光の前記中間スクリーンへの入射角と、前記虚像生成光学系の光軸との角度ずれは、直交する縦方向及び横方向に対応する2方向に関してともに6度以下である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の虚像投影光学系。
- 前記表示デバイスの中心から出射した光の前記中間スクリーンへの入射角と、前記虚像生成光学系の光軸との角度ずれは、直交する縦方向及び横方向に対応する2方向のうち、前記横方向に対応する方向で6度以下であり、前記縦方向に対応する方向で3度以下である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の虚像投影光学系。
- 前記表示デバイスは、15Hz以上の速さで画像表示切替えを行い、
前記表示デバイスの表示と同期して、前記配置変更装置によって前記中間スクリーンを駆動する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の虚像投影光学系。 - 前記中間スクリーンは、前記配置変更装置によって、前記投影光学系の中間像形成位置における焦点深度内で駆動する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の虚像投影光学系。
- 請求項1から8までのいずれか一項に記載の虚像投影光学系と、
前記虚像投影光学系によって形成される虚像を投影する表示スクリーンと、
を備える、表示装置。
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