JPWO2019208386A1 - 硬化性樹脂組成物、並びに、ブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、架橋点間距離拡大のための高分子量化は、溶液粘度を高めて流動性を低下させるため、硬化性樹脂組成物の十分な塗工性等の加工性を確保することが困難であった。
さらに、両末端を架橋性シリル基に変換する工程が重合後に必要であること、また当該変換反応のために金属触媒等を用いる必要があり、工程が煩雑で、金属触媒の除去も必要であることから、経済的にも高コストになる欠点があった。
〔1〕硬化性樹脂組成物であって、
重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)/重合体ブロック(A)からなる構造単位を有するブロック共重合体を含み、
前記重合体ブロック(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が10℃以下の重合体であって、架橋性官能基を1ブロック当り平均0.7個以上含有し、
前記重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が0℃以下の重合体(ただし、重合体ブロック(A)とは異なる。)であり、
前記重合体ブロック(A)及び(B)の合計量100質量部に対して前記重合体ブロック(A)の含有割合が33質量部以下である、硬化性樹脂組成物。
〔2〕前記ブロック共重合体の数平均分子量が、20,000〜500,000である、〔1〕に記載の硬化性樹脂組成物。
〔3〕前記重合体ブロック(B)の数平均分子量が、19,000〜400,000である、〔1〕又は〔2〕に記載の硬化性樹脂組成物。
〔4〕前記重合体ブロック(A)の数平均分子量が、400〜100,000である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
〔5〕前記ブロック共重合体の分散度(Mw/Mn)は、1.05〜4.00である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
〔6〕前記重合体ブロック(A)及び(B)の合計量100質量部に対して前記重合体ブロック(A)の含有割合が4質量部以上20質量部以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
〔7〕前記架橋性官能基が加水分解性シリル基を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
〔8〕前記ブロック共重合体が、A−(BA)n構造(ただし、nは1以上の整数を表す。)を有する、〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
〔9〕シーリング材、接着剤、粘着剤又は塗料のいずれかの用途に適用される、〔1〕〜〔8〕のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
〔10〕ブロック共重合体であって、
重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)/重合体ブロック(A)からなる構造単位を有するブロック共重合体を含み、
前記重合体ブロック(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が10℃以下の重合体であって、架橋性官能基を1ブロック当り平均0.7個以上含有し、
前記重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が0℃以下の重合体(ただし、重合体ブロック(A)とは異なる。)であり、
前記重合体ブロック(A)及び(B)の合計量100質量部に対して前記重合体ブロック(A)の含有割合が33質量部以下である、ブロック共重合体。
〔11〕ブロック共重合体の製造方法であって、
リビングラジカル重合法により、以下のブロック共重合体;
重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)/重合体ブロック(A)からなる構造単位を有するブロック共重合体を含み、
前記重合体ブロック(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が10℃以下の重合体であって、架橋性官能基を1ブロック当り平均0.7個以上含有し、
前記重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が0℃以下の重合体(ただし、重合体ブロック(A)とは異なる。)であり、
前記重合体ブロック(A)及び(B)の合計量100質量部に対して前記重合体ブロック(A)の含有割合が33質量部以下である、ブロック共重合体、を製造する工程、
を備える、製造方法。
〔12〕前記リビングラジカル重合法が、ジチオエステル基又はトリチオエステル基を含むRAFT剤を用いた可逆的付加−開裂連鎖移動重合法である、〔11〕に記載のブロック共重合体の製造方法。
〔13〕前記リビングラジカル重合法が、ニトロキシラジカル法である、〔11〕に記載のブロック共重合体の製造方法。
また、本ブロック共重合体が、上記重合体ブロック(A)、及び/又は、重合体ブロック(B)を2以上有する場合、各ブロックの構造は同一であっても異なっていてもよい。
1-1.重合体ブロック(A)
本ブロック共重合体の重合体ブロック(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主たる構成単位とするブロックとすることができる。
上記重合体ブロック(A)の構造は同一であっても異なっていてもよい。
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル等の(メタ)アクリル酸のシクロアルキル化合物などが挙げられる。
CH2=CR1−C(=O)O(R2O)n−R3 (1)
(式中、R1は水素又はメチル基を表し、R2は炭素数2〜6の直鎖状又は分岐状アルキレン基を表し、R3は水素、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す。nは1〜100の整数を表す。)
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル化合物としては、Tgが低く、流動性に優れるブロック共重合体を得やすいことから、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸の脂肪族環式エステル化合物;
スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエル及び(メタ)アクリル酸ナフチル等のメタ)アクリル酸の芳香族ビニル化合物;
酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、マレイン酸モノエステル化合物等が挙げられる。
架橋性官能基の導入方法には特段の制限はないが、例えば、架橋性官能基を有するビニル系単量体を共重合することにより導入することができる。この場合、重合体ブロック(A)は、架橋性官能基を有するビニル系単量体に由来する構成単位(以下、単に、「架橋性構成単位」ともいう。)を有する。架橋性官能基を有するビニル系単量体は、加水分解性シリル基含有ビニル化合物、不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、ヒドロキシ基含有ビニル化合物、エポキシ基含有ビニル化合物、1級又は2級アミノ基含有ビニル化合物、オキサゾリン基含有ビニル化合物及びイソシアネート基含有ビニル化合物等が挙げられる。前記した架橋性官能基を有するビニル系単量体は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、加水分解性シリル基は全体として一個の反応点と捉えられるため、本発明では、加水分解性シリル基全体を一つの架橋性官能基とする。すなわち、メトキシシリル基を分子内に3個有するビニルトリメトキシシラン、同じく2個有するビニルメチルジメトキシシランともに、共重合することにより架橋性官能基を1個導入するものとする。
1)重合体ブロック(A)の構成単量体である不飽和カルボン酸のカルボキシル基と加水分解性シリル基含有エポキシ化合物との付加反応が挙げられる。本不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸及びイタコン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、2)重合体ブロック(A)の構成単量体であるエポキシ基含有ビニル化合物のエポキシ基と加水分解性シリル基含有アミン化合物との付加反応等も挙げられる。本エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。
重合体ブロック(A)のガラス転移温度(Tg)は、10℃以下であり、重合体ブロック(A)のTgは、硬化性樹脂組成物の流動性に寄与することができる。したがって、ガラス転移温度が10℃以下であると、均一な硬化膜が得られ易いというメリットがある。また例えば0℃以下であり、また例えば−10℃以下であり、また例えば−20℃以下であり、また例えば−30℃以下である。また例えば−40℃以下である。また、Tgは、使用可能な構成単量体単位の制限から、−80℃以上であることが好ましい。
重合体ブロック(A)の数平均分子量は、特に限定するものではないが、400〜100,000が好ましい。本ブロック共重合体にあっては、重合体ブロック(A)の数平均分子量が400以上であれば、硬化物において十分な強度や耐久性を発揮することができる。また、100,000以下であれば、良好な流動性及び塗工性を確保することができる。硬化物の強度及び流動性等の観点から、重合体ブロック(A)の数平均分子量は、より好ましくは2,000以上80,000以下の範囲であり、さらに好ましくは4,000以上50,000以下の範囲であり、なお好ましくは5,000以上30,000以下の範囲であり、一層好ましくは6,000以上20,000以下の範囲であり、より一層好ましくは7,000以上18,000以下の範囲であり、最も好ましくは7,000以上15,000以下である。
重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(A)と同様の態様で(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主たる構成単位とすることができる。すなわち、重合体ブロック(A)に適用可能な(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を有することができる(ただし、重合体ブロック(A)とは異なる。)。
重合体ブロック(B)のガラス転移温度(Tg)は、0℃以下であり、重合体ブロック(B)のTgは、硬化性樹脂組成物の流動性に寄与することができる。したがって、ガラス転移温度が0℃以下であると、均一な硬化膜が得られ易いというメリットがある。また例えば、−10℃以下であり、また例えば−20℃以下であり、また例えば−30℃以下である。また例えば−40℃以下である。Tgは、使用可能な構成単量体単位の制限から、−80℃以上であることが好ましい。
重合体ブロック(B)の数平均分子量(Mn)は、特に限定するものではないが、19,000〜400,000が好ましい。本ブロック共重合体にあっては、重合体ブロック(B)の数平均分子量が19,000以上であれば、硬化物において十分な強度や耐久性を発揮することができる。また、400,000以下であれば、良好な流動性及び塗工性を確保することができる。本ブロック共重合体は、均一な架橋構造を形成できるため、架橋点間距離に対応する本ブロック共重合体の分子量を抑制することができる。硬化物の強度及び流動性等の観点から、重合体ブロック(B)は、より好ましくは23,000以上350,000以下の範囲であり、さらに好ましくは25,000以上200,000以下の範囲であり、なお好ましくは30,000以上150,000以下の範囲であり、一層好ましくは30,000以上100,000以下の範囲である。
本ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)を各々1つ以上有し、重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)/重合体ブロック(A)からなる構造単位(ABA)を有する。かかる構造単位を有することで、少なくとも重合体ブロック(A)を架橋点として均一な架橋構造を架橋点間の分子量を抑制しつつ得ることができる。本ブロック共重合体は、A−(BA)n構造(ただし、nは1以上の整数を表す。)を有することが好ましい。かかる構造であると、硬化物の強度の観点から好適である。
本ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体を得る限りにおいて特段の制限を受けるものではなく、公知の製造方法を採用することができる。例えば、リビングラジカル重合及びリビングアニオン重合等の各種制御重合法を利用する方法や、官能基を有する重合体同士をカップリングする方法等を挙げることができる。これらの中でも、操作が簡便であり、広い範囲の単量体に対して適用することができ、高温時の耐久性に影響を及ぼす可能性のある金属成分の含有量を低減できて耐熱性に優れる硬化物を得られる観点から、リビングラジカル重合法が好ましい。
リビングラジカル重合法の種類についても特段の制限はなく、可逆的付加−開裂連鎖移動重合法(RAFT法)、ニトロキシラジカル法(NMP法)、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、有機テルル化合物を用いる重合法(TERP法)、有機アンチモン化合物を用いる重合法(SBRP法)、有機ビスマス化合物を用いる重合法(BIRP法)及びヨウ素移動重合法等の各種重合方法を採用することができる。
これらの中でも、重合の制御性と実施の簡便さの観点から、RAFT法、NMP法及びヨウ素移動重合法が好ましい。
さらに、NMP法は、ブロック効率が比較的高く、分子量分布も狭くできる点、RAFT法で問題となりうる着色や臭気がない点、ATRP法で問題となりうる金属等の不純物が少ない点等の観点から、他のリビング重合法に比べてより高い性能を持つブロック共重合体を製造することができるため、好ましい。
RAFT法では、特定の重合制御剤(RAFT剤)及び一般的なフリーラジカル重合開始剤の存在下、可逆的な連鎖移動反応を介して制御された重合が進行する。RAFT剤としては、ジチオエステル化合物、ザンテート化合物、トリチオカーボネート化合物及びジチオカーバメート化合物等、公知の各種RAFT剤を使用することができ、ジチオエステル基又はトリチオエステル基を含むRAFT剤を使用することが好ましい。RAFT剤は活性点を1箇所のみ有する一官能のものを用いてもよいし、二官能以上のものを用いてもよい。上記A−(BA)n型構造のブロック共重合体を効率的に得やすい点では、二官能型のRAFT剤を用いることが好ましい。
また、RAFT剤の使用量は、用いる単量体及びRAFT剤の種類等により適宜調整される。
NMP法では、ニトロキシドを有する特定のアルコキシアミン化合物等をリビングラジカル重合開始剤として用い、これに由来するニトロキシドラジカルを介して重合が進行する。本開示では、用いるニトロキシドラジカルの種類に特に制限はなく、商業的に入手可能のニトロキシド系重合開始剤を用いることができる。また、アクリレートを含む単量体を重合する際の重合制御性の観点から、ニトロキシド化合物として一般式(2)で表される化合物を用いることが好ましい。
滑に進めることができる。
リビングラジカル重合法により、重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)−重合体ブロック(A)からなる、ABAトリブロック共重合体等のA−(BA)n型構造体を得る場合、例えば、各ブロックを順次重合することにより目的とするブロック共重合体を得てもよい。この場合、まず、第一重合工程として、重合体ブロック(A)の構成単量体を用いて重合体ブロック(A)を得る。次いで、第二重合工程として、重合体ブロック(B)の構成単量体を用いて重合体ブロック(B)を得る。さらに、第三重合工程として、重合体ブロック(A)の構成単量体を用いて重合することによりABAトリブロック共重合体を得ることができる。この場合、重合開始剤は、上記した一官能性の重合開始剤又は重合前駆体を用いることが好ましい。上記の第二重合工程及び第三重合工程を繰り返すことにより、テトラブロック共重合体等のより高次のブロック共重合体を得ることができる。
本ブロック共重合体は、単独でもシーリング材、接着剤、粘着剤、塗料、成形材料、ゴムシート等として適用することが可能であるが、必要に応じて公知の添加剤等を配合した硬化性樹脂組成物の態様としてもよい。本ブロック共重合体が有する架橋性官能基の種類に応じて、必要な架橋剤及び架橋促進剤等を配合することができる。さらに必要に応じて、加熱処理等を施すことにより、用途に応じた硬化物を得ることができる。
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、さらには、これらのイソシアネート化合物の変性物(変性イソシアネート)を用いることができる。
脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(H6XDI)、水添化MDI(H12MDI)等が挙げられる。
また、変性イソシアネートとしては、上記イソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体、イソシアヌレート変性体、オキサゾリドン変性体、イソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。
製造例、比較製造例、実施例及び比較例で得られた重合体の分析方法について以下に記載する。
得られた重合体について、以下に記載の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、ポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
○測定条件
カラム:東ソー製TSKgel SuperMultiporeHZ−M×4本
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
検出器:RI
流速:600μL/min
得られた重合体の組成比は1H−NMR測定より同定・算出した。
得られた重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計を用いて得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点での接線の交点から決定した。熱流束曲線は試料約10mgを−50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで300℃まで昇温し、引き続き−50℃まで冷却し、5分間保持した後、10℃/minで350℃まで昇温する条件で得た。
測定機器:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220
測定雰囲気:窒素雰囲気下
尚、製造例及び比較製造例において得られたブロック共重合体の示差走査熱量測定を行うことにより、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)に対応する変曲点が得られ、これらから各重合体ブロックのTgを求めることができる。
下記表1(クリア配合及びフィラー配合)に示す配合割合に従って各成分を配合して、常法に従い硬化性樹脂組成物を調製した。
・UP−1110:アクリル系可塑剤、ARUFON(登録商標)UP−1110(東亞合成社製)
・軽質炭酸カルシウム:白艶華CCR(白石カルシウム社製)
・重質炭酸カルシウム:スーパーSS(丸尾カルシウム社製)
・R820:酸化チタンR−820(石原産業社製)
・B75:老化防止剤、チヌビンB75(チバスペシャリティー社製)
・SH6020:アミノシラン、SH6020(東レ・ダウコーニング社製)
・SZ6300:ビニルシラン、SZ6300(東レ・ダウコーニング社製)
・U−220H:スズ触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)、ネオスタンU−220H(日東化成社製)
各硬化性樹脂組成物を室温(25℃)で塗工して、厚さ2mmのシートを作製し、23℃、50%RHで6日間、次いで50℃、飽和水蒸気雰囲気で1日の養生を行った。1号ダンベルで試験片を打ち抜き、引張り試験機(東洋精機製、テンシロン200)により破断伸び[EL(%)]及び破断強度[Ts(MPa)]を測定した。測定は、温度23℃、湿度50%の環境において引張速度5cm/分で行った。
また、抗張積を次のように求めた。
抗張積=破断伸び[EL(%)]×破断強度[Ts(MPa)]/2
(1,4−ビス(n−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニルメチル)ベンゼンの合成)
ナス型フラスコに1−ドデカンチオール(42.2g)、20%KOH水溶液(63.8g)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(1.5g)を加えて氷浴で冷却し、二硫化炭素(15.9g)、テトラヒドロフラン(以下、「THF」ともいう)(38ml)を加え20分攪拌した。α、α’−ジクロロ−p−キシレン(16.6g)のTHF溶液(170ml)を30分かけて滴下した。室温で1時間反応させた後、クロロホルムから抽出し、純水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ロータリーエバポレータで濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した後、酢酸エチルから再結晶することにより、以下の式(4)で表される1,4−ビス(n−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニルメチル)ベンゼン(以下、「DLBTTC」ともいう)を収率80%で得た。1H−NMR測定より7.2ppm、4.6ppm、3.4ppmに目的物のピークを確認した。
(合成例1:重合体Aの製造)
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに合成例1で得られたRAFT剤(DLBTTC)(9.9g)、2,2´−アゾビス2−メチルブチロニトリル(以下、「ABN−E」ともいう)(0.246g)、アクリル酸n−ブチル(400g)及びアセトニトリル(100g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、60℃の恒温槽で重合を開始した。4時間後、室温まで冷却し反応を停止した。上記重合溶液を、メタノール/水=70/30重量比の混合溶媒から再沈殿精製、真空乾燥することで重合体Aを得た。得られた重合体Aの分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)より、Mn25,300、Mw30,400、Mw/Mn1.20であった。
仕込み原料を表2に記載の通り用いるとともに、反応時間を適宜調整した以外は合成例1と同様の操作を行い、重合体B〜Hを得た。各重合体の分子量を測定し、表2に記載した。
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに2−メチル−2−[N−tert−ブチル−N−(1−ジエチルホスフォノ−2,2−ジメチルプロピル)−N−オキシル]プロピオン酸(10.2g)、ヘキサンジオールジアクリレート(3.0g)及びイソプロピルアルコール(20g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、90℃の恒温槽で反応を開始した。1時間後、室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去した。残渣にN−tert−ブチル−1−ジエチルホスフォノ−2,2−ジメチルプロピル ニトロキシド(0.03g)、アクリル酸n−ブチル(200g)、アクリル酸2-エチルヘキシル(200g)及びアセトニトリル(100g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、112℃の恒温槽で重合を開始した。4時間後、室温まで冷却し反応を停止した。上記重合溶液を、ヘキサンから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体Iを得た。得られた重合体Iの分子量を測定し、表3に記載した。
仕込み原料を表3に記載の通り用いるとともに、反応時間を適宜調整した以外は合成例9と同様の操作を行い、重合体J〜Pを得た。各重合体の分子量を測定し、表3に記載した。
・HA:アクリル酸2−エチルヘキシル
・C−1:アクリル酸2−メトキシエチル
・nBA:アクリル酸n−ブチル
・HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
・SG1−MAA:2−メチル−2−[N−tert−ブチル−N−(1−ジエチルホスフォノ−2,2−ジメチルプロピル)−N−オキシル]プロピオン酸(Arkema社製ニトロキシド化合物)
・SG1:N−tert−ブチル−1−ジエチルホスフォノ−2,2−ジメチルプロピル ニトロキシド(Arkema社製ニトロキシドラジカル)
・ABN−E:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
(製造例1:ブロック共重合体1の製造)
攪拌機、温度計を装着した0.5Lフラスコに製造例1で得られた重合体A(100.0g)、ABN−E(0.065g)、アクリル酸n−ブチル(37.5g)、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート(2.5g)及びオルト酢酸メチル(50g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。4時間後、室温まで冷却し反応を停止した。上記重合溶液を、ヘキサンから再沈殿精製、真空乾燥することでブロック共重合体1を得た。得られたブロック共重合体1の分子量を測定した結果、Mn35,000、Mw45,200、Mw/Mnは1.29であった。
フラスコに仕込む原料の種類及び仕込み量を表4に記載の通り変更するとともに、反応時間や沈殿溶媒を適宜調整した以外は製造例1と同様の操作を行い、ブロック共重合体2〜22を得た。各ブロック共重合体の分子量、重合体ブロック(A)/(B)/(A)の組成比、及びトリエトキシシリルプロピルメタクリレートの導入量とMnから算出された、ブロック(A)に含まれる1ブロック当りの架橋性官能基数を表6に記載した。
オートクレーブに仕込む原料の種類及び仕込み量を表5に記載の通りにするとともに、反応温度を112℃、反応時間を3時間にし、沈殿溶媒を適宜調整した以外は製造例1と同様の操作を行い、ブロック共重合体23を得た。ブロック共重合体の分子量、並びに、重合体ブロック(A)/(B)/(A)の組成比、及びトリエトキシシリルプロピルメタクリレートの導入量とMnから算出された、ブロック(A)に含まれる1ブロック当りの架橋性官能基数を表7に記載した。
フラスコに仕込む原料の種類及び仕込み量を表5に記載の通り変更するとともに、反応時間や沈殿溶媒を適宜調整した以外は製造例23と同様の操作を行い、ブロック共重合体24〜42を得た。各ブロック共重合体の分子量、重合体ブロック(A)/(B)/(A)の組成比、及びアルコキシシリル基含有(メタ)アクリレートの導入量とMnから算出された、ブロック(A)に含まれる1ブロック当りの架橋性官能基数を表7に記載した。
(比較製造例2)
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに合成例1で得られたRAFT剤(DLBTTC)(5.5g)、ABN−E(0.137g)、アクリル酸n−ブチル(400g)、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート(5.5g)及びオルト酢酸メチル(100g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。4時間後、室温まで冷却し反応を停止した。上記重合溶液を、ヘキサンから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体43を得た。得られた重合体43の分子量を測定した結果、Mn44,700、Mw53,600、Mw/Mn1.20であった。トリエトキシシリルプロピルメタクリレートの導入量とMnから算出された、重合体に含まれる架橋性官能基数とともに、表8に記載した。
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに合成例1で得られたRAFT剤(DLBTTC)(5.3g)、ABN−E(0.132g)、アクリル酸n−ブチル(400g)、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(4.5g)及びオルト酢酸メチル(100g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、70℃の恒温槽で重合を開始した。4時間後、室温まで冷却し反応を停止した。上記重合溶液を、ヘキサンから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体44を得た。得られた重合体44の分子量を測定した結果、Mn45,300、Mw56,600、Mw/Mn1.25であった。トリメトキシシリルプロピルメタクリレートの導入量とMnから算出された、重合体に含まれる架橋性官能基数とともに、表8に記載した。
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに臭化銅(I)(1.00g)、ペンタメチルジエチレントリアミン(1.21g)、アクリル酸n−ブチル(403g)およびアニソール(247g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気した。エチレンビス(2−ブロモイソブチラート)(1.37g)を添加した後、80℃の恒温槽で重合を開始した。重合開始から6時間後、80℃で減圧下、加熱攪拌することにより揮発分を除去した。これにアセトニトリル(200g)、1,7−オクタジエン(15.4g)、ペンタメチルジエチレントリアミン(1.21g)を添加して8時間撹拌を続けた。混合物を80℃で減圧下、加熱攪拌して揮発分を除去して、重合体を含む濃縮物(1)を得た。
前記濃縮物(1)にトルエンを加え、前記重合体を溶解させた後、ろ過助剤として珪藻土、吸着剤として珪酸アルミ、ハイドロタルサイトを加え、酸素窒素混合ガス雰囲気下(酸素濃度6%)、内温100℃で加熱攪拌した。混合液中の固形分をろ過で除去し、ろ液を内温100℃で減圧下、加熱攪拌して揮発分を除去して、重合体を含む濃縮物(2)を得た。
続けて、トルエンを加えた後、混合液中の固形分をろ過で除去し、ろ液を内温60℃で減圧下、加熱攪拌して揮発分を除去し、アルケニル基を有する重合体を得た。
アルケニル基が消失したことを1H−NMR分析により確認し、前記の反応混合物を内温60℃で減圧下、濃縮して、末端にジメトキシシリル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)である重合体45を得た。得られた重合体45の分子量を測定した結果、Mn41,000、Mw53,300、Mw/Mn1.30であった。また、重合体45の1分子当たりに導入された架橋性官能基の平均個数を1H−NMR分析により求めたところ、2.00個と算出された。
(実施例1)
ベース樹脂として製造例1で得られたブロック共重合体1を使用して、前掲の配合表(表1)に従って硬化性樹脂組成物(クリア配合及びフィラー配合)を調製し、シート(硬化物)を作製した。また、シートの力学的物性を測定した。結果を表9に示す。
製造例2〜41及び比較製造例1〜4で得られた共重合体を使用して、実施例1と同様に硬化性樹脂組成物を調製し、シート(硬化物)を作製した。また、シートの力学的物性を測定した。結果を表9〜表11に示す。
実施例1〜45の硬化性樹脂組成物は、いずれも良好な流動性を有しており、シート作製時の塗工性は良好であった。これらの中でも、ブロック共重合体のMnが500,000以下である硬化性樹脂組成物(実施例8以外)の流動性及び塗工性は、特に優れるものであった。
表9〜表11に示すように、実施例1〜45のブロック共重合体を用いたシートでは、クリア配合であってもフィラー配合であっても、良好な力学的物性(破断伸び及び破断強度)を示した。
これに対して、比較例1のブロック共重合体を用いたシートでは、クリア配合及びフィラー配合でも不十分な物性しか得られなかった。また、比較例2及び3のランダム共重合体、並びに、比較例4のテレケリックポリマーにおいても、同様に不十分な物性しか得られなかった。
Claims (13)
- 硬化性樹脂組成物であって、
重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)/重合体ブロック(A)からなる構造単位を有するブロック共重合体を含み、
前記重合体ブロック(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が10℃以下の重合体であって、架橋性官能基を1ブロック当り平均0.7個以上含有し、
前記重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が0℃以下の重合体(ただし、重合体ブロック(A)とは異なる。)であり、
前記重合体ブロック(A)及び(B)の合計量100質量部に対して前記重合体ブロック(A)の含有割合が33質量部以下である、硬化性樹脂組成物。 - 前記ブロック共重合体の数平均分子量が、20,000〜500,000である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記重合体ブロック(B)の数平均分子量が、19,000〜400,000である、請求項1又は請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記重合体ブロック(A)の数平均分子量が、400〜100,000である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ブロック共重合体の分散度(Mw/Mn)は、1.05〜4.00である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記重合体ブロック(A)及び(B)の合計量100質量部に対して前記重合体ブロック(A)の含有割合が4質量部以上20質量部以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記架橋性官能基が加水分解性シリル基を含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ブロック共重合体が、A−(BA)n構造(ただし、nは1以上の整数を表す。)を有する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- シーリング材、接着剤、粘着剤又は塗料のいずれかの用途に適用される、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- ブロック共重合体であって、
重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)/重合体ブロック(A)からなる構造単位を有するブロック共重合体を含み、
前記重合体ブロック(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が10℃以下の重合体であって、架橋性官能基を1ブロック当り平均0.7個以上含有し、
前記重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が0℃以下の重合体(ただし、重合体ブロック(A)とは異なる。)であり、
前記重合体ブロック(A)及び(B)の合計量100質量部に対して前記重合体ブロック(A)の含有割合が33質量部以下である、ブロック共重合体。 - ブロック共重合体の製造方法であって、
リビングラジカル重合法により、以下のブロック共重合体;
重合体ブロック(A)/重合体ブロック(B)/重合体ブロック(A)からなる構造単位を有するブロック共重合体を含み、
前記重合体ブロック(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が10℃以下の重合体であって、架橋性官能基を1ブロック当り平均0.7個以上含有し、
前記重合体ブロック(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を主な構成単量体とする、ガラス転移温度が0℃以下の重合体(ただし、重合体ブロック(A)とは異なる。)であり、
前記重合体ブロック(A)及び(B)の合計量100質量部に対して前記重合体ブロック(A)含有割合が33質量部以下である、ブロック共重合体、を製造する工程、
を備える、製造方法。 - 前記リビングラジカル重合法が、ジチオエステル基又はトリチオエステル基を含むRAFT剤を用いた可逆的付加−開裂連鎖移動重合法である、請求項11に記載のブロック共重合体の製造方法。
- 前記リビングラジカル重合法が、ニトロキシラジカル法である、請求項11に記載のブロック共重合体の製造方法。
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