JPWO2019207921A1 - 組織特異的な細胞傷害の検査方法 - Google Patents

組織特異的な細胞傷害の検査方法 Download PDF

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Abstract

被験者の血液中のcfDNAの150塩基以下であって、標的組織又は細胞のDNAに特徴的又は特異的な非メチル化シトシンが3個以上存在する標的部分を、2段階以上のARMS−PCR法で増幅することにより、標的組織特異的な細胞傷害を検出することができる。ARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、cfDNAの非メチル化シトシンをシトシン以外の塩基に変換する工程を含むことができ、次いで、cfDNAの標的部分を含む領域を、メチル化の有無にかかわらずPCRにより増幅する工程を含むことができる。ARMS−PCR法で標的部分が増幅されたことを確認することにより、標的組織又は細胞が傷害を受けていると判定することができ、増幅産物中の標的領域を有するDNAの量を定量することにより、標的組織又は細胞の傷害の程度を判定することができる。

Description

本発明は、血中の標的組織由来のDNAを特異的に検出して、その組織の細胞の傷害の程度や進行状況を評価する検査方法に関するものである。
各種細胞の傷害の程度や経時変化をより簡便にかつ低侵襲的に測定する方法として、血中遊離DNA(Cell−free DNA(cfDNA))を検出する方法が知られている。cfDNAは、細胞の壊死、アポトーシスなどの傷害により血中に漏出する。例えば、癌組織から血中に出た循環癌細胞から遊離される循環腫瘍DNAを検出することで癌の診断を行う方法や、移植後の組織由来のcfDNAを検出することで移植組織の傷害を検出する方法が提案されている。
DNAは、シトシンのピリミジン環の5位炭素又はアデニンのプリン環の6位窒素が一部メチル化されており、DNAメチル化は細胞分裂を経ても受け継がれる。生体の体細胞では、DNAのメチル化は、通常CpG(シトシン−ホスホジエステル結合−グアニン)のCの位置で生じる。DNAメチル化パターンは細胞特異的であるため、特定のメチル化パターンを有する標的細胞特異的なcfDNAを検出すれば、標的組織の傷害を発見することができる。また、疾患に特徴的な細胞傷害を検出することで、その疾患か否かを診断することができる。
従来の分析方法では、メチル化されたDNAの存在確認を行うことが中心であった(特許文献1〜3)。そして、DNAのメチル化された部位やメチル化のパターンを解析することにより、癌の診断や治療マーカーとして使用できると報告されている(特許文献4〜5)。
しかし、これらの方法は、所望の位置のメチル化と非メチル化のデータの識別が困難であり、その識別操作に時間がかかり、使用する機器が高額であるため、汎用し難い。
次世代シーケンサを用いれば、cfDNAに含まれる多数の遺伝子又は領域のメチル化パターンを網羅的に特定することはできる。しかし、次世代シーケンサは、リード数は大きいが必要な鋳型核酸量が多いため、患者の採血負担が大きい。また、膨大なデータを扱うものであるため、解析に時間がかかる。さらに、年々低価格化しているがなお高価である。従って、少量の検体を用いて、短時間に、かつ安価に、血中の標的組織由来のcfDNAを検出し、定量できる方法が求められている。
糖尿病患者の数は近年、非常に増加しており、2016年に国内では1,000万人を超えたと報告されている。糖尿病は、膵臓のβ細胞から分泌されるインスリン作用が相対的に減少する病気である。糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病に大別され、1型糖尿病は膵β細胞が自らを免疫系が攻撃する自己免疫機序により死滅するため、インスリンが産生されなくなる疾患である。2型糖尿病は、インスリンの効果が減弱したり、分泌のタイミングが遅れ、患者に膵β細胞傷害が進行する疾患である。2型糖尿病は、肥満、運動不足、ストレスなど環境因子の増悪を契機に発症し、疾患感受性遺伝子変異の集積した人に起こりやすい。肥満に伴い脂肪細胞が肥大化し、炎症を惹起し、壊死などの細胞障害をきたすことが知られている。これらの脂肪細胞の傷害がインスリン作用を傷害し、糖尿病の大きな原因であるインスリン作用障害をきたす。
さらに糖尿病では、血中のインスリン量の減少や、インスリン作用の減弱のため、血糖値が上昇し、その結果、血管障害を来し、糖尿病で特有な細小血管合併症である糖尿病網膜症、糖尿病神経障害、糖尿病腎症をきたし、大血管合併症では脳梗塞、末梢動脈疾患、虚血性心疾患などの動脈硬化症をはじめ多様な合併症が進行する。
特に、1型糖尿病は、主に自己免疫応答によって、膵β細胞特異的に細胞死が誘導され、70〜80%以上の膵β細胞が傷害を受けた結果、口渇、多尿などの症状、および高血糖を呈して診断される。そこで、1型糖尿病の早期診断、早期治療を行い、β細胞機能を少しでも保護することが求められている。その早期発見のために、膵島関連自己抗体であるGAD抗体やIA−2抗体等の検出が行われている。しかし、これらの抗体はその抗体価による重症度分類はできず、膵β細胞傷害の程度を反映するものでないことが難点であった。このため、膵β細胞の死滅の状況を的確に定量的に検出する方法の開発が切に望まれている。
また、1型糖尿病の根治医療として膵臓移植あるいは膵島移植が行われているが、移植された膵臓や膵島は拒絶反応を起こしやすく、また自己免疫応答の再燃が生じる危険もある。膵臓移植では血清アミラーゼの上昇や血糖値の上昇など間接的指標によりグラフト傷害を診断していることから、免疫抑制療法の調節が最適化できていないため、グラフト喪失に至る場合がある。また膵島移植では拒絶反応の指標が全くない。このことからも、直接的な膵β細胞傷害の臨床的指標が望まれている。
1型糖尿病の早期からの免疫寛容療法の導入とその効果検証、及び重症患者への膵臓又は膵島移植後の拒絶反応など臓器障害の検出や的確な治療介入のためには、より直接的に膵β細胞の死滅の状況を検出する必要がある。そこで、本発明者は、血液中を循環するゲノムDNAの中に含まれる膵β細胞由来のcfDNAの検出を検討してきた。β細胞が死滅すれば、β細胞由来のDNAが体内に放出され、血液に流入して、血液中を循環することになるからである。
現在、膵β細胞由来のcfDNAを効率的に検出するために、DNAのメチル化の有無に着目した研究が進められている(非特許文献1、2)。膵β細胞がインスリンを選択的に分泌していることから、インスリンの産生に係るDNA領域は、他の体細胞と異なりCpGが非メチル化状態であることが報告されている。特に、図1に示されるように、インスリン遺伝子のエクソン2領域のメチル化の割合は、膵β細胞特異的にきわめて低いと報告されている(非特許文献3)。
上記インスリンのプロモーター領域のメチル化の有無を指標にして、膵β細胞のcfDNAの確認が種々検討されている。DNAのメチル化の識別には、色々な解析手法が使用されるが、例えばDNAのバイスルファイト処理を行い、第1のNested PCRを行い、次にDNA塩基配列特異的なPCRを行って、増幅したDNAを電気泳動し検出することなどが行われている(特許文献6)。使用されるPCRの方法にも工夫がなされ、特定のプローブを用いるDroplet Digital法(非特許文献4、5)が報告されている。更に、次世代シークエンサーによるMiSeq法(非特許文献6)なども行われている。
しかし、非特許文献1〜2、4〜5の方法はCpG配列のメチル化状態を検討する部位が少ないため特異性が低く、メチル化又は非メチル化の擬陽性を排除することが困難であり、臨床検査方法として実用し難い。また、非特許文献6の方法の検査費用は高額であり、臨床検査で汎用することは困難である。それ故、臨床検査に使用するために、より簡便で安価かつ特異性の高い方法が強く求められている。
また、糖尿病の重篤な合併症を引き起こす血管障害の早期検出方法として、血管内皮機能検査や頸動脈エコー検査などの間接的な方法が行われているが、血管内皮障害を直接的に検出するバイオマーカーを用いた方法は存在しない。従って、血管内皮障害を直接的に検出できる方法が求められている。また、脂肪細胞の肥大化によるインスリン作用減弱の主因である炎症を反映する脂肪細胞傷害を直接的に検出する方法も求められている。
特開2010−158240号公報 特開2010−68775号公報 特開2006−42641号公報 特開2005−536229号公報 特開2009−232761号公報 再表2011−132798号公報
Herold KC.et al.,J.Clin.Invest.,2015,125(3):1163-1173 John A.Olsen et al.,PLOS ONE,2016,Apr 25:11(4)e0152662 Proc Natl Acad Sci U S A. 2017 Dec 19;114(51):13525-13530. Husseiny MI et.al.,PLOS ONE,2014 Apr 10:9(4)e94591 Sahar U-B. et al., Endocrinology 2014,155(9):3694-3698 Marisa M.F. et al.,2015 Diabetes Jul;db150430 Lehmann-wherman et al.,E1826-E1834, PNAS,March 14,2016
本発明の課題は、標的細胞由来のcfDNAを検出する、簡便で安価かつ特異性の高い臨床検査方法を提供することである。
そこで、本発明者は、PCRの手法を用い、標的細胞由来のcfDNAを高精度で検出する方法を検討した。その結果、cfDNAの150塩基以下であって非メチル化シトシンが3個以上存在する標的部分を2段階以上のARMS(Amplification refractory mutation system)-PCR法で増幅すれば、cfDNAの標的部分を、非メチル化シトシンに代えてメチル化シトシンを有する同じ塩基配列のDNAや、他の塩基配列を有するDNAと区別して特異的に増幅させ得ることを見出した。cfDNAの標的部分として、特定の組織又は細胞で他の体細胞に比べて、非メチル化率が高い部分を選択することにより、特定の組織又は細胞由来のcfDNAを検出し、定量することができる。
また、本発明者は、膵β細胞由来のcfDNAを特異的に検出するためには、インスリン遺伝子のエクソン2領域の+301〜+429、特に+307〜+425を含む150塩基以下の非メチル化DNA部分をARMS−PCR法で増幅して確認することがより適切であることを見出した。膵β細胞由来のcfDNAはこの領域に5つの非メチル化シトシンを有し、このメチル化パターンは膵β細胞に特徴的なものである。従来の1〜2か所のCpG配列を認識するPCR法による識別法では擬陽性を生じる可能性が高かったが、この方法によれば、陽性検体を識別する精度が向上する。
ARMS法のプライマーとして、更に種々検討の結果、多くのプライマーの組合せの中から、第1段階のプライマーとして表1のプライマーセットを用い、第2段階のプライマーとして表2のプライマーセットを用いることが、上記標的部分が5個の非メチル化シトシンを有するcfDNAを、非メチル化シトシンの1又は複数がメチル化シトシンに置き換わった同じ塩基配列のcfDNAや、他の塩基配列のcfDNAと区別して、精度よく検出及び定量するために好適であることを見出した。
Figure 2019207921
Figure 2019207921
本発明者は、表1と表2のプライマーセットを用いた2段階ARMS−PCR法を使用して、1型糖尿病患者と健常人の血中のcfDNAの検査を実施したところ、図10に示されるように、1型糖尿病患者では特別に高い陽性反応を示すが大多数では陰性であり、健常人では弱陽性を示す場合も認めた。
また、本発明者は、血管内皮細胞由来のcfDNAを特異的に検出するためには、1回膜貫通型レセプターであるRoundabout4の遺伝子(ROBO4遺伝子)の上流の−227〜−29、中でも−224〜−80を含む150塩基以下の部分を2段階以上のARMS−PCR法で増幅して確認することがより適切であることを見出した。血管内皮細胞由来のcfDNAはこの領域の−185、−144、−118、−103の位置に4つの非メチル化シトシンを有し、このメチル化パターンは血管内皮細胞に特徴的なものである。
ARMS法のプライマーとして、更に種々検討の結果、多くのプライマーの組合せの中から、第1段階のプライマーとして表3のプライマーセットを用い、第2段階のプライマーとして表4のプライマーセットを用いることが、上記標的部分が4個の非メチル化シトシンを有するcfDNAを、非メチル化シトシンの1又は複数がメチル化シトシンに置き換わった同じ塩基配列のcfDNAや、他の塩基配列のcfDNAと区別して、精度よく検出及び定量するために好適であることを見出した。
Figure 2019207921
Figure 2019207921
本発明者は、表3と表4のプライマーセットを用いた2段階ARMS−PCR法を使用して、1型糖尿病患者の血中のcfDNAの検査を実施したところ、図14に示されるように、上記標的部分の増幅産物量は平均頸動脈内膜中膜複合体肥厚度(平均IMT)と正の相間関係があり、このARMS-PCRにより血管内皮細胞の傷害が引き起こす動脈硬化を早期発見できることが分かった。
また、本発明者は、脂肪細胞由来のcfDNAを特異的に検出するためには、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPARγ)遺伝子の+20〜+152、中でも+21〜+144を含む150塩基以下の部分を2段階以上のARMS-PCR法で増幅して確認することがより適切であることを見出した。脂肪細胞由来のcfDNAはこの領域の+50、+100、+123の位置に3つの非メチル化シトシンを有し、このメチル化パターンは脂肪細胞に特徴的なものである。PPARγの発現は、脂肪細胞への分化前は低く、成熟脂肪細胞及び褐色脂肪細胞では高い。
ARMS法のプライマーとして、更に種々検討の結果、多くのプライマーの組合せの中から、第1段階のプライマーとして表5のプライマーセットを用い、第2段階のプライマーとして表6のプライマーセットを用いることが、上記標的部分が3個の非メチル化シトシンを有するcfDNAを、非メチル化シトシンの1又は複数がメチル化シトシンに置き換わった同じ塩基配列のcfDNAや、他の塩基配列のcfDNAと区別して、精度よく検出及び定量するために好適であることを見出した。なお、ARMS-PCRの増幅対象領域には非メチル化シトシンが3つしか存在しないため、表5の第1段階の好適なフォワードプライマーは、後掲の表9の前処理PCRの好適なフォワードプライマーと同じであり、ARMSプライマーの特徴を備えない。
Figure 2019207921
Figure 2019207921
本発明者らは、表5と表6のプライマーセットを用いた2段階ARMS−PCR法を使用して、1型糖尿病患者の血中のcfDNAの検査を実施したところ、図18に示されるように、上記標的部分の増幅産物量は動脈硬化の指標であるLDL−コレステロール/HDL−コレステロール比と正の相間関係があり、このARMS-PCRにより動脈硬化を早期発見できる可能性が示唆された。
本発明者らは、上記の知見に基づいて、本発明を完成した。本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕 被験者の血液中のcfDNAの、150塩基以下であって、標的組織又は細胞のDNAに特徴的又は特異的な非メチル化シトシンが3個以上存在する標的部分を、2段階以上のARMS−PCR法で増幅する工程を含む、標的組織特異的な細胞傷害検査方法。
〔2〕 ARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、cfDNAの非メチル化シトシンをシトシン以外の塩基に変換する工程を含む、〔1〕に記載の方法。
〔3〕 ARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、cfDNAの標的部分を含む領域をPCRにより増幅する工程を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕 ARMS−PCR法で標的部分が増幅されたことを確認することにより、標的組織又は細胞が傷害を受けていると判定する工程を含む、〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の方法。
〔5〕 ARMS−PCR法の増幅産物中の標的部分を有するDNAを定量することにより、標的組織又は細胞の傷害の程度を判定する工程を含む、〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の方法。
〔6〕 標的組織又は細胞が膵β細胞であり、インスリン遺伝子のエクソン2の+307〜+425を含む領域であって、+331位、+367位、+374位、+401位、+404位に非メチル化シトシンを含む領域を、ARMS-PCR法で増幅する、〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の方法。
〔7〕 下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーを用いて2段階のARMS−PCR法を行う、〔6〕に記載の方法。
第1段階のフォワードプライマー:5’−ttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号13)、又は配列番号13において、配列番号13において、3’末端から3塩基目がtに代えてc又はaである塩基配列
第1段階のリバースプライマー :5’−tacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号14)、又は配列番号14において、3’末端から3塩基目がgに代えてa又はtである塩基配列
第2段階のフォワードプライマー:5’−aagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号15)、又は配列番号15において、3’末端から3塩基目がcに代えてa又はtである塩基配列
第2段階のリバースプライマー :5’−aatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号16)
〔8〕 第1段階、及び2段階のARMS−PCR法のプライマーが、下記塩基配列からなるものである、〔7〕に記載の方法。
第1段階のフォワードプライマー:5’−tagtttttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号1)
第1段階のリバースプライマー :5’−cctacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号2)
第2段階のフォワードプライマー:5’−tttggtggaagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号3)
第2段階のリバースプライマー :5’−aatcttaaatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号4)
〔9〕 2段階のARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、インスリン遺伝子のエクソン2の+301〜+429を含む領域をPCR法で増幅する、〔6〕〜〔8〕の何れかに記載の方法。
〔10〕 標的組織又は細胞が血管内皮細胞であり、ROBO4遺伝子の上流の−224〜−80を含む領域であって、−185位、−144位、−118位、−103位に非メチル化シトシンを含む領域をARMS-PCR法で増幅する、〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の方法。
〔11〕 下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーを用いて2段階のARMS−PCR法を行う、〔10〕に記載の方法。
第1段階のフォワードプライマー:5’−agaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号17)、又は配列番号17において、3’末端から3塩基目がgに代えてc又はaである塩基配列
第1段階のリバースプライマー :5’−accatttaactataaccccaa−3’(配列番号18)、又は配列番号18において、3’末端から2塩基目がaに代えてtである塩基配列
第2段階のフォワードプライマー:5’−atattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号19)、又は配列番号19において、3’末端から3塩基目がgに代えてcである塩基配列
第2段階のリバースプライマー :5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号20)、又は配列番号20において、3’末端から2塩基目がgに代えてaである塩基配列
〔12〕 第1段階、及び2段階のARMS−PCR法のプライマーが下記塩基配列からなるものである、〔11〕に記載の方法。
第1段階のフォワードプライマー:5’−agatttaaatagaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号5)
第1段階のリバースプライマー :5’−tcaaccatttaactataaccccaa−3’(配列番号6)
第2段階のフォワードプライマー:5’−gttagtgtaaggatattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号7)
第2段階のリバースプライマー :5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号8)
〔13〕 2段階のARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、ROBO4遺伝子の上流の−227〜−29を含む領域をPCR法で増幅する、〔10〕〜〔12〕の何れかに記載の方法。
〔14〕 標的組織又は細胞が脂肪細胞であり、PPARγ遺伝子の+21〜+144を含む領域であって、+50位、+110位、+123位に非メチル化シトシンを含む領域をARMS-PCR法で増幅する、〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の方法。
〔15〕 下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーを用いて2段階のARMS−PCR法を行う、〔14〕に記載の方法。
第1段階のフォワードプライマー:5’−ttttttattgatttag−3’(配列番号21)
第1段階のリバースプライマー :5’−ccttacataaatacccccaga−3’(配列番号22)
第2段階のフォワードプライマー:5’−tttttattgatttagaaaatg−3’(配列番号23)
第2段階のリバースプライマー :5’−cccccacatccccaataagca−3’(配列番号24)、又は配列番号24において、3’末端から2塩基目がgに代えてtである塩基配列
〔16〕 第1段階、及び2段階のARMS−PCR法のプライマーが下記塩基配列からなるものである、〔15〕に記載の方法。
第1段階のフォワードプライマー:5’−tttgggagatttttttattgatttag−3’(配列番号9)
第1段階のリバースプライマー :5’−acccttacataaatacccccaga−3’(配列番号10)
第2段階のフォワードプライマー:5’−ttgggagatttttttattgatttagaaaatg−3(配列番号11)
第2段階のリバースプライマー :5’−acccccacatccccaataagca−3’(配列番号12)
〔17〕 2段階のARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、PPARγ遺伝子の+20〜+152を含む領域をPCR法で増幅する、〔14〕〜〔16〕の何れかに記載の方法。
〔18〕 2段階以上のARMS−PCR法が2段階のARMS−PCR法である、〔1〕〜〔17〕の何れかに記載の方法。
〔19〕 最後のARMS法のサイクル数は、標的領域を含むDNA(非メチル化シトシンを有する陽性サンプル)のCq値と、対応するメチル化シトシンを有する陰性サンプルの増幅が始まるサイクル数との間とする、〔1〕〜〔18〕の何れかに記載の方法。
〔20〕 2段階以上のARMS−PCR法が2段階のARMS−PCR法であり、第1段階のARMS−PCR法のサイクル数を12〜18(中でも14〜16、特に15)とし、第2段階のARMS−PCR法のサイクル数を30〜50(中でも35〜40)とする、〔19〕に記載の方法。
〔21〕 2段階のARMS−PCR法に用いられるプライマーのセットであり、各プライマーが下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーである、プライマーセット。
第1段階のフォワードプライマー:5’−ttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号13)、又は配列番号13において、配列番号13において、3’末端から3塩基目がtに代えてc又はaである塩基配列
第1段階のリバースプライマー :5’−tacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号14)、又は配列番号14において、3’末端から3塩基目がgに代えてa又はtである塩基配列
第2段階のフォワードプライマー:5’−aagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号15)、又は配列番号15において、3’末端から3塩基目がcに代えてa又はtである塩基配列
第2段階のリバースプライマー :5’−aatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号16)
〔22〕 2段階のARMS−PCR法に用いられる下記塩基配列からなるプライマーのセット。
第1段階のフォワードプライマー:5’−tagtttttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号1)
第1段階のリバースプライマー :5’−cctacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号2)
第2段階のフォワードプライマー:5’−tttggtggaagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号3)
第2段階のリバースプライマー :5’−aatcttaaatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号4)
〔23〕 2段階のARMS−PCR法に用いられるプライマーのセットであり、各プライマーが下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーである、プライマーセット。
第1段階のフォワードプライマー:5’−agaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号17)、又は配列番号17において、3’末端から3塩基目がgに代えてc又はaである塩基配列
第1段階のリバースプライマー :5’−accatttaactataaccccaa−3’(配列番号18)、又は配列番号18において、3’末端から2塩基目がaに代えてtである塩基配列
第2段階のフォワードプライマー:5’−atattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号19)、又は配列番号19において、3’末端から3塩基目がgに代えてcである塩基配列
第2段階のリバースプライマー :5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号20)、又は配列番号20において、3’末端から2塩基目がgに代えてaである塩基配列
〔24〕 2段階のARMS−PCR法に用いられる下記塩基配列からなるプライマーのセット。
第1段階のフォワードプライマー:5’−agatttaaatagaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号5)
第1段階のリバースプライマー :5’−tcaaccatttaactataaccccaa−3’(配列番号6)
第2段階のフォワードプライマー:5’−gttagtgtaaggatattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号7)
第2段階のリバースプライマー :5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号8)
〔25〕 2段階のARMS−PCR法に用いられるプライマーのセットであり、各プライマーが下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーである、プライマーセット。
第1段階のフォワードプライマー:5’−ttttttattgatttag−3’(配列番号21)
第1段階のリバースプライマー :5’−ccttacataaatacccccaga−3’(配列番号22)
第2段階のフォワードプライマー:5’−tttttattgatttagaaaatg−3’(配列番号23)
第2段階のリバースプライマー :5’−cccccacatccccaataagca−3’(配列番号24)、又は配列番号24において、3’末端から2塩基目がgに代えてtである塩基配列
〔26〕 2段階のARMS−PCR法に用いられる下記塩基配列からなるプライマーのセット。
第1段階のフォワードプライマー:5’−tttgggagatttttttattgatttag−3’(配列番号9)
第1段階のリバースプライマー :5’−acccttacataaatacccccaga−3’(配列番号10)
第2段階のフォワードプライマー:5’−ttgggagatttttttattgatttagaaaatg−3(配列番号11)
第2段階のリバースプライマー :5’−acccccacatccccaataagca−3’(配列番号12)
本発明方法によれば、cfDNAの150塩基以下であって非メチル化シトシンが3個以上存在する標的部分を2段階以上のARMS−PCR法で増幅することにより、この標的部分を、非メチル化シトシンの1又は複数がメチル化シトシンに置き換わった同じ塩基配列のcfDNAや、他の塩基配列を有するcfDNAと区別して特異的に増幅させることができる。この方法は、メチル化パターンの擬陽性が少ない。
cfDNAの標的部分として、特定の細胞で他の体細胞に比べて、非メチル化率が特徴的に高い部分を選択することにより、特定の細胞由来のcfDNAを特異的に検出し、定量することができる。特定の細胞由来のcfDNA検出できることは、その細胞又はその細胞が存在する組織が損傷を受けて細胞に由来するDNAがcfDNAとして血液中に流出していることを表している。従って、本発明の検出方法によれば、標的細胞の損傷の様子をモニターすることができる。それにより、その組織細胞が傷害を受けている疾患を早期診断し、進行度や重症度を把握することができる。また、移植した臓器又は組織由来のcfDNAを検出すれば、移植片の傷害の有無や程度を把握することができる。
cfDNAの特定領域のメチル化パターンの同定は、次世代シークエンサによっても行えるが、次世代シーケンサは多数の領域を網羅的に増幅するため、必要な鋳型核酸量が多いことから採血負担が大きく、解析に時間がかかり、臨床検査に汎用するには高価である。これに対して、本発明方法では、cfDNA中の標的部分だけを増幅するため、増幅力が高く、例えば、血清0.1mLから精製したcfDNAでも適切な時間内に増幅させることができる。また、1回のPCRは通常1.0〜1.5時間という短時間で行え、複数のPCRを並行できるため、検査効率が良い。さらに、PCRをマイクロアレイ化すれば、非常に多数の検体を同時に検査することができるようになる。また、PCRは既存の機器を用いて安価に行える。
また、本発明方法は、低侵襲的な方法である。
cfDNAの、インスリン遺伝子のエクソン2領域の+301〜+429、中でも+307〜+425を含む150塩基以下の領域に5つの非メチル化シトシンを有する部分を増幅する場合は、膵β細胞インスリン遺伝子に由来するcfDNAを特異的に検出し、定量することができる。従って、膵β細胞の損傷の様子をモニターすることができる。また、膵β細胞の大半が破壊されて高血糖を示す前段階から1型糖尿病を早期発見することができる。
cfDNAの、ROBO4遺伝子の上流の−227〜−29、中でも−224〜−80を含む150塩基以下の領域に4つの非メチル化シトシンを有する部分を増幅する場合は、血管内皮細胞由来のcfDNAを特異的に検出及び定量することができる。これにより、血管内皮細胞傷害が引き起こす様々な合併症を直接的に検出し、モニターし、その重症度を把握することができる。従来は、血管内皮機能検査や頸動脈エコーにより臨床症状を検査することで、血管内皮傷害を間接的に検出していたため、手間がかかり、検査間、施設間のバラツキが生じていたが、本発明方法は簡便で、かつ検査間、施設間のバラツキが少ない。
cfDNAの、PPARγ遺伝子の+20〜+152、中でも+21〜+144を含む150塩基以下の領域に3つの非メチル化シトシンを有する部分を増幅する場合は、脂肪細胞由来のcfDNAを特異的に検出及び定量することができる。
インスリン遺伝子のエクソン2領域のCpG配列は、他の体細胞(血液、乳腺、結腸、腎臓、肝臓、肺、脾臓、胃)と比べて、膵β細胞でCpGのメチル化の割合が低いことを表した図である。PLoS ONE 9(4)e94591(2014)の図3を改変して使用した。 インスリン遺伝子のエクソン2領域を遺伝子増幅するためのPCR用プライマーの位置を表した図である。 インスリン遺伝子のエクソン2領域を増幅するARMS法で使用するプライマーにおいて、ミスマッチ部分の適切な種類を選択するために作製された各3種のプライマーを表した図である。 上記図3で作製されたプライマーの効率を検証した図である。最初のARMS-PCRでは、F2とR2の組合せ、F3とR1の組合せ、R3とR2の組合せが良好であることが示された。 図4と同様に、図3で作製されたプライマーの効率を検証した図である。第2のARMS-PCRでは、F1とR1の組合せが良好であることが示された。 1型糖尿病患者(T1D)と健常人(Normal)の各cfDNA、ECプラスミド、ETプラスミドを用いて、プライマーとして、F3とR1、F3とR2、F2とR2の組合せで遺伝子増幅した場合の増幅効率を検証した図である。F3R1の組み合わせがT1Dの検出能が最も高いことが示された。 図6のETプラスミドに代えて、血液genomeDNAを用いて、プライマーの増幅効率を検証した図である。ネガティブコントロールである血液genomeDNAよりもF3R1を用いたPCRではCq値が低くより陽性であるデータを示した。 最初のPCRのプライマーとして、F2R2、F3R2、F3R1の3種の組合せの中で、F3R1の組合せが、血中膵β細胞のcfDNAを的確に遺伝子増幅できることを検証した図である。 最初のPCRのプライマーとして、F2R1とF3R1の組合せを用いた場合の遺伝子増幅効率を比較した図である。F3R1の組み合わせの方がF2R1の組み合わせよりも陽性サンプルであるT1DとNormalのPCRのCq値の差がより大きく検出できていることが示された。 本発明のプライマーのセットとして、最初にF3R1、次にF1R1を使用することにより、1型糖尿病患者のcfDNAと健常人のcfDNAから膵β細胞に由来するインスリン遺伝子を検出でき、患者と健常人の区別ができることを検証した図である。健常人のサンプルでは21検体中1検体で強陽性であったが、小児1型糖尿病患者のサンプルでは10検体中9検体で強陽性であった。また、成人1型糖尿病患者のサンプルでは50検体中4検体で強陽性であった。 ROBO4遺伝子上流領域を遺伝子増幅するためのPCR用プライマーの位置を表した図である。 ROBO4遺伝子上流の標的領域をARMS法で増幅した場合、非メチル化シトシンを含むプラスミドとメチル化シトシンを含むプラスミドの増幅効率が大きく異なることを示す図である。 別のプライマーセットを用いても、図12と同様の結果が得られることを示す図である。 ROBO4遺伝子上流の標的領域をARMS法で増幅した場合の増幅DNA量と、平均IMTとが相関していることを示す図である。 PPARγ遺伝子を遺伝子増幅するためのPCR用プライマーの位置を表した図である。 PPARγ遺伝子の標的領域をARMS法で増幅した場合、非メチル化シトシンを含むプラスミドとメチル化シトシンを含むプラスミドの増幅効率が大きく異なることを示す図である。 別のプライマーセットを用いても、図16と同様の結果が得られることを示す図である。 PPARγ遺伝子の標的領域をARMS法で増幅した場合の増幅DNA量と、LDL−コレステロール/HDL−コレステロール比とが相関していることを示す図である。
本発明の組織特異的な細胞傷害検査方法は、被験者の血液中のcfDNAの150塩基以下であって非メチル化シトシンが3個以上存在する標的部分を2段階以上のARMS−PCR法で増幅する工程を含む方法である。
血液は、全血、血漿、血清の何れでも良い。検査精度が良い点で血漿、血清が好ましい。血清は、一般に臨床検査対象試料となっており、採血量を増やさずに本発明の検査方法を行える点で、より好ましい。血液からのcfDNAの調製又は精製は、市販キットを用いて行える。
血液は、哺乳動物のものが好ましく、中でもヒトの血液が好ましい。
cfDNA中の標的部分としては、傷害検出対象組織又は細胞で特徴的又は特異的にCpGのCが非メチルしている部分を選択すればよい。即ち、標的組織又は細胞のDNAに特徴的又は特異的な非メチル化シトシンが3個以上存在する150塩基以下の部分を選択すればよい。後述するように、標的部分に存在する非メチル化シトシンの中には、ARMS法でメチル化シトシンと区別しないものも存在し得るが、その非メチル化シトシンは、標的組織又は細胞以外の組織又は細胞のDNAにも存在していてよい。
DNAのメチル化情報は、次世代シーケンシングやパイロシーケンシングにより蓄積された情報や、文献記載の情報などを利用すればよく、また、実験により個々に見出してもよい。例えば、標的組織又は細胞でタンパクが高発現している遺伝子を検索し、その中から、その遺伝子やその上流領域のメチル化パターンが組織又は細胞により大きく異なるものを選択し、その中から、非メチル化シトシンを150塩基内に3個以上含む領域であってその非メチル化が標的組織又は細胞に特徴的である領域を選択することができる。非メチル化シトシンを150塩基内に3個以上含む領域を使用することにより、2段階以上のARMS−PCRで非メチル化シトシンを含むDNAを選択的に増幅させることができる。
ARMS-PCRは、2段階以上行えばよく、原則、回数が多いほど非メチル化シトシンを含むDNAの選択精度が高くなるが、回数が多過ぎると標的細胞に特異的な非メチル化シトシンでない非メチル化シトシンまで検出する確率が高くなる。従って、例えば5段階以下、4段階以下、又は3段階以下とすることができ、2段階が好ましい。
また、ARMS法で、陰性検体の増幅を抑えて陽性検体を優先的に増幅させるために、例えば、2段階のARMS法を行う場合は、第1段階のARMS法のサイクル数は、標的領域を含むDNAが第2段階のARMS法の検出感度内に収まるように増幅される最低限のサイクル数とし、また、第2段階のARMS法のサイクル数は、標的領域を含むDNAが十分増幅するように設定すればよい。第2段階のARMS法のサイクル数は、標的領域を含むDNA(非メチル化シトシンを有する陽性サンプル)のCq値と、対応するメチル化シトシンを有する陰性サンプルの増幅が始まるサイクル数との間とすることができる。例えば、第1段階のARMS法のサイクル数は12〜18(中でも14〜16、特に15)とし、第2段階のARMS−PCR法のサイクル数を30〜50(中でも35〜40)とすることができる。
3段階以上のARMS法を行う場合も同様であり、最後より前段階のARMS法のサイクル数は、標的領域を含むDNAが最終段階のARMS法の検出感度内に収まるように増幅される最低限のサイクル数とすればよい。最終段階のARMS法のサイクル数は、標的領域を含むDNA(非メチル化シトシンを有する陽性サンプル)のCq値と、対応するメチル化シトシンを有する陰性サンプルの増幅が始まるサイクル数との間とすることができる。
傷害検出対象組織又は細胞は、限定されず、疾患に関係するあらゆる組織又は細胞を対象にすることができる。本発明の具体的態様では、膵β細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞といった糖尿病に関連した細胞を対象としているが、その他にも、脳神経細胞、心筋細胞、肝細胞、腎細胞、移植した臓器の細胞など、広く対象にすることができる。
ARMS-PCRを行う前に、cfDNAの非メチル化シトシンを、シトシン以外、例えばウラシルに変換すればよい。非メチル化シトシンのウラシルへの変換は、例えばバイスルファイト処理により行える。それにより、標的細胞由来のDNAの非メチル化シトシンは、チミンに変換されて増幅されるので、シトシンのままであるメチル化シトシンを有するcfDNAと区別できる。
検体に含まれるDNAコピー数は、通常、大変少量であるため、ARMS-PCRに先立ち、cfDNAの標的部分を含む領域をPCRにより増幅することが好ましい。この前処理PCRは、メチル化シトシンをシトシン以外の塩基に置換した後に行えばよい。この前処理PCRは、CpG配列のメチル化状態のいかんにかかわらず、即ち、メチル化シトシンと非メチル化シトシンを区別せずに、標的部分を含む領域を増幅する。前処理PCRにより増幅する部分の長さはcfDNAの長さの範囲内であればよく、例えば160bp以下であり得る。
ARMS−PCR法では、フォワードプライマーは、3’末端をミスマッチのない塩基として設定し、3’末端から2塩基目にメチル化シトシン又は非メチル化シトシン由来のチミンが来るように設定することができる。この場合、プライマーがミスマッチを起こして、PCRが起こらなくなるように、更に5’側にもう1塩基のミスマッチを作る。また、リバースププライマーは、3’末端をミスマッチのない塩基として設定し、3’末端から2塩基目又は3塩基目にメチル化シトシン又は非メチル化シトシン由来のチミンが来るように設定することができる。この場合、プライマーがミスマッチを起こして、PCRが起こらなくなるように、3’末端から3塩基目又は2塩基目に、もう1塩基のミスマッチを作る。これにより、塩基1個のミスマッチである場合には、PCRで増幅が起こるが、塩基2個のミスマッチがあれば、PCRで増幅が起こらない。このような遺伝子増幅システムがARMS−PCR法というものである。
各段階のARMS-PCRでは、フォワードプライマー及びリバースプライマーは、標的部分の何れかの非メチル化シトシンをメチル化シトシンと区別できるように設計すればよい。区別される非メチル化シトシンは各段階のARMS-PCRで重複していてもよい。また、何れの段階のARMS-PCRでも区別されない非メチル化シトシンが存在していてもよいが、非メチル化シトシンの検出精度を良くするため、標的部分に3個又は4個の非メチル化シトシンが存在する場合は、全ての非メチル化シトシンをメチル化シトシンと区別できるようにフォワードプライマーとリバースプライマーを設計することが好ましい。また、非メチル化シトシンの検出精度を良くするため、標的部分に存在する非メチル化シトシンのうち最も5’側及び最も3’側の非メチル化シトシンはメチル化シトシンと区別できるようにフォワードプライマーとリバースプライマーを設計することが好ましい。
本発明において、標的部分に存在する非メチル化シトシンの数が多いほど、非メチル化シトシンを有する目的のcfDNAの標的領域を特異的に増幅する精度が向上する。非メチル化シトシンが多すぎるとプライマー設計の傷害になり得るため、標的部分に存在する非メチル化シトシンの数は、10個以下、8個以下、又は6個以下であり得る。標的部分に存在する非メチル化シトシンのうち、標的細胞に特異的でないものがあれば、その非メチル化シトシンはメチル化シトシンと区別するようにプライマーを設計しなくてよい。
非メチル化シトシンが4個存在する標的部分を2段階のARMS-PCRで増幅する場合、例えば、第1ARMS-PCRでは、最も外側の2つの非メチル化シトシンを区別できるようにフォワードプライマーとリバースプライマーを設計し、第2ARMS-PCRでは、その内側の2つの非メチル化シトシンを区別できるようにフォワードプライマーとリバースプライマーを設計すればよい。
また、非メチル化シトシンが5個以上存在する標的部分を2段階のARMS-PCRで増幅する場合は、例えば、第1ARMS-PCRでは、最も外側の2つの非メチル化シトシンを区別できるようにフォワードプライマーとリバースプライマーを設計し、第2ARMS-PCRでは、その内側の2つの非メチル化シトシンを区別できるようにフォワードプライマーとリバースプライマーを設計すればよい。
また、非メチル化シトシンが3個存在する標的部分を2段階のARMS-PCRで増幅する場合は、例えば、第1ARMS-PCRでは、最も外側の2つの非メチル化シトシンを区別できるようにフォワードプライマーとリバースプライマーを設計し、第2ARMS-PCRでは、第1ARMS-PCRで区別した非メチル化シトシンを再度区別できるようにフォワードプライマー又はリバースプライマーを設計することができる。また、第1又は第2のARMS−PCRの何れか一方のフォワードプライマー又はリバースプライマーを、ARMS法の特徴を備えないプライマー、即ち、非メチル化シトシンとメチル化シトシンを区別しないプライマーとすることもできる。このように、本発明では、フォワードプライマー又はリバースプライマーの一方がARMS法の特徴を備えないプライマーであるPCRもARMS-PCRに含まれる。
本発明方法は、ARMS−PCR法で標的部分が増幅されたことを確認することにより、標的組織又は細胞が傷害を受けていると判定する工程を含むことができる。2段階以上のARMS法により、標的組織又は細胞のcfDNAの標的部分が増幅されるが、標的以外の組織又は細胞のcfDNAの対応する部分も増幅される場合がある。しかし、標的組織又は細胞のcfDNAの標的部分が顕著に効率よく増幅されるため、増幅曲線から標的組織又は細胞のcfDNAの標的部分が増幅したことを把握できる。さらに、増幅産物のシーケンス解析を行うことで、標的組織又は細胞のcfDNAの3つ以上の非メチル化シトシンを含む標的部分が増幅されたことを確認できる。
また、本発明は、ARMS−PCR法の増幅産物中の標的部分を有するDNAを定量することにより、標的組織又は細胞の傷害の程度を判定する工程を含むことができる。
膵β細胞由来のcfDNAを特異的に検出するためには、インスリン遺伝子のエクソン2の+301〜+429、中でも+307〜+425を含む(特に、+301〜+429、中でも+307〜+425からなる領域)領域をARMS-PCRで増幅することが好ましい。このための上記表1と表2に記載されたプライマーは、3’末端から3番目の塩基の設定が重要であり、プライマーの長さは大きな影響を与えない。従って、プライマーの長さは、アニーリングを起こすために必要な長さがあればよく、21塩基以上あればよい。また、プライマーの長さの上限は40塩基程度とすればよい。
例えば、第1段階のプライマーセットでは、フォワードプライマーは少なくとも5’−ttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号13)の塩基配列、リバースプライマーは少なくとも5’−tacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号14)の塩基配列を有していればよい。また、配列番号13において、3’末端から3塩基目がtに代えてc又はaである塩基配列を有するフォワードプライマーも使用できる。また、配列番号14において、3’末端から3塩基目がgに代えてa又はtである塩基配列を有するリバースプライマーも使用できる。また、第2段階のプライマーセットでは、フォワードプライマーは少なくとも5’−aagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号15)の塩基配列、リバースプライマーは少なくとも5’−aatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号16)の塩基配列を有していればよい。また、配列番号15において、3’末端から3塩基目がcに代えてa又はtである塩基配列を有するフォワードプライマーも使用できる。各プライマーは、3’末端にこれらの塩基配列を含む40塩基以下のプライマーであればよい。
その他にも、膵β細胞由来のcfDNAのインスリン遺伝子のエクソン2の+301〜+429、中でも+307〜+425を含む領域(特に、+301〜+429、中でも+307〜+425からなる領域)を特異的に増幅できるプライマーは存在し得る。
血管内皮細胞由来のcfDNAを特異的に検出するためには、ROBO4遺伝子の上流の−227〜−29、中でも−224〜−80を含む領域(特に、−227〜−29、中でも−224〜−80からなる領域)をARMS-PCRで増幅することが好ましい。このための上記表3と表4に記載されたプライマーは、フォワードプライマーは3’末端から3番目の塩基の設定が重要であり、リバースプライマーは3’末端から2番目の塩基の設定が重要である。例えば、第1段階のプライマーセットでは、フォワードプライマーは少なくとも5’−agaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号17)の塩基配列、リバースプライマーは少なくとも5’−accatttaactataaccccaa−3’(配列番号18)の塩基配列を有していればよい。また、配列番号17において、3’末端から3塩基目がgに代えてc又はaである塩基配列を有するフォワードプライマーも使用できる。また、配列番号18において、3’末端から2塩基目がaに代えてtである塩基配列を有するリバースプライマーも使用できる。また、第2段階のプライマーセットでは、フォワードプライマーは少なくとも5’−atattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号19)の塩基配列、リバースプライマーは少なくとも5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号20)の塩基配列を有していればよい。また、配列番号19において、3’末端から3塩基目がgに代えてcである塩基配列を有するフォワードプライマーも使用できる。また、配列番号20において、3’末端から2塩基目がgに代えてaである塩基配列を有するリバースプライマーも使用できる。各プライマーは、3’末端にこれらの配列を含む40塩基以下のプライマーであればよい。
その他にも、血管内皮細胞由来のcfDNAのROBO4遺伝子の上流の−227〜−29、中でも−224〜−80を含む領域(特に、−227〜−29、中でも−224〜−80からなる領域)を特異的に増幅できるプライマーは存在し得る。
脂肪細胞由来のcfDNAを特異的に検出するためには、PPARγ遺伝子の+20〜+152、中でも+21〜+144を含む領域(特に、+20〜+152、中でも+21〜+144からなる領域)をARMS-PCRで増幅することが好ましい。このための上記表5と表6に記載されたプライマーは、フォワードプライマーは3’末端から3番目の塩基の設定が重要であり、リバースプライマーは3’末端から2番目又は3番目の塩基の設定が重要である。例えば、第1段階のプライマーセットでは、フォワードプライマーは、ARMSの特徴を備えないため、少なくとも16塩基の、5’−ttttttattgatttag−3’(配列番号21)の塩基配列を有していればよい。リバースプライマーは少なくとも5’−ccttacataaatacccccaga−3’(配列番号22)の塩基配列を有していればよい。また、第2段階のプライマーセットでは、フォワードプライマーは少なくとも5’−tttttattgatttagaaaatg−3’(配列番号23)の塩基配列、リバースプライマーは少なくとも5’−cccccacatccccaataagca−3’(配列番号24)の塩基配列を有していればよい。また、配列番号24において、3’末端から3塩基目がgに代えてtである塩基配列を有するリバースプライマーも使用できる。各プライマーは、3’末端にこれらの配列を含む40塩基以下のプライマーであればよい。
その他にも、脂肪細胞由来のcfDNAのPPARγ遺伝子の+20〜+152、中でも+21〜+144を含む領域(特に、+20〜+152、中でも+21〜+144からなる領域)を特異的に増幅できるプライマーは存在し得る。
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(I)cfDNA中の膵β細胞特異的なインスリン遺伝子の検出及び定量
(実施例1)cfDNAの分離精製
血中にエクソソーム等の形で微小量循環する膵β細胞のインスリン遺伝子を検出するため、まず、被験者の血液から、膵β細胞のインスリン遺伝子のエクソン2部分の遺伝子を増幅して採取した。
(1)方法
a)cfDNAの採取とバイスルファイト処理:
被験者から採血し、血清分離のために30分以上室温で保存した。血清を4℃ 1350Gで12分遠心し、上清を新たな15mLチューブに移した。さらに血清を4℃ 3000Gで12分遠心して上清(約3mL)を1mLずつ分注した。血清1mLより、BIOO SCIENTIFIC CORRPORATION社のNextPrep―Mag cfDNA Isolation Kitを用いてcfDNAを精製、キットに含まれる溶出液の12μLで溶出した。溶出液10μLを用いてinnuCONVERT Bisulfite Basic Kit(Analytik Jena社)を用いてバイスルファイト処理を行い、キットに含まれる溶出液の50μLで溶出した。
b)膵β細胞のインスリン遺伝子のエクソン2部分の増幅:
上記溶出液を用いて、cfDNAのインスリン遺伝子のエクソン2部分をCpGのメチル化の有無にかかわらず、遺伝子増幅した。PCRの機材はBIO−RAD社のT100TMThermal Cyclerを使用した。
QIAGEN推奨プロトコール (cat.Nos.203643)に基づき、上記バイスルファイト処理液(1本鎖DNA)5μL、PCRマスターミックス(Qiagen社HotStar Taq polymerase)10μL、表7のプライマーミックス(5μMea.)1μL、Cara I Load 2μL、無菌蒸留水2μLを使用し、95℃で5分間処理した後、94℃で30秒、50℃で30秒、72℃で30秒の反応処理を15サイクル行った。その後、72℃で10分間の反応を行った。
Figure 2019207921
(2)結果
増幅されたエクソン2部分のDNAの中に膵β細胞のインスリン遺伝子由来のDNAが含まれると、図2に示されるように、+331位、+367位、+374位、+401位、+404位の5カ所の非メチル化シトシン(C)がチミン(T)に変化した二本鎖DNAが存在することになる。
(実施例2)ARMS法による選択的な膵β細胞のインスリン遺伝子のエクソン2部分の増幅のためのプライマー検討
(1)プライマーの作成
実施例1で得られたエクソン2部分の増幅二本鎖DNAを用いて、+331位、+404位のCpGの脱メチル化の有無を確認することを行った。脱メチル化されていれば、遺伝子増幅が可能であり、膵β細胞のインスリン遺伝子由来のDNAが選択的に遺伝子増幅されることになる。
第1、第2のARMS-PCRのプライマーとして、図3に示すプライマーを作製した。第1、第2のARMS−PCRで増幅されるインスリン遺伝子のエクソン2領域の部分は、図3に示す通りである。まず、フォワードプライマー及びリバースプライマーとして、3’末端から3つ目の塩基をミスマッチさせた各3種類のプライマーを作製した。そして、各プライマーの特異度(ミスマッチに関するプライマーの特異性)と組合せを検討した。なお、逆側のプライマーは膵β細胞でも非膵β細胞でも増幅するプライマーの中から検出精度の高いものを選択した。
(2)方法
PCRのプライマーの最適化を目指して、以下のモデル反応を行った。使用するインスリン遺伝子のDNAは次のものである。
a)膵β細胞由来DNAをバイスルファイト処理したときのインスリン遺伝子のCpG配列がTGに変化したものを含むET(Exon2_AllT)プラスミド(非メチル化CpGを模したもの)
b)非膵β細胞由来DNAをバイスルファイト処理したときのインスリン遺伝子のCpG配列が同じCGであるものを含むEC(Exon2_AllC)プラスミド(メチル化CpGを模したもの)
これらプラスミドのPCRを行うことで、プライマーのミスマッチの特異度が、どれだけETで増幅されやすく、ECで増幅されにくいかで、プライマーの性能を評価できると考えた。

十分量のプラスミドを用いるため前処理PCRは行わなかった。第1段階のARMS法のプライマーの検討のためのPCRは、Roche Lightcycler 96推奨プロトコールに基づき行った。第1段階のARMS法としては、ETプラスミドとECプラスミドの1×104−7/μLを1μL、PCRマスターミックス(FastStart Taq DNA polymerase)10μL、表1のプライマーミックス(9μMea.)1μL、無菌蒸留水8μLを使用し、95℃で10分間処理した後、95℃で10秒、56℃で10秒、72℃で10秒の反応処理を40サイクル行った。また、第2段階のARMS法のプライマーの検討のためのPCRは、別途、ETプラスミドとECプラスミドを鋳型にして、表1のプライマーミックスに代えて表2のプライマーミックスを用いた他は、上記の第1段階の方法と同様にした。
(3)結果
増幅曲線を図4に示す。図4に示されるように、第1段階のARMS法で使用するプライマーの中では、フォワードプライマーはF2又はF3、リバースプライマーはR1又はR2を用いた場合に、ETとECとの間のCq(Ct;Threshold Cycle)の差が大きく、良好な分離が得られた。また、図5に示されるように、第2段階のARMS法で使用するプライマーの中では、フォワードプライマーはF1が最もCqの分離が良好であり、リバースプライマーはR1のみがPCRで増幅することが示された。従って、第2段階のARMS法で使用するプライマーはF1とR1の組み合わせとなった。
(実施例3)第1段階のARMS法で用いるプライマーの検討
実施例2で良好な結果が得られた、第1段階のARMS法で使用されるプライマーの中で、どの組み合わせが実際の患者および健常者の血清から取り出した陽性および陰性のcfDNAで差が出るかについて検討した。
(1)方法
次の試料を用いて、プライマーの組合せ(F3R1、F3R2、F2R2、F2R1、F1R2)の効果を確認した。
a)1型糖尿病患者(T1D)血清から実施例1に準じて得られたcfDNA溶液
b)健常人血清から実施例1に準じて得られたcfDNA溶液
c)実施例2で用いたETプラスミドとECプラスミドの溶液
d)血液のゲノムDNA(Blood Genome DNA)の溶液
なお、PancreasゲノムDNA(1型糖尿病患者(T1D)血清のcfDNA溶液)は、Bio Chain社のヒト成人の正常組織(膵臓)由来のゲノムDNAを用い、BloodゲノムDNAはPromega社 のヒト ゲノムDNAを用いた。各5μgを上記の方法でバイスルファイト処理を行い、キットに含まれる溶出液の25μLでの溶出を2回行った(合計50μL)。Promega社のQuantusTMFluorometerで一本鎖DNA量の濃度測定を行い、溶出したバイサルファイト後の一本鎖ゲノムDNAの濃度を測り、1ng/μLに調整し、1μL(1ng)を用いた。
第1段階のARMS法を行った後、第2段階のARMS法をF1R1のプライマーの組み合わせで行った。
(2)結果
第1段階のARMS−PCRの増幅曲線を図6、7に示す。図6では、ETをポジティブコントロールとして用い、図7では血液中のゲノムDNAをネガティブコントロールとして用いた。図6、図7に示されるように、膵β細胞由来のインスリン遺伝子の増幅効率は、F3R1、F3R2、F2R2の順に高かった。また、図7から、F3R1を用いた場合、1型糖尿病患者由来のcfDNAの方が、多種類のcfDNAを含む血液中のゲノムDNAよりも増幅効率が高いことから、1型糖尿病患者由来のcfDNAを検出していることが確認された。
また図示しないが、F1R2、F2R1の各プライマーの組合せについても、遺伝子増幅効率が高かった。
図8に、増幅産物の電気泳動結果を示す。図8に示されるように、F2R2、F3R2の各プライマーの組合せでは陽性検体であるT1Dの検体で陽性を示さなかった。
第1段階のARMS−PCRにおいて、F2R1、F3R1の各プライマーの組み合わせを用いた場合の、増幅曲線を図9の上段に示し、融解曲線を図9の下段に示す。図9に示されるように、F2R1、F3R1共に、1型糖尿病患者サンプルで陽性であったが、健常人でも陽性となった。また図示しないが、電気泳動ではF2R1、F3R1共に検出されたPCR産物長が陽性であったが、融解温度曲線の結果から、フォワードプライマーとリバースプライマーに挟まれた領域内の+367、+374、+401の位置の塩基が異なる複数のDNAが増幅されていることが確認された。
なお、陽性(1型糖尿病患者)サンプルと陰性(健常人)サンプルのCq値の差は、F3R1がF2R1よりも大きいことから、PCRの特異度はF3R1の方が優れていると考えられた。
(実施例4)第1段階でF3R1を使用し、第2段階でF1R1のプライマーの組合せを使用する、患者および健常者のcfDNAのインスリン遺伝子評価
(1)患者および健常者のcfDNAサンプル
a)健常人のcfDNA溶液
健常人21名の血清から実施例1に準じてcfDNA溶液を作製した。
b)成人1型糖尿病患者血清のcfDNA溶液
成人1型糖尿病患者50名の血清から実施例1に準じてcfDNA溶液を作製した。
患者背景は男性/女性:14/40例、平均年齢:46.9±15.2才、罹病期間:11.9±9.9年、HbA1c: 8.1±1.8%、血清Cペプチド0.52±1.33ng/mL、GAD抗体:2643±13910U/mL
c)小児1型糖尿病患者のcfDNA溶液
徳島大学病院に通院中の小児1型糖尿病患者10名の血清から実施例1に準じてcfDNA溶液を作製した。患者背景は男児/女児:7/3例、平均年齢:12.5±6.0才、罹病期間:5.0±3.6年、HbA1c: 7.8±1.0%、血清Cペプチド1.45±0.32ng/mL、GAD抗体:226±426U/mL
(2)方法
上記の各cfDNAを使用し、実施例2に準じて、ARMS−PCRを行った。
まず、上記cfDNA溶液(精製処理済み)1μLと、PCRマスターミックス(FastStart Taq DNA polymerase)10μL、表1のプライマーミックス(9μMea.)1μL、無菌蒸留水8μLを使用し、95℃で10分間処理した後、95℃で10秒、56℃で10秒、72℃で10秒の反応処理を15回サイクル行った。
第1段階のARMS・PCR増幅処理液(精製処理済み)1μL、PCRマスターミックス(FastStart Taq DNA polymerase)10μL、表2のプライマーミックス(9μMea.)1μL、無菌蒸留水8μLを使用し、95℃で10分間処理した後、95℃で10秒、56℃で10秒、72℃で10秒の反応処理を40回サイクル行った。
(3)結果
図10に示されるように、1型糖尿病患者の血清では、健常人の血清と比較すると、膵β細胞由来のインスリン遺伝子に基づくcfDNAが血中に認められた。
最終的なPCRを40サイクル増幅していることから、PCRの元の溶液に1コピー陽性サンプルが存在すると理論上28サイクルで陽性になる。従って、PCR溶解波形解析で、被検者のcfDNAのメチル化パターンが、膵β細胞のインスリン遺伝子と同じメチル化パターンを有するETプラスミドと同じパターンを呈しているものを陽性とした。
成人1型糖尿病患者のサンプルでは、50検体中4検体で強陽性、17例で弱陽性であった。別途行ったシークエンス解析でこれら21例の陽性のサンプル中19例で陽性となった。これらシークエンス解析の結果から2回目のPCRでは35サイクル以下で陽性となることが示された。小児1型糖尿病患者のサンプルでは10検体中9検体で強陽性、1例で弱陽性となった。一方、健常人のサンプルでは21検体中1検体で強陽性、6検体で弱陽性となった。
以上の結果から、小児1型糖尿病検体で強陽性が多かった結果は、平均罹病期間の短く、血中Cペプチド(インスリンは、プロインスリンからCペプチドが除去されて生成するため、Cペプチド量は残存インスリン量を表す)濃度の保たれている小児1型糖尿病の病態を反映しており、成人1型糖尿病検体で陽性例が少なかった結果は、平均罹病期間の長く、血中Cペプチド濃度の低下した成人1型糖尿病の病態と反映していると考えられた。健常人でも陽性になるのは健常な膵β細胞のリニューアルに伴うもの、あるいは1型糖尿病前段階であることも否定できないが、循環血中に膵β細胞に由来するインスリン遺伝子を検出できるということは、高血糖に先行して膵β細胞が破壊されることを示すと考えられた。従って、本発明の検出方法により、全体の約70〜80%以上の膵β細胞の破壊による高血糖となる前の段階から膵β細胞傷害を検出できることが示された。
以上のように、本発明のARMS法により、患者および健常者のcfDNAから膵β細胞に由来するインスリン遺伝子を的確に検出し、膵β細胞の傷害の程度を的確に評価できることが明らかとなった。
(II)cfDNA中の血管内皮細胞特異的なROBO4遺伝子の上流領域の検出及び定量
(実施例5)ARMS法による選択的な血管内皮細胞のROBO4遺伝子の上流領域の増幅
(1)プライマーの作製
第1、第2のARMS−PCRのプライマーとして、それぞれ表3(F1,R3)、表4(F1、R1)に示すものを作製した。第1、第2のARMS−PCRで増幅されるROBO4遺伝子の上流領域の部分は、図11に示す通りである。
(2)ROBO4遺伝子の上流領域の増幅
上記のプラマーセットを用いた2段階のARMS-PCRにより、内皮細胞由来のROBO4遺伝子の上流部分が特異的に増幅されることを、以下の方法で確認した。使用するROBO4遺伝子の上流部分のDNAは次のものである。。
a)血管内皮細胞由来DNAをバイスルファイト処理したときのROBO4遺伝子の上流領域のCpG配列がTGに変化したものを含むAllTプラスミド(非メチル化CpGを模したもの)
b)血管内皮細胞由来DNAをバイスルファイト処理したときのROBO4遺伝子の上流領域のCpG配列が同じCGであるものを含むAllCプラスミド(メチル化CpGを模したもの)

AllTプラスミド及びAllCプラスミドは、それぞれ、ROBO4遺伝子の上流の-227〜-29の部分を含み、但し、AllTプラスミドは、−185位、−144位、−118位、−103位の4カ所の非メチル化シトシンをチミンに置き換えており、AllCプラスミドは、これら4カ所がシトシンのままである。十分量のプラスミドを用いるため前処理PCRは行わなかった。

PCRは、Roche Lightcycler 96推奨プロトコールに基づき行った。第1段階のARMS法用のプライマーを用いたPCRは、AllTプラスミドとAllCプラスミドの各1×104−7/μLを1μL、PCRマスターミックス(FastStart Taq DNA polymerase)10μL、表3のプライマーミックス(5μMea.)1μL、無菌蒸留水8μLを使用し、95℃で10分間処理した後、95℃で10秒、55℃で10秒、72℃で10秒の反応処理を40サイクル行った。また、第2段階のARMS法用のプライマーを用いたPCRは、別途、AllTプラスミドとAllCプラスミドを鋳型にして、表3のプライマーミックスに代えて表4のプライマーミックスを用いた他は、上記の第1段階のARMS法用プライマーを用いた方法と同様にした。
増幅曲線を図12に示す。上記プライマーセットを用いた第1、第2のARMS−PCRを行った結果、AllTプラスミドの増幅効率はAllCプラスミドの増幅効率より顕著に高く、Cq値の良好な分離が認められた。上記プライマーセットを用いた2段階のARMS法によりcfDNA中の血管内皮細胞由来のROBO4遺伝子の上流部分を選択的に増幅できることが分かる。
また、表3、表4に示すプライマーに代えて、下記プライマーを用いて、同様の条件で第1、第2のARMS−PCR法を行った増幅曲線を図13に示す。これらのプライマーを用いた場合も、AllTプラスミドの増幅効率はAllCプラスミドの増幅効率より顕著に高く、Cq値の良好な分離が認められた。
第1段階のARMS
フォワードプライマー:agatttaaatagaggattaaggttttgactg(F2)(配列番号27)
リバースプライマー :tcaaccatttaactataaccccaa(R3)(配列番号28)

フォワードプライマー:agatttaaatagaggattaaggttttgaatg(F3)(配列番号29)
リバースプライマー :tcaaccatttaactataaccccta(R2)(配列番号30)
第2段階のARMS
フォワードプライマー:gttagtgtaaggatattttgtaagaaatttctg(F2)(配列番号31)
リバースプライマー :acccaaaccctaacttcaaaa(R3)(配列番号32)
(実施例6)1型糖尿病患者の血管内皮細胞傷害検査
1型糖尿病患者45名(男性15名、女性30名)の血清から実施例1の方法でcfDNA溶液を調製し、バイスルファイト処理を行った。得られた溶出液を用いてcfDNAのROBO4遺伝子の上流の-227〜-29の部分をCpGのメチル化の有無にかかわらず、遺伝子増幅した。方法は、表7のプライマーに代えて表8のプライマーを用いた他は、実施例1と同じである。
増幅された-227〜-29の部分のDNAに血管内皮細胞のROBO4遺伝子の上流領域由来のDNAが含まれると、図11に示されるように、−185位、−144位、−118位、−103位の4カ所の非メチル化シトシンがチミンに変化したDNAが存在することになる。
Figure 2019207921
次いで、実施例5と同条件の連続した2段階のARMS法で、表3、表4に示すプライマーを用いて、ROBO4遺伝子の上流の-224〜-80の部分のCpGが非メチル化されているものを増幅した。
各患者の増幅されたcfDNAコピー数に対して平均頸動脈内膜中膜複合体肥厚度(平均IMT)をプロットしたグラフを図14に示す。増幅したcfDNAコピー数と平均IMTとの間には相関が認められた(r=0.37、p=0.012)。糖尿病患者は合併症として血管内皮細胞が傷害を受けている場合が多く、血管内皮細胞が傷害を受けると平均IMTが高くなることから、上記プライマーセットを用いた2段階のARMS法により、血管内皮細胞由来のcfDNAを特異的に定量でき、従って、血管内皮細胞傷害の程度を検査できることが分かる。
(III)cfDNA中の脂肪細胞特異的なPPARγ遺伝子の検出及び定量
(実施例7)ARMS法による選択的な脂肪細胞のPPARγ遺伝子の増幅
(1)プライマーの作製
第1、第2のARMS−PCRのプライマーとして、それぞれ表5、表6(F3、R1)に示すものを作製した。第1、第2のARMS−PCRで増幅されるPPARγ遺伝子の部分は、図15に示す通りである。
(2)PPARγ遺伝子の増幅
上記のプラマーセットを用いた2段階のARMS-PCRにより、脂肪細胞由来のPPARγ遺伝子が特異的に増幅されることを、以下の方法で確認した。使用するPPARγ遺伝子のDNAは次のものである。。
a)脂肪細胞由来DNAをバイスルファイト処理したときのPPARγ遺伝子のCpG配列がTGに変化したものを含むAllTプラスミド(非メチル化CpGを模したもの)
b)脂肪細胞由来DNAをバイスルファイト処理したときのPPARγ遺伝子のCpG配列が同じCGであるものを含むAllCプラスミド(メチル化CpGを模したもの)

AllTプラスミド及びAllCプラスミドは、それぞれ、PPARγ遺伝子の上流の+20〜+152の部分を含み、但し、AllTプラスミドは、+50位、+110位、+123位の3カ所の非メチル化シトシンをチミンに置き換えており、AllCプラスミドは、これら3カ所がシトシンのままである。十分量のプラスミドを用いるため前処理PCRは行わなかった。

第1段階のARMS法用のプライマーを用いたPCRは、AllTプラスミドとAllCプラスミドを各1×104-7/μL、PCRマスターミックス(KOD -Multi & Epi-)10μL、表5のプライマーミックス(5μMea.)1μL、無菌蒸留水8μLを使用し、94℃で2分間処理した後、98℃で10秒、53℃で10秒、68℃で30秒の反応処理を50回サイクル行った。また、第2段階のARMS法用のプライマーを用いたPCRは、別途、AllTプラスミドとAllCプラスミドを鋳型にして、表5のプライマーミックスに代えて表6のプライマーミックスを用いた他は、第1段階のARMS法用プライマーを用いた方法と同じにした。
増幅曲線を図16に示す。上記プライマーセットを用いた第1、第2のARMS−PCRを行った結果、AllTプラスミドの増幅効率はAllCプラスミドの増幅効率より顕著に高く、Cq値の良好な分離が認められた。上記プライマーセットを用いた2段階のARMS法によりcfDNA中の脂肪細胞由来のPPARγ遺伝子を選択的に増幅できることが分かる。
また、表6に示すプライマーに代えて、下記プライマーを用いて、同様の条件で第2のARMS−PCR法を行った増幅曲線を図17に示す。これらのプライマーを用いた場合も、AllTプラスミドの増幅効率はAllCプラスミドの増幅効率より顕著に高く、Cq値の良好な分離が認められた。
第2段階のARMS
フォワードプライマー:ttgggagatttttttattgatttagaaaatg(F3)(配列番号11)
リバースプライマー :acccccacatccccaataatca(R2)(配列番号35)
(実施例8)1型糖尿病患者の脂肪細胞傷害検査
1型糖尿病患者33名の血清から実施例1の方法でcfDNA溶液を調製し、バイスルファイト処理した。このcfDNAを鋳型として、実施例1と同様にしてPPARγ遺伝子の+20〜+152の部分をCpGのメチル化の有無にかかわらず増幅した。方法は、表7のプライマーに代えて表9のプライマーを用いた他は、実施例1と同じである。増幅された+20〜+152の領域に脂肪細胞のcfDNAのPPARγ遺伝子のDNAが含まれると、+50位、+110位、+123位の3カ所の非メチル化シトシンがチミンに変化したDNAが存在することになる。
Figure 2019207921
次いで、実施例7と同条件の連続した2段階のARMS法で、PPARγ遺伝子の+21〜+144の部分のCpGが非メチル化されているものを増幅した。
各患者の増幅されたcfDNAコピー数に対してLDL-コレステロール/HDL-コレステロール比をプロットしたグラフを図18に示す。増幅したcfDNAコピー数が多いほどLDL-コレステロール/HDL-コレステロール比は高い傾向があり、両者には相関が認められた(R=0.3259)。このように増幅したPPARγのコピー数と動脈硬化の指標であるLDL-コレステロール/HDL-コレステロール比が正相関することから、新たな動脈硬化のマーカーとなりうることが示された。
本発明の標的細胞由来のcfDNAの検出方法により、低侵襲的に、少ない血液サンプル量で、短時間に、かつ低コストで標的細胞の傷害を判定することができる。本発明方法は、各種の標的細胞のDNAについて蓄積されたメチル化パターンの情報を利用するため、様々な組織の細胞に応用でき、非常に有用なものである。

Claims (23)

  1. 被験者の血液中のcfDNAの、150塩基以下であって、標的組織又は細胞のDNAに特徴的又は特異的な非メチル化シトシンが3個以上存在する標的部分を、2段階以上のARMS−PCR法で増幅する工程を含む、標的組織特異的な細胞傷害検査方法。
  2. ARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、cfDNAの非メチル化シトシンをシトシン以外の塩基に変換する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. ARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、cfDNAの標的部分を含む領域をPCRにより増幅する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ARMS−PCR法で標的部分が増幅されたことを確認することにより、標的組織又は細胞が傷害を受けていると判定する工程を含む、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  5. ARMS−PCR法の増幅産物中の標的部分を有するDNAを定量することにより、標的組織又は細胞の傷害の程度を判定する工程を含む、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  6. 標的組織又は細胞が膵β細胞であり、インスリン遺伝子のエクソン2の+307〜+425を含む領域であって、+331位、+367位、+374位、+401位、+404位に非メチル化シトシンを含む領域を、ARMS-PCR法で増幅する、請求項1〜5の何れかに記載の方法。
  7. 下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーを用いて2段階のARMS−PCR法を行う、請求項6に記載の方法。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−ttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号13)、又は配列番号13において、配列番号13において、3’末端から3塩基目がtに代えてc又はaである塩基配列
    第1段階のリバースプライマー :5’−tacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号14)、又は配列番号14において、3’末端から3塩基目がgに代えてa又はtである塩基配列
    第2段階のフォワードプライマー:5’−aagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号15)、又は配列番号15において、3’末端から3塩基目がcに代えてa又はtである塩基配列
    第2段階のリバースプライマー :5’−aatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号16)
  8. 第1段階、及び2段階のARMS−PCR法のプライマーが、下記塩基配列からなるものである、請求項7に記載の方法。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−tagtttttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号1)
    第1段階のリバースプライマー :5’−cctacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号2)
    第2段階のフォワードプライマー:5’−tttggtggaagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号3)
    第2段階のリバースプライマー :5’−aatcttaaatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号4)
  9. 2段階のARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、インスリン遺伝子のエクソン2の+301〜+429を含む領域をPCR法で増幅する、請求項6〜8の何れかに記載の方法。
  10. 標的組織又は細胞が血管内皮細胞であり、ROBO4遺伝子の上流の−224〜−80を含む領域であって、−185位、−144位、−118位、−103位に非メチル化シトシンを含む領域をARMS-PCR法で増幅する、請求項1〜5の何れかに記載の方法。
  11. 下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーを用いて2段階のARMS−PCR法を行う、請求項10に記載の方法。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−agaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号17)、又は配列番号17において、3’末端から3塩基目がgに代えてc又はaである塩基配列
    第1段階のリバースプライマー :5’−accatttaactataaccccaa−3’(配列番号18)、又は配列番号18において、3’末端から2塩基目がaに代えてtである塩基配列
    第2段階のフォワードプライマー:5’−atattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号19)、又は配列番号19において、3’末端から3塩基目がgに代えてcである塩基配列
    第2段階のリバースプライマー :5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号20)、又は配列番号20において、3’末端から2塩基目がgに代えてaである塩基配列
  12. 第1段階、及び2段階のARMS−PCR法のプライマーが下記塩基配列からなるものである、請求項11に記載の方法。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−agatttaaatagaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号5)
    第1段階のリバースプライマー :5’−tcaaccatttaactataaccccaa−3’(配列番号6)
    第2段階のフォワードプライマー:5’−gttagtgtaaggatattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号7)
    第2段階のリバースプライマー :5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号8)
  13. 2段階のARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、ROBO4遺伝子の上流の−227〜−29を含む領域をPCR法で増幅する、請求項10〜12の何れかに記載の方法。
  14. 標的組織又は細胞が脂肪細胞であり、PPARγ遺伝子の+21〜+144を含む領域であって、+50位、+110位、+123位に非メチル化シトシンを含む領域をARMS-PCR法で増幅する、請求項1〜5の何れかに記載の方法。
  15. 下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーを用いて2段階のARMS−PCR法を行う、請求項14に記載の方法。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−ttttttattgatttag−3’(配列番号21)
    第1段階のリバースプライマー :5’−ccttacataaatacccccaga−3’(配列番号22)
    第2段階のフォワードプライマー:5’−tttttattgatttagaaaatg−3’(配列番号23)
    第2段階のリバースプライマー :5’−cccccacatccccaataagca−3’(配列番号24)、又は配列番号24において、3’末端から2塩基目がgに代えてtである塩基配列
  16. 第1段階、及び2段階のARMS−PCR法のプライマーが下記塩基配列からなるものである、請求項15に記載の方法。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−tttgggagatttttttattgatttag−3’(配列番号9)
    第1段階のリバースプライマー :5’−acccttacataaatacccccaga−3’(配列番号10)
    第2段階のフォワードプライマー:5’−ttgggagatttttttattgatttagaaaatg−3(配列番号11)
    第2段階のリバースプライマー :5’−acccccacatccccaataagca−3’(配列番号12)
  17. 2段階のARMS−PCR法による増幅工程に先立ち、PPARγ遺伝子の+20〜+152を含む領域をPCR法で増幅する、請求項14〜16の何れかに記載の方法。
  18. 2段階のARMS−PCR法に用いられるプライマーのセットであり、各プライマーが下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーである、プライマーセット。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−ttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号13)、又は配列番号13において、配列番号13において、3’末端から3塩基目がtに代えてc又はaである塩基配列
    第1段階のリバースプライマー :5’−tacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号14)、又は配列番号14において、3’末端から3塩基目がgに代えてa又はtである塩基配列
    第2段階のフォワードプライマー:5’−aagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号15)、又は配列番号15において、3’末端から3塩基目がcに代えてa又はtである塩基配列
    第2段階のリバースプライマー :5’−aatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号16)
  19. 2段階のARMS−PCR法に用いられる下記塩基配列からなるプライマーのセット。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−tagtttttgtgaattaatatttgtttg−3’(配列番号1)
    第1段階のリバースプライマー :5’−cctacaaatcctctacctccgaa−3’(配列番号2)
    第2段階のフォワードプライマー:5’−tttggtggaagttttttatttagtgtctg−3’(配列番号3)
    第2段階のリバースプライマー :5’−aatcttaaatatataaaaaaaacctgat−3’(配列番号4)
  20. 2段階のARMS−PCR法に用いられるプライマーのセットであり、各プライマーが下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーである、プライマーセット。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−agaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号17)、又は配列番号17において、3’末端から3塩基目がgに代えてc又はaである塩基配列
    第1段階のリバースプライマー :5’−accatttaactataaccccaa−3’(配列番号18)、又は配列番号18において、3’末端から2塩基目がaに代えてtである塩基配列
    第2段階のフォワードプライマー:5’−atattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号19)、又は配列番号19において、3’末端から3塩基目がgに代えてcである塩基配列
    第2段階のリバースプライマー :5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号20)、又は配列番号20において、3’末端から2塩基目がgに代えてaである塩基配列
  21. 2段階のARMS−PCR法に用いられる下記塩基配列からなるプライマーのセット。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−agatttaaatagaggattaaggttttgagtg−3’(配列番号5)
    第1段階のリバースプライマー :5’−tcaaccatttaactataaccccaa−3’(配列番号6)
    第2段階のフォワードプライマー:5’−gttagtgtaaggatattttgtaagaaatttgtg−3’(配列番号7)
    第2段階のリバースプライマー :5’−acccaaaccctaacttcaaga−3’(配列番号8)
  22. 2段階のARMS−PCR法に用いられるプライマーのセットであり、各プライマーが下記塩基配列を3’末端に含む40塩基以下のプライマーである、プライマーセット。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−ttttttattgatttag−3’(配列番号21)
    第1段階のリバースプライマー :5’−ccttacataaatacccccaga−3’(配列番号22)
    第2段階のフォワードプライマー:5’−tttttattgatttagaaaatg−3’(配列番号23)
    第2段階のリバースプライマー :5’−cccccacatccccaataagca−3’(配列番号24)、又は配列番号24において、3’末端から2塩基目がgに代えてtである塩基配列
  23. 2段階のARMS−PCR法に用いられる下記塩基配列からなるプライマーのセット。
    第1段階のフォワードプライマー:5’−tttgggagatttttttattgatttag−3’(配列番号9)
    第1段階のリバースプライマー :5’−acccttacataaatacccccaga−3’(配列番号10)
    第2段階のフォワードプライマー:5’−ttgggagatttttttattgatttagaaaatg−3(配列番号11)
    第2段階のリバースプライマー :5’−acccccacatccccaataagca−3’(配列番号12)
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