JPWO2019203278A1 - 溶鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
前chの出鋼時に種湯として電気炉に残した溶鋼に炭素源を添加して炭素含有溶融鉄を得る第1工程と、前記第1工程で生成された炭素含有溶融鉄にDRIを添加して溶解還元を行う第2工程と、次いで、脱酸材を添加して脱硫処理を行う第3工程と、前記第3工程の脱硫処理によって生成された脱硫スラグを排出する第4工程と、次いで、酸素を吹き込んで脱炭処理を行う第5工程と、前記第5工程の脱炭処理によって生成された脱炭スラグを排出する第6工程と、前記第6工程で脱炭スラグを排出した後に、次chの種湯分を残して出鋼を行う第7工程と、を有する。
Description
本発明は、酸化鉄(鉄鉱石等)を予備還元して製造された還元鉄(DRI)を溶解炉で還元及び溶解して溶鋼を製造する溶鋼の製造方法に関する。
従来、高炉を新設するには多くのコストがかかるため、天然ガスが産出する国では、例えばミドレックス法などにより、ペレット等の塊状化した鉄鉱石等の酸化鉄をシャフト炉で還元して金属化率90%以上の還元鉄(DRI)を製造し、そのDRIを電気炉で溶解して直接、溶鋼を製造するプロセスが主流になっている。
また、天然ガスに代わる還元剤として石炭等の炭材を使用する還元鉄製造プロセスも開発され、実用化されている。この還元鉄製造プロセスには、鉄鉱石等の焼成ペレットを石炭粉と共にロータリーキルンで加熱還元する方法(SL/RN法)や、炭材と粉状の酸化鉄とを混合して塊状化し、ロータリーハース上で加熱還元して還元鉄を製造する方法(RHF法)などがある。これらの方法では、シャフト炉法に比べて高金属化率のDRIを製造することは困難であり、一般的に金属化率は高くて85%程度である。そのため、このDRIを使用する際には、電気炉等の溶解炉にて金属鉄の溶解を行うとともに、残存する酸化鉄分の還元も行う必要がある。
特許文献1には、金属化鉄が60%以上のDRIをRHF法で製造し、その後、アーク加熱式溶解炉にて炭素含有量1.5〜4.5質量%の溶融鉄を製造し、その溶融鉄を炉外に排出した後、別の溶解炉で脱硫処理、脱りん処理及び脱炭処理を行う方法が記載されている。この方法では、残存する酸化鉄分を還元するために溶解炉には炭材が添加されている。しかしながらこの方法では、溶融鉄を別の炉へ移し替えることによって熱ロスが大きくなってしまう。また、熱源を確保するために炭材をさらに添加して炭素含有量の高い溶融鉄を脱炭して溶鋼を製造することにより、CO2発生量が多くなってしまう。さらに特許文献2には、炭化水素ガスを供給しながら鉄系原料を溶解する技術が開示されている。しかしながら、この方法では、炭化水素ガスを用いることを前提としていることからコストが多くかかってしまう。
本発明は前述の問題点を鑑み、電気炉等の溶解炉で特に金属化率が低いDRIを溶解・還元する際に、生産性が高くて熱ロスが少なく、かつCO2発生量の少ない溶鋼の製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、金属化率の低いDRIを溶解還元し溶鋼を製造するために、溶鋼の一部を炉内に残し、次chの種湯として使用する。但し、種湯が溶鋼のままであると、DRIの溶解還元が遅滞するので、DRIを供給する前にまず炭素源のみを種湯に供給して種湯のC濃度を高める。このC濃度は、後述するように、0.5質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
本発明は以下のとおりである。
(1)前chの出鋼時に種湯として電気炉に残した溶鋼に炭素源を添加して炭素含有溶融鉄を得る第1工程と、
前記第1工程で生成された炭素含有溶融鉄にDRIを添加して溶解還元を行う第2工程と、
次いで、脱酸材を添加して脱硫処理を行う第3工程と、
前記第3工程の脱硫処理によって生成された脱硫スラグを排出する第4工程と、
次いで、酸素を吹き込んで脱炭処理を行う第5工程と、
前記第5工程の脱炭処理で生成された脱炭スラグを排出する第6工程と、
前記第6工程で前記脱炭スラグを排出した後に、次chの種湯分を残して出鋼を行う第7工程と、
を有することを特徴とする溶鋼の製造方法。
(2)前記電気炉の炉径をD(m)とした場合に、前記第7工程で残す種湯量W(t)は0.3×D2<W<1.6×D2とすることを特徴とする上記(1)に記載の溶鋼の製造方法。
(3)前記第1工程において、C濃度が0.5質量%以上1.5質量%以下の炭素含有溶融鉄を得ることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の溶鋼の製造方法。
(1)前chの出鋼時に種湯として電気炉に残した溶鋼に炭素源を添加して炭素含有溶融鉄を得る第1工程と、
前記第1工程で生成された炭素含有溶融鉄にDRIを添加して溶解還元を行う第2工程と、
次いで、脱酸材を添加して脱硫処理を行う第3工程と、
前記第3工程の脱硫処理によって生成された脱硫スラグを排出する第4工程と、
次いで、酸素を吹き込んで脱炭処理を行う第5工程と、
前記第5工程の脱炭処理で生成された脱炭スラグを排出する第6工程と、
前記第6工程で前記脱炭スラグを排出した後に、次chの種湯分を残して出鋼を行う第7工程と、
を有することを特徴とする溶鋼の製造方法。
(2)前記電気炉の炉径をD(m)とした場合に、前記第7工程で残す種湯量W(t)は0.3×D2<W<1.6×D2とすることを特徴とする上記(1)に記載の溶鋼の製造方法。
(3)前記第1工程において、C濃度が0.5質量%以上1.5質量%以下の炭素含有溶融鉄を得ることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の溶鋼の製造方法。
本発明によれば、電気炉等の溶解炉で特に金属化率が低いDRIを溶解・還元する際に、生産性が高くて熱ロスが少なく、かつCO2発生量の少ない溶鋼の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る、電気炉等の溶解炉で特に金属化率が低いDRIを溶解・還元して溶鋼を製造する方法を説明するための図である。
図1に示すように、本実施形態に係る製造方法は少なくとも第1工程〜第7工程の7つの工程から成り立っている。
図1は、本実施形態に係る、電気炉等の溶解炉で特に金属化率が低いDRIを溶解・還元して溶鋼を製造する方法を説明するための図である。
図1に示すように、本実施形態に係る製造方法は少なくとも第1工程〜第7工程の7つの工程から成り立っている。
まず、説明上の都合により第7工程から説明する。第7工程は、第5工程の脱炭処理によってC濃度が例えば0.1質量%未満まで低下させられた溶鋼を排出する工程である。この際に溶鋼を全量排出するのではなく、次chの種湯として使用する量の溶鋼を炉内に残すようにする。
直流電気炉を溶解炉として用いる場合、後述する第2工程では、上部電極と炉底に設置した下部電極との間に電圧を印加してアークを発生させ、その熱をDRIの溶解還元に使用する。電圧を印加する際に種湯がない場合は、DRIを経由して電気が流れるため、DRIと炉底の下部電極との接触抵抗が大きく、溶解初期にアークが不安定となり、溶解時間が長くなる。また、還元率が低く酸化鉄分が多いDRIを用いた場合には電気が流れにくくなり、さらに溶解時間が増加してしまう。
一方、電圧を印加する際に種湯があると炉底の下部電極の接触が密であるため、アークが安定して溶解時間を短縮することができる。このため、全量を出鋼するのではなく、一部を種湯として残すことが重要である。また、溶解炉における炉内径をD(m)とした場合に、種湯量W(t)は、以下の式(1)を満足することが好ましい。
0.3×D2<W<1.6×D2 ・・・(1)
0.3×D2<W<1.6×D2 ・・・(1)
ここで、種湯量Wが0.3×D2以下であると、前述したようにDRIと炉底の下部電極との接触抵抗が大きくなりやすく、アークが安定しない可能性がある。また、種湯量Wが1.6×D2以上であると、後述する第5工程での脱炭処理の負荷が増大してしまう。なお、「0.3」及び「1.6」という数値は、電気炉内における浴深(m)及び溶鉄の密度(t/m3)の積より算出された値である。
次に、第1工程について説明する。後述の第2工程でDRIを添加する前に、第1工程では、石炭(一般炭)や無煙炭等の炭材を炉内に添加し、種湯である溶鋼を所定のC濃度の溶融鉄とする。炭材の供給方法については特に限定はないが、炉上部に設置されたホッパーから自由落下で添加する方法、上部電極を中空電極とし中空部から供給する方法、専用のランスを用いて溶鋼に吹き付ける方法、浸漬ランスを用い溶鋼に直接吹き込む方法、溶湯の撹拌のために設置された底吹き羽口から溶鋼に吹き込む方法等がある。
ここで、種湯のC濃度が0.1質量%未満等の溶鋼の場合、第2工程で添加されるDRIは鉄の融点以上にならないと溶解できない。したがって、種湯のC濃度が0.1質量%未満等の溶鋼のままである場合は、溶解のために多量のエネルギーを要する。また、操業温度は鉄の融点以上となり、操業を安定化するためスーパーヒートを100℃とすると、1650℃という高温状態を保持する必要がある。そのため、耐火物への負荷が大きい。また、種湯のC濃度が0.1質量%未満等の溶鋼のままである場合はDRI中に残留する酸化鉄分は還元されず、高酸化鉄濃度のスラグが生成し、耐火物に悪影響を与える。特に低金属化率のDRIを使用した場合は顕著である。
そこで本実施形態では、第1工程で加炭を行い、種湯をC含有溶湯とする。これにより、添加されたDRIの金属鉄は溶湯中のCにより浸炭され、融点が低下して溶解速度が促進され、生産性が向上する。また、操業温度も種湯のC濃度に応じて低下させることができ、耐火物への負荷が軽減される。また、DRI中の酸化鉄も種湯中のCと反応して還元が促進されるため、生成されるスラグ中の酸化鉄濃度も低位となる。さらに第5工程での脱炭反応にともなって脱窒が促進されるため、低窒素化も可能となる。以上のように、種湯をC含有溶湯とすることにより生産性を向上させることができ、さらに耐火物への負荷も軽減することができる。
ここで、第2工程に入る前に、種湯である溶融鉄のC濃度は0.5質量%以上とすることが好ましい。C濃度が0.5質量%未満である場合は、DRI中の金属鉄の浸炭溶解速度、酸化鉄の還元速度が低下し、生産性が悪化するためである。また、逆に溶融鉄のC濃度が高くなり過ぎた場合、後述する第5工程で脱炭処理の負荷が増大するとともにCO2発生量が増加してしまう。したがって、種湯である溶融鉄のC濃度は1.5質量%以下にすることが好ましい。
次に、第2工程について説明する。第2工程では、シャフト炉やRHFで製造されたDRIを溶解炉に供給し、上部電極と炉底に設置した下部電極との間に電圧を印加してアークを発生させ、DRI中の金属鉄を溶解させるとともにDRIに残存する酸化鉄分の還元を行う。DRIの供給方法は、例えば塊状のものは上部に設置されたホッパーから自由落下で炉内に添加し、粉状のものは上部電極を中空電極とし、中空部から吹き込む方法などが採用できる。第2工程で供給されるDRIは、例えば以下の表1に示す組成のものである。なお、スラグ成分は、SiO2,Al2O3が主成分であり、その他にCaO,MgO,S,P2O5,MnOを含む。また、金属化率は、DRI中の純鉄成分の質量%をmass%M.Feとし、DRI中のFeO成分の質量%をmass%FeOとした場合に、金属化率=mass%M.Fe/(mass%M.Fe+mass%FeO×55.75/71.85)で計算することができる。
第1工程で調整された溶融鉄中のC濃度に対し、第2工程では、さらに石炭や無煙炭等の炭材がDRIの供給速度に合わせて投入される。ここで投入される炭材量は、DRI中の鉄分が溶融鉄のC濃度まで浸炭するのに必要な量とDRI中の酸化鉄(FeO等)を還元するのに必要な量との和がベースとなる。第2工程で投入される炭材は、第1工程で投入される炭材と同様に、一般炭や無煙炭などが挙げられる。以下の表2には、一般炭の組成の例を示し、表3には、無煙炭の組成の例を示す。表2及び表3中のFCは固定炭素(Fixed Carbon)を表し、VMは揮発成分(Volaile Matter)を表す。第1工程および第2工程では、一般炭、無煙炭をそれぞれ単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。また、それ以外の炭材として、廃プラやバイオマスのような炭素源を使用することも可能である。
操業温度は、第1工程で調整された溶融鉄中のC濃度に対し、第2工程で投入される炭材量と前記したDRI中の鉄分が溶融鉄のC濃度まで浸炭するのに必要な量とDRI中の酸化鉄(FeO等)を還元するのに必要な量との和との差に依存する、溶融鉄中のC濃度により決定される。図2は、C濃度による鉄の融点の変化を示すFe−C系状態図である。操業が安定化するためにはスーパーヒートが100℃以上必要と言われており、例えばスーパーヒート100℃で操業を行うには、C濃度が1.5質量%の溶融鉄の場合は融点が1430℃であるため、操業温度は1530℃となる。第2工程では、溶融鉄中のC濃度により決定されるこの操業温度を保つように、炭材とDRIの供給速度に応じて電圧を印加する。
第2工程開始前の炭素含有溶融鉄のC濃度は、前記したように0.5質量%以上1.5質量%以下であることが好ましいが、併せて、第2工程の終了時まで0.5質量%以上1.5質量%以下の範囲内に制御することが一層好ましい。
第2工程開始前の炭素含有溶融鉄のC濃度は、前記したように0.5質量%以上1.5質量%以下であることが好ましいが、併せて、第2工程の終了時まで0.5質量%以上1.5質量%以下の範囲内に制御することが一層好ましい。
次に、第3工程について説明する。産地によって含有量は異なるが、鉄鉱石や石炭には硫黄が含有されている。DRI中の酸化鉄は瞬時に還元されないため、DRI投入終了直後は、スラグ中の酸化鉄濃度は高い。スラグ中の酸化鉄濃度が高い状態では、溶融鉄(以下、メタルと記載する場合がある。)とスラグとの間での硫黄分配は低く、硫黄はスラグよりメタル中に多く存在する。後述の第5工程の脱炭処理では、メタル中の硫黄は除去しにくいため、第3工程及び後述の第4工程を省略すると、脱炭処理終了後の溶鋼の硫黄濃度は高く、低硫鋼製造のニーズを満足しない。また、硫黄は表面活性成分であるため吸着サイトを独占する。したがって、メタル中の硫黄濃度が高いとメタル中から窒素を除去することが困難となり、低窒鋼製造のニーズを満足しない。そのため、第2工程終了後に脱硫処理を行うことが重要である。
第2工程終了(DRI供給終了)後、第3工程において、金属Alや金属Al含有物等の脱酸剤を炉内に添加し、スラグ中の酸化鉄分を還元するとともに、溶融鉄中の酸素を除去する。この状態ではスラグとメタルとの間の硫黄分配は高くなり、硫黄はメタルからスラグに移行し、メタル中の硫黄濃度は低下する。また、溶解炉を直流電気炉とする場合、通常は、上部電極は負極、炉底の下部電極は正極とするが、上部電極を正極、炉底の下部電極を負極として印加すると電気化学的に見掛け上の硫黄分配が高くすることができ、さらに脱硫を促進させることができる。
次に、第4工程について説明する。第3工程の脱硫で形成された脱硫スラグをそのまま残して脱炭処理を行うと、硫黄が再びスラグからメタルに移行(復硫)するため、第4工程では、排滓孔から脱硫スラグを排出する。
次に、第5工程について説明する。第5工程では、炉上部から酸素ランスを炉内に挿入し、溶融鉄に酸素を吹付けることによって脱りん処理および脱炭処理を行い、所定のりん濃度および炭素濃度まで低下させる。脱炭処理では、酸素と溶融鉄中の炭素とが反応してCOガスが発生するが、この時、溶融鉄中に溶解している窒素がCOガスに取り込まれ、溶鉄中から窒素が除去される。
次に、第6工程について説明する。第6工程は、第5工程で生成した脱炭スラグを排出する工程である。第5工程の脱りん処理及び脱炭処理では溶鉄中のりんがスラグに移行する。脱炭スラグを排出してりんを系外に排出しないとりんが濃化し、低P鋼が製造できなくなる。このため、脱炭スラグはできる限り排出する必要がある。
以上のように本実施形態における第1工程〜第7工程により、熱ロスを抑え、かつCO2発生量を抑えて溶鋼を製造することができる。特に、第1工程において、種湯に炭素源を添加して炭素含有溶鉄とすることによりDRIの溶解速度および還元速度を高めて熱ロスを少なくすることができる。これにより、熱源を確保するための炭材の添加を抑えることができ、その結果、CO2発生量も抑えることができる。以下の表4及び表5には、それぞれ各工程でのメタル組成、スラグ組成を示す。
表4に示すように本実施形態では、第2工程では、さらに石炭や無煙炭等の炭材がDRIの供給速度に合わせて投入され、溶鉄中のC濃度は0.1〜1.5質量%の範囲となる。C濃度が抑えられることにより、脱炭処理によるCO2発生量も抑えることができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
まず、前chにおいて、中空電極を有した炉径6mの直流電気炉から溶鋼を出鋼し、20tの溶鋼を直流電気炉に種湯として残した。前chで製造された溶鋼のC濃度は0.05質量%であった。そして、第1工程において、中空電極から炭材を添加し、熱分析でC濃度を測定するCセンサーを内蔵したサブランスプローブでC濃度を測定しながら種湯のC濃度が1.0質量%になるまで加炭した。
続いて、第2工程において、金属化率75%のDRIを炭材とともに添加し、溶解還元を行った。この時、メタル中のC濃度は1.0質量%のままとなるように制御し、操業温度が1570℃になるように制御した。溶解還元時間は30分であり、DRIの添加が終了した時の溶湯量は300t、スラグ量は40tであった。
次いで、第3工程において、脱酸剤としてAl灰を添加して脱硫を行い、脱硫後、第4工程において、直流電気炉の排滓孔から30tのスラグを排出した。その後、第5工程において、炉上部に設置した酸素ランスから送酸して脱炭処理を行い、C濃度が0.05質量%の溶鋼を製造した。第5工程では脱炭とともに脱窒が促進され、製造した溶鋼のN濃度は30ppmであった。そして、第6工程において、脱炭処理によって生成されたスラグを排滓孔から排出した。その後、第7工程において、溶鋼20tを次chの種湯として炉内に残し、残りの280tの溶鋼を出鋼した。
一方、1炉で脱炭まで行わず、溶解還元後の溶銑を出銑し、別炉で脱炭処理を行う2炉方式の場合は、溶解炉からの出銑と脱炭炉への溶銑の装入により少なくとも100℃の温度低下が生じる。これに対し、本実施例ではこの熱ロスがなく、エネルギー原単位の低減を図ることができた。また、C濃度が1.0質量%の状態からの脱炭であったため、2炉方式に比べて脱炭量が少なく、CO2発生量を低減することができた。具体的には以下のとおりである。
本実施例では、C濃度が1.0質量%の溶融鉄300tを0.05質量%まで脱炭したため、
300×(1−0.05)/100/12×22.4=5.3Nm3
のCO2が発生したことになる。
一方、2炉方式の場合、DRIの還元時はC濃度を3.0質量%で実施し、その溶銑を出銑して別炉で脱炭処理を行うものとする。C濃度を3.0質量%としたのは、3.0質量%より低いと、移し替え時の熱ロスがあるため、脱炭処理のC燃焼による発熱だけでは脱炭処理終了時の所定温度に達しないためである。本実施例では280tの溶鋼を出鋼したため、2炉方式では280tの溶銑を脱炭すれば良い。したがって、CO2発生量は、
280×(3−0.05)/100/12×22.4=16.5Nm3
となる。
以上のように本実施例の場合は、2炉方式に比べてCO2発生量を削減できたことが確認できた。
300×(1−0.05)/100/12×22.4=5.3Nm3
のCO2が発生したことになる。
一方、2炉方式の場合、DRIの還元時はC濃度を3.0質量%で実施し、その溶銑を出銑して別炉で脱炭処理を行うものとする。C濃度を3.0質量%としたのは、3.0質量%より低いと、移し替え時の熱ロスがあるため、脱炭処理のC燃焼による発熱だけでは脱炭処理終了時の所定温度に達しないためである。本実施例では280tの溶鋼を出鋼したため、2炉方式では280tの溶銑を脱炭すれば良い。したがって、CO2発生量は、
280×(3−0.05)/100/12×22.4=16.5Nm3
となる。
以上のように本実施例の場合は、2炉方式に比べてCO2発生量を削減できたことが確認できた。
(比較例)
まず、前chにおいて、中空電極を有した炉径6mの直流電気炉から溶鋼を出鋼し、20tの溶鋼を直流電気炉に種湯として残した。前chで製造された溶鋼のC濃度は0.05質量%であった。続いて、第1工程を省略し、第2工程において、金属化率75%のDRIを添加し、溶解還元を行った。この時、操業温度が1640℃と高温にする必要があった上に、溶解還元時間は60分かかってしまった。その後は、実施例と同様の条件により、脱硫処理、脱炭処理などを行った。
まず、前chにおいて、中空電極を有した炉径6mの直流電気炉から溶鋼を出鋼し、20tの溶鋼を直流電気炉に種湯として残した。前chで製造された溶鋼のC濃度は0.05質量%であった。続いて、第1工程を省略し、第2工程において、金属化率75%のDRIを添加し、溶解還元を行った。この時、操業温度が1640℃と高温にする必要があった上に、溶解還元時間は60分かかってしまった。その後は、実施例と同様の条件により、脱硫処理、脱炭処理などを行った。
以上のように比較例では、溶解還元時間が実施例と比べて倍の時間がかかってしまったため、生産性が低下した結果となった。
本発明によれば、電気炉等の溶解炉で特に金属化率が低いDRIを溶解・還元する際に、生産性が高くて熱ロスが少なく、かつCO2発生量の少ない溶鋼の製造方法を提供することができ、工業的価値が大きい。
Claims (3)
- 前chの出鋼時に種湯として電気炉に残した溶鋼に炭素源を添加して炭素含有溶融鉄を得る第1工程と、
前記第1工程で生成された炭素含有溶融鉄にDRIを添加して溶解還元を行う第2工程と、
次いで、脱酸材を添加して脱硫処理を行う第3工程と、
前記第3工程の脱硫処理によって生成された脱硫スラグを排出する第4工程と、
次いで、酸素を吹き込んで脱炭処理を行う第5工程と、
前記第5工程の脱炭処理によって生成された脱炭スラグを排出する第6工程と、
前記第6工程で前記脱炭スラグを排出した後に、次chの種湯分を残して出鋼を行う第7工程と、
を有することを特徴とする溶鋼の製造方法。 - 前記電気炉の炉径をD(m)とした場合に、前記第7工程で残す種湯量W(t)は0.3×D2<W<1.6×D2とすることを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の製造方法。
- 前記第1工程において、C濃度が0.5質量%以上1.5質量%以下の炭素含有溶融鉄を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶鋼の製造方法。
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