以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1の洗濯機1について、図1から図5を参照しながら、説明する。洗濯機1は、洗いステップ、すすぎステップおよび脱水ステップなどからなる洗濯運転を実行する。
図1は、本発明の実施の形態1における洗濯機1の要部断面図である。図2は、洗濯機1の蓋体5を開いた状態の要部断面図である。図3Aおよび図3Bは、洗濯機1の洗い時の動作を示す模式図である。図4は、洗濯機1の脱水動作時の要部断面図である。図5は、洗濯機1の押圧部8の汚れ拭取り時の要部断面図である。なお、図3Aおよび図3Bにおいて、後述する水位検知部17などを省略して記載している。また、図3Aおよび図3Bにおいて、洗浄水の水位をWで示す。
なお、以下では、図中に示す、ハンドル5a側を前方、気液分離部30側を後方、蓋体5側を上方、洗浄槽4側を下方と規定して説明する。
図1から図5において、実施の形態1の洗濯機1は、少なくとも、下部に配置される水槽部6と、上部に配置される蓋体5と、を含む。水槽部6は、所定の深さを有する、例えば方形状に形成される洗浄槽4を含む。洗浄槽4は、上面に形成される開口部3と、底部4aなどを含む。開口部3は、衣類などの洗濯物である被洗浄物2を出し入れ可能な開口を構成する。洗浄槽4の底部4aには、使用者によって被洗浄物2が、形を整えられて収容される。
蓋体5は、水槽部6の上辺の後縁に、ヒンジ部6aによって回動自在に取り付けられる。蓋体5は、内部に、洗浄槽4の開口部3を開閉する蓋部5bを有する。
なお、実施の形態1の洗濯機1の構成は、機械力を作用させて被洗浄物2を洗う一般的な洗濯機において、型崩れし易い被洗浄物2や、痛みやすい被洗浄物2などの、洗濯に対して有効である。具体的な被洗浄物2としては、例えばセーター、カーディガンなどの毛織物や、極細の繊維で作られたデリケートな素材のスカーフなどがある。
また、蓋体5は、前面に設けられるハンドル5aを含む。蓋体5は、使用者がハンドル5aを持って矢印R1方向(図2参照)へ回動させることによって、洗浄槽4の開口部3を開閉する。また、蓋体5は、所定の角度(約60度)に開いた状態で、その状態を保持するように構成される。さらに、蓋体5は、開口部3を閉じると、ロック装置(図示せず)により施錠され、閉じた状態が保持される。蓋体5を開く場合、使用者がハンドル5aを操作することのより、ロック装置が解錠される。
蓋体5は、内側に設けられる加圧減圧部7を含む。なお、実施の形態1の加圧減圧部7は、例えば、2組の第1の加圧減圧部7aと第2の加圧減圧部7bとで構成される。具体的には、第1の加圧減圧部7aは、第1の押圧部8aと、第1のホース9aと、第1の加圧ポンプ10aと、第1の開閉弁11aなどを含む。第2の加圧減圧部7bは、第2の押圧部8bと、第2のホース9bと、第2の加圧ポンプ10bと、第2の開閉弁11bなどを含む。
ここで、以降、第1の加圧減圧部7aおよび第2の加圧減圧部7bを総称して説明する場合、単に、加圧減圧部7と記す。また、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bと、第1のホース9aおよび第2のホース9bと、第1の加圧ポンプ10aおよび第2の加圧ポンプ10bと、第1の開閉弁11aおよび第2の開閉弁11bを総称して説明する場合、単に、押圧部8、ホース9、加圧ポンプ10および開閉弁11と記す。つまり、複数を個別に示すa、bの符号については、特に区別の必要がない限りは、省略して表記する。
上述の加圧減圧部7は、押圧部8と、ホース9と、加圧ポンプ10と、開閉弁11などで構成される。押圧部8は、例えばゴムや合成樹脂など可撓性を有する袋状で、例えば蛇腹状に形成される。加圧ポンプ10は、ホース9を通して、押圧部8と連通する。加圧ポンプ10は、動作時において、ホース9を通して、押圧部8の内部に、気体(例えば、空気など)、または液体(例えば、水、水溶液またはオイルなど)などの流体を供給する。開閉弁11は、開閉動作により、押圧部8に供給される流体を、外部に排出、または、内部に貯溜する。
第1の加圧減圧部7aと第2の加圧減圧部7bは、蓋体5の内側で、例えば前後方向に並べて配設される。加圧減圧部7の押圧部8は、蓋体5の蓋部5bの洗浄槽4側(下方側)に取り付けられ、膨張収縮により伸縮自在に構成される。つまり、押圧部8は、洗浄槽4の底部4aに収容される被洗浄物2に対して、例えば上下方向に、進退自在に構成される。
具体的には、押圧部8は、被洗浄物2を押圧する押圧面8cと、蛇腹状の伸縮部8dと、を含む。押圧部8は、被洗浄物2の洗濯運転時において、押圧面8cが洗浄槽4の底部4aに届く程度まで、伸縮部8dが伸長する。また、押圧部8は、洗濯運転が行われていない不使用時、蓋体5が開かれた状態において、さらに伸長可能に構成される。つまり、図5に示すように、蛇腹状の伸縮部8dが伸びた状態となる。これにより、伸縮部8dは、例えば凹凸の小さい、より平坦な状態まで伸長する。
加圧減圧部7は、押圧部8の内部が所定の圧力になると、開放して外部へ排出する定圧開放弁(図示せず)を、さらに含む。定圧開放弁は、押圧部8が、所定の圧力を超えて加圧されることを防止する。なお、実施の形態1では、押圧部8の内部に供給される流体が、空気の場合を例に説明する。
蓋部5bは、押圧部8の外側に環状に設けられる、変形自在な中空のパッキン12を含む。パッキン12は、蓋体5とともに蓋部5bが閉じられると、洗浄槽4の開口部3の周縁部に沿って凹状に形成されるシール部13と密接する。これにより、洗浄槽4の内部は、水密かつ気密の空間になる。そのため、洗濯運転時に、洗浄槽4の開口部3から、水や空気などの外部への漏れが防止される。
蓋体5には、洗浄槽4に洗浄水を供給する給水経路16が配設される。給水経路16には、給水弁14が配設され、洗剤ケース15を介して、洗浄槽4の内部と連通する。給水弁14の開閉動作により、洗浄槽4の内部への水道水(洗浄水)の給水と停止が行われる。
水位検知部17は、洗浄槽4の内部に連通して設けられる。水位検知部17は、洗浄槽4内に溜められる洗浄水の水位を検知する。
水位検知部17は、上方に開口部を有する水位検知槽18と、フロート19と、水位スイッチ20などを含む。フロート19は、水位検知槽18内の水位の変動に応じて上下動する。水位スイッチ20は、洗浄水の供給により、フロート19が所定の位置まで上昇すると、それを検知する。
洗浄槽4は、底部4aに形成され、洗いステップなどで使用される洗浄水を排出する排水孔21を含む。排水孔21は、排水弁22が配設される排水経路23と連通する。排水弁22の開閉により、洗浄槽4の内部の洗浄水の排水と停止が、実行される。
また、水槽部6は、溢水経路24を含む。溢水経路24は、洗浄槽4の内部の洗浄水の水位が所定以上になったときに、洗浄槽4から洗浄水を外部に排水する経路を構成する。溢水経路24は、洗浄槽4の上部に開口する溢水孔24aを有し、排水弁22の下流側で排水経路23と接続される。
溢水経路24には、逆止弁(図示せず)が配設される。逆止弁は、溢水経路24において、洗浄槽4からの排出方向では開放し、洗浄槽4への流入方向では封止(閉塞)するように動作する。つまり、逆止弁は、洗いステップおよびすすぎステップにおいて、溢水孔24aから流出した洗浄水を通過させて外部へ排出する。また、逆止弁は、すすぎステップおよび脱水ステップでの脱水動作時において、後述する吸引ポンプ27で洗浄槽4の内部の空気が吸引された場合、溢水経路24を通して、外気が洗浄槽4の内部へ流入することを防止する。
さらに、洗浄槽4は、底部4aの略中央部(中央部を含む)に設けられる吸引口25を含む。吸引口25は、洗浄槽4の内部に被洗浄物2がセットされたときに、被洗浄物2によって覆われる。吸引口25は、脱水経路26に連通して設けられる。
吸引部である吸引ポンプ27は、後述する気液分離部30および吸引経路32を介して、脱水経路26に連通して配設される。吸引ポンプ27は、被洗浄物2から、洗浄水などを吸引する。
吸引ポンプ27によって被洗浄物2から洗浄水が吸引されると、洗浄槽4の内部の空気も吸引される。そのため、洗浄槽4の外部から内部に外気を導入する外気導入部28が配設される。なお、外気導入部28は、洗浄槽4の内部に溜められる洗浄水の水位より上方側に開口が形成される構成であれば、配設位置は任意でよい。例えば、図1、図2、図4および図5では、外気導入部28は、洗浄槽4の内部と連通する水位検知部17の上方側に配設している。また、図3Aおよび図3Bでは、外気導入部28は、洗浄槽4の上方側に配設している。
外気導入部28は、風量調整弁29を備える。風量調整弁29は、洗浄槽4内に導入される外気の風量を調節する。風量調整弁29は、例えばニードルバルブのように流路に狭小な風路面積部を有する。風路面積部の調整により、吸引ポンプ27によって洗浄槽4内に吸引される外気の風量の調整が可能に構成される。なお、洗浄槽4に導入される外気は、洗濯機1の外部から、直接、導入してもよい。また、洗濯機1の内部空間を経由して、洗浄槽4に外気を導入する構成としてもよい。
脱水経路26には、気液分離部30が配設される。気液分離部30は、洗浄槽4内の空気と、被洗浄物2から吸引した洗浄水とを分離し、吸引した洗浄水を貯水する。具体的には、気液分離部30は、耐圧容器で構成される貯水部30aを含む。貯水部30aは、上方に形成される、脱水経路26と連通する二次側通風口31と、吸引経路32を通して吸引ポンプ27と連通する一次側通風口33を含む。一次側通風口33と二次側通風口31との間には、障壁34が設けられる。障壁34は、気液分離部30の天面から下方へ突出して形成される。障壁34は、二次側通風口31から気液分離部30内に吸引された洗浄水が、一次側通風口33へ浸入することを防止する。
気液分離部30は、底部に設けられる脱水排水口35を有する。脱水排水口35は、開閉自在な脱水排水弁36を有する脱水排水経路37と連通する。
また、気液分離部30は、内壁の所定の高さ位置に設けられる水量検知部38を備える。具体的には、水量検知部38が設けられる高さ位置は、貯水部30aに貯水可能な最大水位に対して1/2から4/5の範囲内が望ましい。
水量検知部38は、例えば1対の電極などで構成される。水量検知部38は、気液分離部30の貯水部30aに貯水される洗浄水が、所定量に達したことを検知する。つまり、水量検知部38が洗浄水を検知すると、後述する制御部41は、脱水排水弁36を開く。これにより、洗浄水が、脱水排水経路37を通して、機外へ排水される。
ここで、洗浄水に泡が含まれる場合、泡が障壁34に付着して残ると臭いの要因になる。この泡残りを防ぐために、水量検知部38は、洗浄水が検知されるときに、障壁34の下端と洗浄水面との間に一定空間が存在する位置に配設される。すわなち、水量検知部38は、洗浄水に含まれる泡の量を考慮した所定量を検知する。
また、蓋体5は、蓋体5の開成を検知する開成検知部39を備える。開成検知部39は、蓋体5と水槽部6が対向する位置で、蓋体5の前方の側面と蓋部5bとの間に配設される。開成検知部39は、例えばマイクロスイッチやリードスイッチなどで構成される。つまり、開成検知部39は、蓋体5が図2の矢印R1方向へ回動されると、蓋体5が開成されたことを検知する。なお、開成検知部39は、使用者が蓋体5を開くときのハンドル5a操作によるロック装置の解錠によって、蓋体5の開成を検知する構成でもよい。
また、実施の形態1の押圧部8は、蓋体5が開かれた状態において、さらに伸長可能に構成される。そのため、使用者が押圧部8の伸長動作を設定する伸長設定部40を、操作表示部42に設けている。伸長設定部40は、開成検知部39で蓋体5の開成状態を検知した場合、使用者の手動操作により、押圧部8の、さらなる伸長が可能に構成される。なお、伸長設定部40は、操作表示部42と、別に、単独で設けてもよい。
開成検知部39および伸長設定部40の出力信号は、後述する制御部41に入力される。
制御部41は、蓋体5の内部の前方の側面部に配設される。制御部41は、上面に、操作表示部42が配設される。制御部41は、入力される情報に基づいて、各種構成要素を制御して、洗濯運転を実行する。
具体的には、制御部41は、水位検知部17で検知した洗浄槽4内の洗浄水の水位、水量検知部38で検知した貯水部30a内の洗浄水の量などの情報が入力される。
そして、制御部41は、それらの入力情報に基づいて、加圧ポンプ10、開閉弁11、給水弁14、排水弁22、吸引ポンプ27、風量調整弁29、脱水排水弁36などの動作を制御する。これにより、制御部41は、洗いステップ、すすぎステップおよび脱水ステップなどの各ステップを逐次制御して、洗濯運転を実行する。なお、制御部41は、例えばマイクロコンピュータなどで構成される。
また、制御部41は、蓋体5が開かれた状態において、使用者が伸長設定部40を操作すると、加圧ポンプ10を駆動して、押圧部8を、さらに伸長させるように制御する。なお、蓋体5が開かれた状態とは、例えば洗濯前または洗濯後などの、洗濯運転が実行されていないときに相当する。
このとき、図5に示す押圧部8の伸長量である伸長長さ(L2)は、洗濯運転時において、図4に示す被洗浄物2を押圧しているときの伸長量である伸長長さ(L1)よりも、大に設定される。これにより、伸長した状態の押圧部8は、押圧面8cおよび伸縮部8dが、蓋部5bから外方へ、さらに露出するように構成される。
以上のように、実施の形態1の洗濯機1は構成される。
以下、上記構成の洗濯機1の動作および作用について、説明する。
まず、使用者は、蓋体5の上面前部に設けられる操作表示部42を介して、洗濯コースの選択や各ステップの動作時間などを入力する。これにより、制御部41は、入力された設定内容に基づいて、例えば洗いステップ、すすぎステップ、脱水ステップの各ステップの一連の動作を洗濯コースとして、実行する。このとき、使用者は、例えば洗いステップのみを実行するなどの内容を任意に設定できる。なお、上記設定作業は、後述する被洗浄物2を洗浄槽4内の底部4aにセットした後に行ってもよい。
つぎに、使用者は、蓋体5のハンドル5aを操作して、洗浄槽4と蓋体5とを施錠するロック装置を解錠する。その後、使用者は、蓋体5を開いて洗浄槽4の底部4aに被洗浄物2の形を整えて、少なくとも吸引口25を覆うようにセットする。このとき、被洗浄物2の大きさによっては、折り畳んでセットしてもよい。
つぎに、被洗浄物2のセットが完了すると、使用者は、洗浄槽4の開口部3を蓋体5で閉じて、ロック装置により洗浄槽4と蓋体5とを施錠する。
そして、制御部41は、操作表示部42で設定された洗濯コースに応じて、洗濯運転を開始する。
以下、洗濯機1の動作および作用について、説明する。
はじめに、洗濯コースとして、洗いステップのみが設定された場合の洗濯機1の動作および作用について、説明する。
洗いステップにおいて、制御部41は、例えば給水動作および洗い動作を実行する。
まず、洗いステップにおいて、制御部41は、給水動作を行う。つまり、制御部41は、給水弁14を開放する。給水弁14の開放により、洗剤ケース15を経由して、給水経路16から洗浄槽4の内部に、洗浄水として、水道水と洗剤が供給される。洗浄槽4に供給された洗浄水は、徐々に被洗浄物2の内部に浸透する。これにより、被洗浄物2の繊維の間に、洗浄水が含まれた状態となる。
つぎに、制御部41は、洗浄槽4の内部の所定の水位まで、洗浄水が供給されたか否かを、水位検知部17の水位スイッチ20で監視する。そして、所定の水位まで洗浄水が供給されたことを、水位スイッチ20で検知すると、制御部41は、給水弁14を閉止する。
給水動作が終わると、洗いステップにおいて、制御部41は、洗い動作を実行する。つまり、制御部41は、まず、第1の加圧減圧部7aの第1の開閉弁11aを閉じる。そして、制御部41は、所定時間、または、第1の押圧部8aが所定圧に到達するまで、第1の加圧ポンプ10aを駆動する。これにより、第1の押圧部8aの内部に空気が供給され、第1の押圧部8aが膨張する。
具体的には、図3Aに示すように、第1の押圧部8aの内部への空気の供給により、第1の押圧部8aの伸縮部8dが、下方に伸長し、第1の押圧部8aが被洗浄物2に向かって伸びる。これにより、第1の押圧部8aの下方にセットされた被洗浄物2が、第1の押圧部8aの押圧面8cで押圧され、押圧された被洗浄物2の部分が圧縮される。そのため、被洗浄物2の厚みが薄くなる。このとき、制御部41は、第2の加圧減圧部7bの第2の開閉弁11bを開放し、第2の押圧部8bを収縮可能な状態にする。
つまり、第1の押圧部8aの膨張により、被洗浄物2が圧縮されて、体積が変化する。これにより、被洗浄物2の内部に含まれる洗浄水が、被洗浄物2から押し出される。このとき、被洗浄物2の内部で水流が発生する。その結果、水流により、被洗浄物2に付着していた汚れが、繊維などから離れて除去される。
また、被洗浄物2に含まれる洗浄水は、被洗浄物2の内部で、第1の押圧部8aの下方から第2の押圧部8bの下方へ、つまり、図3Aの矢印Aで示される方向へ移動する。このとき、移動する洗浄水により、第2の押圧部8bの下方の被洗浄物2を、例えば上方に膨張させながら、第2の押圧部8bの押圧面8cを上方へ押し上げる。これにより、開放されている第2の開閉弁11bから、第2の押圧部8bの内部の空気が排出される。その結果、第2の押圧部8bが収縮する。
つぎに、制御部41は、第2の加圧減圧部7bの第2の開閉弁11bを閉じる。そして、制御部41は、所定時間、または、第2の押圧部8bが所定圧に到達するまで、第2の加圧ポンプ10bを駆動する。これにより、第2の押圧部8bの内部に空気が供給され、第2の押圧部8bが膨張する。
具体的には、図3Bに示すように、第2の押圧部8bの内部への空気の供給により、第2の押圧部8bの伸縮部8dが、下方に伸長し、第2の押圧部8bが被洗浄物2に向かって伸びる。そして、第2の押圧部8bの下方にセットされた被洗浄物2が、第2の押圧部8bの押圧面8cで押圧され、押圧された被洗浄物2の部分が圧縮される。そのため、被洗浄物2の厚みが薄くなる。このとき、制御部41は、第1の加圧減圧部7aの第1の開閉弁11aを開放し、第1の押圧部8aを収縮可能な状態にする。
つまり、第2の押圧部8bの膨張により、被洗浄物2が圧縮されて、体積が変化する。これにより、被洗浄物2の内部に含まれる洗浄水が、被洗浄物2から押し出される。このとき、被洗浄物2の内部で水流が発生する、その結果、水流により、被洗浄物2に付着していた汚れが、繊維などから離れて除去される。
また、被洗浄物2に含まれる洗浄水は、被洗浄物2の内部で、第2の押圧部8bの下方から第1の押圧部8aの下方へ、つまり、図3Bの矢印Bで示される方向へ移動する。このとき、移動する洗浄水により、第1の押圧部8aの下方の被洗浄物2を、例えば上方に膨張させながら、第1の押圧部8aの押圧面8cを上方へ押し上げる。これにより、開放されている第1の開閉弁11aから、第1の押圧部8aの内部の空気が排出される。その結果、第1の押圧部8aが収縮する。
つまり、洗い動作においては、第1の押圧部8aと第2の押圧部8bとを、交互に、異なるタイミングで膨張と収縮とを所定時間、繰り返す。これにより、被洗浄物2に対して、押し洗い効果が発揮される。そのため、被洗浄物2に対して、撹拌や叩き洗いなどによる機械力が作用しない。つまり、被洗浄物2の内部に、多方向に移動する水流を発生させる。これにより、機械力を作用させることなく、被洗浄物2の汚れが除去される。ここで、上述の膨張と収縮の異なるタイミングは、具体的には、例えば、第1の押圧部8aの膨張による加圧1秒、第2の押圧部8bの収縮による減圧1秒である。また、所定の時間は、例えば10分程度である。なお、膨張と収縮の異なるタイミングおよび所定時間は、上記値に限られないことは言うまでもなく、被洗浄物2の状態に応じて、任意に設定される。
以上のように、洗濯コースとして、洗いステップのみが実行される。
以下に、洗いステップ、すすぎステップ、脱水ステップを一貫して実行する洗濯コースが設定された場合について、説明する。
この場合、制御部41は、まず、上述の洗いステップを実行する。
そして、洗いステップに続いて、制御部41は、すすぎステップ、脱水ステップを、順に実行する。
すすぎステップにおいて、制御部41は、例えば、脱水動作および溜めすすぎ動作を実行する。以下、すすぎステップにおける脱水動作を中間脱水動作と記す。
つまり、制御部41は、中間脱水動作において、まず、排水弁22を開放して排水を行う。これにより、洗浄槽4内の洗浄水が、排水孔21から排水経路23を通して、外部に排水される。
排水が終わると、制御部41は、中間脱水動作において、圧縮を行う。つまり、制御部41は、排水弁22を開放した状態で、第1の開閉弁11aおよび第2の開閉弁11bを閉じて、第1の加圧ポンプ10aおよび第2の加圧ポンプ10bを駆動する。これにより、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bが膨張し、被洗浄物2が押圧されて圧縮される。その結果、被洗浄物2が含む洗浄水の一部が、被洗浄物2から押し出され、排水孔21から強制的に排出される。
圧縮が終わると、制御部41は、中間脱水動作において、吸引を行う。つまり、制御部41は、被洗浄物2を押圧した状態で、排水弁22を閉じて、吸引ポンプ27を駆動する。これにより、風量調整弁29を介して、外気導入部28から洗浄槽4の内部に外気が導入される。導入された外気により、洗浄槽4内の洗浄水と空気が、吸引口25から吸引され、脱水経路26を通して、気液分離部30に運ばれる。さらに、吸引された空気は、吸引ポンプ27によって、外部へ排出される。一方、洗浄水は、気液分離部30の貯水部30aに溜められる。これにより、被洗浄物2の脱水が進行する。
すすぎステップにおいて、制御部41は、脱水動作のつぎに、溜めすすぎ動作を実行する。
溜めすすぎ動作においては、制御部41は、まず、給水を行う。制御部41は、給水弁14を開放し、洗浄槽4の内部に所定量の洗浄水を供給する。このとき、洗剤ケース15内の洗剤は、上述の洗いステップですべて使用済みである。したがって、溜めすすぎ動作時の洗浄水は、水道水である。
その後、上述の洗い動作と同様に、制御部41は、第1の加圧ポンプ10aおよび第2の加圧ポンプ10bを駆動し、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの膨張と収縮とを、交互に、繰り返し実行する。これにより、被洗浄物2の内部の洗浄水の洗剤濃度が、希釈される。
以上で、すすぎステップが終了する。
そして、制御部41は、上記すすぎステップを、複数回(例えば、2回)、繰り返し実行する。このとき、1回目のすすぎステップと、2回目のすすぎステップの間においても、上記と同様の中間脱水動作が実行される。
つぎに、制御部41は、すすぎステップを実行した後、脱水ステップを実行する。脱水ステップにおいては、脱水動作が実行される。以下、脱水ステップにおける脱水動作を最終脱水動作と記す。
つまり、制御部41は、脱水ステップにおいて、まず、すすぎステップで使用した洗浄水の排水を行う。
具体的には、制御部41は、排水弁22を開放する。これにより、洗浄槽4の内部の洗浄水が、排水孔21から排水経路23を通して、外部に排水される。このとき、制御部41は、風量調整弁29を開いて、外気導入部28を開放する。これにより、洗浄槽4の内部が外部と連通され、外気が導入される。そして、外気の導入により、洗浄水が円滑に外部に排出される。このとき、第1の開閉弁11aおよび第2の開閉弁11b、および脱水排水弁36は、閉じられている。
排水が終わると、制御部41は、最終脱水動作において、圧縮を行う。つまり、制御部41は、まず、排水弁22を開放する。そして、制御部41は、第1の開閉弁11aおよび第2の開閉弁11bの両方を閉じた状態で、第1の加圧ポンプ10aおよび第2の加圧ポンプ10bの両方を、ほぼ同時(同時を含む)に駆動する。これにより、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの内部に空気が供給され、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの膨張により被洗浄物2が押圧されて、圧縮される。その結果、被洗浄物2に含まれる洗浄水の一部が、強制的に排出され、排水孔21から排水経路23を通して、外部に排水される。
つまり、実施の形態1の押圧部8の構成および作用により、被洗浄物2に押圧面8cを密着させて均一に押圧することができる。これにより、被洗浄物2の内部に含まれる洗浄水を、強制的に押し出すことができる。
圧縮が終わると、制御部41は、最終脱水動作において、吸引を行う。つまり、制御部41は、第1の加圧ポンプ10aおよび第2の加圧ポンプ10bを停止させ、所定時間T1(例えば、1分)後、押圧部8で被洗浄物2を押圧した状態で、排水弁22を閉じ、吸引ポンプ27を駆動する。これにより、洗浄槽4の内部の空気と水が、吸引口25、脱水経路26を介して、気液分離部30内に吸引される。そのため、吸引により、図4に示す洗浄槽4内が、大気圧より減圧される。そして、押圧部8内の圧力と洗浄槽4内の圧力との圧力差によって、被洗浄物2が押圧される。
さらに、風量調整弁29を介して、外気導入部28から洗浄槽4の内部に外気が導入され、押圧された被洗浄物2の内部に外気が侵入する。このとき、洗浄槽4内部の圧力は、例えば定圧開放弁などによって、所定の圧力に保たれる。そのため、被洗浄物2は、一定の圧力で加圧された状態が維持される。
また、外気導入部28から洗浄槽4の内部に導入された外気は、被洗浄物2の繊維の間に留まっている洗浄水を押し出しながら一緒に吸引され、吸引口25へ移動する。このとき、外気によって吸引口25まで運ばれる洗浄水は、表面張力により、被洗浄物2の繊維に留まろうとする。しかし、外気の気流によるせん断力によって、洗浄水は被洗浄物2の繊維から分離され、洗浄槽4の吸引口25から脱水経路26を通して、気液分離部30へ運ばれる。
そして、二次側通風口31から気液分離部30へ流入した洗浄水と吸引された空気の内、空気のみが気液分離部30の上部の一次側通風口33から、吸引ポンプ27により排出される。一方、洗浄水は、自重により、二次側通風口31から落下し、気液分離部30の貯水部30aに貯水される。このとき、一次側通風口33と二次側通風口31との間に設けられた障壁34により、洗浄水の一次側通風口33への浸入が阻止される。そのため、吸引ポンプ27への洗浄水の浸入が、未然に防止される。
なお、通常、吸引される洗浄槽4の内部の洗浄水と空気は、最も抵抗の少ない経路を通過する。そのため、脱水の進行に伴って、被洗浄物2に洗浄水を含まない短絡経路ができると、形成された短絡経路に空気の流れが集中し、洗浄水の吸引が進まなくなる。
しかしながら、実施の形態1の洗濯機1では、被洗浄物2は、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bによって、常時、一定の圧力で加圧されている。そのため、上記短絡経路の形成が抑制される。これにより、洗浄槽4の内部に導入される外気とともに、洗浄水の吸引脱水が、停滞することなく進行する。つまり、実施の形態1の洗濯機1は、吸引ポンプ27により押圧部8を膨張させ、被洗浄物2に押圧部8の押圧面8cを密着させて均一に押圧する。その結果、被洗浄物2の内部に外気が導入されて、所望の脱水性能を得ることができる。
つぎに、制御部41は、洗浄水が排水されると、開いていた脱水排水弁36を閉じる。そして、制御部41は、吸引ポンプ27を駆動して、洗浄槽4に導入される外気とともに洗浄水を、所定時間T2(例えば、4分)吸引する。そして、所定時間T2が経過すると、制御部41は、開閉弁11を開くとともに、加圧ポンプ10および吸引ポンプ27の駆動を停止する。これにより、押圧部8内の空気が、開閉弁11を介して、外部に排出される。
そして、被洗浄物2は、押圧部8による押圧が解除され、脱水ステップの最終脱水動作が終了する。
上記一連の動作により、脱水ステップが終わると、制御部41は、貯水部30aに溜まった洗浄水を、脱水排水経路37を通して排出し、洗濯コースを終了する。
なお、中間脱水動作においても、上記最終脱水動作と同様の脱水動作を行う。ここで、中間脱水動作には、すすぎステップにて行われる中間脱水動作、および複数回繰り返し実行するすすぎステップの間で行われる中間脱水動作を含む。また、上記所定時間T1および所定時間T2は、各々の中間脱水動作においても、最適値に設定される。
なお、洗いステップ後に行われる中間脱水動作および最終脱水動作において、貯水部30aに貯水される洗浄水は、各ステップの進行とともに、徐々に増加する。そこで、実施の形態1では、脱水動作時において、制御部41は、水量検知部38で、気液分離部30の貯水部30aの貯水量を監視する。そして、所定量を超えた洗浄水(水及び/又は泡)の貯溜を水量検知部38で検知すると、制御部41は、吸引ポンプ27の駆動を停止する。ほぼ同時(同時を含む)に、制御部41は、閉じていた脱水排水弁36を開く。これにより、貯水部30aに溜まった泡と洗浄水が、脱水排水口35から脱水排水経路37を通して、外部へ排水される。
つぎに、上記洗濯コースが終了し、洗濯運転が終わると、使用者は、蓋体5を開いて、被洗浄物2を洗浄槽4から取り出す。このとき、実施の形態1の洗濯機1は、洗濯運転を行っていないとき(非使用時)、蓋体5を開いた状態に保持することができるように構成されている。
そこで、制御部41は、開成検知部39で、蓋体5が開かれた状態か否かを検知する。そして、開成検知部39で蓋体5の開放を検知すると、使用者による伸長設定部40の手動操作が可能になる。このとき、使用者が伸長設定部40を操作すると、押圧部8が伸長する。この操作により、押圧部8の最下部である押圧面8cが、図5に示すように、洗濯運転時の押圧動作よりも、さらに伸長された状態で外方へ露出する。
つまり、制御部41は、開成検知部39の出力と、伸長設定部40の出力とに基づいて、押圧部8を、さらに伸長させるように構成される。これにより、使用者は、被洗浄物2を洗浄槽4から取り出した後に、押圧部8の押圧面8cや伸縮部8dに付着した汚れを、伸縮部8dが伸びた状態で拭取ることができる。その結果、押圧部8を、長期間に亘って、清浄な状態に維持できる。
なお、押圧部8に付着した汚れを拭取る際においては、図5に示すように、蓋体5を矢印R2方向へ回動させ、図中の2点鎖線で示す略垂直位置(垂直位置を含む)まで開くことが好ましい。これにより、使用者は、押圧部8の汚れを、より一層、容易に拭取ることができる。
また、実施の形態1のように、押圧部8が、複数設けられている構成の場合、伸長設定部40によって、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bのいずれか一方を収縮させた状態で、他方の伸長が可能な構成としてもよい。これにより、使用者は、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの、互いに近接した部分の汚れを、片方ずつ、容易に、かつ、より確実に拭取ることができる。
さらに、例えば洗濯機1の使用間隔が空いた場合、使用者は、洗濯運転を実行する前に、押圧部8の汚れを拭取ることも可能である。
なお、実施の形態1では、加圧減圧部7を、可撓性を有する押圧部8と、押圧部8の内部に空気を供給して膨張させる加圧ポンプ10と、押圧部8の内部の空気を排出して収縮させる開閉弁11とで構成する例で説明したが、これに限られない。例えば、開閉弁11に代えて減圧ポンプを設け、減圧ポンプを介して、押圧部8を収縮させて減圧する構成としてもよい。さらに、加圧ポンプ10を逆転回転させることにより、加圧ポンプ10を減圧ポンプとして利用してもよい。
また、実施の形態1では、押圧部8の内部に供給されて押圧部8を膨張させる流体として空気を例に説明したが、これに限られない。例えば、窒素ガスやアルゴンガスなどの安全性の高い他の気体でも、さらに液体でもよい。気体の場合、実施の形態1のように周囲の空気を加圧ポンプ10などで吸気すればよく、また、排気するときの制約も少なくなるため、構成上などにおいて都合がよい。一方、液体の場合、例えば水、水溶液またはオイルなどを使用することができる。液体の場合、液体を溜める貯溜部があると、さらに望ましい。つまり、液体は、空気より密度が高く、気体のように弾性が大きくないため、押圧部8を確実に膨張させることができる。
以上のように、実施の形態1の洗濯機1は、被洗浄物2と洗浄水を収容する洗浄槽4と、洗浄槽4に収容される被洗浄物2に対して進退自在に設けられる押圧部8と、押圧部8を有し洗浄槽4の開口部3を開閉する蓋体5を含む。さらに、洗濯機1は、洗濯機1の洗濯運転を制御する制御部41を含む。そして、押圧部8は、伸縮自在な伸縮部8dを有し、蓋体5が開かれた状態において、洗濯運転時よりも、さらに伸長可能に構成される。
この構成によれば、機械力の作用による洗いや、絞りなどの洗濯が不適切な被洗浄物2に対して、伸縮自在な押圧部8により被洗浄物2に押圧力を作用させる。これにより、被洗浄物2の洗いや脱水を良好に行うことができる。また、押圧部8のさらなる伸長動作により伸縮部8dをより平坦化して、押圧部8に付着する汚れなどを、容易に拭取ることができる。これにより、長期間に亘って、清潔な状態を保持できる洗濯機が得られる。つまり、蓋体5が開かれた状態において、押圧部8を、洗濯運転時よりも、さらに伸長させることができる。これにより、押圧部8の伸縮部8dが、さらに伸びた状態で、押圧部8に付着した汚れなどを、より確実に拭取ることができる。
また、実施の形態1の洗濯機1の押圧部8は、蓋体5が開かれた状態における伸長長さL2が、洗濯運転時における被洗浄物2の押圧時の伸長長さL1より、大に設定される。
この構成によれば、被洗浄物2の押圧時においては、押圧部8を介して、被洗浄物2に対して所望の押圧力を作用させることができる。そして、汚れなどの拭取り時においては、押圧部8を十分に伸長させて、押圧部8に付着する汚れなどを容易に拭取ることができる。
また、実施の形態1の洗濯機1の押圧部8は、蓋体5が開かれた状態の伸長時において、洗浄槽4の開口部3の上方で、蓋体5から外方へ露出するように構成される。
この構成によれば、押圧部8を、開口部3の上方で、露出させることができる。これにより、押圧部8の伸縮部8dに付着した汚れなどを、容易に拭取ることができる。
また、実施の形態1の洗濯機1は、押圧部8の伸長動作を設定する伸長設定部40と、蓋体5の開成を検知する開成検知部39とを有する。制御部41は、伸長設定部40の出力と、開成検知部39の出力に基づいて、押圧部8を伸長するように構成される。
この構成によれば、蓋体5の開成が検知され、使用者が伸長設定部40を操作すると、押圧部8の、さらなる伸長が可能となる。これにより、使用者の誤操作による、押圧部8の誤動作を防止できる。
また、実施の形態1の洗濯機1は、被洗浄物2から洗浄水を吸引する吸引ポンプ27と、洗浄槽4の内部に外気を導入する外気導入部28とを有する。制御部41は、押圧部8による被洗浄物2の押圧と押圧解除により、被洗浄物2を収縮膨張させて押し洗いを行う。さらに、制御部41は、吸引ポンプ27により、洗浄水と、外気導入部により導入された外気とを、吸引して脱水を実行するように構成される。
この構成によれば、機械力の作用による洗いや、絞りなどの洗濯が不適切な被洗浄物2に対して、洗い動作では、被洗浄物2を押圧して押し洗いを実行する。そして、脱水動作では、被洗浄物2から洗浄水を吸引して、吸引脱水を実行する。これにより、被洗浄物2を痛めることなく、洗い動作と、脱水動作を、効果的に実行できる。
また、実施の形態1の洗濯機1の制御部41は、洗い動作において、押圧部8による被洗浄物2の押圧と押圧解除により、被洗浄物2を収縮膨張させ、被洗浄物2の内部に多方向の水流が発生するように構成される。
この構成によれば、被洗浄物2を撹拌することなく、被洗浄物2の内部で多方向の水流を発生させる。これにより、機械力の作用による洗濯が不適切な被洗浄物2に対して、布傷みや型崩れを抑制し、高い洗浄効果を得ることができる。
また、実施の形態1の洗濯機1は、洗浄槽4内の被洗浄物2に対して進退自在な押圧部8を有する加圧減圧部7を有し、加圧減圧部7は、膨張収縮自在な複数の押圧部8(第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8b)と、押圧部8の内部に空気を供給する加圧ポンプ10と、押圧部8内の空気を排出する開閉弁11を含む。制御部41は、洗い動作において、少なくとも1つの第1の押圧部8aの膨張時において、他の第2の押圧部8bを収縮させ、異なるタイミングで膨張収縮するように加圧減圧部7を制御する。そして、制御部41は、脱水動作において、複数の押圧部8を、ほぼ同時(同時を含む)に膨張させて被洗浄物2を押圧するとともに、吸引ポンプ27により洗浄水と、導入された外気とを、吸引するように構成される。
この構成によれば、機械力の作用による洗いや、絞りなどの洗濯が不適切な被洗浄物2に対して、布傷みや型崩れを抑えて、良好に洗浄を行うことができる。さらに、被洗浄物2に対して、ねじりなどの機械力を加えずに、良好に脱水を実行できる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2の洗濯機1について、図6から図7Bを参照しながら、説明する。
図6は、本発明の実施の形態2における洗濯機1の押圧部8の汚れ拭取り時の要部断面図である。図7Aおよび図7Bは、洗濯機1の洗い時の動作を示す模式図である。
実施の形態2の洗濯機1は、押圧部8を覆う膜体43を、さらに有する点で実施の形態1とは異なる。なお、図7Aおよび図7Bにおいて、水位検知部17などを省略して記載している。
実施の形態2において、外気導入部28は、膜体43と洗浄槽4の内部と連通するように配設している。実施の形態1と同様に、外気導入部28は、風量調整弁29を備える。他の構成は、実施の形態1と同じであるため、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は、実施の形態1を援用する。
つまり、実施の形態2の膜体43は、図6に示すように、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bを覆うように配設される。膜体43は、例えばゴムや合成樹脂などの可撓性を有する材料により、例えば厚さが1ミリから3ミリ程度の薄い膜で形成される。さらに、膜体43は、開口部を有する袋状に形成される。膜体43は、袋状の底部が第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの押圧面8cと対向するように被せられる。膜体43の開口部周縁43aは、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの伸縮部8dの外側で、洗浄槽4の開口部3の周縁と対向する蓋部5bに固着される。
そして、膜体43は、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの伸長時において、押圧面8cに押圧され、弛んだ状態から伸張する。
蓋体5は、膜体43で囲われた内部の空気を外部へ放出する解放穴44を有する。解放穴44は、並置される第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの間に位置する蓋部5bに形成される。これにより、解放穴44は、膜体43の略中央部(中央部を含む)で、膜体43内と、外部とを連通させる。そして、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの伸縮に伴って、形状が変化する膜体43に対応して、空気の置換が行われる。
以上のように、実施の形態2の洗濯機1は構成される。
上記構成の洗濯機1は、図7Aおよび図7Bに示す動作および作用により、洗濯コースの洗いステップが実行される。
なお、実施の形態2の洗濯機1の洗いステップは、図3Aおよび図3Bを用いて説明した実施の形態1の洗濯機1と同様であるので、詳細な説明は省略する。つまり、実施の形態2の洗濯機1は、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの伸縮動作に伴って、膜体43が伸縮動作し、膜体43を挟んで被洗浄物2の押圧動作が実行される。
また、洗いステップに続いて、実行される、すすぎステップおよび脱水ステップなどの各ステップも、実施の形態1の洗濯機1と同様であるので、説明は省略する。
なお、実施の形態2では、膜体43と、押圧部8である第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bとが自由に伸縮できる構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの押圧面8cと、押圧面8cと対向する膜体43の底部と、を連結する構成としてもよい。これにより、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの伸縮に連動して、膜体43の底部を、被洗浄物2に対して進退自在に構成できる。つまり、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bの収縮時において、膜体43は、収縮動作に連動し、押圧面8cとともに被洗浄物2から離れる方向に移動する。そのため、洗いステップおよびすすぎステップにおいて、被洗浄物2の膨張、収縮を、より的確に実行できる。これにより、洗浄性能を向上させることができる。
以上のように、実施の形態2の洗濯機1は、押圧部8を覆う膜体43を有する。そして、膜体43は、押圧部8の伸長に伴って、伸張するように構成される。
この構成によれば、押圧部8は、膜体43で覆われる。そのため、押圧部8の蛇腹状の伸縮部8dが、洗浄槽4に対して露出することなく保護できる。これにより、洗浄水に含まれる洗剤成分や、被洗浄物2から洗い落とされた汚れなどの押圧部8への付着を、確実に防止できる。その結果、押圧部8を、長期に亘って、清潔な状態に保持できる。
さらに、洗濯運転を実行していない非使用時において、蓋体5を開いた状態で、押圧部8を、さらに伸長させることができる。このとき、膜体43は、押圧部8の伸長により付勢されて伸張する。そのため、押圧部8により支持されて伸長する膜体43の洗浄槽4側の表面が、平坦な安定した状態で伸張する。これにより、膜体43に付着した水滴や汚れなどを、より容易に拭き取ることができる。その結果、膜体43を、長期に亘って、清潔な状態に保持できる。
また、実施の形態2の洗濯機1は、押圧部8を複数有する。そして、膜体43は、複数の押圧部8を内包するように構成される。
この構成によれば、膜体43は、押圧部8である複数の第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bにより支持される。そのため、安定した状態で、膜体43に付着した汚れなどを、容易に拭取ることができる。さらに、膜体43により、交互に伸縮する、第1の押圧部8aおよび第2の押圧部8bとの間への被洗浄物2の噛み込みを防止できる。
なお、上記の各実施の形態は、他の実施の形態と組み合わせて実施することができる。
以上で説明したように、本発明の洗濯機は、被洗浄物と洗浄水を収容する洗浄槽と、洗浄槽に収容された被洗浄物に対して進退自在に設けられた押圧部と、押圧部を有し洗浄槽の開口部を開閉する蓋体を含む。さらに、洗濯機は、洗濯機の洗濯運転を制御する制御部を含む。そして、押圧部は、伸縮自在な伸縮部を有し、蓋体が開かれた状態において、洗濯運転時よりも、さらに伸長可能に構成される。
この構成によれば、機械力の作用による洗いや、絞りなどの洗濯不適切な被洗浄物に対して、伸縮自在な押圧部により被洗浄物に押圧力を作用させる。これにより、被洗浄物の洗いや脱水を良好に行うことができる。さらに、押圧部に付着する汚れなどを容易に拭取ることが可能で、清潔な状態に保持できる。また、蓋体が開かれた状態において、洗濯運転時よりも、押圧部を、さらに伸長させることができる。これにより、押圧部の伸縮部が、さらに伸びた状態で、押圧部に付着した汚れなどを、より確実に拭取ることができる。
また、本発明の洗濯機の押圧部は、蓋体が開かれた状態における伸長量が、洗濯運転時における被洗浄物の押圧時の伸長量より、大に設定することが望ましい。
この構成によれば、被洗浄物の押圧時においては、押圧部を介して、被洗浄物に対して所望の押圧力を作用させることができる。そして、汚れなどの拭取り時においては、押圧部を十分に伸長させて、押圧部に付着する汚れなどを容易に拭取ることができる。
また、本発明の洗濯機の押圧部は、蓋体が開かれた状態での伸長時において、洗浄槽の上方で、蓋体から外方へ露出する構成が望ましい。
この構成によれば、押圧部を、開口部の上方で、露出させることができる。これにより、押圧部の伸縮部に付着した汚れなどを容易に、より確実に拭取ることができる。
また、本発明の洗濯機は、押圧部を覆う膜体を有する。膜体は、押圧部の伸長にともなって伸張する構成が望ましい。
この構成によれば、押圧部は、膜体で覆われる。そのため、押圧部の蛇腹状の伸縮部が、洗濯槽に対して露出することなく保護できる。これにより、洗浄水に含まれる洗剤成分や、被洗浄物から洗い落とされた汚れなどの押圧部への付着を、確実に防止できる。その結果、押圧部を、長期に亘って、清潔な状態で保持できる。さらに、洗濯を実行していない非使用時において、蓋体を開いた状態で、押圧部を伸長させすることができる。このとき、膜体は、押圧部の伸長により付勢されて伸張する。そのため、押圧部により支持されて伸長する膜体の洗浄槽側の表面が、平坦な安定した状態で伸張する。これにより、膜体に付着した水滴や汚れなどを、より容易に拭き取ることができる。その結果、膜体43を、長期に亘って、清潔な状態に保持できる。
また、本発明の洗濯機は、押圧部を複数有する。そして、膜体は、複数の押圧部を内包する構成が望ましい。
この構成によれば、膜体は、複数の押圧部により支持される。そのため、安定した状態で、膜体に付着した汚れなどを、容易に拭取ることができる。さらに、膜体により、交互に伸縮する押圧部間への被洗浄物の噛み込みを防止できる。
また、本発明の洗濯機は、押圧部の伸長動作を設定する伸長設定部と、蓋体の開成を検知する開成検知部とを有する。制御部は、伸長設定部の出力と、開成検知部の出力に基づいて、押圧部を伸長させる構成が望ましい。
この構成によれば、蓋体の開成が検知され、使用者が伸長設定部を操作すると、押圧部の、さらなる伸長が可能となる。これにより、使用者の誤操作による、押圧部の誤動作を防止できる。
また、本発明の洗濯機は、被洗浄物から洗浄水を吸引する吸引部と、洗浄槽の内部に外気を導入する外気導入部とを有する。制御部は、押圧部による被洗浄物の押圧と押圧解除により、被洗浄物を収縮膨張させて押し洗いを実行する。さらに、制御部は、吸引部により、洗浄水と、外気導入部により導入された外気とを、吸引して脱水を実行する構成が望ましい。
この構成によれば、機械力の作用による洗いや、絞りなどの洗濯が不適切な被洗浄物に対して、洗い動作では、被洗浄物を押圧して押し洗いを実行する。そして、脱水動作では、被洗浄物から洗浄水を吸引して吸引脱水を実行する。これにより、被洗浄物を痛めることなく、洗い動作と、脱水動作を、効果的に実行できる。