JPWO2019202758A1 - 筒型リニアモータ - Google Patents

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Abstract

本発明の筒型リニアモータ(M1)は、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁(6)と、界磁(6)の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ(9)と、インナーチューブ(9)内に移動自在に挿入されるロッド(11)と、ロッド(11)に装着される電機子(A)と、ロッド(11)に設けられるとともにインナーチューブ(9)の内周に摺接して電機子(A)の界磁(6)に対する移動を案内するスライダ(12),(13)とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、筒型リニアモータに関する。
筒型リニアモータは、たとえば、JP2009−213192Aに開示されているように、直線方向に伸びるベースと、ベースに対して前記直線方向にS極とN極とが交互に並ぶように取付けられた複数の永久磁石とでなる界磁と、前記界磁に対して前記直線方向に移動可能に設けられた電機子とを備えている。
具体的には、従来の筒型リニアモータは、筒状のセンターヨークとセンターヨークの外周に装着される複数の環状の永久磁石とを備えた界磁と、筒状のコアと前記コアの内周に設けた複数のスロットに収容される巻線とを備えて内周側に前記界磁が挿入される電機子とを備えている(たとえば、特許文献1参照)。
従来の筒型リニアモータでは、推力を向上させるために界磁の磁力を大きくすると、コアと永久磁石との間に発生する吸着力によってセンターヨークが撓んで、コアに対して永久磁石が偏心して推力が低下してしまう可能性がある。
そこで、本発明は、界磁に対する電機子の偏心を防止して安定して推力を発生できる筒型リニアモータの提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の筒型リニアモータは、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁と、界磁の内周に配置される非磁性体のインナーチューブと、インナーチューブ内に移動自在に挿入されるロッドと、ロッドに装着される電機子と、ロッドに設けられるとともにインナーチューブの内周に摺接して電機子の界磁に対する移動を案内するスライダとを備えている。このように構成された筒型リニアモータは、界磁と電機子との間に非磁性体のインナーチューブが配置されており、ロッドに設けたスライダがインナーチューブの内周に摺接しているので、電機子の推力方向の移動が案内されるとともに界磁に対する径方向の偏心が抑制される。
図1は、第一の実施の形態における筒型リニアモータの縦断面図である。 図2(A)は、第一の実施の形態における筒型リニアモータのインナーチューブの側面図である。図2(B)は、第一の実施の形態における筒型リニアモータのインナーチューブの斜視図である。 図3は、第一の実施の形態の筒型リニアモータのティース部分の縦断面図である。 図4は、コアの単独のコギング推力の波形を示した図である。 図5は、コアの単独のコギング推力の波形を示した図である。 図6は、コアの単独のコギング推力の波形を示した図である。 図7は、コアの単独のコギング推力の波形を示した図である。 図8は、末端ティースの幅の変化とコギング推力の変化を説明する図である。 図9は、第一の実施の形態の第一変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。 図10は、第一の実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。 図11(A)は、第一の実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータのインナーチューブの側面図である。図11(B)は、第一の実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータのインナーチューブの斜視図である。 図12は、第一の実施の形態の第三変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。 図13は、第二の実施の形態における筒型リニアモータの縦断面図である。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。なお、以下に説明する各実施の形態の筒型リニアモータM1,M2,M3,M4,M5において共通する構成については同じ符号を付し、説明の重複を避けるために、一の実施の形態の筒型リニアモータM1の説明において説明した構成については他の実施の形態の筒型リニアモータM2,M3,M4,M5における説明では詳細な説明を省略する。
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態における筒型リニアモータM1は、図1に示すように、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6と、界磁6の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ9と、インナーチューブ9内に移動自在に挿入されるロッド11と、ロッド11に装着される電機子Aと、ロッド11に設けられるとともにインナーチューブ9の内周に摺接して電機子Aの界磁6に対する移動を案内するスライダ12,13とを備えている。
以下、筒型リニアモータM1の各部について詳細に説明する。まず、可動子である電機子Aについて説明する。電機子Aは、本実施の形態では、二つのコア2A,2Bを備えている。コア2A,2Bは、ともに同形状とされており、円筒状のヨーク3と、環状であってヨーク3の外周に設けた複数のティース4a,4bとを備えて構成されてロッド11の外周に軸方向に並べて装着されており、可動子とされている。つまり、筒型リニアモータM1は、電機子Aが可動子として駆動され、コア2A,2Bの軸方向を推力発生方向としている。
各コア2A,2Bにおけるヨーク3は、図1に示すように、円筒状であって、その外周には、軸方向に間隔を空けて設けられる複数のティース4a,4bが設けられている。本実施の形態では、図1に示すように、ヨーク3の外周に10個のティース4a,4bが、軸方向に等間隔に並べて設けられており、ティース4a,4b間およびティース4b,4b間に巻線5が装着される空隙でなるスロット18が形成されている。
また、ティース4a,4bは、ヨーク3の両端にそれぞれ配置されて設けられた二つの末端ティース4a,4aと、末端ティース4a,4a間に配置されて設けられた8つの中間ティース4bとで構成されている。つまり、一つのコア2A(2B)に対してコア2A(2B)の移動方向となる軸方向の両端に末端ティース4a,4aが設けられ、末端ティース4a,4a間に各中間ティース4bが設けられている。また、本実施の形態では、末端ティース4a及び中間ティース4bは、環状とされている。
中間ティース4bは、本実施の形態では、図3に示すように、軸方向において内周端の幅yiより外周端の幅yが狭い等脚台形状とされており、軸方向で両側の側面が外周端に対して等角度で傾斜するテーパ面とされている。そして、中間ティース4bをコア2A,2Bの軸線Jを含む面で切断した断面において、中間ティース4bの側面がコア2A,2Bの軸線Jに直交する直交面Oとでなす内角θは、6度から12度の範囲となる角度に設定されている。
また、末端ティース4aは、図3に示すように、中間ティース側の側面が中間ティース4bの側面と同形状とされるとともに反中間ティース側の側面がコア2A,2Bに軸線Jに直交する面を持つ台形状とされている。つまり、末端ティース4aにおける中間ティース側の側面はテーパ面となっており、この側面がコア2A,2Bの軸線Jに直交する直交面Oとでなす内角θが中間ティース4bの側面が前記直交面Oとでなす内角θと等しくなっている。また、末端ティース4aの反中間ティース側の側面は、コア2A,2Bの軸線Jに直交する面とされており、側面と外周端とでなす角度は90度になっている。
また、本実施の形態では、各コア2A,2Bにおける図1中で隣り合うティース4a,4bの間、つまり、末端ティース4aと中間ティース4bとの間および中間ティース4b,4b間には、空隙でなるスロット18が合計で18個設けられている。そして、全スロット18には、巻線5が巻き回されて装着されている。巻線5は、U相、V相およびW相の三相巻線とされている。各コア2A,2Bの全18個のスロット18には、それぞれ、図1中左側から順に、W相、W相、W相およびV相、V相、V相、V相よびU相、U相、U相、U相およびW相、W相およびV相、V相、V相、V相およびU相、U相、U相、U相およびW相、W相、W相の巻線5が装着されている。
そして、このように構成されたコア2A,2Bは、出力軸である非磁性体で形成されたロッド11の外周に装着されている。具体的には、コア2A,2Bは、ロッド11の外周に固定される環状のスライダ12,13とで挟持されてロッド11に固定されている。スライダ12,13の外周には、ウェアリング12a,13aが装着されている。また、コア2A,2B間には、ロッド11の外周に固定される非磁性体で形成されるスペーサ14が介装されており、コア2Aとコア2Bは、間隔Kを空けてロッド11に固定されている。また、スライダ12,13およびスペーサ14の外径は、コア2A,2Bの外径よりも大径に設定されている。そして、このように構成された電機子Aは、筒状の界磁6内に推力方向である軸方向へ移動自在に挿入される。本実施の形態の場合、スペーサ14によってコア2Aとコア2Bとの間に間隔Kの磁気的なギャップが設けられている。
図1中で左側のスライダ12と同じく左側のコア2Aとは、この両方に嵌合するピン24によって、ロッド11回りの相対回転が規制されている。また、図1中で右側のスライダ13と同じく右側のコア2Bとは、この両方に嵌合するピン25によって、ロッド11回りの相対回転が規制されている。さらに、コア2Aとスペーサ14とは、この両方に嵌合するピン26によって、ロッド11回りの相対回転が規制され、コア2Bとスペーサ14とは、この両方に嵌合するピン27によって、ロッド11回りの相対回転が規制される。本実施の形態では、スライダ12,13と電機子Aとのロッド11回りの相対回転を規制する回転規制部は、前記ピン24,25とされている。また、スペーサ14とコア2A,2Bとのロッド11回りの相対回転を規制するスペーサ回転規制部は、ピン26,27とされている。なお、回転規制部およびスペーサ回転規制部は、ピン24,25,26,27に限られず、前記相対回転の規制が可能であれば構造は限定されない。よって、たとえば、ロッド11に対してスライダ12,13、コア2A,2Bおよびスペーサ14を回り止めして、スライダ12,13、コア2A,2Bおよびスペーサ14の互いの相対回転を規制する場合、回転規制部は、キーとキー溝、スプライン、セレーションといった回転防止機構を採用してもよい。このように、回転規制部およびスペーサ回転規制部は、ロッド11に対してもスライダ12,13、コア2A,2Bおよびスペーサ14の周方向の回り止めとして機能してもよい。
さらに、図1中右方のスライダ13には、ロッド11を軸方向から見てスライダ13の外周よりも径方向へ突出する突起を備えた規制部材28が取り付けられている。なお、規制部材28は、後述するインナーチューブ9の切欠9a内に挿入可能であって永久磁石10a,10bに干渉しないようになっていればよく、ロッド11に不動に取付けられていればよい。よって、スライダ13を介さずに直接ロッド11に取付けられてもよく、取り付け方についても螺子締結、溶接等、種々の方法を採用できる。
他方、固定子Sは、本実施の形態では、円筒状の非磁性体で形成されるアウターチューブ7と、アウターチューブ7内に挿入される円筒状の軟磁性体で形成されるバックヨーク8と、バックヨーク8内に軸方向に交互に積層されて挿入される環状の主磁極の永久磁石10aと環状の副磁極の永久磁石10bとを備えた界磁6とで構成されている。そして、この界磁6の永久磁石10a,10bの内周には、非磁性体のインナーチューブ9が設けられている。つまり、永久磁石10a,10bは、バックヨーク8とインナーチューブ9の間の環状隙間に収容されている。
なお、図1中で主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bに記載されている三角の印は、着磁方向を示しており、主磁極の永久磁石10aの着磁方向は径方向となっており、副磁極の永久磁石10bの着磁方向は軸方向となっている。主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bは、ハルバッハ配列で配置されており、界磁6の内周側では、軸方向にS極とN極が交互に現れるように配置されている。
また、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1は、副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2よりも長くなっており、本実施の形態では、0.2≦L2/L1≦0.5を満たすように、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1と副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2が設定されている。主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を長くすればコア2A,2Bとの間の主磁極の永久磁石10aとの間の磁気抵抗を小さくできコア2A,2Bへ作用させる磁界を大きくできるので筒型リニアモータM1の推力を向上できる。また、本実施の形態の筒型リニアモータM1では、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さを副磁極の永久磁石10bの軸方向長さよりも長くして筒型リニアモータM1の推力の向上を図っているが、永久磁石10a,10bの軸方向長さは任意に変更できる。また、界磁6は、ハルバッハ配列以外の配列で配置される永久磁石で構成されてもよい。
また、本発明の筒型リニアモータM1では、永久磁石10a,10bの外周にバックヨーク8を設けている。バックヨーク8を設けると副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2を短くしても磁気抵抗の低い磁路を確保できるため、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を長くする際の筒型リニアモータM1の推力を効果的に向上できる。より詳しくは、永久磁石10a,10bの外周にバックヨーク8を設けると、磁気抵抗の低い磁路を確保できるので副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2の短縮に起因する磁気抵抗の増大が抑制される。よって、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2よりも長くするとともに永久磁石10a,10bの外周に筒状のバックヨーク8を設けると筒型リニアモータM1の推力を大きく向上させ得る。バックヨーク8の肉厚は、主磁極の永久磁石10aの外部磁気抵抗の増大を抑制に適する肉厚に設定されればよい。なお、バックヨーク8を設けると磁気抵抗の増大を抑制できるが、バックヨーク8の省略も可能である。
なお、副磁極の永久磁石10bは、主磁極の永久磁石10aより高い保磁力を有する永久磁石とされている。永久磁石における残留磁束密度と保磁力は、互いに密接に関係しており、一般的に残留磁束密度を高めると保磁力は低くなり、保磁力を高めると残留磁束密度が低くなるという、互いに背反する関係にある。ハルバッハ配列では、副磁極の永久磁石10bには減磁方向に大きな磁界が印加されるため、副磁極の永久磁石10bの保磁力を高くして減磁を抑制し、大きな磁界をコア2A,2Bに作用させ得るようにしている。対して、コア2A,2Bに対して作用する磁界の強さは、主磁極の永久磁石10aの磁力線数に左右される。そのため、主磁極の永久磁石10aに高い残留磁束密度の永久磁石を使用して大きな磁界をコア2A,2Bに作用させるようにしている。本実施の形態では、副磁極の永久磁石10bを主磁極の永久磁石10aよりも保磁力を高くするのに際して、副磁極の永久磁石10bの材料を主磁極の永久磁石10aの材料よりも保磁力が高い材料としている。よって、材料の選定によって、主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bの組合せを簡単に実現できる。なお、本実施の形態では、主磁極の永久磁石10aは、ネオジム、鉄、ボロンを主成分とする残留磁束密度が高い材料で構成され、副磁極の永久磁石10bは、前記材料にジスプロシウムやテリビウム等の重希土類元素の添加量を増やした減磁しにくい磁石で構成されている。
また、固定子Sの内周側には、電機子Aが挿入されており、界磁6は、電機子Aに磁界を作用させている。なお、界磁6は、電機子Aの可動範囲に対して磁界を作用させればよいので、電機子Aの可動範囲に応じて永久磁石10a,10bの設置範囲を決定すればよい。したがって、アウターチューブ7とインナーチューブ9との環状隙間のうち、電機子Aに対向し得ない範囲には、永久磁石10a,10bを設置しなくともよい。なお、バックヨーク8の長さは、永久磁石10a,10bを積層した長さと等しい長さとされており、永久磁石10a,10bがコア2A,2Bのストローク範囲外に磁界を作用させて推力低下を招かないように配慮されている。
また、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の図1中左端はキャップ15によって閉塞されており、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の図1中右端は環状のヘッドキャップ16によって閉塞されている。ヘッドキャップ16は、内径がロッド11の外径よりも大径であって、内周にダストシール16aを備えており、内周にロッド11が挿通されている。そして、ダストシール16aは、ヘッドキャップ16の内周に移動自在に挿入されるロッド11の外周に摺接してロッド11の外周をシールしている。
インナーチューブ9は、図1および図2に示すように、図中で右端から開口して軸方向に沿って設けられる切欠9aを備えている。また、インナーチューブ9の内周には、ロッド11とロッド11の外周に装着された電機子A、スライダ12,13およびスペーサ14が軸方向へ移動可能に挿入されている。また、インナーチューブ9の切欠9a内には、規制部材28における突起が挿入される。このように電機子Aが界磁6内に挿入されると各コア2A,2Bが界磁6における8つ磁極に対向するので、筒型リニアモータM1は、8極9スロットのリニアモータとされている。
また、インナーチューブ9の内周面には、ウェアリング12a,13aを装着したスライダ12,13が摺接しており、スライダ12,13によって電機子Aはロッド11とともに界磁6に対して偏心せずに軸方向へスムーズに移動できる。
スライダ12,13の軸方向の両端における外周にはそれぞれ面取りが施されてリードインチャンファ12c,13cが形成されている。このようにスライダ12、13が軸方向の両端にリードインチャンファ12c,13cを備えていると、ロッド11に外部からモーメントや横力が作用してインナーチューブ9に対してスライダ12,13が傾いてもインナーチューブ9の内周面をスライダ12,13がかじってインナーチューブ9の内周面を荒らしてしまうのを防止できる。よって、筒型リニアモータM1は、長期間にわたりスムーズに伸縮作動できる。
なお、規制部材28がインナーチューブ9に軸方向に沿って設けられる切欠9a内に挿入されているので、電機子Aの周方向への回転を規制しつつも電機子Aの軸方向へ移動は妨げられない。規制部材28の切欠9a内に挿入される突起の幅は、切欠9aの周方向幅よりも若干小さくなっており、規制部材28が切欠9a内で円滑に移動でき、電機子Aの移動の抵抗とならないように配慮されている。インナーチューブ9に設けられた切欠9aの全長は、インナーチューブ9内で電機子Aが最大にストロークしても規制部材28がインナーチューブ9の切欠9aの端部の内壁に衝合しないようになっている。
インナーチューブ9は、電機子Aの外周と各永久磁石10a,10bの内周との間にギャップを形成するとともに、スライダ12,13と協働して電機子Aの軸方向移動を案内する役割を果たしている。このように、界磁6に対して電機子Aの偏心が防止されるので、電機子Aの偏心による推力低下も阻止され、筒型リニアモータM1は安定して推力を発生できる。なお、スペーサ14は、本実施の形態では、インナーチューブ9の内周に摺接してはいないが、ロッド11に過大な径方向の外力が作用してロッド11が撓んでもコア2A,2Bに先立ってインナーチューブ9に当接する。よって、コア2A,2Bのインナーチューブ9への干渉が阻止され、電機子Aを保護できる。
なお、インナーチューブ9は、非磁性体で形成されればよいが、合成樹脂で形成されると筒型リニアモータM1の推力密度向上効果が高くなる。インナーチューブ9を非磁性体の金属で製造すると、電機子Aが軸方向へ移動する際にインナーチューブ9の内部に渦電流が生じて、電機子Aの移動を妨げる力が発生してしまう。これに対して、インナーチューブ9を合成樹脂とすれば渦電流が生じないので筒型リニアモータM1の推力をより効果的に向上できるとともに、筒型リニアモータM1の質量を低減できる。インナーチューブ9を合成樹脂とする場合、フッ素樹脂で製造すればスライダ12,13のウェアリング12a,13aとの間の摩擦および摩耗を低減できる。また、インナーチューブ9を他の合成樹脂で形成してもよく、また、摩擦および摩耗を低減するべく他の合成樹脂で形成されたインナーチューブ9の内周をフッ素樹脂でコーティングしてもよい。
前述のように電機子Aの両端に設けられたスライダ12,13をインナーチューブ9に摺接させているので、電機子Aの界磁6に対する偏心の防止と電機子Aの軸方向(推力方向)の円滑な移動が保証され、筒型リニアモータM1は、安定して推力を発生できる。また、筒型リニアモータM1は、界磁6の内周に非磁性体のインナーチューブ9を備えているので、筒型リニアモータM1の界磁6内に電機子Aを挿入する際に電機子Aが永久磁石10a,10bに吸引されて貼り付いてしまうのを防止できる。よって、インナーチューブ9を設けると、電機子Aが永久磁石10a,10bに吸引されて貼り付いてしまって筒型リニアモータM1の組立が不能となってしまう事態が回避され、筒型リニアモータM1の組立作業も容易となる。
本実施の形態では、スライダ12,13をインナーチューブ9に摺接させて電機子Aの界磁6に対する偏心の防止と移動を案内しているが、スペーサ14をインナーチューブ9に摺接させて、スライダ12,13と共に電機子Aの偏心と移動を案内してもよい。また、ヘッドキャップ16の内周にロッド11の外周に摺接する筒状の軸受を設けて、スライダ12,13と共に電機子Aの偏心の防止と移動を案内してもよい。
なお、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の軸方向長さは、電機子Aの軸方向長さよりも長く、電機子Aは、界磁6内の軸方向長さの範囲で図1中左右へストロークできる。
また、キャップ15には、巻線5に接続されるケーブルCを外部の図示しない電源に接続するコネクタ15aを備えており、外部電源から巻線5へ通電できるようになっている。具体的には、巻線5は、前述のようにU相、V相およびW相の三相巻線とされて前述の如くコア2A,2Bのスロット18に装着されているので、ケーブルCと各相の巻線5とが引出線5bを介して接続される。
同一のコア2A,2Bに設けられたスロット18に装着される同相の巻線5同士は渡り線5aによって接続される。コア2Aの渡り線5aは、スペーサ14を軸方向に貫通する通孔14a内を通してコア2Bの外周を軸方向に横断するように配置される。また、コア2Aに装着される各相の巻線5からの渡り線5aとコア2Bに装着される各相の巻線5の渡り線5aは、それぞれスライダ13の通孔13bを通して外部へ取り出されて結線されている。
このように、コア2A,2BのU相、V相およびW相の各巻線5は、それぞれY結線されており、結線箇所が中立点とされている。つまり、コア2Aの同相の巻線5同士は渡り線5aによって各相毎に直列に接続され、コア2Bの同相の巻線5同士は渡り線5aによって各相毎に直列に接続され、コア2Aとコア2Bの巻線5は、外部電源に対して並列に接続されている。このようにコア2Aの巻線5とコア2Bの巻線5は、外部電源に対して並列接続されているので、各コア2A,2Bの巻線5に効率よく電圧を印加でき大きな電流を供給でき、筒型リニアモータ1の推力を向上できる。なお、コア2A,2Bの各相も巻線を同相で直列に接続するようにしてもよい。
さらに、コア2Aに装着される各相の巻線5とコア2Bに装着される各相の巻線5は、スライダ12の通孔12bを通して外部のケーブルCに接続される引出線5bに接続される。よって、ケーブルCを介して外部の電源から各相の巻線5へ電力供給が可能となっている。このように、渡り線5aは、スライダ12の左方からスライダ13の右方へ延びている。また、コア2Bの巻線5へ接続される引出線5bは、コア2Aの外周を横断するように配置される。スライダ12,13、スペーサ14およびコア2A,2Bが相対回転すると、渡り線5aおよび引出線5bに引張などの負荷が作用するが、スライダ12,13、スペーサ14およびコア2A,2Bがピン24,25,26,27によってロッド11回りの相対回転が規制されるので、渡り線5aおよび引出線5bに前記引張などの負荷が作用しないので、渡り線5aおよび引出線5bの断線が防止され巻線5への通電が不能となる事態の発生を防止できる。
また、電機子Aがインナーチューブ9に設けた切欠9aと規制部材28とで、インナーチューブ9に対して周方向への回転が規制されるので、ケーブルCが捩じれて断線する心配もない。
そして、たとえば、巻線5の界磁6に対する電気角をセンシングし、前記電気角に基づいて通電位相切換を行うとともにPWM制御により、各巻線5の電流量を制御すれば、筒型リニアモータM1における推力と電機子Aの移動方向とを制御できる。なお、前述の制御方法は、一例でありこれに限られない。このように、本実施の形態の筒型リニアモータM1では、電機子Aが可動子であり、界磁6は固定子として振る舞う。また、電機子Aと界磁6とを軸方向に相対変位させる外力が作用する場合、巻線5への通電、あるいは、巻線5に発生する誘導起電力によって、前記相対変位を抑制する推力を発生させて筒型リニアモータM1に前記外力による機器の振動や運動をダンピングさせ得るし、外力から電力を生むエネルギ回生も可能である。
ここで、図3において末端ティース4aの外周端の軸方向の幅をWとし、中間ティース4bの外周端の軸方向の幅をyとし、xを正の値とすると、末端ティース4aの外周端の軸方向の幅Wは、W=(y/2)+xとしている。つまり、末端ティース4aの幅Wは、y/2以上とされている。中間ティース4bの外周端の幅をyとしているので、末端ティース4aの外周端の幅Wは、磁路断面積の観点からy/2以上の長さが必要である。そして、xを0とした場合、つまり、末端ティース4aの幅Wをy/2とした場合のコア2A,2Bの軸方向長さをコア2A,2Bの基本長とすると、コア2A,2Bの基本長は、界磁6の磁極ピッチPの8倍の長さに設定されている。ここで、磁極ピッチPは、図1に示すように設定されている。
そして、末端ティース4aの外周端の幅Wを、前述の通り、W=y/2+xとして、xを変化させると、それぞれのコア2A,2Bの端効果によるコギング推力は変化する。xの値を0とすると、つまり、コア2A,2Bを基本長とすると、界磁6に対するコア2A,2Bの位置(deg)に対するコギング推力は、綺麗な正弦波とならず、図4に示すように、コア2A,2Bの位置が0度から360度(2磁極ピッチ相当)までの範囲で2周期分の乱れた単位波が現れる波形となっている。コア2A,2Bの左右の末端ティース4aにて端効果が現れるので、コア2A,2Bのコギング推力は、左右の末端ティース4aの端効果のコギング推力を合成したものとなる。
そして、xの値を増加させていくと徐々にコギング推力の波形における単位波が正弦波に近づくように変化し、コギング推力の波形は或る値x1で略綺麗な正弦波形となる。この或る値x1では、図5に示すように、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲でコギング推力の波形は、正弦波が2周期分現れる波形となる。
xの値をx1からさらに増加させていくとコギング推力の波形は乱れて正弦波とはならず、図6に示すように、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲で4周期分の乱れた単位波が現れる波形となる。そして、xの値をさらに増加させていくと徐々にコギング推力の波形は正弦波形に近づくように変化し、或る値x2で略綺麗な正弦波形となる。この或る値x2では、図7に示すように、コア2A,2Bの位置が0度から360度の範囲でコギング推力の波形は、正弦波が4周期分現れる波形となる。
xの値をx2からさらに増加させていくとコギング推力の波形は乱れて正弦波とはならず、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲で8周期分の乱れた単位波が現れる波形となるが、やがては略綺麗な正弦波が8周期分が現れる波形となる。
このようにxの値によって各コア2A,2Bのコギング推力の波形は変化し、コギング推力の波形が正弦波となるxの値があるが、xの値が大きくなるにつれてコア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲でコギング推力の波形の波の数は多くなっていく。
そして、xの値がx1或いはx2となる場合、各コア2A,2Bのコギング推力の波形がきれいな正弦波となる。よって、コア2Aのコギング推力の正弦波形に対してコア2Bのコギング推力の正弦波形が逆位相となるように、コア2Aとコア2Bの間の間隔を調節すれば、コア2Aのコギング推力をコア2Bのコギング推力で打ち消して電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。
コギング推力の波形がコア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲で正弦波が二つ現れる波形の場合、コア2Aのコギング推力をコア2Bのコギング推力で打ち消すには、コア2Aに対してコア2Bを軸方向に90度或いは270度離間させればよい。一般化すれば、コア2Aに対してコア2Bを90+180n(ただし、n=0、1、2・・・)を演算して求めた度数だけ離間させればよい。コア2A,2Bの末端ティース4aの幅Wのうち、長さxは電気角に影響を与えない。よって、コア2Aに対してコア2Bを軸方向に(90+180n)度離間させるには、コア2Aとコア2Bとの間の間隔の長さをKとし、K=z−2xとするとき、値zが(90+180n)度分のずれを生じさせる長さに設定されればよい。90度は、磁極ピッチをPとすると、P/2に相当する長さとなり、270度は、3P/2に相当する長さとなる。よって、値zが(1+2n)P/2(ただし、n=0、1、2・・・)を満たす値となればよい。
また、コギング推力の波形がコア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲で正弦波が4つ現れる波形の場合、コア2Aのコギング推力をコア2Bのコギング推力で打ち消すには、コア2Aに対してコア2Bを軸方向に45度、135度、225度或いは315度離間させればよい。一般化すれば、コア2Aに対してコア2Bを45+90n(ただし、n=0、1、2・・・)を演算して求めた度数だけ離間させればよい。コア2A,2Bの基本長が磁極ピッチPの整数倍に設定されているので、コア2Aに対してコア2Bを軸方向に(45+90n)度離間させるには、コア2Aとコア2Bとの間の間隔の長さをKとし、K=z−2xとするとき、値zが(45+90n)度分のずれを生じさせる長さに設定されればよい。たとえば、45度は、磁極ピッチをPとすると、P/4に相当する長さとなり、135度は、3P/4に相当する長さとなる。よって、値zが(1+2n)P/4(ただし、n=0、1、2・・・)を満たす値となればよい。
このように、xの値をx1或いはx2として末端ティース4aの幅Wを設定し、xの値に基づいてzの値を求め、値zからコア2Aとコア2Bの間の間隔Kを設定すれば、電機子Aのコギング推力を極小さくできる。なお、電機子Aのコギング推力を低減するには、xの値をコア2A,2Bの単独コギング推力の波形を正弦波とする値に設定するほうがよいが、xの値がそのような値に設定されなくとも電機子A全体のコギング推力を低減できる。
xの値に応じて適宜間隔Kをコギング推力を低減できるように設定するのを条件として、xの値に応じて電機子Aの全体のコギング推力がどのように変化するかを調べた結果を図8に示す。図8は、末端ティース4aの外周端の幅Wをy/2とした場合の電機子A全体のコギング推力を基準として、xの値の変化に対して電機子Aの全体のコギング推力がどのように変化するかを示したグラフである。なお、図8のグラフは、xの値がx2未満である場合、値zを(1+2n)P/2(ただし、n=0、1、2・・・)とし、xの値がx2以上である場合、値zを(1+2n)P/4(ただし、n=0、1、2・・・)とした結果を表している。
図8から理解できるように、末端ティース4aの外周端の幅Wは、y/2より大きくすれば、筒型リニアモータM1のコギング推力は低下する。よって、末端ティース4aの外周端の軸方向の幅Wは、W>y/2を満たすように設定すれば、筒型リニアモータM1のコギング推力を低減できる。また、図8に示すように、縦軸をコギング推力とし、xの値を横軸に採ると、コギング推力は、コア2A,2Bの単独のコギング推力の波形が正弦波となる値x1,x2で周期的に最小値を採るように推移する。
前述したように、コア2A,2Bの末端ティース4aの幅Wをy/2+xとすると、xの値によってコア2A,2Bの単独のコギング推力の波形がコア2A,2Bの位置が0度から360度の範囲で何周期分の単位波が現れるのかが分かるので、xの値に基づいて間隔Kを最適化すれば電機子Aの全体のコギング推力を低減できる。また、xの値を最適化してコア2A,2Bの単独のコギング推力の波形が正弦波とすれば、電機子Aのコギング推力を最小化できる。
よって、末端ティース4aの幅WをW=y/2とした場合のコア2A,2Bの軸方向長さである基本長を磁極ピッチPの整数倍とし、末端ティース4aの幅Wをコギング推力の低減に適するよう幅に設定し、xの値に基づいてコア2A,2B間の間隔Kを適宜設定すればコギング推力を低減できる。
本実施の形態の場合、スペーサ14によってコア2Aとコア2Bとの間に磁気的に間隔Kの隙間を設けており、スペーサ14の軸方向の幅を間隔Kに設定している。よって、xの値に基づいてzの値を求めて、K=z−2xを演算して、スペーサ14の軸方向の幅を決定すればよい。また、スペーサ14を省略する場合には、ロッド11の外周にコア2A,2Bを間隔Kだけ軸方向に離して固定するようにしてもよい。
前述の通り、値xは、コギング推力を最小にするx1,x2に設定されれば最適となるが、たとえば、前記幅Wがy/2とされた場合のコギング推力に対してコギング推力が50%以下となる範囲内の値を得られるように設定されてもよい。このように設定しても、筒型リニアモータM1のコギング推力は、末端ティース4aの幅Wをy/2に設定した際のコギング推力よりも半減するので十分なコギング推力低減効果が得られる。なお、図8に示した例では、xの値が範囲β1内にあるか、或いは範囲β2にある場合に前記幅Wがy/2とされた場合のコギング推力に対してコギング推力が50%(図8中破線で示したライン)以下となるので、xの値を範囲β1或いは範囲β2の値に設定してもよい。なお、コギング推力は、末端ティース4aの外周端の幅Wが変化すると周期的に最小値を採るので、幅Wがy/2とされた場合のコギング推力に対してコギング推力が50%以下となる範囲内の値を得られるように設定されればよい。ただし、コア2A,2Bの質量は、末端ティース4aの幅が大きくなると増加するので、コギング推力を低減できるxの値の範囲はいくつも存在するが、図8に示したように、xの値がなるべく小さい値となるようにするとよい。そこで、値xが中間ティース4bの外周端の幅yの1%からスロットピッチの長さの間の値を採るように設定されると、コア2A,2Bの無用な質量増加を招かずにコギング推力の低減を図れる。つまり、前記末端ティース4aの外周端の幅Wは、スロットピッチ長さをSとすると、y/2+0.01y≦W≦y/2+Sを満たすように設定されると、コア2A,2Bの無用な質量増加を招かずにコギング推力の低減を図れる。幅Wは、磁路断面積の観点からy/2以上の長さが必要であり、最小限必要な幅であるy/2の値にスロットピッチ長さSを加えると幅Wをy/2とした場合と同じ状態となる。よって、y/2+0.01y≦W≦y/2+Sを満たすように設定されると、コア2A,2Bの無用な質量増加を招かない。
また、前述したところでは、電機子Aが二つのコア2A,2Bを備えているが、図9に示した第一の実施の形態の第一変形例の筒型リニアモータM2のように、電機子Aが三つのコア2A,2B,2Cを備える場合には、以下のようにすればよい。この場合、コア2A,2B間とコア2B,2C間にスペーサ14A,14Bを設けて、コア2Aとコア2Bとの間と、コア2Bとコア2Cとの間に間隔Kの磁気的なギャップが設けられる。
スペーサ14A,14Bは、コア2A,2B,2Cの外径よりも大きな外径を有している。よって、スペーサ14A,14Bは、スペーサ14と同様に、コア2A,2B間およびコア2B,2C間に磁気的なギャップを設ける機能を発揮する他、ロッド11が過大な外力により撓んでもインナーチューブ9とコア2A,2B,2Cの干渉を阻止する機能を発揮する。なお、スペーサ14A,14Bは、インナーチューブ9の内周に常時摺接してスライダ12,13とともに電機子Aの推力方向への移動を案内してもよい。
xの値をx1として各コア2A,2B,2Cの位置が0度から360度の範囲でコギング推力の波形を2周期分の正弦波となるようにすると、コア2A,2B,2Cを三つにする場合では、値zを60+180n(ただし、n=0、1、2・・・)度分のずれを生じさせる長さに設定すれば、コア2A,2B,2Cのコギング推力が打ち消しあって電機子Aのコギング推力を極小さくできる。つまり、値zを(1+3n)P/3(ただし、n=0、1、2・・・)を満たす値に設定すればよい。
また、xの値をx2としてコギング推力の波形がコア2A,2B,2Cの位置が0度から360度までの範囲で正弦波が四つ現れる波形とすると、コア2A,2B,2Cを三つにする場合では、値zを30+90n(ただし、n=0、1、2・・・)度分のずれを生じさせる長さに設定すれば、コア2A,2B,2Cのコギング推力が打ち消しあって電機子Aのコギング推力を極小さくできる。つまり、値zを(1+3n)P/6(ただし、n=0、1、2・・・)を満たす値に設定すればよい。
このように、xの値をx1或いはx2として末端ティース4aの幅Wを設定し、xの値に基づいてzの値を求め、値zからコア2A、2B間とコア2B,2Cの間の間隔Kを設定すれば、電機子Aのコギング推力を極小さくできる。なお、電機子Aのコギング推力を低減するには、xの値をコア2A,2B,2Cの単独コギング推力の波形を正弦波とする値に設定するほうがよいが、xの値がそのような値に設定されなくとも電機子A全体のコギング推力を低減できる。
前述したように、コア2A,2Bの末端ティース4aの幅Wをy/2+xとすると、xの値によってコア2A,2Bの単独のコギング推力の波形がコア2A,2Bの位置が0度から360度の範囲で何周期分の単位波が現れるのかが分かるので、xの値に基づいて間隔Kを最適化すれば電機子Aの全体のコギング推力を低減できる。また、xの値を最適化してコア2A,2Bの単独のコギング推力の波形が正弦波とすれば、電機子Aのコギング推力を最小化できる。
以上のように、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1は、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6と、界磁6の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ9と、インナーチューブ9内に移動自在に挿入されるロッド11と、ロッド11に装着される電機子Aと、ロッド11に設けられるとともにインナーチューブ9の内周に摺接して電機子Aの界磁6に対する移動を案内するスライダ12,13とを備えている。
このように構成された筒型リニアモータM1は、界磁6と電機子Aとの間に非磁性体のインナーチューブ9が配置されており、ロッド11に設けたスライダ12,13がインナーチューブ9の内周に摺接しているので、電機子Aの推力方向の移動が案内されるとともに界磁6に対する径方向の偏心が抑制される。よって、本発明の筒型リニアモータM1によれば、界磁6に対する電機子Aの偏心が防止されて安定して推力を発生できる。また、この筒型リニアモータM1では、界磁6が永久磁石10a,10bの内周に設けた非磁性体のインナーチューブ9を備えているので、筒型リニアモータM1の界磁6内に電機子Aを挿入する際に電機子Aが永久磁石10a,10bに吸引されて貼り付いてしまうのを防止できる。よって、インナーチューブ9を設けると、電機子Aが永久磁石10a,10bに吸引されて貼り付いてしまって筒型リニアモータM1の組立が不能となってしまう事態が回避され、筒型リニアモータM1の組立作業も容易となる。
なお、前述したところでは、電機子Aが二つのコア2A,2Bを備えているが、電機子Aが一つのコアのみを有する構造であってもよく、この場合にもスライダ12,13によって電機子Aの偏心を抑制できる。また、スライダ12或いはスライダ13の一方の省略も可能であり電機子Aの偏心を抑制できる。このようにスライダ12,13の一方を省略する場合、ヘッドキャップ16の内周にロッド11の外周に摺接する軸受を設けて、電機子Aの界磁6に対する偏心を抑制して筒型リニアモータM1における推力の安定を図ってもよい。また、スライダ12,13に一方を省略する場合、電機子Aが二つのコア2A,2Bを備えているのであれば、図1中でスペーサ14を配置した位置、つまり、コア2A,2B間にスライダを設置してもよい。
また、本実施の形態の筒型リニアモータM1では、電機子Aの軸方向の両側にそれぞれスライダ12,13を備えているので、ロッド11の撓みも抑制できるから電機子Aの界磁6に対する偏心を効果的に抑制できる。スライダ12,13は、電機子Aと隣接させるとより偏心抑制効果が高くなる。
そして、本実施の形態の筒型リニアモータM1におけるスライダ12,13は、軸方向の両端の外周にリードインチャンファ12c,13cを備えているので、ロッド11に外部からモーメントや横力が作用してインナーチューブ9に対してスライダ12,13が傾いてもインナーチューブ9の内周面をスライダ12,13がかじってインナーチューブ9の内周面を荒らしてしまうのを防止できる。よって、本実施の形態の筒型リニアモータM1は、長期間にわたりスムーズに伸縮作動できる。
さらに、本実施の形態では、スライダ12,13と電機子Aとのロッド11回りの相対回転を規制するピン(回転規制部)24,25と、スペーサ14とコア2A,2Bとのロッド11回りの相対回転を規制するおよびピン(スペーサ回転規制部)26,27を備えている。このように構成された筒型リニアモータM1では、スライダ12,13、スペーサ14およびコア2A,2Bのロッド11回りの相対回転が規制されるので各コア2A,2Bのスロット18に装着された巻線5とケーブルCとを接続する渡り線5aおよび引出線5bに引張等の負荷がかかるのを防止できる。よって、このように構成された筒型リニアモータM1では、渡り線5aおよび引出線5bの断線が防止され巻線5への通電が不能となる事態の発生を防止できる。なお、電機子Aが三つのコア2A,2B,2Cを備えており、コア2A,2B間およびコア2B,2C間にそれぞれスペーサ14A,14Bを設ける場合、スペーサ14A,14Bとコア2A,2B,2Cとの互いの相対回転を規制するスペーサ回転規制部を設けて渡り線5aおよび引出線5bを保護すればよい。
また、本実施の形態では、電機子Aが二つのコア2A,2Bを備えており、コア2A,2B間にスペーサ14が設けられているので、渡り線5aおよび引出線5bの保護のためにスペーサ14とコア2A,2Bの互いの相対回転を規制するスペーサ回転規制部を設けている。これに対して、電機子Aが単一のコアのみを有してスペーサを設けない場合、スライダと電機子Aの相対回転を規制する回転規制部だけを設ければ渡り線5aおよび引出線5bを保護できる。また、本実施の形態では、各相の巻線5の結線をケーブルC側ではなく図1中でスライダ13の右側で行っており、スライダ13に通孔13bを設けて、U相、V相、W相の渡り線5aを通孔13bに通して外部へ引き出して結線している。そのため、スライダ13と電機子Aとの相対回転を規制しているが、渡り線5aの結線をスライダ12の図1中左方のケーブルC側で行う場合、渡り線5aがスライダ13を横切らないのでスライダ13と電機子Aとの相対回転を規制する回転規制部を廃止できる。
また、本実施の形態の筒型リニアモータM1は、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6と、界磁6の内周に配置されるとともに軸方向に沿って設けられる切欠9aを有する非磁性体のインナーチューブ9と、インナーチューブ9内に移動自在に挿入されるロッド11と、ロッド11に装着される電機子Aと、ロッド11に対して不動であって切欠9a内に挿入されて界磁6に対する電機子Aのロッド回りの回転を規制する規制部材28とを備えている。
このように構成された筒型リニアモータM1は、可動子である電機子Aが固定子である界磁6に対する周方向の回転が防止されるので、電機子Aが駆動されても外部電源と電機子Aにおける巻線5とを接続するケーブルCが捩じれず、ケーブルCの断線を防止できる。よって、本発明の筒型リニアモータM1によれば、電機子A側を可動子としても断線を防止でき、長期間に亘り安定的に推力を発生できる。
また、規制部材28は、スライダ12に取付けてもよいし、電機子Aが本実施の形態のように複数のコア2A,2Bを備えてコア2A,2B間にスペーサ14が設けられる場合、スペーサ14に規制部材28を設けてもよい。
なお、図10に示した筒型リニアモータM3のように、インナーチューブ9の中間に切欠9aを設けてスペーサ14に規制部材29を螺着するようにしてもよい。より詳細には、インナーチューブ9は、図11に示すように、軸方向に沿って形成される切欠9aを備えており、この切欠9a内に規制部材29が挿入される。このようにすると、インナーチューブ9の内周にスライダ12,13を摺接させるようにした場合に、電機子Aの全長とストローク範囲を最適化すると、切欠9aをスライダ12,13が対向しない範囲に設置できるようになる。よって、スライダ12,13のウェアリング12a,13aの劣化を抑制できる。なお、このようにインナーチューブ9の中間に切欠9aを設けて、切欠9aがインナーチューブ9の端部に開口しないようにする場合、電機子Aをインナーチューブ9内に挿入した後に、インナーチューブ9の外方からスペーサ14に規制部材29を捩じ込むようにすればよい。また、この場合、スペーサ14に外周から径方向に向けて開口する孔を設けておき、孔内にピンとピンを孔から突出するように附勢する弾性体とを挿入し、ピンと弾性体とで規制部材を構成してもよい。このようにすると、電機子A、規制部材およびロッド11をアッセンブリ化してインナーチューブ9内に前記ピンが切欠9aに対向する位置まで挿入すると、ピンが切欠9a内に突出して電機子Aの界磁6に対する回転が規制される。
また、本実施の形態の筒型リニアモータM1では、電機子Aの軸方向の両側にスライダ12,13を設ける他、コア2A,2B間にスペーサ14を設けている。このように電機子Aが複数のコア2A,2Bを備えている場合には、コア2A,2B間にスペーサ14を設けるようにすると、ロッド11に過大な径方向の外力が作用してロッド11が撓んでもコア2A,2Bに先立ってインナーチューブ9に当接する。よって、このように構成された筒型リニアモータM1によれば、コア2A,2Bのインナーチューブ9への干渉が阻止されて電機子Aを保護できる。
なお、本実施の形態の筒型リニアモータM1は、筒状のヨーク3と環状であってヨーク3の外周に軸方向に間隔を空けて設けられて複数のティース4a,4bとを有して軸方向に並べて配置される複数のコア2A,2Bと、各コア2A,2Bのティース4a,4b間のスロット18に装着される巻線5とを有する電機子Aと、筒状であって電機子Aが内方に軸方向に移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6とを備え、各コア2A,2Bに対して両端に配置された各ティースを末端ティース4aとし、末端ティース4a以外のティースを中間ティース4bとし、末端ティース4aの外周端の幅をWとし、中間ティース4bの外周端の幅をyとし、xを正の値とし、末端ティース4aの外周端の幅WをW=y/2+xとし、隣り合うコア2A,2B同子の間隔Kがxの値に基づいて設定されている。このように構成された筒型リニアモータM1では、末端ティース4aの外周端の幅Wをコギング推力を低減できる幅に設定して、電機子Aの全体のコギング推力の低減を図るので、コア2A,2Bの軸方向長さが磁極ピッチPの整数倍に固定化されない。このようにコア2A,2Bの磁極ピッチに対する軸方向の長さ条件は磁極ピッチの5倍などと固定化されないので、電機子Aの設計自由度が向上する。よって、本実施の形態の筒型リニアモータM1によれば、設計自由度を向上しつつもコギング推力を低減できる。なお、このことは、三つのコア2A,2B,2Cを持つ筒型リニアモータM2にあっても同様であり、本発明の筒型リニアモータM2によれば、設計自由度を向上しつつもコギング推力を低減できる。
コア2A,2Bの数が2つであって、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲でコア2A,2Bの単体のコギング推力の波形が2周期分の正弦波である場合、zを(1+2n)P/2とすると電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。また、コア2A,2Bの数が2つであって、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲でコア2A,2Bの単体のコギング推力の波形が4周期分の正弦波である場合、zを(1+2n)P/2とすると電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。よって、コア2A,2Bの数が2であり、間隔KをK=z−2xとするとき、界磁6の磁極ピッチをPとし、nを0以上の整数とすると、値zは、値xに基づいて(1+2n)P/2或いは(1+2n)P/4のいずれかに設定されるとよい。
また、コア2A,2B,2Cの数が3つであって、コア2A,2B,2Cの位置が0度から360度までの範囲でコア2A,2B,2Cの単体のコギング推力の波形が2周期分の正弦波である場合、値zを(1+3n)P/3とすると電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。コア2A,2B,2Cの数が3つであって、コア2A,2B,2Cの位置が0度から360度までの範囲でコア2A,2B,2Cの単体のコギング推力の波形が4周期分の正弦波である場合、値zを(1+3n)P/6とすると電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。よって、コア2A,2B,2Cの数が3であり、間隔KをK=z−2xとするとき、界磁6の磁極ピッチをPとし、nを0以上の整数とすると、値zは、値xに基づいて(1+3n)P/3或いは(1+3n)P/6のいずれかに設定されるとよい。
さらに、値xが界磁6に対するコア2A,2B,2Cの軸方向移動に対するコギング推力の波形が正弦波となるように設定されると、コア2A,2B,2Cのコギング推力を互いに効率よく打ち消しあえるので、筒型リニアモータM1,M2のコギング推力を極小さくできる。
また、末端ティース4aの外周端の幅Wがy/2+0.01y≦W≦y/2+Sを満たすように設定される場合には、コア2A,2B,2Cの無用な質量増加を招かずにコギング推力の低減を図れる。そして、コア2A,2B,2Cの無用な質量増加を招かないから、筒型リニアモータM1の質量推力密度が向上する。ここで、質量推力密度とは、前述の構成の筒型リニアモータM1の最大推力を質量で割った数値であり、末端ティース4aの質量が増えても推力が増加するわけではないので、末端ティース4aの質量を軽量とするほうが質量推力密度が向上する。よって、このように構成された筒型リニアモータM1によれば、質量当たりの推力が大きくなるので小型で大きな推力が得られる。
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータM1にあっては、中間ティース4bが内周端の幅yiより外周端の幅yが狭い等脚台形状とされており、末端ティース4aが中間ティース側の側面が中間ティース4bの側面と同形状とされるとともに反中間ティース側の側面がコア2A,2Bの軸線Jに直交する面を持つ台形状とされている。
このように末端ティース4aの形状を前述のような台形状とすると、図3に示すように、末端ティース4aの外周端の軸方向の幅Wよりも内周端の軸方向の幅Wiの方が大きい。末端ティース4aの形状を前述のようにする場合と、外周端の軸方向の幅Wを同じにして末端ティース4aの断面を矩形とする場合とで比較すると、末端ティース4aの断面を台形状とするほうが内周端における磁路断面積は広くなる。また、中間ティース4bの形状を前述のように設定すると、図3に示すように、中間ティース4bの外周端の軸方向の幅yよりも内周端の軸方向の幅yiの方が大きい。中間ティース4bの形状を前述のような等脚台形状とする場合と、外周端の軸方向の幅yを同じにして中間ティース4bの断面を矩形とする場合とで比較すると、中間ティース4bの断面を等脚台形状とするほうが内周端における磁路断面積は広くなる。よって、このように構成された筒型リニアモータM1では、大きな磁路断面積を確保しやすくなり、巻線5を通電した際の磁気飽和を抑制でき、より大きな磁場を発生できるからより大きな推力を発生できる。なお、推力の向上のためには、末端ティース4aと中間ティース4bの断面形状を台形とするとよいが、コギング推力の低減には影響がないので末端ティース4aと中間ティース4bの断面形状を矩形としてもよいし、他の形状としてもよい。
なお、発明者らの研究によって、末端ティース4aおよび中間ティース4bの断面における側面と直交面Oとでなす内角θが6度から12度の範囲にあると、良好な質量推力密度が得られることが分かった。以上より、末端ティース4aおよび中間ティース4bの断面を台形状とする場合、前記内角θを6度から12度の範囲の角度とすると、筒型リニアモータM1の質量当たりの推力が大きくなるので小型で大きな推力が得られる。
また、図12に示した筒型リニアモータM4のように、コア2A,2Bが、ヨーク3と、末端ティース4aおよび中間ティース4bとが設けられるコア本体21と、コア本体21の両端のそれぞれに着脱可能に装着される環状プレート22,22とで構成されてもよい。この環状プレート22,22は、共に軸方向の幅が等しく、コア本体21と同一の材料で作られており、コア本体21の両端にそれぞれ装着されると末端ティース4aの一部として機能し、末端ティース4aの外周端における軸方向の幅Wを調整する機能を発揮する。つまり、環状プレート22は、コギング推力の低減の調整をも担っている。コア2A,2B或いは末端ティース4aの寸法公差等によって、コア本体21のみではコギング推力の低減効果が少ない場合、環状プレート22,22の装着によって、コギング推力の低減効果を向上できる。なお、異なる幅の環状プレート22を用意しておき、コア本体21に最適な幅の環状プレート22を選択して装着してもよいし、幅が薄い環状プレートを複数枚重ねてコア本体21に装着するようにしてもよい。また、環状プレート22のコア本体21への装着に際しては、たとえば、コア本体21に螺子孔を設けるとともに環状プレート22に孔を設けて、螺子を用いてコア本体21に環状プレート22を固定してもよいし、他の固定方法を採用してもよい。
<第二の実施の形態>
つづいて、第二の実施の形態における筒型リニアモータM5について説明する。第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、図13に示すように、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁36と、界磁36の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ39と、インナーチューブ39内に移動自在に挿入される筒状のロッド41と、ロッド41に装着される電機子A1と、ロッド41に設けられるとともにインナーチューブ39の内周に摺接して電機子A1の界磁36に対する移動を案内するスライダ51b,55と、アウターチューブ37と、界磁36の外周に設けられるアウターチューブ37と、アウターチューブ37の開口端部に装着されるとともにロッド41が内周に挿通される環状のヘッドキャップ45とを備えて構成されている。
以下、筒型リニアモータM5の各部について詳細に説明する。電機子A1は、コア33と巻線35とを備えて構成されている。コア33は、円筒状のコア本体33aと、環状であってコア本体33aの外周に軸方向に間隔を空けて設けられる複数のティース33bとを備えて構成されて可動子とされている。
コア33は、図13に示すように、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1のコア2Aと同形状とされていて、筒状であって、コア本体33aの外周に軸方向に等間隔に並べて設けられた10個のティース33bを備えており、ティース33b,33b間には、巻線35が装着される空隙でなるスロット34が形成されている。また、各スロット34に装着される巻線35は、U相、V相およびW相の三相巻線とされていて、第一の実施の形態のスロット18と同様に装着される巻線5と同様の順に前記スロット34に装着されている。
そして、このように構成された電機子A1は、出力軸である非磁性体で形成されたロッド41の外周に装着されている。ロッド41は、筒状の第一ロッド50と、筒状であって外周にコア33が装着されるとともに第一ロッド50の内周に螺合される第二ロッド51とを備えている。また、ロッド41内には、ストロークセンサLが収容されている。
第一ロッド50は、筒状であって図13中左端外周と図13中右端内周にそれぞれ螺子部52a,52bを有するロッド本体52と、筒型リニアモータM5を機器へ取り付けるブラケット53aを有してロッド本体52の図13中左端の螺子部52aに螺着されてロッド本体52の左端を閉塞するエンドキャップ53とを備えている。また、ロッド本体52の図13中右端外周には、環状のスライダ55が嵌合されている。スライダ55の右端内周には、フランジ55aが設けられている。フランジ55aの内径は、ロッド本体52の内径以上であってロッド本体52の外径以下となっており、スライダ55をロッド本体52に嵌合するとフランジ55aがロッド本体52の図13中右端面に当接する。また、ロッド41の図13中左端側に設けられたフランジ48とスライダ55とに嵌合してロッド41の外周を覆う筒状のカバー47が設けられており、カバー47とロッド41との間には環状の空間が形成されている。
第二ロッド51は、外周にコア33が装着される筒状のコア保持筒51aと、コア保持筒51aの図13中右端となる先端の外周に設けられる環状のスライダ51bとを備えている。また、コア保持筒51aの図13中左端となる基端の外周には、螺子部51cが設けられており、コア保持筒51aの基端側内周には内径が他の部位よりも大きな内径大径部51dが設けられている。そして、コア保持筒51aの基端を第一ロッド50におけるロッド本体52の図13中右端の内周に挿入しつつ螺子部51cを螺子部52bに捩じ込むと、第一ロッド50と第二ロッド51とが連結される。
このようにロッド41は、第一ロッド50と第二ロッド51とで構成されており、第一ロッド50内には、ストロークセンサLにおけるセンサ本体60が収容される。
また、第二ロッド51におけるコア保持筒51aの外周には、コア33が嵌合されて装着されている。コア保持筒51aの外径は、第一ロッド50におけるロッド本体52の外径よりも小径となっているので、スライダ55を装着した第一ロッド50に電機子A1を装着した第二ロッド51を前記した要領で連結すると、電機子A1およびスライダ55が第一ロッド50の図13中右端と第二ロッド51のスライダ51bとで挟み込まれて固定される。このようにロッド41に電機子A1を装着すると、コア33がスライダ51bおよびスライダ55に挟まれる格好でロッド41に固定される。
他方、固定子Sは、本実施の形態では、円筒状の非磁性体で形成されるアウターチューブ37と、アウターチューブ37内に挿入される円筒状の軟磁性体で形成されるバックヨーク38と、バックヨーク38内に軸方向に交互に積層されて挿入される環状の主磁極の永久磁石40aと環状の副磁極の永久磁石40bとを備えた界磁36とで構成されている。そして、この界磁36の永久磁石40a,40bの内周には、非磁性体のインナーチューブ39が設けられている。つまり、永久磁石40a,40bは、バックヨーク38とインナーチューブ39の間の環状隙間に収容されている。界磁36は、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1と同様に、ハルバッハ配列で配置された主磁極の永久磁石40aと環状の副磁極の永久磁石40bとで構成されており、内周側の軸方向にS極とN極が交互に現れる磁界を作用させている。また、本実施の形態の筒型リニアモータM5にあっても第一の実施の形態の筒型リニアモータM1等同様に、主磁極の永久磁石40aの軸方向長さを副磁極の永久磁石40bの軸方向長さよりも長くして筒型リニアモータM5の推力の向上を図っているが、永久磁石40a,40bの軸方向長さは任意に変更できる。また、界磁36は、ハルバッハ配列以外の配列で配置される永久磁石で構成されてもよい。
また、バックヨーク38を設けると、磁気抵抗の低い磁路を確保できるので副磁極の永久磁石40bの軸方向長さの短縮に起因する磁気抵抗の増大が抑制されて、筒型リニアモータM5の推力を大きく向上させ得るのは、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1と同様である。
なお、本実施の形態では、界磁36の軸方向長さよりもバックヨーク38の軸方向長さが長く、永久磁石40a,40bの軸方向長さに寸法誤差があっても界磁36が必ずバックヨーク38に対向するように配慮されており、界磁36の末端の永久磁石の磁束漏れを防いで筒型リニアモータM5の推力低下を防止している。
また、アウターチューブ37、バックヨーク38およびインナーチューブ39の図13中左端は内周にロッド41が挿入される環状のヘッドキャップ45によって閉塞されている。アウターチューブ37は、図13中右端側が縮径されていて底部37aが設けられており、底部37aの右端に筒型リニアモータM5の機器への取り付けを可能とするブラケット37bを備えている。
ヘッドキャップ45は、環状であって内周にロッド41が挿通されており、アウターチューブ37の図13中左端の開口端の内周に螺子締結されてアウターチューブ37に装着されている。なお、ヘッドキャップ45のアウターチューブ37への装着は、たとえば、溶接、管端加締等といった螺子締結以外の装着方法を採用してもよい。また、ヘッドキャップ45とインナーチューブ39とは、図13に示すように、非磁性体であって一体成型されており、ヘッドキャップ45の図13中右端からインナーチューブ39が右方へ突出している。そして、インナーチューブ39の外周に界磁36が軸方向移動不能に装着されている。具体的には、インナーチューブ39の外周には図13中左から環状のスペーサ65、界磁36、環状のストッパ66が順に嵌合されていて、ヘッドキャップ45をアウターチューブ37に螺子締結すると、スペーサ65、界磁36およびストッパ66がヘッドキャップ45とアウターチューブ37の底部37aとで挟持され、界磁36がインナーチューブ39の外周に固定される。なお、界磁36の外周に装着されるバックヨーク38は、界磁36の磁力によって界磁36に拘束されるのでアウターチューブ37内で移動しない。
また、ヘッドキャップ45の内周には、第一ロッド50の外周を覆うカバー47の外周に摺接する環状のシール部材58が設けられており、筒型リニアモータM5内への塵や水などの侵入が防止されている。
そして、インナーチューブ39内には、電機子A1が装着されたロッド41が軸方向移動自在に挿入され、インナーチューブ39の内周にスライダ51b,55が摺接して、電機子A1の軸方向の移動が案内される。
インナーチューブ39は、コア33の外周と各永久磁石40a,40bの内周との間のギャップを形成するとともに、スライダ51b,55と協働してコア33の軸方向移動を案内する役割を果たしている。なお、本実施の形態では、電気子A1は、単一のコア33のみを有して構成されているが、複数のコア33を持つ場合、電気子A1の軸方向両端だけでなくコア33,33間にもインナーチューブ39の内周に摺接するスライダを設けてもよい。
インナーチューブ39は、コア33の外周と各永久磁石40a,40bの内周との間のギャップを形成するとともに、スライダ51b,55と協働してコア33の軸方向移動を案内する役割を果たしている。なお、スライダ51b,55の軸方向両端の外周には、符示はしないが面取りが施されてリードインチャンファが設けられており、ロッド41がインナーチューブ39に対して傾いてもスライダ51b,55がインナーチューブ39の内周面をかじって傷つけないように配慮されている。
さらに、アウターチューブ37の底部37aの内周には、ガイドロッド46が取り付けられている。ガイドロッド46は、底部37aの内周に固定される基端部46aと、基端部46aからロッド41側へ延びてロッド41内に摺動自在に挿入されるガイド部46bとを備えている。より詳細には、ガイドロッド46のガイド部46bは、第二ロッド51の内径大径部51dよりも先端側に摺動自在に挿入されており、筒型リニアモータM5が伸縮しても常にロッド41の内周に摺接している。
このように、インナーチューブ39の内周には、スライダ51b,55が摺接しており、ガイドロッド46がロッド41の内周に摺接しているので、電機子A1はロッド41とともに界磁36に対して偏心せずに軸方向へスムーズに移動できる。
つづいて、ストロークセンサLは、本実施の形態では、線形可変差動変圧器とされており、詳しくは図示しないが、プライマリコイルと二つのセカンダリコイルとを収容した筒状のセンサ本体60と、センサ本体60内に軸方向へ移動可能に挿入されるとともに先端に被検出子であるセンサ用コア61を有するプローブ62とを備えて構成されている。なお、線形可変差動変圧器は、プライマリコイルへ交流電圧を印加した際に誘導さえる二つのセカンダリコイルの誘導電圧の差からセンサ用コア61の位置を検知する。
センサ本体60を予め第一ロッド50内に挿入しておき、スライダ55を第一ロッド50の端部に嵌合して、第二ロッド51を第一ロッド50に螺着すると、センサ本体60は、第二ロッド51における内径大径部51dの右端に形成される段部と第一ロッド50のエンドキャップ53とで挟持されて第一ロッド50内に固定される。このように、センサ本体60は、外周に電機子A1が装着されない第一ロッド50内に収容されており、ロッド41の径方向で電機子A1と対向しない範囲に収容されている。
また、ストロークセンサLにおけるプローブ62は、ロッド状であってガイドロッド46におけるガイド部46bの先端に取り付けられている。よって、被検出子としてのセンサ用コア61は、プローブ62、ガイドロッド46およびアウターチューブ7を介して界磁36に対して固定的に連結されている。プローブ62は、前述したとおり、先端にセンサ用コア61を備えていて、先端側をセンサ本体60内に挿入している。よって、電機子A1が界磁36に対して軸方向へ移動するのに伴ってプローブ62がセンサ本体60に対して軸方向へ相対移動して、センサ用コア61がセンサ本体60内で移動する。
センサ本体60を収容するロッド41内にはプローブ62を保持するガイドロッド46が摺動自在に挿入されているので、センサ本体60に対するセンサ用コア61の径方向への偏心が防止される。なお、センサ本体60のプライマリコイルへの通電用の配線およびセカンダリコイルに接続される配線60aは、エンドキャップ53に設けた孔53bから外部へ引き出されて図外のコントローラに接続される。
巻線35に接続されるケーブルCは、ロッド41とロッド41の外周を覆う筒状のカバー47との間の空間に収容されて、筒型リニアモータM5の外方へ引き出されており、前記コントローラによって制御される図外の駆動回路に接続されている。よって、外部の駆動回路から巻線35へ通電できるようになっている。
そして、図外のコントローラは、巻線35の界磁36に対する電気角をストロークセンサLでセンシングし、前記電気角に基づいて通電位相切換を行うとともにPWM制御により、各巻線35の電流量を制御して、筒型リニアモータM5における推力と電機子2の移動方向とを制御する。なお、前述のコントローラにおける制御方法は、一例でありこれに限られない。このように、本実施の形態の筒型リニアモータM5では、電機子A1が可動子であり、界磁36は固定子Sとして振る舞う。また、電機子A1と界磁36とを軸方向に相対変位させる外力が作用する場合、巻線35への通電、あるいは、巻線35に発生する誘導起電力によって、前記相対変位を抑制する推力を発生させて筒型リニアモータM5に前記外力による機器の振動や運動をダンピングさせ得るし、外力から電力を生むエネルギ回生も可能である。
以上のように、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁36と、界磁36の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ39と、インナーチューブ39内に移動自在に挿入されるロッド41と、ロッド41に装着される電機子A1と、ロッド41に設けられるとともにインナーチューブ39の内周に摺接して電機子A1の界磁36に対する移動を案内するスライダ51b,55とを備えている。このように構成された筒型リニアモータM5は、界磁36と電機子A1との間に非磁性体のインナーチューブ39が配置されており、ロッド41に設けたスライダ51b,55がインナーチューブ39の内周に摺接しているので、電機子A1の推力方向の移動が案内されるとともに界磁36に対する径方向の偏心が抑制される。よって、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1と同様に、界磁36に対する電機子A1の偏心を防止でき、安定した推力を発生できる。また、この筒型リニアモータM5は、永久磁石40a,40bの内周に設けた非磁性体のインナーチューブ39を備えているので、界磁36内に電機子A1を挿入する際に電機子A1が永久磁石40a,40bに吸引されて貼り付いてしまうのを防止でき、組立作業も容易となる。また、本実施の形態の筒型リニアモータM5では、電機子A1の軸方向の両側にそれぞれスライダ51b,55を備えているので、ロッド41の撓みも抑制できるから電機子A1の界磁36に対する偏心を効果的に抑制できる。
さらに、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、界磁36の外周に設けられるアウターチューブ37と、アウターチューブ37の開口端に装着されるとともにロッド41が内周に挿通される環状のヘッドキャップ45とを備え、インナーチューブ39がヘッドキャップ45と一体に設けられている。このように構成された筒型リニアモータM5では、電機子A1の軸方向移動をガイドして界磁36に対する電機子A1の偏心を防止するインナーチューブ39がヘッドキャップ45と一体構造になっているので、インナーチューブ39とヘッドキャップ45に歪が生じにくくスライダ51b,55がインナーチューブ39の内周を滑らかに摺動でき、スムーズに伸縮できる。
また、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5における界磁36がインナーチューブ39の外周に軸方向への移動が規制されて装着されている。このように構成された筒型リニアモータM5では、電機子A1から界磁36が受ける軸方向の荷重が必ずヘッドキャップ45を通ってアウターチューブ37へ伝達される。このように筒型リニアモータM5のロードパス(荷重伝達経路)は、ヘッドキャップ45を通る1つのみとなるので、強度設計が容易になる。
さらに、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5におけるロッド41は、筒状であって、アウターチューブ37に連結されてロッド41内に摺動自在に挿入されるガイドロッド46を備えている。このように構成された筒型リニアモータM5によれば、インナーチューブ39とスライダ51b,55とでロッド41の界磁36に対する移動が案内される他にも、ガイドロッド46とロッド41とでアウターチューブ37の底部37a側からもロッド41の界磁36に対する移動が案内されるので、電機子A1の界磁36に対する偏心がより効果的に防止される。
また、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5におけるスライダ51b,55は、軸方向の両端の外周にリードインチャンファを有しており、インナーチューブ39の内周面をスライダ51b,55がかじるのを防止できるから、本実施の形態の筒型リニアモータM5は、長期間にわたりスムーズに伸縮作動できる。
なお、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、ロッド41内に挿通されて界磁36に対するロッド41の位置を検知するストロークセンサLとを備え、ストロークセンサLは、界磁36に対して固定されてロッド41内に挿入されるセンサ用コア61と、ロッド41内に収容されてセンサ用コア61の位置を検知するセンサ本体60とを有している。このように構成された筒型リニアモータM5では、電機子A1を外周に備えるロッド41内にストロークセンサLが収容されており、通電によって発熱する電機子A1および磁界を発生する界磁36に対してストロークセンサLが直接曝露されていない。したがって、ストロークセンサLは、電機子A1の熱から保護されるとともに、界磁36の磁界にも曝されないので、検知した電機子A1の位置を精度よく検知できる。以上より、本実施の形態の筒型リニアモータM5によれば、検知した電機子A1の位置の信頼性を向上できる。
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータM5では、センサ本体60がロッド41内の電機子A1と径方向で対向しない範囲に収容されている。このように構成された筒型リニアモータM5によれば、センサ本体60と電機子A1とが筒型リニアモータM5のストローク中に径方向へ重なることが無いので、より、電機子A1の熱の影響を受け辛くなり、検知した電機子2の位置の信頼性をより効果的に向上できる。
また、本実施の形態の筒型リニアモータM5は、界磁36に連結されてロッド41内に摺動自在に挿入されるガイドロッド46を備え、センサ用コア61がガイドロッド46に装着されている。このように構成された筒型リニアモータM5によれば、センサ本体60に対して移動するセンサ用コア61がロッド41の軸方向への移動を案内するガイドロッド46に装着されているので、センサ本体60に対するセンサ用コア61の偏心が防止されて、ストロークセンサLは精度よく電機子A1の位置を検知できる。
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータM5におけるロッド41は、筒状の第一ロッド50と、筒状であって外周にコア33が装着されるとともに第一ロッド50の内周に螺合される第二ロッド51とを有し、センサ本体60が第一ロッド50と第二ロッド51とで挟持されてロッド41内に固定されている。このように構成された筒型リニアモータM5によれば、ストロークセンサLをロッド41内への固定と電機子A1のロッド41への装着が非常に容易となるので、良好な組付性が得られる。
なお、ストロークセンサLは、線形可変差動変圧器に代えて、磁歪式のストロークセンサとされてもよいし、リニア型のポテンショメーターとされてもよく、いずれにしても、界磁36に固定される被検出子の位置をロッド41側に固定されるセンサ本体で検知するようにすればよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
本願は、2018年4月17日に日本国特許庁に出願された特願2018−079340に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、筒型リニアモータに関する。
筒型リニアモータは、たとえば、直線方向に伸びるベースと、ベースに対して前記直線方向にS極とN極とが交互に並ぶように取付けられた複数の永久磁石とでなる界磁と、前記界磁に対して前記直線方向に移動可能に設けられた電機子とを備えている。
具体的には、従来の筒型リニアモータは、筒状のセンターヨークとセンターヨークの外周に装着される複数の環状の永久磁石とを備えた界磁と、筒状のコアと前記コアの内周に設けた複数のスロットに収容される巻線とを備えて内周側に前記界磁が挿入される電機子とを備えている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2009−213192号公報
従来の筒型リニアモータでは、推力を向上させるために界磁の磁力を大きくすると、コアと永久磁石との間に発生する吸着力によってセンターヨークが撓んで、コアに対して永久磁石が偏心して推力が低下してしまう可能性がある。
そこで、本発明は、界磁に対する電機子の偏心を防止して安定して推力を発生できる筒型リニアモータの提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の筒型リニアモータは、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁と、界磁の内周に配置される非磁性体のインナーチューブと、インナーチューブ内に移動自在に挿入されるロッドと、ロッドに装着される電機子と、ロッドに設けられるとともにインナーチューブの内周に摺接して電機子の界磁に対する移動を案内するスライダとを備えている。このように構成された筒型リニアモータは、界磁と電機子との間に非磁性体のインナーチューブが配置されており、ロッドに設けたスライダがインナーチューブの内周に摺接しているので、電機子の推力方向の移動が案内されるとともに界磁に対する径方向の偏心が抑制される。
さらに、筒型リニアモータは、スライダと電機子とのロッド回りの相対回転を規制する回転規制部を備えていてもよい。このように構成された筒型リニアモータでは、渡り線および引出線の断線が防止され巻線への通電が不能となる事態の発生を防止できる。
また、筒型リニアモータは、電機子の軸方向の両側にそれぞれスライダを備えていてもよい。このように構成される筒型リニアモータによれば、ロッドの撓みも抑制できるから電機子の界磁に対する偏心を効果的に抑制できる。
そしてさらに、筒型リニアモータは、電機子が複数のコアを備えている場合、コア間にスペーサを備えていてもよい。このように電機子が複数のコアを備えている場合にコア間にスペーサを設けるようにすると、ロッドに過大な径方向の外力が作用してロッドが撓んでもコアに先立ってスペーサがインナーチューブに当接し、電機子を保護できる。
また、筒型リニアモータは、電機子が複数のコアを有して、コア間にスペーサを備えている場合、スペーサと各コアとのロッド回りの相対回転を規制するスペーサ回転規制部を備えていてもよい。このように構成された筒型リニアモータでは、渡り線および引出線の断線が防止され巻線への通電が不能となる事態の発生を防止できる。
さらに、筒型リニアモータは、界磁の外周に設けられるアウターチューブと、アウターチューブの開口端に装着されるとともにロッドが内周に挿通される環状のヘッドキャップとを備え、インナーチューブは、ヘッドキャップと一体に設けられていてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、電機子の軸方向移動をガイドして界磁に対する電機子の偏心を防止するインナーチューブがヘッドキャップと一体構造になっているので、インナーチューブとヘッドキャップに歪が生じにくくスライダがインナーチューブの内周を滑らかに摺動でき、スムーズに伸縮できる。
また、筒型リニアモータにおける界磁は、インナーチューブの外周に軸方向への移動が規制されて装着されてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、電機子から界磁が受ける軸方向の荷重が必ずヘッドキャップを通ってアウターチューブへ伝達される。よって、筒型リニアモータのロードパス(荷重伝達経路)は、ヘッドキャップを通る1つのみとなるので、強度設計が容易になる。
さらに、筒型リニアモータは、ロッドが筒状であって、アウターチューブに連結されてロッド内に摺動自在に挿入されるガイドロッドを備えていてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、インナーチューブとスライダとでロッドの界磁に対する移動が案内される他にも、ガイドロッドとロッドとでアウターチューブの底部側からもロッドの界磁に対する移動が案内されるので、電機子の界磁に対する偏心がより効果的に防止される。
また、筒型リニアモータにおけるスライダが軸方向の両端の外周にリードインチャンファを有していてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、インナーチューブの内周面をスライダがかじるのを防止できるから、長期間にわたりスムーズに伸縮作動できる。
本発明の筒型リニアモータによれば、界磁に対する電機子の偏心を防止して安定して推力を発生できる。
図1は、第一の実施の形態における筒型リニアモータの縦断面図である。 図2(A)は、第一の実施の形態における筒型リニアモータのインナーチューブの側面図である。図2(B)は、第一の実施の形態における筒型リニアモータのインナーチューブの斜視図である。 図3は、第一の実施の形態の筒型リニアモータのティース部分の縦断面図である。 図4は、コアの単独のコギング推力の波形を示した図である。 図5は、コアの単独のコギング推力の波形を示した図である。 図6は、コアの単独のコギング推力の波形を示した図である。 図7は、コアの単独のコギング推力の波形を示した図である。 図8は、末端ティースの幅の変化とコギング推力の変化を説明する図である。 図9は、第一の実施の形態の第一変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。 図10は、第一の実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。 図11(A)は、第一の実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータのインナーチューブの側面図である。図11(B)は、第一の実施の形態の第二変形例における筒型リニアモータのインナーチューブの斜視図である。 図12は、第一の実施の形態の第三変形例における筒型リニアモータの縦断面図である。 図13は、第二の実施の形態における筒型リニアモータの縦断面図である。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。なお、以下に説明する各実施の形態の筒型リニアモータM1,M2,M3,M4,M5において共通する構成については同じ符号を付し、説明の重複を避けるために、一の実施の形態の筒型リニアモータM1の説明において説明した構成については他の実施の形態の筒型リニアモータM2,M3,M4,M5における説明では詳細な説明を省略する。
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態における筒型リニアモータM1は、図1に示すように、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6と、界磁6の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ9と、インナーチューブ9内に移動自在に挿入されるロッド11と、ロッド11に装着される電機子Aと、ロッド11に設けられるとともにインナーチューブ9の内周に摺接して電機子Aの界磁6に対する移動を案内するスライダ12,13とを備えている。
以下、筒型リニアモータM1の各部について詳細に説明する。まず、可動子である電機子Aについて説明する。電機子Aは、本実施の形態では、二つのコア2A,2Bを備えている。コア2A,2Bは、ともに同形状とされており、円筒状のヨーク3と、環状であってヨーク3の外周に設けた複数のティース4a,4bとを備えて構成されてロッド11の外周に軸方向に並べて装着されており、可動子とされている。つまり、筒型リニアモータM1は、電機子Aが可動子として駆動され、コア2A,2Bの軸方向を推力発生方向としている。
各コア2A,2Bにおけるヨーク3は、図1に示すように、円筒状であって、その外周には、軸方向に間隔を空けて設けられる複数のティース4a,4bが設けられている。本実施の形態では、図1に示すように、ヨーク3の外周に10個のティース4a,4bが、軸方向に等間隔に並べて設けられており、ティース4a,4b間およびティース4b,4b間に巻線5が装着される空隙でなるスロット18が形成されている。
また、ティース4a,4bは、ヨーク3の両端にそれぞれ配置されて設けられた二つの末端ティース4a,4aと、末端ティース4a,4a間に配置されて設けられた8つの中間ティース4bとで構成されている。つまり、一つのコア2A(2B)に対してコア2A(2B)の移動方向となる軸方向の両端に末端ティース4a,4aが設けられ、末端ティース4a,4a間に各中間ティース4bが設けられている。また、本実施の形態では、末端ティース4a及び中間ティース4bは、環状とされている。
中間ティース4bは、本実施の形態では、図3に示すように、軸方向において内周端の幅yiより外周端の幅yが狭い等脚台形状とされており、軸方向で両側の側面が外周端に対して等角度で傾斜するテーパ面とされている。そして、中間ティース4bをコア2A,2Bの軸線Jを含む面で切断した断面において、中間ティース4bの側面がコア2A,2Bの軸線Jに直交する直交面Oとでなす内角θは、6度から12度の範囲となる角度に設定されている。
また、末端ティース4aは、図3に示すように、中間ティース側の側面が中間ティース4bの側面と同形状とされるとともに反中間ティース側の側面がコア2A,2Bに軸線Jに直交する面を持つ台形状とされている。つまり、末端ティース4aにおける中間ティース側の側面はテーパ面となっており、この側面がコア2A,2Bの軸線Jに直交する直交面Oとでなす内角θが中間ティース4bの側面が前記直交面Oとでなす内角θと等しくなっている。また、末端ティース4aの反中間ティース側の側面は、コア2A,2Bの軸線Jに直交する面とされており、側面と外周端とでなす角度は90度になっている。
また、本実施の形態では、各コア2A,2Bにおける図1中で隣り合うティース4a,4bの間、つまり、末端ティース4aと中間ティース4bとの間および中間ティース4b,4b間には、空隙でなるスロット18が合計で18個設けられている。そして、全スロット18には、巻線5が巻き回されて装着されている。巻線5は、U相、V相およびW相の三相巻線とされている。各コア2A,2Bの全18個のスロット18には、それぞれ、図1中左側から順に、W相、W相、W相およびV相、V相、V相、V相よびU相、U相、U相、U相およびW相、W相およびV相、V相、V相、V相およびU相、U相、U相、U相およびW相、W相、W相の巻線5が装着されている。
そして、このように構成されたコア2A,2Bは、出力軸である非磁性体で形成されたロッド11の外周に装着されている。具体的には、コア2A,2Bは、ロッド11の外周に固定される環状のスライダ12,13とで挟持されてロッド11に固定されている。スライダ12,13の外周には、ウェアリング12a,13aが装着されている。また、コア2A,2B間には、ロッド11の外周に固定される非磁性体で形成されるスペーサ14が介装されており、コア2Aとコア2Bは、間隔Kを空けてロッド11に固定されている。また、スライダ12,13およびスペーサ14の外径は、コア2A,2Bの外径よりも大径に設定されている。そして、このように構成された電機子Aは、筒状の界磁6内に推力方向である軸方向へ移動自在に挿入される。本実施の形態の場合、スペーサ14によってコア2Aとコア2Bとの間に間隔Kの磁気的なギャップが設けられている。
図1中で左側のスライダ12と同じく左側のコア2Aとは、この両方に嵌合するピン24によって、ロッド11回りの相対回転が規制されている。また、図1中で右側のスライダ13と同じく右側のコア2Bとは、この両方に嵌合するピン25によって、ロッド11回りの相対回転が規制されている。さらに、コア2Aとスペーサ14とは、この両方に嵌合するピン26によって、ロッド11回りの相対回転が規制され、コア2Bとスペーサ14とは、この両方に嵌合するピン27によって、ロッド11回りの相対回転が規制される。本実施の形態では、スライダ12,13と電機子Aとのロッド11回りの相対回転を規制する回転規制部は、前記ピン24,25とされている。また、スペーサ14とコア2A,2Bとのロッド11回りの相対回転を規制するスペーサ回転規制部は、ピン26,27とされている。なお、回転規制部およびスペーサ回転規制部は、ピン24,25,26,27に限られず、前記相対回転の規制が可能であれば構造は限定されない。よって、たとえば、ロッド11に対してスライダ12,13、コア2A,2Bおよびスペーサ14を回り止めして、スライダ12,13、コア2A,2Bおよびスペーサ14の互いの相対回転を規制する場合、回転規制部は、キーとキー溝、スプライン、セレーションといった回転防止機構を採用してもよい。このように、回転規制部およびスペーサ回転規制部は、ロッド11に対してもスライダ12,13、コア2A,2Bおよびスペーサ14の周方向の回り止めとして機能してもよい。
さらに、図1中右方のスライダ13には、ロッド11を軸方向から見てスライダ13の外周よりも径方向へ突出する突起を備えた規制部材28が取り付けられている。なお、規制部材28は、後述するインナーチューブ9の切欠9a内に挿入可能であって永久磁石10a,10bに干渉しないようになっていればよく、ロッド11に不動に取付けられていればよい。よって、スライダ13を介さずに直接ロッド11に取付けられてもよく、取り付け方についても螺子締結、溶接等、種々の方法を採用できる。
他方、固定子Sは、本実施の形態では、円筒状の非磁性体で形成されるアウターチューブ7と、アウターチューブ7内に挿入される円筒状の軟磁性体で形成されるバックヨーク8と、バックヨーク8内に軸方向に交互に積層されて挿入される環状の主磁極の永久磁石10aと環状の副磁極の永久磁石10bとを備えた界磁6とで構成されている。そして、この界磁6の永久磁石10a,10bの内周には、非磁性体のインナーチューブ9が設けられている。つまり、永久磁石10a,10bは、バックヨーク8とインナーチューブ9の間の環状隙間に収容されている。
なお、図1中で主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bに記載されている三角の印は、着磁方向を示しており、主磁極の永久磁石10aの着磁方向は径方向となっており、副磁極の永久磁石10bの着磁方向は軸方向となっている。主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bは、ハルバッハ配列で配置されており、界磁6の内周側では、軸方向にS極とN極が交互に現れるように配置されている。
また、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1は、副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2よりも長くなっており、本実施の形態では、0.2≦L2/L1≦0.5を満たすように、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1と副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2が設定されている。主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を長くすればコア2A,2Bとの間の主磁極の永久磁石10aとの間の磁気抵抗を小さくできコア2A,2Bへ作用させる磁界を大きくできるので筒型リニアモータM1の推力を向上できる。また、本実施の形態の筒型リニアモータM1では、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さを副磁極の永久磁石10bの軸方向長さよりも長くして筒型リニアモータM1の推力の向上を図っているが、永久磁石10a,10bの軸方向長さは任意に変更できる。また、界磁6は、ハルバッハ配列以外の配列で配置される永久磁石で構成されてもよい。
また、本発明の筒型リニアモータM1では、永久磁石10a,10bの外周にバックヨーク8を設けている。バックヨーク8を設けると副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2を短くしても磁気抵抗の低い磁路を確保できるため、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を長くする際の筒型リニアモータM1の推力を効果的に向上できる。より詳しくは、永久磁石10a,10bの外周にバックヨーク8を設けると、磁気抵抗の低い磁路を確保できるので副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2の短縮に起因する磁気抵抗の増大が抑制される。よって、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さL1を副磁極の永久磁石10bの軸方向長さL2よりも長くするとともに永久磁石10a,10bの外周に筒状のバックヨーク8を設けると筒型リニアモータM1の推力を大きく向上させ得る。バックヨーク8の肉厚は、主磁極の永久磁石10aの外部磁気抵抗の増大を抑制に適する肉厚に設定されればよい。なお、バックヨーク8を設けると磁気抵抗の増大を抑制できるが、バックヨーク8の省略も可能である。
なお、副磁極の永久磁石10bは、主磁極の永久磁石10aより高い保磁力を有する永久磁石とされている。永久磁石における残留磁束密度と保磁力は、互いに密接に関係しており、一般的に残留磁束密度を高めると保磁力は低くなり、保磁力を高めると残留磁束密度が低くなるという、互いに背反する関係にある。ハルバッハ配列では、副磁極の永久磁石10bには減磁方向に大きな磁界が印加されるため、副磁極の永久磁石10bの保磁力を高くして減磁を抑制し、大きな磁界をコア2A,2Bに作用させ得るようにしている。対して、コア2A,2Bに対して作用する磁界の強さは、主磁極の永久磁石10aの磁力線数に左右される。そのため、主磁極の永久磁石10aに高い残留磁束密度の永久磁石を使用して大きな磁界をコア2A,2Bに作用させるようにしている。本実施の形態では、副磁極の永久磁石10bを主磁極の永久磁石10aよりも保磁力を高くするのに際して、副磁極の永久磁石10bの材料を主磁極の永久磁石10aの材料よりも保磁力が高い材料としている。よって、材料の選定によって、主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bの組合せを簡単に実現できる。なお、本実施の形態では、主磁極の永久磁石10aは、ネオジム、鉄、ボロンを主成分とする残留磁束密度が高い材料で構成され、副磁極の永久磁石10bは、前記材料にジスプロシウムやテリビウム等の重希土類元素の添加量を増やした減磁しにくい磁石で構成されている。
また、固定子Sの内周側には、電機子Aが挿入されており、界磁6は、電機子Aに磁界を作用させている。なお、界磁6は、電機子Aの可動範囲に対して磁界を作用させればよいので、電機子Aの可動範囲に応じて永久磁石10a,10bの設置範囲を決定すればよい。したがって、アウターチューブ7とインナーチューブ9との環状隙間のうち、電機子Aに対向し得ない範囲には、永久磁石10a,10bを設置しなくともよい。なお、バックヨーク8の長さは、永久磁石10a,10bを積層した長さと等しい長さとされており、永久磁石10a,10bがコア2A,2Bのストローク範囲外に磁界を作用させて推力低下を招かないように配慮されている。
また、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の図1中左端はキャップ15によって閉塞されており、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の図1中右端は環状のヘッドキャップ16によって閉塞されている。ヘッドキャップ16は、内径がロッド11の外径よりも大径であって、内周にダストシール16aを備えており、内周にロッド11が挿通されている。そして、ダストシール16aは、ヘッドキャップ16の内周に移動自在に挿入されるロッド11の外周に摺接してロッド11の外周をシールしている。
インナーチューブ9は、図1および図2に示すように、図中で右端から開口して軸方向に沿って設けられる切欠9aを備えている。また、インナーチューブ9の内周には、ロッド11とロッド11の外周に装着された電機子A、スライダ12,13およびスペーサ14が軸方向へ移動可能に挿入されている。また、インナーチューブ9の切欠9a内には、規制部材28における突起が挿入される。このように電機子Aが界磁6内に挿入されると各コア2A,2Bが界磁6における8つ磁極に対向するので、筒型リニアモータM1は、8極9スロットのリニアモータとされている。
また、インナーチューブ9の内周面には、ウェアリング12a,13aを装着したスライダ12,13が摺接しており、スライダ12,13によって電機子Aはロッド11とともに界磁6に対して偏心せずに軸方向へスムーズに移動できる。
スライダ12,13の軸方向の両端における外周にはそれぞれ面取りが施されてリードインチャンファ12c,13cが形成されている。このようにスライダ12、13が軸方向の両端にリードインチャンファ12c,13cを備えていると、ロッド11に外部からモーメントや横力が作用してインナーチューブ9に対してスライダ12,13が傾いてもインナーチューブ9の内周面をスライダ12,13がかじってインナーチューブ9の内周面を荒らしてしまうのを防止できる。よって、筒型リニアモータM1は、長期間にわたりスムーズに伸縮作動できる。
なお、規制部材28がインナーチューブ9に軸方向に沿って設けられる切欠9a内に挿入されているので、電機子Aの周方向への回転を規制しつつも電機子Aの軸方向へ移動は妨げられない。規制部材28の切欠9a内に挿入される突起の幅は、切欠9aの周方向幅よりも若干小さくなっており、規制部材28が切欠9a内で円滑に移動でき、電機子Aの移動の抵抗とならないように配慮されている。インナーチューブ9に設けられた切欠9aの全長は、インナーチューブ9内で電機子Aが最大にストロークしても規制部材28がインナーチューブ9の切欠9aの端部の内壁に衝合しないようになっている。
インナーチューブ9は、電機子Aの外周と各永久磁石10a,10bの内周との間にギャップを形成するとともに、スライダ12,13と協働して電機子Aの軸方向移動を案内する役割を果たしている。このように、界磁6に対して電機子Aの偏心が防止されるので、電機子Aの偏心による推力低下も阻止され、筒型リニアモータM1は安定して推力を発生できる。なお、スペーサ14は、本実施の形態では、インナーチューブ9の内周に摺接してはいないが、ロッド11に過大な径方向の外力が作用してロッド11が撓んでもコア2A,2Bに先立ってインナーチューブ9に当接する。よって、コア2A,2Bのインナーチューブ9への干渉が阻止され、電機子Aを保護できる。
なお、インナーチューブ9は、非磁性体で形成されればよいが、合成樹脂で形成されると筒型リニアモータM1の推力密度向上効果が高くなる。インナーチューブ9を非磁性体の金属で製造すると、電機子Aが軸方向へ移動する際にインナーチューブ9の内部に渦電流が生じて、電機子Aの移動を妨げる力が発生してしまう。これに対して、インナーチューブ9を合成樹脂とすれば渦電流が生じないので筒型リニアモータM1の推力をより効果的に向上できるとともに、筒型リニアモータM1の質量を低減できる。インナーチューブ9を合成樹脂とする場合、フッ素樹脂で製造すればスライダ12,13のウェアリング12a,13aとの間の摩擦および摩耗を低減できる。また、インナーチューブ9を他の合成樹脂で形成してもよく、また、摩擦および摩耗を低減するべく他の合成樹脂で形成されたインナーチューブ9の内周をフッ素樹脂でコーティングしてもよい。
前述のように電機子Aの両端に設けられたスライダ12,13をインナーチューブ9に摺接させているので、電機子Aの界磁6に対する偏心の防止と電機子Aの軸方向(推力方向)の円滑な移動が保証され、筒型リニアモータM1は、安定して推力を発生できる。また、筒型リニアモータM1は、界磁6の内周に非磁性体のインナーチューブ9を備えているので、筒型リニアモータM1の界磁6内に電機子Aを挿入する際に電機子Aが永久磁石10a,10bに吸引されて貼り付いてしまうのを防止できる。よって、インナーチューブ9を設けると、電機子Aが永久磁石10a,10bに吸引されて貼り付いてしまって筒型リニアモータM1の組立が不能となってしまう事態が回避され、筒型リニアモータM1の組立作業も容易となる。
本実施の形態では、スライダ12,13をインナーチューブ9に摺接させて電機子Aの界磁6に対する偏心の防止と移動を案内しているが、スペーサ14をインナーチューブ9に摺接させて、スライダ12,13と共に電機子Aの偏心と移動を案内してもよい。また、ヘッドキャップ16の内周にロッド11の外周に摺接する筒状の軸受を設けて、スライダ12,13と共に電機子Aの偏心の防止と移動を案内してもよい。
なお、アウターチューブ7、バックヨーク8およびインナーチューブ9の軸方向長さは、電機子Aの軸方向長さよりも長く、電機子Aは、界磁6内の軸方向長さの範囲で図1中左右へストロークできる。
また、キャップ15には、巻線5に接続されるケーブルCを外部の図示しない電源に接続するコネクタ15aを備えており、外部電源から巻線5へ通電できるようになっている。具体的には、巻線5は、前述のようにU相、V相およびW相の三相巻線とされて前述の如くコア2A,2Bのスロット18に装着されているので、ケーブルCと各相の巻線5とが引出線5bを介して接続される。
同一のコア2A,2Bに設けられたスロット18に装着される同相の巻線5同士は渡り線5aによって接続される。コア2Aの渡り線5aは、スペーサ14を軸方向に貫通する通孔14a内を通してコア2Bの外周を軸方向に横断するように配置される。また、コア2Aに装着される各相の巻線5からの渡り線5aとコア2Bに装着される各相の巻線5の渡り線5aは、それぞれスライダ13の通孔13bを通して外部へ取り出されて結線されている。
このように、コア2A,2BのU相、V相およびW相の各巻線5は、それぞれY結線されており、結線箇所が中立点とされている。つまり、コア2Aの同相の巻線5同士は渡り線5aによって各相毎に直列に接続され、コア2Bの同相の巻線5同士は渡り線5aによって各相毎に直列に接続され、コア2Aとコア2Bの巻線5は、外部電源に対して並列に接続されている。このようにコア2Aの巻線5とコア2Bの巻線5は、外部電源に対して並列接続されているので、各コア2A,2Bの巻線5に効率よく電圧を印加でき大きな電流を供給でき、筒型リニアモータ1の推力を向上できる。なお、コア2A,2Bの各相も巻線を同相で直列に接続するようにしてもよい。
さらに、コア2Aに装着される各相の巻線5とコア2Bに装着される各相の巻線5は、スライダ12の通孔12bを通して外部のケーブルCに接続される引出線5bに接続される。よって、ケーブルCを介して外部の電源から各相の巻線5へ電力供給が可能となっている。このように、渡り線5aは、スライダ12の左方からスライダ13の右方へ延びている。また、コア2Bの巻線5へ接続される引出線5bは、コア2Aの外周を横断するように配置される。スライダ12,13、スペーサ14およびコア2A,2Bが相対回転すると、渡り線5aおよび引出線5bに引張などの負荷が作用するが、スライダ12,13、スペーサ14およびコア2A,2Bがピン24,25,26,27によってロッド11回りの相対回転が規制されるので、渡り線5aおよび引出線5bに前記引張などの負荷が作用しないので、渡り線5aおよび引出線5bの断線が防止され巻線5への通電が不能となる事態の発生を防止できる。
また、電機子Aがインナーチューブ9に設けた切欠9aと規制部材28とで、インナーチューブ9に対して周方向への回転が規制されるので、ケーブルCが捩じれて断線する心配もない。
そして、たとえば、巻線5の界磁6に対する電気角をセンシングし、前記電気角に基づいて通電位相切換を行うとともにPWM制御により、各巻線5の電流量を制御すれば、筒型リニアモータM1における推力と電機子Aの移動方向とを制御できる。なお、前述の制御方法は、一例でありこれに限られない。このように、本実施の形態の筒型リニアモータM1では、電機子Aが可動子であり、界磁6は固定子として振る舞う。また、電機子Aと界磁6とを軸方向に相対変位させる外力が作用する場合、巻線5への通電、あるいは、巻線5に発生する誘導起電力によって、前記相対変位を抑制する推力を発生させて筒型リニアモータM1に前記外力による機器の振動や運動をダンピングさせ得るし、外力から電力を生むエネルギ回生も可能である。
ここで、図3において末端ティース4aの外周端の軸方向の幅をWとし、中間ティース4bの外周端の軸方向の幅をyとし、xを正の値とすると、末端ティース4aの外周端の軸方向の幅Wは、W=(y/2)+xとしている。つまり、末端ティース4aの幅Wは、y/2以上とされている。中間ティース4bの外周端の幅をyとしているので、末端ティース4aの外周端の幅Wは、磁路断面積の観点からy/2以上の長さが必要である。そして、xを0とした場合、つまり、末端ティース4aの幅Wをy/2とした場合のコア2A,2Bの軸方向長さをコア2A,2Bの基本長とすると、コア2A,2Bの基本長は、界磁6の磁極ピッチPの8倍の長さに設定されている。ここで、磁極ピッチPは、図1に示すように設定されている。
そして、末端ティース4aの外周端の幅Wを、前述の通り、W=y/2+xとして、xを変化させると、それぞれのコア2A,2Bの端効果によるコギング推力は変化する。xの値を0とすると、つまり、コア2A,2Bを基本長とすると、界磁6に対するコア2A,2Bの位置(deg)に対するコギング推力は、綺麗な正弦波とならず、図4に示すように、コア2A,2Bの位置が0度から360度(2磁極ピッチ相当)までの範囲で2周期分の乱れた単位波が現れる波形となっている。コア2A,2Bの左右の末端ティース4aにて端効果が現れるので、コア2A,2Bのコギング推力は、左右の末端ティース4aの端効果のコギング推力を合成したものとなる。
そして、xの値を増加させていくと徐々にコギング推力の波形における単位波が正弦波に近づくように変化し、コギング推力の波形は或る値x1で略綺麗な正弦波形となる。この或る値x1では、図5に示すように、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲でコギング推力の波形は、正弦波が2周期分現れる波形となる。
xの値をx1からさらに増加させていくとコギング推力の波形は乱れて正弦波とはならず、図6に示すように、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲で4周期分の乱れた単位波が現れる波形となる。そして、xの値をさらに増加させていくと徐々にコギング推力の波形は正弦波形に近づくように変化し、或る値x2で略綺麗な正弦波形となる。この或る値x2では、図7に示すように、コア2A,2Bの位置が0度から360度の範囲でコギング推力の波形は、正弦波が4周期分現れる波形となる。
xの値をx2からさらに増加させていくとコギング推力の波形は乱れて正弦波とはならず、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲で8周期分の乱れた単位波が現れる波形となるが、やがては略綺麗な正弦波が8周期分が現れる波形となる。
このようにxの値によって各コア2A,2Bのコギング推力の波形は変化し、コギング推力の波形が正弦波となるxの値があるが、xの値が大きくなるにつれてコア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲でコギング推力の波形の波の数は多くなっていく。
そして、xの値がx1或いはx2となる場合、各コア2A,2Bのコギング推力の波形がきれいな正弦波となる。よって、コア2Aのコギング推力の正弦波形に対してコア2Bのコギング推力の正弦波形が逆位相となるように、コア2Aとコア2Bの間の間隔を調節すれば、コア2Aのコギング推力をコア2Bのコギング推力で打ち消して電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。
コギング推力の波形がコア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲で正弦波が二つ現れる波形の場合、コア2Aのコギング推力をコア2Bのコギング推力で打ち消すには、コア2Aに対してコア2Bを軸方向に90度或いは270度離間させればよい。一般化すれば、コア2Aに対してコア2Bを90+180n(ただし、n=0、1、2・・・)を演算して求めた度数だけ離間させればよい。コア2A,2Bの末端ティース4aの幅Wのうち、長さxは電気角に影響を与えない。よって、コア2Aに対してコア2Bを軸方向に(90+180n)度離間させるには、コア2Aとコア2Bとの間の間隔の長さをKとし、K=z−2xとするとき、値zが(90+180n)度分のずれを生じさせる長さに設定されればよい。90度は、磁極ピッチをPとすると、P/2に相当する長さとなり、270度は、3P/2に相当する長さとなる。よって、値zが(1+2n)P/2(ただし、n=0、1、2・・・)を満たす値となればよい。
また、コギング推力の波形がコア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲で正弦波が4つ現れる波形の場合、コア2Aのコギング推力をコア2Bのコギング推力で打ち消すには、コア2Aに対してコア2Bを軸方向に45度、135度、225度或いは315度離間させればよい。一般化すれば、コア2Aに対してコア2Bを45+90n(ただし、n=0、1、2・・・)を演算して求めた度数だけ離間させればよい。コア2A,2Bの基本長が磁極ピッチPの整数倍に設定されているので、コア2Aに対してコア2Bを軸方向に(45+90n)度離間させるには、コア2Aとコア2Bとの間の間隔の長さをKとし、K=z−2xとするとき、値zが(45+90n)度分のずれを生じさせる長さに設定されればよい。たとえば、45度は、磁極ピッチをPとすると、P/4に相当する長さとなり、135度は、3P/4に相当する長さとなる。よって、値zが(1+2n)P/4(ただし、n=0、1、2・・・)を満たす値となればよい。
このように、xの値をx1或いはx2として末端ティース4aの幅Wを設定し、xの値に基づいてzの値を求め、値zからコア2Aとコア2Bの間の間隔Kを設定すれば、電機子Aのコギング推力を極小さくできる。なお、電機子Aのコギング推力を低減するには、xの値をコア2A,2Bの単独コギング推力の波形を正弦波とする値に設定するほうがよいが、xの値がそのような値に設定されなくとも電機子A全体のコギング推力を低減できる。
xの値に応じて適宜間隔Kをコギング推力を低減できるように設定するのを条件として、xの値に応じて電機子Aの全体のコギング推力がどのように変化するかを調べた結果を図8に示す。図8は、末端ティース4aの外周端の幅Wをy/2とした場合の電機子A全体のコギング推力を基準として、xの値の変化に対して電機子Aの全体のコギング推力がどのように変化するかを示したグラフである。なお、図8のグラフは、xの値がx2未満である場合、値zを(1+2n)P/2(ただし、n=0、1、2・・・)とし、xの値がx2以上である場合、値zを(1+2n)P/4(ただし、n=0、1、2・・・)とした結果を表している。
図8から理解できるように、末端ティース4aの外周端の幅Wは、y/2より大きくすれば、筒型リニアモータM1のコギング推力は低下する。よって、末端ティース4aの外周端の軸方向の幅Wは、W>y/2を満たすように設定すれば、筒型リニアモータM1のコギング推力を低減できる。また、図8に示すように、縦軸をコギング推力とし、xの値を横軸に採ると、コギング推力は、コア2A,2Bの単独のコギング推力の波形が正弦波となる値x1,x2で周期的に最小値を採るように推移する。
前述したように、コア2A,2Bの末端ティース4aの幅Wをy/2+xとすると、xの値によってコア2A,2Bの単独のコギング推力の波形がコア2A,2Bの位置が0度から360度の範囲で何周期分の単位波が現れるのかが分かるので、xの値に基づいて間隔Kを最適化すれば電機子Aの全体のコギング推力を低減できる。また、xの値を最適化してコア2A,2Bの単独のコギング推力の波形が正弦波とすれば、電機子Aのコギング推力を最小化できる。
よって、末端ティース4aの幅WをW=y/2とした場合のコア2A,2Bの軸方向長さである基本長を磁極ピッチPの整数倍とし、末端ティース4aの幅Wをコギング推力の低減に適するよう幅に設定し、xの値に基づいてコア2A,2B間の間隔Kを適宜設定すればコギング推力を低減できる。
本実施の形態の場合、スペーサ14によってコア2Aとコア2Bとの間に磁気的に間隔Kの隙間を設けており、スペーサ14の軸方向の幅を間隔Kに設定している。よって、xの値に基づいてzの値を求めて、K=z−2xを演算して、スペーサ14の軸方向の幅を決定すればよい。また、スペーサ14を省略する場合には、ロッド11の外周にコア2A,2Bを間隔Kだけ軸方向に離して固定するようにしてもよい。
前述の通り、値xは、コギング推力を最小にするx1,x2に設定されれば最適となるが、たとえば、前記幅Wがy/2とされた場合のコギング推力に対してコギング推力が50%以下となる範囲内の値を得られるように設定されてもよい。このように設定しても、筒型リニアモータM1のコギング推力は、末端ティース4aの幅Wをy/2に設定した際のコギング推力よりも半減するので十分なコギング推力低減効果が得られる。なお、図8に示した例では、xの値が範囲β1内にあるか、或いは範囲β2にある場合に前記幅Wがy/2とされた場合のコギング推力に対してコギング推力が50%(図8中破線で示したライン)以下となるので、xの値を範囲β1或いは範囲β2の値に設定してもよい。なお、コギング推力は、末端ティース4aの外周端の幅Wが変化すると周期的に最小値を採るので、幅Wがy/2とされた場合のコギング推力に対してコギング推力が50%以下となる範囲内の値を得られるように設定されればよい。ただし、コア2A,2Bの質量は、末端ティース4aの幅が大きくなると増加するので、コギング推力を低減できるxの値の範囲はいくつも存在するが、図8に示したように、xの値がなるべく小さい値となるようにするとよい。そこで、値xが中間ティース4bの外周端の幅yの1%からスロットピッチの長さの間の値を採るように設定されると、コア2A,2Bの無用な質量増加を招かずにコギング推力の低減を図れる。つまり、前記末端ティース4aの外周端の幅Wは、スロットピッチ長さをSとすると、y/2+0.01y≦W≦y/2+Sを満たすように設定されると、コア2A,2Bの無用な質量増加を招かずにコギング推力の低減を図れる。幅Wは、磁路断面積の観点からy/2以上の長さが必要であり、最小限必要な幅であるy/2の値にスロットピッチ長さSを加えると幅Wをy/2とした場合と同じ状態となる。よって、y/2+0.01y≦W≦y/2+Sを満たすように設定されると、コア2A,2Bの無用な質量増加を招かない。
また、前述したところでは、電機子Aが二つのコア2A,2Bを備えているが、図9に示した第一の実施の形態の第一変形例の筒型リニアモータM2のように、電機子Aが三つのコア2A,2B,2Cを備える場合には、以下のようにすればよい。この場合、コア2A,2B間とコア2B,2C間にスペーサ14A,14Bを設けて、コア2Aとコア2Bとの間と、コア2Bとコア2Cとの間に間隔Kの磁気的なギャップが設けられる。
スペーサ14A,14Bは、コア2A,2B,2Cの外径よりも大きな外径を有している。よって、スペーサ14A,14Bは、スペーサ14と同様に、コア2A,2B間およびコア2B,2C間に磁気的なギャップを設ける機能を発揮する他、ロッド11が過大な外力により撓んでもインナーチューブ9とコア2A,2B,2Cの干渉を阻止する機能を発揮する。なお、スペーサ14A,14Bは、インナーチューブ9の内周に常時摺接してスライダ12,13とともに電機子Aの推力方向への移動を案内してもよい。
xの値をx1として各コア2A,2B,2Cの位置が0度から360度の範囲でコギング推力の波形を2周期分の正弦波となるようにすると、コア2A,2B,2Cを三つにする場合では、値zを60+180n(ただし、n=0、1、2・・・)度分のずれを生じさせる長さに設定すれば、コア2A,2B,2Cのコギング推力が打ち消しあって電機子Aのコギング推力を極小さくできる。つまり、値zを(1+3n)P/3(ただし、n=0、1、2・・・)を満たす値に設定すればよい。
また、xの値をx2としてコギング推力の波形がコア2A,2B,2Cの位置が0度から360度までの範囲で正弦波が四つ現れる波形とすると、コア2A,2B,2Cを三つにする場合では、値zを30+90n(ただし、n=0、1、2・・・)度分のずれを生じさせる長さに設定すれば、コア2A,2B,2Cのコギング推力が打ち消しあって電機子Aのコギング推力を極小さくできる。つまり、値zを(1+3n)P/6(ただし、n=0、1、2・・・)を満たす値に設定すればよい。
このように、xの値をx1或いはx2として末端ティース4aの幅Wを設定し、xの値に基づいてzの値を求め、値zからコア2A、2B間とコア2B,2Cの間の間隔Kを設定すれば、電機子Aのコギング推力を極小さくできる。なお、電機子Aのコギング推力を低減するには、xの値をコア2A,2B,2Cの単独コギング推力の波形を正弦波とする値に設定するほうがよいが、xの値がそのような値に設定されなくとも電機子A全体のコギング推力を低減できる。
前述したように、コア2A,2Bの末端ティース4aの幅Wをy/2+xとすると、xの値によってコア2A,2Bの単独のコギング推力の波形がコア2A,2Bの位置が0度から360度の範囲で何周期分の単位波が現れるのかが分かるので、xの値に基づいて間隔Kを最適化すれば電機子Aの全体のコギング推力を低減できる。また、xの値を最適化してコア2A,2Bの単独のコギング推力の波形が正弦波とすれば、電機子Aのコギング推力を最小化できる。
以上のように、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1は、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6と、界磁6の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ9と、インナーチューブ9内に移動自在に挿入されるロッド11と、ロッド11に装着される電機子Aと、ロッド11に設けられるとともにインナーチューブ9の内周に摺接して電機子Aの界磁6に対する移動を案内するスライダ12,13とを備えている。
このように構成された筒型リニアモータM1は、界磁6と電機子Aとの間に非磁性体のインナーチューブ9が配置されており、ロッド11に設けたスライダ12,13がインナーチューブ9の内周に摺接しているので、電機子Aの推力方向の移動が案内されるとともに界磁6に対する径方向の偏心が抑制される。よって、本発明の筒型リニアモータM1によれば、界磁6に対する電機子Aの偏心が防止されて安定して推力を発生できる。また、この筒型リニアモータM1では、界磁6が永久磁石10a,10bの内周に設けた非磁性体のインナーチューブ9を備えているので、筒型リニアモータM1の界磁6内に電機子Aを挿入する際に電機子Aが永久磁石10a,10bに吸引されて貼り付いてしまうのを防止できる。よって、インナーチューブ9を設けると、電機子Aが永久磁石10a,10bに吸引されて貼り付いてしまって筒型リニアモータM1の組立が不能となってしまう事態が回避され、筒型リニアモータM1の組立作業も容易となる。
なお、前述したところでは、電機子Aが二つのコア2A,2Bを備えているが、電機子Aが一つのコアのみを有する構造であってもよく、この場合にもスライダ12,13によって電機子Aの偏心を抑制できる。また、スライダ12或いはスライダ13の一方の省略も可能であり電機子Aの偏心を抑制できる。このようにスライダ12,13の一方を省略する場合、ヘッドキャップ16の内周にロッド11の外周に摺接する軸受を設けて、電機子Aの界磁6に対する偏心を抑制して筒型リニアモータM1における推力の安定を図ってもよい。また、スライダ12,13に一方を省略する場合、電機子Aが二つのコア2A,2Bを備えているのであれば、図1中でスペーサ14を配置した位置、つまり、コア2A,2B間にスライダを設置してもよい。
また、本実施の形態の筒型リニアモータM1では、電機子Aの軸方向の両側にそれぞれスライダ12,13を備えているので、ロッド11の撓みも抑制できるから電機子Aの界磁6に対する偏心を効果的に抑制できる。スライダ12,13は、電機子Aと隣接させるとより偏心抑制効果が高くなる。
そして、本実施の形態の筒型リニアモータM1におけるスライダ12,13は、軸方向の両端の外周にリードインチャンファ12c,13cを備えているので、ロッド11に外部からモーメントや横力が作用してインナーチューブ9に対してスライダ12,13が傾いてもインナーチューブ9の内周面をスライダ12,13がかじってインナーチューブ9の内周面を荒らしてしまうのを防止できる。よって、本実施の形態の筒型リニアモータM1は、長期間にわたりスムーズに伸縮作動できる。
さらに、本実施の形態では、スライダ12,13と電機子Aとのロッド11回りの相対回転を規制するピン(回転規制部)24,25と、スペーサ14とコア2A,2Bとのロッド11回りの相対回転を規制するおよびピン(スペーサ回転規制部)26,27を備えている。このように構成された筒型リニアモータM1では、スライダ12,13、スペーサ14およびコア2A,2Bのロッド11回りの相対回転が規制されるので各コア2A,2Bのスロット18に装着された巻線5とケーブルCとを接続する渡り線5aおよび引出線5bに引張等の負荷がかかるのを防止できる。よって、このように構成された筒型リニアモータM1では、渡り線5aおよび引出線5bの断線が防止され巻線5への通電が不能となる事態の発生を防止できる。なお、電機子Aが三つのコア2A,2B,2Cを備えており、コア2A,2B間およびコア2B,2C間にそれぞれスペーサ14A,14Bを設ける場合、スペーサ14A,14Bとコア2A,2B,2Cとの互いの相対回転を規制するスペーサ回転規制部を設けて渡り線5aおよび引出線5bを保護すればよい。
また、本実施の形態では、電機子Aが二つのコア2A,2Bを備えており、コア2A,2B間にスペーサ14が設けられているので、渡り線5aおよび引出線5bの保護のためにスペーサ14とコア2A,2Bの互いの相対回転を規制するスペーサ回転規制部を設けている。これに対して、電機子Aが単一のコアのみを有してスペーサを設けない場合、スライダと電機子Aの相対回転を規制する回転規制部だけを設ければ渡り線5aおよび引出線5bを保護できる。また、本実施の形態では、各相の巻線5の結線をケーブルC側ではなく図1中でスライダ13の右側で行っており、スライダ13に通孔13bを設けて、U相、V相、W相の渡り線5aを通孔13bに通して外部へ引き出して結線している。そのため、スライダ13と電機子Aとの相対回転を規制しているが、渡り線5aの結線をスライダ12の図1中左方のケーブルC側で行う場合、渡り線5aがスライダ13を横切らないのでスライダ13と電機子Aとの相対回転を規制する回転規制部を廃止できる。
また、本実施の形態の筒型リニアモータM1は、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6と、界磁6の内周に配置されるとともに軸方向に沿って設けられる切欠9aを有する非磁性体のインナーチューブ9と、インナーチューブ9内に移動自在に挿入されるロッド11と、ロッド11に装着される電機子Aと、ロッド11に対して不動であって切欠9a内に挿入されて界磁6に対する電機子Aのロッド回りの回転を規制する規制部材28とを備えている。
このように構成された筒型リニアモータM1は、可動子である電機子Aが固定子である界磁6に対する周方向の回転が防止されるので、電機子Aが駆動されても外部電源と電機子Aにおける巻線5とを接続するケーブルCが捩じれず、ケーブルCの断線を防止できる。よって、本発明の筒型リニアモータM1によれば、電機子A側を可動子としても断線を防止でき、長期間に亘り安定的に推力を発生できる。
また、規制部材28は、スライダ12に取付けてもよいし、電機子Aが本実施の形態のように複数のコア2A,2Bを備えてコア2A,2B間にスペーサ14が設けられる場合、スペーサ14に規制部材28を設けてもよい。
なお、図10に示した筒型リニアモータM3のように、インナーチューブ9の中間に切欠9aを設けてスペーサ14に規制部材29を螺着するようにしてもよい。より詳細には、インナーチューブ9は、図11に示すように、軸方向に沿って形成される切欠9aを備えており、この切欠9a内に規制部材29が挿入される。このようにすると、インナーチューブ9の内周にスライダ12,13を摺接させるようにした場合に、電機子Aの全長とストローク範囲を最適化すると、切欠9aをスライダ12,13が対向しない範囲に設置できるようになる。よって、スライダ12,13のウェアリング12a,13aの劣化を抑制できる。なお、このようにインナーチューブ9の中間に切欠9aを設けて、切欠9aがインナーチューブ9の端部に開口しないようにする場合、電機子Aをインナーチューブ9内に挿入した後に、インナーチューブ9の外方からスペーサ14に規制部材29を捩じ込むようにすればよい。また、この場合、スペーサ14に外周から径方向に向けて開口する孔を設けておき、孔内にピンとピンを孔から突出するように附勢する弾性体とを挿入し、ピンと弾性体とで規制部材を構成してもよい。このようにすると、電機子A、規制部材およびロッド11をアッセンブリ化してインナーチューブ9内に前記ピンが切欠9aに対向する位置まで挿入すると、ピンが切欠9a内に突出して電機子Aの界磁6に対する回転が規制される。
また、本実施の形態の筒型リニアモータM1では、電機子Aの軸方向の両側にスライダ12,13を設ける他、コア2A,2B間にスペーサ14を設けている。このように電機子Aが複数のコア2A,2Bを備えている場合には、コア2A,2B間にスペーサ14を設けるようにすると、ロッド11に過大な径方向の外力が作用してロッド11が撓んでもコア2A,2Bに先立ってインナーチューブ9に当接する。よって、このように構成された筒型リニアモータM1によれば、コア2A,2Bのインナーチューブ9への干渉が阻止されて電機子Aを保護できる。
なお、本実施の形態の筒型リニアモータM1は、筒状のヨーク3と環状であってヨーク3の外周に軸方向に間隔を空けて設けられて複数のティース4a,4bとを有して軸方向に並べて配置される複数のコア2A,2Bと、各コア2A,2Bのティース4a,4b間のスロット18に装着される巻線5とを有する電機子Aと、筒状であって電機子Aが内方に軸方向に移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6とを備え、各コア2A,2Bに対して両端に配置された各ティースを末端ティース4aとし、末端ティース4a以外のティースを中間ティース4bとし、末端ティース4aの外周端の幅をWとし、中間ティース4bの外周端の幅をyとし、xを正の値とし、末端ティース4aの外周端の幅WをW=y/2+xとし、隣り合うコア2A,2B同子の間隔Kがxの値に基づいて設定されている。このように構成された筒型リニアモータM1では、末端ティース4aの外周端の幅Wをコギング推力を低減できる幅に設定して、電機子Aの全体のコギング推力の低減を図るので、コア2A,2Bの軸方向長さが磁極ピッチPの整数倍に固定化されない。このようにコア2A,2Bの磁極ピッチに対する軸方向の長さ条件は磁極ピッチの5倍などと固定化されないので、電機子Aの設計自由度が向上する。よって、本実施の形態の筒型リニアモータM1によれば、設計自由度を向上しつつもコギング推力を低減できる。なお、このことは、三つのコア2A,2B,2Cを持つ筒型リニアモータM2にあっても同様であり、本発明の筒型リニアモータM2によれば、設計自由度を向上しつつもコギング推力を低減できる。
コア2A,2Bの数が2つであって、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲でコア2A,2Bの単体のコギング推力の波形が2周期分の正弦波である場合、zを(1+2n)P/2とすると電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。また、コア2A,2Bの数が2つであって、コア2A,2Bの位置が0度から360度までの範囲でコア2A,2Bの単体のコギング推力の波形が4周期分の正弦波である場合、zを(1+2n)P/2とすると電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。よって、コア2A,2Bの数が2であり、間隔KをK=z−2xとするとき、界磁6の磁極ピッチをPとし、nを0以上の整数とすると、値zは、値xに基づいて(1+2n)P/2或いは(1+2n)P/4のいずれかに設定されるとよい。
また、コア2A,2B,2Cの数が3つであって、コア2A,2B,2Cの位置が0度から360度までの範囲でコア2A,2B,2Cの単体のコギング推力の波形が2周期分の正弦波である場合、値zを(1+3n)P/3とすると電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。コア2A,2B,2Cの数が3つであって、コア2A,2B,2Cの位置が0度から360度までの範囲でコア2A,2B,2Cの単体のコギング推力の波形が4周期分の正弦波である場合、値zを(1+3n)P/6とすると電機子Aの全体のコギング推力を極小さくできる。よって、コア2A,2B,2Cの数が3であり、間隔KをK=z−2xとするとき、界磁6の磁極ピッチをPとし、nを0以上の整数とすると、値zは、値xに基づいて(1+3n)P/3或いは(1+3n)P/6のいずれかに設定されるとよい。
さらに、値xが界磁6に対するコア2A,2B,2Cの軸方向移動に対するコギング推力の波形が正弦波となるように設定されると、コア2A,2B,2Cのコギング推力を互いに効率よく打ち消しあえるので、筒型リニアモータM1,M2のコギング推力を極小さくできる。
また、末端ティース4aの外周端の幅Wがy/2+0.01y≦W≦y/2+Sを満たすように設定される場合には、コア2A,2B,2Cの無用な質量増加を招かずにコギング推力の低減を図れる。そして、コア2A,2B,2Cの無用な質量増加を招かないから、筒型リニアモータM1の質量推力密度が向上する。ここで、質量推力密度とは、前述の構成の筒型リニアモータM1の最大推力を質量で割った数値であり、末端ティース4aの質量が増えても推力が増加するわけではないので、末端ティース4aの質量を軽量とするほうが質量推力密度が向上する。よって、このように構成された筒型リニアモータM1によれば、質量当たりの推力が大きくなるので小型で大きな推力が得られる。
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータM1にあっては、中間ティース4bが内周端の幅yiより外周端の幅yが狭い等脚台形状とされており、末端ティース4aが中間ティース側の側面が中間ティース4bの側面と同形状とされるとともに反中間ティース側の側面がコア2A,2Bの軸線Jに直交する面を持つ台形状とされている。
このように末端ティース4aの形状を前述のような台形状とすると、図3に示すように、末端ティース4aの外周端の軸方向の幅Wよりも内周端の軸方向の幅Wiの方が大きい。末端ティース4aの形状を前述のようにする場合と、外周端の軸方向の幅Wを同じにして末端ティース4aの断面を矩形とする場合とで比較すると、末端ティース4aの断面を台形状とするほうが内周端における磁路断面積は広くなる。また、中間ティース4bの形状を前述のように設定すると、図3に示すように、中間ティース4bの外周端の軸方向の幅yよりも内周端の軸方向の幅yiの方が大きい。中間ティース4bの形状を前述のような等脚台形状とする場合と、外周端の軸方向の幅yを同じにして中間ティース4bの断面を矩形とする場合とで比較すると、中間ティース4bの断面を等脚台形状とするほうが内周端における磁路断面積は広くなる。よって、このように構成された筒型リニアモータM1では、大きな磁路断面積を確保しやすくなり、巻線5を通電した際の磁気飽和を抑制でき、より大きな磁場を発生できるからより大きな推力を発生できる。なお、推力の向上のためには、末端ティース4aと中間ティース4bの断面形状を台形とするとよいが、コギング推力の低減には影響がないので末端ティース4aと中間ティース4bの断面形状を矩形としてもよいし、他の形状としてもよい。
なお、発明者らの研究によって、末端ティース4aおよび中間ティース4bの断面における側面と直交面Oとでなす内角θが6度から12度の範囲にあると、良好な質量推力密度が得られることが分かった。以上より、末端ティース4aおよび中間ティース4bの断面を台形状とする場合、前記内角θを6度から12度の範囲の角度とすると、筒型リニアモータM1の質量当たりの推力が大きくなるので小型で大きな推力が得られる。
また、図12に示した筒型リニアモータM4のように、コア2A,2Bが、ヨーク3と、末端ティース4aおよび中間ティース4bとが設けられるコア本体21と、コア本体21の両端のそれぞれに着脱可能に装着される環状プレート22,22とで構成されてもよい。この環状プレート22,22は、共に軸方向の幅が等しく、コア本体21と同一の材料で作られており、コア本体21の両端にそれぞれ装着されると末端ティース4aの一部として機能し、末端ティース4aの外周端における軸方向の幅Wを調整する機能を発揮する。つまり、環状プレート22は、コギング推力の低減の調整をも担っている。コア2A,2B或いは末端ティース4aの寸法公差等によって、コア本体21のみではコギング推力の低減効果が少ない場合、環状プレート22,22の装着によって、コギング推力の低減効果を向上できる。なお、異なる幅の環状プレート22を用意しておき、コア本体21に最適な幅の環状プレート22を選択して装着してもよいし、幅が薄い環状プレートを複数枚重ねてコア本体21に装着するようにしてもよい。また、環状プレート22のコア本体21への装着に際しては、たとえば、コア本体21に螺子孔を設けるとともに環状プレート22に孔を設けて、螺子を用いてコア本体21に環状プレート22を固定してもよいし、他の固定方法を採用してもよい。
<第二の実施の形態>
つづいて、第二の実施の形態における筒型リニアモータM5について説明する。第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、図13に示すように、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁36と、界磁36の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ39と、インナーチューブ39内に移動自在に挿入される筒状のロッド41と、ロッド41に装着される電機子A1と、ロッド41に設けられるとともにインナーチューブ39の内周に摺接して電機子A1の界磁36に対する移動を案内するスライダ51b,55と、アウターチューブ37と、界磁36の外周に設けられるアウターチューブ37と、アウターチューブ37の開口端部に装着されるとともにロッド41が内周に挿通される環状のヘッドキャップ45とを備えて構成されている。
以下、筒型リニアモータM5の各部について詳細に説明する。電機子A1は、コア33と巻線35とを備えて構成されている。コア33は、円筒状のコア本体33aと、環状であってコア本体33aの外周に軸方向に間隔を空けて設けられる複数のティース33bとを備えて構成されて可動子とされている。
コア33は、図13に示すように、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1のコア2Aと同形状とされていて、筒状であって、コア本体33aの外周に軸方向に等間隔に並べて設けられた10個のティース33bを備えており、ティース33b,33b間には、巻線35が装着される空隙でなるスロット34が形成されている。また、各スロット34に装着される巻線35は、U相、V相およびW相の三相巻線とされていて、第一の実施の形態のスロット18と同様に装着される巻線5と同様の順に前記スロット34に装着されている。
そして、このように構成された電機子A1は、出力軸である非磁性体で形成されたロッド41の外周に装着されている。ロッド41は、筒状の第一ロッド50と、筒状であって外周にコア33が装着されるとともに第一ロッド50の内周に螺合される第二ロッド51とを備えている。また、ロッド41内には、ストロークセンサLが収容されている。
第一ロッド50は、筒状であって図13中左端外周と図13中右端内周にそれぞれ螺子部52a,52bを有するロッド本体52と、筒型リニアモータM5を機器へ取り付けるブラケット53aを有してロッド本体52の図13中左端の螺子部52aに螺着されてロッド本体52の左端を閉塞するエンドキャップ53とを備えている。また、ロッド本体52の図13中右端外周には、環状のスライダ55が嵌合されている。スライダ55の右端内周には、フランジ55aが設けられている。フランジ55aの内径は、ロッド本体52の内径以上であってロッド本体52の外径以下となっており、スライダ55をロッド本体52に嵌合するとフランジ55aがロッド本体52の図13中右端面に当接する。また、ロッド41の図13中左端側に設けられたフランジ48とスライダ55とに嵌合してロッド41の外周を覆う筒状のカバー47が設けられており、カバー47とロッド41との間には環状の空間が形成されている。
第二ロッド51は、外周にコア33が装着される筒状のコア保持筒51aと、コア保持筒51aの図13中右端となる先端の外周に設けられる環状のスライダ51bとを備えている。また、コア保持筒51aの図13中左端となる基端の外周には、螺子部51cが設けられており、コア保持筒51aの基端側内周には内径が他の部位よりも大きな内径大径部51dが設けられている。そして、コア保持筒51aの基端を第一ロッド50におけるロッド本体52の図13中右端の内周に挿入しつつ螺子部51cを螺子部52bに捩じ込むと、第一ロッド50と第二ロッド51とが連結される。
このようにロッド41は、第一ロッド50と第二ロッド51とで構成されており、第一ロッド50内には、ストロークセンサLにおけるセンサ本体60が収容される。
また、第二ロッド51におけるコア保持筒51aの外周には、コア33が嵌合されて装着されている。コア保持筒51aの外径は、第一ロッド50におけるロッド本体52の外径よりも小径となっているので、スライダ55を装着した第一ロッド50に電機子A1を装着した第二ロッド51を前記した要領で連結すると、電機子A1およびスライダ55が第一ロッド50の図13中右端と第二ロッド51のスライダ51bとで挟み込まれて固定される。このようにロッド41に電機子A1を装着すると、コア33がスライダ51bおよびスライダ55に挟まれる格好でロッド41に固定される。
他方、固定子Sは、本実施の形態では、円筒状の非磁性体で形成されるアウターチューブ37と、アウターチューブ37内に挿入される円筒状の軟磁性体で形成されるバックヨーク38と、バックヨーク38内に軸方向に交互に積層されて挿入される環状の主磁極の永久磁石40aと環状の副磁極の永久磁石40bとを備えた界磁36とで構成されている。そして、この界磁36の永久磁石40a,40bの内周には、非磁性体のインナーチューブ39が設けられている。つまり、永久磁石40a,40bは、バックヨーク38とインナーチューブ39の間の環状隙間に収容されている。界磁36は、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1と同様に、ハルバッハ配列で配置された主磁極の永久磁石40aと環状の副磁極の永久磁石40bとで構成されており、内周側の軸方向にS極とN極が交互に現れる磁界を作用させている。また、本実施の形態の筒型リニアモータM5にあっても第一の実施の形態の筒型リニアモータM1等同様に、主磁極の永久磁石40aの軸方向長さを副磁極の永久磁石40bの軸方向長さよりも長くして筒型リニアモータM5の推力の向上を図っているが、永久磁石40a,40bの軸方向長さは任意に変更できる。また、界磁36は、ハルバッハ配列以外の配列で配置される永久磁石で構成されてもよい。
また、バックヨーク38を設けると、磁気抵抗の低い磁路を確保できるので副磁極の永久磁石40bの軸方向長さの短縮に起因する磁気抵抗の増大が抑制されて、筒型リニアモータM5の推力を大きく向上させ得るのは、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1と同様である。
なお、本実施の形態では、界磁36の軸方向長さよりもバックヨーク38の軸方向長さが長く、永久磁石40a,40bの軸方向長さに寸法誤差があっても界磁36が必ずバックヨーク38に対向するように配慮されており、界磁36の末端の永久磁石の磁束漏れを防いで筒型リニアモータM5の推力低下を防止している。
また、アウターチューブ37、バックヨーク38およびインナーチューブ39の図13中左端は内周にロッド41が挿入される環状のヘッドキャップ45によって閉塞されている。アウターチューブ37は、図13中右端側が縮径されていて底部37aが設けられており、底部37aの右端に筒型リニアモータM5の機器への取り付けを可能とするブラケット37bを備えている。
ヘッドキャップ45は、環状であって内周にロッド41が挿通されており、アウターチューブ37の図13中左端の開口端の内周に螺子締結されてアウターチューブ37に装着されている。なお、ヘッドキャップ45のアウターチューブ37への装着は、たとえば、溶接、管端加締等といった螺子締結以外の装着方法を採用してもよい。また、ヘッドキャップ45とインナーチューブ39とは、図13に示すように、非磁性体であって一体成型されており、ヘッドキャップ45の図13中右端からインナーチューブ39が右方へ突出している。そして、インナーチューブ39の外周に界磁36が軸方向移動不能に装着されている。具体的には、インナーチューブ39の外周には図13中左から環状のスペーサ65、界磁36、環状のストッパ66が順に嵌合されていて、ヘッドキャップ45をアウターチューブ37に螺子締結すると、スペーサ65、界磁36およびストッパ66がヘッドキャップ45とアウターチューブ37の底部37aとで挟持され、界磁36がインナーチューブ39の外周に固定される。なお、界磁36の外周に装着されるバックヨーク38は、界磁36の磁力によって界磁36に拘束されるのでアウターチューブ37内で移動しない。
また、ヘッドキャップ45の内周には、第一ロッド50の外周を覆うカバー47の外周に摺接する環状のシール部材58が設けられており、筒型リニアモータM5内への塵や水などの侵入が防止されている。
そして、インナーチューブ39内には、電機子A1が装着されたロッド41が軸方向移動自在に挿入され、インナーチューブ39の内周にスライダ51b,55が摺接して、電機子A1の軸方向の移動が案内される。
インナーチューブ39は、コア33の外周と各永久磁石40a,40bの内周との間のギャップを形成するとともに、スライダ51b,55と協働してコア33の軸方向移動を案内する役割を果たしている。なお、本実施の形態では、電気子A1は、単一のコア33のみを有して構成されているが、複数のコア33を持つ場合、電気子A1の軸方向両端だけでなくコア33,33間にもインナーチューブ39の内周に摺接するスライダを設けてもよい。
インナーチューブ39は、コア33の外周と各永久磁石40a,40bの内周との間のギャップを形成するとともに、スライダ51b,55と協働してコア33の軸方向移動を案内する役割を果たしている。なお、スライダ51b,55の軸方向両端の外周には、符示はしないが面取りが施されてリードインチャンファが設けられており、ロッド41がインナーチューブ39に対して傾いてもスライダ51b,55がインナーチューブ39の内周面をかじって傷つけないように配慮されている。
さらに、アウターチューブ37の底部37aの内周には、ガイドロッド46が取り付けられている。ガイドロッド46は、底部37aの内周に固定される基端部46aと、基端部46aからロッド41側へ延びてロッド41内に摺動自在に挿入されるガイド部46bとを備えている。より詳細には、ガイドロッド46のガイド部46bは、第二ロッド51の内径大径部51dよりも先端側に摺動自在に挿入されており、筒型リニアモータM5が伸縮しても常にロッド41の内周に摺接している。
このように、インナーチューブ39の内周には、スライダ51b,55が摺接しており、ガイドロッド46がロッド41の内周に摺接しているので、電機子A1はロッド41とともに界磁36に対して偏心せずに軸方向へスムーズに移動できる。
つづいて、ストロークセンサLは、本実施の形態では、線形可変差動変圧器とされており、詳しくは図示しないが、プライマリコイルと二つのセカンダリコイルとを収容した筒状のセンサ本体60と、センサ本体60内に軸方向へ移動可能に挿入されるとともに先端に被検出子であるセンサ用コア61を有するプローブ62とを備えて構成されている。なお、線形可変差動変圧器は、プライマリコイルへ交流電圧を印加した際に誘導さえる二つのセカンダリコイルの誘導電圧の差からセンサ用コア61の位置を検知する。
センサ本体60を予め第一ロッド50内に挿入しておき、スライダ55を第一ロッド50の端部に嵌合して、第二ロッド51を第一ロッド50に螺着すると、センサ本体60は、第二ロッド51における内径大径部51dの右端に形成される段部と第一ロッド50のエンドキャップ53とで挟持されて第一ロッド50内に固定される。このように、センサ本体60は、外周に電機子A1が装着されない第一ロッド50内に収容されており、ロッド41の径方向で電機子A1と対向しない範囲に収容されている。
また、ストロークセンサLにおけるプローブ62は、ロッド状であってガイドロッド46におけるガイド部46bの先端に取り付けられている。よって、被検出子としてのセンサ用コア61は、プローブ62、ガイドロッド46およびアウターチューブ7を介して界磁36に対して固定的に連結されている。プローブ62は、前述したとおり、先端にセンサ用コア61を備えていて、先端側をセンサ本体60内に挿入している。よって、電機子A1が界磁36に対して軸方向へ移動するのに伴ってプローブ62がセンサ本体60に対して軸方向へ相対移動して、センサ用コア61がセンサ本体60内で移動する。
センサ本体60を収容するロッド41内にはプローブ62を保持するガイドロッド46が摺動自在に挿入されているので、センサ本体60に対するセンサ用コア61の径方向への偏心が防止される。なお、センサ本体60のプライマリコイルへの通電用の配線およびセカンダリコイルに接続される配線60aは、エンドキャップ53に設けた孔53bから外部へ引き出されて図外のコントローラに接続される。
巻線35に接続されるケーブルCは、ロッド41とロッド41の外周を覆う筒状のカバー47との間の空間に収容されて、筒型リニアモータM5の外方へ引き出されており、前記コントローラによって制御される図外の駆動回路に接続されている。よって、外部の駆動回路から巻線35へ通電できるようになっている。
そして、図外のコントローラは、巻線35の界磁36に対する電気角をストロークセンサLでセンシングし、前記電気角に基づいて通電位相切換を行うとともにPWM制御により、各巻線35の電流量を制御して、筒型リニアモータM5における推力と電機子2の移動方向とを制御する。なお、前述のコントローラにおける制御方法は、一例でありこれに限られない。このように、本実施の形態の筒型リニアモータM5では、電機子A1が可動子であり、界磁36は固定子Sとして振る舞う。また、電機子A1と界磁36とを軸方向に相対変位させる外力が作用する場合、巻線35への通電、あるいは、巻線35に発生する誘導起電力によって、前記相対変位を抑制する推力を発生させて筒型リニアモータM5に前記外力による機器の振動や運動をダンピングさせ得るし、外力から電力を生むエネルギ回生も可能である。
以上のように、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁36と、界磁36の内周に配置される非磁性体のインナーチューブ39と、インナーチューブ39内に移動自在に挿入されるロッド41と、ロッド41に装着される電機子A1と、ロッド41に設けられるとともにインナーチューブ39の内周に摺接して電機子A1の界磁36に対する移動を案内するスライダ51b,55とを備えている。このように構成された筒型リニアモータM5は、界磁36と電機子A1との間に非磁性体のインナーチューブ39が配置されており、ロッド41に設けたスライダ51b,55がインナーチューブ39の内周に摺接しているので、電機子A1の推力方向の移動が案内されるとともに界磁36に対する径方向の偏心が抑制される。よって、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、第一の実施の形態の筒型リニアモータM1と同様に、界磁36に対する電機子A1の偏心を防止でき、安定した推力を発生できる。また、この筒型リニアモータM5は、永久磁石40a,40bの内周に設けた非磁性体のインナーチューブ39を備えているので、界磁36内に電機子A1を挿入する際に電機子A1が永久磁石40a,40bに吸引されて貼り付いてしまうのを防止でき、組立作業も容易となる。また、本実施の形態の筒型リニアモータM5では、電機子A1の軸方向の両側にそれぞれスライダ51b,55を備えているので、ロッド41の撓みも抑制できるから電機子A1の界磁36に対する偏心を効果的に抑制できる。
さらに、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、界磁36の外周に設けられるアウターチューブ37と、アウターチューブ37の開口端に装着されるとともにロッド41が内周に挿通される環状のヘッドキャップ45とを備え、インナーチューブ39がヘッドキャップ45と一体に設けられている。このように構成された筒型リニアモータM5では、電機子A1の軸方向移動をガイドして界磁36に対する電機子A1の偏心を防止するインナーチューブ39がヘッドキャップ45と一体構造になっているので、インナーチューブ39とヘッドキャップ45に歪が生じにくくスライダ51b,55がインナーチューブ39の内周を滑らかに摺動でき、スムーズに伸縮できる。
また、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5における界磁36がインナーチューブ39の外周に軸方向への移動が規制されて装着されている。このように構成された筒型リニアモータM5では、電機子A1から界磁36が受ける軸方向の荷重が必ずヘッドキャップ45を通ってアウターチューブ37へ伝達される。このように筒型リニアモータM5のロードパス(荷重伝達経路)は、ヘッドキャップ45を通る1つのみとなるので、強度設計が容易になる。
さらに、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5におけるロッド41は、筒状であって、アウターチューブ37に連結されてロッド41内に摺動自在に挿入されるガイドロッド46を備えている。このように構成された筒型リニアモータM5によれば、インナーチューブ39とスライダ51b,55とでロッド41の界磁36に対する移動が案内される他にも、ガイドロッド46とロッド41とでアウターチューブ37の底部37a側からもロッド41の界磁36に対する移動が案内されるので、電機子A1の界磁36に対する偏心がより効果的に防止される。
また、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5におけるスライダ51b,55は、軸方向の両端の外周にリードインチャンファを有しており、インナーチューブ39の内周面をスライダ51b,55がかじるのを防止できるから、本実施の形態の筒型リニアモータM5は、長期間にわたりスムーズに伸縮作動できる。
なお、第二の実施の形態の筒型リニアモータM5は、ロッド41内に挿通されて界磁36に対するロッド41の位置を検知するストロークセンサLとを備え、ストロークセンサLは、界磁36に対して固定されてロッド41内に挿入されるセンサ用コア61と、ロッド41内に収容されてセンサ用コア61の位置を検知するセンサ本体60とを有している。このように構成された筒型リニアモータM5では、電機子A1を外周に備えるロッド41内にストロークセンサLが収容されており、通電によって発熱する電機子A1および磁界を発生する界磁36に対してストロークセンサLが直接曝露されていない。したがって、ストロークセンサLは、電機子A1の熱から保護されるとともに、界磁36の磁界にも曝されないので、検知した電機子A1の位置を精度よく検知できる。以上より、本実施の形態の筒型リニアモータM5によれば、検知した電機子A1の位置の信頼性を向上できる。
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータM5では、センサ本体60がロッド41内の電機子A1と径方向で対向しない範囲に収容されている。このように構成された筒型リニアモータM5によれば、センサ本体60と電機子A1とが筒型リニアモータM5のストローク中に径方向へ重なることが無いので、より、電機子A1の熱の影響を受け辛くなり、検知した電機子2の位置の信頼性をより効果的に向上できる。
また、本実施の形態の筒型リニアモータM5は、界磁36に連結されてロッド41内に摺動自在に挿入されるガイドロッド46を備え、センサ用コア61がガイドロッド46に装着されている。このように構成された筒型リニアモータM5によれば、センサ本体60に対して移動するセンサ用コア61がロッド41の軸方向への移動を案内するガイドロッド46に装着されているので、センサ本体60に対するセンサ用コア61の偏心が防止されて、ストロークセンサLは精度よく電機子A1の位置を検知できる。
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータM5におけるロッド41は、筒状の第一ロッド50と、筒状であって外周にコア33が装着されるとともに第一ロッド50の内周に螺合される第二ロッド51とを有し、センサ本体60が第一ロッド50と第二ロッド51とで挟持されてロッド41内に固定されている。このように構成された筒型リニアモータM5によれば、ストロークセンサLをロッド41内への固定と電機子A1のロッド41への装着が非常に容易となるので、良好な組付性が得られる。
なお、ストロークセンサLは、線形可変差動変圧器に代えて、磁歪式のストロークセンサとされてもよいし、リニア型のポテンショメーターとされてもよく、いずれにしても、界磁36に固定される被検出子の位置をロッド41側に固定されるセンサ本体で検知するようにすればよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
本願は、2018年4月17日に日本国特許庁に出願された特願2018−079340に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (9)

  1. 筒型リニアモータであって、
    筒状であって軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁と、
    前記界磁の内周に配置される非磁性体のインナーチューブと、
    前記インナーチューブ内に移動自在に挿入されるロッドと、
    前記ロッドに装着される電機子と、
    前記ロッドに設けられるとともに前記インナーチューブの内周に摺接して前記電機子の前記界磁に対する移動を案内するスライダとを備えた
    筒型リニアモータ。
  2. 請求項1に記載の筒型リニアモータであって、
    前記スライダと前記電機子との前記ロッド回りの相対回転を規制する回転規制部を備えた
    筒型リニアモータ。
  3. 請求項1に記載の筒型リニアモータであって、
    前記スライダは、前記ロッドに対して前記電機子の軸方向の両側にそれぞれ設けられている
    筒型リニアモータ。
  4. 請求項1に記載の筒型リニアモータであって、
    前記電機子は、筒状であって外周に巻線が装着される複数のスロットを有する複数のコアを有し、
    前記ロッドに設けられるとともに前記コア間に配置されるスペーサを備えた
    筒型リニアモータ。
  5. 請求項4に記載の筒型リニアモータであって、
    前記スペーサと前記各コアとの前記ロッド回りの相対回転を規制するスペーサ回転規制部を備えた
    筒型リニアモータ。
  6. 請求項1に記載の筒型リニアモータであって、
    前記界磁の外周に設けられるアウターチューブと、
    前記アウターチューブの開口端に装着されるとともに前記ロッドが内周に挿通される環状のヘッドキャップとを備え、
    前記インナーチューブは、前記ヘッドキャップと一体に設けられている
    筒型リニアモータ。
  7. 請求項6に記載の筒型リニアモータであって、
    前記界磁は、前記インナーチューブの外周に軸方向への移動が規制されて装着されている
    筒型リニアモータ。
  8. 請求項6に記載の筒型リニアモータであって、
    前記ロッドは、筒状であって、
    前記アウターチューブに連結されて前記ロッド内に摺動自在に挿入されるガイドロッドを備えた
    筒型リニアモータ。
  9. 請求項1に記載の筒型リニアモータであって、
    前記スライダは、軸方向の両端の外周にリードインチャンファを有する
    筒型リニアモータ。
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