以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るショベル100の概要について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベル100の側面図である。
本実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及び、バケット6と、キャビン10を備える。
下部走行体1(走行体の一例)は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1L,1R(図2参照)で油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。
上部旋回体3(旋回体の一例)は、旋回油圧モータ2A(図2参照)で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及び、エンドアタッチメントとしてのバケット6(それぞれ、リンク部の一例)は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
キャビン10は、オペレータが搭乗する運転室であり、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
[ショベルの構成]
次に、図1に加えて、図2を参照して、ショベル100の具体的な構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るショベル100の構成の一例を示すブロック図である。
尚、図中において、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは点線でそれぞれ示される。以下、図3及び図4についても同様である。
本実施形態に係るショベル100の油圧アクチュエータを油圧駆動する油圧駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(傾転角)を調節する。レギュレータ13は、例えば、後述の如く、レギュレータ13L,13Rを含む。
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30による制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることでピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御されうる。メインポンプ14は、例えば、後述の如く、メインポンプ14L,14Rを含む。
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる操作装置26に対する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ラインを介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、操作装置26の操作状態に応じて、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)に選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する制御弁171〜176を含む。制御弁171は、走行油圧モータ1Lに対応し、制御弁172は、走行油圧モータ1Rに対応し、制御弁173は、旋回油圧モータ2Aに対応し、制御弁174は、バケットシリンダ9に対応し、制御弁175は、ブームシリンダ7に対応し、制御弁176は、アームシリンダ8に対応する。また、制御弁175は、例えば、後述の如く、制御弁175L,175Rを含み、制御弁176は、例えば、後述の如く、制御弁176L,176Rを含む。制御弁171〜176の詳細は、後述する(図3参照)。
本実施形態に係るショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26を含む。また、ショベル100の操作系は、後述するコントローラ30による自動制御機能に関する構成として、シャトル弁32を含む。
パイロットポンプ15は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットラインを介して操作装置26にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの動作要素を駆動する油圧アクチュエータ(即ち、走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26は、その二次側のパイロットラインを通じて直接的に、或いは、二次側のパイロットラインに設けられる後述のシャトル弁32を介して間接的に、コントロールバルブ17にそれぞれ接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット圧が入力されうる。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26における操作状態に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。操作装置26は、後述の如く、アタッチメント、つまり、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、バケット6(バケットシリンダ9)、のそれぞれを操作するレバー装置26A〜26Dを含む(図4参照)。また、操作装置26は、例えば、左右の下部走行体1(走行油圧モータ1L,1R)のそれぞれを操作するペダル装置が設けられる。
シャトル弁32は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有し、2つの入口ポートに入力されたパイロット圧のうちの高い方のパイロット圧を有する作動油を出口ポートに出力させる。シャトル弁32は、2つの入口ポートのうちの一方が操作装置26に接続され、他方が比例弁31に接続される。シャトル弁32の出口ポートは、パイロットラインを通じて、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに接続されている(詳細は、図4参照)。そのため、シャトル弁32は、操作装置26が生成するパイロット圧と比例弁31が生成するパイロット圧のうちの高い方を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。つまり、後述するコントローラ30は、操作装置26から出力される二次側のパイロット圧よりも高いパイロット圧を比例弁31から出力させることにより、オペレータによる操作装置26の操作に依らず、対応する制御弁を制御し、アタッチメントの動作を制御することができる。シャトル弁32は、例えば、後述の如く、シャトル弁32AL,32AR,32BL,32BR,32CL,32CRを含む。
本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30と、吐出圧センサ28と、操作圧センサ29と、比例弁31と、リリーフ弁33と、表示装置40と、入力装置42と、音声出力装置43と、記憶装置47と、ブーム角度センサS1と、アーム角度センサS2と、バケット角度センサS3と、機体傾斜センサS4と、旋回状態センサS5と、撮像装置S6と、ブームロッド圧センサS7Rと、ブームボトム圧センサS7Bと、アームロッド圧センサS8Rと、アームボトム圧センサS8Bと、バケットロッド圧センサS9Rと、バケットボトム圧センサS9Bと、測位装置V1と、通信装置T1を含む。
コントローラ30(制御装置の一例)は、例えば、キャビン10内に設けられ、ショベル100の駆動制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、或いは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置と、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置と、各種入出力用のインタフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、不揮発性の補助記憶装置に格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
例えば、コントローラ30は、オペレータ等の所定操作により予め設定される作業モード等に基づき、目標回転数を設定し、エンジン11を一定回転させる駆動制御を行う。
また、例えば、コントローラ30は、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
また、例えば、コントローラ30は、例えば、オペレータによる操作装置26を通じたショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能に関する制御を行う。また、コントローラ30は、例えば、オペレータによる操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能に関する制御を行う。マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能の詳細は、後述する(図5参照)。
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。例えば、上述したマシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能は、専用のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出する。吐出圧センサ28により検出された吐出圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。吐出圧センサ28は、例えば、後述の如く、吐出圧センサ28L,28Rを含む。
操作圧センサ29は、上述の如く、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの動作要素(油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。操作圧センサ29による操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。操作圧センサ29は、例えば、後述の如く、操作圧センサ29A〜29Cを含む。
比例弁31は、パイロットポンプ15とシャトル弁32とを接続するパイロットラインに設けられ、その流路面積(作動油が通流可能な断面積)を変更できるように構成される。比例弁31は、コントローラ30から入力される制御指令に応じて動作する。これにより、コントローラ30は、オペレータにより操作装置26(具体的には、レバー装置26A〜26C)が操作されていない場合であっても、パイロットポンプ15から吐出される作動油を、比例弁31及びシャトル弁32を介し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。比例弁31は、例えば、後述の如く、比例弁31AL,31AR,31BL,31BR,31CL,31CRを含む。
リリーフ弁33は、コントローラ30からの制御信号(制御電流)に応じて、ブームシリンダ7のロッド側油室の作動油をタンクに排出し、ブームシリンダ7のロッド側油室の過剰な圧力を抑制する。
表示装置40は、キャビン10内の着座したオペレータから視認し易い場所に設けられ、コントローラ30による制御下で、各種情報画像を表示する。表示装置40は、CAN(Controller Area Network)等の車載通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよいし、一対一の専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
入力装置42は、キャビン10内の着座したオペレータから手が届く範囲に設けられ、オペレータによる各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号をコントローラ30に出力する。入力装置42は、各種情報画像を表示する表示装置のディスプレイに実装されるタッチパネル、レバー装置26A〜26Cのレバー部の先端に設けられるノブスイッチ、表示装置40の周囲に設置されるボタンスイッチ、レバー、トグル等を含む。入力装置42に対する操作内容に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
音声出力装置43は、例えば、キャビン10内に設けられ、コントローラ30と接続され、コントローラ30による制御下で、音声を出力する。音声出力装置43は、例えば、スピーカやブザー等である。音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声出力する。
記憶装置47は、例えば、キャビン10内に設けられ、コントローラ30による制御下で、各種情報を記憶する。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶してもよい。記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される、或いは、入力装置42等を通じて設定される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。当該目標施工面は、ショベル100のオペレータにより設定(保存)されてもよいし、施工管理者等により設定されてもよい。
ブーム角度センサS1は、ブーム4に取り付けられ、ブーム4の上部旋回体3に対する俯仰角度(以下、「ブーム角度」)、例えば、側面視において、上部旋回体3の旋回平面に対してブーム4の両端の支点を結ぶ直線が成す角度を検出する。ブーム角度センサS1は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、6軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)等を含んでよく、以下、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4についても同様である。ブーム角度センサS1によるブーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
アーム角度センサS2は、アーム5に取り付けられ、アーム5のブーム4に対する回動角度(以下、「アーム角度」)、例えば、側面視において、ブーム4の両端の支点を結ぶ直線に対してアーム5の両端の支点を結ぶ直線が成す角度を検出する。アーム角度センサS2によるアーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
バケット角度センサS3は、バケット6に取り付けられ、バケット6のアーム5に対する回動角度(以下、「バケット角度」)、例えば、側面視において、アーム5の両端の支点を結ぶ直線に対してバケット6の支点と先端(刃先)とを結ぶ直線が成す角度を検出する。バケット角度センサS3によるバケット角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
機体傾斜センサS4は、水平面に対する機体(上部旋回体3或いは下部走行体1)の傾斜状態を検出する。機体傾斜センサS4は、例えば、上部旋回体3に取り付けられ、ショベル100(即ち、上部旋回体3)の前後方向及び左右方向の2軸回りの傾斜角度(以下、「前後傾斜角」及び「左右傾斜角」)を検出する。機体傾斜センサS4による傾斜角度(前後傾斜角及び左右傾斜角)に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
旋回状態センサS5は、上部旋回体3の旋回状態に関する検出情報を出力する。旋回状態センサS5は、例えば、上部旋回体3の旋回角速度及び旋回角度を検出する。旋回状態センサS5は、例えば、ジャイロセンサ、レゾルバ、ロータリエンコーダ等を含む。
撮像装置S6は、ショベル100の周辺を撮像する。撮像装置S6は、ショベル100の前方を撮像するカメラS6F、ショベル100の左方を撮像するカメラS6L、ショベル100の右方を撮像するカメラS6R、及び、ショベル100の後方を撮像するカメラS6Bを含む。
カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、即ち、キャビン10の内部に取り付けられている。また、カメラS6Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
撮像装置S6(カメラS6F,S6B,S6L,S6R)は、それぞれ、例えば、非常に広い画角を有する単眼の広角カメラである。また、撮像装置S6は、ステレオカメラや距離画像カメラ等であってもよい。撮像装置S6による撮像画像は、表示装置40を介してコントローラ30に取り込まれる。
また、撮像装置S6は、物体検知装置として機能してもよい。この場合、撮像装置S6は、ショベル100の周囲に存在する物体を検知してよい。検知対象の物体には、例えば、地形形状(傾斜、穴等)、人、動物、車両、建設機械、建造物、建造物、壁、ヘルメット、安全ベスト、作業服、又は、ヘルメットにおける所定のマーク等が含まれうる。また、撮像装置S6は、撮像装置S6又はショベル100から認識された物体までの距離を算出してもよい。物体検知装置としての撮像装置S6には、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、ステレオカメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、距離画像センサ、赤外線センサ等が含まれうる。また、物体検知装置は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力してよい。また、物体検知装置は、物体検知装置或いはショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。撮像される画像情報を利用するだけでなく、物体検知装置としてミリ波レーダ、超音波センサ、或いはレーザレーダ等を利用する場合、多数の信号(つまり、ミリ波、超音波、或いはレーザ光等)を周囲に発信し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を検出してもよい。
このように、物体検知装置は、物体の種類、位置、及び形状等の少なくとも1つを識別できるように構成されていてもよい。例えば、物体検知装置は、人と人以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。
尚、撮像装置S6は、直接、コントローラ30と通信可能に接続されてもよい。
ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bは、それぞれ、ブームシリンダ7に取り付けられ、ブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」)及びボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」)を検出する。ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bによるブームロッド圧及びブームボトム圧に対応する検出信号は、それぞれ、コントローラ30に取り込まれる。
アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bは、それぞれ、アームシリンダ8に取り付けられ、アームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」)、及びボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」)を検出する。アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bによるアームロッド圧及びアームボトム圧に対応する検出信号は、それぞれ、コントローラ30に取り込まれる。
バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、それぞれ、バケットシリンダ9に取り付けられ、バケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」)及びボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」)を検出する。バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bによるバケットロッド圧及びバケットボトム圧に対応する検出信号は、それぞれ、コントローラ30に取り込まれる。
測位装置V1は、上部旋回体3の位置及び向きを測定する。測位装置V1は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)コンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、上部旋回体3の位置及び向きに対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。また、測位装置V1の機能のうちの上部旋回体3の向きを検出する機能は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサにより代替されてもよい。
通信装置T1は、基地局を末端とする移動体通信網、衛星通信網、インターネット網等を含む所定のネットワークを通じて外部機器と通信を行う。通信装置T1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールや、衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等である。
[油圧駆動系の油圧回路]
次に、図3を参照して、油圧アクチュエータを駆動する油圧駆動系の油圧回路について説明する。
図3は、油圧駆動系の油圧回路の一例を示す図である。
当該油圧回路により実現される油圧システムは、エンジン11により駆動されるメインポンプ14L,14Rのそれぞれから、センタバイパス油路C1L,C1R、パラレル油路C2L,C2Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
センタバイパス油路C1Lは、メインポンプ14Lを起点として、コントロールバルブ17内に配置される制御弁171,173,175L,176Lを順に通過し、作動油タンクに至る。
センタバイパス油路C1Rは、メインポンプ14Rを起点として、コントロールバルブ17内に配置される制御弁172,174,175R,176Rを順に通過し、作動油タンクに至る。
制御弁171は、メインポンプ14Lから吐出される作動油を走行油圧モータ1Lへ供給し、且つ、走行油圧モータ1Lが吐出する作動油を作動油タンクに排出させるスプール弁である。
制御弁172は、メインポンプ14Rから吐出される作動油を走行油圧モータ1Rへ供給し、且つ、走行油圧モータ1Rが吐出する作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
制御弁173は、メインポンプ14Lから吐出される作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
制御弁174は、メインポンプ14Rから吐出される作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
制御弁175L,175Rは、それぞれ、メインポンプ14L,14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
制御弁176L,176Rは、メインポンプ14L,14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出させる。
制御弁171,172,173,174,175L,175R,176L,176Rは、それぞれ、パイロットポートに作用するパイロット圧に応じて、油圧アクチュエータに給排される作動油の流量を調整したり、流れる方向を切り換えたりする。
パラレル油路C2Lは、センタバイパス油路C1Lと並列的に、制御弁171,173,175L,176Lにメインポンプ14Lの作動油を供給する。具体的には、パラレル油路C2Lは、制御弁171の上流側でセンタバイパス油路C1Lから分岐し、制御弁171,173,175L,176Rのそれぞれに並列してメインポンプ14Lの作動油を供給可能に構成される。これにより、パラレル油路C2Lは、制御弁171,173,175Lの何れかによってセンタバイパス油路C1Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
パラレル油路C2Rは、センタバイパス油路C1Rと並列的に、制御弁172,174,175R,176Rにメインポンプ14Rの作動油を供給する。具体的には、パラレル油路C2Rは、制御弁172の上流側でセンタバイパス油路C1Rから分岐し、制御弁172,174,175R,176Rのそれぞれに並列してメインポンプ14Rの作動油を供給可能に構成される。パラレル油路C2Rは、制御弁172,174,175Rの何れかによってセンタバイパス油路C1Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
レギュレータ13L,13Rは、それぞれ、コントローラ30による制御下で、メインポンプ14L、14Rの斜板の傾転角を調節することによって、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節する。
吐出圧センサ28Lは、メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出された吐出圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。吐出圧センサ28Rについても同様である。これにより、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御することができる。
センタバイパス油路C1L,C1Rには、最も下流にある制御弁176L,176Rのそれぞれと作動油タンクとの間には、ネガティブコントロール絞り(以下、「ネガコン絞り」)18L,18Rが設けられる。これにより、メインポンプ14L,14Rにより吐出された作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rで制限される。そして、ネガコン絞り18L、18Rは、レギュレータ13L,13Rを制御するための制御圧(以下、「ネガコン圧」)を発生させる。
ネガコン圧センサ19L,19Rは、ネガコン圧を検出し、検出されたネガコン圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
コントローラ30は、吐出圧センサ28L,28Rにより検出されるメインポンプ14L,14Rの吐出圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御し、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節してよい。例えば、コントローラ30は、メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて、レギュレータ13Lを制御し、メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することにより、吐出量を減少させてよい。レギュレータ13Rについても同様である。これにより、コントローラ30は、吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14L,14Rの吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないように、メインポンプ14L,14Rの全馬力制御を行うことができる。
また、コントローラ30は、ネガコン圧センサ19L,19Rにより検出されるネガコン圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御することにより、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節してよい。例えば、コントローラ30は、ネガコン圧が大きいほどメインポンプ14L,14Rの吐出量を減少させ、ネガコン圧が小さいほどメインポンプ14L,14Rの吐出量を増大させる。
具体的には、ショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態(図3に示す状態)の場合、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油は、センタバイパス油路C1L,C1Rを通ってネガコン絞り18L、18Rに至る。そして、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rの上流で発生するネガコン圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油がセンタバイパス油路C1L,C1Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作装置26を通じて操作された場合、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rに至る量を減少或いは消失させ、ネガコン絞り18L,18Rの上流で発生するネガコン圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータを確実に駆動させることができる。
[操作系の油圧回路(パイロット回路)の一例]
次に、図4(図4A〜図4C)を参照して、操作系の油圧回路、具体的には、アタッチメント(ブーム4、アーム5、及び、バケット6)の動作に関連する制御弁174〜176にパイロット圧を作用させるパイロット回路の一例について説明する。
図4A〜図4Cは、アタッチメントに対応する油圧アクチュエータを油圧制御するコントロールバルブ17(制御弁174〜176)にパイロット圧を作用させるパイロット回路の構成の一例を示す図である。具体的には、図4Aは、ブームシリンダ7を油圧制御するコントロールバルブ(制御弁175L,175R)にパイロット圧を作用させるパイロット回路の一例を示す図である。図4Bは、アームシリンダ8を油圧制御する制御弁176L,176Rにパイロット圧を作用させるパイロット回路の一例を示す図である。図4Cは、バケットシリンダ9を油圧制御する制御弁174にパイロット圧を作用させるパイロット回路の一例を示す図である。
図4Aに示すように、レバー装置26Aは、ブーム4に対応するブームシリンダ7を操作するために用いられる。つまり、レバー装置26Aは、ブーム4の動作を操作対象とする。レバー装置26Aは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、操作状態に応じたパイロット圧を二次側に出力する。
シャトル弁32ALは、二つの入口ポートが、それぞれ、ブーム4の上げ方向の操作(以下、「ブーム上げ操作」)に対応するレバー装置26Aの二次側のパイロットラインと、比例弁31ALの二次側のパイロットラインとに接続され、出口ポートが、制御弁175Lの右側のパイロットポート及び制御弁175Rの左側のパイロットポートに接続される。
シャトル弁32ARは、二つの入口ポートが、それぞれ、ブーム4の下げ方向の操作(以下、「ブーム下げ操作」)に対応するレバー装置26Aの二次側のパイロットラインと、比例弁31ARの二次側のパイロットラインとに接続され、出口ポートが、制御弁175Rの右側のパイロットポートに接続される。
つまり、レバー装置26Aは、シャトル弁32AL,32ARを介して、操作状態に応じたパイロット圧を制御弁175L,175Rのパイロットポートに作用させる。具体的には、レバー装置26Aは、ブーム上げ操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧をシャトル弁32ALの一方の入口ポートに出力し、シャトル弁32ALを介して、制御弁175Lの右側のパイロットポートと制御弁175Rの左側のパイロットポートに作用させる。また、レバー装置26Aは、ブーム下げ操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧をシャトル弁32ARの一方の入口ポートに出力し、シャトル弁32ARを介して、制御弁175Rの右側のパイロットポートに作用させる。
比例弁31ALは、コントローラ30から入力される制御電流に応じて動作する。具体的には、比例弁31ALは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、コントローラ30から入力される制御電流に応じたパイロット圧をシャトル弁32ALの他方の入口ポートに出力する。これにより、比例弁31ALは、シャトル弁32ALを介して、制御弁175Lの右側のパイロットポート及び制御弁175Rの左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を調整することができる。
比例弁31ARは、コントローラ30から入力される制御電流に応じて動作する。具体的には、比例弁31ARは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、コントローラ30から入力される制御電流に応じたパイロット圧をシャトル弁32ARの他方の入口ポートに出力する。これにより、比例弁31ARは、シャトル弁32ARを介して、制御弁175Rの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を調整することができる。
つまり、比例弁31AL,31ARは、レバー装置26Aの操作状態に依らず、制御弁175L、175Rを任意の弁位置で停止できるように、二次側に出力するパイロット圧を調整することができる。
操作圧センサ29Aは、オペレータによるレバー装置26Aに対する操作状態を圧力として検出し、検出された圧力に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、レバー装置26Aの操作状態を把握できる。操作状態には、例えば、操作方向、操作量(操作角度)等が含まれうる。以下、レバー装置26B,26Cについても同様である。
コントローラ30は、オペレータによるレバー装置26Aに対するブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15から吐出される作動油を、比例弁31AL及びシャトル弁32ALを介して、制御弁175Lの右側のパイロットポート及び制御弁175Rの左側のパイロットポートに供給させることができる。また、コントローラ30は、オペレータによるレバー装置26Aに対するブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15から吐出される作動油を、比例弁31AR及びシャトル弁32ARを介して、制御弁175Rの右側のパイロットポートに供給できる。即ち、コントローラ30は、ブーム4の上げ下げの動作を自動制御することができる。
図4Bに示すように、レバー装置26Bは、アーム5に対応するアームシリンダ8を操作するために用いられる。つまり、レバー装置26Bは、アーム5の動作を操作対象とする。レバー装置26Bは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、操作状態に応じたパイロット圧を二次側に出力する。
シャトル弁32BLは、二つの入口ポートが、それぞれ、アーム5の閉じ方向の操作(以下、「アーム閉じ操作」)に対応するレバー装置26Bの二次側のパイロットラインと、比例弁31BLの二次側のパイロットラインとに接続され、出口ポートが制御弁176Lの右側のパイロットポート及び制御弁176Rの左側のパイロットポートに接続される。
シャトル弁32BRは、二つの入口ポートが、それぞれ、アーム5の開き方向の操作(以下、「アーム開き操作」)に対応するレバー装置26Bの二次側のパイロットラインと、比例弁31BRの二次側のパイロットラインとに接続され、出口ポートが制御弁176Lの左側のパイロットポート及び制御弁176Rの右側のパイロットポートに接続される。
つまり、レバー装置26Bは、シャトル弁32BL,32BRを介して、操作状態に応じたパイロット圧を制御弁176L、176Rのパイロットポートに作用させる。具体的には、レバー装置26Bは、アーム閉じ操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧をシャトル弁32BLの一方の入口ポートに出力し、シャトル弁32BLを介して、制御弁176Lの右側のパイロットポートと制御弁176Rの左側のパイロットポートに作用させる。また、レバー装置26Bは、アーム開き操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧をシャトル弁32BRの一方の入口ポートに出力し、シャトル弁32BRを介して、制御弁176Lの左側のパイロットポートと制御弁176Rの右側のパイロットポートに作用させる。
比例弁31BLは、コントローラ30から入力される制御電流に応じて動作する。具体的には、比例弁31BLは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、コントローラ30から入力される制御電流に応じたパイロット圧をシャトル弁32BLの他方のパイロットポートに出力する。これにより、比例弁31BLは、シャトル弁32BLを介して、制御弁176Lの右側のパイロットポート及び制御弁176Rの左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を調整することができる。
比例弁31BRは、コントローラ30から入力される制御電流に応じて動作する。具体的には、比例弁31BRは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、コントローラ30から入力される制御電流に応じたパイロット圧をシャトル弁32BRの他方のパイロットポートに出力する。これにより、比例弁31BRは、シャトル弁32BRを介して、制御弁176Lの左側のパイロットポート及び制御弁176Rの右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を調整することができる。
つまり、比例弁31BL、31BRは、レバー装置26Bの操作状態に依らず、制御弁176L,176Rを任意の弁位置で停止できるように、二次側に出力するパイロット圧を調整することができる。
操作圧センサ29Bは、オペレータによるレバー装置26Bに対する操作状態を圧力として検出し、検出された圧力に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、レバー装置26Bの操作状態を把握できる。
コントローラ30は、オペレータによるレバー装置26Bに対するアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15から吐出される作動油を、比例弁31BL及びシャトル弁32BLを介して、制御弁176Lの右側のパイロットポート及び制御弁176Rの左側のパイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、オペレータによるレバー装置26Bに対するアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15から吐出される作動油を、比例弁31BR及びシャトル弁32BRを介して、制御弁176Lの左側のパイロットポート及び制御弁176Rの右側のパイロットポートに供給させることができる。即ち、コントローラ30は、アーム5の開閉動作を自動制御することができる。
図4Cに示すように、レバー装置26Cは、バケット6に対応するバケットシリンダ9を操作するために用いられる。つまり、レバー装置26Cは、バケット6の動作を操作対象とする。レバー装置26Cは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、操作状態に応じたパイロット圧を二次側に出力する。
シャトル弁32CLは、二つの入口ポートが、それぞれ、バケット6の閉じ方向の操作(以下、「バケット閉じ操作」)に対応するレバー装置26Cの二次側のパイロットラインと、比例弁31CLの二次側のパイロットラインとに接続され、出口ポートが、制御弁174の左側のパイロットポートに接続される。
シャトル弁32ARは、二つの入口ポートが、それぞれ、バケット6の開き方向の操作(以下、「バケット開き操作」)に対応するレバー装置26Cの二次側のパイロットラインと、比例弁31CRの二次側のパイロットラインとに接続され、出口ポートが、制御弁174の右側のパイロットポートに接続される。
つまり、レバー装置26Cは、シャトル弁32CL,32CRを介して、操作状態に応じたパイロット圧を制御弁174のパイロットポートに作用させる。具体的には、レバー装置26Cは、バケット閉じ操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧をシャトル弁32CLの一方の入口ポートに出力し、シャトル弁32CLを介して、制御弁174の左側のパイロットポートに作用させる。また、レバー装置26Cは、バケット開き操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧をシャトル弁32CRの一方の入口ポートに出力し、シャトル弁32CRを介して、制御弁174の右側のパイロットポートに作用させる。
比例弁31CLは、コントローラ30から入力される制御電流に応じて動作する。具体的には、比例弁31CLは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、コントローラ30から入力される制御電流に応じたパイロット圧をシャトル弁32CLの他方のパイロットポートに出力する。これにより、比例弁31CLは、シャトル弁32CLを介して、制御弁174の左側のパイロットポートに作用するパイロット圧を調整することができる。
比例弁31CRは、コントローラ30が出力する制御電流に応じて動作する。具体的には、比例弁31CRは、パイロットポンプ15から吐出される作動油を利用して、コントローラ30から入力される制御電流に応じたパイロット圧をシャトル弁32CRの他方のパイロットポートに出力する。これにより、比例弁31CRは、シャトル弁32CRを介して、制御弁174の右側のパイロットポートに作用するパイロット圧を調整することができる。
つまり、比例弁31CL,31CRは、レバー装置26Cの操作状態に依らず、制御弁174を任意の弁位置で停止できるように、二次側に出力するパイロット圧を調整することができる。
操作圧センサ29Cは、オペレータによるレバー装置26Cに対する操作状態を圧力として検出し、検出された圧力に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、レバー装置26Cの操作状態を把握できる。
コントローラ30は、オペレータによるレバー装置26Cに対するバケット閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15から吐出される作動油を、比例弁31CL及びシャトル弁32CLを介して、制御弁174の左側のパイロットポートに供給させることができる。また、コントローラ30は、オペレータによるレバー装置26Cに対するバケット開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15から吐出される作動油を、比例弁31CR及びシャトル弁32CRを介して、制御弁174の右側のパイロットポートに供給させることができる。即ち、コントローラ30は、バケット6の開閉動作を自動制御することができる。
尚、ショベル100は、上部旋回体3を自動的に旋回させる構成を備えてもよい。この場合、制御弁173にパイロット圧を作用させるパイロット回路についても、図4A〜図4Cと同様に、比例弁31及びシャトル弁32を含む油圧システムが採用される。また、ショベル100は、下部走行体1を自動的に前進・後進させる構成を備えていてもよい。この場合、走行油圧モータ1L,1Rに対応する制御弁171,172にパイロット圧を作用させるパイロット回路についても、図4A〜図4Cと同様に、比例弁31及びシャトル弁32を含む油圧システムが採用される。また、操作装置26(レバー装置26A〜26C)の形態として油圧式パイロット回路について述べたが、油圧式ではなく、電気式パイロット回路を備えた電気式の操作装置26(レバー装置26A〜26C)が採用されてもよい。この場合、電気式の操作装置26の操作量は、電気信号としてコントローラ30へ入力される。また、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置される。当該電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。当該構成により、電気式の操作装置26を用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、操作量に対応する電気信号によって電磁弁を制御してパイロット圧を増減させることで、各制御弁(制御弁171〜176)を移動させることができる。また、各制御弁(制御弁171〜176)は、電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式の操作装置26の操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
[マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能の詳細]
次に、図5を参照して、ショベル100のマシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能の詳細について説明する。
図5は、ショベル100のマシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能に関する機能的な構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
コントローラ30は、例えば、ROMや不揮発性の補助記憶装置に格納される一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、マシンガイダンス部50を含む。
マシンガイダンス部50は、例えば、マシンガイダンス機能に関するショベル100の制御を実行する。マシンガイダンス部50は、例えば、目標施工面とアタッチメント(具体的には、バケット6)の先端部との距離等の作業情報を、表示装置40や音声出力装置43等を通じて、オペレータに伝える。目標施工面に関するデータは、例えば、上述の如く、記憶装置47に予め記憶されている。目標施工面に関するデータは、例えば、基準座標系で表現されている。基準座標系は、例えば、世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そして、Z軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。オペレータは、施工現場の任意の点を基準点と定め、入力装置42を通じて、基準点との相対的な位置関係により目標施工面を設定してよい。作業部位としてのアタッチメントの先端部は、例えば、バケット6の爪先、バケット6の背面等である。マシンガイダンス部50は、表示装置40、音声出力装置43等を通じて、作業情報をオペレータに通知し、オペレータによる操作装置26を通じたショベル100の操作をガイドする。
また、マシンガイダンス部50は、例えば、マシンコントロール機能に関するショベル100の制御を実行する。マシンガイダンス部50は、例えば、オペレータが手動で掘削操作を行っているときに、目標施工面とバケット6の先端位置とが一致するように、ブーム4、アーム5、及び、バケット6の少なくとも一つを自動的に動作させてもよい。
マシンガイダンス部50は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、機体傾斜センサS4、旋回状態センサS5、撮像装置S6、測位装置V1、通信装置T1及び入力装置42等から情報を取得する。そして、マシンガイダンス部50は、例えば、取得した情報に基づき、バケット6と目標施工面との間の距離を算出し、音声出力装置43からの音声及び表示装置40に表示される画像により、バケット6と目標施工面との間の距離の程度をオペレータに通知したり、アタッチメント(バケット6)の先端部が目標施工面に一致するように、アタッチメントの動作を自動的に制御したりする。マシンガイダンス部50は、当該マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能に関する機能的な構成として、位置算出部51と、距離算出部52と、情報伝達部53と、自動制御部54を含む。また、マシンガイダンス部50は、コントローラ30の補助記憶装置等の不揮発性の内部メモリに規定される記憶領域としての記憶部55を含む。
位置算出部51は、所定の測位対象の位置を算出する。例えば、位置算出部51は、アタッチメント(バケット6)の先端部の基準座標系における座標点を算出する。具体的には、位置算出部51は、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれの俯仰角度(ブーム角度、アーム角度、及びバケット角度)からバケット6の爪先の座標点を算出する。
距離算出部52は、2つの測位対象間の距離を算出する。例えば、距離算出部52は、作業部位としてのバケット6の先端部(例えば、爪先や背面等)と目標施工面との間の鉛直距離を算出する。
情報伝達部53は、表示装置40や音声出力装置43等の所定の通知手段を通じて、各種情報をショベル100のオペレータに伝達(通知)する。情報伝達部53は、距離算出部52により算出された各種距離の大きさ(程度)をショベル100のオペレータに通知する。具体的には、表示装置40による視覚情報及び音声出力装置43による聴覚情報の少なくとも一方を用いて、バケット6の先端部と目標施工面との間の鉛直距離の大きさをオペレータに伝える。
例えば、情報伝達部53は、音声出力装置43による断続音を用いて、バケット6の先端部と目標施工面との間の鉛直距離の大きさをオペレータに伝える。この場合、情報伝達部53は、鉛直距離が小さくなるほど、断続音の間隔を短くし、鉛直距離が大きくなるほど、断続音の感覚を長くしてよい。また、情報伝達部53は、連続音を用いてもよく、音の高低、強弱等を変化させながら、鉛直距離の大きさの違いを表すようにしてもよい。また、情報伝達部53は、バケット6の先端部が目標施工面よりも低い位置になった、つまり、目標施工面を超えてしまった場合、音声出力装置43を通じて警報を発してもよい。当該警報は、例えば、断続音より顕著に大きい連続音である。
また、情報伝達部53は、バケット6の先端部と目標施工面との間の鉛直距離の大きさを作業情報として表示装置40に表示させてもよい。表示装置40は、コントローラ30による制御下で、例えば、撮像装置S6から受信した画像データと共に、情報伝達部53から受信した作業情報を表示する。情報伝達部53は、例えば、アナログメータの画像やバーグラフインジケータの画像等を用いて、鉛直距離の大きさをオペレータに伝えるようにしてもよい。
自動制御部54は、アクチュエータを自動的に動作させることでオペレータによる操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援する。
例えば、自動制御部54は、掘削作業を支援するために、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9のうちの少なくとも一つを自動的に伸縮させる。具体的には、自動制御部54は、オペレータが手動でアーム閉じ操作を行っている場合に、目標施工面とバケット6の爪先の位置とが一致するようにブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9の少なくとも一つを自動的に伸縮させる。この場合、オペレータは、例えば、レバー装置26Bをアーム閉じ操作するだけで、バケット6の爪先を目標施工面に一致させながら、アーム5を閉じることができる。当該自動制御は、入力装置42に含まれる所定のスイッチが押下された場合に実行されてよい。当該所定のスイッチは、例えば、マシンコントロールスイッチ(以下、「MC(Machine Control)スイッチ」)であり、ノブスイッチとして操作装置26(レバー装置26A〜26C)のオペレータによる把持部の先端に配置されていてもよい。
自動制御部54は、上部旋回体3を目標施工面に正対させるために旋回油圧モータ2Aを自動的に回転させてもよい。この場合、オペレータは、入力装置42に含まれる所定のスイッチを押下するだけで、上部旋回体3を目標施工面に正対させることができる。或いは、オペレータは、入力装置42に含まれる所定のスイッチを押下するだけで、上部旋回体3を目標施工面に正対させ且つマシンコントロール機能を開始させることができる。
自動制御部54は、それぞれの油圧アクチュエータに対応する制御弁に作用するパイロット圧を個別に且つ自動的に調整することにより、それぞれの油圧アクチュエータを自動的に動作させることができる。
本実施形態に係るショベル100では、マシンコントロール機能を利用したアタッチメント等の自動制御が行われるが、自動制御が採用されない従来の手動操作の場合、単に、操作装置26を通じて、ブーム下げ操作が行われるだけでは、ブーム4の下げ動作に伴い、地面に対するバケット6の相対的な角度も変化する。そのため、ショベル100による転圧作業が行われる場合、バケット6の背面の曲面部が地面に当接してしまう可能性がある。この場合、バケット6の背面が地面から受ける面圧が、バケット6の背面の平坦部で接地する場合とは変化してしまうため、バケット6が地面に与える転圧力も変化してしまう。
そこで、本実施形態では、例えば、自動制御部54は、転圧作業を支援するために、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9の少なくとも一つを自動的に伸縮させる。転圧作業は、バケット6の背面を地面に押さえ付け、所定の転圧力を地面に与える作業を可能にする。自動制御部54は、例えば、オペレータが手動でブーム下げ操作を行っている場合に、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9の少なくとも一つを自動的に伸縮させる。これにより、自動制御部54は、所定の押し付け力でバケット6の背面を盛土作業後の地面(水平面)に押し付けることで、所定の押し付け力を地面に与える。このとき、自動制御部54は、地面に対してバケット6の背面の比較的平らな部分が地面に当たるように、アタッチメントの姿勢を調整する。つまり、自動制御部54は、アタッチメント(バケット6)の先端部を地面に対して押し付ける場合に、アタッチメントを転圧作業に最適な所定の姿勢にさせる。
当該転圧作業に関する自動制御(以下、「転圧支援制御」)は、例えば、入力装置42に含まれる転圧支援制御に関する専用スイッチ等の所定のスイッチ(以下、「転圧支援制御スイッチ」)が押下されたときに実行される。また、所定のスイッチが押された状態で所定の操作装置26が操作されたときに実行されるようにしてもよい。この場合、自動制御部54は、転圧支援制御スイッチが押下された状態で、操作装置26(レバー装置26A)を通じて、ブーム下げ操作が行われると、バケット6の背面を自動的に目標施工面に接地させる。つまり、自動制御部54は、ブーム下げ動作に伴い作業部位であるバケット6の背面の平坦部が目標施工面と平行状態で当接するようにアーム5及びバケット6を制御する。自動制御部54は、その状態から操作装置26(レバー装置26A)を通じて、ブーム下げ操作が行われると、更に、自動的に、バケット6の背面の平坦部の姿勢を維持しつつ、バケット6の背面の平坦部で地面を押し付けて、転圧作業を開始させる。この際、自動制御部54(具体的には、後述する姿勢状態判断部542)によりアタッチメントの姿勢を判断する。バケット6から地面へ与える押し付け力は、後述の如く、ブームシリンダ7のシリンダ圧が同一であってもアタッチメントの姿勢に応じて変化してしまうからである。そのため、バケット6の地面への押し付け時(転圧作業時)には、自動制御部54は、アタッチメントの姿勢に応じて、ブームシリンダ7のシリンダ圧を制御することで、アタッチメントの姿勢が変化しても、予め定めた転圧力を発生させる。また、転圧支援制御は、ショベル100の転圧作業が行われる(開始される)場合に、自動的に開始されてもよい。この場合、コントローラ30は、オペレータによる操作装置26の操作傾向や、撮像装置S6の撮像画像に基づき判断されうるショベル100の周辺の状況等に基づき、次の作業を予測し、予測される作業が転圧作業である場合、転圧支援制御を自動的に開始してよい。
このように、本実施形態では、オペレータによるブーム下げ操作が行われると、バケット6の背面の平坦部の姿勢を維持しつつ、バケット6の背面の平坦部で地面を目標施工面に対して鉛直方向に押し付けて、所定の転圧力を地面へ与える。その後、バケット6の押し付けにより、地表面が沈み込む。
このとき、オペレータは、目標高さ(目標施工面)よりも地表面が低くなると、当該ショベル100が転圧を行った盛り土箇所において、十分な高さが得られていないと判断する。そのため、オペレータは、再度、ショベル100による盛り土作業を行い、その後、再び、転圧支援制御に基づく所定の転圧力を与える、ショベル100による転圧作業を行う。ここで、目標高さは、所定の基準面からの高さである。基準面は、例えば、盛り土を行う前の地表面である。また、作業現場における基準点に基づいて基準面を設定してもよい。
一方、オペレータは、バケット6の押し付けにより地表面が沈み込んでも、転圧後の地表面の高さが目標高さ以上の場合には、十分な転圧力を与えることができたと判断し、次の箇所の転圧作業を行う。
この際、コントローラ30は、測位装置V1と、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3等の姿勢センサを用いて、ショベル100による転圧が行われた箇所を把握することができる。そのため、コントローラ30は、記憶装置47等に予め記憶される地形情報上に、転圧作業が完了した箇所をマッピングした複合情報を生成し、表示装置40に表示させることもできる。また、コントローラ30は、目標高さよりも地表面が低い箇所を地形情報上にマッピングした複合情報を生成し、表示装置40に表示させてもよい。これにより、オペレータは、転圧作業や盛り土作業の進捗を把握することができる。
ショベル100による転圧作業では、バケット6による押し付け力が強すぎるとショベル100の機体(下部走行体1)が大きく浮き上がってしまい、場合によっては、部品の損傷に繋がる可能性がある。一方、押し付け力が弱すぎると軟らかい地面が形成されてしまう可能性がある。また、バケット6の背面が地面に及ぼす力(押し付け力)は、アタッチメントの姿勢に応じて変化する。そのため、オペレータの手動操作による転圧作業の際に、バケット6の背面から地面に作用する適切な押し付け力を維持することは、熟練のオペレータであっても困難である。これに対して、自動制御部54は、転圧支援制御により、これらの問題を解決しうる。
また、自動制御部54は、作業状況に基づき、表示装置40や音声出力装置43等を通じて、オペレータに転圧支援制御による転圧作業の実施を促す通知を出力してもよい。例えば、自動制御部54は、転圧の対象領域として予め規定される領域にアタッチメントにより盛られた盛土が所定の厚さ以上になると、表示装置40や音声出力装置43等を通じて、オペレータに転圧支援制御による転圧作業の実施を促す通知を出力する。盛土部分の転圧作業では、盛土量が多すぎると、十分な締固めができず、盛土部分の崩壊の原因になりうるため、比較的薄い盛土を転圧により締固めた層を段階的に複数層積み重ねる必要があるからである。よって、ユーザは、盛土を多く盛り過ぎてしまう事態を回避できるため、ユーザの利便性が向上すると共に、作業効率が向上する。
また、自動制御部54は、入力装置42等を通じて予め設定される、転圧の対象領域の転圧作業が完了した場合、表示装置40や音声出力装置43等を通じて、オペレータに予め設定される次の作業への移行を促す通知を出力してもよい。これにより、オペレータは、対象領域の転圧作業が終了したことを把握できるため、利便性が向上すると共に、作業効率が向上する。この場合、自動制御部54は、撮像装置S6による撮像画像等に基づき、転圧の対象領域の転圧作業が完了したか否かを判断してよい。
自動制御部54による転圧支援制御の詳細は、後述する(図7参照)。
記憶部55には、マシンガイダンス機能やマシンコントロール機能に関する各種情報が記憶(保存)されている。例えば、記憶部55には、マシンガイダンス機能やマシンコントロール機能に関する各種設定値が記憶される。また、例えば、記憶部55には、転圧支援制御における目標となる転圧力(以下、「目標転圧力」)が記憶(保存)される。
尚、記憶部55に記憶される内容は、コントローラ30の外部の記憶装置47に記憶(保存)されてもよい。
[ショベルに作用する力]
次に、図6を参照して、転圧支援制御の前提としてのコントローラ30による作業反力の算出方法について説明する。
図6は、転圧作業時にショベル100(アタッチメント)に作用する力の関係を示す概略図である。
転圧作業において、ショベル100は、地形形状が目標施工面の形状と同じになるようにアタッチメントの先端部、具体的には、バケット6の背面を目標施工面に沿って移動させる際、アーム5の閉じ動作に対応してブーム4を上下方向に駆動させる。この際、ブーム4の下げ動作のときに生じるブーム推力が地表面へ転圧力として伝達される。そこで、ブーム推力が地表面へ伝達されるときの力の関係を具体的に説明する。
図6において、点P1は、上部旋回体3とブーム4との連結点を示し、点P2は、上部旋回体3とブームシリンダ7のシリンダとの連結点を示す。また、点P3は、ブームシリンダ7のロッド7Cとブーム4との連結点を示し、点P4は、ブーム4とアームシリンダ8のシリンダとの連結点を示す。また、点P5は、アームシリンダ8のロッド8Cとアーム5との連結点を示し、点P6は、ブーム4とアーム5との連結点を示す。また、点P7は、アーム5とバケット6との連結点を示し、点P8は、バケット6の先端を示し、点P9は、バケット6の背面6bにおける所定点を示す。
尚、図6中において、説明の明瞭化のため、バケットシリンダ9の図示を省略している。
また、図6において、点P1及び点P3を結ぶ直線と水平線との間の角度をブーム角度θ1として示され、点P3及び点P6を結ぶ直線と点P6及び点P7を結ぶ直線との間の角度は、アーム角度θ2として示され、点P6及び点P7を結ぶ直線と点P7及び点P8を結ぶ直線との間の角度をバケット角度θ3として示される。
更に、図6において、距離D1は、機体の浮き上がりが発生するときの回転中心RCとショベル100の重心GCとの間の水平距離、即ち、ショベル100の質量M及び重力加速度gの積である重力M・gの作用線と回転中心RCとの間の距離を示す。そして、距離D1と重力M・gの大きさとの積は、回転中心RC周りの第1の力のモーメントの大きさを表す。
尚、記号"・"は乗算を意味する。
回転中心RCの位置は、例えば、旋回状態センサS5の出力に基づき決定される。例えば、下部走行体1と上部旋回体3との間の旋回角度が0度の場合には、下部走行体1が接地面と接触する部分のうちの後端が回転中心RCとなり、下部走行体1と上部旋回体3との間の旋回角度が180度の場合には、下部走行体1が接地面と接触する部分のうちの前端が回転中心RCとなる。また、下部走行体1と上部旋回体3との間の旋回角度が90度又は270度の場合には、下部走行体1が接地面と接触する部分のうちの側端が回転中心RCとなる。
また、図6において、距離D2は、回転中心RCと点P9との間の水平距離、即ち、作業反力FRのうちの地面(本例では、水平面)に垂直な成分(以下、「垂直成分」)FR1の作用線と回転中心RCとの間の距離を示す。また、作業反力FRの成分FR2は、作業反力FRのうちの地面に平行な成分である。そして、距離D2と垂直成分FR1の大きさとの積は、回転中心RC周りの第2の力のモーメントの大きさを表す。
本例では、作業反力FRは、鉛直軸に対して作業角度θを形成し、作業反力FRの垂直成分FR1は、FR1=FR・cosθで表される。また、作業角度θは、ブーム角度θ1、アーム角度θ2及びバケット角度θ3に基づき算出される。当該作業反力FRのうちの垂直成分FR1に相当する力で、地面は目標施工面に対して垂直方向に押し付けられる。つまり、作業反力FRの垂直成分FR1は、転圧作業時のバケット6の背面による地面の押し付け力に相当する。作業反力FRの地面に平行な成分(以下、「平行成分」)FR2は、転圧作業時には大きな力は発生しない。本実施形態で説明する転圧作業時には、作業反力FRのうちの垂直成分FR1が平行成分FR2と比較して大きな力となる。
また、図6において、距離D3は、点P2及び点P3を結ぶ直線と回転中心RCとの間の距離、即ち、ブームシリンダ7のロッド側油室へ供給された作動油によりブームシリンダ7のロッド7Cをシリンダ内へ収縮させようとする力FBの作用線と回転中心RCとの間の距離を示す。そして、距離D3と力FBの大きさとの積は、回転中心RC周りの第3の力のモーメントの大きさを表す。本例では、ブームシリンダ7のロッド7Cをシリンダ内へ収縮させようとする力FBは、バケット6の背面6bの点P9に作用する作業反力FRに起因する。
また、図6において、距離D4は、作業反力FRの作用線と点P6との間の距離を示す。そして、距離D4と作業反力FRの大きさとの積は、点P6周りの第1の力のモーメントの大きさを表す。
また、図6において、距離D5は、点P4及び点P5を結ぶ直線と点P6との間の距離、すなわち、アーム5を閉じるアーム推力FAの作用線と点P6との間の距離を示す。そして、距離D5とアーム推力FAの大きさとの積は、点P6周りの第2の力のモーメントの大きさを表す。
作業反力FRの垂直成分FR1が回転中心RC周りにショベル100を浮き上がらせようとする力のモーメントの大きさと、ブームシリンダ7のロッド7Cをシリンダ内へ収縮させようとする力FBが回転中心RC周りにショベルを浮き上がらせようとする力のモーメントの大きさとを置き換え可能であると仮定する。この場合、回転中心RC周りの第2の力のモーメントの大きさと回転中心RC周りの第3の力のモーメントの大きさとの関係は以下の式(1)で表される。
FR1・D2=FR・cosθ・D2=FB・D3・・・(1)
更に、図6のX−X断面図で示すように、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rに面するピストンの環状受圧面積を面積ABとし、ロッド側油室7Rにおける作動油の圧力をブームロッド圧PBとすると、ブームシリンダ7のロッド7Cをシリンダ内に収縮させようとする力FBは、FB=PB・ABで表される。したがって、式(1)は、以下の式(2)で表される。
尚、記号"/"は除算を意味する。また、ブームロッド圧PBは、ブームロッド圧センサS7Rの出力に基づき測定されうる。
PB=FR1・D2/(AB・D3)・・・(2)
また、距離D1は定数であり、距離D2〜D5は、作業角度θと同様、掘削アタッチメントの姿勢、すなわち、ブーム角度θ1、アーム角度θ2、及び、バケット角度θ3に応じて決まる値である。具体的には、距離D2は、ブーム角度θ1、アーム角度θ2及びバケット角度θ3に応じて決まり、距離D3は、ブーム角度θ1に応じて決まり、距離D4は、バケット角度θ3に応じて決まり、距離D5は、アーム角度θ2に応じて決まる。
このように、コントローラ30は、上述の計算式や当該計算式に基づく算出マップを用いて、作業反力FRを算出することができる。また、コントローラ30は、ショベル100の転圧作業中に、作業反力FRを算出することにより、作業反力FRのうちの垂直成分FR1の大きさを押し付け力の大きさとして算出することができる。
[転圧支援制御の第1例]
次に、図7〜図9を参照して、コントローラ30(自動制御部54)による転圧支援制御の第1例について説明する。
図7は、コントローラ30(マシンガイダンス部50)による転圧支援制御に関する機能構成の第1例を示す機能ブロック図である。図8は、ショベル100による転圧作業の状況の一例を示す図である。具体的には、図8は、ショベル100が盛土をし、元の地面TP0から第1層TP1、第2層TP2、第3層TP3の順に目標施工面を順次変更させながら、転圧作業を行っている状況を示す図である。また、図9は、ブームロッド圧とブームボトム圧の差圧(以下、「ブーム差圧」)DPとバケット6のショベル100の基準点(例えば、ブーム4の上部旋回体3との連結点の位置や上部旋回体3の前端位置等)からの前後方向の距離(以下、「前後距離」)Lとの関係の一例を示す図である。具体的には、ブーム差圧DP及び前後距離Lに関するバケット6の転圧力の等値線(コンター線)901,902が示される。
尚、コンター線902に対応する転圧力は、コンター線901に対応する転圧力よりも大きい。また、図9の所定距離L1,L2,Lnは、それぞれ、図8におけるバケット6の転圧位置PS1,PS2,PSnに対応する前後距離Lである。
図7に示すように、マシンガイダンス部50(自動制御部54)は、転圧支援制御に関連する機能的な構成として、差圧算出部541と、姿勢状態判断部542と、転圧力測定部543と、転圧力比較部544を含む。
差圧算出部541は、ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bから入力される、ブームロッド圧及びブームボトム圧の検出値に基づき、ブームロッド圧とブームボトム圧の差圧(以下、「ブーム差圧」)DPを算出する。
姿勢状態判断部542は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及び、バケット角度センサS3(何れも姿勢検出部の一例)から入力される、ブーム角度、アーム角度、及び、バケット角度の検出値に基づき、アタッチメントの姿勢状態を判断する。例えば、姿勢状態判断部542は、アタッチメントの姿勢状態により決まるバケット6の先端部、具体的には、地面に接地するバケット6の背面の所定点の位置情報を算出する。より具体的には、姿勢状態判断部542は、バケット6の前後距離Lを算出してよい。
転圧力測定部543は、差圧算出部541及び姿勢状態判断部542により算出されるブーム差圧DP及び前後距離Lに基づき、バケット6から現に地面に作用している転圧力Fdを算出(測定)する。
作業反力は、上述の如く、ブームシリンダ7のロッド側油室へ供給された作動油によりブームシリンダ7のロッド7Cをシリンダ内へ収縮させようとする力に起因するため、ブーム差圧DPが大きくなるほど、作業反力の垂直成分、つまり、バケット6から地面に作用する転圧力Fdは大きくなる。
また、バケット6から地面に作用する転圧力Fdは、ブーム差圧が同じであっても、アタッチメントの姿勢に応じて変化する。
例えば、図9のコンター線901,902から分かるように、同じ前後距離Lであっても、ブーム差圧DPが大きくなるほど、転圧力が大きくなる。また、同じブーム差圧であても、前後距離Lが大きくなるほど、転圧力は小さくなる。
尚、ブーム差圧DP及び前後距離Lに関する転圧力のコンター線は、非線形の場合もありうる。また、転圧力測定部543は、ブーム差圧に代えて、転圧力に関連するショベル100に作用する力として、アーム推力や掘削反力の算出(測定)値を利用してもよい。また、転圧力測定部543は、バケット6の前後距離Lに代えて、アタッチメントの他の姿勢情報を利用してもよい。
転圧力測定部543は、記憶部55に記憶される、図9に示すようなブーム差圧DPと前後距離Lと転圧力Fdとの関係を示す情報(例えば、算出式、算出マップ、算出テーブル等)に基づき、転圧力Fdを算出する。
転圧力比較部544は、転圧力測定部543により測定された転圧力Fdと、目標転圧力とを比較する。
目標転圧力は、下限値FLlim及び上限値FUlimを含む。
下限値FLlimは、転圧作業の品質を確保するために最低限必要な転圧力として設定される。
上限値FUlimは、転圧力がこれ以上になるとショベル100のジャッキアップ量を所定基準以下に抑制する転圧力の上限として設定されている。
尚、目標転圧力のうちの転圧作業の品質に対応する下限値FLlimは、土質に応じて、可変されてよい。つまり、コントローラ30は、転圧支援制御によりバケット6から所定の転圧力を地面に与える場合に、当該所定の転圧力を土質に応じて、変更してよい。このとき、コントローラ30は、入力装置42を通じたオペレータによる設定操作(例えば、表示装置40に表示される操作画面上に表示される複数の種類の土質の中から選択する操作)に応じて、土質を判断してよい。また、コントローラ30は、撮像装置S6による撮像画像等に基づき、自動的に、土質を判断してもよい。また、本例では、転圧力に基づきジャッキアップ発生の有無が判断されるが、任意の方法で判断されてよい。例えば、コントローラ30は、機体傾斜センサS4の出力に基づき、ジャッキアップ発生の有無の判断してもよい。この場合、コントローラ30は、上部旋回体3の前方の浮き上がりを機体傾斜センサS4の出力から検出し、所定の高さ、或いは、所定の角度まで浮き上がった場合に、ジャッキアップが発生したと判断することができる。
転圧力比較部544は、転圧力測定部543により測定された転圧力Fdと下限値FLlim及び上限値FUlimとを比較し、測定された転圧力Fdが下限値FLlim及び上限値FUlimを含むその間の範囲にあるか否かを判定する。
転圧力比較部544は、測定された転圧力Fdが下限値FLlim及び上限値FUlimを含むその間の範囲にある場合(FLlim≦Fd≦FUlim)、転圧作業に必要な転圧力が確保され、且つ、ジャッキアップ量を所定基準以下に抑制できると判断する。
一方、転圧力比較部544は、測定された転圧力Fdが下限値FLlimを下回っている場合(Fd<FLlim)、転圧作業に必要な転圧力が確保されていないと判断する。そして、転圧力比較部544は、適宜、比例弁31に制御指令を出力することにより、転圧力Fdが大きくなるように、アタッチメント(ブーム4、アーム5、及び、バケット6)の動作を調整する。これにより、バケット6から地面に作用する転圧力が調整され、転圧作業に必要な転圧力が確保されうる。
また、転圧力比較部544は、測定された転圧力Fdが上限値LUlimを上回っている場合(Fd>LUlim)、ショベル100にジャッキアップ量が所定基準より大きくなる可能性があると判断する。そして、転圧力比較部544は、適宜、リリーフ弁33に制御指令を出力することにより、過剰な圧力が発生しているブームシリンダ7のロッド側油室の作動油をタンクに排出させる。これにより、バケット6から地面に作用する転圧力が調整され、ショベル100のジャッキアップ量が所定基準以下に抑制される。
転圧力比較部544は、転圧支援制御の実行中、転圧力測定部543により逐次測定される転圧力Fdに基づき、上述の動作を繰り返す。これにより、バケット6から地面に作用する転圧力が、転圧作業に必要な一定以上で、且つ、ショベル100にジャッキアップ量が所定基準以下に抑制されうる。
例えば、図8に示すように、本例では、ショベル100は、機体に相対的に近い転圧位置PS1から転圧作業を開始する。そして、ショベル100は、ブーム4を上下させることで、バケット6を転圧位置PS1の転圧作業を行い、その転圧作業が完了すると、ショベル100の機体から離れる方向に隣接する転圧位置PS2の転圧作業を開始する。このようにして、ショベル100は、順次、転圧位置PSn(nは、3以上の整数)まで転圧作業を行ってよい。
このとき、ある転圧位置PSk(kは、1以上且つn−1以下の整数)とある転圧位置PS(k+1)との間では、バケット6により有効に転圧可能な範囲(以下、「有効転圧範囲」)が一部重複するような形では、転圧作業が進められる。例えば、転圧位置PS1の転圧作業が行われる場合のバケット6による有効転圧範囲PS1Aと、転圧位置PS2の転圧作業が行われる場合のバケット6による有効転圧範囲PS2Aとの間には、図中の左右方向に重複する範囲が存在する。これにより、転圧位置PSkの転圧作業と、隣接する転圧位置PS(k+1)の転圧作業とによって、転圧作業が不十分な領域や転圧作業が全く行われない領域が生じないようにすることができる。
尚、図8において、ショベル100は、バケット6をある程度の押し付け力で押し付けた状態で、バケット6を地面に沿って転圧位置PS1から転圧位置PSnまで移動させる態様で、転圧動作を行ってもよい。この場合に、キャビン10に近い方の転圧位置PS1から転圧を開始できるので、キャビン10に搭乗しているオペレータは、転圧される地面の状態(例えば、土質の状態等)を詳細に確認することができる。また、キャビン10から離れた箇所、即ち、転圧位置PSnからキャビン10へ向かって転圧作業が行われもよい。
本実施形態に係るショベル100は、例えば、図8に示すような転圧作業において、アタッチメントの姿勢状態(例えば、バケット6の前後距離L)を考慮しながら、比例弁31を通じて、アタッチメントの動作を調整する。これにより、ショベル100は、転圧作業において、一定以上の転圧力を確保することができる。そのため、ショベル100は、転圧作業において、より精度よく地面(例えば、図8の第2層TP2に対応する目標施工面)の仕上げを行うことができる。また、本実施形態に係るショベル100は、転圧力が過剰になり過ぎないように、リリーフ弁33を通じて、アタッチメントの動作を調整する。これにより、ショベル100は、転圧作業時に発生しうるジャッキアップ量を所定基準以下に抑制することができる。
[操作系の油圧回路(パイロット回路)の他の例]
次に、図10を参照して、操作系の油圧回路(パイロット回路)の他の例を説明する。
図10は、アタッチメントに対応する油圧アクチュエータを油圧制御するコントロールバルブ17(制御弁174〜176)にパイロット圧を作用させるパイロット回路の構成の他の例を示す図である。具体的には、ブームシリンダ7を油圧制御するコントロールバルブ17(制御弁175L,175R)にパイロット圧を作用させるパイロット回路の他の例を示す図である。
尚、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれを油圧制御するパイロット回路は、ブームシリンダ7を油圧制御する図10のパイロット回路と同様に表される。また、下部走行体1(左右それぞれのクローラ)を駆動する走行油圧モータ1L,1Rを油圧制御するパイロット回路についても、図10と同様に表される。また、上部旋回体3を駆動する旋回油圧モータ2Aを油圧制御するパイロット回路についても、図10と同様に表される。そのため、これらのパイロット回路の図示は省略される。
本例のパイロット回路は、ブーム上げ操作用の電磁弁60と、ブーム下げ操作用の電磁弁62を含む。
電磁弁60は、パイロットポンプ15とパイロット圧作動型のコントロールバルブ17(具体的には、制御弁175(図2、図3参照))のブーム上げ側のパイロットポートとを繋ぐ油路(パイロットライン)内の作動油の圧力を調節可能に構成される。
電磁弁62は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17(制御弁175)の下げ側のパイロットポートとを繋ぐ油路(パイロットライン)内の作動油の圧力を調節可能に構成される。
ブーム4(ブームシリンダ7)が手動操作される場合、コントローラ30は、レバー装置26A(操作信号生成部)が出力する操作信号(電気信号)に応じて、ブーム上げ操作信号(電気信号)或いはブーム下げ操作信号(電気信号)を生成する。レバー装置26Aから出力される操作信号(電気信号)は、その操作内容(例えば、操作量及び操作方向)を表し、レバー装置26Aの操作信号生成部が出力するブーム上げ用操作信号(電気信号)及びブーム下げ用操作信号(電気信号)は、レバー装置26Aの操作内容(操作量及び操作方向)に応じて変化する。
具体的には、コントローラ30は、レバー装置26Aがブーム上げ方向に操作される場合、その操作量に応じたブーム上げ操作信号(電気信号)を電磁弁60に対して出力する。電磁弁60は、ブーム上げ操作信号(電気信号)に応じて動作し、制御弁175のブーム上げ側のパイロットポートに作用するパイロット圧、つまり、ブーム上げ操作信号(圧力信号)を制御する。同様に、コントローラ30は、レバー装置26Aがブーム下げ方向に操作された場合、その操作量に応じたブーム下げ操作信号(電気信号)を電磁弁62に対して出力する。電磁弁62は、ブーム下げ操作信号(電気信号)に応じて動作し、制御弁175のブーム下げ側のパイロットポートに作用するパイロット圧、つまり、ブーム下げ操作信号(圧力信号)を制御する。これにより、コントロールバルブ17は、レバー装置26Aの操作内容に応じたブームシリンダ7(ブーム4)の動作を実現することができる。
一方、ブーム4(ブームシリンダ7)が自律動作する場合、コントローラ30は、例えば、レバー装置26Aの操作信号生成部が出力する操作信号(電気信号)に依らず、補正操作信号(電気信号)に応じて、ブーム上げ操作信号(電気信号)或るいはブーム下げ操作信号(電気信号)を生成する。補正操作信号は、コントローラ30が生成する電気信号であってもよく、コントローラ30以外の制御装置等が生成する電気信号であってもよい。これにより、コントロールバルブ17は、補正操作信号(電気信号)に応じたブーム4(ブームシリンダ7)の自律動作を実現することができる。
また、同様のパイロット回路に基づくアーム5(アームシリンダ8)、バケット6(バケットシリンダ9)、上部旋回体3(旋回油圧モータ2A)、及び下部走行体1(走行油圧モータ1L,1R)の動作についても、ブーム4(ブームシリンダ7)の動作と同様である。
このように、電気式の操作装置26が採用される場合、コントローラ30は、油圧パイロット式の操作装置26が採用される場合に比して、ショベル100の自律制御機能をより容易に実行することができる。
[ショベルを含む作業支援システム]
次に、図11を参照して、本実施形態に係るショベル100を含む作業支援システムの概要について説明する。
図11は、ショベル100を含む作業支援システムSYSの一例を示す図である。
図11に示すように、作業支援システムSYSは、ショベル100と、支援装置200と、管理装置300を含む。
本例では、作業支援システムSYSは、支援装置200或いは管理装置300とショベル100との間の通信に基づき、支援装置200或いは管理装置300からのショベル100の作業支援を行うことが可能に構成される。
尚、作業支援システムSYSに含まれるショベル100は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。また、作業支援システムSYSに含まれる支援装置200及び管理装置300は、それぞれ、一台であってもよいし、複数台であってもよい。
支援装置200は、例えば、ショベル100に関連するユーザ(例えば、ショベル100の作業現場の作業者、監督者、ショベル100のオペレータ等)がショベル100の作業を支援するための用いられる。支援装置200は、例えば、ショベル100に関するユーザが利用するユーザ端末である。具体的には、支援装置200は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ端末等の携帯端末であってよい。また、支援装置200は、例えば、作業現場の仮設事務所等に設置されるデスクトップ型のコンピュータ端末等の定置端末であってもよい。
支援装置200は、例えば、基地局を末端とする移動体通信網や衛星通信網等の所定の通信ネットワークを通じて、ショベル100や管理装置300と通信可能に接続される。この場合、支援装置200は、管理装置300経由で、ショベル100と通信可能に接続される態様であってもよい。また、支援装置200は、例えば、所定の近距離通信(例えば、ブルートゥース通信(登録商標)やWiFi通信等)を通じて、ショベル100と直接的に通信可能であってもよい。
支援装置200は、例えば、ショベル関連ユーザの操作に応じて、ショベル100に作業支援のための制御指令を送信可能な態様であってよい。具体的には、支援装置200は、ショベル関連ユーザは、支援装置200を通じて、ショベル100を遠隔操作可能なように、支援装置200は構成されてもよい。
管理装置300は、例えば、ショベル100と相対的に離れた場所から、ショベル100の動作、作業、運用等を管理する。管理装置300は、例えば、作業現場外の管理センタ等に設置されるサーバ装置である。また、管理装置300は、作業現場内の仮設事務所等に設置される管理用のコンピュータ端末であってもよい。また、管理装置300は、可搬性のコンピュータ端末(例えば、ラップトップ型のコンピュータ端末、タブレット端末、スマートフォン等の携帯端末)であってもよい。
管理装置300は、例えば、支援装置200の場合と同様、基地局を末端とする移動体通信網や衛星通信網等の所定の通信ネットワークを通じて、ショベル100と通信可能に接続される。
管理装置300は、例えば、管理者等の操作に応じて、ショベル100に作業支援のための制御指令を送信可能な態様であってよい。具体的には、管理者等は、管理装置300を通じて、ショベル100を遠隔操作可能な態様であってもよい(図16参照)。また、管理者等は、予め遠隔操作のための制御プログラムを管理装置300にインストールしておくことにより、管理装置300に自律的な遠隔操作を行わせてもよい。
このように、支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方は、ショベル関連ユーザや管理者等の操作に応じて、或いは、自身にインストールされる制御プログラムの動作に応じて、遠隔操作用の制御指令をショベル100に送信してよい。この場合、支援装置200や管理装置300の表示装置(ディスプレイ)には、ショベル100から送信されるショベル100の周囲の画像情報が表示されてよい。これにより、ショベル関連ユーや管理者等は、ショベル100のキャビン10外にいる状態で、ショベル100の機体からショベル100の周囲を見たときの状況を把握しながら、遠隔操作を行うことができる。
上述のようなショベル100の作業支援システムSYSでは、ショベル100のコントローラ30は、例えば、通信装置T1を通じて、転圧に関する作業情報(例えば、転圧力や転圧位置に関する情報等)を支援装置200や管理装置300等に送信してもよい。
転圧に関する作業情報には、例えば、転圧位置ごとの転圧作業を開始した時刻(以下、「開始判定時刻」)に関する情報、開始判定時刻におけるショベル100の機体の一部の位置に関する情報、開始判定時刻におけるショベル100の作業内容に関する情報、開始判定時刻における作業環境に関する情報、並びに、開始判定時刻及びその前後の期間に測定されたショベル100の動きに関する情報等の少なくとも一つを含む。更に、転圧に関する作業情報には、例えば、転圧位置ごとの転圧作業が完了した時刻(以下、「完了判定時刻」)に関する情報、完了判定時刻におけるショベル100の機体の一部の位置に関する情報、完了判定時刻におけるショベル100の作業内容に関する情報、完了判定時刻における作業環境に関する情報、並びに、完了判定時刻及びその前後の期間に測定されたショベル100の動きに関する情報等の少なくとも一つが含まれてよい。このとき、作業環境に関する情報には、例えば、地面の傾斜に関する情報、及びショベル100の周囲の天気に関する情報等の少なくとも一つが含まれてよい。また、ショベル100の動きに関する情報には、例えば、パイロット圧、及び油圧アクチュエータにおける作動油の圧力等の少なくとも一つが含まれてよい。
また、転圧に関する作業情報には、例えば、ショベル100がジャッキアップした場合のジャッキアップと判定された時刻(以下、「ジャッキアップ時刻」)に関する情報、ジャッキアップ時刻におけるその機体の一部の位置に関する情報、ジャッキアップ時刻におけるショベル100の作業内容に関する情報、ジャッキアップ時刻における作業環境に関する情報、並びに、ジャッキアップ時刻及びその前後の期間に測定されたショベル100の動きに関する情報等の少なくとも一つが含まれる。
また、ショベル100のコントローラ30は、例えば、通信装置T1を通じて、撮像装置S6の撮像画像を支援装置200等に送信してもよい。送信対象の撮像画像には、例えば、開始判定時刻や完了判定時刻を含む所定期間に撮像された複数の撮像画像が含まれてよい。当該所定期間は、開始判定時刻に先行する期間や完了判定時刻よりも後の期間を含まれていてもよい。
また、コントローラ30は、上述の開始判定時刻や完了判定時刻を含む所定期間におけるショベル100の作業内容に関する情報、ショベル100の姿勢に関する情報、及び掘削アタッチメントの姿勢に関する情報等の少なくとも一つつを支援装置200や管理装置300等に送信してもよい。
これにより、支援装置200や管理装置300等を利用する管理者等は、作業現場に関する情報を入手することができる。即ち、支援装置200や管理装置300等を利用する管理者等は、ショベル100による作業の進捗の分析等を行うことができると共に、更には、そのような分析結果に基づき、ショベル100の作業環境を改善することができる。よって、転圧に関する作業情報を管理することで、転圧後の仕上げ作業における土量の把握等を適確に行うことができる。
また、コントローラ30は、物体検知装置の出力情報に基づき、ショベル100の所定範囲内への進入物の有無を判定してもよい。この場合、コントローラ30は、例えば、人や建屋などの障害物が検知される場合、ショベル100を減速或いは停止させる。そして、コントローラ30は、通信装置T1を通じて、進入物に関する情報を支援装置200や管理装置300等に送信してもよい。進入物に関する情報は、例えば、進入物の位置に関する情報、進入物を判定した時刻(以下、「進入物判定時刻」)に関する情報、進入物判定時刻におけるショベル100の機体の一部の位置に関する情報、進入物判定時刻におけるショベル100の作業内容に関する情報、進入物判定時刻における作業環境に関する情報、並びに、進入物判定時刻及びその前後の期間に測定されたショベル100の動きに関する情報等の少なくとも一つが含まれてよい。
これにより、支援装置200や管理装置300を利用する管理者等は、作業中にショベル100の動きを減速或いは停止させなければならない状況が発生した原因等を分析できると共に、更には、そのような分析結果に基づき、ショベル100の作業環境を改善することができる。
[転圧支援制御の第2例]
次に、図12を参照して、コントローラ30(マシンガイダンス部50)による転圧支援制御の第2例について説明する。
図12は、コントローラ30による転圧支援制御に関する機能構成の第2例を示す機能ブロック図である。
尚、本例では、操作装置26は、電気式で(図10参照)あり、その操作内容を表す操作信号(電気信号)を出力する前提で説明を進める。以下、後述の図13〜図15の場合についても同様である。但し、当然の如く、操作装置26は、油圧パイロット式(図4A〜図4C参照)であってもよく、この場合、コントローラ30(マシンガイダンス部50)は、操作圧センサ29の検出情報に基づき、操作装置26の操作内容を把握する。
本例では、ブームシリンダ7のシリンダ圧(ブームロッド圧及びブームボトム圧)、具体的には、シリンダ圧に基づく転圧力を基準として転圧完了を判定する制御態様(以下、便宜的に「圧力制御」)が適用される。適用される制御態様は、例えば、コントローラ30の外部から入力される転圧条件により指定されてよい。転圧条件は、例えば、入力装置42を通じて、オペレータにより入力されてもよいし、通信装置T1を通じて、外部装置(例えば、支援装置200や管理装置300)から入力(受信)されてもよい。以下、後述の図13〜図16の場合についても同様である。
本例では、コントローラ30のマシンガイダンス部50は、必要高さ設定部F101と、目標転圧力設定部F102と、バケット現在位置算出部F103と、転圧力算出部F104と、比較部F105と、転圧完了判定部F106と、ジャッキアップ判断部F107と、速度指令生成部F108と、制限部F109と、指令値算出部F110を含む。
必要高さ設定部F101は、コントローラ30の外部から入力される転圧条件に基づき、転圧位置の地面において、必要な高さ方向の位置基準(以下、「必要高さ」)を設定する。
目標転圧力設定部F102は、転圧条件に基づき、目標転圧力を設定する。
バケット現在位置算出部F103は、ブーム角度β1、アーム角度β2、バケット角度β3、及び旋回角度α1の検出値に基づき、バケット6の作業部位、つまり、背面の現在位置(以下、「バケット現在位置」)を算出する。ブーム角度β1、アーム角度β2、バケット角度β3、及び旋回角度α1は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、及び旋回状態センサS5により検出される。
転圧力算出部F104は、ブームボトム圧センサS7B及びブームロッド圧センサS7Rの出力に基づき、現在のバケット6から地面に作用している転圧力を算出(推定)する。
比較部F105は、転圧力算出部F104により算出される現在の転圧力と目標転圧力とを比較し、現在の転圧力が目標転圧力に到達しているか否かを判定する。比較部F105は、比較結果を転圧完了判定部F106に出力する。
転圧完了判定部F106は、比較部F105の比較結果、必要高さ設定部F101により設定された必要高さ、及びバケット現在位置算出部F103により算出されるバケット現在位置に基づき、現在の転圧位置の転圧作業が完了したか否かを判定する。
具体的には、転圧完了判定部F106は、現在の転圧力が目標転圧力に到達していない場合、"転圧作業未完了"(即ち、現在の転圧位置の転圧作業が未完了である)と判定する。また、転圧完了判定部F106は、現在の転圧力が目標転圧力に到達した場合、そのときの現在の転圧位置の高さ位置が必要高さ以上であるときに、"転圧作業完了"(即ち、現在の転圧位置の転圧作業が完了した)と判定する。また、転圧完了判定部F106は、在の転圧力が目標転圧力に到達した場合、そのときの現在の転圧位置の高さが必要高さ未満であるときに、"盛り土要"(即ち、盛り土が必要である)と判定する。
転圧完了判定部F106は、その判定結果を表示装置40に表示させる。このとき、"転圧作業未完了"の場合、特段の通知(表示)は行われず、"転圧作業完了"の場合、或いは、"盛り土要"の場合だけ、その旨が表示されてもよい。これにより、オペレータは、現在の転圧位置の転圧作業が完了したか否か、及び盛り土が必要か否か等を把握することができる。そのため、表示装置40に転圧作業が完了したと表示された場合、オペレータは、現在の転圧位置の転圧作業を終了する。そして、オペレータは、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメント少なくとも一つを操作することで、次の転圧位置(例えば、現在、図8の転圧位置PS1の転圧作業が行われている場合の転圧位置PS2)の転圧作業に移行することができる。また、表示装置40に盛り土が必要と表示された場合、オペレータは、(下部走行体1、)上部旋回体3、及びアタッチメント少なくとも一つを操作することで、盛り土用の土砂を現在の転圧位置に補充する作業を行うことができる。
ジャッキアップ判断部F107は、機体傾斜センサS4の出力、つまり、ショベル100の傾斜角度にする検出情報に基づき、ショベル100がジャッキアップしているか否かを判断する。ジャッキアップ判断部F107は、判断結果を速度指令生成部F108に出力する。
速度指令生成部F108は、操作装置26の操作内容に対応する操作信号(電気信号)と、ジャッキアップ判断部F107の判断結果に基づき、ブーム4、アーム5、及びバケット6の速度指令を生成する。例えば、速度指令生成部F108は、操作装置26の操作内容に応じて、アタッチメントを構成する被駆動要素(ブーム4、アーム5、及びバケット6)のうちのマスタ要素としてのブーム4の速度指令を生成する。また、速度指令生成部F108は、ブーム4の動作に追従して、バケット6の背面が転圧位置に当接し、且つ、転圧対象の地面に対するバケット6の相対的な姿勢角度が一定に維持されるように、スレーブ要素としてのアーム5及びバケット6の速度指令を生成する。また、速度指令生成部F108は、ジャッキアップ判断部F107によりショベル100がジャッキアップしていると判断された場合、ブーム4、アーム5、及びバケット6を制動或いは停止させるための速度指令(以下、「制動指令」或いは「停止指令」)を出力する。
制限部F109は、ショベル100の転圧動作を制限すべき所定の制限条件(以下、「動作制限条件」)が成立する場合に、速度指令生成部F108により生成された速度指令を補正した補正速度指令を生成し、指令値算出部F110に出力する。一方、制限部F109は、ショベル100の動作制限条件が成立しない場合、速度指令生成部F108から入力される速度指令をそのまま指令値算出部F110に出力する。
動作制限条件は、例えば、"速度指令に対応するブーム4の速度指令に対応する下降速度が、コントローラ30の外部から入力される土質情報(例えば、密度、硬さ等)に基づく上限速度を超えていること"が含まれる。土質情報は、例えば、入力装置42を通じて、オペレータにより入力されてもよいし、通信装置T1を通じて、外部装置(例えば、支援装置200や管理装置300)から入力(受信)されてもよい。また、土質情報は、撮像装置S6のショベル100の周囲の撮像画像に基づき、自動的に判断されてもよい。
指令値算出部F110は、制限部F109から入力される速度指令或いは補正速度指令に基づき、ブーム4、アーム5、及びバケット6の姿勢角度(ブーム角度、アーム角度、及びバケット角度)に関する指令値を算出し、出力する。具体的には、指令値算出部F110は、ブーム指令値β1r、アーム指令値β2r、及びバケット指令値β3rを生成し、出力する。
マシンガイダンス部50は、例えば、ブーム指令値β1rとブーム角度β1との間の偏差がゼロになるように、ブームシリンダ7に対応する電磁弁60,62に関するフィードバック制御を行う。また、マシンガイダンス部50は、アーム指令値β2rとアーム角度β2との間の偏差がゼロになるように、アームシリンダ8に対応する電磁弁60,62に関するフィードバック制御を行う。また、マシンガイダンス部50は、例えば、バケット指令値β3rとバケット角度β3との偏差がゼロになるように、電磁弁60,62に関するフィードバック制御を行う。
このように、本例では、マシンガイダンス部50は、圧力制御を用い、オペレータの操作に応じて、マスタ要素としてのブーム4の動作に追従(連動)させる形で、バケット6の背面が転圧位置の地面に所定の角度で当接するように、スレーブ要素としてのアーム5、バケット6の動作を自動制御することができる。そのため、ショベル100は、オペレータの操作に応じて、所望の転圧動作を実現することができる。
[転圧支援制御の第3例]
次に、図13を参照して、コントローラ30(マシンガイダンス部50)による転圧支援制御の第3例について説明する。
図13は、コントローラ30による転圧支援制御に関する機能構成の第3例を示す機能ブロック図である。
本例では、ブームシリンダ7のシリンダ圧(ブームロッド圧及びブームボトム圧)、具体的には、必要高さに到達したか否かを基準として転圧完了を判定する制御態様(以下、便宜的に「高さ制御」)が適用される点で、上述の第2例と異なる。
以下、図12の第2例と異なる部分を中心に説明を行い、対応する部分の説明が省略或いは簡略される場合がある。
本例では、コントローラ30のマシンガイダンス部50は、必要高さ設定部F201と、目標転圧力設定部F202と、バケット現在位置算出部F203と、転圧力算出部F204と、比較部F205と、転圧完了判定部F206と、ジャッキアップ判断部F207と、目標高さ設定部F208と、速度指令生成部F209と、制限部F210と、指令値算出部F211を含む。
通常、転圧作業は土砂を埋めた後に行われる。そこで、本例では、土砂を埋める前の地面の高さと転圧後の高さとの差が必要な高さと設定され、転圧によりバケット6が必要な高さより沈んだ場合に、転圧不足として判断される。以下、図14の第4例の場合も同様である。
必要高さ設定部F201、目標転圧力設定部F202、バケット現在位置算出部F203、転圧力算出部F204、ジャッキアップ判断部F207、及び指令値算出部F211の機能は、それぞれ、図12の必要高さ設定部F101、目標転圧力設定部F102、バケット現在位置算出部F103、転圧力算出部F104、ジャッキアップ判断部F107、及び指令値算出部F110と同じであるため、説明を省略する。
比較部F205は、必要高さ設定部F201により設定される必要高さと、バケット現在位置算出部F203により算出される地面に当接しているときのバケット現在位置(つまり、現在の転圧位置の地面の高さ位置)とを比較する。比較部F205は、比較結果を転圧完了判定部F206に出力する。
転圧完了判定部F206は、比較部F205の比較結果、目標転圧力設定部F202により設定された目標転圧力、及び転圧力算出部F204により算出された現在の転圧力に基づき、現在の転圧位置の転圧作業が完了したか否かを判定する。
具体的には、転圧完了判定部F206は、現在の転圧位置の地面の高さが必要高さに到達していない(つまり、バケット6が必要高さを超えて沈み込んでいる場合)、"転圧作業未完了"(即ち、現在の転圧位置の転圧作業が未完了である)と判定する。また、転圧完了判定部F206は、現在の転圧位置の地面の高さが必要高さに到達している場合、そのときの転圧力が目標転圧力以上であるときに、"転圧作業完了"(即ち、現在の転圧位置の転圧作業が完了した)と判定する。また、転圧完了判定部F206は、現在の転圧位置の地面の高さが必要高さに到達している場合、そのときの転圧力が目標転圧力以上であるときに、"転圧力不足"と判定する。
転圧完了判定部F206は、その判定結果を表示装置40に表示させる。このとき、"転圧作業未完了"の場合、特段の通知(表示)は行われず、"転圧作業完了"と判定された場合、或いは、"転圧力不足"と判定された場合だけ、その旨が表示されてもよい。これにより、オペレータは、現在の転圧位置の転圧作業が完了したか否か、及び転圧力不足であるか否か等を把握することができる。そのため、表示装置40に転圧作業が完了したと表示された場合、オペレータは、現在の転圧位置の転圧作業を終了する。そして、オペレータは、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメント少なくとも一つを操作することで、次の転圧位置の転圧作業に移行することができる。また、表示装置40に転圧力不足と判定された場合、オペレータは、そのまま転圧作業を継続させ、転圧力不足を解消させたり、下部走行体1、上部旋回体3、及びアタッチメント少なくとも一つを操作することで、盛り土用の土砂を現在の転圧位置に補充する作業を行わせたりすることができる。
目標高さ設定部F208は、アタッチメントの自動制御時における目標高さを設定する。具体的には、目標高さ設定部F208は、必要高さ設定部F201により設定される必要高さよりも低い高さ位置を目標高さとして設定してよい。つまり、目標高さは、少なくとも転圧後の地表面の位置よりも低い位置に設定する必要がある。
速度指令生成部F209は、操作装置26の操作信号、ジャッキアップ判断部F207の判断結果、及び目標高さ設定部F208により設定された目標高さに基づき、ブーム4、アーム5、及びバケット6の速度指令を生成する。例えば、速度指令生成部F209は、図12の第2例の場合と同様、操作装置26の操作内容に応じて、アタッチメントを構成する被駆動要素(ブーム4、アーム5、及びバケット6)のうちのマスタ要素としてのブーム4の速度指令を生成する。また、速度指令生成部F209は、ブーム4の動作に追従して、バケット6の背面が転圧位置に当接し、且つ、転圧対象の地面に対するバケット6の相対的な姿勢角度が一定に維持されるように、スレーブ要素としてのアーム5及びバケット6の速度指令を生成する。また、速度指令生成部F209は、ジャッキアップ判断部F107によりショベル100がジャッキアップしていると判断された場合、ブーム4、アーム5、及びバケット6を制動或いは停止させるための速度指令(以下、「制動指令」或いは「停止指令」)を出力する。
制限部F210は、ショベル100の動作制限条件が成立する場合に、速度指令生成部F209により生成された速度指令を補正した補正速度指令を生成し、指令値算出部F211に出力する。一方、制限部F210は、ショベル100の動作制限条件が成立しない場合、速度指令生成部F209から入力される速度指令をそのまま指令値算出部F211に出力する。
動作制限条件には、図12の第2例で例示する条件に加えて、例えば、"現在の転圧位置が必要高さ未満であるにも関わらず現在の転圧力が相対的に高すぎること"が含まれる。また、当該動作制限条件が成立する場合、制限部F210は、表示装置40に追加の盛り土を促す通知を表示させてもよい。
このように、本例では、マシンガイダンス部50は、高さ制御を用いて、例えば、マスタ要素としてのブーム4の動作に追従(連動)させる形で、バケット6の背面が転圧位置の地面に所定の角度で当接するように、スレーブ要素としてのアーム5、バケット6の動作を自動制御することができる。そのため、ショベル100は、オペレータの操作に応じて、所望の転圧動作を実現することができる。
[転圧支援制御の第4例]
次に、図14を参照して、コントローラ30(マシンガイダンス部50)による転圧支援制御の第4例について説明する。
図14は、コントローラ30による転圧支援制御に関する機能構成の第4例を示す機能ブロック図である。
本例では、圧力制御が適用される点で上述の第2例(図13)と共通する。また、本例では、現在の転圧位置の転圧作業が完了し、次の転圧位置への走行移動や旋回移動が必要な場合に、下部走行体1や上部旋回体3を自律動作させることにより、自動で、次の転圧位置にショベル100を移動させる制御態様(以下、「自律移動制御」)が適用される点で上述の第2例と異なる。
以下、図12の第2例と異なる部分を中心に説明を行い、対応する部分の説明が省略或いは簡略される場合がある。
本例では、コントローラ30のマシンガイダンス部50は、必要高さ設定部F301と、目標転圧力設定部F302と、バケット現在位置算出部F303と、転圧力算出部F304と、比較部F305と、転圧完了判定部F306と、ジャッキアップ判断部F307と、転圧段取り設定部F308と、次転圧位置算出部F309と、動作内容判定部F310と、速度指令生成部F311と、制限部F312と、指令値算出部F313を含む。
必要高さ設定部F301、目標転圧力設定部F302、バケット現在位置算出部F303、転圧力算出部F304、比較部F305、転圧完了判定部F306、ジャッキアップ判断部F307の機能は、それぞれ、図12の必要高さ設定部F101、目標転圧力設定部F102、バケット現在位置算出部F103、転圧力算出部F104、比較部F105、転圧完了判定部F106、及びジャッキアップ判断部F107と同じであるため、説明を省略する。
転圧段取り設定部F308は、入力装置42に含まれる転圧領域入力部42aから入力される転圧作業の対象の領域(以下、「転圧領域」)に関する情報に基づき、ショベル100の転圧作業の段取りを設定する。転圧領域入力部42aは、例えば、オペレータからの操作入力を受け付け、表示装置40に表示される転圧領域を入力するための所定の入力画面(GUI:Graphical User Interface)を操作することにより、オペレータの操作に基づく転圧領域に関する情報を入力してよい。また、転圧領域に関する情報は、通信装置T1を通じて、所定の外部装置(例えば、支援装置200や管理装置300)から入力されてもよい。
次転圧位置算出部F309は、転圧完了判定部F306により現在の転圧位置の転圧作業が完了したと判定される場合に、撮像装置S6の撮像画像と、転圧段取り設定部F308により設定される転圧領域全体の転圧作業の段取りとに基づき、次の転圧位置(以下、「次転圧位置」)を算出する。
動作内容判定部F310は、操作装置26の操作内容、及び転圧完了判定部F306の判定結果に基づき、ショベル100が行うべき動作内容を判定する。
具体的には、動作内容判定部F310は、転圧完了判定部F306により"転圧作業未完了"と判定される場合、ショベル100が行うべき動作内容を現在の転圧位置の転圧動作であると判定する。また、動作内容判定部F310は、転圧完了判定部F306により"盛り土要"と判定される場合、ショベル100が行うべき動作は、盛り土動作と判定する。このとき、盛り土動作は、例えば、ブーム上げ旋回動作、バケット6への土砂収容動作、ブーム下げ旋回動作、及びバケット6の土砂の排土動作の組み合わせにより実現されてよい。また、動作内容判定部F310は、転圧完了判定部F306により"転圧作業完了"と判定される場合、ショベル100が次の転圧位置の転圧作業を行うために移動(走行移動及び旋回移動の少なくとも一方)が必要か否かを更に判定する。動作内容判定部F310は、ショベル100が次転圧位置の転圧動作を行うための移動が必要な場合、ショベル100が行うべき動作内容が移動動作であると判定する。また、動作内容判定部F310は、次の転圧位置の転圧作業を行うために移動が必要でない場合(例えば、図8の転圧作業の対象が転圧位置PS1から転圧位置PS2に移行される場合)、ショベル100が行うべき動作内容を次転圧位置の転圧動作であると判定する。
速度指令生成部F311は、動作内容判定部F310の判定結果、操作装置26の操作内容、及び次転圧位置算出部F309の算出結果(即ち、次転圧位置)に基づき、下部走行体1の右側のクローラ、左側のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6の少なくとも一つに関する速度指令を出力する。
具体的には、速度指令生成部F311は、動作内容判定部F310によりショベル100の行うべき動作内容が現在の転圧位置の転圧動作或いは次転圧位置の転圧動作と判定される場合、操作装置26の操作内容に応じて、現在の転圧位置或いは次転圧位置に対応する態様で、図12の第2例の場合と同様のブーム4、アーム5、及びバケット6の速度指令を出力してよい。
また、速度指令生成部F311は、動作内容判定部F310によりショベル100の行うべき動作内容が盛り土動作と判定される場合、操作装置26の操作内容に応じて、或いは、操作装置26の操作内容に依らず、ブーム上げ旋回動作、土砂収容動作、ブーム下げ旋回動作、或いは排土動作の何れかに対応する(下部走行体1、)上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6の少なくとも一つに関する速度指令を出力してよい。
また、速度指令生成部F311は、動作内容判定部F310によりショベル100の行うべき動作内容が移動動作であると判定された場合、操作装置26の操作内容に応じて、或いは、操作装置26の操作内容に依らず、次の転圧位置への自律的な走行移動及び旋回移動の少なくとも一方に対応する下部走行体1及び上部旋回体3の速度指令を出力してよい。
制限部F312は、ショベル100の動作制限条件が成立する場合に、速度指令生成部F311により生成された速度指令を補正した補正速度指令を生成し、指令値算出部F313に出力する。一方、制限部F312は、ショベル100の動作制限条件が成立しない場合、速度指令生成部F311から入力される速度指令をそのまま指令値算出部F211に出力する。
動作制限条件には、速度指令生成部F311の速度指令がショベル100の転圧動作に対応する場合、例えば、図12の第2例等の場合と同様、土質情報に基づく条件が含まれてよい。また、動作制限条件には、例えば、速度指令生成部F311の速度指令がショベル100の移動動作に対応する"ショベル100の周囲の相対的に近接する領域に所定の物体が存在しないこと"が含まれる。所定の物体には、例えば、人、他の作業機械、電柱、ロードコーン等が含まれる。ショベル100の走行移動や旋回移動によりショベル100が周囲の物体に当接しないようにするためである。
指令値算出部F313は、制限部F312から入力される速度指令或いは補正速度指令に基づき、ブーム4、アーム5、バケット6、上部旋回体3、右側のクローラ、左側のクローラの姿勢角度に関する指令値を算出し、出力する。具体的には、指令値算出部F313は、ブーム指令値β1r、アーム指令値β2r、バケット指令値β3r、旋回指令値α1r、右走行指令値TRr、及び左走行指令値TLrを生成し出力する。
このように、本例では、マシンガイダンス部50は、圧力制御を用い、オペレータの操作に応じて、自律的な転圧作業を実現すると共に、ある転圧位置の転圧作業が終了すると、次の転圧位置までショベル100を自律的に移動させ、次の転圧位置の転圧作業を開始させることができる。そのため、マシンガイダンス部50は、所定の転圧領域の転圧作業を所定の段取りに沿って、半自動的に、ショベル100に実行させることができる。よって、ショベル100による転圧作業を更に効率的に進めることができる。
[転圧支援制御の第5例]
次に、図15を参照して、コントローラ30(マシンガイダンス部50)による転圧支援制御の第5例について説明する。
図15は、コントローラ30による転圧支援制御に関する機能構成の第5例を示す機能ブロック図である。
本例では、高さ制御が適用される点で上述の第3例(図13)と共通する。また、本例では、自律移動制御が適用される点で上述の第3例と異なり、上述の第4例(図14)と共通する。
以下、図13の第3例、第4例と異なる部分を中心に説明を行い、対応する部分の説明が省略或いは簡略される場合がある。
本例では、コントローラ30のマシンガイダンス部50は、必要高さ設定部F401と、目標転圧力設定部F402と、バケット現在位置算出部F403と、転圧力算出部F404と、比較部F405と、転圧完了判定部F406と、ジャッキアップ判断部F407と、目標高さ設定部F408と、転圧段取り設定部F409と、次転圧位置算出部F410と、動作内容判定部F411と、速度指令生成部F412と、制限部F413と、指令値算出部F414を含む。
必要高さ設定部F401、目標転圧力設定部F402、バケット現在位置算出部F403、転圧力算出部F404、比較部F405、転圧完了判定部F406、ジャッキアップ判断部F407、目標高さ設定部F408の機能は、それぞれ、図13の必要高さ設定部F201、目標転圧力設定部F202、バケット現在位置算出部F203、転圧力算出部F204、比較部F205、転圧完了判定部F206、及びジャッキアップ判断部F207、及び目標高さ設定部F208と同じであるため、説明を省略する。また、転圧段取り設定部F409、次転圧位置算出部F410、速度指令生成部F412、制限部F413、及び指令値算出部F414の機能は、それぞれ、図14の転圧段取り設定部F308、次転圧位置算出部F309、速度指令生成部F311と、制限部F312、及び指令値算出部F313と同じであるため、説明を省略する。
動作内容判定部F411は、操作装置26の操作内容、及び転圧完了判定部F306の判定結果に基づき、ショベル100が行うべき動作内容を判定する。
具体的には、動作内容判定部F411は、転圧完了判定部F406により"転圧力不足"と判定される場合、ショベル100が行うべき動作は、盛り土動作と判定する。また、動作内容判定部F411は、転圧完了判定部F406により"転圧力不足"と判定される場合、ショベル100が行うべき動作は、転圧動作の継続と判定してもよい。また、動作内容判定部F411は、転圧完了判定部F406の判定結果が"転圧力不足"である場合、不足する転圧力の程度等を考慮して、ショベル100が行うべき動作が盛土動作であるのか、転圧動作の継続であるのかを判定してもよい。また、動作内容判定部F411は、転圧完了判定部F406により"転圧作業未完了"と判定される場合或いは"転圧作業完了"と判定される場合、上述の第4例(図14)と同様の判定処理を行ってよい。
このように、本例では、マシンガイダンス部50は、高さ制御を用い、オペレータの操作に応じて、自律的な転圧作業を実現すると共に、ある転圧位置の転圧作業が終了すると、次の転圧位置までショベル100を自律的に移動させ、次の転圧位置の転圧作業を開始させることができる。よって、マシンガイダンス部50は、所定の転圧領域の転圧作業を所定の段取りに沿って、半自動的に、ショベル100に実行させることができる。そのため、ショベル100による転圧作業を更に効率的に進めることができる。
[転圧支援制御の第6例]
次に、図16を参照して、コントローラ30(マシンガイダンス部50)による転圧支援制御の第6例について説明する。
図16は、コントローラ30による転圧支援制御に関する機能構成の第6例を示す機能ブロック図である。
本例では、圧力制御が適用される点で上述の第2例(図12)及び第4例(図14)と共通する。また、本例では、外部装置(例えば、支援装置200や管理装置300)からの遠隔操作によって、ショベル100が移動も含めた所定の転圧領域全体の転圧作業を自律的に行う形態の制御態様(以下「自律転圧制御」)が適用される点で上述の第2例及び第4例と異なる。
以下、図14の第2例、第4例等と異なる部分を中心に説明を行い、対応する部分の説明が省略或いは簡略される場合がある。
本例では、コントローラ30のマシンガイダンス部50は、必要高さ設定部F501と、目標転圧力設定部F502と、バケット現在位置算出部F503と、転圧力算出部F504と、比較部F505と、転圧完了判定部F506と、ジャッキアップ判断部F507と、作業開始判別部F508と、作業段取り設定部F509と、設定内容生成部F510と、動作内容判定部F511と、速度指令生成部F512と、制限部F513と、指令値算出部514を含む。
バケット現在位置算出部F503、転圧力算出部F504、比較部F505、転圧完了判定部F506、ジャッキアップ判断部F507、動作内容判定部F511、制限部F513、及び指令値算出部F514の機能は、それぞれ、図14のバケット現在位置算出部F303、転圧力算出部F304、比較部F305、転圧完了判定部F306、及びジャッキアップ判断部F307、動作内容判定部F310、制限部F312、及び指令値算出部F313と同じであるため、説明を省略する。
必要高さ設定部F501及び目標転圧力設定部F502は、それぞれ、設定内容生成部F510により自動的に生成される転圧条件に基づき、必要高さ及び目標転圧力を設定する。
作業開始判別部F508は、通信装置F1を通じて所定の外部装置(例えば、支援装置200や管理装置300)から受信される遠隔操作に関する指令(以下、「遠隔操作指令」)に応じて、転圧作業の開始の有無を判別する。
作業段取り設定部F509は、作業開始判別部F508により転圧作業の開始が判別された場合に、撮像装置S6の撮像画像と遠隔操作指令で指定される転圧領域に関する情報に応じて、ショベル100の転圧作業の段取りを設定する。
設定内容生成部F510は、遠隔操作指令で設定される内容や作業段取り設定部F509により設定される転圧作業の段取りに関する情報に基づき、転圧作業に関する各種の設定の内容を自動的(自律的)に生成する。例えば、設定内容生成部F510は、遠隔操作指令で設定される内容や作業段取り設定部F509により設定される転圧作業の段取りに関する情報に基づき、転圧条件(必要高さや目標転圧力)を生成する。また、例えば、設定内容生成部F510は、作業段取り設定部F509により設定される転圧作業の段取りに関する情報に基づき、現在の転圧位置の転圧作業が完了した場合の次転圧位置を設定する。
速度指令生成部F512は、設定内容生成部F510により生成される設定内容(例えば、次転圧位置)や動作内容判定部F511の判定結果に基づき、下部走行体1の右側のクローラ、左側のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6の少なくとも一つに関する速度指令を出力する。
具体的には、動作内容判定部F310によりショベル100の行うべき動作内容が現在の転圧位置の転圧動作或いは次転圧位置の転圧動作と判定される場合、現在の転圧位置或いは次転圧位置にバケット6の背面を押し付けるために必要なブーム4、アーム5、及びバケット6の速度指令を自律的に生成し出力してよい。
また、速度指令生成部F512は、動作内容判定部F511によりショベル100の行うべき動作内容が盛り土動作と判定される場合、ブーム上げ旋回動作、土砂収容動作、ブーム下げ旋回動作、或いは排土動作の何れかに対応する(下部走行体1、)上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6の少なくとも一つに関する速度指令を自律的に生成し出力してよい。
また、速度指令生成部F512は、動作内容判定部F511によりショベル100の行うべき動作内容が移動動作であると判定された場合、次の転圧位置への自律的な走行移動及び旋回移動の少なくとも一方に対応する下部走行体1及び上部旋回体3の速度指令を自律的に生成し出力してよい。
このように、本例では、マシンガイダンス部50は、圧力制御を用い、ショベル100の外部からの遠隔操作に関する指令に応じて、ショベル100の転圧作業の開始を判別し、自律的な転圧作業及び転圧位置間の移動動作を自律的に行うことができる。そのため、マシンガイダンス部50は、所定の転圧領域の転圧作業を所定の段取りに沿って、全自動で、即ち、自律的に、ショベル100に実行させることができる。そのため、ショベル100による転圧作業を更に効率的に進めることができる。
また、コントローラ30は、転圧後の高さ情報に基づいて、必要以上に盛り土を行った箇所を所定の記憶部(例えば、内部の補助記憶装置)に記録してもよい。具体的には、コントローラ30は、ジャッキアップした場所に関する位置情報(例えば、緯度及び経度等)を記録してよい。そして、コントローラ30(マシンガイダンス部50)は、ジャッキアップした箇所が所定の高さになるような目標掘削軌道を生成し、バケット6の爪先が目標掘削軌道に沿って移動するように、ブーム4、アーム5、及びバケット6(即ち、アタッチメント)を自動制御してもよい。これにより、ショベル100は、より正確な転圧後の地形を実現させることができる。
また、コントローラ30は、許容高さを超える場所に関する位置情報(緯度及び経度等)を所定の記憶部に記録してもよい。この場合、コントローラ30(マシンガイダンス部50)は、許容高さを超えた箇所が所定の高さになるように目標掘削軌道を生成し、バケット6の爪先が目標掘削軌道に沿って移動するように、ブーム4、アーム5、及びバケット6(即ち、アタッチメント)を制御する。これにより、ショベル100は、より正確な転圧後の地形を実現させることができる。
これらの場合、ショベル100は、マシンガイダンス部50(作業段取り設定部F509)の制御下で、転圧作業を行う作業モードから掘削作業を行う作業モードへ切り換えて、目標掘削軌道に基づく掘削作業を行ってよい。
尚、本例では、圧力制御が適用されるが、上述の第3例(図13)及び第5例(図15)と同様の高さ制御が採用されてもよい。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の各種動作要素を全て油圧駆動する構成であったが、その一部が電気駆動される構成であってもよい。つまり、上述した実施形態で開示される構成等は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等に適用されてもよい。
尚、本願は、2018年3月31日に出願した日本国特許出願2018−070462号に基づく優先権を主張するものであり、これらの日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。