JPWO2019189578A1 - 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム - Google Patents

電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム Download PDF

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Abstract

電極ユニットは、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる。前記電極ユニットは、送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路とを備える。前記整合回路は、前記第1の電極に接続された第1のインダクタと、前記第2の電極に接続された第2のインダクタと、第1のキャパシタとを備える。前記第1のキャパシタは、前記第1の電極と前記第1のインダクタとの間の配線と、前記第2の電極と前記第2のインダクタとの間の配線との間に接続されている。第一のインダクタと第二のインダクタは負の結合係数で磁気結合している。

Description

本開示は、電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システムに関する。
近年、携帯電話機および電気自動車などの移動性を伴う機器に、無線すなわち非接触で電力を伝送する無線電力伝送技術の開発が進められている。無線電力伝送技術には、電磁誘導方式および電界結合方式などの方式がある。このうち、電界結合方式による無線電力伝送システムは、一対の送電電極と一対の受電電極とが対向した状態で、一対の送電電極から一対の受電電極に無線で交流電力が伝送される。特許文献1および特許文献2は、そのような電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を開示している。
国際公開第2013/140665号 特開2010−193692号公報
本開示は、電界結合方式による無線電力伝送システムの電力伝送の効率を向上させる技術を提供する。
本開示の一態様に係る電極ユニットは、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる。前記電極ユニットは、送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路と、を備える。前記電力変換回路は、第1の端子および第2の端子を備え、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して前記第1および第2の端子から出力する、または、前記第1および第2の端子に入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力する。前記整合回路は、前記第1の電極に接続された第1のインダクタと、前記第2の電極に接続された第2のインダクタと、前記第1の電極と前記第1のインダクタとの間の配線と、前記第2の電極と前記第2のインダクタとの間の配線との間に接続された第1のキャパシタと、を備える。前記第1のインダクタは、前記第1の電極の反対側において、前記電力変換回路の前記第1の端子に直接的または間接的に接続される。前記第2のインダクタは、前記第2の電極の反対側において、前記電力変換回路の第2の端子に直接的または間接的に接続される。
本開示の包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現され得る。あるいは、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示の技術によれば、電界結合方式による無線電力伝送システムの電力伝送の効率を向上させる。
図1は、電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。 図2は、図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。 図3は、第1の比較例におけるシステム構成を示す図である。 図4は、第2の比較例におけるシステム構成を示す図である。 図5Aは、図3に示す送電装置における共振器対の構成を示す図である。 図5Bは、図4に示す送電装置における共振器対の構成を示す図である。 図6は、本開示の例示的な実施形態における電極ユニットの概略図である。 図7Aは、整合回路の第1の変形例を示す図である。 図7Bは、整合回路の第2の変形例を示す図である。 図7Cは、整合回路の第3の変形例を示す図である。 図7Dは、整合回路の第4の変形例を示す図である。 図7Eは、整合回路の第5の変形例を示す図である。 図7Fは、整合回路の第6の変形例を示す図である。 図8は、本開示の例示的な実施形態における無線電力伝送システムの構成を示す図である。 図9は、2つのインダクタの構成例を模式的に示す図である。 図10は、送電装置における電力変換回路の構成例を模式的に示す図である。 図11は、受電装置における電力変換回路の構成例を模式的に示す図である。 図12は、無線電力伝送システムの第1の変形例を示す図である。 図13は、無線電力伝送システムの第2の変形例を示す図である。 図14は、無線電力伝送システムの第3の変形例を示す図である。 図15は、無線電力伝送システムの第4の変形例を示す図である。
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
図1は、電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。「電界結合方式」とは、複数の送電電極を含む送電電極群と複数の受電電極を含む受電電極群との間の電界結合(容量結合とも称する)により、送電電極群から受電電極群に無線で電力が伝送される伝送方式をいう。簡単のため、送電電極群および受電電極群の各々が、2つの電極の対によって構成される場合の例を説明する。送電電極群および受電電極群の各々は、3つ以上の電極を含んでいてもよい。その場合、送電電極群および受電電極群の各々における隣り合う任意の2つの電極には、逆位相の交流電圧が印加される。
図1に示す無線電力伝送システムは、無人搬送車(AGV)である移動体10に無線で電力を伝送するシステムである。移動体10は、例えば工場または倉庫において物品の搬送に用いられ得る。このシステムでは、床面30に平板状の一対の送電電極120が配置されている。移動体10は、電力伝送時に一対の送電電極120に対向する一対の受電電極を備える。移動体10は、一対の送電電極120から伝送された交流電力を、一対の受電電極によって受け取る。受け取られた電力は、移動体10が備えるモータ、二次電池、または蓄電用のキャパシタなどの負荷に供給される。これにより、移動体10の駆動または充電が行われる。
図1には、互いに直交するX、Y、Z方向を示すXYZ座標が示されている。以下の説明では、図示されているXYZ座標を用いる。送電電極120が延びる方向をY方向、送電電極120の表面に垂直な方向をZ方向、Y方向およびZ方向に垂直な方向、すなわち送電電極120の幅方向をX方向とする。なお、本願の図面に示される構造物の向きは、説明のわかりやすさを考慮して設定されており、本開示の実施形態が現実に実施されるときの向きをなんら制限するものではない。また、図面に示されている構造物の全体または一部分の形状および大きさも、現実の形状および大きさを制限するものではない。
図2は、図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。この無線電力伝送システムは、送電装置100と、移動体10とを備える。
送電装置100は、一対の送電電極120と、整合回路180と、電力変換回路110とを備える。電力変換回路110は、電源310から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して出力する。電力変換回路110は、例えば、インバータ回路などの交流出力回路を含み得る。電力変換回路110は、例えば電源310から供給された直流電力を交流電力に変換して一対の送電電極120に出力する。電源310は交流電源であってもよい。その場合、電力変換回路110は、電源310から供給された交流電力を、異なる周波数または電圧の交流電力に変換して、一対の送電電極120に出力する。整合回路180は、電力変換回路110と一対の送電電極120との間に接続されている。整合回路180は、電力変換回路110と一対の送電電極120との間のインピーダンスの整合度を向上させる。
移動体10は、受電装置200と、負荷330とを備える。受電装置200は、一対の受電電極220と、整合回路280と、電力変換回路210とを備える。電力変換回路210は、一対の受電電極220が受け取った交流電力を負荷330が要求する電力に変換して負荷330に供給する。電力変換回路210は、例えば整流回路または周波数変換回路等の各種の回路を含み得る。受電電極220と電力変換回路210との間に、インピーダンスの不整合を低減する整合回路280が挿入されている。
負荷330は、例えばモータ、蓄電用のキャパシタ、または二次電池などの、電力を消費または蓄積する機器である。一対の送電電極120と、一対の受電電極220との間の電界結合により、両者が対向した状態で電力が無線で伝送される。伝送された電力は、負荷330に供給される。
この例において、各送電電極120は、床面30にほぼ平行に配置される。各送電電極120は、床面30に交差して配置されていてもよい。例えば、壁に配置される場合には、各送電電極120は、床面30にほぼ垂直に配置され得る。移動体10における各受電電極220も、送電電極120に対向するように、床面に交差して配置され得る。このように、受電電極220の配置は、送電電極120の配置に応じて決定される。
図3は、整合回路180、280の回路構成の一例を示す図である。この回路構成は、特許文献2に開示された構成に類似する。
送電装置100における整合回路180は、第1並列共振回路130と、第2並列共振回路140とを備える。第1並列共振回路130は、電力変換回路110に接続されている。第2並列共振回路140は、第1並列共振回路130と一対の送電電極120との間に配置されている。第2並列共振回路140は、一対の送電電極120に接続され、第1並列共振回路130に磁気的に結合する。第1並列共振回路130は、コイルL1とキャパシタC1とが並列に接続された構成を有する。第2並列共振回路140は、コイルL2とキャパシタC2とが並列に接続された構成を有する。コイルL1とコイルL2とは、結合係数k1で結合する変圧器を構成する。コイルL1とコイルL2との巻数比(1:N1)は、所望の変圧比を実現する値に設定されている。
受電装置200における整合回路280は、第3並列共振回路230と、第4並列共振回路240とを備える。第3並列共振回路230は、一対の受電電極220に接続されている。第4並列共振回路240は、第3の並列共振回路230と電力変換回路210との間に配置され、第3並列共振回路230に磁気的に結合する。電力変換回路210は、第4並列共振回路240から出力された交流電力を直流電力に変換して負荷330に供給する。第3並列共振回路230は、コイルL3とキャパシタC3とが並列に接続された構成を有する。第4並列共振回路240は、コイルL4とキャパシタC4とが並列に接続された構成を有する。コイルL3とコイルL4とは、結合係数k2で結合する変圧器を構成する。コイルL3とコイルL4との巻数比(N2:1)は、所望の変圧比を実現する値に設定される。
4つの並列共振回路130、140、230、240の共振周波数は一致しており、電力変換回路110は、その共振周波数に等しい周波数の交流電力を出力する。これにより、各並列共振回路130、140、230、240は、電力伝送時に共振状態になる。
送電電極120と受電電極220とは、互いに近接して対向するように配置される。送電電極120と受電電極220との間には、比誘電率の高い誘電体が設けられ得る。このような構成により、2つの送電電極120と2つの受電電極220との間のキャパシタンスCm1、Cm2を極力高い状態にすることができる。キャパシタンスCm1、Cm2を極力高い状態にして電力を伝送する理由は、送電電極120と受電電極220との相対位置が変化したとしても、安定して電力を伝送できるようにするためである。キャパシタンスCm1、Cm2が非常に大きい場合、電極120、220のインピーダンスは、共振時の並列共振回路230、240のインピーダンスよりも遥かに小さくなる。その結果、送電電極120と受電電極220との相対位置に変化が生じてキャパシタンスCm1、Cm2が変動したとしても、負荷330に与えられる電圧の変動を小さくすることができる。
このように、図3に示す構成では、電極120、220のインピーダンスを小さくするために、キャパシタンスCm1、Cm2を大きくする必要がある。そのために、電極間の距離をできる限り小さくし、かつ、電極間に誘電率の高い誘電体が配置される。
しかし、そのような構成では、送電装置100および受電装置200の相互の配置関係に制約が生じる。幅広い用途に応用できるようにするためには、電極間に誘電体を設けずに空隙にした場合であっても高い伝送効率を維持できることが望まれる。また、電極120、220間の距離が比較的長い場合(例えば、5mm〜数十mm)であっても高い伝送効率を維持できることが望まれる。
図4は、上記の課題を解決し得る回路構成の一例を示している。図4の例では、整合回路180、280のそれぞれが、直列共振回路と並列共振回路との組み合わせを備える。送電装置100における整合回路180は、直列共振回路130sと、並列共振回路140pとを備える。受電装置200における整合回路280は、並列共振回路230pと直列共振回路240sとを備える。このような構成によれば、電極120、220間のキャパシタンスが小さい場合であってもインピーダンス整合を実現し易い。
図4の構成の利点について、図5Aおよび図5Bを参照しながら説明する。
図5Aは、図3に示す送電装置100における共振器対の構成を示している。図5Bは、図4に示す送電装置100における共振器対の構成を示している。
図5Aに示す構成では、電源側(図の左側)および電極側(図の右側)の両方の共振器が並列共振回路である。このため、共振時、つまり伝送周波数f1が共振周波数f0に一致する場合のインピーダンスが、両共振器ともに無限大に近くなる。このため、電源出力端子側の低い出力インピーダンスと電極入力部側の高い入力インピーダンスとを整合させることが困難である。
他方、図5Bに示す構成では、電源側の共振回路が直列共振回路であるため、電源出力端子側の低い出力インピーダンスと、電極入力部側の高い入力インピーダンスとを整合させ易い。直列共振回路は、共振時にインピーダンスがゼロ(0)に近くなるため、低い入出力インピーダンスの外部回路との整合に適している。他方、並列共振回路は、共振時にインピーダンスが無限大に近くなるため、高い入出力インピーダンスの外部回路との整合に適している。よって、図5Bに示す構成のように、低い出力インピーダンスの電源出力端子側に直列共振回路を配置し、高い入力インピーダンスの電極入力部側に並列共振回路を配置することにより、インピーダンス整合を容易に実現することができる。
上記のことは、送電装置100に限らず、受電装置200についても同様に成立する。すなわち、図4に示すように、受電電極220に近い側に並列共振回路を配置し、負荷330に近い側に直列共振回路を配置することにより、受電装置200におけるインピーダンス整合を容易に実現することができる。
このように、図4に示す構成によれば、インピーダンスの整合度を高め、電力伝送の効率を向上させることができる。しかし、本願発明者は、さらに検討を重ねることにより、電力伝送効率をさらに向上させることが可能な整合回路の構成に想到した。
図6は、そのような整合回路と2つの電極とを備えた電極ユニットの概略的な構成の例を示す図である。この電極ユニット50は、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる。電極ユニット50は、送電電極対または受電電極対である第1の電極20aおよび第2の電極20bと、整合回路80とを備える。
電極20a、20bには、電力伝送時に互いに逆位相の電圧が印加される。本明細書において「逆位相」とは、位相差が90度よりも大きく、270度よりも小さいことを意味する。典型的には、電極20a、20bには、位相が約180度異なる交流電圧が印加される。整合回路80は、送電装置または受電装置における電力変換回路60と、電極20a、20bとの間に接続される。
電力変換回路60は、第1の端子60aおよび第2の端子60bを備える。電力変換回路60が送電装置に搭載される場合、電力変換回路60は、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して第1の端子60aおよび第2の端子60bから出力する。電力変換回路60が受電装置に搭載される場合、電力変換回路60は、第1の端子60aおよび第2の端子60bに入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力する。
整合回路80は、第1の電極20aに接続された第1のインダクタLt1と、第2の電極20bに接続された第2のインダクタLt2と、第1のキャパシタCt1とを含む。第1のキャパシタCt1は、第1の電極20aと第1のインダクタLt1との間の配線40aと、第2の電極20bと第2のインダクタLt2との間の配線40bとの間に接続されている。第1のキャパシタCt1を「並列容量素子」と呼ぶこともある。第1のインダクタLt1は、第1の電極20aに接続される端子とは反対の側の端子において、電力変換回路60の第1の端子60aに直接的または間接的に接続される。第2のインダクタLt2は、第2の電極20bに接続される端子とは反対の側の端子において、電力変換回路60の第2の端子60bに直接的または間接的に接続される。
電力変換回路60とインダクタLt1またはLt2との間には、他のインダクタ、キャパシタ、フィルタ回路、または変圧器などの回路要素が挿入され得る。その場合、インダクタLt1またはLt2は、電力変換回路60の端子60aまたは60bに、間接的に接続される。
以上の構成を備える電極ユニット50を、送電装置および受電装置の少なくとも一方に設けることにより、後に詳しく説明するように、より整合性を向上することができ、電力伝送の効率をさらに向上させることができる。
第1のインダクタLt1と第2のインダクタLt2との結合係数kは、例えば−1<k<0を満足する値に設定され得る。結果として、第1のインダクタLt1および第2のインダクタLt2は、コモンモードチョークフィルタの機能を果たしてもよい。これにより、電極側へ出力される不要輻射の要因となり得るコモンモードノイズの強度を低減することもできる。この場合、第1のインダクタLt1、第2のインダクタLt2、および第1のキャパシタCt1とによって構成される共振器を「コモンモードチョーク共振器」と称することがある。
以下の説明では、インダクタを表すLt1、Lt2などの参照符号は、そのインダクタのインダクタンス値を表す記号としても用いる。同様に、キャパシタを表すCt1などの参照符号は、そのキャパシタのキャパシタンス値を表す記号としても用いる。
本開示の実施形態における整合回路80においては、インダクタLt1とLt2が結合係数kで磁気的に結合した上で、結果としてインダクタLt1とLt2の対において発生する漏れインダクタンスとキャパシタCt1のキャパシタンスとが共振ループを構成する。コモンモードチョーク共振器の共振周波数f0、インダクタンスLt1、Lt2、およびキャパシタンスCt1は以下の数1の関係を満たす。
Figure 2019189578
実際の設計においては、電力変換回路60の側に追加される回路および電極20a、20bの側に追加される回路の影響、および入出力のインピーダンスなどの関係から、厳密には上式の値と実際の共振周波数との間に差異が生じる場合がある。その場合でも、共振周波数は、上式の値から概ね50%以内の誤差の範囲になるように設計される。また、コモンモードチョーク共振器の共振周波数f0と伝送周波数f1がほぼ等しく設定される。したがって、伝送される交流電力の周波数f1は、例えば数1に示すf0の値の0.5倍から1.5倍の範囲内の値に設定され得る。
次に、コモンモードチョーク共振器内において、インダクタンスLt1およびLt2は、例えばほぼ同じ値に設定される。一般的なインダクタの製造ばらつきの範囲を±20%以内とすると、インダクタンスLt1とLt2の差は、例えば40%以内に設定される。言い換えれば、Lt1とLt2との差は、Lt1およびLt2の平均値の0.4倍よりも小さい。より好ましくはインダクタンスLt1とLt2の差は±10%以内に設定される。この場合、Lt1とLt2との差は、Lt1およびLt2の平均値の0.1倍よりも小さい。本開示の実施形態の無線電力伝送システムにおいて、電極面積の拡大に制約がある中、省面積で大電力を伝送するには、コモンモードチョーク共振器の出力端に接続される電極20aと電極20bの電圧位相差が180度を保つことが好ましい。インダクタンスLt1とLt2を等しく保つことが本開示の実施形態の無線電力伝送システムにおける回路対称性の維持につながり、より好ましい効果をもたらす。
第1のキャパシタCt1のキャパシタンス値Ct1は、上述の通り、Lt1とLt2との関係からその値が決定される。
電力伝送時において、電力変換回路60から出力される交流電力または電力変換回路60に入力される交流電力の電圧の実効値をV0、第1の電極20aと第2の電極20bとの間の電圧の実効値をV1とするとき、例えばV1/V0>2.14が満たされる。この下限値2.14は、例えば200Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑化した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流低圧基準上限値の600Vとした場合の比率である。また、別の例としては、100Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流低圧基準上限値の600Vとした場合の比率から、V1/V0>4.28が満たされてもよい。また、別の例としては、100Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流高圧基準上限値の7000Vとした場合の比率から、V1/V0<50が満たされてもよい。また、別の例としては、200Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流高圧基準上限値の7000Vとした場合の比率から、V1/V0<25が満たされてもよい。もちろん、線路間電圧差が特別高圧基準に相当する7000V以上の値となっても安全上の配慮がなされた場合、本開示の実施形態の設計におけるV1/V0の範囲の上限は制限されない。整合回路80が送電装置に設けられる場合、整合回路80は、昇圧比V1/V2の昇圧回路として機能する。整合回路80が受電装置に設けられる場合、整合回路80は、降圧比V0/V1の高圧回路として機能する。
整合回路80は、図6に示す要素以外の回路素子を含んでいてもよい。図7Aから図7Fを参照しながら、整合回路80の他の例を説明する。
図7Aは、整合回路80の第1の変形例を示す図である。この整合回路80は、第2のキャパシタCt2と、第3のキャパシタCt3と、第3のインダクタLt3とをさらに備える。第2のキャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第3のキャパシタCt3は、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間に直列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第2のキャパシタCt2との間の配線と、第2のインダクタLt2と第3のキャパシタCt3との間の配線との間に並列回路素子として接続される。この構成は、図6に示す構成に、対称的な回路構成を有するハイパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によれば、フィルタを多段化することになり、整合性が向上することから、伝送効率をさらに向上させることができる。
図7Bは、整合回路80の第2の変形例を示す図である。この整合回路80は、第2のキャパシタCt2と、第3のインダクタLt3とをさらに備える。第2のキャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第2のキャパシタCt2との間の配線と、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間の配線との間に並列回路素子として接続される。この構成は、図6に示す整合回路の構成の前段に、非対称な回路構成を有するハイパスフィルタが追加された構成であると言える。図7Aの構成と比較して、回路の正負対称性は低下するが素子数を削減することが可能である。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。
図7Cは、整合回路80の第3の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3と、第2のキャパシタCt2とをさらに備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第2のキャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第3のインダクタLt3との間の配線と、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間の配線との間に並列回路素子として接続される。この構成は、図6に示す整合回路の構成の前段に、非対称な回路構成を有するローパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。
図7Dは、整合回路80の第4の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3と、第4のインダクタLt4と、第2のキャパシタCt2とを備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に接続される。第4のインダクタLt4は、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間に直列回路素子として接続される。第2のキャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第3のインダクタLt3との間の配線と、第2のインダクタLt2と第4のインダクタLt4との間の配線との間に並列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3と、第4のインダクタLt4は、例えば負の結合係数で結合するように設計され得る。この構成は、図6に示す構成に、対称的な回路構成を有するローパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。なお、図7Dの構成は、図6に示すコモンモードチョーク共振器が多段接続された構成であるとも見做せる。接続されるコモンモードチョーク共振器の段数は2に限らず、3以上であってもよい。
図7Eは、整合回路80の第5の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3をさらに備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に接続される。第1のインダクタLt1と第2のインダクタLt2との間の結合に加え、例えば第2のインダクタLt2と結合しないインダクタが整合のために必要となる場合、このような構成によっても伝送効率を向上させることができる。
図7Fは、整合回路80の第6の変形例を示す図である。この整合回路80は、電力変換回路に接続される直列共振回路130sと、直列共振回路130sに磁気的に結合する並列共振回路140pとをさらに備える。並列共振回路140pは、第1のインダクタLt1および第2のインダクタLt2に接続されている。この構成は、図6に示す整合回路の構成の前段に、図4に示す共振回路130s、140pが追加された構成であると言える。このような構成によれば、変圧比をさらに高め、良好な特性を実現することができる。
図6から7Fに示す各整合回路は、送電装置にも受電装置にも用いられ得る。各整合回路が送電装置に用いられる場合、図の右側の2つの端子は2つの送電電極にそれぞれ接続され、端子60a、60bは例えばインバータ回路の端子であり得る。各整合回路が受電装置に用いられる場合、図の右端の2つの端子は2つの受電電極に接続され、端子60a、60bは例えば整流回路の端子であり得る。
本明細書において、送電装置に搭載される電極ユニットを「送電電極ユニット」と称し、受電装置に搭載される電極ユニットを「受電電極ユニット」と称することがある。電極ユニットが送電装置に搭載される場合、第1の電極および第2の電極の各々を送電電極と呼ぶ。電極ユニットが受電装置に搭載される場合、第1の電極および第2の電極の各々を受電電極と呼ぶ。電力伝送時には一対の送電電極と一対の受電電極とが対向する。これらの間の電界結合によって一対の送電電極から一対の受電電極へ電力が伝送される。
送電電極ユニットおよび受電電極ユニットの各々において、第1の電極および第2の電極の一方は、並列する2つの部分に分割されていてもよい。その場合、当該2つの部分の間に、第1の電極および第2の電極の他方が配置される。当該2つの部分には同一の位相の電圧が印加される。このような構成によれば、第1の電極と第2の電極との境界上の漏洩電界を抑制する効果も得ることができる。ある例では、当該2つの部分、および第1および第2の電極の他方は、同一の方向に延びた構造を有する。当該2つの部分の幅は、例えば前記第2の電極の幅の半分に近い値に設定され得る。例えば、当該2つの部分の幅は、前記第2の電極の幅の0.4倍以上0.6倍以下に設定され得る。このように、第1および第2の電極の少なくとも一方が2つの部分に分割された構成では、電力伝送に寄与する電極が実質的に3つ以上存在することになる。このような構成に言及するときには、それらの3つの電極を「電極群」と称することがある。
本開示の他の態様に係る送電装置は、上記の電極ユニットと、前記電力変換回路とを備える。前記電力変換回路は、前記電源から出力された電力を、前記交流電力に変換して出力する。
本開示のさらに他の態様に係る受電装置は、上記の電極ユニットと、前記電力変換回路とを備える。前記電力変換回路は、前記整合回路から出力された前記交流電力を、前記他の形態の電力に変換して出力する。
本開示のさらに他の態様に係る無線電力伝送システムは、上記の送電装置と、上記の受電装置とを備える。
受電装置は、例えば移動体に搭載され得る。本開示における「移動体」は、前述の搬送ロボットのような車両に限定されず、電力によって駆動される任意の可動物体を意味する。移動体には、例えば、電気モータおよび1以上の車輪を備える電動車両が含まれる。そのような車両は、例えば、前述の搬送ロボットなどの無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)、電気自動車(EV)、電動カート、電動車椅子であり得る。本開示における「移動体」には、車輪を有しない可動物体も含まれる。例えば、二足歩行ロボット、マルチコプターなどの無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV、所謂ドローン)、有人の電動航空機、およびエレベータも、「移動体」に含まれる。
以下、本開示の実施形態をより詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似の構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態)
図8は、本開示の例示的な実施形態における無線電力伝送システムの構成を示す図である。本実施形態の無線電力伝送システムは、図1および図2を参照して説明した移動体10への給電の用途に利用される。
無線電力伝送システムは、送電装置100と、受電装置200とを備える。図8には、本システムの外部の要素である電源310および負荷330も示されている。電源310および負荷330は、無線電力伝送システムに含まれていてもよい。
送電装置100は、第1の電力変換回路110と、第1の整合回路180と、2つの送電電極120a、120bとを備える。第1の整合回路180は、第1の電力変換回路110と2つの送電電極120a、120bとの間に接続されている。第1の整合回路180は、図6に示す整合回路80と同様の構成を有する。第1の整合回路180は、インダクタLt1、Lt2と、キャパシタCt1とを含む。インダクタLt1は、電力変換回路110の一方の端子110aと一方の送電電極120aとの間に接続されている。インダクタLt2は、電力変換回路110の他方の端子110bと他方の送電電極120bとの間に接続されている。キャパシタCt1は、インダクタLt1と送電電極120aとの間の配線と、インダクタLt2と送電電極120bとの間の配線との間に接続されている。
受電装置200は、2つの受電電極220a、220bと、第2の整合回路280と、第2の電力変換回路210とを備える。第2の整合回路280は、2つの受電電極220a、220bと第2の電力変換回路210との間に接続されている。第2の整合回路280も、図6に示す整合回路80同様の構成を有する。第2の整合回路280は、インダクタLr1、Lr2と、キャパシタCr1とを含む。インダクタLr1は、電力変換回路210の一方の端子210aと一方の受電電極220aとの間に接続されている。インダクタLr2は、電力変換回路210の他方の端子210bと他方の受電電極220bとの間に接続されている。キャパシタCr1は、インダクタLr1と受電電極220aとの間の配線と、インダクタLr2と受電電極220bとの間の配線との間に接続されている。
以下、各構成要素をより詳細に説明する。以下の説明において、送電電極120a、120bを区別せずに「送電電極120」と記載することがある。同様に、受電電極220a、220bを区別せずに「受電電極120」と記載することがある。
図1に示す移動体10の筐体、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bのそれぞれのサイズは、特に限定されないが、例えば以下のサイズに設定され得る。送電電極120a、120bの長さ(図1に示すY方向のサイズ)は、例えば50cmから20mの範囲内に設定され得る。送電電極120a、120bのそれぞれの幅(図1に示すX方向のサイズ)は、例えば0.5cmから1mの範囲内に設定され得る。移動体10の筐体の進行方向および横方向におけるそれぞれのサイズは、例えば、20cmから5mの範囲内に設定され得る。受電電極220a、220bのそれぞれの長さ(すなわち、進行方向におけるサイズ)は、例えば5cmから2mの範囲内に設定され得る。受電電極220a、220bのそれぞれの幅(すなわち、横方向におけるサイズ)は、例えば2cmから2mの範囲内に設定され得る。送電電極対の間のギャップ、および受電電極対の間のギャップは、例えば1mmから40cmの範囲内に設定され得る。送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとの間の距離は、例えば5mmから30mm程度であり得る。但し、これらの数値範囲に限定されない。
負荷330は、例えば駆動用の電気モータ、および蓄電用のキャパシタまたは二次電池を含み得る。負荷330は、電力変換回路210から出力された直流電力によって駆動または充電される。
電気モータは、直流モータ、永久磁石同期モータ、誘導モータ、ステッピングモータ、リラクタンスモータなどの、任意のモータであり得る。モータは、シャフトおよびギア等を介して移動体10の車輪を回転させ、移動体10を移動させる。モータの種類に応じて、電力変換回路210は、整流回路、インバータ回路、インバータ制御回路などの、各種の回路を含み得る。電力変換回路210は、交流モータを駆動するために、受電したエネルギー(すなわち交流電力)の周波数を、モータを駆動するための周波数に直接変換するコンバータ回路を含んでいてもよい。
キャパシタは、例えば電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタなどの、高容量かつ低抵抗のキャパシタであり得る。このようなキャパシタを蓄電器として用いることにより、二次電池を用いた場合よりも、急速な充電が可能である。キャパシタに代えて、リチウムイオン電池等の二次電池を用いてもよい。その場合、充電に要する時間は増加するが、より多くのエネルギーを蓄えることができる。移動体10は、キャパシタまたは二次電池に蓄えられた電力によってモータを駆動して移動する。
移動体10が移動すると、キャパシタまたは二次電池の蓄電量が低下する。このため、移動を継続するためには、再充電が必要になる。そこで、移動体10は、移動中に充電量が所定の閾値を下回ると、送電装置100の近傍まで移動し、充電を行う。この移動は、不図示の中央管理装置による制御の元で行われてもよいし、移動体10が自律的に判断して行ってもよい。送電装置100は、工場内の複数の箇所に設置され得る。
送電装置100における整合回路180は、電力変換回路110のインピーダンスと送電電極120a、120bのインピーダンスとを整合させる。インダクタLt1とインダクタLt2は、所定の結合係数で結合するコモンモードチョークフィルタとして機能し得る。これらのインダクタLt1、Lt2のインダクタンス値は、ほぼ等しい値に設定されている。
図9は、2つのインダクタLt1、Lt2の構成例を模式的に示す図である。この例では、2つのインダクタLt1、Lt2が、リング状またはトロイダル状の磁性体であるコア410の周囲に巻回されている。コア410は、例えば軟磁性のフェライトコアであり得る。インダクタLt1、Lt2は、コア410を介して負の結合係数を実現する向きに配置されている。具体的には、インダクタLt1、Lt2の結合係数をkとすると、−1<k<0である。結合係数kが−1に近いほど、伝送効率の観点からは良好な特性が得られる。また、インダクタLt1、Lt2に図9の左側入出力端子から同相の電流が入力された場合、図9右側の出力端子へは同相の電流が出力されない。このような構成により、回路前段で発生し得るコモンモードノイズが後段に伝達される確率を抑圧できる。
インダクタLt1、Lt2は、必ずしも図9のような構造を有していなくてもよい。インダクタLt1、Lt2の各々は、低損失特性を得るために空芯構造を有していてもよい。なお、結合係数は、例えばJISC5321に規定された方法で測定できる。
キャパシタCt1は、インダクタLt1、Lt2の漏れインダクタンスとの間で共振するように設計され得る。インダクタLt1、Lt2およびキャパシタCt1によって構成されるコモンモードチョーク共振回路の共振周波数は、電力変換回路110が出力する交流電力の周波数f1に等しい値に設計され得る。この共振周波数は、例えば、伝送周波数f1の50〜150%程度の範囲内の値に設定されていてもよい。電力伝送の周波数f1は、例えば50Hz〜300GHz、ある例では20kHz〜10GHz、他の例では20kHz〜20MHz、さらに他の例では80kHz〜14MHzに設定され得る。
受電装置200におけるインダクタLr1、Lr2およびキャパシタCr1も、送電装置100におけるインダクタLt1、Lt1およびキャパシタCr1とそれぞれ同様の構成を有する。
各インダクタLt1、Lt2、Lr1、Lr2は、例えば、銅もしくはアルミニウムなどの材料によって形成されるリッツ線またはツイスト線などを用いた巻き線コイルであり得る。回路基板上に形成された平面コイルまたは積層コイルを用いてもよい。各キャパシタCt1、Cr1には、例えばチップ形状またはリード形状を有するあらゆるタイプのキャパシタを利用できる。空気を介した2配線間の容量を各キャパシタとして機能させることも可能である。
図10は、送電装置100における電力変換回路110の構成例を模式的に示す図である。この例では、電源310は直流電源である。電力変換回路110は、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ型のインバータ回路と、制御回路112とを含む。各スイッチング素子は、例えばIGBTまたはMOSFET等のトランジスタによって構成され得る。制御回路112は、各スイッチング素子の導通(オン)および非導通(オフ)の状態を制御する制御信号を出力するゲートドライバと、ゲートドライバに制御信号を出力させるプロセッサとを有する。プロセッサは、例えばマイクロコントローラユニット(MCU)におけるCPUであり得る。図10に示すフルブリッジ型のインバータ回路の代わりに、ハーフブリッジ型のインバータ回路、または、E級などの他の発振回路を用いてもよい。
電力変換回路110は、通信用の変復調回路、および電圧・電流などを測定する各種のセンサなどの他の要素を有していてもよい。電力変換回路110が通信用の変復調回路を有する場合、交流電力に重畳してデータを受電装置200に送信することができる。電源310が交流電源の場合は、電力変換回路110は、入力された交流電力を、周波数または電圧の異なる電力伝送用の交流電力に変換する。
図11は、受電装置200における電力変換回路210の構成例を模式的に示す図である。この例では、電力変換回路210は、ダイオードブリッジと平滑コンデンサとを含む全波整流回路である。電力変換回路210は、他の整流器の構成を有していてもよい。電力変換回路210は、電力変換回路210の他にも、定電圧・定電流制御回路、通信用の変復調回路などの各種の回路を含んでいてもよい。電力変換回路210は、受け取った交流エネルギーを負荷330が利用可能な直流エネルギーに変換する。電圧・電流などを測定する各種センサが電力変換回路210に含まれていてもよい。負荷330が利用するエネルギーが交流エネルギーである場合は、電力変換回路210は、直流ではなく交流エネルギーを出力するように構成される。
電源310は、例えば、商用電源、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池、USB(Universal Serial Bus)電源、高容量のキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)、商用電源に接続された電圧変換器などの任意の電源であってよい。電源310は直流電源であっても交流電源であってもよい。
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態では、図3および図4に示す各例とは異なり、高い比率の昇降圧特性が求められる整合回路180、280においてトランス(transformer)を直列に挿入した構成を有しない。図3および図4の各例では、高い昇圧比または降圧比を実現するために、インダクタンス比L2/L1およびL3/L4を高くせざるを得ない。例えば図3の例では、インダクタンス比L2/L1およびL3/L4は、数十程度の高い値になり得る。図4の例でも、インダクタンス比L2/L1およびL3/L4は、高い値になり得る。低いインダクタンスのインダクタのQ値を向上することは困難であり、高いインダクタンスのインダクタのQ値を向上することにも制約がある。また、トランスを挿入することによる損失は、当該トランスを構成するインダクタ間の結合係数の絶対値にも強く依存する。このため、インダクタ対は強く結合することが求められる。これらの例では、損失の低いインダクタの組み合わせで低損失トランスを実現することが困難となる。また、高いインダクタンスのインダクタを用いると自己共振周波数の低下を招くため、高調波ノイズの漏洩を招きやすくなる。
これに対し、図8に示す実施形態では、インダクタンスLt1、Lt2は、ほぼ等しい値に設定され、インダクタンスLr1、Lr2も、ほぼ等しい値に設定されることになる。同程度のインダクタンスのインダクタは内径などのサイズを同程度で形成することが容易なため、結果として両インダクタ間の結合を高めることが容易である。また、片方のインダクタの損失によってインダクタ対全体として損失が生じるという制約からも解放される。このため、低損失なインダクタの組み合わせで高効率な整合回路を容易に実現することができる。
さらに、本実施形態では、ノイズを低減する効果も奏する。各電極に繋がる経路に直列にインダクタが挿入された構成のため、高調波ノイズが抑制される。特に、インダクタLt1、Lt2間の結合係数、およびインダクタLr1、Lr2間の結合係数を、−1より大きく−0未満の範囲で設計した場合には、ノイズ抑制効果がさらに顕著になる。
本発明者は、図3(比較例1)、図4(比較例2)、図8(実施例)のそれぞれの構成において、高周波電力を伝送した場合の伝送特性を比較した。その結果、表1に示す結果が得られた。
Figure 2019189578
表1の結果は、以下の条件で得られた。電極120a−220a、電極120b−220b間の結合容量はそれぞれ80pF、伝送周波数は480kHzとして解析を行った。入力直流電圧は200V、伝送電力は2kWである。各例の整合回路にはインダクタ対が多数存在する。それらの結合係数の絶対値を最大でも0.8、と制限して解析を行った。発熱の値は、比較例2における送電側のインダクタL1での発熱量を100として規格化した値である。3倍波インダクタ電流の値は、比較例2におけるインダクタL1に流れる3倍波電流を100として規格化した値である。比較例1および比較例2についてはインダクタL1の3倍波電流が、実施例においてはインダクタLt1の3倍波電流強度が表1に示されている。
表1からわかるように、実施例では、比較例1、2と比較して、伝送効率が向上し、整合回路内のインダクタの発熱の総和が抑制され、整合回路内のインダクタに流れる3倍波電流の総和が低減することも確認された。
次に、本実施形態の変形例を説明する。
整合回路180、280は、図8に示す構成に限らず、多様な変形が可能である。整合回路180、280の各々は、例えば図7Aから図7Fに示すような様々な構成を採り得る。
図12は、整合回路180、280の各々が、図7Dに示す構成を有する例を示している。この例のように、2つのインダクタと並列容量素子の組み合わせを多段接続することにより、伝送効率をさらに向上させることができる。前述のシミュレーションと同様の条件で、伝送効率が89.2%にまで向上することが確認できた。
図13は、整合回路180が図7Cに示す構成を有し、整合回路280が図7Aに示す構成を有する例を示している。図14は、整合回路180が図7Eに示す構成を有し、整合回路280は図8と同様の構成を有する例を示している。これらの例のように、整合回路180、280が同様の回路構成を有している必要はない。
図15は、整合回路180、280の各々が、図7Fに示す構成を有する例を示している。送電側の整合回路180は、電力変換回路110と、コモンモードチョーク共振器との間に、直列共振回路130sおよび並列共振回路140pを備える。受電側の整合回路280は、電力変換回路210と、コモンモードチョーク共振器との間に直列共振回路230sおよび並列共振回路240pを備える。このようにトランスを利用することで、整合回路180の昇圧比および整合回路280の降圧比を増加させることが容易になる。より低い電圧の電源で電力変換回路10(例えば周波数変換回路)を駆動させることができれば、高価格なパワー半導体を必要とせず装置の低コスト化が図れる。また、結合電極部(すなわち電極120、220)での結合容量に制約がある場合でも、省面積の電極で大電力を送ることが可能となる。
上記の実施形態における各電極は、同一の方向に平行に延びた構造を有しているが、用途によってはそのような構造でなくてもよい。例えば、各電極が、正方形などの矩形形状を有していてもよい。そのような矩形形状の複数の電極が一方向に並ぶ形態であれば、本開示の技術を適用できる。また、全ての電極の表面が同一平面上にあることは必須の要件ではない。さらに、各電極の表面は、完全に平面的な形状を有している必要はなく、例えば湾曲した形状または凹凸を含む形状を有していてもよい。そのような表面も、概略的に平面的であれば、「平面状の表面」と称する。また、各電極は、路面に対して傾斜していてもよい。
本開示の実施形態における無線電力伝送システムは、前述のように、工場内における物品の搬送用のシステムとして利用され得る。移動体10は、物品を積載する荷台を有し、工場内を自律的に移動して物品を必要な場所に搬送する台車として機能する。しかし、本開示における無線電力伝送システムおよび移動体は、このような用途に限らず、他の様々な用途に利用され得る。例えば、移動体は、AGVに限らず、他の産業機械、サービスロボット、電気自動車、フォークリフト、マルチコプター(ドローン)、エレベータ等であってもよい。無線電力伝送システムは、工場内に限らず、例えば、店舗、病院、家庭、道路、滑走路その他のあらゆる場所で利用され得る。
本開示の技術は、電力によって駆動される任意の機器に利用できる。例えば、電気自動車(EV)、工場で用いられる無人搬送車(AGV)、フォークリフト、無人航空機(UAV)、またはエレベータなどの移動体に利用され得る。
10 移動体
20a、20b 電極
30 床面
40a、40b 配線
50 電極ユニット
60 電力変換回路
60a、60b 端子
80 整合回路
100 送電装置
110 電力変換回路
120 送電電極
130 第1並列共振回路
130s 送電側直列共振回路
140 第2並列共振回路
140p 送電側並列共振回路
180 整合回路
200 受電装置
210 電力変換回路
220 受電電極
230 第3並列共振回路
230p 受電側並列共振回路
240 第4並列共振回路
240s 受電側直列共振回路
280 整合回路
310 電源
330 負荷
本開示は、電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システムに関する。
近年、携帯電話機および電気自動車などの移動性を伴う機器に、無線すなわち非接触で電力を伝送する無線電力伝送技術の開発が進められている。無線電力伝送技術には、電磁誘導方式および電界結合方式などの方式がある。このうち、電界結合方式による無線電力伝送システムは、一対の送電電極と一対の受電電極とが対向した状態で、一対の送電電極から一対の受電電極に無線で交流電力が伝送される。特許文献1および特許文献2は、そのような電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を開示している。
国際公開第2013/140665号 特開2010−193692号公報
本開示は、電界結合方式による無線電力伝送システムの電力伝送の効率を向上させる技術を提供する。
本開示の一態様に係る電極ユニットは、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる。前記電極ユニットは、送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路と、を備える。前記電力変換回路は、第1の端子および第2の端子を備え、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して前記第1および第2の端子から出力する、または、前記第1および第2の端子に入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力する。前記整合回路は、前記第1の電極に接続された第1のインダクタと、前記第2の電極に接続された第2のインダクタと、前記第1の電極と前記第1のインダクタとの間の配線と、前記第2の電極と前記第2のインダクタとの間の配線との間に接続された第1のキャパシタと、を備える。前記第1のインダクタは、前記第1の電極の反対側において、前記電力変換回路の前記第1の端子に直接的または間接的に接続される。前記第2のインダクタは、前記第2の電極の反対側において、前記電力変換回路の第2の端子に直接的または間接的に接続される。
本開示の包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現され得る。あるいは、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示の技術によれば、電界結合方式による無線電力伝送システムの電力伝送の効率を向上させる。
図1は、電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。 図2は、図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。 図3は、第1の比較例におけるシステム構成を示す図である。 図4は、第2の比較例におけるシステム構成を示す図である。 図5Aは、図3に示す送電装置における共振器対の構成を示す図である。 図5Bは、図4に示す送電装置における共振器対の構成を示す図である。 図6は、本開示の例示的な実施形態における電極ユニットの概略図である。 図7Aは、整合回路の第1の変形例を示す図である。 図7Bは、整合回路の第2の変形例を示す図である。 図7Cは、整合回路の第3の変形例を示す図である。 図7Dは、整合回路の第4の変形例を示す図である。 図7Eは、整合回路の第5の変形例を示す図である。 図7Fは、整合回路の第6の変形例を示す図である。 図8は、本開示の例示的な実施形態における無線電力伝送システムの構成を示す図である。 図9は、2つのインダクタの構成例を模式的に示す図である。 図10は、送電装置における電力変換回路の構成例を模式的に示す図である。 図11は、受電装置における電力変換回路の構成例を模式的に示す図である。 図12は、無線電力伝送システムの第1の変形例を示す図である。 図13は、無線電力伝送システムの第2の変形例を示す図である。 図14は、無線電力伝送システムの第3の変形例を示す図である。 図15は、無線電力伝送システムの第4の変形例を示す図である。
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
図1は、電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。「電界結合方式」とは、複数の送電電極を含む送電電極群と複数の受電電極を含む受電電極群との間の電界結合(容量結合とも称する)により、送電電極群から受電電極群に無線で電力が伝送される伝送方式をいう。簡単のため、送電電極群および受電電極群の各々が、2つの電極の対によって構成される場合の例を説明する。送電電極群および受電電極群の各々は、3つ以上の電極を含んでいてもよい。その場合、送電電極群および受電電極群の各々における隣り合う任意の2つの電極には、逆位相の交流電圧が印加される。
図1に示す無線電力伝送システムは、無人搬送車(AGV)である移動体10に無線で電力を伝送するシステムである。移動体10は、例えば工場または倉庫において物品の搬送に用いられ得る。このシステムでは、床面30に平板状の一対の送電電極120が配置されている。移動体10は、電力伝送時に一対の送電電極120に対向する一対の受電電極を備える。移動体10は、一対の送電電極120から伝送された交流電力を、一対の受電電極によって受け取る。受け取られた電力は、移動体10が備えるモータ、二次電池、または蓄電用のキャパシタなどの負荷に供給される。これにより、移動体10の駆動または充電が行われる。
図1には、互いに直交するX、Y、Z方向を示すXYZ座標が示されている。以下の説明では、図示されているXYZ座標を用いる。送電電極120が延びる方向をY方向、送電電極120の表面に垂直な方向をZ方向、Y方向およびZ方向に垂直な方向、すなわち送電電極120の幅方向をX方向とする。なお、本願の図面に示される構造物の向きは、説明のわかりやすさを考慮して設定されており、本開示の実施形態が現実に実施されるときの向きをなんら制限するものではない。また、図面に示されている構造物の全体または一部分の形状および大きさも、現実の形状および大きさを制限するものではない。
図2は、図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。この無線電力伝送システムは、送電装置100と、移動体10とを備える。
送電装置100は、一対の送電電極120と、整合回路180と、電力変換回路110とを備える。電力変換回路110は、電源310から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して出力する。電力変換回路110は、例えば、インバータ回路などの交流出力回路を含み得る。電力変換回路110は、例えば電源310から供給された直流電力を交流電力に変換して一対の送電電極120に出力する。電源310は交流電源であってもよい。その場合、電力変換回路110は、電源310から供給された交流電力を、異なる周波数または電圧の交流電力に変換して、一対の送電電極120に出力する。整合回路180は、電力変換回路110と一対の送電電極120との間に接続されている。整合回路180は、電力変換回路110と一対の送電電極120との間のインピーダンスの整合度を向上させる。
移動体10は、受電装置200と、負荷330とを備える。受電装置200は、一対の受電電極220と、整合回路280と、電力変換回路210とを備える。電力変換回路210は、一対の受電電極220が受け取った交流電力を負荷330が要求する電力に変換して負荷330に供給する。電力変換回路210は、例えば整流回路または周波数変換回路等の各種の回路を含み得る。受電電極220と電力変換回路210との間に、インピーダンスの不整合を低減する整合回路280が挿入されている。
負荷330は、例えばモータ、蓄電用のキャパシタ、または二次電池などの、電力を消費または蓄積する機器である。一対の送電電極120と、一対の受電電極220との間の電界結合により、両者が対向した状態で電力が無線で伝送される。伝送された電力は、負荷330に供給される。
この例において、各送電電極120は、床面30にほぼ平行に配置される。各送電電極120は、床面30に交差して配置されていてもよい。例えば、壁に配置される場合には、各送電電極120は、床面30にほぼ垂直に配置され得る。移動体10における各受電電極220も、送電電極120に対向するように、床面に交差して配置され得る。このように、受電電極220の配置は、送電電極120の配置に応じて決定される。
図3は、整合回路180、280の回路構成の一例を示す図である。この回路構成は、特許文献2に開示された構成に類似する。
送電装置100における整合回路180は、第1並列共振回路130と、第2並列共振回路140とを備える。第1並列共振回路130は、電力変換回路110に接続されている。第2並列共振回路140は、第1並列共振回路130と一対の送電電極120との間に配置されている。第2並列共振回路140は、一対の送電電極120に接続され、第1並列共振回路130に磁気的に結合する。第1並列共振回路130は、コイルL1とキャパシタC1とが並列に接続された構成を有する。第2並列共振回路140は、コイルL2とキャパシタC2とが並列に接続された構成を有する。コイルL1とコイルL2とは、結合係数k1で結合する変圧器を構成する。コイルL1とコイルL2との巻数比(1:N1)は、所望の変圧比を実現する値に設定されている。
受電装置200における整合回路280は、第3並列共振回路230と、第4並列共振回路240とを備える。第3並列共振回路230は、一対の受電電極220に接続されている。第4並列共振回路240は、第3列共振回路230と電力変換回路210との間に配置され、第3並列共振回路230に磁気的に結合する。電力変換回路210は、第4並列共振回路240から出力された交流電力を直流電力に変換して負荷330に供給する。第3並列共振回路230は、コイルL3とキャパシタC3とが並列に接続された構成を有する。第4並列共振回路240は、コイルL4とキャパシタC4とが並列に接続された構成を有する。コイルL3とコイルL4とは、結合係数k2で結合する変圧器を構成する。コイルL3とコイルL4との巻数比(N2:1)は、所望の変圧比を実現する値に設定される。
4つの並列共振回路130、140、230、240の共振周波数は一致しており、電力変換回路110は、その共振周波数に等しい周波数の交流電力を出力する。これにより、各並列共振回路130、140、230、240は、電力伝送時に共振状態になる。
送電電極120と受電電極220とは、互いに近接して対向するように配置される。送電電極120と受電電極220との間には、比誘電率の高い誘電体が設けられ得る。このような構成により、2つの送電電極120と2つの受電電極220との間のキャパシタンスCm1、Cm2を極力高い状態にすることができる。キャパシタンスCm1、Cm2を極力高い状態にして電力を伝送する理由は、送電電極120と受電電極220との相対位置が変化したとしても、安定して電力を伝送できるようにするためである。キャパシタンスCm1、Cm2が非常に大きい場合、電極120、220のインピーダンスは、共振時の並列共振回路230、240のインピーダンスよりも遥かに小さくなる。その結果、送電電極120と受電電極220との相対位置に変化が生じてキャパシタンスCm1、Cm2が変動したとしても、負荷330に与えられる電圧の変動を小さくすることができる。
このように、図3に示す構成では、電極120、220のインピーダンスを小さくするために、キャパシタンスCm1、Cm2を大きくする必要がある。そのために、電極間の距離をできる限り小さくし、かつ、電極間に誘電率の高い誘電体が配置される。
しかし、そのような構成では、送電装置100および受電装置200の相互の配置関係に制約が生じる。幅広い用途に応用できるようにするためには、電極間に誘電体を設けずに空隙にした場合であっても高い伝送効率を維持できることが望まれる。また、電極120、220間の距離が比較的長い場合(例えば、5mm〜数十mm)であっても高い伝送効率を維持できることが望まれる。
図4は、上記の課題を解決し得る回路構成の一例を示している。図4の例では、整合回路180、280のそれぞれが、直列共振回路と並列共振回路との組み合わせを備える。送電装置100における整合回路180は、直列共振回路130sと、並列共振回路140pとを備える。受電装置200における整合回路280は、並列共振回路230pと直列共振回路240sとを備える。このような構成によれば、電極120、220間のキャパシタンスが小さい場合であってもインピーダンス整合を実現し易い。
図4の構成の利点について、図5Aおよび図5Bを参照しながら説明する。
図5Aは、図3に示す送電装置100における共振器対の構成を示している。図5Bは、図4に示す送電装置100における共振器対の構成を示している。
図5Aに示す構成では、電源側(図の左側)および電極側(図の右側)の両方の共振器が並列共振回路である。このため、共振時、つまり伝送周波数f1が共振周波数f0に一致する場合のインピーダンスが、両共振器ともに無限大に近くなる。このため、電源出力端子側の低い出力インピーダンスと電極入力部側の高い入力インピーダンスとを整合させることが困難である。
他方、図5Bに示す構成では、電源側の共振回路が直列共振回路であるため、電源出力端子側の低い出力インピーダンスと、電極入力部側の高い入力インピーダンスとを整合させ易い。直列共振回路は、共振時にインピーダンスがゼロ(0)に近くなるため、低い入出力インピーダンスの外部回路との整合に適している。他方、並列共振回路は、共振時にインピーダンスが無限大に近くなるため、高い入出力インピーダンスの外部回路との整合に適している。よって、図5Bに示す構成のように、低い出力インピーダンスの電源出力端子側に直列共振回路を配置し、高い入力インピーダンスの電極入力部側に並列共振回路を配置することにより、インピーダンス整合を容易に実現することができる。
上記のことは、送電装置100に限らず、受電装置200についても同様に成立する。すなわち、図4に示すように、受電電極220に近い側に並列共振回路を配置し、負荷330に近い側に直列共振回路を配置することにより、受電装置200におけるインピーダンス整合を容易に実現することができる。
このように、図4に示す構成によれば、インピーダンスの整合度を高め、電力伝送の効率を向上させることができる。しかし、本願発明者は、さらに検討を重ねることにより、電力伝送効率をさらに向上させることが可能な整合回路の構成に想到した。
図6は、そのような整合回路と2つの電極とを備えた電極ユニットの概略的な構成の例を示す図である。この電極ユニット50は、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる。電極ユニット50は、送電電極対または受電電極対である第1の電極20aおよび第2の電極20bと、整合回路80とを備える。
電極20a、20bには、電力伝送時に互いに逆位相の電圧が印加される。本明細書において「逆位相」とは、位相差が90度よりも大きく、270度よりも小さいことを意味する。典型的には、電極20a、20bには、位相が約180度異なる交流電圧が印加される。整合回路80は、送電装置または受電装置における電力変換回路60と、電極20a、20bとの間に接続される。
電力変換回路60は、第1の端子60aおよび第2の端子60bを備える。電力変換回路60が送電装置に搭載される場合、電力変換回路60は、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して第1の端子60aおよび第2の端子60bから出力する。電力変換回路60が受電装置に搭載される場合、電力変換回路60は、第1の端子60aおよび第2の端子60bに入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力する。
整合回路80は、第1の電極20aに接続された第1のインダクタLt1と、第2の電極20bに接続された第2のインダクタLt2と、第1のキャパシタCt1とを含む。第1のキャパシタCt1は、第1の電極20aと第1のインダクタLt1との間の配線40aと、第2の電極20bと第2のインダクタLt2との間の配線40bとの間に接続されている。第1のキャパシタCt1を「並列容量素子」と呼ぶこともある。第1のインダクタLt1は、第1の電極20aに接続される端子とは反対の側の端子において、電力変換回路60の第1の端子60aに直接的または間接的に接続される。第2のインダクタLt2は、第2の電極20bに接続される端子とは反対の側の端子において、電力変換回路60の第2の端子60bに直接的または間接的に接続される。
電力変換回路60とインダクタLt1またはLt2との間には、他のインダクタ、キャパシタ、フィルタ回路、または変圧器などの回路要素が挿入され得る。その場合、インダクタLt1またはLt2は、電力変換回路60の端子60aまたは60bに、間接的に接続される。
以上の構成を備える電極ユニット50を、送電装置および受電装置の少なくとも一方に設けることにより、後に詳しく説明するように、より整合性を向上することができ、電力伝送の効率をさらに向上させることができる。
第1のインダクタLt1と第2のインダクタLt2との結合係数kは、例えば−1<k<0を満足する値に設定され得る。結果として、第1のインダクタLt1および第2のインダクタLt2は、コモンモードチョークフィルタの機能を果たしてもよい。これにより、電極側へ出力される不要輻射の要因となり得るコモンモードノイズの強度を低減することもできる。この場合、第1のインダクタLt1、第2のインダクタLt2、および第1のキャパシタCt1とによって構成される共振器を「コモンモードチョーク共振器」と称することがある。
以下の説明では、インダクタを表すLt1、Lt2などの参照符号は、そのインダクタのインダクタンス値を表す記号としても用いる。同様に、キャパシタを表すCt1などの参照符号は、そのキャパシタのキャパシタンス値を表す記号としても用いる。
本開示の実施形態における整合回路80においては、インダクタLt1とLt2が結合係数kで磁気的に結合した上で、結果としてインダクタLt1とLt2の対において発生する漏れインダクタンスとキャパシタCt1のキャパシタンスとが共振ループを構成する。コモンモードチョーク共振器の共振周波数f0、インダクタンスLt1、Lt2、およびキャパシタンスCt1は以下の数1の関係を満たす。
Figure 2019189578
実際の設計においては、電力変換回路60の側に追加される回路および電極20a、20bの側に追加される回路の影響、および入出力のインピーダンスなどの関係から、厳密には上式の値と実際の共振周波数との間に差異が生じる場合がある。その場合でも、共振周波数は、上式の値から概ね50%以内の誤差の範囲になるように設計される。また、コモンモードチョーク共振器の共振周波数f0と伝送周波数f1がほぼ等しく設定される。したがって、伝送される交流電力の周波数f1は、例えば数1に示すf0の値の0.5倍から1.5倍の範囲内の値に設定され得る。
次に、コモンモードチョーク共振器内において、インダクタンスLt1およびLt2は、例えばほぼ同じ値に設定される。一般的なインダクタの製造ばらつきの範囲を±20%以内とすると、インダクタンスLt1とLt2の差は、例えば40%以内に設定される。言い換えれば、Lt1とLt2との差は、Lt1およびLt2の平均値の0.4倍よりも小さい。より好ましくはインダクタンスLt1とLt2の差は±10%以内に設定される。この場合、Lt1とLt2との差は、Lt1およびLt2の平均値の0.1倍よりも小さい。本開示の実施形態の無線電力伝送システムにおいて、電極面積の拡大に制約がある中、省面積で大電力を伝送するには、コモンモードチョーク共振器の出力端に接続される電極20aと電極20bの電圧位相差が180度を保つことが好ましい。インダクタンスLt1とLt2を等しく保つことが本開示の実施形態の無線電力伝送システムにおける回路対称性の維持につながり、より好ましい効果をもたらす。
第1のキャパシタCt1のキャパシタンス値Ct1は、上述の通り、Lt1とLt2との関係からその値が決定される。
電力伝送時において、電力変換回路60から出力される交流電力または電力変換回路60に入力される交流電力の電圧の実効値をV0、第1の電極20aと第2の電極20bとの間の電圧の実効値をV1とするとき、例えばV1/V0>2.14が満たされる。この下限値2.14は、例えば200Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑化した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流低圧基準上限値の600Vとした場合の比率である。また、別の例としては、100Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流低圧基準上限値の600Vとした場合の比率から、V1/V0>4.28が満たされてもよい。また、別の例としては、100Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流高圧基準上限値の7000Vとした場合の比率から、V1/V0<50が満たされてもよい。また、別の例としては、200Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流高圧基準上限値の7000Vとした場合の比率から、V1/V0<25が満たされてもよい。もちろん、線路間電圧差が特別高圧基準に相当する7000V以上の値となっても安全上の配慮がなされた場合、本開示の実施形態の設計におけるV1/V0の範囲の上限は制限されない。整合回路80が送電装置に設けられる場合、整合回路80は、昇圧比V1/V2の昇圧回路として機能する。整合回路80が受電装置に設けられる場合、整合回路80は、降圧比V0/V1の降圧回路として機能する。
整合回路80は、図6に示す要素以外の回路素子を含んでいてもよい。図7Aから図7Fを参照しながら、整合回路80の他の例を説明する。
図7Aは、整合回路80の第1の変形例を示す図である。この整合回路80は、第2のキャパシタCt2と、第3のキャパシタCt3と、第3のインダクタLt3とをさらに備える。第2のキャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第3のキャパシタCt3は、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間に直列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第2のキャパシタCt2との間の配線と、第2のインダクタLt2と第3のキャパシタCt3との間の配線との間に並列回路素子として接続される。この構成は、図6に示す構成に、対称的な回路構成を有するハイパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によれば、フィルタを多段化することになり、整合性が向上することから、伝送効率をさらに向上させることができる。
図7Bは、整合回路80の第2の変形例を示す図である。この整合回路80は、第2のキャパシタCt2と、第3のインダクタLt3とをさらに備える。第2のキャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第2のキャパシタCt2との間の配線と、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間の配線との間に並列回路素子として接続される。この構成は、図6に示す整合回路の構成の前段に、非対称な回路構成を有するハイパスフィルタが追加された構成であると言える。図7Aの構成と比較して、回路の正負対称性は低下するが素子数を削減することが可能である。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。
図7Cは、整合回路80の第3の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3と、第2のキャパシタCt2とをさらに備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第2のキャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第3のインダクタLt3との間の配線と、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間の配線との間に並列回路素子として接続される。この構成は、図6に示す整合回路の構成の前段に、非対称な回路構成を有するローパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。
図7Dは、整合回路80の第4の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3と、第4のインダクタLt4と、第2のキャパシタCt2とを備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に接続される。第4のインダクタLt4は、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間に直列回路素子として接続される。第2のキャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第3のインダクタLt3との間の配線と、第2のインダクタLt2と第4のインダクタLt4との間の配線との間に並列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3と、第4のインダクタLt4は、例えば負の結合係数で結合するように設計され得る。この構成は、図6に示す構成に、対称的な回路構成を有するローパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。なお、図7Dの構成は、図6に示すコモンモードチョーク共振器が多段接続された構成であるとも見做せる。接続されるコモンモードチョーク共振器の段数は2に限らず、3以上であってもよい。
図7Eは、整合回路80の第5の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3をさらに備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に接続される。第1のインダクタLt1と第2のインダクタLt2との間の結合に加え、例えば第2のインダクタLt2と結合しないインダクタが整合のために必要となる場合、このような構成によっても伝送効率を向上させることができる。
図7Fは、整合回路80の第6の変形例を示す図である。この整合回路80は、電力変換回路に接続される直列共振回路130sと、直列共振回路130sに磁気的に結合する並列共振回路140pとをさらに備える。並列共振回路140pは、第1のインダクタLt1および第2のインダクタLt2に接続されている。この構成は、図6に示す整合回路の構成の前段に、図4に示す共振回路130s、140pが追加された構成であると言える。このような構成によれば、変圧比をさらに高め、良好な特性を実現することができる。
図6から7Fに示す各整合回路は、送電装置にも受電装置にも用いられ得る。各整合回路が送電装置に用いられる場合、図の右側の2つの端子は2つの送電電極にそれぞれ接続され、端子60a、60bは例えばインバータ回路の端子であり得る。各整合回路が受電装置に用いられる場合、図の右端の2つの端子は2つの受電電極に接続され、端子60a、60bは例えば整流回路の端子であり得る。
本明細書において、送電装置に搭載される電極ユニットを「送電電極ユニット」と称し、受電装置に搭載される電極ユニットを「受電電極ユニット」と称することがある。電極ユニットが送電装置に搭載される場合、第1の電極および第2の電極の各々を送電電極と呼ぶ。電極ユニットが受電装置に搭載される場合、第1の電極および第2の電極の各々を受電電極と呼ぶ。電力伝送時には一対の送電電極と一対の受電電極とが対向する。これらの間の電界結合によって一対の送電電極から一対の受電電極へ電力が伝送される。
送電電極ユニットおよび受電電極ユニットの各々において、第1の電極および第2の電極の一方は、並列する2つの部分に分割されていてもよい。その場合、当該2つの部分の間に、第1の電極および第2の電極の他方が配置される。当該2つの部分には同一の位相の電圧が印加される。このような構成によれば、第1の電極と第2の電極との境界上の漏洩電界を抑制する効果も得ることができる。ある例では、当該2つの部分、および第1および第2の電極の他方は、同一の方向に延びた構造を有する。当該2つの部分の幅は、例えば前記第2の電極の幅の半分に近い値に設定され得る。例えば、当該2つの部分の幅は、前記第2の電極の幅の0.4倍以上0.6倍以下に設定され得る。このように、第1および第2の電極の少なくとも一方が2つの部分に分割された構成では、電力伝送に寄与する電極が実質的に3つ以上存在することになる。このような構成に言及するときには、それらの3つの電極を「電極群」と称することがある。
本開示の他の態様に係る送電装置は、上記の電極ユニットと、前記電力変換回路とを備える。前記電力変換回路は、前記電源から出力された電力を、前記交流電力に変換して出力する。
本開示のさらに他の態様に係る受電装置は、上記の電極ユニットと、前記電力変換回路とを備える。前記電力変換回路は、前記整合回路から出力された前記交流電力を、前記他の形態の電力に変換して出力する。
本開示のさらに他の態様に係る無線電力伝送システムは、上記の送電装置と、上記の受電装置とを備える。
受電装置は、例えば移動体に搭載され得る。本開示における「移動体」は、前述の搬送ロボットのような車両に限定されず、電力によって駆動される任意の可動物体を意味する。移動体には、例えば、電気モータおよび1以上の車輪を備える電動車両が含まれる。そのような車両は、例えば、前述の搬送ロボットなどの無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)、電気自動車(EV)、電動カート、電動車椅子であり得る。本開示における「移動体」には、車輪を有しない可動物体も含まれる。例えば、二足歩行ロボット、マルチコプターなどの無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV、所謂ドローン)、有人の電動航空機、およびエレベータも、「移動体」に含まれる。
以下、本開示の実施形態をより詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似の構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態)
図8は、本開示の例示的な実施形態における無線電力伝送システムの構成を示す図である。本実施形態の無線電力伝送システムは、図1および図2を参照して説明した移動体10への給電の用途に利用される。
無線電力伝送システムは、送電装置100と、受電装置200とを備える。図8には、本システムの外部の要素である電源310および負荷330も示されている。電源310および負荷330は、無線電力伝送システムに含まれていてもよい。
送電装置100は、第1の電力変換回路110と、第1の整合回路180と、2つの送電電極120a、120bとを備える。第1の整合回路180は、第1の電力変換回路110と2つの送電電極120a、120bとの間に接続されている。第1の整合回路180は、図6に示す整合回路80と同様の構成を有する。第1の整合回路180は、インダクタLt1、Lt2と、キャパシタCt1とを含む。インダクタLt1は、電力変換回路110の一方の端子110aと一方の送電電極120aとの間に接続されている。インダクタLt2は、電力変換回路110の他方の端子110bと他方の送電電極120bとの間に接続されている。キャパシタCt1は、インダクタLt1と送電電極120aとの間の配線と、インダクタLt2と送電電極120bとの間の配線との間に接続されている。
受電装置200は、2つの受電電極220a、220bと、第2の整合回路280と、第2の電力変換回路210とを備える。第2の整合回路280は、2つの受電電極220a、220bと第2の電力変換回路210との間に接続されている。第2の整合回路280も、図6に示す整合回路80同様の構成を有する。第2の整合回路280は、インダクタLr1、Lr2と、キャパシタCr1とを含む。インダクタLr1は、電力変換回路210の一方の端子210aと一方の受電電極220aとの間に接続されている。インダクタLr2は、電力変換回路210の他方の端子210bと他方の受電電極220bとの間に接続されている。キャパシタCr1は、インダクタLr1と受電電極220aとの間の配線と、インダクタLr2と受電電極220bとの間の配線との間に接続されている。
以下、各構成要素をより詳細に説明する。以下の説明において、送電電極120a、120bを区別せずに「送電電極120」と記載することがある。同様に、受電電極220a、220bを区別せずに「受電電極220」と記載することがある。
図1に示す移動体10の筐体、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bのそれぞれのサイズは、特に限定されないが、例えば以下のサイズに設定され得る。送電電極120a、120bの長さ(図1に示すY方向のサイズ)は、例えば50cmから20mの範囲内に設定され得る。送電電極120a、120bのそれぞれの幅(図1に示すX方向のサイズ)は、例えば0.5cmから1mの範囲内に設定され得る。移動体10の筐体の進行方向および横方向におけるそれぞれのサイズは、例えば、20cmから5mの範囲内に設定され得る。受電電極220a、220bのそれぞれの長さ(すなわち、進行方向におけるサイズ)は、例えば5cmから2mの範囲内に設定され得る。受電電極220a、220bのそれぞれの幅(すなわち、横方向におけるサイズ)は、例えば2cmから2mの範囲内に設定され得る。送電電極対の間のギャップ、および受電電極対の間のギャップは、例えば1mmから40cmの範囲内に設定され得る。送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとの間の距離は、例えば5mmから30mm程度であり得る。但し、これらの数値範囲に限定されない。
負荷330は、例えば駆動用の電気モータ、および蓄電用のキャパシタまたは二次電池を含み得る。負荷330は、電力変換回路210から出力された直流電力によって駆動または充電される。
電気モータは、直流モータ、永久磁石同期モータ、誘導モータ、ステッピングモータ、リラクタンスモータなどの、任意のモータであり得る。モータは、シャフトおよびギア等を介して移動体10の車輪を回転させ、移動体10を移動させる。モータの種類に応じて、電力変換回路210は、整流回路、インバータ回路、インバータ制御回路などの、各種の回路を含み得る。電力変換回路210は、交流モータを駆動するために、受電したエネルギー(すなわち交流電力)の周波数を、モータを駆動するための周波数に直接変換するコンバータ回路を含んでいてもよい。
キャパシタは、例えば電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタなどの、高容量かつ低抵抗のキャパシタであり得る。このようなキャパシタを蓄電器として用いることにより、二次電池を用いた場合よりも、急速な充電が可能である。キャパシタに代えて、リチウムイオン電池等の二次電池を用いてもよい。その場合、充電に要する時間は増加するが、より多くのエネルギーを蓄えることができる。移動体10は、キャパシタまたは二次電池に蓄えられた電力によってモータを駆動して移動する。
移動体10が移動すると、キャパシタまたは二次電池の蓄電量が低下する。このため、移動を継続するためには、再充電が必要になる。そこで、移動体10は、移動中に充電量が所定の閾値を下回ると、送電装置100の近傍まで移動し、充電を行う。この移動は、不図示の中央管理装置による制御の元で行われてもよいし、移動体10が自律的に判断して行ってもよい。送電装置100は、工場内の複数の箇所に設置され得る。
送電装置100における整合回路180は、電力変換回路110のインピーダンスと送電電極120a、120bのインピーダンスとを整合させる。インダクタLt1とインダクタLt2は、所定の結合係数で結合するコモンモードチョークフィルタとして機能し得る。これらのインダクタLt1、Lt2のインダクタンス値は、ほぼ等しい値に設定されている。
図9は、2つのインダクタLt1、Lt2の構成例を模式的に示す図である。この例では、2つのインダクタLt1、Lt2が、リング状またはトロイダル状の磁性体であるコア410の周囲に巻回されている。コア410は、例えば軟磁性のフェライトコアであり得る。インダクタLt1、Lt2は、コア410を介して負の結合係数を実現する向きに配置されている。具体的には、インダクタLt1、Lt2の結合係数をkとすると、−1<k<0である。結合係数kが−1に近いほど、伝送効率の観点からは良好な特性が得られる。また、インダクタLt1、Lt2に図9の左側入出力端子から同相の電流が入力された場合、図9右側の出力端子へは同相の電流が出力されない。このような構成により、回路前段で発生し得るコモンモードノイズが後段に伝達される確率を抑圧できる。
インダクタLt1、Lt2は、必ずしも図9のような構造を有していなくてもよい。インダクタLt1、Lt2の各々は、低損失特性を得るために空芯構造を有していてもよい。なお、結合係数は、例えばJISC5321に規定された方法で測定できる。
キャパシタCt1は、インダクタLt1、Lt2の漏れインダクタンスとの間で共振するように設計され得る。インダクタLt1、Lt2およびキャパシタCt1によって構成されるコモンモードチョーク共振回路の共振周波数は、電力変換回路110が出力する交流電力の周波数f1に等しい値に設計され得る。この共振周波数は、例えば、伝送周波数f1の50〜150%程度の範囲内の値に設定されていてもよい。電力伝送の周波数f1は、例えば50Hz〜300GHz、ある例では20kHz〜10GHz、他の例では20kHz〜20MHz、さらに他の例では80kHz〜14MHzに設定され得る。
受電装置200におけるインダクタLr1、Lr2およびキャパシタCr1も、送電装置100におけるインダクタLt1、Lt2およびキャパシタCt1とそれぞれ同様の構成を有する。
各インダクタLt1、Lt2、Lr1、Lr2は、例えば、銅もしくはアルミニウムなどの材料によって形成されるリッツ線またはツイスト線などを用いた巻き線コイルであり得る。回路基板上に形成された平面コイルまたは積層コイルを用いてもよい。各キャパシタCt1、Cr1には、例えばチップ形状またはリード形状を有するあらゆるタイプのキャパシタを利用できる。空気を介した2配線間の容量を各キャパシタとして機能させることも可能である。
図10は、送電装置100における電力変換回路110の構成例を模式的に示す図である。この例では、電源310は直流電源である。電力変換回路110は、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ型のインバータ回路と、制御回路112とを含む。各スイッチング素子は、例えばIGBTまたはMOSFET等のトランジスタによって構成され得る。制御回路112は、各スイッチング素子の導通(オン)および非導通(オフ)の状態を制御する制御信号を出力するゲートドライバと、ゲートドライバに制御信号を出力させるプロセッサとを有する。プロセッサは、例えばマイクロコントローラユニット(MCU)におけるCPUであり得る。図10に示すフルブリッジ型のインバータ回路の代わりに、ハーフブリッジ型のインバータ回路、または、E級などの他の発振回路を用いてもよい。
電力変換回路110は、通信用の変復調回路、および電圧・電流などを測定する各種のセンサなどの他の要素を有していてもよい。電力変換回路110が通信用の変復調回路を有する場合、交流電力に重畳してデータを受電装置200に送信することができる。電源310が交流電源の場合は、電力変換回路110は、入力された交流電力を、周波数または電圧の異なる電力伝送用の交流電力に変換する。
図11は、受電装置200における電力変換回路210の構成例を模式的に示す図である。この例では、電力変換回路210は、ダイオードブリッジと平滑コンデンサとを含む全波整流回路である。電力変換回路210は、他の整流器の構成を有していてもよい。電力変換回路210は、電力変換回路210の他にも、定電圧・定電流制御回路、通信用の変復調回路などの各種の回路を含んでいてもよい。電力変換回路210は、受け取った交流エネルギーを負荷330が利用可能な直流エネルギーに変換する。電圧・電流などを測定する各種センサが電力変換回路210に含まれていてもよい。負荷330が利用するエネルギーが交流エネルギーである場合は、電力変換回路210は、直流ではなく交流エネルギーを出力するように構成される。
電源310は、例えば、商用電源、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池、USB(Universal Serial Bus)電源、高容量のキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)、商用電源に接続された電圧変換器などの任意の電源であってよい。電源310は直流電源であっても交流電源であってもよい。
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態では、図3および図4に示す各例とは異なり、高い比率の昇降圧特性が求められる整合回路180、280においてトランス(transformer)を直列に挿入した構成を有しない。図3および図4の各例では、高い昇圧比または降圧比を実現するために、インダクタンス比L2/L1およびL3/L4を高くせざるを得ない。例えば図3の例では、インダクタンス比L2/L1およびL3/L4は、数十程度の高い値になり得る。図4の例でも、インダクタンス比L2/L1およびL3/L4は、高い値になり得る。低いインダクタンスのインダクタのQ値を向上することは困難であり、高いインダクタンスのインダクタのQ値を向上することにも制約がある。また、トランスを挿入することによる損失は、当該トランスを構成するインダクタ間の結合係数の絶対値にも強く依存する。このため、インダクタ対は強く結合することが求められる。これらの例では、損失の低いインダクタの組み合わせで低損失トランスを実現することが困難となる。また、高いインダクタンスのインダクタを用いると自己共振周波数の低下を招くため、高調波ノイズの漏洩を招きやすくなる。
これに対し、図8に示す実施形態では、インダクタンスLt1、Lt2は、ほぼ等しい値に設定され、インダクタンスLr1、Lr2も、ほぼ等しい値に設定されることになる。同程度のインダクタンスのインダクタは内径などのサイズを同程度で形成することが容易なため、結果として両インダクタ間の結合を高めることが容易である。また、片方のインダクタの損失によってインダクタ対全体として損失が生じるという制約からも解放される。このため、低損失なインダクタの組み合わせで高効率な整合回路を容易に実現することができる。
さらに、本実施形態では、ノイズを低減する効果も奏する。各電極に繋がる経路に直列にインダクタが挿入された構成のため、高調波ノイズが抑制される。特に、インダクタLt1、Lt2間の結合係数、およびインダクタLr1、Lr2間の結合係数を、−1より大きく−0未満の範囲で設計した場合には、ノイズ抑制効果がさらに顕著になる。
本発明者は、図3(比較例1)、図4(比較例2)、図8(実施例)のそれぞれの構成において、高周波電力を伝送した場合の伝送特性を比較した。その結果、表1に示す結果が得られた。
Figure 2019189578
表1の結果は、以下の条件で得られた。電極120a−220a、電極120b−220b間の結合容量はそれぞれ80pF、伝送周波数は480kHzとして解析を行った。入力直流電圧は200V、伝送電力は2kWである。各例の整合回路にはインダクタ対が多数存在する。それらの結合係数の絶対値を最大でも0.8、と制限して解析を行った。発熱の値は、比較例2における送電側のインダクタL1での発熱量を100として規格化した値である。3倍波インダクタ電流の値は、比較例2におけるインダクタL1に流れる3倍波電流を100として規格化した値である。比較例1および比較例2についてはインダクタL1の3倍波電流が、実施例においてはインダクタLt1の3倍波電流強度が表1に示されている。
表1からわかるように、実施例では、比較例1、2と比較して、伝送効率が向上し、整合回路内のインダクタの発熱の総和が抑制され、整合回路内のインダクタに流れる3倍波電流の総和が低減することも確認された。
次に、本実施形態の変形例を説明する。
整合回路180、280は、図8に示す構成に限らず、多様な変形が可能である。整合回路180、280の各々は、例えば図7Aから図7Fに示すような様々な構成を採り得る。
図12は、整合回路180、280の各々が、図7Dに示す構成を有する例を示している。この例のように、2つのインダクタと並列容量素子の組み合わせを多段接続することにより、伝送効率をさらに向上させることができる。前述のシミュレーションと同様の条件で、伝送効率が89.2%にまで向上することが確認できた。
図13は、整合回路180が図7Cに示す構成を有し、整合回路280が図7Aに示す構成を有する例を示している。図14は、整合回路180が図7Eに示す構成を有し、整合回路280は図8と同様の構成を有する例を示している。これらの例のように、整合回路180、280が同様の回路構成を有している必要はない。
図15は、整合回路180、280の各々が、図7Fに示す構成を有する例を示している。送電側の整合回路180は、電力変換回路110と、コモンモードチョーク共振器との間に、直列共振回路130sおよび並列共振回路140pを備える。受電側の整合回路280は、電力変換回路210と、コモンモードチョーク共振器との間に直列共振回路230sおよび並列共振回路240pを備える。このようにトランスを利用することで、整合回路180の昇圧比および整合回路280の降圧比を増加させることが容易になる。より低い電圧の電源で電力変換回路110(例えば周波数変換回路)を駆動させることができれば、高価格なパワー半導体を必要とせず装置の低コスト化が図れる。また、結合電極部(すなわち電極120、220)での結合容量に制約がある場合でも、省面積の電極で大電力を送ることが可能となる。
上記の実施形態における各電極は、同一の方向に平行に延びた構造を有しているが、用途によってはそのような構造でなくてもよい。例えば、各電極が、正方形などの矩形形状を有していてもよい。そのような矩形形状の複数の電極が一方向に並ぶ形態であれば、本開示の技術を適用できる。また、全ての電極の表面が同一平面上にあることは必須の要件ではない。さらに、各電極の表面は、完全に平面的な形状を有している必要はなく、例えば湾曲した形状または凹凸を含む形状を有していてもよい。そのような表面も、概略的に平面的であれば、「平面状の表面」と称する。また、各電極は、路面に対して傾斜していてもよい。
本開示の実施形態における無線電力伝送システムは、前述のように、工場内における物品の搬送用のシステムとして利用され得る。移動体10は、物品を積載する荷台を有し、工場内を自律的に移動して物品を必要な場所に搬送する台車として機能する。しかし、本開示における無線電力伝送システムおよび移動体は、このような用途に限らず、他の様々な用途に利用され得る。例えば、移動体は、AGVに限らず、他の産業機械、サービスロボット、電気自動車、フォークリフト、マルチコプター(ドローン)、エレベータ等であってもよい。無線電力伝送システムは、工場内に限らず、例えば、店舗、病院、家庭、道路、滑走路その他のあらゆる場所で利用され得る。
本開示の技術は、電力によって駆動される任意の機器に利用できる。例えば、電気自動車(EV)、工場で用いられる無人搬送車(AGV)、フォークリフト、無人航空機(UAV)、またはエレベータなどの移動体に利用され得る。
10 移動体
20a、20b 電極
30 床面
40a、40b 配線
50 電極ユニット
60 電力変換回路
60a、60b 端子
80 整合回路
100 送電装置
110 電力変換回路
120 送電電極
130 第1並列共振回路
130s 送電側直列共振回路
140 第2並列共振回路
140p 送電側並列共振回路
180 整合回路
200 受電装置
210 電力変換回路
220 受電電極
230 第3並列共振回路
230p 受電側並列共振回路
240 第4並列共振回路
240s 受電側直列共振回路
280 整合回路
310 電源
330 負荷

Claims (14)

  1. 電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる電極ユニットであって、
    送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、
    前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路と、
    を備え、
    前記電力変換回路は、第1の端子および第2の端子を備え、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して前記第1および第2の端子から出力する、または、前記第1および第2の端子に入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力し、
    前記整合回路は、
    前記第1の電極に接続された第1のインダクタと、
    前記第2の電極に接続された第2のインダクタと、
    前記第1の電極と前記第1のインダクタとの間の配線と、前記第2の電極と前記第2のインダクタとの間の配線との間に接続された第1のキャパシタと、
    を備え、
    前記第1のインダクタは、前記第1の電極の反対側において、前記電力変換回路の前記第1の端子に直接的または間接的に接続され、
    前記第2のインダクタは、前記第2の電極の反対側において、前記電力変換回路の第2の端子に直接的または間接的に接続される、
    電極ユニット。
  2. 前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとの結合係数kは、
    −1<k<0を満足する、
    請求項1に記載の電極ユニット。
  3. 前記交流電力の周波数をf1、前記第1のインダクタのインダクタンス値をLt1、前記第2のインダクタのインダクタンス値をLt2、前記第1のキャパシタのキャパシタンス値をCt1とするとき、周波数f1は、1/(2π((Lt1+Lt2)Ct1)1/2)の0.5倍から1.5倍の範囲内の値に設定される、
    請求項1または2に記載の電極ユニット。
  4. 前記第1のインダクタのインダクタンス値をLt1、前記第2のインダクタのインダクタンス値をLt2とするとき、
    Lt1とLt2との差は、Lt1およびLt2の平均値の0.4倍よりも小さい、
    請求項1から3のいずれかに記載の電極ユニット。
  5. 電力伝送時において、前記電力変換回路から出力される前記交流電力または前記電力変換回路に入力される前記交流電力の電圧の実効値をV0、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧の実効値をV1とするとき、
    2.14<V1/V0<50
    を満足する、請求項1から4のいずれかに記載の電極ユニット。
  6. 前記整合回路は、
    前記第1のインダクタと前記第1の端子との間に接続される第2のキャパシタと、
    前記第1のインダクタと前記第2のキャパシタとの間の配線と、前記第2のインダクタと前記第2の端子との間の配線との間に接続された第3のインダクタと、
    をさらに備える、
    請求項5に記載の電極ユニット。
  7. 前記整合回路は、
    前記第1のインダクタと前記第1の端子との間に接続される第2のキャパシタと、
    前記第2のインダクタと前記第2の端子との間に接続される第3のキャパシタと、
    前記第1のインダクタと前記第2のキャパシタとの間の配線と、前記第2のインダクタと前記第3のキャパシタとの間の配線との間に接続された第3のインダクタと、
    をさらに備える、
    請求項5に記載の電極ユニット。
  8. 前記整合回路は、前記第1のインダクタと前記第1の端子との間に接続される第3のインダクタをさらに備える、請求項7に記載の電極ユニット。
  9. 前記整合回路は、前記第1のインダクタと前記第3のインダクタとの間の配線と、前記第2のインダクタと前記第2の端子との間の配線との間に接続された第2のキャパシタをさらに備える、請求項8に記載の電極ユニット。
  10. 前記整合回路は、
    前記第2のインダクタと前記第2の端子との間に接続される第4のインダクタと、
    前記第1のインダクタと前記第3のインダクタとの間の配線と、前記第2のインダクタと前記第4のインダクタとの間の配線との間に接続された第2のキャパシタをさらに備える、請求項8に記載の電極ユニット。
  11. 前記整合回路は、
    前記電力変換回路に接続される直列共振回路と、
    前記第1および第2のインダクタに接続され、前記直列共振回路に磁気的に結合する並列共振回路と、
    を備える、
    請求項1から5のいずれかに記載の電極ユニット。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の電極ユニットと、
    前記電力変換回路と、
    を備え、
    前記電力変換回路は、前記電源から出力された電力を、前記交流電力に変換して出力する、
    送電装置。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の電極ユニットと、
    前記電力変換回路と、
    を備え、
    前記電力変換回路は、前記整合回路から出力された前記交流電力を、前記他の形態の電力に変換して出力する、
    受電装置。
  14. 請求項12に記載の送電装置と、
    請求項13に記載の受電装置と、
    を備える無線電力伝送システム。
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