JP2019176621A - 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム - Google Patents

電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム Download PDF

Info

Publication number
JP2019176621A
JP2019176621A JP2018062348A JP2018062348A JP2019176621A JP 2019176621 A JP2019176621 A JP 2019176621A JP 2018062348 A JP2018062348 A JP 2018062348A JP 2018062348 A JP2018062348 A JP 2018062348A JP 2019176621 A JP2019176621 A JP 2019176621A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power
power transmission
parallel
electrode
circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018062348A
Other languages
English (en)
Inventor
菅野 浩
Hiroshi Sugano
浩 菅野
山本 浩司
Koji Yamamoto
浩司 山本
英治 高橋
Eiji Takahashi
英治 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2018062348A priority Critical patent/JP2019176621A/ja
Publication of JP2019176621A publication Critical patent/JP2019176621A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Charge And Discharge Circuits For Batteries Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】回路素子の特性にばらつきがある場合でも、良好な電力伝送特性を維持する。【解決手段】電極ユニットは、第1の電極および第2の電極と、前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路とを備える。前記電力変換回路は、第1および第2の端子を備える。前記整合回路は、前記第1の電極と前記第1の端子との間の配線と、前記第2の電極と前記第2の端子との間の配線との間に接続されたキャパシタ群と、を備える。前記キャパシタ群は、前記第1の配線と前記第2の配線との間において直列に接続された第1のキャパシタおよび並列キャパシタ群を含む。前記並列キャパシタ群は、互いに並列に配置された複数の並列キャパシタを含む。前記複数の並列キャパシタの少なくとも1つは、前記第1および第2の配線間の経路への接続/非接続の状態を切り替えることが可能である。【選択図】図6

Description

本開示は、電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システムに関する。
近年、携帯電話機および電気自動車などの移動性を伴う機器に、無線すなわち非接触で電力を伝送する無線電力伝送技術の開発が進められている。無線電力伝送技術には、磁界結合方式および電界結合方式などの方式がある。このうち、電界結合方式による無線電力伝送システムは、一対の送電電極と一対の受電電極とが対向した状態で、一対の送電電極から一対の受電電極に無線で交流電力が伝送される。特許文献1および特許文献2は、電界結合方式による無線電力伝送システムの例を開示している。他方、特許文献3は、磁界結合方式の無線電力伝送システムの例を開示している。
国際公開第2013/140665号 特開2010−193692号公報 特開2016−226233号公報
本開示は、電界結合方式による無線電力伝送システムの伝送特性を向上させる技術を提供する。
本開示の一態様に係る電極ユニットは、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる。前記電極ユニットは、送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路と、を備える。前記電力変換回路は、第1の端子および第2の端子を備え、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して前記第1および第2の端子から出力する、または、前記第1および第2の端子に入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力する。前記整合回路は、前記第1の電極と前記第1の端子との間の第1の配線と、前記第2の電極と前記第2の端子との間の第2の配線と、前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続されたキャパシタ群と、を備える。前記キャパシタ群は、前記第1および第2の配線のうち、電力伝送時に、前記第1および第2の端子に印加される電圧よりも高い電圧が印加される部位に接続される。前記キャパシタ群は、前記第1の配線と前記第2の配線との間において直列に接続された第1のキャパシタおよび並列キャパシタ群を含む。前記並列キャパシタ群は、互いに並列に配置された複数の並列キャパシタを含む。前記複数の並列キャパシタの少なくとも1つは、前記第1および第2の配線間の経路への接続/非接続の状態を切り替えることが可能である。
本開示の包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現され得る。あるいは、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示の技術によれば、電界結合方式による無線電力伝送システムの伝送特性を向上させることができる。
図1は、電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。 図2は、図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。 図3は、整合回路180、280の回路構成の一例を示す図である。 図4は、整合回路180、280の回路構成の他の例を示す図である。 図5Aは、2つの電極と電力変換回路との間の2つの配線の間に接続されるキャパシタCを模式的に示す図である。 図5Bは、キャパシタンスを調整可能な回路の例を模式的に示す図である。 図6は、実施形態1における電極ユニットの基本的な構成を模式的に示す図である。 図7は、電極ユニットの他の例を示す図である。 図8は、電極ユニットのさらに他の例を示す図である。 図9は、電極ユニットのさらに他の例を示す図である。 図10は、電極ユニットのさらに他の例を示す図である。 図11Aは、整合回路の第1の変形例を示す図である。 図11Bは、整合回路の第2の変形例を示す図である。 図11Cは、整合回路の第3の変形例を示す図である。 図11Dは、整合回路の第4の変形例を示す図である。 図11Eは、整合回路の第5の変形例を示す図である。 図11Fは、整合回路の第6の変形例を示す図である。 図11Gは、整合回路の第7の変形例を示す図である。 図12は、実施形態2における無線電力伝送システムの構成を示す図である。 図13は、2つのインダクタLt1、Lt2の構成例を模式的に示す図である。 図14は、送電装置における電力変換回路の構成例を模式的に示す図である。 図15は、受電装置における電力変換回路の構成例を模式的に示す図である。 図16は、無線電力伝送システムの他の例を示す図である。 図17は、無線電力伝送システムのさらに他の例を示す図である。 図18は、無線電力伝送システムのさらに他の例を示す図である。 図19は、無線電力伝送システムの他の例を示す図である。 図20は、電力伝送試験の動作の一例を示すフローチャートである。
(本開示の基礎となった知見)
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
図1は、電界結合方式による無線電力伝送システムの一例を模式的に示す図である。「電界結合方式」とは、複数の送電電極を含む送電電極群と複数の受電電極を含む受電電極群との間の電界結合(「容量結合」とも称する)により、送電電極群から受電電極群に無線で電力が伝送される伝送方式をいう。簡単のため、送電電極群および受電電極群の各々が、2つの電極の対によって構成される場合の例を説明する。なお、送電電極群および受電電極群の各々は、3つ以上の電極を含んでいてもよい。その場合、送電電極群および受電電極群の各々における隣り合う任意の2つの電極には、逆位相の交流電圧が印加される。
図1に示す無線電力伝送システムは、無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)である移動体10に無線で電力を伝送するシステムである。移動体10は、例えば工場または倉庫において物品の搬送に用いられ得る。このシステムでは、床面30に平板状の一対の送電電極120が配置されている。移動体10は、電力伝送時に一対の送電電極120に対向する一対の受電電極を備える。移動体10は、一対の送電電極120から伝送された交流電力を、一対の受電電極によって受け取る。受け取られた電力は、移動体10が備えるモータ、二次電池、または蓄電用のキャパシタなどの負荷に供給される。これにより、移動体10の駆動または充電が行われる。
図1には、互いに直交するX、Y、Z方向を示すXYZ座標が示されている。以下の説明では、図示されているXYZ座標を用いる。送電電極120が延びる方向をY方向、送電電極120の表面に垂直な方向をZ方向、Y方向およびZ方向に垂直な方向、すなわち送電電極120の幅方向をX方向とする。なお、本願の図面に示される構造物の向きは、説明のわかりやすさを考慮して設定されており、本開示の実施形態が現実に実施されるときの向きをなんら制限するものではない。また、図面に示されている構造物の全体または一部分の形状および大きさも、現実の形状および大きさを制限するものではない。
図2は、図1に示す無線電力伝送システムの概略的な構成を示す図である。この無線電力伝送システムは、送電装置100と、移動体10とを備える。
送電装置100は、一対の送電電極120と、整合回路180と、電力変換回路110とを備える。電力変換回路110は、電源310から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して出力する。電力変換回路110は、例えば、インバータ回路などの交流出力回路を含み得る。電力変換回路110は、例えば電源310から供給された直流電力を交流電力に変換して出力する。電源310は交流電源であってもよい。その場合、電力変換回路110は、電源310から供給された交流電力を、異なる周波数または電圧の交流電力に変換して出力する。整合回路180は、電力変換回路110と一対の送電電極120との間に接続されている。整合回路180は、電力変換回路110と一対の送電電極120との間のインピーダンスの整合度を向上させる。
移動体10は、受電装置200と、負荷330とを備える。受電装置200は、一対の受電電極220と、整合回路280と、電力変換回路210とを備える。電力変換回路210は、一対の受電電極220が受け取った交流電力を負荷330が要求する電力に変換して負荷330に供給する。電力変換回路210は、例えば整流回路または周波数変換回路等の各種の回路を含み得る。受電電極220と電力変換回路210との間に、インピーダンスの不整合を低減する整合回路280が挿入されている。
負荷330は、例えばモータ、蓄電用のキャパシタ、または二次電池などの、電力を消費または蓄積する機器である。一対の送電電極120と、一対の受電電極220との間の電界結合により、両者が対向した状態で電力が無線で伝送される。伝送された電力は、負荷330に供給される。
この例において、各送電電極120は、床面30にほぼ平行に配置される。各送電電極120は、床面30に交差して配置されていてもよい。例えば、壁に配置される場合には、各送電電極120は、床面30にほぼ垂直に配置され得る。移動体10における各受電電極220も、送電電極120に対向するように、床面に交差して配置され得る。このように、受電電極220の配置は、送電電極120の配置に応じて決定される。
図3は、整合回路180、280の回路構成の一例を示す図である。
図3に示す送電装置100における整合回路180は、直列共振回路130sと、並列共振回路140pとを備える。直列共振回路130sは、電力変換回路110に接続されている。並列共振回路140pは、直列共振回路130sと一対の送電電極120との間に配置されている。並列共振回路140pは、一対の送電電極120に接続され、直列共振回路130sに磁気的に結合する。直列共振回路130sは、インダクタL1とキャパシタC1とが直列に接続された構成を有する。並列共振回路140pは、インダクタL2とキャパシタC2とが並列に接続された構成を有する。インダクタL1とインダクタL2とは、結合係数k1で結合する変圧器を構成する。インダクタL1とインダクタL2との巻数比は、所望の変圧比を実現する値に設定されている。
受電装置200における整合回路280は、並列共振回路230pと、直列共振回路240sとを備える。並列共振回路230pは、一対の受電電極220に接続されている。直列共振回路240sは、第3の並列共振回路230pと電力変換回路210との間に配置され、並列共振回路230pに磁気的に結合する。電力変換回路210は、直列共振回路240sから出力された交流電力を直流電力に変換して負荷330に供給する。並列共振回路230pは、インダクタL3とキャパシタC3とが並列に接続された構成を有する。直列共振回路240sは、インダクタL4とキャパシタC4とが並列に接続された構成を有する。インダクタL3とインダクタL4とは、結合係数k2で結合する変圧器を構成する。インダクタL3とインダクタL4との巻数比は、所望の変圧比を実現する値に設定される。
4つの共振回路130s、140p、230p、240sの共振周波数が一致するように、各回路素子のインダクタンスまたはキャパシタンスが設定される。電力変換回路110は、当該共振周波数に等しい周波数の交流電力を出力する。これにより、各共振回路130s、140p、230p、240sは、電力伝送時に共振状態になり、高い伝送効率が維持される。
送電電極120と受電電極220とは、互いに近接して対向するように配置される。送電電極120と受電電極220との間は、例えば空隙である。送電電極120と受電電極220との間に比誘電率の高い誘電体が設けられていてもよい。
図3に示す構成によれば、例えば特許文献2に開示された整合回路の構成と比較して、電力伝送の効率を高くすることができる。
図4は、整合回路180、280の回路構成の他の例を示す図である。
この例では、送電側の整合回路180は、インダクタLt1、Lt2、およびキャパシタCt1を備える。インダクタLt1は、送電電極120aと、電力変換回路110の第1の端子110aとの間に直列回路素子として接続されている。インダクタLt2は、送電電極120bと、電力変換回路110の第2の端子110bとの間に直列回路素子として接続されている。キャパシタCt1は、送電電極120aとインダクタLt1との間の配線と、送電電極120bとインダクタLt2との間の配線との間に並列回路素子として接続されている。
受電側の整合回路280は、インダクタLr1、Lr2、およびキャパシタCr1を備える。インダクタLr1は、受電電極220aと、電力変換回路210の第1の端子210aとの間に直列回路素子として接続されている。インダクタLr2は、受電電極220bと、電力変換回路210の第2の端子210bとの間に直列回路素子として接続されている。キャパシタCr1は、受電電極220aとインダクタLr1との間の配線と、受電電極220bとインダクタLr2との間の配線との間に並列回路素子として接続されている。
インダクタLt1とLt2との結合係数ktは、例えば−1<kt<0を満足する値に設定され得る。同様に、インダクタLr1とLr2との結合係数krは、例えば−1<kr<0を満足する値に設定され得る。インダクタLt1とLt2は、コモンモードチョークフィルタとしての機能を果たすことも可能である。同様に、インダクタLr1とLr2は、コモンモードチョークフィルタとしての機能を果たすことも可能である。これにより、コモンモード電流に起因した伝送周波数帯および低次の高調波における磁界漏洩強度を効果的に低減することができる。インダクタLt1、Lt2、およびキャパシタCt1によって構成される共振器、ならびにインダクタLr1、Lr2、およびキャパシタCr1によって構成される共振器を、「コモンモードチョーク共振器」と称することがある。
図4に示す構成によれば、図3に示す構成と比較して、さらに高い電力伝送効率を実現することができる。
図3および図4に示す整合回路180、280は、いずれも1つ以上のLC共振回路を含む。伝送効率を高めるためには、各共振回路の共振周波数を等しくし、かつ伝送する電力の周波数(以下、「伝送周波数」と称する)を、当該共振周波数に等しくすることが望ましい。
しかし、インダクタおよびキャパシタなどの回路素子には、一般に、製造誤差に起因する特性のばらつきが生じる。特にインダクタのインダクタンスにはばらつきが生じやすい。インダクタのインダクタンスは、設計値の5%から10%程度の誤差を含むことが一般的である。キャパシタのキャパシタンスについても、設計値の1%を超える誤差を含むことが一般的である。
ここで、LC共振回路の合成インダクタンスをL、合成キャパシタンスをCとすると、共振周波数は、fres=1/2π√(LC)で表される。インダクタンスLおよびキャパシタンスCの少なくとも一方が設計された値からずれると、共振周波数も設計された値からずれる。その場合、整合回路内の共振回路で反射される電力が増大し、伝送効率の低下を招く。
このような課題を解決するために、図3に示すキャパシタC2、C3、または図4に示すキャパシタCt1、Cr1におけるキャパシタンスを調整できるようにする対策が考えられる。それらのキャパシタンスを適切に調整できれば、インダクタなどの回路素子の特性にばらつきがある場合でも、その影響を緩和することができる。
図5Aは、2つの電極と電力変換回路との間の2つの配線の間に接続されるキャパシタCを模式的に示す図である。このキャパシタCは、図3に示すキャパシタC2、C3、および図4に示すキャパシタCt1、Cr1のいずれかに相当する。この回路のキャパシタンスを調整できるようにするために、例えば、キャパシタCに並列に、接続/非接続の状態を切り替えることが可能な他のキャパシタを配置する対策が考えられる。
図5Bは、そのような対策がなされた回路を模式的に示す図である。図5Bの例では、2つの配線の間に、2つのキャパシタCaおよびCbが、並列に接続されている。一方のキャパシタCbにはスイッチが接続されている。このスイッチのオン/オフを切り替えることにより、キャパシタCaを経路から切断したり接続したりすることができる。
キャパシタCbのキャパシタンスは、キャパシタCaのキャパシタンスよりも小さい値に設定される。キャパシタCbのキャパシタンスは、キャパシタCaのキャパシタンスの、例えば1%から10%程度の値に設定され得る。一例として、キャパシタCaのキャパシタンス値が163.9pFであり、キャパシタCbのキャパシタンス値が4.2pFである場合を考える。この場合、スイッチの開閉により、この回路の合成キャパシタンスを、163.9pFと168.1pFとの間で切り替えることができる。これにより、共振周波数の調整が可能である。共振回路に含まれる回路素子のインダクタンスまたはキャパシタンスの値が設計値からずれていた場合であっても、そのずれを補償するようにスイッチを調整することにより、ずれの影響を小さくすることができる。
しかし、本発明者らは、図5Bのような構成を、本開示が対象とする電界結合方式の無線電力伝送システムに適用すると、以下の課題が生じることを見出した。電界結合方式の無線電力伝送システムでは、送電電極群と受電電極群との間は、例えば空隙である。また、電極間隔が比較的広くても、例えば、5mmから数十mm程度の間隔を隔てても良好な伝送特性を実現できることが望ましい。その場合、電極間には、一般的な電子機器で使用される電圧よりも遥かに高い電圧が印加される。電極間には、例えば600Vから10kV程度の高い電圧が印加され得る。この電圧は、送電装置における電力変換回路に含まれるインバータ回路の出力電圧(例えば、50Vから280V程度)と比較しても遥かに高い。
その場合、図5Bに示すキャパシタCbに接続されるスイッチには、非常に高い電圧V(例えば、600Vから10kV程度)が印加され得る。一般的な半導体スイッチの耐圧性能を考慮すると、そのような高い電圧を印加した場合、スイッチが破壊される可能性がある。非常に高い耐圧性能を有する高価なスイッチを用いることは可能であるが、その場合、送電装置または受電装置のコストの増加を招く。したがって、図5Bのような構成を、高電圧が印加される電極近傍の回路に適用することは現実的ではない。
本発明者らは、以上の課題を見出し、上記課題を解決するために、以下に説明する本開示の実施形態の構成に想到した。以下、本開示の実施形態の概要を説明する。
本開示の一態様に係る電極ユニットは、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる電極ユニットである。前記電極ユニットは、送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路と、を備える。前記電力変換回路は、第1の端子および第2の端子を備え、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して前記第1および第2の端子から出力する、または、前記第1および第2の端子に入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力する。前記整合回路は、前記第1の電極と前記第1の端子との間の第1の配線と、前記第2の電極と前記第2の端子との間の第2の配線と、前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続されたキャパシタ群と、を備える。前記キャパシタ群は、前記第1および第2の配線のうち、電力伝送時に、前記第1および第2の端子に印加される電圧よりも高い電圧が印加される部位に接続される。前記キャパシタ群は、前記第1の配線と前記第2の配線との間において直列に接続された第1のキャパシタおよび並列キャパシタ群を含む。前記並列キャパシタ群は、互いに並列に配置された複数の並列キャパシタを含む。前記複数の並列キャパシタの少なくとも1つは、前記第1および第2の配線間の経路への接続/非接続の状態を切り替えることが可能である。
前記複数の並列キャパシタの前記少なくとも1つの前記接続/非接続を切替えるスイッチをさらに備え得る。各スイッチは、送電装置または受電装置に搭載される制御回路によって制御され得る。
上記態様によれば、前記複数の並列キャパシタの各々に印加される電圧を実用的な範囲まで低減することができる。その結果、一般的な半導体スイッチを用いた場合でも、スイッチを破壊することなく、キャパシタ群の合成キャパシタンスを調整することが可能になる。
上記態様における各キャパシタは、相互に接続された複数のキャパシタの集合であってもよい。言い換えれば、各キャパシタは、単一の容量素子である必要はない。各キャパシタがインダクタンス成分を有していてもよい。キャパシタ群は、1つ以上のインダクタを含んでいてもよい。
なお、スイッチを用いて並列キャパシタの接続/非接続の状態を切り替えることは必須の要件ではない。例えば、電極ユニットを含む装置の製造時または導入作業時に、作業者が測定器を用いて複数の並列キャパシタの最適な組み合わせを決定し、必要な並列キャパシタのみを経路に接続してもよい。この際、半導体スイッチを用いずに、半田付けなどの作業によって並列キャパシタの接続を行ってもよい。
上記の作業は、電極ユニットを含む装置の製造時または導入作業時にのみ行われてもよい。システム運用中は、経路に接続される並列キャパシタの組み合わせが固定されていてもよい。
上記態様における「キャパシタ」を「インダクタ」に置換した構成であっても、同様の調整が可能である。本明細書において、キャパシタとインダクタとを、「リアクタンス素子」と総称する。
本開示の他の態様に係る電極ユニットは、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる電極ユニットである。前記電極ユニットは、送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路と、を備える。前記電力変換回路は、第1の端子および第2の端子を備え、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して前記第1および第2の端子から出力する、または、前記第1および第2の端子に入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力する。前記整合回路は、前記第1の電極と前記第1の端子との間の第1の配線と、前記第2の電極と前記第2の端子との間の第2の配線と、前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続されたリアクタンス素子群と、を備える。前記リアクタンス素子群は、前記第1および第2の配線のうち、電力伝送時に、前記第1および第2の端子に印加される電圧よりも高い電圧が印加される部位に接続される。前記リアクタンス素子群は、前記第1の配線と前記第2の配線との間において直列に接続された第1のリアクタンス素子および並列リアクタンス素子群を含む。前記並列リアクタンス素子群は、互いに並列に配置された複数の並列リアクタンス素子を含む。前記複数の並列リアクタンス素子の少なくとも1つは、前記第1および第2の配線間の経路への接続/非接続の状態を切り替えることが可能である。
上記態様によれば、前記複数の並列リアクタンス素子の各々に印加される電圧を実用的な範囲まで低減することができる。その結果、一般的な半導体スイッチを用いた場合でも、スイッチを破壊することなく、リアクタンス群のインピーダンスを調整することが可能になる。
本明細書において、送電装置に搭載される電極ユニットを「送電電極ユニット」と称し、受電装置に搭載される電極ユニットを「受電電極ユニット」と称することがある。電極ユニットが送電装置に搭載される場合、第1の電極および第2の電極の各々を「送電電極」と呼ぶ。電極ユニットが受電装置に搭載される場合、第1の電極および第2の電極の各々を「受電電極」と呼ぶ。電力伝送時には一対の送電電極と一対の受電電極とが対向する。これらの間の電界結合によって一対の送電電極から一対の受電電極へ電力が伝送される。
送電電極ユニットおよび受電電極ユニットの各々において、第1の電極および第2の電極の各々は、複数の部分に分割されていてもよい。当該複数の部分は、同一の方向に延びた構造を有し、ほぼ平行に配置され得る。当該複数の部分には、同位相の交流電圧が印加される。これらの電極の隣り合う任意の2つの部分には、互いに逆位相の交流電圧が印加される。言い換えれば、第1の電極の部分と第2の電極の部分とが、交互に配列される。そのような構成によれば、第1の電極と第2の電極との境界上の漏洩電界を抑制する効果も得ることができる。第1および第2の電極の少なくとも一方が2つの部分に分割された構成では、電力伝送に寄与する電極が実質的に3つ以上存在することになる。このような構成に言及するときには、それらの3つの電極を「電極群」と称する。
本開示の他の態様に係る送電装置は、上記の電極ユニットと、電力変換回路とを備える。電力変換回路は、電源から出力された電力を、伝送用の交流電力に変換して出力する。送電装置は、複数の並列キャパシタの少なくとも1つの接続/非接続の状態を切り替えることによってキャパシタ群の合成キャパシタンスを調整する制御回路を備えていてもよい。
本開示のさらに他の態様に係る受電装置は、上記の電極ユニットと、電力変換回路とを備える。電力変換回路は、整合回路から出力された交流電力を、他の形態の電力に変換して出力する。受電装置は、複数の並列キャパシタの少なくとも1つの接続/非接続の状態を切り替えることによってキャパシタ群の合成キャパシタンスを調整する制御回路を備えていてもよい。
本開示のさらに他の態様に係る無線電力伝送システムは、送電装置と、受電装置とを備える。送電装置および受電装置の一方または両方は、前述の電極ユニットを備える。送電装置および受電装置の一方または両方は、少なくとも1つの接続/非接続の状態を切り替えることによってキャパシタ群の合成キャパシタンスを調整する制御回路を備えていてもよい。
本開示のさらに他の態様に係る制御方法は、前記無線電力伝送システムにおける前記送電装置および/または前記受電装置における前記並列キャパシタ群の接続の組み合わせと電力伝送特性との関係を示すデータを、前記送電装置および/または前記受電装置から収集するステップと、収集した前記データに基づいて、前記並列キャパシタ群の接続の可能な組み合わせの中から1つの組み合わせを決定するステップと、前記送電装置が前記受電装置に電力を伝送する次の機会に、前記送電装置および/または前記受電装置の前記制御回路に、決定した前記並列キャパシタ群の接続の前記組み合わせを選択させるステップと、を含む。
前記無線電力伝送システムは、複数の送電装置および複数の受電装置を備えていてもよい。前記複数の送電装置の各々は、前記電極ユニットと、複数の並列キャパシタの少なくとも1つの接続/非接続の状態を切り替える制御回路とを備え得る。前記制御方法は、各送電装置における前記並列キャパシタ群の接続の組み合わせと、前記送電装置から各受電装置への電力伝送特性との関係を示すデータを、各送電装置から収集するステップと、収集した前記データに基づいて、前記並列キャパシタ群の接続の可能な組み合わせの中から1つの組み合わせを、前記送電装置と前記受電装置のペア毎に決定するステップと、前記並列キャパシタ群の接続の組み合わせが決定された送電装置と受電装置との電力伝送が行われる次の機会に、前記送電装置の前記制御回路に、決定した前記並列キャパシタ群の接続の前記組み合わせを選択させるステップとを含んでいてもよい。
受電装置は、例えば移動体に搭載され得る。本開示における「移動体」は、前述の搬送ロボットのような車両に限定されず、電力によって駆動される任意の可動物体を意味する。移動体には、例えば、電気モータおよび1以上の車輪を備える電動車両が含まれる。そのような車両は、例えば、前述の搬送ロボットなどの無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)、電気自動車(EV)、電動カート、電動車椅子であり得る。本開示における「移動体」には、車輪を有しない可動物体も含まれる。例えば、二足歩行ロボット、マルチコプターなどの無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV、所謂ドローン)、有人の電動航空機、およびエレベータも、「移動体」に含まれる。
以下、本開示の実施形態をより詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似の構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態1)
図6は、本開示の例示的な実施形態における電極ユニット50の基本的な構成を模式的に示す図である。図6には、電極ユニット50の外部の要素である電力変換回路60も示されている。電極ユニット50および電力変換回路60は、電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置に搭載されて使用される。
電極ユニット50は、第1の電極20aおよび第2の電極20bと、整合回路80とを備える。整合回路80は、電力変換回路60と電極20a、20bとの間に接続される。電極20a、20bは、送電電極対または受電電極対として機能する。
電力変換回路60は、第1の端子60aおよび第2の端子60bを備える。電力変換回路60が送電装置に設けられる場合、電力変換回路60は、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して第1の端子60aおよび第2の端子60bから出力する。送電装置に設けられる電力変換回路60は、例えばインバータ回路であり得る。電力変換回路60が受電装置に設けられる場合、電力変換回路60は、第1の端子60aおよび第2の端子60bに入力された交流電力を、負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力する。受電装置に設けられる電力変換回路60は、例えば整流回路であり得る。
整合回路80は、第1の配線40aと、第2の配線40bと、キャパシタ群90とを備える。第1の配線40aは、第1の電極20aと第1の端子60aとの間に配置される。第2の配線40bは、第2の電極20bと第2の端子60bとの間に配置される。ここで、配線が2つの要素の「間に配置される」とは、それらの要素同士を電気的に接続することを意味する。第1の端子60aと第1の電極20aとの間、および第2の端子60bと第2の電極20bとの間の接続は、間接的な接続であってもよい。例えば、間にキャパシタ、インダクタ、フィルタ回路、またはトランス(tranformer)などの任意の回路要素を介してそれらが接続されていてもよい。
キャパシタ群90は、第1の配線40aと第2の配線40bとの間に接続されている。キャパシタ群90は、電力伝送時に、第1の端子60aおよび第2の端子60bに印加される電圧よりも高い電圧が印加される部位に接続される。言い換えれば、キャパシタ群90には、電力変換回路60の端子60a、60b間の電圧よりも高い電圧が印加される。
図6には示されていないが、電力変換回路60とキャパシタ群90との間には、電圧変換(すなわち昇圧または降圧)を行う回路部分が配置され得る。キャパシタ群90に印加される電圧は、例えば端子60a、60b間の電圧の2.14倍よりも大きい。例えば200Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流低圧基準上限値の600Vとした場合の比率が上記値となる。また、別の例としては、100Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流低圧基準上限値の600Vとした場合の比率から、V1/V0>4.28が満たされる。また、別の例としては、100Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流高圧基準上限値の7000Vとした場合の比率から、V1/V0<50が満たされてもよい。また、別の例としては、200Vの交流電源から供給される交流エネルギーを平滑した直流エネルギーを電力源として用い、線路間電圧差が交流高圧基準上限値の7000Vとした場合の比率から、V1/V0<25が満たされてもよい。もちろん、線路間電圧差が特別高圧基準に相当する7000V以上の値となっても安全上の配慮がなされた場合、本開示の実施形態の設計における上記倍率V1/V0の範囲上限を制限するものではない。
図6に示すキャパシタ群90は、整合回路80に含まれる共振回路の一部であり得る。当該共振回路は、キャパシタ群90以外にも、例えば1つ以上のインダクタを含み得る。共振回路は、例えば図3に示す共振回路140p、230p、および図4に示す整合回路180、280のいずれかにおけるキャパシタを、キャパシタ群90に置換した構造を備え得る。
キャパシタ群90は、第1の配線40aと第2の配線40bとの間において直列に接続された第1のキャパシタCaおよび並列キャパシタ群92を含む。並列キャパシタ群92は、互いに並列に配置された複数の並列キャパシタCp1、Cp2を含む。図6に示す例では、並列キャパシタの個数は2であるが、3以上であってもよい。複数の並列キャパシタの少なくとも1つは、第1の配線40aと第2の配線40bとの間の経路への接続/非接続の状態を切り替えることができるように構成される。図6の例では、2つの並列キャパシタのうちの一方の並列キャパシタCp2が、接続/非接続の状態を切り替えるスイッチSWを含む。なお、本明細書では、スイッチが並列キャパシタに接続され、その並列キャパシタの経路への接続および切断を切り替えることができる場合、「並列キャパシタがスイッチを含む」と表現することがある。以下の説明では、キャパシタを表す参照符号Ca、Cp1、Cp2等は、そのキャパシタのキャパシタンスの値を表す記号としても用いる。後述するインダクタについても同様に、インダクタを表す参照符号を、そのインダクタのインダクタンスの値を表す記号としても用いる。
並列キャパシタ群92を構成する各並列キャパシタCp1、Cp2の入出力端に印加される電圧と、第1のキャパシタCaの入出力端に印加される電圧との間には、分圧条件が成立している。すなわち、並列キャパシタCp1、Cp2の合成キャパシタンスCpcpとキャパシタンスCaの関係から、並列キャパシタ群92の一部を非導通とした場合にスイッチの両端に印加される電圧が決定される。このことから、並列キャパシタ群92に含まれる複数の並列キャパシタの合成キャパシタンスCpcpは、第1のキャパシタCaのキャパシタンスよりも高い値に設定されることが好ましい。各並列キャパシタのキャパシタンスは、第1のキャパシタCaのキャパシタンスの、例えば2倍以上であり得る。ある例において、各並列キャパシタのキャパシタンスは、第1のキャパシタCaのキャパシタンスの5倍から100倍程度の値であり得る。この倍率が高いほど、各並列キャパシタおよびスイッチSWに印加される電圧が小さくなり、スイッチSWを破壊するリスクを低減できる。キャパシタCp2のキャパシタンスは、キャパシタCp1のキャパシタンスの、例えば0.2倍から100倍程度の値に設定され得る。ただしこの範囲から外れていても正常に機能し得る。極端に小さい値に設定しても合成容量の補正幅が限定されてしまうし、極端に高い値を設定しても容量回路の巨大化を招く割に合成容量の変動幅は飽和してしまう。このため、上記範囲が実用的に妥当な範囲といえる。本実施形態におけるキャパシタ群90が実現する合成キャパシタンスの可変幅は、キャパシタ群90が一部をなす共振回路の別の構成要素であるインダクタのインダクタンスのばらつき幅と同程度に設定されうる。このルールに従い、本実施形態の無線電力伝送システム内の共振回路内の共振周波数を設計値に近い値に適切に維持することが可能となる。
一例として、Ca=174pF、Cp1=3321pF、Cp2=3280pFの場合を考える。キャパシタ群90に印加される電圧(ピーク値を意味する。以下同じ。)を、例えば5kVとする。この場合、キャパシタCp2のスイッチがオフのとき、キャパシタCaには4.75kVの電圧が印加され、キャパシタCp1には250Vの電圧が印加される。キャパシタCp2のスイッチがオンのときには、キャパシタCaには4.87kVの電圧が印加され、キャパシタCp1およびCp2には130Vの電圧が印加される。図5Bの構成を採用した場合には、同じ電圧条件では、スイッチに5kVの耐圧性能が必要である。これに対し、図6の構成を採用した場合には、スイッチには250V程度の耐圧性能があればよい。すなわち、スイッチの耐圧性能を1/20程度に低減できる。ここで、例えば両端電圧の一つの目安として、交流低圧基準上限値の600Vおよび交流高圧基準上限値の7000Vが挙げられる。一方、安価で低損失な半導体スイッチが利用可能な耐圧レンジとして、例えば250Vおよび500V、といった値が挙げられる。並列キャパシタ群92におけるキャパシタンスCp1、Cp2と第1のキャパシタのキャパシタンスCaは、上記関係を基に適切に設定される。
このように、図6の構成を採用することにより、スイッチに要求される耐圧性能を大きく低減することができる。このため、汎用的な半導体スイッチを用いて、キャパシタ群90の合成キャパシタンスを調整することができる。
図6に示すキャパシタ群90の構成は一例にすぎず、様々な変形が可能である。以下、キャパシタ群90の他の構成例を説明する。
図7は、電極ユニット50の他の例を示す図である。この例では、キャパシタ群90は、第2のキャパシタCbをさらに含む。第2のキャパシタCbは、第1のキャパシタCaおよび並列キャパシタ群92に直列に接続されている。第1のキャパシタCaは、第1の配線40aに直接接続されている。第2のキャパシタCaは第2の配線40bに直接接続されている。並列キャパシタ群92は、第1のキャパシタCaと第2のキャパシタCbとの間に接続されている。
並列キャパシタCp2は、スイッチによってオン/オフの制御が可能である。この制御は、外部の制御回路からスイッチに入力される制御信号によって行われる。スイッチは、例えばMOSFETまたはIGBTなどの半導体スイッチであり得る。制御回路は、スイッチに制御信号を送ることにより、オン/オフの切り替えを行う。
この例では、各並列キャパシタCp1、Cp2のキャパシタンスは、第1のキャパシタCaおよび第2のキャパシタCbの各々のキャパシタンスよりも高い。各並列キャパシタCp1、Cp2のキャパシタンスは、第1のキャパシタCaおよび第2のキャパシタCbの各々のキャパシタンスの例えば2倍以上に設定され得る。
図7に示す構成によれば、キャパシタ群90の配置の対称性が高いため、スイッチSWの開放時にスイッチSWに印加される交流電圧が0V付近で推移する。そのため、外部の制御回路がスイッチSWに制御信号を印加しやすいという利点がある。この効果を最大化するためにも、第1のキャパシタCaおよび第2のキャパシタCbの値は等しく設定されうる。
前述のように、並列キャパシタ群92は、3つ以上の並列キャパシタを含んでいてもよい。その場合、3つ以上の並列キャパシタの少なくとも2つは、接続/非接続の状態を切り替えることができるように構成され得る。
図8は、並列キャパシタ群92が3つの並列キャパシタを含む例を示す図である。この例では、図6の例と比較して、並列キャパシタの数が3個に増加している。スイッチ付きの並列キャパシタCp3が追加されている。並列キャパシタCp1は、スイッチを介することなく第1のキャパシタCaに直列に接続されている。並列キャパシタCp2およびCp3の各々は、スイッチによって経路への接続/非接続を切替えることができる。キャパシタCp1、Cp2、Cp3のキャパシタンスは、キャパシタCaのキャパシタンスよりも大きい値に設定され得る。キャパシタCp1、Cp2、Cp3のキャパシタンスは、同一の値に設定されていてもよいし、全て異なる値に設定されていてもよい。
図9は、電極ユニットの他の構成例を示す図である。この例では、図7の例と比較して、並列キャパシタの数が3個に増加している。並列キャパシタCp1は、スイッチを介することなく第1のキャパシタCaおよび第2のキャパシタCbに直列に接続されている。並列キャパシタCp2およびCp3の各々は、スイッチによって経路への接続/非接続を切替えることができる。キャパシタCp1、Cp2、Cp3のキャパシタンスは、キャパシタCa、Cbのキャパシタンスよりも大きい値に設定される。キャパシタCp1、Cp2、Cp3のキャパシタンスは、同一の値に設定されていてもよいし、全て異なる値に設定されていてもよい。
図6および図7に示す構成では、並列キャパシタ群92の選択可能な状態、すなわち選択可能な合成キャパシタンスの数は2である。これに対し、図8および図9に示す構成では、並列キャパシタ群92の選択可能な状態の数が4に増加する。このため、共振周波数の更なる微調整が可能である。
オン/オフの切り替えが可能で且つ異なるキャパシタンスをもつ並列キャパシタの数をNとすると、選択可能なキャパシタンスの状態数は、2で表される。N=1の場合は状態数は2であるが、N=2の場合は状態数は4になり、N=3の場合は状態数は8になる。Nが増加するにつれて、選択可能な状態の数が飛躍的に増加し、共振周波数の微調整が容易になる。
本実施形態の電極ユニット50において、共振回路の一部を構成するインダクタのインダクタンスLintがΔLだけ変動した場合を考察する。インダクタは製造ばらつきによる特性変動が特に大きい。例えばΔL/Lintが±10%程度に達することは、量産時には容易に発生しうる。仮に10%のΔL/Lintを補正して設計時の適切な共振条件が維持されるためには、本実施形態におけるキャパシタ群90も当初の設計値Cintに対し10%近い変動幅となるΔCを持たなければならない。キャパシタ群90における選択可能なスイッチ状態の数が2の場合、生成しうる共振周波数は、以下のf1pおよびf1mの2つである。
Figure 2019176621
Figure 2019176621
ΔLが正であった場合、後者のf1pが選択されることになる。一方、製造ばらつきが例えば何等かの統計的な分布(例えば正規分布等)に従うと仮定すると、量産時に用いられる大部分のインダクタは、ばらつき幅の上限値ほどばらつかずに導入されることにもなる。仮に、設計値通りのインダクタンスLintでインダクタが実現されたとすると、キャパシタ群90における選択可能なスイッチ状態の数が2の場合に生成しうる共振周波数は、以下のf1pおよびf1mになってしまう。
Figure 2019176621
Figure 2019176621
仮にインダクタの製造ばらつきが大きいことを見越して、ΔCを大きく設定してしまうと、f1pとf2pとも、当初の設計共振周波数である以下の値f1intから大きく逸脱することになる。
Figure 2019176621
このような場合、電力伝送特性の大きな劣化を招きかねない。このため、本実施形態におけるキャパシタンスの可変可能な状態数を2から3以上の値に増加させることで飛躍的にシステムの歩留まりを増大させることが可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、整合回路80内のインダクタまたはキャパシタなどの回路素子の特性が設計された特性からずれていたとしても、事後的にそのずれを補償することができる。結果として、電極ユニットを備える装置の歩留まりを改善することができる。
電極ユニットは、送電装置および受電装置の一方に設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。送電装置および受電装置の両方が上記の電極ユニットを備える場合、送電装置および受電装置の各々で、上記のキャパシタンスの調整を行い、伝送特性を最適化することができる。ここで、送電装置における並列キャパシタ群の選択可能な状態数をNtとし、受電装置における並列キャパシタ群の選択可能な状態数をNrとする。システム全体で選択可能なキャパシタンスの組み合わせは、2(Nt+Nr)で表される。NtおよびNrが大きいほど、回路素子の特性のばらつきの影響を低減し易くなる。
一例として、図4に示す回路構成の無線電力伝送システムにおいて、キャパシタCt1およびCr1の各々に、本実施形態における可変整合回路の構成を適用した場合の品質性能を解析によって見積もった。本解析では、製造時のばらつきによる各インダクタのインダクタンス値の設計値からの変動率を±10%、各キャパシタのキャパシタンス値の設計値からの変動率を±5%とした。対向する送電電極対と受電電極対との間の結合時の容量は80pFとした。周波数485kHzおよび入力電圧200Vの条件で2kWの電力が出力されるようにシステムを動作させた場合の効率を性能指標とした。実施例として、(Nt,Nr)=(1,1),(1,2),(2,1),(2,2)の4パターンについて解析した。比較例として、本実施形態の可変整合回路構成を採用しなかった場合(Nt=0、Nr=0の場合)についても解析した。整合回路内の各受動素子群の定数(インダクタンスおよびキャパシタンス)が正規分布に従ってばらついた場合に、効率の低下率が5%以内に収まった条件の発生比率を製造歩留まりとした。ここで、各実施例では、半導体スイッチ部に印加される電圧を線路間に印加される電圧の400分の1程度に低減し、250Vの耐圧性能を持つ半導体スイッチで実現可能な構成とした。また、並列キャパシタ群における並列キャパシタンスの配分は、条件を探索した結果、歩留まりが最大化した条件にそれぞれ設定した。
Figure 2019176621
表1に示すように、Nt=0,Nr=0の比較例では、歩留まりが22.5%に留まった。これに対し、Nt=1,Nr=1の実施例では、歩留まりが30.5%に改善した。Nt=1,Nr=2の実施例およびNt=2,Nr=1の実施例では、歩留まりが47.3%に改善した。さらに、Nt=2,Nr=2の実施例では、歩留まりが60.7%に改善した。以上の結果から、本実施形態における可変整合回路を適用することの有効性が確認された。
次に、電極ユニットにおける整合回路80の構成のより具体的な例を説明する。
図10は、電極ユニットの他の構成例を示す図である。この例における整合回路80は、図4に示す共振回路の構成に、図9に示すキャパシタ群90の構成を適用した構造を有する。この例における整合回路80は、第1のインダクタLt1と、第2のインダクタLt2とをさらに備える。第1のインダクタLt1は、第1の配線40aを介して第1の電極20aに接続され、第1の電極20aに接続される端子とは反対の側の端子において、電力変換回路60の第1の端子60aに直接的または間接的に接続される。第2のインダクタLt2は、第2の配線40bを介して第2の電極20bに接続され、第2の電極20bに接続される端子とは反対の側の端子において、電力変換回路60の第2の端子60bに直接的または間接的に接続される。キャパシタ群90は、第1の配線40aにおける、第1のインダクタLt1と第1の電極20aとの間の部位と、第2の配線40bにおける、第2のインダクタLt2と第2の電極20bとの間の部位との間に接続されている。
電力変換回路60とインダクタLt1またはLt2との間には、他のインダクタ、キャパシタ、フィルタ回路、または変圧器などの回路要素が挿入され得る。その場合、インダクタLt1またはLt2は、電力変換回路60の端子60aまたは60bに、間接的に接続される。
第1のインダクタLt1と第2のインダクタLt2との結合係数kは、例えば−1<k<0を満足する値に設定され得る。結果として、第1のインダクタLt1および第2のインダクタLt2は、コモンモードチョークフィルタの機能を果たしてもよい。これにより、電極側へ出力される不要輻射の要因となり得るコモンモードノイズの強度を低減することもできる。
この例における整合回路80においては、インダクタLt1とLt2が結合係数kで磁気的に結合した上で、結果としてインダクタLt1とLt2の対において発生する漏れインダクタンスとキャパシタCt1のキャパシタンスとが共振ループを構成する。コモンモードチョーク共振器の共振周波数f0、インダクタンスLt1、Lt2、およびキャパシタンスCt1は、以下の数6の関係を満たす。
Figure 2019176621
実際の設計においては、電力変換回路60の側に追加される回路および電極20a、20bの側に追加される回路の影響、および入出力のインピーダンスなどの関係から、厳密には上式の値と実際の共振周波数との間に差異が生じる場合がある。その場合でも、共振周波数は、上式の値から概ね50%以内の誤差の範囲になるように設計される。また、コモンモードチョーク共振器の共振周波数f0と伝送周波数f1がほぼ等しく設定される。したがって、伝送される交流電力の周波数f1は、例えば数6に示すf0の値の0.5倍から1.5倍の範囲内の値に設定され得る。
コモンモードチョーク共振器内において、インダクタンスLt1およびLt2は、例えばほぼ同じ値に設定される。一般的なインダクタの製造ばらつきの範囲を±20%以内とすると、インダクタンスLt1とLt2との差は、例えば40%以内に設定される。言い換えれば、Lt1とLt2との差は、Lt1およびLt2の平均値の0.4倍よりも小さい。より好ましくはインダクタンスLt1とLt2との差は±10%以内に設定される。この場合、Lt1とLt2との差は、Lt1およびLt2の平均値の0.1倍よりも小さい。本開示の実施形態の無線電力伝送システムにおいて、電極面積の拡大に制約がある中、省面積で大電力を伝送するには、コモンモードチョーク共振器の出力端に接続される電極20aと電極20bの電圧位相差が180度を保つことが好ましい。インダクタンスLt1とLt2を等しく保つことが本開示の実施形態の無線電力伝送システムにおける回路対称性の維持につながり、より好ましい効果をもたらす。
電力伝送時において、電力変換回路60から出力される交流電力または電力変換回路60に入力される交流電力の電圧の実効値をV0、第1の電極20aと第2の電極20bとの間の電圧の実効値をV1とする。このとき、前述のように、例えば2.1<V1/V0<50が満たされる。整合回路80が送電装置に設けられる場合、整合回路80は、昇圧比V1/V2の昇圧回路として機能する。整合回路80が受電装置に設けられる場合、整合回路80は、降圧比V0/V1の高圧回路として機能する。
図10では、キャパシタ群90の構成が、図9に示す構成と同じであるが、これに限定されない。例えば、図6から図8のいずれかに示すキャパシタ群90の構成を適用してもよい。また、並列キャパシタの個数は4個以上であってもよい。並列キャパシタの個数が例えば4個の場合、並列キャパシタのうちの少なくとも3個のキャパシタは、異なるキャパシタンスをもつ。それらのキャパシタは、スイッチによって接続/非接続を切り替えることができるように構成され得る。
整合回路80は、図10に示す要素以外の回路素子を含んでいてもよい。図11Aから図11Fを参照しながら、整合回路80の他の例を説明する。図11Aから図11Fにおいて、キャパシタ群90は、1つのブロックとして簡略化して表されている。
図11Aは、整合回路80の第1の変形例を示す図である。この整合回路80は、キャパシタCt2、Ct3と、第3のインダクタLt3とをさらに備える。キャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。キャパシタCt3は、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間に直列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1とキャパシタCt2との間の配線と、第2のインダクタLt2とキャパシタCt3との間の配線との間に並列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3は、キャパシタ群90に並列に接続されている。この構成は、図10に示す整合回路の構成の前段に、対称的な回路構成を有するハイパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によれば、伝送効率をさらに向上させることができる。
図11Bは、整合回路80の第2の変形例を示す図である。この整合回路80は、キャパシタCt2と、第3のインダクタLt3とをさらに備える。キャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1とキャパシタCt2との間の配線と、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間の配線との間に並列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3は、キャパシタ群90に並列に接続されている。この構成は、図10に示す整合回路の構成の前段に、非対称な回路構成を有するハイパスフィルタが追加された構成であると言える。図11Aの構成と比較して、回路の正負対称性は低下するが素子数を削減することが可能である。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。
図11Cは、整合回路80の第3の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3と、キャパシタCt2とをさらに備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。キャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第3のインダクタLt3との間の配線と、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間の配線との間に並列回路素子として接続される。この構成は、図10に示す整合回路の構成の前段に、非対称な回路構成を有するローパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。
図11Dは、整合回路80の第4の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3と、第4のインダクタLt4と、キャパシタCt2とを備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第4のインダクタLt4は、第2のインダクタLt2と第2の端子60bとの間に直列回路素子として接続される。キャパシタCt2は、第1のインダクタLt1と第3のインダクタLt3との間の配線と、第2のインダクタLt2と第4のインダクタLt4との間の配線との間に並列回路素子として接続される。第3のインダクタLt3と、第4のインダクタLt4は、例えば負の結合係数で結合するように設計され得る。この構成は、図10に示す整合回路の構成の前段に、対称的な回路構成を有するローパスフィルタが追加された構成であると言える。このような構成によっても伝送効率をさらに向上させることができる。なお、図11Dの構成は、図10に示すコモンモードチョーク共振器が多段接続された構成であるとも見做せる。接続されるコモンモードチョーク共振器の段数は2に限らず、3以上であってもよい。
図11Eは、整合回路80の第5の変形例を示す図である。この整合回路80は、第3のインダクタLt3をさらに備える。第3のインダクタLt3は、第1のインダクタLt1と第1の端子60aとの間に直列回路素子として接続される。第1のインダクタLt1と第2のインダクタLt2との間の結合に加え、例えば第2のインダクタLt2と結合しないインダクタが整合のために必要となる場合、このような構成によっても伝送効率を向上させることができる。
図11Fは、整合回路80の第6の変形例を示す図である。この整合回路80は、電力変換回路に接続される直列共振回路130sと、直列共振回路130sに磁気的に結合する並列共振回路140pとをさらに備える。並列共振回路140pは、第1のインダクタLt1および第2のインダクタLt2に接続されている。この構成は、図10に示す整合回路の構成の前段に、図3に示す共振回路130s、140pが追加された構成であると言える。このような構成によれば、変圧比をさらに高め、良好な特性を実現することができる。
図11Gは、整合回路80の第7の変形例を示す図である。この整合回路80は、図3に示す整合回路180、280におけるキャパシタC2またはC3を、キャパシタ群90に置換した構造を備える。整合回路80は、キャパシタ群90に並列に接続された並列インダクタL2をさらに備える。並列インダクタL2およびキャパシタ群90は、並列共振回路140pの一部である。整合回路80は、電力変換回路の端子60aおよび端子60bに接続される直列共振回路130sをさらに備える。直列共振回路130sは、直列に接続されたインダクタL1およびキャパシタC1を含む。直列共振回路130sおよび並列共振回路140pは、磁気的に結合し、昇圧回路または降圧回路として機能する。このような構造であっても、本実施形態の効果を得ることができる。
前述の各整合回路は、送電装置にも受電装置にも用いられ得る。各整合回路が送電装置に用いられる場合、図の右側の2つの端子は2つの送電電極にそれぞれ接続され、端子60a、60bは例えばインバータ回路の端子であり得る。各整合回路が受電装置に用いられる場合、図の右端の2つの端子は2つの受電電極に接続され、端子60a、60bは例えば整流回路の端子であり得る。
(実施形態2)
次に、電極ユニットを搭載した送電装置および受電装置を備える無線電力伝送システムの構成例を説明する。
図12は、実施形態2における無線電力伝送システムの構成を示す図である。本実施形態の無線電力伝送システムは、図1および図2を参照して説明した移動体10への給電の用途に利用される。
無線電力伝送システムは、送電装置100と、受電装置200とを備える。図12には、本システムの外部の要素である電源310および負荷330も示されている。電源310および負荷330は、無線電力伝送システムに含まれていてもよい。
送電装置100は、第1の電力変換回路110と、第1の整合回路180と、2つの送電電極120a、120bと、制御回路150とを備える。第1の整合回路180は、第1の電力変換回路110と2つの送電電極120a、120bとの間に接続されている。第1の整合回路180は、図10に示す整合回路80と同様の構成を有する。第1の整合回路180は、インダクタLt1、Lt2と、キャパシタ群190とを含む。インダクタLt1は、電力変換回路110の一方の端子110aと一方の送電電極120aとの間に接続されている。インダクタLt2は、電力変換回路110の他方の端子110bと他方の送電電極120bとの間に接続されている。キャパシタ群190は、インダクタLt1と送電電極120aとの間の配線と、インダクタLt2と送電電極120bとの間の配線との間に接続されている。
受電装置200は、2つの受電電極220a、220bと、第2の整合回路280と、第2の電力変換回路210と、制御回路250とを備える。第2の整合回路280は、2つの受電電極220a、220bと第2の電力変換回路210との間に接続されている。第2の整合回路280も、図10に示す整合回路80と同様の構成を有する。第2の整合回路280は、インダクタLr1、Lr2と、キャパシタ群290とを含む。インダクタLr1は、電力変換回路210の一方の端子210aと一方の受電電極220aとの間に接続されている。インダクタLr2は、電力変換回路210の他方の端子210bと他方の受電電極220bとの間に接続されている。キャパシタ群290は、インダクタLr1と受電電極220aとの間の配線と、インダクタLr2と受電電極220bとの間の配線との間に接続されている。
以下、各構成要素をより詳細に説明する。なお、インダクタを表す参照符号Lt1、Lt2、Lr1、Lr2は、そのインダクタのインダクタンス値を表す記号としても用いる。以下の説明において、送電電極120a、120bを区別せずに「送電電極120」と記載することがある。同様に、受電電極220a、220bを区別せずに「受電電極220」と記載することがある。
図1に示す移動体10の筐体、送電電極120a、120b、および受電電極220a、220bのそれぞれのサイズは、特に限定されないが、例えば以下のサイズに設定され得る。送電電極120a、120bの長さ(図1に示すY方向のサイズ)は、例えば50cmから20mの範囲内に設定され得る。送電電極120a、120bのそれぞれの幅(図1に示すX方向のサイズ)は、例えば0.5cmから1mの範囲内に設定され得る。移動体10の筐体の進行方向および横方向におけるそれぞれのサイズは、例えば、20cmから5mの範囲内に設定され得る。受電電極220a、220bのそれぞれの長さ(すなわち、進行方向におけるサイズ)は、例えば5cmから2mの範囲内に設定され得る。受電電極220a、220bのそれぞれの幅(すなわち、横方向におけるサイズ)は、例えば2cmから2mの範囲内に設定され得る。送電電極対の間のギャップ、および受電電極対の間のギャップは、例えば1mmから40cmの範囲内に設定され得る。送電電極120a、120bと受電電極220a、220bとの間の距離は、例えば5mmから30mm程度であり得る。但し、これらの数値範囲に限定されない。
負荷330は、例えば駆動用の電気モータ、および蓄電用のキャパシタまたは二次電池を含み得る。負荷330は、電力変換回路210から出力された直流電力によって駆動または充電される。
電気モータは、直流モータ、永久磁石同期モータ、誘導モータ、ステッピングモータ、リラクタンスモータなどの、任意のモータであり得る。モータは、シャフトおよびギア等を介して移動体10の車輪を回転させ、移動体10を移動させる。モータの種類に応じて、電力変換回路210は、整流回路、インバータ回路、インバータ制御回路などの、各種の回路を含み得る。電力変換回路210は、交流モータを駆動するために、受電したエネルギー(すなわち交流電力)の周波数を、モータを駆動するための周波数に直接変換するコンバータ回路を含んでいてもよい。
蓄電用のキャパシタは、例えば電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタなどの、高容量かつ低抵抗のキャパシタであり得る。このようなキャパシタを蓄電器として用いることにより、二次電池を用いた場合よりも、急速な充電が可能である。キャパシタに代えて、リチウムイオン電池等の二次電池を用いてもよい。その場合、充電に要する時間は増加するが、より多くのエネルギーを蓄えることができる。移動体10は、キャパシタまたは二次電池に蓄えられた電力によってモータを駆動して移動する。
移動体10が移動すると、キャパシタまたは二次電池の蓄電量が低下する。このため、移動を継続するためには、再充電が必要になる。そこで、移動体10は、移動中に充電量が所定の閾値を下回ると、送電装置100の近傍まで移動し、充電を行う。この移動は、不図示の中央管理装置による制御の元で行われてもよいし、移動体10が自律的に判断して行ってもよい。送電装置100は、工場内の複数の箇所に設置され得る。
送電装置100における整合回路180は、電力変換回路110のインピーダンスと送電電極120a、120bのインピーダンスとを整合させる。インダクタLt1とインダクタLt2は、所定の結合係数で結合するコモンモードチョークフィルタとして機能し得る。これらのインダクタLt1、Lt2のインダクタンス値は、ほぼ等しい値に設定されている。
図13は、2つのインダクタLt1、Lt2の構成例を模式的に示す図である。この例では、2つのインダクタLt1、Lt2が、リング状またはトロイダル状の磁性体であるコア410の周囲に巻回されている。コア410は、例えば軟磁性のフェライトコアであり得る。インダクタLt1、Lt2は、コア410を介して負の結合係数を実現する向きに配置されている。具体的には、インダクタLt1、Lt2の結合係数をkとすると、−1<k<0である。結合係数kが−1に近いほど、伝送効率の観点からは良好な特性が得られる。また、インダクタLt1、Lt2に図13の左側入出力端子から同相の電流が入力された場合、図13右側の出力端子へは同相の電流が出力されない。このような構成により、回路前段で発生し得るコモンモードノイズが後段に伝達される確率を抑圧できる。
インダクタLt1、Lt2は、必ずしも図13のような構造を有していなくてもよい。インダクタLt1,Lt2の各々は、低損失特性を得るために空芯構造を有していてもよい。なお、結合係数は、例えばJISC5321に規定された方法で測定できる。
キャパシタ群190に含まれる各キャパシタのキャパシタンスは、インダクタLt1、Lt2の漏れインダクタンスとの間で共振するように設計され得る。インダクタLt1、Lt2およびキャパシタ群190によって構成されるコモンモードチョーク共振回路の共振周波数は、電力変換回路110が出力する交流電力の周波数f1に等しい値に設計され得る。この共振周波数は、例えば、伝送周波数f1の50〜150%程度の範囲内の値に設定されていてもよい。電力伝送の周波数f1は、例えば50Hz〜300GHz、ある例では20kHz〜10GHz、他の例では20kHz〜20MHz、さらに他の例では80kHz〜14MHzに設定され得る。
制御回路150は、例えばマイクロコントローラユニット(MCU)などの、プロセッサとメモリとを備えた回路であり得る。制御回路150は、電力変換回路110に含まれる各スイッチおよびキャパシタ群190に含まれる並列キャパシタに接続されたスイッチを制御する。各スイッチは、例えばトランジスタを含む半導体スイッチであり得る。制御回路150は、各スイッチに制御信号を送ることにより、各スイッチのオン/オフの切り替えを行うことができる。
受電装置200におけるインダクタLr1、Lr2およびキャパシタ群290も、送電装置100におけるインダクタLt1、Lt1およびキャパシタ群190とそれぞれ同様の構成を有する。受電装置200における制御回路250は、制御回路150と同様の構成を有する。制御回路250は、受電装置200におけるキャパシタ群290における並列キャパシタに接続されたスイッチを制御する。
各インダクタLt1、Lt2、Lr1、Lr2は、例えば、銅もしくはアルミニウムなどの材料によって形成されるリッツ線またはツイスト線などを用いた巻き線コイルであり得る。回路基板上に形成された平面コイルまたは積層コイルを用いてもよい。キャパシタ群190における各キャパシタには、例えばチップ形状またはリード形状を有するあらゆるタイプのキャパシタを利用できる。空気を介した2配線間の容量を各キャパシタとして機能させることも可能である。
図14は、送電装置100における電力変換回路110の構成例を模式的に示す図である。この例では、電源310は直流電源である。電力変換回路110は、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ型のインバータ回路を含む。各スイッチング素子は、例えばIGBTまたはMOSFET等のトランジスタによって構成され得る。制御回路150は、各スイッチング素子の導通(オン)および非導通(オフ)の状態を制御する制御信号を出力するゲートドライバと、ゲートドライバに制御信号を出力させるプロセッサとを有する。プロセッサは、例えばマイクロコントローラユニット(MCU)におけるCPUであり得る。図14に示すフルブリッジ型のインバータ回路の代わりに、ハーフブリッジ型のインバータ回路、または、E級などの他の発振回路を用いてもよい。
電力変換回路110は、通信用の変復調回路、および電圧・電流などを測定する各種のセンサなどの他の要素を有していてもよい。電力変換回路110が通信用の変復調回路を有する場合、交流電力に重畳してデータを受電装置200に送信することができる。電源310が交流電源の場合は、電力変換回路110は、入力された交流電力を、周波数または電圧の異なる電力伝送用の交流電力に変換する。
図15は、受電装置200における電力変換回路210の構成例を模式的に示す図である。この例では、電力変換回路210は、ダイオードブリッジと平滑コンデンサとを含む全波整流回路である。電力変換回路210は、他の整流器の構成を有していてもよい。電力変換回路210は、電力変換回路210の他にも、定電圧・定電流制御回路、通信用の変復調回路などの各種の回路を含んでいてもよい。電力変換回路210は、受け取った交流エネルギーを負荷330が利用可能な直流エネルギーに変換する。電圧・電流などを測定する各種センサが電力変換回路210に含まれていてもよい。負荷330が利用するエネルギーが交流エネルギーである場合は、電力変換回路210は、直流ではなく交流エネルギーを出力するように構成される。
電源310は、例えば、商用電源、一次電池、二次電池、太陽電池、燃料電池、USB(Universal Serial Bus)電源、高容量のキャパシタ(例えば電気二重層キャパシタ)、商用電源に接続された電圧変換器などの任意の電源であってよい。電源310は直流電源であっても交流電源であってもよい。
本実施形態における送電装置100におけるキャパシタ群190および受電装置200におけるキャパシタ群290の各々は、例えば図6から図11Gを参照して説明したいずれかの回路構成を有する。図6から図11Gにおいて1つのキャパシタとして表現されている素子は、単一のキャパシタに限らず、1つ以上のキャパシタと1つ以上のインダクタとの集合体であってもよい。キャパシタ群90は、図示されているキャパシタだけでなく、インダクタおよび抵抗器などの他の回路素子を含み得る。
次に、本実施形態の変形例を説明する。
整合回路180、280は、図12に示す構成に限らず、多様な変形が可能である。整合回路180、280の各々は、例えば図11Aから図11Gに示すような様々な構成を採り得る。
図16は、整合回路180、280の各々が、図11Dに示す構成を有する例を示している。この例のように、2つのインダクタと並列容量素子の組み合わせを多段接続することにより、伝送効率をさらに向上させることができる。
図17は、整合回路180が図11Cに示す構成を有し、整合回路280が図11Aに示す構成を有する例を示している。図18は、整合回路180が図11Eに示す構成を有し、整合回路280は図10と同様の構成を有する例を示している。これらの例のように、整合回路180、280が同様の回路構成を有している必要はない。
図19は、整合回路180、280の各々が、図11Fに示す構成を有する例を示している。送電側の整合回路180は、電力変換回路110と、コモンモードチョーク共振器との間に、直列共振回路130sおよび並列共振回路140pを備える。受電側の整合回路280は、電力変換回路210と、コモンモードチョーク共振器との間に直列共振回路230sおよび並列共振回路240pを備える。このようにトランスを利用することで、整合回路180の昇圧比および整合回路280の降圧比を増加させることが容易になる。より低い電圧の電源で電力変換回路10(例えば周波数変換回路)を駆動させることができれば、高価格なパワー半導体を必要とせず装置の低コスト化が図れる。また、結合電極部(すなわち電極120、220)での結合容量に制約がある場合でも、省面積の電極で大電力を送ることが可能となる。
本実施形態では、送電装置100および受電装置200の両方が、キャパシタ群190の合成キャパシタンスを調整する機能を有する。言い換えれば、送電装置100および受電装置200の両方において、共振周波数の調整が可能である。このため、各回路素子のインダクタンスまたはキャパシタンスが、設計された値からずれていたとしても、ずれの影響を低減できる。さらに、送電装置100と受電装置200との組み合わせが変化した場合でも、それらのキャパシタンスを最適な組み合わせに調整することで、伝送特性を最適化できる。
本実施形態の無線電力伝送システムでは、運用を開始する前に、所望の伝送特性を実現する最適なキャパシタンス条件を決定する電力伝送試験を実施することができる。そのような電力伝送試験は、例えば以下の流れで行われ得る。
図20は、電力伝送試験の動作の一例を示すフローチャートである。この例では、所望の伝送特性として、伝送効率を最大化する特性を実現するためのキャパシタ群の組み合わせを、送電装置が自動で決定する。
まず、送電装置と受電装置との位置合わせが行われる(ステップS100)。位置合わせとは、送電電極120と受電電極220とが対向する状態になるように、受電装置を移動させる動作を意味する。位置合わせは、例えばカメラもしくは距離センサを用いた画像処理、または送電回路もしくは受電回路内の電圧、電流、電力などの測定値の変動に基づいて行われ得る。
次に、制御回路150は、キャパシタ群の組み合わせを初期状態にして送電する(ステップS110)。初期状態とは、例えば並列キャパシタ群92のうち、スイッチが設けられていないキャパシタのみを導通状態にした状態であり得る。この送電は、通常の送電とは異なり、例えば試験用の微弱な送電であり得る。使用される周波数も、通常の送電時の周波数とは異なっていてもよい。制御回路150は、伝送効率を測定し、制御回路150内のメモリに記録する(ステップS120)。このステップS120は、キャパシタ群の組み合わせを変更しながら、その都度行われる(ステップS130、S140)。伝送効率は、例えば、送電装置100における電圧および電流の測定値から計算される送電電力と、受電装置200における電圧および電流の測定値から計算される受電電力との比から計算することができる。制御回路150は、受電装置200における受電電力を知るために、不図示の通信回路を介して、受電電力の情報を取得してもよい。
並列キャパシタ群の全ての組み合わせについて測定が完了すると(ステップS130におけるYes)、制御回路150は、伝送効率の測定結果を比較し、伝送効率が最大になる並列キャパシタの組み合わせを決定する(ステップS150)。そして、決定した組み合わせに含まれるキャパシタをオンに設定する(ステップS160)。
このように、制御回路150は、並列キャパシタ群のオン/オフの組み合わせを順次変化させ、変化させる度に伝送特性に依存するパラメータ(この例では伝送効率)を測定する。制御回路150は、当該パラメータの測定結果を比較して並列キャパシタ群のオン/オフの最適な組み合わせを決定する。このような動作により、電力伝送試験を自動で行うことができる。
図20に示す動作は、送電装置100における制御回路150に限らず、受電装置200における制御回路250が実行してもよい。送電装置100と受電装置200の各々がキャパシタンスの調整機能を有する場合、送電装置100と受電装置200の可能なキャパシタンスの各々について、伝送試験が行われ得る。
複数の送電装置と、複数の受電装置とを備える無線電力伝送システムにおいては、各送電装置および各受電装置を制御する管理装置が配置され得る。管理装置は、送電装置と受電装置のペア毎に、選択されたキャパシタンスと、電力伝送特性との関係を示すデータを収集してもよい。伝送特性とは、例えば、電力伝送の効率または電力、電圧などの特性である。各送電装置は、それぞれの受電装置に送電したときの伝送特性を示すデータと、そのときに選択された並列キャパシタの組み合わせを示すデータとを、管理装置に送信してもよい。管理装置は、送電装置と受電装置のペアごとに、送電装置および受電装置のキャパシタンスをどのように設定するかを決定し、送電装置および受電装置に指示してもよい。
図20に示す例では、送電装置は、受電装置に電力を伝送するとき、並列キャパシタの組み合わせを変更しながら予備的な電力伝送を行い、最も伝送効率の高い組み合わせを決定する。この動作における並列キャパシタの組み合わせの選択順序を、管理装置が決定してもよい。管理装置は、送電装置と受電装置のペアごとに、過去に選択された並列キャパシタの組み合わせと、伝送特性との関連を示すデータを収集している。そのデータを統計的に処理することにより、キャパシタの組み合わせの最適な順序を決定できる。
管理装置は、送電中に、送電装置または受電装置から、キャパシタンス状態の変化が及ぼす特性変動に関するデータを収集してもよい。収集したデータに基づいて、次に同じ送電装置と受電装置との組み合わせで電力伝送が行われるときに、過去に効率が低かったキャパシタンス状態の組み合わせを回避する制御を実行してもよい。言い換えれば、管理装置は、伝送効率が高い一部のキャパシタンス状態の組み合わせのみを、送電装置または受電装置に設定するように指示してもよい。
上記のようなデータの収集は、システムの敷設または導入時の試験充電時、または出荷前に行ってもよい。送電装置または管理装置の記録媒体に、送電装置と受電装置の組み合わせごとに最適なキャパシタンス状態を示すデータを記録してもよい。そのような調整を予め実行しておくことにより、さらに効率的な送電動作を実現できる。
なお、以上の構成および動作は一例にすぎず、様々な変形が可能である。例えば、キャパシタ群190に含まれるキャパシタの数および配置は適宜変更してもよい。並列キャパシタの少なくとも1つは、可変容量素子であってもよい。可変容量素子を用いる場合、スイッチを省略できる。可変容量素子と、スイッチによるオン/オフが可能な容量素子とを組み合わせてもよい。また、図20に示す動作を、複数の周波数のそれぞれについて実行し、最も伝送効率の高い並列キャパシタ群の組み合わせを決定してもよい。伝送効率に代えて、電力、電圧、発熱量などの、伝送特性に依存する他のパラメータの測定結果を比較して、所望の伝送特性を実現する最適な容量を決定してもよい。
以上の各実施形態におけるキャパシタンスの調整方法は、インダクタンスの調整方法にもそのまま適用することができる。例えば、各実施形態におけるキャパシタ群に含まれる各キャパシタをインダクタに置換した構成も可能である。
並列キャパシタ群または並列リアクタンス素子を設ける位置は、送電電極または受電電極に近接していなくてもよい。例えば、電力変換回路の端子間電圧よりも高い電圧が印加される部位にそれらが設けられていれば、前述の効果が有効である。
上記の実施形態における各電極は、同一の方向に平行に延びた構造を有しているが、用途によってはそのような構造でなくてもよい。例えば、各電極が、正方形などの矩形形状を有していてもよい。そのような矩形形状の複数の電極が一方向に並ぶ形態であれば、本開示の技術を適用できる。また、全ての電極の表面が同一平面上にあることは必須の要件ではない。さらに、各電極の表面は、完全に平面的な形状を有している必要はなく、例えば湾曲した形状または凹凸を含む形状を有していてもよい。そのような表面も、概略的に平面的であれば、「平面状の表面」と称する。また、各電極は、路面に対して傾斜していてもよい。
本開示の実施形態における無線電力伝送システムは、前述のように、工場内における物品の搬送用のシステムとして利用され得る。移動体10は、物品を積載する荷台を有し、工場内を自律的に移動して物品を必要な場所に搬送する台車として機能する。しかし、本開示における無線電力伝送システムおよび移動体は、このような用途に限らず、他の様々な用途に利用され得る。例えば、移動体は、AGVに限らず、他の産業機械、サービスロボット、電気自動車、フォークリフト、マルチコプター(ドローン)、エレベータ等であってもよい。無線電力伝送システムは、工場内に限らず、例えば、店舗、病院、家庭、道路、滑走路その他のあらゆる場所で利用され得る。
本開示の技術は、電力によって駆動される任意の機器に利用できる。例えば、電気自動車(EV)、工場で用いられる無人搬送車(AGV)、フォークリフト、無人航空機(UAV)、またはエレベータなどの移動体に利用され得る。
10 移動体
20a、20b 電極
30 床面
40a、40b 配線
50 電極ユニット
60 電力変換回路
60a、60b 端子
80 整合回路
90 キャパシタ群
92 並列キャパシタ群
100 送電装置
110 電力変換回路
120 送電電極
130 第1並列共振回路
130s 送電側直列共振回路
140 第2並列共振回路
140p 送電側並列共振回路
180 整合回路
200 受電装置
210 電力変換回路
220 受電電極
230 第3並列共振回路
230p 受電側並列共振回路
240 第4並列共振回路
240s 受電側直列共振回路
280 整合回路
310 電源
320 誘電体
330 負荷

Claims (18)

  1. 電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる電極ユニットであって、
    送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、
    前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路と、
    を備え、
    前記電力変換回路は、第1の端子および第2の端子を備え、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して前記第1および第2の端子から出力する、または、前記第1および第2の端子に入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力し、
    前記整合回路は、
    前記第1の電極と前記第1の端子との間の第1の配線と、
    前記第2の電極と前記第2の端子との間の第2の配線と、
    前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続されたキャパシタ群と、
    を備え、
    前記キャパシタ群は、前記第1および第2の配線のうち、電力伝送時に、前記第1および第2の端子に印加される電圧よりも高い電圧が印加される部位に接続され、
    前記キャパシタ群は、前記第1の配線と前記第2の配線との間において直列に接続された第1のキャパシタおよび並列キャパシタ群を含み、
    前記並列キャパシタ群は、互いに並列に配置された複数の並列キャパシタを含み、
    前記複数の並列キャパシタの少なくとも1つは、前記第1および第2の配線間の経路への接続/非接続の状態を切り替えることが可能である、
    電極ユニット。
  2. 前記複数の並列キャパシタの前記少なくとも1つの前記接続/非接続を切替えるスイッチをさらに備える、請求項1に記載の電極ユニット。
  3. 前記並列キャパシタ群に含まれる各並列キャパシタのキャパシタンスは、前記第1のキャパシタのキャパシタンスの2倍以上である、請求項1または2に記載の電極ユニット。
  4. 前記キャパシタ群は、前記第1のキャパシタおよび前記並列キャパシタ群に直列に接続された第2のキャパシタを含み、
    前記並列キャパシタ群は、前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとの間に接続されている、
    請求項1から3のいずれかに記載の電極ユニット。
  5. 前記並列キャパシタ群に含まれる各並列キャパシタのキャパシタンスは、前記第1および第2のキャパシタの各々のキャパシタンスの2倍以上である、請求項4に記載の電極ユニット。
  6. 前記並列キャパシタ群は、3つ以上の並列キャパシタを含み、
    前記3つ以上の並列キャパシタの少なくとも2つは、前記接続/非接続の状態を切り替えることが可能である、
    請求項1から5のいずれかに記載の電極ユニット。
  7. 前記複数の並列キャパシタのキャパシタンスは、全て異なっている、請求項1から6のいずれかに記載の電極ユニット。
  8. 前記整合回路は、昇圧または降圧を行う回路部分を含み、前記キャパシタ群に印加される電圧は、前記第1および第2の端子間の電圧の2.14倍よりも大きい、請求項1から7のいずれかに記載の電極ユニット。
  9. 前記整合回路は、
    前記第1の配線を介して前記第1の電極に接続され、前記第1の電極の反対側において、前記電力変換回路の前記第1の端子に直接的または間接的に接続される第1のインダクタと、
    前記第2の配線を介して前記第2の電極に接続され、前記第2の電極の反対側において、前記電力変換回路の前記第2の端子に直接的または間接的に接続される第2のインダクタと、
    をさらに備え、
    前記キャパシタ群は、前記第1の配線における前記第1のインダクタと前記第1の電極との間の部位と、前記第2の配線における前記第2のインダクタと前記第2の電極との間の部位との間に接続されている、
    請求項1から8のいずれかに記載の電極ユニット。
  10. 前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとの結合係数をkとするとき、
    −1≦k<0を満たす、
    請求項9に記載の電極ユニット。
  11. 前記整合回路は、前記キャパシタ群に並列に接続された並列インダクタをさらに備える、請求項1から10のいずれかに記載の電極ユニット。
  12. 前記並列インダクタおよび前記キャパシタ群は、並列共振回路の一部であり、
    前記整合回路は、前記電力変換回路の前記第1および第2の端子に接続される直列共振回路をさらに備え、
    前記直列共振回路および前記並列共振回路は、磁気的に結合し、昇圧または降圧を行う、請求項11に記載の電極ユニット。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の電極ユニットと、
    前記電力変換回路と、
    前記複数の並列キャパシタの前記少なくとも1つの前記接続/非接続の状態を切り替えることによって前記キャパシタ群の合成キャパシタンスを調整する制御回路と、
    を備え、
    前記電力変換回路は、前記電源から出力された電力を、前記交流電力に変換して出力する、
    送電装置。
  14. 請求項1から12のいずれかに記載の電極ユニットと、
    前記電力変換回路と、
    前記複数の並列キャパシタの前記少なくとも1つの接続/非接続の状態を切り替えることによって前記キャパシタ群の合成キャパシタンスを調整する制御回路と、
    を備え、
    前記電力変換回路は、前記整合回路から出力された前記交流電力を、前記他の形態の電力に変換して出力する、
    受電装置。
  15. 送電装置と、受電装置とを備え、
    前記送電装置は、請求項13に記載の送電装置である、かつ/または、
    前記受電装置は、請求項14に記載の受電装置である、
    無線電力伝送システム。
  16. 請求項15に記載の無線電力伝送システムにおける前記送電装置および/または前記受電装置における前記並列キャパシタ群の接続の組み合わせと電力伝送特性との関係を示すデータを、前記送電装置および/または前記受電装置から収集し、
    収集した前記データに基づいて、前記並列キャパシタ群の接続の可能な組み合わせの中から1つの組み合わせを決定し、
    前記送電装置が前記受電装置に電力を伝送する次の機会に、前記送電装置および/または前記受電装置の前記制御回路に、決定した前記並列キャパシタ群の接続の前記組み合わせを選択させる、
    制御方法。
  17. 前記無線電力伝送システムは、複数の送電装置および複数の受電装置を備え、
    前記複数の送電装置の各々は、請求項13に記載の送電装置であり、
    各送電装置における前記並列キャパシタ群の接続の組み合わせと、前記送電装置から各受電装置への電力伝送特性との関係を示すデータを、各送電装置から収集し、
    収集した前記データに基づいて、前記並列キャパシタ群の接続の可能な組み合わせの中から1つの組み合わせを、前記送電装置と前記受電装置のペア毎に決定し、
    前記並列キャパシタ群の接続の組み合わせが決定された送電装置と受電装置との電力伝送が行われる次の機会に、前記送電装置の前記制御回路に、決定した前記並列キャパシタ群の接続の前記組み合わせを選択させる、
    請求項16に記載の制御方法。
  18. 電界結合方式の無線電力伝送システムにおける送電装置または受電装置において用いられる電極ユニットであって、
    送電電極対または受電電極対である第1の電極および第2の電極と、
    前記送電装置または前記受電装置における電力変換回路と前記第1および第2の電極との間に接続される整合回路と、
    を備え、
    前記電力変換回路は、第1の端子および第2の端子を備え、電源から出力された電力を伝送用の交流電力に変換して前記第1および第2の端子から出力する、または、前記第1および第2の端子に入力された交流電力を負荷が利用する他の形態の電力に変換して出力し、
    前記整合回路は、
    前記第1の電極と前記第1の端子との間の第1の配線と、
    前記第2の電極と前記第2の端子との間の第2の配線と、
    前記第1の配線と前記第2の配線との間に接続されたリアクタンス素子群と、
    を備え、
    前記リアクタンス素子群は、前記第1および第2の配線のうち、電力伝送時に、前記第1および第2の端子に印加される電圧よりも高い電圧が印加される部位に接続され、
    前記リアクタンス素子群は、前記第1の配線と前記第2の配線との間において直列に接続された第1のリアクタンス素子および並列リアクタンス素子群を含み、
    前記並列リアクタンス素子群は、互いに並列に配置された複数の並列リアクタンス素子を含み、
    前記複数の並列リアクタンス素子の少なくとも1つは、前記第1および第2の配線間の経路への接続/非接続の状態を切り替えることが可能である、
    電極ユニット。
JP2018062348A 2018-03-28 2018-03-28 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム Pending JP2019176621A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018062348A JP2019176621A (ja) 2018-03-28 2018-03-28 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018062348A JP2019176621A (ja) 2018-03-28 2018-03-28 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019176621A true JP2019176621A (ja) 2019-10-10

Family

ID=68167889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018062348A Pending JP2019176621A (ja) 2018-03-28 2018-03-28 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019176621A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210058042A (ko) * 2019-11-13 2021-05-24 한국과학기술원 커패시티브 결합방식의 커플러 구조 및 이를 포함하는 무선전력전송 시스템
JPWO2020039594A1 (ja) * 2018-08-24 2021-08-10 トヨタ自動車東日本株式会社 電力伝送装置
WO2022075092A1 (ja) * 2020-10-09 2022-04-14 パナソニックIpマネジメント株式会社 無線電力伝送システム、送電装置、および移動体
JP7486788B2 (ja) 2020-05-29 2024-05-20 国立大学法人豊橋技術科学大学 インバータ回路、整流回路およびこれらを使用する無線電力伝送システム
JP7496525B2 (ja) 2020-10-09 2024-06-07 パナソニックIpマネジメント株式会社 無線電力伝送システム、送電装置、および移動体

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2020039594A1 (ja) * 2018-08-24 2021-08-10 トヨタ自動車東日本株式会社 電力伝送装置
JP7116288B2 (ja) 2018-08-24 2022-08-10 弘 櫻庭 電力伝送装置
KR20210058042A (ko) * 2019-11-13 2021-05-24 한국과학기술원 커패시티브 결합방식의 커플러 구조 및 이를 포함하는 무선전력전송 시스템
KR102293809B1 (ko) * 2019-11-13 2021-08-26 한국과학기술원 커패시티브 결합방식의 커플러 구조 및 이를 포함하는 무선전력전송 시스템
US11271426B2 (en) 2019-11-13 2022-03-08 Korea Advanced Institute Of Science And Technology Capacitive coupler structure and wireless power transfer system including the capacitive coupler structure
JP7486788B2 (ja) 2020-05-29 2024-05-20 国立大学法人豊橋技術科学大学 インバータ回路、整流回路およびこれらを使用する無線電力伝送システム
WO2022075092A1 (ja) * 2020-10-09 2022-04-14 パナソニックIpマネジメント株式会社 無線電力伝送システム、送電装置、および移動体
JP7496525B2 (ja) 2020-10-09 2024-06-07 パナソニックIpマネジメント株式会社 無線電力伝送システム、送電装置、および移動体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102655303B1 (ko) 비접촉 전력전송 시스템
EP3340432B1 (en) Vehicle and wireless power transmission system
JP2019176621A (ja) 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム
KR101478930B1 (ko) 비접촉 급전 장치
EP2787603B1 (en) Wireless power transmission device
WO2019189578A1 (ja) 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム
EP3419144B1 (en) Wireless power transmission system, power transmitting device, and power receiving device
JP6618006B2 (ja) 無線電力伝送システムおよび送電装置
Al-Saadi et al. Capacitive Power Transfer for Wireless Batteries Charging.
JP7304530B2 (ja) 送電モジュール、受電モジュール、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム
US20220190647A1 (en) Power transmitting device and wireless power transmission system
JP5589786B2 (ja) 非接触給電装置
CN113508510A (zh) 无线电力传送系统、送电装置、受电装置以及移动体
JP2019176697A (ja) 電極ユニット、送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム
WO2019189374A1 (ja) 送電モジュール、送電装置、および無線電力伝送システム
WO2020203690A1 (ja) 受電装置、移動体、および無線電力伝送システム
WO2022075092A1 (ja) 無線電力伝送システム、送電装置、および移動体
JP7496525B2 (ja) 無線電力伝送システム、送電装置、および移動体
WO2020196785A1 (ja) 受電装置、移動体、無線電力伝送システム、および移動体システム
JP7203332B2 (ja) 送電装置、受電装置、および無線電力伝送システム
WO2021192623A1 (ja) 受電装置、送電装置、および無線電力伝送システム
Wang et al. A composite decoupling method of the 2D WPT transmitter array based on the compensation topology and orthogonal coupling