JPWO2019181207A1 - 精密ガラスチューブ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

低コストで作製可能な精密ガラスチューブを提供することである。30〜380℃の温度範囲における平均線熱膨張係数が45〜60×10−7/℃、液相粘度が105.3dPa・s以上であるガラスからなり、外径が5mm以下、且つ内径が4mm以下である。

Description

本発明は、光ファイバを挿入、固定する際に用いる精密ガラスチューブと、その製造方法に関するものである。
光ファイバ同士を接続する場合や光ファイバを光半導体素子等に光学的に接続する場合、円筒状の精密スリーブが広く使用されている。精密スリーブは、光ファイバを固定したキャピラリ同士、光ファイバを固定したキャピラリとレンズ、等の接続部材同士をその内部で精度よく保持固定する光ファイバ接続部材の一つである。(例えば特許文献1、2)
精密スリーブとして、精密な寸法精度を有するガラス管が用いられる。この用途に使用される精密ガラスチューブは、例えば以下のようにして作製される。まず、管引き成形等により溶融ガラスを管状のガラス母材に成形する。次にガラス母材を加熱し、所定の断面寸法・形状に制御しながら延伸成形して長尺のガラスチューブ元管を作製する。その後、ガラスチューブ元管を所定の長さに切断する。さらにその両端をフレア加工する等、必要な加工を施し精密ガラスチューブを得る。
特開2001−13375号公報 特開2013−221807号公報
精密ガラスチューブの作製は、高い寸法精度を達成するために、既述の通り、一旦、ガラス母材を作製した後、これを再成形(延伸成形)する方法が採用されている。このため製造コストが高い、という課題がある。
本発明の課題は、低コストで作製可能な精密ガラスチューブを提供することである。
本発明者等は種々の検討を行った結果、液相粘度が105.3dPa・s以上であるガラスを用いて精密ガラスチューブを作製することにより、上記課題が解決できることを見出した。
即ち、本発明の精密ガラスチューブは、30〜380℃の温度範囲における平均線熱膨張係数が45〜60×10−7/℃、液相粘度が105.3dPa・s以上であるガラスからなり、外径が5mm以下、且つ内径が4mm以下であることを特徴とする。なお「平均線熱膨張係数」は、ガラスを5mmφ×50mm円柱状試料に加工した後、押し棒式熱膨張測定装置(ディラトメーター)の電気炉内に保持して3℃/分の昇温スピードで加熱し、30〜380℃の温度範囲における円柱状試料の伸び量から算出した値である。「液相粘度」は、ガラスから結晶が析出し始める粘度を指す。液相粘度は、まず結晶が析出し始める温度(液相温度)を求め、この温度における粘度を白金球引き上げ法で測定した結果と比較することにより求めることができる。液相温度は標準篩30メッシュ(篩目開き500μm)を通過し、50メッシュ(篩目開き300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値である。
従来の精密ガラスチューブは、液相粘度が低いことから、失透しないように高温で成形する必要がある。ガラスを高温で成形する場合、ガラスの粘度が低く肉厚が変動し易いことから、精密な寸法精度を有するガラス物品を作製することが難しい。それゆえ、従来の方法では、一旦、ガラス母材を作製した後、これを延伸成形して、精密なガラスチューブを得ている。一方、本発明では、精密ガラスチューブを構成するガラスとして、液相粘度が高いガラスを採用しているため、低温で成形することが可能である。その結果、肉厚変動を起こすことなく成形することが可能となり、寸法精度に優れた精密ガラスチューブを溶融ガラスから直接成形することができる。
本発明においては、外径公差が±0.06mm未満であることが好ましい。「外径公差」はレーザー測定器によって測定した値である。
本発明においては、内径公差が±0.04mm未満であることが好ましい。「内径公差」はレーザー測定器によって測定した値である。
本発明の精密ガラスチューブは、ガラス組成として、SiOと、Alと、Bと、MgO,CaO、SrO、BaO、LiO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、これらの成分の含有量がモル%基準で、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスからなることが好ましい。ここで「SiOと、Alと、Bと、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種」とは、SiOとAlとBとを必須成分とし、これに加えてMgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種をさらに含むという意味である。「(Al」は、Alの含有量を3乗した値を意味する。「B+SrO+BaO+KO」は、BとSrOとBaOとKOの含有量の合量の値を意味する。「SiO+MgO+CaO+LiO+NaO」は、SiOとMgOとCaOとLiOとNaOの含有量の合量の値を意味する。「{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)」は、{(Al+B+SrO+BaO+KO}を(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)で除した値を意味する。
上記構成は、本発明者等がガラス成分と液相粘度との関係を調査した結果、見出した式であり、この構成を採用すれば、ガラスの液相粘度を105.3dPa・s以上とすることが容易である。
本発明においては、ガラス組成として、モル%で、SiO 65〜80%、Al 1〜10%、B 5〜20%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、NaO 0〜10%、KO 0〜5%を含有し、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスからなることが好ましい。
上記構成を採用すれば、精密ガラスチューブを構成するガラスの液相粘度が105.3dPa・s以上となり易い。
本発明の精密ガラスチューブの製造方法は、ガラス組成として、SiOと、Alと、Bと、MgO、SrO、CaO、BaO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、これらの成分の含有量がモル%基準で、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスとなるようにガラス原料を調合し、溶融した後、管引き成形することによって、外径が5mm以下、且つ内径が4mm以下である精密ガラスチューブを成形することを特徴とする。
上記構成を有する本発明の方法を用いれば、精密ガラスチューブを安価に作製することができる。
本発明の方法においては、ガラス組成として、モル%で、SiO 65〜80%、Al 1〜10%、B 5〜20%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、NaO 0〜10%、KO 0〜5%を含有し、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスとなるようにガラス原料を調合することが好ましい。 本発明のガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 65〜80%、Al 1〜10%、B 5〜20%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、NaO 0〜10%、KO 0〜5%を含有し、(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上であることを特徴とする。
上記構成を有する本発明のガラスは、ガラスの液相粘度が105.3dPa・s以上となり易いため、精密ガラスチューブの作製に使用するガラスとして好適である。
以下、本発明の精密ガラスチューブを詳述する。
本発明の精密ガラスチューブは、液相粘度の高いガラスからなる。液相粘度が低すぎる場合、低温で成形すると失透が生じ易くなる。また失透を避けるために高温で成形すると、ガラスの粘度が低いことに起因して肉厚変動が大きくなり、ガラスを精密に成形することが困難になる。液相粘度の好ましい範囲は、105.3dPa・s以上、105.5dPa・s以上、特に105.7dPa・s以上である。なお液相粘度の上限は特に制限はないが、現実的には108.0dPa・s以下である。
本発明の精密ガラスチューブは、30〜380℃の温度範囲における平均線熱膨張係数が、光ファイバ接続部材の平均線熱膨張係数と適合し得るガラスである。平均線熱膨張係数が大きすぎると光ファイバ接続部材(例えば、キャピラリー等)との熱膨張係数差が大きくなり、光ファイバ接続部材との接着部での剥離、クラック、変形等の不都合が生じる。平均線熱膨張係数が小さすぎると光ファイバ接続部材との熱膨張差が大きくなり、光ファイバ接続部材との接着部での剥離、クラック、変形等の不都合を生じる。平均線熱膨張係数の好ましい範囲は45〜60×10−7/℃、より好ましくは46〜59×10−7/℃、特に48〜58×10−7/℃である。
本発明の精密ガラスチューブは、外径が5mm以下、且つ内径が4mm以下であることが好ましい。外径が大きすぎると光ファイバ接続部材とのクリアランスが小さくなり、部品組み立てが困難になる等の不都合がある。内径が大きすぎると光ファイバ接続部材(例えば、キャピラリー等)とのクリアランスが大きくなり、光ファイバ接続部材同士をチューブ内部で突き合わせる場合に光軸がずれて光利用効率が低下する等の不都合がある。外径の好ましい範囲は0.5〜5.0mm、特に1.0〜4.5mmである。内径の好ましい範囲は0.05〜4.0mm、特に0.10〜3.5mmである。
本発明の精密ガラスチューブは、外径公差が±0.06mm未満、±0.060mm未満、特に±0.050mm未満であることが好ましい。また内径公差は±0.04mm未満、±0.040mm未満、特に±0.030mm未満であることが好ましい。外径公差及び内径公差が大きすぎると光ファイバ接続部材とのクリアランスが不当に大きくなり、光軸ズレにより光利用効率が低下する等の不都合がある。
本発明の精密ガラスチューブは、波長範囲350〜2000nm、光路長1mmにおける平均直線透過率が70%以上であることが好ましい。平均直線透過率が低すぎると、光硬化樹脂を使用した接着作業において、光硬化樹脂による接着力が不十分になる。また、精密ガラスチューブを用いて作製した製品の光学検査作業でエラーが発生する、等の不都合がある。平均直線透過率の好ましい範囲は70%以上、73%以上、特に75%以上である。なお「平均直線透過率」は、島津製作所製 分光光度計 UV−3100PCを使用し、参照光を大気としたダブルビーム方式(複光束)で測定したものである。
本発明の精密ガラスチューブを構成するガラスの組成は特に限定されるものではないが、ガラス組成としてSiOと、Alと、Bと、MgO,CaO、SrO,BaO、LiO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、これらの成分の含有量がモル%基準で、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラス、特にガラス組成として、モル%で、SiO 65〜80%、Al 1〜10%、B 5〜20%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、NaO 0〜10%、KO 0〜5%を含有し、(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスを採用することが好ましい。上記組成範囲のガラスであれば、30〜380℃の温度範囲における平均線熱膨張係数が45〜60×10−7/℃、液相粘度が105.3dPa・s以上の特性を示し易い。また上記組成範囲のガラスであれば、管引き成形によってダイレクトに外径公差や内径公差に優れた精密ガラスチューブを成形することが可能になる。ガラス組成範囲を上記のように限定した理由を以下に示す。なお以降の説明において「%」はモル%を意味する。
SiOはガラスの骨格を構成する為に必要な成分である。SiOの含有量が多すぎると粘度が高くなり過ぎ、溶解性が悪化して生産性が低下し易くなる。また熱膨張係数が低くなり過ぎ、光ファイバ接続部材との接着性が悪化し易くなる。SiOの含有量が少なすぎると熱膨張係数が高くなり過ぎ、精密ガラスチューブと光ファイバ接続部材(例えば、キャピラリー等)との熱膨張係数差が大きくなる。その結果、接着部で光ファイバ接続部材との剥離やクラックや変形等の不都合が生じ易くなる。SiOの含有量は65〜80%、66〜79%、特に67〜78%であることが好ましい。
Alはガラスの安定性を向上させる効果や失透性の改善に寄与する成分である。Alの含有量が多過ぎるとガラスの粘度が高くなり過ぎて生産時の溶解性が悪化し、生産性が低下し易くなる。Alの含有量が少なすぎると失透性が高くなり、生産時に失透ブツが発生して生産が不安定になり易くなる。Alの含有量は1〜10%、2〜9%、特に3〜7%であることが好ましい。
はガラスの溶解性の向上や粘度の調整に必要な成分である。Bの含有量が多すぎると耐水性や耐候性が悪化し易くなる。Bの含有量が少なすぎると粘度が高くなり過ぎて溶解性が悪化し、生産性が低下し易くなる。また熱膨張係数が高くなり過ぎて、光ファイバ接続部材との接着性が悪化し易くなる。Bの含有量は5〜20%、6〜19%、特に7〜18%であることが好ましい。
MgOは、溶解速度を速めたり、耐水性を高めたりする効果がある成分である。MgOの含有量は0〜6%、0〜4%、特に0〜2%であることが好ましい。
CaOはガラスの耐水性や耐候性に寄与する成分である。CaOの含有量が多すぎると失透性が悪化して生産性が低下し易くなる。CaOの含有量は0〜5%、0.1〜4%、特に0.2〜3%であることが好ましい。
SrOは、高温粘度を低下させて、溶解性を高める成分である。SrOの含有量は0〜8%、0〜6%、特に0〜4%であることが好ましい。
BaOは粘度の調整と成形時の加工性の向上に寄与する成分である。BaOの含有量が多すぎると温度の変化量に対する粘度の変化量が大きくなり過ぎ、加工性が悪化し易くなる。BaOの含有量は0〜5.0%、0.1〜4.5%、特に0.2〜4.0%であることが好ましい。
NaOは熱膨張係数を大きくし、また粘度を低下させる成分であり、熱膨張係数や粘度調整の為に使用する。NaOの含有量が多すぎると熱膨張係数が高くなり過ぎる。NaOの含有量は0〜10%、1〜9%、特に2〜8%であることが好ましい。
Oはガラスの溶解を容易にし、また熱膨張係数や粘度を調整する為に添加する成分である。KOの含有量が多すぎると熱膨張係数が高くなり過ぎる。KOの含有量は0.0〜5.0%、0.1〜4.5%、特に0.2〜4.0%であることが好ましい。
{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)の値は、0.84以上、0.85以上、特に0.86以上であることが好ましい。この値が小さすぎると液相粘度が105.3dPa・s未満となり、成形性が低下し易くなる。なお{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)の値は、0.84以上、0.85以上、特に0.86以上であることが好ましい。なおこの値は大きすぎても液相粘度が低下し、成形性が低下しやすくなることがある。好ましくは4.00以下、3.50以下、3.00以下、特に2.50以下である。
また上記以外にも、種々の成分を含有することができる。例えばLiOを6%まで、SnO、Sb、As、Cl、P等の清澄剤を合量で3%まで含有させることが可能である。
また不純物として含まれるFeの含有量は2000ppm以下、特に1000ppm以下に制限することが好ましい。Feの含有量が多すぎると、波長範囲350〜2000nm、光路長1mmにおける平均直線透過率が低下し易くなる。その結果、例えば光ファイバ接続部材の固定に使用される紫外線硬化樹脂を硬化させにくくなる、といった不都合が生じる。ただしFeを含まないようにすることはコスト面で不利になる。現実的にはFeの下限値は50ppmである。
次に本発明の精密ガラスチューブを製造する方法を説明する。
まず、所望の組成となるようにガラス原料を調合する。例えば前述した、SiOと、Alと、Bと、MgO、SrO、CaO、BaO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、これらの成分の含有量がモル%基準で、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスとなるようにガラス原料を調合する。特にモル%で、SiO 65〜80%、Al 1〜10%、B 5〜20%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、NaO 0〜10%、KO 0〜5%を含有し、(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上の組成となるようにガラス原料を調合することが好ましい。
次に調合したガラス原料を溶融炉に投入し、溶融する。溶融温度は1500〜1650℃とすることが好ましい。
次に、溶融ガラスを、ダンナー法、ダウンドロー法、アップドロー法等の管引き成形法を用いて、外径が5mm以下、且つ内径が4mm以下の管状ガラスとなるように成形する。 続いて、管状に成形されたガラスを所定の寸法に切断し、必要に応じてフレア加工等の後加工を施して、精密ガラスチューブを得る。
なお本発明の精密ガラスチューブを製造する方法は、製造コストを低廉化するという観点から、上記方法を採用することが望ましい。その一方で、より高い寸法精度を達成するという観点から、例えば次の方法を採用することもできる。まず管状のガラス母材に成形する。次にガラス母材を加熱して、所定の断面寸法・形状に制御しながら延伸成形して長尺のガラスチューブ元管を作製する。その後、ガラスチューブ元管を所定の長さに切断する。さらにその両端をフレア加工する等、必要な加工を施し精密ガラスチューブを得る。
(実施例1)
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。表1〜表4は、本発明の実施例(試料No.1〜39)及び表5は比較例(試料No.40〜46)を示している。
Figure 2019181207
Figure 2019181207
Figure 2019181207
Figure 2019181207
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各試料は次のようにして調製した。
まず表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合したガラスバッチを白金坩堝に入れ、1500〜1650℃で7時間溶融した。次いで、溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、板状に成形した。得られた各試料について、30〜380℃の温度範囲における平均線熱膨張係数CTE、密度D、歪点Ps、徐冷点Ta、軟化点Ts、高温粘度10dPa・sにおける温度、高温粘度10dPa・sにおける温度、高温粘度102.5dPa・sにおける温度、液相温度TL、及び液相温度TLにおける粘度(液相粘度)log10η at TLを評価した。
30〜380℃の温度範囲における平均線熱膨張係数CTEは、ディラトメーターで測定した値である。
密度は、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
歪点Ps、徐冷点Taは、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
軟化点Tsは、ASTM C338の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度10dPa・s、10dPa・s、及び102.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した。
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を測定した値である。
液相粘度log10η at TLは、液相温度TLにおけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
表1〜4から明らかなように、実施例である試料No.1〜39は、平均線熱膨張係数が49.4〜57.5×10−7/℃、液相粘度が105.3dPa・s以上であった。一方、比較例である試料No.40〜46は、液相粘度が105.3dPa・s未満であった。
(実施例2)
表1のNo.7を用いて、以下の方法で精密ガラスチューブを作製した。
まずNo.7の組成となるように調合したガラス原料を溶融炉に投入し、1550℃で溶融した。次に溶融ガラスをダンナー装置に供給し、外径が2.8mm、内径が1.8mmの管状ガラスに成形した。その後、管状ガラスを10mmの長さに切断し、精密ガラスチューブを得た。
このようにして作製した精密ガラスチューブについて、外径公差及び内径公差を測定したところ、それぞれ±0.05mm及び±0.04mmであった。
なお外径公差及び内径公差は、レーザー測定器によって測定した。
本発明の精密ガラスチューブは、光通信用部材、例えば光ファイバ同士を接続したり、光ファイバを光半導体素子等に光学的に接続したりするための接続部材として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 30〜380℃の温度範囲における平均線熱膨張係数が45〜60×10−7/℃、液相粘度が105.3dPa・s以上であるガラスからなり、外径が5mm以下、且つ内径が4mm以下であることを特徴とする精密ガラスチューブ。
  2. 外径公差が±0.06mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の精密ガラスチューブ。
  3. 内径公差が±0.04mm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の精密ガラスチューブ。
  4. ガラス組成として、SiOと、Alと、Bと、MgO、SrO、CaO、BaO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、これらの成分の含有量がモル%基準で、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の精密ガラスチューブ。
  5. ガラス組成として、モル%で、SiO 65〜80%、Al 1〜10%、B 5〜20%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、NaO 0〜10%、KO 0〜5%を含有し、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスからなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の精密ガラスチューブ。
  6. ガラス組成として、SiOと、Alと、Bと、MgO、SrO、CaO、BaO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、これらの成分の含有量がモル%基準で、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスからなることを特徴とする精密ガラスチューブ。
  7. ガラス組成として、SiOと、Alと、Bと、MgO、SrO、CaO、BaO、NaO及びKOの群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、これらの成分の含有量がモル%基準で、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスとなるようにガラス原料を調合し、溶融した後、管引き成形することによって、外径が5mm以下、且つ内径が4mm以下である精密ガラスチューブを成形することを特徴とする精密ガラスチューブの製造方法。
  8. ガラス組成として、モル%で、SiO 65〜80%、Al 1〜10%、B 5〜20%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、NaO 0〜10%、KO 0〜5%を含有し、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上のガラスとなるようにガラス原料を調合することを特徴とする請求項7に記載の精密ガラスチューブの製造方法。
  9. ガラス組成として、モル%で、SiO 65〜80%、Al 1〜10%、B 5〜20%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、NaO 0〜10%、KO 0〜5%を含有し、{(Al+B+SrO+BaO+KO}/(SiO+MgO+CaO+LiO+NaO)が0.84以上であることを特徴とするガラス。
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