JPWO2019177024A1 - 養魚用飼料 - Google Patents

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Abstract

二重構造の飼料を有する養魚用飼料の外皮の形状を改良することにより、養魚用飼料の両端から内包に含まれる液状油の漏出の可能性を低減して、養魚用飼料の良品率の向上を図る。外表面を構成する外皮と、前記外皮に包まれる内包とによって、側面が略円柱形状を呈し、両方の端部が前記外皮で被覆されて閉鎖しているとともに、前記両方の端部のうち少なくとも一方に、前記外皮が前記端部の方向へ突出した先細り形状の突出部が形成されていることを特徴とするサバ科魚類の養魚用飼料。

Description

本発明は、サバ科魚類を飼育するための養魚用飼料、特にマグロ類の畜養殖に適した養魚用飼料に関する。
魚類の養殖では、栄養面、安定供給、環境汚染面、永続的な養殖等の観点から、生餌から配合飼料への転換が図られており、種々の配合飼料が開発されている。特に、魚食性の高い魚種についても配合飼料への転換が進むように、魚種の嗜好性に合わせた配合飼料が提案されている。
たとえば、特許第5030043号公報及び特許第5615643号公報には、外層及び内層を有する養魚用飼料が開示されている。特許第5030043号公報及び特許第5615643号公報には、これらの養魚用飼料は、マグロ類のような嗜好性が高い養殖魚に対して用いられ、摂餌性及び飼料効率がよいと記載されている。特許第5926656号公報には、外皮と、蛋白質原料及び液状油を含有する内包からなる二重構造の飼料が開示されており、この飼料は、摂餌性が高く、且つ油漏れが抑制されると記載されている。さらに、特許第6106795号公報には、このような二重構造の飼料によって、ビタミンEが富化されたマグロ類養殖魚の飼育方法が開示されている。
上記先行技術のような二重構造の飼料は、包餡機を用いて成型するため、内包に含まれる液状油(主に魚油)が、飼料の両端における外皮の合わせ目から漏出することが避けられなかった。すなわち、外皮の合わせ目の部分は、外皮が薄くなることが避けられず、その部分から液状油が漏出しやすくなっている。
本発明は、外皮の形状を改良することにより、飼料の両端からの液状油の漏出の可能性を低減して、飼料の良品率の向上を図ることを課題とする。
本発明は、以下(1)〜(6)に掲げるサバ科魚類の養魚用飼料を要旨とする。
(1)外表面を構成する外皮と、前記外皮に包まれる内包とによって、側面が略円柱形状を呈し、両方の端部が前記外皮で被覆されて閉鎖しているとともに、前記両方の端部のうち少なくとも一方に、前記外皮が前記端部の方向へ突出した先細り形状の突出部が形成されていることを特徴とするサバ科魚類の養魚用飼料。
(2)前記突出部において、前記外皮が前記端部の方向へ厚みを増していることを特徴とする(1)のサバ科魚類の養魚用飼料。
(3)前記両方の端部のいずれにも、前記突出部が形成されていることを特徴とする(1)又は2のサバ科魚類の養魚用飼料。
(4)前記側面から、前記端部に向かって外方に凸な曲面をもって径が漸減する縮径部を有し、前記突出部は前記縮径部の前記端部に形成されているとともに、前記縮径部と前記突出部との間には、前記端部に向かって外方に凹な曲面をもって径が漸減する変曲部が形成されている(1)〜(3)のいずれかのサバ科魚類の養魚用飼料。
(5)前記突出部は、外表面を構成する前記外皮が前記端部の方向へ縮径された痕跡を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかのサバ科魚類の養魚用飼料。
(6)前記外皮は、澱粉、蛋白質及び魚粉を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかのサバ科魚類の養魚用飼料。
(7)前記サバ科魚類は、マグロ類であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかのサバ科魚類の養魚用飼料。
本発明の上記構成により、外皮の形状を改良することで、飼料の両端からの液状油の漏出が低減し、飼料の良品率が向上することとなった。また、養殖魚における飼料の摂食量が増大することとなった。
本発明の実施の形態に係るサバ科魚類の養魚用飼料の側面図である。 本発明の実施の形態に係るサバ科魚類の養魚用飼料の端部を斜視図で示す。 本発明の実施の形態に係るサバ科魚類の養魚用飼料の図1におけるIII−III断面図である。 比較例における養魚用飼料の側面図である。
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
<形状>
図1は、本発明の実施の形態に係るサバ科魚類の養魚用飼料10の側面図である。本実施の形態に係るサバ科魚類の養魚用飼料10は、外表面を構成する外皮20と、前記外皮20に包まれる内包30(図3参照)とによって構成されている。本図に示すように、サバ科魚類の養魚用飼料10は、側面11が略円柱形状を呈している。
ここで、この「略円柱形状」とは、この側面11の形状が幾何学的に厳密な円柱形状であることまでを要求するものではなく、一見して円柱形状又はそれに類する形状であることが認められるようなものであれば足りる。したがって、断面が多少いびつ又は扁平であっても、また、断面形状が自重又は飼料の重なりにより平たく変形したようなものであっても差し支えない。なお、この略円柱形状は、給餌対象とするサバ科魚類の魚種及び大きさによって適宜長さや太さを調整することが可能である。
また、両方の端部12は、前記外皮20で被覆されて閉鎖している。前記両方の端部12のうち少なくとも一方においては、前記外皮20が前記端部12の方向へ突出した先細り形状の突出部15が形成されている。なお、本図では前記両方の端部12のいずれにも、前記突出部15が形成されているが、少なくとも一方においてこの突出部15が形成されていれば、そこからの液状油の漏出の可能性は低減することとなる。もちろん、図1に示すように、両方の端部12に前記突出部15が形成されていることが望ましい。
さらには、図1に示すように、前記側面11から、前記端部12に向かって外方に凸な曲面をもって径が漸減する縮径部13を有し、前記突出部15は前記縮径部13の前記端部12に形成されている。このように、端部12において外皮20を突出部15として突出させることで、縮径部13を外方に凸な曲面のまま単調に延長した端部12の形状とするよりも、端部12が厚く形成されるため、液状油が漏出しにくくなる。
加えて、前記縮径部13と前記突出部15との間には、前記端部12に向かって外方に凹な曲面をもって径が漸減する変曲部14が形成されている。この変曲部14があることにより、外径を餌となる小魚により似せられることで、サバ科魚類による餌としての嗜好性を高めることができると考えられる。
なお、図2の斜視図に示すように、前記突出部15は、外表面を構成する前記外皮20が前記端部12の方向へ縮径された痕跡21を有する。この痕跡21は、たとえば、放射状の複数の線で構成することができる。これらの線は視覚又は触覚で判別することが可能であり、これらの線によってもサバ科魚類による摂餌を促進すると考えられる。なお、これらの線は、内包30に達することがない程度の溝として構成することが望ましい。また、この痕跡21は、外皮20が軸心方向へ絞られることで形成されるものであってもよい。
さらには、図3の断面図(図1のIII−III断面)に示すように、サバ科魚類の養魚用飼料10の外側は全体として外皮20に覆われており、この外皮により、内包30が包まれている。また、端部12の突出部15において、前記外皮20が前記端部12の方向へ厚みを増して突出していることも認められる。このように突出部15において外皮20の厚みが側面11の部分よりも厚くなっていることから、端部12における外皮20の強度がかえって増すこととなっている。これによって、端部12から、内包30に含まれる液状油の漏出の可能性は低減することとなっている。
上記したサバ科魚類の養魚用飼料10の形状については、最終的に養魚場の現場でサバ科魚類に給餌される段階までその形状を保つことが望ましい。なお、後述するような工程にて成形品とされた時点で上記した形状を有していれば、給餌までの間に、突出部15を押し潰したり、除去したりするなど、その形状が変形するようなことがあってもよい。
<外皮>
外皮20は、その成分として、澱粉及び蛋白質のうちの一方又は両方を含有することができる。また外皮20は魚粉を含有することができる。本実施形態において外皮20は、上記成分を含むものであり、かつ、内包30を包み込めるものであれば特にその種類は問わないが、蛋白質を加熱してできるゲル、あるいは、澱粉を加熱してできるゲルの物性が、その柔軟性、伸展性などの点で、外皮20として適している。蛋白質としては、魚肉、すり身、オキアミ、グルテン、コラーゲン、大豆蛋白、酵素分解大豆蛋白、ゼラチン若しくは卵白などの単体又はこれらの2種以上の混合物などのゲル形成能を有する蛋白質含有物質が好ましい。澱粉としては、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、豆澱粉若しくはワキシーコーンスターチ、又はこれらの加工澱粉が好ましい。これら蛋白質及び澱粉を多く含む食品素材を用いることもできる。これら蛋白質及び澱粉を含む組成の外層は加熱することによりゲルが固定され、柔軟性を持ち、かつ、内包30の保持力もあり、一定の強度を有する。また、上記のような、蛋白質又は澱粉を加熱してできるゲルの物性をもつ成分とともに、又はこれに替えて、加熱して溶けたものを放熱又は冷却することによりゲル化する成分を用いることもできる。そのような成分としては、たとえばゼラチン、寒天などを挙げることができる。
外皮20の主成分を蛋白質とする場合、たとえば、魚肉すり身を外皮20の主成分として用いる場合、一般的なかまぼこなどの練製品の製造方法を用いて製造することができる。具体的には、2%以上の食塩を加え10℃以上、好ましくは30℃〜40℃で10分以上置いてから、80〜90℃で10分以上加熱する。あるいは卵白を用いる場合、たとえば、卵白、澱粉、魚粉及び水をそれぞれ10重量%、10重量%、20重量%及び60重量%の比率で混合し、加熱することにより、望ましい物性の組成物を得ることができる。
サバ科魚類の養魚用飼料10としての栄養効率を高めるためには、飼料全体として少しでも、水分含量が低く、高蛋白、高脂肪にするのが好ましい。よって、外皮20のゲル化に影響を与えない範囲で外皮20にも魚粉及び油脂を添加することが好ましい。用いるゲルの種類にもよるが、外皮には魚粉を最大60重量%、また、油脂を最大30重量%添加することが可能である。好ましくは魚粉を20〜30重量%及び油脂を5〜10重量%程度添加するのが望ましい。
外皮20のゲルの品質を向上させるために、魚肉練製品などの品質改良剤として用いられている添加物を適宜添加することができる。具体的には、前記した澱粉の他、増粘多糖類、分離大豆蛋白、重曹、重合リン酸塩、トランスグルタミナーゼ、各種プロテアーゼインヒビター、などを添加してもよい。特に、ゲル強度を強化するために、寒天、ジェランガム、プルラン、マンナン、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カードラン、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、アラビアガム、キトサン、デキストリン、可食性水溶性セルロースなどの増粘剤を適宜配合してもよい。ただし、マグロ類をはじめ多くのサバ科魚類は、多糖類に対する消化能力が低いので、多糖類については、必要最小限に留めるのが好ましく、外皮20の材料のうち、増粘剤の使用は好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1.5%重量%とすることが望ましい。
本実施形態の外皮20としては、澱粉を主成分とする加熱ゲルもその弾力性、柔軟性において優れている。澱粉に水を加えて混練し、加熱したゲルには弾力、柔軟性、伸展性がある。特に種々の加工澱粉にはそれぞれに特徴があり、2種以上を組み合わせることでより、弾力性、柔軟性、伸展性などの性質をもった外皮20を得ることができる。たとえば、エーテル化澱粉とリン酸架橋澱粉との組み合わせのように異なるタイプの加工澱粉を組み合わせるのがよい。このような澱粉にグルテン、大豆蛋白などの蛋白質を加えることによりさらに強いゲルを得ることができる。グルテンの代わりにグルテンを含有する小麦粉などを使用することもできる。その他の副原料としては、小麦粉などの穀粉、大豆蛋白、グルテン、卵白などの蛋白質、砂糖、水飴などの糖・糖アルコール類、カラギーナン、寒天、ジェランガム、プルラン、マンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カードラン、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、アラビアガム、キトサン、デキストリン、可食性水溶性セルロースなどの増粘剤、リン酸塩等の塩類を添加してもよい。たとえば、澱粉に小麦粉を加えることによって、外皮20に強度を与えることができる。また、一定量の蛋白質を加えることで加熱後の表面のべたつきを押さえることができる。
澱粉の加熱ゲルを主成分とする外皮20で魚粉、魚油を主成分とする内包30を包んだ本発明のサバ科魚類の養魚用飼料10は、外皮20に弾力性、柔軟性があるので、魚が好んで摂食する。製造効率においても、伸展性に優れた物性であり、包餡機やエクストルーダで内層を包みこむのに適している。
本実施形態で外皮20の主成分として用いる澱粉には特に制限はないが、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、豆澱粉などが利用でき、特にこれらのエーテル化、アセチル化、アセチル架橋、エーテル架橋、リン酸架橋、α化ヒドロキシプロピルリン酸架橋などの加工澱粉が好ましい。これら澱粉に蛋白質及び魚粉など他の副原料を加え、水を加えて混合し混練したものを外皮20として、包餡機などで内包30を包んだ後、加熱することにより本実施形態のサバ科魚類の養魚用飼料10が製造される。あるいは、外皮20の原料と内包30の原料をそれぞれ二重ノズルのエクストルーダに供給し、外皮20の原料を混合、加熱処理しながら、同時に外皮20で内包30を包み込むようにして押し出し成形することによっても製造できる。澱粉等の原料に対し水の添加量は包餡機やエクストルーダに対応できる程度の粘性を確保できる量であればよいが、30〜50重量%程度が適当である。加熱温度は、澱粉や添加した蛋白質等がゲル化する温度以上であればよく、外皮20の減量が60〜120℃、好ましくは、70〜100℃程度になればよい。なお、魚油は酸化しやすいので、120℃を超える高温はなるべく避けるのが好ましい。
澱粉を含有する外皮20の組成物の配合は種々のパターンが考えられる。養殖対象の魚種や魚の成長段階によって、飼料に要求される栄養素、カロリーは異なる。魚粉や魚油を多く入れるほど、外皮20の配合を厳密に調製する必要があるが、魚粉や魚油が少なめの場合は、外皮20の配合にはかなりの自由度がある。少なくとも乾物換算で澱粉を20〜80重量%含有させるのが望ましい。外皮20に魚粉を乾物換算で25〜50重量%添加する場合、乾物換算で、澱粉20〜65重量%、小麦粉5〜20重量%並びに蛋白質、油脂、増粘剤及び塩類などを合計5〜15重量%程度添加するのが好ましい。魚油は1〜5重量%、リン酸塩は1〜2重量%、蛋白質は1〜5重量%、増粘剤は1〜5重量%程度添加するのが好ましい。
外皮20の副原料として用いる場合、小麦粉はグルテン含有量の多い強力粉が好ましいが、薄力粉でもよい。
なお、外皮の品質をよりよくするために、澱粉食品の品質改良剤として通常用いられている添加物を添加することができる。
<内包>
内包30の組成物は魚粉と油脂が主成分であるが、養魚用の栄養成分として知られているその他の栄養成分、たとえば、ビタミン、ミネラル等を添加してもよい。また、外皮20に包まれているが魚粉や液状である油脂が漏れることがあっては好ましくないので、多糖類や硬化油を配合、また乳化し安定化させることもできる。特に、機械で製造する場合、内層組成物の物性を機械適性のある流動性、物性にするのが好ましい。また、魚油を固める硬化油や魚油を吸着する多孔質素材などを添加するのが好ましい。油脂吸着剤としての多糖類としては、オイルQ(商品名、日澱化学株式会社製)、粉末状大豆蛋白質ニューフジプロSEH(商品名、不二製油株式会社製)等が例示される。
魚油は室温で液状であり、特に温度が高くなると粘度が低下し、外皮20から染み出してくることがある。これを回避するために、魚油に硬化油を混合するのが好ましい。硬化油とは、魚油、大豆油、菜種油などの動植物油に水素添加した白色固体脂肪である。原料油は成分脂肪酸としてオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、他の高度不飽和脂肪酸などの不飽和脂肪酸を含むが、水素添加油は不飽和脂肪酸に水素が添加して不飽和脂肪酸が減少し、ついには飽和脂肪酸となり、固体脂肪となる。硬化油を添加することにより、液状油はペースト状〜固化させることができる。サバ科魚類の養魚用飼料10から内包30に含まれる魚油が外皮20のひび割れや隙間から、漏れ出たり、染み出したりしてくるのを抑制するには、50℃以上の融点を有する硬化油を添加するのが好ましい。このような硬化油としては、硬化油を構成する脂肪酸の主成分(脂肪酸組成において最も量の多い脂肪酸)が炭素数18以上の脂肪酸であり、かつ、ヨウ素価(100gの油脂に吸収されるヨウ素の質量(g単位))が0〜2である硬化油が該当する。極度硬化油として販売されている硬化油のヨウ素価はこの範囲に入る。好ましい硬化油としては、豚脂極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)、ユニショートK(商品名、不二製油株式会社製)、ハイエルシン菜種極度硬化油(商品名、横関油脂工業株式会社製)、牛脂極度硬化油(新日本理化株式会社製)、大豆極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)、菜種極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)、TAISET50(商品名、太陽化学株式会社製)などが例示される。特に、炭素数22のベヘン酸などの炭素数が20以上の脂肪酸を多く含むハイエルシン菜種極度硬化油(商品名、横関油脂工業株式会社製)などが好ましい。硬化油の添加量は、内層の魚油等の液状油の量に対して、0.5〜15重量%が好ましく、特に1〜10重量%が好ましい。硬化油の魚類による消化性は高くないとされているので、飼料全体の重量に対して、5重量%を超えない程度の使用が好ましい。また、硬化油を添加することにより、一定の粘性のある内包30となるため、内包30を外皮20に包みこみ成型するときの機械適性も良好である。
さらに、内包30の組成物には、従来の養殖魚用配合飼料で用いられる原材料を添加することができる。たとえば、生魚類、イカミール、オキアミミール、大豆油かす、コーングルテンミールなどの蛋白質、オキアミ油、鯨油、大豆油、コーン油、菜種油、硬化油などの油脂、澱粉、小麦粉、米粉、タピオカ粉、トウモロコシ粉などのデンプン質、アルギン酸及びその塩類、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、グァガム、デキストリン、キトサン、カードラン、ペクチン、カラギーナン、マンナン、ジェランガム、アラビアガム、可食性水溶性セルロースなどの多糖類、ビタミン、ミネラル類などである。
上記内包30の組成物は、油脂含量を20〜70質量%、特にマグロ類のような大型養殖魚に給餌する場合、油脂含量を好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、最も好ましくは45質量%以上となるように配合する。多量の油脂含量は、養殖魚の成長及び成長効率に優れた効果を奏するが、油脂含量を70質量%を超えて配合すると、必然的に他の配合成分が減少し、栄養バランスの調整が困難となる。魚油やその他植物性油脂は流動性が高いものであり、そのまま用いてもよいが、好ましくはビタセルWF200、ビタセルWF600又はビタセルWF600/30(いずれも商品名、レッテンマイヤー社製)、オイルQ No.50又はオイルQ−S(いずれも商品名、日澱化学株式会社製)、パインフロー(松谷化学工業株式会社製)等のデキストランをはじめとする吸油性多糖類、発酵大豆、イソフラボンなどの吸油性蛋白又はダイズ油、ナタネ油又はパーム油などの油脂に水素付加した硬化油を用いて流動性を低下させて用いることができる。あるいは、魚油を乳化させることにより流動性を低下させて用いることもできる。ただし、魚の消化性を考慮すると、これらの流動性を低下させるような成分は好ましくは内包30の組成物の10質量%以下、より好ましくは5質量%以下とすることが望ましい。油脂としては、魚油がもっとも好ましいが、他の植物性油脂などで一部代替することも可能である。
内包30の必須成分である魚粉は養魚用飼料原料として通常用いられている各種魚粉、オキアミなどの甲殻類の粉末などが利用できる。魚粉含量を30〜70質量%、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、最も好ましくは45質量%以上となるように配合する。
<サバ科魚類>
本実施形態のサバ科魚類の養魚用飼料10は、前記した形状に鑑み、サバ科の養殖魚、特に、クロマグロ(Thunnus orientalis、Thunnus thynnus)、ミナミマグロ(Thunnus maccoyii)、キハダ(Thunnus albacares)、メバチ(Thunnus obesus)等のマグロ類に適した飼料である。
<サバ科魚類の養魚用飼料の製造方法>
外皮20は、下記表1の組成とした。
上記組成を、エクストルーダにより、スクリュー回転数450rpm、吐出温度90℃、出口圧力5MPaの条件で混合し、外皮用組成物とした。
内包30は、下記表2の組成とした。
上記組成を、エクストルーダを用い60℃で混合し、内包30とした。ビタミン類としては、α−トコフェロール換算で3.03重量%のビタミンEを含むものを用いた。
上記外皮用組成物及び上記内包30によりサバ科魚類の養魚用飼料10を製造するために、先端部に二重ノズルを有し、吐出能力1t/hの同方向回転完全噛み合い型2軸タイプのエクストルーダ(Buhler社製)を使用した。
上記外皮用組成物と、上記内包30との双方を、エクストルーダ先端の二重ノズルから造粒し、シャッター装置により、内包30が外皮20で包皮された成形品としてのサバ科魚類の養魚用飼料10を得た。内包:外皮の重量比は7:3であった。サバ科魚類の養魚用飼料10におけるα−トコフェロール含有量は、621ppmであった。
その後、成形直後の飼料を搬送コンベアに配置して、30℃〜40℃、相対湿度20%〜50%の環境下にて、自然乾燥による乾燥処理を24時間行った。この処理により、両方の端部12も含め表面にひび割れ等がほとんど確認されない良好な配合飼料が得られた。
得られたサバ科魚類の養魚用飼料10の外皮20の水分量は12〜17%であり、水分活性は0.8未満であった。内包30の水分含有量は、成形直後は約4.7%と推定される。なお、水分量は、Drying Oven DX300(ヤマト科学株式会社製)により測定し、水分活性は、アクアラブCX−3(マイルストーンゼネラル株式会社製)により測定した。
サバ科魚類の養魚用飼料10の大きさは平均で、両端の変曲部14間の全長は95mm、変曲部14からの突出部15の長さは2.6mmであり、重量は38gであった。
なお、比較例として、上記外皮要素生物及び上記内包30と同じ組成及び同様の製造工程にて、図4に示すような、両端部52に突出部のない養魚用飼料50も製造した。
<良品率の検定>
製造後、上記乾燥処理後に、端部12、52から液状油の漏出の見られなかった良品率は、比較例では65%であったのに対し、実施例では100%であった。
また、耐久試験として、上記シャッター装置による成型後に成形品を折り曲げ、それに伴う両端部12、52の裂けや内包30の漏れの有無の確認を行った。このような折り曲げによっても両端部12、52の裂けや内包30の漏れが認められない成形品を良品とし、耐久試験を行った100個の成形品に対し、良品の個数の割合を良品率とした。
上記耐久試験による良品率は、比較例では35%であったのに対し、実施例では100%であった。以上により、突出部15を設けたことでサバ科魚類の養魚用飼料10の良品率は著しく向上することが判明した。
<摂食試験>
10kgサイズのクロマグロを2,000尾収容する養殖生け簀に、比較例の養魚用飼料50を、給餌開始日を第0日として第42日まで給餌した後、第43日からは実施例のサバ科魚類の養魚用飼料10を給餌し、摂食量の変化を観察した。なお、給餌方法は、マグロが摂食するだけ給餌する、いわゆる飽食給餌にて行った。その結果を下記表3に示す。
上記表3に示すように、比較例の養魚用飼料50を給餌した第42日までは平均給餌料は710kg(1尾当たり355g)であったのに対し、実施例のサバ科魚類の養魚用飼料10を給餌した第43日以降の平均給餌料は990kg(1尾当たり495g)と、明らかな増加を示した。このことより、実施例のサバ科魚類の養魚用飼料10の端部12に突出部15があることで摂餌量が増加したと考えられる。これは、マグロが好むイワシ等の小魚のような紡錘形状に近くなったためであると推測される。

Claims (7)

  1. 外表面を構成する外皮と、前記外皮に包まれる内包とによって、側面が略円柱形状を呈し、両方の端部が前記外皮で被覆されて閉鎖しているとともに、前記両方の端部のうち少なくとも一方に、前記外皮が前記端部の方向へ突出した先細り形状の突出部が形成されていることを特徴とするサバ科魚類の養魚用飼料。
  2. 前記突出部において、前記外皮が前記端部の方向へ厚みを増していることを特徴とする請求項1記載のサバ科魚類の養魚用飼料。
  3. 前記両方の端部のいずれにも、前記突出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のサバ科魚類の養魚用飼料。
  4. 前記側面から、前記端部に向かって外方に凸な曲面をもって径が漸減する縮径部を有し、
    前記突出部は前記縮径部の前記端部に形成されているとともに、
    前記縮径部と前記突出部との間には、前記端部に向かって外方に凹な曲面をもって径が漸減する変曲部が形成されている請求項1〜3のいずれか1項記載のサバ科魚類の養魚用飼料。
  5. 前記突出部は、外表面を構成する前記外皮が前記端部の方向へ縮径された痕跡を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のサバ科魚類の養魚用飼料。
  6. 前記外皮は、澱粉、蛋白質及び魚粉を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のサバ科魚類の養魚用飼料。
  7. 前記サバ科魚類は、マグロ類であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のサバ科魚類の養魚用飼料。
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