JPWO2019171877A1 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

配向を向上した光学膜を備える積層体の製造方法を提供する。第1加熱工程(P1)は、液晶性ポリマー(21)及び二色性化合物(31)を含有する乾燥塗膜(97)を加熱し、二色性化合物の融点よりも高い第1温度(T1)にする。第1冷却工程(P2)は、乾燥塗膜(97)を冷却し、第1温度(T1)から、二色性化合物(31)の結晶化温度(Tc)よりも低く、かつ、液晶性ポリマー(21)の結晶化温度(Ts)よりも低い第2温度(T2)にする。第2加熱工程(P3)は、第1冷却工程(P2)を経た乾燥塗膜(97)を加熱し、液晶性ポリマー(21)のネマチック転移温度(Tne)よりも低い第3温度(T3)にする。

Description

本発明は、積層体の製造方法に関する。
近年においては、二色性色素によって偏光機能を発現する偏光板の作製が試みられている(特許文献1)。また、耐熱性及び耐湿性の向上を目的として、ヨウ素で染色したポリビニルアルコール(PVA)の代わりに、二色性色素を使用する偏光板も知られている(特許文献2)。
特許文献1は、配向膜上に、二色性色素を含有した光学膜である偏光膜を形成している。偏光膜は、二色性色素と重合性の液晶性化合物(重合性液晶化合物)とが溶媒に溶けている塗布液から形成している。具体的には、配向膜上に、上記塗布液を塗布し、形成した塗膜を、重合性液晶化合物の相転移温度よりも低い温度で重合させた後に、重合性液晶化合物が重合しない温度下で乾燥する。次に、乾燥した塗膜を重合性液晶化合物のネマチック転移温度以上に加熱し、その後、スメクチック相の液晶状態になる温度にまで冷却している。
特許文献2は、配向膜上に、二色性色素を含有した光学膜である配向層を形成している。二色性色素としては液晶性二色性色素が用いられている。この液晶性二色性色素が溶媒に溶けている塗布液を、配向膜上に塗布し、形成した塗膜から溶媒を除去する。次に、液晶性二色性色素が液晶状態を示す温度に塗膜を加熱することにより配向させ、その後、冷却することにより配向を固定している。
特開2013−228706号公報 特開2005−189393号公報
特許文献2の製造方法は、液晶性二色性色素を用いなければならないが、特許文献1の製造方法では、液晶性二色性色素を用いる必要がない点でメリットがある。しかし、特許文献1の製造方法によると、光学膜の配向が不十分な場合がある。
そこで、本発明は、配向を向上した光学膜を備える積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の積層体の製造方法は、塗膜形成工程と、乾燥工程と、第1加熱工程と、冷却工程と、第2加熱工程とを有する。塗膜形成工程は、液晶性化合物と、二色性化合物と、液晶性化合物及び二色性化合物を溶解する溶媒と、を含む塗布液を配向膜上に塗布することにより、塗膜を形成する。乾燥工程は、塗膜から溶媒を減少させる。第1加熱工程は、溶媒が減少した塗膜を加熱し、二色性化合物の融点よりも高い第1温度にする。冷却工程は、第1加熱工程を経た塗膜を冷却し、第1温度から、二色性化合物の結晶化温度よりも低く、かつ、液晶性化合物の結晶化温度よりも低い第2温度にする。第2加熱工程は、冷却工程を経た塗膜を加熱し、液晶性化合物のネマチック転移温度よりも低い第3温度にする。
二色性化合物が会合性を有する場合、第3温度は二色性化合物の会合を促進する会合促進温度範囲以上の温度であることが好ましい。
第3温度は、少なくとも液晶性化合物の結晶化温度よりも高いことが好ましい。
第3温度は、二色性化合物の結晶化温度よりも低いことが好ましい。
第2加熱工程は、冷却工程を経た塗膜を、0.1℃/秒以上3.0℃/秒以下の加熱速度で加熱することが好ましい。
第2加熱工程は、第3温度T3を1秒以上維持することが好ましい。
本発明の積層体の製造方法によれば、配向を向上した光学膜を備える積層体を製造することができる。
偏光板の断面図である。 偏光膜の構成を示す説明図である。 製造装置のブロック図である。 第1保護層形成部の構成を示す説明図である。 配向膜形成部の構成を示す説明図である。 塗布光学膜形成部の構成を示す説明図である。 温度管理部の構成を示すブロック図である。 温度管理部における温度制御プロファイルを示すグラフである。 ネマチック転移温度未満の温度における乾燥塗膜の状態を示す説明図である。 第1温度にした乾燥塗膜の状態を示す説明図である。 冷却後の乾燥塗膜の状態を示す説明図である。 第1加熱部等の構成を示す説明図である。 第2保護層形成部の構成を示す説明図である。
[積層体]
図1に示すように、本発明により製造する積層体10は、例えば、入射する光を特定の偏光に整える偏光板である。積層体10は、基材11と、基材11上に積層した第1保護層12と、第1保護層12上に積層した配向膜13と、配向膜13上に積層した塗布光学膜14と、塗布光学膜14上に積層した第2保護層15と、を有する。
基材11は、塗布光学膜14等を形成する際に変質しないものであれば特に制限はなく、例えば、基材11には、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、もしくはトリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、もしくはポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレン、もしくはアクリロニトリルスチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状もしくはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンもしくは芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アクリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー等の透明ポリマー、または、これらポリマーのブレンド物からなるフィルムもしくはシート等を使用することができる。また、基材11は、ガラスであってもよい。本実施形態においては、基材11はTACフィルムである。
第1保護層12は、基材11を透過する水(水蒸気を含む)及び/または酸素等から、配向膜13及び塗布光学膜14を保護する。本実施形態においては、第1保護層12はポリビニルアルコール(PVA)であり、基材11であるTACフィルムを透過する水等を遮蔽する。なお、基材11が水等を透過しない場合、積層体10から第1保護層12を省略できる。
配向膜13は、特定の条件下において、塗布光学膜14が含有する液晶性化合物の配向を規制する。本実施形態においては、配向膜13は、アゾ化合物を含有しており、このアゾ化合物が、特定方向に偏光した紫外線等の照射により異性化し、特定の方向に沿って配向した光配向膜である。アゾ化合物としては、モノマー、オリゴマー、あるいはポリマーのいずれも用いることができるが、本例ではモノマーであるアゾベンゼンを用いている。アゾ化合物の代わりに、例えば、シンナメートなどを用いてもよい。なお、配向膜13を積層する代わりに、基材11、第1保護層12、または、第1保護層12上に設ける他のフィルム等の表面をラビング処理することにより、塗布光学膜14が含有する液晶性化合物の配向を規制できる。
塗布光学膜14は、積層体10において偏光子としての機能をもつ。塗布光学膜14は、塗布によって形成する光学膜であって、液晶性化合物と少なくとも1種類の二色性化合物31を含有する。
本実施形態においては、液晶性化合物として、液晶性ポリマー21(図2参照)を用いる。液晶性ポリマー21は主鎖または側鎖にメソゲン基を有するポリマーである。液晶性ポリマー21としては、例えば、特開2011−237513号公報に記載されているサーモトロピック液晶性高分子、特開2016−4055号公報に記載のサーモトロピック液晶性を有するポリマーを使用できる。また、液晶性ポリマー21は、末端に架橋性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)を有していてもよい。なお、液晶性化合物としては、液晶性ポリマー21の代わりに、または、液晶性ポリマー21とともに、液晶性モノマーまたは液晶性ポリマー21とは異なる液晶性ポリマー等、他の液晶性化合物も使用できる。
本実施形態においては、図2に示すように、塗布光学膜14が含有する液晶性ポリマー21はいわゆる側鎖型であり、柔軟な主鎖22と、メソゲン基23を有する側鎖24と、を有する。メソゲン基23は、製造の過程において、配向膜13によって概ね所定方向(以下、X方向という)に沿って配向する。また、主鎖22はX方向に垂直な方向(以下、Y方向という)に概ね配向する。したがって、塗布光学膜14の液晶性ポリマー21は、梯子状または網目状に配列し、かつ、少なくとも一部において主鎖22とメソゲン基23によって1または複数の二色性化合物31を包含する空隙26を形成する。
二色性化合物31とは、いわゆる二色性を有する化合物であり、偏光方向が90度異なる2つの直線偏光を照射した場合にこれら各直線偏光の吸収強度に差がある。本実施形態においては、塗布光学膜14が含有する二色性化合物31は、上記二色性を有する他、特定の条件下において分子間力によって2個以上が規則的な配列で結合する性質(いわゆる会合性)を有する。したがって、液晶性ポリマー21が空隙26に2以上の会合性を有する二色性化合物31をトラップ(捕捉)した場合、製造工程においてこれらの二色性化合物31は会合して会合体32を形成し、配向が大まかに揃う。また、空隙26にトラップされた二色性化合物31及び/または二色性化合物31の会合体32は、メソゲン基23と同方向に配向が概ね規制される。
二色性化合物31としては、例えば、特開2013−228706号公報の[0067]〜[0071]段落、特開2013−227532号公報の[0008]〜[0026]段落、特開2013−209367号公報の[0008]〜[0015]段落、特開2013−14883号公報の[0045]〜[0058]段落、特開2013−109090号公報の[0012]〜[0029]段落、特開2013−101328号公報の[0009]〜[0017]段落、特開2013−37353号公報の[0051]〜[0065]段落、特開2012−63387号公報の[0049]〜[0073]段落、特開平11−305036号公報の[0016]〜[0018]段落、特開2001−133630号公報の[0009]〜[0011]段落、特開2011−215337号公報の[0030]〜[0169]、特開2010−106242号公報の[0021]〜[0075]段落、特開2010−215846号公報の[0011]〜[0025]段落、特開2011−048311号公報の[0017]〜[0069]段落、特開2011−213610号公報の[0013]〜[0133]段落、特開2011−237513号公報の[0074]〜[0246]段落、WO2016/060173号の[0005]〜[0041]段落、WO2016/136561号の[0008]〜[0062]段落などに記載された二色性色素を使用できる。また、可視光ではない他の波長領域で二色性を示す化合物でもよい。例えば、赤外線または紫外線の波長領域で二色性を示す化合物を使用できる。
第2保護層15は、塗布光学膜14を水等から保護する。第2保護層15は、アクリル系ポリマー、アクリレート系モノマー重合体、エポキシ系モノマー重合体または、環状オレフィンポリマー(COP)もしくは環状オレフィンコポリマー(COC)等で形成されているが、形成する材料はこれらに限られない。
上記のように構成した積層体10は、基材11側または第2保護層15側から入射する光に対して、二色性化合物31及び/または会合体32がX方向の偏光を吸収し、かつ、Y方向の偏光を透過するので、偏光板として機能する。また、偏光子としての機能をもつ塗布光学膜14はごく薄く形成することができ、かつ、塗布光学膜14内において二色性化合物31の配向が高精度に揃っている。このため、積層体10は、ヨウ素を添加したPVAを用いる偏光板(以下、ヨウ素添加PVA偏光板という)よりも透過率を高くした場合(特に、透過率を50%以上の高透過率にする場合)に、ヨウ素添加PVA偏光板よりも偏光度が高い。この他、塗布光学膜14をヨウ素添加PVA偏光板よりも薄く形成できる結果、積層体10の全体としてもヨウ素添加PVA偏光板よりも薄く、かつ、ヨウ素添加PVA偏光板と同程度かそれ以上の耐久性(耐熱性または耐湿性等)を有する。
[積層体の製造装置及び製造方法]
積層体10は、例えば図3に示す製造装置40を用いて製造する。この例では、積層体10を長尺に製造しているが、得られた長尺の積層体10をカットすることによりシート状に製造してもよい。製造装置40は、長尺の基材11の搬送方向における上流側から順に、第1保護層形成部41と配向膜形成部42と塗布光学膜形成部43と第2保護層形成部44とを備える。第1保護層形成部41は、基材11上に第1保護層12を形成する。配向膜形成部42は、第1保護層12上に配向膜13を形成する。塗布光学膜形成部43は、配向膜13上に塗布光学膜14を形成する。第2保護層形成部44は、塗布光学膜14上に第2保護層15を形成する。製造装置40は、図示しない搬送機構(搬送ローラ及び搬送ローラの駆動機構等)を用いて基材11を長手方向に搬送しながら、上記各部が膜または層を順次積層することにより積層体10を得る。なお、基材11の搬送方向には符号Dcを付す。
図4に示すように、第1保護層形成部41は、塗膜形成部51と、乾燥部52と、を備える。塗膜形成部51は、搬送方向Dcに移動する基材11上に、PVAが溶媒に溶けている塗布液53を塗布し、塗膜54を形成する。その後、乾燥部52は、加熱、送風、自然乾燥及び/またはその他の方法により塗膜54から溶媒を減少させ、塗膜54を乾燥することにより、基材11上に第1保護層12を形成する。
図5に示すように、配向膜形成部42は、塗膜形成部61と、乾燥部62と、光照射部63と、を備える。塗膜形成部61は、第1保護層12上に、アゾ化合物が溶媒に溶けている塗布液66を塗布し、塗膜67を形成する。その後、乾燥部62は、加熱、送風、自然乾燥及び/またはその他の方法により塗膜67から溶媒を減少させ、塗膜67を乾燥することにより、第1保護層12上に乾燥塗膜68を形成する。次いで、光照射部63は、乾燥塗膜68に紫外線の偏光を照射する。その結果、乾燥塗膜68は、アゾ化合物を紫外線の偏光方向にしたがって異性化し、配向膜13を形成する。
図6に示すように、塗布光学膜形成部43は、塗膜形成部91と、乾燥部92と、温度管理部93と、を備える。塗膜形成部91は、配向膜13上に、液晶性ポリマー21と、二色性化合物31と、液晶性ポリマー21及び二色性化合物31を溶解する溶媒と、を含有する塗布液94を塗布することにより、塗膜96を形成する(塗膜形成工程)。なお、この例の塗布液94は、液晶性ポリマー21と、二色性化合物31とが溶媒に溶けた状態となっている。その後、乾燥部92は、加熱、送風、自然乾燥及び/またはその他の方法により塗膜96から溶媒を減少させ、塗膜96を乾燥することにより、配向膜13上に乾燥塗膜97を形成する(乾燥工程)。温度管理部93は、溶媒が減少した塗膜である乾燥塗膜97を昇温し、降温し、及び/または、特定の温度帯域を維持することにより、乾燥塗膜97を熟成する。この温度管理部93が行う温度管理によって、乾燥塗膜97内において液晶性ポリマー21及び二色性化合物31の配向が、より精緻に整う。この結果、乾燥塗膜97は、偏光子としての機能をもつ塗布光学膜14となる。なお、乾燥工程の終了時において、乾燥塗膜97に溶媒が残留していてもよく、この例においても少量残留している。
図7に示すように、温度管理部93は、第1加熱部101と、第1冷却部102と、第2加熱部103と、第2冷却部104と、を備え、図8に示す温度制御プロファイルにしたがって温度管理をする。
第1加熱部101は、乾燥部92から搬送される中間積層体110を加熱し、乾燥部92から搬送される際の温度(例えば常温To)から特定の温度にする。具体的には、第1加熱部101は、少なくとも乾燥塗膜97を加熱し、二色性化合物31の融点Tmよりも高い第1温度T1にする第1加熱工程P1を行う。二色性化合物31の融点Tmは、通常、液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneよりも高い。このため、第1加熱部101が乾燥塗膜97を第1温度T1にした場合には、自動的に液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneを超える。
なお、液晶性ポリマー21と二色性化合物31との具体的な組み合わせに起因して、二色性化合物31の融点Tmが、液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneよりも低い場合、第1温度T1は、液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneよりも高い温度である。すなわち、第1温度T1は、少なくとも、二色性化合物31の融点Tmよりも高く、かつ、液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneよりも高い温度である。
第1温度T1は、液晶性ポリマー21の融点(図示しない)よりも低いことが必要である。液晶性ポリマー21の融点以上にした場合には、乾燥塗膜97が融解してしまい、膜の状態を維持できなくなるので、結果として、乾燥塗膜97から塗布光学膜14を形成できないからである。同様に、第1温度T1は、基材11、第1保護層12、または配向膜13が損なわれる温度(例えば、融解、変形、または変質(配向膜13については異性化の方向性が消失することを含む)等が生じる温度)よりも低いことが必要である。さらに、第1温度T1は、液晶性ポリマー21のスメクチック相への相転移温度(図示しない)等、他の相への転移温度よりも低いことが必要である。すなわち、第1温度T1は、液晶性ポリマー21がネマチック相を呈する温度である。
第1加熱工程P1は、より詳しくは、昇温工程P1aと、温度維持工程P1bと、を有することが好ましい。昇温工程P1aは、第1温度T1までの実際的な温度の上昇変化を生じて第1温度T1未満の乾燥塗膜97を最初に第1温度T1まで昇温する工程である。温度維持工程P1bは、第1温度T1に到達した乾燥塗膜97を第1温度T1に維持する工程である。
乾燥塗膜97を第1温度T1にするのは、液晶性ポリマー21をネマチック相にし、かつ、二色性化合物31を融解することにより、液晶性ポリマー21と二色性化合物31が相溶した状態にするためである。したがって、この状態を作り出すことができれば、乾燥塗膜97を第1温度T1にする際の具体的な昇温のプロファイルは任意である。例えば、図8の温度プロファイルにおいては、昇温工程P1aは経過時間t1から経過時間t2にかけて一定の昇温速度で直線的に乾燥塗膜97を昇温しているが、昇温工程P1aは第1温度T1まで段階的にまたは任意形状の曲線に沿って昇温してもよい。
また、温度維持工程P1bは、経過時間t2から経過時間t3の間、ほぼ完全に第1温度T1を維持しているが、第1温度T1以上の温度を維持できればよい。すなわち、「第1温度T1を維持する」とは、「二色性化合物31の融点Tmよりも高く、かつ、液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneよりも高い温度」を維持すること、すなわち、塗布光学膜14及び配向膜13等その他の層または膜に不具合がなく、液晶性ポリマー21がネマチック相を呈し、かつ、液晶性ポリマー21と二色性化合物31の相溶を継続し得る温度範囲内に乾燥塗膜97の温度を維持することをいう。したがって、温度維持工程P1bは、厳密に第1温度T1を継続する必要はなく、温度維持工程P1bにおいて乾燥塗膜97の温度変化があってもよい。
昇温工程P1aに要する時間(Δt21=t2−t1)、温度維持工程P1bに要する時間(Δt32=t3−t2)、及び、第1加熱工程P1の全体に要する時間(Δt31=t3−t1)は、いずれも、液晶性ポリマー21、二色性化合物31、及びその他の中間積層体110を構成する各部の材質等に応じて調節可能である。温度維持工程P1bにおいては、乾燥塗膜97の全体において、液晶性ポリマー21がネマチック相を呈し、かつ、液晶性ポリマー21と二色性化合物31の相溶する状態を実現するために要する実際的な時間だけ、第1温度T1を維持すれば足りる。第1温度T1を維持する時間は、液晶性ポリマー21、二色性化合物31、及びその他の中間積層体110を構成する各部の材質等にも依るが、例えば数秒から十数秒程度であり、1秒以上19秒以下であることが好ましく、5秒以上15秒以下であることがより好ましく、9秒以上11秒以下であることが特に好ましい。本実施形態においては、第1温度T1を維持する時間は10秒である。
第1加熱部101が乾燥塗膜97を加熱する場合、乾燥塗膜97の温度が液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tne未満の状態においては、図9に示すように、乾燥塗膜97内において液晶性ポリマー21と二色性化合物31とがほぼランダムに並んだ状態で固化している。その後、乾燥塗膜97が第1温度T1に到達にした場合、図10に示すように、液晶性ポリマー21は流動性を増してネマチック相を呈し、概ね配向膜13にしたがって配向する。一方、乾燥塗膜97が第1温度T1に到達にした場合、二色性化合物31は溶融して液晶性ポリマー21と相溶するが、液晶性ポリマー21が概ね配向膜13にしたがった配向をとるので、結果的に、メソゲン基23の間に集まりやすくなった状態となる。
第1冷却部102は、第1加熱工程P1を経た乾燥塗膜97を冷却し、第1温度T1から、少なくとも二色性化合物31の結晶化温度Tcよりも低い第2温度T2にする第1冷却工程P2(冷却工程)を行う。より好ましくは、第2温度T2は、二色性化合物31の結晶化温度Tcよりも低く、かつ、液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsよりも低い温度である。本実施形態においては、第2温度T2は、二色性化合物31の結晶化温度Tcよりも低く、かつ、液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsよりも低い温度である。
なお、二色性化合物31の結晶化温度Tcは、通常、液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneよりも低い。このため、第1冷却部102が乾燥塗膜97を第2温度T2にした場合、自動的に液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneを下回る。また、通常は、液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsは、二色性化合物31の結晶化温度Tcよりも低いので、第1冷却部102が乾燥塗膜97を第2温度T2にする過程で、液晶性ポリマー21よりも先に二色性化合物31が結晶化する。
液晶性ポリマー21と二色性化合物31の具体的な組み合わせに起因して、液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsと、二色性化合物31の結晶化温度Tcと、の高低関係が上記とは逆転する場合がある。この場合においても、第2温度T2は、少なくとも二色性化合物31の結晶化温度Tcよりも低い温度である。すなわち、第2温度T2は、少なくとも二色性化合物31の結晶化温度Tcを下回る必要があるが、必ずしも液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsを下回る必要はない。第1冷却工程P2においては、液晶性ポリマー21は、配向膜13にしたがって規則的に配列した結果として形成される空隙26に1または複数の二色性化合物31を包含し、かつ、二色性化合物31は、液晶性ポリマー21が形成する一定の空隙26内において概ね一定の配向を得ている状態を保ったままで移動または回転等の運動を抑制できればよいからである。
第1冷却工程P2は乾燥塗膜97を急速冷却する工程である。このため、第1冷却工程P2においては、所定の冷却速度以上の冷却速度で乾燥塗膜97を冷却し、または、第1温度T1から第2温度T2まで所定時間内に乾燥塗膜97を冷却する。冷却速度とは、温度を下げる(すなわち降温する)降温速度である。例えば、3℃/秒の冷却速度とは、1秒間に温度を3℃下げることをいう。
具体的には、第1冷却工程P2は、少なくとも1℃/秒以上、より好ましくは3℃/秒以上、特に好ましくは5℃/秒以上の冷却速度(以下、所定冷却速度という)で乾燥塗膜97を冷却する。また、本実施形態においては、簡単のため、二色性化合物31は結晶化温度Tcにおいて結晶化するものとしているが、より実際的には、二色性化合物31は所定の温度範囲(以下、結晶化温度範囲という)において結晶化する。結晶化温度範囲の上限の温度(すなわち冷却時に二色性化合物31の結晶化が開始する温度)を「Tc1」とし、かつ、結晶化温度範囲の下限の温度(すなわち二色性化合物31の結晶化が完了する温度)を「Tc2」とする場合、少なくとも、結晶化温度範囲の上限の温度Tc1から結晶化温度範囲の下限の温度Tc2に到達するまでの冷却速度が所定冷却速度であることが好ましい。なお、所定冷却速度は、いわゆる平均速度である。このため、乾燥塗膜97を冷却する過程の一部において所定冷却速度を下回る冷却速度で冷却する時間を含んでいてもよい。この場合、上記いずれかの温度区間で平均した冷却速度が所定冷却速度であればよい。また、第1冷却工程P2における冷却速度には基本的には上限はない。このため、乾燥塗膜97を有する中間積層体110の各部が変質する、または、皺(しわ)ができる等の不具合が生じない範囲内であれば、できる限り速く冷却することが好ましい。
第1冷却工程P2においては、乾燥塗膜97を、第1温度T1から第2温度T2まで、0.01秒以上110秒以内に、好ましくは0.01秒以上40秒以内に、より好ましくは0.01秒以上25秒以内に、特に好ましくは0.01秒以上10秒以内に乾燥塗膜97を冷却する。また、より実際的には、少なくとも結晶化温度範囲の上限の温度Tc1から結晶化温度範囲の下限の温度Tc2に達するまでの所要時間が0.01秒以上40秒以内であればよく、0.01秒以上20秒以内であることがより好ましく、0.01秒以上10秒以内であることが特に好ましい。
なお、第1冷却工程P2においては、少なくとも上記所定冷却速度または上記所定時間以内に乾燥塗膜97を冷却することができればよく、上記所定冷却速度かつ上記所定時間以内に乾燥塗膜97を冷却することが好ましい。また、上記所定冷却速度または上記所定時間を遵守する場合、第1冷却工程P2における具体的な冷却のプロファイルは任意である。例えば、図8においては、第1冷却工程P2は、経過時間t3から経過時間t4にかけて一定の冷却速度で直線的に乾燥塗膜97を降温しているが、第1冷却工程P2は第2温度T2まで段階的にまたは任意形状の曲線に沿って降温してもよい。また、第1冷却工程P2は、その一部に、乾燥塗膜97の温度が下がらない(一定の温度を維持する等)時間帯があってもよい。また、第1冷却工程P2は、その一部に、乾燥塗膜97の温度が上がる時間帯があってもよい。上記のように、第1冷却工程P2において、段階的にまたは任意形状の曲線に沿って降温する場合、または、一部に、乾燥塗膜97の温度が下がらない時間帯もしくは乾燥塗膜97の温度が上がる時間帯を含む場合、第1冷却工程P2における最低の到達温度が第2温度T2である。
また、第1冷却工程P2は、第1加熱工程P1の次工程である。すなわち、第1加熱工程P1後、第1冷却工程P2の開始までの間に、乾燥塗膜97の温度変化をともなう工程及びその他乾燥塗膜97の状態の変化をともなう工程を行わず、第1加熱工程P1の直後に第1冷却工程P2を行う。
第1冷却部102が乾燥塗膜97を冷却した場合、図11に示すように、メソゲン基23が配向膜13にさらに正確にしたがった規則的な配向状態に近づきつつ液晶性ポリマー21が固化して、空隙26がより明確化する。一方、二色性化合物31は、空隙26においてメソゲン基23の配向方向に追従して概ね一定の配向状態を保ったまま固化し、液晶性ポリマー21に対して相分離した状態となる。この結果、乾燥塗膜97は全体として一様な偏光子としての機能を得る。
上記のように、第1冷却工程P2において、空隙26にトラップされた二色性化合物31が、空隙26を破壊し、または、他の空隙26と結合する等して二色性化合物31の位置及び向きがランダムな結晶成長をせずに、メソゲン基23等が形成する空隙26にしたがった配列秩序を維持して結晶化するのは、第1冷却工程P2において乾燥塗膜97を急冷するからである。また、第1冷却工程P2において、メソゲン基23が配向膜13にさらに正確にしたがった規則的な配向状態に近づきつつ液晶性ポリマー21が固化するのも、第1冷却工程P2において乾燥塗膜97を急冷するからである。
第2加熱部103は、第1冷却工程P2を経た乾燥塗膜97を加熱し、第3温度T3にする第2加熱工程P3を行う。第3温度T3は、少なくとも液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneよりも低い。さらに、第3温度T3は、二色性化合物31の結晶化温度Tcよりも低いことが好ましい。また、液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsはネマチック転移温度Tneよりも低く、第3温度T3は、少なくとも液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsよりも高い。第3温度T3は、二色性化合物31の会合が促進される温度範囲(以下、会合促進温度範囲という)RT以上の温度である。したがって、第2加熱工程P3は、液晶性ポリマー21が形成する1つの空隙26に包含された複数の二色性化合物31の会合を促進する。会合促進温度範囲RTがX℃以上X℃以下である場合、会合促進温度範囲RT以上の温度とは、少なくともX℃以上の温度であり、X℃以上X℃以下の温度であってもよく、X℃以上の温度でもよい。
第2加熱工程P3は、より詳しくは、昇温工程P3aと、温度維持工程P3bと、を有することが好ましい。昇温工程P3aは、第3温度T3までの実際的な温度の上昇変化を生じて、乾燥塗膜97を最初に第3温度T3まで昇温する工程である。温度維持工程P3bは、第3温度T3に到達した乾燥塗膜97を第3温度T3に維持する工程である。
乾燥塗膜97を第3温度T3にするのは二色性化合物31の会合を促進するためであるから、乾燥塗膜97を第3温度T3にする際の具体的な昇温のプロファイルは任意である。例えば、図8の温度プロファイルにおいては、昇温工程P3aは経過時間t5から経過時間t6にかけて一定の昇温速度で直線的に乾燥塗膜97を昇温しているが、昇温工程P3aは第3温度T3まで段階的にまたは任意形状の曲線に沿って昇温することができる。
但し、第2加熱工程P3は、第1冷却工程P2を経た乾燥塗膜97を、所定の加熱速度(以下、所定加熱速度という)で加熱することが好ましい。加熱速度とは、温度を上げる(すなわち昇温する)昇温速度である。例えば、3℃/秒の加熱速度とは、1秒間に温度を3℃上げることをいう。
具体的には、所定加熱速度は、例えば、0.1℃/秒以上3.0℃/秒以下であり、より好ましくは、0.5℃/秒以上2.0℃/秒以下である。二色性化合物31が会合体32をつくるために時間を要するため、加熱速度が速いと十分な会合体が作れず、配向度が低下する。また、加熱速度が遅いと工程長が長くなりプロセス負荷が大きくなる。なお、所定加熱速度は、いわゆる平均速度である。このため、第1冷却工程P2を経た乾燥塗膜97を加熱する過程の一部において所定加熱速度の範囲外の加熱速度で加熱する時間を含んでいてもよい。例えば、昇温工程P3aにおいて平均した加熱速度が所定加熱速度であれば良い。
また、温度維持工程P3bは、模式的に経過時間t6から経過時間t7の間、ほぼ完全に第3温度T3を維持しているが、少なくとも会合促進温度範囲RT以上の温度を維持できれば良い。すなわち、「第3温度T3を維持する」とは、会合促進温度範囲RT以上の温度を維持するこという。したがって、温度維持工程P3bは、厳密に特定の温度(昇温の目標として設定した第3温度T3)を維持する必要はなく、温度維持工程P3bにおいても乾燥塗膜の温度変化があってもよい。
昇温工程P3aに要する時間(ΔT65=t6−t5)、温度維持工程P3bに要する時間(ΔT76=t7−t6)、及び、第2加熱工程P3の全体に要する時間(ΔT75=t7−t5)は、いずれも液晶性ポリマー21、二色性化合物31、及びその他中間積層体110を構成する各部の材質等に応じて調節可能である。温度維持工程P3bにおいては、乾燥塗膜97の全体において、液晶性ポリマー21が配向膜13にしたがった配向状態を崩さず、かつ、二色性化合物31の会合が概ね完了するために要する実際的な時間だけ第3温度T3を維持すればよい。なお、液晶性ポリマー21、二色性化合物31、及びその他中間積層体110を構成する各部の材質等にも依るが、第2加熱工程P3は、温度維持工程P3b及び/または昇温工程P3aにおいて、継続的または断続的に、第3温度T3を少なくとも1秒以上維持することが好ましく、第3温度T3を3秒以上維持することがより好ましい。
第2加熱部103が乾燥塗膜97を加熱した場合、液晶性ポリマー21及び二色性化合物31の配向状態(図11参照)を概ね維持しつつ、徐々に、液晶性ポリマー21のメソゲン基23は若干の可動性を得る。その結果、メソゲン基23はさらに良く配向膜13にしたがう。また、二色性化合物31は、結晶化温度Tcを超え、会合促進温度範囲RT以上の温度になると、可動性を得るが、メソゲン基23等が形成する空隙26は脱せずに、同一の空隙26にある他の二色性化合物31との接触等の確率が高まる。その結果、各空隙26において二色性化合物31の会合が進み、乾燥塗膜97は配向度が向上する(図2参照)。
第2冷却部104は、第2加熱工程P3を経た乾燥塗膜97を、自然に、または、送風等によって能動的に冷却する第2冷却工程P4を行う。第2冷却工程P4においては、乾燥塗膜97を、例えば、常温Toまたは室温等の温度にする。第2冷却工程P4を経た乾燥塗膜97は、偏光度が向上した良好な偏光子の状態を維持した配向度が高い塗布光学膜14となる(図6参照)。
上記温度管理部93を構成する第1加熱部101、第1冷却部102、第2加熱部103、及び、第2冷却部104は、例えば、図12に示すように、温度調節機能付き搬送ローラ(以下、温調ローラという)116と、温度制御部117と、によって構成することができる。温調ローラ116は、温度制御部117が温度を調節した油等を内部に通すことにより、中間積層体110との接触面の温度を調節する。また、温調ローラ116は、本実施形態においては回転制御部を有する駆動ローラである。但し、温調ローラ116には、搬送される中間積層体110との接触により回転する従動ローラを用いてもよい。本実施形態においては、各温調ローラ116の間で、搬送路に関し、図12の紙面下側の雰囲気を吸引することにより、温調ローラ116の周面に対する中間積層体110の接触面積を増加させている。これにより、中間積層体110をより迅速かつ一様に加熱または冷却することができる。
図13に示すように、第2保護層形成部44は、塗膜形成部121と、乾燥部122と、を備える。塗膜形成部121は、第2保護層15の材料であるエポキシ系モノマー重合体等と、エポキシ系モノマー重合体等を溶解する溶媒と、を含有する塗布液126を、塗布光学膜14上に塗布し、塗膜127を形成する。その後、乾燥部122は、加熱、送風、自然乾燥及び/またはその他の方法により塗膜127から溶媒を減少させ、塗膜127を乾燥することにより、塗布光学膜14上に第2保護層15を形成する。これにより、積層体10が完成する。
上記のように、製造装置41は、液晶性ポリマー21と二色性化合物31とを含み、二色性化合物31の配向によって偏光子としての機能を発現する塗布光学膜14を形成する際に、第1加熱工程P1と、第1冷却工程P2と、を行うので、配向度が高い塗布光学膜14、及び、配向度が高い塗布光学膜14を有する積層体10を得ることができる。また、二色性化合物31が会合性を有する場合に第2加熱工程P3を行うことにより、二色性化合物31が会合体32を形成してさらに配向度が向上した塗布光学膜14及び積層体10が得られる。
なお、上記実施形態及び実施例においては、液晶性ポリマー21と、1種類の二色性化合物31を用いて塗布光学膜14を形成しているが、塗布光学膜14には、2種類以上の二色性化合物31を含有できる。
二色性化合物31は種類に応じて吸収する光の波長帯域が異なるので、塗布光学膜14が2種類以上の二色性化合物31を含有する場合、1種類の二色性化合物31のみを用いる場合よりも積層体10が偏光板として機能する波長帯域を広くできる。可視光の波長帯域において偏光板として機能する積層体10を製造する場合には、少なくとも1種類は、主に緑色の波長帯域を吸収する二色性化合物31を含有することが好ましい。緑色の波長帯域を吸収する二色性化合物31は会合性を有することが特に好ましい。緑色は青色または赤色と比較して視感度が高いからである。
塗布光学膜14に2種類以上の二色性化合物31を含有する場合、少なくとも1種類は、会合性を有する二色性化合物31を含有することが好ましい。第2加熱工程P3を行って会合を促進することで配向度を特に向上し易いからである。但し、塗布光学膜14が、会合性を有しない1種類または複数種類の二色性化合物31だけを含有する場合においても、第1加熱工程P1及び第1冷却工程P2を経ることで二色性化合物31は一定の配向性を得ることができる。また、塗布光学膜14が、会合性を有しない1種類または複数種類の二色性化合物31だけを含有する場合においても、第2加熱工程P3を行うと、液晶性ポリマー21の配向度が向上するので、液晶性ポリマー21の配向度向上に追従して二色性化合物31の配向度も向上する。
塗布光学膜14に2種類以上の二色性化合物31を含有する場合、二色性化合物31の融点Tmの最高値よりも高い温度に第1温度T1を設定する。全ての二色性化合物31を溶融するためである。また、第1冷却工程P2においては、少なくとも二色性化合物31の結晶化温度Tcの最低値よりも低い温度に第2温度T2を設定する。全ての二色性化合物31を固化し、運動性を抑止するためである。但し、多くの場合、二色性化合物31の結晶化温度Tcよりも液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsの方が低いので、液晶性ポリマー21の結晶化温度Tsよりも低値に第2温度T2を設定することで、全ての二色性化合物31を固化することができる。また、第2加熱工程P3においては、会合性を有する二色性化合物31の結晶化温度Tcのうち最低値より低く、かつ、液晶性ポリマー21のネマチック転移温度Tneよりも低い値に第3温度T3を設定する。空隙26内という位置的な制約を課したまま、全ての会合性を有する二色性化合物31に運動性を与え、会合を促進するためである。
[実施例]
製造装置40を用い、第1冷却工程P2における冷却の条件を表1に示す条件にし、実施例の積層体10及び比較例の積層体を製造した。各実施例の積層体10及び各比較例の積層体は、表1に示す条件以外の製造条件及び構成は共通である。具体的には、基材11はTACフィルムで形成し、第1保護層12はPVAで形成し、配向膜13はアゾベンゼンを用いた光配向膜であり、かつ、第2保護層15はエポキシ系モノマー重合体である。塗布光学膜14に使用した液晶性ポリマー21は下記L1である。L1の液晶性ポリマー21は、(1)で示す繰り返しユニットと、(2)で示す繰り返しユニットとから構成されている。1分子における(1)で示す繰り返しユニットと(2)で示す繰り返しユニットとの割合は、{(1)で示す繰り返しユニット}:{(2)で示す繰り返しユニット}=80:20である。下記L1の液晶性ポリマー21は、ネマチック転移温度Tneは約97℃、かつ、結晶化温度Tsは約67℃である。塗布光学膜14に使用した二色性化合物31は下記D1である。下記D1の二色性化合物31は、融点Tmは約140℃、結晶化温度Tcは約85℃である。第2加熱工程P3における加熱速度は約2.0℃/秒であり、加熱時間は少なくとも1秒以上である。また、下記D1に示す二色性化合物31の会合促進温度範囲RTは約50℃以上約80℃以下である。表1の「維持工程の有無」欄の括弧( )書きは、第1温度T1を維持した時間である。
Figure 2019171877
Figure 2019171877
また、実施例の積層体10及び比較例の積層体を、下記の方法により、配向度を用いて評価した。
<配向度の測定方法>
得られた積層体10から第2保護層15を剥離した。その後、光学顕微鏡(株式会社ニコン製、製品名「ECLIPSE E600 POL」)の光源側に直線偏光子を挿入した状態で、サンプル台に実施例および比較例の「第2保護層15を剥離した積層体10」をセットし、マルチチャンネル分光器(Ocean Optics社製、製品名「QE65000」)を用いて、400〜700nmの波長域における吸光度を測定し、以下の式により配向度を算出した。結果を下記表1に示す。
配向度:S=[(Az0/Ay0)−1]/[(Az0/Ay0)+2]
Az0:吸収軸方向の偏光に対する吸光度
Ay0:偏光軸方向の偏光に対する吸光度
<評価方法>
0.95以上の配向度を評価A、0.95未満かつ0.92以上の配向度を評価B、0.92未満の配向度をCとした。配向度の点で、評価A及び評価Bは合格であり、評価Cは不合格である。
Figure 2019171877
10 積層体
11 基材
12 第1保護層
13 配向膜
14 塗布光学膜
15 第2保護層
21 液晶性ポリマー
22 主鎖
23 メソゲン基
24 側鎖
26 空隙
31 二色性化合物
32 会合体
40 製造装置
41 第1保護層形成部
42 配向膜形成部
43 塗布光学膜形成部
44 第2保護層形成部
51、61、91 塗膜形成部
52、62、92 乾燥部
53、66、94 塗布液
54、67、96 塗膜
63 光照射部
68、97 乾燥塗膜
93 温度管理部
101 第1加熱部
102 第1冷却部
103 第2加熱部
104 第2冷却部
110 中間積層体
A、B 配向度の評価
Dc 搬送方向
P1 第1加熱工程
P1 第1冷却工程
P1a、P3a 昇温工程
P1b、P3b 温度維持工程
P2 第1冷却工程
P3 第2加熱工程
t1〜t8 経過時間
T1 第1温度
T2 第2温度
T3 第3温度
Tc 二色性化合物の結晶化温度
Tm 二色性化合物の融点
Tne 液晶性ポリマーのネマチック転移温度
To 常温
Ts 液晶性ポリマーの結晶化温度
RT 会合促進温度範囲

Claims (6)

  1. 液晶性化合物と、二色性化合物と、前記液晶性化合物及び前記二色性化合物を溶解する溶媒と、を含む塗布液を配向膜上に塗布することにより、塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜から前記溶媒を減少させる乾燥工程と、
    前記溶媒が減少した前記塗膜を加熱し、前記二色性化合物の融点よりも高い第1温度にする第1加熱工程と、
    前記第1加熱工程を経た前記塗膜を冷却し、前記第1温度から、前記二色性化合物の結晶化温度よりも低く、かつ、前記液晶性化合物の結晶化温度よりも低い第2温度にする冷却工程と、
    前記冷却工程を経た前記塗膜を加熱し、前記液晶性化合物のネマチック転移温度よりも低い第3温度にする第2加熱工程と、
    を有する積層体の製造方法。
  2. 前記二色性化合物が会合性を有する場合、前記第3温度は前記二色性化合物の会合を促進する会合促進温度範囲以上の温度である請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記第3温度は、少なくとも前記液晶性化合物の結晶化温度よりも高い請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記第3温度は、前記二色性化合物の結晶化温度よりも低い請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記第2加熱工程は、前記冷却工程を経た前記塗膜を、0.1℃/秒以上3.0℃/秒以下の加熱速度で加熱する請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記第2加熱工程は、前記第3温度T3を1秒以上維持する請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
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