JPWO2019168173A1 - 可塑剤含有シートが重なってなる多層構造体 - Google Patents
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Abstract
透明性に優れ、合わせガラス作製時に使用できる、導電構造体を有するシートの多層構造体であって、合わせガラス作製時に、導電構造体における欠陥が生じ難く、作業性に優れ、安全合わせガラスに求められる安全性を備えた合わせガラスをもたらす多層構造体の提供。
ポリビニルアセタール(1)100質量部及び可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(1)と、ポリビニルアセタール(2)100質量部及び可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(2)と、前記層(1)及び前記層(2)の間に配置された導電構造体とを備えるシート(A)が2枚以上重なってなる多層構造体であって、シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)及び(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量が10〜80質量部である多層構造体。
ポリビニルアセタール(1)100質量部及び可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(1)と、ポリビニルアセタール(2)100質量部及び可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(2)と、前記層(1)及び前記層(2)の間に配置された導電構造体とを備えるシート(A)が2枚以上重なってなる多層構造体であって、シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)及び(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量が10〜80質量部である多層構造体。
Description
本発明は、導電構造体を有する可塑剤含有シートが2枚以上重なってなる多層構造体に関する。
建物または乗物におけるガラス、例えば自動車用途においてはフロントガラス等の着氷や曇りを除去する方法が必要とされており、従来、この方法としてガラスに熱風を当てる方法が知られている。しかし、この方法では、十分な前方視認性を得るのに時間がかかる等の問題がある。特に着氷や曇りの除去にガソリン燃料の燃焼熱を利用できない電気自動車においては、電気で空気を加熱し、ガラスに熱風を当てる方法では効率が悪く、航続距離の低下に直結するといった問題がある。
そこで、ガラスに導電構造体を設置し通電することで、着氷や曇りを除去する方法が提案されている。例えば特許文献1には、透明基材、前記透明基材の少なくとも一面に備えられた接着剤層、前記接着剤層上に備えられた導電性発熱線、前記導電性発熱線および前記発熱線によって覆われていない接着剤層の上面をカプセル化するコーティング膜、前記導電性発熱線と電気的に連結したバスバー、および前記バスバーと連結した電源部を含む発熱体が記載されており、具体的には、透明基材としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを使用した例が記載されている。また、例えば特許文献2には、2枚の透明なプレートの間に少なくとも1枚のシートAと少なくとも1枚のシートBとを配置し接着して、導電構造体を有する合わせガラスを製造する方法であって、シートAはポリビニルアセタールPAと可塑剤WAとを含有し、かつ不連続の導電構造体を有しており、シートBはポリビニルアセタールPBと可塑剤WBとを含有する方法が記載されている。
ところで、導電構造体を有する合わせガラスを作製する場合、導電構造体を有する樹脂シートを用いることがある。かかる導電構造体を有する樹脂シートは、任意の導電構造体を有することができ、経済的な方法で製造できるが、運搬時または保管時のより良好な取扱い性が求められることがあった。導電構造体を有する樹脂シートは、生産現場から使用現場まで運搬する際、および生産現場または使用現場で保管する際に、ロール状に巻き取ったり切り出して2枚以上重ねたりして、コンパクトな状態にしておくことが取扱い性の観点から好ましい。しかしながらそのような形態で運搬または保管した場合、樹脂シート同士が重ね合わさった部分で導電構造体が破断したり、樹脂シートから剥離したりすることがあり、さらには導電構造体が重なった樹脂シートに接着し、樹脂シートをロールから引出す際に導電構造体が断線することがあった。このような導電構造体の破断、剥離または断線は、最終的に得られる合わせガラスにおいて外観を損なう原因、並びに通電性および加熱性能が低減する原因となる。また、従来の導電構造体を有する樹脂シートのみでは安全合わせガラスとしての性能(安全性)は不十分な場合があり、その場合は一般的に使用される合わせガラス用中間膜を併用する必要があるが、合わせガラス用中間膜を併用する場合、合わせガラスを作製する工程において樹脂シートと合わせガラス用中間膜の両方をガラスの大きさに切り出し、それらをガラスの間に挟む、といった多くの工程が必要となり、作業性の点で好ましくない。特に近年の自動化された合わせガラス用中間膜の製造工程において、合わせガラス用中間膜に加えて別の樹脂シートを用いる場合には製造工程の大幅な変更を行う必要があり、そのような変更は困難であった。
本発明は前記課題を解決するものである。即ち、本発明は、透明性に優れ、合わせガラス作製時に使用できる、導電構造体を有するシートの多層構造体であって、合わせガラス作製時に、導電構造体における破断、剥離および断線等の欠陥が生じにくく、また作業性に優れ、安全合わせガラスに求められる安全性を備えた合わせガラスをもたらす、多層構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、2つのポリビニルアセタール層の間に配置された導電構造体を備えるシートが重なってなる多層構造体について詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕ポリビニルアセタール(1)100質量部および可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(1)と、ポリビニルアセタール(2)100質量部および可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(2)と、前記ポリビニルアセタール層(1)および前記ポリビニルアセタール層(2)の間に配置された導電構造体とを備えるシート(A)が2枚以上重なってなる多層構造体であって、シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量が10〜80質量部である多層構造体。
〔2〕前記ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、および前記ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の少なくとも一方が10質量部以上である、前記〔1〕の多層構造体。
〔3〕前記ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、および前記ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の一方が0質量部以上10質量部以下であり、もう一方が10質量部以上80質量部以下である、前記〔1〕または〔2〕の多層構造体。
〔4〕前記シート(A)がその少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかの多層構造体。
〔5〕前記シート(A)の少なくとも一方の表面の平均表面粗さが15〜70μmである、前記〔4〕の多層構造体。
〔6〕ロール状に重なってなる多層構造体において、前記シート(A)が巻芯上に巻回されている、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかの多層構造体。
〔7〕前記導電構造体が発熱用導電構造体である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかの多層構造体。
〔8〕前記導電構造体が金属箔のエッチング構造体である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかの多層構造体。
〔9〕前記金属箔が銅を含む、前記〔8〕の多層構造体。
〔10〕前記多層構造体が、前記ポリビニルアセタール層(1)と前記導電構造体との間、および前記ポリビニルアセタール層(2)と前記導電構造体との間の少なくとも一方に、接着剤層を有する、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかの多層構造体。
〔11〕前記多層構造体が、前記ポリビニルアセタール層(1)と前記導電構造体との間、および前記ポリビニルアセタール層(2)と前記導電構造体との間に、接着剤層を有さない、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかの多層構造体。
〔12〕前記ポリビニルアセタール(1)および前記ポリビニルアセタール(2)の少なくとも一方の重合度が800以上である、前記〔1〕〜〔11〕のいずれかの多層構造体。
〔13〕前記ポリビニルアセタール(1)の重合度が1500未満であり、前記ポリビニルアセタール(2)の重合度が1500以上である、前記〔1〕〜〔12〕のいずれかの多層構造体。
〔14〕前記ポリビニルアセタール(1)が式(1):
で表される構造を有し、前記ポリビニルアセタール(2)が式(2):
で表される構造を有し、式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、R1とR2の炭素数は同一である、前記〔1〕〜〔13〕のいずれかの多層構造体。
〔15〕前記ポリビニルアセタール(1)のアセタール化度をA1モル%とし、前記ポリビニルアセタール(2)のアセタール化度をA2モル%とした場合、A1とA2の差の絶対値が5モル%未満である、前記〔1〕〜〔14〕のいずれかの多層構造体。
〔16〕前記ポリビニルアセタール(1)の水酸基量をH1モル%とし、前記ポリビニルアセタール(2)の水酸基量をH2モル%とした場合、H1とH2の差の絶対値が5モル%未満である、前記〔1〕〜〔15〕のいずれかの多層構造体。
〔17〕前記ポリビニルアセタール層(1)における可塑剤の含有量が、前記ポリビニルアセタール層(2)における可塑剤の含有量より小さく、前記ポリビニルアセタール(1)の重合度がポリビニルアセタール(2)の重合度より小さい、前記〔1〕〜〔16〕のいずれかの多層構造体。
〔18〕前記可塑剤がエーテルエステル系化合物を含む、前記〔1〕〜〔17〕のいずれかの多層構造体。
〔19〕前記シート(A)2枚を、ポリビニルアセタール層(1)側の表面とポリビニルアセタール層(2)側の表面とが接するように重ね、23℃、50%RH下、表面に垂直な向きに0.02MPaの圧力を48時間加えた後の耐ブロッキング性を示す剥離力が30N/30mm以下である、前記〔1〕〜〔18〕のいずれかの多層構造体。
〔20〕前記ポリビニルアセタール(1)の重合度が前記ポリビニルアセタール(2)の重合度より小さく、前記ポリビニルアセタール層(1)の厚さが前記ポリビニルアセタール層(2)の厚さより小さい、前記〔1〕〜〔19〕のいずれかの多層構造体。
〔21〕前記ポリビニルアセタール層(1)を構成する組成物のtanδが極大値をとる温度をTg1、前記ポリビニルアセタール層(2)を構成する組成物のtanδが極大値をとる温度をTg2とした場合、Tg1およびTg2の少なくとも一方が5℃以上である、前記〔1〕〜〔20〕のいずれかの多層構造体。
〔22〕前記シート(A)が、その外側に突出して配置された電力または電気信号受給用の端子を有する、前記〔1〕〜〔21〕のいずれかの多層構造体。
〔1〕ポリビニルアセタール(1)100質量部および可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(1)と、ポリビニルアセタール(2)100質量部および可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(2)と、前記ポリビニルアセタール層(1)および前記ポリビニルアセタール層(2)の間に配置された導電構造体とを備えるシート(A)が2枚以上重なってなる多層構造体であって、シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量が10〜80質量部である多層構造体。
〔2〕前記ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、および前記ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の少なくとも一方が10質量部以上である、前記〔1〕の多層構造体。
〔3〕前記ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、および前記ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の一方が0質量部以上10質量部以下であり、もう一方が10質量部以上80質量部以下である、前記〔1〕または〔2〕の多層構造体。
〔4〕前記シート(A)がその少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかの多層構造体。
〔5〕前記シート(A)の少なくとも一方の表面の平均表面粗さが15〜70μmである、前記〔4〕の多層構造体。
〔6〕ロール状に重なってなる多層構造体において、前記シート(A)が巻芯上に巻回されている、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかの多層構造体。
〔7〕前記導電構造体が発熱用導電構造体である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかの多層構造体。
〔8〕前記導電構造体が金属箔のエッチング構造体である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかの多層構造体。
〔9〕前記金属箔が銅を含む、前記〔8〕の多層構造体。
〔10〕前記多層構造体が、前記ポリビニルアセタール層(1)と前記導電構造体との間、および前記ポリビニルアセタール層(2)と前記導電構造体との間の少なくとも一方に、接着剤層を有する、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかの多層構造体。
〔11〕前記多層構造体が、前記ポリビニルアセタール層(1)と前記導電構造体との間、および前記ポリビニルアセタール層(2)と前記導電構造体との間に、接着剤層を有さない、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかの多層構造体。
〔12〕前記ポリビニルアセタール(1)および前記ポリビニルアセタール(2)の少なくとも一方の重合度が800以上である、前記〔1〕〜〔11〕のいずれかの多層構造体。
〔13〕前記ポリビニルアセタール(1)の重合度が1500未満であり、前記ポリビニルアセタール(2)の重合度が1500以上である、前記〔1〕〜〔12〕のいずれかの多層構造体。
〔14〕前記ポリビニルアセタール(1)が式(1):
〔15〕前記ポリビニルアセタール(1)のアセタール化度をA1モル%とし、前記ポリビニルアセタール(2)のアセタール化度をA2モル%とした場合、A1とA2の差の絶対値が5モル%未満である、前記〔1〕〜〔14〕のいずれかの多層構造体。
〔16〕前記ポリビニルアセタール(1)の水酸基量をH1モル%とし、前記ポリビニルアセタール(2)の水酸基量をH2モル%とした場合、H1とH2の差の絶対値が5モル%未満である、前記〔1〕〜〔15〕のいずれかの多層構造体。
〔17〕前記ポリビニルアセタール層(1)における可塑剤の含有量が、前記ポリビニルアセタール層(2)における可塑剤の含有量より小さく、前記ポリビニルアセタール(1)の重合度がポリビニルアセタール(2)の重合度より小さい、前記〔1〕〜〔16〕のいずれかの多層構造体。
〔18〕前記可塑剤がエーテルエステル系化合物を含む、前記〔1〕〜〔17〕のいずれかの多層構造体。
〔19〕前記シート(A)2枚を、ポリビニルアセタール層(1)側の表面とポリビニルアセタール層(2)側の表面とが接するように重ね、23℃、50%RH下、表面に垂直な向きに0.02MPaの圧力を48時間加えた後の耐ブロッキング性を示す剥離力が30N/30mm以下である、前記〔1〕〜〔18〕のいずれかの多層構造体。
〔20〕前記ポリビニルアセタール(1)の重合度が前記ポリビニルアセタール(2)の重合度より小さく、前記ポリビニルアセタール層(1)の厚さが前記ポリビニルアセタール層(2)の厚さより小さい、前記〔1〕〜〔19〕のいずれかの多層構造体。
〔21〕前記ポリビニルアセタール層(1)を構成する組成物のtanδが極大値をとる温度をTg1、前記ポリビニルアセタール層(2)を構成する組成物のtanδが極大値をとる温度をTg2とした場合、Tg1およびTg2の少なくとも一方が5℃以上である、前記〔1〕〜〔20〕のいずれかの多層構造体。
〔22〕前記シート(A)が、その外側に突出して配置された電力または電気信号受給用の端子を有する、前記〔1〕〜〔21〕のいずれかの多層構造体。
本発明により、透明性に優れ、合わせガラス作製時に使用できる、導電構造体を有するシートの多層構造体であって、合わせガラスの作製時に、導電構造体における破断、剥離および断線等の欠陥が生じにくく、また作業性に優れ、安全合わせガラスに求められる安全性を備えた合わせガラスをもたらす多層構造体が提供される。
本発明の多層構造体は、シート(A)が2枚以上重なってなる多層構造体である。本発明において、「シート(A)が2枚以上重なってなる多層構造体」とは、シート(A)をある程度のサイズに切り出して2枚以上重ねた状態のもの、またはロール状に巻かれることによりシート(A)が2枚以上重なっている状態(すなわち、ロール状に重なってなる状態)のものを意味する。前記シート(A)は、ポリビニルアセタール(1)100質量部および可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(1)と、ポリビニルアセタール(2)100質量部および可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(2)と、前記ポリビニルアセタール層(1)および前記ポリビニルアセタール層(2)の間に配置された導電構造体とを備えており、シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量は10〜80質量部である。
<ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)>
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)としては、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマー等のポリビニルアルコール系樹脂のアセタール化によって製造されるポリビニルアセタール樹脂を使用できる。ポリビニルアセタール(1)を構成するポリビニルアセタール樹脂およびポリビニルアセタール(2)を構成するポリビニルアセタール樹脂は、同一であっても異なっていてもよい。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)としては、ポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマー等のポリビニルアルコール系樹脂のアセタール化によって製造されるポリビニルアセタール樹脂を使用できる。ポリビニルアセタール(1)を構成するポリビニルアセタール樹脂およびポリビニルアセタール(2)を構成するポリビニルアセタール樹脂は、同一であっても異なっていてもよい。
ポリビニルアセタール(1)は、1つのポリビニルアセタール樹脂から構成されていてもよく、重合度、アセタール化度、アセチル基量、水酸基量、エチレン含有量、アセタール化に用いられるアルデヒドの分子量、および鎖長のうちいずれか1つ以上がそれぞれ異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂から構成されていてもよい。ポリビニルアセタール(1)が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂から構成される場合、溶融成形の容易性の観点、並びに合わせガラス作製時の導電構造体の変形、および合わせガラス使用時のガラスのずれ等を防ぐ観点から、ポリビニルアセタール(1)は、重合度の異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂の混合物であるか、または粘度平均重合度の異なる少なくとも2つのポリビニルアルコール系樹脂の混合物のアセタール化物であることが好ましい。本段落で述べた事項は、ポリビニルアセタール(2)についても同様である。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)は、例えば次のような方法によって製造できるが、これに限定されない。まず、濃度3〜30質量%のポリビニルアルコールまたはエチレンビニルアルコールコポリマーの水溶液を、80〜100℃の温度範囲で保持した後、10〜60分かけて徐々に冷却する。温度が−10〜30℃まで低下したところで、アルデヒドおよび酸触媒を添加し、温度を一定に保ちながら30〜300分間アセタール化反応を行う。次に、反応液を30〜200分かけて20〜80℃の温度まで昇温し、30〜300分保持する。その後、反応液を必要に応じて濾過した後、アルカリ等の中和剤を添加して中和し、樹脂を濾過、水洗および乾燥することで、ポリビニルアセタール樹脂を得る。
アセタール化反応に用いる酸触媒は特に限定されず、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸および塩酸等の有機酸および無機酸を使用できる。中でも、酸の強度および洗浄時の除去のしやすさの観点から、塩酸、硫酸および硝酸が好ましい。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)は、少なくとも1つのポリビニルアルコール系樹脂が、2〜10個の炭素原子を有する1つ以上のアルデヒドまたはケト化合物によりアセタール化されたものであることが好ましい。上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコールおよびエチレンビニルアルコールコポリマー等が挙げられ、ポリビニルアルコールが好ましい。また、上記アルデヒドまたはケト化合物は、直鎖状、分岐状および環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状であることが好ましく、直鎖状の脂肪族アルデヒドであることがより好ましく、n−ブチルアルデヒドであることが特に好ましい。上記態様であるとき、ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)は、好適な破断エネルギーを有する傾向にある。また、ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)は、複数のアルデヒドまたはケト化合物の混合物によるアセタール化物であってもよく、該混合物におけるn−ブチルアルデヒドの含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましく、100質量%であってもよい。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の製造に使用されるポリビニルアルコール系樹脂は、単独であってもよく、粘度平均重合度若しくは加水分解度等が異なる2つ以上のポリビニルアルコール系樹脂の混合物であってもよい。上記ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、好ましくは400以上、より好ましくは800以上、さらに好ましくは1000以上、特に好ましくは1300以上、最も好ましくは1500以上である。上記粘度平均重合度が上記下限値以上であると、合わせガラス作製時に導電構造体の変形および断線が抑制されやすく、得られる合わせガラスにおいて熱によりガラスがずれる現象が防止されやすい。また、上記粘度平均重合度は、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、さらに好ましくは2500以下、特に好ましくは2300以下、最も好ましくは2000以下である。上記粘度平均重合度が上記上限値以下であると良好な製膜性を得やすい。上記粘度平均重合度は、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定される。上記ポリビニルアルコール系樹脂が異なる2つ以上のポリビニルアルコール樹脂から構成される場合、少なくとも1つのポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度が、前記下限値以上かつ前記上限値以下であることが好ましい。
好ましい一態様では、ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の少なくとも一方の重合度は800以上であり、より好ましくは900以上、さらに好ましくは1000以上、特に好ましくは1300以上、最も好ましくは1500以上である。この態様における重合度の好ましい上限値は、上記したポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度の好ましい上限値と同じである。ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の少なくとも一方の重合度が上記下限値以上であると、合わせガラス作製時に導電構造体の変形および断線が抑制されやすく、得られる合わせガラスにおいて熱によりガラスがずれる現象が防止されやすい。本発明において、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、JIS K6728(1977)に基づき測定した値を意味する。
好ましい一態様では、ポリビニルアセタール(1)の重合度は1500未満であり、ポリビニルアセタール(2)の重合度は1500以上である。ポリビニルアセタール(1)の重合度は、より好ましくは1450未満、さらに好ましくは1400未満、特に好ましくは1350未満、最も好ましくは1300未満である。ポリビニルアセタール(2)の重合度は、より好ましくは1550以上、さらに好ましくは1580以上、特に好ましくは1600以上、最も好ましくは1620以上である。ポリビニルアセタール(1)の重合度が上記上限値未満であって、ポリビニルアセタール(2)の重合度が上記下限値以上であると、シート(A)を合わせガラス用中間膜として用いる場合、透明性に優れ、耐貫通性に優れるものを得やすい。この態様におけるポリビニルアセタール(1)の重合度の好ましい下限値は、上記したポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度の好ましい下限値と同じであり、ポリビニルアセタール(2)の重合度の好ましい上限値は、上記したポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度の好ましい上限値と同じである。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)中のアセチル基量は、ポリビニルアセタール主鎖のエチレンユニットを基準として、好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは0.5〜8モル%、さらに好ましくは0.5〜3モル%または5〜8モル%である。上記アセチル基量は、原料のポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を適宜調整することで調整できる。上記アセチル基量が上記範囲内であると、ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の可塑剤相溶性および機械的強度が優れる傾向にあり、また、ポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)との良好な接合性および光学歪の低減等が達成されやすい。ポリビニルアセタール(1)またはポリビニルアセタール(2)が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、ポリビニルアセタール(1)の平均のアセチル基量またはポリビニルアセタール(2)の平均のアセチル基量が、それぞれ上記範囲内であることが好ましい。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)のアセタール化度は特に限定されないが、好ましくは40〜86モル%、より好ましくは45〜84モル%、さらに好ましくは50〜82モル%、特に好ましくは60〜82モル%、最も好ましくは68〜82モル%である。アセタール化反応におけるアルデヒドの使用量を適宜調整することにより、上記アセタール化度は前記範囲内に調整できる。アセタール化度が前記範囲内であると、本発明におけるシート(A)の力学的強度が十分となりやすく、ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)と可塑剤との相溶性も低下しにくい。ポリビニルアセタール(1)またはポリビニルアセタール(2)が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、ポリビニルアセタール(1)の平均のアセタール化度またはポリビニルアセタール(2)の平均のアセタール化度が、それぞれ上記範囲内であることが好ましい。
好ましい一態様では、ポリビニルアセタール(1)のアセタール化度をA1モル%とし、ポリビニルアセタール(2)のアセタール化度をA2モル%とした場合の、A1とA2の差の絶対値は5モル%未満である。前記絶対値は、より好ましくは3モル%未満、特に好ましくは1モル%未満、最も好ましくは0モル%である。前記絶対値が上記上限値未満または0モル%であると、シート(A)の透明性を得やすい。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の水酸基量は、ポリビニルアセタール主鎖のエチレンユニットを基準として、好ましくは16〜34モル%、より好ましくは18〜34モル%、より好ましくは22〜34モル%、特に好ましくは26〜34モル%、さらに遮音性能を合わせて付与するために好ましい範囲は9〜29モル%、より好ましくは12〜26モル%、さらに好ましくは15〜23モル%、特に好ましくは16〜20モル%である。アセタール化反応におけるアルデヒドの使用量を調整することにより、水酸基量は前記範囲内に調整できる。水酸基量が前記範囲内であると、ポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)との屈折率差が小さくなり、光学むらの少ない合わせガラスを得やすい。ポリビニルアセタール(1)またはポリビニルアセタール(2)が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、ポリビニルアセタール(1)の平均の水酸基量またはポリビニルアセタール(2)の平均の水酸基量が、それぞれ上記範囲内であることが好ましい。
好ましい一態様では、ポリビニルアセタール(1)の水酸基量をH1モル%とし、ポリビニルアセタール(2)の水酸基量をH2モル%とした場合の、H1とH2の差の絶対値は5モル%未満である。前記絶対値は、より好ましくは3モル%未満、特に好ましくは1モル%未満、最も好ましくは0モル%である。前記絶対値が上記上限値未満または0モル%であると、シート(A)の透明性を得やすい。一方、H1とH2に差をつけることで、シート(A)を合わせガラス用中間膜として使用した場合に、可塑剤が移行した後の平衡状態におけるポリビニルアセタール層(1)における可塑剤量とポリビニルアセタール層(2)における可塑剤量とに差をつけ、遮音性能に優れる合わせガラスを得ることも可能である。その場合、H1とH2の差は好ましくは5モル%以上、より好ましくは8モル%以上である。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)は、通常、アセタール基単位、水酸基単位およびアセチル基単位から構成されており、これらの各単位量は、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」または核磁気共鳴法(NMR)によって測定される。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の、ブルックフィールド型(B型)粘度計を用いて20℃、30rpmで測定された、濃度10質量%のトルエン/エタノール=1/1(質量比)溶液の粘度は、好ましくは200mPa・s以上、より好ましくは240mPa・s以上、特に好ましくは265mPa・s以上である。粘度平均重合度の高いポリビニルアルコール系樹脂を原料の少なくとも一部として用いることにより、前記粘度は前記下限値以上に調整できる。ポリビニルアセタール(1)またはポリビニルアセタール(2)が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂の混合物である場合、かかる混合物の前記粘度が前記下限値以上であることが好ましい。前記粘度が前記下限値以上であると、合わせガラス作製時に導電構造体の変形および断線が抑制されやすく、得られる合わせガラスにおいて熱によりガラスがずれる現象が防止されやすい。前記粘度の上限値は、良好な製膜性を得やすい観点から、通常は1000mPa・s、好ましくは800mPa・s、より好ましくは500mPa・s、さらに好ましくは450mPa・s、特に好ましくは400mPa・sである。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)のピークトップ分子量は、好ましくは115,000〜200,000、より好ましくは120,000〜160,000、特に好ましくは130,000〜150,000である。粘度平均重合度の高いポリビニルアルコール系樹脂を原料の少なくとも一部として用いることにより、上記ピークトップ分子量は前記範囲内に調整できる。上記ピークトップ分子量が前記範囲内であると、好適なフィルム製膜性および好適なフィルム物性(例えば、ラミネート適性、耐クリープ性および破断強度)を得やすい。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の分子量分布、即ち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは2.7以上、より好ましくは2.8以上、特に好ましくは2.9以上である。粘度平均重合度の異なるポリビニルアルコール系樹脂の混合物をアセタール化したり、重合度の異なるポリビニルアセタール樹脂を混合したりすることにより、上記分子量分布は前記下限値以上に調整できる。上記分子量分布が前記下限値以上であると、製膜性および好適なフィルム物性(例えば、ラミネート適性、耐クリープ性および破断強度)を両立させやすい。分子量分布の上限値は特に限定されないが、製膜しやすさの観点から、通常は10、好ましくは5である。
ポリビニルアセタール(1)またはポリビニルアセタール(2)が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量および分子量分布が、上記範囲内であることが好ましい。ピークトップ分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、分子量既知のポリスチレンを標準として求められる。
ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の分子量分布、即ち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは2.7以上、より好ましくは2.8以上、特に好ましくは2.9以上である。粘度平均重合度の異なるポリビニルアルコール系樹脂の混合物をアセタール化したり、重合度の異なるポリビニルアセタール樹脂を混合したりすることにより、上記分子量分布は前記下限値以上に調整できる。上記分子量分布が前記下限値以上であると、製膜性および好適なフィルム物性(例えば、ラミネート適性、耐クリープ性および破断強度)を両立させやすい。分子量分布の上限値は特に限定されないが、製膜しやすさの観点から、通常は10、好ましくは5である。
ポリビニルアセタール(1)またはポリビニルアセタール(2)が異なる2つ以上のポリビニルアセタール樹脂を含む場合、少なくとも1つのポリビニルアセタール樹脂のピークトップ分子量および分子量分布が、上記範囲内であることが好ましい。ピークトップ分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、分子量既知のポリスチレンを標準として求められる。
好ましい一態様では、ポリビニルアセタール(1)は式(1):
で表される構造を有し、ポリビニルアセタール(2)は式(2):
で表される構造を有し、式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、R1とR2の炭素数は同一であり、より好ましくはR1とR2は同一の基である。
ポリビニルアセタール(1)に含まれる式(1)で表される構造のポリビニルアセタール(1)に含まれるアセタール環構造に占める割合、およびポリビニルアセタール(2)に含まれる式(2)で表される構造のポリビニルアセタール(2)に含まれるアセタール環構造に占める割合は特に限定されないが、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。アセタール化反応において使用するアルデヒドの種類や量を適宜選択することで、ポリビニルアセタール(1)に含まれる式(1)の構造の割合、およびポリビニルアセタール(2)に含まれる式(2)の構造の割合を、上記下限値以上に調整できる。上記割合が上記下限値以上であると、透明性に優れるシート(A)を得やすい。上記割合の上限値は100モル%である。上記割合は、例えば核磁気共鳴法により求められる。
R1およびR2は、脂肪族炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基)、芳香族炭化水素基(例えばフェニル基)または水素原子(炭素数0個)であるが、前記基は脂肪族炭化水素基の任意の水素原子を別の基に置き換えたもの、および芳香族炭化水素基の任意の水素原子を別の基に置き換えたものも包含する。中でも、可塑剤との高い相溶性、適切な加工性、および力学的強度を得やすい観点から、脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素基がさらに好ましく、n−プロピル基〔式(1)、式(2)の化学構造がブチラール環構造〕が特に好ましい。
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)は、良好な製膜性を得やすい観点から、未架橋のポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましいが、架橋されたポリビニルアセタールを含んでいてもよい。ポリビニルアセタールを架橋するための方法は、例えば、EP 1527107B1およびWO 2004/063231 A1(カルボキシル基含有ポリビニルアセタールの熱自己架橋)、EP 1606325 A1(ポリアルデヒドにより架橋されたポリビニルアセタール)、およびWO 2003/020776 A1(グリオキシル酸により架橋されたポリビニルアセタール)に記載されている。また、アセタール化反応条件を適宜調整することで、生成する分子間アセタール結合量をコントロールしたり、残存水酸基のブロック化度をコントロールしたりすることも有用な方法である。
<可塑剤>
ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の量は、ポリビニルアセタール(1)100質量部に対して0〜200質量部であり、ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の量は、ポリビニルアセタール(2)100質量部に対して0〜200質量部であり、シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量は10〜80質量部である。可塑剤含有量が前記条件を満たさない場合、合わせガラス作製時に、導電構造体における破断、剥離および断線等の欠陥が極めて生じやすく、安全合わせガラスに求められる安全性を備えた合わせガラスをもたらすことはできない。また、ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)が特定の樹脂と特定の量の可塑剤とを含まない場合、良好な透明性、上記した導電構造体における欠陥の生じにくさ、合わせガラス作製時の優れた作業性、および上記した合わせガラスに安全性を付与する能力を併せ持つシートを得ることはできない。
ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の量は、ポリビニルアセタール(1)100質量部に対して0〜200質量部であり、ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の量は、ポリビニルアセタール(2)100質量部に対して0〜200質量部であり、シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量は10〜80質量部である。可塑剤含有量が前記条件を満たさない場合、合わせガラス作製時に、導電構造体における破断、剥離および断線等の欠陥が極めて生じやすく、安全合わせガラスに求められる安全性を備えた合わせガラスをもたらすことはできない。また、ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)が特定の樹脂と特定の量の可塑剤とを含まない場合、良好な透明性、上記した導電構造体における欠陥の生じにくさ、合わせガラス作製時の優れた作業性、および上記した合わせガラスに安全性を付与する能力を併せ持つシートを得ることはできない。
良好な透明性、上記した導電構造体および合わせガラス作製時における優れた作業性、および上記した合わせガラスに安全性を付与する能力を併せ持つシート(A)を得やすい観点から、ポリビニルアセタール層(1)における可塑剤の量は、ポリビニルアセタール(1)100質量部に対して好ましくは0〜80質量部、より好ましくは0〜60質量部、さらに好ましくは0〜50質量部である。またポリビニルアセタール層(2)における可塑剤の量は、ポリビニルアセタール(2)100質量部に対して好ましくは0〜80質量部、より好ましくは0〜60質量部、さらに好ましくは0〜50質量部である。シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量は、好ましくは15〜80質量部、より好ましくは15〜70質量部、さらに好ましくは20〜60質量部である。
シート(A)を合わせガラス作製時に用いるような高温条件、例えば140℃で30分以上処理すると、ポリビニルアセタール層(1)および/またはポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤が相互に移行する。シート(A)が前記可塑剤量を含む場合、前記熱処理後のシートが適度な柔軟性および優れた力学強度を発現するため、特に合わせガラス用中間膜として使用するのに好適である。前記熱処理後のシートが適切な柔軟性および優れた力学強度を発現しやすく、従って、シート(A)を合わせガラス用中間膜として使用した場合に、より安全性に優れた合わせガラスを得やすい観点から、前記熱処理後のシートを動的粘弾性で評価した際、5〜50℃未満にtanδのピーク温度が現れることが好ましく、20〜35℃未満にtanδピーク温度が現れることがより好ましい。
好ましい一態様では、ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、およびポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の少なくとも一方は10質量部以上であり、より好ましくは20質量部以上であり、特に好ましくは30質量部以上である。可塑剤の含有量が前記条件を満たすと、本発明におけるシート(A)を合わせガラス用中間膜として使用する場合に優れた耐貫通性を得やすい。
また、別の好ましい一態様では、ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、およびポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の一方は0質量部以上10質量部以下であり、もう一方は10質量部以上80質量部以下である。特に好ましくは、ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、および前記ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の一方は0質量部以上5質量部以下であり、もう一方は20質量部以上60質量部以下である。可塑剤含有量が前記条件を満たすと、本発明におけるシート(A)を合わせガラス用中間膜として使用する場合に、低い自着性と優れた耐貫通性を得やすい。
また、別の好ましい一態様では、ポリビニルアセタール層(1)における可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール層(2)における可塑剤の含有量より小さく、ポリビニルアセタール(1)の重合度は、ポリビニルアセタール(2)の重合度より小さい。前記可塑剤含有量および前記重合度が前記条件を満たすと、本発明におけるシート(A)を合わせガラス用中間膜として使用する場合に、優れた取扱い性と耐貫通性を得やすい。
可塑剤として好ましくは下記群の1つまたは複数の化合物が使用される。
・多価の脂肪族または芳香族酸のエステル。例えば、ジアルキルアジペート(例えば、ジヘキシルアジペート、ジ−2−エチルブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ヘプチルアジペート、ノニルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート);アジピン酸とアルコール若しくはエーテル化合物を含むアルコールとのエステル(例えば、ジ(ブトキシエチル)アジペート、ジ(ブトキシエトキシエチル)アジペート);ジアルキルセバケート(例えば、ジブチルセバケート);セバシン酸と脂環式若しくはエーテル化合物を含むアルコールとのエステル;フタル酸のエステル(例えば、ブチルベンジルフタレート、ビス−2−ブトキシエチルフタレート);および脂環式多価カルボン酸と脂肪族アルコールとのエステル(例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)が挙げられる。
・多価の脂肪族若しくは芳香族アルコールまたは1つ以上の脂肪族若しくは芳香族置換基を有するオリゴエーテルグリコールのエステルまたはエーテル。例えば、グリセリン、ジグリコール、トリグリコール、テトラグリコール等と、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族若しくは脂環式カルボン酸とのエステルが挙げられる。具体的には、ジエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルブタノエート)、テトラエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘキサノエート、ジプロピレングリコールベンゾエート等のエーテルエステル系化合物、およびテトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
・脂肪族または芳香族のアルコールのリン酸エステル。例えば、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、トリエチルホスフェート、ジフェニル−2−エチルヘキシルホスフェート、およびトリクレジルホスフェートが挙げられる。
・クエン酸、コハク酸および/またはフマル酸のエステル。
・ビスフェノールAのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物。
・多価の脂肪族または芳香族酸のエステル。例えば、ジアルキルアジペート(例えば、ジヘキシルアジペート、ジ−2−エチルブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ヘプチルアジペート、ノニルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート);アジピン酸とアルコール若しくはエーテル化合物を含むアルコールとのエステル(例えば、ジ(ブトキシエチル)アジペート、ジ(ブトキシエトキシエチル)アジペート);ジアルキルセバケート(例えば、ジブチルセバケート);セバシン酸と脂環式若しくはエーテル化合物を含むアルコールとのエステル;フタル酸のエステル(例えば、ブチルベンジルフタレート、ビス−2−ブトキシエチルフタレート);および脂環式多価カルボン酸と脂肪族アルコールとのエステル(例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)が挙げられる。
・多価の脂肪族若しくは芳香族アルコールまたは1つ以上の脂肪族若しくは芳香族置換基を有するオリゴエーテルグリコールのエステルまたはエーテル。例えば、グリセリン、ジグリコール、トリグリコール、テトラグリコール等と、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族若しくは脂環式カルボン酸とのエステルが挙げられる。具体的には、ジエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルブタノエート)、テトラエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘキサノエート、ジプロピレングリコールベンゾエート等のエーテルエステル系化合物、およびテトラエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
・脂肪族または芳香族のアルコールのリン酸エステル。例えば、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、トリエチルホスフェート、ジフェニル−2−エチルヘキシルホスフェート、およびトリクレジルホスフェートが挙げられる。
・クエン酸、コハク酸および/またはフマル酸のエステル。
・ビスフェノールAのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物。
また、多価アルコールと多価カルボン酸とからなるポリエステル若しくはオリゴエステル、これらの末端エステル化物若しくはエーテル化物、ラクトン若しくはヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル若しくはオリゴエステル、またはこれらの末端エステル化物若しくはエーテル化物等を可塑剤として用いてもよい。
ポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)との間で可塑剤が移行することに伴う問題(例えば、経時的な物性変化等の問題)を抑制する観点から、ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤とポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤とが同じであるか、またはポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の物性(例えば、耐熱性、耐光性、透明性および可塑化効率)を損なわない可塑剤を使用することが好ましい。このような観点から、可塑剤としてはエーテルエステル系化合物が好ましく、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコール−ビス(2−エチルブタノエート)、テトラエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコール−ビスヘプタノエートがより好ましく、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)が特に好ましい。
<添加剤>
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)は、さらに別の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、例えば、水、紫外線吸収剤、酸化防止剤、接着調整剤、増白剤若しくは蛍光増白剤、安定剤、色素、加工助剤、有機若しくは無機ナノ粒子、焼成ケイ酸および表面活性剤等が挙げられる。
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)は、さらに別の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、例えば、水、紫外線吸収剤、酸化防止剤、接着調整剤、増白剤若しくは蛍光増白剤、安定剤、色素、加工助剤、有機若しくは無機ナノ粒子、焼成ケイ酸および表面活性剤等が挙げられる。
ある態様では、シート(A)に含まれる導電構造体の腐食を抑制するために、シート(A)が腐食防止剤を含有することが好ましい。そのような場合、腐食防止剤がポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)に含有されていることが好ましい。ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)に含有される腐食防止剤の量は、ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)の質量に基づいて、好ましくは0.005〜5質量%である。腐食防止剤の例としては、置換された、または置換されていないベンゾトリアゾールが挙げられる。
ポリビニルアセタール層(1)を構成する組成物と、ポリビニルアセタール層(2)を構成する組成物とは、同じ組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。
<ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の製造方法>
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の製造方法は特に限定されない。前記ポリビニルアセタール樹脂、場合により所定量の可塑剤、および必要に応じて他の添加剤を配合し、これを均一に混練した後、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等、公知の製膜方法によりシート(層)を作製し、これをポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とすることができる。
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の製造方法は特に限定されない。前記ポリビニルアセタール樹脂、場合により所定量の可塑剤、および必要に応じて他の添加剤を配合し、これを均一に混練した後、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等、公知の製膜方法によりシート(層)を作製し、これをポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とすることができる。
公知の製膜方法の中でも特に押出機を用いてシート(層)を製造する方法が好適に採用される。押出時の樹脂温度は150〜250℃が好ましく、170〜230℃がより好ましい。樹脂温度が高くなりすぎるとポリビニルアセタール樹脂が分解を起こし、揮発性物質の含有量が多くなる。一方で温度が低すぎる場合にも、揮発性物質の含有量は多くなる。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から、減圧により揮発性物質を除去することが好ましい。押出機を用いてポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を製造する場合、後述するように、金属箔上にポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を溶融押出してもよい。
ポリビニルアセタール層(1)の厚さは、好ましくは8μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。ポリビニルアセタール層(1)の厚さが前記値以上であると、シート(A)の収縮または変形に起因して導電構造体に歪等が生じる問題が起こりにくい。また、ポリビニルアセタール層(1)の厚さは、好ましくは800μm以下、より好ましくは700μm以下、特に好ましくは600μm以下である。ポリビニルアセタール層(1)が前記値以下であると、シート(A)を巻芯に巻回してロール状にした場合に、シート(A)の巻芯に近い側の表面にしわ等の欠陥が生じたり、シート(A)の巻芯から遠い側の表面にひび等の欠陥が生じたりしにくい。ポリビニルアセタール層(1)の厚さは、厚み計またはレーザー顕微鏡等を用いて測定される。
ポリビニルアセタール層(2)の厚さは、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、さらに好ましくは300μm以上である。ポリビニルアセタール層(2)の厚さが前記値以上であると、安全合わせガラスに求められる安全性を備えた合わせガラスをより得やすい。また、ポリビニルアセタール層(2)の厚さは、好ましくは1100μm以下、より好ましくは1000μm以下、特に好ましくは900μm以下である。ポリビニルアセタール層(2)の厚さが前記値以下であると、シート(A)を巻芯に巻回してロール状にした場合に、シート(A)の巻芯に近い側の表面にしわ等の欠陥が生じたり、シート(A)の巻芯から遠い側の表面にひび等の欠陥が生じたりしにくい。ポリビニルアセタール層(2)の厚さは、厚み計またはレーザー顕微鏡等を用いて測定される。
好ましい一態様において、ポリビニルアセタール(1)の重合度はポリビニルアセタール(2)の重合度より小さく、ポリビニルアセタール層(1)の厚さがポリビニルアセタール層(2)の厚さより小さい。この態様では、本発明におけるシート(A)を合わせガラス用中間膜として使用する場合、合わせガラスを作製する際に層間の可塑剤移行が進行しやすいため、好ましい。
好ましい一態様において、ポリビニルアセタール層(1)を構成する組成物のtanδが極大値をとる温度をTg1、ポリビニルアセタール層(2)を構成する組成物のtanδが極大値をとる温度をTg2とした場合、Tg1およびTg2の少なくとも一方は5℃以上である。Tg1およびTg2の少なくとも一方は、より好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上である。Tg1およびTg2は、ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)に含まれる樹脂の種類並びに可塑剤の種類および量により調整できる。Tg1およびTg2の少なくとも一方が上記下限値以上であると、シート(A)同士が互いにより接着しにくく、合わせガラス作製時に導電構造体における破断、剥離および断線等の欠陥がより生じにくい。Tg1およびTg2は、動的粘弾性測定におけるtanδのピーク温度から求められる。
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の導電構造体または後述する別の機能性層との接合面について、平均表面粗さRz値は、好ましくは20μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下であり、粗さ曲線要素の平均長さRSm値は、好ましくは500μm以上、より好ましくは1000μm以上、特に好ましくは1300μm以上である。Rz値が前記値以下であり、RSm値が前記値以上であると、均一な印刷またはコーティングが可能となり、導電構造体を構成する材料であるインク若しくは金属箔または別の機能性層との接合性のむらが抑制されやすい。Rz値およびRSm値は、表面粗さ計またはレーザー顕微鏡を用いて、JIS B0601−1994に準拠して測定される。Rz値を前記値以下に、またRSm値を前記値以上に調整する方法としては、溶融押出法(例えば、Tダイを用いる方法、およびインフレーション成形する方法等)または溶媒キャスト法等が採用される。Tダイから押出した溶融物を平滑な冷却ロールにより製膜することが好ましい。また、より平滑な面を形成するために、金属弾性ロールを用いることがより好ましい。
<導電構造体>
本発明におけるシート(A)は、ポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)との間に配置された導電構造体を備える。
本発明におけるシート(A)は、ポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)との間に配置された導電構造体を備える。
導電構造体の厚さは、電気抵抗および製造の容易性等の観点から、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜15μm、特に好ましくは3〜10μmである。導電構造体の厚さは、厚み計またはレーザー顕微鏡等を用いて測定される。
導電構造体は、電気抵抗、発熱性能、電磁波吸収性および光学特性等の観点から、好ましくは、線状、格子状または網状の形状を有する。ここで、線状の例としては、直線状、波線状およびジグザグ状等が挙げられる。1つの導電構造体において、形状は単一であってもよいし、複数の形状が混在していてもよい。
一態様において、導電構造体は発熱用導電構造体である。
ある態様、例えば印刷法により導電構造体を形成し、例えば前方視認性の確保が重要でない領域で合わせガラスを部分的に加熱したり、センサーまたはアンテナとして使用したりする態様では、十分な発熱量またはセンサー若しくはアンテナとしての機能性の確保および製造容易性の観点から、導電構造体は線幅0.01〜5mmの複数の線状導電性材料で構成されていることが好ましい。即ち、前記した線状、格子状または網状の形状を構成する線状導電性材料(配線)の線幅は、好ましくは0.01〜5mmである。前記線幅は、より好ましくは0.02〜2mm、特に好ましくは0.03〜1mmである。
別の態様、例えば合わせガラスを全面的に加熱する態様では、十分な発熱量および良好な前方視認性の両方を確保しやすい観点から、導電構造体は線幅1〜30μmの複数の線状導電性材料で構成されていることが好ましい。即ち、前記した線状、格子状または網状の形状を構成する線状導電性材料の線幅は、好ましくは1〜30μmである。前記線幅は、より好ましくは2〜15μm、特に好ましくは3〜12μmである。
導電構造体を形成する導電性材料は、電気抵抗または発熱量の確保の容易性、および製造容易性の観点から、好ましくは銀または銅であり、経済的観点から、より好ましくは銅である。
導電構造体の少なくとも一面が低反射率処理されていることが好ましく、導電構造体の全面が低反射率処理されていることがより好ましい。本発明において「低反射率処理されている」とは、JIS R 3106に準じて測定された可視光反射率が30%以下となるよう処理されていることを意味する。前方視認性の観点からは、可視光反射率が10%以下となるよう処理されていることがより好ましい。可視光反射率が前記上限値以下であると、後述するように導電構造体を有するポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)とを積層して合わせガラスを作製した際に、所望の可視光反射率を得やすく、合わせガラスを作製した場合に前方視認性に優れる傾向にある。
低反射率処理の方法としては、例えば、黒化処理(暗色化処理)、褐色化処理およびめっき処理等が挙げられる。工程通過性の観点から、低反射率処理は黒化処理であることが好ましい。従って、良好な前方視認性の観点から、可視光反射率が10%以下となるよう、導電構造体の片面、両面または全面が黒化処理されていることが特に好ましい。黒化処理は、具体的には、アルカリ系黒化液等を用いて行われる。
<別の機能性層>
本発明におけるシート(A)は、ポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)との間に、導電構造体に加えて、一層以上の別の機能性層を有していてもよい。シート(A)が別の機能性層を有する場合、別の機能性層は、ポリビニルアセタール層(1)と導電構造体との間および/またはポリビニルアセタール層(2)と導電構造体との間に存在する。別の機能性層としては、例えば、赤外線反射層、紫外線反射層、色補正層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、蛍光・発光層、遮音層、エレクトロクロミック層、サーモクロミック層、フォトクロミック層、意匠性層、または高弾性率層等が挙げられる。別の機能性層の厚さは特に限定されず、所望の機能に応じて適宜設定すればよい。
本発明におけるシート(A)は、ポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)との間に、導電構造体に加えて、一層以上の別の機能性層を有していてもよい。シート(A)が別の機能性層を有する場合、別の機能性層は、ポリビニルアセタール層(1)と導電構造体との間および/またはポリビニルアセタール層(2)と導電構造体との間に存在する。別の機能性層としては、例えば、赤外線反射層、紫外線反射層、色補正層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、蛍光・発光層、遮音層、エレクトロクロミック層、サーモクロミック層、フォトクロミック層、意匠性層、または高弾性率層等が挙げられる。別の機能性層の厚さは特に限定されず、所望の機能に応じて適宜設定すればよい。
<シート(A)の製造方法>
シート(A)は、例えば、導電構造体をポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)に付与し、導電構造体側に、任意に別の機能性層と、残りのポリビニルアセタール層とを接合することにより製造できる。
シート(A)は、例えば、導電構造体をポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)に付与し、導電構造体側に、任意に別の機能性層と、残りのポリビニルアセタール層とを接合することにより製造できる。
導電構造体をポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)に付与する方法に特に制限はないが、例えば、ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)の片面に、導電構造体を構成する材料をコート、印刷またはラミネートする方法が挙げられる。
前記材料をコート、印刷またはラミネートする方法は特に限定されない。
前記材料をコートする方法としては、例えば、ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂組成物の溶融物を導電構造体にコートする方法(例えば、導電構造体上に前記樹脂組成物を溶融押出する方法、若しくは導電構造体上に前記樹脂組成物をナイフ塗布等により塗布する方法);またはポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)に蒸着、スパッタリングまたは電気蒸着により導電構造体を付与する方法;が挙げられる。
前記材料を印刷する方法としては、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、またはグラビア印刷が挙げられる。上記印刷する方法では、導電構造体を有するポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を積層する前に、乾燥するかまたは熱若しくは光により硬化するインクが使用される。
前記材料をラミネートする方法としては、例えば、導電構造体とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを重ねて熱圧着させる方法;溶媒、若しくはポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂および溶媒を含む樹脂組成物の溶液を、導電構造体およびポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)の一方若しくは両方に塗布するか、または導電構造体とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)との間に注入し、導電構造体とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させる方法;接着剤で導電構造体とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させる方法;が挙げられる。
前記材料をコートする方法としては、例えば、ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂組成物の溶融物を導電構造体にコートする方法(例えば、導電構造体上に前記樹脂組成物を溶融押出する方法、若しくは導電構造体上に前記樹脂組成物をナイフ塗布等により塗布する方法);またはポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)に蒸着、スパッタリングまたは電気蒸着により導電構造体を付与する方法;が挙げられる。
前記材料を印刷する方法としては、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、またはグラビア印刷が挙げられる。上記印刷する方法では、導電構造体を有するポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を積層する前に、乾燥するかまたは熱若しくは光により硬化するインクが使用される。
前記材料をラミネートする方法としては、例えば、導電構造体とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを重ねて熱圧着させる方法;溶媒、若しくはポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂および溶媒を含む樹脂組成物の溶液を、導電構造体およびポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)の一方若しくは両方に塗布するか、または導電構造体とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)との間に注入し、導電構造体とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させる方法;接着剤で導電構造体とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させる方法;が挙げられる。
従って、一態様において、本発明の多層構造体は、ポリビニルアセタール層(1)と導電構造体との間、およびポリビニルアセタール層(2)と導電構造体との間の少なくとも一方に、接着剤層を有していてもよい。使用する接着剤は、得られるシート(A)の透明性を阻害しないものでなければならず、例えば、低重合度のポリビニルアセタール、アクリルまたはウレタン等を使用することが好ましい。
導電構造体を接着するための接着剤に由来するヘイズが生じ得ない観点からは、本発明におけるシート(A)が、ポリビニルアセタール層(1)と導電構造体との間、およびポリビニルアセタール層(2)と導電構造体との間に、接着剤層を有さないことが好ましい。この態様では、本発明におけるシート(A)のより優れた透明性を得やすく、シート(A)を用いて合わせガラスを作製した場合により優れた透明性を得やすい。
印刷法において使用されるインクは導電性粒子および/または導電性繊維を含む。導電性粒子または導電性繊維は特に限定されず、例えば金属粒子(例えば金、銀、銅、亜鉛、鉄若しくはアルミニウムの粒子);金属で被覆された粒子若しくは繊維(例えば銀めっきされたガラス繊維若しくはガラス小球);または導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト若しくはグラフェンの粒子若しくは繊維;等が挙げられる。さらに、導電性粒子は、導電性金属酸化物の粒子等の半導体の粒子、例えばインジウムドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化亜鉛またはアンチモンドープ酸化スズの粒子であってよい。前記インクは、導電性の観点から、銀粒子、銅粒子および/またはカーボンナノチューブを含むことが好ましく、銀粒子または銅粒子を含むことがより好ましく、経済的観点からは銅粒子を含むことが特に好ましい。
導電構造体を付与する際の生産効率が高い観点および黒化処理がしやすい観点から、導電構造体は、金属箔のエッチング構造体であることが好ましい。金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させる方法は、例えば下記方法(I)〜(III)により実施される。
(I)ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)と金属箔とを重ねて熱圧着させる方法、
(II)金属箔上にポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂組成物の溶融物を被覆して接合する方法、例えば、金属箔上に前記樹脂組成物を溶融押出する方法、若しくは金属箔上に前記樹脂組成物をナイフ塗布等により塗布する方法、または
(III)溶媒、若しくはポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂および溶媒を含む樹脂組成物の溶液または分散液を、金属箔およびポリビニルアセタール層(1)若しくはポリビニルアセタール層(2)の一方若しくは両方に塗布するか、または金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)との間に注入し、金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させる方法。
(I)ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)と金属箔とを重ねて熱圧着させる方法、
(II)金属箔上にポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂組成物の溶融物を被覆して接合する方法、例えば、金属箔上に前記樹脂組成物を溶融押出する方法、若しくは金属箔上に前記樹脂組成物をナイフ塗布等により塗布する方法、または
(III)溶媒、若しくはポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂および溶媒を含む樹脂組成物の溶液または分散液を、金属箔およびポリビニルアセタール層(1)若しくはポリビニルアセタール層(2)の一方若しくは両方に塗布するか、または金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)との間に注入し、金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させる方法。
接着剤で金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させてもよいが、先に記載のとおり、接着剤としては、得られるシート(A)の透明性を阻害しないものでなければならない。また、先に記載のとおり、接着剤に由来するヘイズが生じ得ない観点からは、接着剤を用いずに金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させることが好ましい。
上記方法(I)における金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを熱圧着する際の接合温度は、ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂の種類に依存するが、通常は90〜170℃、好ましくは100〜160℃、より好ましくは110〜155℃、さらに好ましくは110〜150℃である。接合温度が上記範囲内であると、良好な接合強度を得やすい。
上記方法(II)における押出時の樹脂温度は、ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)中の揮発性物質の含有量を低下させる観点から、150〜250℃が好ましく、170〜230℃がより好ましい。
上記方法(III)における溶媒としては、ポリビニルアセタール樹脂に通常使用される可塑剤を使用することが好ましい。そのような可塑剤としては、先の<可塑剤>の段落に記載されているものが使用される。
得られた金属箔付ポリビニルアセタール層(1)または金属箔付ポリビニルアセタール層(2)から導電構造体の所望の形状を形成する工程は、公知のフォトリソグラフィの手法を用いて実施される。前記工程は、例えば後の実施例に記載のとおり、まず金属箔付ポリビニルアセタール層(1)の金属箔上にドライフィルムレジストをラミネートした後、フォトリソグラフィの手法を用いてエッチング抵抗パターンを形成し、次いで、エッチング抵抗パターンが付与されたポリビニルアセタール層(1)を銅エッチング液に浸漬して導電構造体の形状を形成した後、公知の方法により残存するフォトレジスト層を除去することによって実施される。
好ましい一態様において、導電構造体の少なくとも一面は低反射率処理されているが、かかる態様は、例えば、少なくとも一方の面が低反射率処理された金属箔を使用することで達成される。また、上述のフォトリソグラフィの方法により導電構造体の形状を形成した後に低反射率処理してもよい。金属箔および導電構造体の低反射率処理は、先に記載したようにアルカリ系黒化液等を用いて実施できる。
電気抵抗または発熱量の確保の容易性、および製造容易性の観点から、金属箔は銀または銅を含むことが好ましく、経済的観点からは、銅を含むことがより好ましい。特に好ましい態様では、金属箔は銅箔である。
次いで、得られた導電構造体付きポリビニルアセタール層(1)または導電構造体付きポリビニルアセタール層(2)の導電構造体を有する面上に、もう一方のポリビニルアセタール層〔即ち、導電構造体付きポリビニルアセタール層(1)の場合はポリビニルアセタール層(2)、導電構造体付きポリビニルアセタール層(2)の場合はポリビニルアセタール層(1)〕を接合することにより、シート(A)が製造される。この接合方法は、先に記載した、金属箔とポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)とを接合させる方法と同じ方法であってよい。
本発明におけるシート(A)が、ポリビニルアセタール層(1)とポリビニルアセタール層(2)との間に、導電構造体に加えて別の機能性層を有する場合、別の機能性層を、ポリビニルアセタール層(1)、ポリビニルアセタール層(2)、導電構造体付きポリビニルアセタール層(1)または導電構造体付きポリビニルアセタール層(2)に付与する方法は、先に記載した、導電構造体をポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)に付与する方法と同じ方法であってよい。また、別の方法としては、別の機能性層が樹脂組成物からなる場合に、ポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)を構成する樹脂組成物と別の機能性層を構成する樹脂組成物とを同時に押出する方法;或いは別の機能性層を構成する樹脂組成物の溶液中にポリビニルアセタール層(1)またはポリビニルアセタール層(2)をディップする方法が挙げられる。
シート(A)の厚さは、好ましくは20μm以上、より好ましくは80μm以上、さらに好ましくは150μm以上、よりさらに好ましくは350μm以上、特に好ましくは700μm以上である。シート(A)の厚さが前記値以上であると、シート(A)の収縮または変形に起因して導電構造体に歪等が生じる問題が起こりにくく、またシート(A)を合わせガラス用中間膜として使用する場合に、優れた耐貫通性を発現しやすい。また、シート(A)の厚さは、好ましくは1700μm以下、より好ましくは1200μm以下、特に好ましくは900μm以下である。シート(A)の厚さが前記値以下であると、ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤量とポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤量とが異なる場合に、より多い可塑剤量を含むポリビニルアセタール層からより少ない可塑剤量を含むポリビニルアセタール層への可塑剤移行量が少なくなり、より多い可塑剤量を含むポリビニルアセタール層中の可塑剤量の低下が抑制されるため、シート(A)を用いた乗物用ガラスを搭載した乗物の衝突時における頭部衝撃が大きくなる等の問題が起こりにくい。シート(A)の厚さは、厚み計またはレーザー顕微鏡等を用いて測定される。
好ましい一態様において、シート(A)はその少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する。シート(A)の凹凸構造を有する面は、ポリビニルアセタール層(1)側およびポリビニルアセタール層(2)側のいずれの表面であってもよい。凹凸構造を有する面の平均表面粗さRz値は、好ましくは15〜70μm、より好ましくは20〜50μmであり、粗さ曲線要素の平均長さRSm値は、好ましくは100〜1000μm、より好ましくは300〜700μmである。シート(A)がその少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する場合(特に、シート(A)の少なくとも一方の表面の平均表面粗さRz値が上記範囲を満たす場合)、本発明の多層構造体においてシート(A)同士がより接着しにくく、合わせガラス作製時に導電構造体における破断、剥離および断線等の欠陥がより生じにくい。Rz値およびRSm値は、表面粗さ計またはレーザー顕微鏡を用いて、JIS B0601−1994に準拠して測定される。上記凹凸構造は、例えば、シート(A)、または導電構造体を付与する前のポリビニルアセタール層(1)若しくはポリビニルアセタール層(2)を少なくとも1つのロール対の間で型押しすることにより付与でき、所望の平均表面粗さRz値および粗さ曲線要素の平均長さRSm値に調整できる。
好ましい一態様において、シート(A)2枚を、ポリビニルアセタール層(1)側の表面とポリビニルアセタール層(2)側の表面とが接するように重ね、23℃、50%RH下、表面に垂直な向きに0.02MPaの圧力を48時間加えた後の耐ブロッキング性を示す剥離力は30N/30mm以下である。上記剥離力は、より好ましくは15N/30mm以下、特に好ましくは10N/30mm以下である。上記剥離力が上記上限値以下であると、本発明の多層構造体においてシート(A)同士がさらに接着しにくく、合わせガラス作製時に導電構造体における破断、剥離および断線等の欠陥がより生じにくい。上記剥離力は、ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)に含まれる樹脂の種類、可塑剤の種類および量、並びにシート(A)表面の凹凸構造により調整できる。上記剥離力の下限値は、0N/30mmである。
本発明の多層構造体は、シート(A)が2枚以上重なってなる多層構造体であって、合わせガラス作製時に使用できる。本発明の多層構造体は、ロール状に巻かれて2枚以上重なった状態、またはある程度のサイズに切り出して2枚以上重ねた状態であるため、保管または輸送に適する。シート(A)を用いて合わせガラスを作製する際、例えば、シート(A)をロールから巻き出す際、2枚以上重ねたシート(A)を1枚ずつ取り出す際、および合わせガラスを作製するために透明基材と接合する際等に、作業性に優れ、導電構造体が破断、剥離または断線するといった欠陥が極めて生じにくい。また、本発明におけるシート(A)を用いて合わせガラスを作製すると、透明性および安全合わせガラスとしての性能(安全性)を併せ持つ合わせガラスが製造される。シート同士が接着しやすいシートでは、保護フィルムをシート間に介在させることによりシート同士が接着しないようにして上記欠陥が生じないようにすることはできるが、この場合は、保護フィルムをはがして使用するため廃棄物が増加する問題が生じる。本発明の多層構造体は、シート(A)間に保護フィルムを介在させなくても、導電構造体における上記欠陥は極めて生じにくい。
一態様では、本発明のロール状に重なってなる多層構造体において、シート(A)は巻芯上に巻回されている。巻回されているシート(A)において、ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)のいずれが内側であってもよい。巻芯の直径は、通常20mm以上、好ましくは50mm以上である。巻芯の直径は、通常500mm以下である。巻芯の直径が前記範囲内であると、シート(A)の変形に起因して導電構造体に歪等が生じたり、シート(A)の表面にしわやひび等が生じたりする問題が起こりにくく、良好な生産性を得やすい。シート(A)を巻芯上に巻回する方法は特に限定されず、シートを巻芯上に巻回する方法として通常用いられている方法を採用できる。
<合わせガラス>
本発明におけるシート(A)を用いて、複数の透明基材の間にシート(A)を有する合わせガラスを製造できる。
本発明におけるシート(A)を用いて、複数の透明基材の間にシート(A)を有する合わせガラスを製造できる。
合わせガラスにおける導電構造体の各配線は、バスバーと接続されている。バスバーとしては、当技術分野において通常使用されているバスバーが使用され、例えば、金属箔テープ、導電性粘着剤付き金属箔テープおよび導電性ペースト等が挙げられる。また、導電構造体を形成する際同時にバスバーも印刷したり、金属箔の一部をバスバーとして残したりすることによりバスバーを形成してもよい。バスバーにはそれぞれ給電線が接続され、各給電線が電源に接続されることから、電流が導電構造体に供給される。
一態様では、本発明の多層構造体において、シート(A)は、その外側に突出して配置された電力または電気信号受給用の端子を有する。端子としては、当技術分野において通常使用されている端子が使用される。
透明基材は、透明性、耐候性および力学的強度の観点から、好ましくは無機ガラス(以下、単にガラスと称することもある)、またはメタクリル樹脂シート、ポリカーボネート樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、若しくはポリシクロオレフィン系樹脂シート等の有機ガラスであり、より好ましくは無機ガラス、メタクリル樹脂シートまたはポリカーボネート樹脂シートであり、特に好ましくは無機ガラスである。無機ガラスとしては特に制限されないが、フロートガラス、強化ガラス、半強化ガラス、化学強化ガラス、グリーンガラスまたは石英ガラス等が挙げられる。
特に乗物用ガラス、とりわけ乗物用フロントガラスにおいて、本発明のシート(A)を使用する場合は、前方視認性の観点から、導電構造体の低反射率処理されている面が乗車人物側にくるよう、シート(A)を配置することが好ましい。また、合わせガラス端部から水分が侵入して導電構造体の腐食を招く虞があるため、導電構造体は、合わせガラスの端部より1cm以上内側に配置されていることが好ましい。
<合わせガラス用中間膜(C)>
本発明におけるシート(A)を用いて製造される合わせガラスは、安全合わせガラスに求められる安全性を備える。一方で、さらなる耐貫通性を付与する観点から、上記合わせガラスは、複数の透明基材の間に1つ以上の合わせガラス用中間膜(C)をさらに有していてもよいが、生産効率の低下の観点からは、上記合わせガラス用中間膜(C)を有さないことが好ましい。合わせガラスが合わせガラス用中間膜(C)を有する場合、合わせガラス用中間膜(C)は、ポリビニルアセタール層(1)と接していてもよいし、ポリビニルアセタール層(2)と接していてもよい。このような合わせガラス用中間膜(C)としては特に限定されず、通常使用される合わせガラス用中間膜を使用でき、例えば、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含んでなる可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が挙げられる。前記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、先の<ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)>の段落において記載したポリビニルアセタール樹脂であってよく、同段落に記載の方法と同様の方法によって製造できる。
本発明におけるシート(A)を用いて製造される合わせガラスは、安全合わせガラスに求められる安全性を備える。一方で、さらなる耐貫通性を付与する観点から、上記合わせガラスは、複数の透明基材の間に1つ以上の合わせガラス用中間膜(C)をさらに有していてもよいが、生産効率の低下の観点からは、上記合わせガラス用中間膜(C)を有さないことが好ましい。合わせガラスが合わせガラス用中間膜(C)を有する場合、合わせガラス用中間膜(C)は、ポリビニルアセタール層(1)と接していてもよいし、ポリビニルアセタール層(2)と接していてもよい。このような合わせガラス用中間膜(C)としては特に限定されず、通常使用される合わせガラス用中間膜を使用でき、例えば、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含んでなる可塑化ポリビニルアセタール樹脂層が挙げられる。前記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、先の<ポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)>の段落において記載したポリビニルアセタール樹脂であってよく、同段落に記載の方法と同様の方法によって製造できる。
合わせガラス用中間膜(C)における可塑剤の含有量は、層の積層前の初期状態では、合わせガラス用中間膜(C)を構成する樹脂組成物における樹脂100質量部に対して、好ましくは19質量部以上、より好ましくは19〜56質量部、さらに好ましくは28〜47質量部、特に好ましくは35〜43質量部である。前記可塑剤の含有量が前記範囲内であると、耐衝撃性に優れた合わせガラスを得やすい。また、合わせガラス用中間膜(C)として、遮音機能を有する可塑化ポリビニルアセタール樹脂層を用いることもできる。その場合、可塑剤の含有量は、層の積層前の初期状態では、合わせガラス用中間膜(C)を構成する樹脂組成物における樹脂100質量部に対して、好ましくは42質量部以上、より好ましくは42〜100質量部、さらに好ましくは45〜67質量部、特に好ましくは47〜54質量部である。可塑剤としては、先の<可塑剤>の段落において記載した可塑剤を使用できる。
合わせガラス用中間膜(C)は、必要に応じて、先の<添加剤>の段落において記載した添加剤を含有してもよい。
合わせガラス用中間膜(C)は、先の<ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の製造方法>の段落において記載した方法により製造できる。
合わせガラス用中間膜(C)の厚さは、好ましくは100〜1600μm、より好ましくは350〜1200μm、さらに好ましくは700〜900μmである。合わせガラス用中間膜(C)の厚さが前記値以上であると、優れた耐貫通性を得やすい。上記厚さは、厚み計またはレーザー顕微鏡等を用いて測定される。
合わせガラスが合わせガラス用中間膜(C)を有する場合、前記ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)を構成するポリビニルアセタール樹脂の水酸基量と、合わせガラス用中間膜(C)を構成するポリビニルアセタール樹脂の水酸基量との差は、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。ポリビニルアセタール(1)、ポリビニルアセタール(2)、または合わせガラス用中間膜(C)を構成するポリビニルアセタール樹脂が複数の樹脂の混合物からなる場合、ポリビニルアセタール(1)の平均水酸基量、ポリビニルアセタール(2)の平均水酸基量、または合わせガラス用中間膜(C)を構成するポリビニルアセタール樹脂の平均水酸基量が、前記関係を満たしていることが好ましい。前記差が前記上限値以下であると、合わせガラスにおいて可塑剤が移行した後の平衡状態においてポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)と合わせガラス用中間膜(C)との屈折率差が小さくなることから、互いに寸法が異なる合わせガラス用中間膜(C)、ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)を使用した場合にその境界が視認しにくい、或いはシート(A)と合わせガラス用中間膜(C)との界面が視認しにくいため好ましい。
一方、ポリビニルアセタール(1)および/またはポリビニルアセタール(2)の水酸基量と、合わせガラス用中間膜(C)を構成するポリビニルアセタール樹脂の水酸基量とに差をつけることで、可塑剤が移行した後の平衡状態におけるポリビニルアセタール層(1)における可塑剤量と合わせガラス用中間膜(C)における可塑剤量との間、および/またはポリビニルアセタール層(2)における可塑剤量と合わせガラス用中間膜(C)における可塑剤量との間に差をつけ、遮音性能に優れる合わせガラスを得ることも可能である。その場合、前記水酸基量の差は好ましくは5モル%以上、より好ましくは8モル%以上である。
一方、ポリビニルアセタール(1)および/またはポリビニルアセタール(2)の水酸基量と、合わせガラス用中間膜(C)を構成するポリビニルアセタール樹脂の水酸基量とに差をつけることで、可塑剤が移行した後の平衡状態におけるポリビニルアセタール層(1)における可塑剤量と合わせガラス用中間膜(C)における可塑剤量との間、および/またはポリビニルアセタール層(2)における可塑剤量と合わせガラス用中間膜(C)における可塑剤量との間に差をつけ、遮音性能に優れる合わせガラスを得ることも可能である。その場合、前記水酸基量の差は好ましくは5モル%以上、より好ましくは8モル%以上である。
合わせガラスは、複数の透明基材の間に、シート(A)および任意に合わせガラス用中間膜(C)に加えて、先の<別の機能性層>において記載した機能性層を有してもよく、その場合、別の機能性層は、ポリビニルアセタール層(1)、ポリビニルアセタール層(2)、存在する場合は合わせガラス用中間膜(C)のいずれと接していてもよい。
<合わせガラスの製造方法>
合わせガラスは当業者に公知の方法で製造できる。例えば、透明基材の上にシート(A)並びに場合により合わせガラス用中間膜(C)および/または別の機能性層を任意の順で任意の枚数重ねて配置し、さらにもう一つの透明基材を重ねたものを、予備圧着工程として温度を高めることによってシート(A)並びに場合により合わせガラス用中間膜(C)および/または別の機能性層を透明基材に全面または局所的に融着させ、次いでオートクレーブで処理することで、合わせガラスを製造できる。
合わせガラスは当業者に公知の方法で製造できる。例えば、透明基材の上にシート(A)並びに場合により合わせガラス用中間膜(C)および/または別の機能性層を任意の順で任意の枚数重ねて配置し、さらにもう一つの透明基材を重ねたものを、予備圧着工程として温度を高めることによってシート(A)並びに場合により合わせガラス用中間膜(C)および/または別の機能性層を透明基材に全面または局所的に融着させ、次いでオートクレーブで処理することで、合わせガラスを製造できる。
また、シート(A)、並びに場合により合わせガラス用中間膜(C)および/または別の機能性層をあらかじめ予備圧着した上で2つの透明基材の間に配置して高温で互いに融着させることにより、合わせガラスを製造してもよい。
上記予備圧着工程としては、過剰の空気を除去したり隣接する層同士の軽い接合を実施したりする観点から、バキュームバッグ、バキュームリング、または真空ラミネーター等の方法により減圧下に脱気する方法、ニップロールを用いて脱気する方法、および高温下に圧縮成形する方法等が挙げられる。例えばEP 1235683 B1に記載のバキュームバッグ法またはバキュームリング法は、例えば約2×104Paおよび130〜145℃で実施される。真空ラミネーターは、加熱可能かつ真空可能なチャンバーからなり、このチャンバーにおいて、約20分〜約60分の時間内に合わせガラスが形成される。通常は1Pa〜3×104Paの減圧および100℃〜200℃、特に130℃〜160℃の温度が有効である。真空ラミネーターを用いる場合、温度および圧力に応じて、オートクレーブでの処理を行わなくてもよい。
オートクレーブでの処理は、例えば約1×106Pa〜約1.5×106Paの圧力および約100℃〜約145℃の温度で20分〜2時間程度実施される。
第1の透明基材上に、シート(A)および場合により合わせガラス用中間膜(C)および/または別の機能性層を配置する方法は特に限定されず、種々の方法が適用される。例えば、シート(A)並びに場合により合わせガラス用中間膜(C)および/または別の機能性層は、相応の幅のロールから供給して配置してから目的の大きさに切断してもよいし、あらかじめ目的の大きさに切断しておいたフィルムを配置してもよい。たとえば、自動車フロントガラスの場合、ロールから供給されたシート(A)並びに場合により合わせガラス用中間膜(C)を接合、加熱・延伸、切断し、扇型に加工したものを用いてもよい。
自動車分野では、特にフロントガラスを製造する際、ガラスの上部がいわゆるカラーシェード領域を有する場合もある。そのため、シート(A)および/または合わせガラス用中間膜(C)は、相応に着色されたポリマー溶融物と一緒に押出されるか、またはシート(A)および合わせガラス用中間膜(C)のうちの少なくとも1つが部分的に異なる着色を有していてよい。従って、シート(A)および/または合わせガラス用中間膜(C)は、フロントガラスの形状に適合されたカラーグラデーションを有してもよい。
合わせガラス用中間膜(C)は、くさび形の厚さプロファイルを有していてもよい。このとき合わせガラスは、シート(A)の厚さプロファイルが平行平面である場合でも、くさび形の厚さプロファイルを有することができ、自動車フロントガラスにおいてヘッドアップディスプレイ(HUD)に使用できる。
合わせガラス用中間膜(C)は市販の可塑化ポリビニルブチラールシートであってもよく、赤外線吸収能または反射能を持つナノ粒子が分散された合わせガラス用中間膜(C)、着色された合わせガラス用中間膜(C)、または遮音機能を有する合わせガラス用中間膜(C)であってもよい。
合わせガラスは、建物または乗物における合わせガラスとして使用できる。乗物における合わせガラスとは、汽車、電車、自動車、船舶または航空機といった乗物のための、フロントガラス、リアガラス、ルーフガラスまたはサイドガラス等を意味する。
本発明におけるシート(A)を用いて作製された合わせガラスの低反射率処理面(例えば黒化処理面)側から光を照射した場合のヘイズは通常2.0以下であり、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.5以下である。本発明におけるシート(A)を用いて作製された合わせガラスの金属光沢面側から光を照射した場合のヘイズは通常3.0以下であり、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.5以下である。前記ヘイズは、JIS R 3106に準じて測定される。ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)が特定の樹脂と特定の量の可塑剤とを含むシート(A)を用い、導電構造体の線幅を細くすることにより、前記ヘイズは前記上限値以下に調整できる。
本発明におけるシート(A)を用いて作製した合わせガラスにおいて、ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤、ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤および/または任意に存在してよい合わせガラス用中間膜(C)に含まれる可塑剤は、時間の経過に伴って他の層に移行し、平衡状態において各層および存在する場合は合わせガラス用中間膜(C)に含まれる可塑剤量は同程度となる。このときの可塑剤量(平均可塑剤量)は、好ましくは18〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%、特に好ましくは25〜29質量%である。平均可塑剤量が前記範囲内であると、例えば衝突時の乗車人物の頭部への衝撃が緩和される等、合わせガラスにおいて所望される特性を得やすい。平均可塑剤量は、下記方法によって計算される。
A(質量%):合わせガラス用中間膜(C)の可塑剤量
a(mm):合わせガラス用中間膜(C)の厚さ
B(質量%):ポリビニルアセタール層(1)の可塑剤量
b(mm):ポリビニルアセタール層(1)の厚さ
C(質量%):ポリビニルアセタール層(2)の可塑剤量
c(mm):ポリビニルアセタール層(2)の厚さ
上記a〜cおよびA〜Cの値を調整することで、平均可塑剤量は前記範囲内に調整できる。
a(mm):合わせガラス用中間膜(C)の厚さ
B(質量%):ポリビニルアセタール層(1)の可塑剤量
b(mm):ポリビニルアセタール層(1)の厚さ
C(質量%):ポリビニルアセタール層(2)の可塑剤量
c(mm):ポリビニルアセタール層(2)の厚さ
上記a〜cおよびA〜Cの値を調整することで、平均可塑剤量は前記範囲内に調整できる。
本発明におけるシート(A)は透明性に優れるため、本発明におけるシート(A)を用いて作製した合わせガラスも透明性に優れる。また、シート(A)は、合わせガラスを作製する際、導電構造体における破断、剥離および断線等の欠陥が極めて生じにくく、かつ作業性に優れ、シート(A)に加えて合わせガラス用中間膜を用いなくても安全合わせガラスに求められる安全性を備えた合わせガラスがもたらされる。そのため、本発明の多層構造体は合わせガラスの作製に好適である。
[実施例1]
表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−1を溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ50μmのポリビニルアセタール層(1)を得た。また、表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)(以下、「3G8」と称する)およびジ(ブトキシエチル)アジペート(以下、「DBEA」と称する)の混合物(質量比10/1)40質量部とを溶融混練し、前記ポリビニルアセタール層(1)と同様の方法で厚さ800μmのシートを作製し、さらに片面に十点平均表面粗さRzが35μmとなるように凹凸構造を形成させて、ポリビニルアセタール層(2)を得た。得られたポリビニルアセタール層(1)に、片面が黒化処理された厚さ7μmの銅箔を、黒化処理面とポリビニルアセタール層(1)とが接するような向きで重ねた。ここで、JIS R 3106に準じて測定された黒化処理面の可視光反射率は5.2%であった。次に、ポリビニルアセタール樹脂層(1)と銅箔とを重ねた積層体の上下を厚さ50μmのPETフィルムで挟み、120℃に設定した熱圧着ロールの間を通過(圧力:0.2MPa、速度0.5m/分)させた後、PETフィルムを剥離した。次いで、銅箔上にドライフィルムレジストをラミネートした後、フォトリソグラフィの手法を用いてエッチング抵抗パターンを形成した。次に、銅エッチング液に浸漬して導電構造体を形成した後、常法により、残存するフォトレジスト層を除去して、導電構造体を有するポリビニルアセタール層(1)を得た。導電構造体は、線幅10μmの銅線が500μm間隔で格子状に並んだ銅メッシュ構造を有し、その上辺および下辺がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。次いで、得られた導電構造体上に、前記ポリビニルアセタール層(2)を、凹凸構造が形成されていない面が導電構造体に接するように重ね、ラミネートしてシート(A)を得た。シート(A)に関して、下記評価を実施した。結果を表2に示す。
表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−1を溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ50μmのポリビニルアセタール層(1)を得た。また、表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノエート)(以下、「3G8」と称する)およびジ(ブトキシエチル)アジペート(以下、「DBEA」と称する)の混合物(質量比10/1)40質量部とを溶融混練し、前記ポリビニルアセタール層(1)と同様の方法で厚さ800μmのシートを作製し、さらに片面に十点平均表面粗さRzが35μmとなるように凹凸構造を形成させて、ポリビニルアセタール層(2)を得た。得られたポリビニルアセタール層(1)に、片面が黒化処理された厚さ7μmの銅箔を、黒化処理面とポリビニルアセタール層(1)とが接するような向きで重ねた。ここで、JIS R 3106に準じて測定された黒化処理面の可視光反射率は5.2%であった。次に、ポリビニルアセタール樹脂層(1)と銅箔とを重ねた積層体の上下を厚さ50μmのPETフィルムで挟み、120℃に設定した熱圧着ロールの間を通過(圧力:0.2MPa、速度0.5m/分)させた後、PETフィルムを剥離した。次いで、銅箔上にドライフィルムレジストをラミネートした後、フォトリソグラフィの手法を用いてエッチング抵抗パターンを形成した。次に、銅エッチング液に浸漬して導電構造体を形成した後、常法により、残存するフォトレジスト層を除去して、導電構造体を有するポリビニルアセタール層(1)を得た。導電構造体は、線幅10μmの銅線が500μm間隔で格子状に並んだ銅メッシュ構造を有し、その上辺および下辺がバスバーに相当する幅5mmの銅線構造と接続された構造を有していた。次いで、得られた導電構造体上に、前記ポリビニルアセタール層(2)を、凹凸構造が形成されていない面が導電構造体に接するように重ね、ラミネートしてシート(A)を得た。シート(A)に関して、下記評価を実施した。結果を表2に示す。
〔十点平均表面粗さRz〕
シート(A)のポリビニルアセタール層(1)側およびポリビニルアセタール層(2)側のそれぞれについて、表面粗さ計で表面粗さを測定し、十点平均表面粗さを求めた。表2では、十点平均粗さが5μm未満の場合は「無し」と記載し、5μm以上の場合はその数値を記載した。
シート(A)のポリビニルアセタール層(1)側およびポリビニルアセタール層(2)側のそれぞれについて、表面粗さ計で表面粗さを測定し、十点平均表面粗さを求めた。表2では、十点平均粗さが5μm未満の場合は「無し」と記載し、5μm以上の場合はその数値を記載した。
〔耐ブロッキング性を示す剥離力〕
シート(A)から3cm×10cm寸法の試料を2枚切り出し、一方のシート(A)のポリビニルアセタール層(1)が他方のシート(A)のポリビニルアセタール層(2)と接するように重ねた。これを平らな机上に置き、その上に荷重を載せ、前記3cm×10cmの面と垂直な向きに0.02MPaの圧力がかかるようにして、23℃、50%RHで静置した。48時間後、23℃、50%RHにおけるシート(A)間の接着力をT字剥離試験により測定し(株式会社島津製作所製オートグラフSI使用、速度500mm/分)、得られた最大剥離力を、耐ブロッキング性を示す剥離力とした。同様の試験を5回行い、その平均値を求めた。
シート(A)から3cm×10cm寸法の試料を2枚切り出し、一方のシート(A)のポリビニルアセタール層(1)が他方のシート(A)のポリビニルアセタール層(2)と接するように重ねた。これを平らな机上に置き、その上に荷重を載せ、前記3cm×10cmの面と垂直な向きに0.02MPaの圧力がかかるようにして、23℃、50%RHで静置した。48時間後、23℃、50%RHにおけるシート(A)間の接着力をT字剥離試験により測定し(株式会社島津製作所製オートグラフSI使用、速度500mm/分)、得られた最大剥離力を、耐ブロッキング性を示す剥離力とした。同様の試験を5回行い、その平均値を求めた。
〔Tg1、Tg2〕
ポリビニルアセタール層(1)を構成する組成物およびポリビニルアセタール層(2)を構成する組成物をそれぞれ150℃、100kg/cm2で30分間プレス成形して、厚さ0.8mmのシートを得た。得られたシートを幅3mmに切断し、動的粘弾性測定試料とした。この測定試料について、動的粘弾性装置(株式会社ユービーエム製、Rheogel−E4000)を使用し、−50から100℃まで、3℃/分で昇温しながら、チャック間距離20mm、周波数0.3Hz、変位75.9μm、自動静荷重26g、引張モードで分析した。ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)のtanδが極大となる温度をそれぞれTg1およびTg2とした。
ポリビニルアセタール層(1)を構成する組成物およびポリビニルアセタール層(2)を構成する組成物をそれぞれ150℃、100kg/cm2で30分間プレス成形して、厚さ0.8mmのシートを得た。得られたシートを幅3mmに切断し、動的粘弾性測定試料とした。この測定試料について、動的粘弾性装置(株式会社ユービーエム製、Rheogel−E4000)を使用し、−50から100℃まで、3℃/分で昇温しながら、チャック間距離20mm、周波数0.3Hz、変位75.9μm、自動静荷重26g、引張モードで分析した。ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)のtanδが極大となる温度をそれぞれTg1およびTg2とした。
〔ロール引出試験〕
直径7.5cmの巻芯にシート(A)10mを巻きつけ、23℃、50%RHで2日間保管した。保管後のシート(A)を10cm/秒の速さで引出し、導電構造体を目視で確認して、下記の3つの項目について評価した。
(i)導電構造体の破損
引出し後のシート(A)を目視で評価し、破断および剥離が全く確認されなかったものを「無し」、破断または剥離が確認されたものを「有り」とした。
(ii)しわの発生
引出し後のシート(A)を目視で評価し、表面にしわが発生していないものを「無し」、表面にしわが発生しているものを「有り」とした。
(iii)自着性
自着性の有無を評価し、下記基準に従ってA〜Dで評価した。
A;自着がみられなかった。
B;自着しているが、シート(A)の変形無しに剥離可能であった。
C;自着しており、剥離した際にシート(A)が変形した。
D;自着しており、剥離した際にシート(A)が著しく変形または破損した。
直径7.5cmの巻芯にシート(A)10mを巻きつけ、23℃、50%RHで2日間保管した。保管後のシート(A)を10cm/秒の速さで引出し、導電構造体を目視で確認して、下記の3つの項目について評価した。
(i)導電構造体の破損
引出し後のシート(A)を目視で評価し、破断および剥離が全く確認されなかったものを「無し」、破断または剥離が確認されたものを「有り」とした。
(ii)しわの発生
引出し後のシート(A)を目視で評価し、表面にしわが発生していないものを「無し」、表面にしわが発生しているものを「有り」とした。
(iii)自着性
自着性の有無を評価し、下記基準に従ってA〜Dで評価した。
A;自着がみられなかった。
B;自着しているが、シート(A)の変形無しに剥離可能であった。
C;自着しており、剥離した際にシート(A)が変形した。
D;自着しており、剥離した際にシート(A)が著しく変形または破損した。
〔シート(A)高温処理後のtanδピーク温度測定〕
シート(A)を、縦10cm×横10cmの寸法に切り出し、2枚のPETフィルム(縦10cm×横10cm×厚さ0.1mm)に挟み、さらに2枚の縦10cm、横10cm、厚さ3mmのガラスで挟んだ。続いて、これを真空バッグに入れ、真空ポンプを用いて室温で15分間減圧にした後、減圧したまま100℃まで昇温し、そのまま60分間加熱した。降温後、常圧に戻した。その後、これをオートクレーブに投入し、140℃、1.2MPaで30分間処理した。ガラス、PETフィルムを取り除き、シートを得た。得られたシートを幅3mmに切断し、動的粘弾性測定試料とした。この測定試料について、動的粘弾性装置(株式会社ユービーエム製、Rheogel−E4000)を使用し、−50から100℃まで、3℃/分で昇温しながら、チャック間距離20mm、周波数0.3Hz、変位75.9μm、自動静荷重26g、引張モードで分析し、tanδが極大となる温度を測定し、下記の基準で評価した。シート(A)を合わせガラス用中間膜として使用する場合の安全性発現の観点から、A、Bの順に好ましく、Cは好ましくない。
A:tanδピーク温度が20℃以上35℃未満
B:tanδピーク温度が5℃以上20℃未満、または35℃以上50℃未満
C:tanδピーク温度が5℃未満、または50℃以上
シート(A)を、縦10cm×横10cmの寸法に切り出し、2枚のPETフィルム(縦10cm×横10cm×厚さ0.1mm)に挟み、さらに2枚の縦10cm、横10cm、厚さ3mmのガラスで挟んだ。続いて、これを真空バッグに入れ、真空ポンプを用いて室温で15分間減圧にした後、減圧したまま100℃まで昇温し、そのまま60分間加熱した。降温後、常圧に戻した。その後、これをオートクレーブに投入し、140℃、1.2MPaで30分間処理した。ガラス、PETフィルムを取り除き、シートを得た。得られたシートを幅3mmに切断し、動的粘弾性測定試料とした。この測定試料について、動的粘弾性装置(株式会社ユービーエム製、Rheogel−E4000)を使用し、−50から100℃まで、3℃/分で昇温しながら、チャック間距離20mm、周波数0.3Hz、変位75.9μm、自動静荷重26g、引張モードで分析し、tanδが極大となる温度を測定し、下記の基準で評価した。シート(A)を合わせガラス用中間膜として使用する場合の安全性発現の観点から、A、Bの順に好ましく、Cは好ましくない。
A:tanδピーク温度が20℃以上35℃未満
B:tanδピーク温度が5℃以上20℃未満、または35℃以上50℃未満
C:tanδピーク温度が5℃未満、または50℃以上
[実施例2]
表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−1(100質量部)および3G8(10質量部)を溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ50μmのポリビニルアセタール層(1)を得た。得られたポリビニルアセタール層(1)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−1(100質量部)および3G8(10質量部)を溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ50μmのポリビニルアセタール層(1)を得た。得られたポリビニルアセタール層(1)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
3G8およびDBEAの混合物(質量比10/1)40質量部の代わりに、ジ(ブトキシエトキシエチル)アジペート(以下、「DBEEA」と称する)55質量部を用いてポリビニルアセタール層(2)を得たこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
3G8およびDBEAの混合物(質量比10/1)40質量部の代わりに、ジ(ブトキシエトキシエチル)アジペート(以下、「DBEEA」と称する)55質量部を用いてポリビニルアセタール層(2)を得たこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
ポリビニルアセタール層(1)の厚さを10μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(1)の厚さを10μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
ポリビニルアセタール層(1)の厚さを100μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(1)の厚さを100μmとしたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
3G8およびDBEAの混合物(質量比10/1)40質量部の代わりに、3G8および1分子のビスフェノールAに対して平均3分子のプロピレンオキシドが付加した化合物(以下、「BP−3P」と称する)の混合物(質量比3/2)60質量部を用いてポリビニルアセタール層(2)を得たこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
3G8およびDBEAの混合物(質量比10/1)40質量部の代わりに、3G8および1分子のビスフェノールAに対して平均3分子のプロピレンオキシドが付加した化合物(以下、「BP−3P」と称する)の混合物(質量比3/2)60質量部を用いてポリビニルアセタール層(2)を得たこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例7]
表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物40質量部とを溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ400μmのシートを作製し、さらに片面の十点平均表面粗さRzが35μmとなるように凹凸構造を形成させて、ポリビニルアセタール層(1)を得た。また、同様にして作製したシートをポリビニルアセタール層(2)とした。得られたポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物40質量部とを溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ400μmのシートを作製し、さらに片面の十点平均表面粗さRzが35μmとなるように凹凸構造を形成させて、ポリビニルアセタール層(1)を得た。また、同様にして作製したシートをポリビニルアセタール層(2)とした。得られたポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例8]
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の作製において、凹凸構造を形成させる工程を行わなかったこと以外は実施例7と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の作製において、凹凸構造を形成させる工程を行わなかったこと以外は実施例7と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例9]
表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物30質量部とを溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ400μmのシートを作製し、さらに片面の十点平均表面粗さRzが35μmとなるように凹凸構造を形成させて、ポリビニルアセタール層(1)を得た。また、表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、DBEEA50質量部とを溶融混練し、前記ポリビニルアセタール層(1)と同様の方法で厚さ400μmのシートを作製し、さらに片面に十点平均表面粗さRzが35μmとなるように凹凸構造を形成させて、ポリビニルアセタール層(2)を得た。得られたポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物30質量部とを溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した。得られたペレットを単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ400μmのシートを作製し、さらに片面の十点平均表面粗さRzが35μmとなるように凹凸構造を形成させて、ポリビニルアセタール層(1)を得た。また、表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、DBEEA50質量部とを溶融混練し、前記ポリビニルアセタール層(1)と同様の方法で厚さ400μmのシートを作製し、さらに片面に十点平均表面粗さRzが35μmとなるように凹凸構造を形成させて、ポリビニルアセタール層(2)を得た。得られたポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例10]
ポリビニルアセタール層(1)の厚さを200μm、ポリビニルアセタール層(2)の厚さを800μmとしたこと以外は実施例7と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(1)の厚さを200μm、ポリビニルアセタール層(2)の厚さを800μmとしたこと以外は実施例7と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例11]
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の作製において、3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物の代わりにDBEEAを用いたこと以外は実施例7と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の作製において、3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物の代わりにDBEEAを用いたこと以外は実施例7と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例12]
ポリビニルアセタール層(1)の作製において、3G8(10質量部)の代わりに3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物20質量部を用い、ポリビニルアセタール層(2)の作製において、3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物の使用量を20質量部とし、ポリビニルアセタール層(2)の表面に凹凸を形成させる処理を行わなかったこと以外は実施例2と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(1)の作製において、3G8(10質量部)の代わりに3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物20質量部を用い、ポリビニルアセタール層(2)の作製において、3G8およびDBEA(質量比10/1)の混合物の使用量を20質量部とし、ポリビニルアセタール層(2)の表面に凹凸を形成させる処理を行わなかったこと以外は実施例2と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例13]
ポリビニルアセタール層(2)の作製において、PVB−2の代わりに表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−3を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(2)の作製において、PVB−2の代わりに表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−3を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例14]
ポリビニルアセタール層(2)の作製において、PVB−2の代わりに表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−4を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(2)の作製において、PVB−2の代わりに表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−4を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート(A)を得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例1および2]
ポリビニルアセタール層(2)として、ポリビニルアセタール層(1)と同様にして作製したシートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、シートを得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
なお、後述の通り比較例1においては、耐貫通性を付与するために、合わせガラス作製時に合わせガラス用中間膜(C)を使用する必要があった。これに対して比較例2においては、合わせガラス用中間膜(C)を使用しなかったため、耐貫通性に劣っていた。
ポリビニルアセタール層(2)として、ポリビニルアセタール層(1)と同様にして作製したシートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、シートを得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
なお、後述の通り比較例1においては、耐貫通性を付与するために、合わせガラス作製時に合わせガラス用中間膜(C)を使用する必要があった。これに対して比較例2においては、合わせガラス用中間膜(C)を使用しなかったため、耐貫通性に劣っていた。
[比較例3]
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の作製において、DBEEAの使用量をそれぞれ85質量部としたこと以外は実施例11と同様にしてシートを得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(1)およびポリビニルアセタール層(2)の作製において、DBEEAの使用量をそれぞれ85質量部としたこと以外は実施例11と同様にしてシートを得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例4]
ポリビニルアセタール層(2)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてシートを得た、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(2)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてシートを得た、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例5]
ポリビニルアセタール層(1)の代わりに、厚さ50μmのPETフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にしてシートを得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
ポリビニルアセタール層(1)の代わりに、厚さ50μmのPETフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にしてシートを得、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
〔合わせガラスの作製〕
実施例および比較例で得られたシート(A)またはシートをそれぞれ、縦10cm×横10cmの寸法に切り出し、縦10cm、横10cm、厚さ3mmのガラスの上に配置した。その上に、縦10cm、横10cm、厚さ3mmのガラスを重ねて配置した。ただし、比較例1においてはシートのポリビニルアセタール層(1)側に合わせガラス用中間膜(C)を配置してから、比較例4においてはシートの導電構造体側に合わせガラス用中間膜(C)を配置してから、また比較例5においてはシートのPETフィルム側に合わせガラス用中間膜(C)を配置してから、2枚のガラスの間に配置した。ここで、合わせガラス用中間膜(C)としては、表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、3G8(36.4質量部)と、DBEEA(3.6質量部)とを溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した後、単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ800μmのシートとしたものを用いた。続いて、これを真空バッグに入れ、真空ポンプを用いて室温で15分間減圧にした後、減圧したまま100℃まで昇温し、そのまま60分間加熱した。降温後、常圧に戻し、プレラミネート後の合わせガラスを取り出した。その後、これをオートクレーブに投入し、140℃、1.2MPaで30分間処理し、合わせガラスを作製した。
実施例および比較例で得られたシート(A)またはシートをそれぞれ、縦10cm×横10cmの寸法に切り出し、縦10cm、横10cm、厚さ3mmのガラスの上に配置した。その上に、縦10cm、横10cm、厚さ3mmのガラスを重ねて配置した。ただし、比較例1においてはシートのポリビニルアセタール層(1)側に合わせガラス用中間膜(C)を配置してから、比較例4においてはシートの導電構造体側に合わせガラス用中間膜(C)を配置してから、また比較例5においてはシートのPETフィルム側に合わせガラス用中間膜(C)を配置してから、2枚のガラスの間に配置した。ここで、合わせガラス用中間膜(C)としては、表1に記載のポリビニルブチラール樹脂PVB−2(100質量部)と、3G8(36.4質量部)と、DBEEA(3.6質量部)とを溶融混練し、得られた溶融混練物をストランド状に押出し、ペレット化した後、単軸の押出機とTダイを用いて溶融押出し、金属弾性ロールを用いて、厚さ800μmのシートとしたものを用いた。続いて、これを真空バッグに入れ、真空ポンプを用いて室温で15分間減圧にした後、減圧したまま100℃まで昇温し、そのまま60分間加熱した。降温後、常圧に戻し、プレラミネート後の合わせガラスを取り出した。その後、これをオートクレーブに投入し、140℃、1.2MPaで30分間処理し、合わせガラスを作製した。
得られた合わせガラスを5cm×5cmの寸法に切り出し、ヘイズメーターを用いてJIS R 3106に準じてヘイズを測定し、下記基準で評価した。結果を表2に示す。合わせガラスのヘイズ値が1.0以下であることはシートの透明性が高いことを示し、0.6以下であることはシートの透明性が非常に高いことを示す。
A:ヘイズ値が0.6以下
B:ヘイズ値が0.6超〜0.8以下
C:ヘイズ値が0.8超〜1.0以下
D:ヘイズ値が1.0超
A:ヘイズ値が0.6以下
B:ヘイズ値が0.6超〜0.8以下
C:ヘイズ値が0.8超〜1.0以下
D:ヘイズ値が1.0超
Claims (22)
- ポリビニルアセタール(1)100質量部および可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(1)と、ポリビニルアセタール(2)100質量部および可塑剤0〜200質量部を含むポリビニルアセタール層(2)と、前記ポリビニルアセタール層(1)および前記ポリビニルアセタール層(2)の間に配置された導電構造体とを備えるシート(A)が2枚以上重なってなる多層構造体であって、シート(A)に含まれるポリビニルアセタール(1)およびポリビニルアセタール(2)の合計含有量を100質量部とした場合、シート(A)に含まれる可塑剤の合計含有量が10〜80質量部である多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、および前記ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の少なくとも一方が10質量部以上である、請求項1に記載の多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール層(1)に含まれる可塑剤の含有量、および前記ポリビニルアセタール層(2)に含まれる可塑剤の含有量の一方が0質量部以上10質量部以下であり、もう一方が10質量部以上80質量部以下である、請求項1または2に記載の多層構造体。
- 前記シート(A)がその少なくとも一方の表面に凹凸構造を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記シート(A)の少なくとも一方の表面の平均表面粗さが15〜70μmである、請求項4に記載の多層構造体。
- ロール状に重なってなる多層構造体において、前記シート(A)が巻芯上に巻回されている、請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記導電構造体が発熱用導電構造体である、請求項1〜6のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記導電構造体が金属箔のエッチング構造体である、請求項1〜7のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記金属箔が銅を含む、請求項8に記載の多層構造体。
- 前記多層構造体が、前記ポリビニルアセタール層(1)と前記導電構造体との間、および前記ポリビニルアセタール層(2)と前記導電構造体との間の少なくとも一方に、接着剤層を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記多層構造体が、前記ポリビニルアセタール層(1)と前記導電構造体との間、および前記ポリビニルアセタール層(2)と前記導電構造体との間に、接着剤層を有さない、請求項1〜9のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール(1)および前記ポリビニルアセタール(2)の少なくとも一方の重合度が800以上である、請求項1〜11のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール(1)の重合度が1500未満であり、前記ポリビニルアセタール(2)の重合度が1500以上である、請求項1〜12のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール(1)のアセタール化度をA1モル%とし、前記ポリビニルアセタール(2)のアセタール化度をA2モル%とした場合、A1とA2の差の絶対値が5モル%未満である、請求項1〜14のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール(1)の水酸基量をH1モル%とし、前記ポリビニルアセタール(2)の水酸基量をH2モル%とした場合、H1とH2の差の絶対値が5モル%未満である、請求項1〜15のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール層(1)における可塑剤の含有量が、前記ポリビニルアセタール層(2)における可塑剤の含有量より小さく、前記ポリビニルアセタール(1)の重合度がポリビニルアセタール(2)の重合度より小さい、請求項1〜16のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記可塑剤がエーテルエステル系化合物を含む、請求項1〜17のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記シート(A)2枚を、ポリビニルアセタール層(1)側の表面とポリビニルアセタール層(2)側の表面とが接するように重ね、23℃、50%RH下、表面に垂直な向きに0.02MPaの圧力を48時間加えた後の耐ブロッキング性を示す剥離力が30N/30mm以下である、請求項1〜18のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール(1)の重合度が前記ポリビニルアセタール(2)の重合度より小さく、前記ポリビニルアセタール層(1)の厚さが前記ポリビニルアセタール層(2)の厚さより小さい、請求項1〜19のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記ポリビニルアセタール層(1)を構成する組成物のtanδが極大値をとる温度をTg1、前記ポリビニルアセタール層(2)を構成する組成物のtanδが極大値をとる温度をTg2とした場合、Tg1およびTg2の少なくとも一方が5℃以上である、請求項1〜20のいずれかに記載の多層構造体。
- 前記シート(A)が、その外側に突出して配置された電力または電気信号受給用の端子を有する、請求項1〜21のいずれかに記載の多層構造体。
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