以下、本発明に係るカメラ装置、吊荷監視システム、及び、作業機の実施形態について説明する。
<ラフテレーンクレーンの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラ装置10、吊荷監視システム40、及び、ラフテレーンクレーン100を示す側面図である。ラフテレーンクレーン100は、作業機の一例に該当する。また、図2は、図1に示した吊荷監視システム40の構成を示すブロック図である。
図示のラフテレーンクレーン100は、図1に示すように、走行体50と、旋回体60と、ブーム70と、を備える。走行体50は、道路や作業現場を自走するための走行装置やアウトリガ等を備える。旋回体60は、走行体50の上方に設けられ、走行体50に対して、鉛直軸C1回りに回転可能(旋回可能)である。旋回体60は、使用者が乗るキャビン61を備える。
キャビン61は、走行体50を走行させてラフテレーンクレーン100を移動させる運転操作を行うための装置を備える。また、ラフテレーンクレーン100は、キャビン61に、ブーム70の動作を操作するための操作装置等を備える。一例として、作業者は、キャビン61内の操作装置により、ブーム70の伸縮動作、起伏動作、及び、旋回動作を操作できる。
ブーム70の基端部は、軸C2(フットピン)を介して旋回体60に支持されている。このようなブーム70は、軸C2を回転中心として、旋回体60に対して回転可能である。ブーム70のベースブーム71と旋回体60とにはそれぞれ、油圧で伸縮する起伏シリンダ81が連結されている。ブーム70は、起伏シリンダ81の伸縮に基づいて、軸C2回りに回転する。
図3は、ブーム70が最も倒伏した状態(ブームの第一状態ともいう。)を示す模式図である。図4は、図3に対応した起伏状態(つまり、ブームの第一状態)においてカメラ11により撮影される画像の範囲及び抽出される画像の範囲を示す模式図である。図5は、ブーム70が最も倒伏した状態(つまり、ブームの第一状態)と最も起立した状態(ブームの第二状態ともいう。)の略中間の起伏状態(ブームの第三状態ともいう。)を示す模式図である。図6は、図5に対応した起伏状態(つまり、ブームの第三状態)においてカメラ11により撮影される画像の範囲及び抽出される画像の範囲を示す模式図である。図7は、ブーム70が最も起立した状態(つまり、ブームの第二状態)を示す模式図である。図8は、図7に対応した起伏状態(つまり、ブームの第二状態)においてカメラ11により撮影される画像の範囲及び抽出される画像の範囲を示す模式図である。
ブーム70は、例えば図3に示す第一状態(水平面P1に対して起伏角度θ1の状態)から、図7に示す第二状態(水平面P1に対して起伏角度θ3(<90[°])の状態)の角度範囲で、旋回体60に対して起伏する。なお、起伏角θ1及び起伏角θ3は、ブーム70の中心軸Lbと水平面P1とがなす角と捉えてよい。
ブーム70は、基端側のベースブーム71と先端側のトップブーム76との間に、1つ以上の中間ブーム72を備えてよい。ベースブーム71、中間ブーム72、及び、トップブーム76は、伸縮可能な入れ子状に組み合わされている。中間ブーム72は、ブームの収縮状態において、ベースブーム71の内側に、ブーム70の中心軸Lbの方向(ブーム70の軸方向ともいう。)に沿って格納される。
また、トップブーム76は、ブームの収縮状態において、中間ブーム72の内側に、ブーム70の軸方向に沿って格納される。トップブーム76及び/又は中間ブーム72が、ベースブーム71の先端側から軸方向に突出することにより、ブーム70は伸長する。トップブーム76及び中間ブーム72がベースブーム71に格納されることにより、ブーム70は、収縮する。
トップブーム76の先端に設けられたブームヘッド78にはシーブ79が設けられている。旋回体60におけるブーム70の基端部の近くに、ウインチ(不図示)が設けられている。ウインチには、吊荷用のワイヤロープ82が巻かれている。ワイヤロープ82は、ウインチからシーブ79までブーム70の軸方向に沿って配索されている。ワイヤロープ82においてシーブ79に掛け回された部分よりも先端側の部分は、シーブ79から鉛直方向の下方に吊り下げられている。ワイヤロープ82の先端部(最下部ともいう。)には、フックブロック84が設けられている。
そして、吊荷は、フックブロック84に設けられたフック83により吊られる。フック83は、ウインチに巻かれたワイヤロープ82を繰り出すことにより降下する。また、フック83は、ワイヤロープ82をウインチに巻くことにより上昇する。
クレーン操作において、ウインチによるワイヤロープ82の繰り出し及び巻き上げ、ブーム70の起伏及び伸縮、並びに、旋回体60の旋回により、フック83に吊られた吊荷を所定の位置に移動させる。
<吊荷監視システムの構成>
ラフテレーンクレーン100は、フック83に吊られた吊荷を上方から撮影し、その撮影された画像を、キャビン61内で見ることができる吊荷監視システム40を備える。吊荷監視システム40は、図2に示すように、カメラ装置10と、表示装置20と、伝送線30と、を備える。
カメラ装置10は、ブームヘッド78に設けられている。ブームヘッド78は、ブームの先端部の一例と捉えてよい。表示装置20は、キャビン61内に設けられている。表示装置20は、表示部の一例と捉えてよい。伝送線30は、ブーム70に沿って設けられ、カメラ装置10と表示装置20とを接続している。伝送線30は、ブーム70の伸縮に対応して(換言すれば、カメラ装置10と表示装置20との距離の変化に応じて)、自身の長さを変えることができる。
カメラ装置10は、カメラ11と、カメラ制御部12と、第一伝送部13と、を備える。カメラ11は、撮像部の一例に該当する。カメラ制御部12は、画像抽出部、及び、制御部の一例に該当する。第一伝送部13は、伝送部の一例に該当する。
カメラ11、カメラ制御部12、及び、第一伝送部13は、一体にモジュール化されている。カメラ11は、CCDやCMOS等の撮像素子(イメージセンサ)及びレンズ(光学系)を有するデジタルカメラである。レンズは、広角のレンズであってよい。レンズは、一枚のレンズによって構成されてもよいし、複数枚のレンズにより構成されてもよい。被写体から出た光は、カメラ11のレンズを通過してカメラ11の結像面(例えば、イメージセンサ)に結像する。ここで、カメラ装置10の光軸は、カメラ11のレンズの中心を通り、かつ、レンズ面に垂直な直線と捉えてよい。図3、図5、及び、図7の矢印Pで示す光軸の第一方向は、結像面からレンズに向かう方向を意味する。以下、光軸の第一方向を、単に光軸Pの方向と称する。
カメラ11は、ブーム70が起伏可能な全ての角度範囲(起伏角度θ1から起伏角度θ3までの角度範囲)のうち、所定の起伏角度θaにおいて、鉛直方向の下方を向いた姿勢で、ブームヘッド78に固定されている。カメラ11が鉛直方向の下方を向いている状態とは、カメラ11の光軸Pの方向が鉛直方向の下方を向いた状態を意味する。所定の起伏角度θaは、カメラ装置10の光軸Pが鉛直方向の下方を向いた状態のブームの起伏角度と捉えてよい。所定の起伏角度θaは、例えば、図5に示す略中間の起伏角度θ2(≒(θ1+θ3)/2)であってよい。なお、所定の起伏角度θaは、起伏角度θ2に限定されない。一例として、所定の起伏角度θaは、起伏角度θ2よりも大きく、起伏角度θ3(図7参照)よりも小さい起伏角度であってもよい。また、一例として、所定の起伏角度θaは、起伏角度θ2よりも小さく、起伏角度θ1(図3参照)よりも大きい起伏角度であってもよい。
図3、図5、及び、図7に示すように、ブーム70の中心軸Lbと、カメラ11の光軸Pとが成す角度は、ブーム70の起伏角度θが変化しても、一定である。ブーム70は上述した角度範囲で起伏するため、ブームヘッド78に固定されたカメラ11の光軸Pの方向は、ブーム70の起伏角度に応じて変化する。つまり、図3に示すブーム70の第一状態(起伏角度θ1)においては、光軸Pの方向は、鉛直方向の下方よりも、ブーム70に近い側に偏った方向である。一方、図7に示すブーム70の第二状態(起伏角度θ3)においては、光軸Pの方向は、鉛直方向の下方よりも、ブーム70から遠い側に偏った方向である。このように、カメラ11の光軸Pの方向は、常に真下を向いていない。換言すれば、カメラ11の光軸Pの方向は、ブーム70の起伏角度θの変化とともに、変わる。
しかし、カメラ11の広角レンズは、ブーム70が起伏可能な全ての角度範囲(起伏角度θ1から起伏角度θ3の範囲)において、ブーム70の先端部の鉛直方向下方を撮像装置に結像する広角の画角αを有する。換言すれば、カメラ11の広角レンズは、ブーム70が起伏可能な全ての角度範囲において、シーブ79からワイヤロープ82により鉛直方向の下方に吊り下げられたフック83を含む所定領域を撮像素子に結像する広角の画角αを有している。
なお、カメラ11の撮像素子は、例えば、図4に示す画像G1から分かるように、ブーム70の起伏方向については、画角αに対応したサイズL0で、ブーム70の旋回方向については、画角αよりも小さい画角に対応したサイズK0(K0<L0)で、形成されている。換言すれば、カメラ11は、ブーム70の起伏方向に対応する横方向(第一方向ともいう。)のサイズL0、及び、ブーム70の旋回方向に対応する縦方向(第二方向ともいう。)のサイズK0(K0<L0)を有する画像データ(第一画像データともいう。)を生成可能である。なお、図4に示す画像G1において、縦方向が第一方向であり、横方向が第二方向であってもよい。撮像素子のサイズは、撮像素子の画素数に依存しているため、起伏方向に対応した画素数は旋回方向に対応した画素数に比べて多い。
このように、カメラ11は、ブーム70が起伏可能な全角度範囲において、シーブ79の鉛直方向の下方に配置されたフック83に吊られた吊荷を、その撮影範囲に含めることができる。なお、所定領域は、例えば、フック83に吊られた吊荷の部分と、その吊荷の部分の少なくとも近傍の周辺を含む領域(吊荷が上げ降ろしされる地面等)であってよい。
例えば、図4は、ブーム70が最も倒伏した起伏角度θ1の第一状態(図3参照)において、カメラ11が撮像した画像G1を示す。画像G1において、ブーム70の起伏方向(以下、単に起伏方向という。)におけるカメラ11の画角αは、画像G1の横方向のサイズL0に対応する。
画像G1の横方向は、ブーム70の起伏方向に対応すると捉えてよい。図3に示す起伏方向の画角αのうち最もブーム70に近い側の端縁は、起伏方向の画角αの第一端に該当する。一方、図3に示す起伏方向の画角αのうち最もブーム70から遠い側の端縁は、起伏方向の画角αの第二端に該当する。画像G1における第一端(図4中の左端)は、画角αの第一端に対応する。
また、画像G1において、第二端(図4中の右端)は、画角αの第二端に対応する。画像G1において、フック83の画像は、画像G1の第二端寄り部分(画像G1の範囲L1)に偏って結像されている。
画像G1において、少なくともフック83を含む所定領域が、第一領域であってよい。第一領域は、画像G1において、少なくとも、フック83及びフック83に吊られた吊荷の全体を含む領域であってもよい。第一領域は、ワイヤロープ82を含んでもよい。
第一領域は、画像G1の横方向の範囲L1と、縦方向のサイズK0で画定される領域であってよい。範囲L1は、画像G1の横方向において、第二端と、第二端から所定距離だけ離れた位置(第一位置ともいう。)との間の範囲である。カメラ制御部12は、吊荷の揺れの範囲を考慮して、第一領域を決定すると好ましい。
また、範囲L1は、起伏方向の画角αにおける範囲A1(図3参照)に対応してよい。なお、範囲A1は、画角αの第二端からθa(不図示、範囲A1の角度に相当)の範囲(第二端を含む)である。θaは、一例として、30°であってよい。
範囲L1は、クレーン作業に必要とする範囲(画角)である。範囲L1は、吊荷が揺れる範囲や吊荷を移動させるために作業者が把握しておくべき範囲によって定められるべき範囲(画角)である。作業者は、作業状況に応じて、範囲L1を手動で設定してもよい。あるいは、カメラ制御部12は、作業状況に応じて、範囲L1の設定を自動的に調整してもよい。カメラ制御部12は、作業状況に関する情報を、ラフテレーンクレーン100の制御部(不図示)から取得してよい。作業状況に関する情報は、例えば、吊荷の揺れに関する情報、及び/又は、吊荷の揺れに影響する要因に関する情報(風速など)であってよい。また、作業状況に関する情報は、吊荷に関する情報(吊り荷の大きさなど)を含んでもよい。
第一領域に相当する画像は、クレーン操作において、重要度が高い画像と捉えてよい。一方、画像G1において第一領域以外の第二領域には、フック83から上方に離れたフック83以外の画像が結像されている。このため、画像G1において第二領域に相当する画像は、クレーン操作において、重要度が低い画像と捉えてよい。
一例として、第二領域は、画像G1において、フック83、及び、ワイヤロープ82を含まない領域と捉えてよい。なお、画像G1に吊荷が含まれている場合、第二領域は、画像G1において、フック83、ワイヤロープ82、及び、吊荷を含まない領域と捉えてよい。
また、図8は、ブーム70が最も起立した起伏角度θ3の第二状態(図7参照)において、カメラ11が撮像した画像G3を示す。画像G3とカメラ11の起伏方向の画角αとの関係は、画像G1とカメラ11の起伏方向の画角αとの関係と同様である。
画像G3において、フック83の画像は、画像G3の第一端寄り部分(画像G3の範囲L3)に偏って結像されている。画像G3において、少なくともフック83を含む所定領域を、第一領域と定義する。第一領域は、画像G3において、少なくとも、フック83及びフック83に吊られた吊荷の全体を含む領域であってよい。第一領域は、ワイヤロープ82を含んでもよい。
第一領域は、画像G3の横方向の範囲L3と、縦方向のサイズK0で画定される領域であってよい。範囲L3は、画像G3の横方向において、第一端(図8中の左端)と、第一端から所定距離だけ離れた位置(第二位置ともいう。)との間の範囲である。カメラ制御部12は、吊荷の揺れの範囲を考慮して、第一領域を決定すると好ましい。
また、範囲L3は、起伏方向の画角αにおける範囲A2(図7参照)に対応してよい。なお、範囲A2は、画角αの第一端からθb(不図示、範囲A2の角度に相当)の範囲(第一端を含む)である。θbは、一例として、30°であってよい。
一方、画像G3において第一領域以外の第二領域には、フック83から上方に離れたフック83以外の画像が結像されている。このため、画像G3において第二領域に相当する画像は、クレーン操作において、重要度が低い画像と捉えてよい。
一例として、第二領域は、画像G3において、フック83及びワイヤロープ82を含まない領域と捉えてよい。なお、画像G3に吊荷が含まれている場合、第二領域は、画像G3において、フック83、ワイヤロープ82、及び、吊荷を含まない領域と捉えてよい。
また、図6は、ブーム70の起伏角度θ2の第三状態(図5参照)においては、カメラ11が撮像した画像G2を示す。画像G2とカメラ11の起伏方向の画角αとの関係は、画像G1とカメラ11の起伏方向の画角αとの関係と同様である。
画像G2において、フック83の画像は、画像G2の中央部(画像G2の範囲L2)に結像されている。画像G2において、少なくともフック83を含む所定領域を、第一領域と定義する。第一領域は、画像G2において、少なくとも、フック83及びフック83に吊られた吊荷の全体を含む領域であってよい。
第一領域は、画像G2の横方向の範囲L2と、縦方向のサイズK0で画定される領域であってよい。範囲L2は、画像G2の横方向において、画像G2の中央位置を含む所定範囲であってよい。カメラ制御部12は、吊荷の揺れの範囲を考慮して、第一領域を決定すると好ましい。
また、範囲L2は、起伏方向の画角αにおける範囲A3(図5参照)に対応してよい。なお、範囲A3は、画角αの中央値を中心としてθc(不図示、範囲A3の角度に相当)の範囲に対応してよい。θcは、一例として、30°であってよい。このような第一領域に相当する画像は、クレーン操作において、重要度が高い画像と捉えてよい。
一方、画像G2において第一領域以外の第二領域には、フック83から離れたフック83以外の画像が結像されている。このため、画像G2において第二領域に相当する画像は、クレーン操作において、重要度が低い画像と捉えてよい。
一例として、第二領域は、画像G2において、フック83、及び、ワイヤロープ82を含まない領域と捉えてよい。なお、画像G2に吊荷が含まれている場合、第二領域は、画像G2において、フック83、ワイヤロープ82、及び、吊荷を含まない領域と捉えてよい。
カメラ制御部12は、カメラ11で撮影された広角の画像(例えば、画像G1、G2、G3)のうち、ブーム70の起伏角度に対応した、フック83を含む下方の領域の一部分(例えば、画像G1、G2、G3の第一領域)のみを切り出す(抽出する)。また、カメラ制御部12は、画像抽出を行うとともに、抽出した画像に対応するデータを圧縮してデータ量を少なくする。
カメラ11で撮影された画像(例えば、G1、G2、G3)は、第一画像データの一例に該当する。また、カメラ制御部12により第一画像データから抽出された画像データは、第二画像データの一例に該当する。そして、カメラ制御部12により第二画像データを圧縮して得られる画像データは、第三画像データの一例に該当する。
カメラ制御部12は、フック83の起伏角度を、ラフテレーンクレーン100に設けられた過負荷防止装置等から、伝送線30及び第一伝送部13を介して取得する。また、カメラ制御部12が抽出する領域の一部分は、例えば、上述した所定領域に対応した画像部分である。
カメラ制御部12は、ブーム70の起伏方向についてはサイズL0のうち、重要度の低い画像部分を排除して、フック83を含む下方の領域の一部分のみを抽出する。具体的には、カメラ制御部12は、図3の起伏状態(起伏角度)に対応して、図4に示す画像G1(第一画像データ)のサイズL0のうち、図4において範囲L1で示される部分(第二画像データ)を抽出する。
また、カメラ制御部12は、図5の起伏状態(起伏角度)に対応して、図6に示す画像G2(第一画像データ)のサイズL0のうち、図6において範囲L2で示される部分(第二画像データ)を抽出する。さらに、カメラ制御部12は、図7の起伏状態(起伏角度)に対応して、図8に示す画像G3(第一画像データ)のサイズL0のうち、図8において範囲L3で示される部分(第二画像データ)を抽出する。
カメラ制御部12は、ブーム70の起伏角度に応じて、第一画像データ(画像G1、G2、G3)における第一領域(第二画像データ)の位置、大きさ、及び、範囲のうちの少なくとも一つのパラメータを設定すると捉えてよい。
本実施形態の場合、第一画像データ(画像G1、G2、G3)における第一領域の位置は、ブーム70の起伏角が大きくなるほど、第一画像データ(画像G1、G2、G3)の第二端側から第一端側(例えば、図4中の右側から左側)に向かって連続的に移動する。
つまり、図3、図5、及び、図7は、ブーム70の起伏状態のうち代表的な起伏角度においてカメラ11が撮像した画像(画像G1、G2、G3)を示したものであり、図3の起伏状態と図5の起伏状態との間の起伏角度においては、カメラ制御部12は、その起伏角度に対応する、図4の抽出範囲と図6の抽出範囲との間の範囲を抽出してよい。同様に、図7の起伏状態と図5の起伏状態との間の起伏角度においては、カメラ制御部12は、その起伏角度に対応する、図8の抽出範囲と図6の抽出範囲との間の範囲を抽出してよい。
なお、第一領域の大きさに関して、ブーム70の起伏角度に対応して抽出する画像の範囲L1と、範囲L2と、範囲L3の横方向寸法、及び/又は、縦方向寸法は、同じであってもよいし、ブーム70の起伏角度(鉛直方向の下方に対する光軸Pの傾斜角度でもある。)に応じて変化させてもよい。
なお、カメラ11の広角レンズは、光軸Pから離れる(光軸Pとの傾斜角度が大きくなる)にしたがって、撮像素子に結像する像が歪み、被写体と像との誤差が大きくなる。このため、像をモニタ21に表示したときの見た目の違和感を減らすために、光軸Pに近い像となる範囲L2よりも、光軸Pから遠い像となる範囲L1や範囲L3を小さくしてもよい。
カメラ制御部12は、カメラ11で撮影された画像のうち、ブーム70の旋回方向についてはサイズK0のままとして、一部分だけを抽出することはしない。ただし、カメラ制御部12は、ブーム70の旋回方向のサイズを変化させるような抽出を行ってもよい。また、後述するように、カメラ制御部12は、ワイヤロープ82の繰り出し長さに対応して、ブーム70の起伏方向のサイズとともに、ブーム70の旋回方向のサイズを変化させるような抽出を行ってもよい。
ここで、ワイヤロープ82の繰り出し長さL(m)に基づいて、カメラ制御部12が、カメラ11で撮影された画像から抽出する画像の範囲を設定する方法の一例について説明する。カメラ制御部12は、下記式1を満たすΔαを設定する。Δαは、カメラ11の起伏方向における画角αのうち、画像を抽出したい部分に対応する画角である。下記式1において、Lは、ワイヤロープ82の繰り出し長さ(m)である。また、ΔSは、作業者が作業時に確認したい作業範囲(m)である。ΔSは、吊荷の揺れなどを考慮して決定されてよい。一例として、吊荷が±2(m)で揺れている場合、ΔSは、4(m)以上とした量である。
Δα[deg]=arctan(ΔS/L) ・・・ (1)
カメラ制御部12は、カメラ11の起伏方向における画角αのうち、フック83を中心としてΔαの範囲に対応する部分を第二画像データとして、カメラ11が撮影した画像データ(第一画像データ)から抽出する。なお、カメラ11の起伏方向における画角αは、下記式(2)を満たす必要がある。θ70は、ブーム70が起伏可能な角度である。
α≧θ70+ΔS ・・・ (2)
第一伝送部13は、カメラ制御部12で抽出され圧縮された画像のデータ(第三画像データ)を、伝送線30を通じて、表示装置20の第二伝送部23に伝送する。第一伝送部13が伝送線30を通じて第二伝送部23に伝送する画像のデータは、カメラ11が撮影した広角の画像の全範囲に対応した画像のデータではなく、カメラ制御部12で抽出された一部の画像に対応したデータである。このようなデータは、圧縮されているため、広角の画像の全範囲に対応した画像のデータに比べてそのデータ量が少ない。
本実施形態の場合、カメラ制御部12が、第一画像データ(例えば、画像G1、G2、G3)から抽出した画像データ(第二画像データ)のサイズは、ブーム70の起伏角に拘わらず、一定である。従って、カメラ制御部12が第二画像データを圧縮して得られる第三画像データのサイズも、ブーム70の起伏角に拘わらず、一定である。ただし、第二画像データ及び第三画像データのサイズは、ブーム70の起伏角に応じて変わってもよい。
したがって、第一伝送部13が伝送線30を通じて第二伝送部23にその画像のデータを伝送する際、広角の画像の全範囲に対応した画像のデータを伝送する場合と比べて、伝送に要する時間(伝送時間)を短くできる。また、伝送の処理に要する負荷(伝送負荷)を低減できる。
表示装置20は、モニタ21(表示装置)と、表示制御部22と、第二伝送部23(受信部)と、を備える。表示制御部22は、第二伝送部23が伝送線30から受け取った一部の画像(抽出された一部の領域の画像)に対応したデータを展開して、可視画像としてモニタ21に表示する。モニタ21は、表示制御部22で処理されたデータに対応した可視画像を表示する。
以上のように構成された本実施形態の吊荷監視システム40及びカメラ装置10によれば、カメラ装置10はブーム70に固定されているが、広角の光学系(例えばレンズ)を有しているため、ブーム70に対して動かなくても、ブーム70の起伏角度に拘わらず、フック83を含む鉛直方向の下方の所定の範囲を撮影範囲に含むことができる。
したがって、吊荷監視システム40及びカメラ装置10は、カメラ装置10のカメラ11をブーム70に対して動かす必要がなく、カメラ11をブーム70に対して動かすための可動部を有するカメラ装置に比べて、可動部の故障を無くし、メンテナンス性の向上(故障修理の手間を削減)及び耐久性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の吊荷監視システム40及びカメラ装置10は、カメラ11で撮影された画像の全体を第一伝送部13が外部に送出するのではなく、カメラ制御部12によって抽出された一部の画像部分だけを第一伝送部13が外部に送出する。これにより、カメラ11で撮影された画像の全体を第一伝送部13が外部に送出する場合に比べて、第一伝送部13による送出の動作の負荷を減らし、及び/又は送出の時間を短縮できる。
また、本実施形態の吊荷監視システム40及びカメラ装置10は、カメラ制御部12が、カメラ制御部12に入力されたブーム70の起伏角度(例えば図3,5,7の起伏状態)に応じて、カメラ11で撮影された広角の全体の画像のうち切り出す画像の一部分を、例えば図4、図6、及び図8に示すように変化させる。したがって、吊荷監視システム40及びカメラ装置10は、起伏角度に応じて変化するフック83及び吊荷が写る画像範囲を、起伏角度に対応した一部の画像として抽出できる。
なお、本実施形態の吊荷監視システム40及びカメラ装置10は、カメラ制御部12が、ブーム70の起伏角度に応じて抽出する一部の画像のサイズ(起伏方向のサイズ)を、起伏角度に拘わらず同じとすることにより、第一伝送部13から伝送線30及び第二伝送部23を通じて表示制御部22に入力された画像のサイズが、起伏角度に拘わらず一定のサイズとなる。
したがって、吊荷監視システム40は、入力された画像をモニタ21に出力するに際して、表示制御部22が、起伏角度に応じたリサイズ処理(モニタ21に表示させる画像の大きさを変化させる処理)を行う必要がない。つまり、吊荷監視システム40は、リサイズ処理を一切行わずにモニタ21に出力し、又は起伏角度に拘わらず同じリサイズ処理を行うだけでよいため、表示制御部22の負荷を低減することができる。
同様に、カメラ装置10は、出力した画像を外部のモニタに出力させるに際して、そのモニタの表示を制御する制御装置に、起伏角度に応じたリサイズ処理(モニタに表示させる画像の大きさを変化させる処理)を行わせる必要がない。
図9は、ブーム70が図5に示した起伏状態において、ワイヤロープ82の繰り出し長さが、図5に示した繰り出し長さよりも長い状態を示す模式図である。図10は、図9に対応した起伏状態においてカメラ11により撮影される画像の範囲及び抽出される画像の範囲を示す模式図である。
例えば、本実施形態の吊荷監視システム40及びカメラ装置10において、カメラ制御部12は、例えば過負荷防止装置等からカメラ装置10に入力されたワイヤロープ82の繰り出し長さに応じて、カメラ11で撮影された広角の画像のうち切り出す(抽出する)画像の一部分の大きさを変化させてもよい。すなわち、カメラ制御部12は、ブーム70の起伏角度に応じて、抽出する画像の一部を変化させるとともに、ウインチから繰り出されたワイヤロープ82の長さに応じて、抽出する画像の大きさを変化させてもよい。
具体的には、吊荷監視システム40及びカメラ装置10は、繰り出されたワイヤロープ82の長さが長くなるにしたがって、抽出する画像の大きさを、例えば小さくすることができる。
つまり、例えば図5に示した例では、ブームヘッド78から鉛直方向の下方に吊り下げられたフックブロック84までの長さ(ワイヤロープ82の長さに対応)M1のときは、カメラ制御部12が抽出する画像は、ブーム70の起伏方向については範囲L2であり、ブーム70の旋回方向についてはサイズK0である。
これに対して、例えば図9に示した例のように、ブームヘッド78から鉛直方向の下方に吊り下げられたフックブロック84までの長さ(ワイヤロープ82の長さに対応)M2が長さM1よりも長いとき(M1<M2)のときは、カメラ制御部12が、図10に示す画像G4(第一画像データ)から抽出する画像(第二画像データ)は、ブーム70の起伏方向において、サイズL2よりも小さいサイズL4(<L2)であり、ブーム70の旋回方向において、サイズK0より小さいサイズK1である。
このように、ワイヤロープ82の繰り出し長さが長くなるにしたがって、カメラ制御部12が抽出する画像は小さくなってよい。つまり、ワイヤロープ82の繰り出し長さが長くなるにしたがって、カメラ11からフック83までの距離が長くなる。
この距離が長くなると、カメラ11により撮影されるフック83及びフック83に吊られた吊荷は、撮影された画像における大きさが相対的に小さくなる。このようにして、カメラ制御部12が抽出する画像のサイズを小さくすることにより、抽出された画像のサイズに対する、フック83及びフック83に吊られた吊荷の画像の大きさを拡大できる。
そして、カメラ制御部12で抽出された画像は、第一伝送部13、伝送線30、及び、第二伝送部23を介して表示制御部22に入力される。表示制御部22は、入力された画像(抽出された画像)をモニタ21のサイズに対応する大きさに調整する。
すなわち、表示制御部22は、抽出された画像をモニタ21の大きさに適合して表示させる(抽出された画像がモニタ21の表示面の全体表示される)ように、抽出された画像の画素を間引いたり(抽出された画像の画素数がモニタ21の表示面の画素数よりも多いとき)、補間する(抽出された画像の画素数がモニタ21の表示面の画素数よりも少ないとき)等の表示処理を行う。これにより、モニタ21には、抽出された画像が、モニタ21の表示面の全体に表示される。
このように、表示制御部22は、抽出された画像がモニタ21の表示面の全体に表示されるように、画像のサイズの調整を行う。このため、画像サイズが小さい画像をモニタ21に表示した場合でも、フック83及び吊荷の画像の大きさが小さくなることを防止できる。
なお、ワイヤロープ82の繰り出し長さが長くなるにしたがって、カメラ制御部12が抽出する画像は小さくなるが、その小さくする画像の範囲は、フック83及び吊荷が撮影されている範囲であることは言うまでもない。
2018年2月22日出願の特願2018−029473の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。