図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1において、回転電機20が図示されている。回転電機20は、発電電動機である。回転電機20は、発電電動機として機能するための回転位置検出器を備えている。回転位置検出器は図示されていない。回転電機20は、内燃機関(エンジン)に装着されることによって、エンジンと連動する。エンジンは、乗り物に搭載された乗り物用エンジン、または汎用エンジンである。ここで、乗り物の語は、広義に解釈されるべきであり、車両、船舶、航空機などの移動体、および、アミューズメント機器、およびシミュレーション機器などの固定物を含む。また、汎用エンジンは、例えば、発電機、およびポンプとして利用可能である。この実施形態では、エンジンは、鞍乗り型の車両に搭載されている。
エンジンは、ボディ21、シャフト22を有する。ボディ21は、エンジンのクランクケースまたはカバーによって提供されている。シャフト22は、クランクシャフト、またはクランクシャフトと連動している回転軸である。回転電機20は、ロータ26と、ステータ30とを備える。回転電機20は、軸AXを中心とする回転体である。以下の説明において、この軸AXに沿い、平行な方向を軸方向と呼ぶ。
ロータ26は、シャフト22と連結されている。ロータ26は、シャフト22によって回転駆動される。ステータ30は、ロータ26の内部に配置されている。ステータ30は、軸AX周りにおいて環状である。軸AXは、ステータ30の中心軸でもある。ステータ30は、ボルト23によって、ボディ21に締め付けられることによって、固定されている。ステータ30は、中央開口部にボディ21側の取付部を有する。ステータ30の中央開口部と、ボディ21側の取付部とは、インロー構造になっている。ステータ30は、クランクケースまたはカバーに固定することができる。以下の説明において、ステータ30の左側端面は、軸方向における一端、先端、または第1端と呼ばれる。ステータ30の右側端面は、軸方向における他端、基端、または第2端と呼ばれる。
ステータ30は、複数の電線を含むワイヤハーネス24によって、電気回路25(ELC)と接続されている。電気回路25は、車両の回路である。電気回路25は、例えば、車両のバッテリを含む車載電源回路を含む。電気回路25は、インバータ回路を含む場合がある。インバータ回路は、直流−交流変換回路を提供する。例えば、回転電機20が発電機として機能する場合には、電気回路25は、発電出力を整流する整流回路を提供する。また、回転電機20が電動機として機能する場合には、電気回路25は、直流を交流に変換してステータ30に供給する。電気回路25は、回転電機20を電動機として機能させるための回転位置検出器を備えている。回転位置検出器は、ロータ26の回転を検出する。検出される回転は、ロータ26の回転方向、ロータ26の回転位置、またはロータ26の回転数を含むことができる。
ロータ26は、ロータコア27と、磁石28と、磁石ケース29とを備える。ロータコア27は、カップ状の磁性体によって提供されている。ロータコア27は、ヨークとも呼ばれる。ロータコア27は、エンジンのフライホイールを兼ねる。ロータコア27は、永久磁石の磁路を提供する。ロータコア27の内面には、複数の磁石28が配置されている。複数の磁石28は、永久磁石を含む。複数の磁石28は、接着剤および/または磁石ケース29によって、ロータコア27に固定されている。ロータ26は、回転磁界を形成する。ロータ26は、軸AXの回りを回転する。
ステータ30は、外突極型のステータである。ステータ30は、軸AXに沿って積層的に配置された複数のブロック31、32、33を有する。ステータ30は、軸方向の一端に配置された先端ブロック31を有する。ステータ30は、軸方向の他端に配置された基端ブロック33を有する。ステータ30は、軸方向に関して先端ブロック31と基端ブロック33との間に配置された内部ブロック32を有する。先端ブロック31および基端ブロック33は、端部ブロックとも呼ばれる。内部ブロック32は、中間ブロックとも呼ばれる。
ステータ30は、ステータコア40、インシュレータ50、および巻線60を備える。ステータコア40は、電磁鋼板または鉄板などの磁性体によって提供されている。インシュレータ50は、樹脂製である。インシュレータ50は、主としてボビンを提供する。インシュレータ50は、複数の電極間を電気的に絶縁する部材でもある。巻線60は、単相または多相の巻線を提供する。
ステータコア40は、複数のティース部40aと、それらティース部40aを連結する環状のリング部40bとを有する。複数のティース部40aは、磁極を提供する。複数のティース部40aは、リング部40bの外周に配置されている。
ステータコア40は、複数のコア41、42、43を有する。ステータコア40は、先端コア41、内部コア42、および基端コア43を備える。先端コア41は、ボルト23の頭部を収容するための切欠部44を有する。先端コア41は、ステータ30の軸方向における先端を提供する。基端コア43は、ステータ30の軸方向における基端を提供する。
先端コア41は、リング部40bにおいて、厚さT41を有する。内部コア42は、リング部40bにおいて、厚さT42を有する。基端コア43は、リング部40bにおいて、厚さT43を有する。厚さT41、T42、T43は、軸方向における厚さである。厚さT41、T42、T43は、互いに等しくはない。厚さT41は、厚さT42、T43より、厚い。厚さT42と厚さT43とは、等しくすることができる。厚さT41は、切欠部44を提供するために、他の厚さT42、T43より大きい。よって、厚さT41、T42、T43は、不均等である。
複数のティース部40aの厚さは、互いに等しい。ひとつのティース部40aの厚さは、T41+T42+T43に相当する。複数のティース部40aは、複数のコア41、42、43に分散して配置されている。複数のティース部40aは、複数の相に対応する複数の群に配分されている。複数のティース部40aは、互いに等間隔をなす複数の群に配分されている。ひとつの群は、ひとつのコアブロックに配置されている。よって、ひとつのコアブロックは、複数のティース部40aを有する。ひとつのコアブロックは、互いに等間隔をなす複数のティース部40aを有する。この実施形態では、三相巻線を提供するために、複数のティース部40aは、3群に配分されている。
図2において、ステータ30が提供する巻線60は、三相巻線を提供する。三相巻線は、スター接続されている。三相巻線は、デルタ接続されていてもよい。巻線60は、複数の相巻線61、62、63を備える。巻線60は、X相巻線61と、Y相巻線62と、Z相巻線63とを有する。巻線60は、中性点電極64を有する。中性点電極64は、複数の相巻線のための中性点を提供する。巻線60は、複数の出力電極65、66、67を有する。出力電極65、66、67は、巻線60とワイヤハーネス24との間に配置されている。出力電極65、66、67は、回転電機20の入出力端を提供する。複数の相巻線61、62、63のひとつは、複数のブロック31、32、33のひとつによって提供されている。複数の相巻線61、62、63のそれぞれと、複数のブロック31、32、33のそれぞれとは、任意に対応付けることができる。
ひとつの相巻線は、同じ位相を有する複数の単位コイル60uを有する。ひとつの相巻線は、少なくとも一対のエンド線60eを有する。この実施形態におけるひとつの相巻線は、2対、合計4つのエンド線60eを有する。ひとつの相巻線は、複数の連続巻線60a、60bを有する。ひとつの連続巻線は、一対のエンド線60eと、複数の単位コイル60uと、ひとつまたは複数のジャンパ線60jとを有する。
複数の相巻線61、62、63は、互いに相似である。以下、X相巻線61を例に説明する。X相巻線61は、同じ位相を有する6つの単位コイル61uを有する。X相巻線61は、2対、合計4つのエンド線61eを有する。X相巻線61は、2つの連続巻線61a、61bを有する。ひとつの連続巻線は、一対のエンド線60eと、3つの単位コイル61uと、2つのジャンパ線61jとを有する。連続巻線61aと連続巻線61bとは、互いに並列接続されている。2つの連続巻線61a、61bは、出力電極65に接続されている。
巻線60は、複数の接合部68を有する。接合部68は、はんだ付け、抵抗溶接、ヒュージング、TIG溶接、レーザ溶接、など、多様な接続手法によって提供することができる。この実施形態では、巻線60を形成するための素線は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製である。また、中性点電極64および出力電極65、66、67は、鉄系合金製である。接合部68は、電気溶接によって提供することができる。なお、接合部68における接続方法は、巻線60の材質に応じて適宜変更することができる。
図3は、結線前のステータ30を示す。ステータ30は、複数の磁極30aと、これら複数の磁極30aを連結する環状のリング部30bとを備える。磁極30aは、ステータコア40、インシュレータ50、および巻線60によって提供されている。ステータ30は、1番から18番の磁極30aを有する。以下の説明において、磁極30a、ティース部40aまたは単位コイル60uは、番号で特定される場合がある。
図3から図6を参照して理解されるように、1番、4番、7番、10番、13番、16番の磁極30aは、先端ブロック31に属する。これらの磁極30aは、先端ブロック磁極31aとも呼ばれる。よって、先端ブロック31は、複数の先端ブロック磁極31aを有する。複数の先端ブロック磁極31aは、互いに等間隔である。複数の先端ブロック磁極31aは、電気的に同じ相の巻線を提供する。
3番、6番、9番、12番、15番、18番の磁極30aは、内部ブロック32に属する。これらの磁極30aは、内部ブロック磁極32aとも呼ばれる。よって、内部ブロック32は、複数の内部ブロック磁極32aを有する。複数の内部ブロック磁極32aは、互いに等間隔である。内部ブロック磁極32aは、電気的に同じ相の巻線を提供する。
2番、5番、8番、11番、14番、17番の磁極30aは、基端ブロック33に属する。これらの磁極30aは、基端ブロック磁極33aとも呼ばれる。よって、基端ブロック33は、複数の基端ブロック磁極33aを有する。複数の基端ブロック磁極33aは、互いに等間隔である。基端ブロック磁極33aは、電気的に同じ相の巻線を提供する。
図3に戻り、ステータ30は、ステータコア40と、インシュレータ50と、巻線60とを備える。ステータ30は、複数のボルト23を受け入れるための複数の貫通穴23aを有する。ステータ30は、貫通穴23aの周りに、切欠部44を有する。図中には、先端ブロック31の表面が図示されている。
ステータ30は、複数のエンド線60eを有する。この状態では、複数のエンド線60eは、電気的に接続されていない。複数のエンド線60eは、ステータ30の軸方向の両側へ延び出している。これら複数のエンド線60eは、中性点電極64または出力電極65、66、67に接続される。複数のエンド線60eは、ステータ30の一端に向けて曲げられ、さらに、中性点電極64または出力電極65、66、67に接続される。
ステータ30は、複数の単位コイル60uを有する。ひとつの単位コイル60uは、小径部分と、小径部分より直径が大きい大径部分を有する。小径部分は、単位コイル60uの径方向内側部分を占めている。大径部分は、単位コイル60uの径方向外側部分を占めている。小径部分は、1層または数層のコイルによって提供されている。大径部分は、小径部分より少なくとも1層多い多層のコイルによって提供されている。
ステータ30は、複数のジャンパ線60jを有する。複数のジャンパ線60jの大部分は、ステータ30の端面に沿って円弧状に配置されている。複数のジャンパ線60jは、2種類のジャンパ線を有する。すべてのジャンパ線60jは、同相の2つの単位コイル60uの間に延びている。ひとつのジャンパ線は、周方向に沿って1つ目である同相の2つの単位コイル60uの間に延びている。他のひとつのジャンパ線は、周方向に沿って2つ目である同相の2つの単位コイルの間に延びている。しかも、ひとつのジャンパ線60jは、同相の2つの単位コイル60uの間に位置する他相のティースを迂回するように配置されている。
ひとつの先端ジャンパ線61jは、例えば、10番の単位コイルと4番の単位コイルとを連続的に接続している。先端ジャンパ線61jは、先端ブロック31に属する。先端ジャンパ線61jは、ステータ30の一端に配置されている。ひとつの内部ジャンパ線62jは、例えば、9番の単位コイルと6番の単位コイルとを連続的に接続している。内部ジャンパ線62jは、7番のティースを迂回している。内部ジャンパ線62jは、内部ブロック32に属する。内部ジャンパ線62jは、クランク線とも呼ばれる。内部ジャンパ線62jは、ステータ30の一端と他端との両方を経由して配置されている。ひとつの基端ジャンパ線63jは、11番の単位コイルと17番の単位コイルとを連続的に接続している。基端ジャンパ線63jは、基端ブロック33に属する。基端ジャンパ線63jは、ステータ30の他端に配置されている。
ステータ30は、固定部54、55を有する。固定部54は、中性点電極64を固定するための固定座を提供する。中性点電極64は、6つのエンド線60eと接続される複数の端子を有する。固定部55は、出力電極65、66、67を固定するための固定座を提供する。ひとつの出力電極は、2つのエンド線60eと接続される複数の端子と、ワイヤハーネス24の電線と接続されるための端子とを有する。ひとつの出力電極は、例えば、ステータ30を貫通する電極によって提供される。固定部54、55の説明は、特開2017−63541号を参照することができ、その内容は参照によって導入される。
図4は、矢印IVから見たステータ30の側面を示す。複数のティース部40aには、番号が付されている。インシュレータ50は、ステータコア40を軸方向から覆うように、第1カバー50aと、第2カバー50bとによって形成されている。
図5は、結線前のステータ30の斜視図を示す。複数の磁極30aは、周方向に沿って配置されている。複数の磁極30aは、それぞれが径方向外側に面するように配置されている。先端ブロック31、内部ブロック32、および基端ブロック33は、複数の磁極30aを周方向に沿って順に配置するように軸方向に沿って積層的に配置されている。複数の磁極30aは、予め定められた番号順となるように配置される。複数の磁極30aは、周方向に隣接した複数の磁極30aが順に並ぶように、互いに入れ子構造となるように配置されている。
ステータコア40のティース部40aは、径方向外側に露出している。複数のティース部40aは、ティース部41a、42a、43aを有する。これらティース部41a、42a、43aは、周方向に沿って配置されている。ティース部41aは、先端ブロック31に属する。ティース部42aは、内部ブロック32に属する。ティース部43aは、基端ブロック33に属する。ステータコア40のリング部40bは、径方向内側に、すなわちステータ30の中央貫通穴に露出している。リング部40bは、積層的に配置された3つのリング部41b、42b、43bを有する。
図6は、ステータ30を複数のブロック31、32、33に分解した仮想の状態を示している。ステータ30は、複数のブロック31、32、33を有する。複数のブロック31、32、33は、複数のリング部41b、42b、43bにおいて軸方向に互いに積層的に配置されている。複数のブロック31、32、33は、複数のティース部41a、42a、43aにおいて、互いに噛み合うように配置されている。複数のブロック31、32、33は、複数のリング部41b、42b、43bを軸方向に沿って積層的に配置するように噛み合わされている。複数のブロック31、32、33は、複数のティース部41a、42a、43aが周方向に沿って番号順に配置されるように噛み合わされている。
図7は、先端ブロック31を示す斜視図である。先端ブロック31は、コア41と、インシュレータ51と、X相巻線61とを備える。コア41は、複数のティース部41a、および、それら複数のティース部41aを連結するリング部41bを備える。コア41は、さらに、それぞれのティース部41aの径方向内側端に、結合部41cを備える。結合部41cは、ティース部41aよりやや大きい周方向の幅を有する。結合部41cは、他のコア42、43のリング部42b、43bの外周面と対向することにより、磁気的および機械的な結合を提供する。
X相巻線61は、複数の連続巻線61a、61bを有する。第1の連続巻線61aは、13番の磁極、ジャンパ線、7番の磁極、ジャンパ線、および1番の磁極の順で巻かれている。第2の連続巻線61bは、10番の磁極、ジャンパ線、4番の磁極、ジャンパ線、および16番の磁極の順で巻かれている。
複数の先端ジャンパ線61jは、同相の磁極30aのうち、1つの磁極30aを飛ばして位置する2つの磁極30aの間に延びている。つまり、先端ジャンパ線61jは、磁極間角度RDだけ離れた2つの磁極30aの間に延びている。磁極間角度RDは、3つの同相の磁極30aの間隔に相当する。角度RDは、二倍角とも呼ばれる。具体的には、磁極間角度RDは、120度である。X相巻線61は、磁極間角度RDで、複数の磁極31aに巻かれている。この結果、先端ジャンパ線61jの周方向の長さは、隣接する2つの同相の磁極30aにわたってジャンパ線を配置する場合より、長い。比較的長い先端ジャンパ線61jは、後述の内部ジャンパ線62jの長さとの差を抑制するために貢献する。比較的長い先端ジャンパ線61jは、先端ジャンパ線61jと内部ジャンパ線62jとの抵抗成分の差、および誘導成分の差を抑制するために貢献する。
第1の連続巻線61aは、3つの磁極30aにわたって巻かれている。第1の連続巻線61aは、2×RDの範囲にわたって巻かれている。2×RDは、先端ブロック31の角度範囲の2/3を占める。第2の連続巻線61bは、3つの磁極30aにわたって巻かれている。第2の連続巻線61bは、2×RDの範囲にわたって巻かれている。2×RDは、先端ブロック31の角度範囲の2/3を占める。この結果、第1の連続巻線61aと第2の連続巻線61aとは、先端ブロック31の周方向において互いに重複する。
先端ジャンパ線61jのすべては、先端ブロック31の一端の上に配置されている。よって、複数の先端ジャンパ線61jのすべては、ステータ30の端面の上に配置されている。複数の先端ジャンパ線61jは、円弧状に形成されている。複数のティース部41aは、径方向に延びている。複数のティース部41aは、径方向に広がる仮想の環状範囲R31を提供している。複数の先端ジャンパ線61jは、この環状範囲R31の中に配置されている。
複数の先端ジャンパ線61jは、複数の単位コイル61uに接するように配置されている。よって、複数の先端ジャンパ線61jは、軸方向におけるステータ30の高さを抑制するように配置されている。複数の先端ジャンパ線61jは、単位コイル61uの径方向内側範囲を経由する。このため、単位コイル61uにおける小径部分に配置されている。よって、複数の先端ジャンパ線61jは、軸方向におけるステータ30の高さを抑制するように配置されている。
図8は、2つのブロック31、33の間に配置された内部ブロック32を示す斜視図である。内部ブロック32は、コア42と、インシュレータ52と、Y相巻線62とを備える。コア42は、複数のティース部42a、および、それら複数のティース部42aを連結するリング部42bを備える。コア42は、さらに、それぞれのティース部42aの径方向内側端に、結合部42cを備える。結合部42cは、ティース部42aよりやや大きい周方向の幅を有する。結合部42cは、他のコア41、43のリング部41b、43bの外周面と対向することにより、磁気的および機械的な連結を提供する。
Y相巻線62は、複数の連続巻線62a、62bを有する。第1の連続巻線62aは、12番の磁極、ジャンパ線、9番の磁極、ジャンパ線、および6番の磁極の順で巻かれている。第2の連続巻線62bは、3番の磁極、ジャンパ線、18番の磁極、ジャンパ線、および15番の磁極の順で巻かれている。
複数の内部ジャンパ線62jは、同相の磁極30aのうち、1つ目に位置する2つの磁極30aの間に延びている。内部ジャンパ線62jは、内部ブロック32において隣接する2つの磁極32aの間に延びている。つまり、内部ジャンパ線62jは、磁極間角度RSだけ離れた2つの磁極30aの間に延びている。磁極間角度RSは、2つの同相の磁極30aの間隔に相当する。磁極間角度RSは、単角とも呼ばれる。具体的には、磁極間角度RDは、60度である。Y相巻線62は、磁極間角度RSで、複数の磁極32aに巻かれている。
内部ジャンパ線62jは、2つの磁極30aの間において、クランク形である。内部ジャンパ線62jは、ステータ30の側面から径方向に見て、クランク形である。クランク形と呼べる部分は、コイル巻線方向に沿ってクランク形に形成されている部分を含む。これにより、単位コイル62uの緩みが抑制される。内部ジャンパ線62jは、同相の2つの磁極30aの間に位置する他相の2つの磁極30aを順に迂回するように配置されている。この結果、内部ジャンパ線62jの周方向の長さは、隣接する2つの同相の磁極30aにわたってジャンパ線を配置する場合より、長い。
第1の連続巻線62aは、3つの磁極30aにわたって巻かれている。第1の連続巻線62aは、2×RSの範囲にわたって巻かれている。2×RSは、内部ブロック32の角度範囲の1/3を占める。第2の連続巻線62bは、3つの磁極30aにわたって巻かれている。第2の連続巻線62bは、2×RSの範囲にわたって巻かれている。2×RSは、内部ブロック32の角度範囲の1/3を占める。この結果、第1の連続巻線62aと第2の連続巻線62bとは、内部ブロック32の周方向において互いに重複しない。
複数の内部ジャンパ線62jのすべては、内部ブロック32の両端の上と、2つの磁極30aの間とを経由するように配置されている。よって、複数の内部ジャンパ線62jのすべては、クランク形である。複数の内部ジャンパ線62jは、円弧状に形成されている。複数のティース部41aは、径方向内側における根元部分に、仮想の環状範囲R32を提供している。複数の内部ジャンパ線62jは、この環状範囲R32の中に配置されている。
複数の内部ジャンパ線62jは、複数の単位コイル62uに接するように配置されている。よって、複数の内部ジャンパ線62jは、軸方向におけるステータ30の高さを抑制するように配置されている。複数の内部ジャンパ線62jは、単位コイル62uの径方向内側範囲を経由する。このため、単位コイル62uにおける小径部分に配置されている。よって、複数のジャンパ線62jは、軸方向におけるステータ30の高さを抑制するように配置されている。
図9は、基端ブロック33を示す斜視図である。基端ブロック33は、コア43と、インシュレータ53と、Z相巻線63とを備える。コア43は、複数のティース部43a、および、それら複数のティース部43aを連結するリング部43bを備える。コア43は、さらに、それぞれのティース部43aの径方向内側端に、結合部43cを備える。結合部43cは、ティース部43aよりやや大きい周方向の幅を有する。結合部43cは、他のコア41、42のリング部41b、42bの外周面と対向することにより、磁気的および機械的な連結を提供する。
Z相巻線63は、複数の連続巻線63a、63bを有する。第1の連続巻線63aは、11番の磁極、ジャンパ線、17番の磁極、ジャンパ線、および5番の磁極の順で巻かれている。第2の連続巻線63bは、14番の磁極、ジャンパ線、2番の磁極、ジャンパ線、および8番の磁極の順で巻かれている。
複数の基端ジャンパ線63jは、同相の磁極30aのうち、1つを飛ばした2つ目に位置する2つの磁極30aの間に延びている。つまり、基端ジャンパ線63jは、磁極間角度RDだけ離れた2つの磁極30aの間に延びている。基端ジャンパ線63jの周方向の長さは、隣接する2つの同相の磁極30aにわたってジャンパ線を配置する場合より、長い。比較的長い基端ジャンパ線63jは、内部ジャンパ線62jの長さとの差を抑制するために貢献する。比較的長い基端ジャンパ線63jは、基端ジャンパ線63jと内部ジャンパ線62jとの抵抗成分の差、および誘導成分の差を抑制するために貢献する。
第1の連続巻線63aは、3つの磁極30aにわたって巻かれている。第2の連続巻線63bは、3つの磁極30aにわたって巻かれている。第1の連続巻線63aと第2の連続巻線63bとは、基端ブロック33の周方向において互いに重複する。
複数の基端ジャンパ線63jのすべては、基端ブロック33の他端の上に配置されている。よって、複数の基端ジャンパ線63jのすべては、ステータ30の端面の上に配置されている。複数の基端ジャンパ線63jは、円弧状に形成されている。複数のティース部43aは、径方向に広がる仮想の環状範囲R33を提供している。複数の基端ジャンパ線63jは、この環状範囲R33の中に配置されている。
複数の基端ジャンパ線63jは、複数の単位コイル63uに接するように配置されている。よって、複数の基端ジャンパ線63jは、軸方向におけるステータ30の高さを抑制するように配置されている。複数の基端ジャンパ線63jは、単位コイル63uの径方向内側範囲を経由する。このため、単位コイル63uにおける小径部分に配置されている。よって、複数の基端ジャンパ線63jは、軸方向におけるステータ30の高さを抑制するように配置されている。
先端ブロック31または基端ブロック33を含む端部ブロックは、磁極間角度RDを有する。端部ブロックの磁極間角度RDは、内部ブロック32の磁極間角度RSより大きい。磁極間角度RDと磁極間角度RSとの差は、相巻線の間における抵抗成分の差、および/または誘導成分の差を抑制するために貢献する。
図10は、回転電機20の製造方法を示している。回転電機の製造方法190は、部品を製造する部品工程191と、ロータ26とステータ30とをエンジンの上において組み立てる組立工程194とを有する。部品工程191は、ロータ26を製造するロータ工程192と、ステータ30を製造するステータ工程193とを有する。ロータ工程192とステータ工程193とは、並行的に、または順に実施することができる。
図11は、ステータ工程193の詳細を示す。ステータ工程193は、複数のブロック31、32、33を製造するブロック工程195を有する。ステータ工程193は、組立工程196と、結線工程197とを備える。組立工程196は、ブロック工程195によって製造された複数のブロック31、32、33を、ステータ30に組み立てる。ここでは、複数のブロック31、32、33を、軸方向に互いに噛み合わせる。特に、内部ブロック32の軸方向両側に、先端ブロック31および基端ブロック33が噛み合わせられる。組立工程196は、先端ブロック磁極31a、基端ブロック磁極33a、および内部ブロック磁極32aを周方向に沿って配置する。組立工程196は、先端ブロック31を軸方向の一端に配置し、基端ブロック33を軸方向の他端に配置し、内部ブロック32を先端ブロック31と基端ブロック33との間に配置する。結線工程197は、ステータ30の複数のエンド線60eを巻線60として結線する。
ブロック工程195は、先端ブロック31および基端ブロック33を製造する端部ブロック工程195a−195dを有する。ブロック工程195は、内部ブロック32を製造する内部ブロック工程195e−195iを有する。端部ブロック工程195a−195dと内部ブロック工程195e−195iとは、並行的に、または順に実施することができる。
ステップ195aでは、先端コア41および基端コア43を製造する。ステップ195aでは、先端コア41および基端コア43にインシュレータ51、53を装着する。ステップ195bでは、先端コア41および基端コア43に相巻線を巻く。
ステップ195bの巻線工程では、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の素線が集中巻きによって巻かれる。先端コア41および基端コア43は、ステータ30の1/3の磁極30aを備えており、磁極30a間の距離が広い。このため、巻線工程を比較的容易に実行することができる。特に、比較的太く曲がりにくために、一般には巻きにくい素線を比較的容易に巻くことができる。別の観点では、単位コイルの大きさ、占積率、および/またはターン数を大きくすることができる。
ステップ195cでは、先端ジャンパ線61jおよび基端ジャンパ線63jを規定の位置に配置する。ステップ195cは、複数の単位コイル61uにわたる先端ジャンパ線61jを先端ブロック31の先端面に配置する工程を提供する。ステップ195cは、複数の単位コイル63uにわたる基端ジャンパ線63jを基端ブロック33の基端面に配置する工程を提供する。ステップ195cは、1つの磁極を飛ばして位置する2つの先端ブロック磁極31aの間にわたって先端ジャンパ線61jを配置する工程を提供する。ステップ195cは、1つの磁極を飛ばして位置する2つの基端ブロック磁極33aの間にわたって基端ジャンパ線63jを配置する工程を提供する。このステップでは、先端ジャンパ線61jおよび基端ジャンパ線63jを円弧状に成形する。ステップ195cは、ステップ195bの中で実行される。ステップ195dでは、インシュレータ51、53の接続部を除去する。接続部は、製造方法において、インシュレータ51、53の複数の部分を互いに連結し、一体物として取り扱うことを可能とする。こうして、先端ブロック31および基端ブロック33が製造される。
図12および図14は、先端コア41および基端コア43の分解状態を模式的に示している。複数のコアシートは、リング部41b、43bと、ティース部41a、43aとを提供する複数のコアシート41e、43eを有する。さらに、複数のコアシートは、ティース部41a、43aだけを提供するコアシート41f、43fを有する。複数のコアシートの間には、接着剤45(ADH)が配置されている。複数のコアシート41e、43e、41f、43fが接着されることにより、複数のコアシート41e、43e、41f、43fの変形が抑制される。特に、接着は、径方向外側における複数のコアシート41e、43e、41f、43fの剥がれを抑制する。
先端コア41および基端コア43には、インシュレータ51、53が装着される。インシュレータ51、53は、先端コア41および基端コア43の軸方向から装着される第1カバー51a、53aと、第2カバー51b、53bとによって提供される。ひとつのカバー51b、53aは、複数のティース部41a、43aを覆う部分を提供する。カバー51b、53aは、製造段階において複数の部分を連結している接続部51c、53cを備える。接続部51c、53cは、製造段階において切除される。
図11に戻り、ステップ195eでは、内部コア42を製造する。ステップ195eでは、内部コア42にインシュレータ52を装着する。ステップ195fでは、内部コア42に相巻線を巻く。ステップ195fは、内部ブロック32の巻線62における複数の単位コイル62uを同じ巻方向で巻く工程を提供する。ステップ195gでは、クランク形の内部ジャンパ線62jを成形するための所要の長さをもつ素線を、内部ブロック32の上で引き出す。引き出された素線は、未完成の中間体とも呼ばれる。ステップ195hでは、ステップ195gで引き出された素線をクランク形に成形する。ステップ195hは、複数の単位コイル62uにわたる内部ジャンパ線62jを、先端ブロック磁極31aおよび/または基端ブロック磁極33aを迂回するようにクランク形に成形する成形工程を提供する。ステップ195hは、隣接する2つの内部ブロック磁極32aの間にわたって内部ジャンパ線62jを配置する工程を提供する。ステップ195hは、内部ジャンパ線62jを一端または他端に向けて開いたU字形に成形する工程を提供する。ステップ195iでは、インシュレータ52の接続部を除去する。接続部は、製造方法において、インシュレータ52の複数の部分を互いに連結し、一体物として取り扱うことを可能とする。こうして、内部ブロック32が製造される。
図13は、内部コア42の分解状態を模式的に示している。複数のコアシートは、リング部42bと、ティース部42aとを提供する複数のコアシート42eを有する。さらに、複数のコアシートは、ティース部42aだけを提供するコアシート42fを有する。複数のコアシートの間には、接着剤45(ADH)が配置されている。複数のコアシート42e、42fが接着されることにより、複数のコアシート42e、42fの変形が抑制される。特に、接着は、径方向外側における複数のコアシート42e、42fの剥がれを抑制する。
内部コア42には、インシュレータ52が装着される。インシュレータ52は、内部コア42の軸方向から装着される第1カバー52aと、第2カバー52bとによって提供される。カバー52a、52bは、製造段階において複数の部分を連結している接続部52cを備える。接続部52cは、製造段階において切除される。
複数のコアシートは、コアシートを部分的に変形させるかしめ固定によって固定されてもよい。また、複数のコアシートは、ティース部を軸方向に貫通するリベットによるリベット固定によって固定されてもよい。これら多様な固定手法は、接着に代替して、または、接着に追加して使用することができる。
図15は、ステップ195gにおいて、素線によって中間体を形成するための形成工程を示す。形成工程では、比較的長い内部ジャンパ線62jを形成するための工程でもある。図中には、内部ブロック32のうち、第1の連続巻線62aに関連する6番、9番、12番の3つの内部ブロック磁極32aが図示されている。さらに、インシュレータ52を提供する接続部52cが図示されている。
保持工程では、製造装置70によって、素線の中間体69が引き出される。製造装置70は、ひとつの単位コイル62uを巻き終えると、ホルダ70aによって素線を抑える。製造装置70は、ホルダ70aから素線を引き出す。製造装置70は、フック70bに掛けるように素線を引き回し、次の磁極30aに素線を巻く。フック70bは、軸方向に関して内部ブロック32から所定の距離だけ離れている。素線は、フック70bを経由するように引き出される。この結果、フック70bを経由する長い素線は、中間体69を提供する。
図16は、ステップ195hにおいて、中間体69をクランク形に成形するための成形工程を示す。製造装置70は、成形型70c、70d、70e、70f、70gを有する。製造装置70は、これら成形型を利用して、中間体69をクランク形に成形する。この結果、クランク形の内部ジャンパ線62jが提供される。中間ブロック32に設けられる複数の内部ジャンパ線62jは、すべてクランク形である。
図17は、内部ブロック32の製造後の形状が示されている。接続部52cは、除去されている。内部ジャンパ線62jは、2つの単位コイル62uの間を架橋するように配置されている。内部ジャンパ線62jは、複数の部分(1)〜(9)を有する。
(1)内部ジャンパ線62jは、先に巻かれる単位コイル62u1から、ステータ30の一端に沿って延び出す第1の周方向延在部71を有する。図示の例では、第1の周方向延在部71は、円弧状である。第1の周方向延在部71は、12番の磁極から延び出している。第1の周方向延在部71は、基端ブロック磁極33aの一端に沿って延びている。
(2)内部ジャンパ線62jは、第1の周方向延在部71から先端ブロック磁極31aと基端ブロック磁極33aとの間に向けて曲がる曲がり部72を有する。
(3)内部ジャンパ線62jは、先端ブロック磁極31aと基端ブロック磁極33aとの間を軸方向に延びる第1の軸方向延在部73を有する。第1の軸方向延在部73は、クランク形の一部を提供する。内部ジャンパ線62jは、この第1の軸方向延在部73において、先端ブロック磁極31aと基端ブロック磁極33aとの間を経由している。
(4)内部ジャンパ線62jは、第1の軸方向延在部73から、ステータ30の他端に沿うように曲がる曲がり部74を有する。曲がり部74は、次に巻かれる単位コイル62u2へ向けて曲がっている。
(5)内部ジャンパ線62jは、ステータ30の他端に沿って延びる第2の周方向延在部75を有する。第2の周方向延在部75は、円弧状である。第2の周方向延在部75は、先端ブロック磁極31aの他端に沿って延びている。
(6)内部ジャンパ線62jは、第2の周方向延在部75から先端ブロック磁極31aと、内部ブロック磁極32aとの間に向けて曲がる曲がり部76を有する。
(7)内部ジャンパ線62jは、先端ブロック磁極31aと、内部ブロック磁極32aとの間を軸方向に延びる第2の軸方向延在部77を有する。第2の軸方向延在部77は、クランク形の一部を提供する。内部ジャンパ線62jは、この第2の軸方向延在部77において、先端ブロック磁極31aと内部ブロック磁極32aとの間を経由している。先端ブロック31と基端ブロック33との組み合わせ位置に対応して、内部ジャンパ線62jは、この第2の軸方向延在部77において、基端ブロック磁極33aと内部ブロック磁極32aとの間を経由する場合がある。
(8)内部ジャンパ線62jは、第2の軸方向延在部77から、ステータ30の一端に沿うように曲がる曲がり部78を有する。曲がり部78は、次に巻かれる単位コイル62u2へ向けて曲がっている。
(9)内部ジャンパ線62jは、曲がり部78から、次に巻かれる単位コイル62u2へ到達する第3の周方向延在部79を有する。第3の端部は、円弧状である。図示の例では、第3の周方向延在部79は、9番の磁極に到達している。
内部ジャンパ線62jは、先に巻かれる単位コイル62u1と後に巻かれる単位コイル62u2との間を連続して接続している。図示の例では、単位コイル62u1の巻方向と単位コイル62u2の巻方向とが同じである。単位コイル62u1の巻方向と単位コイル62u2の巻方向とが逆であっても、内部ジャンパ線62jは、少なくともひとつの軸方向延在部73、77を有する。
先端ブロック31および基端ブロック33は、それぞれが、内部ブロック32の両端から組み合わせられる。このため、内部ブロック32の内部ジャンパ線62jは、先端ブロック磁極31aおよび基端ブロック磁極33aを迂回するために、軸方向延在部73、77を要する。言い換えると、内部ジャンパ線62jは、先端ブロック磁極31aおよび基端ブロック磁極33aを迂回するために、クランク形に形成される。
連続巻線62a、62bの内部ジャンパ線62jは、主としてステータ30の一端に配置されている。内部ジャンパ線62jは、ステータ30の一端に位置する先端ブロック磁極31aを迂回するために、迂回部を有する。迂回部は、軸方向延在部73、曲がり部74、第2の周方向延在部75、曲がり部76、および第2の軸方向延在部77を含む。このように、クランク形のジャンパ線62jは、U字形の迂回部を有している。U字形の迂回部は、一端に向けて開いたU字形である。
代替的に、連続巻線62a、62bのジャンパ線62jは、主としてステータ30の他端に配置することができる。この場合、内部ジャンパ線62jは、他端から端部ブロック磁極33aを迂回するように配置されたU字形の迂回部を有する場合がある。さらに、連続巻線62aの内部ジャンパ線62jと、連続巻線62bの内部ジャンパ線62jとを、ステータ30の一端と他端とに分散的に配置してもよい。
このように、内部ジャンパ線62jは、先端ブロック磁極31aおよび基端ブロック磁極33aを含む端部ブロック磁極を迂回するように配置されたクランク形である。これにより、複数のジャンパ線と、複数のブロックとの間における干渉が抑制される。さらに、複数のジャンパ線が、ステータの一端および他端の上に分散的に配置される。さらに、内部ジャンパ線62jは、U字形の迂回部を備えるように成形される。U字形の迂回部は、一端または他端に向けて開いている。これにより、内部ジャンパ線62jは、先端ブロック31および基端ブロック33を含む端部ブロックを迂回する。これにより、巻線方向を変更する必要がない。よって、端部から噛み合わせられる先端ブロック磁極31aまたは基端ブロック磁極33aを迂回する内部ジャンパ線62jが提供される。
図18は、複数のブロック31、32、33の噛合せを示す側面図である。この図には、6番から14番の磁極が図示されている。図示されるように、内部ジャンパ線62jは、先端ブロック磁極31aおよび基端ブロック磁極33aを迂回するように配置されている。図示されている内部ジャンパ線62jは、11番の磁極と、10番の磁極とを、12番の磁極と、9番の磁極との間に位置づけることを可能とするように成形されている。
図19は、インシュレータ50が提供する巻線60のためのボビンの形状を示している。図19は、10番の磁極における形状を示している。インシュレータ50は、単位コイル61uが配置されたコイルボビン56を有する。コイルボビン56は、ティース部41aの径方向外側を占めている。インシュレータ50は、さらに、内部ジャンパ線62jが保持されたジャンパボビン57を有する。ジャンパボビン57は、コイルボビン56より径方向内側に配置されている。インシュレータ50は、コイルボビン56とジャンパボビン57との間に、外フランジ58を有する。外フランジ58は、コイルボビン56とジャンパボビン57とを区画する。外フランジ58は、単位コイル61uが巻かれた後も、ジャンパ線62jを収容する位置を提供するために貢献する。コイルボビン56は、すべての磁極30aに形成されている。ジャンパボビン57は、すべての磁極30aに形成されている。ジャンパボビン57は、軸方向延在部73、77と接することがある磁極30aだけに形成されていてもよい。
図11に戻り、ブロック工程195は、単位コイル60uが巻かれるコイルボビン56と、内部ジャンパ線62jが保持されるジャンパボビン57とをインシュレータ50に成形する工程を備える。ジャンパボビン57は、コイルボビン56が成形された後に成形されてもよい。例えば、ジャンパボビン57は、内部ジャンパ線62jとの接触によって成形されてもよい。
図20は、複数のブロック31、32、33を組み合わせた状態を示している。内部ジャンパ線62jは、ジャンパボビン57の中に配置されている。ジャンパボビン57は、内部ジャンパ線62jを安定的に保持する。ジャンパボビン57は、必ずしもすべての磁極において内部ジャンパ線62jが挿入されるわけではない。使用されないジャンパボビン62jは、単位コイル60uの巻始め線を収容してもよい。この場合当該単位コイル60uにおいては巻数を増やすことができる。また、同様に単位コイル60uの巻終り線を収容しても良い。この場合特に固定部へ巻終り線を這いまわす際に他のジャンパ線をまたがなくても良いのでコイルの高さを減らすことができる。
複数のコア41、42、43は、複数のリング部41b、42b、43bにおいて、軸方向に積層的に配置されている。複数のコア41、42、43は、複数のリング部41b、42b、43bにおいて、磁気的にかつ機械的に密に結合している。複数のコア41、42、43のそれぞれは、所属する複数のティース部と、所属するリング部との間で、磁気的にかつ機械的に連続している。さらに、複数のコア41、42、43は、それぞれの結合部41c、42c、43cにおいて、磁気的にかつ機械的に結合している。
例えば、結合部41cは、リング部42bおよびリング部43bに対して径方向に対向することにより、磁気的に結合している。例えば、結合部42cは、リング部41bおよびリング部43bに対して径方向に対向することにより、磁気的に結合している。また、結合部43cは、リング部41bおよびリング部42bに対して径方向に対向することにより、磁気的に結合している。さらに、複数の結合部41c、42c、43cは、周方向に関して互いに対向することにより、磁気的に結合している。
複数の結合部41c、42c、43cと、他のリング部41b、42b、43bとの間には、径方向における隙間46が形成されている。複数の結合部41c、42c、43cと、他のリング部41b、42b、43bとは、部分的に接触していてもよい。複数の結合部41c、42c、43cと、他のリング部41b、42b、43bとは、隙間46において互いに離れている。隙間46は、機械的に緩い結合をもたらす。隙間46は、接着剤または巻線60を固定するための樹脂によって満たされていてもよい。隙間46が提供する緩い結合は、ステータ30の振動周波数の変化をもたらす。よって、ステータ30におけるジャンパ線60jと、他の部分との間の共振が抑制される場合がある。さらに、緩い結合は、回転電機20としての振動周波数にも変化をもたらす。よって、ロータ26とステータ30との間の共振、またはエンジンと回転電機20との共振が抑制される場合がある。
以上に述べた実施形態では、先端ブロック31の先端ジャンパ線61jは、ステータ30の一端に配置される。基端ブロック33の基端ジャンパ線63jは、ステータ30の他端に配置される。さらに、内部ブロック32の内部ジャンパ線62jは、先端ブロック磁極31aおよび/または基端ブロック磁極33aを迂回するようにクランク形に配置される。このため、複数のジャンパ線61j、62j、63jと、複数のブロック31、32、33との間における干渉が抑制される。さらに、複数のジャンパ線61j、62j、63jがステータ30の一端および他端の上に分散的に配置される。このため、ステータ30の体格の大型化が抑制される。さらに、内部ジャンパ線62jをクランク形に配置するだけの簡単な構成で、小型のステータ30が形成される。
内部ジャンパ線62jは、ステータ30の一端または他端から端部ブロック磁極を迂回するように配置されたU字形の迂回部を有する場合がある。この場合、単位コイル62uの巻方向を変える必要がない。このため、巻線工程が高速に実行される。
内部ジャンパ線62jは、内部ブロック32において、隣接する2つの内部ブロック磁極32aの間に延びている。内部ジャンパ線62jは、クランク形であるから、同相における隣接する2つの磁極30aの間の距離より長い。先端ジャンパ線61jは、先端ブロック31において、1つの先端ブロック磁極31aを飛ばして位置する2つの先端ブロック磁極31aの間に延びている。このため、内部ジャンパ線62jの長さと、先端ジャンパ線61jの長さとの差が抑制される。基端ジャンパ線63jは、基端ブロック33において、1つの基端ブロック磁極33aを飛ばして位置する2つの基端ブロック磁極33aの間に延びている。このため、内部ジャンパ線62jの長さと、基端ジャンパ線63jの長さとの差が抑制される。これにより、相巻線の間における抵抗成分の差、および/または誘導成分の差が抑制される。
インシュレータ50は、コイルボビン56と、ジャンパボビン57とを提供する。ジャンパボビン57は、ジャンパ線62jの形状、およびステータ30における位置を安定化する。ジャンパボビン57は、ジャンパ線62jを安定的に保持するために貢献する。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ひとつの相巻線は、2つの連続巻線を有する。例えば、X相巻線61は、2つの連続巻線61a、61bを有する。ひとつの相巻線は、2つ以上複数の連続巻線を備えることができる。この実施形態では、ひとつの相巻線は、3つの連続巻線261a、261b、261cを有する。
図21において、X相巻線61が図示されている。他の相巻線も同様である。X相巻線61は、3つの連続巻線261a、261b、261cを有する。ひとつの連続巻線は、2つの単位コイル61uを有する。例えば、連続巻線261aは、2つの単位コイル61uと、2つのエンド線60eと、ひとつの先端ジャンパ線61jとを有する。この連続巻線261aは、2つの単位コイル61uにわたって巻かれた連続線によって提供されている。
連続巻線261bと連続巻線261cとは、並列接続されている。この並列回路は、中性点電極64に接続されている。連続巻線261aは、連続巻線261bと連続巻線261cとの並列回路に対して直列に接続されている。連続巻線261aは、出力電極65に接続されている。連続巻線261aは、出力電極65と、上記並列回路との間に配置されている。
3つの連続巻線の間には、これらを直列に接続する相内接合部261pが設けられている。相内接合部261pは、素線間の直接的な接続、または電極によって提供することができる。この実施形態でも、ひとつの相巻線は、複数の接合部68を有する。
この実施形態によると、先行する実施形態とは異なる回路が得られる。異なる回路は、異なる出力特性を示す。よって、求められる出力特性に適合するように、複数の単位コイル61uの電気的な接続関係を調節できる。ひとつの連続巻線は、複数の単位コイルを備えることができる。さらに、複数の連続巻線に含まれる単位コイルの数は、ひとつの相巻線に属する複数の連続巻線の間で異なっていてもよい。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、インシュレータ50は、接続部51c、52c、53cを有する。これに代えて、複数の磁極30aごとに独立のボビンを形成してもよい。また、上記実施形態では、製造方法において、内部ジャンパ線62jの中間体69を製造するために、ホルダ70aを使って素線を押さえている。これに代えて、製造装置70は、素線を引っ掛けてもよい。
図22において、内部ブロック32は、複数の磁極32aのそれぞれにおいて組み立てられたインシュレータ52を有する。インシュレータ52は、複数の磁極32aのそれぞれにおいて、ボビン352e、352f、352fを提供している。これらボビン352e、352f、352fは、製造段階において互いに連結されることがない。これらボビン352e、352f、352fは、複数の磁極32aのそれぞれにおいて、他から独立して組み立てられている。よって、この実施形態によると、接続部を除去する工程なしで、ステータ30を製造することができる。
さらに、製造装置70は、フック370hを備える。フック370hは、第1の連続巻線62aを形成するための巻線工程の中における内部ジャンパ線62jを形成するための中間段階で使用される。フック370hは、素線を引っ掛けることによって、素線を保持することができる。製造装置70は、フック370hは、例えば、12番のティースへの巻線を完了した後に、素線を引っ掛ける。フック370hは、中間体69を形成するために使用される。
この実施形態によると、素線をフック370hに引っ掛けることによって、中間体69を製造することができる。中間体69は、例えば、12番のティースに巻線するための素線の移動範囲を、巻線を完了した後に、フック370hと、フック70bとを経由するように変更することによって製造される。よって、中間体69は、巻線工程における素線の移動範囲を変えるだけで製造することができる。
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上記実施形態は、電動機または発電機として機能することができる電動発電機を提供する。これに代えて、この開示は、電動機または発電機を提供してもよい。また、ステータ30が提供する磁極30aの数は、18に限られない。磁極30aの数は、求められる性能に応じて12、24などに設定することができる。同様に、ロータ26の磁極数も任意に設定することができる。例えば、三相である場合は、3n(nは自然数)とすることができる。さらに、ロータ26の磁極数に対応して、隣接するステータ30のティースの角度を、適宜変更し、互いに等間隔としなくても良い。さらに、ロータ26の磁極数とステータ30の磁極数とは、変則的に対応付けられてもよく、例えば、16P−18Sといった設定も可能である。
上記実施形態は、3つのブロック31、32、33を備えるステータ30を提供する。これに代えて、この開示は、3、4、5など、3以上のブロックを備えるステータ30を提供してもよい。例えば、ステータ30が4つのブロックを備える場合、先端ブロックと、2つの内部ブロックと、基端ブロックとが積層的に配置される。さらに、例えば、内部ブロック32は、3つの磁極30aを含む第1ブロックと、3つの磁極30aを含む第2ブロックとを備えていてもよい。ブロックの数は、巻線作業の容易さ、ジャンパ線60jの成形作業の容易さに応じて設定される。
上記実施形態では、製造装置70によって中間体69をクランク形に成形している。これに代えて、中間体69は、先端ブロック磁極31aおよび基端ブロック磁極33aによってクランク形に成形されてもよい。また、中間体69は、ジャンパボビン57によって成形されてもよい。いずれにおいても、中間体69は、先端ブロック磁極31aおよび基端ブロック磁極33aを迂回するようにクランク形の内部ジャンパ線62jに成形される。
上記実施形態では、リング部41b、42b、43bと結合部41c、42c、43cとの間における隙間46が、緩い結合を提供している。これに代えて、リング部41b、42b、43bと結合部41c、42c、43cとを圧入によって接触させ、堅い結合を提供してもよい。また、リング部41b、42b、43bと結合部41c、42c、43cとを、接着剤または溶接など接合手段を用いて接合してもよい。
上記実施形態では、先端ブロック31と基端ブロック33とを軸方向に関して対称的に構成している。これに代えて、先端ブロック31および基端ブロック33によって提供される2つの端部ブロックは、それぞれ異なる構成をもつことができる。例えば、先端ブロック31だけを磁極間距離RDとして、基端ブロック33は、磁極間距離RSとしてもよい。例えば、内部ジャンパ線62jが配置する位置だけにジャンパボビン57を配置してもよい。例えば、2つの端部ブロックの一方だけ(先端ブロック31)にジャンパボビン57を形成してもよい。
上記実施形態では、厚さT41、T42、T43は、等しくない。これに代えて、厚さT41、T42、T43は、互いに等しくてもよい。複数の単位コイル60uは、相毎に直列のみで接続されていてもよい。複数の単位コイル60uは、相毎に並列のみで接続されていてもよい。並列接続されている単位コイル60uの数は成立可能な範囲で任意である。上記実施形態では、素線は、アルミ系の金属によって提供されている。これに代えて、銅系の金属など巻線として利用できる多様な材料によって提供されてもよい。