JPWO2019131797A1 - 生物付着防止塗料 - Google Patents
生物付着防止塗料 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2019131797A1 JPWO2019131797A1 JP2019562127A JP2019562127A JPWO2019131797A1 JP WO2019131797 A1 JPWO2019131797 A1 JP WO2019131797A1 JP 2019562127 A JP2019562127 A JP 2019562127A JP 2019562127 A JP2019562127 A JP 2019562127A JP WO2019131797 A1 JPWO2019131797 A1 JP WO2019131797A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- coating film
- fluorine
- paint
- containing polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D127/00—Coating compositions based on homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen; Coating compositions based on derivatives of such polymers
- C09D127/02—Coating compositions based on homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen; Coating compositions based on derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
- C09D127/12—Coating compositions based on homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen; Coating compositions based on derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment containing fluorine atoms
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D5/00—Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
- C09D5/02—Emulsion paints including aerosols
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09D—COATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
- C09D7/00—Features of coating compositions, not provided for in group C09D5/00; Processes for incorporating ingredients in coating compositions
- C09D7/40—Additives
- C09D7/60—Additives non-macromolecular
- C09D7/63—Additives non-macromolecular organic
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
Abstract
生物付着防止性に優れた塗膜を形成できる生物付着防止塗料の提供。含フッ素重合体と、酸発生剤及び塩基発生剤から選択される添加剤の少なくとも一種を含むことを特徴とする、生物付着防止塗料。
Description
本発明は、生物付着防止塗料に関する。
種々の基材に耐候性を付与するために、フッ素系塗料が用いられている。フッ素系塗料としては、フルオロオレフィンに基づく単位と、ビニルエーテルに基づく単位と、を含む含フッ素重合体が開示されている(特許文献1参照)。
近年、臨海設備や船舶の船底部といった、厳しい環境下に曝され続ける構造物において、生物(特に、貝類や藻類)の付着による汚染の抑制が求められている。このような構造物は、同時に耐候性も求められるため、フッ素系塗料の適用が特に期待されている。
しかしながら、本発明者らが引用文献1に記載のフッ素系塗料を用いて塗膜を形成した結果、得られた塗膜は、生物の付着を充分に防止できないことを知見した。
しかしながら、本発明者らが引用文献1に記載のフッ素系塗料を用いて塗膜を形成した結果、得られた塗膜は、生物の付着を充分に防止できないことを知見した。
本発明は、上記課題に鑑みて、生物付着防止性に優れた塗膜を形成できる生物付着防止塗料の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、含フッ素重合体と、酸発生剤及び塩基発生剤から選択される添加剤の少なくとも一種を含む塗料であれば、所望の効果が得られるのを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の態様により上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、以下の態様により上記課題が解決できることを見出した。
[1]含フッ素重合体と、酸発生剤及び塩基発生剤から選択される添加剤の少なくとも一種を含むことを特徴とする生物付着防止塗料。
[2]前記含フッ素重合体の100質量部に対して、前記添加剤の少なくとも一種を0.01〜30質量部含む前記[1]の塗料。
[3]前記添加剤が、フェニル基、アリーレン基、フリル基、及びトリアジリル基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物である前記[1]又は[2]の塗料。
[4]前記添加剤が、光の吸収ピークを有し、かつ該ピークのうち、ピークトップに該当する波長λMAXを有する光の照射により分解して酸又は塩基を発生する前記[1]〜[3]のいずれかの生物付着防止塗料。
[5]前記波長λMAXが、150〜500nmである前記[4]の塗料。
[6]前記添加剤の分子量が、100〜1,000である前記[1]〜[5]の塗料。
[7]含フッ素重合体と、前記添加剤の2種以上を含み、該2種以上の添加剤における前記波長λMAXがそれぞれ異なる前記[5]又は[6]の塗料。
[8]前記2種以上の添加剤における前記波長λMAXの差の絶対値が、10〜200nmである前記[7]の塗料。
[9]上記含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位及び親水性基を有する単量体に基づく単位を含む前記[1]〜[8]のいずれかの塗料。
[10]上記親水性基が、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する前記[9]の塗料。
[11]さらに、蛍光物質を含む前記[1]〜[10]のいずれかの塗料。
[12]臨海設備又は船底に塗装される塗料である前記[1]〜[11]のいずれかの塗料。
[13]基材の表面に、蛍光物質を含む塗膜と、前記[1]〜[11]のいずれかの塗料から形成された塗膜と、を有する塗膜付き基材。
[14]前記蛍光物質が、ユーロピウム及びネオジムからなる群から選択される少なくとも一種の酸化物によって賦活されている無機系の蛍光顔料である、[13]の基材。
[15]基材の表面に、前記[1]〜[14]のいずれかの塗料を用いて塗膜を形成して、基材に生物が付着するのを防止する方法。
[2]前記含フッ素重合体の100質量部に対して、前記添加剤の少なくとも一種を0.01〜30質量部含む前記[1]の塗料。
[3]前記添加剤が、フェニル基、アリーレン基、フリル基、及びトリアジリル基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物である前記[1]又は[2]の塗料。
[4]前記添加剤が、光の吸収ピークを有し、かつ該ピークのうち、ピークトップに該当する波長λMAXを有する光の照射により分解して酸又は塩基を発生する前記[1]〜[3]のいずれかの生物付着防止塗料。
[5]前記波長λMAXが、150〜500nmである前記[4]の塗料。
[6]前記添加剤の分子量が、100〜1,000である前記[1]〜[5]の塗料。
[7]含フッ素重合体と、前記添加剤の2種以上を含み、該2種以上の添加剤における前記波長λMAXがそれぞれ異なる前記[5]又は[6]の塗料。
[8]前記2種以上の添加剤における前記波長λMAXの差の絶対値が、10〜200nmである前記[7]の塗料。
[9]上記含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位及び親水性基を有する単量体に基づく単位を含む前記[1]〜[8]のいずれかの塗料。
[10]上記親水性基が、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する前記[9]の塗料。
[11]さらに、蛍光物質を含む前記[1]〜[10]のいずれかの塗料。
[12]臨海設備又は船底に塗装される塗料である前記[1]〜[11]のいずれかの塗料。
[13]基材の表面に、蛍光物質を含む塗膜と、前記[1]〜[11]のいずれかの塗料から形成された塗膜と、を有する塗膜付き基材。
[14]前記蛍光物質が、ユーロピウム及びネオジムからなる群から選択される少なくとも一種の酸化物によって賦活されている無機系の蛍光顔料である、[13]の基材。
[15]基材の表面に、前記[1]〜[14]のいずれかの塗料を用いて塗膜を形成して、基材に生物が付着するのを防止する方法。
本発明によれば、耐候性とともに、長期に渡って生物付着防止性に優れた塗膜を形成できる生物付着防止塗料を提供できる。本発明の生物付着防止塗料によれば、塗膜から、酸又は塩基が徐々に滲み出るため、基材に生物が付着することを長期に渡って防止すること
ができる。
ができる。
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
単位とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に基づく原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、重合体を核磁気共鳴スペクトル法により分析して求められる。
加水分解性シリル基とは、加水分解によってシラノール基となる基である。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
単位とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に基づく原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、重合体を核磁気共鳴スペクトル法により分析して求められる。
加水分解性シリル基とは、加水分解によってシラノール基となる基である。
(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称であり、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルの総称である。
平均粒子径は、ELS−8000(大塚電子社製)を用いて動的光散乱法により求められるD50の値である。なお、D50は、粒子の粒度分布において、小さな粒子側から起算した体積累計50体積%の粒子直径値である。
数平均分子量及び重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値である。数平均分子量は、Mnともいい、重量平均分子量は、Mwともいう。
平均粒子径は、ELS−8000(大塚電子社製)を用いて動的光散乱法により求められるD50の値である。なお、D50は、粒子の粒度分布において、小さな粒子側から起算した体積累計50体積%の粒子直径値である。
数平均分子量及び重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値である。数平均分子量は、Mnともいい、重量平均分子量は、Mwともいう。
酸価及び水酸基価は、それぞれ、JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて測定される値である。
塗料の固形分の質量とは、塗料が溶媒を含む場合に、塗料から溶媒を除去した質量である。なお、溶媒以外の塗料の固形分を構成する成分に関して、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。塗料の固形分の質量は、組成物1gを130℃で20分加熱した後に残存する質量として求められる。
塗膜の膜厚は、渦電流式膜厚計を用いて測定される値である。なお、実施例では、渦電流式膜厚計として「EDY−5000」(サンコウ電子社製品)を使用した。
塗料の固形分の質量とは、塗料が溶媒を含む場合に、塗料から溶媒を除去した質量である。なお、溶媒以外の塗料の固形分を構成する成分に関して、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。塗料の固形分の質量は、組成物1gを130℃で20分加熱した後に残存する質量として求められる。
塗膜の膜厚は、渦電流式膜厚計を用いて測定される値である。なお、実施例では、渦電流式膜厚計として「EDY−5000」(サンコウ電子社製品)を使用した。
本発明の生物付着防止塗料を用いて形成される塗膜(以下、本塗膜ともいう。)は生物付着防止性に優れる。この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測できる。
本塗膜は、本塗膜中に酸発生剤及び塩基発生剤から選択される添加剤の少なくとも一種を含むため、時間経過、又は光や熱等の照射によって分解し、酸や塩基を発生する。これにより塗膜表面が酸性又は塩基性に調整され、生物が付着を忌避する状態を作り出すと考えられる。
さらに、上記添加剤は、本塗膜において、含フッ素重合体との相互作用(主に、含フッ素重合体の主鎖に含まれるフッ素原子との相互作用)により、均一に分散して存在する。したがって、上記添加剤から発生した酸や塩基が塗膜外に滲み出る速度が極めて遅い。加えて、上記酸や塩基による本塗膜自体の劣化も生じにくい。この結果、本塗膜は、生物付着防止性を長期に渡って発揮できると考えられる。
本塗膜は、本塗膜中に酸発生剤及び塩基発生剤から選択される添加剤の少なくとも一種を含むため、時間経過、又は光や熱等の照射によって分解し、酸や塩基を発生する。これにより塗膜表面が酸性又は塩基性に調整され、生物が付着を忌避する状態を作り出すと考えられる。
さらに、上記添加剤は、本塗膜において、含フッ素重合体との相互作用(主に、含フッ素重合体の主鎖に含まれるフッ素原子との相互作用)により、均一に分散して存在する。したがって、上記添加剤から発生した酸や塩基が塗膜外に滲み出る速度が極めて遅い。加えて、上記酸や塩基による本塗膜自体の劣化も生じにくい。この結果、本塗膜は、生物付着防止性を長期に渡って発揮できると考えられる。
。
本発明の生物付着防止塗料(以下、本塗料ともいう。)は、含フッ素重合体を含む。
含フッ素重合体は、フルオロオレフィンに基づく単位(以下、単位Fともいう。)を含む。
フルオロオレフィンは、水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたオレフィンである。フルオロオレフィンは、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンの具体例としては、CF2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CHF、CH2=CF2、CF2=CFCF3、CF2=CHCF3、CF3CH=CHF、CF3CF=CH2が挙げられる。フルオロオレフィンとしては、本塗膜の耐候性に優れる点から、CF2=CF2、CH2=CF2、CF2=CFCl、CF3CH=CHF、又はCF3CF=CH2が好ましい。CF2=CF2又はCF2=CFClが特に好ましい。フルオロオレフィンは、2種以上を併用してもよい。
本発明の生物付着防止塗料(以下、本塗料ともいう。)は、含フッ素重合体を含む。
含フッ素重合体は、フルオロオレフィンに基づく単位(以下、単位Fともいう。)を含む。
フルオロオレフィンは、水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたオレフィンである。フルオロオレフィンは、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンの具体例としては、CF2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CHF、CH2=CF2、CF2=CFCF3、CF2=CHCF3、CF3CH=CHF、CF3CF=CH2が挙げられる。フルオロオレフィンとしては、本塗膜の耐候性に優れる点から、CF2=CF2、CH2=CF2、CF2=CFCl、CF3CH=CHF、又はCF3CF=CH2が好ましい。CF2=CF2又はCF2=CFClが特に好ましい。フルオロオレフィンは、2種以上を併用してもよい。
含フッ素重合体は、単位Fのみを含んでもよく、単位Fとフルオロオレフィン以外のフッ素原子を含む単量体に基づく単位とを含んでもよく、単位Fとフッ素原子を含まない単量体に基づく単位とを含んでもよい。
単位Fのみを含む含フッ素重合体としては、フルオロオレフィンの単独重合体、フルオロオレフィンの二種以上の共重合体等が挙げられる。単位Fのみを含む含フッ素重合体としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。
単位Fと、フルオロオレフィン以外のフッ素原子を含む単量体に基づく単位とを含む含フッ素重合体としては、フルオロオレフィン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体等が挙げられ、具体的には、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体が挙げられる。
単位Fと、フルオロオレフィン以外のフッ素原子を含む単量体に基づく単位とを含む含フッ素重合体としては、フルオロオレフィン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体等が挙げられ、具体的には、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体が挙げられる。
単位Fの含有量は、本塗膜の生物付着防止性を持続させる点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、20〜100モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、40〜60モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体は、本発明における添加剤が本塗膜中に保持されやすい点から、単位Fと、フッ素原子を含まない単量体に基づく単位とを含むのが好ましい。
単位Fと、フッ素原子を含まない単量体に基づく単位とを含む含フッ素重合体の具体例としては、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテル共重合体、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテル−ビニルエステル共重合体、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエステル−アリルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニルエステル共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニルエステル−アリルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体が挙げられる。
単位Fと、フッ素原子を含まない単量体に基づく単位とを含む含フッ素重合体の具体例としては、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテル共重合体、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテル−ビニルエステル共重合体、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエステル−アリルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニルエステル共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニルエステル−アリルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体が挙げられる。
含フッ素重合体は、膜表面を親水化する点から、フッ素原子を含まない単量体に基づく単位として、親水性基を有する単位(以下、単位Hともいう。)を含むのが好ましい。本塗膜表面が親水化されると、本塗膜から滲み出す酸又は塩基が、本塗膜表面において均一に分散するため、生物付着防止性により優れる。
単位Hが有する親水性基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、加水分解性シリル基、−OSO3 −X1 +で表される基、−COO−X1 +で表される基、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基等が挙げられる。なお、上記X1 +は、Na+又はNH4 +である。
単位Hが有する親水性基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、加水分解性シリル基、−OSO3 −X1 +で表される基、−COO−X1 +で表される基、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基等が挙げられる。なお、上記X1 +は、Na+又はNH4 +である。
単位Hが有する親水性基は、本塗膜表面が好適に親水化される点から、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基が好ましい。親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基は、他の親水性基(ヒドロキシ基、カルボキシ基等)を併含してもよい。親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基と他の親水性基とを併含する基については、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基として取り扱う。
特に、単位1が親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基を有すると、好適に親水化された本塗膜表面において、ポリオキシアルキレン鎖によって酸又は塩基が保持されやすく、本塗膜の生物付着防止性をより長期に渡って維持できる。
なお、親水性のポリオキシアルキレン鎖とは、複数のオキシアルキレン基のうち少なくとも一部がオキシエチレン基であるポリオキシアルキレン鎖を意味する。
特に、単位1が親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基を有すると、好適に親水化された本塗膜表面において、ポリオキシアルキレン鎖によって酸又は塩基が保持されやすく、本塗膜の生物付着防止性をより長期に渡って維持できる。
なお、親水性のポリオキシアルキレン鎖とは、複数のオキシアルキレン基のうち少なくとも一部がオキシエチレン基であるポリオキシアルキレン鎖を意味する。
単位Hは、親水性基を有する単量体(以下、単量体Hともいう。)に基づく単位であってもよく、単位Hを含む含フッ素重合体の親水性基を、異なる親水性基に変換させて得られる単位であってもよい。このような単位としては、ヒドロキシ基を有する単位を含む含フッ素重合体に、ポリカルボン酸及びその酸無水物(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ハイミック酸等)から選択される少なくとも1種を反応させて、ヒドロキシ基の一部又は全部をカルボキシ基に変換させて得られる単位が挙げられる。
単位Hが有する親水性基は、後述する硬化剤と架橋してもよい。単位Hの親水性基が後述する硬化剤と架橋する場合、本塗膜の硬度が向上し、本塗膜の耐久性に優れる。この場合、本塗膜中において、本発明の効果が失われない範囲で、親水性基が残存していればよい。
単位Hが有する親水性基は、後述する硬化剤と架橋してもよい。単位Hの親水性基が後述する硬化剤と架橋する場合、本塗膜の硬度が向上し、本塗膜の耐久性に優れる。この場合、本塗膜中において、本発明の効果が失われない範囲で、親水性基が残存していればよい。
ヒドロキシ基を有する単量体としては、ヒドロキシ基を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステル、アリルアルコール等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する単量体の具体例としては、CH2=CHO−CH2−cycloC6H10−CH2OH、CH2=CHCH2O−CH2−cycloC6H10−CH2OH、CH2=CHOCH2CH2OH、CH2=CHCH2OCH2CH2OH、CH2=CHOCH2CH2CH2CH2OH、CH2=CHCH2OCH2CH2CH2CH2OHが挙げられる。ヒドロキシ基を有する単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性の点から、CH2=CHCH2OCH2CH2OH又はCH2=CHOCH2CH2CH2CH2OHが好ましい。
なお、「−cycloC6H10−」はシクロへキシレン基を表し、「−cycloC6H10−」の結合部位は、通常1,4−である。
ヒドロキシ基を有する単量体の具体例としては、CH2=CHO−CH2−cycloC6H10−CH2OH、CH2=CHCH2O−CH2−cycloC6H10−CH2OH、CH2=CHOCH2CH2OH、CH2=CHCH2OCH2CH2OH、CH2=CHOCH2CH2CH2CH2OH、CH2=CHCH2OCH2CH2CH2CH2OHが挙げられる。ヒドロキシ基を有する単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性の点から、CH2=CHCH2OCH2CH2OH又はCH2=CHOCH2CH2CH2CH2OHが好ましい。
なお、「−cycloC6H10−」はシクロへキシレン基を表し、「−cycloC6H10−」の結合部位は、通常1,4−である。
カルボキシ基を有する単量体としては、不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸、上記ヒドロキシ基を有する単量体のヒドロキシ基にカルボン酸無水物を反応させて得られる単量体等が挙げられる。
カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、CH2=CHCOOH、CH(CH3)=CHCOOH、CH2=C(CH3)COOH、HOOCCH=CHCOOH、CH2=CH(CH2)n11COOH(ただし、n11は1〜10の整数を示す。)、CH2=CHO(CH2)n12OC(O)CH2CH2COOH(ただし、n12は1〜10の整数を示す。)が挙げられる。フルオロオレフィンとの共重合性の点から、CH2=CH(CH2)n11COOH又はCH2=CHO(CH2)n12OC(O)CH2CH2COOHが好ましい。
カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、CH2=CHCOOH、CH(CH3)=CHCOOH、CH2=C(CH3)COOH、HOOCCH=CHCOOH、CH2=CH(CH2)n11COOH(ただし、n11は1〜10の整数を示す。)、CH2=CHO(CH2)n12OC(O)CH2CH2COOH(ただし、n12は1〜10の整数を示す。)が挙げられる。フルオロオレフィンとの共重合性の点から、CH2=CH(CH2)n11COOH又はCH2=CHO(CH2)n12OC(O)CH2CH2COOHが好ましい。
親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体としては、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基におけるポリオキシアルキレン鎖は、オキシアルキレン基の6〜24を有するのが好ましく、10〜20を有するのがより好ましい。
オキシアルキレン基におけるアルキレン基は、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基がより好ましい。この場合、アルキレン基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよく、直鎖状であるのが好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖は、2種以上のオキシアルキレン基からなってもよい。この場合、各オキシアルキレン基の結合順は、ランダム型でもブロック型でもよい。
親水性のポリオキシアルキレン鎖としては、オキシエチレン基のみからなるポリオキシエチレン鎖であるか、オキシエチレン基と炭素数3または4のオキシアルキレン基を有しかつ両者の合計に対するオキシエチレン基の割合が50モル%以上であるポリオキシアルキレン鎖が好ましい。後者の場合、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を有しかつ両者の合計に対するオキシエチレン基の割合が70モル%以上であるポリオキシアルキレン鎖が好ましい。特に好ましい親水性のポリオキシアルキレン鎖は、オキシエチレン基のみからなるポリオキシエチレン鎖である。
親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基におけるポリオキシアルキレン鎖は、オキシアルキレン基の6〜24を有するのが好ましく、10〜20を有するのがより好ましい。
オキシアルキレン基におけるアルキレン基は、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基がより好ましい。この場合、アルキレン基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよく、直鎖状であるのが好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖は、2種以上のオキシアルキレン基からなってもよい。この場合、各オキシアルキレン基の結合順は、ランダム型でもブロック型でもよい。
親水性のポリオキシアルキレン鎖としては、オキシエチレン基のみからなるポリオキシエチレン鎖であるか、オキシエチレン基と炭素数3または4のオキシアルキレン基を有しかつ両者の合計に対するオキシエチレン基の割合が50モル%以上であるポリオキシアルキレン鎖が好ましい。後者の場合、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を有しかつ両者の合計に対するオキシエチレン基の割合が70モル%以上であるポリオキシアルキレン鎖が好ましい。特に好ましい親水性のポリオキシアルキレン鎖は、オキシエチレン基のみからなるポリオキシエチレン鎖である。
親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体としては、式:L1−Y1−Z1で表される単量体が好ましい。
式中、L1は、CH2=CHO−又はCH2=CHCH2O−である。
Y1は、炭素数2〜12の2価の飽和炭化水素基である。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよく、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。
式中、L1は、CH2=CHO−又はCH2=CHCH2O−である。
Y1は、炭素数2〜12の2価の飽和炭化水素基である。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよく、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。
2価の飽和炭化水素基は、炭素数4〜12のアルキレン基又は炭素数6〜8のシクロアルキレン基を含むアルキレン基が好ましい。
2価の飽和炭化水素基は、−CH2−cycloC6H10−CH2−で表される基、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−又は−CH2CHY11−で表される基が好ましい。−cycloC6H10−の結合部位は、特に限定されず、通常1,4−である。また、Y11は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
2価の飽和炭化水素基は、−CH2−cycloC6H10−CH2−で表される基、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−又は−CH2CHY11−で表される基が好ましい。−cycloC6H10−の結合部位は、特に限定されず、通常1,4−である。また、Y11は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
Z1は、−(OM)mOZ11で表される基である。
Mは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、−CH2CH2−が特に好ましい。なお、炭素数が3又は4である場合、Mは、直鎖状のアルキレン基であってもよく分岐鎖状のアルキレン基であってもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。複数のMが存在する場合、Mは同一であってもよく異なっていてもよい。また、複数のMが存在する場合、それらの結合順はランダム型でもブロック型でもよい。mは、6〜24の整数であり、10〜20の整数が好ましい。
Z11は、水素原子、−OSO3 −Na+、−OSO3 −NH4 +、−COO−Na+、又はCOO−NH4 +であり、水素原子が好ましい。
Mは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、−CH2CH2−が特に好ましい。なお、炭素数が3又は4である場合、Mは、直鎖状のアルキレン基であってもよく分岐鎖状のアルキレン基であってもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。複数のMが存在する場合、Mは同一であってもよく異なっていてもよい。また、複数のMが存在する場合、それらの結合順はランダム型でもブロック型でもよい。mは、6〜24の整数であり、10〜20の整数が好ましい。
Z11は、水素原子、−OSO3 −Na+、−OSO3 −NH4 +、−COO−Na+、又はCOO−NH4 +であり、水素原子が好ましい。
L1−Y1−Z1で表される単量体の具体例としては、CH2=CHO−CH2−cycloC6H10−CH2−(OCH2CH2)n13OH、CH2=CHCH2O−CH2−cycloC6H10−CH2−(OCH2CH2)n13OH、CH2=CHOCH2CH2(OCH2CH2)n13OH、CH2=CHCH2OCH2CH2(OCH2CH2)n13OH、CH2=CHCH2OCH2CH(C4H9)(OCH2CH2)n13OHが挙げられる(式中のn13は6〜24の整数を示す。)。
単量体Hは、2種以上を併用してもよい。特に、本塗膜の生物付着防止性に優れる点から、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体Hと、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有さない単量体Hと、を併用するのが好ましい。
含フッ素重合体が単位Hを含む場合、単量体Hの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、0.1〜30モル%が好ましく、3〜20モル%がより好ましい。
含フッ素重合体が、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体Hに基づく単位と、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有さない単量体Hに基づく単位と、を含む場合、各々の単位の含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対してこの順に、0.1〜5モル%、1〜25モル%が好ましく、0.2〜3モル%、3〜20モル%がより好ましい。
含フッ素重合体が単位Hを含む場合、単量体Hの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、0.1〜30モル%が好ましく、3〜20モル%がより好ましい。
含フッ素重合体が、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体Hに基づく単位と、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有さない単量体Hに基づく単位と、を含む場合、各々の単位の含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対してこの順に、0.1〜5モル%、1〜25モル%が好ましく、0.2〜3モル%、3〜20モル%がより好ましい。
含フッ素重合体は、本塗膜の加工性の点から、フッ素原子を含まず親水性基を有さない単量体(以下、単量体Dともいう。)に基づく単位(以下、単位Dともいう。)を含んでもよい。含フッ素重合体が単位Dを含むと、本塗膜の柔軟性に優れ、本塗膜を有する基材が複雑な形状に加工される場合にも適用し得る。
単量体Dとしては、フッ素原子を含まず親水性基を有さない、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ビニルエーテル又はビニルエステルが好ましい。
単量体Dとしては、フッ素原子を含まず親水性基を有さない、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ビニルエーテル又はビニルエステルが好ましい。
単量体Dは、式:L2−Z2で表される単量体が好ましい。
式中、L2は、CH2=CHO−、CH2=CHCH2O−、CH2=CHOCO−、CH2=CHCH2OCO−、CH2=CHCOO−又はCH2=C(CH3)COO−であり、CH2=CHO−又はCH2=CHOCO−が好ましい。
Z2は、炭素数2〜24の1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよく、また、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。1価の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。
式中、L2は、CH2=CHO−、CH2=CHCH2O−、CH2=CHOCO−、CH2=CHCH2OCO−、CH2=CHCOO−又はCH2=C(CH3)COO−であり、CH2=CHO−又はCH2=CHOCO−が好ましい。
Z2は、炭素数2〜24の1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよく、また、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。1価の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。
1価の炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はシクロアルキルアルキル基が好ましく、炭素数2〜12のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基が特に好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロヘキシル基が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基が挙げられる。
シクロアルキルアルキル基の具体例としては、シクロヘキシルメチル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
なお、シクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基のシクロアルキル部分、アリール基又はアラルキル基の水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、置換基としてのアルキル基の炭素数は、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基の炭素数には含めない。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロヘキシル基が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基が挙げられる。
シクロアルキルアルキル基の具体例としては、シクロヘキシルメチル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
なお、シクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基のシクロアルキル部分、アリール基又はアラルキル基の水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、置換基としてのアルキル基の炭素数は、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基の炭素数には含めない。
単量体Dの具体例としては、エチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、ピバル酸ビニルエステル、ネオノナン酸ビニルエステル(HEXION社、商品名「ベオバ9」)、ネオデカン酸ビニルエステル(HEXION社、商品名「ベオバ10」)、安息香酸ビニルエステル、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。単量体Dは、2種以上を併用してもよい。
単位Dの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、0〜50モル%が好ましく、5〜40モル%が特に好ましい。
単位Dの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、0〜50モル%が好ましく、5〜40モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位Fと単位Hと単位Dとを、この順に20〜70モル%、0.1〜30モル%、0〜50モル%含むのが好ましく、40〜60モル%、3〜20モル%、5〜40モル%含むのがより好ましい。
また、含フッ素重合体が、単位Hとして、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体Hに基づく単位と、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有さない単量体Hに基づく単位と、を含む場合、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位Fと、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体Hに基づく単位と、ポリオキシアルキレン鎖を有さない単量体Hに基づく単位と、単位Dとをこの順に、20〜70モル%、0.1〜5モル%、1〜25モル%、0〜50モル%含むのが好ましく、40〜60モル%、0.2〜3モル%、3〜20モル%、5〜40モル%含むのがより好ましい。
また、含フッ素重合体が、単位Hとして、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体Hに基づく単位と、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有さない単量体Hに基づく単位と、を含む場合、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位Fと、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する単量体Hに基づく単位と、ポリオキシアルキレン鎖を有さない単量体Hに基づく単位と、単位Dとをこの順に、20〜70モル%、0.1〜5モル%、1〜25モル%、0〜50モル%含むのが好ましく、40〜60モル%、0.2〜3モル%、3〜20モル%、5〜40モル%含むのがより好ましい。
含フッ素重合体のMnは、本塗膜の耐衝撃性の点から、5,000〜200,000が好ましく、7,000〜180,000がより好ましい。
含フッ素重合体が水酸基を有する場合、含フッ素重合体の水酸基価は、本塗膜の親水性の点から、1〜150mgKOH/gが好ましく、3〜100mgKOH/gがより好ましく、10〜60mgKOH/gが特に好ましい。
含フッ素重合体がカルボキシ基を有する場合、含フッ素重合体の酸価は、本塗膜の親水性の点から、1〜150mgKOH/gが好ましく、3〜100mgKOH/gがより好ましく、5〜50mgKOH/gが特に好ましい。
含フッ素重合体は、酸価又は水酸基価のどちらか一方のみを有してもよく、両方を有してもよい。
含フッ素重合体が水酸基を有する場合、含フッ素重合体の水酸基価は、本塗膜の親水性の点から、1〜150mgKOH/gが好ましく、3〜100mgKOH/gがより好ましく、10〜60mgKOH/gが特に好ましい。
含フッ素重合体がカルボキシ基を有する場合、含フッ素重合体の酸価は、本塗膜の親水性の点から、1〜150mgKOH/gが好ましく、3〜100mgKOH/gがより好ましく、5〜50mgKOH/gが特に好ましい。
含フッ素重合体は、酸価又は水酸基価のどちらか一方のみを有してもよく、両方を有してもよい。
含フッ素重合体は、公知の方法を用いて製造され、溶液重合、乳化重合等が挙げられる。含フッ素重合体は、有機溶剤中に溶解又は分散していてもよく、水中に粒子状に分散していてもよく、有機溶剤及び水を含まない粉体粒子であってもよい。含フッ素重合体が水中に分散している場合、水は、後述する水溶性有機溶剤を含んでもよい。
含フッ素重合体が、水中に粒子状に分散して存在する場合、含フッ素重合体の粒子の平均粒子径は、本塗膜の耐水性の点から、30〜300nmが好ましく、50〜200nmがより好ましい。また、含フッ素重合体が、水中に粒子状に分散して存在する場合、含フッ素重合体単独の粒子であってもよく、含フッ素重合体と、含フッ素重合体以外の重合体とが、コアシェル構造を形成している粒子であってもよい。
含フッ素重合体が、水中に粒子状に分散して存在する場合、含フッ素重合体の粒子の平均粒子径は、本塗膜の耐水性の点から、30〜300nmが好ましく、50〜200nmがより好ましい。また、含フッ素重合体が、水中に粒子状に分散して存在する場合、含フッ素重合体単独の粒子であってもよく、含フッ素重合体と、含フッ素重合体以外の重合体とが、コアシェル構造を形成している粒子であってもよい。
上記コアシェル構造を形成している粒子は、含フッ素重合体のコア部と、このコア部の表面に位置する、含フッ素重合体以外の重合体のシェル部と、を有するのが好ましい。シェル部は、コア部の表面の一部を被覆していてもよいし、コア部の全体を被覆していてもよい。
この場合の含フッ素重合体としては、フルオロオレフィンの少なくとも一種の単独重合体が好ましく、含フッ素重合体以外の上記重合体としては、(メタ)アクリル重合体が好ましい。
この場合の含フッ素重合体としては、フルオロオレフィンの少なくとも一種の単独重合体が好ましく、含フッ素重合体以外の上記重合体としては、(メタ)アクリル重合体が好ましい。
本塗料は、酸発生剤及び塩基発生剤から選択される添加剤の少なくとも一種を含む。
上記添加剤は、時間経過、又は光や熱等の照射により分解して酸又は塩基を発生する化合物であればよく、酸又は塩基の発生量を好適に制御できる点から、後述する波長λMAXの光の照射により分解して酸又は塩基を発生する化合物が好ましい。この場合、酸発生剤を光酸発生剤ともいい、塩基発生剤を光塩基発生剤ともいう。
添加剤は、本塗膜中における分散性の点から、その分子量が100〜1,000であるのが好ましく、300〜700であるのがより好ましく、350〜500であるのが特に好ましい。
上記添加剤は、時間経過、又は光や熱等の照射により分解して酸又は塩基を発生する化合物であればよく、酸又は塩基の発生量を好適に制御できる点から、後述する波長λMAXの光の照射により分解して酸又は塩基を発生する化合物が好ましい。この場合、酸発生剤を光酸発生剤ともいい、塩基発生剤を光塩基発生剤ともいう。
添加剤は、本塗膜中における分散性の点から、その分子量が100〜1,000であるのが好ましく、300〜700であるのがより好ましく、350〜500であるのが特に好ましい。
添加剤は、含フッ素重合体中に保持されやすい点から、環構造を有する化合物であるのが好ましい。上記環構造は、炭素環であってもよく、複素環であってもよい。炭素環及び複素環は、不飽和結合を有していてもよく、芳香環であってもよい。また、上記環構造は、縮合環であってもよい。上記環構造は、添加剤の疎水性が高くなり、含フッ素重合体中に均一に分散しやすい点から、炭素環又は複素環であって、かつ芳香族性を有する環であるのが好ましい。
上記環構造を有する化合物としては、シクロアルキル基、シクロアルキレン基、フェニル基、アリーレン基、フリル基、チオフェニル基、及びナフチル基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有するのが好ましい。含フッ素重合体中に保持されやすい点から、フェニル基、フェニレン基、フリル基、及びトリアジリル基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物がより好ましい。この場合、フェニル基、フェニレン基、フリル基、及びトリアジリル基からなる群から選択される少なくとも1種の基を、それぞれの基について複数ずつ有していてもよい。
なかでも、フェニル基及びフェニレン基からなる群から選択される基を2以上有する化合物、又はフリル基及びトリアジル基を有する化合物が好ましく、フェニル基又はフェニレン基を3以上有する化合物がより好ましい。
フェニル基及びフェニレン基からなる群から選択される基を3以上有する化合物としては、フェニル基及びフェニレン基から選択される基を3以上有するカチオンと、アニオンとの塩が挙げられる。
上記カチオンとしては、スルホニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、ヨードニウムイオン、セレニウムイオン、ブロモニウムイオン等が挙げられる。上記カチオンとしては、酸又は塩基の発生に優れる点から、スルホニウムイオン又はホスホニウムイオンが好ましく、スルホニウムイオンがより好ましい。
フェニル基及びフェニレン基からなる群から選択される基を3以上有する化合物としては、フェニル基及びフェニレン基から選択される基を3以上有するカチオンと、アニオンとの塩が挙げられる。
上記カチオンとしては、スルホニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、ヨードニウムイオン、セレニウムイオン、ブロモニウムイオン等が挙げられる。上記カチオンとしては、酸又は塩基の発生に優れる点から、スルホニウムイオン又はホスホニウムイオンが好ましく、スルホニウムイオンがより好ましい。
上記アニオンとしては、トリフラートイオン、置換基を有してよいフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、硫酸イオン、カルボキシラートイオン等が挙げられる。上記アニオンとしては、本塗膜の生物付着防止性に優れる点から、トリフラートイオン、及び置換基を有してよいフルオロリン酸イオンが好ましく、トリフラートイオンがより好ましい。また、置換基を有してよいフルオロリン酸イオンにおける置換基は、フルオロアルキル基が好ましい。
酸発生剤が光酸発生剤である場合、光酸発生剤は、光の吸収ピークを有し、かつピークのうち、ピークトップに該当する波長(以下、波長λMAXともいう。)の光の照射により分解して酸を発生する。同様に、塩基発生剤が光塩基発生剤である場合、光塩基発生剤は光の吸収ピークを有し、かつ波長λMAXの光の照射により分解して塩基を発生する。
光酸発生剤及び光塩基発生剤における波長λMAXは、150〜500nmにあるのが好ましく、200〜400nmにあるのがより好ましく、200〜250nmにあるのが特に好ましい。
光酸発生剤及び光塩基発生剤は、2以上の波長λMAXを有していてもよく、例えば、2つの波長λMAXを有する場合、小さい方が150〜300nmにあり、大きい方が300nm超500nm以下にあるのが好ましく、なかでも、小さい方が200〜280nmにあり、大きい方が300〜400nmにあるのがさらに好ましい。
光酸発生剤及び光塩基発生剤における波長λMAXは、150〜500nmにあるのが好ましく、200〜400nmにあるのがより好ましく、200〜250nmにあるのが特に好ましい。
光酸発生剤及び光塩基発生剤は、2以上の波長λMAXを有していてもよく、例えば、2つの波長λMAXを有する場合、小さい方が150〜300nmにあり、大きい方が300nm超500nm以下にあるのが好ましく、なかでも、小さい方が200〜280nmにあり、大きい方が300〜400nmにあるのがさらに好ましい。
光酸発生剤及び光塩基発生剤は、2種以上を併用してよい。2種以上を併用する場合、種類の異なる光酸発生剤を2種以上併用してもよく、種類の異なる光塩基発生剤を2種以上併用してもよく、光酸発生剤の1種以上と、光塩基発生剤の1種以上とを併用してもよい。
この場合、光酸発生剤及び光塩基発生剤から選択される2種以上は、λMAXがそれぞれ異なるのが好ましい。この場合、例えば本塗膜が水中の構造物に配置され、時間又は季節によって水中に透過する光の波長および量が異なる際においても、常に充分量の酸又は塩基を発生できるため、本塗膜の生物付着防止性に優れる。
光酸発生剤及び光塩基発生剤から選択される2種以上を併用する場合、それぞれの光酸発生剤及び光塩基発生剤のうち、最も長波長側の波長λMAXと、最も低波長側の波長λMAXと、の差の絶対値が、10〜200nmであるのが好ましく、50〜100nmであるのがより好ましい。
この場合、光酸発生剤及び光塩基発生剤から選択される2種以上は、λMAXがそれぞれ異なるのが好ましい。この場合、例えば本塗膜が水中の構造物に配置され、時間又は季節によって水中に透過する光の波長および量が異なる際においても、常に充分量の酸又は塩基を発生できるため、本塗膜の生物付着防止性に優れる。
光酸発生剤及び光塩基発生剤から選択される2種以上を併用する場合、それぞれの光酸発生剤及び光塩基発生剤のうち、最も長波長側の波長λMAXと、最も低波長側の波長λMAXと、の差の絶対値が、10〜200nmであるのが好ましく、50〜100nmであるのがより好ましい。
酸発生剤の具体例としては、Tris(4−methylphenyl)sulfonium trifluoromethansulfonate(分子量:455、λMAX:242nm)、Tris(4−methylphenyl)sulfonium hexafluorophosphate(分子量:450、λMAX:242nm)、2−[2−(Furan−2−yl)ethenyl]−4,6−bis(trichloromethyl)−s−triazine(分子量:408、λMAX:370nm)、2−[2−(5−Methylfuran−2−yl)ethenyl]−4,6−bis(trichloromethyl)−s−triazine(分子量:422、λMAX:392nm)、2−(Methoxyphenyl)−4,6−bis(trichloromethyl)−s−triazine(分子量:422、λMAX:328nm)、2−[2−(4−Methoxyphenyl)ethenyl]−4,6−bis(trichloromethyl)−s−triazine(分子量:448、λMAX:374nm)、2−[2−(3,4−Dimethoxyphenyl)ethenyl]−4,6−bis(trichloromethyl)−s−triazine(分子量:478、λMAX:388nm)、Tris(aryl)sulfonium hexafluoroantimonate(分子量:606、λMAX:365nm)等が挙げられる。
酸発生剤は、市販品でもよく、その例としては、TS−01、TS−91、TFE−トリアジン、TME−トリアジン、MP−トリアジン、MOP−トリアジン、ジメトキシトリアジン(全て、三和ケミカル社商品名)、CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K(全て、三洋化成社商品名)等が挙げられる。
酸発生剤は、市販品でもよく、その例としては、TS−01、TS−91、TFE−トリアジン、TME−トリアジン、MP−トリアジン、MOP−トリアジン、ジメトキシトリアジン(全て、三和ケミカル社商品名)、CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K(全て、三洋化成社商品名)等が挙げられる。
塩基発生剤の具体例としては、1,2−Dicyclohexyl−4,4,5,5−tetramethylbiguanidium n−butyltriphenylborate(分子量:622、λMAX:254nm)、1,2−Diisopropyl−3−[Bis(dimethylamino)methylene]guanidium 2−(3−benzoylphenyl)propionate(分子量:496、λMAX:254nm)等が挙げられる。
塩基発生剤は、市販品でもよく、その例としては、WPBG−266、WPBG−300(全て、和光純薬工業社商品名)等が挙げられる。
塩基発生剤は、市販品でもよく、その例としては、WPBG−266、WPBG−300(全て、和光純薬工業社商品名)等が挙げられる。
本塗料は、含フッ素重合体の100質量部に対して、添加剤の少なくとも一種を、合計で0.01〜30質量部含むのが好ましく、0.1〜10質量部含むのがより好ましく、2〜6質量部含むのが特に好ましい。本塗料が、添加剤を合計で0.01質量部以上含めば、本塗膜の生物付着防止の効果が持続する。本塗料が、添加剤を合計で30質量部以下含めば、本塗膜の耐候性に優れる。
酸発生剤及び塩基発生剤は、本塗料が塗料溶媒(分散媒)を含む水性塗料又は溶剤型塗料である場合、塗料溶媒中に分散していてもよく、塗料溶媒中に溶解していてもよい。
本発明の塗料は、水性塗料、溶剤型塗料、溶媒を含まない粉体塗料のいずれでもよく、添加剤の分散性の点から、水性塗料及び溶剤型塗料が好ましい。特に、本発明における添加剤が水又は有機溶剤に溶解していると、添加剤が本塗膜中に良好に保持される。
本発明の塗料は、水性塗料、溶剤型塗料、溶媒を含まない粉体塗料のいずれでもよく、添加剤の分散性の点から、水性塗料及び溶剤型塗料が好ましい。特に、本発明における添加剤が水又は有機溶剤に溶解していると、添加剤が本塗膜中に良好に保持される。
本塗料は、本塗料の全質量に対して固形分を10〜90質量%含むのが好ましく、40〜80質量%含むのが特に好ましい。
本塗料における、含フッ素重合体の含有量は、本塗料の全質量に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
本塗料は、本塗料の全固形分に対して含フッ素重合体を5〜95質量%含むのが好ましく、60〜90質量%含むのが特に好ましい。
本塗料における、酸発生剤及び塩基発生剤から選択される1種以上の含有量は、本塗料の全質量に対して、0.001〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
本塗料における、含フッ素重合体の含有量は、本塗料の全質量に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
本塗料は、本塗料の全固形分に対して含フッ素重合体を5〜95質量%含むのが好ましく、60〜90質量%含むのが特に好ましい。
本塗料における、酸発生剤及び塩基発生剤から選択される1種以上の含有量は、本塗料の全質量に対して、0.001〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
本塗料は、蛍光物質を含んでもよい。本塗料が蛍光物質を含むと、昼間に蓄積された光によって、光照射のない夜間においても酸又は塩基を発生させることができ、本塗膜の生物付着防止性に優れる。
蛍光物質は、蛍光性を発する成分であり、例えば、紫外線(波長254〜380nm)を照射すると励起され、可視光線を蛍光発光する物質が挙げられる。
蛍光物質は、有機系の蛍光物質であってもよく、無機系の蛍光物質であってもよく、本塗膜の耐候性の点から、無機系の蛍光物質が好ましい。無機系の蛍光物質としては、無機系の蛍光顔料が好ましい。
有機系の蛍光物質としては、ブリリアントスルホフラビン、チオフラビン、ベイシックイエローHG、フルオロセイン、エオシン、ローダミン6G、ローダミンB等が挙げられる。
無機系の蛍光物質としては、重金属や希土類酸化物のキレート化合物が挙げられる。
蛍光物質は、蛍光性を発する成分であり、例えば、紫外線(波長254〜380nm)を照射すると励起され、可視光線を蛍光発光する物質が挙げられる。
蛍光物質は、有機系の蛍光物質であってもよく、無機系の蛍光物質であってもよく、本塗膜の耐候性の点から、無機系の蛍光物質が好ましい。無機系の蛍光物質としては、無機系の蛍光顔料が好ましい。
有機系の蛍光物質としては、ブリリアントスルホフラビン、チオフラビン、ベイシックイエローHG、フルオロセイン、エオシン、ローダミン6G、ローダミンB等が挙げられる。
無機系の蛍光物質としては、重金属や希土類酸化物のキレート化合物が挙げられる。
無機系の蛍光顔料としては、重金属や希土類酸化物等の活性化剤により賦活されている、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ストロンチウム等の金属酸化物又は硫化物が好ましい。
活性化剤としては、ユーロピウム、ネオジム、アンチモン、マンガン、鉛、スズ、セリウム、及びテルビウムから選択される少なくとも一種の酸化物が挙げられ、ユーロピウム及びネオジムから選択される少なくとも一種の酸化物が好ましい。
活性化剤としては、ユーロピウム、ネオジム、アンチモン、マンガン、鉛、スズ、セリウム、及びテルビウムから選択される少なくとも一種の酸化物が挙げられ、ユーロピウム及びネオジムから選択される少なくとも一種の酸化物が好ましい。
無機系の蛍光顔料の具体例としては、3Ca3(PO4)2・Ca(F,Cl)2:Sb3+、3Ca3(PO4)2・Ca(F,Cl)2:Sb3+,Mn2+、BaMg2Al16O27:Eu2+、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+、Sr4Al14O25:Eu2+、BaMg2Al16O27:Eu2+Mn2+、CaWO4、CaWO4:Pb2+、Sr2P2O7:Sn2+、Y2O3:Eu3+、3.5MgO・0.5MgF2GeO2:Mn4+、Y(PV)O4:Eu3+、(Sr,Mg)3(PO4)2:Sn2+、6MgO・As2O5:Mn4+、(Ca,Sr)SiO3:Pb2+,Mn2+、CeMaAl11O19:Tb3+、LaPO4:Ce3+,Tb3+、Zn2SiO4:Mn2+、Sr2P2O7:Eu2+、(Ba,Sr,Mg)3Si2O7:Pb2+、BaSi2O5:Pb2+、CaAl2O4:Eu3+Nd3+、BaAl2O4:Eu3+Nd3+、SrAl2O4:Eu3+Nd3+等が挙げられ、BaMg2Al16O27:Eu2+Mn2+、CaAl2O4:Eu3+Nd3+が好ましい。
特に、蛍光が長期間継続する点から、ユーロピウム及びネオジムから選択される少なくとも一種の酸化物により賦活されているアルミン酸化物等の蛍光蓄光顔料が好ましい。
蛍光物質は、2種以上を併用してもよい。
本塗料は、蛍光物質を、含フッ素重合体の100質量部に対して5〜200質量部含むことが好ましく、10〜100質量部含むことが特に好ましく、30〜60質量部含むことが特に好ましい。
本塗料は、本塗料の全固形分に対して、蛍光物質を5〜50質量%含むことが好ましく、15〜30質量%含むことが特に好ましい。
蛍光物質は、2種以上を併用してもよい。
本塗料は、蛍光物質を、含フッ素重合体の100質量部に対して5〜200質量部含むことが好ましく、10〜100質量部含むことが特に好ましく、30〜60質量部含むことが特に好ましい。
本塗料は、本塗料の全固形分に対して、蛍光物質を5〜50質量%含むことが好ましく、15〜30質量%含むことが特に好ましい。
本塗料が、水を含み、前記含フッ素重合体が水中に分散している水性塗料である場合、本塗料は、塗料溶媒として、水のみか、水と水溶性有機溶剤との混合液を含む。
混合液における水溶性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールが挙げられる。混合液における水溶性有機溶剤の含有量は、水100質量部に対して1〜40質量部が好ましい。
本塗料が水性塗料である場合、本塗料の全質量に対して、水又は上記混合液を10〜90質量%含むのが好ましい。
混合液における水溶性有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールが挙げられる。混合液における水溶性有機溶剤の含有量は、水100質量部に対して1〜40質量部が好ましい。
本塗料が水性塗料である場合、本塗料の全質量に対して、水又は上記混合液を10〜90質量%含むのが好ましい。
本塗料が、有機溶剤を含む溶剤型塗料である場合、有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、酢酸エチル、酢酸ブチルメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
本塗料が溶剤型塗料である場合、本塗料の全質量に対して、有機溶剤を1〜99質量%含むのが好ましく、3〜60質量%含むのがより好ましい。
本塗料が、塗料溶媒を含まない粉体塗料である場合、添加剤は、含フッ素重合体を含む粉体粒子とは別の粒子として混合されていてもよく、含フッ素重合体を含む粉体粒子中に同一の粒子として混合されていてもよい。
本塗料が溶剤型塗料である場合、本塗料の全質量に対して、有機溶剤を1〜99質量%含むのが好ましく、3〜60質量%含むのがより好ましい。
本塗料が、塗料溶媒を含まない粉体塗料である場合、添加剤は、含フッ素重合体を含む粉体粒子とは別の粒子として混合されていてもよく、含フッ素重合体を含む粉体粒子中に同一の粒子として混合されていてもよい。
本発明の生物付着防止塗料は、含フッ素重合体及び添加剤以外の成分(以下、その他の成分ともいう。)を含んでよい。その他の成分としては、含フッ素重合体以外の樹脂、硬化剤、硬化触媒、界面活性剤、蛍光顔料以外の顔料、光増感剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤、つや消し剤、レベリング剤、表面調整剤、脱ガス剤、充填剤、熱安定剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、防錆剤、シランカップリング剤、防汚剤、低汚染化処理剤、防カビ材、防藻剤等が挙げられる。上記成分は、2種以上を併用してもよい。
含フッ素重合体以外の樹脂としては、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、変性ポリエステル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。含フッ素重合体以外の樹脂は、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基又はβ−ヒドロキシアルキルアミド基を、1分子中に2以上有する化合物が挙げられる。硬化剤は、2種以上を併用してもよい。
本塗料は、含フッ素重合体と、添加剤の少なくとも一種と、必要に応じてその他の成分と、を混合して製造される。
硬化剤としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基又はβ−ヒドロキシアルキルアミド基を、1分子中に2以上有する化合物が挙げられる。硬化剤は、2種以上を併用してもよい。
本塗料は、含フッ素重合体と、添加剤の少なくとも一種と、必要に応じてその他の成分と、を混合して製造される。
本塗膜付き基材は、本塗料が水性塗料又は溶剤型塗料である場合、基材の表面に本塗料を塗装して塗装層を形成し、乾燥させて塗膜を形成して得られる。上記塗装層を乾燥させる際、加熱は必須ではないが、本塗料が熱硬化性の硬化剤を含む場合には、加熱するのが好ましい。この場合、塗膜中で含フッ素重合体と硬化剤とが架橋するため、塗膜が硬化する。
本塗膜付き基材は、本塗料が粉体塗料である場合、基材の表面に本塗料を塗装して塗装層を形成し、加熱して塗膜を形成して得られる。この場合、塗装層を加熱する際に、粉体塗料の粒子同士が溶融して、一様の塗膜が形成される。加熱温度は、通常20〜300℃であり、加熱時間は、通常1分〜2週間である。
本塗膜付き基材は、本塗料が粉体塗料である場合、基材の表面に本塗料を塗装して塗装層を形成し、加熱して塗膜を形成して得られる。この場合、塗装層を加熱する際に、粉体塗料の粒子同士が溶融して、一様の塗膜が形成される。加熱温度は、通常20〜300℃であり、加熱時間は、通常1分〜2週間である。
本塗膜の膜厚は、本塗膜の生物付着防止性が持続する点から、5〜300μmが好ましい。
本塗料が水性塗料又は溶剤型塗料である場合、本塗料の塗装方法としては、刷毛、ローラー、ディッピング、スプレー、ロールコーター、ダイコーター、アプリケーター、スピンコーター等の塗工装置を用いて行う方法等が挙げられる。
本塗料が粉体塗料である場合、本塗料の塗装方法としては、静電塗装法、静電吹付法、静電浸漬法、噴霧法、流動浸漬法、吹付法、スプレー法、溶射法、プラズマ溶射法等が挙げられる。
本塗料が水性塗料又は溶剤型塗料である場合、本塗料の塗装方法としては、刷毛、ローラー、ディッピング、スプレー、ロールコーター、ダイコーター、アプリケーター、スピンコーター等の塗工装置を用いて行う方法等が挙げられる。
本塗料が粉体塗料である場合、本塗料の塗装方法としては、静電塗装法、静電吹付法、静電浸漬法、噴霧法、流動浸漬法、吹付法、スプレー法、溶射法、プラズマ溶射法等が挙げられる。
基材の具体例としては、樹脂、ゴム、木材等の有機質材料、コンクリート、ガラス、セラミックス、石材等の無機質材料、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金が挙げられる。本塗膜は、基材上に直接形成されていてもよく、基材に表面処理を施した上に形成されていてもよい。また、本塗膜付き基材は、基材と本塗膜との間に、下塗り塗膜や中塗り塗膜を有していてもよい。
本塗膜付き基材は、本塗膜以外の塗膜として、上述した蛍光物質を含む塗膜(以下、蛍光塗膜ともいう。)を有することが好ましい。この場合、本塗膜は蛍光物質を含まないか、含む場合は、蛍光塗膜が含む量よりも少ない量の蛍光物質を含むのが好ましい。
基材における、蛍光塗膜との積層順は、特に限定されない。また、基材又は各塗膜間に、さらに別の塗膜を有していてもよい。
本塗膜付き基材は、基材と、蛍光塗膜と、本塗膜と、をこの順に有する塗膜が好ましい。特に、蛍光物質の水に対する耐性が低い場合に、蛍光塗膜よりも本塗膜を表面側に配置することで、生物付着防止性がより持続する。
基材における、蛍光塗膜との積層順は、特に限定されない。また、基材又は各塗膜間に、さらに別の塗膜を有していてもよい。
本塗膜付き基材は、基材と、蛍光塗膜と、本塗膜と、をこの順に有する塗膜が好ましい。特に、蛍光物質の水に対する耐性が低い場合に、蛍光塗膜よりも本塗膜を表面側に配置することで、生物付着防止性がより持続する。
蛍光塗膜は、蛍光物質と、蛍光物質を溶解又は分散させる樹脂とを含めばよく、樹脂としては、含フッ素重合体、及び含フッ素重合体以外の樹脂として上述した樹脂が挙げられる。
蛍光塗膜は、上記樹脂の100質量部に対して、蛍光物質を5〜200質量部含むことが好ましく、10〜100質量部含むことが特に好ましく、30〜60質量部含むことが特に好ましい。
蛍光塗膜は、蛍光塗膜の全質量に対して、蛍光物質を5〜50質量%含むことが好ましく、15〜30質量%含むことが特に好ましい。
蛍光塗膜は、蛍光物質と、樹脂と、必要に応じて塗料溶媒を含む蛍光塗料から形成されればよい。
蛍光塗膜は、上記樹脂の100質量部に対して、蛍光物質を5〜200質量部含むことが好ましく、10〜100質量部含むことが特に好ましく、30〜60質量部含むことが特に好ましい。
蛍光塗膜は、蛍光塗膜の全質量に対して、蛍光物質を5〜50質量%含むことが好ましく、15〜30質量%含むことが特に好ましい。
蛍光塗膜は、蛍光物質と、樹脂と、必要に応じて塗料溶媒を含む蛍光塗料から形成されればよい。
本塗膜及び蛍光塗膜を有する本塗膜付き基材は、さらに着色塗膜を含むことが好ましい。着色塗膜とは、蛍光物質を含まないか、蛍光塗膜よりも少ない量の蛍光物質を含み、顔料等により着色されている塗膜である。
本塗膜付き基材は、着色塗膜を、蛍光塗膜よりも基材側に有することが好ましい。つまり、本塗膜付き基材は、基材と、着色塗膜と、蛍光塗膜と、本塗膜と、をこの順に有することが好ましい。この場合、本塗膜付き基材に入射した光が、着色塗膜表面において反射及び散乱する。そのため、蛍光塗膜において、蛍光物質が光を効率的に蓄積でき、発光の効果が持続するため、本塗膜の生物付着防止性が向上する。
したがって、着色塗膜としては、光の反射率が高い塗膜が好ましく、酸化チタン等の白色の顔料により白色である塗膜が特に好ましい。
本塗膜付き基材は、着色塗膜を、蛍光塗膜よりも基材側に有することが好ましい。つまり、本塗膜付き基材は、基材と、着色塗膜と、蛍光塗膜と、本塗膜と、をこの順に有することが好ましい。この場合、本塗膜付き基材に入射した光が、着色塗膜表面において反射及び散乱する。そのため、蛍光塗膜において、蛍光物質が光を効率的に蓄積でき、発光の効果が持続するため、本塗膜の生物付着防止性が向上する。
したがって、着色塗膜としては、光の反射率が高い塗膜が好ましく、酸化チタン等の白色の顔料により白色である塗膜が特に好ましい。
本塗料は、生物付着防止性が求められる構造物に塗装する場合に好適である。このような構造物としては、海洋、湖、河川、それらの近傍等において使用される水中構造物や水上構造物等が挙げられる。より具体的には、臨界設備(発電所の取水・放水口、発電所の配水管(冷却水配管)、橋梁、防波堤、海底ケーブル、タンク、パイプライン、海底掘削設備等)、漁網、波消ブロック、フロート、船舶の船体(特に船底部や喫水部)、船舶のスクリュー、船舶の錨等が挙げられる。また、本塗料は、上水管、下水管、貯水槽、排水ユニット、浴槽、便器、手洗器等の屋内水回り物品、換気扇等にも使用できる。
本塗料は、臨海設備や船底等の、厳しい環境下に曝され続け耐候性も要求される構造物に塗装する場合に、特に好適である。
本塗料によって付着防止効果が得られる生物としては、貝類、藻類、甲殻類等の水生生物、湿潤環境下又は接水環境下に生息する生物が挙げられる。特に効果が得られる生物としては、海洋生物(フジツボ、ムラサキイガイ等)が挙げられる。
本塗料は、臨海設備や船底等の、厳しい環境下に曝され続け耐候性も要求される構造物に塗装する場合に、特に好適である。
本塗料によって付着防止効果が得られる生物としては、貝類、藻類、甲殻類等の水生生物、湿潤環境下又は接水環境下に生息する生物が挙げられる。特に効果が得られる生物としては、海洋生物(フジツボ、ムラサキイガイ等)が挙げられる。
本発明によれば、基材の表面に、含フッ素重合体と、添加剤の少なくとも一種を含む塗料を用いて塗膜を形成して、基材に生物が付着するのを防止する方法が提供される。この方法においては、本塗膜から、酸又は塩基が徐々に滲み出るため、基材に生物が付着することを長期に渡って防止することができる。
生物付着防止性を付与する一般的な方法としては、銅酸化物又は錫酸化物等の活性物質を含む塗料により基材に塗膜を形成する方法、生分解性樹脂をシート状に成形して基材として用いる方法等がある。しかし、本塗料は、銅酸化物又は錫酸化物等の活性物質を含む塗料を用いる場合と比較して環境負荷が少ない。また本塗料は現場施工が容易であるので、成形し貼付して用いる必要のある生分解性樹脂と比較して、臨界設備又は船舶の船体等において直接の塗布及び塗り替えが可能である点で作業性に優れる。同時に、シート状の成形物を貼付する場合に問題となる貼付部からの劣化がない点でも好適である。また、後述する実施例に示すように、生分解性樹脂を塗料化して用いる場合よりも、生物付着防止性の持続性にも優れる。したがって、本発明によれば、特に臨海設備や船舶の船体において、生物が付着するのを防止する優れた方法を提供できる。
生物付着防止性を付与する一般的な方法としては、銅酸化物又は錫酸化物等の活性物質を含む塗料により基材に塗膜を形成する方法、生分解性樹脂をシート状に成形して基材として用いる方法等がある。しかし、本塗料は、銅酸化物又は錫酸化物等の活性物質を含む塗料を用いる場合と比較して環境負荷が少ない。また本塗料は現場施工が容易であるので、成形し貼付して用いる必要のある生分解性樹脂と比較して、臨界設備又は船舶の船体等において直接の塗布及び塗り替えが可能である点で作業性に優れる。同時に、シート状の成形物を貼付する場合に問題となる貼付部からの劣化がない点でも好適である。また、後述する実施例に示すように、生分解性樹脂を塗料化して用いる場合よりも、生物付着防止性の持続性にも優れる。したがって、本発明によれば、特に臨海設備や船舶の船体において、生物が付着するのを防止する優れた方法を提供できる。
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし本発明はこれらの例に限定されない。なお、例1〜15及び19〜24は実施例の塗料であり、例16〜18比較例の塗料である。また、試験板1〜15、19〜24、及び31〜34は実施例の塗料を用いた塗膜を有する試験板であり、試験板16〜18及び25〜30は実施例の塗料を用いた塗膜を有しない試験板である。
<成分の略称>
単量体:クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、CH2=CHO−CH2−cycloC6H10−CH2−(OCH2CH2)15OH(CM−EOVE。ポリオキシアルキレン鎖を有する単量体)、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル(CHMVE)、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、
ノニオン性界面活性剤:Newcol−2320(日本乳化剤社製)
アニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ社製)
単量体:クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、CH2=CHO−CH2−cycloC6H10−CH2−(OCH2CH2)15OH(CM−EOVE。ポリオキシアルキレン鎖を有する単量体)、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル(CHMVE)、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、
ノニオン性界面活性剤:Newcol−2320(日本乳化剤社製)
アニオン性界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ社製)
造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノ(2−メチルプロパネート)
増粘剤:レオレート288(エレメンティスジャパン社製)
硬化剤1:水分散型イソシアネート硬化剤(バイヒジュール3100、住化バイエル社製)
硬化剤2:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のヌレートタイプのポリイソシアネート樹脂(コロネートHX、日本ポリウレタン社製)
硬化触媒:ジブチルチンジラウレート
増粘剤:レオレート288(エレメンティスジャパン社製)
硬化剤1:水分散型イソシアネート硬化剤(バイヒジュール3100、住化バイエル社製)
硬化剤2:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のヌレートタイプのポリイソシアネート樹脂(コロネートHX、日本ポリウレタン社製)
硬化触媒:ジブチルチンジラウレート
添加剤1:Tris(4−methylphenyl)sulfonium hexafluorophosphate(分子量450、λMAX242nm、光酸発生剤)
添加剤2:Tris(4−methylphenyl)sulfonium trifluoromethansulfonate(分子量455、λMAX242nm、光酸発生剤)
添加剤3:Tris(aryl)sulfonium hexafluoroantimonate(分子量606、λMAX365nm、光酸発生剤)
添加剤4:1,2−Diisopropyl−3−[Bis(dimethylamino)methylene]guanidium 2−(3−benzoylphenyl)propionate(分子量495.67、λMAX254nm、光塩基発生剤)
添加剤5:1,2−Dicyclohexyl−4,4,5,5−tetramethylbiguanidium n−butyltriphenylborate(分子量621.75、λMAX254nm、光塩基発生剤)
添加剤2:Tris(4−methylphenyl)sulfonium trifluoromethansulfonate(分子量455、λMAX242nm、光酸発生剤)
添加剤3:Tris(aryl)sulfonium hexafluoroantimonate(分子量606、λMAX365nm、光酸発生剤)
添加剤4:1,2−Diisopropyl−3−[Bis(dimethylamino)methylene]guanidium 2−(3−benzoylphenyl)propionate(分子量495.67、λMAX254nm、光塩基発生剤)
添加剤5:1,2−Dicyclohexyl−4,4,5,5−tetramethylbiguanidium n−butyltriphenylborate(分子量621.75、λMAX254nm、光塩基発生剤)
顔料1:V−300M(根本特殊化学社商品、ユーロピウム及びネオジムの酸化物により賦活されているアルミン酸化物。無機系の蛍光蓄光顔料)
顔料2:D−918(堺化学工業社商品、酸化チタンを含む白色顔料)
顔料2:D−918(堺化学工業社商品、酸化チタンを含む白色顔料)
[含フッ素重合体1の製造例]
オートクレーブに、CTFE(434g)、CM−EOVE(124g)、CHVE(259g)、EVE(107g)、イオン交換水(1031g)、炭酸カリウム(2.1g)、過硫酸アンモニウム(1.0g)、及びアニオン性界面活性剤(2.1g)を導入し、60℃にて24時間重合した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過し、固形分濃度を50質量%に調整して、含フッ素重合体1が水中に粒子状に分散している分散液1(含フッ素重合体の粒子の平均粒子径80nm)を得た。
含フッ素重合体1は、含フッ素重合体1が含む全単位に対して、CTFE、CM−EOVE、CHVE、EVEのそれぞれに基づく単位をこの順に、50モル%、2モル%、28モル%、20モル%含む、水酸基価が11mgKOH/gである重合体であった。
オートクレーブに、CTFE(434g)、CM−EOVE(124g)、CHVE(259g)、EVE(107g)、イオン交換水(1031g)、炭酸カリウム(2.1g)、過硫酸アンモニウム(1.0g)、及びアニオン性界面活性剤(2.1g)を導入し、60℃にて24時間重合した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過し、固形分濃度を50質量%に調整して、含フッ素重合体1が水中に粒子状に分散している分散液1(含フッ素重合体の粒子の平均粒子径80nm)を得た。
含フッ素重合体1は、含フッ素重合体1が含む全単位に対して、CTFE、CM−EOVE、CHVE、EVEのそれぞれに基づく単位をこの順に、50モル%、2モル%、28モル%、20モル%含む、水酸基価が11mgKOH/gである重合体であった。
[含フッ素重合体2の製造例]
オートクレーブに、CTFE(664g)、CM−EOVE(47g)、CHMVE(194g)、CHVE(244g)、EVE(185g)、イオン交換水(1280g)、炭酸カリウム(2.0g)、過硫酸アンモニウム(1.3g)、ノニオン性界面活性剤(33g)、及びアニオン性界面活性剤(1.4g)を導入し、60℃にて24時間重合した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過し、固形分濃度を50質量%に調整して、含フッ素重合体2が水中に粒子状に分散している分散液2(含フッ素重合体の粒子の平均粒子径140nm)を得た。
含フッ素重合体2は、含フッ素重合体2が含む全単位に対して、CTFE、CM−EOVE、CHMVE、CHVE、EVEのそれぞれに基づく単位をこの順に、50モル%、0.5モル%、10モル%、17モル%、22.5モル%含む、水酸基価が49mgKOH/gである重合体であった。
オートクレーブに、CTFE(664g)、CM−EOVE(47g)、CHMVE(194g)、CHVE(244g)、EVE(185g)、イオン交換水(1280g)、炭酸カリウム(2.0g)、過硫酸アンモニウム(1.3g)、ノニオン性界面活性剤(33g)、及びアニオン性界面活性剤(1.4g)を導入し、60℃にて24時間重合した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過し、固形分濃度を50質量%に調整して、含フッ素重合体2が水中に粒子状に分散している分散液2(含フッ素重合体の粒子の平均粒子径140nm)を得た。
含フッ素重合体2は、含フッ素重合体2が含む全単位に対して、CTFE、CM−EOVE、CHMVE、CHVE、EVEのそれぞれに基づく単位をこの順に、50モル%、0.5モル%、10モル%、17モル%、22.5モル%含む、水酸基価が49mgKOH/gである重合体であった。
[含フッ素重合体3の製造例]
オートクレーブに、CTFE(659g)、HBVE(132g)、CHVE(214g)、EVE(212g)、キシレン(590g)、エタノール(170g)、炭酸カリウム(11g)、及びパーブチルピバレード(7g)を導入し、65℃にて10時間重合した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過し、固形分濃度を60質量%に調整して、含フッ素重合体3が有機溶剤中に溶解している溶液3を得た。
含フッ素重合体3は、含フッ素重合体2が含む全単位に対して、CTFE、HBVE、CHVE、EVEのそれぞれに基づく単位をこの順に、50モル%、10モル%、15モル%、25モル%含む、水酸基価が52mgKOH/gである重合体であった。
オートクレーブに、CTFE(659g)、HBVE(132g)、CHVE(214g)、EVE(212g)、キシレン(590g)、エタノール(170g)、炭酸カリウム(11g)、及びパーブチルピバレード(7g)を導入し、65℃にて10時間重合した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過し、固形分濃度を60質量%に調整して、含フッ素重合体3が有機溶剤中に溶解している溶液3を得た。
含フッ素重合体3は、含フッ素重合体2が含む全単位に対して、CTFE、HBVE、CHVE、EVEのそれぞれに基づく単位をこの順に、50モル%、10モル%、15モル%、25モル%含む、水酸基価が52mgKOH/gである重合体であった。
[例1〜5:塗料s1〜s5の製造]
分散液1(100.0g)に、造膜助剤(7.5g)、増粘剤(0.1g)、硬化剤1(5.4g)、及び添加剤1(2.4g)を加え、よく混合して、塗料s1を得た。
塗料s1の製造において、添加剤1を、表1に示すように、添加剤2〜5に変更する以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s2〜s5を得た。
分散液1(100.0g)に、造膜助剤(7.5g)、増粘剤(0.1g)、硬化剤1(5.4g)、及び添加剤1(2.4g)を加え、よく混合して、塗料s1を得た。
塗料s1の製造において、添加剤1を、表1に示すように、添加剤2〜5に変更する以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s2〜s5を得た。
[例6〜10:塗料s6〜s10の製造]
塗料s1〜s5の製造において、水性分散液1を、表1に示すように、水性分散液2に変更する以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s6〜s10を得た。
塗料s1〜s5の製造において、水性分散液1を、表1に示すように、水性分散液2に変更する以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s6〜s10を得た。
[例11〜15:塗料s11〜s15の製造]
溶液3(100.0g)に、硬化触媒(キシレンで10−4倍に希釈して3gとしたもの)、硬化剤2(6.5g)、及び添加剤1(2.4g)を加えて混合し、塗料s11を得た。
塗料s11の製造において、添加剤1を、表1に示すように、添加剤2〜5に変更する以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s12〜s15を得た。
溶液3(100.0g)に、硬化触媒(キシレンで10−4倍に希釈して3gとしたもの)、硬化剤2(6.5g)、及び添加剤1(2.4g)を加えて混合し、塗料s11を得た。
塗料s11の製造において、添加剤1を、表1に示すように、添加剤2〜5に変更する以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s12〜s15を得た。
[例16〜18:塗料16〜18の製造]
塗料s1、s6、s11の製造において、添加剤1を加えない以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s16〜s18を得た。
[例19〜24:塗料s19〜s24の製造]
塗料s1、s5、s6、s10、s11及びs15の製造において、各例で使用している添加剤の量を表1に示すように変更する以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s19〜s24を得た。
塗料s1、s6、s11の製造において、添加剤1を加えない以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s16〜s18を得た。
[例19〜24:塗料s19〜s24の製造]
塗料s1、s5、s6、s10、s11及びs15の製造において、各例で使用している添加剤の量を表1に示すように変更する以外は同様に実施して、それぞれ、塗料s19〜s24を得た。
[蛍光塗料の製造]
溶液1(16.7g)、キシレン(43.3g)、及び顔料1(40.0g)を混合・分散してミルベースを得た。このミルベース(38.2g)、溶液1(52.1g)、キシレン(7.2g)、硬化触媒(2.5g、)及び硬化剤(6.4g)を混合・分散して蛍光塗料を得た。
[着色塗料の製造]
蛍光塗料の製造において、顔料1を顔料2に変更する以外は同様にして、白色の着色塗料を得た。
溶液1(16.7g)、キシレン(43.3g)、及び顔料1(40.0g)を混合・分散してミルベースを得た。このミルベース(38.2g)、溶液1(52.1g)、キシレン(7.2g)、硬化触媒(2.5g、)及び硬化剤(6.4g)を混合・分散して蛍光塗料を得た。
[着色塗料の製造]
蛍光塗料の製造において、顔料1を顔料2に変更する以外は同様にして、白色の着色塗料を得た。
[試験板1の製造]
アルミニウム基材の両面に、エポキシ樹脂系塗料(中国塗料社製。製品名「SEAJET 013 主剤」と製品名「SEAJET 013 硬化剤」を、質量比4:1で混合した下塗り塗料)を刷毛塗りし、常温(25℃)で1週間乾燥させて、下塗り塗膜(膜厚60μm)付きアルミニウム基材を得た。得られた基材の、下塗り塗膜上に、塗料s1をアプリケーターで塗装し、常温で2週間乾燥させて、含フッ素重合体1と添加剤1とを含む塗膜(膜厚30μm)付き試験板1を得た。
アルミニウム基材の両面に、エポキシ樹脂系塗料(中国塗料社製。製品名「SEAJET 013 主剤」と製品名「SEAJET 013 硬化剤」を、質量比4:1で混合した下塗り塗料)を刷毛塗りし、常温(25℃)で1週間乾燥させて、下塗り塗膜(膜厚60μm)付きアルミニウム基材を得た。得られた基材の、下塗り塗膜上に、塗料s1をアプリケーターで塗装し、常温で2週間乾燥させて、含フッ素重合体1と添加剤1とを含む塗膜(膜厚30μm)付き試験板1を得た。
[試験板2〜24の製造]
試験板1の製造において、塗料s1の代りに塗料s2〜s24を使用した以外は同様に実施して、試験板2〜24を得た。
試験板1の製造において、塗料s1の代りに塗料s2〜s24を使用した以外は同様に実施して、試験板2〜24を得た。
[試験板25の製造]
試験板16の塗膜上に、ヒドロキシ安息香酸とシクロヘキサンジカルボン酸とを脱水縮合して得られる加水分解性の重合体aを含む溶液(重合体a濃度50質量%)及び添加剤1を混合して得られる上塗り塗料a1をアプリケーターで塗装し、次いで、25℃で1週間乾燥させて、加水分解性膜(膜厚30μm)を形成した。これにより、試験板16の塗膜上に形成された、重合体aおよび表3に記載の添加剤を含み含フッ素重合体を含まない、塗膜付き試験板25を得た。
試験板16の塗膜上に、ヒドロキシ安息香酸とシクロヘキサンジカルボン酸とを脱水縮合して得られる加水分解性の重合体aを含む溶液(重合体a濃度50質量%)及び添加剤1を混合して得られる上塗り塗料a1をアプリケーターで塗装し、次いで、25℃で1週間乾燥させて、加水分解性膜(膜厚30μm)を形成した。これにより、試験板16の塗膜上に形成された、重合体aおよび表3に記載の添加剤を含み含フッ素重合体を含まない、塗膜付き試験板25を得た。
[試験板26、27の製造]
試験板25の製造において、試験板16の代りに試験板17を使用した以外は同様にして、試験板26を得た。また、試験板16の代りに試験板18を使用した以外は同様に実施して、試験板27を得た。
試験板25の製造において、試験板16の代りに試験板17を使用した以外は同様にして、試験板26を得た。また、試験板16の代りに試験板18を使用した以外は同様に実施して、試験板27を得た。
[試験板28〜30の製造]
試験板25〜27の製造において、塗料a1の代りに、重合体aを含む溶液及び添加剤5を混合して得られる上塗り塗料a2を使用した以外は同様に実施して、それぞれ、試験板28〜30を得た。
試験板25〜27の製造において、塗料a1の代りに、重合体aを含む溶液及び添加剤5を混合して得られる上塗り塗料a2を使用した以外は同様に実施して、それぞれ、試験板28〜30を得た。
[試験板31の製造]
アルミニウム基材の両面に、エポキシ樹脂系塗料(中国塗料社製。製品名「SEAJET 013 主剤」と製品名「SEAJET 013 硬化剤」を、質量比4:1で混合した下塗り塗料)を刷毛塗りし、常温(25℃)で1週間乾燥させて、下塗り塗膜(膜厚60μm)を形成した。
次いで、該下塗り塗膜上に、着色塗料をアプリケーターで塗装し、25℃で1週間乾燥させて、白色の着色塗膜(膜厚30μm)を形成した。
次いで、該着色塗膜上に、蛍光塗料をアプリケーターで塗装し、25℃で1週間乾燥させて、蛍光塗膜(膜厚180μm)を形成した。
最後に、該蛍光塗膜上に、塗料s23をアプリケーターで塗装し、常温(25℃)で1週間乾燥させて、含フッ素重合体3と、添加剤1とを含む上塗り塗膜(膜厚30μm)を形成した。以上により、下塗り塗膜と、着色塗膜と、蛍光塗膜と、含フッ素重合体1及び添加剤1を含む上塗り塗膜と、がこの順に積層されている試験板31を得た。
アルミニウム基材の両面に、エポキシ樹脂系塗料(中国塗料社製。製品名「SEAJET 013 主剤」と製品名「SEAJET 013 硬化剤」を、質量比4:1で混合した下塗り塗料)を刷毛塗りし、常温(25℃)で1週間乾燥させて、下塗り塗膜(膜厚60μm)を形成した。
次いで、該下塗り塗膜上に、着色塗料をアプリケーターで塗装し、25℃で1週間乾燥させて、白色の着色塗膜(膜厚30μm)を形成した。
次いで、該着色塗膜上に、蛍光塗料をアプリケーターで塗装し、25℃で1週間乾燥させて、蛍光塗膜(膜厚180μm)を形成した。
最後に、該蛍光塗膜上に、塗料s23をアプリケーターで塗装し、常温(25℃)で1週間乾燥させて、含フッ素重合体3と、添加剤1とを含む上塗り塗膜(膜厚30μm)を形成した。以上により、下塗り塗膜と、着色塗膜と、蛍光塗膜と、含フッ素重合体1及び添加剤1を含む上塗り塗膜と、がこの順に積層されている試験板31を得た。
[試験板32の製造]
試験板31の製造において、蛍光塗料の代りに着色塗料を用いる以外は同様にして、下塗り塗膜と、着色塗膜の2層と、上塗り塗膜と、がこの順に積層されている試験板32を得た。
[試験板33、34の製造]
試験板31、32の製造において、塗料s23の代りに塗料s24を用いる以外は同様に実施して、それぞれ、試験板33、34を得た。
試験板31の製造において、蛍光塗料の代りに着色塗料を用いる以外は同様にして、下塗り塗膜と、着色塗膜の2層と、上塗り塗膜と、がこの順に積層されている試験板32を得た。
[試験板33、34の製造]
試験板31、32の製造において、塗料s23の代りに塗料s24を用いる以外は同様に実施して、それぞれ、試験板33、34を得た。
上記で得られた試験板1〜34の生物付着防止性について、下記の評価を行った。
<評価1−1>
試験板のそれぞれを、海中浸漬(水深1m)して、4か月後のフジツボや貝類の付着状態を目視観察した。なお、海中浸漬場所は瀬戸内海であり、海中浸漬に際して、試験板は塗膜側が南を向くように設置した。評価基準を以下に示す。
SS:塗膜表面へのフジツボや貝類の付着はなかった。
S:塗膜表面の0%超20%以下の面積に、フジツボや貝類の付着が認められた。
A:塗膜表面の20%超50%以下の面積に、フジツボや貝類の付着が認められた。
B:塗膜表面の50%超70%以下の面積に、フジツボや貝類の付着が認められた。
C:塗膜表面の70%超の面積にフジツボや貝類の付着が認められた。
<評価1−1>
試験板のそれぞれを、海中浸漬(水深1m)して、4か月後のフジツボや貝類の付着状態を目視観察した。なお、海中浸漬場所は瀬戸内海であり、海中浸漬に際して、試験板は塗膜側が南を向くように設置した。評価基準を以下に示す。
SS:塗膜表面へのフジツボや貝類の付着はなかった。
S:塗膜表面の0%超20%以下の面積に、フジツボや貝類の付着が認められた。
A:塗膜表面の20%超50%以下の面積に、フジツボや貝類の付着が認められた。
B:塗膜表面の50%超70%以下の面積に、フジツボや貝類の付着が認められた。
C:塗膜表面の70%超の面積にフジツボや貝類の付着が認められた。
<評価1−2>
4か月後の付着状態の代りに1年後の付着状態を目視観察する以外は、評価1−1と同様に実施して評価した。
4か月後の付着状態の代りに1年後の付着状態を目視観察する以外は、評価1−1と同様に実施して評価した。
<評価2>
試験板のそれぞれについて、JIS Z 2911に準拠した寒天培地法により、塗膜表面への藻の発生を確認した。使用した藻の種類は、クロレラ属とオシラトリア属である。評価基準を以下に示す。
SS:塗膜表面への藻の付着はなかった。
S:塗膜表面の0%超10%以下の面積に、藻の付着が認められた。
A:塗膜表面の10%超30%以下の面積に、藻の付着が認められた。
B:塗膜表面の30%超50%以下の面積に、藻の付着が認められた。
C:塗膜表面の50%超の面積に藻の付着が認められた。
試験板のそれぞれについて、JIS Z 2911に準拠した寒天培地法により、塗膜表面への藻の発生を確認した。使用した藻の種類は、クロレラ属とオシラトリア属である。評価基準を以下に示す。
SS:塗膜表面への藻の付着はなかった。
S:塗膜表面の0%超10%以下の面積に、藻の付着が認められた。
A:塗膜表面の10%超30%以下の面積に、藻の付着が認められた。
B:塗膜表面の30%超50%以下の面積に、藻の付着が認められた。
C:塗膜表面の50%超の面積に藻の付着が認められた。
上記した評価結果を表1〜4に示す。
表1〜3における「塗料の番号」及び「塗料の成分」は、各試験板において最表面に配置されている塗膜を形成するために用いた塗料のものである。なお、表1、2中の「XF」は、塗料中の含フッ素重合体の100質量部に対する添加剤の含有量(質量部)である。表3中の「XC」は、塗料中の加水分解性重合体の100質量部に対する添加剤の含有量(質量部)である。
また、表4において、蛍光塗膜欄には、試験板における蛍光塗膜の有無を記載し、上塗り塗膜欄には、上塗り塗膜の形成に用いた塗料を記載した。
表1〜3における「塗料の番号」及び「塗料の成分」は、各試験板において最表面に配置されている塗膜を形成するために用いた塗料のものである。なお、表1、2中の「XF」は、塗料中の含フッ素重合体の100質量部に対する添加剤の含有量(質量部)である。表3中の「XC」は、塗料中の加水分解性重合体の100質量部に対する添加剤の含有量(質量部)である。
また、表4において、蛍光塗膜欄には、試験板における蛍光塗膜の有無を記載し、上塗り塗膜欄には、上塗り塗膜の形成に用いた塗料を記載した。
表1〜4より、含フッ素重合体と、添加剤の少なくとも一種を含む塗料は、生物付着防止性に優れる塗膜を形成することが示された。それらの塗膜は、特にフジツボの幼生に対する付着防止作用に優れていた。
また、含フッ素重合体と光酸発生剤を含む塗膜は甲殻類や貝類の付着防止に特に優れ、含フッ素重合体と光塩基発生剤を含む塗膜は藻類の付着防止に特に優れていた。
また、含フッ素重合体と光酸発生剤を含む塗膜は甲殻類や貝類の付着防止に特に優れ、含フッ素重合体と光塩基発生剤を含む塗膜は藻類の付着防止に特に優れていた。
なお、2017年12月28日に出願された日本特許出願2017−253750号及び2018年8月6日に出願された日本特許出願2018−147780号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (15)
- 含フッ素重合体と、酸発生剤及び塩基発生剤からなる群から選択される添加剤の少なくとも一種を含むことを特徴とする生物付着防止塗料。
- 前記含フッ素重合体の100質量部に対して、前記添加剤の少なくとも一種を0.01〜30質量部含む、請求項1に記載の塗料。
- 前記添加剤が、フェニル基、アリーレン基、フリル基、及びトリアジリル基からなる群から選択される少なくとも1種の基を有する化合物である、請求項1又は2に記載の塗料。
- 前記添加剤が、光の吸収ピークを有し、かつ該ピークのうち、ピークトップに該当する波長λMAXを有する光の照射により分解して酸又は塩基を発生する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料。
- 前記波長λMAXが、150〜500nmである、請求項4に記載の塗料。
- 前記添加剤の分子量が、100〜1,000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料。
- 含フッ素重合体と前記添加剤の2種以上を含み、該2種以上の添加剤における前記波長λMAXがそれぞれ異なる、請求項5又は6に記載の塗料。
- 前記2種以上の添加剤における前記波長λMAXの差の絶対値が、10〜200nmである、請求項7に記載の塗料。
- 前記含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位及び親水性基を有する単位を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗料。
- 前記親水性基が、親水性のポリオキシアルキレン鎖を有する基である、請求項9に記載の塗料。
- さらに、蛍光物質を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の塗料。
- 臨海設備又は船底に塗装される塗料である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の塗料。
- 基材の表面に、蛍光物質を含む塗膜と、請求項1〜11のいずれか1項に記載の塗料から形成された塗膜と、を有する塗膜付き基材。
- 前記蛍光物質が、ユーロピウム及びネオジムからなる群から選択される少なくとも一種の酸化物によって賦活されている無機系の蛍光顔料である、請求項13に記載の塗膜付き基材。
- 基材の表面に、請求項1〜14のいずれか1項に記載の塗料を用いて塗膜を形成して、基材に生物が付着するのを防止する方法。
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017253750 | 2017-12-28 | ||
JP2017253750 | 2017-12-28 | ||
JP2018147780 | 2018-08-06 | ||
JP2018147780 | 2018-08-06 | ||
PCT/JP2018/047943 WO2019131797A1 (ja) | 2017-12-28 | 2018-12-26 | 生物付着防止塗料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2019131797A1 true JPWO2019131797A1 (ja) | 2020-12-24 |
Family
ID=67067506
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019562127A Pending JPWO2019131797A1 (ja) | 2017-12-28 | 2018-12-26 | 生物付着防止塗料 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2019131797A1 (ja) |
WO (1) | WO2019131797A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7275954B2 (ja) * | 2019-07-17 | 2023-05-18 | 住友電気工業株式会社 | ダイナミックケーブル、ダイナミックケーブルの製造方法およびダイナミックケーブルの布設方法 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20070258940A1 (en) * | 2006-05-04 | 2007-11-08 | Willard Charlson Hamilton | Hydrophilic fouling-release coatings and uses thereof |
JP5685407B2 (ja) * | 2010-09-07 | 2015-03-18 | 株式会社カネカ | 塗料用樹脂組成物 |
JPWO2013051669A1 (ja) * | 2011-10-05 | 2015-03-30 | 旭硝子株式会社 | 含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体とアルコキシシラン化合物とを含有する組成物、該組成物から形成する硬化物および該硬化物からなるフィルム |
JP6289487B2 (ja) * | 2012-11-13 | 2018-03-07 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 硬化性防汚組成物、使用方法及び物品 |
JP2015086312A (ja) * | 2013-10-31 | 2015-05-07 | 旭硝子株式会社 | 蛍光塗料組成物及び物品 |
JP2017101205A (ja) * | 2015-12-04 | 2017-06-08 | クレハ合繊株式会社 | 成形体並びにこれを用いたシート、繊維、糸、及び魚網 |
WO2017104766A1 (ja) * | 2015-12-18 | 2017-06-22 | 旭硝子株式会社 | 水性分散液、含フッ素塗料組成物、塗装物品 |
-
2018
- 2018-12-26 WO PCT/JP2018/047943 patent/WO2019131797A1/ja active Application Filing
- 2018-12-26 JP JP2019562127A patent/JPWO2019131797A1/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2019131797A1 (ja) | 2019-07-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5815730B2 (ja) | 防汚塗料組成物、防汚塗膜および防汚基材、ならびに防汚基材の製造方法 | |
JP6663928B2 (ja) | 防汚性複合塗膜、防汚基材、および該防汚基材の製造方法 | |
TW200540237A (en) | Antifouling compositions comprising a polymer with salt groups | |
US20130102708A1 (en) | Antifouling coating composition, antifouling coating film, and antifouling method for substrate | |
KR20150138354A (ko) | 방오 도료 조성물, 방오 도막, 방오 기재 및 방오 기재의 제조방법 | |
JP6909894B2 (ja) | 防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚基材及びその製造方法 | |
JP6676654B2 (ja) | 防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚基材、および該防汚基材の製造方法 | |
CN1618828A (zh) | 船舶涂料用含三芳基甲硅烷基(甲基)丙烯酰基的共聚物 | |
JPWO2018088377A1 (ja) | 防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材及びその製造方法、並びに防汚方法 | |
JPWO2019131797A1 (ja) | 生物付着防止塗料 | |
JP6948391B2 (ja) | 積層防汚塗膜、積層防汚塗膜付き基材及びその製造方法、積層防汚塗膜形成用塗料キット、上層防汚塗料組成物、並びに防汚方法 | |
JP2005060510A (ja) | 塗料組成物、防汚塗膜、防汚性水中構造物、及び防汚方法 | |
WO2017104766A1 (ja) | 水性分散液、含フッ素塗料組成物、塗装物品 | |
JP6992756B2 (ja) | 生物付着防止塗料 | |
KR20130098940A (ko) | 자기마모형 방오 도료 조성물, 이에 의해 형성된 방오 도막, 이를 이용한 방오 방법 및 방오 도막으로 피복된 수중 구조물 | |
JP6992757B2 (ja) | 生物付着防止塗料 | |
WO2017110926A1 (ja) | 防汚コーティング材 | |
CN113444418A (zh) | 防污涂料组合物 | |
JP2022024015A (ja) | 防汚塗料組成物 | |
JP2021123712A (ja) | 組成物、硬化膜、積層体、船舶、水中構造物、医療デバイス、及び、マイクロ流路チップ | |
JP2018062547A (ja) | 生物付着防止塗料 | |
JP2006283160A (ja) | 被覆鋼材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20210827 |