JPWO2019093493A1 - 飲料用水素含有水製品並びに箱詰めキット - Google Patents

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Abstract

【課題】製造から一定期間経過後においても酸化還元電位を低い値に維持し、そして溶存水素濃度を高い値に維持することができる飲料用水素含有水製品を提供すること。【解決手段】開封可能な容器と、該容器内に充填されそして密封された水素含有水と、該水素含有水中に溶存する水素濃度低下抑制剤とを有する、飲料用水素含有水製品、並びに前記開封可能な容器が袋状の容器の一形態であるストロー付包装容器又はスパウト付包装容器であるところの飲料用水素含有水製品の箱詰めキットであって、該飲料用水素含有水製品のストロー付包装容器又はスパウト付包装容器の容器体の底部が上を向き、反対にストロー付包装容器又はスパウト付包装容器の封止キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填されていることを特徴とする、飲料用水素含有水製品の箱詰めキット。【選択図】なし

Description

本発明は、飲料用水素含有水製品、並びに該飲料用水素含有水製品が箱内に充填されてなる箱詰めキットに関する。
近年、水に水素ガスを溶解させた水素含有水(単に水素水ともいう)は、高い還元性を有することから、金属の酸化や食品類の腐敗を抑制する効果があるとされ、また飲用へ転用した場合には様々な健康障害の改善を期待できるとして注目されている。
上述の飲用向けの水素溶解水を製造する方法としては、例えばガスボンベからの水素ガスを原水に溶解させたり、或いは水の電気分解により発生した水素ガスを原水に溶解させたりする方法がある(例えば特許文献1)。ただし、単に水素ガスを原水中に供給するだけでは、室温・大気圧下では原水中に溶存している窒素ガス、酸素ガスなどが水素ガスの溶解を邪魔するため、その溶存水素濃度は水素の飽和濃度に遠く及ばない。
また例えば空気を除去した圧力容器内に水素ガスを充填し、該圧力容器内における水素ガスの圧力を2〜10気圧に保ったまま、その圧力容器内に原水をシャワー状に散水して水素ガスと接触させることにより、水素ガスを効率よく溶解させる方法が提案されている(特許文献2)。
あるいは、水に高圧で水素ガスを噴射して超微細気泡(所謂“ナノバブル”“マイクロバブル”)を発生させ、これを水に溶解させる方法が提案されている(特許文献3)。
特開2002−254078号公報 特許第3606466号公報 特開2011−230055号公報
上述したように、より高い溶存水素濃度を実現すべく、種々の水素含有水の製造方法が提案され、そして該方法により得られる水素含有水を主にキャップが取り付けられたストロー付包装容器などに充填した飲料用水素含有水製品の提案がなされている。しかし、たとえ高濃度の溶存水素濃度を実現した水素含有水を製造できたとしても、この水素含有水をストロー付包装容器などの保存容器に充填・密封する間、或いは密封後の保存容器内において、水素含有水と空気が接触すると空気が水素含有水に溶解して水素含有水中の溶存水素濃度が低下するという問題が生じる。
本発明者は上記の課題を解決する為に鋭意検討を進めた結果、開封可能な容器、例えばストロー付包装容器などの袋状の容器に、溶存水素濃度を高めた水素含有水と、該水素含有水に溶存してなる水素濃度低下抑制剤とを充填した飲料用水素含有水製品が、長期間保存後における溶存水素濃度をより高い値に維持することができることを見出した。
また本発明者らは、上記の飲料用水素含有水製品において、該容器内の水素含有水の水面より上方の空間に、充填後の加熱処理により生成されそしてその後少なくとも90日経過後においても存在するガス雰囲気を少なくとも前記加熱処理後において有してなるものとすることにより、このガス雰囲気の存在により、製造から一定期間経過後においても水素含有水の酸化還元電位を低い値に、溶存水素濃度をより高い値に、維持することができることを見出した。
さらに本発明者らは、上記飲料用水素含有水製品において、水素含有水を、容器内に加圧充填されそして密封されたものとすることにより、既存技術と比較して高い溶存水素濃度を保ったまま水素含有水を容器へ充填・密封することができ、その結果、加熱処理後に容器内部に生成される水素ガス量をこれまで以上に豊富なものとし、これにより、製造後、さらには長期間保存後においても容器内部にガス雰囲気を有する水素含有水製品となることを見出した。
そして本発明者らは、スパウト付包装容器あるいはストロー付包装容器を用いて製造した飲料用水素含有水製品を保管する際、封止キャップが下を向いた姿勢に、容器体の底部が上を向いた状態に保管することで、容器内部の水素ガスの容器外部への放出と容器外部から容器内部への空気の流入を少なくすることにより、飲料用水素含有水製品の溶存水素濃度を大きく低下させずに長期間保管できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち本発明は、開封可能な容器と、
該容器内に充填されそして密封された水素含有水と、
該水素含有水中に溶存する水素濃度低下抑制剤とを有する、
飲料用水素含有水製品に関する。
前記水素濃度低下抑制剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、ゼラチン、乳糖、麦芽糖、還元麦芽糖、ブドウ糖、デキストリン、難消化性デキストリン、結晶セルロース、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせであることが好ましい。
また前記水素濃度低下抑制剤は、前記水素含有水100mLに対して0.01mg〜100mgの割合で溶存してなることが好ましい。
さらに該容器内の水素含有水の水面より上方の空間に、充填後の加熱処理により生成されそしてその後少なくとも90日経過後においても存在するガス雰囲気を少なくとも前記加熱処理後において有してなることが好ましい。
また前記充填が加圧充填であることが好ましい。
また前記開封可能な容器がボトル缶又はイージーオープン缶であることが好ましい。
あるいは前記開封可能な容器が袋状の容器であって、前記袋状容器は、金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体からなるか、または前記袋状容器は、金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体と、該容器体にその上縁部での熱溶着により固着されてなるスパウトと、該スパウトの上端口部に螺着された封止キャップとを備えてなる、スパウト付包装容器であるか、もしくは前記袋状容器は、金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体と、ストロー下部が該容器体内に差し込まれ、該容器体にその上縁部での熱溶着により固着されてなるスパウト付ストローと、該スパウト付ストローの上端口部に螺着された封止キャップとを備えてなる、ストロー付包装容器であることが好ましい。
本発明において、前記水素含有水の酸化還元電位が、製造後常温保存下で少なくとも90日経過後において、{[−59×(90日経過後の該飲料用水素含有水製品中の水素含有水のpH値)]−170}mV以下であることが好ましい。
また前記ガス雰囲気は、水素ガス分圧が雰囲気全体圧に対して90%以上の雰囲気であることが好ましい。
そして前記充填後の加熱処理は、65℃乃至90℃の温度で、3分間乃至2時間の加熱条件にてなされることが好ましい。
さらに前記水素含有水は、0.15MPa乃至0.5MPaの負荷圧力にて前記開封可能な容器内に加圧充填されることが好ましい。
また前記水素含有水は、充填時の溶存水素濃度が大気圧下で、充填時の該水素含有水の水温における水素の水への飽和濃度以上であることが好ましい。
そして本発明の飲料用水素含有水製品において、前記容器の製品容量は、150mL乃至550mLであることが望ましい。
また本発明は、前述の飲料用水素含有水製品、特に前記開封可能な容器が袋状の容器の一形態であるスパウト付包装容器又はストロー付包装容器である飲料用水素含有水製品が箱内に装填されてなる箱詰めキットも対象とするものである。すなわち、飲料用水素含有水製品が、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記封止キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填されていることを特徴とする、飲料用水素含有水製品の箱詰めキットを対象とする。
さらに本発明は、前記水素濃度低下抑制剤が水溶性カプセルの形態、錠剤の形態、或いは粒状の形態を有する、前述の飲料用水素含有水製品も対象とする。
また、前記水溶性カプセルの形態にある水素濃度低下抑制剤が、さらに機能性原料をカプセル内に含有してなる態様、並びに、前記錠剤の形態又は粒状の形態にある水素濃度低下抑制剤が、さらに機能性原料を含んだ錠剤の形態又は粒状の形態である態様の、飲料用水素含有水製品も対象とする。
本発明の飲料用水素含有水製品は、水素含有水中に溶存する水素濃度低下抑制剤を有することにより、水素含有水の酸化還元電位を低い値に維持することができ、長期間保存後における溶存水素濃度をより高い値に維持することができる。例えば、本発明の飲料用水素含有水製品にあっては、水素濃度低下抑制剤を含まない製品と比べて、製造後360日経過後において、製造後7日経過からの酸化還元電位の変化率を約10%程度低く抑えることができる。
また本発明の飲料用水素含有水製品は、容器内の水素含有水の水面より上方の空間に、充填後の加熱処理により生成されそしてその後少なくとも90日経過後においても存在するガス雰囲気を少なくとも前記加熱処理後において有してなることにより、このガス雰囲気の存在により、製造から一定期間経過後においても水素含有水の酸化還元電位を低い値に維持することができ、長期間保存後における溶存水素濃度をより高い値に維持することができる。
さらに本発明の飲料用水素含有水製品は、水素含有水を、容器内に加圧充填されそして密封されたものとすることにより、既存技術と比較して高い溶存水素濃度を保ったまま水素含有水を容器へ充填・密封することができ、その結果、加熱処理後に容器内部に生成される水素ガス量をこれまで以上に豊富なものとし、これにより、製造後、さらには長期間保存後、例えば上記の90日経過後、さらにはそれ以降においても容器内部に豊富なガス雰囲気を有してなり、酸化還元電位をより低い値に、溶存水素濃度をより高い値に維持することを達成できる。
本発明の飲料用水素含有水製品は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、ゼラチン、乳糖、麦芽糖、還元麦芽糖、ブドウ糖、デキストリン、難消化性デキストリン、結晶セルロース、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせからなる水素濃度低下抑制剤を水素含有水中に溶存させてなることにより、水素濃度低下抑制剤を含まない製品と比べて、製造後360日経過後において、製造後7日経過からの酸化還元電位の変化率を約10%程度低く抑えることができる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、ゼラチンにあっては、8〜9%程度、乳糖、麦芽糖、還元麦芽糖、ブドウ糖、デキストリン、難消化性デキストリン、結晶セルロース、二酸化ケイ素にあっては8%程度、これらを配合していない製品と比べて、製造後360日経過後における酸化還元電位の変化率を低く抑えることができ、溶存水素濃度をより高い値に維持することを達成できる。
また本発明の箱詰めキットは、スパウト付包装容器あるいはストロー付包装容器の内部に水素含有水が充填された飲料用水素含有水製品を保管する際、容器体の底部が上を向き、封止キャップが下を向いた姿勢にて、すなわち製品を謂わば逆さ向きに箱内に装填することにより、容器内の雰囲気(空間)と外気との連通(つまりキャップやスパウトを通したガス接触)を断ち、容器内部の水素含有水の溶存水素濃度を大きく低下させることなく、水素含有水製品を長期間保管できる。
このため本発明により、長期間保管後においても水素含有水の溶存水素濃度の変化が少なく、品質の安定した水素含有水を消費者に供給することが可能となる。
図1は、本発明の飲料用水素含有水製品の一形態を示す斜視図である。 図2は、図1に示す飲料用水素含有水製品におけるストローの上端口部周辺Aの拡大図である。 図3は、本発明の飲料用水素含有水製品におけるスパウト付ストローを示す斜視図である。 図4は、本発明の箱詰めキットの一形態(実施例17)を表す斜視図である。
前述したように、これまでにも種々の水素含有水の製造方法が検討されているものの、たとえ高濃度の溶存水素濃度が実現できたとしても、水素含有水の充填・密封・保管中に、水素含有水と空気が接触して水素含有水中の溶存水素濃度が低下するという問題が生じていた。
またたとえば保存容器として汎用のストロー付包装容器を使用した場合、該ストロー付包装容器における上端口部(即ち吸口部:スパウト)やキャップの気密性を完全に保つことは難しく、僅かながら容器内部の空間と外部の空間とが連通している。このため、時間の経過と共に、ごく僅かであっても容器外部からの空気が容器内部に徐々に流入することは避けられず、そして水素含有水と空気とが接することによって起こる溶存水素濃度の低下は避けられない。
このように、水素含有水を、例えば汎用のストロー付包装容器に充填・密封した従来の水素含有水製品は、製造から期間が経過するにつれて水素含有水の溶存水素濃度が低下してしまうという問題が生じている。ストローのない袋状容器体であれば、ストローやキャップ周辺からの空気流入の問題については避けられるものの、一方で該袋状容器体から直接飲用することは困難と言え、コップ等の別の容器に移し替える際、大気と接触することによって溶存水素濃度の大幅な低下が起きるなど、別の問題が生じ得る。いずれにしても、製造後から長期間(例えば3〜6ヶ月程度の期間以上)経過した場合においても、溶存水素濃度をできるだけ高い値に維持し、酸化還元電位を低く保てる(マイナス値を維持する)水素含有水製品が求められていた。
本発明はこうした課題を解決するものであって、容器内に充填した水素含有水中に水素濃度低下抑制剤を存在させることで、水素含有水の溶存水素濃度の低下を極力抑制することを図ったものである。
以下、本発明の飲料用水素含有水製品について詳細に説明する。
<飲料用水素含有水製品>
本発明の飲料用水素含有水製品は、開封可能な容器(単に“容器”とも称する)と、該容器内に充填されそして密封された水素含有水と、該水素含有水中に溶存する水素濃度低下抑制剤とから構成される。
本発明の飲料用水素含有水製品に用いる上記開封可能な容器としては、ボトル缶(リシール缶)やイージーオープン缶(プルタブ缶、プルトップ缶)などの金属缶や、袋状の容器の形態、例えば可撓性を有する袋状容器体とスパウト付ストローと封止キャップとを備えてなるストロー付包装容器や、可撓性を有する袋状容器体とスパウトと封止キャップとを備えてなるスパウト付包装容器や、あるいは、ストローやスパウトのない袋状容器体が採用し得る。
以下、開封可能な容器の種々の形態につき、詳述する。
[袋状の容器:ストロー付包装容器]
本発明の飲料用水素含有水製品に使用するストロー付包装容器は、金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体内に、スパウト付ストローのストロー下部を差し込み、該容器体にその上縁部での熱溶着によりスパウト付ストローを固着し、該スパウト付ストローの上端口部に封止キャップを螺着してなる袋状容器、所謂「アルミパウチ」の形態の容器を使用することができる。
図1に、本発明の飲料用水素含有水製品の一形態の例を示す。図1に示す飲料用水素含有水製品1は、袋状の容器としてストロー付包装容器を採用した形態であり、容器体3とスパウト付ストロー4と封止キャップ5から構成されるストロー付包装容器2に水素含有水6が充填され、その後、該スパウト付ストロー4の上端口部42Aをキャップ5で封止された形態にある(なお水素含有水6中に溶存してなる水素濃度低下抑制剤の存在については図示を省略する)。
図2に、図1に示す飲料用水素含有水製品1のスパウト付ストロー4の上端口部42Aの周辺Aの拡大図を示す。好適な態様において、前記飲料用水素含有水製品において、加熱処理後常温に冷却された段階において容器内にガス雰囲気が存在する場合、後述するスパウト付ストローを透明あるいは半透明なものとすると、ストローの外側からガス雰囲気7の存在が確認でき(図2(a)参照:水素含有水6、ガス雰囲気7)、あるいは、前記飲料用水素含有水製品を上下に軽く揺らすと、容器内で水素含有水6が移動する様子、すなわちガス雰囲気7が移動する様子を、前記ストローの外側から目視にて確認できる(図2(b)参照:水素含有水6、ガス雰囲気7)。また該ガス雰囲気が存在する場合には、該製品を上下に軽く振ると、容器の内壁に該水素含有水が当たる音(例えば、チャプチャプ、カシャカシャなどの擬音)が発生し、この音によりガス雰囲気の存在が確認できる。
なお、このガス雰囲気の存在は、ガス検知器を用いても確認できる。例えば、飲料用水素含有水製品のキャップ近くに水素ガス検知器を設置した後、該製品のキャップを回して開封すると、水素ガス雰囲気が存在する場合には、キャップを開封した瞬間、或いは、容器を押すことにより、容器内部に存在するガス雰囲気が外に放出されて、ガス検知器が作動する。一方、ガス雰囲気が容器内に存在しない場合には、開封後においても検知器は作動しない。
[スパウト付ストロー]
本発明の飲料用水素含有水製品のストロー付包装容器に使用するスパウト付ストローの一形態の例を図3に斜視図(外観)にて示す。
図3に示すように、スパウト付ストロー4は、内容物の導入口を為すストロー部41、内容物の充填口且つ吸引口となる口部42が備えられ、上端口部42Aより後述する充填装置によって水素含有水が充填される。該口部42の下部外周には、後述する封止キャップが着脱自在に螺着できるようにするための雄ネジ部43が形成され、さらにその下方には、封止キャップを係合させるための突起部48が形成されている。さらにその下方には、充填装置に送り込まれる際、容器の供給時にガイドレールに嵌合させるためのフランジ47が形成されている。なお、図3には示されていないが、スパウト付ストロー4の上端口部42Aを封止する封止キャップの内周には、口部42の雄ネジ部43に螺合する雌ネジ部が形成されている。また、口部42の先端には、内容物を充填した後に、上端口部42Aを封止するためのシール材を設けてもよく、これにより加圧加熱殺菌しても口部42から内容物である水素含有水が漏れ出るのを防ぐことができる。前記シール材は合成樹脂フィルムと金属箔とをラミネートしたフィルム等により形成され、口部42の上端口部42Aにヒートシールなどの手段により溶着され得る。
そしてフランジ47の下方には、容器体3に熱溶着させるための熱溶着部44が設けられている。またストロー部41の上方には、孔46が設けられ、これにより内容物である水素含有水を容易に吸い出すことができる。そして、孔46形成部分の強度補強並びに、スパウト付ストロー4を容器体3に安定して配置するための耳部45が上記熱溶着部44に連続して下方に伸びるように形成されている。
本発明で使用するスパウト付ストローは、例えば低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂材料を用いて形成され得る。
また本発明で使用するスパウト付ストローとして、スパウト付ストロー自体のガス遮断性を高めたスパウト付ストローを用いてもよい。
ガス遮断性を高めたスパウト付ストローとしては、前記スパウト付ストローにおいて、少なくとも前記容器体に熱溶着される部分より上方のストロー上部において、水素ガスの透過を遮るガス遮断材を、ストロー内周壁の表面上又は内部に、実質全域に亘って配備したものなどを挙げることができる。また、ストローの下部あるいは上部に、ストローの孔(開口部)を塞ぐようにガス遮断材を貼着し、後述する封止キャップ開封時の回転力を利用したり、袋状容器体を外側から圧力を加えたことによる内部の水素含有水の厚量にて、該貼着したガス遮断材に孔を開け、飲用に供することができるように、ガス遮断材を配備してもよい。
上記ガス遮断材としては、水素や酸素等の気体を透過しないものであれば特に限定されないが、アルミニウム、鉄、銅、鈴等の金属箔(金属フィルム)や、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム等にポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム、或いはこれらポリオレフィンフィルム等にアルミニウム、カーボン、シリカ等を蒸着を施したフィルムが挙げられる。中でもガスバリア性、コスト面及びフィルムの操作性の観点から、好ましくはアルミニウムフィルム(アルミニウム箔)が挙げられる。この他にもEVOH等の多層フィルムを用いることにより、ガス遮断性を向上させることもできる。
[封止キャップ]
上記封止キャップとしては、前述のスパウト付ストローの上端口部に螺着され、該ストローの上端口部を密封できる形状であれば特に限定されない。通常、該封止キャップの内周には、前記スパウト付ストロー4の口部の雄ネジ部43に螺合する雌ネジ部が形成され、また前記スパウト付ストローの突起部48と係合できるバンドが設けられる。
封止キャップは、上記スパウト付ストローと同様に、封止キャップ自体のガス遮断性を高めたものを用いてもよい。その場合、例えば封止キャップの頂部の内壁に、前記スパウト付ストローの上端口部を封止できる水素ガス遮断性のインナーシール材を設けることができる。
前記インナーシール材は、合成樹脂フィルムや、金属箔(フィルム)、またこれらを相互にラミネートした積層フィルムにより形成され得る。そして前記合成樹脂フィルムとしては、スパウト付ストローで挙げた樹脂材料を用いたフィルム、また、前記ガス遮断材として挙げた各種フィルム、さらに金属箔としては前記ガス遮断材として挙げた金属箔を好適に用いることができる。
[容器体]
上記容器体としては、金属ラミネートフィルム製の容器体、例えばアルミラミネートフィルム製の容器体、所謂パウチ容器が、気密性が高く水素の流出を防ぐことができるために好ましく用いられる。パウチ容器の形状としては、既に市販されているガゼットタイプ(まち付き)、スタンドタイプ(まち無し)等、各種のタイプのものを使用できる。
上記容器の製品容量は特に限定されないが、例えば100mL乃至2,000mL、特に150mL乃至550mL、具体的には150mL、180mL、200mL、220mL、250mL、280mL、300mL、330mL、350mL、400mL、450mL、500mL、550mL程度の容量の容器を好適に使用できる。なお本明細書において「製品容量」とは、製品が流通・販売される際の規格容量(適正充填量、表示内容量とも称する)であり、通常、容器に充填できる最大容量より数%〜15%程度少ないものとなっている。
なお、キャップや吸水口(スパウト)の大きさ(口径)は製品容量に関わらずほぼ一定となっている。そのため、加熱処理に起因して生じ、キャップやスパウト周辺に溜まっている水素ガスと、容器内の水素含有水との接触面積は、低容量(150mLや200mLなど)の製品と比べて、500mLや550mLといった大容量の製品容量の場合には小さいものとなる。従ってこうした大容量製品にあっては、製品内の水素ガスの水素含有水への再溶解が、低容量の製品と比べてゆっくりと起こる。このため、大容量製品にあっては、本発明の飲料用水素含有水製品のみならず、常圧充填された従来の飲料用水素含有水製品においても、長期間、水素ガス雰囲気が残存することとなる。大容量製品は低容量製品と比べ、長い期間、溶存水素濃度を高い状態で保つことできるため、長期保管性に優れるとして注目されている。しかしながら、従来の飲料用水素含有水製品では、こうした大容量製品にあっても、通常、3ヶ月程度で水素ガス雰囲気は実質消失し、本発明の飲料用水素含有水製品のように、容器の内部に水素含有水とガス雰囲気が共存し続けている状態を保つことは困難である。
[袋状の容器:スパウト付包装容器]
本発明の飲料用水素含有水製品は、開封可能な容器としての袋状の一形態として、スパウト付包装容器を用いることもできる。本容器は、金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体に、その上縁部での熱溶着によりスパウトを固着し、該スパウトの上端口部に封止キャップを螺着してなる袋状容器であり、袋状容器内にストローが存在せず、スパウト(吸口)のみ設けられた形態である。
本包装容器における袋状容器体は、すなわち、上記[袋状の容器:ストロー付包装容器]の[容器体]を使用でき、その形状、容量も前記[容器体]の記載のものを挙げることができる。
また本包装容器に使用するスパウトは、上記[袋状の容器:ストロー付包装容器]の[スパウト付ストロー]にて挙げた各種樹脂材料を用いて形成され得る。またスパウト自体のガス遮断性を高めたスパウトを用いることもでき、上記[スパウト付ストロー]にてあげたガス遮断材を用いて、前記容器体に熱溶着される部分より上方のスパウトにおいて、前記ガス遮断材を、スパウト内周壁の表面上又は内部に、実質全域に亘って配備してもよい。またガス遮断材をスパウトの下部や上部にスパウトの孔を塞ぐように貼着し、封止キャップ開封時の回転力を利用したり、袋状容器体を外側から圧力を加えたことによる内部の水素含有水の圧力にて、該貼着したガス遮断材に孔を開け、飲用に供することができるように、ガス遮断材を配備してもよい。該遮断材は、上記[スパウト付ストロー]にて挙げた各種材料を用いることができる。
さらに本包装容器に使用する封止キャップは、上記[袋状の容器:ストロー付包装容器]の[封止キャップ]を使用できる。
本発明において、特にストロー付包装容器あるいはスパウト付包装容器を用いた場合には、これらに使用される袋状容器体が可撓性を有することから、一旦開封しても、ストロー付包装容器(又はスパウト付包装容器)の容器体を両側から押して、内部の空気を放出するとともに水素含有水を溢れさせながらキャップをはめることで、容器体内の空気の残留を極力抑えて、簡単にリキャップ(リシール)することができる。このため、飲み残しがあり、これを保存する(複数回に分けて飲用する)場合においても、後述する袋状容器体ののみからなる形態や、金属缶と比べて、水素含有水の溶存水素濃度の低下を低く抑えることができる。
[袋状の容器:袋状容器体からなる包装容器]
本発明の飲料用水素含有水製品は、開封可能な容器としての袋状の容器として、ストローやスパウトのない袋状容器体を用いることもできる。
本容器は、金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体のみとしたもの(上述のスパウト付ストローやスパウトを挿入せずとしたもの)であり、この場合、後述する水素含有水の充填工程の後に、該容器体の上縁部を熱溶着により密封し製品となる。
本包装容器における袋状容器体は、すなわち、上記[袋状の容器:ストロー付包装容器]の[容器体]を使用でき、その形状、容量も前記[容器体]の記載のものを挙げることができる。
なお、袋状容器体からなる包装容器(ストロー・スパウトのない容器)を使用した場合、一旦開封するとリシールすることが困難であるため、一度に飲み切ることが可能な容量を検討するとよい。
[金属缶:ボトル缶・イージーオープン缶]
本発明の飲料用水素含有水製品では、上記ストロー付包装容器等の袋状の容器以外にも、アルミ製やスチール製のイージーオープン缶(プルタブ缶、プルトップ缶)やボトル缶(リシール缶)などの金属缶を採用し得、それらの容量は前記[容器体]の記載のものを挙げることができる。
ただし、これら金属缶に充填された製品のうち、イージーオープン缶(プルタブ缶、プルトップ缶)はリキャップが不可能であることから、一旦開封すると水素含有水と空気が接触し続け、時間とともに水素含有水の溶存水素濃度が低下するため、溶存水素濃度の低下が少しでも抑えられるよう、一度に飲み切ることが望ましい。またボトル缶(リシール缶)の場合には、飲みきれない際に再度キャップをすることができるものの、缶内に流入した空気を抜きながらリキャップすることはできないため、結局水素含有水の溶存水素濃度が低下することとなる。従ってこれら金属缶の態様では、一度に飲みきることができる製品容量を検討し、例えば100mLから200mL程度の製品容量とすることで、飲み残しがなく、溶存水素濃度を保ったまま飲用に供する製品とすることができる。
なお、前述のストロー付包装容器を採用した場合には、一旦開封しても、ストロー付包装容器の容器体を両側から押して、内部の空気を放出するとともに水素含有水を溢れさせながらキャップをはめることで、容器体内の空気の残留を極力抑えてリキャップすることができる。このため、飲み残しがあった場合においても、金属缶と比べて、水素含有水の溶存水素濃度の低下を低く抑えることができるといえる。
また、製品容量が増加するほど、例えば製品容量が550mLなどの大容量製品では、一度で飲み切ることが難しいため、複数回に分けての飲用が想定される。前述したとおり、前記ストロー付き容器を用いた製品やスパウト付包装容器を用いた製品では、一旦開封しても容器体を両側から押して内部の空気の放出とともに水素含有水を溢れさせながらキャップをはめることで容器体内の空気の残留を極力抑えることができる。しかし、たとえ飲用毎(開封毎)に内部の水素含有水を溢れさせながらキャップをはめたとしても、容器体内の空気の残留をゼロにすることは難しく、キャップの開封の度に溶存水素濃度が低下する現象は避けられない。
前述したように、大容量の水素含有水製品は長期保管性に優れるというメリットがあるが、一旦開封するとそのメリットは失われることとなり、複数回の開封・リキャップを繰り返した場合においても溶存水素濃度の低下が小さい製品が望まれている。
この要望に対しても、本発明は、後述する水素濃度低下抑制剤を水素含有水中に溶存させたことで、さらに好適な態様では、該水素含有水を加圧充填された水素含有水とすることで、保存期間中における水素含有水の溶存水素濃度が、従来製品よりも高く保たれた製品を提供することが可能であることから、複数回のキャップの開閉を行う事態が想定された場合にその後においても、溶存水素濃度を比較的高い濃度で保つことが可能である。
このように、本発明の飲料用水素含有水製品は、高い溶存水素濃度を維持したまま数回に分けて飲用することもできる点において、消費者に対して訴求力の高い製品となっている。
[水素濃度低下抑制剤]
本発明の飲料用水素含有水製品において、前記包装容器内に充填された水素含有水中には種々の成分を配合可能であるが、特に本発明では、水素濃度低下抑制剤を溶存してなることを特徴とする。水素濃度低下抑制剤は、水素含有水の溶存水素濃度が経時的に減少することを抑制することができる働きを有するものであれば特に限定されない。中でも水素濃度低下抑制剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、ゼラチン(豚ゼラチン、魚ゼラチン)、乳糖、麦芽糖、還元麦芽糖、ブドウ糖、デキストリン、難消化性デキストリン、結晶セルロース、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせを存在させることにより、水素含有水の溶存水素濃度の低下の抑制につながる。これら水素濃度低下抑制剤は水溶性であり、水素含有水に溶解した状態で水素含有水中に存在することにより、水素濃度低下を抑制する効果を発揮するとみられる。
水素濃度低下抑制剤は、例えば水素含有水100mLに対して、0.01mg〜100mgの割合で、例えば0.02mg〜100mg、0.025mg〜50mg、0.05mg〜10mg、0.1mg〜10mg、0.5mg〜5mg、1mg〜5mgの割合で、或いは、例えば1.5mg〜100mg、2mg〜100mg、2.5mg〜100mg、5mg〜100mg、10mg〜100mg、15mg〜100mg、17.5mg〜50mg、17.5mg〜35mgの割合にて、含有することができる。
本発明で使用する水素濃度低下抑制剤は、その形態に特に限定されず、粉末状や、あるいは塊状、例えばフレーク状、粒状(顆粒)、板状、球状、楕円体状、あるいは中空の球状・楕円体状などの種々の形状をとり得る。
このとき、水素濃度低下抑制剤を特定の形状、例えば種々の塊形状とするため、前記水素濃度低下抑制剤(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、ゼラチン、乳糖、麦芽糖、還元麦芽糖、ブドウ糖、デキストリン、難消化性デキストリン、結晶セルロース、二酸化ケイ素)以外の食品又は食品添加物を使用してもよい。この場合、水素濃度低下抑制剤とその他の食品又は食品添加物の総質量に対して、その他の食品又は食品添加物の総量は最大で20質量%未満(0〜20質量%未満)の割合にて使用でき、そしてこれらその他の食品又は食品添加物を水素含有水中に含むことができる。
前記食品又は食品添加物としては、例えば水、塩化カリウム、離型剤(植物油、レシチン等)、表面処理剤(タルク、ステアリン酸カルシウム等)、増粘多糖類(カラギーナン、ジェランガム等)などをはじめ、公知のものを使用でき、これらは水溶性であることが好ましい。
なお、飲料用水素含有水製品を製造する実際の現場における工程を考慮すると、水素濃度低下抑制剤を一定量配合するという観点や、配合のし易さの観点、配合中の飛散や水素含有水の充填中に想定される水素濃度低下抑制剤の溢れ出し、そして溢れ出した水素濃度低下抑制剤による装置の汚染等を考慮する必要がある。このため、品質安定性や操作性の観点からは、ある程度塊状の形態を為していることが好ましいといえる。
一方で、水素濃度低下抑制剤を水素含有水への溶解を促進させるべく、水素濃度低下抑制剤の水素含有水との接触面(すなわち表面積)は大きいことが好ましく、例えば粉末状や、フレーク状、あるいは中空の球状又は楕円体状といった形状が好ましいといえる。
これらの一見相反するとみられる要求、すなわち、製品に対して一定量の水素濃度低下抑制剤の配合ができ、製造装置の汚染が少なく、さらに、水素含有水への溶解が速やかに進むように水素含有水との接触面(すなわち表面積)が大きい形態、を実現できるものとして、一例として、中空の球状又は楕円体状といった形状、具体的には(空)カプセル形態の採用が考えられ得る。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、ゼラチンを主原料とする各種カプセル、たとえばカプスゲル・ジャパン(株)製、クオリカプス(株)製の市販のカプセル(空カプセル)自体を、水素濃度低下抑制剤として採用し得る。
また、錠剤の形態や粒状(顆粒)の形態も採用し得、この場合、一般に賦形剤として使用され得る乳糖などそれ自体を水素濃度低下抑制剤として採用し得る。
なお、本発明の飲料用水素含有水製品において、水素含有水に水素濃度低下抑制剤を溶存させる方法は特に限定されない。
例えば、原料となる水に水素濃度低下抑制剤を投入・溶解させた後、例えば後述のバブリング法、加圧法などにより、水素ガスを該水素濃度低下抑制剤を溶解した原水に溶解させ、その後、得られた水素濃度低下抑制剤が溶存してなる水素含有水を包装容器内に充填すればよい。ただ本方法では、所望の溶存水素濃度を実現できない、あるいは、不純物(水素濃度低下抑制剤)の存在により、短期間での製造装置の汚染や破損が起こり得る可能性がある。
また、後述の種々の方法で水素含有水を得た後、得られた水素含有水に、水素濃度低下抑制剤を投入・混合して、得られた水素濃度低下抑制剤が溶存してなる水素含有水を包装容器内に充填することで本発明の飲料用水素含有水を得ることができる。この場合、水素含有水に水素濃度低下抑制剤を混合する工程において、該混合操作の過程で、水素含有水と空気との接触が増加することで、溶存水素濃度が低下することが懸念され得る。
これらの懸念点を解消する一つの方法として、水素含有水を容器内に充填するのと同時に、あるいは充填の前後に、水素濃度低下抑制剤を系内に存在させる方法をとり得る。例えば、前記容器に予め水素濃度低下抑制剤を投入し、ここに水素含有水を充填する方法である。
水素濃度低下抑制剤、好適にはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、ゼラチン、乳糖、麦芽糖、還元麦芽糖、ブドウ糖、デキストリン、難消化性デキストリン、結晶セルロース、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせからなる水素濃度低下抑制剤は、常温(20℃±5℃)程度の温度で時間の経過とともに水素含有水に溶解し得る。また後述するように、水素含有水の充填後、該包装容器を密封し、加熱殺菌工程を経ることで、製品の殺菌と同時に水素含有水への前記水素濃度低下抑制剤の溶解が促進され得る。なお、水素濃度低下抑制剤は、高温(例えば85℃で30分間程度の加熱(殺菌))下において、水素含有水とゲルを形成する場合があるが、その後常温にて保管することにより、該ゲルは溶解して液状(水素濃度低下抑制剤が溶解した水素含有水)となる。
なお、前記水素濃度低下抑制剤が水溶性カプセルの形態、或いは、錠剤の形態又は粒状の形態を有するとき、機能性原料をカプセル内に含有させたり、機能性原料を含んだ錠剤の形態又は粒状の形態としてもよい。この場合、水素含有水に水素濃度低下抑制剤を溶存させる方法は前述したとおりであり、すなわち、機能性原料を含有する、カプセル、錠剤又は粒状の形態の水素濃度低下抑制剤を、原料となる水に投入・溶解させた後に水素ガスを溶解させたり、或いは、製造した水素含有水に、機能性原料を含有する、カプセル、錠剤又は粒状の形態の水素濃度低下抑制剤を投入・混合して、溶存させればよい。
上記機能性原料としては、例えばアミノ酸;オリザポリアミン;保湿性物質;ペプチド及びタンパク質並びにそれらの含有物質;ビタミン類;ビタミン様物質;抗酸化性物質;ミネラル類;糖類;糖アルコール;合成甘味料;天然甘味料;炭水化物;ヒドロキシ酸及びその誘導体;ステアリン酸及びその誘導体;野菜・果実・植物類並びに植物性エキス;茶類;及び、ハーブ原料並びにハーブエキス原料等を挙げることができる。
水溶性カプセルの形態にある水素濃度低下抑制剤においてカプセル内に機能性原料を含有させたり、錠剤の形態又は粒状の形態にある水素濃度低下抑制剤においてさらに機能性原料を含んだ錠剤又は粒状の形態とすることにより、これを水素含有水に溶存させることで、機能性原料のみを水素含有水に溶存させた場合と比べて、機能性原料含有の水素含有水の酸化還元電位を低い値に維持することができ、長期間保存後における溶存水素濃度をより高い値に維持することができる。
[水素含有水及び飲料用水素含有水製品の製造方法]
本発明の飲料用水素含有水製品は、前述の通り、開封可能な容器と、該容器内に充填されそして密封された水素含有水と、該水素含有水中に溶存する水素濃度低下抑制剤とを有する態様を実現できれば、特にその製造方法や手順、そしてその製造方法について限定されることはない。
例えば、上記飲料用水素含有水製品に使用する水素含有水の種類、すなわちその製造方法は特に限定されず、例えば、ガスボンベから供給される水素ガスを原水に溶解させたバブリング法、空気を除去した圧力容器内に水素ガスを充填し、該圧力容器内における水素ガスの圧力を例えば2〜10気圧に保ったまま、その圧力容器内に原水をシャワー状に散水して水素ガスと接触させることにより水素ガスを原水に溶解させる加圧法、水の電気分解により発生した水素ガスを溶解させる電解法、或いは中空糸膜を用いた膜溶解法など、種々の方法によって得たものを用いることができる。
中でも、原料となる水から中空糸膜を通じて残存ガスを脱気し、次いで得られた脱気水及び加圧された水素ガスをガス透過膜モジュールに導入して水素ガスを脱気水に溶解させる膜溶解法を用いて製造した水素含有水が、溶存水素濃度をより効率的に高めることができるため好ましい(例えば本発明者らが為した先の特許出願:特許第4551964号明細書)。
そして前述の方法により製造した水素含有水を容器内に充填すること、とりわけ加圧充填することにより、効率的に高めた溶存水素濃度を高い値に維持することにつながるため好ましい(例えば本発明者らが為した先の特許出願:特許第6052948号明細書)。
本発明に使用する水素含有水及び水素含有水を充填した飲料用水素含有水製品は、例えば上記の膜溶解法を用いて水素含有水を製造し、これを容器に充填して製品とする、以下の(A)乃至(E)を経る方法にて好適に製造され得る。
(A)脱気装置において、供給された原料の浄化水を中空糸膜を通じて脱気し、得られた脱気水を水素溶解装置に送る脱気工程、
(B)前記水素溶解装置において、供給された脱気水に加圧水素ガスを中空糸膜を通じて溶解し、得られた水素含有水を充填装置に送る水素溶解工程、
(C)前記充填装置において、供給された水素含有水を(例:ストロー付包装)容器にその注入口より充填する充填工程、
(D)水素含有水が充填された(ストロー付包装)容器の注入口を密封装置にて密封する密封工程、及び
(E)前記密封された容器を加熱処理する殺菌工程。
中でも本発明の飲料用水素含有水製品において、水素含有水は、容器内に加圧充填されそして密封された水素含有水であることが好適であり、そのため、前記(C)工程における水素含有水を充填する工程が、加圧充填にてなされることが好ましい。また効率的な加圧充填を実現するべく、下記の構成を更に備えてなることが好ましい。
一態様において、前記脱気工程(A)において脱気装置に供給される浄化水から前記充填工程(C)において包装容器に注入される水素含有水までの水流路には、圧力ポンプの運転によって所定の圧力が負荷されることにより、圧力が負荷された水素含有水が前記充填装置に供給され得る。
要するに、好適な態様において、上記脱気装置(a)に供給される浄化水から、充填装置(c)にて容器に注入される水素含有水までの水流路及び各装置[脱気装置(a)、水素溶解装置(b)、充填装置(c)]に、所定の圧力を付加できる圧力ポンプとを少なくとも備える製造装置にて製造することが望ましい。
また好適な態様において、前記充填工程(C)において、水素溶解工程(B)で得られた水素含有水を容器内に加圧充填するべく、
1)軸弁が前記充填装置の充填口を閉じ、そして、前記水素溶解工程(B)からの圧力が負荷された水素含有水が該充填口に接する空洞内に供給された状態とする準備段階と、
2)そして前記包装容器の注入口を該充填口と接続し、続いて前記軸弁に設けられた気体路を通じて気体減圧手段により、前記包装容器の内部の気体を除去する脱気段階と、
3)その後、前記気体路を閉じ、そして前記軸弁が前記充填口を開き、圧力が負荷された水素含有水を前記包装容器内に直接注入する注入段階と、
4)次いで前記軸弁が前記充填口を閉じた後、前記気体路を開き、気体加圧手段により前記気体路を通じて加圧空気を前記空洞内に導入することにより、充填装置内に残る水素含有水を前記包装容器内に排出する排出段階とを含み、そして、
5)前記注入口と前記充填口との接続を解いたとき、直ちに前記密封工程(D)に移行する工程を備えてなる装置を使用することが好適である。
以下、(A)乃至(E)工程及び各工程に使用する装置を説明する。
<脱気工程(A)及び脱気装置(a)>
本工程は、供給された原料の浄化水を脱気し、得られた脱気水を(B)水素溶解工程における(b)水素溶解装置に送る工程である。
本工程で使用される脱気装置(a)は、供給された原料の浄化水を中空糸膜を通じて脱気する装置である。
前記脱気装置(a)は、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス等の溶存気体の脱気を行うことができれば特に制限されず、例えば真空脱気装置や、中空糸膜モジュールを備えた脱気装置を用いることができるが、微量に溶存する気体を効率よく脱気することができるため、中空糸膜モジュールを備えた脱気装置を用いることが好ましい。
該中空糸膜モジュールは、通常数多くの中空糸膜を束状にそして膜間に適当なスペースを設けて配置されてなり、そして中空糸膜によって水室と気体室とに区画され、水室に前記浄化水を通過させ、気体室を減圧することにより、水室に流れる溶存気体を脱気する。
また、中空糸膜モジュールは、2つ以上並列使用してもよく、特に2つ以上の中空糸膜モジュールを直列して使用することにより、微量に溶存する気体をより効率よく脱気することができる。
また好適な態様において、前述したとおり、飲料用水素含有水の製造に使用し得る製造装置では、脱気装置に浄化水を供給する水流路に圧力が負荷されることが想定されるため、本装置で用いる中空糸膜には高い耐圧性能が求められるが、中空糸膜はそのような耐圧性能があれば、その種類は特に制限は無く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリジメチルシロキサン(シリコーンゴムの形態も含む)、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリビニルフェノール−ポリジメチルシロキサン−ポリスルホンブロック共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1−)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子膜を用いることができる。
なお、好適な態様において、浄化水を脱気装置に供給する水流路に高い圧力が負荷されることが想定されるため、本装置で用いる中空糸膜は、水流路に低い圧力が負荷されている従来技術に比べて、中空糸膜の消耗が早くなるおそれがあるので、より耐圧性に優れたグレードのものを採用するのが望ましい。
なお、脱気効率を高めるために浄化水の脱気を加温下で実施してもよく、その場合には、その後の水素溶解の効率を上げるために、脱気後に水素溶解装置に送る際により低温に、少なくとも室温(25℃前後)にまで冷却することが求められる。
なお、本脱気装置(a)で使用する浄化水は、例えば浄化装置において原料となる水をろ過して得ることができる。
原料となる水は、飲用に適した水源から供給されたものであれば特に制限は無く、水道水(水道事業の用に供する水道、専用水道若しくは簡易専用水道により供給される水)や地下水等を挙げることができる。
前記浄化装置は、通常、活性炭ろ過装置と膜ろ過装置を備えてなる。
前記活性炭ろ過装置により原料となる水のカビ臭、トリハロメタンの除去や、脱塩素処理などを行う。また安全フィルタろ過装置によって、浮遊物(活性炭などを含む)や、大腸菌などの細菌、クリプトスポリジウムなどの病原性原虫などを除去することも可能である。
膜ろ過装置に使用可能な膜としては、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノフィルター膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)が挙げられるが、操作性や、飲用とした場合に味の決め手となるミネラル成分の残存性を考慮すると、MF膜を用いることがもっとも望ましい。NF膜やRO膜を用いたとき、ナトリウムイオンやカリウムイオン等の原水に溶存するミネラル成分が除去されやすくなるため、飲用に適した水とするにはこれらミネラル成分の残存率を調整するとか、あるいは新たに添加するなどの必要が後工程で生じる場合がある。しかも、その場合、操作が煩雑になり好ましくない。
なお、NF膜などの0.1μm以下程度孔径を有する膜を使用した膜ろ過装置を用いる場合には、細菌類を除去できる可能性があり、この場合、膜ろ過後の各工程における水流路(配管)を清潔に保ち、また、水素含有水を充填する容器内を殺菌することができ、食品衛生上の問題が解決できれば、充填密封後の(E)加熱処理を行う殺菌工程を行わずとも、水素含有水製品を製造できる可能性がある。この場合、後述する殺菌工程における加熱処理によって形成される水素ガス雰囲気は、製品製造後の時間の経過とともに、徐々に飽和濃度を超える水素が気化することにより、形成される。
<水素溶解工程(B)及び水素溶解装置(b)>
本工程は、前記(a)脱気装置にて得られ、(b)水素溶解装置に供給された脱気水に加圧水素ガスを溶解し、得られた水素含有水を充填装置(c)に送る工程である。
本工程で使用される水素溶解装置(b)は、前記工程の脱気装置(a)より供給された脱気水に加圧水素ガスを中空糸膜を通じて溶解させる装置である。
前記水素溶解装置(b)としては、単位時間、単位スペース当りの水素ガス溶解量が大きく、水素ガスの溶解効率を高めることが容易であることから、中空糸膜モジュールを備えた水素溶解装置を用いる。
前記中空糸膜モジュールは、通常数多くの中空糸膜を束状にそして膜間に適当なスペースを設けて配置されてなり、そして中空糸膜によって水室と気体室とに区画され、水室に前記脱気水を通過させ、気体室に水素ガスを供給することにより、水室に流れる脱気水に水素ガスを溶解させる。
また、中空糸膜モジュールは、2つ以上を併用してもよい。
好適な態様において、飲料用水素含有水の製造に使用し得る製造装置では、脱気水を水素溶解装置に供給する水流路に圧力が負荷されることが想定されるため、本装置で用いる中空糸膜には高い耐圧性能が求められるが、中空糸膜はそのような高い耐圧性能があれば、その種類は特に制限は無く、本装置で使用する中空糸膜としては、前述の脱気装置に使用する中空糸膜として挙げた高分子膜を用いることができる。
水素ガスの供給方法には特に制限は無く、例えば市販の高純度水素ガスボンベや水の電気分解などで得られる水素ガスに圧力をかけて中空糸膜モジュールの気体室に供給する。
ここで水素ガスに負荷させる圧力としては、例えば0.1MPa乃至0.5MPa、つまり大気圧(約0.1MPa)に対して更に加える圧力として0.1MPa乃至0.5MPaである。水素ガスに圧力を負荷させることにより、溶存水素濃度をより高めることができる。
なお好適な態様において、飲料用水素含有水の製造に使用し得る製造装置では、脱気水を水素溶解装置(b)に供給する水流路に高い圧力が負荷されることが想定される。このため、水流路に低い圧力が負荷されている従来技術に比べて、本装置で用いる中空糸膜は中空糸膜の消耗が早くなるおそれがあるので、該中空糸膜は、より耐圧性に優れたグレードのものを採用するのが望ましい。
前述したとおり、好適な態様において、飲料用水素含有水の製造に使用し得る製造装置(製造工程)では、前記脱気装置(a)に供給される浄化水から後述する充填装置(c)において容器に注入される水素含有水までの水流路に、圧力を負荷することができる圧力ポンプを備えていることが好適である。圧力ポンプを備えることにより、従来に比して相当に高い圧力が負荷された、溶存水素濃度が高い水素含有水を、水流路を通じて充填装置まで給送することができる。
前記圧力ポンプは、水流路(配管)に圧力を負荷することができるものであれば特に制限されず、公知の圧力ポンプを使用することができる。
また、上記の好適な態様おいて、水流路に付加された圧力を維持するべく、前記圧力ポンプにより圧力が負荷された後の水流路(すなわち、前記脱気装置(a)へ向かう水流路)と、前記圧力ポンプにより圧力が負荷される前の水流路とを連通するループ流路が設けてなることが好ましい。
前記ループ流路にはリリーフ弁が接続され得る。該リリーフ弁は、圧力ポンプにより圧力が負荷された後の水流路における水圧が、一定の基準圧力を超えたときには、該ループ流路を開くように機能し、該水圧が一定の基準より低い間は該ループ流路を閉じるように機能する。すなわち、該リリーフ弁の開閉によって圧力ポンプとループ流路との間の水循環を随時行うことにより、前記水圧を基準圧力以下に維持する役割を担う。
前記基準圧力としては、前記中空糸膜の消耗や各装置の耐圧性能などの観点から、例えば0.1MPa乃至0.5MPa、好適には0.15MPa乃至0.5MPaが適用され、好ましくは、例えば0.15MPa乃至0.4MPaであり、例えば0.15MPa乃至0.3MPaである。すなわち、水流路には、大気圧(約0.1MPa)に対して更に加える圧力として、0.1MPa乃至0.5MPaの圧力、例えば0.15MPa乃至0.5MPaの圧力が負荷される。
本発明の飲料用水素含有水の製造に使用し得る製造装置には、好適な態様において、後述する充填装置(c)より前の水流路に、例えば前記水素溶解装置(b)と充填装置(c)との間の水流路に、オリフィスを備えてなることが好ましい。前記オリフィスは、該充填装置(c)に供給されることとなる、前記圧力ポンプにより基準圧力が負荷された水素含有水の流量を、一定の基準流量以下に制限する役割を担う。水素含有水の包装容器への注入開始とともに水流路における水圧は低下するが、オリフィスがない場合と比べて、オリフィスを設けることにより圧力の低下量を抑えることができ、充填装置への水素含有水の安定的な供給につながる。このようにオリフィスは水素含有水の包装容器への充填を円滑且つ安全に行う役割をも担う。
<充填工程(C)及び充填装置(c)>
本工程は、前記(b)水素溶解装置にて得られ、(c)充填装置に供給された水素含有水を容器に充填する工程である。
本工程で使用される充填装置は、前記工程の水素溶解装置により供給された水素含有水を前述の包装容器にその注入口(例えば上端口部)より充填する装置である。
本工程は、好適には加圧充填によって実施され、該加圧充填を効率的に実施するべく、充填装置(c)は以下の構成を有してなることが好ましい。
すなわち、好適な態様において、本充填装置(c)は、装置本体内に、充填口に接する空洞を有し、且つ、軸弁をその先端部が該充填口に臨むように往復動可能に備えてなることが好ましい。また前記空洞は水素溶解装置(b)からの水流路と連通しており、そして該軸弁の往復動により、前記充填口と接続された包装容器の注入口を水素溶解装置(b)からの水流路と連通し、そしてその連通を遮断することができる弁機構のものとなっていることが好ましい。
またこのとき、装置本体内の前記空洞は、軸弁内部の又は軸弁外面に沿う気体路を経て、気体減圧手段及び気体加圧手段と接続される。前記気体路は前記軸弁の往復動により開閉される構造、すなわち、該軸弁の往復動により、該気体路と該空洞が連通する/連通を遮断する構造となっていることが好ましい。
上記軸弁は、一定の周期で往復動するように設定され、これにより、前記充填口は一定の周期で繰り返し開閉されることとなる。なおこの軸弁の一定の周期での往復動に連動して、上記気体路も一定の周期で繰り返し開閉される。
そして、上記充填口が開いている間、水素含有水の包装容器への注入が為され、充填装置における水素含有水の充填量は、軸弁の往復動の周期(充填口の開閉)と、オリフィスによる基準流量の設定(オリフィス径)により、設定することができる。
なお前述したように、水素含有水を容器内に充填するのと同時に、あるいは充填の前後に、水素濃度低下抑制剤を、前記開封可能な容器内に投入し得る。
水素濃度低下抑制剤の容器内への投入は、ストロー付包装容器又はスパウト付包装容器の場合にはその注入口から、また(スパウト付ストローやスパウトのない)袋状容器体からなる包装容器、あるいは、金属缶(ボトル缶やイージーオープン缶)の場合にはその上部開口部から、実施すればよい。
<密封工程(D)及び密封装置(d)>
本工程は、前記(c)充填装置にて水素含有水が充填された容器の注入口を(d)密封装置にて密封する工程である。
そして本工程で使用される密封装置は、水素含有水の充填が完了した(ストロー付包装)容器の注入口を密封する装置である。
本装置は、充填装置から送られた(ストロー付包装)容器の注入口を直ちに密封することができるものであれば特に制限されず、公知の密封装置を使用することができる。
<殺菌工程(E)及び加熱殺菌装置(e)>
本工程は、前記(D)密封工程が終了した後、密封が完了した水素含有水入り容器を適宜加熱殺菌装置に送り、加熱殺菌する工程である。本工程を経て最終製品である飲料用水素含有水製品が完成する。
加熱殺菌装置としては、例えば、加熱蒸気殺菌装置を使用することができ、殺菌時の加熱温度及び加熱時間は、F値(一定温度で一定数の特定細菌胞子、または細菌を死滅させるのに要する加熱温度(分))や製品品質を勘案して適宜決定することが望ましい。例えば、加熱温度及び加熱時間は65〜90℃、3分間乃至2時間であり、例えば、85℃で30分間という加熱温度及び加熱時間が採用される。
なお飲料用の水素含有水製品は、食品衛生上の観点から、水素含有水を保存容器に充填・密封した後、上記の殺菌のための加熱処理を経る必要がある。飽和水素濃度は温度上昇とともに低下するため、この加熱処理によって包装容器内部の水素含有水の温度が上昇するに伴い、水素含有水に溶存していた水素が溶存状態を保てず、飽和水素濃度以上の水素は強制的に気化することとなる。例えばストロー付包装容器を用いた場合、通常、容器の上部となるキャップやストロー上部の吸口部(スパウト)の周辺に気化した水素が溜まり、水素ガス雰囲気を形成することとなる。
気化した水素(ガス)は、加熱処理後に製品を冷却すると、冷却温度時の飽和水素濃度に応じて、加熱処理後に生成した容器内部の水素ガスが水素含有水に再溶解する。従来汎用のストロー付包装容器に、水素含有水を常圧充填した従来の飲料用水素含有水製品にあっては、上記加熱殺菌後常温に冷却された段階で、水素ガスの再溶解により、水素ガス雰囲気は実質消失する。
[飲料用水素含有水製品]
本発明の飲料用水素含有水製品は、水素濃度低下抑制剤を水素含有水中に溶存させることによって、長期間保管した後においても、高い溶存水素濃度を維持することができる。例えば製造後180日以上経過後においても、例えばpH7.0の水素含有水において、、溶存水素濃度が1.0ppm以上、また例えば、製造後90日経過後において、溶存酸素濃度が1.0ppm以下といった、高品質に維持された水素含有水を提供することができる。
特に充填された水素含有水を、充填時の溶存水素濃度が飽和水素濃度よりも高い水素含有水とすることにより、さらには後述の加圧充填とすることによって充填時の水素含有水の溶存水素濃度を飽和水素濃度よりも遥かに高いものとなることにより、前述の加熱処理(殺菌工程)により気化した水素ガスは、製品冷却後の水素含有水への再溶解を経た後においても溶解しきれず、加熱処理後常温に冷却された段階でも上記の水素ガスの雰囲気が容器内に存在し続けることとなる。
そのため、好適な態様において、飲料用水素含有水製品は、開封可能な容器と、該容器内に(加圧)充填されそして密封された水素含有水と、該水素含有水中に溶存した水素濃度低下抑制剤と、該容器内の水素含有水の水面より上方の空間に該加圧充填後の加熱処理により生成された水素ガスを含むガス雰囲気とから構成されることとなる。そして前記ガス雰囲気は例えば30日経過後において、好ましくは少なくとも90日経過後においても存在し、さらに好ましくは180日経過後も存在してなる。該ガス雰囲気は、該雰囲気全体圧に対して水素ガス分圧が90%以上の雰囲気となっている形態であることが特に好ましい。
上述したように、本発明の飲料用水素含有水製品は、例えば製造後90日経過後においても、従来製品と比べて低い酸化還元電位を有する水素含有水を実現したものであり、好適な態様として、充填された水素含有水の酸化還元電位が、製造後、常温保存下で少なくとも90日経過後において、{[−59×(90日経過後の該飲料用水素含有水製品中の水素含有水のpH値)]−170}mV以下である態様を挙げることができる。例えば本発明の飲料用水素含有水製品は、90日経過後に、当該飲料用水素含有水製品中の充填された水素含有水のpHが7.0の場合には、該水素含有水の酸化還元電位が−583mV以下である。またこの場合、90日経過後において該製品を上下に軽く振ると、容器の内壁に該水素含有水が当たる音が発生し、ガス雰囲気の存在が確認される製品となる。
なお、本発明で規定する酸化還元電位(ORP)の値は、3.3mol/L塩化銀電極を基準として測定したときの値(vs.Ag/AgCl(3.3N))を指し、標準:水素電極(SHE)に対する3.3mol/L塩化銀電極(Ag/AgCl(3.3N))の電位は25℃で+0.206V(vs.SHE)である。
また好適な態様において、本発明の飲料用水素含有水製品は、該製品中の水素含有水が、開封可能な容器内に加圧充填されそして密封された水素含有水であることにより、高い溶存水素濃度を保ったまま水素含有水を容器へ充填・密封することができるため、該容器内で水素含有水と接触した場合に溶存水素濃度の低下につながる種々の気体、すなわち、該容器内に残存する気体や水素含有水中に混入する気体の存在があったとしても、既存技術と比較してさらに高い溶存水素濃度を保つことができる。
例えば、本発明の飲料用水素含有水製品は、水素濃度低下抑制剤を含まない製品と比べて、製造後360日経過後において、製造後7日経過からの酸化還元電位の変化率を約10%程度低く抑えることができ、長期間保存後における溶存水素濃度をより高い値に維持することができる。
そして好適な態様において、本発明の飲料用水素含有水により、例えば製造後180日以上経過後においても、例えばpH7.0の水素含有水において、酸化還元電位がおよそ−600mV以下、溶存水素濃度が1.0ppm以上、さらには、製造後180日経過後においても、溶存酸素濃度が1.3ppm以下といった、高品質に維持された水素含有水を提供することができる。
<箱詰めキット>
本発明の箱詰めキットは、本発明の飲料用水素含有水製品において、特に開封可能な容器としての袋状の容器の一形態としてストロー付包装容器又はスパウト付包装容器を使用したものを対象とすると、飲料用水素含有水の溶存水素濃度の低下を抑制することができるため好適である。そして該箱詰めキットは、上記ストロー付包装容器又はスパウト付包装容器の内部に水素含有水が充填された飲料用水素含有水製品を、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記封止キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填されている点を特徴とする。これは、謂わば製品の天地を逆転させて(逆さ姿勢にて)保管するものであり、例えば本発明者らがなした先の特許出願:特開2015−193408号公報に記載のキット製品を挙げることができる。
前記箱詰めキットは通常、2個以上複数個、例えば6個、12個、24個、30個、48個、60個の飲料用水素含有水製品を箱に装填したものとすることができる。
上記箱詰めキットに用いる箱は、飲料用水素含有水製品を好ましくは複数個装填可能な大きさと耐久性を有するものであればよく、例えばボール紙や段ボールなどの厚紙(紙製)の箱が使用され、また樹脂製のコンテナ容器などであってもよい。箱の形状は通常直方体であり得、箱の大きさは装填する飲料用水素含有水製品の数に応じて適宜選択し得る。例えば箱に装填する飲料用水素含有水製品が1個の場合には、飲料用水素含有水製品の容器体が箱の周囲にちょうど当接する縦横の大きさを有する箱を用いることが好ましい。また複数個の飲料用水素含有水製品を装填する場合、これらを殆ど隙間なく同じ向きに一列又は複数列に整列させ、この整列姿勢する製品群とほぼ同じ縦横の大きさの箱に装填することが好ましい。なお、装填される飲料用水素含有水製品は、複数段重ねて装填されてもよいが、好ましくは重ねずに(一段にて)装填されることが望ましい。従って箱の高さは、飲料用水素含有水製品の高さより多少大きいものであればよい。
前記箱には、さらに2以上の小箱が収容されていてもよい。この場合、該小箱には2個乃至12個の所定個数の飲料用水素含有水製品が、容器体の底部が上を向き、反対に前記封止キャップが下を向いた姿勢で装填され、好ましくはその容器体同士が当接するように装填され、そして該小箱中の飲料用水素含有水製品の逆さ姿勢が保たれるように、該小箱を前記箱に収容してなる。該小箱は、前記箱で挙げたものと同様の材料で形成された小箱を挙げることができる。
或いは前記箱には、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた前記飲料用水素含有水製品の逆さ姿勢が保たれるように、個々の或いは複数の水素含有水製品を区切るように仕切り材を設けてもよいし、或いは、前記キャップの動きを拘束する姿勢保持手段を設けてもよい。なお前記小箱においても同様に仕切り材や姿勢保持手段を設けることができる。
前記仕切り材は、前記箱と同じ材料或いは異なる材料にて構成され得、例えば前記容器体の周囲に当接するように設けられ得る。
前記仕切り材は、前記飲料用水素含有水製品の容器体の底部が上を向く姿勢を保つことができるような箱内の位置に設けられていればよいが、前記飲料用水素含有水製品の箱内からの取り出し易さなどを考慮すると、箱内に装填された容器体の底より高い部分には設けられていないことが好ましい。
また前記仕切り材は、個々の水素含有水製品を区切るように設けられ、或いは、複数個の、例えば水素含有水製品を2個ずつ区切るように設けられる。前記仕切り材が複数個の水素含有水製品を区切るように設けられる場合、仕切り材で区切られた場所から水素含有水製品を一つ取り出し後においても、当該区切られた場所に残された別の水素含有水製品が、上述したように容器体の底部が上を向く姿勢を保つことができるという条件を考慮して該仕切り材は設けられ、例えば2個ずつ、あるいは3個ずつ区切るように設けられる。
前記姿勢保持手段としては、例えば前記封止キャップを上方より挿込むことにより、前記飲料用水素含有水製品の容器体の底部が上を向く姿勢を保つことができる、つまり容器体が倒れない姿勢を保つことができる構造のものであれば、如何なる構造のものでもよい。ただ、封止キャップを上方より挿込む構成の姿勢保持手段であるときは、その手段は上方へ容器体を引き抜きやすい構造のものであることがより好ましい。
前記姿勢保持手段としては、例えば剛性の相対的に高い面材、例えば厚肉クラフト紙や段ボールや樹脂シート、発泡スチロールボードに、キャップの挿込み孔を設けてなる態様が挙げられる。
該キャップの挿込み孔は、箱内に装填する水素含有水製品の数だけ、そして好ましくは、容器体の本体同士が軽く押圧し合うような間隔を保って、複数個設けられる。該キャップの挿込み孔としては、例えば切り込みが十字形状や放射状に形成された切り込み孔であって、その切り込み片がキャップ外周に設けられたツバやネジ山と係止する構造のものや、キャップの径よりわずかに大きい径の孔、若しくは更にくぼみのある孔で、孔の周縁部がキャップ外周に設けられるツバやネジ山と係止する構造のものが挙げられる。該挿込み孔が切り込み孔である場合、切り込みの周囲に折り曲げやすくなるような溝が設けられたり、或いは、切り込み孔の中心部においてキャップの径よりも小さい径の孔が設けられたりしてもよい。
またこうした挿込み孔が設けられた姿勢保持手段は、通常、箱内の底部辺りに設けられるが、その際、キャップの向きが垂直に保持されるように、そしてキャップの挿込みが容易となるように、キャップの先端が箱の底にほぼ当接するくらいに近接する高さに挿込み孔が設けられてなる態様であることが好ましい。これは、例えば姿勢保持手段が設けられた段ボールなどの厚紙の周囲を折り曲げ、該姿勢保持手段に高さを設けることにより実現できる。なお姿勢保持手段の材料として発泡スチロール製のボードを採用した場合には、ボードの厚みと挿込み孔の深さを調整することにより、キャップの向きを垂直に保持することができる。
本発明の箱詰めキットの一例を図4に示す。図4は、本発明の箱詰めキットにおいて、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた逆さ姿勢にて飲料用水素水含有製品が装填されてなる例を示す。但し、本発明の箱詰めキットの態様は図4に限られるものではない。
図4に示すように、前記箱詰めキット11の箱12には、前記飲料用水素含有水製品1が、前記容器体3の底部31が上を向き、反対に前記キャップ5が下を向いた逆さ姿勢を保つように、各製品同士の間にボール紙などで仕切り材13を設けることにより、上述の天地逆の逆さ姿勢を保つことができる。図4の態様では、前記飲料用水素含有水製品1の容器体3の周囲に当接するように、また容器体の底部31よりも低い部分に、仕切り材13が格子状に設けられている。そして図4の態様では、該仕切り材13は、前記複数の飲料用水素含有水製品1を個々の製品ごとに区切るように設けられている。前記仕切り材13は、前述したように、個々の製品ごとに区切るように設けられるほか、製品1を複数個(例えば2個ずつ、3個ずつなど)に区切るように設けられていてもよい。
本発明の箱詰めキット、すなわち、水素含有水が充填されてなる飲料用水素含有水製品を箱詰めするにあたり、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填するという箱詰め方法により箱詰めされたキットは、特別な装置や複雑な手順を用いずとも、製品製造後における飲料用水素含有水の溶存水素濃度の低下を抑制でき、飲料用水素含有水製品を高い品質のまま長期間保管できる。
本発明の望ましい実施形態をさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
<実施例1乃至実施例8及び参考例1:飲料用水素含有水製品の製造(1)>
実施例1乃至実施例8に使用する飲料用水素含有水製品を、それぞれ以下の手順にて製造した。
1)実施例1乃至実施例8:水素含有水中に水素濃度低下抑制剤が溶存してなる飲料用水素含有水製品:
本例では、本発明者らが先の特許出願(特許第4551964号明細書、特願2014−092648、特許第第6052948号明細書等)において開示した方法に倣い、飲料用水素含有水製品を製造した。具体的には、(1)浄化装置において、原料となる水をろ過及び浄化し、得られた浄化水を脱気装置に送る浄化工程と、(2)前記脱気装置において、供給された浄化水を、中空糸膜を通じて脱気し、得られた脱気水を水素溶解装置に送る脱気工程と、(3)前記水素溶解装置において、供給された脱気水に中空糸膜を通じて加圧水素ガスを溶解し、得られた水素含有水を充填装置に送る水素溶解工程と、(4)前記充填装置において供給された水素含有水をストロー付包装容器にその開口部(注入口)より充填する充填工程と、(5)水素含有水が充填されたストロー付包装容器の開口部を封止キャップにて密封する密封工程と、(6)水素含有水が充填・密封された製品を加熱処理(85℃で30分間)する工程、を経て、実施例1乃至実施例8の飲料用水素含有水製品を製造した。
上記(4)充填工程は、加圧充填(負荷圧力:0.2MPa乃至0.3MPa)にて同一条件にて実施した。また充填工程において水素含有水を充填するストロー付包装容器には、予め所定量の水素濃度低下抑制剤を投入し、ここに水素含有水を加圧充填した。
また、(6)加熱処理する工程を経た後、確認サンプルとして飲料用水素含有水製品を開封し、水素濃度低下抑制剤が完全に溶解していることを確認した。
実施例1乃至実施例8において使用した水素濃度低下抑制剤の詳細を以下に示す。なお実施例5乃至実施例8は、水素濃度低下抑制剤[ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゼラチン(豚由来、魚由来)、プルラン]を原料とする水溶性のハードカプセルを用いた。
Figure 2019093493
2)参考例1:水素含有水中に水素濃度低下抑制剤が溶存していない飲料用水素含有水製品:
上記実施例と同様の手順にて、但し、充填工程において水素含有水を充填するストロー付包装容器には、水素濃度低下抑制剤を投入せずに水素含有水を加圧充填し、参考例1の飲料用水素含有水製品を製造した。
下記に示す実施例及び参考例のいずれの例においても、ストロー付包装容器として製品容量が200mLである容器を使用し、ここに充填量215g±5gの量にて水素含有水を充填して製品試料とした。後述する測定日毎に5個の製品試料に対して以下の評価を行った。
なお、実施例1〜4の各製品試料(200mL)における水素濃度低下抑制剤の配合量は、30mg(実施例1−1〜実施例4−1)又は200mg(実施例1−2〜実施例4−2)となるように、水素濃度低下抑制剤の投入量を調製した。
実施例5〜8の各製品試料(200mL)における投入するカプセル個数(2号サイズ)は1個(約60mg)とした。
なお、20℃、1気圧における飽和水素濃度は1.61ppmである。
<飲料用水素含有水製品の評価>
上記実施例1乃至実施例8及び参考例1の各飲料用水素含有水製品について、製造後7日、90日、180日、360日経過後(室温(25℃±5℃にて保管))の溶存水素濃度、pH及び、3.3mol/L塩化銀電極を基準として測定した酸化還元電位(vs.Ag/AgCl(3.3N))を測定した(各測定日ごとに5個の製品試料を測定、平均値として測定結果を算出)。
溶存水素濃度の測定は、Unisense社製の溶存センサー(マルチメータと溶存水素センサーの組合せ)にて実施し、センサー校正時の温度(水温)並びに測定温度(水温)が20℃±2℃となるように、ストロー付包装容器への充填時の温度を調整した。
なお、測定条件を揃えるべく、実測したpH値とORP値により以下の式を用いて、pH補正後のORP値を得た。そして補正後の90日経過品のORP値に対する、補正後の180日及び360日経過品のORP値の変化の割合(%)を算出した。
pH補正後のORP値:ORP実測値−(−59×実測pH)
また90日経過後に測定した製品のpH値に基づき、参考ORP値を算出し、実測の酸化還元電位と比較した。
参考ORP値:{[−59×(90日経過後の該飲料用水素含有水製品中の水素含有水のpH値)]−170}
得られた結果を表2(参考例1、並びに実施例1−1〜実施例4−1、配合量:30mg)及び表3(実施例1−2〜実施例4−2、配合量:200mg)並びに表4(実施例5〜実施例8)に示す。
なお得られた実施例1乃至実施例8(実施例1−1〜実施例4−1、実施例1−2〜実施例4−2、実施例5〜8)及び参考例1の飲料用水素含有水製品を、製造から7日、90日、180日、360日経過後(室温(25℃±5℃)にて保管)までのそれぞれにおいて軽く振った(音を確認するために保管していた専用の検体を使用)ところ、いずれの場合においても音が確認された。これは容器に充填された水素含有水の水面より上方の空間に、ガス雰囲気が存在することを裏づけるものである。
Figure 2019093493
Figure 2019093493
Figure 2019093493
<実施例9乃至実施例16:飲料用水素含有水製品の製造(2)及び評価>
前述の<実施例1乃至実施例8及び参考例1:飲料用水素含有水製品の製造(1)>の手順に倣い、水素含有水中に水素濃度低下抑制剤が溶存してなる飲料用水素含有水製品を作製した。なお、本例においても、ストロー付包装容器として製品容量が200mLである容器を使用し、ここに充填量215g±5gの量にて水素含有水を充填して製品試料とした。
また、実施例9〜14の各製品試料(200mL)における水素濃度低下抑制剤の配合量は、5mg(実施例9−1〜実施例14−1)、50mg(実施例9−2〜14−2)、200mg(実施例9−3〜実施例14−3)とした。実施例15の製品試料(200mL)における水素濃度低下抑制剤の配合量は、1mg(実施例15−1)、10mg(実施例15−2)、50mg(実施例15−3)とした。実施例16の製品試料(200mL)における水素濃度低下抑制剤の配合量は、0.1mg(実施例16−1)、10mg(実施例16−2)、50mg(実施例16−3)とした。
実施例9乃至実施例16において使用した水素濃度低下抑制剤の詳細を以下に示す。
Figure 2019093493
前述の<飲料用水素含有水製品の評価>に従い、実施例9乃至実施例16の各飲料用水素含有水製品について、製造後7日、90日、180日、360日経過後(室温(25℃±5℃にて保管))の溶存水素濃度、pH及び、3.3mol/L塩化銀電極を基準として測定した酸化還元電位(vs.Ag/AgCl(3.3N))を測定した(各測定日ごとに5個の製品試料を測定、平均値として測定結果を算出)。
得られた結果を表6(実施例9−1〜実施例12−1)、表7(実施例13―1〜実施例16−1)、表8(実施例9−2〜実施例12−2)、表9(実施例13−2〜16−2)、表10(実施例9−3〜実施例12−1)、及び表11(実施例13−3〜実施例16−3)にそれぞれ示す。
なお得られた実施例9乃至実施例16(実施例9−1〜実施例16−1、実施例9−2〜実施例16−2、実施例9−3〜実施例16−3)を、製造から7日、90日、180日、360日経過後(室温(25℃±5℃)にて保管)までのそれぞれにおいて軽く振った(音を確認するために保管していた専用の検体を使用)ところ、いずれの場合においても音が確認され、容器に充填された水素含有水の水面より上方の空間に、ガス雰囲気が存在することが裏づけられた。
Figure 2019093493
Figure 2019093493
Figure 2019093493
Figure 2019093493
Figure 2019093493
Figure 2019093493
表2乃至表4、並びに、表6乃至表11に示すように、本発明の飲料用水素含有水製品は、360日経過後においても7日経過品からのORP値の変化が少なく、酸化還元電位を低い値に維持し、そして溶存水素濃度を高い値に維持することができるものであった。
[実施例17:箱詰めキット]
前記実施例8で製造した飲料用水素含有水製品を用いた、実施例17の箱詰めキット11を図4に示す。
実施例17は、本発明の箱詰めキットにおいて、前記容器体の底部が真上を向き、反対に前記キャップが真下を向いた逆さ姿勢にて飲料用水素水含有製品が箱内に装填されてなる例を示す。
実施例17(図4)の箱詰めキットは、矩形の箱12とその中の適当枚数の仕切り材13からなり、箱詰めキット11の箱12に飲料用水素含有水製品1が、容器体3の底部31が真上を向き、反対にキャップ5が真下を向いた逆さ姿勢を保つように、仕切り材13が設けられている。箱12及び仕切り材13は、いずれも段ボール製である。
仕切り材13は互いに直交する縦板と横板とからなり、箱12の内部空間を格子状に仕切る板材である。仕切り材13により形作られる個々の区域は、飲料用水素含有水製品が丁度よく収納される大きさの空間となっている。すなわち、仕切り材13は、飲料用水素含有水製品1の容器体3の周囲に当接するように、そして仕切り材13が飲料用水素含有水製品1を個々(1個)の製品ごとに区切るように、格子状に設けられている。このように仕切り材13を配置することで、箱12に装填された任意の一の飲料用水素含有水製品1を取り出した場合において、箱12に装填された残りの飲料用水素含有水製品1はそのままその容器体3の底部31が真上を向く姿勢を保つことができる。
また図4に示すように、仕切り材13の高さは、一例として、容器体3の底部31よりも低い位置に設定することができる。このように仕切り材13の高さを調整することで、箱12内に装填された水素含有水製品1が取り出し易さが向上する。また仕切り材13の高さを、容器体3の底部31よりも高い位置に設定してもよい。箱詰めキットを段積みした場合、上方に位置する箱詰めキットからの重力によって下方に位置する箱詰めキット内の飲料用水素含有水製品1が変形する虞があるが、仕切り材13の高さを調整することで、こうした製品の変形を抑えることができる。
1・・・飲料用水素含有水製品
2・・・ストロー付包装容器
3・・・容器体
31 底部
4・・・スパウト付ストロー
41 ストロー部
42 口部
42A 上端口部
43 雄ネジ部
44 熱溶着部
45 耳部
46 孔
47 フランジ
48 突起部
4A ストロー上部
5・・・封止キャップ
6・・・水素含有水
7・・・ガス雰囲気
11・・・箱詰めキット
12・・・箱
13・・・仕切り材

Claims (19)

  1. 開封可能な容器と、
    該容器内に充填されそして密封された水素含有水と、
    該水素含有水中に溶存する水素濃度低下抑制剤とを有する、
    飲料用水素含有水製品。
  2. 前記水素濃度低下抑制剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、ゼラチン、乳糖、麦芽糖、還元麦芽糖、ブドウ糖、デキストリン、難消化性デキストリン、結晶セルロース、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせである、
    請求項1に記載の飲料用水素含有水製品。
  3. 前記水素濃度低下抑制剤が、前記水素含有水100mLに対して0.01mg〜100mgの割合で溶存してなる、
    請求項1又は請求項2に記載の飲料用水素含有水製品。
  4. 該容器内の水素含有水の水面より上方の空間に、充填後の加熱処理により生成されそしてその後少なくとも90日経過後においても存在するガス雰囲気を少なくとも前記加熱処理後において有してなる、
    請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  5. 前記充填が加圧充填である、
    請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  6. 前記開封可能な容器がボトル缶又はイージーオープン缶である、
    請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  7. 前記開封可能な容器が袋状の容器であって、
    前記袋状の容器が、
    金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体からなる、
    請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  8. 前記開封可能な容器が袋状の容器であって、
    前記袋状の容器が、
    金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体と、
    該容器体にその上縁部での熱溶着により固着されてなるスパウトと、
    該スパウトの上端口部に螺着された封止キャップとを備えてなる、スパウト付包装容器である、
    請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  9. 前記開封可能な容器が袋状の容器であって、
    前記袋状の容器が、
    金属ラミネートフィルムからなる可撓性を有する袋状容器体と、
    ストロー下部が該容器体内に差し込まれ、該容器体にその上縁部での熱溶着により固着されてなるスパウト付ストローと、
    該スパウト付ストローの上端口部に螺着された封止キャップとを備えてなる、ストロー付包装容器である、
    請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  10. 前記水素含有水の酸化還元電位が、製造後常温保存下で少なくとも90日経過後において、{[−59×(90日経過後の該飲料用水素含有水製品中の水素含有水のpH値)]−170}mV以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  11. 前記ガス雰囲気は、水素ガス分圧が雰囲気全体圧に対して90%以上の雰囲気である、請求項4乃至請求項10のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  12. 前記充填後の加熱処理は、65℃乃至90℃の温度で、3分間乃至2時間の加熱条件にてなされる、請求項4乃至請求項11のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  13. 前記水素含有水は、0.15MPa乃至0.5MPaの負荷圧力にて前記開封可能な容器内に加圧充填される、請求項5乃至請求項12のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  14. 前記水素含有水は、充填時の溶存水素濃度が大気圧下で、充填時の該水素含有水の水温における水素の水への飽和濃度以上である、請求項1乃至請求項13のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  15. 前記開封可能な容器の製品容量は、150mL乃至550mLである、請求項1乃至請求項14のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  16. 請求項8乃至請求項14のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品が箱内に装填されてなる箱詰めキットであって、前記袋状の容器がスパウト付包装容器又はストロー付包装容器であり、
    前記飲料用水素含有水製品は、前記容器体の底部が上を向き、反対に前記封止キャップが下を向いた姿勢にて箱内に装填されていることを特徴とする、飲料用水素含有水製品の箱詰めキット。
  17. 前記水素濃度低下抑制剤が水溶性カプセルの形態、錠剤の形態、或いは粒状の形態を有する、
    請求項1乃至請求項15のうちいずれか一項に記載の飲料用水素含有水製品。
  18. 前記水溶性カプセルの形態にある水素濃度低下抑制剤が、さらに機能性原料をカプセル内に含有してなる、請求項17に記載の飲料用水素含有水製品。
  19. 前記錠剤の形態又は粒状の形態にある水素濃度低下抑制剤が、さらに機能性原料を含んだ錠剤の形態又は粒状の形態である、請求項17に記載の飲料用水素含有水製品。
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