JPWO2019078170A1 - ポリウレタン弾性繊維、その巻糸体、及びそれを含む製品 - Google Patents
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Abstract
Description
それらの問題を解決するために、シリコーンオイル等の処理剤を糸に付与する方法が知られている。
以下の特許文献1では、経日的な解舒性の悪化を解決するために、ポリウレタン弾性繊維へ特定の平滑剤と解舒性向上剤からなる処理剤を付与する手法が報告されている。また、以下の特許文献2では、高温保管後の解舒性を改善するためにジアルキルスルホコハク酸塩のような特定成分を特定量混合した弾性繊維用処理剤の使用が提案されている。
しかしながら、ポリウレタン弾性繊維の表面に特定の表面処理剤を付与するこれらの方法では、一時的に繊維表面の摩擦性を改善できるものの、保管中に糸表面の処理剤が移動することで梱包資材の汚れや経時保管中の摩擦性の変動を起こしてしまうという問題があった。また、特許文献1又は2に記載の方法で製造されるポリウレタン弾性繊維を不織布に挟み込みギャザー部材を製造すると、ポリウレタン弾性繊維の表面の処理剤の付着量が不安定であるため、十分な接着性を得ることができず、製品中で糸がスリップインしてしまうという問題もあった。
以下の特許文献3では、湿式紡糸により扁平なスパンデックスとすることで接着性の高いおむつ用のギャザー部材を製造することが提案されている。しかしながら、生産性の低い湿式紡糸であるという従来の問題点に加え、マルチフィラメントの断面を扁平にすることで接着面積は向上するものの、特許文献1又は2に記載されたものと同様、表面の処理剤の付着状態は不安定であり、スリップインの発生が十分少ないと言えるようなギャザー部材は得られていない。
以上のように、平滑性と摩擦性の改善したポリウレタン弾性繊維とスリップインの発生が少ないギャザー部材を得るために、これまで様々な表面処理剤を繊維表面へ付与する方法や繊維断面を扁平にする方法が検討されてきたが、それだけでは製品の倉庫での保管といった長期保管時の表面処理剤による梱包資材の汚染や摩擦性の変動等の問題の十分な解決やギャザー部材中のポリウレタン弾性繊維がスリップインしてしまう問題の十分な解決には至っていない。
すなわち本発明は以下の通りのものである。
断面空隙面積率(%)=空隙部の面積/総断面積×100
で求められる断面空隙面積率が15%以上60%以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
[2]前記マルチフィラメントの繊度が150dt以上1300dt以下である、前記[1]に記載のポリウレタン弾性繊維。
[3]前記マルチフィラメントの繊度が150dt以上900dt以下である、前記[1]又は[2]に記載のポリウレタン弾性繊維。
[4]前記マルチフィラメントを構成する単糸数が14本以上140本以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
[5]前記マルチフィラメント断面において、該マルチフィラメントを構成する全ての単糸から計算される平均単糸径を直径とする単糸の大きさよりも大きな前記空隙部が少なくとも1つ存在する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
[6]デマッチャー試験機により長さ40mmのマルチフィラメントを240mmの長さになるまで伸張し、再び40mmまで戻す操作を200rpmの速度で5000回繰り返しを行った際の単糸ばらけ発生率が20%以下である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
[7]前記単糸ばらけ発生率が13%以下である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
[8]ポリウレタン弾性繊維の重量に対する炭素数10〜20の長鎖脂肪酸金属塩の含有率が0〜0.2質量%である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維を含む巻糸体。
[10]ドラフト3.0における走行応力が0.075g/dt以上0.130g/dt以下である、前記[9]に記載の巻糸体。
[11]前記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維を含む布帛。
[12]前記[1]〜[8]のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維が不織布に挟み込まれてなるギャザー部材。
[13]ポリウレタン弾性繊維を含むギャザー部材であって、該ギャザー部材に含まれるマルチフィラメントからなるポリウレタン弾性繊維の断面において、該マルチフィラメントを構成する単糸が互いに接することにより画される空隙部を有し、該空隙部の面積と該マルチフィラメントを構成するすべての単糸の断面積とを合計した面積を総断面積としたとき、下記式:
断面空隙面積率(%)=空隙部の面積/総断面積×100
で求められるギャザー部材に含まれるポリウレタン弾性繊維の断面空隙面積率が15%以上60%以下であるギャザー部材。
本実施形態は、マルチフィラメントからなるポリウレタン弾性繊維であって、該マルチフィラメントの断面において、該マルチフィラメントを構成する単糸が互いに接することによって画される空隙部を有し、該空隙部の面積と該マルチフィラメントを構成するすべての単糸の断面積とを合計した面積を総断面積としたときに、下記式:
断面空隙面積率(%)=該空隙部の面積/該総断面積×100
で表される断面空隙面積率が15%以上60%以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維である。
断面空隙面積率は18%以上が好ましく、より好ましくは20%以上である。断面空隙面積率は高いほど良いが、60%を超えるとマルチフィラメントがばらけやすくなり、糸切れが起こる可能性があるため60%以下が好ましく、より好ましくは50%以下である。
本実施形態のポリウレタン弾性繊維の原料ポリマーを製造する方法に関しては、公知のポリウレタン化反応の技術を用いることができる。高分子ポリオール、例えば、ポリアルキレンエーテルグリコールと、ジイソシアネートとをジイソシアネート過剰の条件下で反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、次いで、このウレタンプレポリマーを2官能性アミン等の活性水素含有化合物で鎖伸張反応を行い、ポリウレタン重合体を得ることができる。
このようにして得られたポリウレタン重合体は、公知の乾式紡糸、溶融紡糸又は湿式紡糸法等で繊維状に成形し、ポリウレタン弾性繊維を得ることができる。また、異なる原料を用いて重合したポリウレタン重合体を紡糸の前段階で混合して紡糸してもよい。
炭素数10〜20の長鎖脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸や12−ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸からなる長鎖脂肪酸のマグネシウム塩またカルシウム塩等があげられ、マグネシウム塩のほうが好ましい。特に好ましい長鎖脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウムであるが、炭素数10〜20の長鎖脂肪酸のマグネシウム塩であれば、単独で又は混合して使用しても構わない。
フィルムや不織布とポリウレタン弾性繊維を接着する方法としては、ホットメルト接着剤を使用する方法や熱圧着ロール、超音波接着等の公知の方法を使用することができ、本実施形態のポリウレタン弾性繊維であれば糸表面の処理剤量が安定しているため、いずれの接着方法でも高い接着性を得ることができる。
マルチフィラメント1本の断面をSEMで撮影し、その断面写真からSEM写真中の該マルチフィラメントを構成する全ての単糸の断面部分の面積(A)と、該マルチフィラメントを構成する単糸が互いに接することにより画される空隙部分の面積(B)として求め、下記式:
断面空隙面積率(%)=空隙部の面積/総断面積×100
により算出する。尚、総断面積は、断面部分の面積(A)と空隙部分の面積(B)の和(A+B)によって求められる。
断面のSEM写真を撮影するためのマルチフィラメント糸は、両面テープを貼り付けた2枚の厚紙で該マルチフィラメント1本を挟み込み、そこからはみ出た該マルチフィラメントを厚紙の淵ぎりぎりのところでカミソリ刃により切断し、その断面を正面から観察できるようにSEMのステージ上にセットして観察する。本法によれば、切断時の変形による断面空隙面積率の変動はない。
SEMの測定倍率は、マルチフィラメントの断面の全体像が観察できるように適切な倍率で観察する。本実施例と比較例においては100〜250倍の範囲で測定を行った。
測定回数は同一の巻糸体から1m以上の間隔をあけて、5本サンプリングし、その断面から求められた断面空隙面積率の大きいもの上位2点の平均値をそのサンプルの断面空隙面積率とする。
尚、布帛中のマルチフィラメントは、布帛及び加工糸を分解してマルチフィラメントを取り出し、5本サンプリングし、前掲の方法と同様にして断面空隙面積率を測定することができる。
尚、「単糸が互いに接する」とは、単糸同士が完全に接していない場合も含み、単糸同士の単糸間の中心間の距離(L)が平均単糸径(d)×2以下である場合には単糸が完全に接していない場合でも「互いに接する」といい、また、この場合、「なぞる」とは2つの隣接単糸の中心を結んだ直線上をなぞることを意味する。Lとdとの関係については後掲する単糸が完全に画されていない(囲われていない)空隙部がある場合の取り扱い方法に準ずる。
図1に断面部分の面積と空隙部分の面積の求め方を説明するためのマルチフィラメント断面の概略図を示す。
<L>2dのとき>
互いに接していない末端の2つの単糸は不連続と判断し、単糸に完全に囲われていない空隙部の面積は空隙面積に参入しない。図2には、単糸に完全に囲われていない空隙部の例が示されている。
<L≦2dのとき>
互いに接していない末端の2つの単糸は連続であると判断し、2つの単糸の中心を結んだ直線を不連続部を補う線(外周)として、その線に囲まれる空隙部分を空隙面積に参入する。図3にはその一例としてマルチフィラメント断面が概略図的に示されており、この場合には該空隙部分は空隙面積に参入される。
(1)で測定した5本のサンプルのうち、断面空隙面積率が大きかった上位2つのSEM写真を用いて平均単糸径を真円の直径とする単糸のサイズ以上の空隙部の数を求める。 平均単糸径dは(1)と同様にして求め、上記2つのSEM写真について、「平均単糸径と同一径の単糸の大きさよりも大きな空隙部分」とは、平均単糸径dの真円を有する単糸を想定し、その単糸を空隙部分内に配置しようとするとき、該空隙部分を画するその想定単糸以外の互いに接する単糸に接することなく配置することができるような空隙部分をいう。上記2つのSEM写真について、いずれか1方に、かかる空隙部分が1個存在する場合には、平均単糸径と同一径の単糸の大きさよりも大きな空隙部分の数を1とし、両者にかかる空隙部分が1個以上存在する場合には、そのうち最も大きな空隙部分の数を、平均単糸径と同一径の単糸の大きさよりも大きな空隙部分の数として採用した。
マルチフィラメント1本を張力のかからないように巻糸体から剥ぎ取り無張力状態かつ弛みの無い状態で1m測長して切り取り、その重量を計量し、下記式:
繊度(dt) = 10000× 1mあたりの重量(g)
から求めた。測定は5回行い、その平均値を繊度とする。
長さ40mmのマルチフィラメントを10本平行に並ぶようにデマッチャー試験機にセットし、240mmの長さになるまで糸長方向に伸張し、再び元の40mmまで緩める伸張繰り返し操作を200rpmの速度で5000回行う。その後、図4に示すように、長さ40mmのマルチフィラメントを平らに置いた状態で、マルチフィラメント中の最も単糸が収束している部分からの距離が最大で0.5mm以上離れている単糸が発生した場合と単糸が切れた場合に単糸ばらけが発生したとする。測定は同一サンプルあたり1組10本で5回測定を行い、合計50本の糸のうち何本ばらけが発生したかをカウントし、発生率を計算した。
試料約1gを50ml三角フラスコに量り取り、8mlの5〜10%の塩酸メタノール(東京化成工業株式会社製)に浸漬させた。これを120℃で1時間還流加熱し、メチルエステルへの誘導体化処理を行った。この反応液を回収後、メタノールで20mlに定容したものをGC/MSにて測定・定量した。
紡糸によって得られた弾性繊維の巻糸体1を、図5に示す装置にかけ、弾性繊維送り出しロール2を速度10m/分、巻き取りロール9を速度30m/分の延伸倍率3倍で走行させ、テンションメーター8で糸走行時の応力(g)を3分間測定した。得られた応力値の平均値を、弾性繊維の繊度で除した値を走行応力(g/dt)とした。この値が高過ぎると経時での断面空隙面積率が変動しやすく、低過ぎるとストレッチ性が低く、またばらけやすい糸となってしまう。
直径8.2cm、幅11.5cmの紙管に巻幅9cm、巻直径18cmになるように巻き取ったポリウレタン弾性繊維の巻糸体1本を外寸:縦32cm×横23cm×高さ24.5cm、厚み:0.5cmの段ボールの中心に配置し、蓋をして梱包して50℃の温風庫に4週間保管し、4週間後の段ボール内側へ表面処理剤の浸みだし具合と、糸を剥ぎ取った後の紙管への表面処理剤の浸み出し具合の外観評価を行った。
(7)の評価で使用するものと同一巻径の糸を用いて、50℃の温風庫に4週間保管する前(エージング前)と50℃の温風庫に4週間保管した後(エージング後)の2つ巻糸体を用いて、それぞれ紙管から1cmのところまで剥ぎ取り、以下の手順に従ってμdを測定し、50℃保管前後でのμdの変動値(Δμd)を求めた。
具体的には、セラミックガイドを経由して走行している糸のセラミックガイドの前後の糸張力の比から動摩擦係数(μd)を求める。すなわち、パッケージからの送り出し速度を50m/分、巻取り速度を150m/分で糸を走行させている時に、糸の走行経路にセラミックフックガイド(湯浅糸道製:A204062 HOOK GUIDE)を摩擦角90°で挿入した際の、入力側の糸張力(T1)、出力側の糸張力(T2)を測定する。動摩擦係数(μd)は、下記式:
動摩擦係数(μd)=ln(T2/T1)/0.5π
により算出される。尚、摩擦角90°を確保するために糸道に摩擦抵抗の低い各種ガイド、回転ロール等を使用してもよい。μdの値は小さいほど、セラミックフックガイドとの摩擦が少なく良好であり、またエージング前後でのμdの値の変動が小さいほど倉庫での保管を想定した場合の摩擦性の変動が小さく、製品としての安定性が高い。より具体的には、製品としての摩擦性の安定性の観点から、Δμdが0.1以下であることが好ましく、より好ましくは0.06以下であることがより好ましい。
上記(7)でエージングしたポリウレタン弾性繊維を紙管から1cmの巻厚になるまで剥ぎ取り、図6に示す装置にかけ、弾性繊維送り出しロール2を、速度50m/分、弾性繊維を3回巻きつけたプレドラフトロール3を、速度80m/分、巻き取りロール4を、速度85m/分の条件で走行させた。観察部位5での、弾性繊維の挙動を3分間目視観察し、以下の評価基準で、糸揺れを評価した。本評価において、糸揺れ幅が小さいほど、糸の使用時の摩擦抵抗が小さく糸切れ等が起こりにくい。
◎:糸揺れ幅が0mm以上2mm未満
○:糸揺れ幅が2mm以上4mm未満
△:糸揺れ幅が4mm以上6mm未満
×:糸切れ幅が6mm以上又は糸切れ
尚、3分間の目視観察において、糸揺れ幅が上記評価基準の2基準の間を行き来する場合は、例えば「△〜○」のように幅のある評価結果としている。
上記(7)でエージングしたポリウレタン弾性繊維を測定する以外は、上記(1)と同様の方法にして測定を行った。
150℃で溶融したホットメルト接着剤(ヘンケルジャパン株式会社製765E)を、5本のポリウレタン弾性繊維を7mmの間隔をあけて平行に並べ、元の長さの3倍の長さになるように伸張し、Vスリットにて付着量が伸張された1本のポリウレタン弾性繊維あたり0.04g/mとなるよう連続的に塗工しながら、該ホットメルト接着剤が塗工されたポリウレタン弾性繊維を幅30cm、目付17g/m2の不織布(旭化成株式会社製エルタスガード(登録商標))2枚で連続的に挟み込み、その上から外径16cm幅40cmの1組のローラーにて、一方のローラーを0.5MPaのエア圧を供給したエアシリンダー(SMC株式会社製CQ2WB100−50DZ)にて押し込みながら連続的に圧着し、ギャザー部材を作製した。作製したギャザーを直ちに切り出し、24時間20℃65%RHの環境で放置後、シクロヘキサンに10分間浸漬することで、ホットメルト接着剤を溶解して取り除きギャザー部材からポリウレタン弾性繊維を取り出して、無張力となるようにろ紙の上へ置き、20℃65%RHの環境で12時間乾燥した。同一の巻糸体から1m以上の間隔をあけて、5本サンプリングする代わりに、上記の通り取り出したポリウレタン弾性繊維を用いる以外は、(1)と同様の方法にて断面空隙面積率を測定した。
なお、熱圧着ロールや超音波接着等のホットメルト接着剤を使用しない方法で製造されたギャザー部材であって、ギャザー部材からのポリウレタン弾性繊維の取り出しが難しい場合は、ポリウレタン弾性繊維を含むギャザー部材ごと10cmに切り出し、無張力の状態で20℃65%RHの環境で12時間静置した後にポリウレタン弾性繊維を含むギャザー部材の断面をSEMにて観察し、(1)と同様の方法にて断面空隙面積率を測定してもよい。
(11)で作製したギャザー部材をサンプルとし、このサンプルを糸長方向に250mm〜300mmの長さにカットし(この時のギャザー部材の長さを初期長とする)、糸長方向に初期長の3倍になるまで延伸させた状態でダンボール板に貼り付けた。次いで、貼り付けた試験体のポリウレタン弾性繊維の長さが200mmとなるような任意の2点に不織布の上から油性ペンで印をつける。こうすることで不織布越しにインクが浸み込みポリウレタン弾性繊維にインクで印をつけることができる。この印のところでポリウレタン弾性繊維とそこに接着している不織布ごとカットし、40℃で5時間放置した。5時間後、ポリウレタン弾性繊維の印をつけた2点間の長さを測定し、保持率を以下式:
接着性保持率=100×(5時間後の計測長さmm)/200mm
により算出した。保持率が高いほど製品の製造時や着用時にてポリウレタン弾性繊維のスリップインが少ない。測定は同一サンプルあたり10回測定し、その平均値を用いて以下の評価基準に基づきスリップインの発生率とした。
5:接着性保持率を10回測定した際の平均値が95%以上
4:接着性保持率を10回測定した際の平均値が90%以上95%未満
3:接着性保持率を10回測定した際の平均値が85%以上90%未満
2:接着性保持率を10回測定した際の平均値が80%以上85%未満
1:接着性保持率を10回測定した際の平均値が80%未満
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール2000gと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート400gとを、乾燥窒素雰囲気下、60℃において3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネートでキャップされたポリウレタンプレポリマーを得た。これを室温まで冷却した後、ジメチルアセトアミドを加え、溶解してポリウレタンプレポリマー溶液とした。
他方、エチレンジアミン33.8g及びジエチルアミン5.4gを、乾燥ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を用意し、これを前記プレポリマー溶液に室温下で添加して、ポリウレタン固形分濃度30質量%、粘度450Pa・s(30℃)のポリウレタン溶液を得た。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてCyanox1790(登録商標、サイテック・インダストリーズ社製)と紫外線吸収剤としてTinuvin234(登録商標、BASF社製)を、それぞれ、ジメチルアセトアミド10質量%溶液に調整し、前記酸化防止剤の固形分がポリウレタン重合体に対し1.00質量%になるように、また、前記紫外線吸収剤がポリウレタン重合体に対し0.25質量%になるようにポリウレタン重合体に添加・混合し、均一な溶液とした後、室温、減圧下で脱泡し、これを紡糸原液とした。
この紡糸原液を、1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比(=最終巻き取り速度÷1つ目のゴデローラー速度)が1.15になるように巻き取り速度500m/分、熱風温度310℃で、環状配列からなり孔数14個で、同一円内のホール間ピッチが20mmであるの紡口を用いて乾式紡糸し、マルチフィラメントを0.20MPaの圧縮空気による仮撚装置で集束した後、表面処理剤をポリウレタン弾性繊維に対して3.0質量%付与し、紙製の紙管に巻き取り、150dt/14フィラメントのポリウレタン弾性繊維の巻き取りパッケージを得た。尚、表面処理剤としては、ポリジメチルシロキサン67質量%、鉱物油30質量%、アミノ変性シリコーン3.0質量%からなる油剤を用いた。
環状配列からなり、孔数28個で、同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.10で、繊度が310dtになるように紡糸原液の吐出量を調整する以外は実施例1と同様の方法で310dt/28フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
[実施例3]
環状配列からなり、孔数36個で、同一円内のホール間ピッチが15mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.20で、繊度が310dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で310dt/36フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数36個で、同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.10で、繊度が310dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で310dt/36フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数36個で、同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.08で、0.15MPaの圧縮空気で仮撚装置を使用し、310dtになるように紡糸原液の吐出量を調整する以外は実施例1と同様の方法で310dt/36フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数36個で同一円内のホール間ピッチが15mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.15で、310dtとなるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で310dt/36フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.08で、620dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で620dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが25mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.08で、0.15MPaの圧縮空気で仮撚装置を使用し、620dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で620dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
ポリウレタン弾性繊維の質量に対して、ステアリン酸マグネシウム量が0.07質量%になるように紡糸原液中にステアリン酸マグネシウムを含有させ、環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.08で、620dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で620dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
ポリウレタン弾性繊維の質量に対して、ステアリン酸マグネシウム量が0.30質量%になるように紡糸原液中にステアリン酸マグネシウムを含有させ、環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.08で、620dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で620dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.20で、620dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で620dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.02で、620dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で620dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.08で、860dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で860dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.15で、940dtになるように紡口からの吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で940dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数96個で同一円内のホール間ピッチが15mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.15で、0.15MPaの圧縮空気で仮撚装置を使用し、1280dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で1280dtのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数36個で同一円内のホール間ピッチが10mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.20で、0.27MPaの圧縮空気で仮撚装置を使用し、310dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で310dt/36フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数36個で同一円内のホール間ピッチが10mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.30で、0.27MPaの圧縮空気で仮撚装置を使用し、310dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で310dt/36フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数72個で同一円内のホール間ピッチが10mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.20で、0.27MPaの圧縮空気で仮撚装置を使用し、620dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で620dt/72フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
環状配列からなり、孔数28個で、同一円内のホール間ピッチが20mmである紡口を使用し、さらに1つ目のゴデローラーと最終の巻き取り速度の比が1.10で、さらに接触圧10Nの圧縮ローラーでマルチフィラメントを圧縮した後にワインダーで巻き取り、繊度が310dtになるように紡糸原液の吐出量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で310dt/28フィラメントのポリウレタン弾性繊維を得た。
2 送り出しロール
3 プレドラフトロール
4 巻き取りロール
5 観察部位
6 セラミックフックガイド
7 ベアリングフリーローラー
8 テンションメーター
9 巻き取りロール
Claims (13)
- マルチフィラメントからなるポリウレタン弾性繊維であって、該マルチフィラメントの断面において、該マルチフィラメントを構成する単糸が互いに接することにより画される空隙部を有し、該空隙部の面積と該マルチフィラメントを構成するすべての単糸の断面積とを合計した面積を総断面積としたとき、下記式:
断面空隙面積率(%)=空隙部の面積/総断面積×100
で求められる断面空隙面積率が15%以上60%以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。 - 前記マルチフィラメントの繊度が150dt以上1300dt以下である、請求項1に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 前記マルチフィラメントの繊度が150dt以上900dt以下である、請求項1又は2に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 前記マルチフィラメントを構成する単糸数が14本以上140本以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 前記マルチフィラメント断面において、該マルチフィラメントを構成する全ての単糸から計算される平均単糸径を直径とする単糸の大きさよりも大きな前記空隙部が少なくとも1つ存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
- デマッチャー試験機により長さ40mmのマルチフィラメントを240mmの長さになるまで伸張し、再び40mmまで戻す操作を200rpmの速度で5000回繰り返しを行った際の単糸ばらけ発生率が20%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 前記単糸ばらけ発生率が13%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
- ポリウレタン弾性繊維の重量に対する炭素数10〜20の長鎖脂肪酸金属塩の含有率が0〜0.2質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維を含む巻糸体。
- ドラフト3.0における走行応力が0.075g/dt以上0.130g/dt以下である、請求項9に記載の巻糸体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維を含む布帛。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタン弾性繊維が不織布に挟み込まれてなるギャザー部材。
- ポリウレタン弾性繊維を含むギャザー部材であって、該ギャザー部材に含まれるマルチフィラメントからなるポリウレタン弾性繊維の断面において、該マルチフィラメントを構成する単糸が互いに接することにより画される空隙部を有し、該空隙部の面積と該マルチフィラメントを構成するすべての単糸の断面積とを合計した面積を総断面積としたとき、下記式:
断面空隙面積率(%)=空隙部の面積/総断面積×100
で求められるギャザー部材に含まれるポリウレタン弾性繊維の断面空隙面積率が15%以上60%以下であるギャザー部材。
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