JPWO2019065764A1 - 繊維の製造方法及び布帛の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一側面において、タンパク質繊維を含む原料繊維を用意し、上記原料繊維の端部を固定する固定工程と、上記端部が固定された上記原料繊維を気体中で加熱する加熱工程と、を備える、繊維の製造方法を提供する。

Description

本発明は、繊維の製造方法及び布帛の製造方法に関する。
タンパク質繊維は、水分、熱との接触(例えば、水又は湯への浸漬、及び高湿度環境への暴露等)などによって収縮する特性を有するものがある。この特性は、製造工程及び製品化において種々の問題を発生させる要因となる。
水分との接触による繊維の収縮を抑制する技術として、例えば、特許文献1には、精錬を完了した強撚糸使用の絹織物を、緊張した状態で水、その他の溶媒、又はその混合系に浸漬して所定時間加温することを特徴とする絹織物の防縮加工方法が開示されている。また特許文献2には、製織して生地状にしたシルク繊維にウォッシャブル性と防汚性とを付与するシルク繊維の加工方法であって、前記シルク繊維に、水溶性塩化シアヌル誘導体若しくは水溶性ビニルスルホン誘導体を架橋剤として用いる劣化防止処理と、蒸絨法、真空蒸絨法、若しくはサンフォライズ法のいずれかを用いる防縮処理と、フッ素系撥水加工剤を用いる撥水加工処理とを施すことを特徴とするシルク繊維の加工方法が開示されている。
ところで、タンパク質繊維は、環境保全意識の高まりから、繊維強化プラスチック(FRP)等の複合材料に使用されるガラス繊維、及び炭素繊維等の繊維の代替繊維として期待されている。複合材料として利用するためには、複合材料を製造する工程において、高温環境(例えば、130℃以上)にさらされても、所定の寸法形状を維持することが求められる。
特公平02−006869号公報 特開2012−246580号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1、2のような加工方法を施した絹織物等は水分との接触による収縮抑制には一定の効果を発揮するものの、熱に対する収縮を充分に抑制するものとはなっていないことが判明した。
そこで、本発明は、熱による収縮が充分に抑制された、タンパク質を含む繊維及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、熱による収縮が充分に抑制された、タンパク質を含む繊維を有する布帛及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
[1]
タンパク質繊維を含む原料繊維を用意し、上記原料繊維の端部を固定する固定工程と、上記端部が固定された上記原料繊維を気体中で加熱する加熱工程と、を備える、繊維の製造方法。
[2]
上記加熱工程が前記原料繊維を100℃以上に加熱する工程である、[1]に記載の繊維の製造方法。
[3]
上記タンパク質繊維が構造タンパク質繊維を含む、[1]又は[2]に記載の繊維の製造方法。
[4]
上記構造タンパク質繊維がフィブロイン様タンパク質繊維を含む、[3]に記載の繊維の製造方法。
[5]
上記フィブロイン様タンパク質繊維がクモ糸フィブロイン様タンパク質繊維を含む、[4]に記載の繊維の製造方法。
[6]
タンパク質繊維を含む原料布帛を用意し、上記原料布帛の外周部を固定する固定工程と、上記外周部が固定された上記原料布帛を気体中で加熱する加熱工程と、を備える、布帛の製造方法。
[7]
上記加熱工程が上記原料布帛を100℃以上に加熱する工程である、[6]に記載の布帛の製造方法。
[8]
上記タンパク質繊維が構造タンパク質繊維を含む、[6]又は[7]に記載の布帛の製造方法。
[9]
上記構造タンパク質繊維がフィブロイン様タンパク質繊維を含む、[8]に記載の布帛の製造方法。
[10]
上記フィブロイン様タンパク質繊維がクモ糸フィブロイン様タンパク質繊維を含む、[9]に記載の布帛の製造方法。
本発明によれば、熱による収縮が充分に抑制された、タンパク質を含む繊維及びその製造方法を提供することができる。本発明によれば、熱による収縮が充分に抑制された、タンパク質を含む繊維を有する布帛及びその製造方法を提供することができる。
図1は、タンパク質繊維を製造するための紡糸装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態に係る繊維の製造方法は、タンパク質繊維を含む原料繊維を用意し、原料繊維の端部を固定する固定工程と、端部が固定された原料繊維を気体中で加熱する加熱工程と、を備える。
タンパク質は、好ましくは構造タンパク質である。本明細書において、構造タンパク質とは、生体構造を形成するタンパク質又はそれに由来するタンパク質を示す。すなわち、構造タンパク質は、天然由来の構造タンパク質であってよく、天然由来の構造タンパク質のアミノ酸配列に依拠してそのアミノ酸配列の一部(例えば、当該アミノ酸配列の10%以下)を改変した改変タンパク質であってよい。
構造タンパク質は、具体的には、フィブロイン(例えば、スパイダーシルク、カイコシルク等)、コラ−ゲン、レシリン、エラスチン及びケラチン、並びにこれらに由来するタンパク質等を挙げることができる。
フィブロイン様タンパク質(フィブロイン又はそれに由来するタンパク質)としては、例えば、式1:[(A)モチーフ−REP1]で表されるドメイン配列を含むタンパク質が挙げられる。ここで、式1中、(A)モチーフの、Aはアラニン残基を示し、nは好ましくは2〜27の整数であり、4〜20の整数、8〜20の整数、10〜20の整数、4〜16の整数、8〜16の整数、又は10〜16の整数であってよい。また式1において、(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数は40%以上であればよく、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は100%(アラニン残基のみで構成されることを意味する)であってもよい。REP1は10〜200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示す。mは10〜300の整数を示す。複数存在する(A)モチーフは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。複数存在するREP1は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。フィブロイン様タンパク質としては、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。
コラーゲン様タンパク質(コラーゲン又はそれに由来するタンパク質)としては、例えば、式2:[REP2]で表されるドメイン配列を含むタンパク質が挙げられる。ここで、式2中、pは5〜300の整数を示す。REP2は、Gly−X−Yから構成されるアミノ酸配列を示し、X及びYはGly以外の任意のアミノ酸残基を示す。複数存在するREP2は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。コラーゲン様タンパク質としては、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。ここで、配列番号2で示されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから入手したヒトのコラーゲンタイプ4の部分的な配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号:CAA56335.1、GI:3702452)のリピート部分及びモチーフに該当する301残基目から540残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号6で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
レシリン様タンパク質(レシリン又はそれに由来するタンパク質)としては、例えば、式3:[REP3]で表されるドメイン配列を含むタンパク質が挙げられる。ここで、式3中、qは4〜300の整数を示す。REP3はSer−J−J−Tyr−Gly−U−Proから構成されるアミノ酸配列を示す。Jは任意のアミノ酸残基を示し、好ましくはAsp、Ser及びThrからなる群から選ばれるアミノ酸残基である。Uは任意のアミノ酸残基を示し、好ましくはPro、Ala、Thr及びSerからなる群から選ばれるアミノ酸残基である。複数存在するREP3は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。レシリン様タンパク質としては、例えば、配列番号3で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。ここで、配列番号3で示されるアミノ酸配列は、レシリン(NCBIのGenBankのアクセッション番号NP 611157、Gl:24654243)のアミノ酸配列において、87残基目のThがSerに置換され、かつ95残基目のAsnがAspに置換された配列の19残基目から321残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号7で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列)が付加されたものである。
エラスチン様タンパク質(エラスチン又はそれに由来するタンパク質)としては、例えば、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395(ヒト)、I47076(ヒツジ)、NP786966(ウシ)等のアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。エラスチン様タンパク質としては、例えば、配列番号4で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。ここで、配列番号4で示されるアミノ酸配列は、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395のアミノ酸配列の121残基目から390残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号6で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
ケラチン様タンパク質(ケラチン又はそれに由来するタンパク質)として、例えば、カプラ・ヒルクス(Capra hircus)のタイプIケラチン等が挙げられる。ケラチン様タンパク質としては、例えば、配列番号5で示されるアミノ酸配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号ACY30466のアミノ酸配列)を含むタンパク質を挙げることができる。
構造タンパク質は、好ましくはフィブロイン様タンパク質であり、より好ましくはクモ糸フィブロイン様タンパク質である。
本実施形態にかかるタンパク質は、例えば、目的とするタンパク質をコードする核酸配列と、当該核酸配列に作動可能に連結された1又は複数の調節配列とを有する発現ベクターで形質転換された宿主により、当該核酸を発現させることによって生産したものを用いることができる。
目的とするタンパク質をコードする核酸の製造方法は特に制限されない。例えば、天然の構造タンパク質をコードする遺伝子を利用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などで増幅しクローニングする方法、又は、化学的な合成によって、当該核酸を製造することができる。核酸の化学的な合成方法も特に制限されず、例えば、NCBIのウェブデータベースなどから入手した構造タンパク質のアミノ酸配列情報をもとに、AKTA oligopilot plus 10/100(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)などで自動合成したオリゴヌクレオチドをPCRなどで連結する方法によって核酸を化学的に合成することができる。この際に、タンパク質の精製や確認を容易にするため、上記のアミノ酸配列のN末端に開始コドン及びHis10タグからなるアミノ酸配列を付加したアミノ酸配列からなるタンパク質、をコードする核酸を合成してもよい。
調節配列は、宿主における組換えタンパク質の発現を制御する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合配列、及び転写終結配列等)であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。プロモーターとして、宿主細胞中で機能し、目的とするタンパク質を発現誘導可能な誘導性プロモーターを用いてもよい。誘導性プロモーターは、誘導物質(発現誘導剤)の存在、リプレッサー分子の非存在、又は温度、浸透圧若しくはpH値の上昇若しくは低下等の物理的要因によって、転写を制御できるプロモーターである。
発現ベクターの種類は、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、及び人工染色体ベクター等であってよく、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製が可能、又は宿主の染色体中への組込みが可能で、目的とするタンパク質をコードする核酸を転写できる位置にプロモーターを含有しているものが好適に用いられる。
宿主として、原核生物、並びに酵母、糸状真菌、昆虫細胞、動物細胞及び植物細胞等の真核生物のいずれも好適に用いることができる。
原核生物の好ましい例として、エシェリヒア属、ブレビバチルス属、セラチア属、バチルス属、ミクロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びシュードモナス属等に属する細菌を挙げることができる。
原核生物を宿主とする場合、目的とするタンパク質をコードする核酸を導入するベクターとしては、例えば、pBTrp2(ベーリンガーマンハイム社製)、pGEX(Pharmacia社製)、pUC18、pBluescriptII、pSupex、pET22b、pCold、pUB110、及びpNCO2(特開2002−238569号公報)等を挙げることができる。
真核生物の宿主としては、例えば、酵母及び糸状真菌(カビ等)を挙げることができる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス属、ピキア属、及びシゾサッカロマイセス属等に属する酵母を挙げることができる。糸状真菌としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、及びトリコデルマ(Trichoderma)属等に属する糸状真菌を挙げることができる。
真核生物を宿主とする場合、目的とするタンパク質をコードする核酸を導入するベクターとしては、例えば、YEp13(ATCC37115)、及びYEp24(ATCC37051)等を挙げることができる。
上記宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができる。上記宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69,2110 (1972)〕、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、プロトプラスト法、酢酸リチウム法、及びコンピテント法等を挙げることができる。
発現ベクターで形質転換された宿主による核酸の発現方法としては、直接発現のほか、モレキュラー・クローニング第2版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、及び融合タンパク質発現等を行うことができる。
目的とするタンパク質は、例えば、発現ベクターで形質転換された宿主を培養培地中で培養し、培養培地中に当該タンパク質を生成蓄積させ、該培養培地から採取することによって製造することができる。宿主を培養培地中で培養する方法は、宿主の培養に通常用いられる方法に従って行うことができる。
宿主が大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物である場合、宿主の培養培地として、該宿主が資化し得る炭素源、窒素源及び無機塩類等を含有し、該宿主の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、及び合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、上記形質転換された宿主が資化し得るものであればよく、例えば、グルコース、フラクトース、スクロース、及びこれらを含有する糖蜜、デンプン及びデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸及びプロピオン酸等の有機酸、並びにエタノール及びプロパノール等のアルコール類などを用いることができる。
窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム等の無機酸又は有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びにペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌体及びその消化物などを用いることができる。
無機塩としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅及び炭酸カルシウムなどを用いることができる。
大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物の培養は、例えば、振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行うことができる。培養温度は、例えば、15〜40℃である。培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養中の培養培地のpHは3.0〜9.0に保持することが好ましい。培養培地のpHの調整は、無機酸、有機酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム及びアンモニア等を用いて行うことができる。
培養中必要に応じて、アンピシリン及びテトラサイクリン等の抗生物質を培養培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
宿主が生成蓄積した目的とするタンパク質の単離、及び精製は通常用いられている方法で行うことができる。例えば、当該タンパク質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、宿主細胞を遠心分離によって回収し、水系緩衝液に懸濁した後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー及びダイノミル等によって宿主細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することによって得られる上清から、タンパク質の単離精製に通常用いられている方法によって精製標品を得ることができる。また、当該タンパク質が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に宿主細胞を回収後、破砕し、遠心分離を行うことによって、沈殿画分としてタンパク質の不溶体を回収する。回収したタンパク質の不溶体は、タンパク質変性剤で可溶化することができる。該操作の後、上記と同様の単離精製法によってタンパク質の精製標品を得ることができる。
当該タンパク質が細胞外に分泌された場合には、培養上清から当該タンパク質を回収することができる。すなわち、培養物を遠心分離等の手法によって処理することで培養上清を取得し、該培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることによって、精製標品を得ることができる。
タンパク質の単離精製に通常用いられている方法としては、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化成社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(Pharmacia社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、及びフェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、並びに、等電点電気泳動等の電気泳動法等の方法を挙げることができる。これらの方法は、単独又は組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る原料繊維はタンパク質繊維を含む。原料繊維は、好ましくはタンパク質繊維からなる。
本実施形態に係るタンパク質繊維は、上述したタンパク質を紡糸したものであり、好ましくは構造タンパク質を紡糸した繊維(構造タンパク質繊維)であり、より好ましくはフィブロイン様タンパク質を紡糸した繊維(フィブロイン様タンパク質繊維)、特に好ましくはクモ糸フィブロイン様タンパク質を紡糸した繊維(クモ糸フィブロイン様タンパク質繊維)である。
タンパク質繊維は、タンパク質を公知の紡糸方法によって紡糸することによって製造することができる。すなわち、タンパク質繊維を製造する際には、まず、上述した方法に準じて製造したタンパク質を、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、又はヘキサフルオロイソプロノール(HFIP)等の溶媒に、溶解促進剤としての無機塩と共に添加し、溶解させてドープ液を作製する。次いで、このドープ液(紡糸原液)を用いて、湿式紡糸、乾式紡糸又は乾湿式紡糸等の公知の紡糸方法によって紡糸して、目的とするタンパク質繊維を得ることができる。
図1は、タンパク質繊維を製造するための紡糸装置の一例を示す概略図である。図1に示す紡糸装置10は、乾湿式紡糸用の紡糸装置の一例であり、押出し装置1と、凝固浴槽20と、洗浄浴槽21と、乾燥装置4とを、上流側から順に有している。
押出し装置1は貯槽7を有しており、ここにドープ液(紡糸原液)6が貯留される。凝固浴槽20に凝固液11(例えば、メタノール)が貯留される。ドープ液6は、貯槽7の下端部に取り付けられたギヤポンプ8によって、凝固液11との間にエアギャップ19を開けて設けられたノズル9から押し出される。押し出されたドープ液6は、エアギャップ19を経て凝固液11内に供給される。凝固液11内でドープ液6から溶媒が除去されてタンパク質が凝固する。凝固したタンパク質は、洗浄浴槽21に導かれ、洗浄浴槽21内の洗浄液12によって洗浄された後、洗浄浴槽21内に設置された第一ニップローラ13と第二ニップローラ14によって、乾燥装置4へと送られる。このとき、例えば、第二ニップローラ14の回転速度を第一ニップローラ13の回転速度よりも速く設定すると、回転速度比に応じた倍率で延伸されたタンパク質繊維36が得られる。洗浄液12中で延伸されたタンパク質繊維36は、洗浄浴槽21内を離脱してから、乾燥装置4内を通過する際に乾燥され、その後、ワインダーにて巻き取られる。このようにして、タンパク質繊維36が、紡糸装置10によって、最終的にワインダーに巻き取られた巻回物5として得られる。なお、18a〜18gは糸ガイドである。
凝固液11としては、ノズル9から押し出されたドープ液6から、溶媒を抽出(脱溶媒)できる有機溶剤であればよい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール及び2−プロパノール等の炭素数1〜5の低級アルコール、並びにアセトン等を挙げることができる。凝固液11は、適宜水を含んでいてもよい。凝固液11の温度は、0〜30℃であることが好ましい。凝固したタンパク質が凝固液11中を通過する距離(実質的には、糸ガイド18aから糸ガイド18bまでの距離)は、脱溶媒が効率的に行える長さがあればよく、例えば、200〜500mmである。凝固液11中での滞留時間は、例えば、0.01〜3分であってよく、0.05〜0.15分であることが好ましい。また、本実施形態においては、凝固したタンパク質を含む繊維を、凝固液11中で延伸(前延伸)してもよい。
洗浄液12としては、主として水を用いることができる。洗浄液12は、凝固液11に使用できるよう剤として列挙したものを含んでいてもよい。なお、タンパク質繊維を得る際に洗浄浴槽21内で実施される延伸は、温水中、温水に有機溶剤等を加えた溶液中等で行う、いわゆる湿熱延伸であってもよい。この湿熱延伸の温度としては、例えば、50〜90℃であってよく、75〜85℃が好ましい。湿熱延伸では、未延伸糸(又は前延伸糸)を、例えば、1倍〜10倍延伸することができ、2〜8倍延伸することが好ましい。
本実施形態における乾燥装置4内を通過する際に、タンパク質繊維を更に延伸(いわゆる乾熱延伸)してもよい。
最終的なタンパク質繊維の延伸倍率は、その下限値が、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、好ましくは、1倍超、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、又は9倍以上であり、その上限値が、好ましくは、40倍以下、30倍以下、20倍以下、15倍以下、14倍以下、13倍以下、12倍以下、11倍以下、又は10倍以下である。
タンパク質繊維は、短繊維であっても、長繊維であってもよい。また、タンパク質繊維は、単独で、又は他の繊維と組み合わされて使用されてもよい。すなわち、タンパク質繊維を含む原料繊維を用意する際には、タンパク質繊維のみからなる単独糸、タンパク質繊維と他の繊維とを組み合わせてなる複合糸が、それぞれ単独で、又はそれらが組み合わされて用いられてもよい。上記単独糸及び上記複合糸は、短繊維を撚り合わせたスパン糸であってもよく、長繊維を撚り合わせたフィラメント糸であってもよい。上記単独糸及び上記複合糸としては、フィラメント糸が好適に用いられる。単独糸は、撚糸であることが好ましく、その場合、撚糸は、Z撚りの撚糸であってもよく、S撚りの撚糸であってもよい。複合糸には、例えば、混紡糸、混繊糸、及びカバーリング糸等が含まれる。
他の繊維とは、タンパク質を含まない繊維等をいう。他の繊維としては、例えば、ナイロン、及びポリエステル等の合成繊維、キュプラ、及びレーヨン等の再生繊維、並びに、綿、及び麻等の天然繊維が挙げられる。他の繊維と組み合わせて使用する場合には、タンパク質繊維を含む原料繊維全量を基準として、タンパク質繊維の含有量が、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。
本実施形態に係る繊維の製造方法においては、上述のとおり用意したタンパク質繊維を含む原料繊維の端部を固定する(固定工程)。
原料繊維の固定は、後述する加熱工程において、原料繊維の収縮を低減(例えば、原料繊維の初期長基準で収縮率5%未満)できるものであればよい。原料繊維の固定は、例えば、所定長さの原料繊維を外力のかからない状態(自然状態)で緩みなく伸ばし、この状態で繊維の両端部を固定することで行ってよい。この原料繊維の端部の固定は、原料繊維の少なくとも端部が固定されていればよく、原料繊維全体を二枚の金属板に挟み込むことによって全体を固定するような態様をとってもよい。原料繊維の固定手段は、特に制限されるものではなく、任意の固定手段を用いてよい。固定手段としては、着脱可能なものであることが好ましく、例えば、粘着テープ、接着剤、及びクランプ等が挙げられる。
次に、端部を固定した状態の原料繊維を気体中で加熱する(加熱工程)。
加熱工程は気体中で行うが、その雰囲気は限定されるものではなく、例えば、大気、不活性ガス雰囲気などであってよい。不活性ガスとしては、窒素、及びアルゴンなどを挙げることができる。加熱工程は、必要に応じて、加圧条件下で行ってもよく、減圧条件下で行ってもよい。真空に近い状況で、加熱工程を行ってもよい。
加熱工程における加熱の温度は、目的とする繊維の使用環境等に応じて適宜選択してよく、例えば、100℃以上、110℃以上、又は130℃以上であってよい。加熱工程における加熱の温度は、タンパク質の分解等を抑制する観点から、好ましくは240℃以下であり、より好ましくは180℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下である。
加熱時間は、特に制限されるものではなく、例えば、30分以上であってよく、又は50分以上であってよい。加熱時間はまた、例えば、5時間以下であってよく、又は3時間以下であってよい。
本実施形態に係る布帛の製造方法は、タンパク質繊維を含む原料布帛を用意し、原料布帛の外周部を固定する固定工程と、外周部が固定された原料布帛を気体中で加熱する加熱工程と、を備える。
タンパク質繊維は、上述したタンパク質繊維を用いることができる。
タンパク質繊維を含む原料布帛の種類は特に限定されない。布帛は、例えば、織物、編物、及び不織布等であってよい。布帛は、好ましくは織布である。布帛が織布である場合、その織組織は、例えば、平織、綾織、及び朱子織等であってよい。布帛が編物である場合、その編物は、トリコット、及びラッセル等の経編物であってよく、横編、及び丸編等の緯編物であってよい。
タンパク質繊維を含む布帛を作製する方法としては、公知の方法を使用することができる。布帛は、織機や編機によって作製される。布帛が不織布である場合、ニードルパンチ法等の公知の方法によって作製される。
布帛の厚みは、例えば1mm以下、又は0.2mm以下であってよい。布帛の目付は、例えば1g/m以上、50g/m以上、80g/m以上又は100g/m以上であってよい。
本実施形態に係る布帛の製造方法においては、上述のとおり用意したタンパク質繊維を含む原料布帛の外周部を固定する(固定工程)。
原料布帛の固定は、加熱工程において、原料布帛の収縮を低減(例えば、原料布帛の初期面積基準で収縮率5%未満)できるものであればよい。原料布帛の固定は、例えば、所定面積の原料布帛を外力のかからない状態(自然状態)でしわ等がないように広げ、この状態で原料布帛の外周部を固定することで行ってよい。この原料布帛の外周部の固定は、原料布帛の外周部の一部又は全部が固定されていればよく、原料布帛全体を二枚の金属板に挟み込むことによって全体を固定するような態様をとってもよい。原料布帛の固定手段は、特に制限されるものではなく、任意の固定手段を用いてよい。固定手段としては、着脱可能なものであることが好ましく、例えば、粘着テープ、接着剤、及びクランプ等が挙げられる。
次いで、外周部を固定した状態の原料布帛を気体中で加熱する(加熱工程)。加熱条件は、上記原料繊維に対する加熱工程と同様の条件で行ってもよい。
本実施形態に係る製造方法によって得られる、タンパク質繊維を含む繊維やタンパク質繊維を含む布帛は、熱による収縮の発生が充分に抑制されたものとなることから、例えば、製造過程において高温処理が含まれる、繊維強化プラスチック(FRP)等の複合材料にも好適に使用することができる。
本実施形態に係る繊維の製造方法、及び布帛の製造方法によって得られる繊維又は布帛は、熱にさらされた際の収縮が抑制されている。このような防縮効果が奏される理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推察している。すなわち、タンパク質繊維中のタンパク質の二次構造や三次構造が加熱によって変化することで、収縮が発生すると考えられるところ、本実施形態に係る方法では、原料繊維又は原料布帛を加熱する際に、原料繊維の端部又は原料布帛の外周部を固定しているため、上記の高次構造の変化が生じても原料繊維及び原料布帛の寸法変化を抑制することができる。さらに熱的により安定な高次構造に変化することによって、本実施形態に係る繊維の製造方法、及び布帛の製造方法によって得られる繊維又は布帛は、熱による収縮が充分に抑制されたものとなる。
以下、実施例及び比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<クモ糸フィブロイン様タンパク質の製造>
(1)プラスミド発現株の作製
ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)由来のフィブロイン(GenBankアクセッション番号:P46804.1、GI:1174415)の塩基配列及びアミノ酸配列に基づき、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する改変フィブロイン(以下、「PRT799」ともいう。)を設計した。なお、配列番号1で示されるアミノ酸配列は、ネフィラ・クラビペス由来のフィブロインのアミノ酸配列に対して、生産性の向上を目的としてアミノ酸残基の置換、挿入及び欠失を施したアミノ酸配列を有し、さらにN末端に配列番号6で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されている。
次に、PRT799をコードする核酸を合成した。当該核酸には、5’末端にNdeIサイト及び終止コドン下流にEcoRIサイトを付加した。当該核酸をクローニングベクター(pUC118)にクローニングした。その後、同核酸をNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して切り出した後、タンパク質発現ベクターpET−22b(+)に組換えて発現ベクターを得た。
(2)タンパク質の発現
配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸を含むpET22b(+)発現ベクターで、大腸菌BLR(DE3)を形質転換した。当該形質転換大腸菌を、アンピシリンを含む2mLのLB培地で15時間培養した。当該培養液を、アンピシリンを含む100mLのシード培養用培地(表1)にOD600が0.005となるように添加した。培養液温度を30℃に保ち、OD600が5になるまでフラスコ培養を行い(約15時間)、シード培養液を得た。
Figure 2019065764
当該シード培養液を500mLの生産培地(表2)を添加したジャーファーメンターにOD600が0.05となるように添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにした。
Figure 2019065764
生産培地中のグルコースが完全に消費された直後に、フィード液(グルコース455g/1L、Yeast Extract 120g/1L)を1mL/分の速度で添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにし、20時間培養を行った。その後、1Mのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を培養液に対して終濃度1mMになるよう添加し、目的のタンパク質を発現誘導させた。IPTG添加後20時間経過した時点で、培養液を遠心分離し、菌体を回収した。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製した菌体を用いてSDS−PAGEを行い、IPTG添加に依存した目的とするタンパク質サイズのバンドの出現によって、目的とするタンパク質の発現を確認した。
(3)タンパク質の精製
IPTGを添加してから2時間後に回収した菌体を20mM Tris−HCl buffer(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのPMSFを含む20mMTris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社製)で細胞を破砕した。破砕した細胞を遠心分離し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mMTris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の沈殿物を100mg/mLの濃度になるように8M グアニジン緩衝液(8Mグアニジン塩酸塩、10mMリン酸二水素ナトリウム、20mMNaCl、1mMTris−HCl、pH7.0)で懸濁し、60℃で30分間、スターラーで撹拌し、溶解させた。溶解後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離によって回収し、凍結乾燥機で水分を除き、凍結乾燥粉末を回収することによって、クモ糸フィブロイン様タンパク質「PRT799」を得た。
<クモ糸フィブロイン様タンパク質繊維の調製>
(1)ドープ液の調製
ジメチルスルホキシド(DMSO)に、上述のクモ糸フィブロイン様タンパク質(PRT799)を濃度24質量%となるよう添加した後、溶解促進剤としてLiClを濃度4.0質量%となるように添加した。その後、シェーカーを使用して、クモ糸フィブロイン様タンパク質を3時間かけて溶解させ、DMSO溶液を得た。得られたDMSO溶液中のゴミと泡を取り除き、ドープ液とした。ドープ液の溶液粘度は90℃において5000cP(センチポアズ)であった。
(2)紡糸
上記のようにして得られたドープ液と図1に示される紡糸装置10を用いて公知の乾湿式紡糸を行って、クモ糸フィブロイン様タンパク質からなるモノフィラメントを得た。なお、ここでは、乾湿式紡糸を下記の条件で行った。
押出しノズル直径:0.1mm
押出し速度:327.6mL/時間
凝固液(メタノール)の温度:2℃
巻取り速度:99.5m/分
延伸倍率:4.52倍
乾燥温度:80℃
エアギャップ長さ:5mm
(実施例1)
クモ糸フィブロイン様タンパク質繊維を有する織布の調製(諸撚糸及び織布の調製)
上記のようにして得られたモノフィラメントを複数本束ねて180デニールとし、Z撚りの撚糸を得た。この撚糸を2本用いて、360デニールの諸撚糸(原料繊維1)を得た。そして、この諸撚糸を用いて、厚み0.2mm、平織の織布(原料布帛1)を作製した。原料布帛1の目付は、114g/mであった。上記で得られた原料布帛1を縦100mm×横100mmにカットして試験片1とした。
上記で得られた試験片1を台板(アルミ板)に載せ、試験片1の4辺(外周)を粘着テープによって台板に固定した。固定した台板と共に上記試験片1を、大気と同じの雰囲気、且つ130℃に調整したオーブン内に静置し、1時間加熱した後、室温にて冷却することによって、目的の織布1を得た。
<評価>
得られた織布1を、台板に載せ、固定せずに、130℃に調整したオーブン内に静置し、1時間、高温環境下にさらした。織布1は、定規を当てて目視で確認したところ、130℃の環境に1時間さらしても収縮は見られず、防縮効果が得られていることが確認された。
(比較例1)
上記で得られた試験片1を、実施例1と同様に評価した。すなわち、試験片1を台板に載せ、固定せずに、130℃に調整したオーブン内に静置し、1時間、高温環境下にさらした。実施例1同様に、定規をあてて目視で確認したところ、試験片1には収縮が見られた。試験片1の収縮率は、高温環境下にさらす前の試験片1の面積を基準として、約36%の減少であった。
(比較例2)
上記実施例1において、調整した試験片1をアルミ製の枠を利用して貼り4辺を、クランプを用いて固定した。この状態で試験片1を常温(25℃)の水に30分浸漬した。その後、水中にさらした試験片1を固定したままの状態で、自然乾燥させた。乾燥後の織布を縦100mm×横100mmにカットした試験片を、織布C1とした。
<評価>
上記で得られた織布C1を実施例1と同様に評価した。織布C1の収縮率は、高温環境下にさらす前の織布C1の面積を基準として、36%の減少であった。
(実施例2)
上記試験片1と同じものを試験片2とした。
上記で得られた試験片2を平板状の金型プレス機内に静置し、平板状の金属板によって試験片2を挟み込み、0.125MPaで加圧することによって、試験片2を全面で固定した。大気下において、30分かけて金型プレス機の設定温度が150℃になるまで昇温し、150℃にて3時間保持することで、試験片2を加熱した。その後、金型を室温にて冷却することで、目的の織布2を得た。
<評価>
得られた織布2について、下記のとおり評価した。すなわち、得られた織布2を、台板に載せ、固定せずに、150℃に調整したオーブン内に静置し、1時間、高温環境下にさらした。織布2は、定規を当てて目視で確認したところ、150℃の環境に1時間さらしても収縮は見られず、防縮効果が得られていることが確認された。
(実施例3)
金型プレス機の設定温度を130℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、織布3を得た。得られた織布3について実施例2同様に評価したところ、織布3の収縮率は、高温環境下にさらす前の織布3の面積を基準として、2%以下であり、充分防縮効果が得られていることが確認された。
(実施例4)
金型プレス機の設定温度を110℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、織布4を得た。得られた織布4について実施例2同様に評価したところ、織布4の収縮率は、高温環境下にさらす前の織布3の面積を基準として、3%以下であり、充分防縮効果が得られていることが確認された。
1…押出し装置、4…乾燥装置、6…ドープ液、10…紡糸装置、20…凝固浴槽、21…洗浄浴槽、36…タンパク質繊維。

Claims (10)

  1. タンパク質繊維を含む原料繊維を用意し、前記原料繊維の端部を固定する固定工程と、
    前記端部が固定された前記原料繊維を気体中で加熱する加熱工程と、を備える、繊維の製造方法。
  2. 前記加熱工程が前記原料繊維を100℃以上に加熱する工程である、請求項1に記載の繊維の製造方法。
  3. 前記タンパク質繊維が構造タンパク質繊維を含む、請求項1又は2に記載の繊維の製造方法。
  4. 前記構造タンパク質繊維がフィブロイン様タンパク質繊維を含む、請求項3に記載の繊維の製造方法。
  5. 前記フィブロイン様タンパク質繊維がクモ糸フィブロイン様タンパク質繊維を含む、請求項4に記載の繊維の製造方法。
  6. タンパク質繊維を含む原料布帛を用意し、前記原料布帛の外周部を固定する固定工程と、
    前記外周部が固定された前記原料布帛を気体中で加熱する加熱工程と、を備える、布帛の製造方法。
  7. 前記加熱工程が前記原料布帛を100℃以上に加熱する工程である、請求項6に記載の布帛の製造方法。
  8. 前記タンパク質繊維が構造タンパク質繊維を含む、請求項6又は7に記載の布帛の製造方法。
  9. 前記構造タンパク質繊維がフィブロイン様タンパク質繊維を含む、請求項8に記載の布帛の製造方法。
  10. 前記フィブロイン様タンパク質繊維がクモ糸フィブロイン様タンパク質繊維を含む、請求項9に記載の布帛の製造方法。
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