JPWO2019050033A1 - バチルス科好熱細菌由来変異型グリシンオキシダーゼおよびその製造方法 - Google Patents

バチルス科好熱細菌由来変異型グリシンオキシダーゼおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

変異型グリシンオキシダーゼは、バチルス科好熱細菌に由来する野生型のアミノ酸配列の少なくとも1つを他のアミノ酸に置換したものであり、次の酵素性質を有する。分子量:SDS−PAGEで40,000±2,000ダルトン。至適温度:ピロリン酸塩存在下、pH8.5の条件で45℃。至適pH:ピロリン酸塩存在下、37℃の条件でpH8.0。熱安定性:ピロリン酸塩存在下、pH8.5、1時間保持の条件で70℃まで安定。pH安定性:ピロリン酸塩存在下、4℃、24時間保持の条件でpH5.5〜10.0の範囲内で安定。比活性:1.2ユニット/mg以上。速度論定数Km:0.2mM以下。

Description

本発明は、バチルス科好熱細菌由来変異型グリシンオキシダーゼおよびその製造方法に関し、特に、良好な熱安定性と良好な酵素活性とを両立することが可能な、バチルス科好熱細菌由来変異型グリシンオキシダーゼおよびその製造方法に関する。
グリシンは、D体またはL体の立体異性を持たない最も単純な構造を有するアミノ酸であり、タンパク質を構成するアミノ酸の1種であるとともに、種々の生体物質を生合成する際の原料(出発物質)としても知られている。グリシンを測定する方法の一つとしては、質量分析法(MS)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、アミノ酸分析装置等を用いた機械測定法が知られている。ただし、機械測定法では一般に、測定機器が高価かつ維持費用が高コストであるとともに、操作にも熟練を要する。
そこで、より低コストかつ簡便な測定方法として、グリシンに作用するグリシンオキシダーゼを用いた酵素測定法等も提案されている。代表的なグリシンオキシダーゼの一つに、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)由来のものが知られている。例えば、非特許文献1には、バチルス・スブチリス由来のグリシンオキシダーゼについて具体的な報告がなされている。
また、現在市販されているグリシンオキシダーゼとしては、例えば、バイオビジョン社(BioVision, Inc)製の商品番号H244Kが挙げられるが、この市販グリシンオキシダーゼもバチルス・スブチリス由来であり、野生型のグリシンオキシダーゼに変異を導入した変異型酵素である。非特許文献2には、この変異型グリシンオキシダーゼについて具体的な報告がなされているとともに、これを用いたバイオセンサーも提案されている。
さらに、特許文献1には、アミノ酸残基の少なくとも1つを変位させて、酵素活性、熱安定性、基質特異性等の特性を改変した改変グリシン酸化酵素と、これを用いたグリシンの分析方法が開示されている。特許文献1の実施例で具体的に開示される改変グリシン酸化酵素も、バチルス・スブチリス由来であり、野生型のグリシン酸化酵素に対してアミノ酸残基の変異を導入したものである。
国際公開第2014/157705号
Yoshiaki Nishiya, Tadayuki Imanaka, "Purification and characterization of a novel glycine oxidase from Bacillus subtilis" FEBS (Federation of European Biochemical Societies) Letter Vol.438 pp.263-266 (1998) Elena Rosini, Luciano Piubelli, Gianluca Molla, Luca Frattini, Mattia Valentino, Antonio Varriale, Sabato D'Auria and Loredano Pollegioni, "Novel biosensors based on oprimized glycine oxidase" FEBS (Federation of European Biochemical Societies) Journal Vol.281 pp.3460-3472(2014)
特許文献1に開示の改変グリシン酸化酵素は、確かに野生型に対して、酵素活性、熱安定性、基質特異性等の特性の改変を可能としているが、例えば、その比活性等は市販のグリシンオキシダーゼと同程度となっている。
また近年、産業上の利用性を向上するために、各種酵素に対しては、より高温の条件下でも良好な酵素活性を保持できるような熱安定性(あるいは耐熱性)が求められている。特許文献1においても、野生型のグリシン酸化酵素を改変することで熱安定性の改善を図っているが、最近では、より一層良好な熱安定性が求められる傾向にある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、良好な酵素活性とともに良好な熱安定性も実現することが可能な、細菌由来の変異型グリシンオキシダーゼとその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る変異型グリシンオキシダーゼは、前記の課題を解決するために、バチルス科好熱細菌に由来する野生型グリシンオキシダーゼにおけるアミノ酸配列の少なくとも1つを他のアミノ酸に置換した変異型酵素であり、分子量が、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、40,000±2,000ダルトンであり、至適温度が、ピロリン酸塩存在下、pH8.5の条件で45℃であり、至適pHが、ピロリン酸塩存在下、37℃の条件でpH8.0であり、熱安定性が、ピロリン酸塩存在下、pH8.5、1時間保持の条件で70℃まで安定であり、pH安定性が、ピロリン酸塩存在下、4℃、24時間保持の条件でpH5.5〜10.0の範囲内で安定であり、比活性が1.2ユニット/mg以上であり、速度論定数(ミカエリス定数)Kが0.2mM以下である構成である。
前記構成によれば、変異型グリシンオキシダーゼは、バチルス科好熱細菌由来の野生型グリシンオキシダーゼに対して変異を導入することで前記の酵素性質を実現している。この変異型グリシンオキシダーゼは、従来の変異型グリシンオキシダーゼに比べても実質的に同程度の範囲内となる速度論定数Kを保持することができるとともに、従来の変異型グリシンオキシダーゼだけでなく野生型グリシンオキシダーゼに比べても高い熱安定性を実現することができ、さらには、従来の変異型グリシンオキシダーゼおよび野生型グリシンオキシダーゼに比べても高い比活性を実現したものである。これにより、変異型グリシンオキシダーゼにおいて、良好な酵素活性とともに良好な熱安定性も実現することが可能となる。
前記構成の変異型グリシンオキシダーゼにおいては、前記野生型グリシンオキシダーゼのアミノ酸配列に含まれる、アスパラギン(N)、グリシン(G)、システイン(C)、およびチロシン(Y)の順で結合する部分アミノ酸配列におけるグリシンを他のアミノ酸に置換したものである構成であってもよい。
また、本発明に係る変異型グリシンオキシダーゼは、前記の課題を解決するために、配列番号1で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を示す、バチルス科好熱細菌に由来するグリシンオキシダーゼの変異型酵素であって、配列番号1で示されるアミノ酸配列における251番目のアミノ酸が、グリシンから他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有する構成であってもよい。
前記構成によれば、変異型グリシンオキシダーゼは、バチルス科好熱細菌由来の野生型グリシンオキシダーゼに対して前記の位置に変異を導入したものである。この変異型グリシンオキシダーゼは、従来の変異型グリシンオキシダーゼに比べても実質的に同程度の範囲内となる速度論定数Kを保持することができるとともに、従来の変異型グリシンオキシダーゼだけでなく野生型グリシンオキシダーゼに比べても高い熱安定性を実現することができ、さらには、従来の変異型グリシンオキシダーゼおよび野生型グリシンオキシダーゼに比べても高い比活性を実現したものである。これにより、変異型グリシンオキシダーゼにおいて、良好な酵素活性とともに良好な熱安定性も実現することが可能となる。
また、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼにおいては、配列番号1で示されるアミノ酸配列における251番目のアミノ酸が、グリシンから塩基性アミノ酸または疎水性アミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有する構成であってもよい。
また、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼにおいては、前記塩基性アミノ酸が、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジンであり、前記疎水性アミノ酸が、イソロイシンまたはスレオニンである構成であってもよい。
また、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼにおいては、前記他のアミノ酸が、アラニン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、またはスレオニンである構成であってもよい。
また、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼにおいては、前記バチルス科好熱細菌が、バチルス(Bacillus)属、アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、スルホバチルス(Sulfobacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、または、サリニコッカス(Salinicoccus)属に属する細菌である構成であってもよい。
また、本発明には、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAが含まれる。
また、本発明には、前記構成のDNAと自律複製可能なベクターとを含む、複製可能な組換えDNAも含まれる。
また、本発明には、前記構成のDNA、または、前記構成の組換えDNAを宿主細胞に導入して得られる細胞も含まれる。
また、本発明には、前記構成の細胞を培養し、得られる培養物から前記変異型グリシンオキシダーゼを採取する構成の変異型グリシンオキシダーゼの製造方法も含まれる。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明では、以上の構成により、良好な酵素活性とともに良好な熱安定性も実現することが可能な、細菌由来の変異型グリシンオキシダーゼとその製造方法を提供することができる、という効果を奏する。
図1は、本発明において、実施の形態で例示する野生型グリシンオキシダーゼのアミノ酸配列を1文字表示で示す配列図である。 図2は、図1のアミノ酸配列を有する野生型グリシンオキシダーゼをコードするDNAの塩基配列を示す配列図である。 図3Aは、実施例および比較例におけるそれぞれのグリシンオキシダーゼの比活性を対比するグラフであり、図3Bは、実施例および比較例におけるそれぞれのグリシンオキシダーゼの熱安定性を対比するグラフである。
本開示に係る細菌由来の変異型グリシンオキシダーゼは、バチルス科好熱細菌に由来する野生型グリシンオキシダーゼにおけるアミノ酸配列の少なくとも1つを他のアミノ酸に置換した変異型酵素であり、従来のグリシンオキシダーゼに比較しても特徴的な酵素特性を有している。
[バチルス科好熱細菌]
本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼの由来となるバチルス科好熱細菌は、特に限定されず、分類学上、バチルス科(Bacillaceae)に分類され、かつ、好熱性を有する細菌であればよい。ここでいう好熱性とは、当該細菌の至適生育温度が45℃以上であるか、または、当該細菌の生育限界温度が55℃以上であるか、もしくはその両方を満たしていることを意味するものとする。
バチルス科の細菌としては、具体的には、例えば、バチルス(Bacillus)属、アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)属、アノキシバチルス(Anoxybacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、ハロバチルス(Halobacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、スルホバチルス(Sulfobacillus)属、ビルジバチルス(Virgibacillus)属、または、サリニコッカス(Salinicoccus)属等に属する細菌を挙げることができるが、特に限定されない。
後述する実施例では、バチルス科好熱細菌として、ゲオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)HTA426株を用いている。このゲオバチルス・カウストフィルスHTA426株由来の野生型グリシンオキシダーゼは、他のバチルス科好熱細菌である、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、ゲオバチルス・サーモレオボランス(Geobacillus thermoleovorans)、ゲオバチルス・サーモデニトリフィカンス(Geobacillus thermodenitrificans)、およびゲオバチルス・スブテラネウス(Geobacillus subterraneus)のそれぞれに由来するグリシンオキシダーゼのアミノ酸配列との間で、高い相同性を有する特徴的領域が存在する。
市販のグリシンオキシダーゼとしては、前記の通り、非好熱性のバチルス科細菌であるバチルス・スブチリス由来の変異型酵素が知られている。なお、説明の便宜上、バチルス・スブチリス由来のグリシンオキシダーゼのうち野生型のものを、「B.スブチリス野生型グリシンオキシダーゼ」と称し、変異型のものを「B.スブチリス変異型グリシンオキシダーゼ」と称する。また、ゲオバチルス・カウストフィルス(G. kaustophilus)HTA426株由来のグリシンオキシダーゼも、説明の便宜上「G.カウストフィルス野生型グリシンオキシダーゼ」と称する。
B.スブチリス野生型グリシンオキシダーゼの立体構造は、例えば、非特許文献2において報告されており、G.カウストフィルス野生型グリシンオキシダーゼの立体構造は、例えば、参考文献1:Takako Shiono, Takaomi Nomura, Yoshiaki Nishiya, Ryoichi Arai, "Crystal structure of glycine oxidase from Geobacillus kaustophilus" Photon Factory Activity Report 2014#32, PART B, Users' Report (Biological Science, No.204), 2015において報告されている。
B.スブチリス野生型グリシンオキシダーゼでは、7種のモチーフが知られており、例えば、非特許文献2および特許文献1の実施例では、これらモチーフの一つであるHCYモチーフに変異を導入している。HCYモチーフは、グリシン等の基質がグリシンオキシダーゼの活性中心に向かう経路に位置する。
G.カウストフィルス野生型グリシンオキシダーゼは、後述する実施例でも実験的に例証しているように、B.スブチリス変異型グリシンオキシダーゼよりも優れた熱安定性を有するものの、酵素活性については大きく劣っている。
そこで、本発明者らは、G.カウストフィルス野生型グリシンオキシダーゼにおいても、B.スブチリス変異型グリシンオキシダーゼと同様に、野生型のHCYモチーフまたはHCYモチーフに相当する位置に変異を導入すれば、熱安定性を維持しつつ酵素活性を向上できるのではないかと考え、鋭意検討した。ところが、G.カウストフィルス野生型グリシンオキシダーゼと、B.スブチリス野生型グリシンオキシダーゼとの間でアミノ酸配列を比較したところ、G.カウストフィルス野生型グリシンオキシダーゼには、B.スブチリス野生型グリシンオキシダーゼには見られない特徴的領域が存在することが明らかとなった。
この特徴的領域は、図1に示すように、G.カウストフィルス野生型グリシンオキシダーゼのアミノ酸配列においては、250番目のアスパラギン(N)、251番目のグリシン(G)、252番目のシステイン(C)、および253番目のチロシン(Y)の順で結合する部分アミノ酸配列である。しかも、この特徴的領域は、前記の通り、他のバチルス科好熱細菌由来のグリシンオキシダーゼのアミノ酸配列との間で高い相同性を有していることも明らかとなった。
そこで、後述する実施例でも説明するように、この特徴的領域に対して変異の導入を試みたところ、251番目のグリシンを他のアミノ酸に置き換えた変異型グリシンオキシダーゼにおいては、野生型よりも酵素活性が向上することに加え、熱安定性が維持されるどころか向上し、さらには、速度論定数(ミカエリス定数)Kも野生型より低くなることが明らかとなった。
したがって、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、バチルス科好熱細菌由来の野生型グリシンオキシダーゼに対して、当該バチルス科好熱細菌において広く保存される特徴的領域に対して変異を導入することで、単に酵素活性が向上するだけでなく、予想外の優れた酵素性質も得られたものであるということができる。
それゆえ、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼの由来となるバチルス科好熱細菌は、前記の通り、バチルス科に分類され、かつ、好熱性を有するものであればよいが、代表的には、ゲオバチルス属の好熱細菌を挙げることができ、より好ましい一例としては、ゲオバチルス・カウストフィルスを挙げることができる。
また、ゲオバチルス属の好熱細菌としては、前記の通り、ゲオバチルス・カウストフィルス、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(G. stearothermophilus)、ゲオバチルス・サーモレオボランス(G. thermoleovorans)、ゲオバチルス・サーモデニトリフィカンス(G. thermodenitrificans)、およびゲオバチルス・スブテラネウス(G. subterraneus)に加え、ゲオバチルス・サーモグルコシダシウス(Geobacillus thermoglucosidasius)、ゲオバチルス・カルボキシロシロシリチクス(Geobacillus calboxylosilyticus)、ゲオバチルス・テピダマンス(Geobacillus tepidamans)、ゲオバチルス・カラクトシダシウス(Geobacillus galactosidasius)、ゲオバチルス・ザリハエ(Geobacillus zalihae)、その他の分類されないゲオバチルス属(Geobacillus sp.)の株等が挙げられるが特に限定されない。
ここで、例えば、参考文献2:Messele Yohannes EQUAR, Yasushi TANI, Hisaaki MIHARA "Purification and Properties of Glycine Oxidase from Pseudomonas putida KT2440" Journal of Nutritional Science and Vitaminology, Vol.61 pp.506-510 (2015)には、グリシンオキシダーゼの相同性に関して系統発生的な解析が示されており、これによれば、バチルス属、アリシクロバチルス属、ブレビバチルス属、ゲオバチルス属、スルホバチルス属、パエニバチルス属、およびサリニコッカス属については、同系統から分化していったことが明らかとなっている。言い換えれば、バチルス科細菌の中でも、少なくともこれら各属由来のグリシンオキシダーゼにおいては、特徴的領域が保存されている可能性が高いことがわかる。
それゆえ、本開示において、グリシンオキシダーゼの由来となるバチルス科好熱細菌のより好ましい一例としては、ゲオバチルス属以外としては、バチルス属、アリシクロバチルス属、ブレビバチルス属、スルホバチルス属、パエニバチルス属、またはサリニコッカス属に属する好熱細菌を挙げることができる。
[変異型グリシンオキシダーゼ]
本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、前記の通り、バチルス科好熱細菌由来の野生型グリシンオキシダーゼに変異を導入することにより得られるものであり、後述する実施例にも示すように、次の(1)〜(7)に示す特徴的な酵素特性を有するものであればよい。
(1)分子量が、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)において、40,000±2,000ダルトンである。
(2)至適温度が、ピロリン酸塩存在下、pH8.5の条件で45℃である。
(3)至適pHが、ピロリン酸塩存在下、37℃の条件でpH8.0である。
(4)熱安定性が、ピロリン酸塩存在下、pH8.5、1時間保持の条件で70℃まで安定である。
(5)pH安定性が、ピロリン酸塩存在下、4℃、24時間保持の条件でpH5.5〜10.0の範囲内で安定である。
(6)比活性が1.2ユニット/mg以上である。
(7)速度論定数(ミカエリス定数)Kが0.2mM以下である。
ここで、上記の酵素特性のうち(1)分子量については、野生型グリシンオキシダーゼの分子量を基準としたものであるが、39,000±1,000ダルトンの範囲内であってもよい。また、(6)比活性については、2.4ユニット/mg以上であると好ましく、4.0ユニット/mg以上であるとより好ましい。
なお、前記の(1)〜(7)の酵素特性は、本開示においては、後述する実施例における「グリシンオキシダーゼの諸性質の評価」に基づいて評価することができるが、公知の他の評価方法で評価してもよい。
より具体的な変異型グリシンオキシダーゼとしては、前記の通り、実施例で詳細に説明するゲオバチルス・カウストフィルスHTA426株由来の変異型グリシンオキシダーゼを挙げることができ、この変異型グリシンオキシダーゼは、図1に示すように、配列表の配列番号1で示されるアミノ酸配列における251番目のアミノ酸が、グリシンから他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有するもの、すなわち、配列用の配列番号3に示されるアミノ酸配列を有するものを挙げることができる。なお、配列番号3では、251番目(251位)のアミノ酸を任意のアミノ酸であるXaaで示しており、図1では、矢印で任意のアミノ酸Xに置換されていることを図示している。
もちろん、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、配列番号1に示されるアミノ酸配列における251番目(251位)のグリシンが変異されたもの(配列番号3のアミノ酸配列を有するもの)に限定されず、前記(1)〜(7)の特徴的な酵素性質を有するものであればよいが、配列番号1を基準とすれば、この配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも95%以上の相同性(または配列同一性)を有するものであればよく、より好ましくは97%以上の相同性を有するものであればよく、さらに好ましくは98%以上の相同性を有するものであればよい。
また、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、後述する実施例で説明しているように、配列番号1を基準とした場合に、251番目(251位)のグリシンが、他の塩基性アミノ酸または疎水性アミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有するものであると好ましい。これにより、野生型グリシンオキシダーゼと比較してより良好な酵素活性を実現することが可能となる。具体的な塩基性アミノ酸は特に限定されないが、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジン等を挙げることができる。また、具体的な疎水性アミノ酸も特に限定されないが、イソロイシンまたはスレオニンを挙げることができる。あるいは、後述する実施例で説明するように、他のアミノ酸としては、アラニン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、またはスレオニンのいずれかであってもよい。
このように、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、バチルス科好熱細菌由来の野生型グリシンオキシダーゼに対して変異を導入することで前記の酵素性質を実現したものである。この変異型グリシンオキシダーゼでは、従来の変異型グリシンオキシダーゼに比べても実質的に同程度の範囲内となる速度論定数Kを保持することができるとともに、従来の変異型グリシンオキシダーゼだけでなく野生型グリシンオキシダーゼに比べても高い熱安定性を実現することができ、さらには、従来の変異型グリシンオキシダーゼおよび野生型グリシンオキシダーゼに比べても高い比活性を実現することができる。それゆえ、本開示によれば、良好な酵素活性とともに良好な熱安定性も実現することが可能な変異型グリシンオキシダーゼを得ることができる。
[変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNA]
本開示には、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAも含まれる。配列表の配列番号2は、ゲオバチルス・カウストフィルスHTA426株由来のグリシンオキシダーゼをコードした塩基配列を示すが、本開示に係るDNAの代表的な一例としては、例えば、この配列番号2に示す塩基配列において変異を導入した塩基配列を有するDNAを挙げることができる。
このようなDNAとして、例えば、図2に示すように、配列表の配列番号2で示される塩基配列における751〜753番目のヌクレオチドで構成されるコドンが、グリシンをコードするグアニン−グアニン−シトシン(GGC)のコドンから他のアミノ酸をコードするコドンに置換された塩基配列を有するDNA、すなわち、配列表の配列番号4に示される塩基配列を有するDNAを挙げることができる。なお、配列番号4においては、251番目のアミノ酸をコードする751〜753番目のヌクレオチドを任意のヌクレオチドであるnで示しており、図2では、矢印により任意のヌクレオチドNに置換されていることを図示している。
配列番号2に示す塩基配列を有するDNAは、前記の通り、ゲオバチルス・カウストフィルスHTA426株由来の野生型グリシンオキシダーゼをコードしたDNAである。したがって、配列番号4に示す塩基配列を有するDNAは、野生型グリシンオキシダーゼをコードしたDNAにおいて、251番目のグリシンに対応するコドンが別のアミノ酸をコードするコドンに置換されたDNAということができる。
ここで、本開示に係るDNAは、配列番号4に示す塩基配列を有するDNAに限定されず、例えば、配列番号4に示す塩基配列に相同的な塩基配列を有するDNAであってもよいし、配列番号3に示すアミノ酸配列をコードする他の塩基配列を有するDNAであってもよい。また、本開示に係るDNAは、配列番号4に示す塩基配列において、251番目のアミノ酸に相当するコドンを除いた位置に変異が導入された変異DNAであってもよい。この変異DNAにおいては、コードする変異型グリシンオキシダーゼの活性を保持する範囲で、配列番号4に示される塩基配列において1個または2個以上の塩基が欠失、置換もしくは付加した塩基配列を有するものが挙げられる。欠失、置換もしくは付加する塩基の個数としては、通常、1〜120個の範囲内であればよく、1〜60個の範囲内であることが好ましく、1〜30個の範囲内がより好ましい。
また、本開示には、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAと自律複製可能なベクターとを含む、複製可能な組換えDNAも含まれる。このような自律複製可能なベクターとしては、代表的には、プラスミドベクターを挙げることができる。
具体的なプラスミドベクターとしては、pBR322等のpBR系プラスミド;pUC18,pUC19,pUC118,pUC119等のpUC系プラスミド;pBlueScript II,pBluescript II SK(+/-),pBluescript II KS(+/-),pBluescript II XR,pBluescript II RI等のpBS系プラスミド;pET−3a〜3d,pET−11a〜d,pET−14b,pET−15b,pET−21a〜21d等のpET系プラスミド;pGEX−1,pGEX−2T,pGEX−3X等のpGEX系プラスミド;pTZ4,pTZ5,pTZ12,pTZ−18R,pTZ−19R等のpTZ系プラスミド;pSU0,pSU7,pSU22,pSU23等のpSU系プラスミド;pUB110,pC194,pHY系プラスミド,pNU系プラスミド,pNY326,pNC系プラスミド等のバチルス属系プラスミド;pHV14,TRp7,YEp系プラスミド,pBS7等のシャトルベクタープラスミド;等を挙げることができる。
これらプラスミドは、宿主(ホスト)となる細胞の種類、発現系の種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる。また、自律複製可能なベクターとしては、ファージベクター等であってもよい。
自律複製可能なベクターに、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAを挿入する方法は特に限定されず、公知の方法を好適に用いることができる。一般的には、例えば、変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNA(または遺伝子)と、ベクターとを公知のII型制限酵素で消化(切断)し、これらDNA断片およびベクター断片を、必要に応じてアニーリング処理した後に、DNAリガーゼ等を用いてライゲーションする方法が挙げられるが特に限定されない。
なお、前記構成の複製可能な組換えDNAには、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNA、および、自律複製可能なベクター以外のDNAを含んでいてもよい。例えば、自律複製可能なベクターに含まれない制御配列をコードするDNAを含んでもよいし、他のタンパク質またはペプチドをコードするDNA(または遺伝子等)を含んでもよい。このとき、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼは、他のタンパク質およびペプチドとともにキメラタンパク質を構成するように、複製可能な組換えDNA中に組み込まれてもよい。
[変異型グリシンオキシダーゼの製造方法等]
このような組換えDNAは、公知の宿主となる細胞に導入することができる。したがって、本開示には、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAと自律複製可能なベクターとを含む、複製可能な組換えDNAを宿主細胞に導入して得られる形質転換体も含まれる。宿主細胞としては、一般的には、大腸菌、枯草菌、放線菌、酵母等の微生物を挙げることができるが、これに限定されず、植物細胞であってもよいし動物細胞であってもよい。
後述する実施例では、複製可能な組換えDNAを複製する際の宿主細胞も、複製した組換えDNAにより前記構成の変異型グリシンオキシダーゼを生産する際の宿主細胞も、いずれも大腸菌を用いている。しかしながら、本開示はこれに限定されず、例えば、複製可能な組換えDNAを複製する際には、宿主細胞として大腸菌を用い、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼを生産する際には、宿主細胞として枯草菌すなわちバチルス属の細菌を用いてもよい。また、近年では、バチルス科細菌の1種であるブレビバチルス属の細菌を宿主としたタンパク質発現系が構築されて市販されている。そこで、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼを生産する際には、宿主細胞としてブレビバチルス属の細菌を用いてもよい。
宿主細胞に前記構成の組換えDNAを導入する方法、すなわち、形質転換法は特に限定されず、宿主細胞の種類または自律複製可能なベクターの種類等に応じた公知の方法を用いることができる。代表的な形質転換法としては、例えば、大腸菌等の細菌であれば、エレクトロポレーション法、塩化カルシウムにより細胞をコンピテントセル化する方法等を挙げることができる。宿主細胞が酵母であれば、当該酵母細胞の細胞壁を部分的に除去してスフェロプラスト化する方法、あるいは、酢酸リチウム法等を用いることができる。また、宿主細胞が真菌、植物細胞、または動物細胞であれば、パーティクル・ガン法またはトランスフェクション法等も用いることができる。
さらに、本開示には、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAと自律複製可能なベクターとを含む、組換えDNAを、宿主細胞に導入して得られる、形質転換体だけでなく、前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAを宿主細胞のゲノムに導入した細胞も含まれる。前記構成の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAを宿主細胞のゲノムに導入する方法は特に限定されないが、例えば、宿主細胞が出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)またはその近縁種であればYIp型プラスミドを用いて、染色体に前記DNAを組み込むことができる。また、宿主細胞の種類に関わらず、ゲノム編集の技術を用いて染色体等に前記DNAを組み込むことができる。
このようにして得られる形質転換体またはDNA組み込み細胞の培養は、宿主細胞の種類または培養の目的等の諸条件に応じて公知の栄養培地を用いて培養すればよい。例えば、大腸菌をホストとして組換えDNAを複製する場合には、LB培地(LB培養液)等を用いればよい。また、前記構成の形質転換体または前記構成のDNA組み込み細胞を培養して前記構成の変異型グリシンオキシダーゼを生産する場合には、形質転換体または細胞の種類に応じた公知の培地(培養液)を用いればよい。また、諸条件に応じて、培地に対して公知のさまざまな添加成分を添加してもよい。
このように、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、当該変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAを種々の方法により宿主細胞に導入(または組み込み)して形質転換体(またはDNA組み込み細胞)を作製し、この形質転換体(またはDNA組み込み細胞)を培養することによって生産することができる。それゆえ、本開示には、このような細胞を培養し、得られる培養物から前記構成の変異型グリシンオキシダーゼを採取する変異型グリシンオキシダーゼの製造方法も含まれる。
本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼの製造方法では、細胞の培養スケールは特に限定されず、例えば液体培地(培養液)を用いた場合には、試験管またはフラスコを用いた少量培養であってもよいし、ジャーファーメンターを用いた大量培養であってもよいし、産業レベルであればタンクを用いた大量培養であってもよい。
培養した細胞から前記構成の変異型グリシンオキシダーゼを採取する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。発現した変異型グリシンオキシダーゼが細胞内に蓄積される場合には、培養した細胞を集菌し、公知の方法で細胞を破砕して粗酵素液を取得し、この粗酵素液を公知の方法で精製または濃縮することにより、変異型グリシンオキシダーゼを採取すればよい。精製または濃縮する必要がなければ、前記の粗酵素液を、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼとして用いればよい。また、発現した変異型グリシンオキシダーゼが細胞外に有意に分泌される場合には、培養細胞および培養液を含む培養物全体から変異型グリシンオキシダーゼを採取すればよい。
このように、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、従来の変異型グリシンオキシダーゼに比べても実質的に同程度の範囲内となる速度論定数Kを保持することができるとともに、従来の変異型グリシンオキシダーゼだけでなく野生型グリシンオキシダーゼに比べても高い熱安定性を実現することができ、さらには、従来の変異型グリシンオキシダーゼおよび野生型グリシンオキシダーゼに比べても高い比活性を実現したものである。それゆえ、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、グリシンの酵素測定に好適に用いることができる。
また、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼは、前記の通り、当該変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNAを宿主細胞に導入すること等により、容易に生産することができる。それゆえ、本開示に係る変異型グリシンオキシダーゼを産業レベルで大量生産することも可能になるとともに、例えば、グリシンの酵素測定用試薬、あるいは、グリシンの自動測定システム用の試薬等として安定的にユーザーに提供することも可能になる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例において用いられたバチルス科細菌、並びに、クローニング方法および酵素活性測定等については次に示すようにして実施した。
(バチルス科細菌)
本実施例で野生型グリシンオキシダーゼの由来としたバチルス科細菌としては、ゲオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus )HTA426株を用いた(説明の便宜上、ゲオバチルス・カウストフィルスHTA426株を、以下「HTA426」と略す)。なお、HTA426は、例えば、国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンター(RIKEN BRC)微生物材料開発室(JCM)より入手可能である(JCM12893)。
(グリシンオキシダーゼのクローニング)
HTA426からのグリシンオキシダーゼのクローニングは、非特許文献1に記載の方法にしたがって行った。ただし、ベクターとしては、pET−15bのプラスミドベクターを用いるとともに、宿主細胞(ホスト)としては、大腸菌(E. coli)BL21(DE3)を用いた。
(グリシンオキシダーゼの酵素活性測定)
グリシンオキシダーゼの酵素活性の測定についても、非特許文献1に記載の方法にしたがって行った。
ただし、アッセイバッファーとしては、1mM ピロリン酸ナトリウム(pH8.5)、5mM 4−アミノアンチピリン、20mM フェノールの組成のものを用い、至適条件は、10mM ピロリン酸塩および1mM グリシン(基質)存在下で37℃とした。
なお、本実施例におけるグリシンオキシダーゼの酵素活性の測定方法、すなわち、前記のアッセイバッファーを用いて非特許文献1に記載の方法にしたがって行う酵素活性の測定方法を、説明の便宜上「本グリシンオキシダーゼ活性測定方法」と称する。
(グリシンオキシダーゼの諸性質の評価)
グリシンオキシダーゼの諸性質の評価は、それぞれ次に説明する条件および/または方法にしたがって行なった。
(1)分子量は、非特許文献1に記載の方法にしたがって、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)により決定した。
(2)至適温度は、本グリシンオキシダーゼ活性測定方法において、測定温度を25〜45℃の範囲内で変更することにより評価した。
(3)至適pHは、本グリシンオキシダーゼ活性測定方法において、前記のアッセイバッファーに代えて、10mM リン酸バッファー(pH7.0〜7.5)、10mM HEPESバッファー(pH7.5〜8.0)、10mM ピロリン酸バッファー(pH8.0〜8.5)、並びに、ピロリン酸および炭酸混合バッファー(5mM ピロリン酸および5mM 炭酸バッファー、pH9.0〜10.0)をそれぞれ用いてpHを変更することにより評価した。
(4)熱安定性は、本グリシンオキシダーゼ活性測定方法において、反応温度を30〜90℃の範囲内で変更し、15分間または1時間保温した後に、残存する酵素活性を測定し、37℃の酵素活性を基準とする相対活性として評価した。
(5)pH安定性は、本グリシンオキシダーゼ活性測定方法において、前記アッセイバッファーに代えて、100mM リン酸バッファー(pH5.5〜7.5)、10mM ピロリン酸バッファー(pH8.0〜8.5)、並びに、ピロリン酸および炭酸混合バッファー(5mM ピロリン酸および5mM 炭酸バッファー、pH9.0〜10.0)を用い、24時間4℃の条件で保温した後に、残存する酵素活性を測定し、pH8.5の酵素活性を基準とする相対活性として評価した。
(6)比活性は、本グリシンオキシダーゼ活性測定方法に用いた酵素試料の酵素活性(単位:ユニット[U])を当該酵素試料に含まれる酵素質量(単位:mg)で除算することにより算出した。なお、酵素質量は、酵素試料に含まれるタンパク質の質量であり、Bradford法により595nmの吸光度を測定することにより定量した。
(7)速度論定数(ミカエリス定数)Kは、本グリシンオキシダーゼ活性測定方法において、基質濃度を変更して酵素活性を測定し、ミカエリス・メンテン式に基づいて算出した。
(比較例1)
HTA426由来の野生型グリシンオキシダーゼについて、その比活性、熱安定性、速度論定数Kを前記の通り評価した。その結果を表1に示すとともに、比活性については図3Aに、熱安定性については図3Bにも示す。
なお、野生型グリシンオキシダーゼのアミノ酸配列を図1および配列表の配列番号1に示し、野生型グリシンオキシダーゼをコードする遺伝子(DNA)の塩基配列を図2および配列表の配列番号2に示す。また、説明の便宜上、野生型グリシンオキシダーゼを「WT−GOX」と略記する。
(比較例2)
市販のグリシンオキシダーゼである、BioVision, Inc製の商品番号H244Kについて、その比活性、熱安定性、速度論定数Kを前記の通り評価した。その結果を表1に示すとともに、比活性については図3Aに、熱安定性については図3Bにも示す。
なお、H244Kは、好熱菌ではないバチルス科細菌であるバチルス・スブチリス(B. subtilis)由来の野生型グリシンオキシダーゼに変異を導入した変異型酵素ものであり、その変異の導入は、非特許文献2に記載の方法により行われている。
Figure 2019050033

(実施例1)
前記実施の形態で説明した通り、比較例1のWT−GOXにおいては、配列番号1で示されるアミノ酸配列における248番目(248位)〜255番目(255位)の部分アミノ酸配列が、バチルス科好熱細菌に特有の特徴的領域であることが明らかとなった。そこで、このWT−GOXの特徴的領域に対して非特許文献2に記載の方法に基づいて変異を導入し、ランダムに変異が導入されたグリシンオキシダーゼ遺伝子を含むプラスミドベクターを得た。なお、説明の便宜上、本実施例では、変異型グリシンオキシダーゼを「V−GOX」と略記する。
このようにしてプラスミドベクターを、非特許文献1に記載の方法に基づいて、前記の宿主細胞(E. coli BL21(DE3))に導入してV−GOXの発現を確認した。得られたコロニーのうち204種について酵素活性を確認したところ、高活性を示すV−GOXを発現する14種のコロニーが確認された。そこで、これら14種のV−GOXについてシーケンス解析するとともに、その酵素活性を測定した。
その結果、表2に示すように、8種のV−GOX(V−GOX1〜V−GOX8)を特定することができた。これらV−GOXでは、配列番号1で示されるアミノ酸配列における251番目(251位)のアミノ酸が、グリシン(Gly, G)から他のアミノ酸に置換されたものである。なお、表2における酵素活性は、WT−GOXを基準(1)としたときのV−GOXの酵素反応速度(粗酵素溶液使用)の比率(倍)として示している。
Figure 2019050033

これらV−GOX1〜V−GOX8の中でも、251番目(251位)のアミノ酸がグリシン(Gly, G)からグルタミン(Gln, Q)に置換されたアミノ酸配列を有するV−GOX1が最も高い酵素活性を示していた。そこで、このV−GOX1について、精製を行った後にその分子量(SDS−PAGE)、至適温度、至適pH、熱安定性、pH安定性、比活性、速度論定数Kを評価した。比活性、熱安定性および速度論定数Kの結果を前記表1に示とともに、比活性については図3Aに、熱安定性については図3Bにも示し、さらに、これらを含むV−GOX1の酵素性質の評価結果をその条件とともに表3に示す。
Figure 2019050033

(実施例および比較例の対比)
表1および図3A,図3Bから明らかなように、比較例1の酵素すなわちHTA426由来のWT−GOXは、比較例2の酵素すなわち好熱細菌ではないバチルス・スブチリス由来の市販の変異型グリシンオキシダーゼであるH244Kに比べて、その熱安定性が15℃高くなっており、優れた熱安定性を示すものの、その比活性は大きく劣っている。また、速度論定数Kについては、比較例1のWT−GOXの方が比較例2のH244Kよりも高くなっている。
これに対して、実施例1の酵素のうち最も高活性であったV−GOX1は、比較例1のWT−GOXに比べて5.7倍、比較例2のH244Kに比べても3.3倍の比活性を有している。また、V−GOX1の熱安定性は、比較例1のWT−GOXに比べても10℃高くなっており、比較例2のH244Kに比べれば、25℃も高くなっている。しかも、V−GOX1の速度論定数Kは、比較例1のWT−GOXよりも低い値となっており、比較例2のH244Kの値と比べても遜色ない程度の値であるということができる。
また、表2から明らかなように、WT−GOXのアミノ酸配列のうち、バチルス科好熱細菌に特徴的領域に変異を導入することで得られるV−GOX1〜V−GOX8の変異酵素は、いずれもWT−GOXよりも高い酵素活性を有するものとなっている。これら8種類の中で最も酵素活性の低いV−GOX8であっても、WT−GOXに比べて2.5倍以上の反応速度を有している。
また、V−GOX2〜8は、具体的に示さないが、表3に示すV−GOX1と同様の酵素性質を実質的に有している。それゆえ、V−GOX1だけでなく、V−GOX2〜8の7種類の酵素においても、優れた酵素活性と優れた熱安定性とを両立しており、速度論定数Kも従来の変異酵素と大きく変わらない値を有している。それゆえ、V−GOX1〜8は、WT−GOXに比べて表3に示すような酵素特性を有する特徴的な変異酵素であることがわかる。
さらに、表2にから明らかなように、V−GOX1〜8においては、WT−GOXの251番目(251位)のアミノ酸であるグリシン(G)が、アラニン(A)、グルタミン酸(E)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、またはスレオニン(T)という多様なアミノ酸に置換されている。それゆえ、グリシンをグリシン以外のアミノ酸に置換することで、WT−GOXよりも高活性のV−GOXが得られることがわかる。特に、グリシンが前記8種類のいずれかに置換されることで、高活性のV−GOXが得られやすくなることもわかる。
加えて、相対的に酵素活性の高いV−GOX1〜5においてグリシンから置換されたアミノ酸は、塩基性または疎水性アミノ酸となっている。すなわち、V−GOX1の置換アミノ酸であるグルタミン、V−GOX3の置換アミノ酸であるアルギニン、並びに、V−GOX4の置換アミノ酸であるヒスチジンは、いずれも塩基性アミノ酸であり、V−GOX2の置換アミノ酸であるイソロイシン、並びに、V−GOX5の置換アミノ酸であるスレオニンは、いずれも疎水性アミノ酸である。それゆえ、WT−GOXにおいてグリシンから置換されるアミノ酸は、塩基性アミノ酸または疎水性アミノ酸であることが好ましいことがわかる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明は、バチルス属またはゲオバチルス属の好熱細菌を含むバチルス科の好熱細菌に由来するグリシンオキシダーゼに対して変異を導入して得られる、良好な酵素活性と良好な熱安定性とを両立させた変異型グリシンオキシダーゼに関する分野に、広く好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. バチルス科好熱細菌に由来する野生型グリシンオキシダーゼにおけるアミノ酸配列の少なくとも1つを他のアミノ酸に置換した変異型酵素であり、
    分子量が、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、40,000±2,000ダルトンであり、
    至適温度が、ピロリン酸塩存在下、pH8.5の条件で45℃であり、
    至適pHが、ピロリン酸塩存在下、37℃の条件でpH8.0であり、
    熱安定性が、ピロリン酸塩存在下、pH8.5、1時間保持の条件で70℃まで安定であり、
    pH安定性が、ピロリン酸塩存在下、4℃、24時間保持の条件でpH5.5〜10.0の範囲内で安定であり、
    比活性が1.2ユニット/mg以上であり、
    速度論定数(ミカエリス定数)Kが0.2mM以下であることを特徴とする、
    変異型グリシンオキシダーゼ。
  2. 前記野生型グリシンオキシダーゼのアミノ酸配列に含まれる、アスパラギン(N)、グリシン(G)、システイン(C)、およびチロシン(Y)の順で結合する部分アミノ酸配列におけるグリシンを他のアミノ酸に置換したものであることを特徴とする、
    請求項1に記載の変異型グリシンオキシダーゼ。
  3. 配列番号1で示されるアミノ酸配列と95%以上の相同性を示す、バチルス科好熱細菌に由来するグリシンオキシダーゼの変異型酵素であって、
    配列番号1で示されるアミノ酸配列における251番目のアミノ酸が、グリシンから他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有することを特徴とする、
    変異型グリシンオキシダーゼ。
  4. 配列番号1で示されるアミノ酸配列における251番目のアミノ酸が、グリシンから塩基性アミノ酸または疎水性アミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有することを特徴とする、
    請求項3に記載の変異型グリシンオキシダーゼ。
  5. 前記塩基性アミノ酸が、グルタミン、アルギニン、またはヒスチジンであり、前記疎水性アミノ酸が、イソロイシンまたはスレオニンであることを特徴とする、
    請求項4に記載の変異型グリシンオキシダーゼ。
  6. 前記他のアミノ酸が、アラニン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、またはスレオニンであることを特徴とする、
    請求項3に記載の変異型グリシンオキシダーゼ。
  7. 前記バチルス科好熱細菌が、バチルス(Bacillus)属、アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、ゲオバチルス(Geobacillus)属、スルホバチルス(Sulfobacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、または、サリニコッカス(Salinicoccus)属に属する細菌であることを特徴とする、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の変異型グリシンオキシダーゼ。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の変異型グリシンオキシダーゼをコードするDNA。
  9. 請求項8に記載のDNAと自律複製可能なベクターとを含む、複製可能な組換えDNA。
  10. 請求項8に記載のDNA、または、請求項9に記載の組換えDNAを宿主細胞に導入して得られる細胞。
  11. 請求項10に記載の細胞を培養し、得られる培養物から前記変異型グリシンオキシダーゼを採取することを特徴とする、
    変異型グリシンオキシダーゼの製造方法。
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