JP2019129716A - 新規酵素剤、その製造方法およびその用途 - Google Patents

新規酵素剤、その製造方法およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】β−1,2−グルカンの製造に有用な酵素剤と、β−1,2−グルカンの製造方法の提供。【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるタンパク質を含んでなる1,2−β−オリゴグルカンホスホラーゼ活性を有するタンパク質であって、分子量(SDS−PAGE)が125±10kDaであり、pHが5.0〜8.5で安定で、6.5〜7.5が至適pHであり、温度が45℃以下で安定で、35〜45℃が至適温度である、ビフィドバクテリウム・スカルドビイ由来の酵素剤。酵素剤をα−グルコース−1−リン酸とグルコース及び/又はβ−1,2−グルカンとに作用させる工程を含んでなる、β−1,2−グルカンの製造方法。製造方法、前記の酵素剤以外のホスホリラーゼを併用してα−グルコース−1−リン酸を反応系に供給してもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、新規酵素剤およびその製造方法に関する。本発明はまた、新規酵素剤を用いたβ−1,2−グルカンの製造方法に関する。
βグルカンは、β−グルコースが(1→3)、(1→4)あるいは(1→6)などの結合形式で連結してなる多糖類であり、植物、菌類、細菌、藻類など自然界に広く分布する。βグルカンは、近年、その優れた生体調節機能や生理活性機能が報告され、その利用が注目されている。例えば、β−1,4−結合からなるセルロースは、植物の細胞壁の主成分であるβ−1,4−グルカンであり、ナノファイバーとして優れた物性を有しており、食品、医薬、化粧品などの様々な分野において利用が期待されている。また、β−1,3−結合からなるカードランは、微生物由来のβ−1,3−グルカンであり、食品においてはゲル化剤、増粘剤として利用されている。また、カードランは抗腫瘍作用を有しており、構造や分子量に依存した特性の変化が知られている。
上記以外のβグルカンとしてはβ−1,2−グルカンがあり、環状β−1,2−グルカンが根粒菌やBrucella属の宿主感染や浸透圧の調整に関与することが知られている。β−1,2−グルカンは希少多糖であり、物性や機能に関する報告は非常に少ないが、βグルカンとして新たな生理機能が期待される。近年、新規酵素である1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ(非特許文献1、2)が発見され、スクロースとグルコースを原資にβ−1,2−グルカンを製造する方法が報告されている(非特許文献3)。
Nakajima M. et al., PLOS ONE, 9, e92353, 2014 Nakajima M. et al., SCIENTIFIC REPORTS, 7, 42671, 2017 Abe K. et al., J. Appl. Glycosci., 62, p.47-52, 2015
本発明は、β−1,2−グルカンの製造に有用な酵素剤とその製造方法の提供を目的とする。本発明はまた、β−1,2−グルカンの製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは今般、ビフィドバクテリウム・スカルドビイ(Bifidobacterium scardovii)由来のタンパク質が1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼであることを見出すとともに、該ホスホリラーゼの逆反応によりα−グルコース−1−リン酸(以下、「α−G1P」ということがある)およびグルコースからβ−1,2−グルカンを製造できることを確認した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]下記(a)〜(f)からなる群から選択されるタンパク質を含んでなる酵素剤:
(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質、
(b)配列番号:2のアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質、
(c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質、
(d)配列番号:1の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含んでなるタンパク質、
(e)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列と70%以上の同一性を有する塩基配列によりコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質、
(f)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列において、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列によりコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質、および
(g)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列の相補配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質。
[2]下記の(A)〜(F)の特性を有するタンパク質を含んでなる酵素剤:
(A)作用:α−グルコース−1−リン酸とグルコースおよび/またはβ−1,2−グルカンとを基質とし、β−1,2−グルカンを生成する。
(B)分子量(SDS−PAGE)が125±10kDaである
(C)至適pH:6.5〜7.5の範囲である
(D)pH安定性:5.0〜8.5の範囲で安定である
(E)至適温度:35〜45℃の範囲である
(F)温度安定性:45℃以下で安定である
[3]タンパク質が、ビフィドバクテリウム・スカルドビイ(Bifidobacterium scardovii)由来である、上記[2]に記載の酵素剤。
[4]β−1,2−グルカンの製造に用いるための、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の酵素剤。
[5]下記(i)〜(iv)から選択される塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドを作動可能に連結してなる発現ベクターにより形質転換した宿主微生物またはビフィドバクテリウム属に属する微生物を培養する工程を含んでなる、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の酵素剤の製造方法:
(i)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列、
(ii)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列と70%以上の同一性を有し、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、
(iii)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列において、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、および
(iv)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列の相補配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
[6]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の酵素剤をα−グルコース−1−リン酸とグルコースおよび/またはβ−1,2−グルカンとに作用させる工程を含んでなる、β−1,2−グルカンの製造方法。
[7]糖質の加リン酸分解によりα−グルコース−1−リン酸を生成させる工程をさらに含んでなる、上記[6]に記載の製造方法。
[8]前記加リン酸分解を、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の酵素剤以外のホスホリラーゼを基質糖質に作用させることにより実施する、上記[7]に記載の製造方法。
[9]前記ホスホリラーゼが、スクロースホスホリラーゼおよびスターチホスホリラーゼからなる群から選択される1種または2種以上である、上記[8]に記載の製造方法。
本発明によれば、β−1,2−グルカンの製造に有用な酵素剤が提供される。本発明の酵素剤は既存の1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼと比較して触媒反応効率が高いことから(試験例5参照)、本発明の酵素剤を利用することにより高い生産効率でβ−1,2−グルカンを製造することができる。
図1は、試験例1において得られたビフィドバクテリウム・スカルドビイ由来の1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列(配列番号:2)を示した図である。 図2Aは、試験例1において得られたビフィドバクテリウム・スカルドビイ由来の1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼをコードするDNA配列(sense配列)(配列番号:1)を示した図である。図2Aおよび図2Bは連続しており、図2Bは図2Aの続きである。 図2Bは、試験例1において得られたビフィドバクテリウム・スカルドビイ由来の1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼをコードするDNA配列(sense配列)(配列番号:1)を示した図である。図2Aおよび図2Bは連続しており、図2Bは図2Aの続きである。 図3は、試験例1において実施したSDS−PAGEおよびBlue Native−PAGEの結果を示した図である。 図4は、試験例2において実施した薄層クロマトグラフィー分析の結果を示した図である。 図5は、試験例1で調製した酵素の至適pHを示した図である。 図6は、試験例1で調製した酵素のpH安定性を示した図である。 図7は、試験例1で調製した酵素の至適温度を示した図である。 図8は、試験例1で調製した酵素の温度安定性を示した図である。 図9は、試験例1で調製した酵素とホスホリラーゼを組み合わせてβ−1,2−グルカンを製造した場合の生産物をHPLCにより分析した結果である。基質として1.0Mスクロースと0.1Mグルコースを用いた場合の結果である。 図10は、試験例1で調製した酵素とホスホリラーゼを組み合わせてβ−1,2−グルカンを製造した場合の生産物をHPLCにより分析した結果である。基質として1.0Mスクロースと0.5Mグルコースを用いた場合の結果である。 図11は、試験例1で調製した酵素とホスホリラーゼを組み合わせてβ−1,2−グルカンを製造した場合の生産物をHPLCにより分析した結果である。基質として1.0Mスクロースと1.0Mグルコースを用いた場合の結果である。
発明の具体的説明
<本発明の酵素剤>
本発明の酵素剤は、前記(a)〜(g)からなる群から選択される少なくとも一つのタンパク質(以下、「本発明のタンパク質」ということがある)を含んでなるものである。
本発明の酵素剤が前記(a)のタンパク質を含む場合、本発明のタンパク質は、配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなるものであっても、配列番号:2のアミノ酸からなるものであってもよい。
前記(b)において、「同一性」は「相同性」を含む意味で用いられる。ここで「同一性」は、例えば、比較する配列同士を適切に整列(アライメント)させたときの同一性の程度であり、前記配列間のアミノ酸の正確な一致の出現率(%)を意味する。同一性については、例えば、配列におけるギャップの存在およびアミノ酸の性質が考慮される(Wilbur, Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:726-730(1983))。前記アライメントは、例えば、任意のアルゴリズムの利用により行うことができ、具体的に、BLAST(Basic local alignment search tool)(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990))、FASTA(Peasron et al., Methods in Enzymology 183:63-69 (1990))、Smith−Waterman(Meth. Enzym., 164, 765 (1988))などの相同性検索ソフトウエアを使用することができる。また、同一性の算出は、例えば、前記のような公知の相同性検索プログラムを用いて行うことができ、例えば、米国国立生物工学情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)において、デフォルトのパラメーターを用いることによって算出することができる。
前記(b)における同一性は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに一層好ましくは95%以上、特に好ましくは96%以上、97%以上、98%以上または99%以上である。
前記(c)において、「アミノ酸配列において、1個または複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加された」とは、例えば、部位突然変異誘発法などの公知の方法により生じる程度の数のアミノ酸、または、天然に生じる程度の数のアミノ酸が、欠失、置換、挿入および/または付加によって改変されたことを意味する。前記置換などにより改変されるアミノ酸の個数は、例えば、1〜100個、好ましくは1〜50個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに一層好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜数個、1〜3個、1〜2個または1個である。前記アミノ酸配列において、前記改変は、例えば、連続して生じてもよいし、不連続に生じてもよい。
また、前記(c)におけるアミノ酸の挿入としては、例えば、アミノ酸配列の内部への挿入が挙げられる。さらに、アミノ酸の付加は、例えば、アミノ酸配列のN末端もしくはC末端への付加であっても、N末端およびC末端の両末端への付加であってもよい。
前記アミノ酸の置換は、例えば、保存的置換であってもよい。「保存的置換」は、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1個または複数個のアミノ酸を、別のアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体に置換することを意味する。保存的置換において、置換されるアミノ酸と置換後のアミノ酸とは、例えば、性質および/または機能が類似していることが好ましい。具体的には、疎水性および親水性の指標、極性、電荷などの化学的性質、あるいは二次構造などの物理的性質が類似していることが好ましい。このように、性質および/または機能が類似するアミノ酸またはアミノ酸誘導体は、当該技術分野において公知である。例えば、非極性アミノ酸(疎水性アミノ酸)としては、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性アミノ酸(中性アミノ酸)は、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システインなどが挙げられる。陽電荷を有するアミノ酸(塩基性アミノ)酸は、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられ、負電荷を有するアミノ酸(酸性アミノ酸)は、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
前記(d)、(e)、(f)および(g)において、「塩基配列によりコードされるアミノ酸配列」および「ポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列」は、特定の塩基配列または特定の塩基配列を有するポリヌクレオチドが与えられることによって、遺伝暗号(すなわち、コドン)に基づいて特定することができる。具体的には、例えば、配列番号:1の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列としては、配列番号:2のアミノ酸配列が挙げられる。
本発明の酵素剤が前記(d)のタンパク質を含む場合、本発明のタンパク質は、配列番号:1の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含んでなるものであっても、該アミノ酸配列からなるものであってもよい。
前記(e)、(f)および(g)において、「配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列」とは、配列番号:2のアミノ酸配列が与えられることによって、遺伝暗号(すなわち、コドン)に基づいて特定することができる。例えば、配列番号:2のアミノ酸配列を、対応するコドンに置き換えることによって塩基配列を特定することができ、具体例としては、配列番号:1の塩基配列が挙げられる。
前記(e)において、「同一性」は「相同性」を含む意味で用いられる。ここで、「同一性」は、前記(b)において述べたのと同様に、比較する配列同士を適切に整列(アライメント)させたときの同一性の程度であり、前記配列間の塩基の正確な一致の出現率(%)を意味する。同一性については、例えば、配列におけるギャップの存在および塩基の性質が考慮される(Wilbur, Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:726-730 (1983))。前記アライメントは、例えば、任意のアルゴリズムの利用により行うことができ、例えば、前述した、BLAST、FASTA、Smith−Watermanなどの相同性検索ソフトウエアが使用することができる。また、同一性の算出は、例えば、前記のような公知の相同性検索プログラムを用いて行うことができ、例えば、前記相同性アルゴリズムBLAST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)において、デフォルトのパラメーターを用いることによって算出することができる。
前記(e)における同一性は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに一層好ましくは95%以上、特に好ましくは96%以上、97%以上、98%以上または99%以上である。
前記(f)において、「塩基配列において、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された」は、例えば、部位突然変異誘発法などの公知の方法により生じる程度の数の塩基(ヌクレオチド)、または、天然に生じる程度の数の塩基が、欠失、置換、挿入および/または付加によって改変されたことを意味する。前記置換などにより改変される塩基の個数は、例えば、1〜100個、好ましくは1〜50個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに一層好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜数個、1〜3個、1〜2個または1個である。前記欠失、挿入および/または付加された塩基配列は、特に制限されないが、例えば、配列番号:2のタンパク質のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と、同じ読み枠の塩基配列である。前記欠失、挿入および/または付加される塩基は、例えば、連続する3つの塩基からなるコドンが好ましく、コドンの数は、例えば、1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜数個、1〜3個、1〜2個または1個である。前記塩基配列において、前記改変は、連続して生じてもよいし、不連続に生じてもよい。
また、前記(f)における塩基の挿入としては、例えば、塩基配列の内部への挿入が挙げられる。さらに、塩基の付加は、例えば、塩基配列の5’末端もしくは3’末端への付加であっても、5’末端および3’末端の両末端への付加であってもよい。
前記(g)において、「ハイブリダイズする」とは、あるポリヌクレオチドが標的となるポリヌクレオチドと相補的なそれぞれの塩基同士の水素結合により二本鎖を形成することをいう。「ハイブリダイズ」は、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出することができる。ハイブリダイゼーションアッセイとしては、例えば、サザンハイブリダイゼーションアッセイ、コロニーハイブリダイゼーションアッセイなどの公知の方法が挙げられる。
前記(g)において、「ハイブリダイズ」あるいは「ハイブリダイゼーション」は、ストリンジェントな条件下で実施することができ、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液中でハイブリダイゼーション反応を行った後、洗浄緩衝液で洗浄することにより実施することができる。ここで「ストリンジェントな条件」は、ある塩基配列とその相補鎖との二重鎖のTm(℃)および必要な塩濃度などに依存して決定することができ、配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列(例えば、配列番号:1の塩基配列)を選択した後にそれに応じたストリンジェントな条件を設定することは当業者に周知の技術である(例えば、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory(1989)参照)。ストリンジェントな条件としては、例えば、ハイブリダイゼーションに通常用いられる適切な緩衝液(例えば、SSC溶液)中で、塩基配列によって決定されるTmよりわずかに低い温度(例えば、Tmよりも0〜5℃低い温度あるいはTmよりも0〜2℃低い温度)においてハイブリダイゼーション反応を実施することが挙げられる。ストリンジェントな条件としてはまた、ハイブリダイゼーション反応後の洗浄を高濃度低塩濃度溶液で実施することが挙げられる。
前記(b)、(c)、(e)、(f)および(g)において、「1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性」は、リン酸の存在下、β−1,2−グルカンを加リン酸分解し、α−G1Pを生成する酵素活性である。この加リン酸分解反応の逆反応(糖転移反応、合成反応)では、α−G1Pと、グルコースおよび/またはβ−1,2−グルカン(ソホロースなど)とを基質として、β−1,2−グルカンおよびリン酸を生成することができる。なお、ホスホリラーゼ活性を有するタンパク質は、一般的に加リン酸分解反応と共に逆反応を触媒することが知られている。従って、「1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質」であるか否かは、例えば、被験タンパク質を基質であるα−G1Pおよびソホロースに作用させ、重合度3以上のβ−1,2−グルカンや無機リン酸が生成するか否かにより判定することができる。すなわち、加リン酸分解の逆反応を触媒する活性を有するタンパク質であるか否かにより、「1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質」であるか否かを判定することができる。β−1,2−グルカンの生成の程度は、例えば、無機リン酸量やβ−1,2−グルカン量を定量することにより測定することができる。
本発明の酵素剤はまた、前記特性(A)〜(F)を有するタンパク質(以下、「本発明の酵素タンパク質」ということがある)を含んでなるものである。前記の本発明のタンパク質は、特性(A)〜(F)を有するものとすることができ、以下の本発明の酵素タンパク質の記載に従ってその内容を特定することができる。なお、本明細書においては、本発明のタンパク質および本発明の酵素タンパク質をあわせて、「本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質」ということがある。
特性(A)に関し、本発明の酵素タンパク質は、リン酸の存在下、β−1,2−グルカンを加リン酸分解し、α−G1Pを生成するホスホリラーゼである。この加リン酸分解反応の逆反応により、α−G1Pとグルコースおよび/またはβ−1,2−グルカンを基質とし、β−1,2−グルカンを生成する。後述するように、この加リン酸分解反応の逆反応により、本発明の酵素剤はβ−1,2−グルカンを製造することができる。
特性(A)に関し、本発明の酵素タンパク質は、α−G1Pをリン酸供与体とする加リン酸分解反応の逆反応において、ソホロースおよびラミナリビオースに対して基質特異性を有し、特にソホロースに対して高い基質特異性を有する。また、基質濃度を高くすることでグルコースに対しても反応を示す。
特性(B)に関し、本発明の酵素タンパク質は、SDS−PAGEにより測定で125±10kDaの分子量を有する。SDS−PAGEによる分子量測定は、例えば、ポリアクリルアミドゲルのゲル濃度12.5%、定電流20mA、タンパク質量3μgの条件で実施することができる。
特性(C)に関し、本発明の酵素タンパク質の至適pHは、6.5〜7.5の範囲であり、好ましくはpH6.5〜7.0の範囲である。本発明の酵素タンパク質の至適pHは、各種pH、30℃、10分間の条件で本発明の酵素タンパク質およびその基質を反応させた際に最大活性を示す本発明の酵素タンパク質の活性(例えば、β−1,2−グルカン生成活性または無機リン酸生成活性)を100%とした場合に、80%以上の相対活性を示すpHとすることができ、好ましくは90%以上の相対活性を示すpHとすることができる。
特性(D)に関し、本発明の酵素タンパク質は、pH5.0〜8.5の範囲で安定である。本発明の酵素タンパク質のpH安定性は、各種pH、4℃、24時間の条件で本発明の酵素タンパク質を保存した後、最大残存活性を示す本発明の酵素タンパク質の残存活性(例えば、β−1,2−グルカン生成活性または無機リン酸生成活性)を100%とした場合に、80%以上の残存活性を示すpHとすることができる。
特性(E)に関し、本発明の酵素タンパク質の至適温度は、35〜45℃の範囲であり、好ましくは40〜45℃の範囲である。本発明の酵素タンパク質の至適温度は、各種温度、pH6.5、10分間の条件で本発明の酵素タンパク質およびその基質を反応させた際に最大活性を示す本発明の酵素タンパク質の活性(例えば、β−1,2−グルカン生成活性または無機リン酸生成活性)を100%とした場合に、80%以上の相対活性を示す温度とすることができ、好ましくは90%以上の相対活性を示す温度とすることができる。
特性(F)に関し、本発明の酵素タンパク質は、45℃以下で安定である。本発明の酵素タンパク質の温度安定性は、各種温度、pH6.5、30分間の条件で本発明の酵素タンパク質を保存した後、最大残存活性を示す本発明の酵素タンパク質の残存活性(例えば、β−1,2−グルカン生成活性または無機リン酸生成活性)を100%とした場合に、80%以上の残存活性を示す温度とすることができる。
本発明の酵素タンパク質は、ビフィドバクテリウム・スカルドビイ(Bifidobacterium scardovii)由来のものを用いることができる。本発明の酵素はまた、後述するように天然微生物あるいは組換え微生物から発現させたものを使用することができる。
本発明の酵素剤は、本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質そのものでもよく、あるいは本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質に加えて他の成分を含んでいてもよい。当該他の成分としては、賦形剤、安定化剤、塩類などが挙げられる。また、その形態も特に制限はなく、液状でもよく、粉末状でもよく、担体に担持させた形態であってもよい。
本発明の酵素剤は、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質を有効成分とするものである。前記の通り、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼの逆反応(糖転移反応、合成反応)により、α−G1Pとグルコースからβ−1,2−グルカンが生成する。従って、本発明の酵素剤は、β−1,2−グルカンの製造のために用いることができる。本発明の酵素剤を用いたβ−1,2−グルカンの製造は後述する。
<本発明の酵素剤の製造方法>
本発明の酵素剤は、本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質の産生能を有する天然微生物(例えば、ビフィドバクテリウム・スカルドビイなどのビフィドバクテリウム属に属する微生物)あるいは組換え微生物を培養することにより製造することができる。
すなわち、本発明の別の側面によれば、前記(i)〜(iv)から選択される塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドを作動可能に連結してなる発現ベクターにより形質転換した宿主微生物を培養し、該宿主微生物および/またはその培養物から発現産物を採取する工程を含んでなる、本発明の酵素剤の製造方法が提供される。
本発明において「ポリヌクレオチド」には、DNAおよびRNAが含まれ、さらには、これらの修飾体や人工核酸が含まれるが、好ましくはDNAである。また、DNAには、cDNA、ゲノムDNAおよび化学合成DNAが含まれる。
前記(i)、(ii)、(iii)および(iv)において、「配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列」とは、配列番号:2のアミノ酸配列が与えられることによって、遺伝暗号(すなわち、コドン)に基づいて特定することができる。例えば、配列番号:2のアミノ酸配列を、対応するコドンに置き換えることによって塩基配列を特定することができ、具体例としては、配列番号:1の塩基配列が挙げられる。
前記(ii)において、「同一性」は「相同性」を含む意味で用いられる。ここで、「同一性」は、前記(b)において述べたのと同様に、比較する配列同士を適切に整列(アライメント)させたときの同一性の程度であり、前記配列間の塩基の正確な一致の出現率(%)を意味する。同一性については、例えば、配列におけるギャップの存在および塩基の性質が考慮される(Wilbur, Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:726-730 (1983))。アライメントや同一性の算出は、前記(e)についての記載内容に従って実施することができる。
前記(ii)における同一性は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに一層好ましくは95%以上、特に好ましくは96%以上、97%以上、98%以上または99%以上である。
前記(iii)において、「塩基配列において、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された」は、例えば、部位突然変異誘発法などの公知の方法により生じる程度の数の塩基(ヌクレオチド)、または、天然に生じる程度の数の塩基が、欠失、置換、挿入および/または付加によって改変されたことを意味する。前記置換などにより改変される塩基の個数は、例えば、1〜100個、好ましくは1〜50個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに一層好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜数個、1〜3個、1〜2個または1個である。前記欠失、挿入および/または付加された塩基配列は、特に制限されないが、例えば、配列番号:2のタンパク質のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と、同じ読み枠の塩基配列である。前記欠失、挿入および/または付加される塩基は、例えば、連続する3つの塩基からなるコドンが好ましく、コドンの数は、例えば、1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜数個、1〜3個、1〜2個または1個である。前記塩基配列において、前記改変は、連続して生じてもよいし、不連続に生じてもよい。
また、前記(iii)における塩基の挿入としては、例えば、塩基配列の内部への挿入が挙げられる。さらに、塩基の付加は、例えば、塩基配列の5’末端もしくは3’末端への付加であっても、5’末端および3’末端の両末端への付加であってもよい。
前記(iv)において、「ハイブリダイズする」とは、あるポリヌクレオチドが標的となるポリヌクレオチドと相補的なそれぞれの塩基同士の水素結合により二本鎖を形成することをいう。「ハイブリダイズ」は、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出することができる。ハイブリダイゼーションアッセイとしては、例えば、サザンハイブリダイゼーションアッセイ、コロニーハイブリダイゼーションアッセイなどの公知の方法が挙げられる。
前記(iv)において、「ハイブリダイズ」あるいは「ハイブリダイゼーション」は、ストリンジェントな条件下で実施することができ、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液中でハイブリダイゼーション反応を行った後、洗浄緩衝液で洗浄することにより実施することができる。ここで「ストリンジェントな条件」でのハイブリダイゼーションは、前記(g)についての記載内容に従って実施することができる。
前記(ii)、(iii)および(iv)において、「1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性」は、リン酸の存在下、β−1,2−グルカンを加リン酸分解し、α−G1Pを生成する酵素活性である。この加リン酸分解反応の逆反応(糖転移反応、合成反応)では、α−G1Pと、グルコースおよび/またはβ−1,2−グルカン(ソホロースなど)とを基質として、β−1,2−グルカンおよびリン酸を生成することができる。なお、ホスホリラーゼ活性を有するタンパク質は、一般的に加リン酸分解反応と共に逆反応を触媒することが知られている。従って、「1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質」であるか否かは、例えば、前記と同様に、被験タンパク質を基質であるα−G1Pおよびソホロースに作用させ、重合度3以上のβ−1,2−グルカンや無機リン酸が生成するか否かにより判定することができる。すなわち、加リン酸分解の逆反応を触媒する活性を有するタンパク質であるか否かにより、「1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質」であるか否かを判定することができる。β−1,2−グルカンの生成の程度は、例えば、無機リン酸量やβ−1,2−グルカン量を定量することにより測定することができる。
本発明の酵素剤を、本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質の産生能を有する組換え微生物を用いて製造する場合、該組換え微生物としては、前記(i)〜(iv)から選択される塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドを作動可能に連結してなる発現ベクターにより形質転換した宿主微生物が挙げられる。前記発現ベクターとしては、例えば、大腸菌や枯草菌などの宿主微生物への導入に適したベクターを選択することができ、pET21b、pUC18、pET15b、pET32a、pColdI、pGEX−4T、pJEXOPT2(特開2009−17841号公報参照)、pHT01、pHT43などのプラスミドベクターが挙げられる。これらのうち、本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質を大腸菌で発現させる場合には、pET21b、pUC18、pET15b、pET32a、pColdIおよびpGEX−4Tが好ましく、枯草菌で発現させる場合には、pJEXOPT2、pHT01およびpHT43が好ましい。また、発現ベクターへのポリヌクレオチドの連結は、常法に従って実施することができる。
このようにして得られる発現ベクターは、大腸菌、枯草菌をはじめとする宿主微生物に導入し、組換え微生物(すなわち、形質転換体)を得ることができる。宿主微生物への導入は、常法に従って実施することができる。また、前記(i)〜(iv)から選択される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、エレクトロポレーション法、リポフェクション法などによりベクターを使用せずに宿主微生物に導入し、組換え微生物を得ることもできる。
本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質を生成する組換え微生物および天然微生物は、当該微生物の培養に適した培地において培養することができる。使用する培地は、微生物が生育でき、本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質を産生しうる栄養培地であれば特に限定されず、合成培地および天然培地のいずれでもよい。また、時間、温度などの培養条件は、培養する微生物に適した条件を適宜選択することができる。
本発明の酵素剤の製造方法では、組換え微生物または天然微生物を培養した後、本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質を採取する工程を含んでいてもよい。本発明の酵素剤の製造方法では、例えば、天然微生物あるいは組換え微生物を培養した後、溶菌剤、界面活性剤、超音波破砕またはビーズショッカーなどを用いて菌体細胞を破砕し、そのままもしくは不溶性画分を分離したものを粗酵素液とすることができる。本発明においては、粗酵素液をそのまま用いても、濃縮してから用いてもよい。濃縮法としては、硫安塩析法、アセトンおよびアルコール沈殿法、平膜、中空膜法などを採用することができる。
本発明の酵素剤は、上記のように、粗酵素液をそのまままたは濃縮して用いることができるものの、必要に応じてカラムクロマトグラフィーなどにより分離・精製したものを利用することができる。例えば、培養液の上清または破砕処理物についてアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製することにより、本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質を、電気泳動的に単一バンドを示す精製酵素として得ることができる。
本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質が組換えタンパク質である場合には、組換え微生物の種類によっては酵素が菌体内に蓄積したり、培養液に蓄積したりすることがある。このような場合にも、前記のように、菌体またはその培養物をそのまま使用してもよいが、必要に応じて、細胞を破砕したものを用いてもよい。
<β−1,2−グルカンの製造方法>
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の酵素剤をα−G1Pとグルコースおよび/またはβ−1,2−グルカンとに作用させる工程を含んでなる、β−1,2−グルカンの製造方法が提供される。
本発明の酵素剤を、α−G1Pとグルコース(あるいはソホロースなどのβ−1,2−グルカン)に作用させると、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ反応の逆反応によりα−G1Pのグルコース残基がグルコース(あるいはβ−1,2−グルカン)に転移し、結果としてβ−1,2−グルカンが生成する。生成したβ−1,2−グルカンに更にα−G1Pのグルコース残基が転移することで、β−1,2−グルカンが伸長していく。1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ反応の逆反応、すなわち、β−1,2−グルカンの生成反応の反応条件は、本発明の酵素剤の有効成分であるタンパク質の特性(A)、(C)、(D)、(E)および(F)に基づいて決定することができる。本発明においては、例えば、0.05〜1.0M α−G1Pおよび0.1〜1.0M グルコースを含む反応水溶液(pH5.0〜8.0)を調製し、反応溶液に対し終濃度0.01〜0.2mg/mL(基質固形分1g当たり10〜250U)の本発明の酵素剤を添加し、30〜50℃で2〜72時間保持することでβ−1,2−グルカンを生成させることができる。
本発明のβ−1,2−グルカンの製造方法においては、本発明の酵素剤をα−G1Pとグルコースおよび/またはβ−1,2−グルカンとを含む糖質水溶液に作用させてもよい。該糖質水溶液はα−G1P並びにグルコースおよび/またはβ−1,2−グルカン以外の糖質を含んでいてもよく、例えば、フルクトースを含んでいてもよい。また、後述する本発明の酵素剤以外のホスホリラーゼの基質であるスクロース、デンプンなどの糖質を含んでいてもよい。
本発明においては、所望のβ−1,2−グルカンが得られた後、必要に応じて酵素の失活処理、濾過・脱色・脱臭・脱塩などの精製処理および/または濃縮処理を行うことができる。これらの処理は常法に従って実施することができる。得られたβ−1,2−グルカンは、適宜濃縮して液状品としてもよく、噴霧乾燥などにより粉末品としてもよい。さらに、膜分画・樹脂分画などの分画処理や微生物による資化処理などによって残存した原料・副産物を除去したり特定重合度のものを分取したりしてもよい。
本発明のβ−1,2−グルカンの製造方法においては、糖質の加リン酸分解によりα−G1Pを生成させる工程をさらに含んでいてもよい。上記加リン酸分解反応は、本発明の酵素剤以外のホスホリラーゼにより実施することができる。本発明のβ−1,2−グルカンの製造方法において、本発明の酵素剤に加えて本発明の酵素剤以外のホスホリラーゼを使用した場合、本発明の酵素剤以外のホスホリラーゼの加リン酸分解反応によりα−G1Pが供給され、生成したα−G1Pと、グルコース(あるいはβ−1,2−グルカン)に対して本発明の酵素剤が作用して、β−1,2−グルカンを製造することができる。この態様では、原料としてα−G1Pを添加することなく、反応系においてα−G1Pを供給しつつβ−1,2−グルカンを製造することができる点で有利である。
上記加リン酸分解反応を触媒するホスホリラーゼとしては、例えば、スクロースを基質とするスクロースホスホリラーゼ、デンプンを基質とするスターチホスホリラーゼが挙げられ、市販の酵素製剤を用いることができる。また、上記ホスホリラーゼの基質として用いられるスクロース、デンプンなどの糖質についても特に制限はなく、純品や各種混合物を用いることができる。α−G1Pの入手性やコストを考慮すると、安価で安定かつ大量に入手可能なα−G1P供給用基質およびグルコースを原料としてβ−1,2−グルカンを製造する本発明の製造方法は、工業生産上大きなメリットを有するといえる。
また、本発明のβ−1,2−グルカンの製造方法において、例えば、スクロースとグルコースを基質とし、本発明の酵素剤およびスクロースホスホリラーゼを用いてβ−1,2−グルカンを製造する場合、後記実施例に示される通り、スクロースとグルコースの基質濃度比を変化させることで得られる反応生成物の重合度が変化するため、基質濃度比を調整することで所望の重合度のβ−1,2−グルカンを製造することができる。具体的には、スクロースのグルコースに対する濃度比を高くすることで重合度の高いβ−1,2−グルカンを製造することができ、スクロースのグルコースに対する濃度比を低くする(すなわち、グルコースのスクロースに対する濃度比を高くする)ことで重合度の低いβ−1,2−グルカンを製造することができる。
本発明の酵素剤とスクロースホスホリラーゼを併用する場合の製造条件は使用する酵素の性質などに基づいて適宜調整することができる。例えば、α−G1P供給用基質0.2〜1.0Mおよびグルコース0.1〜1.0Mの水溶液を50〜100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0〜8.0)を用いて調製し、終濃度0.01〜0.2mg/mlの本発明の酵素剤および終濃度0.01〜0.2mg/mlのα−G1P供給用ホスホリラーゼを添加し、30〜50℃に2〜168時間保持することでβ−1,2−グルカンを製造することができる。所望のβ−1,2−グルカン(β−1,2−グルカン含有組成物)が得られた後、必要に応じて酵素を失活させ、更に常法により濾過、脱色、脱臭、脱塩などの精製処理や濃縮処理を行うことができる。得られたβ−1,2−グルカンは、前記と同様の処理を行うことができる。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
種々の微生物について新規酵素探索を検討し、機能既知のタンパク質の配列と比較して相同性の低い配列としてビフィドバクテリウム・スカルドビイ(Bifidobacterium scardovii)由来の仮想タンパク質(米国、NCBIの登録ID情報:BAQ32521.1)を選出し、以下の試験例の通りその機能を解析した。当該仮想タンパク質のアミノ酸配列を配列番号:2および図1に、塩基配列を配列番号:1および図2に示した。
試験例1:酵素の調製
以下の通り、ビフィドバクテリウム・スカルドビイ由来のタンパク質(以下、「BSGP」と略称する)を調製した。
ビフィドバクテリウム・スカルドビイ(JCM12489;国立研究開発法人 理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室から入手)を変法GAM培地(日水製薬株式会社)に植菌して、37℃、嫌気条件下で数日培養した。培養後、ゲノムDNAを抽出し、これを鋳型としてPCR法を実施し、BSGPのDNA配列を増幅した。PCRプライマーは、フォワードプライマー:GAAGGAGATATACATATGTCCAACGCTGCAGAC(配列番号:3)およびリバースプライマー:GTGGTGGTGGTGGTGGCGTACTCGCGGCGCCGT(配列番号:4)を用いた。また、ベクターとしてpET21b(メルク株式会社)を用い、これを鋳型としてPCR法により増幅した。PCRプライマーは、フォワードプライマー:CACCACCACCACCACCAC(配列番号:5)およびリバースプライマー:ATGTATATCTCCTTCTTAAAGTTAAACAA(配列番号:6)を用いた。いずれの場合も、PCR法は、96℃1分を1サイクル、98℃10秒 55℃15秒 72℃35秒を35サイクル、72℃5分を1サイクルの条件にて行った。次いで、In−Fusion(登録商標) HD Cloning Kit(タカラバイオ株式会社)を用いて、BSGPのDNA配列をpET21bにクローニングした。PCR法に用いたプライマーはBSGPのC末端側にHisタグ配列を付加する設計で作製した。
次いで、該クローニングプラスミドにより大腸菌BL21(DE3)(プロメガ株式会社)を形質転換し、LB培地にて37℃で培養した。濁度(OD660)が0.4〜0.6になった時点でイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導を行い、15℃で一晩培養した。培養後、菌体を回収して、菌体破砕緩衝液(25mM HEPES、500mM NaCl、20mM イミダゾール、pH7.5)に懸濁した。該菌体懸濁液に対して、超音波破砕および遠心を行い、遠心上清を粗酵素液とした。該粗酵素液を、Niカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィー(GEヘルスケアジャパン株式会社)に供して、SDS−PAGE(Sodium Dodecyl Sulfate Poly-Acrylamide Gel Electrophoresis)により精製BSGPが得られたことを確認した(図3)。またBlue Native−PAGEにより精製BSGPは一量体であることを確認した(図3)。SDS−PAGEにおけるポリアクリルアミドゲル(12.5%)はe・パジェル(アトー株式会社)を使用した。また、測定に当たってタンパク質は3μgを供し、電気泳動は20mAの定電流で行った。Blue Native−PAGEにおけるポリアクリルアミドゲル(5〜20%)はExtra PAGE One Precast Gel(ナカライテスク株式会社)を使用した。また、測定に当たってタンパク質は2.5μgを供し、電気泳動は15mAの定電流で行った。
試験例2:基質のスクリーニング
20mMのドナー(α−グルコース−1−リン酸(α−G1P))水溶液20μL、20mMの各種アクセプター水溶液20μL、200mM HEPESバッファー(pH7.0)5μLおよび試験例1で得られた精製BSGP溶液を2倍希釈した溶液5μLを混合し、37℃で一晩反応させた。
得られた反応液を薄層クロマトグラフィー分析(展開溶媒:2−プロパノール:酢酸エチル:酢酸:水=2:2:1:1)した結果を図4に示した。図4の通り、ソホロース(No.6)およびラミナリビオース(No.7)をアクセプターとして用いたサンプルにおいて伸長反応が確認された。ソホロースへの反応性が高いことから、BSGPは1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼである可能性が高いと考えられた。
試験例3:反応生成物のNMRおよびMS解析
α−G1P 14.4mgとソホロース6.9mgを200mM MES−NaOH(pH6.5) 10μLと超純水 86.8μLの混合液に溶解した後に、BSGPを3.2μL添加し、40℃で2時間反応させた。80℃で10分保持することで反応を停止させた。α−G1Pとソホロースを基質としてBSGPを反応させ、得られた反応生成物中の三糖と推定される画分をHPLC法にて分取した。HPLC法の分析条件は以下の通りであった。
<HPLC分析条件>
カラム:Ultron P−80Sの2連(φ8×500mm、信和化工社製)
カラム温度:50℃
溶離液:脱気超純水
流速:0.5mL/分
検出器:示差屈折計
打ち込み量:50μL
分析時間:60分
HPLC法により得られた分取サンプルについて、核磁気共鳴(NMR)および質量分析(MS)による解析を実施した。核磁気共鳴スペクトルは、核磁気共鳴分光計(ブルカー社)を用いて測定した。また、質量分析は、質量分析計を用いて測定した。その結果、当該三糖はβ−1,2結合で繋がった三糖であることが判明した(データ省略)。
以上の試験結果から、配列番号:2のアミノ酸配列を有するBSGPは、1,2―β―オリゴグルカンホスホリラーゼであると同定した。なお、当該アミノ酸配列と既知の1,2―β―オリゴグルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列の配列同一性は、既知酵素1(非特許文献1のListeria innocua由来の1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ)に対して34%、既知酵素2(非特許文献2のLachnoclostridium phytofermentans由来の1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ)に対して37%であった。
試験例4:酵素の特性分析(1)
a)活性測定
50mM α−G1P 10μL、50mM ソホロース 10μL、100mM HEPES−NaOH(pH6.5)20μLからなる混合液に試験例1で調製したBSGP(3.2〜10.5μg/mL)を10μL添加し、30℃、10分間保持した。これにモリブデン試薬(18.75mM 七モリブデン酸六アンモニウム四水和物、125mM 酢酸亜鉛、pH5.0)を500μL添加して反応を停止させた。次いで、発色試薬(10% アスコルビン酸、pH5.0)を125μL添加し、30℃、10分間保持した後に吸光度(A850)を測定して、反応によって生じた無機リン酸量を求めた。検量線作製には、KHPO(0〜1mM)を用いた。酵素活性単位1Uは、上記条件において反応1分間に1μmolの無機リン酸を生成する酵素量と定義した。
b)至適pHおよびpH安定性
至適pHは、pH4.0〜10.0における酵素活性を測定して求めた。具体的には、50mM α−G1P10μL、50mM ソホロース10μL、100mM各pHの緩衝液(pH4.0〜5.5:フタル酸水素カリウム−NaOH、pH5.5〜7.0:MES−NaOH、pH7.0〜8.5:HEPES−NaOH、pH8.5〜9.0:Tris−HCl、pH9.0〜10.0:グリシン−NaOH)20μLからなる混合液に、6.3μg/mLのBSGPを10μL添加し、30℃、10分間保持して酵素反応を進行させた。BSGPの希釈には希釈緩衝液(25mM MES−NaOH(pH6.0)、BSA 1mg/mL)を用いた。これにモリブデン試薬を500μL添加して反応を停止させた。次いで、発色試薬を125μL添加し、30℃、10分間保持した後に吸光度(A850)を測定して、反応によって生じた無機リン酸量を求めた。酵素活性は、生成した無機リン量に基づき前記a)の方法に従って算出した。最大活性を示す酵素活性を100%とした場合の相対活性を図5に示す。
pH安定性は、0.5mg/mLのBSGPを50mM濃度の各pHの緩衝液で4℃、24時間インキュベートした後に、希釈緩衝液にて6.7μg/mLに希釈して酵素活性を測定することにより求めた。酵素活性の測定は、前記a)の方法に従って行った。最大残存活性を示す酵素活性を100%とした場合の相対活性(残存活性)を図6に示す。
分析の結果、BSGPの至適pHは6.5〜7.5であり(図5)、pH5.0〜8.5において安定であった(図6)。
c)至適温度および温度安定性
至適温度は、25〜60℃における酵素活性を測定して求めた。具体的には、50mM α−G1P10μL、50mM ソホロース10μL、100mM HEPES−NaOH(pH6.5)20μLからなる混合液に6.1μg/mL BSGPを10μL添加し、25〜60℃で10分間保持して酵素反応を進行させた。これにモリブデン試薬を500μL添加して反応を停止させた。次いで、発色試薬を125μL添加し、30℃、10分間保持した後に吸光度(A850)を測定して、反応によって生じた無機リン酸量を求めた。酵素活性は、生成した無機リン量に基づき前記a)の方法に従って算出した。最大活性を示す酵素活性を100%とした場合の相対活性を図7に示す。
温度安定性は、0.5mg/mLのBSGPを25mM MES−NaOH(pH6.5)で25〜60℃、30分間インキュベートした後、4℃に冷却して、希釈緩衝液にて6.7μg/mLに希釈して酵素活性を測定することにより求めた。酵素活性の測定は、前記a)の方法に従って行った。最大残存活性を示す酵素活性を100%とした場合の相対活性(残存活性)を図8に示す。
分析の結果、BSGPの至適温度は35〜45℃であり(図7)、45℃以下で安定であった(図8)。
試験例5:酵素の特性分析(2)
a)基質特異性
50mM α−G1P 10μL、50mM 各種糖質(D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、2−デオキシ−D−グルコース、N―アセチルグルコサミン、トレハロース、コージビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、スクロース、ラクトース)10μL、100mM HEPES−NaOH(pH6.5)20μLからなる混合液に10.5μg/mL BSGP(試験例1で調製)を10μL添加し、30℃、10分間保持した後に吸光度(A850)を測定して、反応によって生じた無機リン酸量を求め、酵素活性を決定した。
結果は表1に示される通りであった。BSGPはソホロースに対して高い基質特異性を示した。
Figure 2019129716
b)見かけの反応速度定数
50mM α−G1P10μL、2.5〜20mM ソホロース10μL、100mM HEPES−NaOH(pH6.5)20μLからなる混合液に3.2μg/mL BSGPを10μL添加し、30℃、10分保持した後に吸光度(A850)を測定して、反応によって生じた無機リン酸量を求めた。次いで、GraFit version7.0.3(Erithacus Software社製)を用いて、各濃度における反応速度について非線形近似を行い、ミカエリスメンテン式に適応させることで、反応速度定数を算出した。
結果は表2に示される通りであった。
Figure 2019129716
BSGPの触媒効率を示すkcat/Kの値は40.5S−1・mM−1であり、既知酵素1(非特許文献1)の11±1S−1・mM−1と比較して4倍程度高く、既知酵素2(非特許文献2)の7.3±0.6S−1・mM−1と比較して6倍程度高い値であった。
試験例6:ホスホリラーゼを組み合わせたβ−1,2−グルカンの製造
1.0M スクロースと0.1〜1.0M グルコースを100mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解した。該基質溶液1mLに19mg/mL BSGP(試験例1で調製)と17mg/mLスクロースホスホリラーゼ(Sigma社)を10μLずつ加え、30℃で反応させた。反応7日目でサンプリングを行い、超純水で10倍希釈した後に、10分間煮沸することで反応を停止させた。その後、下記条件でHPLC分析を行い、反応生成物の重合度分布を確認した。
<HPLC分析条件>
カラム:MCI GEL CK02 AS
カラム温度:80℃
溶離液:超純水
流速:0.7mL/分
検出器:示差屈折計(RI)
打ち込み量:50μL(Brix1.0に希釈)
分析時間:120分
HPLC分析により得られたクロマトグラムを図9〜11に示した。図から明らかな通り、スクロース1.0Mに対しグルコース0.1Mの濃度比で反応させたサンプルは保持時間が短い高重合度のβ−1,2−グルカンが主に検出されたのに対し(図9)、グルコースの濃度比が高まるにつれて保持時間の長い低重合度のβ−1,2−グルカンの生成量が増加した(図10および11)。

Claims (9)

  1. 下記(a)〜(c)からなる群から選択されるタンパク質を含んでなる酵素剤:
    (a)配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質、
    (b)配列番号:2のアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質、および
    (c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質。
  2. 下記の(A)〜(F)の特性を有するタンパク質を含んでなる酵素剤:
    (A)作用:α−グルコース−1−リン酸とグルコースおよび/またはβ−1,2−グルカンとを基質とし、β−1,2−グルカンを生成する。
    (B)分子量(SDS−PAGE)が125±10kDaである
    (C)至適pH:6.5〜7.5の範囲である
    (D)pH安定性:5.0〜8.5の範囲で安定である
    (E)至適温度:35〜45℃の範囲である
    (F)温度安定性:45℃以下で安定である
  3. 前記タンパク質が、ビフィドバクテリウム・スカルドビイ(Bifidobacterium scardovii)由来である、請求項2に記載の酵素剤。
  4. β−1,2−グルカンの製造に用いるための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酵素剤。
  5. 下記(i)〜(iii)から選択される塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドを作動可能に連結してなる発現ベクターにより形質転換した宿主微生物またはビフィドバクテリウム属に属する微生物を培養する工程を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵素剤の製造方法:
    (i)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列、
    (ii)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列と70%以上の同一性を有し、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列、および
    (iii)配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列において、1または複数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、かつ、1,2−β−オリゴグルカンホスホリラーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵素剤をα−グルコース−1−リン酸とグルコースおよび/またはβ−1,2−グルカンとに作用させる工程を含んでなる、β−1,2−グルカンの製造方法。
  7. 糖質の加リン酸分解によりα−グルコース−1−リン酸を生成させる工程をさらに含んでなる、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記加リン酸分解を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵素剤以外のホスホリラーゼを基質糖質に作用させることにより実施する、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記ホスホリラーゼが、スクロースホスホリラーゼおよびスターチホスホリラーゼからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項8に記載の製造方法。
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