JPWO2019049848A1 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

塩素イオンが混入しても腐食反応を抑制することのできるハイブリッドタイプの固体電解コンデンサを提供する。固体電解コンデンサは、コンデンサ素子と固体電解質層と電解液とを備える。コンデンサ素子は、セパレータを介して陽極箔と陰極箔とを対向させて成る。固体電解質層は、導電性ポリマーから成り、コンデンサ素子内に形成される。電解液は、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸と、エチレングリコールとを含む。

Description

本発明は、固体電解質と電解液とを併用したハイブリッドタイプの固体電解コンデンサに関する。
タンタル或いはアルミニウム等の弁作用金属を利用する電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体或いはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得られる。特に、誘電体酸化皮膜を固体電解質で覆った固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えており、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせない。
しかしながら、固体電解コンデンサは、コンデンサ素子に電解液を含浸させた液体型の電解コンデンサと比べて、誘電体である陽極酸化皮膜の欠陥部の修復作用に乏しく、漏れ電流が増大する虞がある。そこで、セパレータを介在させて陽極箔と陰極箔とを対向させたコンデンサ素子に固体電解質層を形成すると共に、コンデンサ素子の空隙に駆動用電解液を含浸させた所謂ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサが提案されている(例えば特許文献1参照)。
固体電解質のみを用いた固体電解コンデンサと比較して、ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサは、静電容量(Cap)が増大し、また等価直列抵抗(ESR)は低下する。更に、ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサの漏れ電流は、電解液の作用により誘電体酸化皮膜の欠陥部の修復が促進されて低下する。
特開2006−114540号公報
ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサに限らず、電解質として液体のみ又は固体のみを使用した場合でも、電解コンデンサ中にハロゲンイオン(特に塩素イオン)が混入すると陽極箔が腐食される。より詳細には、塩素イオンは誘電体酸化皮膜の溶解作用を有しており、この溶解作用が、電解液による誘電体酸化皮膜の欠陥部修復作用を上回ると、コンデンサの製品特性が劣化し、最終的には電解コンデンサとして機能しなくなる。このため、電極箔やセパレータ、封口体などの材料特有の含有塩素イオン量を可能な限り低減したり、製造工程中において塩素イオンの混入を防止するなどの対策を行っているが、電解コンデンサ中の塩素イオン量をゼロにすることは困難である。
これまでの知見より、電解液の水分率を高めたり、溶媒としてγ−ブチロラクトンを用いることにより塩素イオンに起因する誘電体酸化皮膜の溶解作用を抑制することがわかっている。しかし、固体電解コンデンサにおいて水分率を高めるとリフロー特性に悪影響を与えたり、電極箔と固体電解質層との密着性が悪化(固体電解質層が劣化)しESRを上昇させる虞がある。また溶媒にエチレングリコールを用いる場合は、導電性高分子の高次構造の変化及びポリマー鎖の結晶構造が再配向されることで導電性高分子の電気伝導度が向上するが、γ−ブチロラクトンではこのような効果は得られない。そのため、溶媒としてγ−ブチロラクトンを用いると、エチレングリコールを用いた場合より製品特性が悪化する。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、塩素イオンが混入しても腐食反応を抑制することができるハイブリッドタイプの固体電解コンデンサを提供することにある。
本発明の固体電解コンデンサは、セパレータを介して陽極箔と陰極箔とを対向させて成るコンデンサ素子と、導電性ポリマーから成り、前記コンデンサ素子内に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層が形成された前記コンデンサ素子内の空隙部に充填された電解液と、を備え、前記電解液は、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸と、エチレングリコールと、を含むこと、を特徴とする。
前記電解液は、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸とは異なる酸を更に含むようにしてもよい。
前記異なる酸は、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸又はボロジサリチル酸であるようにしてもよい。
前記電解液は、塩基を含み、前記2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸のモル濃度は、前記塩基のモル濃度よりも高くしてもよい。
前記電解液は、塩基を含み、前記2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸と前記異なる酸との合計モル濃度は、前記塩基のモル濃度よりも高くしてもよい。
前記2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸は、前記電解液全量に対して合計0.1wt%以上含むようにしてもよい。
前記電解液は、前記2,6−ジヒドロキシ安息香酸、前記2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方を含み、前記2,6−ジヒドロキシ安息香酸、前記2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方は、前記電解液全量に対して合計0.1wt%以上含むようにしてもよい。
前記電解液は、前記2,6−ジヒドロキシ安息香酸、前記2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方を含み、前記異なる酸は、アゼライン酸であり、前記2,6−ジヒドロキシ安息香酸、前記2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方は、前記電解液全量に対して合計0.05wt%以上含むようにしてもよい。
前記電解液の水分率は、0.01wt%以上5wt%以下であるようにしてもよい。
前記電解液は、さらにγ−ブチロラクトンを含むようにしてもよい。
前記電解液は、さらにスルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランから選ばれる少なくとも1種の溶媒を含むようにしてもよい。
本発明によれば、固体電解質と電解液とを併用した固体電解コンデンサの耐塩素イオン性能を向上させ、塩素イオンによる腐食反応を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサについて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものでない。
(1.全体構成)
本実施形態に係る固体電解コンデンサは、固体電解質層と電解液とが併用された所謂ハイブリッドタイプである。コンデンサ素子は、陽極箔、陰極箔、セパレータ、固体電解質層及び電解液を備える。陽極箔と陰極箔はセパレータを介して対向する。陽極箔の表面は拡面化され、拡面化された表面には誘電体酸化皮膜層が形成されている。陰極箔は必要に応じて拡面化してもよく、誘電体酸化皮膜層を形成してもよい。固体電解質層は陽極箔と陰極箔との間に介在し、誘電体酸化皮膜層と密着する。電解液は、陽極箔、陰極箔、セパレータ及び固体電解質層により構成されるコンデンサ素子の空隙部に充填される。
この固体電解コンデンサの製造方法の一例は、概略以下の通りである。まず第1の工程として、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、第2の工程として、コンデンサ素子に固体電解質層を形成する。この工程では、導電性ポリマーの粒子又は粉末と溶媒とを含む分散体を、コンデンサ素子に含浸させる。その後、第3の工程として、このコンデンサ素子を電解液に浸漬して、コンデンサ素子内の空隙部に電解液を充填する。そして、第4の工程として、コンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
(2.電極箔)
陽極箔及び陰極箔は弁作用金属を材料とする長尺の箔体である。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極箔に関して99.9%以上が望ましく、陰極箔に関して99%程度以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。
この陽極箔及び陰極箔は、弁作用金属の粉体を焼結した焼結体、又は延伸された箔にエッチング処理を施したエッチング箔として、表面に多孔質構造を有する。多孔質構造は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。多孔質構造は、典型的には、塩酸等のハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流又は交流を印加する直流エッチング又は交流エッチングにより形成され、若しくは芯部に金属粒子等を蒸着又は焼結することにより形成される。
誘電体酸化皮膜層は、典型的には、陽極箔の表層に形成される皮膜であり、陽極箔がアルミニウム製であれば多孔質構造領域を酸化させた酸化アルミニウム層である。この誘電体酸化皮膜層は、アジピン酸、ホウ酸又はリン酸等の水溶液中で電圧印加する化成処理により形成される。また、陰極箔の表層に必要に応じて化成処理により薄い誘電体酸化皮膜(1〜10V程度)を形成しても良く、さらに金属窒化物、金属炭化物、金属炭窒化物からなる層を蒸着法により形成したもの、あるいは表面に炭素を含有したものを用いても良い。
(3.セパレータ)
セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。
(4.固体電解質層)
固体電解質層は導電性ポリマーであり、導電性ポリマーはドーパントを取り込んでいる。ドーパントは導電性を発現する役割を担っている。導電性ポリマーとしては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせても良く、2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
ドーパントは、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、アクリル酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などのアニオン又はその誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらは単独モノマーの重合体であってもよく、2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
導電性ポリマーを分散させる溶媒としては、導電性ポリマーの粒子または粉末が分散するものであれば良く、例えばプロトン性溶媒が用いられ、具体的には水やエチレングリコールなどが挙げられる。エチレングリコールは、電解液の溶媒の1つであり、コンデンサ素子内に残存していても不純物とはならず、さらに製品の電気特性のうち、特にESRを低減できることが判明しているので好ましい。
コンデンサ素子への分散液の含浸時には、含浸を促進させるべく、必要に応じて減圧処理や加圧処理を行ってもよい。含浸工程は複数回繰り返しても良い。導電性ポリマーの分散液の溶媒は、必要に応じて乾燥により蒸散させて除去される。必要に応じて加熱乾燥や減圧乾燥を行ってもよい。また、導電性ポリマーの含浸性、電導度の向上のため、導電性ポリマーの分散液への各種添加剤の添加又はカチオン添加による中和を行っても良い。
(5.電解液)
電解液の含浸工程では必要に応じて減圧処理や加圧処理が行われる。この電解液には、塩素イオンに起因する腐食反応を抑制する酸(以下、特定酸という)が添加される。特定酸は、次の構造式(化1)〜(化5)で表される2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸であり、これらの1種以上が電解液に添加される。
Figure 2019049848
Figure 2019049848
Figure 2019049848
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カルボン酸基を基準に両オルト位に水酸基を有する2,6−ジヒドロキシ安息香酸と2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸は、多量の塩素イオンが混入していても腐食反応を抑制する効果が高いため特に好ましい。また、上記構造式(化1)〜(化5)で表される特定酸は、電解液全量に対して合計1.5wt%以上含有されることが好ましく、合計1.5wt%以上であると固体電解コンデンサの各種組成で幅広く耐電圧の低下を抑制することができる。
これら特定酸は、電解液中で主たるアニオン成分として振る舞うものであってもよいし、他の主たるアニオン成分と共に、アニオン成分としての役割も兼ねるものであってもよい。電解液中でアニオン成分となる酸は、有機酸、無機酸、又は有機酸と無機酸との複合化合物、若しくはこれらの塩がイオン解離して供給される。特定酸を含めて2種以上のアニオン成分が組み合わせられてもよい。
有機酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸等のカルボン酸、フェノール類、スルホン酸が挙げられる。また、無機酸としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、炭酸、ケイ酸等が挙げられる。有機酸と無機酸の複合化合物としては、ボロジサリチル酸、ボロジ蓚酸、ボロジグリコール酸、ボロジマロン酸、ボロジコハク酸、ボロジアジピン酸、ボロジアゼライン酸、ボロジ安息香酸、ボロジマレイン酸、ボロジ乳酸、ボロジリンゴ酸、ボロジ酒石酸、ボロジクエン酸、ボロジフタル酸、ボロジ(2−ヒドロキシ)イソ酪酸、ボロジレゾルシン酸、ボロジメチルサリチル酸、ボロジナフトエ酸、ボロジマンデル酸及びボロジ(3−ヒドロキシ)プロピオン酸等が挙げられる。
更に、特定酸は電解液の特性を調整する添加剤として添加されてもよい。即ち、特定酸が電解液中に存在していればよい。また、特定酸とは別の添加剤を電解液に添加してもよい。別の添加剤としては、ポリエチレングリコール、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ホウ酸エステル、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、パラニトロベンジルアルコールなど)、リン酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、上記添加剤の中でも、耐電圧向上を目的としてポリエチレングリコールやホウ酸と多糖類との錯化合物を添加したり、コンデンサ中のガス吸収を目的としてニトロ化合物を添加したり、耐湿性の向上を目的としてリン酸エステルを添加することが好ましい。
アニオン成分として、特定酸と共に電解液に添加される他の酸としては一般的な酸が用いられ、例えば前述した有機酸、無機酸、又は有機酸と無機酸との複合化合物が挙げられる。そのなかでも安息香酸、サリチル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸及びボロジサリチル酸が好ましい。
また、特定酸が電解液中でカチオン成分になる塩基と等モルを超える濃度が添加され、又は特定酸と電解液中の他の酸とを合計して当該塩基と等モルを超える濃度が添加され、酸過剰の電解液としてもよい。理由は不明であるが、酸過剰の電解液とすると、電解液中に添加される特定酸が少量であっても、耐塩素イオン性能が高く、塩素イオンによる耐電圧の低下を抑制することができる。酸過剰の電解液であると、特定酸は電解液全量に対して合計0.1wt%以上としても十分な耐塩素イオン性能を発揮するとの知見が得られた。好ましくは、特定酸は、酸過剰の電解液であると、電解液全量に対して合計0.3wt%以上であり、特に好ましくは合計0.5wt%以上であり、特定酸の添加量の増加に伴い耐塩素イオン性が向上する。
更に、カルボン酸基を基準に両オルト位に水酸基を有する2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方を添加するのであれば、酸過剰でなくとも、これらの特定酸の添加量を電解液全量に対して合計0.1wt%以上としても耐塩素イオン性を発揮する。更に、アニオン成分となる他の酸としてアゼライン酸を用い、特定酸として2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方を用いる場合には、これら特定酸の添加量を合計0.05wt%以上といった極微量とすることができ、十分な耐塩素イオン性を発揮する。
その他、電解液中でアニオン成分とカチオン成分を供給する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、四級化アミジニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アミン塩のアミンとしては、一級アミン、二級アミン、三級アミンが挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなど、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジブチルアミンなど、三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられる。また、四級アンモニウム塩の四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。四級化アミジニウム塩としては、エチルジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルイミダゾリニウムなどが挙げられる。これらカチオン成分の少なくとも1種以上が電解液に添加される。
電解液の溶媒としてエチレングリコールを含む。エチレングリコールを溶媒とする電解液は、γ−ブチロラクトンを溶媒とする電解液よりも耐塩素イオン性能が低いことがわかっている。エチレングリコールを溶媒とする場合、電解液の水分率を上げずに、特定酸によって耐塩素イオン性能を向上させ、塩素イオンによる腐食反応を抑制することができる。また低水分率を達成できるためにリフロー特性の悪化及び固体電解質層の劣化を抑制する効果をもたらす。更に、エチレングリコールによる初期の等価直列抵抗(ESR)の低下と経時的な静電容量の劣化(ΔCap)の抑制を図ることができる。
もちろん、特定酸による塩素イオンの腐食反応抑制効果はエチレングリコール以外の溶媒であっても良好に作用する。このような他の溶媒としてはプロトン性の有機極性溶媒又は非プロトン性の有機極性溶媒であり、単独又は2種類以上が組み合わせられる。
プロトン性の有機極性溶媒として、一価アルコール類、多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類などが用いられてもよい。一価アルコール類としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類としては、エチレングリコールの他、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等が挙げられる。
非プロトン性の有機極性溶媒として、スルホン系、アミド系、ラクトン類、環状アミド系、ニトリル系、オキシド系などが用いられてもよい。スルホン系としては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等が挙げられる。アミド系としては、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N‐ジエチルホルムアミド、N‐メチルアセトアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐エチルアセトアミド、N,N‐ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。ラクトン類、環状アミド系としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、N‐メチル‐2‐ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等が挙げられる。ニトリル系としては、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等が挙げられる。オキシド系としてはジメチルスルホキシド等が挙げられる。
以上の構成の電解液の水分率は0.01wt%以上5wt%以下が好ましい。水分率が0.01wt%未満であると酸化皮膜の修復性が悪化し、漏れ電流が大きくなるおそれがある。また、水分率が5wt%を超えると、リフロー時に水が気化し、電解コンデンサが膨れるおそれがある。尚、電解液の水分は、電解液に意図して含有させた水分と、製造環境又は製造方法によって意図せずに含有した水分の両方が含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明の固体電解コンデンサをさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(6.各種特定酸添加による耐電圧特性)
下記表1に示す実施例1乃至5の電解液と比較例1乃至3の電解液を調整した。各電解液の比抵抗(Rs)も表1に示す。
Figure 2019049848
表1に示すように、実施例1の電解液には上記構造式(化1)で示される2,6−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。実施例2の電解液には上記構造式(化2)で示される2,4−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。実施例3の電解液には上記構造式(化3)で示される3,5−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。実施例4の電解液には上記構造式(化4)で示される2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸が添加された。実施例5の電解液には上記構造式(化5)で示される3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸が添加された。
比較例1の電解液には、実施例1乃至3の構造異性体であるが、水酸基の位置が異なる下記化学式(化6)で表される2,5−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。また、比較例2の電解液には、実施例1乃至3の構造異性体であるが、水酸基の位置が異なる下記化学式(化7)で表される3,4−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。また、比較例3の電解液には、実施例1乃至3の構造異性体であるが、水酸基の位置が異なる下記化学式(化8)で表される2,3−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。
Figure 2019049848
Figure 2019049848
Figure 2019049848
実施例1乃至5と比較例1乃至3の電解液の全ては、溶媒としてエチレングリコールを含む。これら電解液の全てはトリエチルアミンを含む。実施例1乃至5の電解液と比較例1乃至3の電解液には、表1中の酸を溶質のアニオン成分として含む。実施例1乃至5の電解液に添加した特定酸、並びに比較例1乃至3の電解液に添加した酸と、トリエチルアミンとは等モルである。実施例1乃至5の電解液に添加した特定酸、並びに比較例1乃至3の電解液に添加した酸も等モルである。
更に、実施例1乃至5と比較例1乃至3の電解液の全てには、リン酸エステルとp−ニトロ安息香酸を電解液全量に対して合計3.5wt%添加されている。電解液中の水分率は実施例1乃至5と比較例1乃至3の電解液において0.5wt%となるように調整した。
この実施例1乃至5の電解液と比較例1乃至3の電解液に対して、25℃でアルミニウム箔を電極箔として10mA/cmの定電流を印加した。そして電圧の経時的な上昇カーブを調べ、電圧の上昇カーブにおいて初めにスパイク又はシンチレーションが観測された電圧を耐電圧とした。添加する塩素イオンの量を0(未添加),2,4,6,8,10ppmと変化させ、測定を行った。その結果を下記表2に示す。表2では、塩素イオン未添加の際の耐電圧を基準値とし、各量の塩素イオンを添加した際の耐電圧を基準値に対する百分率で表した。
Figure 2019049848
表2に示すように、実施例1乃至5の電解液は塩素イオン量が増加しても、比較例1乃至3の電解液と比べて良好な耐電圧の範囲に留まった。特に、2,6−ジヒドロキシ安息香酸と2,4,6−ジヒドロキシ安息香酸を添加した実施例1及び実施例4の電解液の耐電圧は、塩素イオン量が増加してもほとんど落ち込むことがなかった。以上の結果より、実施例1乃至5は耐塩素イオン性が高く、腐食反応が抑制されていることが確認された。
(7.特定酸及び混合溶媒を含む電解液の耐電圧特性)
下記表3に示す実施例6及び実施例7の電解液を調整した。
Figure 2019049848
表3に示すように、実施例6の電解液には溶媒として等量のエチレングリコールとγ−ブチロラクトンの混合液を用いた。また実施例7の電解液には溶媒として、エチレングリコールとγ−ブチロラクトンとスルホランの混合液を用いた。γ−ブチロラクトンとスルホランの合計は、エチレングリコールと等量となっている。実施例6及び7の電解液は、特定酸として2,6−ジヒドロキシ安息香酸を用いる等、その他の組成及び水分率は実施例1の電解液と同じである。この実施例6及び7の電解液に対して、塩素イオン量との関係における耐電圧特性の試験を、実施例1乃至5及び比較例1乃至3と同様に行い、実施例1の電解液の結果と比較した。その結果を下記表4に示す。表4では、塩素イオンを未添加の際の耐電圧を基準値とし、各量の塩素イオンを添加した際の耐電圧を基準値に対する百分率で表した。
Figure 2019049848
表4に示すように、溶媒をエチレングリコールとγ−ブチロラクトンの等量の混合液としても、溶媒をエチレングリコールとγ−ブチロラクトンとスルホランの混合液としても、特定酸は有効に作用し、塩素イオン量が増加しても腐食反応を抑制することが確認された。
(8.特定酸の添加量に対する耐電圧特性)
下記表5に示す実施例8乃至11の電解液を調整した。
Figure 2019049848
表5に示すように、実施例8乃至11の電解液には上記構造式(化1)で示される2,6−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。但し、実施例8乃至11では2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が異なっている。その他、溶媒としてエチレングリコールを含むこと、トリエチルアミンを含むこと、2,6−ジヒドロキシ安息香酸とトリエチルアミンとは等モル添加されていること、リン酸エステルとp−ニトロ安息香酸を電解液全量に対して合計3.5wt%添加されていること、実施例8乃至11の電解液はこれらの点について共通である。
この実施例8乃至11の電解液に対して、塩素イオン量との関係における耐電圧特性の試験を、実施例1乃至5及び比較例1乃至3と同様に行った。ただし、実施例10及び11は塩素イオン添加量を15,20,30ppmとした試験も行った。その結果を下記表6に示す。表6では、塩素イオンを未添加の際の耐電圧を基準値とし、各量の塩素イオンを添加した際の耐電圧を基準値に対する百分率で表した。
Figure 2019049848
表6に示すように、特定酸が1.5wt%以上添加された実施例9乃至11の電解液に関し、耐電圧は塩素イオン量が増加してもほとんど落ち込むことがなかった。即ち、特定酸が電解液全体に対して1.5wt%以上含まれていると、耐塩素イオン性能は更に飛躍的に向上することが確認できた。以上の結果より、実施例8乃至11は耐塩素イオン性が高く、腐食反応を抑制していることが確認された。
(9−1.異なる酸を組み合わせた耐電圧特性1)
下記表5に示す実施例12乃至14の電解液を調整した。
Figure 2019049848
表7に示すように、実施例12乃至14の電解液には、上記構造式(化1)で示される2,6−ジヒドロキシ安息香酸に加えて、安息香酸が溶質のアニオン成分として添加された。また実施例12乃至14では2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が異なっている。実施例12乃至14において、2,6−ジヒドロキシ安息香酸と安息香酸とは等モルが添加され、2,6−ジヒドロキシ安息香酸と安息香酸の合計モル量に対して、トリエチルアミンは等モル量添加されている。その他、リン酸エステルとp−ニトロ安息香酸を電解液全量に対して合計3.5wt%添加されている。水分率は0.5wt%となるように調整されている。
この実施例11乃至14の電解液に対して、塩素イオン量との関係における耐電圧特性の試験を、実施例1乃至5及び比較例1乃至3と同様に行った。ただし、実施例12乃至14は塩素イオン添加量を15,20,30ppmとした試験も行った。その結果を下記表8に示す。表8では、塩素イオンを未添加の際の耐電圧を基準値とし、各量の塩素イオンを添加した際の耐電圧を基準値に対する百分率で表した。
Figure 2019049848
表8に示すように、特定酸は安息香酸と共に用いても、塩素イオンに対する耐電圧維持の効果は作用することが確認された。また、特定酸が1.5wt%以上添加された実施例12乃至14の電解液に関し、他の酸が加わっても、耐電圧は塩素イオン量が増加してもほとんど落ち込むことがなかった。即ち、特定酸が電解液全体に対して1.5wt%以上含まれていると、他の酸の存在に関わらず、耐塩素イオン性能は更に飛躍的に向上することが確認できた。以上の結果より、実施例12乃至14は耐塩素イオン性が高く、腐食反応が抑制されていることが確認された。
(9−2.異なる酸を組み合わせた耐電圧特性2)
下記表9に示す実施例15乃至18の電解液を調整した。
Figure 2019049848
表9に示すように、実施例15乃至18の電解液は、2,6−ジヒドロキシ安息香酸にアゼライン酸を等モル加えた点で、実施例11乃至14の電解液と異なる。他のカチオン成分、添加剤、これらの添加量及び水分率は、実施例11乃至14の電解液と同じである。
この実施例15乃至18の電解液に対して、塩素イオン量との関係における耐電圧特性の試験を、実施例1乃至5及び比較例1乃至3と同様に行った。ただし、実施例16乃至18は塩素イオン添加量を15,20,30ppmとした試験も行った。その結果を下記表10に示す。表10では、塩素イオンを未添加の際の耐電圧を基準値とし、各量の塩素イオンを添加した際の耐電圧を基準値に対する百分率で表した。
Figure 2019049848
表10に示すように、特定酸は他の酸であるアゼライン酸と共に用いても、塩素イオンに対する耐電圧維持の効果は作用することが確認された。また、特定酸が1.5wt%以上添加された実施例16乃至18の電解液に関し、他の酸が加わっても、耐電圧は塩素イオン量が増加してもほとんど落ち込むことがなかった。即ち、特定酸が電解液全体に対して1.5wt%以上含まれていると、他の酸の存在に関わらず、耐塩素イオン性能は更に飛躍的に向上することが確認できた。以上の結果より、実施例15乃至18は耐塩素イオン性が高く、腐食反応を抑制することが確認された。
(10.酸過剰状態での特定酸による耐電圧特性)
下記表11に示す実施例19乃至23の電解液と比較例4及び5の電解液を調整した。
Figure 2019049848
表11に示すように、実施例19乃至23の電解液並びに比較例4及び5の電解液には、溶質として安息香酸アンモニウムを添加した。更に、実施例19乃至23の電解液には、上記構造式(化1)で示される2,6−ジヒドロキシ安息香酸を特定酸として加えた。安息香酸アンモニウムは、アニオン成分とカチオン成分が1:1であるのに対し、さらに2,6−ジヒドロキシ安息香酸を添加することにより、実施例19乃至23は、アニオン成分過剰即ち酸過剰の電解液となっている。
更に、実施例19乃至実施例23は、酸過剰の程度が異なっている。即ち、実施例19の電解液は、電解液全量に対して0.1wt%の2,6−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。実施例20の電解液は、電解液全量に対して0.3wt%の2,6−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。実施例22の電解液は、電解液全量に対して1wt%の2,6−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。実施例23の電解液は、電解液全量に対して3wt%の2,6−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。なお、比較例5は比較例4よりも安息香酸アンモニウム量を増加させた。
その他、実施例19乃至実施例23の電解液並びに比較例4及び比較例5の電解液には、リン酸エステルとp−ニトロ安息香酸を電解液全量に対して合計3.5wt%添加されている。
この実施例19乃至23の電解液並びに比較例4及び比較例5の電解液に対して、塩素イオン量との関係における耐電圧特性の試験を、実施例1乃至5及び比較例1乃至3と同様に行った。その結果を下記表12に示す。表12では、塩素イオンを未添加の際の耐電圧を基準値とし、各量の塩素イオンを添加した際の耐電圧を基準値に対する百分率で表した。
Figure 2019049848
表12に示すように、電解液に特定酸を含有させ、また電解液を酸過剰しても塩素イオンに対する腐食抑制効果は作用することが確認された。更に、実施例19乃至23の電解液は、電解液全体に対して1.5wt%未満の特定酸が添加されているが、電解液が酸過剰であると、少量の特定酸の添加であっても、耐電圧は塩素イオン量が増加してもほとんど落ち込まないことが確認された。特定酸の添加量は好ましくは0.1wt%以上、より好ましくは0.3wt%以上、特に好ましくは0.5wt%以上であり、特定酸の添加量の増加に伴い耐塩素イオン性が向上し、腐食反応の抑制効果が向上していることが確認できた。
(11.酸塩基等モルでの耐電圧特性)
下記表13に示す実施例24乃至31並びに比較例6の電解液を調整した。
Figure 2019049848
表13に示すように、実施例24乃至31の電解液には上記構造式(化1)で示される2,6−ジヒドロキシ安息香酸が添加された。また、アゼライン酸が溶質のアニオン成分として添加された。但し、実施例24乃至31は、2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が異なる。実施例25の電解液では、2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が電解液全量に対して0.1wt%であり、実施例29の電解液では、2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が電解液全量に対して1.3wt%であり、実施例25乃至実施例29の電解液までは、2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が電解液全量に対して0.1wt%以上1.5wt%未満となっている。また、実施例24の電解液は、2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が電解液全量に対して0.05wt%という極微量である点が異なる。
カチオン成分としては、実施例24乃至31の電解液に2,6−ジヒドロキシ安息香酸とアゼライン酸の合計モル量と等モルのアンモニアを添加した。その他、実施例24乃至実施例31の電解液には、リン酸エステルとp−ニトロ安息香酸を電解液全量に対して合計3.5wt%添加されている。尚、比較例6の電解液は、特定酸を添加しなかった点を除き、実施例24乃至31と溶媒及び添加物の種類は同じであり、酸塩基比も等モルである。
この実施例24乃至31の電解液並びに比較例6に対して、塩素イオン量との関係における耐電圧特性の試験を、実施例1乃至5及び比較例1乃至3と同様に行った。その結果を下記表14に示す。表14では、塩素イオンを未添加の際の耐電圧を基準値とし、各量の塩素イオンを添加した際の耐電圧を基準値に対する百分率で表した。
Figure 2019049848
表14に示すように、実施例29及び31の電解液は、全塩素イオン量において比較例6を上回る耐電圧を有するが、2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が0.1wt%以上である実施例25乃至29の電解液についても比較例6を上回る耐電圧特性を有することが確認された。即ち、カルボン酸基を基準に両オルト位に水酸基を有する2,6−ジヒドロキシ安息香酸と2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸を特定酸として選択することで、電解液中の酸塩基が酸過剰でなく等モルであっても、その特定酸の添加量が0.1wt%以上であれば、特定酸の添加量の増加に伴い耐塩素イオン性が向上し、腐食反応の抑制効果が向上していることが確認された。
更に、実施例24の電解液は、2,6−ジヒドロキシ安息香酸の添加量が0.05wt%であっても、比較例1乃至6の電解液の耐電圧特性を上回っていた。即ち、カルボン酸基を基準に両オルト位に水酸基を有する2,6−ジヒドロキシ安息香酸と2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸を特定酸として選択し、またアゼライン酸を添加することで、電解液中の酸塩基が酸過剰でなく等モルであっても、その特定酸の添加量が0.05wt%という極微量以上であれば、特定酸の添加量の増加に伴い耐塩素イオン性が向上し、腐食反応の抑制効果が向上していることが確認された。

Claims (11)

  1. セパレータを介して陽極箔と陰極箔とを対向させて成るコンデンサ素子と、
    導電性ポリマーから成り、前記コンデンサ素子内に形成された固体電解質層と、
    前記固体電解質層が形成された前記コンデンサ素子内の空隙部に充填された電解液と、
    を備え、
    前記電解液は、
    2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸と、
    エチレングリコールと、
    を含むこと、
    を特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記電解液は、
    2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸とは異なる酸を更に含むこと、
    を特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記異なる酸は、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸又はボロジサリチル酸であること、
    を特徴とする請求項2記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記電解液は、塩基を含み、
    前記2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸のモル濃度は、前記塩基のモル濃度よりも高いこと、
    を特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記電解液は、塩基を含み、
    前記2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸と前記異なる酸との合計モル濃度は、前記塩基のモル濃度よりも高いこと、
    を特徴とする請求項2又は3記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸及び3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸から選択される1種以上の酸は、前記電解液全量に対して合計0.1wt%以上含むこと、
    と特徴とする請求項4又は5記載の固体電解コンデンサ。
  7. 前記電解液は、前記2,6−ジヒドロキシ安息香酸、前記2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方を含み、
    前記2,6−ジヒドロキシ安息香酸、前記2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方は、前記電解液全量に対して合計0.1wt%以上含むこと、
    を特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  8. 前記電解液は、前記2,6−ジヒドロキシ安息香酸、前記2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方を含み、
    前記異なる酸は、アゼライン酸であり、
    前記2,6−ジヒドロキシ安息香酸、前記2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸又は両方は、前記電解液全量に対して合計0.05wt%以上含むこと、
    を特徴とする請求項2記載の固体電解コンデンサ。
  9. 前記電解液の水分率は、0.01wt%以上5wt%以下であること、
    を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
  10. 前記電解液は、さらにγ−ブチロラクトンを含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
  11. 前記電解液は、さらにスルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランから選ばれる少なくとも1種の溶媒を含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
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