以下に、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。
本技術は、ぶれを補正するぶれ補正装置を制御する制御装置に適用できるため、ここでは、ぶれ補正装置を制御する制御装置を例に挙げて説明する。またぶれ補正装置を含む撮像装置についても、適宜説明を加える。以下に示した実施の形態は、本技術を適用した制御装置を含む撮像装置を交換レンズに適用し、ぶれ補正装置をこの交換レンズに設けられたぶれ補正装置に適用したものである。
なお、本技術が適用される適用範囲は、交換レンズ及び交換レンズに設けられたぶれ補正装置に限られることはない。本技術は例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯端末等の各種の機器に組み込まれた撮像装置又はこれらの撮像装置に設けられたぶれ補正装置に広く適用することができる。
以下の説明にあっては、カメラの装置本体に交換レンズが装着された状態において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方になり、撮影者側が後方になる。
なお、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
また、以下に示すレンズは、単一のレンズによって構成されているもの及び複数のレンズによりレンズ群として構成されているものの両者を含む意味である。
<撮像装置の全体構成>
撮像装置(交換レンズ)1は鏡筒2と鏡筒2の内部に配置された所要の各部とを有している(図1参照)。鏡筒2の内部には少なくとも一つのレンズ群3、3、・・・が光軸方向へ移動可能又は固定された状態で配置されている。レンズ群3は単一又は複数のレンズを有している。鏡筒2の内部には開口絞り等のレンズ群3、3、・・・以外の図示しない他の光学要素も配置されている。
レンズ群3、3、・・・のうちの一つのレンズ群3又はその一部は光軸に直交する方向へ移動されるシフトレンズ群3aとして設けられている。なお、レンズ群3は単一又は複数のレンズを有する複数の副レンズ群、例えば、前群と後群によって構成されていてもよく、この場合には副レンズ群がシフトレンズ群3aとして設けられていてもよい。
交換レンズである撮像装置1は、スチルカメラの図示しない装置本体に着脱可能とされ、装置本体に取り付けられて使用される。装置本体には電源釦やズーム摘子等の操作部や画面が表示される表示部等が設けられている。
なお、本技術においては、装置本体に撮像装置1が装着されることにより全体として撮像装置が構成されてもよく、また、交換レンズが用いられないタイプの装置本体のみが撮像装置として構成されていてもよい。但し、交換レンズが用いられないタイプの装置本体のみが撮像装置として構成されている場合には、装置本体にレンズ群3、3、・・・が配置される。
撮像装置1は、CPU(Central Processing Unit)4とドライバー回路5と駆動モーター6と撮像素子7と映像分離回路8を有している(図2参照)。
なお、CPU4とドライバー回路5と駆動モーター6と撮像素子7と映像分離回路8は、装置本体に撮像装置1が装着されることにより全体として撮像装置が構成される場合や交換レンズが用いられないタイプの装置本体のみが撮像装置として構成されている場合には、装置本体に設けられている。
CPU4は撮像装置1の全体を統括制御し、レンズ群3、3、・・・によって取り込まれ撮像素子7によって光電変換された像を映像分離回路8へ送出する。
CPU4は、フォーカシング操作等の外部からの操作信号の入力に基づいて種々の処理を実行する。例えば、フォーカシング操作信号が入力された場合に、入力されたフォーカシング操作信号に応じてドライバー回路5を介して駆動モーター6を動作させる合焦処理を行う。
合焦処理によりフォーカスレンズ群として設けられたレンズ群3が光軸方向へ移動される。このときCPU4によってフォーカスレンズ群の位置情報がフィードバックされ、次に駆動モーター6を介してフォーカスレンズ群が移動されるときの参照情報が記憶される。また、CPU4は、例えば、ズーミング操作信号が入力された場合に、入力されたズーミング操作信号に応じてドライバー回路5を介して駆動モーター6を動作させる変倍処理を行う。
また、CPU4は、ぶれ補正を行うための後述する位置検出部から出力される信号に基づいてドライバー回路5に駆動信号を送出する。ドライバー回路5は入力された駆動信号に基づいて後述する第1のアクチュエータと第2のアクチュエータを動作させる。第1のアクチュエータと第2のアクチュエータの動作によってぶれ補正が行われる。
撮像素子7としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の光電変換素子が用いられている。
映像分離回路8は映像信号を図示しない映像処理回路に送出する。映像処理回路においては、入力された映像信号をその後の処理に適した各信号形式に変換し、表示部に対する映像表示処理や記録媒体に対する記録処理や通信インタフェースを介したデータ転送処理等の各処理を行う。
鏡筒2の内部にはシフトレンズ群3aを移動させるぶれ補正装置9が配置されている(図1及び図2参照)。従って、シフトレンズ群3aが光軸に直交する方向へ移動されることによりぶれ補正が行われる。
なお、上記には、ぶれ補正装置9によってシフトレンズ群3aが光軸に直交する方向へ移動されることによりぶれ補正が行われる例を示したが、シフトレンズ群3aは光軸に直交する方向へ移動されず撮像素子7がぶれ補正装置9によって移動される構成にされてもよい。この場合には撮像素子7が光軸に直交する方向へ移動されることによりぶれ補正が行われる。
<ぶれ補正装置の構成>
以下に、ぶれ補正装置9の構成について説明する(図3乃至図16参照)。
ぶれ補正装置9は固定された状態で配置されたベース体10とベース体10に対して第1の移動方向である左右方向へ移動可能にされた第1の可動体11と第1の可動体11に対して第2の移動方向である上下方向へ移動可能にされた第2の可動体12とを有している(図3乃至図5参照)。
ベース体10は前方に開口するケース状に形成された配置部13と配置部13から左右に突出された被支持突部14、14とを有している。
配置部13はベース面部15と上面部16と下面部17と側面部18、18を有している(図6参照)。配置部13の内部空間は配置空間13aとして形成されている。ベース面部15は前後方向を向き、上面部16はベース面部15の上端部から前方に突出され、下面部17はベース面部15の下端部から前方に突出され、側面部18、18はそれぞれベース面部15の左右両端部から前方に突出されている。
ベース面部15は矩形の板状に形成されている。ベース面部15には前後に貫通された円形状の光透過孔15aが形成されている。ベース面部15の上端部における左右両端部には前後に貫通された配置孔15b、15bが形成されている。
ベース面部15には前方に開口された配置凹部15c、15cが光透過孔15aの左右に離隔して形成されている。ベース面部15には前方に開口された支持凹部15dが光透過孔15aの下方に形成されている。
配置部13には支持突部19、19、20、20が設けられている。支持突部19、19は上面部16の左右の一方の端部と一方の側面部18の上端部とに亘る位置から内方に突出され、前後に離隔して位置されている。
支持突部19には前後に貫通された支持孔19aが形成されている。支持突部20、20は上面部16の左右の他方の端部と他方の側面部18の上端部とに亘る位置から内方に突出され、前後に離隔して位置されている。支持突部20には前後に貫通された支持孔20aが形成されている。
下面部17には上方に突出されたバネ支持突部17a、17aが左右に離隔して設けられている。
被支持突部14には位置決めピン14aと挿通孔14bが上下に離隔して位置されている。ベース体10は鏡筒2又は鏡筒2の内部に配置された図示しない取付部材に被支持突部14、14が取り付けられる。このときベース体10は位置決めピン14a、14aによって鏡筒2又は取付部材に対して位置決めされ、挿通孔14b、14bに挿通される図示しない取付ネジによって鏡筒2又は取付部材に取り付けられる。
ベース体10の配置凹部15c、15cにはそれぞれ第1のガイド21、21が配置されている。第1のガイド21は円筒状又は円柱状に形成され、軸方向が左右方向に一致する状態で配置凹部15cに配置されている。第1のガイド21はベース面部15に対して移動不能にされている。
ベース体10の支持凹部15dには第1の転動部材22が支持されている。第1の転動部材22は円筒状又は円柱状に形成され、軸方向が上下方向に一致する状態で支持凹部15dに支持され、ベース体10に対して軸回り方向へ回転可能にされている。
なお、ベース体10における光透過孔15aの上下に支持凹部15d、15dを形成し、支持凹部15d、15dにそれぞれ第1の転動部材22、22が支持されていてもよい(図3の2点鎖線での囲み図A参照)。
第1の可動体11は略円環状に形成され、内側の空間が透過孔11aとして形成されている(図7及び図8参照)。
第1の可動体11の後面23には後方に開口された被ガイド溝部23a、23aが透過孔11aの左右に離隔して形成されている(図8参照)。被ガイド溝部23a、23aは左右に延びる形状に形成されている。第1の可動体11の後面23には後方に開口された支持凹部23bが透過孔11aの下方に形成されている。
第1の可動体11の前面24には前方に開口された配置凹部24a、24aが透過孔11aの外側において透過孔11aの周方向に離隔して形成されている(図7参照)。第1の可動体11の前面24には前方に開口された支持凹部24bが透過孔11aの外側に形成されている。配置凹部24a、24aと支持凹部24bは順に周方向に離隔して形成されている。
第1の可動体11の被ガイド溝部23a、23aにはそれぞれ第1のガイド21、21が配置され(図9参照)、第1の可動体11は被ガイド溝部23a、23aがそれぞれ第1のガイド21、21に案内されることによりベース体10に対して左右方向(第1の移動方向)へ移動可能にされている。従って、第1の可動体11は第1のガイド21、21を介してベース体10のベース面部15に支持された状態で、配置部13の配置空間13aに配置される。
第1の可動体11の支持凹部23bには第1の転動部材22が支持され、第1の転動部材22がベース体10と第1の可動体11の間で転動されることにより第1の可動体11がベース体10に対して左右方向へ円滑に移動される。
なお、第1の可動体11における透過孔11aの上下に支持凹部23b、23bを形成し、支持凹部23b、23bにそれぞれ第1の転動部材22、22が支持されていてもよい(図4の2点鎖線での囲み図D参照)。
第1の可動体11の配置凹部24a、24aにはそれぞれ第2のガイド25、25が配置されている(図7参照)。第2のガイド25は円筒状又は円柱状に形成され、軸方向が上下方向に一致する状態で配置凹部24aに配置されている。第2のガイド25は第1の可動体11に対して移動不能にされている。
第1の可動体11の支持凹部24bには第2の転動部材26が支持されている。第2の転動部材26は円筒状又は円柱状に形成され、軸方向が左右方向に一致する状態で支持凹部24bに支持され、第1の可動体11に対して軸回り方向へ回転可能にされている。
なお、第1の可動体11における透過孔11aの周囲に支持凹部24b、24bを形成し、支持凹部24b、24bにそれぞれ第2の転動部材26、27が支持されていてもよい(図3の2点鎖線での囲み図B及び囲み図C参照)。第2の転動部材26は円筒状又は円柱状に形成され、軸方向が左右方向に一致する状態で支持凹部24bに支持され、第1の可動体11に対して軸回り方向へ回転可能にされている。
第2の転動部材27は、例えば、球状に形成され、第1の可動体11に対して支持凹部24bの形状に沿って第2の転動部材26と同じ方向へ回転可能にされる。また、双方の支持凹部24b、24bにそれぞれ第2の転動部材26、26が支持されていてもよく、双方の支持凹部24b、24bにそれぞれ第2の転動部材27、27が支持されていてもよい。
第2の可動体12は環状に形成された基面部28と基面部28の外周部から前方に突出された周面部29とを有している(図10及び図11参照)。第2の可動体12は外形状が第1の可動体11の外形状より大きくされている。基面部28における内側の空間は透孔28aとして形成されている。
第2の可動体12には透孔28aを覆う状態でシフトレンズ群3aが保持されている。シフトレンズ群3aを含むレンズ群3、3、・・・によって取り込まれた撮影光は撮像素子7に入射される。このとき撮影光は第2の可動体12の透孔28aと第1の可動体11の透過孔11aとベース体10の光透過孔15aとを順に透過されて撮像素子7に入射される。
基面部28の後面30には後方に開口された被ガイド溝部30a、30aが透孔28aの外側において透孔28aの周方向に離隔して形成されている(図11参照)。被ガイド溝部30a、30aは上下に延びる形状に形成されている。基面部28の後面30には後方に開口された支持凹部30bが透孔28aの外側に形成されている。
周面部29の上端寄りの部分における左右両端部はそれぞれ傾斜面部31、32として設けられている(図10及び図11参照)。傾斜面部31、32はそれぞれ左右方向において互いに離隔する方向へ行くに従って下方へ変位するように傾斜されている。
周面部29には傾斜面部31、32の外面から突出された受け突部33、34が設けられている。受け突部33には第1の被作用面33aが形成され、受け突部34には第2の被作用面34aが形成されている。
左側に位置された第1の被作用面33aは左斜め上方かつ前斜め上方を向くように傾斜され、右側に位置された第2の被作用面34aは右斜め上方をかつ前斜め上方を向くように傾斜されている。第1の被作用面33aと第2の被作用面34aの水平面に対する左右方向及び上下方向の傾斜角度は同じにされている。
周面部29の前端部には前方に突出されたバネ支持突部29a、29a、29aが周方向に離隔して設けられている。周面部29の前端部には前方に突出されたストッパー突部29b、29b、・・・が周方向に離隔して設けられている。
第2の可動体12の被ガイド溝部30a、30aにはそれぞれ第2のガイド25、25が配置され(図12参照)、第2の可動体12は被ガイド溝部30a、30aがそれぞれ第2のガイド25、25に案内されることにより第1の可動体11に対して上下方向(第2の移動方向)へ移動可能にされている。従って、第2の可動体12は第2のガイド25、25を介して第1の可動体11に支持され、配置部13の配置空間13aに配置される。
第2の可動体12の支持凹部30bには第2の転動部材26が支持され、第2の転動部材26が第1の可動体11と第2の可動体12の間で転動されることにより第2の可動体12の第1の可動体11に対する移動時に摩擦が少なく第2の可動体12が第1の可動体11に対して上下方向へ円滑に移動される。
第2の可動体12は第1の可動体11に対して上下方向へ移動され、第1の可動体11がベース体10に対して左右方向へ移動されるため、第1の可動体11に支持された第2の可動体12は第1の可動体11と一体になってベース体10に対して左右方向へ移動される。なお、第2の可動体12における透孔28aの周囲に支持凹部30b、30bを形成し、支持凹部30b、30bにそれぞれ第2の転動部材26、27が支持されていてもよい(図4の2点鎖線での囲み図E参照)。
上記したように、ぶれ補正装置9には、第1の可動体11を第1の移動方向へ案内する第1のガイド21、21と、第2の可動体12を第2の移動方向へ案内する第2のガイド25、25とが設けられている。
従って、第1のガイド21、21によって第1の可動体11がベース体10に対して案内されると共に第2のガイド25、25によって第2の可動体12が第1の可動体11に対して案内されるため、第1の可動体11と第2の可動体12をそれぞれ第1の移動方向と第2の移動方向へ確実に移動させることができる。
なお、上記には、第1のガイド21、21がベース体10とは別部材として設けられ、第2のガイド25、25が第1の可動体11とは別部材として設けられた例を示したが、第1のガイド21、21が第1のガイド21A、21Aとしてベース体10に一体に形成され、第2のガイド25、25が第2のガイド25A、25Aとして第1の可動体11に一体に形成されてもよい(図13参照)。
第1のガイド21、21が第1のガイド21A、21Aとしてベース体10に一体に形成され、第2のガイド25、25が第2のガイド25A、25Aとして第1の可動体11に一体に形成されることにより、第1のガイド21、21と第2のガイド25、25をベース体10と第1の可動体11とは別部材で形成する必要がなく、部品点数の削減を図った上で第1の可動体11と第2の可動体12を、それぞれ第1の移動方向と第2の移動方向へ確実に移動させることができる。
なお、第1のガイド21、21及び第2のガイド25、25に代え、ベース体10と第1の可動体11の間に第1の可動体11に対して移動不能な第1の被ガイド部材を設け、第1の可動体11と第2の可動体12の間に第2の可動体12に対して移動不能な第2の被ガイド部材を設けてもよい。
この場合、ベース体10に第1のガイド溝を形成し、第1の可動体11に第2のガイド溝を形成し、第1のガイド溝によって第1の被ガイド部材を介して第1の可動体11が案内され、第2のガイド溝によって第2の被ガイド部材を介して第2の可動体12が案内される構成にすることも可能である。
また、この場合に、第1の被ガイド部材を第1の可動体11に一体に形成し、第2の被ガイド部材を第2の可動体12に一体に形成してもよい。
また、ベース体10と第1の可動体11の間に第1の可動体11が第1の移動方向へ移動されるときに転動される第1の転動部材22が配置され、第1の可動体11と第2の可動体12の間に第2の可動体12が第2の移動方向へ移動されるときに転動される第2の転動部材26が配置されている。
従って、第1の可動体11が第1の移動方向へ移動されるときに第1の転動部材22が転動されると共に第2の可動体12が第2の移動方向へ移動されるときに第2の転動部材26が転動されるため、第1の可動体11と第2の可動体12をそれぞれ第1の移動方向と第2の移動方向へ円滑に移動させることができる。
第2の可動体12における周面部29の下面とベース体10における下面部17の上面との間には付勢部として機能する押付バネ35、35が配置されている(図6及び図12参照)。押付バネ35、35は、例えば、圧縮コイルバネであり、下端部がベース体10のバネ支持突部17a、17aに支持されている。第2の可動体12は押付バネ35、35によって上方に付勢されている。なお、1つの押付バネ35が設けられていてもよい。
ベース体10の支持突部19、19には第1の駆動体36が取り付けられている(図3及び図14参照)。第1の駆動体36は第1のアクチュエータ37と第1のスライダー38によって構成されている(図15及び図16参照)。
第1のアクチュエータ37は、例えば、圧電素子を用いたアクチュエータであり、固定部37aと圧電素子37bと駆動軸37cを有し、圧電素子37bが固定部37aから前方に突出され駆動軸37cが圧電素子37bの前側に連続して設けられ、圧電素子37bと駆動軸37cが前後方向に延びる状態で配置されている。
第1のアクチュエータ37は固定部37aがベース面部15の配置孔15bに配置されてベース体10に固定された状態で、駆動軸37cが支持突部19、19の支持孔19a、19aに前後方向へ移動可能に支持されている。第1のアクチュエータ37において圧電素子37bに電圧が印加されると、圧電素子37bが伸縮されて駆動軸37cが前後方向へ移動される。
第1のスライダー38は直角に屈曲されたベース部材39とベース部材39に長手方向において連結された連結部材40とを有し、連結部材40の長手方向における両端部がそれぞれベース部材39の長手方向における両端部に連結されている。
ベース部材39は屈曲部分を基準として一方の側が第1の部分39aとして設けられ他方の側が第2の部分39bとして設けられている。連結部材40は長手方向における両端部以外の部分が平板状の接面部40aとして設けられている。
第1のスライダー38はベース部材39と連結部材40が互いに近付く方向への弾性力を有している。ベース部材39と連結部材40の間には第1のアクチュエータ37の駆動軸37cが挿入され、ベース部材39における第1の部分39a及び第2の部分39bと連結部材40の接面部40aとが駆動軸37cに押し付けられている。
接面部40aの駆動軸37cと接した面の反対の面には伝達部材41が取り付けられている。伝達部材41には接面部40aの反対側に凸の第1の駆動力伝達部41a、41aが連結部材40の長手方向に離隔して設けられている。第1の駆動力伝達部41a、41aは外面が凸状の緩やかな曲面に形成されている。
第1の駆動体36はベース体10の配置部13における左上の角部に位置され、伝達部材41の第1の駆動力伝達部41a、41aが第2の可動体12の受け突部33における第1の被作用面33aに摺動可能な状態で接している(図16参照)。伝達部材41は左斜め上方から第1の被作用面33aに接している。
このとき第2の可動体12は押付バネ35、35によって上方に付勢されているため、第1の被作用面33aが伝達部材41の第1の駆動力伝達部41a、41aに押し付けられる。
ベース体10の支持突部20、20には第2の駆動体42が取り付けられている(図3及び図14参照)。第2の駆動体42は第2のアクチュエータ43と第2のスライダー44によって構成されている(図15及び図16参照)。
第2のアクチュエータ43は、例えば、圧電素子を用いたアクチュエータであり、固定部43aと圧電素子43bと駆動軸43cとを有し、圧電素子43bが固定部43aから前方に突出され駆動軸43cが圧電素子43bの前側に連続して設けられ、圧電素子43bと駆動軸43cが前後方向に延びる状態で配置されている。
第2のアクチュエータ43は固定部43aがベース面部15の配置孔15bに配置されてベース体10に固定された状態で、駆動軸43cが支持突部20、20の支持孔20a、20aに前後方向へ移動可能に支持されている。第2のアクチュエータ43において圧電素子43bに電圧が印加されると、圧電素子43bが伸縮されて駆動軸43cが前後方向へ移動される。
第2のスライダー44は直角に屈曲されたベース部材45とベース部材45に長手方向において連結された連結部材46とを有し、連結部材46の長手方向における両端部がそれぞれベース部材45の長手方向における両端部に連結されている。
ベース部材45は屈曲部分を基準として一方の側が第1の部分45aとして設けられ他方の側が第2の部分45bとして設けられている。連結部材46は長手方向における両端部以外の部分が平板状の接面部46aとして設けられている。
第2のスライダー44はベース部材45と連結部材46が互いに近付く方向への弾性力を有している。ベース部材45と連結部材46の間には第2のアクチュエータ43の駆動軸43cが挿入され、ベース部材45における第1の部分45a及び第2の部分45bと連結部材46の接面部46aとが駆動軸43cに押し付けられている。
接面部46aの駆動軸43cと接した面の反対の面には伝達部材47が取り付けられている。伝達部材47には接面部46aの反対側に凸の第2の駆動力伝達部47a、47aが連結部材46の長手方向に離隔して設けられている。第2の駆動力伝達部47a、47aは外面が凸状の緩やかな曲面に形成されている。
第2の駆動体42はベース体10の配置部13における右上の角部に位置され、伝達部材47の第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の可動体12の受け突部34における第2の被作用面34aに摺動可能な状態で接している(図16参照)。伝達部材47は右斜め上方から第2の被作用面34aに接している。
このとき第2の可動体12は押付バネ35、35によって上方に付勢されているため、第2の被作用面34aが伝達部材47の第2の駆動力伝達部47a、47aに押し付けられる。
上記したように、第1の駆動体36は伝達部材41が左斜め上方から第2の可動体12の第1の被作用面33aに接し、第2の可動体12には第1の駆動体36から駆動力が右斜め下方又は左斜め上方へ付与され、この方向が第1の駆動方向とされる。
また、第2の駆動体42は伝達部材47が右斜め上方から第2の可動体12の第2の被作用面34aに接し、第2の可動体12には第2の駆動体42から駆動力が左斜め下方又は右斜め上方へ付与され、この方向が第2の駆動方向とされる。
第1の駆動方向と第2の駆動方向は直交する方向とされ、第1の駆動方向と第2の駆動方向は第1の可動体11の第1の移動方向と第2の可動体12の第2の移動方向に対して45度異なる方向とされている(図12参照)。
なお、上記には、圧電素子37b、43bをそれぞれ有する第1の駆動体36と第2の駆動体42の例を示したが、第1の駆動体と第2の駆動体は、例えば、コイルとマグネットによって駆動力を発生する電磁式のアクチュエータであってもよく、また、リードスクリューの回転によって駆動力を発生する電動式のアクチュエータであってもよい。
ベース体10の配置部13には第1の可動体11と第2の可動体12と第1の駆動体36と第2の駆動体42が配置空間13aに配置された状態で蓋体48が前側から取り付けられ、第1の可動体11と第2の可動体12と第1の駆動体36と第2の駆動体42が蓋体48によって閉塞される(図3乃至図5参照)。蓋体48には前後に貫通された通過孔48aが形成されている。
第2の可動体12における周面部29の前面と蓋体48の後面との間には付勢バネ49、49、49が配置されている(図5及び図10参照)。付勢バネ49、49、49は、例えば、圧縮コイルバネであり、後端部が第2の可動体12のバネ支持突部29a、29a、29aに支持されている。第2の可動体12は付勢バネ49、49、49によって後方に付勢され、第2の可動体12が後方に付勢されることにより第1の可動体11も後方に付勢される。
従って、第2の可動体12は第2のガイド25、25と第2の転動部材26に押し付けられ、第2のガイド25、25と第2の転動部材26は第1の可動体11に押し付けられ、第1の可動体11は第1のガイド21、21と第1の転動部材22に押し付けられ、第1のガイド21、21と第1の転動部材22はベース体10のベース面部15に押し付けられる。
なお、ぶれ補正装置9においては、ベース体10に前方に突出されたストッパー突部29b、29b、・・・が設けられているため、落下等によって撮像装置1に大きな衝撃が付与されたときには、ストッパー突部29b、29b、・・・が蓋体48の後面に接触され、第2の可動体12と第1の可動体11の前方への過度の移動が防止されている。
上記したように、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43は第1の可動体11を支持するベース体10に取り付けられているため、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43を取り付けるための専用の部材が必要なく、ぶれ補正装置9の構造の簡素化を図ることができる。
また、ベース体10には第1の可動体11と第2の可動体12が配置される略矩形状の配置部13が設けられ、第1の駆動体36と第2の駆動体42が第1の可動体11と第2の可動体12の外側において配置部13の角部にそれぞれ取り付けられている。
従って、第1の駆動体36と第2の駆動体42が配置部13における外周寄りの部分に配置されるため、スペースの有効活用によるぶれ補正装置9の小型化を図ることができる。
なお、第1の駆動体36と第2の駆動体42は配置部13の角部以外の部分に取り付けられていてもよい。
さらに、第1の可動体11の外形状は第2の可動体12の外形状より小さくされているため、第1の可動体11が第2の可動体12より外側に突出しない状態で第1の可動体11と第2の可動体12を配置することが可能になり、ぶれ補正装置9の一層の小型化を図ることができる。
特に、第1の可動体11はベース体10に対して左右方向のみに移動可能にされ、第2の可動体12と第2の可動体12に保持されるシフトレンズ群3aの光軸回り方向への回転を規制する機能を有し、回転を規制する第1の可動体11を第2の可動体12の内側に位置させることにより、撮像装置1において鏡筒2の径方向における小型化及び構造の簡素化を図ることができる。
さらにまた、ベース体10に第1の可動体11と第2の可動体12と第1の駆動体36と第2の駆動体42が配置される配置空間13aが形成されているため、第1の可動体11と第2の可動体12と第1の駆動体36と第2の駆動体42がベース体10に形成された同一の空間に配置され、配置スペースの有効活用によるぶれ補正装置9のさらなる小型化を図ることができる。
<ぶれ補正装置の動作>
以下に、ぶれ補正装置9におけるぶれ補正動作について説明する(図17乃至図26参照)。なお、図17乃至図26においては、ぶれ補正動作の理解を容易にするために各部を簡略化して示している。
なお、ぶれ補正装置9においては、第1の可動体11がベース体10に対して第1のガイド21、21によって左右方向(第1の移動方向)のみに移動可能にされ、第2の可動体12が第1の可動体11に対して第2のガイド25、25によって上下方向(第2の移動方向)のみに移動可能にされている。
従って、以下に示すぶれ補正動作においては、第1の可動体11と第2の可動体12が光軸回り方向へのベース体10に対する回転方向への動作である所謂ローリング動作が生じることはない。また、第1の可動体11と第2の可動体12は付勢バネ49、49、・・・によって後方へ付勢されているため、ぶれ補正動作において第1の可動体11と第2の可動体12は前後方向へも移動されない。
ぶれ補正動作が行われる前の状態においては、第1の駆動体36と第2の駆動体42が動作されていない。第1の駆動体36は伝達部材41の第1の駆動力伝達部41a、41aが第2の可動体12の受け突部33に形成された第1の被作用面33aの前後方向における中央部に接し、第2の駆動体42は伝達部材47の第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の可動体12の受け突部34に形成された第2の被作用面34aの前後方向における中央部に接した状態にされている(図17参照)。
従って、ぶれ補正装置9は第1の可動体11と第2の可動体12が左右方向及び上下方向の何れの方向にも移動されていない基準位置にある(図18参照)。
先ず、ぶれ補正装置9における第2の移動方向(上下方向)へのぶれ補正動作について説明する(図19乃至図22参照)。
ぶれ補正装置9において、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43の圧電素子37b、43bに電圧が印加されて駆動軸37c、43cが動作され第1のスライダー38と第2のスライダー44が前方へ移動されると、第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aを摺動されて第1の被作用面33aの前端側に移動されると共に第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aを摺動されて第2の被作用面34aの前端側に移動される(図19参照)。
第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aの前端側に移動され第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aの前端側に移動されると、押付バネ35、35によって上方に付勢されている第2の可動体12が第1の可動体11に対して第2のガイド25、25に案内されて上方へ移動される(図20参照)。
一方、ぶれ補正装置9において、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43の圧電素子37b、43bに電圧が印加されて駆動軸37c、43cが動作され第1のスライダー38と第2のスライダー44が後方へ移動されると、第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aを摺動されて第1の被作用面33aの後端側に移動されると共に第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aを摺動されて第2の被作用面34aの後端側に移動される(図21参照)。
第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aの後端側に移動され第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aの後端側に移動されると、第2の可動体12が押付バネ35、35の付勢力に反して第1の可動体11に対して第2のガイド25、25に案内されて下方へ移動される(図22参照)。
次に、ぶれ補正装置9における第1の移動方向(左右方向)へのぶれ補正動作について説明する(図23乃至図26参照)。
ぶれ補正装置9において、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43の圧電素子37b、43bに電圧が印加されて駆動軸37c、43cが動作され、第1のスライダー38が前方へ移動され第2のスライダー44が後方へ移動されると、第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aを摺動されて第1の被作用面33aの前端側に移動されると共に第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aを摺動されて第2の被作用面34aの後端側に移動される(図23参照)。
第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aの前端側に移動され第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aの後端側に移動されると、第2の可動体12に左方への移動力が付与され、付与された移動力が第2の可動体12から第1の可動体11に伝達され、第1の可動体11が第2の可動体12と一体になって第1のガイド21、21に案内されて左方へ移動される(図24参照)。
一方、ぶれ補正装置9において、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43の圧電素子37b、43bに電圧が印加されて駆動軸37c、43cが動作され、第1のスライダー38が後方へ移動され第2のスライダー44が前方へ移動されると、第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aを摺動されて第1の被作用面33aの後端側に移動されると共に第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aを摺動されて第2の被作用面34aの前端側に移動される(図25参照)。
第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aの後端側に移動され第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aの前端側に移動されると、第2の可動体12に右方への移動力が付与され、付与された移動力が第2の可動体12から第1の可動体11に伝達され、第1の可動体11が第2の可動体12と一体になって第1のガイド21、21に案内されて右方へ移動される(図26参照)。
上記のように、第2の可動体12が第1の可動体11に対して上下方向へ移動されると共に第1の可動体11と一体になって左右方向へ移動されることにより、第2の可動体12に保持されているシフトレンズ群3aも上下左右へ移動され、シフトレンズ群3aの光軸が変位されて像ぶれが補正されるぶれ補正が行われる。
なお、上記には、第1の駆動力伝達部41a、41aと第2の駆動力伝達部47a、47aが同時に第1の被作用面33aと第2の被作用面34aに対して移動される例を示したが、第1の駆動力伝達部41a、41aと第2の駆動力伝達部47a、47aは、一方のみが第1の被作用面33a又は第2の被作用面34aに対して移動されてもよい。
また、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43に印加される電圧の大きさや電流の向きを変更することにより、第1の駆動力伝達部41a、41aと第2の駆動力伝達部47a、47aの前後方向における移動量及び移動方向を調節して第2の可動体12を光軸に直交する面内において任意の位置に移動させることが可能である。
上記したように、ぶれ補正装置9にあっては、光軸方向(前後方向)において第1の可動体11と第2の可動体12が並んで位置され、第1の移動方向が光軸方向に直交する方向とされ、第2の移動方向が光軸方向と第1の移動方向にともに直交する方向にされている。
従って、第1の可動体11が移動される第1の移動方向と第2の可動体12が移動される第2の移動方向が互いに直交しともに光軸に直交する方向になるため、信頼性の高いぶれ補正を行うことができる。
なお、上記には、第1の可動体11が左右方向である第1の移動方向へ移動され第2の可動体12が上下方向である第2の移動方向へ移動される例を示したが、逆に、第1の可動体11が上下方向へ移動され第2の可動体12が左右方向へ移動される構成にされていてもよい。
また、ぶれ補正装置9においては、第1の駆動体36から第2の可動体12に対して付与される駆動力の駆動方向である第1の駆動方向が右斜め下方及び左斜め上方にされ、第2の駆動体42から第2の可動体12に対して付与される駆動力の駆動方向である第2の駆動方向が左斜め下方及び右斜め上方にされ、第1の駆動方向と第2の駆動方向がともに光軸方向に対して直交し互いに直交する方向にされている。
従って、第1の駆動方向と第2の駆動方向が互いに直交しともに光軸に直交する方向になるため、信頼性の高いぶれ補正を行うことができる。
なお、第1の駆動方向と第2の駆動方向は互いに直交する方向以外の方向、例えば、第1の駆動方向と第2の駆動方向が周方向において90度未満の角度にされていてもよい。また、第1の駆動方向と第2の駆動方向が周方向において90度より大きい角度にされていてもよい。
このように第1の駆動方向と第2の駆動方向が直交する方向(90度)以外の角度にされている場合においても、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43に印加される電圧の大きさや電流の向きを変更することにより、第1の駆動力伝達部41a、41aと第2の駆動力伝達部47a、47aの移動量及び移動方向を調節して第2の可動体12を光軸に直交する面内において任意の位置に移動させることが可能である。
また、ぶれ補正装置9にあっては、第1の駆動力伝達部41a、41aが第1の被作用面33aに摺動可能な状態で押し付けられ、第2の駆動力伝達部47a、47aが第2の被作用面34aに摺動可能な状態で押し付けられ、第1の駆動力伝達部41a、41aの第1の被作用面33aに対する位置又は第2の駆動力伝達部47a、47aの第2の被作用面34aに対する位置の少なくとも一方の位置が変化されて第2の可動体12がベース体10に対して移動される。
従って、第1の被作用面33aに第1の駆動体36の駆動力が伝達され第2の被作用面34aに第2の駆動体42の駆動力が伝達されて第2の可動体12が移動されるため、簡素な構成により第2の可動体12を確実に移動させることができる。
さらに、第1の被作用面33aを第1の駆動力伝達部41a、41aに押し付けると共に第2の被作用面34aを第2の駆動力伝達部47a、47aに押し付ける方向へ付勢する押付バネ35、35が設けられている。
従って、押付バネ35、35によって第1の被作用面33aが第1の駆動力伝達部41a、41aに押し付けられると共に第2の被作用面34aが第2の駆動力伝達部47a、47aに押し付けられるため、第1の駆動体36と第2の駆動体42から第2の可動体12に駆動力が確実に伝達され、部品点数の削減を図った上で信頼性の高いぶれ補正を行うことができる。
さらに、第1の駆動体36の第1の駆動方向と第2の駆動体42の第2の駆動方向とを異なる方向かつ上下左右に対して傾斜する方向にし、押付バネ35、35による付勢方向を上方にすることにより、第2の可動体12の第1の被作用面33aと第2の被作用面34aを第1の駆動力伝達部41a、41aと第2の駆動力伝達部47a、47aにそれぞれ押し付けるために異なる方向へ付勢するバネを設ける必要がなく、部品点数の削減による構造の簡素化を図ることができる。
また、第1の被作用面33aと第2の被作用面34aが第1の移動方向及び第2の移動方向に対してともに傾斜されているため、傾斜面にされた第1の被作用面33aに第1の駆動体36の駆動力が伝達され傾斜面にされた第2の被作用面34aに第2の駆動体42の駆動力が伝達されて第2の可動体12が移動され、より簡素な構成により第2の可動体12を確実に移動させることができる。
さらに、第1の被作用面33aの第1の移動方向及び第2の移動方向に対する傾斜角度と第2の被作用面34aの第1の移動方向及び第2の移動方向に対する傾斜角度とが同じにされている。
従って、傾斜面にされた第1の被作用面33aに第1の駆動体36の駆動力が伝達され第1の被作用面33aと同じ傾斜角度で傾斜された第2の被作用面34aに第2の駆動体42の駆動力が伝達されて第2の可動体12が移動されるため、第1の駆動体36と第2の駆動体42の同一の駆動力による第2の可動体12の第1の移動方向への移動量と第2の移動方向への移動量とを同じにすることが可能になり、第2の可動体12の第1の移動方向と第2の移動方向への移動制御を容易に行うことができる。
但し、ぶれ補正装置9においては、第1の被作用面33aの第1の移動方向及び第2の移動方向に対する傾斜角度と第2の被作用面34aの第1の移動方向及び第2の移動方向に対する傾斜角度とが異なる構成にされていてもよく、第1の被作用面33aと第2の被作用面34aの傾斜角度を異ならせることにより第1の駆動体36と第2の駆動体42の同一の駆動力に対する第2の可動体12の第1の移動方向と第2の移動方向への移動量を変化させることが可能になる。
従って、第2の可動体12に対して必要な第1の移動方向と第2の移動方向における移動速度や第1の駆動体36と第2の駆動体42の特性、例えば、駆動力や駆動速度等に応じた制御を行うことが可能になり、第2の可動体12の移動制御に関する設計の自由度の向上を図ることができる。
なお、上記には、第1の被作用面33aと第2の被作用面34aがそれぞれ第1の移動方向と第2の移動方向に対して傾斜され第1の駆動体36の第1の駆動方向と第2の駆動体42の第2の駆動方向とが光軸に直交する方向である例を示したが、例えば、第1の被作用面33aと第2の被作用面34aが光軸に直交する方向を向き、第1の駆動体36の第1の駆動方向と第2の駆動体42の第2の駆動方向とが光軸に直交する方向に対して傾斜されていてもよい。
また、上記には、押付バネ35、35によって第2の可動体12が付勢された例を示したが、例えば、押付バネ35、35に代えて第2の可動体12の第1の被作用面33aと第2の被作用面34aがそれぞれ第1の駆動力伝達部41a、41aと第2の駆動力伝達部47a、47aに押し付けられる方向へ付勢される別の手段が設けられていてもよい。
例えば、第2の可動体12の受け突部33、34が磁性体によって形成され、第1の駆動体36の伝達部材41と第2の駆動体42の伝達部材47とがマグネットによって形成され、受け突部33が伝達部材41に引き寄せられて第1の被作用面33aが第1の駆動力伝達部41a、41aに押し付けられ受け突部34が伝達部材47に引き寄せられて第2の被作用面34aが第2の駆動力伝達部47a、47aに押し付けられてもよい。
なお、逆に、第2の可動体12の受け突部33、34がマグネットによって形成され、伝達部材41、47が磁性体によって形成されてもよい。
ぶれ補正装置9にあっては、上記したように、第1の駆動力伝達部41a、41aと第2の駆動力伝達部47a、47aがそれぞれ複数、例えば、二つずつ設けられている。
従って、複数の第1の駆動力伝達部41a、41aに第1の被作用面33aが押し付けられると共に複数の第2の駆動力伝達部47a、47aに第2の被作用面34aが押し付けられるため、第1の駆動体36と第2の駆動体42の第2の可動体12に対する位置を安定させることができ、第1の駆動体36と第2の駆動体42から第2の可動体12に安定した状態で駆動力を伝達することができる。
また、第1の可動体11が移動される第1の移動方向と第1の駆動体36から第2の可動体12に付与される駆動力の第1の駆動方向とが異なる方向にされ、第2の可動体12が移動される第2の移動方向と第2の駆動体42から第2の可動体12に付与される駆動力の第2の駆動方向とが異なる方向にされている。
従って、第1の駆動体36の駆動力と第2の駆動体42の駆動力の双方の駆動力が伝達されて第2の可動体12が移動されるため、第1の駆動体36と第2の駆動体42の駆動力の大きさに応じて第2の可動体12が第1の移動方向又は第2の移動方向へ移動され、第2の可動体12に対する移動制御の自由度の向上を図ることができる。
さらに、第1の駆動体36は第1のアクチュエータ37と第1のアクチュエータ37によって動作される第1のスライダー38とを有し、第2の駆動体42は第2のアクチュエータ43と第2のアクチュエータ43によって動作される第2のスライダー44とを有し、第2の可動体12に第1のスライダー38と第2のスライダー44が摺動可能にされている。
従って、第1の駆動体36の駆動力と第2の駆動体42の駆動力がそれぞれ第1のスライダー38と第2のスライダー44から第2の可動体12に伝達されるため、第1の駆動体36と第2の駆動体42の駆動力を簡素な構造によって確実に第2の可動体12に伝達することができる。
さらにまた、第1の移動方向と第2の移動方向が直交する方向にされ、第1のスライダー38と第2のスライダー44が第1の移動方向と第2の移動方向にともに直交する方向で(前後方向)へ動作される。
従って、第1のスライダー38と第2のスライダー44が第1の可動体11と第2の可動体12の移動方向に直交する方向へ動作されるため、第1の可動体11と第2の可動体12の移動方向を含む面内、即ち、光軸に直交する面内において第1のスライダー38と第2のスライダー44の配置スペースが小さくなり、撮像装置1において鏡筒2の径方向における小型化を図ることができる。
また、ぶれ補正装置9においては、第1のスライダー38と第2のスライダー44が光軸方向(前後方向)へ動作され第1の可動体11と第2の可動体12が光軸に直交する方向へ動作されることにより、第1のスライダー38及び第2のスライダー44の動作方向と第1の可動体11及び第2の可動体12の移動方向とが異なる方向にされている。
このように第1のスライダー38及び第2のスライダー44の動作方向と第1の可動体11及び第2の可動体12の移動方向とが異なる方向にされることにより、第1のスライダー38及び第2のスライダー44と第1の可動体11及び第2の可動体12との慣性質量の影響がそれぞれ動作方向と移動方向に分散される。
従って、撮像装置1の落下等による大きな衝撃が付与されたときに、衝撃が各方向に分散され、衝撃による各部の破損や損傷の発生を抑制することができる。
以下に、ぶれ補正装置9のぶれ補正動作における制御例について説明する(図27及び図28参照)。
撮像装置1には制御部50が設けられている(図27参照)。制御部50としては、例えば、撮像装置1の全体を統括制御するCPU4が用いられている。
ぶれ補正装置9には第2の可動体12の第1の駆動方向Aにおける位置を検出する第1の位置検出部51と第2の可動体12の第2の駆動方向Bにおける位置を検出する第2の位置検出部52とが設けられている。第1の位置検出部51と第2の位置検出部52としては光学式の検出器や磁気式の検出器等の各種の検出器が用いられる。
ぶれ補正動作における制御は以下のような手順で行われる(図28参照)。
(1A、1B)制御部50において像ぶれを補正するために移動すべき第2の可動体12の第1の駆動方向Aの位置と第2の駆動方向Bの位置がそれぞれ算出される。
(2A、2B)(1A)において算出された第1の駆動方向Aの位置と第1の位置検出部51によって検出された第2の可動体12の第1の駆動方向Aにおける位置とに基づいて、第1のアクチュエータ37に付与すべき出力値が算出され、算出された出力値が第1のアクチュエータ37に出力される。
同時に、(1B)において算出された第2の駆動方向Bの位置と第2の位置検出部52によって検出された第2の可動体12の第2の駆動方向Bにおける位置とに基づいて、第2のアクチュエータ43に付与すべき出力値が算出され、算出された出力値が第2のアクチュエータ43に出力される。
(3A、3B)(2A)の出力値に基づいて動作された第2の可動体12の第1の駆動方向Aにおける位置が第1の位置検出部51によって検出され、検出結果が制御部50に出力され(2A)の動作が行われる。同時に、(2B)の出力値に基づいて動作された第2の可動体12の第2の駆動方向Bにおける位置が第2の位置検出部52によって検出され、検出結果が制御部50に出力され(2B)の動作が行われる。
このように第1の位置検出部51と第2の位置検出部52によって第2の可動体12の第1の駆動方向Aと第2の駆動方向Bの位置をそれぞれ検出して制御することにより、第1の位置検出部51と第2の位置検出部52による第2の可動体12の検出位置が第1の駆動体36と第2の駆動体42の駆動方向に一致されるため、簡素なロジックによりぶれ補正に関する制御を行うことができる。
<付勢力を考慮した制御について>
このようにして、ぶれ補正装置9は、ぶれを補正する。このぶれ補正における処理について、さらに詳細な説明を加える。
ぶれ補正装置9は、付勢部として機能する押付バネ35が含まれる。例えば、第1の移動体11と第2の移動体12が、基準位置にあるときと、第1の移動体11と第2の移動体12が基準位置からずれているときとでは、押付バネ35からの付勢力が異なる。第1の移動体11と第2の移動体12の位置による付勢力の影響も考慮して、移動方向や移動量を設定し、制御する必要がある。
ここで、付勢力の影響について簡便に説明を加える。以下の説明においては、図29に示すような座標を用いた説明を行う。図29に示した座標は、第1の移動体11と第2の移動体12の移動可能範囲(第1の移動方向と第2の移動方向における移動可能範囲)を示す。
第1の移動体11は、X軸方向においては、0乃至x3の範囲で移動可能に構成され、Y軸方向においては、0乃至y3の範囲で移動可能に構成されている。図29に示したように、以下の説明のため、座標(0,0)、(0,y3)、(x3,y3)、および(x3,0)で囲まれる領域を9つの領域に分割する。
領域Aは、座標(0,0)、(0,y1)、(x1,y1)、および(x1,0)で囲まれる領域とする。領域Bは、座標(x1,0)、(x1,y1)、(x2,y1)、および(x2,0)で囲まれる領域とする。領域Cは、座標(x2,0)、(x2,y1)、(x3,y1)、および(x3,0)で囲まれる領域とする。
領域Dは、座標(0,y1)、(0,y2)、(x1,y2)、および(x1,y1)で囲まれる領域とする。領域Eは、座標(x1,y1)、(x1,y2)、(x2,y2)、および(x2,y1)で囲まれる領域とする。領域Fは、座標(x2,y1)、(x2,y2)、(x3,y2)、および(x3,y1)で囲まれる領域とする。
領域Gは、座標(0,y2)、(0,y3)、(x1,y3)、および(x1,y2)で囲まれる領域とする。領域Hは、座標(x1,y2)、(x1,y3)、(x2,y3)、および(x2,y2)で囲まれる領域とする。領域Iは、座標(x2,y2)、(x2,y3)、(x3,y3)、および(x3,y2)で囲まれる領域とする。
第1の移動体11と第2の移動体12の基準位置(ずれ補正をしていない通常の状態の位置)は、領域Eの中央位置となる。また、ここでは、X軸方向にかかる付勢力を付勢力P1とし、x3の方向からx1の方向にかかる力であるとして説明を続ける。同様に、Y軸方向にかかる付勢力を付勢力P2とし、y3の方向からy1の方向に係る力であるとして説明を続ける。
付勢力P1は、例えば、領域Fに第1の移動体11と第2の移動体12が位置しているときに、第1の移動体11と第2の移動体12にかかる付勢力P1の方が、領域Dに位置しているときに、第1の移動体11と第2の移動体12にかかる付勢力P1よりも大きくなる。同様に付勢力P2は、例えば、領域Hに第1の移動体11と第2の移動体12が位置しているときに、第1の移動体11と第2の移動体12にかかる付勢力P2の方が、領域Bに位置しているときに、第1の移動体11と第2の移動体12にかかる付勢力P2よりも大きくなる。
図30、図31を参照し、第1の移動体11と第2の移動体12の停止位置の精度について説明を加える。
図30の上図は、図29と同図であり、図29に示した移動範囲を表す図に、第1の移動体11と第2の移動体12の移動方向を矢印で追加した図である。図30の上図に矢印で示したように、第1の移動体11と第2の移動体12を、領域Dに位置している状態から、段階的に移動させ、領域Fまで移動させたときの第1の移動体11と第2の移動体12の停止位置の精度を、図30の下図に示す。
図30の上図に示した第1の移動体11と第2の移動体12の移動は、Y軸方向には移動せず、X軸方向に沿った移動である。また、段階的に移動させるとは、今居る位置から、少し先の位置を目標の停止位置に設定し、その目標の停止位置に第1の移動体11と第2の移動体12を移動させ、停止させるという移動を繰り返し行うことを意味している。以下、このような移動をステップ移動と記載する。
図30の下図を参照する。図30の下図において、横軸は、図30の上図と同じく移動範囲のX軸を表し、縦軸は、停止位置精度を表す。図中、目標の停止位置として設定された位置の±2um以下の範囲内で停止させることが目標とされる精度とされ、その位置を、点線で示してある。
第1の移動体11と第2の移動体12を、位置0(X=0)から位置x1(X=x1)までステップ移動させた場合(領域D内をステップ移動させた場合)、目標位置とされた位置から±4umの範囲内で停止するため、目標精度を達成できない。
第1の移動体11と第2の移動体12を、位置x1(X=x1)から位置x2(X=x2)までステップ移動させた場合(領域E内をステップ移動させた場合)、目標位置とされた位置から±1umの範囲内で停止するため、目標精度を達成できる。
第1の移動体11と第2の移動体12を、位置x2(X=x2)から位置x3(X=x3)までステップ移動させた場合(領域F内をステップ移動させた場合)、目標位置とされた位置から±5umの範囲内で停止するため、目標精度を達成できない。
この場合、領域E内では、目標精度を達成できる移動と停止を行うことができるが、領域D内や領域F内では、目標精度を達成できる移動と停止は行うことが困難であることが読み取れる。これは、どの領域においても、同一の制御を行った場合であり、後述するような、領域により異なる制御を行うことにより、領域D内や領域F内であっても、停止位置精度を目標精度内に納めることが可能となる。
図31を参照する。図31は、図30と同じく、第1の移動体11と第2の移動体12を、X軸方向にそって移動させたときの停止位置精度について説明するための図であるが、第1の移動体11が移動する領域が図30の場合と異なる。
図31に示した例では、上図に示したように、第1の移動体11と第2の移動体12は、領域Gから、領域Hを経て、領域Iに移動する場合を示している。この場合、図31の下図に示したように、第1の移動体11と第2の移動体12を、領域G内でステップ移動させた場合、目標位置とされた位置から±8umの範囲内で停止するため、目標精度を達成できない。
第1の移動体11と第2の移動体12を、領域H内でステップ移動させた場合、目標位置とされた位置から±5umの範囲内で停止するため、目標精度を達成できない。
第1の移動体11と第2の移動体12を、領域I内でステップ移動させた場合、目標位置とされた位置から±9umの範囲内で停止するため、目標精度を達成できない。
この場合、領域G、領域H、領域I内の全ての領域で、目標精度を達成できる移動と停止は行うことは困難であることが読み取れる。この場合も、どの領域においても、同一の制御を行った場合であり、後述するような、領域により異なる制御を行うことにより、領域G内、領域H内、および領域I内であっても、停止位置精度を目標精度内に納めることが可能となる。
図示はしないが、領域A、領域B、および領域Cも、図31に示した場合と同じく、停止位置精度を目標精度内に納めることは困難である。仮に、後述する制御(本技術を用いた制御)を行わなければ、領域E以外の領域では、第1の移動体11と第2の移動体12を目標とされる位置に精度良く停止させることは困難であるため、第1の移動体11と第2の移動体12の移動範囲は、領域E内に限定されてしまう可能性がある。
そこで、以下に説明するように、第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43の制御が、第1の移動体11と第2の移動体12が居る位置と、移動先の位置に応じて行われるようにする。
<制御部の第1の構成、動作について>
図32は、制御部50(図27)の内部構成例を示す図である。第1の実施の形態における制御部50aは、加算部101−1,101−2、演算部102−1,102−2、PID(Proportional-Integral-Differential)制御部103−1,103−2、およびアクチュエータ制御部104−1,104−2を備える。
制御部50aは、X軸方向への移動を制御する制御部と、Y軸方向への移動を制御する制御部とから構成されている。ここでは、X軸方向への移動を制御する制御部は、加算部101−1、演算部102−1、PID制御部103−1、およびアクチュエータ制御部104−1から構成されているとする。また、Y軸方向への移動を制御する制御部は、加算部101−2、演算部102−2、PID制御部103−2、およびアクチュエータ制御部104−2から構成されているとする。
X軸方向への移動を制御する制御部と、Y軸方向への移動を制御する制御部は、基本的な構成、動作は同様であるため、以下の説明においては、加算部101−1と加算部101−2を、個々に区別する必要がない場合、単に、加算部101と記述する。他の部分も同様に、演算部102、PID制御部103、およびアクチュエータ制御部104と記述する。
以下の説明において、rx(t)は、X軸方向の指示位置(目標位置)であり、加算部101−1、演算部102−1、および演算部102−2に入力される値である。ry(t)は、Y軸方向の指示位置(目標位置)であり、加算部101−2、演算部102−2、および演算部102−1に入力される値である。
x0(t)は、X軸方向の初期位置であり、演算部102−1と演算部102−2に入力される値である。y0は、Y軸方向の初期位置であり、演算部102−1と演算部102−2に入力される値である。初期位置とは、その時点における位置、現在位置である。
ex(t)は、X軸方向の偏差であり、加算部101−1での演算結果であり、目標位置rx(t)とアクチュエータ制御部104−1からの出力x(t)との加算結果(差分結果)である。ey(t)は、Y軸方向の偏差であり、加算部101−2での演算結果であり、目標位置ry(t)とアクチュエータ制御部104−2からの出力y(t)との加算結果(差分結果)である。
ux(t)は、PID制御部103−1からの出力値であり、X軸方向のアクチュエータ制御部104−1への入力値である。uy(t)は、PID制御部103−2からの出力値であり、Y軸方向のアクチュエータ制御部104−2への入力値である。
x(t)は、アクチュエータ制御部104−1からの出力値であり、第1のアクチュエータ37を制御する値とされるとともに、加算部101−1へとフィードバックされる値とされる。y(t)は、アクチュエータ制御部104−2からの出力値であり、第2のアクチュエータ43を制御する値とされるとともに、加算部101−2へとフィードバックされる値とされる。
ここでは、アクチュエータ制御部104−1は、第1のアクチュエータ37を制御し、第1のアクチュエータ37は、第1の移動方向への移動を制御し、第1の移動方向は、X軸方向であるとして説明を続ける。同じくアクチュエータ制御部104−2は、第2のアクチュエータ43を制御し、第2のアクチュエータ43は、第2の移動方向への移動を制御し、第2の移動方向は、Y軸方向であるとして説明を続ける。
本技術を適用した制御部50aにおいては、移動前の位置(初期位置)と移動後の位置(指示位置)とで、異なる演算処理がなされる。例えば、図33に示すように、初期位置が領域D内であり、指示位置が領域Fである場合と、初期位置が領域E内であり、指示位置が領域Fである場合とでは、同じ指示位置であっても、演算部102での演算は、異なる演算とされる。
よって、演算部102には、初期位置の情報(x0(t)とy0(t))と、指示位置の情報(rx(t)とry(t))が供給される。PID制御部103は、演算部102からの演算結果が供給される。PID制御部103は、フィードバック制御の一例であり、この場合、指定位置(rx(t)またはry(t))の制御を、アクチュエータ制御部104からの出力値(x(t)またはy(t))と、指定位置との偏差(ex(t)またはey(t))、その積分、および微分の3つの要素によって行う手法である。
PID制御部103の制御を式で表すと、次式(1)で表される。
式(1)は、X軸方向を制御するPID制御部103−1における式を表しているが、Y軸方向を制御するPID制御部103−2も、同様の式による演算を行う。式(1)において、Kpx,Kix、Kdxは、それぞれ比例ゲイン(Pゲイン)、積分ゲイン(Iゲイン)、および微分ゲイン(Dゲイン)を表し、それぞれ初期位置と指示位置とにより一意に算出される値とされている。
演算部102では、Pゲイン、Iゲイン、およびDゲインをそれぞれ演算する。演算部102は、PID制御部103のゲインを設定するゲインパラメータ設定部として機能する。以下、Pゲイン、Iゲイン、およびDゲインをゲインと記述し、例えば、“ゲインを算出”と記述したときには、Pゲイン、Iゲイン、およびDゲインのいずれか、または全てを算出した場合(少なくとも1つのゲインを算出した場合)を表す。
またここでは、PID制御部103が制御値を算出するときのゲインを設定する場合を例に挙げて説明を続けるが、PID制御部103の制御に依存し、ゲイン以外のパラメータが設定されるような場合にも本技術を適用できる。演算部102は、PID制御部103が制御値を算出するときに必要とされるパラメータを設定する機能を有する。
なおここでは、PID制御を例に挙げて説明するが、他の制御、例えばP制御やPI制御などのフィードバック制御を、本技術に適用することも可能である。
演算部102は、ゲインを設定するための複数の演算式を保持しており、その保持されている演算式を初期位置に基づいて選択して、選択した演算式に指示位置を代入することで、ゲインを算出する。
演算部102は、初期位置毎に、演算式を保持している。例えば、図33(図29)に示したように可動可能範囲を9つの領域に分けた場合を例に挙げて説明する。初期位置として、X軸方向で考えた場合、0からx1、x1からx2、およびx2からx3の範囲が想定され、Y軸方向で考えた場合、0からy1、y1からy2、およびy2からy3の範囲が想定される。
また演算部102は、指示位置毎にも、演算式を保持している。指示位置として、X軸方向で考えた場合、0からx1、x1からx2、およびx2からx3の範囲が想定され、Y軸方向で考えた場合、0からy1、y1からy2、およびy2からy3の範囲が想定される。
X軸方向に関する演算を行う演算部102−1は、指示位置のY座標が、0からy1の範囲にあり、初期位置の座標のxの値が、0からx1の範囲にある場合の演算式X01-1、x1からx2の範囲にある場合の演算式X12-1、およびx2からx3の範囲にある場合の演算式X23-1を備える。
また演算部102−1は、指示位置のY座標が、y1からy2の範囲にあり、初期位置の座標のxの値が、0からx1の範囲にある場合の演算式X01-2、x1からx2の範囲にある場合の演算式X12-2、およびx2からx3の範囲にある場合の演算式X23-2を備える。
さらに演算部102−1は、指示位置のY座標が、y2からy3の範囲にあり、初期位置の座標のxの値が、0からx1の範囲にある場合の演算式X01-3、x1からx2の範囲にある場合の演算式X12-3、およびx2からx3の範囲にある場合の演算式X23-3を備える。
同じく、Y軸方向に関する演算を行う演算部102−2は、指示位置のX座標が、0からx1の範囲にあり、初期位置の座標のyの値が、0からy1の範囲にある場合の演算式Y01-1、y1からy2の範囲にある場合の演算式Y12-1、およびy2からy3の範囲にある場合の演算式Y23-1を備える。
また演算部102−2は、指示位置のX座標が、x1からx2の範囲にあり、初期位置の座標のyの値が、y1からy2の範囲にある場合の演算式Y01-2、y1からy2の範囲にある場合の演算式Y12-2、およびy2からy3の範囲にある場合の演算式Y23-2を備える。
さらに演算部102−2は、指示位置のX座標が、x2からx3の範囲にあり、初期位置の座標のyの値が、y2からy3の範囲にある場合の演算式Y01-3、y1からy2の範囲にある場合の演算式Y12-3、およびy2からy3の範囲にある場合の演算式Y23-3を備える。
演算部102−1は、例えば、図34に示したような演算式を保持している。図34では、演算式をグラフで表している。図34に示したグラフの横軸は、指示位置の座標xの値を示し、縦軸は、設定されるゲインの値(Kpx)を表している。
図34に示した演算式X01-1は、指示位置のY座標が、0からy1の範囲にあり、初期位置のx座標が、0からx1のときに用いられる演算式であり、指示位置のx座標が0からx1のときには、ゲインKpx1がゲインとして算出される式である。また演算式X01-1によると、指示位置のx座標がx1からx2のときには、ゲインKpx2がゲインとして算出され、指示位置のx座標がx2からx3のときには、ゲインKpx3がゲインとして算出される。
図34に示した演算式X12-1は、指示位置のY座標が、0からy1の範囲にあり、初期位置のx座標が、x1からx2のときに用いられる演算式であり、指示位置のx座標が0からx1のときには、ゲインKpx1’がゲインとして算出される式である。また演算式X12-1によると、指示位置のx座標がx1からx2のときには、ゲインKpx2’がゲインとして算出され、指示位置のx座標がx2からx3のときには、ゲインKpx3’がゲインとして算出される。
図34に示した演算式X23-1は、指示位置のY座標が、0からy1の範囲にあり、初期位置のx座標が、x2からx3のときに用いられる演算式であり、指示位置のx座標が0からx1のときには、ゲインKpx1”がゲインとして算出される式である。また演算式X23-1によると、指示位置のx座標がx1からx2のときには、ゲインKpx2”がゲインとして算出され、指示位置のx座標がx2からx3のときには、ゲインKpx3”がゲインとして算出される。
なお、初期位置のx座標が、x1である場合、演算式X01-1が適用されるか、演算式X12-1が適用されるかは、どちらに設定されていても良く、予めどちらの演算式を用いるか、設定しておけば良い。他の値も同じく、境界の値は、予め設定されている演算式が用いられる。
ここでは、図示していないが、演算式X01-2、演算式X12-2、演算式X23-2、演算式X01-3、演算式X12-3、演算式X23-3も、それぞれ設定されている。すなわちこの場合、演算部102は、9個の演算式を保持し、初期位置のX座標、指示位置のY座標に基づき、1つの演算式を設定し、指示位置のX座標を設定した演算式に代入することで、第1のアクチュエータ37を制御する制御値を算出するためのゲインを設定する。
Y軸方向に関する演算式もX軸方向に関する演算式と同様である。演算部102−2は、例えば、図35に示したような演算式を保持している。図35では、演算式をグラフで表している。図35に示したグラフの横軸は、指示位置の座標yの値を示し、縦軸は、設定されるゲインの値(Kpy)を表している。
図35に示した演算式Y01-1は、指示位置のX座標が、0からx1の範囲にあり、初期位置のy座標が、0からy1のときに用いられる演算式であり、指示位置のy座標が0からy1のときには、ゲインKpy1がゲインとして算出される式である。また演算式Y01-1によると、指示位置のy座標がy1からy2のときには、ゲインKpy2がゲインとして算出され、指示位置のy座標がy2からy3のときには、ゲインKpy3がゲインとして算出される。
図35に示した演算式Y12-1は、指示位置のX座標が、0からx1の範囲にあり、初期位置のy座標が、y1からy2のときに用いられる演算式であり、指示位置のy座標が0からy1のときには、ゲインKpy1’がゲインとして算出される式である。また演算式Y12-1によると、指示位置のy座標がy1からy2のときには、ゲインKpy2’がゲインとして算出され、指示位置のy座標がy2からy3のときには、ゲインKpy3’がゲインとして算出される。
図35に示した演算式Y23-1は、指示位置のX座標が、0からx1の範囲にあり、初期位置のy座標が、y2からy3のときに用いられる演算式であり、指示位置のy座標が0からy1のときには、ゲインKpy1”がゲインとして算出される式である。また演算式Y23-1によると、指示位置のy座標がy1からy2のときには、ゲインKpy2”がゲインとして算出され、指示位置のy座標がy2からy3のときには、ゲインKpy3”がゲインとして算出される。
なお、初期位置のY座標がy1である場合、演算式Y01-1が適用されるか、演算式Y12-1が適用されるかは、どちらに設定されていても良く、予めどちらの演算式を用いるか、設定しておけば良い。他の値も同じく、境界の値は、予め設定されている演算式が用いられる。
ここでは、図示していないが、演算式Y01-2、演算式Y12-2、演算式Y23-2、演算式Y01-3、演算式Y12-3、演算式Y23-3も、それぞれ設定されている。すなわちこの場合、演算部102は、9個の演算式を保持し、初期位置のY座標、指示位置のX座標に基づき、1つの演算式を設定し、指示位置のY座標を設定した演算式に代入することで、第2のアクチュエータ43を制御する制御値を算出するためのゲインを設定する。
図34、図35に示した演算式が設定されている場合、演算部102での演算の位置例を示す。例えば、図33に示したように、初期位置が、領域Dにあり、指示位置が領域Fにある場合を例に挙げる。
図36の上図を参照するに、X軸方向の演算を行う演算部102−1は、初期位置のx座標(x0)が、領域D内、換言すれば、0からx1の範囲内にあるため、演算式として、演算式X01を用いた演算を行うと設定する。また、指示位置のY座標が、領域F内、換言すれば、y1からy2の範囲内にあるため、演算式として、演算式X01-1乃至01-3のうちの、演算式X01-2を用いた演算を行うと設定する。
演算部102−1は、演算式X01-2を用い、指示位置のx座標(xt1)のゲインが算出される。この場合、図36に示したように、指示位置のx座標(xt1)は、領域F内、換言すれば、x2からx3の範囲内にあるため、ゲインとして、ゲインKpx3が算出される。
次に、図36の下図を参照する。Y軸方向の演算を行う演算部102−2は、初期位置のy座標(y0)が、領域D内、換言すれば、y1からy2の範囲内にあるため、演算式として、演算式Y12を用いた演算を行うと設定する。また、指示位置のX座標が、領域F内、換言すれば、x2からx3の範囲内にあるため、演算式として、演算式Y12-1乃至12-3のうちの、演算式Y12-3を用いた演算を行うと設定する。
演算部102−2は、演算式Y12-3を用い、指示位置のy座標(yt1)のゲインが算出される。この場合、図36に示したように、指示位置のy座標(yt1)は、領域F内、換言すれば、y1からy2の範囲内にあるため、ゲインとして、ゲインKpy2”が算出される。
このように、演算部102は、初期位置と指示位置に基づき、PID制御部103が、アクチュエータの制御に関する制御値を算出するときのゲインを設定する。
なお、演算部102が保持している演算式は、図34や図35に示したようなグラフが得られる演算式に限定されるわけではなく、他の演算式でも本技術に適用できる。
図34、図35に示した演算式とは異なる演算式の一例を図37に示す。図37の上図に示した例は、演算式X01の他の演算式(演算式X01’とする)を示す。図37に示した演算式X01’は、x座標がx2からx3の範囲にあるとき、1次関数に基づきゲインが設定される点が、図34に示した演算式X01(演算式X01-1)と異なる。
また、図37の下図に示した例は、演算式Y01の他の演算式(演算式Y01’とする)を示す。図37に示した演算式Y01’は、y座標がy0からy1の範囲にあるとき、1次関数に基づきゲインが設定される点が、図35に示した演算式Y01(演算式Y01-1)と異なる。
このように、演算部102が演算式により、ゲインを算出するようにしても良いし、ルックアップテーブル(LUT)を参照して、ゲインを設定するような構成としても良い。
図38に、テーブル151の一例を示す。テーブル151は、横方向に初期位置が並べられ、縦方向に指示位置が並べられているテーブルとされている。テーブル151は、横方向に領域A、領域B、・・・、領域Iが並べられ、縦方向にも領域A、領域B、・・・、領域Iが並べられている。
図38に示したテーブル151の記載において、例えば“KXAB”との記載のうち、“x”は、x座標を表し、“A”との表記は、初期位置を表し、“B”との表記は、指示位置を表す。すなわちこの例においては、初期位置が領域A内であり、指示位置が領域B内であるときに、指示位置のx座標に対応するゲインとして読み出されるのは、ゲインKXABであることを示している。
演算部102は、図38に示したようなテーブル151を保持し、初期位置と指示位置が入力されたとき、テーブル151の初期位置と指示位置が重なる部分に記載されているゲインを読み出す。
例えば、初期位置が領域Aであり、指示位置が領域Aである場合、ゲインKXAAとゲインKYAAが読み出される。また、例えば、初期位置が領域Aであり、指示位置が領域Dである場合、ゲインKXADとゲインKYADが読み出される。
このようなテーブル151を保持し、そのテーブル151を参照することで、演算部102はゲインの設定を行うようにしても良い。
なお、演算部102−1は、X座標に関するゲインが記載されたテーブル151を保持し、演算部102−2は、Y座標に関するゲインが記載されたテーブル151を保持するようにしても良い。
次に、制御部50aの動作について、図39のフローチャートを参照して説明する。
ステップS101において、制御部50aは、初期位置と指示位置を入力する。初期位置(x0(t),y0(t))は、演算部102−1と演算部102−2にそれぞれ供給される。また指示位置(rx(t))は、加算部101−1、演算部102−1、および演算部102−2に供給され、指示位置(ry(t))は、加算部101−2、演算部102−1、および演算部102−2に供給される。
ステップS102において、加算部101において、差分(加算)が算出される。加算部101は、指示位置から、アクチュエータ制御部104からの出力を減算することで、偏差e(t)を算出する。加算部101−1は、指示位置(rx(t))から、アクチュエータ制御部104−1からの出力(アクチュエータ制御値x(t))を減算し、偏差ex(t)を算出する。
同様に、加算部101−2は、指示位置(ry(t))から、アクチュエータ制御部104−2からの出力(アクチュエータ制御値y(t))を減算し、偏差ey(t)を算出する。
ステップS103において、演算部102は、ゲインを設定するための演算、またはテーブルからの読み出しを行う。演算部102は、上記したように、初期位置と指示位置により用いる演算式を設定し、その演算式に指示位置を代入することで、ゲインを算出する。または、上記したように、テーブル151(図38)を参照し、初期位置と指示位置が重なる欄に記載されているゲインを読み出す。
演算部102により設定されたゲインは、PID制御部103に供給される。PID制御部103は、ステップS104において、PID制御を行う。PID制御部103は、例えば、上記したように、式(1)に基づく演算を、演算部102により設定されたゲインを用いて行うことで、アクチュエータ入力値u(t)を算出する。
PID制御部103−1は、X軸方向(第1の移動方向)を制御する第1のアクチュエータ37を制御するための制御値x(t)を算出し、アクチュエータ制御部104−1に供給する。同様に、PID制御部103−2は、Y軸方向(第2の移動方向)を制御する第2のアクチュエータ43を制御するための制御値y(t)を算出し、アクチュエータ制御部104−2に供給する。
ステップS105において、アクチュエータ制御部104は、供給された制御値に基づき、それぞれの制御対象とされるアクチュエータを制御する。アクチュエータ制御部104−1は、制御値x(t)に基づき、第1のアクチュエータ37を制御し、アクチュエータ制御部104−2は、制御値y(t)に基づき、第2のアクチュエータ43を制御する。
このように、第1のアクチュエータ37や第2のアクチュエータ43が制御されることで、図30や図31を参照して説明した所定の領域で停止位置精度が低下してしまうということを防ぐことができる。
図30や図31を参照して説明したように、領域E以外の領域では、停止位置精度が保てない可能性があったが、上記したように、本実施の形態によれば、領域毎にアクチュエータの制御値が異なるようにし、領域に適した制御が行えるようにしたため、全ての領域において、停止位置精度を保った制御を行うことができる。
よって、従来、移動範囲内の停止位置精度を保てる領域のみが利用されていたため、ぶれ補正を行える範囲も限定されてしまったが、本実施の形態を適用することで、移動範囲内の全領域で停止位置精度を保つことができ、全領域を用いることができるため、ぶれ補正を行える範囲を拡大させることが可能となる。
<制御部の第2の構成、動作について>
制御部50の第2の構成と動作について説明する。第2の実施の形態における制御部50は、さらに細かい移動方向も考慮した制御が行われることが第1の実施の形態における制御部50と異なる。
図40は、移動方向の違いにより停止位置精度に差が出る可能性があることについて説明する。図40では、y座標が座標y3と座標y2の領域、例えば、領域I(図33参照)内で移動する場合を例示している。座標y3と座標y2との間に位置する座標を、座標y’とする。またここでは、X座標は変わらない移動(Y軸に沿った移動)であるとして説明を続ける。
図40中、実線で表したグラフは、指示位置の変化を表し、点線で表したグラフは、実際の動きに応じた位置の変換を表している。座標y3から座標y’に、第2の移動体12が移動する場合、付勢力P2に対して引き方向(付勢力P2と同じ方向)に移動することになる。この場合、停止位置精度は、指示位置と実際の位置(実位置)との差分で表され、図40に示した例では、“−3um”となったことが示されている。
座標y2から座標y’に、第2の移動体12が移動する場合、付勢力P2に対して押し方向(付勢力P2と逆方向)に移動することになる。この場合、停止位置精度は、指示位置と実際の位置(実位置)との差分で表され、図40に示した例では、“−1um”となったことが示されている。
このように、付勢力に対して同じ方向に移動させる場合と、異なる方向に移動させる場合とでは、停止位置精度に差が出る可能性がある。そこで、付勢力に対する移動方向をさらに考慮して制御することで、このような差が生じないように制御する。
図40を参照した説明においては、Y軸方向に沿って第2の移動体12が移動する場合を例に挙げて説明したが、X軸方向に沿って第1の移動体11が移動する場合も、同様に、停止位置精度が、付勢力P1に対して同一方向で移動するか、逆方向で移動するかにより差が生じる可能性がある。
上述した第1の実施の形態においても、例えば、初期位置が領域Aであり、指示位置が領域Fである場合、領域Aから領域Fへと移動するときの演算式が設定される(テーブルからゲインが読み出される)ため、移動方向についても考慮した制御である。
さらに第2の実施の形態においては、付勢力P1に対して平行に移動する場合や、付勢力P2に対して平行に移動する場合についても、図40を参照して説明したような理由から、その移動方向を考慮した制御が行われるようにする。
移動方向も考慮し、移動方向により制御値が異なるようにすることで、より細かな制御を行うことができる。
図41は、移動方向も考慮して制御を行う制御部50bの構成を示す図である。図41に示した第2の実施の形態における制御部50bは、図32に示した第1の実施の形態における制御部50aに、方向判定部201−1,201−2を追加した構成とされている点以外は、同様の構成であるため、同様の構成についての説明は適宜省略する。
また、演算部202は、方向判定部201からの判定結果を入力して演算を行う点が、第1の実施の形態における演算部102とは異なるため、異なる符号を付し、説明を行う。
方向判定部201−1には、初期位置のx座標(x0(t))と、指示位置のx座標(rx(t))が入力される。方向判定部201−1は、X軸方向の移動方向を判定する部分であり、初期位置のx座標(x0(t))と、指示位置のx座標(rx(t))の差分から、方向を判断する。
方向判定部201−2には、初期位置のy座標(y0(t))と、指示位置のy座標(ry(t))が入力される。方向判定部201−2は、Y軸方向の移動方向を判定する部分であり、初期位置のy座標(y0(t))と、指示位置のy座標(ry(t))の差分から、方向を判断する。
演算部202は、方向判定部201により判定された方向も考慮して演算を行う。第1の実施の形態における制御部50aの演算部102は、図34、図35を参照して説明したように、初期位置と指示位置の組み合わせ毎に、演算式を保持している。さらに、第2の実施の形態における制御部50bの演算部202は、初期位置と指示位置の組み合わせ毎に、異なる移動方向に関する演算式を保持している。
例えば、図42に示すように、指示位置のY座標が、0からy1であり、初期位置のX座標が、x1からx2のときの演算式として、付勢力に対して押し方向(付勢力と逆方向,以下、プラス(p)と記述する)のときに適用される演算式X12-1pと、付勢力に対して引き方向(付勢力と同じ方向、以下マイナス(m)と記述)のときに適用される演算式X12-1mが用意されている。
第1の実施の形態と同じく、指示位置のY座標が、0からy1であり、初期位置のX座標が、0からx1のときの演算式として、演算式X01-1pと演算式X01-1mが用意され、初期位置のX座標が、x2からx3のときの演算式として、演算式X23-1pと演算式X23-1mも用意されている。
また指示位置のY座標が、y1からy2であり、初期位置のX座標が、0からx1のときの演算式として、演算式X01-2pと演算式X01-2mが用意され、初期位置のX座標が、x1からx2のときの演算式として、演算式X12-2pと演算式X12-2mが用意され、初期位置のX座標が、x2からx3のときの演算式として、演算式X23-2pと演算式X23-2mも用意されている。
さらに指示位置のY座標が、y2からy3であり、初期位置のX座標が、0からx1のときの演算式として、演算式X01-3pと演算式X01-3mが用意され、初期位置のX座標が、x1からx2のときの演算式として、演算式X12-3pと演算式X12-3mが用意され、初期位置のX座標が、x2からx3のときの演算式として、演算式X23-3pと演算式X23-3mも用意されている。
また、Y軸方向に関しても同様に、指示位置のX座標が、0からx1であり、初期位置のY座標が、0からy1のときの演算式として、演算式Y01-1pと演算式Y01-1mが用意され、初期位置のY座標が、y1からy2のときの演算式として、演算式Y12-1pと演算式Y12-1mが用意され、初期位置のY座標が、y2からy3のときの演算式として、演算式Y23-1pと演算式Y23-1mも用意されている。
また指示位置のX座標が、x1からx2であり、初期位置のY座標が、0からy1のときの演算式として、演算式Y01-2pと演算式Y01-2mが用意され、初期位置のY座標が、y1からy2のときの演算式として、演算式Y12-2pと演算式Y12-2mが用意され、初期位置のY座標が、y2からy3のときの演算式として、演算式Y23-2pと演算式Y23-2mも用意されている。
さらに指示位置のX座標が、x2からxt13であり、初期位置のY座標が、0からy1のときの演算式として、演算式Y01-3pと演算式Y01-3mが用意され、初期位置のY座標が、y1からy2のときの演算式として、演算式Y12-3pと演算式Y12-3mが用意され、初期位置のY座標が、y2からy3のときの演算式として、演算式Y23-3pと演算式Y23-3mも用意されている。
このように、演算部202―1は、x方向のゲインを設定するための18個の演算式を保持し、演算部202―2は、y方向のゲインを設定するための18個の演算式を保持している。
なお、18個の演算式のうち、同一の演算式となる式がある場合には、1つの式として扱い、演算式の個数を減らすことも可能であり、必ずしも18個の演算式が設定されていなくても良い。
指示位置のx座標(rx(t))から初期位置のx座標(x0(t))を減算したときの値が、プラスである場合、押し方向(付勢力に対して逆方向)であると判定され、マイナスである場合、引き方向(付勢力に対して同方向)であるとして判定され、上記した18個の演算式のうち、pとの表記がされた演算式が選択される。
また、指示位置のy座標(ry(t))から初期位置のy座標(y0(t))を減算したときの値が、プラスである場合、押し方向(付勢力に対して逆方向)であると判定され、マイナスである場合、引き方向(付勢力に対して同方向)であるとして判定され、上記した18個の演算式のうち、mとの表記がされた演算式が選択される。
演算部202が、図42に示したような演算式X12-1pと演算式X12-1mを保持し、図43に示すような初期位置から、指示位置が指示されたときについて、方向判定部201と演算部202の処理について説明を加える。
図43に示したように、初期位置の座標が領域B内の(x0,y0)であり、指示方向の座標が領域B内の(xt1,y0)である場合、方向判定部201−1には、座標x0と座標xt1が供給される。方向判定部201−1は、座標xt1から座標x0を減算する。この場合、座標xt1>座標x0であるため、方向判定部201−1による演算結果は、プラスであると算出され、押し方向であると判定される。
この方向判定部201−1での判定結果、この場合、押し方向であるという判定結果は、演算部202−1に供給される。演算部202−1は、初期位置と移動方向とから、演算式を設定する。この場合、指示位置のY座標は、0からy1の間にあるため、また初期位置のX座標は、領域B内(座標x1から座標x2)の間にあるため、演算式X12-1が選択される。さらに、移動方向が、押し方向であるため、演算式X12-1pが選択される。
演算部202−1は、図44の上図に示すように、演算式X12-1に、座標xt1を代入することで、ゲインKppx2’を算出する。なお、この場合も、式(1)に基づき、PID制御部103−1が制御を行う場合、ゲインとしては、Kp,Ki、Kdの3つのゲインが算出され、それぞれのゲインを算出するための演算式が、演算部202−1には保持されている。
図43を再度参照するに、初期位置の座標が領域B内の(x0,y0)であり、指示方向の座標が領域B内の(xt2,y0)である場合、方向判定部201−1には、座標x0と座標xt2が供給される。方向判定部201−1は、座標xt2から座標x0を減算する。この場合、座標xt2<座標x0であるため、方向判定部201−1による演算結果は、マイナスであると算出され、引き方向であると判定される。
この方向判定部201−1での判定結果、この場合、引き方向であるという判定結果は、演算部202−1に供給される。演算部202−1は、初期位置と移動方向とから、演算式を設定する。この場合、指示位置のY座標は、0からy1の間にあるため、また初期位置のX座標は、領域B内(座標x1から座標x2)の間にあるため、演算式X12-1が選択される。さらに、移動方向が、引き方向であるため、演算式X12-1mが選択される。
演算部202−1は、図44の下図に示すように、演算式X12-1mに、座標xt2を代入することで、ゲインKpmx2’を算出する。
このように、移動方向が、押し方向(プラス)である場合と引き方向(マイナス)である場合とで異なる演算式が用いられるため、ゲインの値も異なる値となる。この場合、ゲインKppx2’とゲインKpmx2’は、異なる値である。
方向判定部201−2と演算部202−2も、Y座標に関して、方向判定部201−1と演算部202−1と同様の処理を行う。
第2の実施の形態における演算部202も、第1の実施の形態における演算部102と同じく、テーブルを保持し、テーブルを参照することでゲインを読み出すようにすることもできる。テーブルとしては、例えば、図45に示したようなテーブル251が保持される。
図45に示したテーブル251は、図38に示したテーブル151と同じく、横方向に初期位置が並べられ、縦方向に指示位置が並べられているテーブルとされている。テーブル251は、横方向に領域A、領域B、・・・、領域Iが並べられ、縦方向にも領域A、領域B、・・・、領域Iが並べられている。また、テーブル251は、移動方向毎にゲインが書き込まれるテーブルとされている。
図45に示したテーブル251の記載において、例えば“KXAB+-”との記載のうち、“x”は、x座標を表し、“A”との表記は、初期位置を表し、“B”との表記は、指示位置を表し、“+”との表記は、x軸方向でプラス側(移動位置から初期位置を減算したときの値がプラス)に移動する場合を表し、後ろに記載されている“-”との表記は、Y軸方向でマイナス側(移動位置から初期位置を減算したときの値がマイナス)に移動する場合を表す。
演算部202は、図45に示したようなテーブル251を保持し、初期位置、指示位置、方向(プラスまたはマイナス)が入力されたとき、テーブル251の初期位置、指示位置、方向が重なる部分に記載されているゲインを読み出す。
例えば、初期位置が領域Aであり、指示位置が領域Aであり、x座標がプラスの方向に移動し、y座標がプラスの方向に移動する場合、ゲインKXAA++とゲインKYAA++が読み出される。また初期位置が領域Aであり、指示位置が領域Aであり、x座標がプラスの方向に移動し、y座標がマイナスの方向に移動する場合、ゲインKXAA+-とゲインKYAA+-が読み出される。
テーブル251には、移動方向として検出されない欄には、ゲインは記載されていない。例えば、初期位置が領域A内であり、指示位置が領域E内である場合、図43を参照するに、領域Aと領域Eの位置関係から、領域Aから領域Eへの移動は、x座標とy座標、ともにプラス方向での移動しかないため、テーブル251には、ゲインKXAE++とゲインKyAE++だけが記載され、ゲインKXAE+-やゲインKXAE−などは記載されない。
このようなテーブル251を保持し、そのテーブル251を参照することで、演算部202はゲインの設定を行うようにしても良い。
次に、制御部50bの動作について、図46のフローチャートを参照して説明する。
ステップS201において、初期位置と指示位置が制御部50bに入力される。ステップS202において、入力された初期位置と指示位置を用いて、加算部101において、差分(偏差)が求められる。このステップS201,S202の処理は、図39に示したフローチャートのステップS101,S102と同様の処理である。
ステップS203において、方向判定部201により、移動方向の判定が行われる。この判定は、上記したように、指示位置から初期位置を減算することで算出された値が、プラスになるか、マイナスのなるかを判定することで行われる。方向判定部201による判定結果(プラスであるという情報、またはマイナスであるという情報)は、演算部202に供給される。
ステップS204において、演算部202は、演算によりゲインを算出するか、またはテーブルを参照することでゲインを読み出す。ステップS204における処理は、図39に示したフローチャートのステップS103と同様の処理であるが、方向(プラスまたはマイナス)の情報も用いられて、演算式が設定される、またはテーブルから該当するゲインが読み出される点が異なる。
ステップS205,S206の処理は、図39に示したフローチャートのステップS104,S105と同様の処理であるため、その説明は省略する。
このように、第1のアクチュエータ37や第2のアクチュエータ43が制御されることで、図30や図31を参照して説明した所定の領域で停止位置精度が低下してしまうということを防ぐことができる。
図30や図31を参照して説明したように、領域E以外の領域では、停止位置精度が保てない可能性があったが、上記したように、本実施の形態によれば、領域毎にアクチュエータの制御値が異なるようにし、領域に適した制御が行えるようにしたため、全ての領域において、停止位置精度を保った制御を行うことができる。
さらに移動方向も判定し、移動方向が、付勢力に対して同方向であるか逆方向であるかにより、異なる制御値を算出し、アクチュエータを制御するため、移動位置までの移動をより精度良く行うことが可能となる。
よって、従来、移動範囲内の停止位置精度を保てる領域のみが利用されていたため、ぶれ補正を行える範囲も限定されてしまったが、本実施の形態を適用することで、移動範囲内の全領域で停止位置精度を保つことができ、全領域を用いることができるため、ぶれ補正を行える範囲を拡大させることが可能となる。
<制御部の第3の構成、動作について>
制御部50の第3の構成と動作について説明する。第3の実施の形態における制御部50の構成と動作においては、アクチュエータを駆動させるための駆動電圧も考慮した制御が行われることが第1の実施の形態または第2の実施の形態における制御部50と異なる。
図47に示したように、第2の移動体12が移動する場合を考える。図47に示したように、第2の移動体12が、Y軸方向に沿って移動する場合、同一の駆動電圧で第2のアクチュエータ43を制御すると、移動している領域によっては、付勢力P2の影響で、同一の制御を行えない可能性がある。例えば、同一の駆動電圧で第2のアクチュエータ43を制御した場合、付勢力P2の影響が弱い領域では移動速度が速く、付勢力P2の影響が強い領域では移動速度が遅くなるといった違いが出る可能性がある。
そこで、図48に示したように、領域により第2のアクチュエータ43の駆動電圧を変えて、第2のアクチュエータ43が制御されるようにしても良い。図48を参照するに、Y座標が0からy1の範囲の場合、駆動電圧Vpy1で第2のアクチュエータ43が制御されるようにし、Y座標がy1からy2の範囲の場合、駆動電圧Vpy2で第2のアクチュエータ43が制御されるようにし、Y座標がy2からy3の範囲の場合、駆動電圧Vpy3で第2のアクチュエータ43が制御されるようにする。
第1のアクチュエータ37を制御する駆動電圧も、第2のアクチュエータ43を制御する駆動電圧と同じく、領域毎に異なる駆動電圧で制御される。
このように、領域毎に、異なる駆動電圧でアクチュエータが駆動されることで、領域毎に移動速度が異なるといったようなことが発生することなく、均一的な制御を行うことが可能となる。
図48に示したような駆動電圧の設定は、上記したゲインの設定の場合と同じく、図48に示したようなグラフが得られる演算式を用いて設定されるようにしても良いし、テーブルが参照されることで設定されるようにしても良い。また上記したゲインの設定の場合と同じく、初期位置の領域毎に、異なる演算式が用いられるようにしても良い(複数の演算式が用意されているようにしても良い)。
アクチュエータの駆動電圧を、第1の移動体11または第2の移動体12が移動する領域に依存して設定されるようにすることで、より細かな制御を行うことができる。
図49は、アクチュエータの駆動電圧も考慮して制御を行う制御部50cの構成を示す図である。図49に示した第3の実施の形態における制御部50cは、図41に示した第2の実施の形態における制御部50bに、電圧制御部301−1,301−2を追加した構成とされている点以外は、同様の構成であるため、同様の構成についての説明は適宜省略する。
電圧制御部301−1は、演算部202−1からの指示に基づき、アクチュエータの駆動電圧を切り替える。演算部202−1は、ゲインの設定と同じく、初期位置と指示位置により演算式を設定し、その設定された演算式に基づき駆動電圧値を算出し、その算出した駆動電圧値を、電圧制御部301−1に供給する。
または演算部202−1は、ゲインの設定と同じく、テーブルを参照し、初期位置と指示位置から該当する駆動電圧値を読み出し、その読み出した駆動電圧値を、電圧制御部301−1に供給する。
電圧制御部301−1は、供給された駆動電圧値で、アクチュエータが制御されるように、アクチェエータ制御部104−1に対して指示を出す。アクチュエータ制御部104−1は、指示された駆動電圧値で、第1のアクチュエータ37を制御する。
同じく電圧制御部301−2は、演算部202−2からの指示に基づき、アクチュエータの駆動電圧を切り替える。演算部202−2は、ゲインの設定と同じく、初期位置と指示位置により演算式を設定し、その設定された演算式に基づき駆動電圧値を算出し、その算出した駆動電圧値を、電圧制御部301−2に供給する。
または演算部202−2は、ゲインの設定と同じく、テーブルを参照し、初期位置と指示位置から該当する駆動電圧値を読み出し、その読み出した駆動電圧値を、電圧制御部301−2に供給する。
電圧制御部301−2は、供給された駆動電圧値で、アクチュエータが制御されるように、アクチェエータ制御部104−2に対して指示を出す。アクチュエータ制御部104−2は、指示された駆動電圧値で、第2のアクチュエータ43を制御する。
演算部202がテーブルを参照することで、駆動電圧値を設定する場合、そのテーブルは、図50に示すようなテーブル351とすることができる。
図50に示したテーブル351は、図45に示した第2の実施の形態におけるテーブル251に、駆動電圧値が加えられたテーブルとされている。例えば、初期位置が領域Aであり、指定位置が領域Aである場合、駆動電圧値VAAが読み出される。また例えば、初期位置が領域Aであり、指定位置が領域Bである場合、駆動電圧値VABが読み出される。
このように、初期位置と指定位置とから、駆動電圧値が設定される。
なおここでは、第1の移動体11または第2の移動体12の移動方向にかかわらず、同一の駆動電圧が設定される例を示したが、移動方向により、異なる駆動電圧が設定されるようにしても良い。
例えば、図50に示したテーブル351では、初期位置と指示位置が領域Aである場合、ゲインとして、ゲインKXAA++、ゲインKXAA+-、ゲインKXAA-+、ゲインKXAA−が設定され、これらの4つのゲインに対して、1つの駆動電圧値VAAが関連付けられている。
このような場合、ゲインKXAA++に対して駆動電圧値VAA++、ゲインKXAA+-に対して駆動電圧値VAA+-、ゲインKXAA-+に対して駆動電圧値VAA-+、ゲインKXAA--対して駆動電圧値VAA--が関連付けられているようにしても良い。
またここでは、第2の実施の形態における制御部50bに対して、駆動電圧値を設定する機能(電圧制御部301)を追加した場合を例に挙げて説明したが、第1の実施の形態における制御部50aに対して、駆動電圧値を設定する機能(電圧制御部301)を追加しても良い。
次に、制御部50cの動作について、図51のフローチャートを参照して説明する。
ステップS301乃至S305の処理は、図46に示したフローチャートのステップS201乃至S205と同様の処理であるため、その説明は省略する。
ステップS305までの処理で、PID制御部103により、初期位置と指定位置に基づくゲインで算出されたアクチュエータを制御するための制御値が、アクチュエータ制御部104に供給されている。
ステップS306において、演算部202により駆動電圧値が設定され、その設定された駆動電圧値が、電圧制御部301に供給される。そして電圧制御部301は、設定された駆動電圧値でアクチュエータを制御するように、アクチュエータ制御部104に指示を出す。
ステップS307において、アクチュエータ制御部104は、PID制御部103からの制御値と、電圧制御部301からの駆動電圧値に基づき、アクチュエータ(第1のアクチュエータ37または第2のアクチュエータ43)を制御する。
このように、第1のアクチュエータ37や第2のアクチュエータ43が制御されることで、図30や図31を参照して説明した所定の領域で停止位置精度が低下してしまうということを防ぐことができる。
図30や図31を参照して説明したように、領域E以外の領域では、停止位置精度が保てない可能性があったが、上記したように、本実施の形態によれば、領域毎にアクチュエータの制御値が異なるようにし、領域に適した制御が行えるようにしたため、全ての領域において、停止位置精度を保った制御を行うことができる。
また移動方向も判定するようにした場合(第2の実施の形態と組み合わせた場合)、移動方向が、付勢力に対して同方向であるか逆方向であるかにより、異なる制御値を算出し、アクチュエータを制御するため、移動位置までの移動をより精度良く行うことが可能となる。
さらに、アクチュエータを制御する駆動電圧値を、移動する領域により異なるようにする、換言すれば、移動方向が、付勢力に対して同方向であるか逆方向であるかにより、異なる駆動電圧値が設定されるようにし、アクチュエータを制御するため、移動位置までの移動をより精度良く、均一的に行うことが可能となる。
よって、従来、移動範囲内の停止位置精度を保てる領域のみが利用されていたため、ぶれ補正を行える範囲も限定されてしまったが、本実施の形態を適用することで、移動範囲内の全領域で停止位置精度を保つことができ、全領域を用いることができるため、ぶれ補正を行える範囲を拡大させることが可能となる。
なお、上記した制御部50で制御される第1のアクチュエータ37と第2のアクチュエータ43は、超音波モーター、ボイスコイルモーター、ステッピングモーター、DC(Direct-Current)モーターなどを用いたアクチュエータ、または形状記憶合金のワイヤーを用いたアクチュエータとすることができる。
また、第1のアクチュエータ37または第2のアクチュエータ43からの駆動を、第1の移動体11または第2の移動体12に伝達するための伝達駆動機構としては、CAM機構、ワイヤサスペンション機構、ラックアンドピニオン機構、ベルト機構などを適用することができる。
本技術は、上記したように、ぶれ補正を行うぶれ補正装置9に適用することができるが、ぶれ補正以外の技術に適用することもできる。例えば、本技術を、超解像技術に適用することもできる。
超解像技術とは、画素ずらしにより解像度を高める技術であり、例えば、センサシフトの手ぶれ補正機構を使って、画素ずらしを行うことで実現することができる。
センサシフトの手振れ補正機構を用いた技術としては、手ブレ補正に用いるセンサシフトの機構を応用し、1画素ずつセンサを動かすことで、4枚の画像を撮影し、各画素の位置でRGBそれぞれの色情報を得る。
この技術により、出力サイズは通常撮影と同じだが、画像の尖鋭感や質感再現を向上することができる。またこの技術によれば、疑似的にRGBの3層のカラーセンサを再現したものとすることができる。
また、0.5ピクセル単位でセンサを動かしながら、8回の撮影した画像をもとに40Mセンサ相当の高解像写真を生成する技術にも適用できる。この技術によれば、美術品や風景など、より高解像の写真が求められるシーンに適したハイレゾショット機能を実現できる。
このようなセンサシフトに対して、上記した本技術を適用し、センサをずらしながら撮影が行われるようにすることも可能である。本技術を適用することで、センサシフトのシフトできる範囲を拡大し、精度良くシフトさせることが可能となる。
<記録媒体について>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
図52は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503は、バス504により相互に接続されている。バス504には、さらに、入出力インタフェース505が接続されている。入出力インタフェース505には、入力部506、出力部507、記憶部508、通信部509、及びドライブ510が接続されている。
入力部506は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部507は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部508は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部509は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ510は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア511を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記憶部508に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース505及びバス504を介して、RAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU501)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア511に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア511をドライブ510に装着することにより、入出力インタフェース505を介して、記憶部508にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部509で受信し、記憶部508にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM502や記憶部508に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
<内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
図53は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図53では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
図54は、図53に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図55は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図55に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モーター等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図55の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
図56は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図56では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図56には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバーが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバーに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
少なくとも2方向に移動する移動体と、
前記移動体の移動を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記移動体の初期位置と指示位置とに基づき、前記移動体の移動を制御するための制御値を設定する
制御装置。
(2)
前記制御値を設定するためのパラメータを、前記初期位置と前記指示位置に基づき設定する
前記(1)に記載の制御装置。
(3)
前記制御部は、前記初期位置、前記指示位置、および前記パラメータが関連付けられているテーブルを保持し、前記移動体の前記初期位置と前記指示位置に対応する前記パラメータを、前記テーブルを参照して読み出す
前記(2)に記載の制御装置。
(4)
前記移動体が移動可能な範囲を、複数の領域に分割し、前記テーブルは、前記初期位置の領域、前記指示位置の領域、および前記パラメータが関連付けられているテーブルである
前記(3)に記載の制御装置。
(5)
前記移動体の移動方向を判定する判定部をさらに備え、
前記テーブルは、前記初期位置、前記指示位置、および前記移動方向から、一意に前記パラメータが設定されるテーブルとされている
前記(3)または(4)に記載の制御装置。
(6)
前記テーブルには、前記初期位置と前記指示位置に関連付けられた前記移動体を駆動させる駆動電圧値も記載され、
前記制御部は、前記初期位置と前記指示位置に基づき設定される前記駆動電圧値で前記移動体の駆動を制御する
前記(3)乃至(5)のいずれかに記載の制御装置。
(7)
前記パラメータは、PID制御、またはPI制御が制御を行うときのゲインパラメータであり、前記PID制御または前記PI制御による制御の結果、前記移動体の移動を制御する制御値が算出される
前記(2)乃至(6)のいずれかに記載の制御装置。
(8)
前記制御部は、前記初期位置と前記指示位置の組み合わせによる演算式を保持し、前記移動体の前記初期位置と前記指示位置に対応する前記演算式を設定し、設定された演算式による演算で、前記パラメータを設定する
前記(2)に記載の制御装置。
(9)
前記移動体が移動可能な範囲を、複数の領域に分割し、前記演算式は、前記初期位置の領域と前記指示位置の領域に関連付けられた演算式である
前記(8)に記載の制御装置。
(10)
前記移動体の移動方向を判定する判定部をさらに備え、
前記演算式は、前記初期位置、前記指示位置、および前記移動方向から設定される
前記(8)または(9)に記載の制御装置。
(11)
前記制御部は、前記初期位置と前記指示位置に基づき前記移動体を駆動させる駆動電圧値を算出する演算式をさらに保持し、
前記初期位置と前記指示位置に基づき設定された前記演算式に、前記指示位置を代入することで前記駆動電圧値を算出し、算出された前記駆動電圧値で前記移動体の駆動を制御する
前記(8)乃至(10)のいずれかに記載の制御装置。
(12)
前記パラメータは、PID制御、またはPI制御が制御を行うときのゲインパラメータであり、前記PID制御または前記PI制御による制御の結果、前記移動体の移動を制御する制御値が算出される
前記(8)乃至(11)のいずれかに記載の制御装置。
(13)
前記制御部は、前記移動体の第1の移動方向における前記初期位置と、第2の移動方向における前記指示位置とに基づき、前記演算式を選択し、選択した演算式に、前記第1の移動方向における前記指示位置を代入することで、前記パラメータを算出する
前記(8)乃至(12)のいずれかに記載の制御装置。
(14)
前記移動体は、
ベース体に対して第1の移動方向へ移動可能にされた第1の可動体と、
前記第1の可動体を挟んで前記ベース体の反対側に位置されると共に前記第1の可動体に対して前記第1の移動方向とは異なる第2の移動方向へ移動可能にされた第2の可動体と、
前記第2の可動体にそれぞれ駆動力を付与する第1の駆動体及び第2の駆動体と
を備え、
前記第1の駆動体又は前記第2の駆動体の少なくとも一方の駆動力によって前記第1の可動体と前記第2の可動体が一体になって前記ベース体に対して前記第1の移動方向へ移動され、
前記第1の駆動体又は前記第2の駆動体の少なくとも一方の駆動力によって前記第2の可動体が前記第1の可動体に対して前記第2の移動方向へ移動される
構成を有する
前記(1)乃至(13)のいずれかに記載の制御装置。
(15)
前記制御部は、ぶれを補正する制御を行う
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の制御装置。
(16)
前記制御部は、センサを移動することで複数枚の画像を撮像するときの前記センサの移動を制御する
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の制御装置。
(17)
少なくとも2方向に移動する移動体を制御する制御装置が、
前記移動体の初期位置と指示位置とに基づき、前記移動体の移動を制御する
制御方法。
(18)
少なくとも一つのレンズを有するレンズユニットと、
前記レンズを介して取り込まれる光学像を光電変換する撮像素子と、
前記光学像の像ぶれを補正するぶれ補正装置と
を備え、
前記ぶれ補正装置は、
少なくとも2方向に移動する移動体と、
前記移動体の初期位置と指示位置とに基づき、前記移動体の移動を制御するための制御値を設定する制御部と
を備える
撮像装置。