JPWO2018230567A1 - 光学フィルタシステム - Google Patents

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Abstract

本発明は、信頼性の高い光学フィルタシステムを提供することを目的とする。本発明の光学フィルタシステムは、ファブリペロー干渉フィルタ(1)と、ファブリペロー干渉フィルタを制御するコントローラ(51)と、を備える。ファブリペロー干渉フィルタ(1)は、第1ミラー部(31)と、第2ミラー部(32)と、第1ミラー部(31)に設けられた第1駆動電極(12)及び第1モニタ電極(13)と、第2ミラー部(32)に設けられた第2駆動電極(14)及び第2モニタ電極(15)、を備える。コントローラ(51)は、第1モニタ電極(13)と第2モニタ電極(15)との間に交流電流が印加されている際に第1モニタ電極(13)と第2モニタ電極(15)との間に発生する交流電圧に基づいて第1ミラー部(31)と第2ミラー部(32)との間の静電容量を算出する制御部(55)を備える。

Description

本開示は、ファブリペロー干渉フィルタを備える光学フィルタシステムに関する。
従来、空隙を介して互いに向かい合うように配置され、互いの間の距離が静電気力により調整される一対のミラー部を備えるファブリペロー干渉フィルタが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2015−004886号公報
上述したようなファブリペロー干渉フィルタでは、一般に、印加電圧の制御により一対のミラー部の間の距離が調整される。しかし、その場合、「引き込み(Pull−in)」現象が生じるおそれがある。引き込み現象では、ミラー部が互いに引力を及ぼし合い、ミラー部同士が機械的に強固に接触することでファブリペロー干渉フィルタに不具合が引き起こされるおそれがある。これに対し、ミラー部間に蓄えられる電荷量に基づく制御を採用して引き込み現象を回避することが考えられるが、信頼性の観点から更なる改善が求められる。
本開示の一側面は、信頼性の高い光学フィルタシステムを提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る光学フィルタシステムは、ファブリペロー干渉フィルタと、ファブリペロー干渉フィルタを制御するコントローラと、を備え、ファブリペロー干渉フィルタは、第1ミラー部と、空隙を介して第1ミラー部と向かい合うように配置され、光透過領域における第1ミラー部との間の距離が静電気力により調整される第2ミラー部と、第1ミラー部と第2ミラー部とが互いに向かい合う方向から見た場合に、光透過領域を囲むように第1ミラー部に設けられた第1駆動電極と、第1駆動電極と向かい合うように第2ミラー部に設けられた第2駆動電極と、上記方向から見た場合に少なくとも一部が光透過領域と重なるように第1ミラー部に設けられ、第1駆動電極から電気的に絶縁された第1モニタ電極と、第1モニタ電極と向かい合うように第2ミラー部に設けられ、第2駆動電極から電気的に絶縁された第2モニタ電極と、を備え、コントローラは、第1駆動電極と第2駆動電極との間に駆動電流を印加することにより静電気力を発生させる第1電流源と、第1ミラー部及び第2ミラー部の共振周波数よりも高い周波数を有する交流電流を第1モニタ電極と第2モニタ電極との間に印加する第2電流源と、交流電流の印加中に第1モニタ電極と第2モニタ電極との間に発生する交流電圧を検出する検出部と、第1ミラー部と第2ミラー部との間に蓄えられる電荷量に基づいて第1電流源を制御すると共に、検出部の検出結果に基づいて第1ミラー部と第2ミラー部との間の静電容量を算出する制御部と、を備える。
この光学フィルタシステムでは、ファブリペロー干渉フィルタが、第1駆動電極及び第2駆動電極に加えて、第1モニタ電極及び第2モニタ電極を備えている。そして、第1ミラー部及び第2ミラー部の共振周波数よりも高い周波数を有する交流電流が第1モニタ電極と第2モニタ電極との間に印加されている際に第1モニタ電極と第2モニタ電極との間に発生する交流電圧に基づいて、第1ミラー部と第2ミラー部との間の静電容量が算出される。これにより、当該静電容量に基づいてミラー部間の距離を算出することができ、ファブリペロー干渉フィルタの動作中にミラー部間の実際の距離をモニタすることができる。更に、第1モニタ電極は、第1ミラー部と第2ミラー部とが互いに向かい合う方向から見た場合に少なくとも一部が光透過領域と重なるように第1ミラー部に設けられ、第1駆動電極から電気的に絶縁されており、第2モニタ電極は、第1モニタ電極と向かい合うように第2ミラー部に設けられ、第2駆動電極から電気的に絶縁されている。これにより、第1モニタ電極及び第2モニタ電極を第1駆動電極及び第2駆動電極から独立させることができる。その結果、ミラー部間の静電容量をより好適に算出することができ、ひいてはミラー部間の距離をより好適にモニタすることができる。したがって、この光学フィルタシステムによれば、信頼性を高めることができる。
本開示の一側面に係る光学フィルタシステムでは、第1駆動電極は、空隙に露出していてもよい。この場合、第1駆動電極を第2駆動電極に近づけることができ、ミラー部間に静電気力を好適に発生させることができる。
本開示の一側面に係る光学フィルタシステムでは、第2駆動電極は、第2ミラー部の空隙とは反対側の表面に配置されていてもよい。この場合、第2駆動電極の形成工程を容易化することができる。
本開示の一側面に係る光学フィルタシステムでは、第2駆動電極は、空隙に露出してもよい。この場合、第2駆動電極を第1駆動電極に近づけることができ、ミラー部間に静電気力をより一層好適に発生させることができる。
本開示の一側面に係る光学フィルタシステムでは、第1モニタ電極は、空隙に露出していてもよい。この場合、第1モニタ電極を第2モニタ電極に近づけることができ、ミラー部間の距離をより一層好適にモニタすることができる。
本開示の一側面に係る光学フィルタシステムでは、第2モニタ電極は、空隙に露出していてもよい。この場合、第2モニタ電極を第1モニタ電極に近づけることができ、ミラー部間の距離をより一層好適にモニタすることができる。
本開示の一側面に係る光学フィルタシステムでは、第2モニタ電極は、第2ミラー部の空隙とは反対側の表面に配置されていてもよい。この場合、第2モニタ電極の形成工程を容易化することができる。
本開示の一側面に係る光学フィルタシステムでは、第2駆動電極と第2モニタ電極とは、上記方向において互いに離間していてもよい。この場合、第2駆動電極と第2モニタ電極との間の電気的な絶縁性を向上することができる。
本開示の一側面によれば、信頼性の高い光学フィルタシステムを提供することができる。
図1は、一実施形態に係る光学フィルタシステムが備えるファブリペロー干渉フィルタの平面図である。 図2は、図1のII−II線に沿ってのファブリペロー干渉フィルタの断面図である。 図3は、図1のIII−III線に沿ってのファブリペロー干渉フィルタの断面図である。 図4は、第1駆動電極及び第1モニタ電極が形成されたポリシリコン層を模式的に示す平面図である。 図5は、光学フィルタシステムの構成図である。 図6(a)及び図6(b)は、第1変形例に係るファブリペロー干渉フィルタの断面図である。 図7(a)及び図7(b)は、第2変形例に係るファブリペロー干渉フィルタの断面図である。 図8(a)及び図8(b)は、第3変形例に係るファブリペロー干渉フィルタの断面図である。 図9(a)及び図9(b)は、第4変形例に係るファブリペロー干渉フィルタの断面図である。 図10(a)及び図10(b)は、第5変形例に係るファブリペロー干渉フィルタの断面図である。 図11は、微小機械加工MEMS/MOEMS平行極板コンデンサの簡略図である。説明を簡単にするために、一方の極板103が極板に垂直の方向に動き(自由度104)、それによって極板103、105の間の間隔dを変えることができる。可動極板103は、ばね定数Dによって特徴づけられたばね102によって適所に保持される。ばね102は、第2のコンデンサ極板105と同様に、機械的固定具101に取り付けられる。極板間に何ら外力を加えることがなければ、極板間の間隔は機械ゼロ力間隔dに等しい(ここでは重力の影響を無視する)。 図12は、図11と同じシステムの略図である。間隔dを変えるには、現状技術では、制御電圧Vをコンデンサの電極線106に印加し、極板間の間隔をばね102の伸長によって変化させる。図11及び図12は、後述する式6及び式7によって記述された状況を示す。 図13は、制御電圧Vと生じる間隔dとの間の典型的な曲線の例のグラフである。計算は次のパラメータ、すなわち、面積A=3.85×10−7、及びばね定数D=2.35×10N/mを用いて行われた。低い電圧では、間隔は徐々に減少している。大きい電圧では、間隔は、後述する式10が与える間隔で「引き込み」現象が起きるまで、次第に速く変化している(説明については以下の文及び次の図を参照)。 図14は、図13と同じパラメータを用いた例のグラフである。システムの挙動及びシステムへの影響は、電圧による制御を電荷量による制御に置き換えると劇的に変わる。システムの制御が電荷量によって行われる場合、ずっと広い間隔範囲に何の「引き込み」現象もなく対処することができる。図11及び図12に概略的に示されたシステムでは、間隔dは、蓄えられた電荷の二乗であるQに対して直線的に変化している。図14は、図11及び図12によって特徴づけられたシステムにおいて、どの電荷量Qがどの間隔dをもたらすかを示す。この関係d(Q)には曖昧性が何もなく、したがってこの関数は、後述する式8によって行われたように、Q(d)を与えるように容易に変換することができる。 図15は、「生じる電圧」に対する間隔dを示すグラフである。グラフは次のようにして理解されなければならない。すなわち、MEMS/MOEMSコンデンサ極板が、電荷Q(d)によって生成された力を受けて新しい平衡間隔dまで移動した後に、この電荷Q(d)は、後述する式9が与える電圧V(d)を生成する。以下のことが見て取れるのは興味深い。1.電圧V(d)は間隔dの関数として最大値Vmaxを示し、2.電圧が最大電圧Vmax未満にとどまる限り、1つの所与の電圧Vに対して間隔dの複数の安定解がある。電圧VがVmaxを超える場合には、もはやdの安定解はない。この状況は、電圧の関数としてdの条件を記述する後述の式6が3次の式であり、パラメータVに応じて、0個、1個、2個、又は3個の解があることに起因する。少なくともこの図は、図14の電荷量とは異なり、電圧がこのシステムのためのよく適した制御パラメータではないことを示す。その理由は、1つの電圧V<Vmaxに対し複数の安定した間隔dがあり、Vmaxに向かって(後述する式10が与える間隔それぞれにおいて)勾配∂d/∂Vが無限大に発散しており、またVmaxよりも上では、安定した間隔値が突然もはやなくなり、これにより、制御電圧がVmaxを超えるとシステムが不定のままになるからである。 図16は、容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を有するMEMS/MOEMSシステムのコンデンサに制御パラメータとして印加された電荷量Qに対して、生じる電圧Vを示すグラフである。生じる電圧は、値がVmaxである最大値203を有することに留意されたい。第2の開示は、Qに対して生じるVの少なくともこのような1つの最大値を有する、すべてのMEMS/MOEMSアクチュエータコンデンサシステムに関する。曲線の枝部201における動作は、電圧制御によって適切に制御することができる。枝部202における動作点は、次の図の説明で述べる理由のために、電圧制御によって対処することができない。しかし、枝部202における動作点は、適した制御として電荷量を使用することによって設定することができる。 図17は、図14と図16を合わせた、電圧制御を使用する標準的な動作を示すグラフである。制御電圧205が、「生じる電圧V(Q)」が低い動作点204に至るように印加される場合、この電圧差は電流をもたらし、この電流は、制御電圧205と生じる電圧206とが等しくなるまで、生じる電圧を増加させる。Qに対する曲線Vの枝部201の動作点だけが、こうしてアクセス可能である。 図18は、図14と図16を合わせた、アクチュエータの電圧制御を使用するときに「引き込み」現象が生じる状況を示すグラフである。制御電圧レベル205が、最大の生じる電圧Vmax203を超える場合、この電圧差は、電荷量Qを増加させる電流をもたらす。増加する電荷Qと同様に、生じる電圧は、アクチュエータの静電容量の急速な増加により降下し、電流もまた増加し、生じる電圧V(Q)はさらに降下する。これは、間隔がゼロになる暴走現象をまねく。 図19は、図14と図16を合わせた、アクチュエータコンデンサをリセットすることに関連した状況を示すグラフである。アクチュエータは、電荷制御の方法によって曲線V(Q)の枝部202上の動作点204へ動いており、それによって、電荷量Qに充電され、次に、電極106が電流源から切り離されることになる。アクチュエータを特定の電圧レベルにリセットするために、動作点204で生じる電圧V(Q)よりも低い制御電圧205が印加される。その電圧差により、生じる電流はアクチュエータコンデンサにおける電荷Qを減少させる。動作点は、点203に対する204から、制御リセット電圧Voがアクチュエータコンデンサの生じる電圧V(Q)に等しくなる最終点206まで動く。この過程において、システムが動作点204から203に移動するときに、電圧差が増加することに留意されたい。このリセット中、電圧差の符号は同じままである。リセット点206は、曲線V(Q)の枝部201上になければならない。結論として、リセット電圧205が、リセットされるべき動作点で生じる電圧V(Q)よりも小さい限り、電圧制御リセットによって動作点204をリセットすることは可能である。 図20は、図14と図16を合わせた、アクチュエータコンデンサをリセットすることに関連した状況を示す図である。リセット電圧レベル205が、リセットされるべき曲線Q(V)の枝部202上の動作点204で生じる電圧V(Q)よりも大きい場合、その電圧差の符号により、電荷Qを増加させる電流の流れが生じる。次いで、生じる電圧が減少し、暴走「引き込み」現象が開始する。結論として、枝部202上の動作点では、アクチュエータコンデンサの実際の生じる電圧V(Q)よりも高いどの制御電圧でも「引き込み」現象を引き起こす。リセット過程は、リセット前の条件Vreset<V(Q)のもとでのみ可能になる。 図21は、簡単であるが実施可能な「電荷制御」回路を示す図である。左側のコンデンサ「A」110は、極板103、105間の間隔dが可変であるMEMS/MOEMSアクチュエータコンデンサである。スイッチ「S1」112が切断されている限り、ずっと小さい静電容量Cを有する第2のコンデンサ「B」111は、スイッチ「S2」113を閉じることによって、図15の最大電圧よりも高い電圧V114で充電することができる。この時間中(「スイッチ「S1」112を閉じる前」)、コンデンサ「A」の電圧115が測定される。次に、コンデンサ「B」111が電圧源V114からスイッチ「S2」113によって切り離され、コンデンサ「A」110とコンデンサ「B」111がスイッチ「S1」112によって接続される。コンデンサ「A」110及びコンデンサ「B」111(又は、スイッチ「S1」112を再び切断した後ではコンデンサ「A」だけ)で生じる電圧Vが測定される(「スイッチ「S1」112を開いた後に」)。総電荷量(それぞれ移転された電荷量)は、既知の静電容量Cと、電圧Vと、コンデンサ「B」を接続する前のコンデンサ両端間電圧Vとから計算することができる。したがって、総電荷Q及び生じる電圧Vが分かっていれば、MEMS/MOEMSアクチュエータの実際の静電容量Cを算出すること、及び、(実効面積Aが分かっていることにより)極板間の間隔dも算出することが可能になる。すなわち、総Qを制御し、生じるVを測定することによって、「静的」容量測定により実際の間隔dを算出することが可能である。 図22は、第2の開示による静電アクチュエータ制御システムの概略図である。 図23は、平行極板静電アクチュエータの典型的な挙動を示すグラフであり、アクチュエータ両端間の電圧が、アクチュエータ電極に堆積された総電荷の関数として示されている。 図24は、平行極板静電アクチュエータの実効静電容量の典型的な挙動を示し、総電荷Qの関数としての電圧Vの1次導関数dQ/dVが示されているグラフである。 図25は、静電アクチュエータを通る双方向電流Iの流れを制御電圧Vによって設定できるバイポーラ電流源の一例を示す図である。この回路は、ハウランド電流ポンプとして知られている。 図26は、静電アクチュエータを通る双方向電流Iの流れを制御電圧Vによって設定できるバイポーラ電流源の別の例を示す図である。この回路は、相互コンダクタンス増幅器として知られている。 図27は、図22に示された、デジタルコントローラシステム(μC)によって操作される静電アクチュエータコントローラから成る、静電アクチュエータ用の完全な制御システムを示す図である。 図28は、スイッチの数が減っている、第2の開示による静電アクチュエータ制御システムを示す概略図である。 図29は、HF静電容量測定のための小信号AC電流注入源を含む、第2の開示による静電アクチュエータ制御システムを示す概略図である。 図30は、少なくとも1つの可動ばね付き電極を備えたMEMS/MOEMS容量性構造体の簡単なモデルとしての、平行極板コンデンサが簡略化された場合の状況を示すグラフである。アクチュエータは、第2の開示に従って電荷量を制御することによって駆動される。制御電荷量が増加すると、生じる電圧V(Q)は、電極間のより小さい間隔dに向けてアクチュエータの容量が急速に増加することにより、最大値203を示す。 図31は、第2の開示による静電アクチュエータ制御システムの概略図を示す。スイッチ312によって切換え可能な電流源311は、少なくとも1つの可動電極を備えたアクチュエータの容量310に接続される。生じる電圧は、スイッチ314によって接続又は切断できる電圧測定システム313によって測定することができる。スイッチ315により、コンデンサ310の電荷をゼロレベルにリセットすることが可能となる。 図32は、実際のコンデンサの等価回路を考慮に入れたときの図31の静電アクチュエータ制御システムを示す図である。分離抵抗Rleak 320、等価直列抵抗ESR 321及び等価直列インダクタンスESL 322が示されている。 図33は、分離抵抗Rleak 320は無視できず、等価直列抵抗ESR 321及び等価直列インダクタンスESL 322は無視できると仮定したときの、図32の静電アクチュエータ制御システムを示す図である。 図34は、少なくとも1つの精密抵抗器350が、その抵抗器に属する関連スイッチ351と共に導入されている図33の静電アクチュエータ制御システムを示す図である。その関連スイッチ351によって接続された場合、抵抗器350は、コンデンサ310及びその分離抵抗Rleak 320と並列に電気的に接続される。 図35は、アクチュエータユニット370のコンデンサ310をその分離抵抗Rleak 320と共に静電アクチュエータコントローラ360から接続又は切断できるようにする、1つの追加スイッチ318が導入されている図34の静電アクチュエータ制御システムを示す図である。例えば、スイッチ318を開き、スイッチ351、312及び314を閉じると、電流源311からの電流の電圧降下を電圧測定システム313によって測定及び較正することができる。 図36は、スイッチ317によって接続又は切断できるAC変調電流源316が導入されている図35の静電アクチュエータ制御システムを示す図である。変調電流の周波数は、制御電荷Qによって規定される動作点におけるアクチュエータの振動周波数よりもずっと高い。生じるAC変調電圧の振幅及び位相を検出できるHFAC変調電流源及び電圧測定システム313は、特にアクチュエータユニット310の静電容量を算出できるようにするインピーダンス測定ユニット380を形成する。ユニット380は、制御電荷Qによって規定される動作点を一定に保持する閉フィードバックループの入力である検知値を送出する。
[第1の開示]
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[ファブリペロー干渉フィルタの構成]
図1〜図3に示されるように、ファブリペロー干渉フィルタ1は、基板11を備えている。基板11は、第1表面11aと、第1表面11aとは反対側の第2表面11bと、を有している。第1表面11a上には、反射防止層21、第1積層体22、中間層23及び第2積層体24が、この順序で積層されている。第1積層体22と第2積層体24との間には、枠状の中間層23によって空隙(エアギャップ)Sが画定されている。
第1表面11aに垂直な方向から見た場合(平面視)における各部の形状及び位置関係は、次の通りである。基板11の外縁は、例えば1辺の長さが数百μm〜数mm程度の矩形状である。基板11の外縁及び第2積層体24の外縁は、互いに一致している。反射防止層21の外縁、第1積層体22の外縁及び中間層23の外縁は、互いに一致している。基板11は、中間層23の外縁よりも空隙Sの中心に対して外側に位置する外縁部11cを有している。外縁部11cは、例えば、枠状であり、第1表面11aに垂直な方向から見た場合に中間層23を囲んでいる。空隙Sは、例えば円形状である。
ファブリペロー干渉フィルタ1は、その中央部に画定された光透過領域1aにおいて、所定の波長を有する光を透過させる。光透過領域1aは、例えば円柱状の領域である。基板11は、例えば、シリコン、石英又はガラス等からなる。基板11がシリコンからなる場合、反射防止層21及び中間層23は、例えば、酸化シリコンからなる。中間層23の厚さは、例えば、数十nm〜数十μmである。
第1積層体22のうち光透過領域1aに対応する部分(平面視において空隙Sと重なる部分)は、第1ミラー部31として機能する。第1ミラー部31は、固定ミラーである。第1ミラー部31は、反射防止層21を介して第1表面11a上に配置されている。第1積層体22は、複数のポリシリコン層25と複数の窒化シリコン層26とが一層ずつ交互に積層されることにより構成されている。ファブリペロー干渉フィルタ1では、ポリシリコン層25a、窒化シリコン層26a、ポリシリコン層25b、窒化シリコン層26b及びポリシリコン層25cが、この順序で反射防止層21上に積層されている。第1ミラー部31を構成するポリシリコン層25及び窒化シリコン層26のそれぞれの光学厚さは、中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。なお、第1ミラー部31は、反射防止層21を介することなく第1表面11a上に直接に配置されてもよい。
第2積層体24のうち光透過領域1aに対応する部分(平面視において空隙Sと重なる部分)は、第2ミラー部32として機能する。第2ミラー部32は、可動ミラーである。第2ミラー部32は、第1ミラー部31に対して基板11とは反対側において空隙Sを介して第1ミラー部31と向かい合っている。第1ミラー部31と第2ミラー部32とが互いに向かい合う方向は、第1表面11aに垂直な方向に平行である。第2積層体24は、反射防止層21、第1積層体22及び中間層23を介して第1表面11a上に配置されている。第2積層体24は、複数のポリシリコン層27と複数の窒化シリコン層28とが一層ずつ交互に積層されることにより構成されている。ファブリペロー干渉フィルタ1では、ポリシリコン層27a、窒化シリコン層28a、ポリシリコン層27b、窒化シリコン層28b及びポリシリコン層27cが、この順序で中間層23上に積層されている。第2ミラー部32を構成するポリシリコン層27及び窒化シリコン層28のそれぞれの光学厚さは、中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。
なお、第1積層体22及び第2積層体24では、窒化シリコン層の代わりに酸化シリコン層が用いられてもよい。第1積層体22及び第2積層体24を構成する各層の材料としては、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、フッ化カルシウム、シリコン、ゲルマニウム、硫化亜鉛等が用いられてもよい。
第2積層体24において空隙Sに対応する部分(平面視において空隙Sと重なる部分)には、複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。これらの貫通孔は、第2積層体24の中間層23とは反対側の表面24aから空隙Sに至っている。これらの貫通孔は、第2ミラー部32の機能に実質的に影響を与えない程度に形成されている。これらの貫通孔は、エッチングにより中間層23の一部を除去して空隙Sを形成するために用いられてもよい。
第2積層体24は、第2ミラー部32に加えて、被覆部33と、周縁部34と、を更に有している。第2ミラー部32、被覆部33及び周縁部34は、互いに同じ積層構造の一部を有し且つ互いに連続するように、一体的に形成されている。被覆部33は、平面視において第2ミラー部32を囲んでいる。被覆部33は、中間層23の基板11とは反対側の表面23a及び側面23b、並びに第1積層体22の側面22a及び反射防止層21の側面21aを被覆しており、第1表面11aに至っている。
周縁部34は、平面視において被覆部33を囲んでいる。周縁部34は、外縁部11cにおける第1表面11a上に位置している。周縁部34の外縁は、平面視において基板11の外縁と一致している。周縁部34は、外縁部11cの外縁に沿って薄化されている。すなわち、周縁部34のうち外縁部11cの外縁に沿う部分は、周縁部34のうち外縁に沿う部分を除く他の部分と比べて薄くなっている。ファブリペロー干渉フィルタ1では、周縁部34は、第2積層体24を構成するポリシリコン層27及び窒化シリコン層28の一部が除去されていることにより薄化されている。周縁部34は、被覆部33に連続する非薄化部34aと、非薄化部34aを囲む薄化部34bと、を有している。薄化部34bにおいては、第1表面11a上に直接に設けられたポリシリコン層27a以外のポリシリコン層27及び窒化シリコン層28が除去されている。
図2〜図4に示されるように、第1ミラー部31には、第1駆動電極12及び第1モニタ電極13が設けられている。第1駆動電極12は、平面視において、例えば円環状を呈し、光透過領域1aを囲んでいる。第1駆動電極12は、第1ミラー部31の空隙S側の表面31aに配置されており、空隙Sに露出している。第1駆動電極12は、例えば、不純物をドープしてポリシリコン層25cを低抵抗化することにより形成されている。
第1モニタ電極13は、平面視において光透過領域1aと重なっている。本実施形態では、第1モニタ電極13が平面視において光透過領域1aと完全に重なっている(換言すれば、第1モニタ電極13及び光透過領域1aが同一の形状を呈している)が、第1モニタ電極13の少なくとも一部が平面視において光透過領域1aと重なっていればよい。例えば、第1モニタ電極13は、光透過領域1aよりも大きく形成されてもよいし、光透過領域1aよりも小さく形成されてもよい。第1モニタ電極13は、第1ミラー部31の表面31aに配置されており、空隙Sに露出している。第1モニタ電極13は、例えば、不純物をドープしてポリシリコン層25cを低抵抗化することにより形成されている。
第2ミラー部32には、第2駆動電極14及び第2モニタ電極15が設けられている。第2駆動電極14は、第1駆動電極12と向かい合うように配置され、平面視において光透過領域1aを囲んでいる。第2駆動電極14は、例えば、平面視において第1駆動電極12と同一の形状を呈している。第2駆動電極14は、第2ミラー部32の空隙Sとは反対側の表面32aに配置されている。第2駆動電極14は、例えば、不純物をドープしてポリシリコン層27cを低抵抗化することにより形成されている。第2駆動電極14は、ポリシリコン層27a,27b及び窒化シリコン層28a,28b、並びに空隙Sを介して第1駆動電極12と向かい合っている。
第2モニタ電極15は、第1モニタ電極13と向かい合うように配置され、平面視において光透過領域1aと重なっている。第2モニタ電極15は、例えば、平面視において第1モニタ電極13と同一の形状を呈している。第2モニタ電極15は、第2ミラー部32の空隙S側の表面32bに配置され、空隙Sに露出している。第2モニタ電極15は、例えば、不純物をドープしてポリシリコン層27aを低抵抗化することにより形成されている。第2モニタ電極15は、空隙Sを介して第1モニタ電極13と向かい合っている。
このように、第2モニタ電極15は、第2駆動電極14が形成されたポリシリコン層27とは異なるポリシリコン層27に形成されている。その結果、第2モニタ電極15は、第1ミラー部31と第2ミラー部32とが互いに向かい合う方向において第2駆動電極14から離間している。より具体的には、当該方向において、第2モニタ電極15と第2駆動電極14との間には、ポリシリコン層27b及び窒化シリコン層28a,28bが配置されている。なお、平面視における第1駆動電極12、第1モニタ電極13、第2駆動電極14及び第2モニタ電極15の形状及び配置は、図4に示される例に限られない。
ファブリペロー干渉フィルタ1は、端子16,17,18,19を更に備えている。各端子16〜19は、平面視において光透過領域1aよりも外側に設けられている。各端子16〜19は、例えば、アルミニウム又はその合金等の金属膜により形成されている。端子16は端子17と光透過領域1aを挟んで向かい合っており、端子18は端子19と光透過領域1aを挟んで向かい合っている。端子16,17が互いに向かい合う方向は、端子18,19が互いに向かい合う方向と直交している(図1参照)。
端子16は、第2積層体24の表面24aから第1積層体22に至る貫通孔内に配置されている。端子16は、配線12aを介して第1駆動電極12と電気的に接続されている。端子17は、第2積層体24の表面24aから中間層23に至る貫通孔内に配置されている。端子17は、配線13aを介して第1モニタ電極13と電気的に接続されている。
端子18は、第2積層体24の表面24a上に配置されている。端子18は、配線14aを介して第2駆動電極14に電気的に接続されている。端子19は、第2積層体24の表面24aからポリシリコン層27aに至る貫通孔内に配置されている。端子19は、配線15aを介して第2モニタ電極15と電気的に接続されている。
第1積層体22の表面22bには、トレンチT1及びトレンチT2が設けられている。トレンチT1は、配線13aにおける端子17との接続部分を囲むように環状に延在している。トレンチT1は、第1駆動電極12と配線13aとを電気的に絶縁している。トレンチT2は、第1駆動電極12と第1モニタ電極13との間の境界に沿って環状に延在している。トレンチT2は、第1駆動電極12と、第1駆動電極12の内側の領域(すなわち第1モニタ電極13)とを電気的に絶縁している。トレンチT1,T2により、第1駆動電極12と第1モニタ電極13とが電気的に絶縁されている。各トレンチT1,T2内の領域は、絶縁材料であってもよいし、空隙であってもよい。図4では、トレンチT1,T2は省略されている。
第2積層体24の表面24aには、一対のトレンチT3、トレンチT4及びトレンチT5が設けられている。一対のトレンチT3は、それぞれ、端子16,17を囲むように環状に延在している。各トレンチT3は、端子16,17を第2駆動電極14及び第2モニタ電極15から電気的に絶縁している。トレンチT4は、端子19を囲むように環状に延在している。トレンチT4は、端子19を第2駆動電極14から電気的に絶縁している。トレンチT5は、第2駆動電極14の内縁に沿って環状に延在している。トレンチT5は、第2駆動電極14を第2駆動電極14の内側の領域から電気的に絶縁している。トレンチT3〜T5により、第2駆動電極14と第2モニタ電極15とが電気的に絶縁されている。各トレンチT3〜T5内の領域は、絶縁材料であっても、空隙であってもよい。
基板11の第2表面11b上には、反射防止層41、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44が、この順序で積層されている。反射防止層41及び中間層43は、それぞれ、反射防止層21及び中間層23と同様の構成を有している。第3積層体42及び第4積層体44は、それぞれ、基板11を基準として第1積層体22及び第2積層体24と対称の積層構造を有している。反射防止層41、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44は、基板11の反りを抑制する機能を有している。
第3積層体42、中間層43及び第4積層体44は、外縁部11cの外縁に沿って薄化されている。すなわち、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44のうち外縁部11cの外縁に沿う部分は、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44のうち外縁に沿う部分を除く他の部分と比べて薄くなっている。ファブリペロー干渉フィルタ1では、第3積層体42、中間層43及び第4積層体44は、平面視において薄化部34bと重なる部分において第3積層体42、中間層43及び第4積層体44の全部が除去されていることにより薄化されている。
第3積層体42、中間層43及び第4積層体44には、平面視において光透過領域1aと重なるように開口40aが設けられている。開口40aは、光透過領域1aの大きさと略同一の径を有している。開口40aは、光出射側に開口している。開口40aの底面は、反射防止層41に至っている。
第4積層体44の光出射側の表面には、遮光層45が形成されている。遮光層45は、例えばアルミニウム又はその合金等の金属膜からなる。遮光層45の表面及び開口40aの内面には、保護層46が形成されている。保護層46は、第3積層体42、中間層43、第4積層体44及び遮光層45の外縁を被覆すると共に、外縁部11c上の反射防止層41を被覆している。保護層46は、例えば酸化アルミニウムからなる。なお、保護層46の厚さを1〜100nm(好ましくは30nm程度)にすることで、保護層46による光学的な影響を無視することができる。
[光学フィルタシステムの構成]
図5に示されるように、光学フィルタシステム50は、上述したファブリペロー干渉フィルタ1と、ファブリペロー干渉フィルタ1を制御するコントローラ51と、を備えている。コントローラ51は、第1電流源52と,第2電流源53と、検出部54と、制御部55と、を備えている。
第1電流源52は、端子16,18を介して第1駆動電極12と第2駆動電極14との間に駆動電流を印加することにより、駆動電流に応じた静電気力を第1駆動電極12と第2駆動電極14との間に発生させる。当該静電気力により、第2ミラー部32が、基板11に固定された第1ミラー部31側に引き付けられ、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離が調整される。このように、ファブリペロー干渉フィルタ1では、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離が静電気力により変化する。
ファブリペロー干渉フィルタ1を透過する光の波長は、光透過領域1aにおける第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離に依存する。したがって、第1駆動電極12と第2駆動電極14との間に印加する駆動電流を調整することで、透過する光の波長を適宜選択することができる。
光学フィルタシステム50では、例えば、ファブリペロー干渉フィルタ1に印加する駆動電流を変化させながら(すなわち、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離を変化させながら)、ファブリペロー干渉フィルタ1の光透過領域1aを透過した光を光検出器により検出することで、波長スペクトルを得ることができる。
第2電流源53は、第1ミラー部31及び第2ミラー部32の共振周波数よりも高い周波数を有する交流電流を、端子17,19を介して第1モニタ電極13と第2モニタ電極15との間に印加する。当該交流電流の周波数は、例えば共振周波数の10倍よりも高く設定される。第2電流源53による当該交流電流の印加中には、第1モニタ電極13と第2モニタ電極15との間に交流電圧が発生する。検出部54は、例えば電圧計であり、当該交流電圧を検出する。
制御部55は、例えば、プロセッサ及びメモリ等を含むコンピュータにより構成されている。制御部55は、第1ミラー部31及び第2ミラー部32との間に蓄えられる電荷量に基づいて第1電流源52を制御する。制御部55は、例えば、電荷量が目標量となるように第1電流源52を制御する。当該目標量は、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離の目標値に応じて設定される。これにより、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離が所望の距離に調整される。
更に、制御部55は、検出部54の検出結果、すなわち検出部54により検出された交流電圧に基づいて、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の静電容量を算出する。当該静電容量は、第1モニタ電極13と第2モニタ電極15との間に印加される交流電流、第1モニタ電極13と第2モニタ電極15との間に発生する交流電圧、並びに、交流電流及び交流電圧の周波数に基づいて算出することができる。より具体的には、交流電流I(t)、交流電圧V(t)を用いて、角周波数ωの関数としての複素インピーダンスZ(ω)がZ(ω)=V(ω)/I(ω)により得られ、静電容量CがC=(ω×|Z(ω)|)−1により得られる。制御部55は、得られた静電容量に基づいて第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の距離を算出する。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ1の動作中に、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の実際の距離を精度良くモニタすることができる。
[作用効果]
以上説明したとおり、光学フィルタシステム50では、ファブリペロー干渉フィルタ1が、第1駆動電極12及び第2駆動電極14に加えて、第1モニタ電極13及び第2モニタ電極15を備えている。そして、第1ミラー部31及び第2ミラー部32の共振周波数よりも高い周波数を有する交流電流が第1モニタ電極13と第2モニタ電極15との間に印加されている際に第1モニタ電極13と第2モニタ電極15との間に発生する交流電圧に基づいて、第1ミラー部31と第2ミラー部32との間の静電容量が算出される。これにより、当該静電容量に基づいてミラー部31,32間の距離を算出することができ、ファブリペロー干渉フィルタ1の動作中にミラー部31,32間の実際の距離をモニタすることができる。更に、第1モニタ電極13は、平面視において光透過領域1aと重なるように第1ミラー部31に設けられ、第1駆動電極12から電気的に絶縁されており、第2モニタ電極15は、第1モニタ電極13と向かい合うように第2ミラー部32に設けられ、第2駆動電極14から電気的に絶縁されている。これにより、第1モニタ電極13及び第2モニタ電極15を第1駆動電極12及び第2駆動電極14から独立させることができる。その結果、ミラー部31,32間の静電容量をより好適に算出することができ、ひいてはミラー部31,32間の距離をより好適にモニタすることができる。したがって、光学フィルタシステム50によれば、信頼性を高めることができる。
また、光学フィルタシステム50では、第1駆動電極12が空隙Sに露出している。これにより、第1駆動電極12を第2駆動電極14に近づけることができ、ミラー部31,32間に静電気力を好適に発生させることができる。
また、光学フィルタシステム50では、第2駆動電極14が第2ミラー部32の空隙Sとは反対側の表面32aに配置されている。これにより、第2駆動電極14及び配線14aの形成の際に第2ミラー部32にコンタクトホールを形成する必要がないため、第2駆動電極14の形成工程を容易化することができる。
また、光学フィルタシステム50では、第1モニタ電極13が空隙Sに露出している。これにより、第1モニタ電極13を第2モニタ電極15に近づけることができ、ミラー部31,32間の距離をより一層好適にモニタすることができる。
また、光学フィルタシステム50では、第2モニタ電極15が空隙Sに露出していてもよい。これにより、第2モニタ電極15を第1モニタ電極13に近づけることができ、ミラー部31,32間の距離をより一層好適にモニタすることができる。
また、光学フィルタシステム50では、第2駆動電極14と第2モニタ電極15とが、ミラー部31,32が互いに向かい合う方向において互いに離間している。これにより、第2駆動電極14と第2モニタ電極15との間の電気的な絶縁性を向上することができる。
[変形例]
本開示は、上記実施形態に限られない。例えば、図6(a)及び図6(b)に示される第1変形例のファブリペロー干渉フィルタ1Aのようにファブリペロー干渉フィルタ1が構成されてもよい。第1変形例では、第2駆動電極14が、ポリシリコン層27aに形成され、空隙Sに露出している。つまり、第2駆動電極14と第2モニタ電極15とが互いに同一のポリシリコン層27に形成されている。そのため、配線15aが、端子19から第2ミラー部32の表面32aに沿って延在する部分と、ミラー部31,32が互いに向かい合う方向に沿って延在し、第2モニタ電極15の縁部に接続された部分と、を有している。
このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。また、第2駆動電極14が空隙Sに露出しているため、第2駆動電極14を第1駆動電極12に近づけることができ、ミラー部31,32間に静電気力をより一層好適に発生させることができる。
図7(a)及び図7(b)に示される第2変形例のファブリペロー干渉フィルタ1Bのようにファブリペロー干渉フィルタ1が構成されてもよい。第2変形例では、第2駆動電極14が、ポリシリコン層27aに形成され、空隙Sに露出している。第2モニタ電極15が、ポリシリコン層27cに形成され、第2ミラー部32の表面32aに配置されている。
このような第2変形例によっても、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。また、第2駆動電極14が空隙Sに露出しているため、第2駆動電極14を第1駆動電極12に近づけることができ、ミラー部31,32間に静電気力をより一層好適に発生させることができる。また、第2モニタ電極15が第2ミラー部32の表面32aに配置されており、これにより、第2モニタ電極15及び配線15aの形成の際に第2ミラー部32にコンタクトホールを形成する必要がないため、第2モニタ電極15の形成工程を容易化することができる。
図8(a)及び図8(b)に示される第3変形例のファブリペロー干渉フィルタ1Cのようにファブリペロー干渉フィルタ1が構成されてもよい。第3変形例では、第2駆動電極14が、ポリシリコン層27aに形成され、空隙Sに露出している。つまり、第2駆動電極14と第2モニタ電極15とが互いに同一のポリシリコン層27に形成されている。そのため、配線15aが、端子19からポリシリコン層27bに沿って延在する部分と、ミラー部31,32が互いに向かい合う方向に沿って延在し、第2モニタ電極15の縁部に接続された部分と、を有している。
このような第3変形例によっても、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。また、第2駆動電極14が空隙Sに露出しているため、第2駆動電極14を第1駆動電極12に近づけることができ、ミラー部31,32間に静電気力をより一層好適に発生させることができる。
図9(a)及び図9(b)に示される第4変形例のファブリペロー干渉フィルタ1Dのようにファブリペロー干渉フィルタ1が構成されてもよい。第4変形例では、第2駆動電極14が、ポリシリコン層27aに形成され、空隙Sに露出している。第2モニタ電極15が、ポリシリコン層27bに形成され、ミラー部31,32が互いに向かい合う方向における第2ミラー部32の中間に配置されている。
このような第4変形例によっても、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。また、第2駆動電極14が空隙Sに露出しているため、第2駆動電極14を第1駆動電極12に近づけることができ、ミラー部31,32間に静電気力をより一層好適に発生させることができる。
図10(a)及び図10(b)に示される第5変形例のファブリペロー干渉フィルタ1Eのようにファブリペロー干渉フィルタ1が構成されてもよい。第5変形例では、第2駆動電極14が、ポリシリコン層27bに形成され、ミラー部31,32が互いに向かい合う方向における第2ミラー部32の中間に配置されている。このような第5変形例によっても、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。
上記実施形態及び各変形例において、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。例えば、端子16,17,18,19の配置は上述した例に限られず、任意の配置であってよい。
[第2の開示]
第2の開示は、互いに対向する2つの電極を用いて実施される、容量性構造体から成るMEMS/MOEMS(微小電気機械システム/微小光学電気機械システム)又は他の微小機械加工アクチュエータデバイスのための作動制御に特有の方法に関する。電極のうちの少なくとも一方は、ばねが取り付けられており、可動である。通常、このような構造体は、制御電圧をコンデンサ極板に印加して機械的変位を引き起こすことによって静電気的に制御される。一応用例として、このような装置は、MEMSベースのファブリペロー干渉計に使用され、その電極間の間隔は非常に小さく、例えば数μm以下であり、また電極間の間隔は、非常に高い精度で、例えば10nmよりも良い精度で知られている必要がある。当該電極間の間隔に基づいてデバイスの透過スペクトル及び反射スペクトルが算出されるためである。したがって、これらのデバイスは適切な電気機械的な較正(キャリブレーション)を必要とする。
静電気アクチュエータを制御する提示された新しい電子回路及び方法は、制御電圧Vを印加する代わりに正確な量の電荷Qを供給することに基づいている。こうすることで、2つの電極が非常に接近するのでこれらを再び分離することが困難であり、さらには不可能でもあり、デバイス又はそのデバイスに特有の較正を損なうおそれのある「引き込み(Pull−in)」現象が回避される。加えて、電荷に基づく制御は、デバイスのアクセス可能な調整範囲を大幅に拡張する。さらにはこの制御により、生じる間隔dについて2つの独立した測定方法を実施することが可能になる。第1の方法は、電荷制御を使用する準静的静電容量測定であり、上述の電荷に基づく制御によって可能になる。第2の方法は、高周波静電容量測定の特別な実施であり、やはり電荷制御に基づく。両方法の少なくとも一方により、多くの較正又は再較正ステップがなくなり、また生じる電極間隔の完全な制御が、温度が変化する状況、又は機械的なドリフト若しくはヒステリシスの影響のもとでも得られる。加えて、新規のアクチュエータ制御システムは、「引き込み」現象によりアクチュエータが損傷する危険なしに、電気パラメータを使用して静電アクチュエータを特徴づけるのに使用することができる。
第2の開示による方法は、アクチュエータデバイス自体を修正する必要なしに、後述する特徴1によって特徴づけられる任意のタイプの静電アクチュエータに使用することができる。
第2の開示による静電アクチュエータコントローラの好ましい実施形態は、電子回路のすべての必要な構成要素を単一チップに実装するASIC(特定用途向け集積回路)から成る。
第2の開示の別の好ましい実施形態では、電荷制御による動作がデバイス設計規則の必須の部分を形成し、また静電制御付きの新しい微小機械加工MEMS/MOEMSアクチュエータが開発されることになり、このアクチュエータは、電荷に基づく新規のコントローラと、このコントローラを用いた間隔測定システムとを使用することによって、かなり拡張された、さらには新規の機能を提供する。
[背景]
MEMS及びMOEMS構造体の分野には、共振デバイス及び非共振デバイスがある。通常、このような構造体は、機械的運動に関して1又は複数の自由度を有し、電磁、圧電、静電などの多くの異なるタイプのアクチュエータ方法がある。これら方法のすべてにおいて、可動構造体にかかる力が生成されて、このような構造体の動的振動若しくは共振振動、又は静的偏向を誘発する。加えて、MOEMS構造体では、間隔又は角度などの機械的自由度の情報を光機能性に変換することが多く、例えば光共振器の空洞長の変動を偏向角度に、又は別の例として直線運動を干渉計アームの相変異に変換する。これらの応用例すべてに共通するのは、その設定が、特に携帯型の応用例では非常に堅牢でなければならないこと、及びこれらの自由度の実際のSET位置又はSET角度が精密に制御される必要があることである。ほとんどのこのようなシステムは、大きな温度依存性又は機械的ヒステリシスのような好ましくない影響を受ける。したがって、これらの自由度の実際の位置を知ること、又は当該位置に影響を与えることがよりいっそう重要になる。
例えば静電共振MEMSミラーでは、作動は、可動電極と固定電極(例えば、アクチュエータ櫛歯)の間の電圧を制御することによって実現され、実際の動的ミラー位置の正確な把握は、同じデバイスに組み込まれたシリコンの圧電間隔エンコーダによって保証することができる。作動制御と測定による自由度の状態の検出とを分離すると、試料ごとに「一点、一回」の較正しか必要としないデバイスを作り出すことが可能になり、このデバイスは、ドリフト及びヒステリシスがなく、また温度の影響が完全に補償される。
第2の開示は、特定のタイプのMEMS/MOEMS構造体に関し、この構造体は、以下の特徴によって最適に説明される。
・構造体は、近接していてコンデンサを形成する2つの電極から成り、少なくとも一方の電極にはばねが取り付けられており、その電極が反対側の電極に向かって動くことが可能になっている。
・電極間の間隔dは、力Fが加えられたときに変化する。説明の目的で、ばねはフックの法則F=D×Δxに従うと仮定する。実際にはシステムの非線形性があり得るが、この非線形性は、ここで論じられる基本的な挙動を変えることがない。
・説明の目的で、2つの電極はコンデンサの極板を形成しており、これらの極板には、そのコンデンサへ外部から電気的にアクセスするための配線がされている。
・コンデンサは空気、保護ガスで充填されるか、又は真空中に配置される。
アクチュエータを含むいくつかの光デバイスでは、このような装置を使用する。特に興味深いデバイスは、いわゆるファブリペロエタロン又はファブリペロー干渉計(以下では「FPI」と略記)である。シリコンに微小機械加工することによって作られるFPIでは、平行極板は、間隔が数μm以下の範囲の小さなものになり得る。このようなFPI構造体はさらに、両コンデンサ極板に高反射ミラーを含み、それによって光学空洞が形成される。このような空洞は、直角入射(すなわち、表面の垂線に対して入射角AOI=0°)のもとで、主に式1を満たす波長λの光を伝送する。
2×n×d=M×λ (式1)
ただし、
d:極板間の間隔
M:ファブリペロー干渉計の次数と呼ばれる整数
n:空洞内部の屈折率
したがって、選ばれた間隔dにより、高次数の曖昧さにまでデバイスの伝送波長λが選択される。低次数が、高次数の曖昧さ、いわゆる自由スペクトル範囲FSRなしにより大きい調整範囲を可能にするので、好ましい。一例として、低次数M=2では、伝送波長は極板間の間隔dに等しい(n=1.0及びAOI=0°の場合)。シリコンは、1.1μmを超える波長範囲では透過性であるので、このようなFPIデバイスは通常、近赤外又は赤外スペクトル分析器として使用される。次数M=2では、間隔もまた、数μm未満の範囲になる。
較正されたデバイスを実現するには、それぞれの力FをSET位置として適した制御パラメータによって加えるときにシステムが仮定する、実際の間隔dを正確に知ることが必須である。
必要な間隔精度は、デバイスの目標の波長精度によって決まる。FPIデバイスの目標の波長精度が0.1nmであるべき場合、例えば、dとλが等しいM=2という上記の例では、間隔精度もまた0.1nmである必要があり、これは非常に厳しい要求である。
現在、このようなデバイスは、電圧をコンデンサ電極に印加することによって制御される。その制御電圧は、結果として極板間の引力を生じる電界をもたらし、そのため、印加電圧を変えることによって極板間の間隔を静的に変化させることが可能になる。
実際の応用例では、上で論じたFPIデバイスのようなMEMS/MOEMS構造体にはいくつかの重大な欠点がある。
(1)各デバイスは、それ自体の個々の波長較正が必要であり、これには費用がかかる。各デバイスには波長較正測定が行われ、最大伝送波長が多くの異なる制御電圧レベルに対して測定される。この測定は通常、1つの温度Tで行われる。
(2)長期的に安定した解決法を得るためには較正の安定性が調査される必要がある。応用例によっては、再較正が時折必要になり得る。
(3)ばね定数は温度と共に変化する。デバイスがシリコンで製造される場合、シリコン微小構造体の弾性は、温度依存性を有することが知られているヤング率と関連付けられる。異なる温度でのこのデバイスの使用法には次の2つの選択肢がある。
・各デバイスをそれぞれ異なる温度で較正する。この手順は極端に労力を要すると共に費用がかかり、数量の多い応用例ではそれらが顕著となり得る。
・一般的な温度モデルで動作させ、温度Tにおける較正を温度Tにおける測定波長較正から予測する。この場合、達成可能な精度は、一連の製造の再現性及び温度変動モデルの特性に強く依存する。自動車領域などの多くの応用例では、−40℃〜105℃という非常に大きな動作温度範囲が必要とされ、他ではデバイスが、例えば、スペクトル測定デバイスを含むセンサの殺菌が必要である場合、大きな温度サイクルにさらされることさえあり得る。
(4)間隔がさまざまである微小機械加工MEMS/MOEMS平行極板コンデンサは、「引き込み」現象と呼ばれる現象を示す。制御電圧が特定のレベルを超えて増加すると、システムが突然不安定になり、可動極板が固定極板に向かって加速し、極板間の間隔が急速に減少し、極板が互いに衝突する。デバイスによっては、このタイプのいわゆる「引き込み」事故は、デバイス寿命の終わり若しくは性能劣化、又は少なくともデバイスの個々の較正特性の損失をもたらし得る。この暴走現象を確実に回避することは非常に重要である。
(5)その電圧を超えると「引き込み」現象が発生する制御電圧は、波長較正自体と同様に温度に依存する。このことは、印加制御電圧の許容動作範囲が温度依存性を有することを意味する。実際の応用例では、このことは、どの範囲の制御電圧であれば安全に印加され得るかを把握する前に、温度測定がまず行われなければならないことを意味する。
(6)サンプルごとに、「引き込み」電圧は製造系列でわずかに異なり得る。したがって、各個別のデバイスは、参照温度Tにおける許容制御電圧についてのそのデバイス自体の最大値、並びにこれらの最大値を他の温度に変換する規則を必要とする。すなわち、波長較正(波長多項式の係数)に加えて、個別のFPIデバイスごとに、処理する必要がある追加パラメータがある。
(7)製造において、初めて個々のFPIサンプルの特徴づけを実行するとき、個々の「引き込み」点はあらかじめ知られていない。何パーセントかのデバイスは単に「引き込み」現象によって欠陥品になり、それによって製造歩留まりが低下することになる。加えて、許容できる安全制御電圧動作範囲は、デバイスごとの良/不良の選択パラメータである。したがって、引き込み現象は、製造選択過程によってもまた、製造歩留まりを低下させる。
要約すると、微小機械加工MEMS/MOEMSばね付き極板コンデンサデバイスは、ファブリペロー干渉計(FPI)として使用する場合のように、大きい応用潜在性を有するが、製造及び応用に関して重大な欠陥を示す。この状況は、第2の開示の電子回路及び静電アクチュエータ制御方法によって克服することができる。
[開示の概要]
本明細書で提示される第2の開示は、容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を有する微小機械加工MEMS/MOEMSシステムの、異なるタイプの電気制御装置から成る。以下で説明するように、「引き込み」現象は完全に回避することができ、使用可能調整範囲は大幅に拡張することができ、異なるタイプの電気制御装置により、間隔dを測定及び算出する2つの新しい方法が利用可能になり、それによって、較正及び温度関連の問題の多くが解決される。最良の場合、デバイスは、単一点較正による完全自己較正になる。加えて、新しい電気制御装置を使用してMEMS/MOEMSシステムの共振モードを、所望の共振周波数において任意の間隔dで、「引き込み」現象を引き起こす危険、又はシステム状態の曖昧性を生じさせる危険がなく、励起することができる。
第2の開示による静電アクチュエータコントローラシステムは、このようなデバイスの製品設計を、特に、どんな「引き込み」現象もないことにより、またかなり拡張された調整範囲により、機能範囲が大幅に拡張され得るようにして修正することを可能にする。
現在、容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を有する、検討さているMEMS/MOEMSシステムの電気制御は、制御電圧をコンデンサ電極に印加し、それによって両電極を反対の電荷極性で充電し、電極間に引力を生じさせることによって実現される。詳細な説明で示すように、この手順は、間隔dに関してシステム状態の予想外の曖昧性を結果として生じ、潜在的に「引き込み」現象をまねくことになる。
第2の開示のステップは次の3つの本質的な要素から成る。
・静電アクチュエータを電気的に制御して、新規のコントローラ電子回路が結果として得られる新しい方法
・一方が準静的な、他方が高周波測定に基づいた、2つの新しい独立した間隔測定方法
・他の異なる動作の方法のためにコントローラを拡張すること、例えばリセットを導入すること、及び安定した共振励起のためにフィードバックを利用すること
より詳細には、第2の開示のステップは、次の通りである。
(1)電圧ではなく電荷を制御する(DC電流及び時間の制御を含む)ことによって、アクチュエータシステムの電気制御を実現すること。可能な実施態様については、以下の別の項で説明する。電荷制御がDC電流を使用してなされる場合、第2の開示の1つの要点は、電気制御接続を切り換え可能にして、電荷源又は電流源をMEMS/MOEMS静電容量から、正確に制御可能な時間に接続又は切断することが可能になることである。こうすることにより、正確に規定された電荷量をMEMS/MOEMSコンデンサに、適切に規定された方法で付加することが可能になり、またコンデンサに生じる電荷量を、スイッチによって電気制御接続をただ切断することによって一定に(「凍結」、最大で漏洩電流までに)保持できるようになる。最後に、異なる応用例ニーズを対象とする複数の電荷供給回路があるので、これらの電流源ユニットは、電気的に切り換えることによって選択できることが好ましい。
(2)コンデンサの電極間に生じる電圧を測定すること。この電圧は、電気制御信号としてもはや使用されないので、従属測定量として利用可能であり、それによって、(1)によって規定された印加電荷量のもとでコンデンサの電圧が与えられる。(説明を分かりやすくするために、この電圧を以下では「生じる電圧」と呼ぶ。)実際上、この方法は、電荷Qを設定し、生じる電圧Vを測定することによる、静的静電容量測定である。静電容量はコンデンサ電極間の間隔dに強く依存するので、規定された電荷Q及び生じる電圧Vを知ることにより電極間の間隔を決定することが可能になる。
平行極板コンデンサアクチュエータなどの簡単なコンデンサ幾何形状では、実効コンデンサ面積Aが分かっていると、間隔dは簡単な式で計算することができる。任意のコンデンサ幾何形状では、電極の間隔と静電容量値の間の関係を記述することが必要になる。このような関係は、同じタイプの一連のデバイスにより行われる全体的な較正によって確立することができる。この場合、その較正はこのタイプのコンデンサ設計に対して有効である。こうして、電極間の実際の間隔を、より少ない簡単なコンデンサ構造体についての測定静電容量値から算出することが可能になる。
(3)高周波静電容量測定の新しい方法を導入すること。通常、高周波静電容量測定は、電圧を変調し、次に、生じる電流を測定することによって行われる。電圧が制御パラメータとして使用される場合にはシステム状態が不安定になることが理解されているので、高周波静電容量測定を行うための新しい方法は、この測定を、MEMS/MOEMS振動系の機械共振周波数よりもずっと高い周波数の小さな信号領域において実際のコンデンサ電荷を変調することによって、生じるAC電圧を測定しながら行うことである。
(2)で述べたように、電極間の間隔dを、規定された電荷Q及び生じる電圧Vを知ることによって決定することが可能である。この追加の測定方法(3)は、静的静電容量測定では正確な間隔を得ることができない動作点があるので、必要になる。これらは、ある制御電圧でシステムが駆動される場合に「引き込み」現象が発生する点と同一の点である。
(4)アクチュエータを所与の(リセット)電圧源に、例えばアクチュエータの機械的平衡位置に対するゼロボルトに接続することによって、リセット機能を実施すること。
(5)容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を有する微小機械加工MEMS/MOEMS振動系の共振励起にも、AC電荷制御を使用すること。この使用は、(1)によって規定された任意の電荷量で、すなわち、電荷に基づく制御によってアクセス可能な所定の間隔dにおいて行われる。既に述べたが、異なる動作可能駆動装置ユニットが切り換え可能、すなわち、電気的に接続可能及び切断可能である。この共振励起の場合では、コントローラは、強制発振を励起するために使用されるAC電流の位相を基準としてAC変調振幅及び位相遅れを検出できる、AC電圧測定回路を含む。
これらの第2の開示のステップの意味を理解するには、いわゆる「引き込み」現象の性質を説明する、いくつかの詳細な考察が必要である。「引き込み」現象は微小機械欠陥ではなく、むしろ、純粋に機械的な部分が電気機械力と相互作用することの当然の結果であることを理解することが極めて重要である。
[開示の詳細な説明]
<状況についての簡略説明>
図11は、微小機械加工MEMS/MOEMS平行極板コンデンサ及び電気配線106の概略を示す。コンデンサ電極は、実効コンデンサ面積Aを有する。力Fが一方の極板に作用している場合、1つの自由度104のみが許容されている。これにより、一方の極板103が極板に垂直にのみ動き、コンデンサ極板103、105の間の間隔dが変化する。電気配線106及び回路は、コンデンサ極板103、105が電圧の極性とは無関係に反対の極性で帯電するように設けられている。何も外力がなければ(重力は無視できると仮定する)、極板103、105の間の間隔は間隔dで平衡する。ここで添字Mは「機械的」を表す。引力Fが増加すると、極板103、105の間の間隔は、2つの極板が接触するまで更に縮む(間隔ゼロに相当)。
伸びΔxと力の間の関係は、フックの法則によって与えられる。
F=D×Δx (式2)
ただし、Dはばね定数であり、
Δxはゼロ力の点からのばね102の伸びである。
2つの平行コンデンサ極板103、105の間の力は、コンデンサの電荷Qの関数として記述することができる。
|F|=(2εA)−1×Q (式3)
ただし、
ε:誘電率定数
A:コンデンサの実効面積
Q:コンデンサの電荷
|F|:力Fの絶対値
両コンデンサ電極が反対極性の電荷で帯電している限り、力Fは引き合って極板間の間隔dを減少させようとする。引力Fが伴う状態が図12に示されている。
コンデンサの静電容量は、単に次式で与えられる。
C=εA/d (式4)
静電容量が実際の間隔dに依存することに注意することが重要である。
C=Q/V及び式4を用いると、力Fは次式のように書き直すことができる。
|F|=0.5εA×V/D (式5)
ただし、Vは制御電圧である。
制御電圧Vを使用すると、間隔dを次式のように制御電圧の関数として容易に記述することができる。
d=d−D−1(εA/2)×V/d (式6)
ただし、Dはばね定数である。
式6は、dの指数が3次であり、カルダノの公式を用いて解くことが可能である。どんな場合でも、d(V)とVの間の関係は強い非線形性になる。この非線形性が、7以上などの非常に高次の多項式を使用する、Vの関数として間隔dに適合する較正式が通常提供されることの理由である。
このような曲線の典型的な結果が図13に示されている。選ばれたパラメータは、2017年5月に浜松ホトニクスから発行された文献「Technical note: MEMS-FPI spectrum sensors C13272-01/02」に示された実際のデータと関連する。制御電圧が増加すると、間隔は、最初は小電圧においてゆっくりとしか減少しない。しかし、制御電圧が上昇すると、勾配∂d/∂Vが、制御電圧のわずかな増分がコンデンサ極板の互いに向かう非常に大きな変位を引き起こすようにして増加しており、これが「引き込み」現象につながる。制御可能な間隔の有効な範囲は、この「引き込み」現象によって強く制限されること、及び、その「引き込み」現象の開始点は温度依存性を有することに留意されたい。
現状技術におけるこの制限を克服するには、コンデンサ極板間の力の物理的起源を再度理解することが重要である。すなわち、引力は、コンデンサの一方の側の電荷が第2のコンデンサの側の電荷によって生成される電界を受けるときに発生する(逆も同様)。電荷Qに対するこの二重依存性が、引力が電荷Qの2乗に比例することの理由である。加えて、電荷Qの関数(それぞれその2乗のQ)として与えられる平行コンデンサ極板間の力は、コンデンサ極板間の間隔dに依存しないことが知られている。
したがって、生じる間隔dの式は(変数として制御電圧Vを使用しないようにすることによって)、次式のように書くこともできる。
d=d−D−1(2εA)−1×Q (式7)
式7は、間隔dがQに関して線形であることを述べている。電荷Qが増加すると、間隔dは、簡単な式7に従って単調に減少することになる。式7はまた、この間隔が適切な電荷量によって正確にゼロまで減少し得ることも示す。この直線的で線形の、Qの関数としてのシステムの挙動、及び広い動作範囲は、変化する制御電圧によって間隔を走査しているときに観察される「引き込み」現象と矛盾しているように見える。次の項では、この逆説の理由を説明する。
静電アクチュエータシステムが制御電圧によって制御されているときには、増加中の制御電圧がコンデンサ極板間の間隔を最初は減少させている。しかし、間隔dが減少するごとに静電容量が関数1/dにより増加しているので、静電容量はd自体に依存している。制御電圧が上昇できるよりも早く1/dが増加し始める点が存在する。言い換えると、システムの実効静電容量が、制御電圧によってシステムの制御を可能にするにはあまりに速く、あまりに大きくなっている。この現象のもっと定量的な説明を以下で行う。
ここで、第2の開示のステップの1つの部分は、制御電圧から、可動MEMS/MOEMSコンデンサ構成からなる作動システムの電荷制御へと変わることである。システム挙動の変更及びその結果は、以下のように、いくつかの追加の簡単な式で説明することができる。
電荷Qがコンデンサに配置されると仮定すると、次の3つのことが起こる。すなわち、(1)最初に、間隔は、電荷Qとそれにより発生した引力とによって決まる新しい間隔dに合致する。したがって、必要な制御電荷を間隔dの関数として容易に表すことができる。
Q(d)=(2εAD)1/2×(dM−d)1/2 (式8)
この状態は図14に示されている。
式8のQ(d)は、すべての間隔d<dMに対し適切に定義される。
(2)静電容量Cは、式4による新しい値に変わる。
(3)この所与の間隔でコンデンサの両端間に生じる電圧Vは次式で得られる。
V(d)=Q/C(d)=[2D/(εA)]1/2×(dM−d)1/2×d (式9)
V(d)はdとして2つの寄与を含むことに留意されたい。すなわち、1つの項はdの平方根と共に減少し、第2の項はdと共に直線的に増加する。このことは、電荷Q(d)によって発生する、厚さdの関数で表される生じる電圧V(d)が、図15に示されるように、dに対して最大値を有するという予想外の結果につながる。
式9から、最大電圧Vmaxに関する厚さdを容易に算出することができる。間隔dそれぞれに関してVの1次導関数が0になる条件、つまりV(d)の極値の条件は簡単に次式で与えられる。
d(V=Vmax)=2/3×d (式10)
この考察により、以下のことが明らかに示される。
(1)単一の解はないが、電圧が特定の最大電圧値Vmax未満である限り、1つの所与の値における間隔dに対して、より安定した解がある(図15)。この発見は、式6がdに関して3次であり、3つの解に対してゼロとなり得ることに対応する。数学的に言えば、得られた従属d(V)は関数ではなく、関係である。間隔dの関数としての電圧は、勾配∂(d)/∂Vが無限大に発散する最大値を有する。同じ値のVを有する式6の2つの解(2つの可能なdの値を意味する)が互いに接近する場合、システムは不安定になり、システムは両状態の間で任意に振動し得る。制御電圧が最終的にVmaxを超える場合、このシステムには安定解がなく、結果として「引き込み」現象が発生する(詳細については図17〜図20の図の描写を参照)。これらの理由のために、電圧Vは、アクチュエータシステムの制御パラメータとしては明らかに適していない。その結果、電圧制御は、非常に制限され部分的な範囲201の間隔dに対してだけ、適切な制御パラメータになる(今日の現状技術に対応して)。
(2)システム制御変数として電圧を使用すると、「引き込み」現象は、式10が与える間隔d(V=Vmax)において、発散する勾配∂d/∂V及びその符号の変化によって引き起こされる。簡単に言えば、「引き込み」現象は、間隔dを減少させるときに1/dに対する静電容量依存性(式4)によって生じる、純然たる「電気的」現象である。
(3)制御電圧によって走査するとき、有効な範囲は、「引き込み」現象がその有効な範囲をdからd=2/3×d(式10参照)に制限するので(図16の曲線V(Q)の枝部201)、大きく制限される。したがって、調整範囲は、電圧制御を使用するときに全体として利用可能な変位範囲dのたった33%にまで制限される。
絶対数で広い調整範囲が電圧制御によって実現されるべき場合、唯一の設計選択肢は、上述のdの33%という調整範囲制限の故に、大きなdの値を選ぶことである。
第2の開示による、電荷に基づく静電アクチュエータ制御デバイス及び方法はこの制限を克服する。
(4)「引き込み」現象は、初期間隔dとは関係なく、このような線形システムすべてにおいて、d=2/3×dM(式10参照)で発生することに留意されたい。これは、ゼロ力間隔dが大きいシステムもまた、電圧制御によってVmaxを超える値まで走査すると、このような「引き込み」現象を示すことを意味する。間隔dがμmの小さい値又はサブμmの間隔に近づく必要はない。
簡単にするために、上で考察されたシステムは、理想的な平行極板電極から成り、フックの法則の式2に厳密に従うと仮定された。システムが非線形性によりフックの法則に完全には従っていない場合、又は電極が異なる形状(例えば、リングセグメント形状)を有する場合、電荷Q(d)により生じる電圧Vは依然として最大電圧Vmaxを、場合によっては式10が与えるものとはわずかに異なる間隔で示すことに留意されたい。
結論として、容量性構造体及び少なくとも1つの可動ばね付き電極を有する静電アクチュエータシステムがあり、このシステムでは、電荷Qにより生じる電圧V(Q)には、電荷量Qに対する最大値がある。このような静電アクチュエータシステムでは、制御電圧によってではなく電荷Qの量によってアクチュエータシステムを制御することが好ましい。その理由は、生じる電圧Vの最大値Vmaxが電荷量Qに対してあるこのようなシステムは、電圧V>Vmaxに対する安定解を保有せず、「引き込み」現象は、制御電圧VがV maxを超えるとすぐに発生するからである。
この考察を念頭に置いて、第2の開示のステップの要点1は、間隔dの全範囲に曖昧性なく対処することができない、電圧による制御から、パラメータ「電荷Qの量」による制御領域へと変わることである。電荷制御を用いると、制御パラメータQは、図14に示されるようにdに関して単調になる。したがって、いかなる曖昧性もなく、またいかなる「引き込み」現象もなく、d=dからd=ゼロまで完全な間隔範囲(図16の201及び202)に対処することが可能になる。したがって、実現可能な変位範囲は、従来技術である電圧制御を使用するときの電気制御の方法によってではなく、ばね102の弾性範囲の機械的限界によってのみ制限される。
この手法の原理及び基本的実現性を指し示すために、また可能な拡張を説明するために、図21に簡単な回路が示されている。その概念は、MEMS/MOEMSコンデンサA110よりも静電容量Cが小さい、又は非常に小さい追加のコンデンサB111を、コンデンサAが切り離されている間に、図16に示された最大電圧Vmax203を超えるロード電圧レベルV114で充電することである。その時間中(図21のS1を切り換える前)に、コンデンサAにおける電圧115が測定される。既知の容量Cを有するコンデンサBの充電が完了すると、電圧源への電気接続が切り離され、コンデンサAとBが接続される。
コンデンサBからコンデンサAへの電荷移転が、両コンデンサの電圧が等しくなるまで行われる。移転された電荷量は、ロード電圧V、容量C、及び接続前のコンデンサAの電圧Vから計算することができる。
電荷の量は、積分時間の間の電流の時間積分である。電荷供給回路に直列に接続された高速スイッチにより、正確に規定された任意の時間に充電源をMEMS/MOEMSコンデンサから接続又は切断できるようになる。したがって、任意の所望の電荷量をMEMS/MOEMSコンデンサに正確に付加することができる。このようにして、コンデンサは、任意の所望の電荷量で充電することができ、この電荷量は、静電アクチュエータの静電容量の間隔dの動作点を規定する。
前記ファブリペロー干渉計FPIなどの実際の応用例では、スペクトル測定は、規定された間隔dの動作点において行うことができる。2次で動作するFPIの例では、ピーク伝送波長がMEMS/MOEMSコンデンサの極板間の間隔に等しくなる。
図21を考察すると、第2の開示のステップの次の要点に至る。
電圧Vの代わりに電荷Qでシステムを制御すると、電圧は、MEMS/MOEMSアクチュエータの容量性構造体の電荷量Qにより生じる電圧V(Q)の意味を持つ。したがって、生じる電圧は、追加の情報を与える追加の測定量として役立ち得る。容量性構造体を有するMEMS/MOEMSシステムでは、MEMS/MOEMS平行極板コンデンサの生じる電圧を測定しながら、電荷量Qを定量的に制御することは、既知の式C=Q/Vに基づいた静的静電容量測定の単なる新しい方法であり、上式はここでよりよく次式のように書かれて、
C=Q/V(Q) (式11)
Qが動的に設定される制御値であること、及び
V(Q)が、電極の間隔を目標値dに設定するために必要な電荷Q(d)により生じる依存値であること
が示されるべきである。
MEMS/MOEMS平行極板コンデンサでは、極板間の間隔dは、実効コンデンサ面積Aが既知である場合、式4から直接計算することができる。この基本式C=Q/Vは、dに対して生じる電圧Vが特定の間隔d=d(V=Vmax)で最大値を示すことに関係なく、有効なままであることは注目に値する。上述の静的静電容量測定による間隔dの決定は、図15で電圧Vが最大値Vmaxをとる点、及び勾配∂d/∂Vが発散する点においても機能する。
容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を有する別のMEMS/MOEMSアクチュエータシステムについては、電極の間隔と静電容量値の間の関係についての説明が必要である。アクチュエータのコンデンサの設計に関して特徴的なこのような関係を測定及び確立すれば、電極間の実際の間隔を測定静電容量値から算出することが可能になる。この手順の利点は明らかである。すなわち、MEMS/MOEMSアクチュエータシステムパラメータ「間隔」の較正では、温度依存性又はヒステリシスを有し得るSET点値を参照するのではなく、温度変化又は機械的ヒステリシスの影響を反映する瞬時の静電容量の測定値を参照する。
いくつかの応用例では、間隔測定における長期の精度への要件は非常に厳しい。背景の項で述べたように、間隔dは、多くの応用例において、例えば赤外光放射のピーク伝送が間隔dと等しい波長で起こる2次のFPIで(AOI=0°の場合)、非常に精密に把握される必要がある。
したがって、第2の間隔測定方式が、下記の微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータとの使用専用に発明される。
よく知られている静電容量の測定の方法は、高周波(HF)静電容量測定を使用することである。典型的なHF静電容量測定では、高い周波数の小さい振動電圧信号を印加し、生じるAC電流を測定する。現状技術のMEMS/MOEMSアクチュエータ制御システムに移行すると、AC電圧変調はDC制御電圧に加えられなければならない。しかし、DC電圧制御領域で動作させると、上で詳細に論じた、多価の関係V(d)によって生じるすべての問題を元に戻すことになる。ここで、第2の開示のステップでは、HF静電容量測定を電荷制御手法に合わせて以下の手順で行う。
・静電アクチュエータを所望の間隔dまで変位させるように電荷量Q(d)を設定する。
・電荷供給回路をコンデンサからスイッチによって切り離す。
・小信号AC電流源I(t)の供給源に接続する。
・印加AC電流レベルの関数としての、生じるAC電圧変調V(t)を測定する。
・角周波数ωの関数としての複素インピーダンスZ(ω)がZ(ω)=V(ω)/I(ω)によって得られ、求める静電容量CがC=(ω×|Z(ω)|)−1によって得られる。
さらなる説明を容易にするために、この方法を「電流注入HF静電容量測定」と呼ぶことができる。MEMS/MOEMS静電アクチュエータは機械的な共振周波数を有することに留意されたい。共振振動は、電荷量Qによって規定された任意の動作点d(Q)のまわりで起こり得る。
第2の開示の目的のためには、必要な精度に応じて、共振周波数よりも十分に上の、例えば少なくとも10倍高い周波数で、この「高周波」測定を行うことが非常に重要である。これにより、MEMS/MOEMSコンデンサ電極の動きはこれらの励起周波数に追従できないので、AC電流による機械共振の励起が回避され、間隔dはAC電流信号に依存しない。最後に、式4により、実効コンデンサ面積Aが既知である場合には、コンデンサの極板間の間隔dを算出することが可能になる。
準静的静電容量測定方式によって、又は電流注入HF静電容量測定方法によって、実際の間隔dを定量的に算出する可能性により、このような微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータデバイスの応用についてのいくつかの問題が一度に解決する。
・使用されるMEMS/MOEMS静電アクチュエータの容量の、間隔dに対する大まかな依存性が分かっていると、すべての瞬時の間隔値dを瞬時の電荷制御値Q、及び生じる電圧V(Q)から計算することができる。
・間隔dに対する依存性が分かっているMEMS/MOEMS平行極板コンデンサ(式4)では、ベストケース非個別完全波長較正多項式は、デバイスごとに測定され計算される必要がある。1つの間隔dを1つの既知の電荷量及び1つの温度において測定することが、主として実効コンデンサ面積Aの精密な把握のためには十分である。他のすべての従属要素は、動作中に、提案の方法によって間隔を算出することによって、つまり電圧を制御パラメータとして使用するのではなく電圧を測定量として利用可能にすることによって、測定することができる。
・実際の間隔dを変化させる温度変動は、実際の間隔dが再度測定されるときに顕著になる。
・長期のドリフト又はヒステリシスの影響は、実際の間隔dの新たな測定を例えばデバイスの走査制御の間に実行することによって除去される。
ばね付き微小機械加工MEMS/MOEMSアクチュエータシステムは、機械共振周波数を有する。共振振動は、任意の準静的動作点において起こる可能性があり、この動作点は、(静的)電荷量Q(d)によって規定される平均間隔dにより特徴づけられる。いくつかの応用例では、デバイスは機械共振又はそれに近い状態で動作する。共振モードを励起するために、システムは通常、振幅及び周波数が調整可能な電圧変調によって駆動される。「電流注入HF静電容量測定」の項で論じたように、この変調はDC制御電圧に加える必要がある(再び、上で論じたその不利点の故に望ましくない領域)。第2の開示のコントローラの動作を共振振動の駆動の場合にも拡張するために、以下のように次に進む必要がある。
・アクチュエータ静電容量を所望の間隔dに調整するために電荷量Q(d)を設定する。
・実際の間隔dを、生じる電圧を測定することによって(すなわち、静的静電容量測定)、及び/又は電荷注入HF静電容量測定によって決定する。
・電荷供給回路をコンデンサからスイッチによって切り離す、或いは、電流源回路の振幅をゼロまで低減させる。
・振幅及び周波数が調整可能である小信号AC電流源を接続する。
・印加されたAC電流の関数としての、生じるAC電圧変調の振幅及び位相遅れを測定する。
電流注入HF静電容量測定についての上の議論との違いは、電荷Qの動作点でコンデンサに接続されたAC電流変調は、振動性機械システムのいわゆる強制振動を生じさせることである。励起力と機械振動の間には位相遅れがあり、この位相遅れは、非常に低い周波数で0度であり、共振周波数に等しい周波数で90度に達し、共振周波数よりもずっと高い周波数では180度に近づく。0度から180度への上昇は、振動性システムの内部ダンピングが小さい場合、すなわち、いわゆる「Q値」が高い場合、共振付近で非常に速くなり得る。結論として、間隔dはまた時間の関数にもなって、AC電流の周波数を有するが特徴的な振幅及び位相遅れを伴って、(特定の遷移時間の後に)周期的に振動する。第2の開示によって教示される電荷/電流制御へ電圧制御から変更することにより、現状技術と比べて以下の利点が得られる。
・d=0からゼロ力状態d=dまでのすべての間隔値に対処することができる。励起力及び周波数は任意に選ぶことができる。
・振動性MEMS/MOEMS静電アクチュエータシステムについて、生じる振幅及び位相遅れを決定することができ、それにより、動き状態の完全な制御を実現することができる。
この検出方法の小さな欠点は、この方法では、勾配∂V/∂dがゼロになる最大Vma にDC電圧が達する動作点Qの付近で、感度が低くなり得ることである。
上述の振動運動コントローラ及びその関連測定システム(電荷量を制御する新規のアクチュエータ制御システムの第2の開示に基づく)には、現状技術の電圧制御と比較して下記のいくつかの基本的な利点がある。
・提案の方法は、すべての間隔dに対処し利用することができ、不安定さが全くなく、また「引き込み」現象の危険が全くない。
・システムの駆動力はQについて線形である(式3)。これは次のことを示唆する。すなわち、電荷Qの正弦波変動によって生じる駆動力は、実際の間隔dと無関係であり、またこの力による影響を受けるシステムの実際の動きと無関係である。電圧制御を代わりに使用する場合、正弦波制御変調電圧を印加することは、力FがV/dに関係がある(式5)ことを意味する。励起力自体は、振動中の実際の間隔dに依存し、この間隔dは、次いでその力による影響を再現可能なように受ける。この循環依存性は、予測不可能且つ望ましくない影響をもたらし得る。
・第2の開示による方法は、振動周波数、振幅及び位相遅れの検出システムを提供し、この検出システムはパラメータdの機械的動きを直接検出する。生じる電圧V(AC変調を含む)は、式C=Q/Vと、間隔dを電圧Vから直接計算できるようにするV=Q/C=(Q/εA)×d(式12)とした、式4とによって得られる。
実効コンデンサ面積Aは、簡単な単一点較正によって、例えば、個々の静電アクチュエータごとに既知の電荷量について間隔dを測定することによって、算出することができる。
[好ましい実施形態の詳細な説明]
第2の開示の主要な目的は、少なくとも1つの可動静電容量電極及び1つのばね付き静電容量電極を有する静電アクチュエータの設定点(動作点)を、現状技術におけるような制御電圧によってではなく、電極に配置された電荷量によって制御することである。そうするには、図22の静電容量210からそれぞれのスイッチによって接続又は切断できる、異なる電荷供給回路を使用することができる。好ましい電荷供給回路の接続の高速及び高精度のタイミング制御、並びにその特性により、正確に知られている電荷量をコンデンサに付加することが可能となる。
上記の目的に鑑みて、第2の開示は、図22に示されたシステムを用いて実現される。静電アクチュエータ静電容量210は、電流源211、電圧計213及びリセットスイッチ215に対して並列に電気的に接続される。電流源211は、スイッチ212を使用してオン又はオフに切り換えることができる。電圧計213は、スイッチ214を使用してオン又はオフに切り換えることができる。
電流源211は定電流Iを生成する。スイッチ212が閉じられ、電流Iが時間tの間流れているとき、電荷Q=I×tが静電アクチュエータ静電容量210の電極に付加される。アクチュエータ静電容量210の電極間において電圧V(Q)が測定される。平行極板静電アクチュエータの場合、図23に示された典型的な電圧対電荷曲線V(Q)が、上述の理由のために観測される。曲線V(Q)は最大値を有し、この最大値は、この点における発散実効静電容量をもたらす。実効静電容量Ceffは、図24に示されるように、Q(V)の1次導関数、Ceff=dQ/dV=(dV/dQ)−1によって得られる。
静電アクチュエータの電極の一方がグランド又はアクチュエータのケースに接続されている場合について、適切な精密電流源の好ましい実施形態が図25に示されている。演算増幅器221を使用するこの回路は、ハウランド電流ポンプとして知られている。理想に近い挙動を得るには、次の抵抗の条件、すなわちR1=R2、R3=R4、R5=R6が満たされなければならない。これらの状況のもとで、電流Iは静電アクチュエータ静電容量220を、時間と共に直線的に増加する電荷量Q、Q=I×tによって充電する。電流Iは、入力部222におけるプログラミング電圧Vの線形関数であり、I=V/R6×(R3+R5)/R1である。
静電アクチュエータ静電容量の両方の電極がフローティングである場合について、適切な精密電流源の好ましい実施形態が図26に示されている。演算増幅器226を使用するこの回路は、相互コンダクタンス増幅器として知られている。電流Iは、静電アクチュエータ静電容量225を充電する。電流Iは、入力部227におけるプログラミング電圧Vの線形関数であり、I=V/Rであり、Rは抵抗228の値である。
小さい増分の電荷が静電アクチュエータ静電容量の電極に付加されることが望ましい場合には、スイッチトキャパシタ原理による電流源211が好ましい。このような回路は、例えば、W.A.Clarkの米国特許第5,969,513号、「Switched Capacitor
Current Source for Use in Switching Regulators」に記載されている。スイッチトキャパシタ電流源は、例えば、B.R.Gregoire及びU−K.MoonのIEE Trans. Circ. Sys. II: Express Briefs, Vol.54, No.3 March 2007("A Sub 1-v Constant G m-C Switched-Capacitor Current Source")に記載されているように、標準的な半導体技術を使用して、集積回路として非常に効率的に実装することができる。
スイッチトキャパシタ電流源の利点は、その純然たるデジタル動作である。すなわち、全く同じ電荷パケットがデジタルスイッチの制御のもとで供給され、制御電圧の正確なアナログ選択が何も必要とされない。
多くのスイッチトキャパシタ電流源は単極性であり、すなわち、一方向の電流の流れだけを供給することができる。このような場合、第2の開示で必要な双極性電流源を作り出すには、反対方向に電流の流れを供給する2つのスイッチトキャパシタ電流源が並列に接続される必要がある。
第2の開示による完全な静電アクチュエータ制御システムの好ましい実施形態が図27に示されている。この制御システムは、図22に示された静電アクチュエータコントローラのすべての要素を制御するデジタルコントローラシステム231から成る。デジタルコントローラシステム231は、静電アクチュエータ230の機械的変位を制御するための一連のコマンドのすべてのステップを実行する。
第1のステップでは、スイッチ234、238及び239が開かれる。第2のステップでは、リセットスイッチ239が閉じられる。これにより、静電アクチュエータ静電容量230が完全に放電されて、アクチュエータがその機械的ゼロ力位置に戻る。第3のステップでは、リセットスイッチ239が開かれ、電圧計スイッチ238が閉じられる。これにより、静電アクチュエータ230の電極間の残留電圧(「リセット電圧」)の測定が可能になる。測定は電圧計235によって行われ、電圧計のアナログ出力236が、アナログ−デジタルコンバータ237によってデジタル値に変換される。得られたリセット電圧のデジタル値は、コントローラ231のメモリに記憶される。ここで、システムは、静電アクチュエータ230の変位を制御するための繰り返しステップ列の用意ができた状態となる。
各繰り返しステップ列は、電流源スイッチ234を閉じることから開始する。所定の時間tの間、電流源232は静電アクチュエータ230を電流Iで充電しており、電荷パケットΔQ=I×tをアクチュエータ静電容量230に付加する。Iの値又は電荷パケットΔQのサイズは、デジタルコントローラ231によって制御信号233を介して決定(把握)される。供給されたすべての電荷パケットΔQは合計すると、アクチュエータ230の電極に堆積された総電荷Qになる。電圧計235は、アクチュエータ230の電極間の電圧V(Q)を継続して測定している。
V(Q)が既知であることにより、実効静電容量Ceff(Q)を算出することが、1次導関数Ceff(Q)=dQ/dV=(dV(Q)/dQ)−1を計算することによって可能になる。図24に示されるように、Ceff(Q)は、電荷Qの、したがって静電アクチュエータ230の変位についての一対一の尺度である。特に、Ceff(Q)の符号は、静電アクチュエータ230の状態を明示する。Ceff(Q)が正である場合、アクチュエータはそのゼロ力位置の近くにあり、リセットスイッチ239が閉じると、アクチュエータはそのゼロ力位置まで戻る。Ceff(Q)が負である場合、アクチュエータは、いわゆる「引き込み」点を通過しており、リセットスイッチ239が閉じると、アクチュエータはその極限位置d=0まで移動することを強いられ、それにより電極が接触し、アクチュエータの不可逆的な損傷が生じ得る。Ceff(Q)が負である場合、それでも、0<Vreset<Vmaxである正のリセット電圧Vresetへのリセットを実施することによって、アクチュエータを0と2/3×dの間の任意の間隔まで動かすことが可能である。しかし、電圧制御のみによってゼロ力平衡位置まで戻ることは、Cef (Q)が負である場合には不可能である。
アクチュエータ変位ステップの完全な一サイクルが終了した後に、Ceff(Q)が計算される必要がある。Ceff(Q)が正である場合、スイッチ234及び238を開き、リセットスイッチ239を閉じるのが安全である。こうすることでアクチュエータ230は、そのゼロ力位置まで安全に移動する。しかし、Ceff(Q)が負である場合は、アクチュエータ230上の総電荷Qが反転された電流の流れによって引き込み点未満に減少できるように、電流源232の極性が制御信号233によって変えられなければならない。総電荷が特異点及びCeff(Q)の符号変化未満に十分に減少した後は、スイッチ234及び238を開き、リセットスイッチ239を閉じるのは安全である。こうすることでアクチュエータ230は、そのゼロ力位置まで安全に移動する。
図22では、電流源211にスイッチ212が与えられ、電圧計213にスイッチ214が与えられている。電流源211及び電圧計213を実装する電子回路が十分な特性のものであれば、電子回路にスイッチ212及び214を与える必要がないこともあり得る。
電圧計213が、静電アクチュエータ静電容量210に付加された電荷Qが電圧計213を経由して著しく放電しないほど高インピーダンスである場合、また電圧計213が有する静電容量がアクチュエータ210の静電容量と比べてわずかな場合には、スイッチ214は余分である。
電圧計213が、測定のための十分な時間を電圧計213に与えるために電流源211をスイッチ212によってオフに切り換える必要がないほど高い時間分解能で測定している場合には、スイッチ212は余分である。或いは、電流源211の電流を高速で、また電流をゼロにするまで、変えることが可能である場合には、スイッチ212はやはり余分である。
これらの場合には、図22に示された第2の開示による静電容量アクチュエータ制御システムは、図28に示されたシステムへと簡略化することができる。依然として必要な唯一のスイッチは、リセットスイッチ215である。
上述の電荷注入HF測定方法を用いてアクチュエータ静電容量210を測定することができる、第2の開示による静電アクチュエータ制御システムが図29に示されている。小信号AC電流注入源216が、電流源211、電圧計213及びリセットスイッチ215に対して並列に接続されている。必要であれば、AC電流注入源216は、スイッチ217を用いて、システムの他の要素から切り離すことができる。上述のように、AC電流注入源216は、アクチュエータ静電容量210を高速で充電及び放電しているが、静電容量210の電圧は電圧計213によって観測され、この電圧計は、AC源216の振動に追従するのに十分な時間分解能の能力がなければならない。上述のように、静電容量210は、AC電流I(t)、電圧V(t)及び振動角周波数ωが分かっていれば、算出することができる。また、I(t)及びV(t)が分かっていることで、I(t)とV(t)の間の位相角を決定して、静電アクチュエータ210の状態についての追加情報を得ることも可能になる。
電圧計213は、2つの別個の並列の回路として実現することができる。すなわち、1つは、アクチュエータ静電容量210の絶対電圧を測定するための、低速であるが高精度のフルスケール電圧計であり、1つは、アクチュエータ静電容量210に及ぼす小信号AC電流注入源の影響を測定するための、高速であるが小信号の電圧計である。「高速」及び「低速」という語は、AC電流注入源216の変調周波数に関係がある。「低速」は、測定周波数がAC源216の励起周波数よりも下であることを意味し、「高速」は、測定周波数がAC励起周波数よりも上であることを意味する。
第2の開示の特徴は、下記のとおり記載され得る。
[特徴1]
容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を備え、それによって、電気的手段によりコンデンサに印加された力によって前記電極間の機械的間隔dを変えることが可能になる微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータシステム用の電気アクチュエータコントローラであって、
電荷Qにより前記コンデンサに生じる電圧Vが、電荷量Qの関数として少なくとも1つの最大値を示すことを特徴とする、少なくとも1つの可動電極を持つコンデンサシステムを備え、
前記電気アクチュエータコントローラが、
静電容量電極間における引き寄せる機械力の供給源の直接制御として、前記システムを前記電荷量Qによって直接駆動することを特徴とし、
前記電気アクチュエータコントローラが、
(1)原理的に繰り返し切り換え可能な外部負荷コンデンサなどの、既知の電荷量を正確に供給する、又は好ましくは、電荷供給回路のみによるとは限らない、1つ又は複数の電荷供給回路、
及び
(2)前記電荷供給回路を非常に高速に、且つ任意の時間において、且つ任意選択では繰り返し、前記アクチュエータのコンデンサからそれぞれ接続又は切断することを可能にする電子スイッチであり、それによって、前記アクチュエータのコンデンサの総電荷量を定量レベルに、前記1つ又は複数の使用される電荷供給回路の特性と共に、規定することが可能になると共に、特定の電荷量を、例えば(それだけには限らないが)、可動電極コンデンサシステムに基づいて実施される測定を実行する目的のために長期にわたり一定に保つことが可能になる、電子スイッチ
によって実現される、電気アクチュエータコントローラ。
[特徴2]
特徴1に記載の、前記電荷量Qを直接制御する前記電気アクチュエータコントローラを使用する場合の、特徴1に記載の前記微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータシステムの前記電極間の間隔dによって形成される前記容量性構造体の瞬時の静電容量の測定システムであって、
本特徴の前記瞬時の静電容量の前記測定システムが、
コントローラシステムが、前記アクチュエータの静電容量への印加電荷量を制御すること、及び、この電荷量が既知であるか、又は前記電荷供給回路の特性及び前記スイッチのタイミングによって決定できること、
並びに、
前記電気アクチュエータコントローラが、前記コンデンサの両端間に生じる電圧を測定するための回路を含み、それにより、電荷量Q及び生じる電圧Vを知ることによって、前記静電アクチュエータシステムの前記電極間の瞬時の間隔dによって形成される前記容量性構造体の容量を決定できること
を特徴とする、測定システム。
[特徴3]
特徴1に記載の、前記電荷量Qを直接制御する前記電気アクチュエータコントローラを使用する場合の、特徴1に記載の前記微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータシステムの前記電極間の間隔dによって形成される前記容量性構造体の瞬時の静電容量の測定システムであって、
本特徴の前記瞬時の静電容量の前記測定システムが、
まず、前記コントローラが一定の電荷量を前記静電容量に付加し、その結果、前記極板間の前記間隔が所望の間隔に近くなるように調整され、次に、前記電荷供給回路が可動極板コンデンサから切り離され、
次に、追加のスイッチを介して、振動平行極板コンデンサの共振周波数よりもずっと高い周波数のAC電流がそのコンデンサに注入され、
前記電気アクチュエータコントローラが、前記コンデンサから生じるAC電圧変調を測定するための回路を含み、それにより、電荷量変調ΔQ及び生じる被測定変調電圧ΔVを知ることによって、前記静電アクチュエータシステムの前記電極間の瞬時の間隔dによって形成される前記容量性構造体の高周波静電容量を決定する
ことを特徴とする、測定システム。
[特徴4]
特徴4に記載の、前記電荷量Qを直接制御する前記電気アクチュエータコントローラを使用する場合の、特徴1に記載の容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を備えた前記微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータシステム用の、強制振動を励起し振動状態を測定するためのシステムであって、
本特徴の静電アクチュエータ用の、強制振動を励起し振動状態を測定するための前記システムが、
まず、前記コントローラが一定の電荷量を前記コンデンサに付加し、その結果、前記コンデンサの電極間の間隔が所望の間隔に近くなるように調整され、次に、前記電荷供給回路が前記コンデンサから切り離され、
次に、追加のスイッチを介して、調整可能な振幅、及び振動アクチュエータコンデンサの共振周波数よりも低いか、等しいか、又は高い周波数を有するAC電流がそのコンデンサに接続され、
前記AC電流が、前記振動アクチュエータコンデンサの強制機械振動を駆動し、
前記電気アクチュエータコントローラが、前記コンデンサから生じるAC電圧変調を測定するための、変調電圧振幅と印加AC電流の位相に対するその位相遅れとを検出できる回路を含み、それにより、少なくとも過渡振動位相の後に、前記静電アクチュエータの前記強制振動の振動状態を完全に決定することができる
ことを特徴とする、システム。
[特徴5]
特徴1〜4による電気作動コントローラであって、前記電気作動コントローラの好ましい実施形態が、少なくとも1つのばね付き可動極板を備えた前記微小機械加工静電アクチュエータの近傍に好ましくは配置された特定用途向け集積回路(ASIC)によって実現されることを特徴とする、電気作動コントローラ。
[特徴6]
並列に接続された3つの電気構成要素、すなわち、切り換え可能バイポーラ電流源、切り換え可能高インピーダンス電圧計、及びリセットスイッチから成る静電アクチュエータの全部の機械的変位範囲を利用するための静電アクチュエータ制御システム。リセットスイッチは、静電アクチュエータを放電するために、且つアクチュエータをその機械的ゼロ位置まで動かすために使用される。バイポーラ電流源は、既知の電荷パケットを静電アクチュエータの電極に連続して堆積させるのに使用され、総堆積電荷Qの単調関数である機械的変位がもたらされる。電圧計は、静電アクチュエータの電極間の実際の電圧V(Q)を決定するのに使用される。この情報を用いて、アクチュエータの実効静電容量である1次導関数dQ/dV=(dV/dQ)−1が計算され、この実効静電容量を使用してアクチュエータの機械的位置を決定することができる。一動作周期が終了した後、バイポーラ電流源を能動的に使用して静電アクチュエータを放電する。この動作シーケンスは、デジタルコントローラシステムの制御のもとで実行される。
[第3の開示]
第3の開示は、容量性構造体と、少なくとも1つのばね付き可動電極とを備えた微小機械加工MEMS/MOEMSシステムを電圧ではなく電荷量により制御するために使用される、静電アクチュエータコントローラの操作及び較正に特有の方法について、このような容量性構造体がかなりの、又は少なくとも無視できない漏洩電流を示し得ることに特に注目して記述する。
関連技術は、第2の開示であり、第2の開示は、無視できない漏洩電流がある容量性構造体用の静電アクチュエータコントローラの使用を包含する。
[背景]
可動部分を有するMEMS及びMOEMS構造体は作動する必要がある。作動の様々な方式が知られている。1つの可能な選択肢は、適切なアクチュエータ構造体の静電作動である。容量性構造体と、制御電圧によって作動できる少なくとも1つのばね付き可動電極とを備えた特別な微小機械加工MEMS/MOEMSシステムがある。一例として、そのようなアクチュエータ構造体を利用して近赤外スペクトル範囲のスペクトル分析を可能にする、MEMSに基づくファブリペロー干渉計がある。
このようなシステムの重要な特徴は、容量性構造体の容量が電極間の間隔dに依存することであり、dが減少すると容量が単調に増加することである。
このような構造体の一例として、平行極板コンデンサの容量は次式で与えられる。
C=εA/d (式13)
ここで、
ε:誘電率定数
A:コンデンサの実効面積
d:電極間の間隔
第2の開示は、このような容量性構造体を少なくとも1つのばね付き可動電極と共に備えたそのような微小機械加工MEMS/MOEMSシステムに関して、電圧Vは、電極に配置された電荷量Qの関数として最大値を示し得ることを教示している。電圧最大値は次のように説明することができる(図30を比較)。
・ゼロ電荷では、コンデンサの電圧もまたゼロである。
・電極の電荷量が増加すると電極間に引力が生じる。結果として、電極間の間隔dが縮小し、容量性構造体の容量が増加している。最初のうち、dが大きいときには、容量はdと共に徐々に変化している。したがって、コンデンサの電圧も増加している。
・堆積電荷量がさらに増加すると、電極間の間隔は減少するが、容量の増加は次第に速くなり、電極は互いに近づく(例えば、式13に見られるように)。その結果、電圧V(Q)は最大値Vmaxを有することになる。より大きい電荷量では、電荷量Qの増加にもかかわらずコンデンサの電圧は再び減少する。
このようなシステムを電圧制御によって制御しようとすると、Vmaxよりもわずかに大きい制御電圧Vcontrolが、速い暴走現象、いわゆる「引き込み」現象をまねく。この現象は両電極が互いに衝突して終わり、この衝突では通常、アクチュエータデバイスが損傷する。
第2の開示は、以下を教示する。
・電圧制御を電荷量による制御領域に置き換えると、安全で「引き込み」のない動作が可能になる。
・電荷制御を用いると、V(Q)に最大値が存在すること、及び生じる「引き込み」現象の故に電圧制御によってはアクセス可能ではない電極間の間隔の調整範囲がアクセス可能になる。
・1つ又は複数の電流源とスイッチを組み合わせると、いかなる任意の電荷量Qもアクチュエータの容量性構造体の電極に付加することができる。
・加えて、正確に制御された電荷量Qを有するコンデンサで生じる電圧V(Q)の測定を行うことは、アクチュエータの容量性システムの実際の静電容量を算出するための準静的な方法である。電極間の実際の間隔dは、静電容量と電極間の間隔との間の関係が例えば較正測定によって分かっている場合には、そのような実際の静電容量値から算出することができる。
・容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を備えた振動MEMS/MOEMSシステムの共振周波数よりも上の周波数を有するAC電流を注入し、さらにコンデンサの電圧のAC振幅を測定するのは、HF静電容量測定であり、この測定は、静電アクチュエータコントローラの電荷/電流制御との適合性がある。
第2の開示に関するすべての考察は、漏洩電流が無視できるとして行われた。しかし、現実のMEMS/MOEMS構造体にはかなりの漏洩電流があり得る。漏洩電流は、上記の「静電アクチュエータコントローラ」の重要な利点の応用性を制限する。第3の開示はこの短所を、無視できない漏洩電流がある静電アクチュエータシステムの確実な制御のためのコントローラシステム及び動作モードを提供することにより、克服する。
[開示の概要]
以下に提示される第3の開示は、第2の開示の、アクチュエータの容量性構造体に無視できない漏洩電流が存在することによる応用性制限を克服する。
第3の開示のステップは、5つの本質的な要素から成る。第2の開示のすべての概念は、任意の時間におけるコンデンサの電圧、漏洩電流源、及び分離抵抗Rleakが十分な精度で既知である場合に、応用可能である。
第3の開示の第1のステップは、少なくとも1つの追加の切換え可能参照抵抗器と、この追加の参照抵抗器を使用する専用の測定方法とを用いた、分離抵抗Rleakを正確に算出できるようにする構成を導入することである。この較正測定は、任意の実際の動作条件のもとで任意の時間に繰り返すことができる。この方法では、コンデンサの電圧V又は制御電荷Qに対する分離抵抗Rleakの依存性がもしあれば、その依存性を測定することさえ可能になる。
電荷制御領域では、まず規定電荷量がコンデンサに付加される。次のステップで、すべての電流源がコンデンサから切り離される。無視できない漏洩電流が存在することが、コンデンサの電荷量Qが時間の経過と共に減少することによって、選択された設定点を変化させている。
したがって、第3の開示の第2のステップは、制御電荷量Qによって規定される動作点を保持できるようにする、制御電流のフィードバックループを導入することである。関係V(Q)に最大値があることにより、その導関数dV/dQは符号を変化させ、したがって、コンデンサの電荷量Qにより生じる電圧は、制御閉ループの検知値として適さない。その代わりに、制御閉ループは、静電容量を検知値として用いて動作するように作られる。静電容量値は、「電流注入」HF静電容量測定システムを用いて測定される。
第3の開示の第3のステップは、第3の開示の第2のステップの構成を、コンデンサの制御電荷量Qによって規定される別々の動作点における分離抵抗Rleakの追加の測定方法として使用することである。
第3の開示の第4のステップは、静電アクチュエータコントローラの1つ又は複数の本精密抵抗器及び内部電圧測定システムを使用するシステム内のすべての電流源の再較正を可能にする、追加スイッチを導入することである。追加スイッチの導入は、制御されるべき電流が非常に小さいことがあるので、本質的に必要である。
第3の開示の第5のステップは、能動フィードバック制御を用いずに極度に簡略化された、しかし、静電アクチュエータコントローラの部分的動作範囲だけは引き込み現象などのいかなる暴走現象も発生する危険なく機能する、動作方式を導入することである。
[開示の詳細な説明]
第2の開示は、容量性構造体及び少なくとも1つのばね付き可動電極を備えた微小機械加工MEMS/MOEMSシステムの電荷制御には、電圧による制御と比較して、いくつかの利点があることを教示している。
これらの利点を活用するために、第2の開示は図31に示された回路を提案している。電流源311は、電流Iをアクチュエータの容量性構造体310にスイッチ312を介して供給する。スイッチ314を介して電圧測定回路313がコンデンサ310に接続されることで、コンデンサ310の電荷量Qにより生じる電圧Vを測定することができる。リセットスイッチ315により、コンデンサの電圧をゼロにリセットすることができる。
目標の制御電荷量Qが、既知の電流Iを供給する精密電流源311と、接続/切断切換え312の正確なタイミングとの組み合わせによって、コンデンサに付加される。
図32は、実際のコンデンサの等価回路を考慮に入れたときの図31の静電アクチュエータ制御システムを示す。分離抵抗Rleak 320、等価直列抵抗RESR 321及び等価直列インダクタンスL 322が示されている。
直列抵抗RESRは通常、分離抵抗Rleakよりもずっと低く、したがってRESRは無視できると仮定される。インダクタンスL 322もまた、無視できると仮定される。Rleakの影響だけが以下で考察される(図33)。
静電アクチュエータコントローラは、規定電荷量を容量310に付加することによってアクチュエータを制御する。しかし、電流源311によって供給される電流はノード323で分流する。漏洩電流Ileakは、コンデンサCの電圧、及び分離抵抗Rleakに依存する。任意の時間tにおけるコンデンサの電荷Q(t)は次式(式14)で与えられる。
ここで、
Iはスイッチ312が閉じている間の時間の関数としての電流源311の電流であり、
V(Q(t))は、電圧計313を用いて測定される、電荷Qによるコンデンサの、スイッチ314が閉じているときの時間にわたる被測定「生じる電圧」であり、
は開始時間であり、
は、実際の電荷量Q(t)が考慮される又は制御されるべき実際の時間である。
電流源311によって供給される制御電流が既知であり、生じる電圧V(Q(t))が電圧測定システム313によって測定される場合、式14は、Rleakが分かればコンデンサの電荷量Q(t)を任意の時間tにおいて正確に制御できることを示す。したがって、第2の開示に記載された静電アクチュエータコントローラの手法は、分離抵抗R leakが十分な精度で分かれば、無視できない漏洩電流の存在下で使用することができる。
通常、固定容量を有するコンデンサCの分離抵抗Rleakは、コンデンサに電荷Qを付加し、次に、どの電流源又は制御電圧も切り離し、次に、コンデンサが漏洩電流によって放電している間、コンデンサで生じる電圧を時間の関数として測定することによって、算出される。この方法は、前述のアクチュエータでは、そのコンデンサが少なくとも1つのばね付き可動電極の故に固定容量を有していないので、役に立たない。図30の例に示されるように、電極間の間隔は電荷量Qの減少によって増加する。それに応じて、容量は減少する。電圧V(Q)は、固定容量コンデンサの場合のように指数関数的には減衰しない。上記のアクチュエータでは、動作点に応じて電圧Vは、コンデンサの電荷量が漏洩電流によって減少するときに上昇することさえあり得る。これは、図30に示された関係V(Q)における最大値の結果である。結論として、非固定容量を有するコンデンサCの分離抵抗Rleakを算出するための既存の方法は応用できない。
したがって、第3の開示の第1のステップは、図34に示された、既知の抵抗Rrefを有する参照抵抗350とスイッチ351の少なくとも1つの組み合わせを備えた静電アクチュエータコントローラを拡張すること、及び分離抵抗Rleakを正確に算出するための以下の方法を導入することである。
・コンデンサは、ゼロ電荷(すなわち、リセットスイッチ315によるコンデンサのリセット後)から開始して、電流源311によって印加される同じ定電流Iを用いて、定電流I>Vmax×(Rleak −1+Rref −1)という条件で、2回充電される。
・充電サイクル中、電圧Vは時間の関数として測定される。
・一方の充電サイクル(時間tによって特徴付けられる)が、参照抵抗350のいずれかが関連スイッチ351によって切り離されている間に実行される。
・他方の充電サイクル(時間tによって特徴付けられる)が、少なくとも1つの参照抵抗350が少なくとも1つのスイッチ351を閉じることによって接続されている間に実行される。
2つの充電サイクル中の時間にわたって生じる電圧の関数の違いから、分離抵抗Rle akは、参照抵抗350の既知の抵抗Rrefとの関連において算出することができる。
この測定方法から所望の情報を取り出すための1つの可能な方法が以下に示される。充電サイクルの簡潔な分析は、電荷量Qによって規定される、システムが動作する各システム状態が等しいことを示す。これは、コンデンサの同じ制御電荷Qに達すると、少なくとも、図30の電圧最大値Vmax203の出現前の枝部201及び出現後の枝部202別々の電圧レベルに関して、やはり同一の生じる電圧V(Q)が観測されることを意味する。
参照抵抗器350が接続される充電サイクルでは、放電に対する総抵抗が、コンデンサC 310及びその分離抵抗Rleakと並列に電気的に接続されている追加抵抗器350によって減少していることにより、同じ充電状態Qに達するのにより長い時間がかかる。それゆえに、同じ電圧レベルV(t)=V(t)=V(Q)において、時間のそれぞれの勾配である、スイッチ351が開いている時間tにおけるs(t)=dV/dtと、スイッチ351が閉じている時間tにおけるs(t)=dV/dtとは異なる。この場合、分離抵抗の逆数Rleak −1は、簡単な次式によって算出することができる。
leak −1=I/V(Q)−s/(s−s)×Rref −1 (式15)
ここで、
Iは一定負荷電流、
V(Q)は、両方の充電シーケンスの被測定等電圧レベル、すなわち、V(t)=V(t)=V(Q)であり、
refは参照精密抵抗器350である。
この方法を用いると、制御電荷Qそれぞれにおける電圧V(Q)に対するRleakのいかなる依存性も、もしあれば、定量的に検出することが実現可能でさえあることに留意されたい。
第3の開示の第2のステップは、電荷量Qによって規定される動作点が、アクチュエータのコンデンサの無視できない漏洩電流が存在することによりドリフトを示すという問題に対処する。
漏洩電流が無視できる場合には、規定電荷量をコンデンサに付加し、次に、スイッチ312によって電流源311を切り離すことが可能である。漏洩電流の存在下では、電荷量Qによって規定される動作点は不変ではないが、コンデンサは漏洩電流の故に放電する。動作点を安定にするには、電荷量Qを一定に保持するようにして電流を制御するフィードバックループをシステムに導入する必要がある。図30に示されるように、関数V(Q)が最大値203を有するために、このようなフィードバックループは、標準的PIDコントローラを用いて作ることができない。PID制御は、制御されるシステムが検知値と制御値の間に単調な特性を有する、すなわち、その1次関数の符号が変わらない場合には、適切に機能する。したがって、図30の枝部201又は図30の枝部202のどちらかにPIDコントローラを使用することは実施可能であるが、V(Q)の最大値203が存在することによりdV/dQの勾配が異なる符号を有するので、同じコントローラを用いて両方の枝部で実施することはできない。
静電容量は電極間の間隔の良好な指標である。図30は、少なくとも1つのばね付き電極を有する平行極板コンデンサの、この特別な構成の状況を示す。第2の開示で指摘されているように、AC変調電圧を印加し、生じる電流を検出するHF静電容量測定は、この方法がAC変調電圧を加えることができるようにするためにシステムのDC電圧制御を必要とするので、実行することが可能ではない。しかし、静電アクチュエータの、図30に示されるV(Q)に最大値を有する電圧制御領域は、枝部201上の動作点のみにアクセスすることができ、枝部202上のいかなる動作点にもアクセスすることができない。加えて、電圧制御は、制御電圧が最大値203の電圧Vmaxをいくらか超えた場合には「引き込み」現象をまねくことが知られている。それゆえに、この方法は静電アクチュエータコントローラの電荷制御領域との適合性がない。第2の開示では、この問題を、AC変調電流が注入され、生じるAC変調電圧がAC電流信号に対して振幅及び位相遅れについて測定される「電流注入に基づくHF静電容量測定」の開示によって解決する。追加のAC電流は、時間分解の電圧測定システム313が振幅及び位相を測定できる間、スイッチ317によって接続又は切断できる専用源316によって供給される。
この「高周波」測定は、各動作点においてアクチュエータシステムの共振周波数よりも十分に上の、例えば、必要な精度に応じて少なくとも10倍以上の高い周波数で行うことが重要である。したがって、アクチュエータの動きは、AC電流源316からの注入AC電流の変調に追従していない。この条件のもとで、アクチュエータ容量性構造体は、電流及び電圧のHF変調信号に対して、容量がコンデンサの電荷量Qによって算出された動作点により規定される固定容量コンデンサのように作用する。
「電流注入に基づくHF静電容量測定」はまた、無視できない漏洩電流の存在下でも可能である。第2の開示に記載されているように、複素インピーダンスが測定される。インピーダンスの実数部からは分離抵抗Rleakを計算することができ、虚数部からは実際の静電容量を計算することが可能である。
要約すると、第3の開示の第2のステップは、無視できない漏洩電流による動作点のドリフトの問題を、静電アクチュエータコントローラの電荷制御領域と適合性があり、且つ電流Iを制御するための閉フィードバックループの入力として静電容量値を使用する、静電容量測定方法を用いて解決し、それによって、コンデンサの電荷量Qによって規定される動作点を変化しないように保持することが可能になる。
第3の開示の追加の第3のステップは、分離抵抗Rleakの精密測定システムとして上述の閉フィードバックループを使用することである。閉フィードバックループの役割は、Qが一定という条件を保持することである。式14を見ると、時間tにおけるQ=一定という条件は、式14の被積分関数がゼロのときに得られる。このことは、閉フィードバックループ制御のもとで制御電流Iが、少なくとも時間平均値で漏洩電流Ileak=V(Q)/Rleakに等しいことを意味する。したがって、電荷量Qによって規定された所与の動作点における漏洩電流の値は、閉フィードバックループがアクティブであり且つ(いくらかの過渡的な時間の後に)安定状態にある間の時間にわたる、制御値「電流I」の平均によって容易に算出することができる。
分離抵抗Rleakを算出するための上記の方法では、電流Iを非常に正確に知る必要がある。
したがって、第3の開示の第4のステップは、DC電流源311又はAC変調電流源316などの任意の電流源によって生成される電流を自己矛盾のないように電圧計313に頼って測定するために、抵抗器Rref 350を使用すること(又は、参照抵抗器と関連スイッチとのいくつかの組み合わせが実施される場合には、異なる抵抗値を有するいくつかの抵抗器を別々に使用すること)であり、それによって、いつでも電流レベルの再較正が可能になる。そうするために、アクチュエータ370の容量C 310をこの再較正測定のために静電アクチュエータコントローラ360の回路から切り離すことができる追加スイッチ318が導入される(図36参照)。
必要に応じて、参照抵抗器350の抵抗(又は、いくつかの参照抵抗器が実装される場合にはいくつかの抵抗)をASIC構造体内に、例えば抵抗値のレーザトリミングによって作製できることが好ましい。参照抵抗器Rref 350(それぞれ、個別の参照抵抗器値Rref,N)が外部からアクセス可能であることもまた注目するに値する。静電アクチュエータコントローラ360が、ばね付き可動電極370を備えたMEMS/MOEMS容量性構造体から切り離される場合、参照抵抗器(複数可)の抵抗値(複数可)は、必要に応じて外部抵抗測定システムによって測定することができる。
実際、静電アクチュエータコントローラ360の任意の能動又は受動構成要素に対する外部アクセスが個別に、スイッチ312、314、317及び351により可能である。DC電流源311、AC変調電流源316、電圧計313及び精密抵抗器350などは、必要に応じて外部からの外部アクセスによって較正することができる。
第3の開示の第5のステップは、能動フィードバック制御を用いない、極度に簡略化された動作方式を導入することである。電圧制御は単純であるが、制御電圧が電圧Vmax
203を超えるとすぐに、「引き込み」現象と呼ばれる即時の暴走現象をまねく。「引き込み」現象は、アクチュエータデバイス、又は少なくともその較正特性を損傷する。例えば制御電圧の安全範囲が温度依存性を有するために、このような暴走現象を開始させるリスクはかなり高い。この第3の開示のステップはここでは、無視できない漏洩電流があるアクチュエータを考慮して、電荷量Qによって規定される動作点を安定にするための簡単な定電流源を使用することである。この方法は次のように機能する。すなわち、
・まず、目標動作点が、電流源311及びスイッチ312により、その電荷量をコンデンサに付加することによって設定される。
・生じる電圧V(Q)が、スイッチ314が閉じたままである間に、電圧計313によって測定される。
・値V(Q)/Rleakの制御電流が設定される。
電荷Qが設定点Qを超えると、生じる電圧は増加し、漏洩電流は増加し、それによって、電荷量Qによって規定される動作点が安定になる。同様に、電荷が少ないと漏洩電流が少なくなり、それによって動作点がやはり安定になる。
残念ながら、この方法は一部の動作範囲、すなわち静電アクチュエータコントローラの枝部201に対して機能するだけである。実際、この方法には、アクセス可能動作範囲に関して、従来の電圧制御モードにおけるものと同じ制限がある。それでもなお、本方法は、現在のMEMS/MOEMSアクチュエータのほとんどが、電圧制御によって実際に制御できる電極間の間隔dの調整範囲に対して設計されていることにより、実用上重要である。
上述の、無視できない漏洩電流があるアクチュエータの電流制御の簡略化方法には、以下のいくつかの理由のための「引き込み」現象によるデバイスの破壊の危険がないという大きな利点がある。すなわち、
・デバイスが一旦電圧制御による動作の不安定範囲の中に入ると、暴走が極めて速く加速している。この過程は制御することができない。加えて、暴走現象の始まりを検出するための監視値がない。
・対照的に、上述の電流制御方法では、コンデンサをゆっくりと充電し、また監視値、すなわち電圧計313によって継続的に測定される生じる電圧V/(Q)がある。
・したがって、引き込み現象の始まりは、生じる電圧V/(Q)が、制御電流が一定である間は単調に降下することを基準にして検出することができる。この条件を検出すると、充電過程は停止させることができ、「引き込み」現象が起きない。
第3の開示の5つのステップを用いると、容量性構造体、及び少なくとも1つのばね付き可動電極を備えた微小機械加工MEMS/MOEMSシステムに関する第2の開示に教示されている電荷制御又は電流制御の概念を、無視できない漏洩電流を示すこのような構造体にも応用することが実行可能になる。
第3の開示の特徴は、下記のとおり記載され得る。
[特徴1]
無視できない漏洩電流があり、少なくとも1つのばね付き可動電極を持つ容量性構造体を備え、電気的手段によりコンデンサに印加された力によって前記電極間の機械的間隔dを変えることが可能な微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータシステム用の電気アクチュエータコントローラの前記コンデンサの分離抵抗を算出するための、(第2の開示の特徴1に記載の)静電アクチュエータコントローラの拡張部及び方法であって、
無視できない漏洩電流があり、少なくとも1つの可動電極を備えたコンデンサシステムが、電荷Qにより前記コンデンサに生じる電圧Vが電荷量Qの関数として少なくとも1つの最大値を示すことを特徴とし、
前記電気アクチュエータコントローラが、
静電容量電極間における引き合う機械力の供給源の直接制御として、前記システムを前記電荷量Qによって直接駆動することを特徴とし、
前記静電アクチュエータコントローラの前記拡張部が、
少なくとも1つの追加の精密抵抗器、及び各抵抗器の少なくとも1つの関連スイッチが、前記精密抵抗器のいずれかが前記アクチュエータシステムの前記コンデンサにその分離抵抗Rleakと共に並列に電気的に接続されるように、導入されること、
及び
各抵抗器をそれ自体のスイッチによって前記コンデンサから接続又は切断できることを特徴とし、
前記アクチュエータシステムにおける前記コンデンサの前記分離抵抗Rleakの絶対値を算出する方法は、
前記方法が、前記コンデンサを電荷ゼロから既知の一定電流で、それぞれの精密抵抗器に関連したスイッチのうちの少なくとも1つを閉じずに、さらには閉じて充電することによって、及びこれらの充電過程中の前記生じる電圧の時間展開を測定及び記録することによって、実施されること、並びに、これらの時間展開の比較から、特に、それだけには限らないが、同じレベルの電圧Vにおける異なる勾配dV/dtから、前記分離抵抗の前記絶対値を算出することができ、それによって、このコンデンサの無視できない漏洩電流の存在下でアクチュエータのコンデンサQにおける絶対電荷量を算出することが可能になること
を特徴とする、静電アクチュエータコントローラの拡張部及び方法。
[特徴2]
無視できない漏洩電流があり、少なくとも1つのばね付き可動電極を持つ容量性構造体を備え、電気的手段によりコンデンサに印加された力によって前記電極間の機械的間隔dを変えることが可能な微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータシステム用の閉フィードバックループによる、(第2の開示の特徴1及び2に記載の)適合性のある一体化HF静電容量測定システムを備えた静電アクチュエータコントローラの拡張部であって、
無視できない漏洩電流があり、少なくとも1つの可動電極を備えた前記コンデンサシステムが、電荷Qにより前記コンデンサに生じる電圧Vが前記電荷量Qの関数として少なくとも1つの最大値を示すことを特徴とし、
電気アクチュエータコントローラが、
前記静電容量電極間の引き合う機械力の供給源の直接制御として、前記システムを前記電荷量Qによって直接駆動することを特徴とし、
前記適合性のある一体化HF静電容量測定システムは、
まず、前記コントローラが一定の電荷量を前記静電容量に付加し、その結果、極板間の間隔が所望の間隔に近くなるように調整され、次に、電荷供給回路が可動極板コンデンサから切り離され、
次に、追加のスイッチを介して、振動平行極板コンデンサの共振周波数よりもずっと高い周波数のAC電流が前記コンデンサに注入され、
前記電気アクチュエータコントローラが、前記コンデンサから生じるAC電圧変調を測定するための回路を含み、それにより、電荷量変調ΔQ及び生じる被測定変調電圧ΔVを知ることによって、前記静電アクチュエータシステムの前記電極間の瞬時の間隔dによって形成される前記容量性構造体の高周波静電容量を算出できることを特徴とし、
前記拡張部は、
前記アクチュエータが被制御システムであり、前記供給源からの電流が制御値であり、上述の「電流注入に基づくHF静電容量測定」によって測定される静電容量が一定に保持されるべき検知値である、閉ループ制御が導入され、
それによって、前記コンデンサの電荷量Qによって制御される任意の規定動作点に前記アクチュエータを、このコンデンサに無視できない漏洩電流が存在するにもかかわらず、安定して保持することが可能になることを特徴とする、静電アクチュエータコントローラの拡張部。
[特徴3]
特徴2に記載の静電アクチュエータコントローラの拡張部を使用するときの、前記コンデンサの前記分離抵抗を算出するための追加の方法であって、
前記追加の方法が、
前記閉フィードバックループが、前記アクチュエータの静電容量の制御電荷量Qを一定に保持するためにアクティブにされた後の過渡時間後に、
ここでは特に閉ループ動作のもとで前記電流源によって供給される制御電流Iである制御値の、ある時間にわたる平均値が算出されると共に、前記コンデンサの電荷量Qによって生成され、測定された生じる電圧Vの同じ時間にわたる平均値もまた算出されること、
及び
前記コンデンサの分離抵抗Rleakを両方の値の比、すなわち生じる電圧の平均値を閉ループ制御下の電流の平均値で割ったもの、によって計算することが、閉ループ動作下の前記電流の平均値が制御電荷Q及び前記生じる電圧V(Q)によって特徴付けられる動作点の漏洩電流と等しいので、可能であることを特徴とする、追加の方法。
[特徴4]
特徴1及び2に記載の静電アクチュエータコントローラの拡張部、及び自己較正のための関連方法であって、
前記拡張部は、
前記アクチュエータの静電容量を前記静電アクチュエータコントローラ回路から接続又は切断できる追加スイッチが導入されることを特徴とし、
前記関連方法は、
前記アクチュエータの静電容量が切り離され、精密抵抗器と関連した前記スイッチによって、前記精密抵抗器のうちの少なくとも1つが前記コンデンサの代わりに前記様々な電流源、及び電圧測定システムに、前記抵抗器用の前記関連スイッチを閉じることによって接続され、それにより、前記静電アクチュエータコントローラに取り付けられた任意の電流源のDC又はACの電流によって生じる前記抵抗器の電圧降下を測定することができ、電流出力を内部電圧測定システムに基づいて再較正できることを特徴とする、静電アクチュエータコントローラの拡張部、及び自己較正のための関連方法。
[特徴5]
無視できない漏洩電流があり、少なくとも1つのばね付き可動電極を持つ容量性構造体を備え、電気的手段によりコンデンサに印加された力によって前記電極間の機械的間隔dを変えることが可能な微小機械加工MEMS/MOEMS静電アクチュエータシステム用の(第2の開示の特徴1に記載の)静電アクチュエータコントローラの簡略化動作モードであって、
無視できない漏洩電流があり、少なくとも1つの可動電極を備えたコンデンサシステムが、電荷Qにより前記コンデンサに生じる電圧Vが前記電荷量Qの関数として少なくとも1つの最大値を示すことを特徴とし、
電気アクチュエータコントローラが、
静電容量電極間における引き合う機械力の供給源の直接制御として、前記システムを前記電荷量Qによって直接駆動することを特徴とし、
前記簡略化動作モードのための方法は、
ゼロとQの間の制御電荷量に対してのみ応用可能であり、Qが、前記コンデンサの電圧V(QVmax)が第1の最大値Vmaxを示す電荷量QVmaxよりも少ないこと、
及び
所望の動作点が、前記コンデンサの無視できない漏洩電流の存在下で、前記コンデンサの実際の測定電圧と、例えば、それだけには限らないが、前の特徴1又は2に従って算出されるその分離抵抗Rleakとから計算できる、電荷量Qの対応する値まで前記コンデンサを充電することによって設定され、
次に、前記制御電流を、この動作点における漏洩電流V/Rleakに等しい値まで低減させ、それにより前記アクチュエータが前記動作点に保持され、
前記測定電圧が継続して監視され、
前記電荷Qが何らかの理由で、前記コンデンサの電圧が前記第1の最大値Vmaxを示す値QVmaxを超えるとすぐに、前記制御電流が即座にスイッチオフされて、前記電極が互いに接触することによる前記コンデンサの破壊が回避され、
前記制御電流をスイッチオフする条件が、それだけには限らないが、前記制御電流が一定である間に電圧が単調に低下することによって好ましくは検出されることを特徴とする、静電アクチュエータコントローラの簡略化動作モード。
[特徴6]
第2の開示による電荷制御に基づく、少なくとも1つの可動ばね付き電極を持つ容量性構造体を備えたアクチュエータ用の静電アクチュエータ制御システムの拡張が、アクチュエータのコンデンサが無視できない漏洩電流を示す場合について開示される。この拡張は、
(1)精密抵抗器と、ある時間にわたる注入電流、及び生じる電圧のある時間にわたる測定値からコンデンサの電荷量Qを計算することを可能にする、コンデンサの分離抵抗R leakを定量化する関連方法と、
(2)検知値としてHF静電容量測定システムの電流注入バージョン、及び制御値として電流を使用する閉フィードバックループと、
(3)項目(2)の閉フィードバックループを使用して漏洩電流を定量化するための追加測定システムと、
(4)一体化電圧測定システムを用いてすべてのAC及びDC電流源を較正できるようにする自己較正システム及び方法と、
(5)フィードバックを備えず、実施するのが容易であるが、電圧制御を用いてもアクセスできる動作範囲にしか対処できない、しかし、電極が間隔ゼロに向けて加速して電極が互いに衝突する前に「引き込み」現象を監視し止める手段を備える、電流による簡略化制御装置と
から成る。
本開示の一側面によれば、信頼性の高い光学フィルタシステムを提供することができる。
1…ファブリペロー干渉フィルタ、1a…光透過領域、12…第1駆動電極、13…第1モニタ電極、14…第2駆動電極、15…第2モニタ電極、31…第1ミラー部、32…第2ミラー部、32a…表面、50…光学フィルタシステム、51…コントローラ、52…第1電流源、53…第2電流源、54…検出部、55…制御部。

Claims (8)

  1. ファブリペロー干渉フィルタと、
    前記ファブリペロー干渉フィルタを制御するコントローラと、を備え、
    前記ファブリペロー干渉フィルタは、
    第1ミラー部と、
    空隙を介して前記第1ミラー部と向かい合うように配置され、光透過領域における前記第1ミラー部との間の距離が静電気力により調整される第2ミラー部と、
    前記第1ミラー部と前記第2ミラー部とが互いに向かい合う方向から見た場合に、前記光透過領域を囲むように前記第1ミラー部に設けられた第1駆動電極と、
    前記第1駆動電極と向かい合うように前記第2ミラー部に設けられた第2駆動電極と、
    前記方向から見た場合に少なくとも一部が前記光透過領域と重なるように前記第1ミラー部に設けられ、前記第1駆動電極から電気的に絶縁された第1モニタ電極と、
    前記第1モニタ電極と向かい合うように前記第2ミラー部に設けられ、前記第2駆動電極から電気的に絶縁された第2モニタ電極と、を備え、
    前記コントローラは、
    前記第1駆動電極と前記第2駆動電極との間に駆動電流を印加することにより前記静電気力を発生させる第1電流源と、
    前記第1ミラー部及び前記第2ミラー部の共振周波数よりも高い周波数を有する交流電流を前記第1モニタ電極と前記第2モニタ電極との間に印加する第2電流源と、
    前記交流電流の印加中に前記第1モニタ電極と前記第2モニタ電極との間に発生する交流電圧を検出する検出部と、
    前記第1ミラー部と前記第2ミラー部との間に蓄えられる電荷量に基づいて前記第1電流源を制御すると共に、前記検出部の検出結果に基づいて前記第1ミラー部と前記第2ミラー部との間の静電容量を算出する制御部と、を備える、光学フィルタシステム。
  2. 前記第1駆動電極は、前記空隙に露出している、請求項1に記載の光学フィルタシステム。
  3. 前記第2駆動電極は、前記第2ミラー部の前記空隙とは反対側の表面に配置されている、請求項1又は2に記載の光学フィルタシステム。
  4. 前記第2駆動電極は、前記空隙に露出している、請求項1又は2に記載の光学フィルタシステム。
  5. 前記第1モニタ電極は、前記空隙に露出している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルタシステム。
  6. 前記第2モニタ電極は、前記空隙に露出している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルタシステム。
  7. 前記第2モニタ電極は、前記第2ミラー部の前記空隙とは反対側の表面に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルタシステム。
  8. 前記第2駆動電極と前記第2モニタ電極とは、前記方向において互いに離間している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルタシステム。
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