JPWO2018230427A1 - 硬化性組成物及び積層フィルム - Google Patents

硬化性組成物及び積層フィルム Download PDF

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Abstract

本発明は、(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)と、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)とを含有する硬化性組成物であって、前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)の水酸基価が、40〜140mgKOH/gの範囲であることを特徴とする硬化性組成物を提供する。この硬化性組成物は、基材密着性、表面硬度、低収縮性、柔軟性等の諸性能に優れる硬化物を形成することができる。

Description

本発明は、硬化物における基材密着性や表面硬度、低収縮性、柔軟性等の諸性能に優れる硬化性組成物、前記硬化性組成物を用いてなる塗膜及び積層フィルムに関する。
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂材料は、紫外線照射等により容易かつ瞬時に硬化させることができ、かつ、硬化物の透明性や硬度等に優れることから、塗料やコーティング剤等の分野で広く用いられている。その塗工対象物は光学フィルムやプラスチック成型品、木工品等多岐に渡っており、塗工対象物の種類や用途等に応じて要求性能も様々であることから、目的に応じて設計された樹脂が数多く提案されている。
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂材料として(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が知られている。(特許文献1参照)。特許文献1に記載された活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は硬化物における表面硬度と低硬化収縮性とのバランスに優れることから、比較的薄いプラスチックフィルムを塗工対象とするコート剤として有用である。しかしながら、フィルム基材への密着性、特に高温湿潤条件下での長期保存後の密着性が低く、剥がれが生じやすい課題があった。
特開2011−207947号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、硬化物における基材密着性や表面硬度、低収縮性、柔軟性等の諸性能に優れる硬化性組成物、前記硬化性組成物を用いてなる塗膜及び積層フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂と、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物とを含有し、前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物の水酸基価が40〜140mgKOH/gの範囲である硬化性組成物は、硬化物における基材密着性や表面硬度、低収縮性、柔軟性等の諸性能に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)と、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)とを含有する硬化性組成物であって、前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)の水酸基価が、40〜140mgKOH/gの範囲であることを特徴とする硬化性組成物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物からなる塗膜に関する。
本発明は更に、前記塗膜からなる層を有する積層フィルムに関する。
本発明によれば、硬化物における基材密着性や表面硬度、低収縮性、柔軟性等の諸性能に優れる硬化性組成物、前記硬化性組成物を用いてなる塗膜及び積層フィルムを提供することができる。
本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)と、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)とを含有し、前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)の水酸基価が40〜140mgKOH/gの範囲であることを特徴とする。
本発明において(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基、メタクリロイル基の一方或いは両方のことをいう。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
前記(メタ)アクリロイル基アクリル樹脂(A)は、例えば、水酸基やカルボキシ基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(β)を更に反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られるものが挙げられる。
前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー;2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリレートモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の他、必要に応じてその他の(メタ)アクリレートモノマーやスチレン誘導体等を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のシクロ環含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。これらその他の重合性不飽和基含有化合物の中でも、硬化塗膜における耐カール性や柔軟性、耐擦傷性等のバランスに優れる硬化性組成物となることから、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル基アクリル樹脂(A)の反応原料の80質量%以上が芳香環を含有しない(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体が前記(メタ)アクリレートモノマー(α)と、前記その他の重合性不飽和基含有化合物とを共重合させて得られるものである場合、両者の反応割合は、硬化性に優れる(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)となることから、両者の合計に対する前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の割合が30質量%以上であることが好ましい。特に、硬化塗膜における基材密着性や耐カール性、柔軟性等に優れる点では、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)と、前記その他の重合性不飽和基含有化合物との合計に対する前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の割合が30〜50質量%の範囲であることが好ましい。他方、硬化塗膜における耐擦傷性や表面硬度に優れる点では、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)と、前記その他の重合性不飽和基含有化合物との合計に対する前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の割合が55質量%以上であることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体は一般的なアクリル樹脂と同様の方法にて製造することができる。製造条件の一例としては、例えば、重合開始剤の存在下、60℃〜150℃の温度領域で各種モノマーを重合させることにより製造することができる。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。溶液重合法で行う場合には、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒や、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒を好ましく用いることができる。
前記(メタ)アクリレートモノマー(β)は、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)が有する反応性官能基と反応し得るものでれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記イソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体と(メタ)アクリレートモノマー(β)との反応は、例えば、該反応がエステル化反応である場合には、60〜150℃の温度範囲で、トリフェニルホスフィン等のエステル化触媒を適宜用いるなどの方法が挙げられる。また、該反応がウレタン化反応である場合には、50〜120℃の温度範囲で、アクリル樹脂中間体に化合物(β)を滴下しながら反応させる等の方法が挙げられる。両者の反応割合は、前記アクリル樹脂中間体中の官能基数1モルに対し、前記(メタ)アクリレートモノマー(β)を0.95〜1.05モルの範囲で用いることが好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)は、質量平均分子量(Mw)が3,000〜80,000の範囲であることが好ましく、5,000〜30,000の範囲であることがより好ましい。また、(メタ)アクリロイル基当量が200〜500g/当量の範囲であることが好ましい。
本発明において、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mn/Mw)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)は、ジペンタエリスリトールの水酸基の一部乃至全部を(メタ)アクリル酸エステル化したものであり、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択される一種類以上を含有する。
また、例えば、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)をジペンタエリスリトールとアクリル酸とをエステル化反応させる方法等で製造した場合、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)以外の副生成物として、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート同士の付加反応物等の高分子量成分(b’)等が生成することがある。前記高分子量成分(b’)は精製除去しても良いし、これを含むジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)粗生成物のまま用いても良い。この時、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)粗生成物中の前記高分子量成分(b’)の含有量は1〜20質量%の範囲であることが好ましい。
前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)は、硬化物における基材密着性や表面硬度に特に優れる硬化性組成物となることから、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとを含有することが好ましい。また、両者の質量比は20/80〜90/10の範囲であることが好ましく、40/60〜85/15の範囲であることがより好ましい。更に、基材密着性に一層優れる硬化性組成物となる点ではジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを含有することが好ましく、この場合、その含有量は、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの合計に対し1〜30質量%の範囲であることが好ましく、5〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
なお、本発明において、前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)又はこれを含む粗生成物中の各成分の含有量、及び各成分の含有量の比は下記条件で測定した液体クロマトグラフィーチャートの面積比から算出される値である。
[測定条件]
装置:株式会社島津製作所製「LCMS−2010EV」
データ処理:株式会社島津製作所製「LCMS Solution」
カラム:東ソー株式会社製「ODS−100V」(2.0mmID×150mm、3μm)40℃
溶離液:水/アセトニトリル、0.4mL/分
検出器:PDA、MS
試料調整:1.資料50mgをアセトニトリル(LC用)10mlに溶解
2.30秒間ボルテックスで撹拌
3.30分間静置
4.0.2μmろ過フィルターに通液し測定試料とした
面積比の計算:UV波長210nmで算出
前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)の水酸基価は40〜140mgKOH/gの範囲である。更に、硬化物における基材密着性に優れ、表面硬度や、耐擦傷性、耐カール性、柔軟性等のバランスにも一層優れる硬化性組成物となることから、40〜120mgKOH/gの範囲であることがより好ましく、70〜120mgKOH/gの範囲であることが特に好ましい。また、前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)が、ジペンタエリスリトールとアクリル酸とをエステル化反応させる方法等で製造したものである場合、高分子量成分(b’)等を含む粗生成物の水酸基価は40〜140mgKOH/gの範囲であることが好ましく、80〜140mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。なお、本発明においてジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)粗生成物の水酸基価はJIS K 0070に準じて測定される実測値であり、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)の水酸基価は前記液体クロマトグラフィーチャートの面積比から算出した各成分の組成比から算出される計算値である。
本発明の硬化性組成物において、前記前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)と前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)との質量比[(A)/(B)]は、硬化物における基材密着性に優れ、表面硬度や、耐擦傷性、耐カール性、柔軟性等のバランスにも一層優れる硬化性組成物となることから、30/70〜99/1の範囲であることが好ましい。特に、硬化塗膜における基材密着性や耐カール性、柔軟性等に優れる点では、[(A)/(B)]が60/40〜99/1の範囲であることが好ましい。他方、硬化塗膜における耐擦傷性や表面硬度に優れる点では、(A)/(B)]が30/70〜55/45の範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)や前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)以外のその他の(メタ)アクリレート化合物(C)を含有してもよい。その他の(メタ)アクリレート化合物(C)は、例えば、デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(C1)、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(C2)、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(C3)、モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C4)、脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C5)、脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C6)、芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C7)等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(C1)とは、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のことをいい、デンドリマー型の他、ハイパーブランチ型或いはスターポリマーなどと呼ばれている。このような化合物は、例えば、下記構造式(1−1)〜(1−8)で表されるものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であればいずれのものも用いることができる。
Figure 2018230427
Figure 2018230427
(式中Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素原子数1〜4の炭化水素基である。)
このようなデンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(C1)として、大阪有機化学株式会社製「ビスコート#1000」[質量平均分子量(Mw)1,500〜2,000、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数14]、「ビスコート1020」[質量平均分子量(Mw)1,000〜3,000]、「SIRIUS501」[質量平均分子量(Mw)15,000〜23,000]、MIWON社製「SP−1106」[質量平均分子量(Mw)1,630、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、SARTOMER社製「CN2301」、「CN2302」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数16]、「CN2303」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数6]、「CN2304」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、新日鉄住金化学株式会社製「エスドリマーHU−22」、新中村化学株式会社製「A−HBR−5」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティアR−1150」、日産化学株式会社製「ハイパーテックUR−101」等の市販品を用いても良い。
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(C1)は、質量平均分子量(Mw)が1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。また、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数が5〜30の範囲であるものが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(C2)は、例えば、各種のポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じて各種のポリオール化合物を反応させて得られるものが挙げられる。前記ポリイソシアネート化合物は、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(2)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
Figure 2018230427
[式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6の炭化水素基の何れかである。Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、又は構造式(2)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0又は1〜3の整数であり、mは1以上の整数である。]
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記ポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロプレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(C3)は、例えば、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸又はその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。前記エポキシ樹脂は、例えば、ヒドロキノン、カテコール等の2価フェノールのジグリシジルエーテル;3,3’−ビフェニルジオール、4,4’−ビフェニルジオール等のビフェノール化合物のジグリシジルエーテル;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ビナフトール、ビス(2,7−ジヒドロキシナフチル)メタン等のナフトール化合物のポリグリジシルエーテル;4,4’,4”−メチリジントリスフェノール等のトリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C4)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェニルフェノールアルキル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物;下記構造式(3)
Figure 2018230427
(式中Rは水素原子又はメチル基である。)
で表される化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C5)は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C6)は、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C7)は、例えば、ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、下記構造式(4)
Figure 2018230427
[式中Rはそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基の何れかである。]
で表されるビカルバゾール化合物、下記構造式(5−1)又は(5−2)
Figure 2018230427
[式中Rはそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基の何れかである。]
で表されるフルオレン化合物等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
これらその他の(メタ)アクリレート化合物(C)を用いる場合には、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、硬化性組成物が含有する(メタ)アクリロイル基含有化合物成分の合計中に、前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)及び前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)の合計が70質量%以上となることが好ましく、90質量%以上となることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基含有化合物成分の合計における(メタ)アクリロイル基含有量が3.8〜8.5mmol/gの範囲となることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、例えば、活性エネルギー線の照射により硬化させることができる。活性エネルギー線の種類によっては、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤;ベンゾフェノン化合物等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、光重合開始剤の選択は照射する活性エネルギー線の種類等により適切なものを選択して用いればよい。
前記光重合開始剤の市販品は、例えば、BASF社製「IRGACURE127」、「IRGACURE184」、「IRGACURE250」、「IRGACURE270」、「IRGACURE290」、「IRGACURE369E」、「IRGACURE379EG」、「IRGACURE500」、「IRGACURE651」、「IRGACURE754」、「IRGACURE819」、「IRGACURE907」、「IRGACURE1173」、「IRGACURE2959」、「IRGACURE MBF」、「IRGACURE TPO」、「IRGACURE OXE 01」、「IRGACURE OXE 02」、IGM RESINS社製「OMNIRAD184」、「OMNIRAD250」、「OMNIRAD369」、「OMNIRAD369E」、「OMNIRAD651」、「OMNIRAD907FF」、「OMNIRAD1173」等が挙げられる。
前記重合開始剤の使用量は、硬化性組成物中の有機溶剤を除いた成分100質量部に対して0.05〜20質量部の範囲で用いることが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で用いることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、更にその他の成分を含有していてもよい。前記その他の成分は、例えば、無機微粒子、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、帯電防止剤、有機ビーズ、量子ドット(QD)、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤、着色剤等が挙げられる。
前記無機微粒子は、硬化性組成物の硬化塗膜における硬度や屈折率等を調整する等の目的で添加されるものであり、公知慣用の種々の無機微粒子を用いることができる。一例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。このうち特に汎用性が高いシリカ粒子は、フュームドシリカや、沈殿法シリカ、ゲルシリカ、ゾルゲルシリカ等と呼ばれる湿式シリカなど様々な種類があるが、いずれを用いてもよい。また、無機微粒子の表面はシランカップリング剤等で修飾されていてもよい。無機微粒子の粒子径は所望の塗膜性能等に応じて適宜調節されるが、動的光散乱法による測定値が10〜250nmの範囲であることが好ましい。無機微粒子を用いる場合、その添加量は、硬化性組成物の溶剤以外の成分の合計に対し、0.1〜60質量%の範囲であることが好ましい。
前記シランカップリング剤は例えば、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルキルシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルコキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤;トリアルキルビニルシラン、ジアルキルアルコキシビニルシラン、アルキルジアルコキシビニルシラン、トリアルコキシビニルシラン、トリアルキルアリルシラン、ジアルキルアルコキシアリルシラン、アルキルジアルコキシアリルシラン、トリアルコキシアリルシラン等のビニル系シランカップリング剤;スチリルトリアルキル、スチリルジアルキルアルコキシシラン、スチリルアルキルジアルコキシシラン、スチリルトリアルコキシシラン等のスチレン系シランカップリング剤;(グリシジルオキシアルキル)トリアルキルシラン、(グリシジルオキシアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリメトキシシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルキルシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルコキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;(イソシアネートアルキル)トリアルキルシラン、(イソシアネートアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)トリアルコキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤等が挙げられる。これらそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記リン酸エステル化合物の市販品の例としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステル化合物である日本化薬株式会社製「カヤマーPM−2」、「カヤマーPM−21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP−1M」「ライトエステルP−2M」、「ライトアクリレートP−1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S−23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
前記溶剤は、硬化性組成物の塗工粘度調節等の目的で添加されるものであり、その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜調整される。一般には、硬化性組成物の不揮発分が10〜90質量%の範囲となるように用いられる。前記溶剤の具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記紫外線吸収剤は、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記シリコン系添加剤は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体など如きアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記フッ素系添加剤は、例えば、DIC株式会社「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記帯電防止剤は、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はビス(フルオロスルホニル)イミドのピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、アンモニウム、又はリチウム塩が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
前記有機ビーズは、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ−ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。これら有機ビーズの平均粒径は1〜10μmの範囲であることが好ましい。
前記量子ドット(QD)は、II−V族半導体化合物、II−VI族半導体化合物、III−IV族半導体化合物、III−V族半導体化合物、III−VI族半導体化合物、IV−VI族半導体化合物、I−III−VI族半導体化合物、II−IV−VI族半導体化合物、II−IV−V族半導体化合物、I−II−IV−VI族半導体化合物、IV族元素又はこれを含む化合物等が挙げられる。前記II−VI族半導体化合物は、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe等の二元化合物;ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe等の三元化合物;CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、CdHgZnTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe等の四元化合物等が挙げられる。前記III−IV族半導体化合物は、例えば、B、Al、Ga等が挙げられる。前記III−V族半導体化合物は、例えば、BP、BN、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等の二元化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP等の三元化合物;GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb等の四元化合物等が挙げられる。前記III−VI族半導体化合物は、例えば、Al、AlSe、AlTe、Ga、GaSe、GaTe、GaTe、In、InSe、InTe、InTe等が挙げられる。前記IV−VI族半導体化合物は、例えば、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の二元化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe等の三元化合物;SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe等の四元化合物等が挙げられる。前記I−III−VI族半導体化合物は、例えば、CuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaSe、AgInS、AgInSe、AgInTe、AgGaSe、AgGaS、AgGaTe等が挙げられる。前記IV族元素又はこれを含む化合物は、例えば、C、Si、Ge、SiC、SiGe等が挙げられる。量子ドットは単一の半導体化合物からなっていてもよいし、複数の半導体化合物からなるコアシェル構造を有していてもよい。また、その表面を有機化合物にて修飾したものであってもよい。
これら各種の添加剤は、所望の性能等に応じて任意の量添加することができるが、通常、硬化性組成物中の溶剤を除いた成分の合計100質量部中、0.01〜40質量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は前記各配合成分を混合して製造される。混合方法は特に限定されず、ペイントシェイカー、ディスパー、ロールミル、ビーズミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等を用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、硬化収縮率が低く、かつ、硬化塗膜における耐湿熱性や耐カール性、表面硬度、耐擦傷性、柔軟性等の諸性能に優れる特徴を有することから、成型品やディスプレイ部材、各種フィルム材料を傷付きから保護するための塗料用途に好適に用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、これを各種基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、基材表面を保護する塗膜を形成することができる。本発明の硬化性組成物は被表面保護部材に直接塗布して用いても良いし、プラスチックフィルム上に塗布したものを保護フィルムとして用いてもよい。或いは、本発明の硬化性組成物をプラスチックフィルム上に塗布して塗膜を形成したものを反射防止フィルム、拡散フィルム、及びプリズムシート等の光学フィルムとして用いても良い。更に、本発明の硬化性組成物以外のその他の塗料からなる層を重ねて設置するなどしてもよい。
前記プラスチックフィルムは、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
上記プラスチックフィルムのうち、トリアセチルセルロースフィルムは、液晶ディスプレイの偏光版用途に特に好適に用いられるフィルムであるが、一般に厚さが40〜100μmと薄いため、ハードコート層を設置した場合にも耐擦傷性を十分に高くすることが難しく、また、大きくカールしやすい特徴がある。本願発明の硬化性組成物はトリアセチルセルロースフィルムを基材として用いた場合にも耐擦傷性や透明性が高く、更に、耐カール性や靭性にも優れるという効果を奏し、好適に用いることが出来る。該トリアセチルセルロースフィルムを基材として用いる場合、本発明の硬化性組成物を塗布する際の塗布量は、乾燥後の膜厚が4〜20μmの範囲、好ましくは6〜15μmの範囲となるように塗布することが好ましい。その際の塗布方法は、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記プラスチックフィルムのうちポリエステルフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられ、その厚さは一般に100〜300μm程度である。安価で加工しやすいことからタッチパネルディスプレイなど様々な用途に用いられるフィルムであるが、非常に柔らかく、ハードコート層を設置した場合にも耐擦傷性を十分に高くすることが難しい特徴がある。該ポリエチレンフィルムを基材として用いる場合、本発明の硬化性組成物を塗布する際の塗布量は、その用途に合わせて、乾燥後の膜厚が5〜100μmの範囲、好ましくは7〜80μmの範囲となるように塗布することが好ましい。一般に、30μmを超えるような膜厚で塗料を塗布した場合には、比較的薄い膜厚で塗布した場合と比較して大きくカールし易い傾向があるが、本願発明の硬化性組成物は耐カール性にも優れる特徴を有するため、30μmを越える比較的高い膜厚で塗った場合にもカールが生じ難く、好適に用いることが出来る。その際の塗布方法は、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記プラスチックフィルムのうちポリメチルメタクリレートフィルムは、一般に厚さが100〜2,000μm程度と比較的厚く丈夫であるため、液晶ディスプレイの前面板用途など、特に高い耐擦傷性を要求される用途に好適に用いられるフィルムである。該ポリメチルメタクリレートフィルムを基材として用いる場合、本発明の硬化性組成物を塗布する際の塗布量は、その用途に合わせて、乾燥後の膜厚が5〜100μmの範囲、好ましくは7〜80μmの範囲となるように塗布することが好ましい。一般に、ポリメチルメタクリレートフィルムのような比較的厚いフィルムの上に30μmを超えるような膜厚で塗料を塗布した場合には、耐擦傷性の高い積層フィルムとなる反面、透明性が低下する傾向があるが、本願発明の硬化性組成物は従来の塗料と比べて非常に高い透明性を有するため、高い耐擦傷性と透明性とを兼備する積層フィルムが得られる。その際の塗布方法は、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記プラスチックフィルムのうちシクロオレフィンポリマーフィルムは、一般に引き裂き等の横からの力に弱く、また耐折性が悪いことが知られている一方、透明性や耐熱性の観点より近年はその使用領域が広がってきている。本発明の硬化性組成物から得られる硬化塗膜は、このような脆弱なフィルムにおいてもフィルム自体への追随性に優れると共に柔軟性を有することから、折れ曲がった時のフィルムのクラックを効果的に防止することができる。このような効果を好適に発現できる観点より、硬化塗膜の厚みは、0.1〜10μmの範囲で調整することが好ましい。その際の塗布方法は、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物を硬化させ塗膜とする際に照射する活性エネルギー線は、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線により硬化させる場合には、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等を有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。高圧水銀灯を使用する場合には、通常80〜160W/cmの範囲である光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜50m/分の範囲で硬化させることが好ましい。一方、電子線により硬化させる場合には、通常10〜300kVの範囲である加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5〜50m/分の範囲で硬化させることが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物を塗布する基材は、プラスチックフィルムのみならず、各種のプラスチック成形品、例えば、携帯電話、電家製品、自動車のバンパー等の表面コーティング剤としても好適に用いることができる。この場合、その塗膜の形成方法としては、例えば、塗装法、転写法、シート接着法等が挙げられる。
前記塗装法は、前記塗料をスプレーコートするか、もしくはカーテンコーター、ロールコーター、グラビアコーター等の印刷機器を用いて成形品にトップコートとして塗装した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法である。
前記転写法は、離型性を有する基体シート上に前記した本発明の硬化性組成物を塗布して得られる転写材を成形品表面に接着させた後、基体シートを剥離して成型品表面にトップコートを転写し、次いで活性エネルギー線を照射し硬化させる方法、又は、該転写材を成形品表面に接着させた後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、次いで基体シートを剥離する事により成型品表面にトップコートを転写する方法が挙げられる。他方、前記シート接着法は、基体シート上に前記本発明の硬化性組成物からなる塗膜を有する保護シート、又は、基体シート上に本発明の硬化性組成物からなる塗膜と加飾層とを有する保護シートをプラスチック成形品に接着することにより、成形品表面に保護層を形成する方法である。これらの中でも、本発明の塗料は転写法及びシート接着法用途に好ましく用いることができる。
前記転写法では先ず転写材を作成する。該転写材は、例えば、前記塗料を単独、またはポリイソシアネート化合物と混合したものを基材シート上に塗布し、加熱して塗膜を半硬化(B−ステージ化)させて製造することができる。本発明の硬化性組成物が含有する(メタ)アクリロイル基含有樹脂は分子構造中水酸基を有する化合物であることから、前記B−ステージ化工程をより効率的に行う目的で、ポリイソシアネート化合物と併用してもよい。
転写材を製造するには、まず、基材シート上に前記した本発明の硬化性組成物を塗装する。塗装方法はグラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、リップコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法等が挙げられる。塗装する際の膜厚は、耐擦り傷性等が良好となることから、硬化塗膜の厚さが0.1〜30μmとなる様に塗装するのが好ましく、1〜6μmとなるように塗装することがより好ましい。
前記方法で基材シート上に前記塗料を塗装した後、加熱乾燥させて塗膜を半硬化(B−ステージ化)させる。加熱は通常55〜160℃、好ましくは100〜140℃である。加熱時間は通常30秒〜30分間、好ましくは1〜10分、より好ましくは1〜5分である。
前記転写材を用いた成形品の表面保護層の形成は、例えば、前記転写材のB−ステージ化された樹脂層と成形品とを接着した後、活性エネルギー線を照射して樹脂層を硬化させて行う。具体的には、例えば、転写材のB−ステージ化された樹脂層を成形品表面に接着させ、その後、転写材の基体シートを剥離することにより転写材のB−ステージ化された樹脂層を成形品表面上に転写させた後、活性エネルギー線照射によりエネルギー線硬化させて樹脂層の架橋硬化を行う方法(転写法)や、前記転写材を成形金型内に挟み込み、キャビテイ内に樹脂を射出充満させ、樹脂成形品を得るのと同時にその表面に転写材を接着させ、基体シートを剥離して成形品上に転写した後、活性エネルギー線照射によりエネルギー線硬化せしめて樹脂層の架橋硬化を行う方法(成形同時転写法)等が挙げられる。
次にシート接着法は、具体的には、予め作成しておいた保護層形成用シートの基体シートと成形品とを接着させた後、加熱により熱硬化せしめてB−ステージ化してなる樹脂層の架橋硬化を行う方法(後接着法)や、前記保護層形成用シートを成形金型内に挟み込み、キャビテイ内に樹脂を射出充満させ、樹脂成形品を得るのと同時にその表面と保護層形成用シートを接着させ後、加熱により熱硬化せしめて樹脂層の架橋硬化を行う方法(成形同時接着法)等が挙げられる。
次に、本発明の塗膜は、前記プラスチックフィルム等の基材上に本発明の硬化性組成物を塗布、硬化させて形成された塗膜、又は、プラスチック成形品の表面保護剤として本発明の硬化性組成物をコーティング、硬化して形成された塗膜である。また、本発明の積層フィルムは前記プラスチックフィルム等の基材フィルム上に前記塗膜が形成されたフィルムである。本発明の積層フィルムは本発明の硬化性組成物からなる塗膜以外に、その他の層構成を有していてもよい。これら各種の層構成の形成方法は特に限定されず、例えば、樹脂原料を直接塗布して形成しても良いし、予めシート状になっているものを接着剤にて貼り合せても良い。
前記フィルムの各種用途のなかでも、前記した通り、プラスチックフィルム上に本発明の硬化性組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して得られるフィルムを、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ等に用いられる偏光板用保護フィルムとして用いることが塗膜硬度に優れる点から好ましい。具体的には、液晶ディスプレイやタッチパネルディスプレイ等に用いられる偏光板の保護フィルム上に本発明の硬化性組成物を塗布、活性エネルギー線を照射・硬化させてなるフィルムにした場合、硬化塗膜が高硬度と高い透明性とを兼備した保護フィルムとなる。偏光板の保護フィルム用途においては、本発明の硬化性組成物を塗布したコーティング層の反対側の面には粘着剤層が形成されていてもよい。
本発明の積層フィルムは、ディスプレイ部材や自動車部材、建材用途の他、各種の電子機器や家電、家具等の表面保護フィルム、メッキ代替、塗装代替等、様々な用途に好適に用いることができる。
以下に本発明を具体的な製造例、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例中の部及び%は、特に記載のない限り、すべて質量基準である。
尚、本発明の実施例において質量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
本実施例において液体クロマトグラフィーチャートは下記条件で測定した。
[測定条件]
装置:株式会社島津製作所製「LCMS−2010EV」
データ処理:株式会社島津製作所製「LCMS Solution」
カラム:東ソー株式会社製「ODS−100V」(2.0mmID×150mm、3μm)40℃
溶離液:水/アセトニトリル、0.4mL/分
検出器:PDA、MS
試料調整:1.資料50mgをアセトニトリル(LC用)10mlに溶解
2.30秒間ボルテックスで撹拌
3.30分間静置
4.0.2μmろ過フィルターに通液し測定試料とする
面積比の計算:UV波長210nmで算出
製造例1 (メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−1)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを33.3質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、メタクリル酸グリシジル100質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)4質量部、メチルイソブチルケトン36質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分60質量%のアクリル樹脂中間体(1)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(1)のエポキシ基当量は148g/当量であった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(1)173質量部(樹脂固形分換算)、アクリル酸51質量部、メトキノン0.08質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、メチルイソブチルケトン87質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分50.5質量%の(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−1)溶液を得た。(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−1)のアクリロイル基当量は213g/当量、数平均分子量(Mn)は12,000、質量平均分子量(Mw)は22,000、E型粘度計で測定した粘度は1200mPa・sであった。
製造例2 (メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−2)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを33.3質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、メタクリル酸グリシジル80質量部、メタクリル酸メチル20質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)4質量部、メチルイソブチルケトン36質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分60質量%のアクリル樹脂中間体(2)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(2)のエポキシ基当量は185g/当量であった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(2)173質量部(樹脂固形分換算)、アクリル酸41質量部、メトキノン0.07質量部、トリフェニルホスフィン0.7質量部、メチルイソブチルケトン76.5質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分49.5質量%の(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−2)溶液を得た。(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−2)のアクリロイル基当量は250g/当量、数平均分子量(Mn)は11,000、質量平均分子量(Mw)は20,500、E型粘度計で測定した粘度は1080mPa・sであった。
製造例3 (メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−3)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを40質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、メタクリル酸グリシジル60質量部、メタクリル酸メチル40質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)8質量部、メチルイソブチルケトン32質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分60質量%のアクリル樹脂中間体(3)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(3)のエポキシ基当量は256g/当量であった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(3)180質量部(樹脂固形分換算)、アクリル酸30.8量部、メトキノン0.07質量部、トリフェニルホスフィン0.7質量部、メチルイソブチルケトン80.8質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分49.8質量%の(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−3)溶液を得た。(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−3)のアクリロイル基当量は313g/当量、数平均分子量(Mn)は4,200、質量平均分子量(Mw)は8,400、E型粘度計で測定した粘度は360mPa・sであった。
製造例4 (メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−4)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを46.6質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、メタクリル酸グリシジル40質量部、メタクリル酸メチル60質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)2質量部、メチルイソブチルケトン18質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分60質量%のアクリル樹脂中間体(4)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(4)のエポキシ当量は362g/当量であった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(4)167質量部(樹脂固形分換算)、アクリル酸41量部、メトキノン0.06質量部、トリフェニルホスフィン0.6質量部、メチルイソブチルケトン55.2質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分50.2質量%の(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−4)溶液を得た。(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−4)のアクリロイル基当量は417g/当量、数平均分子量(Mn)は5,200、質量平均分子量(Mw)は24,700、E型粘度計で測定した粘度は15,200mPa・sであった。
製造例5 (メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−5)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを73質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、メタクリル酸50質量部、メタクリル酸メチル50質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)9質量部、メチルイソブチルケトン35質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分60質量%のアクリル樹脂中間体(5)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(5)の酸価は300mgKOH/gであった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(5)217質量部(樹脂固形分換算)、メタクリル酸グリシジル83.3量部、メトキノン0.09質量部、トリフェニルホスフィン0.37質量部、メチルイソブチルケトン75.2質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分49.1質量%の(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−5)溶液を得た。(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−5)のメタクリロイル基当量は313g/当量、数平均分子量(Mn)は6,700、質量平均分子量(Mw)は14,000、E型粘度計で測定した粘度は960mPa・sであった。
製造例6 ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−1)の製造
温度計、攪拌器、及びコンデンサーを備えたフラスコに、アクリル酸400質量部、ジペンタエリスリトール180質量部、硫酸15質量部、塩化第二銅1.5質量部、トルエン300質量部を仕込んだ。撹拌しながら105℃まで加熱し、系中を還流させながら105℃で18時間反応させた。反応中に生成した水は71.8質量部であった。反応混合物にトルエン425質量部を追加し、蒸留水200質量部で溶液を洗浄した。更に、20%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応混合物を中和し、蒸留水100質量部で洗浄した。樹脂固形分に対して500ppm量のハイドロキノンモノメチルエーテルを添加した後、トルエンを留去し、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−1)を含む生成物を得た。JIS K 0070に準じて測定した生成物の水酸基価は42mgKOH/g、液体クロマトグラフィーチャートの面積比から算出されるジペンタエリスリトールペンタアクリレートの含有量は40.2%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの含有量は50.7%、その他高分子量成分の含有量は9.1%であった。また、各成分の含有量比から算出されるジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−1)の水酸基価は47.9mgKOH/gであった。
製造例7 ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−2)の製造
温度計、攪拌器、及びコンデンサーを備えたフラスコに、アクリル酸300質量部、ジペンエリスリトール180質量部、硫酸15質量部、塩化第二銅1.5質量部、トルエン300質量部を仕込んだ。撹拌しながら105℃まで加熱し、系中を還流させながら同温度で12時間反応させた。反応中に生成した水は68.5質量部であった。反応混合物にトルエン425質量部を追加し、蒸留水200質量部で溶液を洗浄した。更に、20%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応混合物を中和し、蒸留水100質量部で洗浄した。樹脂固形分に対して500ppm量のハイドロキノンモノメチルエーテルを添加した後、トルエンを留去し、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−2)を含む生成物を得た。JIS K 0070に準じて測定した生成物の水酸基価は88mgKOH/g、液体クロマトグラフィーチャートの面積比から算出されるジペンタエリスリトールテトラアクリレートの含有量は7.2%、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの含有量は48.3%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの含有量は30.7%、その他高分子量成分の含有量は13.8%であった。また、各成分の含有量比から算出されるジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−2)の水酸基価は79.9mgKOH/gであった。
製造例8 ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−3)の製造
温度計、攪拌器、及びコンデンサーを備えたフラスコに、アクリル酸250質量部、ジペンエリスリトール180質量部、硫酸15質量部、塩化第二銅1.5質量部、トルエン300質量部を仕込んだ。撹拌しながら105℃まで加熱し、系中を還流させながら105℃で9時間反応させた。反応中に生成した水は68.5質量部であった。反応混合物にトルエン425質量部を追加し、蒸留水200質量部で溶液を洗浄した。更に、20%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応混合物を中和し、蒸留水100質量部で洗浄した。樹脂固形分に対して500ppm量のハイドロキノンモノメチルエーテルを添加した後、トルエンを留去し、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−3)を含む生成物を得た。JIS K 0070に準じて測定した生成物の水酸基価は130mgKOH/g、液体クロマトグラフィーチャートの面積比から算出されるジペンタエリスリトールテトラアクリレートの含有量は15%、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの含有量は60%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの含有量は15%、その他高分子量成分の含有量は10%であった。また、各成分の含有量比から算出されるジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−3)の水酸基価は111.2mgKOH/gであった。
実施例1〜18及び比較例1
表1、2に示す割合で各成分を混合し、メチルエチルケトンを用いて不揮発分を30質量%に調整して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物について下記の要領で各種評価試験を行った。結果を表1、2に示す。
※(A−1)〜(A−5):製造例1〜5で得た(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A−1)〜(A−5)
※(B−1)〜(B−3):製造例6〜8で得たジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B−1)〜(B−3)
※PETA:東亜合成株式会社製「M−305」ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとを質量比6/4で含有するペンタエリスリトールのアクリル酸エステル化物
※光重合開始剤:BASF社製「イルガキュア#184」
(メタ)アクリロイル基含有量の算出
硬化性組成物の(メタ)アクリロイル基含有化合物成分の合計における(メタ)アクリロイル基含有量を、各成分の反応原料仕込み比、及び配合割合を元に算出した。
積層フィルムの製造
前記硬化性組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(膜厚80μm)上に硬化後の膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で1分乾燥させた。窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて200mJ/cmの照射量で通過させて硬化させることにより、積層フィルムを得た。
積層フィルムの表面硬度評価
前記積層フィルムについて、JIS K5600−5−4に準拠し、塗膜面側の鉛筆硬度を500g荷重条件下で測定した。1つの硬度につき5回測定を行い、傷が付かなかった測定が4回以上あった硬度を硬化塗膜の硬度とした。
A:2H以上
B:2H未満
積層フィルムの耐擦傷性試験
スチールウール(日本スチールウール株式会社製「ボンスター#0000」)0.5gで直径2.4センチメートルの円盤状の圧子を包み、該圧子に500g重の荷重をかけて、積層フィルムの塗装表面を10往復させる磨耗試験を行った。磨耗試験前後の積層フィルムのヘーズ値をスガ試験機株式会社製「ヘーズコンピュータHZ−2」を用いて測定し、それらの差の値(dH)で評価した。
A:1.0以下
B:3.0以下
C:10以下
D:10以上
柔軟性試験
マンドレル試験機(TP技研社製「屈曲試験機」)を用いて前記積層フィルムを試験棒に巻きつけ、ヒビや剥がれが生じるか否かを目視確認する試験を行い、ヒビや剥がれが生じない試験棒の最小径を評価結果とした。試験棒は直径2mmのものから10mmまで1mm刻みのものを用いた。
耐カール性試験
前記積層フィルムから10cm四方の塗膜を切り出して試験片を得、該試験片について4角の水平からの浮きを測定し、その平均値(mm)で評価した。値が小さいほどカールが小さく、耐カール性に優れる。
密着性の評価
積層フィルムを室温85℃、湿度85%RH条件下に250時間保管した。その後、積層フィルムの塗膜面側に1mm間隔で10×10の碁盤目状にカッターナイフで切れ目を入れて100個の碁盤目を作成した。次いで、碁盤目上にセロハンテープを貼りつけた後、急速に剥がす試験を行い、100個の碁盤目のうち剥がれなかったものの数で評価した。
A:95個以上
B:80個以上
C:60個以上
D:60個未満
Figure 2018230427
Figure 2018230427

Claims (7)

  1. (メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)と、ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)とを含有する硬化性組成物であって、
    前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)の水酸基価が、40〜140mgKOH/gの範囲であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)の反応原料の80質量%以上が芳香環を含有しない(メタ)アクリレートモノマーである請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)、及び前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)の合計の含有量が、前記硬化性組成物が含有する(メタ)アクリロイル基含有化合物成分の合計中70質量%以上である請求項1記載の硬化性組成物。
  4. (メタ)アクリロイル基含有化合物成分の合計における(メタ)アクリロイル基含有量が3.8〜8.5mmol/gの範囲である請求項1記載の硬化性組成物。
  5. 前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂(A)と前記ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル化物(B)との質量比[(A)/(B)]が30/70〜99/1の範囲である請求項1記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一つ記載の硬化性組成物からなる塗膜。
  7. 請求項6記載の塗膜からなる層を有する積層フィルム。
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