本発明の積層体は、重量平均分子量が5,000~50,000の範囲であり、(メタ)アクリロイル基当量が250~10000g/eqの範囲であるアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)を必須成分とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であり、前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中における硬化性の成分100質量部中8質量部以上で含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を基材の片面又は両面に有することを特徴とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート樹脂」とは、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のことをいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の一方または両方のことをいう。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方または両方のことをいう。
本発明で用いるアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)は、例えば、水酸基やカルボキシ基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(β)を更に反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られるものが挙げられる。
前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー(α)は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸等のカルボキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー;2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリレートモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の他、必要に応じてその他の(メタ)アクリレートモノマーやスチレン誘導体等を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のシクロ環含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。これらその他の重合性不飽和基含有化合物の中でも、硬化塗膜が耐カール性や柔軟性、耐擦傷性等のバランスにより優れる観点から、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体が前記(メタ)アクリレートモノマー(α)と、前記その他の重合性不飽和基含有化合物とを共重合させて得られるものである場合、硬化性に優れるアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)となることから、両者の合計に対する前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の割合が30質量%以上であることが好ましい。特に、硬化塗膜がより基材に対しても密着性が良好となるほか、特に基材がフィルム状である場合の耐カール性、柔軟性等にもより優れる点では、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)と、前記その他の重合性不飽和基含有化合物との合計に対する前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の割合が30~50質量%の範囲であることが好ましい。他方、硬化塗膜の耐擦傷性や表面硬度を重要視する場合には、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)と、前記その他の重合性不飽和基含有化合物との合計に対する前記(メタ)アクリレートモノマー(α)の割合が55質量%以上であることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体は一般的なアクリル樹脂と同様の方法にて製造することができる。製造条件の一例としては、例えば、重合開始剤の存在下、60℃~150℃の温度領域で各種モノマーを重合させることにより製造することができる。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。溶液重合法で行う場合には、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒や、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒を好ましく用いることができる。
前記(メタ)アクリレートモノマー(β)は、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)が有する反応性官能基と反応し得るものでれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記イソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレートモノマー(α)として前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレートモノマー(β)として前記カルボキシ基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂中間体と(メタ)アクリレートモノマー(β)との反応は、例えば、該反応がエステル化反応である場合には、60~150℃の温度範囲で、トリフェニルホスフィン等のエステル化触媒を適宜用いるなどの方法が挙げられる。また、該反応がウレタン化反応である場合には、50~120℃の温度範囲で、アクリル樹脂中間体に化合物(β)を滴下しながら反応させる等の方法が挙げられる。両者の反応割合は、前記アクリル樹脂中間体中の官能基数1モルに対し、前記(メタ)アクリレートモノマー(β)を1.0~1.1モルの範囲で用いることが好ましい。
本発明では、前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)の重量平均分子量は5,000~50,000の範囲であり5,000~30,000の範囲であることがより好ましい。また、(メタ)アクリロイル基当量は250~10000g/eqの範囲であり、300~6000g/eqの範囲であることが好ましく、特に320~5600g/eqの範囲であることが最も好ましい。なお、本発明におけるアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)の(メタ)アクリロイル基当量は、反応原料から理論値として算出される値である。
また、本発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mn/Mw)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
本発明で用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前述のアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)を必須成分として用いるものであればよく、その他の活性エネルギー線硬化性の成分を本発明の効果を損なわない範囲で併用してもよい。
前記その他の活性エネルギー線硬化性の成分としては、前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)以外のその他の(メタ)アクリレート化合物(C)が挙げられる。その他の(メタ)アクリレート化合物(C)は、例えば、デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(C1)、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(C2)、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(C3)、モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C4)、脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C5)、脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C6)、芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C7)等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(C1)とは、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のことをいい、デンドリマー型の他、ハイパーブランチ型或いはスターポリマーなどと呼ばれている。このような化合物は、例えば、下記構造式(1-1)~(1-8)で表されるものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であればいずれのものも用いることができる。
(式中R
1は水素原子又はメチル基であり、R
2は炭素原子数1~4の炭化水素基である。)
このようなデンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(C1)として、大阪有機化学株式会社製「ビスコート#1000」[質量平均分子量(Mw)1,500~2,000、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数14]、「ビスコート1020」[質量平均分子量(Mw)1,000~3,000]、「SIRIUS501」[質量平均分子量(Mw)15,000~23,000]、MIWON社製「SP-1106」[質量平均分子量(Mw)1,630、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、SARTOMER社製「CN2301」、「CN2302」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数16]、「CN2303」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数6]、「CN2304」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、新日鉄住金化学株式会社製「エスドリマーHU-22」、新中村化学株式会社製「A-HBR-5」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティアR-1150」、日産化学株式会社製「ハイパーテックUR-101」等の市販品を用いても良い。
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂(C1)は、質量平均分子量(Mw)が1,000~30,000の範囲であることが好ましい。また、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数が5~30の範囲であるものが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(C2)は、例えば、各種のポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、及び必要に応じて各種のポリオール化合物を反応させて得られるものが挙げられる。前記ポリイソシアネート化合物は、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(2)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
[式中、R
3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~6の炭化水素基の何れかである。R
4はそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基、又は構造式(2)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0又は1~3の整数であり、mは1以上の整数である。]
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物;前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記ポリオール化合物は、例えば、エチレングリコール、プロプレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(C3)は、例えば、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸又はその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。前記エポキシ樹脂は、例えば、ヒドロキノン、カテコール等の2価フェノールのジグリシジルエーテル;3,3’-ビフェニルジオール、4,4’-ビフェニルジオール等のビフェノール化合物のジグリシジルエーテル;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,4-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、1,6-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール、ビナフトール、ビス(2,7-ジヒドロキシナフチル)メタン等のナフトール化合物のポリグリジシルエーテル;4,4’,4”-メチリジントリスフェノール等のトリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記モノ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C4)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェニルフェノールアルキル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物;下記構造式(3)
(式中R
5は水素原子又はメチル基である。)
で表される化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C5)は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の脂肪族炭化水素型ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C6)は、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の脂環式ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物及びその変性体(C7)は、例えば、ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、下記構造式(4)
[式中R
6はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基の何れかである。]
で表されるビカルバゾール化合物、下記構造式(5-1)又は(5-2)
[式中R
7はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基の何れかである。]
で表されるフルオレン化合物等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種の芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の芳香族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
これらその他の(メタ)アクリレート化合物(C)を用いる場合には、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中における硬化性の成分100質量部中、前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A)が8~100質量部で含まれるものであり、10質量部以上で含まれることが好ましい。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、例えば、活性エネルギー線の照射により硬化させることができる。活性エネルギー線の種類によっては、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤;ベンゾフェノン化合物等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、光重合開始剤の選択は照射する活性エネルギー線の種類等により適切なものを選択して用いればよい。
前記光重合開始剤の市販品は、例えば、BASF社製「IRGACURE127」、「IRGACURE184」、「IRGACURE250」、「IRGACURE270」、「IRGACURE290」、「IRGACURE369E」、「IRGACURE379EG」、「IRGACURE500」、「IRGACURE651」、「IRGACURE754」、「IRGACURE819」、「IRGACURE907」、「IRGACURE1173」、「IRGACURE2959」、「IRGACURE MBF」、「IRGACURE TPO」、「IRGACURE OXE 01」、「IRGACURE OXE 02」、IGM RESINS社製「OMNIRAD184」、「OMNIRAD250」、「OMNIRAD369」、「OMNIRAD369E」、「OMNIRAD651」、「OMNIRAD907FF」、「OMNIRAD1173」等が挙げられる。
前記重合開始剤の使用量は、硬化性組成物中の有機溶剤を除いた成分100質量部に対して0.05~20質量部の範囲で用いることが好ましく、0.1~10質量部の範囲で用いることがより好ましい。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、更にその他の成分を含有していてもよい。前記その他の成分は、例えば、無機微粒子、シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、帯電防止剤、有機ビーズ、量子ドット(QD)、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤、着色剤等が挙げられる。
前記無機微粒子は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜における硬度や屈折率等を調整する等の目的で添加されるものであり、公知慣用の種々の無機微粒子を用いることができる。一例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン等の微粒子が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。このうち特に汎用性が高いシリカ粒子は、フュームドシリカや、沈殿法シリカ、ゲルシリカ、ゾルゲルシリカ等と呼ばれる湿式シリカなど様々な種類があるが、いずれを用いてもよい。また、無機微粒子の表面はシランカップリング剤等で修飾されていてもよい。無機微粒子の粒子径は所望の塗膜性能等に応じて適宜調節されるが、動的光散乱法による測定値が10~250nmの範囲であることが好ましい。無機微粒子を用いる場合、その添加量は、硬化性組成物の溶剤以外の成分の合計に対し、0.1~60質量%の範囲であることが好ましい。
前記シランカップリング剤は例えば、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルキルシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]トリアルコキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤;トリアルキルビニルシラン、ジアルキルアルコキシビニルシラン、アルキルジアルコキシビニルシラン、トリアルコキシビニルシラン、トリアルキルアリルシラン、ジアルキルアルコキシアリルシラン、アルキルジアルコキシアリルシラン、トリアルコキシアリルシラン等のビニル系シランカップリング剤;スチリルトリアルキル、スチリルジアルキルアルコキシシラン、スチリルアルキルジアルコキシシラン、スチリルトリアルコキシシラン等のスチレン系シランカップリング剤;(グリシジルオキシアルキル)トリアルキルシラン、(グリシジルオキシアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリメトキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルキルシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]ジアルキルアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]アルキルジアルコキシシラン、[(3,4-エポキシシクロヘキシル)アルキル]トリアルコキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;(イソシアネートアルキル)トリアルキルシラン、(イソシアネートアルキル)ジアルキルアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(イソシアネートアルキル)トリアルコキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤等が挙げられる。これらそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記リン酸エステル化合物の市販品の例としては、例えば、分子構造中に(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステル化合物である日本化薬株式会社製「カヤマーPM-2」、「カヤマーPM-21」、共栄社化学株式会社製「ライトエステルP-1M」「ライトエステルP-2M」、「ライトアクリレートP-1A(N)」、SOLVAY社製「SIPOMER PAM 100」、「SIPOMER PAM 200」、「SIPOMER PAM 300」、「SIPOMER PAM 4000」、大阪有機化学工業社製「ビスコート#3PA」、「ビスコート#3PMA」、第一工業製薬社製「ニューフロンティア S-23A」;分子構造中にアリルエーテル基を有するリン酸エステル化合物であるSOLVAY社製「SIPOMER PAM 5000」等が挙げられる。
前記溶剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工粘度調節等の目的で添加されるものであり、その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜調整される。一般には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分が10~90質量%の範囲となるように用いられる。前記溶剤の具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記紫外線吸収剤は、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2′-キサンテンカルボキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-o-ニトロベンジロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記シリコン系添加剤は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体など如きアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記フッ素系添加剤は、例えば、DIC株式会社「メガフェース」シリーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記帯電防止剤は、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド又はビス(フルオロスルホニル)イミドのピリジニウム、イミダゾリウム、ホスホニウム、アンモニウム、又はリチウム塩が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
前記有機ビーズは、例えば、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ-ズ、ガラスビーズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。これら有機ビーズの平均粒径は1~10μmの範囲であることが好ましい。
前記量子ドット(QD)は、II-V族半導体化合物、II-VI族半導体化合物、III-IV族半導体化合物、III-V族半導体化合物、III-VI族半導体化合物、IV-VI族半導体化合物、I-III-VI族半導体化合物、II-IV-VI族半導体化合物、II-IV-V族半導体化合物、I-II-IV-VI族半導体化合物、IV族元素又はこれを含む化合物等が挙げられる。前記II-VI族半導体化合物は、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe等の二元化合物;ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe等の三元化合物;CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、CdHgZnTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe等の四元化合物等が挙げられる。前記III-IV族半導体化合物は、例えば、B4C3、Al4C3、Ga4C3等が挙げられる。前記III-V族半導体化合物は、例えば、BP、BN、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等の二元化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP等の三元化合物;GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb等の四元化合物等が挙げられる。前記III-VI族半導体化合物は、例えば、Al2S3、Al2Se3、Al2Te3、Ga2S3、Ga2Se3、Ga2Te3、GaTe、In2S3、In2Se3、In2Te3、InTe等が挙げられる。前記IV-VI族半導体化合物は、例えば、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の二元化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe等の三元化合物;SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe等の四元化合物等が挙げられる。前記I-III-VI族半導体化合物は、例えば、CuInS2、CuInSe2、CuInTe2、CuGaS2、CuGaSe2、CuGaSe2、AgInS2、AgInSe2、AgInTe2、AgGaSe2、AgGaS2、AgGaTe2等が挙げられる。前記IV族元素又はこれを含む化合物は、例えば、C、Si、Ge、SiC、SiGe等が挙げられる。量子ドットは単一の半導体化合物からなっていてもよいし、複数の半導体化合物からなるコアシェル構造を有していてもよい。また、その表面を有機化合物にて修飾したものであってもよい。
これら各種の添加剤は、所望の性能等に応じて任意の量添加することができるが、通常、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の溶剤を除いた成分の合計100質量部中、0.01~40質量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は前記各配合成分を混合して製造される。混合方法は特に限定されず、ペイントシェイカー、ディスパー、ロールミル、ビーズミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等を用いてもよい。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、硬化収縮率が低く、基材への密着性に優れ、かつ、硬化塗膜における耐湿熱性や耐カール性、表面硬度、耐擦傷性、柔軟性等の諸性能に優れる特徴を有することから、これを各種基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、基材表面を保護する硬化塗膜を形成することができる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は被表面保護部材に直接塗布して用いても良いし、フィルム状の基材上に塗布したものを保護フィルムとして用いてもよい。或いは、基材上に塗布して硬化塗膜を形成したフィルム状の積層体を反射防止フィルム、拡散フィルム、及びプリズムシート等の光学フィルムとして用いても良い。更に、その他の塗料からなる層を重ねて設置するなどしてもよい。
また、本発明の硬化性組成物を塗布する基材は、フィルムのみならず、各種のプラスチック成形品、例えば、携帯電話、電家製品、自動車のバンパー等の表面コーティング剤として用いることで積層体を得ることもできる。この場合、その塗膜の形成方法としては、例えば、塗装法、転写法、シート接着法等が挙げられる。
前記塗装法は、前記塗料をスプレーコートするか、もしくはカーテンコーター、ロールコーター、グラビアコーター等の印刷機器を用いて成形品にトップコートとして塗装した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法である。
前記転写法は、離型性を有する基体シート上に前記した硬化性組成物を塗布して得られる転写材を成形品表面に接着させた後、基体シートを剥離して成型品表面にトップコートを転写し、次いで活性エネルギー線を照射し硬化させる方法、又は、該転写材を成形品表面に接着させた後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、次いで基体シートを剥離する事により成型品表面にトップコートを転写する方法が挙げられる。他方、前記シート接着法は、基体シート上に前記の硬化性組成物からなる塗膜を有する保護シート、又は、基体シート上に硬化性組成物からなる塗膜と加飾層とを有する保護シートをプラスチック成形品に接着することにより、成形品表面に保護層を形成する方法である。
次にシート接着法は、具体的には、予め作成しておいた保護層形成用シートの基体シートと成形品とを接着させた後、加熱により熱硬化せしめてB-ステージ化してなる樹脂層の架橋硬化を行う方法(後接着法)や、前記保護層形成用シートを成形金型内に挟み込み、キャビテイ内に樹脂を射出充満させ、樹脂成形品を得るのと同時にその表面と保護層形成用シートを接着させ後、加熱により熱硬化せしめて樹脂層の架橋硬化を行う方法(成形同時接着法)等が挙げられる。
本発明の積層体を得るための基材としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエステル、アクリル、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン等の各種プラスチック基材が挙げられる。これらの中でも特にアクリルからな基材を用いてなる積層体は、特に硬化塗膜との密着性に優れるため、好ましい。
前記アクリル基材は熱可塑性アクリル樹脂を用いてなる基材であり、該熱可塑性アクリル樹脂を構成する(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
特にフィルム状のアクリル基材としては、一般に市販されているものでも良く、例えば、三菱ケミカル株式会社製「アクリプレン」、株式会社クラレ製「パラピュア」、エスカーボシート株式会社製「テクノロイ」、株式会社カネカ製「サンデュレン」、住友化学株式会社製「エスカーボシート」等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をフィルム状のアクリル基材上に塗布する際の塗布量は、硬化後の膜厚が1~100μmの範囲となるように調整することが好ましい。塗工方法は、例えば、バーコーター塗工、ダイコート塗工、スプレーコート塗工、カーテンコート塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合には、塗布後に80~150℃の条件下で数十秒~数分間加温して有機溶剤を揮発させたのち、活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることが好ましい。
硬化性組成物を硬化させ塗膜とする際に照射する活性エネルギー線は、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線により硬化させる場合には、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等を有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。高圧水銀灯を使用する場合には、通常80~160W/cmの範囲である光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5~50m/分の範囲で硬化させることが好ましい。一方、電子線により硬化させる場合には、通常10~300kVの範囲である加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5~50m/分の範囲で硬化させることが好ましい。
本発明の積層体は前述の硬化性組成物からなる硬化塗膜以外に、その他の層構成を有していてもよい。これら各種の層構成の形成方法は特に限定されず、例えば、樹脂原料を直接塗布して形成しても良いし、予めシート状になっているものを接着剤にて貼り合せても良い。
本発明の積層体は、ディスプレイ部材や自動車部材、建材用途の他、各種の電子機器や家電、家具等の表面保護フィルム、メッキ代替、塗装代替等、様々な用途に好適に用いることができる。
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
製造例1 アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを33.3質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、メタクリル酸グリシジル40質量部、メタクリル酸メチル60質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)6質量部、メチルイソブチルケトン36質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分60質量%のアクリル樹脂中間体(1)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(1)のエポキシ基当量は355g/eq(樹脂固形分換算)であった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(1)163質量部、アクリル酸20.4質量部、メトキノン0.06質量部、トリフェニルホスフィン0.6質量部、メチルイソブチルケトン70.3質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分50.5質量%のアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-1)溶液を得た。アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-1)のアクリロイル基当量は426g/eq(樹脂固形分換算)、数平均分子量(Mn)は4,900、重量平均分子量(Mw)は8,400、E型粘度計で測定した粘度は1100mPa・sであった。
製造例2:アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の製造
製造例1において、メチルイソブチルケトンを26.2質量部、メタクリル酸グリシジル3質量部、メタクリル酸メチル97質量部とし、付加反応時に使用するアクリル酸を1.54質量部とする以外は製造例1と同様にして、不揮発分49.5質量%のアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-2)溶液を得た。アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-2)のアクリロイル基当量は4762g/eq(樹脂固形分換算)、数平均分子量(Mn)は2,700、重量平均分子量(Mw)は7,690、E型粘度計で測定した粘度は600mPa・sであった。
製造例3:アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-3)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを73質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、メタクリル酸50質量部、メタクリル酸メチル50質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)9質量部、メチルイソブチルケトン35質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分60質量%のアクリル樹脂中間体(1)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(3)の酸価は326mgKOH/g(樹脂固形分換算)であった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(3)151質量部、メタクリル酸グリシジル酸83.3質量部、メトキノン0.09質量部、トリフェニルホスフィン0.37質量部、メチルイソブチルケトン75.2質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分49.1質量%のアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-1)溶液を得た。アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-3)のメタクリロイル基当量は328g/eq(樹脂固形分換算)、数平均分子量(Mn)は6,700、重量平均分子量(Mw)は14,000、E型粘度計で測定した粘度は960mPa・sであった。
製造例4:アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-4)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを37質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、β-メルカプトプロピオン酸2.0質量部、メタクリル酸メチル98質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)2質量部、メチルイソブチルケトン17.9質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分65質量%のアクリル樹脂中間体(4)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(1)の酸価は10.6mgKOH/g(樹脂固形分換算)であった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(1)156.9質量部、メタクリル酸グリシジル酸2.66質量部、メトキノン0.05質量部、トリフェニルホスフィン0.2質量部、メチルイソブチルケトン50.2質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分50質量%のアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-3)溶液を得た。アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-3)のメタクリロイル基当量は5556g/eq(樹脂固形分換算)、数平均分子量(Mn)は2,770、重量平均分子量(Mw)は6,900、E型粘度計で測定した粘度は560mPa・sであった。
比較製造例1:アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A’1)の製造
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、メチルイソブチルケトンを33.3質量部仕込み、攪拌しながら系内温度が110℃になるまで加熱した。ついで、メタクリル酸グリシジル100質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油株式会社製「パーブチルO」)4質量部、メチルイソブチルケトン36質量部からなる混合液を4時間かけて滴下した。滴下後、110℃で10時間撹拌を続け、不揮発分60質量%のアクリル樹脂中間体(1’)溶液を得た。アクリル樹脂中間体(1)のエポキシ基当量は148g/eq(樹脂固形分換算)であった。
次いで、攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気導入管を備えた反応装置に、前記アクリル樹脂中間体(1’)166.6質量部、アクリル酸51質量部、メトキノン0.08質量部、トリフェニルホスフィン0.8質量部、メチルイソブチルケトン87質量部を仕込んだ。反応液中に空気をバブリングさせながら105℃まで加熱し、10時間反応させて不揮発分50.5質量%のアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A’1)溶液を得た。アクリル(メタ)アクリレート樹脂(A’1)のアクリロイル基当量は213g/eq(樹脂固形分換算)、数平均分子量(Mn)は12,000、質量平均分子量(Mw)は22,000、E型粘度計で測定した粘度は1200mPa・sであった。
実施例1:積層フィルム(1)の作製
製造例1で得たアクリル(メタ)アクリレート樹脂(A-1)60質量部、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad-184」)0.9質量部、メチルエチルケトン40質量部を混合し、硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた硬化性樹脂組成物を厚さ40μmのアクリルフィルム上にバーコーターで塗布し、90℃で1分間乾燥させた。次いで、窒素雰囲気下、80W高圧水銀ランプで紫外線を50mJ/cm2照射し、アクリルフィルム上に膜厚5μmの硬化塗膜を有する積層フィルム(1)を得た。
実施例2~8:積層フィルム(2)~(8)の作製
表1に示す配合比率で実施例1と同様の方法にて、積層フィルム(2)~(8)を得た。
比較例1及び2:積層フィルム(R1)及び(R2)の作製
表1に示す配合比率で実施例1と同様の方法にて、積層フィルム(R1)および(R2)を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた積層フィルムを用いて、下記の評価を行い、結果を表1に示した。
基材密着性の評価方法
この積層フィルム(1)~(8)及び(R1)~(R2)の硬化塗膜表面にカッターナイフで切れ目を入れて、1mm×1mmの碁盤目を100個作成し、その上からセロハン粘着テープを貼着した後、急速に剥がす操作を行い、剥離せずに残存した碁盤目の数を数え、以下の基準に従って評価した。
A:碁盤目の残存数が80個以上であった。
B:碁盤目の残存数が50個以上80個未満であった。
C:碁盤目の残存数が30個以上50未満であった。
D:碁盤目の残存数が30個未満であった。
基材密着性の評価方法(過照射促進試験)
得られた積層フィルム積層フィルム(1)~(8)及び(R1)~(R2)をさらに空気雰囲気下にて80W高圧水銀ランプで紫外線の100mJ/cm2照射を10回繰り返し積層フィルム(9)~(16)、(R3)~(R4)を得た。この積層フィルムの硬化塗膜表面にカッターナイフで切れ目を入れて、1mm×1mmの碁盤目を100個作成し、その上からセロハン粘着テープを貼着した後、急速に剥がす操作を行い、剥離せずに残存した碁盤目の数を数え、以下の基準に従って評価した。
A:碁盤目の残存数が80個以上であった。
B:碁盤目の残存数が50個以上80個未満であった。
C:碁盤目の残存数が30個以上50未満であった。
D:碁盤目の残存数が30個未満であった。