JPWO2018230299A1 - アスファルト組成物 - Google Patents

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Abstract

ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)と、還元粘度0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b)と、アスファルト(c)と、を、含有し、前記(a)の含有量が、2.5〜14質量%、前記(b)の含有量が、0.1〜10質量%、前記(c)の含有量が、80〜97質量%、である、アスファルト組成物。

Description

本発明は、アスファルト組成物に関する。
従来から、アスファルト組成物は、道路舗装、防水シート、遮音シート、ルーフィング等の用途に広く利用されている。
前記アスファルト組成物を各種用途に利用する際には、アスファルトに種々の重合体を添加して、その性質を改良しようとする試みが多くなされている。
前記重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ゴムラテックス、及び共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とからなるブロック共重合体等が挙げられる。
一方、近年、交通量の増加や地球温暖化の観点から、アスファルト組成物の高温物性の向上等の要求がますます高まっている。
従来から、アスファルト組成物の高温物性の向上を図るため、種々の添加剤を含有させて、アスファルト組成物の高温物性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
具体的には、添加剤としてポリフェニレンエーテルを添加し、アスファルト組成物の軟化点を向上させたり、添加剤としてアタクチックポリプロピレンを添加し、アスファルト組成物の軟化点を向上させたり、添加剤としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)を添加し、アスファルト組成物の軟化点を向上させる技術が知られている。
国際公開第2002/042377号 特開平1−282235号公報 特開平6−41439号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されている技術においても、未だ、アスファルト組成物の高温物性に関し、十分な特性が得られておらず、より一層のアスファルト組成物の高温物性の向上が望まれている。
本発明者が検討したところ、前記特許文献1に記載の技術は、低温物性に劣り、また添加剤がアスファルトに均一に溶解しないため、高温貯蔵性の悪化が懸念されるという問題を有している。
また、特許文献2に記載の技術は、低温物性と各種特性とのバランスが悪いという問題を有している。
さらに、特許文献3に記載の技術は、添加剤の量が増えることによりアスファルト組成物の粘度が高くなり、加工性が劣る、という問題を有している。
そこで本発明においては、アスファルト組成物の粘度、低温物性、共重合体及びポリフェニレンエーテルのアスファルトへの溶解性に優れ、かつ高温物性にも優れたアスファルト組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体と、所定の還元粘度のポリフェニレンエーテルと、アスファルトとを、それぞれ所定量含有するアスファルト組成物が、上述した従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)と、
還元粘度0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b)と、
アスファルト(c)と、
を、含有し、
前記(a)の含有量が、2.5〜14質量%、
前記(b)の含有量が、0.1〜10質量%、
前記(c)の含有量が、80〜97質量%、
である、アスファルト組成物。
〔2〕
前記ポリフェニレンエーテル(b)が、
カルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群より選択される少なくとも一つの官能基よりなる変性基を有する、前記〔1〕に記載のアスファルト組成物。
〔3〕
前記ポリフェニレンエーテル(b)が、カルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基を有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載のアスファルト組成物。
〔4〕
前記(a)の含有量が、4〜14質量%、
前記(b)の含有量が、0.1〜8質量%、
前記(c)の含有量が、80〜97質量%、
である、前記〔1〕及至〔3〕のいずれか一に記載のアスファルト組成物。
〔5〕
前記(a)の含有量が、4〜12質量%、
前記(b)の含有量が、0.1〜5質量%、
前記(c)の含有量が、85〜97質量%、
である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のアスファルト組成物。
〔6〕
ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)と、還元粘度0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b)との押し出し成型体である熱可塑性樹脂組成物(d)と、
アスファルト(c)と、
を、含有するアスファルト組成物であって、
前記(d)の含有量が、3〜20質量%であり、
前記(c)の含有量が、80〜97質量%であり、
前記熱可塑性樹脂組成物(d)における、前記(a)と前記(b)との質量比率が、
(a)/(b)=20〜99/80〜1である、
アスファルト組成物。
〔7〕
前記熱可塑性樹脂組成物(d)が、前記共重合体(a)により構成される海相と、前記ポリフェニレンエーテル(b)により構成される島相からなる海島構造を有し、
前記熱可塑性樹脂組成物(d)中の前記ポリフェニレンエーテル(b)の平均分散粒子径が5μm未満である、前記〔6〕に記載のアスファルト組成物。
〔8〕
前記(d)の含有量が、3〜15質量%であり、
前記(c)の含有量が、85〜97質量%であり、
前記(d)における、前記(a)と前記(b)との質量比率が、(a)/(b)=40〜99/60〜1である、
前記〔6〕又は〔7〕に記載のアスファルト組成物。
〔9〕
前記熱可塑性樹脂組成物(d)が酸化防止剤を含む、前記〔6〕及至〔8〕のいずれか一に記載のアスファルト組成物。
〔10〕
前記ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)が、水素添加されている、前記〔6〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のアスファルト組成物。
〔11〕
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)を1〜10質量%、さらに含有する、前記〔6〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のアスファルト組成物。
〔12〕
前記ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)が、
官能基よりなる変性基を有する、前記〔1〕及至〔11〕のいずれか一に記載のアスファルト組成物。
本発明によれば、高温物性に優れ、また、アスファルト組成物の粘度、低温物性、共重合体及びポリフェニレンエーテルのアスファルトへの溶解性にも優れたアスファルト組成物が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について、詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔アスファルト組成物〕
本実施形態のアスファルト組成物は、
ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)と、
還元粘度0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b)と、
アスファルト(c)と、
を、含有し、
前記(a)の含有量が、2.5〜14質量%であり、
前記(b)の含有量が、0.1〜10質量%であり、
前記(c)の含有量が、80〜97質量%である。
ここで、共重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」といい、重合体の材料として記載する場合は「単位」を省略し、単に「〜単量体」と記載する。
(共重合体(a))
本実施形態のアスファルト組成物は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)(以下、共重合体(a)、(a)成分と記載する場合がある。
)を含有する。
共重合体(a)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよく、いずれも好ましい形態である。また、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを有しているブロック共重合体であることが好ましい一形態として挙げられる。
本実施形態の目的を阻害しない範囲でその他の単量体単位を含んでもよい。
本明細書において、「主体とする」とは、ブロック中、所定の単量体単位の含有量が、80質量%以上であり、90質量%以上がより好ましく、さらに好ましくは95質量%以上であることをいう。
上限は特に制限はないが、100質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のアスファルト組成物は、共重合体(a)を2.5〜14質量%含有することにより、高温物性に優れたものとなり、かつ、アスファルト組成物の粘度、低温性能、共重合体(a)のアスファルトへの溶解性の各特性が優れたものとなり、また、これらの特性バランスが優れたものとなる。
本実施形態のアスファルト組成物における、共重合体(a)の含有量は、上述した観点から、好ましくは4〜14質量%であり、より好ましくは4〜12質量%である。
本実施形態において、共重合体(a)は、上述したように、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを有しているブロック共重合体(以下、ブロック共重合体(a)と記載する場合がある)が好ましい形態として挙げられる。さらには、これに加えてビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位からなる共重合体ブロックを有していてもよい。
ブロック共重合体(a)は、下記の式(i)〜(xii)からなる群より選ばれる少なくとも一つのブロック共重合体を含有することが好ましい。
(S−B)n ・・・(i)
S−(B−S)n ・・・(ii)
B−(S−B)n ・・・(iii)
S−(B−S)n−X ・・・(iv)
[(S−B)km−X ・・・(v)
[(S−B)k−S]m−X ・・・(vi)
(S−R)n ・・・(vii)
S−(R−S)n ・・・(viii)
R−(S−R)n ・・・(ix)
S−(R−S)n−X ・・・(x)
[(S−R)km−X ・・・(xi)
[(S−R)k−S]m−X ・・・(xii)
前記式(i)〜(xii)中、Sは、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Bは、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Rは、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位からなる共重合体ブロックを表し、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、mは2〜6の整数であり、n及びkはそれぞれ独立して1〜4の整数である。
前記(i)〜(vi)のm、n及びkの値は同じであっても異なっていてもよい。
ブロック共重合体(a)中にブロックS、B、及びRが複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上述したように、前記式(iv)〜(vi)、及び(x)〜(xii)中、Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、ブロックの分子量制御の観点から、Xはカップリングの残基であることが好ましい。
前記カップリング剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化合物、ポリハロゲン化炭化水素化合物、カルボン酸エステル化合物、ポリビニル化合物、アルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物、エステル系化合物等が挙げられる。
本実施形態のアスファルト組成物の製造時のブロック共重合体(a)の耐熱劣化性の観点から、カップリング剤は、アルコキシシラン化合物やエポキシ化合物であることが好ましく、エポキシ化合物であることがより好ましい。
アルコキシシラン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、テトラメトキシシラン及びそれと同種のものなどのテトラアルコキシシラン化合物;テトラフェノキシシラン及びそれと同種のものなどのテトラアリーロキシシラン化合物;メチルトリエトキシシラン及びそれと同種のものなどの2又は3以上のアルコキシ基を有するアルキルアルコキシシラン化合物;メチルトリフェノキシシラン及びそれと同種のものなどの2又は3以上のアリーロキシ基を有するアルキルアリーロキシシラン化合物;ビニルトリメトキシシラン及びそれと同種のものなどの2又は3以上のアルコキシ基を有するアルケニルアルコキシシラン化合物;並びにトリメトキシクロロシラン及びそれと同種のものなどのハロゲノアルコキシシラン化合物が挙げられる。
これらの中では、耐熱劣化性やブロック共重合体(a)の製造性の観点から、アルコキシ基を2〜4個有するアルキルアルコキシシランが好ましい。
エポキシ化合物としては、以下に限定されないが、例えば、エポキシ化大豆油又はエポキシ化アマニ油のようなポリエポキシ化植物油;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化テトラアリルエーテルペンタエリトリトール、フェニル基を有するエポキシ化合物等が挙げられる。
これらの中では、耐熱劣化性やブロック共重合体の製造性の観点から、フェニル基を有するエポキシ化合物が好ましい。
アルコキシシラン化合物やエポキシ化合物中のアルコキシシリル基やエポキシ基の数は、本実施形態のアスファルト組成物の低い混合温度、アスファルト組成物の低い粘度、アスファルト組成物中の共重合体(a)の少ない劣化、アスファルト組成物と骨材との混合物にした時の骨材の高い剥離抵抗性の観点から、1分子当たり2〜5個が好ましく、2〜4個がより好ましい。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる共重合体(a)は、アスファルト組成物の高温物性、アスファルト組成物の低い粘度、アスファルト組成物の低温物性、及びポリフェニレンエーテル(b)及び共重合体(a)のアスファルトへの溶解性の観点から、[(S−B)km−X(m=2〜4の整数であり、k=1〜4の整数であり、Sはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Xはカップリング剤の残基又は重合開始剤の残基である。)の構造を有するブロック共重合体を含有することが好ましい。
また、アスファルト組成物の高温物性、アスファルト組成物の低い粘度の観点から、(S−B)n(n=2〜4の整数であり、Sはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックである)の構造を有するブロック共重合体を含有することが好ましい。
さらに、アスファルト組成物の高温物性、アスファルト組成物の低温物性の観点から、S−(B−S)n(n=1〜4の整数であり、Sはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックである)の構造を有するブロック共重合体を含有することが好ましい。
さらにまた、アスファルト組成物の高温物性、ポリフェニレンエーテル(b)及び共重合体(a)のアスファルトへの溶解性の観点から、S−(R−S)n、及び[(S−R)km−X(n=1〜4の整数であり、m=2〜4の整数であり、k=1〜4の整数であり、Sはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Rは、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位からなる共重合体ブロックであり、Xはカップリング剤の残基又は重合開始剤の残基である。)の構造を有するブロック共重合体を含有することが好ましい。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は、アスファルト組成物の高い軟化点、アスファルト組成物と骨材との混合物にした時の骨材の高い剥離抵抗性の観点から、4万以上であることが好ましく、6万以上であることがより好ましく、10万以上であることがさらに好ましい。
また、アスファルト組成物の低い粘度、アスファルト組成物中の共重合体(a)の少ない劣化の観点から、40万以下であることが好ましく、35万以下であることがより好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。
なお、共重合体(a)の重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、アスファルト組成物の高い軟化点、アスファルト組成物と骨材との混合物にした時の骨材の高い剥離抵抗性の観点から、10質量%以上であることが好ましく、14質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上がさらにより好ましい。
また、アスファルト組成物の低い粘度、共重合体(a)の少ない劣化、アスファルト組成物の柔軟性の観点から、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下がより好ましく、52質量%以下がさらに好ましく、45質量%以下がさらにより好ましい。
ここで、共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、共重合体(a)全体としてのビニル芳香族単量体単位の含有量を言う。
共重合体(a)中に、複数の成分があり、すなわち共重合体(a)が、複数種類の共重合体の混合物である場合において、各共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量が異なっている場合、それぞれのビニル芳香族単量体単位の含有量の平均値である。
なお、本実施形態において、共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量(ここで、上述のとおり「主体とする」とは、重合体ブロック中にビニル芳香族単量体単位を、80質量%以上100質量%以下含むことを言う。)は、アスファルト組成物の高い軟化点、アスファルト組成物と骨材との混合物にした時の高い剥離抵抗性の観点から、8質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることがさらにより好ましい。
また、アスファルト組成物の低い粘度、共重合体(a)の少ない劣化、アスファルト組成物の柔軟性の観点から、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、35質量%以下であることがさらにより好ましい。
なお、共重合体(a)中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量は、後述する実施例に記載されている、ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロック含有量の測定方法により測定することができる。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる共重合体(a)は、アスファルト組成物の高い軟化点、共重合体(a)の高い耐熱劣化性、後述するポリフェニレンエーテル(b)との押出成型ブレンド時の少ない熱劣化の観点から、共重合体(a)中の共役ジエン単量体単位に含まれる二重結合が水素添加されていることが好ましい。
アスファルト組成物の高い軟化点、貯蔵時の高い耐熱劣化性、ポリフェニレンエーテル(b)との押出成型ブレンド時の少ない熱劣化の観点から、当該共役ジエン単量体単位に含まれる二重結合の水添率は、10mol%以上が好ましく、20mol%以上がより好ましく、30mol%以上がさらに好ましい。
但し、当該共役ジエン単量体単位に含まれる二重結合量の水素添加率は、アスファルトとの高い相容性の観点から、90mol%以下が好ましく、75mol%以下がより好ましく、60mol%以下がさらに好ましい。
なお、共役ジエン単量体単位は、水素添加することにより共役ジエンを有しなくなるが、本明細書中、水添前後にかかわらず「共役ジエン単量体単位」と称する。
二重結合量の水素添加率は、水添工程における水素添加量や水添反応時間を制御することにより調整することができる。また、本実施形態において、水素添加率は後述する実施例に記載の方法で求めることができる。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる共重合体(a)の水素添加前の共役ジエン単量体単位中のビニル結合量は、アスファルトとの高い相容性、アスファルト組成物の低い粘度の観点から、8mol%以上が好ましく、10mol%以上がより好ましく、12mol%以上がさらに好ましい。
また、共重合体(a)の水素添加前の共役ジエン単量体単位中のビニル結合量は、アスファルト組成物中の共重合体(a)の少ない劣化の観点から、45mol%以下が好ましく、40mol%以下がより好ましく、30mol%以下がさらに好ましく、25mol%以下がさらにより好ましい。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる共重合体(a)のメルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は、共重合体(a)の製造性、ポリフェニレンエーテル(b)との押出成型ブレンド時の少ない熱劣化の観点から、0.01g/10分以上であることが好ましく、0.2g/10分以上がより好ましく、1.0g/10分以上がさらに好ましく、3g/10分以上がさらにより好ましい。また、アスファルトに添加する低いポリマー添加量や引張後の回復性の観点から、100g/10分以下が好ましく、50g/10分以下がより好ましく、30g/10分以下がさらに好ましい。
共重合体(a)は、アスファルト組成物の分離性、アスファルト及び/又は骨材との相互作用が優れる観点から、官能基よりなる変性基を含有する(官能基によりなる変性基を有する変性共重合体である)ことが好ましい。
官能基としては、以下に限定されないが、例えば、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基が挙げられる。共重合体(a)に、これらの官能基よりなる変性基が付加されていることが好ましく、官能基よりなる変性基の付加方法としては、以下に限定されないが、例えば、ブロック共重合体を構成する単量体に、これらの官能基よりなる変性基を有する単量体を用いる方法、ブロック共重合体を構成する単量体単位と、これらの官能基よりなる変性基を有する重合開始剤、カップリング剤、又は停止剤の残基とを結合する方法等が挙げられる。
(共重合体(a)の製造方法)
本実施形態のアスファルト組成物に用いる共重合体(a)は、例えば、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを重合させて共重合体を得る重合工程と、任意工程として、得られた前記共重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合に水素添加する水素添加工程と、共重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する脱溶剤工程を順次行い、製造することができる。
<重合工程>
重合工程においては、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体を含む単量体を重合させて重合体を得る。
[炭化水素溶媒]
重合工程で用いる炭化水素溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
[重合開始剤]
重合工程において重合開始剤として用いるリチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等の分子中に一個以上のリチウム原子を結合した化合物が挙げられる。
このような有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[重合に用いる単量体]
共役ジエン単量体としては、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の1対の共役二重結合を有するジオレフィンが挙げられる。これらのなかでも、経済性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、機械強度の観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビニル芳香族単量体としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらのなかでも経済性の観点から、スチレンが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体の他、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体と共重合可能な他の単量体を用いることもできる。
[極性化合物、ランダム化剤]
重合工程においては、重合速度の調整、重合した共役ジエン単量体単位のミクロ構造(シス、トランス、及びビニルの比率)の調整、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体との反応比率の調整等を目的として、所定の極性化合物やランダム化剤を使用することができる。
極性化合物やランダム化剤としては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類;チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用できる。公知の方法としては、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
<失活工程>
共重合体(a)の製造方法においては、重合工程後、失活工程を行うことにより、共重合体の活性末端を失活することが好ましい。
共重合体の活性末端を失活する方法は、活性末端と活性水素を有する化合物と反応させる方法が挙げられる。
活性水素を有する化合物としては特に限定されないが、経済性の観点から、アルコールや水が好ましい。
<水素添加工程>
水素添加工程は、重合工程で得られた共重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合の一部に、所定の触媒の存在下、水素添加反応する工程である。
水素添加反応に使用される触媒としては、以下に限定されないが、例えば、Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒;Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒、或いはチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒が挙げられる。
特に、経済性、重合体の耐熱老化性あるいは耐候性の観点から、チタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いた均一触媒系が好ましい。
水素添加方法としては、以下に限定されないが、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法や、好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法が挙げられる。
具体的には、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して水添ブロック共重合体溶液を得ることができる。
水素添加反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれも用いることができる。
水素添加反応は、特に限定するものではないが、高い水添活性の観点で、上述した共重合体の活性末端を失活する工程後に行うことが好ましい。
水素添加工程において、ビニル芳香族単量体単位の共役結合が水素添加されてもよい。
全ビニル芳香族単量体単位中の共役結合の水素添加率は、好ましくは30mol%以下であり、より好ましくは10mol%以下であり、さらに好ましくは3mol%以下である。
また、全ビニル芳香族単量体中の共役結合の水素添加率の下限は、特に限定されないが、好ましくは0mol%よりも高い値であり、より好ましくは1mol%以上である。全ビニル芳香族単量体中の共役結合の水素添加率が上記範囲内であることにより、アスファルトに添加するポリマー添加量を低減化でき、また、アスファルトとの相容性が高くなる傾向にある。
<脱溶剤工程>
脱溶剤工程は、共重合体(a)を含む溶液の溶媒を脱溶剤する工程である。
脱溶剤方法としては、特に限定されないが、スチームストリッピング法や直接脱溶媒法が挙げられる。
脱溶剤工程により得られる共重合体中の残存溶媒量は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下であり、さらにより好ましくは0.05質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.01質量%以下である。また、共重合体中の残存溶媒量の下限は、特に限定されないが、少ない方が好ましく、好ましくは0質量%であるが、脱溶剤時の経済性の観点から、通常、0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲である。
共重合体(a)の耐熱老化性やゲル化の抑制の観点から、共重合体(a)に酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、ラジカル補捉剤等のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤等のリン系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤が挙げられる。
また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤のなかでも、共重合体(a)や本実施形態のアスファルト組成物の耐熱老化性やゲル化の抑制の観点から、少なくとも、フェノール系酸化防止剤を添加することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤の添加量は、高い低温製造性や混合中において共重合体の劣化が少ない観点から、共重合体(a)100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.10質量部以上がより好ましく、0.20質量部以上がさらに好ましい。また、フェノール系酸化防止剤の添加量は、骨材の高い剥離抵抗性や経済性の観点から、共重合体(a)100質量部に対して、1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.4質量部以下がさらに好ましく、0.3質量部以下がさらにより好ましい。
その他、共重合体(a)の着色防止や機械強度向上の観点から、脱溶剤工程の前に、共重合体(a)中の金属を除去する脱灰工程や、ポリマーのpHを調整する中和工程、例えば、酸の添加や炭酸ガスの添加を行ってもよい。
(還元粘度が0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b))
本実施形態のアスファルト組成物は、アスファルト組成物の高温物性、また、アスファルト組成物の粘度、低温性能、共重合体(a)のアスファルトへの溶解性、及びこれらの特性バランスが優れたものとなる観点から、還元粘度が0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b)(以下、ポリフェニレンエーテル(b)、(b)成分と記載する場合がある。)を0.1〜10質量%含む。
上記観点から、ポリフェニレンエーテル(b)の含有量は、0.1〜8質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
ポリフェニレンエーテル(b)は、一般的にガラス転移点が高く、少量でも性能への寄与が大きく、添加量が0.1質量%でも改良効果があると考えられる。一方、多量に入れると粘度が非常に高くなり加工性が悪化するため、10質量%を上限と設定している。
ポリフェニレンエーテル(b)は、官能基を有する(官能基よりなる変性基を有する)ものでも、官能基を有していない(官能基よりなる変性基を有していない)ものでも、いずれでもよい。
前記官能基としては、カルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル(b)の具体的な好ましい態様としては、以下の(1)〜(3)が挙げられる。
(1)官能基よりなる変性基を有していないポリフェニレンエーテル(b−1)を含む。
(2)官能基よりなる変性基としてカルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基を有するポリフェニレンエーテル(b−2)を含む。
(3)前記官能基よりなる変性基を有していないポリフェニレンエーテル(b−1)と、カルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基を有するポリフェニレンエーテル(b−2)の混合物を含む。
本実施形態のアスファルト組成物に用いるポリフェニレンエーテル(b)は、還元粘度が0.07dL/g〜0.60dL/gであり、アスファルト組成物の高い軟化点の観点から、0.07dL/g以上であり、0.15dL/g以上が好ましく、0.20dL/g以上がより好ましく、0.30dL/g以上がさらに好ましい。
また、アスファルト組成物の低い粘度、柔軟性、ポリフェニレンエーテル(b)のアスファルトへの溶解性の観点から、0.60dL/g以下であり、0.55dL/g以下が好ましく、0.50dL/g以下がより好ましく、0.40dL/g以下がさらに好ましい。
なお、ポリフェニレンエーテル(b)の還元粘度は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
また、ポリフェニレンエーテル(b)の還元粘度は、分子量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
前記カルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基を有する官能基変性ポリフェニレンエーテル(b−2)は、官能基よりなる変性基を有していないポリフェニレンエーテル(b−1)と、不飽和カルボン酸又はその誘導体(F)と、を反応させることによって得られる。
官能基よりなる変性基を有していないポリフェニレンエーテル(b−1)に対する、前記不飽和カルボン酸又はその誘導体(F)の付加量としては、ポリフェニレンエーテル(b−1)100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。反応の条件としては、以下に限定されないが、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80〜350℃の温度条件下で行うことにより、付加することができる。付加量は目的に応じて適宜設定すればよく、付加量が少なければ、官能基よりなる変性基を有するポリフェニレンエーテルと有していないポリフェニレンエーテルの混合物が得られる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体(F)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、イタコン酸、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、クロロマレイン酸、等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、無水アコニット酸、無水イタコ酸、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、等の酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル等のエステル化合物等が挙げられる。
特に、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸が好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸又はその誘導体(F)としてマレイン酸、無水マレイン酸を選択した場合、官能基よりなる変性基を有するポリフェニレンエーテル(b−2)と、本実施形態のアスファルト組成物中に含まれる他の極性成分との相互作用により、組成物としての相容性が高まると考えられる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体(F)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリフェニレンエーテル(b)に、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくともいずれかの官能基よりなる変性基を導入する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カップリング剤又は停止剤の残基と結合させる方法等が挙げられる。
本実施形態のアスファルト組成物に用いるポリフェニレンエーテル(b)は、アスファルト組成物の分離性、低温性能、アスファルト混合物の耐轍掘れ性の観点から、官能基よりなる変性基を有するポリフェニレンエーテルがより好ましい。
ポリフェニレンエーテル(b)として、官能基よりなる変性基を有するポリフェニレンエーテルを採用することにより耐轍掘れ性が向上する理由として、極性材料である骨材(石)と、ポリフェニレンエーテルの官能基よりなる変性基との相互作用により、骨材の位置がアスファルト組成物中で固定されることで、轍掘れが発生しにくくなることが考えられる。
本実施形態のアスファルト組成物の製造において、共重合体(a)、及びポリフェニレンエーテル(b)は、それぞれ独立して添加してもよいし、共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)の押し出し成型体、例えばペレットである熱可塑性樹脂組成物(d)を添加してもよい。
また、共重合体(a)及び上述の熱可塑性樹脂組成物(d)をそれぞれ添加してもよい。
さらに、2種類以上の熱可塑性樹脂組成物(d)を組み合わせて添加してもよい。
ポリフェニレンエーテル(b)のアスファルトへの溶解性の観点から、共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)を押出成型ブレンドすることにより熱可塑性樹脂組成物(d)のペレットを作製し、添加することが好ましく、さらには、ポリフェニレンエーテル(b)のアスファルトへの溶解性、アスファルト組成物の低温物性の観点から、共重合体(a)及び上述の熱可塑性樹脂組成物(d)のペレットをそれぞれ添加することが好ましい。
あらかじめ共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)を押出成型ブレンドすることにより、ポリフェニレンエーテル(b)を、熱可塑性樹脂組成物(d)のペレット中に微分散させることができ、その結果、ペレットをアスファルトへ溶解させた場合に、ポリフェニレンエーテル(b)が予め微分散しているのでポリフェニレンエーテル(b)の溶解性が向上する傾向にある。
なお、共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)を押出成型ブレンドする方法としては、二軸押出機((株)池貝製、「PCM−30」)を用いて溶融混練する方法が挙げられる。
シリンダー温度は、共重合体(a)の種類により適宜設定することが好ましく、スクリュー回転数は、例えば150回転/分、吐出量は7kg/hとすることができる。
シリンダーブロックに開口部(ベント)を設け、減圧吸引することにより残存揮発を除去することができる。
減圧度(圧力)は、−0.05MPa−G以下が好ましく、−0.07MPa−G以下がより好ましく、−0.08MPa−G以下がさらに好ましく、−0.09MPa−G以下がさらにより好ましい。
なお、「G」とは、大気圧を0としたときのゲージ圧を示す。
ダイから押し出されたストランドを冷却し、カッターにて連続切断してペレットを得ることができる。
ペレットのサイズは、具体的な用途にもよるが、例えば約3mm長さ×3mm径とすることができる。
シリンダー温度については、共重合体(a)の共役ジエン単量体単位に含まれる二重結合が水素添加されている場合、上流側250℃〜下流側300℃に設定することが好ましく、共重合体(a)が、水素添加されていない場合、上流側250℃〜下流側250℃に設定することが好ましい。
上述の方法により、前記熱可塑性樹脂組成物(d)が、前記共重合体(a)により構成される海相と、前記ポリフェニレンエーテル(b)により構成される島相からなる海島構造を有するものとし、ポリフェニレンエーテル(b)を共重合体(a)に対して、均一分散及び/又は相容したものとすることができる。
なお、本明細書中、ポリフェニレンエーテルが均一分散している状態とは、50μm以上の粒子径を有するポリフェニレンエーテル凝集体を、全ポリフェニレンエーテルの5体積%未満含む状態を意味する。
また、ポリフェニレンエーテルが相容している状態とは、ポリフェニレンエーテルの平均分散粒子径が5μm未満である状態を意味する。
共重合体(a)に対するポリフェニレンエーテル(b)の均一分散及び相容の状態は、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて容易に確認することができる。
具体的には、熱可塑性樹脂組成物(d)の成形片から、長さ10mm×幅5mm×厚み3〜4mmの染色用試験片を切り出し、ウルトラミクロトームにて染色用試験片の端に切片切り出し用の平面を作製する。
次に、共重合体(a)として、「少なくとも1個のビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン単量体を主体とする重合体ブロックとを含むブロック共重合体の非水素添加物」、及び/又は、「少なくとも1種のビニル芳香族単量体と少なくとも1種の共役ジエン単量体からなる共重合体ブロックの非水素添加物」、が含まれる場合、耐熱容器に入れた2質量%四塩化オスミウム水溶液に前記染色用試験片を漬け、ウォーターバスで80℃×30分湯せんした後引き上げ、常温になるまで冷却後耐熱容器から取り出し、水洗、乾燥を行う。
前記染色操作により、前記「少なくとも1個のビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン単量体を主体とする重合体ブロックとを含むブロック共重合体の非水素添加物」、及び/又は、前記「少なくとも1種のビニル芳香族単量体と少なくとも1種の共役ジエン単量体からなる共重合体ブロックの非水素添加物」が染色され、TEM観察時に黒色に観察される。
さらに、共重合体(a)として、「少なくとも1個のビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン単量体を主体とする重合体ブロックとを含むブロック共重合体の水素添加物」、及び/又は、「少なくとも1種のビニル芳香族単量体と少なくとも1種の共役ジエン単量体からなる共重合体ブロックの水素添加物」が含まれる場合、前記染色用試験片をウルトラミクロトームに水を入れたダイヤモンドナイフを取り付け、切片切り出し用の平面から厚み85nmの薄膜を水の上に切り出し、TEM観察用Cuメッシュですくう。この薄膜が載ったCuメッシュをステンレス網の上に並べておく。別個にガラスデシケーター中のシャーレに三塩化ルテニウムn水和物0.1gと精製水1mLを入れ溶解させた後、次亜塩素酸ナトリウム溶液5mLを添加してすぐに薄膜が載ったCuメッシュが載ったステンレス網を載せ、ガラスデシケーターの蓋をして4分静置した後、Cuメッシュを取り出す。
前記染色操作により、「少なくとも1個のビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン単量体を主体とする重合体ブロックとを含むブロック共重合体の水素添加物」、及び/又は、「少なくとも1種のビニル芳香族単量体と少なくとも1種の共役ジエン単量体からなる共重合体ブロックの水素添加物」が染色され、TEM観察時に黒色に観察される。
上述した染色法を用いることで、共重合体(a)を黒色相として、ポリフェニレンエーテル(b)を白色相として、TEM観察することができる。
さらに、このTEM像写真を、市販の画像解析ソフトを用いて画像解析することにより、全ポリフェニレンエーテルに対する50μm以上の粒子径を有するポリフェニレンエーテル凝集体の面積分率、及び、ポリフェニレンエーテルの平均分散粒子径を求めることができる。
なお、ここでは、全ポリフェニレンエーテルに対する50μm以上の粒子径を有するポリフェニレンエーテル凝集体の面積分率は、全ポリフェニレンエーテルに対する50μm以上の粒子径を有するポリフェニレンエーテル凝集体の体積分率と同等とみなす。
以上の操作により、共重合体(a)に対するポリフェニレンエーテル(b)の「均一分散」及び「相容」の状態を確認することができる。
本実施形態のアスファルト組成物において、上述した熱可塑性樹脂組成物(d)を構成する共重合体(a)に対するポリフェニレンエーテル(b)の平均分散粒子径は、アスファルト組成物の高い延性、アスファルト組成物の分離性の観点から、5μm未満であることが好ましく、4μm未満であることがより好ましく、3.5μm未満であることがさらに好ましく、3μm未満であることがさらにより好ましい。
ポリフェニレンエーテル(b)の平均分散粒子径は、溶融混練する際の温度を調整したり、溶融混練の際の攪拌回転数を調整したりすることにより、上記数値範囲に制御することができる。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる上述した熱可塑性樹脂組成物(d)のペレットは、熱可塑性樹脂組成物(d)のペレットの成形加工性の観点から、滑剤を含むことが好ましい。
滑剤としては、以下に限定されないが、例えば、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸ステアリル、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸エステル系滑剤;ジステアリン酸マグネシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩系滑剤が挙げられる。
滑剤の添加量は、共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)の合計100質量部に対して、0質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上25質量部以下がより好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態のアスファルト組成物に用いる熱可塑性樹脂組成物(d)は、耐熱劣化性を向上させる観点から、酸化防止剤を含むことが好ましい。
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。
具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール(BASF社製IRGANOX565)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製IRGANOX1010、(株)ADEKA製アデカスタブAO−60)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(BASF社製IRGANOX1330)、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル((株)ADEKA製アデカスタブAO−50)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(BASF社製IRGAFOS168、(株)ADEKA製アデカスタブ2112)、3,9−ビス(オクタデシルオキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5,5]ウンデカン((株)ADEKA製アデカスタブPEP−8)、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5,5]ウンデカン((株)ADEKA製アデカスタブPEP−36)、リン酸=2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)=2−エチルヘキシル((株)ADEKA製アデカスタブHP−10)、3,3'−チオビスプロパン酸ジオクタデシル(BASF社製IRGANOX PS802FD)、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン(BASF社製IRGASTAB FS042)等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤の添加量は、共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)の合計100質量部に対して、0質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上4質量部以下がさらに好ましい。
(アスファルト(c))
本実施形態のアスファルト組成物は、アスファルト(c)(以下、(c)成分と記載する場合がある。)を含有する。
本実施形態のアスファルト組成物に用いるアスファルト(c)としては、以下に限定されないが、例えば、石油精製の際の副産物(石油アスファルト)、又は天然の産出物(天然アスファルト)として得られるもの、もしくはこれらと石油類を混合したもの等が挙げられる。その主成分は瀝青(ビチューメン)と呼ばれるものである。
アスファルトとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト、タール、ピッチ、オイルを添加したカットバックアスファルト、アスファルト乳剤等が挙げられる。
これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を混合して使用してもよい。
また、各種アスファルトに石油系溶剤抽出油、アロマ系炭化水素系プロセスオイルやエキストラクト等の芳香族系重質鉱油等を添加してもよい。
本実施形態のアスファルト組成物に用いるアスファルト(c)は、高温物性、低温物性、経済性の観点から、針入度(JIS−K2207によって測定)が好ましくは30以上300以下であり、より好ましくは40以上200以下であり、さらに好ましくは45以上150以下であるストレートアスファルトが挙げられる。
本実施形態のアスファルト組成物において、アスファルト(c)の含有量は、経済性、粘度の観点から、80〜97質量%であるものとし、85〜97質量%が好ましく、87〜97質量%がより好ましい。
(共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)の合計含有量)
本実施形態のアスファルト組成物中の共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)の合計含有量は、アスファルト組成物の高い軟化点、アスファルト組成物の高い延性、アスファルト組成物と骨材との混合物にした時の骨材の高い剥離抵抗性の観点から、2.6質量%以上であり、3.5質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、6質量%以上がさらに好ましい。また、アスファルト組成物の低い粘度、アスファルト組成物中の共重合体(a)の少ない劣化、経済性の観点から、20質量%以下であり、16質量%以下であることがより好ましく、14質量%以下であることがさらに好ましく、12質量%以下であることがさらにより好ましい。
一般的に、アスファルト組成物を作製する場合、共重合体(a)の添加量が少ないと、アスファルトの成分との相互作用が不十分なため、アスファルト組成物の性能に対する影響が小さい。
((a)成分と(b)成分の質量比率)
本実施形態のアスファルト組成物中の共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)の質量比率は、アスファルト組成物の高い軟化点の観点から、(a)+(b)を100質量%としたとき、(b)の比率が1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、15質量%以上であることがさらにより好ましい。
また、アスファルト組成物の低い粘度、良い低温物性、アスファルトへの溶解性の観点から、(a)+(b)を100質量%としたとき、(b)の比率が80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることがさらにより好ましい。
(アスファルト組成物の形態)
本実施形態のアスファルト組成物の形態の好適な一形態として、
ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)と、還元粘度
0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b)との押し出し成型体である熱可塑性樹脂組成物(d)と、
アスファルト(c)と、
を、含有するアスファルト組成物が挙げられる。
前記(d)の含有量が、3〜20質量%であり、
前記(c)の含有量が、80〜97質量%であり、
前記熱可塑性樹脂組成物(d)における、前記(a)成分と前記(b)成分との質量比率が、(a)/(b)=20〜99/80〜1であるものとする。
かかるアスファルト組成物は、共重合体(a)とポリフェニレンエーテル(b)との押し出し成型体、例えばペレットである熱可塑性樹脂組成物(d)と、アスファルト(c)とを、混合することにより製造することができる。
上記本実施形態のアスファルト組成物において、粘度と低温伸度の観点から、前記(d)成分の含有量が、3〜15質量%であり、前記(c)成分の含有量が、85〜97質量%であり、前記(d)成分における、前記(a)成分と前記(b)成分との質量比率が、(a)/(b)=40〜99/60〜1であることが好ましい。
(その他の材料)
本実施形態のアスファルト組成物は、必要に応じて任意の石油樹脂を配合することができる。石油樹脂を添加することで、骨材との混合物としたときのアスファルト組成物と骨材との接着性が向上する傾向にあり、剥離が抑制できる。
石油樹脂の種類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、C5系石油樹脂等の脂肪族系石油樹脂、C9系石油樹脂等の芳香族系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂、C5/C9共重合系石油樹脂等の石油樹脂、並びにこれら石油樹脂を水添して得られる水添石油樹脂が挙げられる。石油樹脂の配合量は特に限定されるものではないが、アスファルト(c)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは2質量部以上6質量部以下である。
本実施形態のアスファルト組成物は、必要に応じて任意の添加剤を配合することができる。
添加剤の種類は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。
例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、マイカ、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、スラッグウール、ガラス繊維等の無機充填剤;カーボンブラック、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤が挙げられ、これらの他の添加剤や、これらの混合物等、「ゴム・プラスチック配合薬品」(日本国ラバーダイジェスト社編)等に記載されたものが挙げられる。
添加剤の配合量は特に限定されるものではなく、アスファルト(c)100質量部に対して、通常、50質量部以下である。
本実施形態のアスファルト組成物は、骨材との混合物としたときのアスファルト組成物と骨材との剥離を防止するために、剥離防止剤を添加してもよい。
剥離防止剤としては樹脂酸が好適であり、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンであって、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸のうち何れか1種以上を含有するロジンが挙げられる。
また、脂肪酸又は脂肪酸アミドを、剥離防止剤、並びに滑剤として機能させるために添加してもよい。
本実施形態のアスファルト組成物には、共重合体(a)以外に、その他のポリマーを含んでいてもよい。
その他のポリマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマー;クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
本実施形態のアスファルト組成物は、軟化点、溶融粘度、低温伸度の観点から、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)を1〜10質量%含有することが好ましい。より好ましくは3〜10質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。
〔アスファルト組成物の製造方法〕
本実施形態のアスファルト組成物の製造方法に関しては、特に限定はなく、上述した(a)〜(d)成分を適宜混合することにより製造することができる。
また、共重合体(a)、ポリフェニレンエーテル(b)、及び/又はこれらの混合物である熱可塑性樹脂組成物(d)、及びアスファルト(c)の混合物を攪拌する際の条件に関しても特に制限はないが、120℃以上200℃以下の温度で行うことが好ましい。撹拌時間は通常30分〜6時間であるが、経済性の観点から短い方がよい。攪拌速度は、用いる装置により適時選択すればよいが、通常、100ppm以上8,000rpm以下である。
〔用途〕
本実施形態のアスファルト組成物は、道路舗装用、ルーフィング・防水シート用、シーラントの分野で利用でき、特に道路舗装用、ルーフィング・防水シート用の分野で好適に利用できる。
道路舗装用としては、本実施形態のアスファルト組成物に大量の骨材を混合し、使用する例を挙げることができる。
アスファルト組成物と骨材とを含有するものを、以下、アスファルト混合物と呼ぶ。
骨材に限定はなく、例えば、社団法人日本道路協会発行の「アスファルト舗装要綱」に記載されている舗装用の骨材であればどのようなものでも使用でき、以下に限定されるものではないが、例えば、砕石、玉石、砂利、鉄鋼スラグ等が挙げられる。また、これらの骨材にアスファルトを被覆したアスファルト被覆骨材及び再生骨材等も使用できる。
その他、これらに類似する粒状材料で、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー、建設廃材、繊維等も使用できる。
骨材は、一般に、粗骨材、細骨材、及びフィラーに大別される。
粗骨材とは、2.36mmふるいに留まる骨材であって、一般には粒径範囲2.5〜5mmの7号砕石、粒径範囲5〜13mmの6号砕石、粒径範囲13〜20mmの5号砕石、更には、粒径範囲20〜30mmの4号砕石等の種類があるが、本実施形態においてはこれら種々の粒径範囲の粗骨材の1種又は2種以上を混合した骨材、或いは、合成された骨材等を使用することができる。これらの粗骨材には、骨材に対して0.3〜1質量%程度のストレートアスファルトを被覆しておいてもよい。
細骨材とは、2.36mmふるいを通過し、かつ、0.075mmふるいに止まる骨材をいい、以下に限定されるものではないが、例えば、川砂、丘砂、山砂、海砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、人工砂、ガラスカレット、鋳物砂、再生骨材破砕砂等が挙げられる。
フィラーとは、0.075mmふるいを通過するものであって、以下に限定されるものではないが、例えば、スクリーニングスのフィラー分、石粉、消石灰、セメント、焼却炉灰、クレー、タルク、フライアッシュ、カーボンブラック等であるが、このほか、ゴム粉粒、コルク粉粒、木質粉粒、樹脂粉粒、繊維粉粒、パルプ、人工骨材等であっても、0.075mmふるいを通過するものであれば、フィラーとして使用することができる。
粗骨材、細骨材、フィラーは、1種のみを単独で用いてもよいが、一般的には、2種以上混合して用いられる。
アスファルト組成物と骨材とを含有するアスファルト混合物中の骨材の含有量は、油付着時の高い耐質量損失や高い耐強度低下を有する混合物を得る観点から、85質量%以上98質量%以下の範囲が好ましく、90質量%以上97質量%以下がより好ましい。
アスファルト組成物と骨材とを含有するアスファルト混合物の製造方法に関しては、特に制限はないが、アスファルト組成物と骨材との混合温度を、通常、120℃以上200℃以下の範囲として混合する方法が挙げられる。また、必要に応じて、アスファルト組成物の水中に乳化させて用いてもよい。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における共重合体及びアスファルト組成物に関する測定方法を、以下に示す。
〔測定方法〕
(ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロック含有量)
測定対象として、水添前の共重合体を使用し、I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,p.429(1946)に記載の四酸化オスミウム酸法で、共重合体のビニル芳香族単量体ブロック含有量を測定した。
共重合体の分解にはオスミウム酸0.1g/125mL第3級ブタノール溶液を用いた。
(ブロック共重合体のビニル結合量、共役ジエン単量体単位中の不飽和基の水素添加率、ビニル芳香族単量体単位の含有量)
ブロック共重合体中のビニル結合量、共役ジエン単量体単位中の不飽和基の水素添加率、及びビニル芳香族単量体単位の含有量を、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
ブロック共重合体を水添反応させた後の反応液を、大量のメタノール中に投入し、沈殿させることで、水添後のブロック共重合体を沈殿させて回収した。
次いで、水添後のブロック共重合体をアセトンで抽出し、抽出液を真空乾燥し、1H−NMR測定のサンプルとして用いた。
1H−NMR測定の条件を以下に記す。
<測定条件>
測定機器 :JNM−LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、GPC〔装置は、ウォーターズ製〕で測定した。
溶媒にはテトラヒドロフランを用い、温度を35℃とした。
クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用し、重量平均分子量(ポリスチレン換算分子量)を求めた。
(MFR)
MFRは、メルトインデクサー(L247;TECHNOLSEVEN CO.,LTD製)を用い、JIS K7210に準じた方法により算出した。
試験温度が200℃、試験荷重が5.00kgfであり、測定値の単位はg/10分で表した。
(ポリフェニレンエーテルの還元粘度)
ポリフェニレンエーテルの還元粘度は、ポリフェニレンエーテル(b)0.5gを、クロロホルム100mLに溶解させて溶液を作製し、ウベローデ型粘度計を用いて30℃で測定した。
〔共重合体の製造方法〕
(ブロック共重合体1)
<第一段階の重合>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換した。
当該オートクレーブに、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン240gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約40℃に設定した。
次に、前記オートクレーブに、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で0.70g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
<第二段階の重合>
スチレンの重合により、最高温度(51℃)に達してから7分後、最高温度から2℃低下した後に、前記オートクレーブに、ブタジエン(1,3−ブタジエン)560gを添加し、重合を継続した。
ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(90℃)に達してから30秒後に、前記オートクレーブに、カップリング剤として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエピクロロヒドリンによるジグリシジルエーテル化変性物と、フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物のエピクロロヒドリンによるジグリシジルエーテル化変性物と、の質量比1/1の混合物を、0.4mol/Liになるように添加し、カップリングさせた。
カップリング剤添加より10分後に、前記オートクレーブに、水を加えて失活させてブロック共重合体溶液を得た。
得られたブロック共重合体の溶液に、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、前記ブロック共重合体100質量部に対して0.25質量部添加して、充分混合してブロック共重合体1を得た。
得られたブロック共重合体1は、ブロック共重合体の混合物であり、構造の比率は、
S−B / (S−B)2−X =20/80質量% であり、S−B構造のブロック共重合体の重量平均分子量は9万であり、(S−B)2−X構造のブロック共重合体の重量平均分子量はS−B構造の重量平均分子量の2倍であった。
また、ビニル芳香族単量体単位の含有量は30質量%であり、MFR(200℃、5kgf)は0.2g/10分であった。
ビニル芳香族単量体ブロック含有量は30質量%であり、ビニル結合量は11質量%であった。
前記式中、Sは、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、Bは、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを表す。
Xは、カップリング剤の残基又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表す。
(ブロック共重合体2)
前記<第二段階の重合>において、カップリング剤を四塩化ケイ素に変更し、0.2mol/Liになるように添加した。
その他の条件は、前記(ブロック共重合体1)と同じ方法でブロック共重合体2を得た。
得られたブロック共重合体2は、ブロック共重合体の混合物であり、構造の比率は、
S−B / (S−B)4−X =20/80質量% であり、S−B構造のブロック共重合体の重量平均分子量は9万であり、(S−B)4−X構造のブロック共重合体の重量平均分子量はS−B構造の重量平均分子量の4倍であった。
また、ビニル芳香族単量体単位の含有量は30質量%であり、MFR(200℃、5kgf)は0.01g/10分であった。
ビニル芳香族単量体ブロック含有量は30質量%であり、ビニル結合量は11質量%であった。
(ブロック共重合体3)
<水添触媒の調製>
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を得た。
<重合>
前記(ブロック共重合体1)の<第一段階の重合>において、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液の量、スチレンの量を変更し、テトラメチレンジアミンを追加し、<第二段階の重合>において、ブタジエンの量を変更し、カップリング剤を使用しないで、更に<第三段階の重合>として、第一段階の重合と同じスチレン量でスチレンの重合を実施した。
その後、水を加えて失活後、上記の水添触媒で、ブロック共重合体における共役ジエン単量体単位中の二重結合の98mol%を水素添加してブロック共重合体溶液を得た。
その後、(ブロック共重合体1)と同様の方法で、ブロック共重合体3を得た。
得られたブロック共重合体3は、S−B−S構造であり、重量平均分子量は7万であった。
また、ビニル芳香族単量体単位の含有量は40質量%であり、MFR(200℃、5kgf)は0.5g/10分であった。
ビニル芳香族単量体ブロック含有量は29質量%であり、ビニル結合量は40質量%であった。
(ブロック共重合体4)
前記(ブロック共重合体1)の<第一段階の重合>において、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液の量、スチレンの量を変更し、テトラメチレンジアミンを追加し、<第二段階の重合>において、スチレンとブタジエンを連続で添加し、カップリング剤を使用しないで、最後に<第三段階の重合>として、第一段階と同じスチレン量でスチレンの重合を実施した。
その後、水を加えて失活後、上記(ブロック共重合体3)の製造方法で調製した水添触媒で、ブロック共重合体における共役ジエン単量体単位中の二重結合の98mol%を水素添加してブロック共重合体溶液を得た。
その後、(ブロック共重合体1)と同様の方法で、ブロック共重合体4を得た。
得られたブロック共重合体4は、S−R−S構造であり、重量平均分子量は15万であった。
Rは、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位からなる共重合体ブロックを表す。
また、ビニル芳香族単量体単位の含有量は50質量%であり、MFR(200℃、5kgf)は3g/10分であった。
ビニル芳香族単量体ブロック含有量は15質量%であり、ビニル結合量は20質量%であった。
(ブロック共重合体5)
前記(ブロック共重合体1)の<第一段階の重合>において、スチレンをブタジエンに変更し、<第二段階の重合>において、スチレンとブタジエンを一定比率で添加し、その後、更にスチレンを添加し、<第3段階の重合>としてスチレンとブタジエンを一定比率で添加し、<第4段階の重合>として、第二段階と同じスチレン量でスチレンの重合を実施した。
その後、水を加えて失活後、(ブロック共重合体1)と同様の方法により、ブロック共重合体5を得た。
ブロック共重合体5は、B−S−B−S構造であり、重量平均分子量は10万であった。また、ビニル芳香族単量体単位の含有量は40%であり、MFR(200℃、5kgf)は13g/10分であった。
ビニル芳香族単量体ブロック含有量は35質量%であり、ビニル結合量は11質量%であった。
(ブロック共重合体6)
前記(ブロック共重合体1)の<第二段階の重合>において、カップリング剤を1,3−ビス(N,N’−ジウリシジルアミノメチル)シクロヘキサンに変更し、0.23mol/Liになるように添加した。
その他の条件は、前記(ブロック共重合体1)と同じ方法でブロック共重合体6を得た。
得られたブロック共重合体6は、ブロック共重合体の混合物であり、構造の比率は、
S−B/〔(S−B)2−X+(S−B)3−X+(S−B)4−X〕 =20/80質量%
であり、S−B構造のブロック共重合体の重量平均分子量は9万であり、(S−B)2−X+(S−B)3−X+(S−B)4−Xの重量平均分子量はS−B構造の重量平均分子量の3.7倍であった。
また、ビニル芳香族単量体単位の含有量は30質量%であり、MFR(200℃、5kgf)は0.01g/10分であった。
ビニル芳香族単量体ブロック含有量は30質量%であり、ビニル結合量は12質量%であった。
〔実施例1〜23〕、〔比較例1〜7〕
(アスファルト組成物の製造)
750mLの金属缶に、ストレートアスファルト60−80〔新日本石油(株)製〕を500g投入し、160℃のオイルバスに金属缶を充分に浸した。
次に、溶融状態のアスファルトを、4000rpmの回転速度で攪拌しながら、下記表2〜表4に示すとおり所定量のブロック共重合体(a)、ポリフェニレンエーテル(b)、後述する熱可塑性樹脂組成物ペレット(d)を用いて、これらを前記アスファルトに添加し、添加後に90分間、撹拌してアスファルト組成物を作製した。
なお、ポリフェニレンエーテル(b)としては、以下のものを用いた。
ポリフェニレンエーテル1は、還元粘度が0.33dL/gである。
ポリフェニレンエーテル2は、還元粘度が0.07dL/gである。
ポリフェニレンエーテル3は、還元粘度が0.60dL/gである。
ポリフェニレンエーテル4は、還元粘度が0.70dL/gである。
ポリフェニレンエーテル5は、還元粘度が0.39dL/gである。
ポリフェニレンエーテル5は、還元粘度が0.40dL/gのポリフェニレンエーテル100質量部と、無水マレイン酸(日本油脂(株)社製、クリスタルMAN)2質量部とを二軸押出機を用いて溶融混練することにより得た。この時、無水マレイン酸付加量は、IR測定により、ポリフェニレンエーテル100質量%に対して0.5質量%と算出された。
また、実施例7〜13、15、16、19、21においては、ブロック共重合体(a)と、ポリフェニレンエーテル(b)とを共押出成型ブレンドにより作製した熱可塑性樹脂組成物ペレット(d)を用いた。
さらに、実施例14においては、ブロック共重合体1と、ブロック共重合体4とポレフェニレンエーテル1からなる熱可塑性樹脂組成物ペレット(d)とをそれぞれ用いた。
(アスファルト混合物の製造)
加熱装置を備える容量27リットルの混合機に、下記表1に示す粒度の密粒度型の骨材94.5質量部を投入し、25秒間空練りを行った。
次に、上述した方法により製造したアスファルト組成物5.5質量部を、前記混合機に投入し、50秒間本練りを行い、実施例1〜23、比較例1〜7のアスファルト混合物を得た。
得られたアスファルト混合物は、密粒度型のアスファルト混合物であった。
なお、アスファルト混合物の総量は10kgとなるようにし、空練り、本練りともに混合温度は177℃に調整した。
使用した骨材は、栃木県下都賀郡岩舟町から産出された砕石及び砕砂、千葉県印旛郡栄町から産出された細砂、並びに栃木県佐野市山菅町から産出された石粉の混合物であった。
アスファルト混合物に使用した骨材の粒度分布を下記表1に示す。
〔アスファルト組成物及びアスファルト混合物の評価〕
上述のようにして作製したアスファルト組成物、及びアスファルト混合物の各物性を、以下の方法により測定した。
測定結果を表2〜表4に示す。
(アスファルト組成物の軟化点)
JIS−K2207に準じて、アスファルト組成物の軟化点を、リング&ボール法にて測定した。
規定の環に試料を充填し、グリセリン液中に水平に支え、試料の中央に3.5gの球を置き、液温を5℃/minの速度で上昇させたとき、球の重さで試料が環台の底板に触れた時の温度を測定した。アスファルト組成物は軟化点が高い方が、耐流動性が良く、以下の基準で良い順から◎、○、△、×と評価した。
<評価基準>
軟化点が112℃以上 :◎
軟化点が105℃以上112℃未満 :○
軟化点が98℃以上105℃未満 :△
軟化点が98℃未満 :×
(アスファルト組成物の溶融粘度)
ブルックフィールド型粘度計により、160℃のアスファルト組成物の溶融粘度を測定した。
アスファルト組成物は溶融粘度が低い方が、製造性が良く、以下の基準で良い順から◎、○、△、×と評価した。
<評価基準>
溶融粘度が900mPa・s未満 :◎
溶融粘度が900mPa・s以上1200mPa・s未満 :○
溶融粘度が1200mPa・s以上1500mPa・s未満 :△
溶融粘度が1500mPa・s以上 :×
(アスファルト組成物におけるアスファルト相容性)
アスファルト組成物製造中のポリフェニレンエーテルの平均粒子径を測定した。測定方法としてデジタルマイクロスコープによる透過光を用いて観察した。
なお測定装置、測定条件は以下の通りとした。
<測定装置>
KEYENCE社製 デジタルマイクロスコープ VHX−2000
<測定条件>
測定温度:25℃
測定倍率:2000倍
測定モード:透過光
測定対象:ポリフェニレンエーテル(明白色部)。アスファルトは茶色部、エラストマーは暗白色部である。

サンプル調整方法:撹拌中のアスファルト組成物10mgをスライドガラス上に採取し、180℃に熱したホットプレート上で20秒静置させ溶融させる。その後、カバーガラスを溶融したアスファルト組成物に載せて薄く延ばす。室温で30分後放させた後、デジタルマイクロスコープで観察を実施した。
アスファルト組成物中のポリフェニレンエーテルの平均粒子径が小さい方が、高温貯蔵性、低温性能が良く、以下の基準で良い順から◎、○、△、×と評価した。
<評価基準>
平均粒子径が、10μm未満 :◎
平均粒子径が、10μm以上25μm未満 :○
平均粒子径が、25μm以上50μm未満 :△
平均粒子径が、50μm以上 :×
(アスファルト組成物の伸度)
JIS−K2207に準じて、試料を形枠に流し込み、規定の形状にした後、恒温水浴内で15℃に保ち、次に試料を5cm/minの速度で引っ張ったとき、試料が切れるまでに伸びた距離(伸度)を測定した。アスファルト組成物は伸度が高い方が、耐低温ひび割れ性が良く、以下の基準で良い順から◎、○、△、×と評価した。
<評価基準>
伸度が80cm以上 :◎
伸度が65cm以上80cm未満 :○
伸度が50cm以上65cm未満 :△
伸度が50cm未満 :×
(アスファルト組成物のアスファルト分離性)
アスファルト組成物の高温貯蔵後の分離性を評価した。
測定方法としては、直径2.5cm長さ15cmの底をゴム栓で塞いだテフロン(登録商標)チューブに、試料を流し込み、アルミシートで蓋をした後、オーブンで175℃×72時間静置した。
その後、冷凍庫で1時間保管した後、アスファルト組成物を長さ方向に三等分した。その上層と下層の軟化点をそれぞれ測定し、軟化点差を求めた。
軟化点差が小さい方が、高温貯蔵安定性、低温性能が良く、以下の基準で良い順から◎、○、△、×と評価した。
<評価基準>
軟化点差が2℃以下 :◎
軟化点差が6℃以下 :○
軟化点差が10℃以下 :△
軟化点差が10℃を超える :×
(アスファルト混合物の耐わだち掘れ性)
上述したアスファルト混合物の製造例により製造したアスファルト混合物を試験体とし、試験法便覧B003に準じて実施した。
所定の寸法の試験体上に、載荷した小型のゴム車輪を規定温度、規定時間、規定速度で繰り返し往復走行させ、単位時間あたりの変形量から動的安定度(回/mm)を求めた。
動的安定度が高いほど耐わだち掘れ性に優れることを示す。
以下の基準で良い順から◎、○、△、×と評価した。
<評価基準>
動的安定度が13000回/mm以上:◎
動的安定度が10000回/mm以上:○
動的安定度が6000回/mm以上 :△
動的安定度が6000回/mm未満 :×
本出願は、2017年6月14日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2017−116680)、2017年12月20日に日本国特許庁に出願された日本特許出願(特願2017−243831)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のアスファルト組成物は、道路舗装用、ルーフィング・防水シート用、シーラントの分野において、産業上の利用可能性を有している。

Claims (12)

  1. ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)と、
    還元粘度0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b)と、
    アスファルト(c)と、
    を、含有し、
    前記(a)の含有量が、2.5〜14質量%、
    前記(b)の含有量が、0.1〜10質量%、
    前記(c)の含有量が、80〜97質量%、
    である、アスファルト組成物。
  2. 前記ポリフェニレンエーテル(b)が、
    カルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群より選択される少なくとも一つの官能基よりなる変性基を有する、請求項1に記載のアスファルト組成物。
  3. 前記ポリフェニレンエーテル(b)が、カルボキシル基及び/又はカルボキシル基から誘導される基を有する、請求項1又は2に記載のアスファルト組成物。
  4. 前記(a)の含有量が、4〜14質量%、
    前記(b)の含有量が、0.1〜8質量%、
    前記(c)の含有量が、80〜97質量%、
    である、請求項1及至3のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
  5. 前記(a)の含有量が、4〜12質量%、
    前記(b)の含有量が、0.1〜5質量%、
    前記(c)の含有量が、85〜97質量%、
    である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
  6. ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)と、還元粘度0.07dL/g〜0.60dL/gであるポリフェニレンエーテル(b)との押し出し成型体である熱可塑性樹脂組成物(d)と、
    アスファルト(c)と、
    を、含有するアスファルト組成物であって、
    前記(d)の含有量が、3〜20質量%であり、
    前記(c)の含有量が、80〜97質量%であり、
    前記熱可塑性樹脂組成物(d)における、前記(a)と前記(b)との質量比率が、
    (a)/(b)=20〜99/80〜1である、
    アスファルト組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂組成物(d)が、前記共重合体(a)により構成される海相と、前記ポリフェニレンエーテル(b)により構成される島相からなる海島構造を有し、
    前記熱可塑性樹脂組成物(d)中の前記ポリフェニレンエーテル(b)の平均分散粒子径が5μm未満である、請求項6に記載のアスファルト組成物。
  8. 前記(d)の含有量が、3〜15質量%であり、
    前記(c)の含有量が、85〜97質量%であり、
    前記(d)における、前記(a)と前記(b)との質量比率が、(a)/(b)=40〜99/60〜1である、
    請求項6又は7に記載のアスファルト組成物。
  9. 前記熱可塑性樹脂組成物(d)が酸化防止剤を含む、請求項6及至8のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
  10. 前記ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)が、水素添加されている、請求項6乃至9のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
  11. スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)を1〜10質量%、さらに含有する、請求項6乃至10のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。
  12. 前記ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する共重合体(a)が、
    官能基よりなる変性基を有する、請求項1及至11のいずれか一項に記載のアスファルト組成物。

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